平成17年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(町田 亘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百三十五号から議案第百九十二号まで、並びに知事専決処分報告報第八号から報第十三号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 八番町田 亘君。
  〔町田 亘君、登壇〕(拍手)
○町田 亘君 おはようございます。
 本当に久しぶりで立たしていただきまして、通告に従って質問さしていただきます。
 まず最初に、国の三位一体改革についてお尋ねいたします。
 昨年十一月、政府・与党が合意した三位一体改革の全体像は、義務教育費や生活保護の取り扱い、学校などの建設国債対象の施設整備に係る国庫補助金の廃止、税源移譲といった重要な課題が先送りされるなど、真の地方分権改革を推進するものとはなっていません。さきの合意では財政力の弱い地域への財政面での対応をどうするのか明らかでないために、今後三位一体改革の進展に伴って国から地方への権限が移譲され、地方の自由度・裁量権が拡大していったとしても、将来にわたる十分な財政の裏打ちがない状態では地域の実情に合った事業が実施できず、本来の目的たる住民サービスの向上を図れないことにもなりかねません。特に本県のように税源が乏しく、財政力の弱い地域が将来にわたって安心して財政運営が進められるような対策がぜひとも講じられるべきであると思いますが、知事の所見をお尋ねいたします。
 次に、県立医科大学の地方独立行政法人化についてお尋ねいたします。
 県立医科大学は、県内随一の医療系大学として、地域で活躍する多くの医師や看護師など医療従事者を育成するとともに、県医療の中核として高度で特殊な医療サービスを提供し、県内公的医療機関へ医師を供給するなど、本県にとってまことに重要な役割を担っております。このように重要な役割を果たしている県立医科大学を、県とは別の法人とする目的は何か。また、法人化することで県民や地域にとって何がよくなるのでしょうか。
 また、平成十五年十二月に出された「和歌山県立医科大学のあるべき姿のために」と題する提言では、県立医科大学が地域医療における教育・研究の拠点として大学が保有する知識やノウハウを地域に還元することで県民の健康づくりや産業振興などに貢献すべきであり、本県の地域特性や県民ニーズを踏まえて目標を定め、その達成に向けて県立医科大学の機能を最大限に発揮しなければならないとも述べておられます。
 法人化されることでこうした産学官連携も一層進むものと期待されますが、県立医科大学における産学官連携と目指すべき法人像についてどのようにお考えでしょうか。あわせて知事にお尋ねいたします。
 次に、指定管理者制度についてお尋ねいたします。
 私の住む上富田町に、福祉事業団本部や南紀養護学校、牟婁あゆみ園、はまゆう養護学校等、生徒、利用者、職員を含め七百五十人が生活をしています。まさに福祉の町であります。
 余談でありますが、小野知事当時、この福祉施設の誘致に白浜町と上富田町が誘致の陳情合戦を繰り広げました。当時の上富田町長の山本万米氏の「白浜にはすばらしい温泉があるが、我が上富田町には心あふれる泉がある」の一言で、小野知事が上富田に決定したとの話が残っております。
 私は、南紀福祉センターの利用者の方々との交流があり、利用者の方々から、「指定管理者制度が導入されれば事業団から別の法人に移ると聞くが、とても不安である」という相談を受けました。そこで、利用者の皆さんが相談して、他府県の施設の利用者たちはこの制度をどのように受けとめているのか、どのように考えているのか勉強しようと、ことし二月、不自由な体で鳥取県の身体療護施設友愛寮に行ってきたそうです。
 紀伊田辺駅より車いすで特急オーシャンアロー号に乗ったところ、車内の座席は左内側の縦二列を外していたが、一番困ったことは、車内販売が来るたびに車いすとの間が狭く通れないため、そのたびにデッキに何度も避けなければならず、気の休まる暇がなかったと言っておられます。また、大阪からの特急「はくと」に乗りかえましたが、これも同じく何度も何度もデッキに行ったと嘆いていました。しかし、友愛寮に着き、いろいろの話の中で、鳥取県知事は福祉施設を指定管理者制度の対象から外し公募しないと発表され、友愛寮の利用者の皆さんは大変安心されていたそうです。
 そこで本年四月六日、福祉センター利用者の役員と私も一緒に福祉保健部長や障害福祉課長に面会し、現状を訴え、現場の声を聞いていただきました。そして、知事あての要望書を部長に手渡しました。
 平成十五年六月の地方自治法の一部改正により、公の施設の管理委託に指定管理者制度が導入され、「民間にできることは民間で」という流れが本格化し、施設の管理においても民間業者の有するノウハウを取り入れ、施設のサービスの向上、コスト削減を図るべきである、まさにそのとおりであります。
 しかし、図書館や体育館、会館等、不特定多数の方々が利用する施設と異なり、現在福祉事業団に委託している南紀福祉センターには利用者が二十四時間、三百六十五日、常時そこで生活をしており、利用者に対する支援内容は一人一人異なり、AさんにはAさんに合った支援が、BさんにはBさんに合った、Aさんと違う支援が必要であります。そして、その対応を少しでも間違えれば、利用者はパニックを起こしたり、利用者の心や体に悪影響を与えてしまうのです。
 そこで、福祉事業団に管理委託している南紀福祉センター等の障害施設の指定管理者は、高い専門的知識と豊富な経験を有する職員を多数配置することができ、かつ利用者や保護者が信頼する法人でなければならないと考えます。
 運営主体の選択は、これまでの施設の運営に対する十分な検証と利用者の合意の上で決めるべきであると思いますが、知事のお考えをお聞かせ願います。
 また、現時点において、障害者施設等の指定管理者の募集方法、どのような検討をされているのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 それに関連して、福祉事業団に委託している障害者施設以外にも、現在直営で運営している有功ケ丘学園に指定管理者制度を導入し、民間委託を考えているようだが、その導入方法についてお聞かせください。つまり、コスト削減だけをもって指定管理者制度を導入するのではなく、南紀福祉センターと同じように、利用者や保護者が信頼する法人でなければならないと思いますが、福祉保健部長の考えをお聞かせ願います。
 「きょう一日を楽しみたければ花を生けよ。一年先を楽しみたければ花を植えよ。三十年先を楽しみたければ木を植えよ。百年先を思うならば人を育てよ」──教育とは教え育てることであり、今の教育は教えることがあっても育てることに欠けているのではないだろうか。それが最近の教育の荒廃となって、さまざまな問題を生み出しているのではないだろうか。
 子供は、よく育ちます。生命がそうさせるのです。我々大人にできることは、子供の能力が育つ環境を準備してあげることではないだろうか。
 ある教育学者は、「人間にいい頭や悪い頭はない。生まれたときはだれでも真っ白で、豊かな生命を内に秘めている。環境によっていい頭になったり悪い頭になったりするのだ」と言います。言いかえれば、育て方一つだと言います。
 エール大学の教授が、オオカミに育てられた二歳と七歳ぐらいの子供を観察した記録があるそうです。その二人の子供が人間に育てられるようになってからも両手両足を使って歩き、夜になると遠ぼえをしたそうです。オオカミに育てられればオオカミの習性を身につける能力が育ったそうですから、その子供たちはすばらしい生命を備えていたと言えます。
 生まれながらの天才は、いないはずであります。バッハもモーツァルトも、石器時代に生まれていたなら石器人でしかなかったはずであります。二人とも恵まれた環境に育ったからこそ、偉大な音楽家になれたと言えるのではないでしょうか。
 本論に入ります。
 まず、教員の資質向上について教育長にお尋ねします。
 その中で、先生の指導力不足教員認定制度はどのようなものか、お教え願います。
 全国で昨年四百八十一人が指導力不足と認定されたとありますが、我が和歌山県ではこの制度を実施されたのか、またどのような方法でされたのか、その結果についてもお教え願いたい。
 次に、先生の評価について。
 昨年度、授業の改善に役立てるためにと、生徒による授業評価のアンケートを県内九校で試験的に実施され、本年よりすべての学校に拡大すると教育長がコメントされています。
 そこで、教育長は「生徒による評価と教員による自己評価には大きな開きがある」と述べておられますが、具体的に説明を願いたいと思います。また、その結果をどのように生かしていくのかもお教えください。
 給料は年功序列であり、一生懸命頑張ろうがなかろうが、採用された年次が同じであれば同じで、優秀で努力されている先生には反映されていないのではないでしょうか。一般企業では本人の努力や実績によって評価され、先般も納税者番付日本一が一サラリーマンでありました。努力した先生が報われる方法がないものだろうか。また、自動車免許のように更新制を採用し、不適格な先生には免許を更新しないようにすると政府内でも検討されているが、教育長、感想があればお聞かせ願います。
 次に、民間から採用の管理職特別選考の校長についてお尋ねいたします。
 教員の集団は鍋ぶた型、文鎮型集団であると言われ、教師間においても、経験年数や年齢を問わず、同一仲間ととらえているように思われます。対照的に、ピラミッド型の企業とは大きく異なります。
 企業は上司の命令一つで経営方針が決まるので時代の流れに合ったスピード改革がなされるが、教職員の社会には通用しないのが現状ではないだろうか。また、職員会議についても、法的な位置づけがなされ、最高の決定機関であるという長年の慣習があり、校長の独断で何も決めにくい状態にあるのではないだろうか。
 そこで、教員集団という独特な環境の中で民間校長として急に着任しても、ギャップが大き過ぎて長年の教師集団に流され、優秀な民間校長が配置されても、その企業で養われた力量が発揮されにくいのではないだろうか。数年前、広島県で民間校長が自殺した例もあります。
 私は、民間校長を今後も導入するならば、十分な研修期間が必要であり、人間関係を構築した後に校長になるべきだと思います。また、民間校長と教頭のコンビネーションが最優先で、校長をしっかり支えられる力量のある教頭の配置、また学校経営についても、悩み等、常に教育委員会等がサポートしてあげるべきだと思います。
 ただ、うれしかったのは、東京都出身で民間会社の役員だった有田中央高校の校長、瑠東東治先生にお会いすることができました。少しの時間でありましたが、学校経営について、また子供たちへの教育、先生への思いやり等、自信を持ってお話を聞かせていただきました。
 今後も民間校長を採用する考えがあるのか、また民間校長に期待することは何があるのか、教育長の考えをお聞かせ願います。
 次に、教員の高齢化についてお尋ねします。
 業績が上がらない企業が歯を食いしばって新規採用を続けているのは、若年不足による組織の動脈硬化を防ぐためでもあります。若年の情熱とベテランの経験、この二つはどんな社会にあっても必要であります。若年だけでは暴走の危険があり、ベテランだけでは活力が失われ、特に中高年ばかりでは惰性に流され、時代の変化に鈍感になります。
 文部科学省の調査によると、全国では一九八〇年当時、小学校の教員は三十歳未満が全体の約三〇%あったが、二〇〇一年では三十歳未満が約八%に、中学校でも、二三・五%であったのが一〇%に減少しています。平均年齢も高齢化しています。少子化による先生の採用数が減ったためでもあります。
 そこで、我が県の現状についてお教え願います。
 また、和歌山国体時に採用された先生が多くいますが、近い将来多数の退職時期を迎えることになるが、今後どのような人員構成の適正化を図っていかれるのか、お教え願いたいと思います。
 それと、教育は学校だけのものではなくて、家庭だけのものでもありません。地域が一つになって取り組まなければなりません。
 私の住むJR朝来駅が無人化になってから十八年ほどになります。無人化以降、駅周辺や駅構内は未成年者がたばこを吸ったり落書き、またトイレの扉は破れ、放置自転車等々、問題行動の温床になっていました。迷惑したのは、トイレを借りに来る駅前商店街や民家の方々でした。
 そこで、私の友人、青少年育成会議会長・上羽君たちが立ち上がり、熊野高校、町、教育委員会等で駅舎をJRより無償で譲り受け、「くちくまの まちのほっとステーション」としてことし二月にオープンさせました。駅舎を改良して、作品の展示、図書コーナー、囲碁、将棋等サークル活動の場として、また、ボランティアの皆さんが毎日交代で常駐し、地域の交流の拠点としても活用しています。
 子供たちの日常も本当に変わってきました。JRの駅は県内に七十あるそうですが、朝来駅のように駅舎を生かしているのは四駅だそうです。すばらしい取り組みではありませんか。教育長、御感想があればお聞かせ願います。
 次に高等学校再編整備計画についてですが、昨年の八月に発表後、該当地域や学校関係者などからさまざまな意見が出され、県教育委員会はこれらを受ける形で、この五月に最終計画案を策定されました。この計画の中で、南紀高等学校本校に昼間定時制が設置されることは、かねてからの地域の願いでもあり、それが認められたことは一定の評価をするところであります。
 しかし、現在、夜間定時制である周参見分校についても、地元のすさみ町を中心として、昼間定時制への移行を強く要望しています。今後の紀南地方における定時制教育の充実という意味からも、周参見分校の昼間定時制移行について再度考え直す余地がないのか、教育長にお尋ねします。
 教育の最後として、一つ要望を申し上げたいと思います。
 私の友人で白浜町内の柔道連盟の皆さんが、全日本柔道強化合宿をぜひ白浜町へ誘致したいと運動を始めました。誘致するにはお金がかかるので、私は教育委員会によい方法はないかと相談したところ、県では財政的な支援は難しい、他府県では市町村で負担して誘致しているとのことでありました。友人たちは募金活動を始め、また白浜町は予算の計上と畳四百枚を購入しました。
 六月七日、世界選手権代表及び海外派遣候補、総勢七十名が白浜空港におり立ちました。その中に、谷亮子選手を初め金メダリスト四名、またコーチ陣は金メダリストの古賀選手など、ほとんどメダリストばかりでした。私も白浜町長や多くの関係者の皆さんと夜の歓迎会にも出席し、あいさつもさせていただきました。この一週間、私は毎日、白浜総合体育館に仲間と練習を見に行きました。
 私は柔道について技術的にはわかりませんが、しかし、ボランティアで子供たちを指導している先生方にとっては、「このような練習方法は初めてだ。とてもよい勉強になった」と感激しておられました。
 六日間の練習を終えて、先日十二日、白浜空港から帰りましたが、そこで残念だったのは、学校からの参加が少なかったことです。世界の金メダリストで、テレビでしか見たことのない選手たちが真剣に練習している姿を、教育の場、学外研修としてでも取り入れられなかったのか。これぞ生きた手本ではなかっただろうか。せめて近隣の学校に積極的に呼びかけることができなかったのだろうか。今後もこのような場合、前向きな検討をぜひ願いたいと思います。
 次に、和歌山県職員互助会への補助金削減についてお尋ねします。
 去る三月三十日に知事は、成立したばかりの平成十七年度和歌山県職員互助会に対する補助金を、公務員への厚遇問題が全国各地で大きくなる中、さらに前向きに対処するためとして大幅に減額される方針を発表され、今議会にその補助金の減額補正を上程されております。
 地方公共団体にあっても、事業主としての自治体は、職員に対し応分の福利厚生を実施しなければならないことは承知しております。地方公務員法には、「職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを実施しなければならない」と規定されております。この規定の趣旨は、健康管理と、職員が職務によって蓄積した疲労・ストレスを解消し、あしたの活力を養うことが元気回復、いわゆるレクリエーションであると理解しております。
 しかしながら、昨年の秋から、大阪市における過剰な福利厚生制度や、民間企業では考えられないようなお手盛りによる公金の使用が、連日のように新聞紙上やテレビ等で大きく取り上げられてまいりました。職員互助会へは職員の掛金の二、三倍の公費を補助したり、生命共済掛金を公費で全額負担したり、制服と称してスーツを係長以下の職員に二、三年に一回新調したり、空残業があったりと、余りにも目に余る職員厚遇の数々には、驚きとともにあきれかえるばかりであります。
 話は少しそれますが、二〇〇四年のノーベル平和賞を受賞されたケニアの副環境相ワンガリ・マータイさんがさきに来日されたときにしばしば口にされた日本語は「もったいない」であったそうです。京都議定書の発効記念行事で来日され、各地で講演をされたようであります。
 彼女が口にした「もったいない」は、限りある資源を大切に利用する一人一人の心を意味するとして、地球環境の大切さを訴えるのにこれ以上適切な言葉はないと、一言ですべてを言い尽くすこの言葉にいたく心を動かされたそうであります。この「もったいない」を小泉総理は、食糧不足の時代に「つくった人の身になって大事に食べなさい」と親が子に諭した言葉と説明されたそうであります。
 しかし、私はこの言葉は、何も食べ物だけに限って使う言葉ではないと思います。我々の身の回りには、知らず知らずのうちにたくさんの「もったいない」をつくってしまったのではないだろうか。今日の互助会問題の本質な部分、県民が納めた税金が職員の福利厚生事業に使われている、それも県民感覚からすると厚遇と思われるような使われ方をしているのではないか。この思いから、互助会事業への公費の支出について、県民は少なからず不信感を持ったのではないかと私は感じるわけであります。
 県は、今回改めて、税金は大変貴重なもので、このマータイさんの「もったいない」感覚でもって見直しを進めてくれたものと思いますが、いかがでしょうか。このように多くの批判を受けた職員の福利厚生制度、職員互助会を今回の補正予算で県はどのようなものに変えようとしているのか、総務部長の見解をお尋ねいたします。
 最後に、耕作放棄地対策について。
 先日、友人から「日置川町に全体で六反五畝の田があったが、足腰がいうことをきかないのでつくることができなくなった。ほうっておくと近所の人から文句を言われ、町田さん、何とかしてくれないか」と相談を受けました。行ってみると、六反五畝だそうですが、二十三枚に分かれており、田の境界がわからないほど雑草が生えていました。
 農地法は農地所有者に耕作を義務づけていますが、現実には、農家の働き手の高齢化や田畑を相続した後継者が都市への移住などで耕作をやめるケースが続出しております。雑草が生えたり、ごみが不法投棄されたり、放棄地は近隣農家にとって迷惑な存在であります。農業団体などが所有者に管理を促しても、従わないというよりは従えないことが多く、農村では大きな問題になりつつあります。
 私の地元西牟婁地方でも、特に中山間においては過疎化による不在村の農地所有者の増加と農業従事者の高齢化、また地域に農地を借りて農業をやろうという後継者は不足しているために、つくり手のない耕作放棄地が目立っています。
 全国で耕作放棄は全農地の七%に当たり、三十四万ヘクタールに達していると言われています。これ以上増加すれば、農業の急激な衰退を招くことは目に見えています。このことは、耕地の少ない我が県にあって、食料の安定供給の面からも、地域経済や環境保全の上からも大きな問題であります。県においても農地の有効利用対策に取り組まれていますが、まだまだその効果が十分でないと思われます。
 そこで、今後、耕作放棄地の積極的な活用対策の強化が特に必要であると考えますが、どのような取り組みをされるのか、農林水産部長にお尋ねいたします。
 御清聴、ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの町田亘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革についての御質問でございますが、昨年あれだけ大騒ぎをして、またことしも三位一体の改革をどのようにしていくかというふうな時期が来たわけでございます。
 昨年の成果については、一応税源の移譲はなされたとはいうものの、いろいろな関与はそのまま残ったというふうなことで、実は余り地方分権に役に立っていないのではないかという意見もありまして、和歌山県では、やはり余り空中戦ばっかりしていても仕方がないということで、本当に去年やったことがどういうふうに地方のためになっているのか、またならないのかということを、先般、検証しようということで一応の発表をしたところでございます。
 その中で、やはり相変わらず国の関与というふうなものは残されていると。これについては、交付金化とかいろいろな美名のもとでやられているけども、実は国の方が地方にいろいろ口出しをする仕組みは変わってないというようなことがあって、こういうふうなことは引き続きやっぱり変えていかないといかんということが明らかになったと。
 それからもう一点は、三位一体の改革、税源移譲というふうに言われているんだけども、やはり和歌山県とか県内の市町村とか、財政力の弱いところには必ずしも好ましい結果にはなっていない。非常に財政運営の上で不安を持たせるような形になっている。そういうふうなことの中で、例えば税源移譲ということについて言えば、都市とかそういうところに非常に税源が偏っている法人関係税はもう国の方へ渡して、そのかわりに税源が全国に満遍なくある消費税というふうなものは全部地方税源にするとか、こういうふうなやっぱり抜本的な改革を考えなければ、なかなか日本の国がどこも、都市も地方もうまく発展していくような形にはならないのではないかということも申しましたし、それからまた地方交付税についても、減らせばいいというふうなものじゃなくて、やはりこれだけ日本の国にいろんな団体がある中で、これが皆うまくやっていくためには、この地方交付税というふうなものが、それは確かに改革も必要なんだけれども、これを守っていかなければならないと。そういうときに、短期的に毎年計算してこういうふうな額が変わっていくというような形になると非常に不安定になってくるんで、やはり中期的にこれぐらいの財源はちゃんと地方へ来ますよというふうな安心を持てるような仕組みにしていかなければ、なかなか三位一体の改革といっても本当のものにはならないのではないかというふうなことを言ったわけです。
 きのうも中教審の委員会が開かれたみたいですが、教育の問題、義務教育の教員の給料の国庫負担の話がえらく中心になっていますけども、いずれにせよ、大きな話の中で、この三位一体ということが本当に地方公共団体の自立ということにつながっていくようになるような実のある議論をしていきたいと、このように思っております。
 それから医大の法人化ですけども、実は独立行政法人になって何が変わるのかというふうなこと、わかったようでわからないというのが、これ、実際のところです。それから、国立大学についても独立行政法人化になっているわけですが、そう大きく変化というふうなものが見えてきていないという実情はあるわけですが、しかしながら独立行政法人化して、例えば予算であるとか組織の制約というふうなものを緩和していくとか、そしてまた、今、手続がいろいろ煩雑化しているようなことについて簡素化していくというふうな大きな流れはありますので、今回、和歌山県立医大についても独立行政法人化をしていこうというふうな方向の動きになっているわけでございます。
 ただ、仕組みは変えたから、そうしたら本当に中身まで変わってくるのかというと、これはそういうふうなものではありませんので、やはりこのことをきっかけに、この独立行政法人化ということを踏まえて、県立医大がより活性化して県民のためになる大学というふうなものになるように県の方もいろいろな形で関与していかなければならないと思っておりますし、それからもう一つは、やはり県立医大にはたくさんの税金が投入されているわけでございます。そして、これはこれからも変わることでないわけでございますから、やはり県の中核病院、そしてまた医師、看護師の供給元、そういうふうなこと、そしてまた高度医療の中心というふうなことで、県の医療の中で担う位置は非常に大きいものですから、県としても応分の関与ということをしていかなければならないというふうに思っております。
 そしてまた、これからはやはり産学官の連携ということが非常に大事な時代になってきます。今も医大を含めていろいろな産学官連携の事業が行われていますけども、独立行政法人化になることによってこういう傾向をもっと強めていくというふうなことが私は大事だろうと思います。独立行政法人化は、当然のことながら医大の方にも相当大きな責任をもたらすものだというふうな認識のもとに、いろいろなことを進めていく必要があるのではないかというふうに思っております。
 最後に、障害者の方を支援する施設についての指定管理者の制度の導入のあり方ということでございますけれども、指定管理者制度につきましては、公の施設については指定管理者制度を導入するということが決まっているわけですけども、これはすべて同じように、どんな性格の公の施設も皆同じというふうなわけにはいかないということは、議員の御質問のとおりだと私は思っております。やはり地域性もありますし、そしてまた、障害者の方のための施設というふうなものについては、そこに入っている人の安心と信頼が一番大事だというふうに考えておりますので、そういうことに沿った運営ができるような配慮というものを考えていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、障害者施設の指定管理者の募集方法についてお答えを申し上げます。
 障害者施設は、利用者の特性、社会福祉施設としての特性がございます。利用者に対するサービス水準の確保、サービス提供のノウハウ、物的・人的能力、利用者、保護者などの意見などの条件を満たす特定の社会福祉法人でないと施設設置の目的達成や適正な運営確保ができないと判断してございまして、非公募も含め、外部の有識者委員も加わった選定委員会を設置し、その御意見もいただいて指定先を選定したいと考えております。
 次に、有功ケ丘学園への指定管理者制度の導入についてでございます。
 昨年来、有功ケ丘学園保護者会と協議を重ねてきたところでございまして、その導入方法につきましては、基本的にはさきにお答えした障害者施設と同じ考え方となりますが、加えて、発達期にある児童に対する療育支援は非常に重要であることから、同種施設の運営実績を有する社会福祉法人が適切であると考えてございまして、選定委員会の御意見もいただきながら指定先を選定してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 和歌山県職員互助会への補助金の削減についての御質問がございました。
 議員御指摘のとおり、地方公務員法第四十二条に地方公共団体は職員の福利厚生事業を実施しなければならないと規定されておりまして、その福利厚生事業の一部を職員互助会が職員の掛金と県からの補助金により事業を実施してきたところでございます。
 この職員互助会に対する補助対象などにつきましては、従来からも適宜見直しを行ってまいりましたが、今回、今の社会情勢に見合ったものになっているのか、あるいは議員が指摘されました「もったいない」といった視点も加えましてさらに精査をしました結果、医療費を初めとする個人給付的な事業への公費補助を取りやめまして、職員の保健・健康回復事業に限定した抜本的な見直しを行いまして、補助制度のスリム化を図り、おおむね六割程度の縮減を図ったところでございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 耕作放棄地対策についてでございます。
 議員御指摘のとおり、耕作放棄地が増加している中で、農地を有効に活用していくことが重要な課題であると認識してございます。このため、県では今年度より五年間継続されました中山間地域等直接支払制度を引き続き実施するとともに、本県独自の施策である遊休農地解消総合対策促進事業において農地の保全管理を行う団体等を支援する事業を新たに設けるなど、施策の充実に努めているところでございます。
 また、新たな担い手の確保対策として昨年度から「農業をやってみよう」に取り組み、就農支援センターを中心にいたしまして、新規就農を目指す方々に技術習得研修などを実施しているところでございます。
 このたびの農地関連三法の改正により、長期間にわたって耕作が放棄されている農地について、市町村長による農地所有者等に対する管理の措置命令といったことが盛り込まれたところでございます。こうした法改正の趣旨をも踏まえまして、今後とも市町村及び農業委員会、農業団体等とより一層連携を密にしながら、地域の実態に即した担い手の育成・確保、それから農地の利用集積などを推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校教育関係五点についてお答えします。
 まず教員の資質向上に関して、指導力に課題のある教員を対象に、本県では平成十三年度から県教育研修センターで特別研修を実施しております。さらに、昨年度から教員の資質に関する審査委員会を設置し、専門家による判定を行っているところです。
 また、お話のありました教員免許の更新制は、一つの有効な手段であると認識しております。今後、更新の基準をどう定めるか、従来の免許制度との整合性をどうするかなど、検討を要する課題があるものと考えております。
 授業の評価に関しては、昨年実施した九校で、教員の約八割が授業内容や指導方法に工夫を凝らしていると回答しているのに反して、生徒からの肯定的な評価は半数に満たないという学校が相当数ありました。生徒による授業アンケートを本年度はすべての県立高校で行うこととしており、これを契機に教員が授業のあり方を見直し、組織的な授業改善の取り組みを進めるよう指導してまいります。
 また、教員に対する評価については、平成十五年度から調査研究をスタートさせ、昨年度、県立学校の校長・教頭に対して、新たな評価制度を試行的に導入したところであり、今年度はこの対象者の範囲を拡大することとしております。
 今後とも、一人一人の努力や実績が適正に評価され、それが指導力や資質の向上につながるよう、多面的に検討を進めてまいります。
 民間出身の校長については、現在採用して三年目を迎えた五名が企業人として培った企画力や組織運営等の手腕を遺憾なく発揮して、教頭の協力もあわせて活力ある学校経営を行っております。
 今後も、民間人の登用を含め、管理職としてふさわしい資質、能力、適性を備えた人物を幅広く任用し、必要な研修についてもその充実に努めてまいります。
 また、教員の平均年齢は、本県におきましても全国の状況と同様に高くなってきておりますので、退職者数や長期的見通しに立った計画的な採用を行い、バランスのとれた年齢構成になるよう努めているところです。
 次に、朝来駅を中心とした上富田町での実践は、地域と学校とが一つになって駅舎の整備とさまざまな活動とを結びつけた事例として高く評価しております。
 私も、ほっとステーションが成立以前の状態と、でき上がってから、二度見させてもらっております。今後もこのような地域で子供を育てる実践がより多く展開されるよう、取り組んでまいります。
 最後に、南紀高校周参見分校については、地域・学校協議会等における地元の要望や意見、これまでの学校の教育活動等を勘案して、十八年度、十九年度の生徒募集を行った上で入学者の状況を見て判断することといたしました。
 昼間定時制は、全県的なバランスに配慮するとともに、さまざまな学習ニーズにこたえることができるよう、田辺市にある南紀高校の本校に設置し、定時制教育の拠点校としてより一層の充実を図ってまいります。
 以上であります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、町田亘君の質問が終了いたしました。

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