平成17年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十七年六月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
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議事日程 第二号
 平成十七年六月二十日(月曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三十五号から議案第百九十二号まで、並びに報第八号から報第十三号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百三十五号から議案第百九十二号まで、並びに報第八号から報第十三号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       前   川   勝   久
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       山   下   大   輔
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
〔備考〕
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         土   井   陽   義
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主査      湯   葉       努
     議事課主査      楠   見   直   博
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百三十五号から議案第百九十二号まで、並びに知事専決処分報告報第八号から報第十三号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 八番町田 亘君。
  〔町田 亘君、登壇〕(拍手)
○町田 亘君 おはようございます。
 本当に久しぶりで立たしていただきまして、通告に従って質問さしていただきます。
 まず最初に、国の三位一体改革についてお尋ねいたします。
 昨年十一月、政府・与党が合意した三位一体改革の全体像は、義務教育費や生活保護の取り扱い、学校などの建設国債対象の施設整備に係る国庫補助金の廃止、税源移譲といった重要な課題が先送りされるなど、真の地方分権改革を推進するものとはなっていません。さきの合意では財政力の弱い地域への財政面での対応をどうするのか明らかでないために、今後三位一体改革の進展に伴って国から地方への権限が移譲され、地方の自由度・裁量権が拡大していったとしても、将来にわたる十分な財政の裏打ちがない状態では地域の実情に合った事業が実施できず、本来の目的たる住民サービスの向上を図れないことにもなりかねません。特に本県のように税源が乏しく、財政力の弱い地域が将来にわたって安心して財政運営が進められるような対策がぜひとも講じられるべきであると思いますが、知事の所見をお尋ねいたします。
 次に、県立医科大学の地方独立行政法人化についてお尋ねいたします。
 県立医科大学は、県内随一の医療系大学として、地域で活躍する多くの医師や看護師など医療従事者を育成するとともに、県医療の中核として高度で特殊な医療サービスを提供し、県内公的医療機関へ医師を供給するなど、本県にとってまことに重要な役割を担っております。このように重要な役割を果たしている県立医科大学を、県とは別の法人とする目的は何か。また、法人化することで県民や地域にとって何がよくなるのでしょうか。
 また、平成十五年十二月に出された「和歌山県立医科大学のあるべき姿のために」と題する提言では、県立医科大学が地域医療における教育・研究の拠点として大学が保有する知識やノウハウを地域に還元することで県民の健康づくりや産業振興などに貢献すべきであり、本県の地域特性や県民ニーズを踏まえて目標を定め、その達成に向けて県立医科大学の機能を最大限に発揮しなければならないとも述べておられます。
 法人化されることでこうした産学官連携も一層進むものと期待されますが、県立医科大学における産学官連携と目指すべき法人像についてどのようにお考えでしょうか。あわせて知事にお尋ねいたします。
 次に、指定管理者制度についてお尋ねいたします。
 私の住む上富田町に、福祉事業団本部や南紀養護学校、牟婁あゆみ園、はまゆう養護学校等、生徒、利用者、職員を含め七百五十人が生活をしています。まさに福祉の町であります。
 余談でありますが、小野知事当時、この福祉施設の誘致に白浜町と上富田町が誘致の陳情合戦を繰り広げました。当時の上富田町長の山本万米氏の「白浜にはすばらしい温泉があるが、我が上富田町には心あふれる泉がある」の一言で、小野知事が上富田に決定したとの話が残っております。
 私は、南紀福祉センターの利用者の方々との交流があり、利用者の方々から、「指定管理者制度が導入されれば事業団から別の法人に移ると聞くが、とても不安である」という相談を受けました。そこで、利用者の皆さんが相談して、他府県の施設の利用者たちはこの制度をどのように受けとめているのか、どのように考えているのか勉強しようと、ことし二月、不自由な体で鳥取県の身体療護施設友愛寮に行ってきたそうです。
 紀伊田辺駅より車いすで特急オーシャンアロー号に乗ったところ、車内の座席は左内側の縦二列を外していたが、一番困ったことは、車内販売が来るたびに車いすとの間が狭く通れないため、そのたびにデッキに何度も避けなければならず、気の休まる暇がなかったと言っておられます。また、大阪からの特急「はくと」に乗りかえましたが、これも同じく何度も何度もデッキに行ったと嘆いていました。しかし、友愛寮に着き、いろいろの話の中で、鳥取県知事は福祉施設を指定管理者制度の対象から外し公募しないと発表され、友愛寮の利用者の皆さんは大変安心されていたそうです。
 そこで本年四月六日、福祉センター利用者の役員と私も一緒に福祉保健部長や障害福祉課長に面会し、現状を訴え、現場の声を聞いていただきました。そして、知事あての要望書を部長に手渡しました。
 平成十五年六月の地方自治法の一部改正により、公の施設の管理委託に指定管理者制度が導入され、「民間にできることは民間で」という流れが本格化し、施設の管理においても民間業者の有するノウハウを取り入れ、施設のサービスの向上、コスト削減を図るべきである、まさにそのとおりであります。
 しかし、図書館や体育館、会館等、不特定多数の方々が利用する施設と異なり、現在福祉事業団に委託している南紀福祉センターには利用者が二十四時間、三百六十五日、常時そこで生活をしており、利用者に対する支援内容は一人一人異なり、AさんにはAさんに合った支援が、BさんにはBさんに合った、Aさんと違う支援が必要であります。そして、その対応を少しでも間違えれば、利用者はパニックを起こしたり、利用者の心や体に悪影響を与えてしまうのです。
 そこで、福祉事業団に管理委託している南紀福祉センター等の障害施設の指定管理者は、高い専門的知識と豊富な経験を有する職員を多数配置することができ、かつ利用者や保護者が信頼する法人でなければならないと考えます。
 運営主体の選択は、これまでの施設の運営に対する十分な検証と利用者の合意の上で決めるべきであると思いますが、知事のお考えをお聞かせ願います。
 また、現時点において、障害者施設等の指定管理者の募集方法、どのような検討をされているのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 それに関連して、福祉事業団に委託している障害者施設以外にも、現在直営で運営している有功ケ丘学園に指定管理者制度を導入し、民間委託を考えているようだが、その導入方法についてお聞かせください。つまり、コスト削減だけをもって指定管理者制度を導入するのではなく、南紀福祉センターと同じように、利用者や保護者が信頼する法人でなければならないと思いますが、福祉保健部長の考えをお聞かせ願います。
 「きょう一日を楽しみたければ花を生けよ。一年先を楽しみたければ花を植えよ。三十年先を楽しみたければ木を植えよ。百年先を思うならば人を育てよ」──教育とは教え育てることであり、今の教育は教えることがあっても育てることに欠けているのではないだろうか。それが最近の教育の荒廃となって、さまざまな問題を生み出しているのではないだろうか。
 子供は、よく育ちます。生命がそうさせるのです。我々大人にできることは、子供の能力が育つ環境を準備してあげることではないだろうか。
 ある教育学者は、「人間にいい頭や悪い頭はない。生まれたときはだれでも真っ白で、豊かな生命を内に秘めている。環境によっていい頭になったり悪い頭になったりするのだ」と言います。言いかえれば、育て方一つだと言います。
 エール大学の教授が、オオカミに育てられた二歳と七歳ぐらいの子供を観察した記録があるそうです。その二人の子供が人間に育てられるようになってからも両手両足を使って歩き、夜になると遠ぼえをしたそうです。オオカミに育てられればオオカミの習性を身につける能力が育ったそうですから、その子供たちはすばらしい生命を備えていたと言えます。
 生まれながらの天才は、いないはずであります。バッハもモーツァルトも、石器時代に生まれていたなら石器人でしかなかったはずであります。二人とも恵まれた環境に育ったからこそ、偉大な音楽家になれたと言えるのではないでしょうか。
 本論に入ります。
 まず、教員の資質向上について教育長にお尋ねします。
 その中で、先生の指導力不足教員認定制度はどのようなものか、お教え願います。
 全国で昨年四百八十一人が指導力不足と認定されたとありますが、我が和歌山県ではこの制度を実施されたのか、またどのような方法でされたのか、その結果についてもお教え願いたい。
 次に、先生の評価について。
 昨年度、授業の改善に役立てるためにと、生徒による授業評価のアンケートを県内九校で試験的に実施され、本年よりすべての学校に拡大すると教育長がコメントされています。
 そこで、教育長は「生徒による評価と教員による自己評価には大きな開きがある」と述べておられますが、具体的に説明を願いたいと思います。また、その結果をどのように生かしていくのかもお教えください。
 給料は年功序列であり、一生懸命頑張ろうがなかろうが、採用された年次が同じであれば同じで、優秀で努力されている先生には反映されていないのではないでしょうか。一般企業では本人の努力や実績によって評価され、先般も納税者番付日本一が一サラリーマンでありました。努力した先生が報われる方法がないものだろうか。また、自動車免許のように更新制を採用し、不適格な先生には免許を更新しないようにすると政府内でも検討されているが、教育長、感想があればお聞かせ願います。
 次に、民間から採用の管理職特別選考の校長についてお尋ねいたします。
 教員の集団は鍋ぶた型、文鎮型集団であると言われ、教師間においても、経験年数や年齢を問わず、同一仲間ととらえているように思われます。対照的に、ピラミッド型の企業とは大きく異なります。
 企業は上司の命令一つで経営方針が決まるので時代の流れに合ったスピード改革がなされるが、教職員の社会には通用しないのが現状ではないだろうか。また、職員会議についても、法的な位置づけがなされ、最高の決定機関であるという長年の慣習があり、校長の独断で何も決めにくい状態にあるのではないだろうか。
 そこで、教員集団という独特な環境の中で民間校長として急に着任しても、ギャップが大き過ぎて長年の教師集団に流され、優秀な民間校長が配置されても、その企業で養われた力量が発揮されにくいのではないだろうか。数年前、広島県で民間校長が自殺した例もあります。
 私は、民間校長を今後も導入するならば、十分な研修期間が必要であり、人間関係を構築した後に校長になるべきだと思います。また、民間校長と教頭のコンビネーションが最優先で、校長をしっかり支えられる力量のある教頭の配置、また学校経営についても、悩み等、常に教育委員会等がサポートしてあげるべきだと思います。
 ただ、うれしかったのは、東京都出身で民間会社の役員だった有田中央高校の校長、瑠東東治先生にお会いすることができました。少しの時間でありましたが、学校経営について、また子供たちへの教育、先生への思いやり等、自信を持ってお話を聞かせていただきました。
 今後も民間校長を採用する考えがあるのか、また民間校長に期待することは何があるのか、教育長の考えをお聞かせ願います。
 次に、教員の高齢化についてお尋ねします。
 業績が上がらない企業が歯を食いしばって新規採用を続けているのは、若年不足による組織の動脈硬化を防ぐためでもあります。若年の情熱とベテランの経験、この二つはどんな社会にあっても必要であります。若年だけでは暴走の危険があり、ベテランだけでは活力が失われ、特に中高年ばかりでは惰性に流され、時代の変化に鈍感になります。
 文部科学省の調査によると、全国では一九八〇年当時、小学校の教員は三十歳未満が全体の約三〇%あったが、二〇〇一年では三十歳未満が約八%に、中学校でも、二三・五%であったのが一〇%に減少しています。平均年齢も高齢化しています。少子化による先生の採用数が減ったためでもあります。
 そこで、我が県の現状についてお教え願います。
 また、和歌山国体時に採用された先生が多くいますが、近い将来多数の退職時期を迎えることになるが、今後どのような人員構成の適正化を図っていかれるのか、お教え願いたいと思います。
 それと、教育は学校だけのものではなくて、家庭だけのものでもありません。地域が一つになって取り組まなければなりません。
 私の住むJR朝来駅が無人化になってから十八年ほどになります。無人化以降、駅周辺や駅構内は未成年者がたばこを吸ったり落書き、またトイレの扉は破れ、放置自転車等々、問題行動の温床になっていました。迷惑したのは、トイレを借りに来る駅前商店街や民家の方々でした。
 そこで、私の友人、青少年育成会議会長・上羽君たちが立ち上がり、熊野高校、町、教育委員会等で駅舎をJRより無償で譲り受け、「くちくまの まちのほっとステーション」としてことし二月にオープンさせました。駅舎を改良して、作品の展示、図書コーナー、囲碁、将棋等サークル活動の場として、また、ボランティアの皆さんが毎日交代で常駐し、地域の交流の拠点としても活用しています。
 子供たちの日常も本当に変わってきました。JRの駅は県内に七十あるそうですが、朝来駅のように駅舎を生かしているのは四駅だそうです。すばらしい取り組みではありませんか。教育長、御感想があればお聞かせ願います。
 次に高等学校再編整備計画についてですが、昨年の八月に発表後、該当地域や学校関係者などからさまざまな意見が出され、県教育委員会はこれらを受ける形で、この五月に最終計画案を策定されました。この計画の中で、南紀高等学校本校に昼間定時制が設置されることは、かねてからの地域の願いでもあり、それが認められたことは一定の評価をするところであります。
 しかし、現在、夜間定時制である周参見分校についても、地元のすさみ町を中心として、昼間定時制への移行を強く要望しています。今後の紀南地方における定時制教育の充実という意味からも、周参見分校の昼間定時制移行について再度考え直す余地がないのか、教育長にお尋ねします。
 教育の最後として、一つ要望を申し上げたいと思います。
 私の友人で白浜町内の柔道連盟の皆さんが、全日本柔道強化合宿をぜひ白浜町へ誘致したいと運動を始めました。誘致するにはお金がかかるので、私は教育委員会によい方法はないかと相談したところ、県では財政的な支援は難しい、他府県では市町村で負担して誘致しているとのことでありました。友人たちは募金活動を始め、また白浜町は予算の計上と畳四百枚を購入しました。
 六月七日、世界選手権代表及び海外派遣候補、総勢七十名が白浜空港におり立ちました。その中に、谷亮子選手を初め金メダリスト四名、またコーチ陣は金メダリストの古賀選手など、ほとんどメダリストばかりでした。私も白浜町長や多くの関係者の皆さんと夜の歓迎会にも出席し、あいさつもさせていただきました。この一週間、私は毎日、白浜総合体育館に仲間と練習を見に行きました。
 私は柔道について技術的にはわかりませんが、しかし、ボランティアで子供たちを指導している先生方にとっては、「このような練習方法は初めてだ。とてもよい勉強になった」と感激しておられました。
 六日間の練習を終えて、先日十二日、白浜空港から帰りましたが、そこで残念だったのは、学校からの参加が少なかったことです。世界の金メダリストで、テレビでしか見たことのない選手たちが真剣に練習している姿を、教育の場、学外研修としてでも取り入れられなかったのか。これぞ生きた手本ではなかっただろうか。せめて近隣の学校に積極的に呼びかけることができなかったのだろうか。今後もこのような場合、前向きな検討をぜひ願いたいと思います。
 次に、和歌山県職員互助会への補助金削減についてお尋ねします。
 去る三月三十日に知事は、成立したばかりの平成十七年度和歌山県職員互助会に対する補助金を、公務員への厚遇問題が全国各地で大きくなる中、さらに前向きに対処するためとして大幅に減額される方針を発表され、今議会にその補助金の減額補正を上程されております。
 地方公共団体にあっても、事業主としての自治体は、職員に対し応分の福利厚生を実施しなければならないことは承知しております。地方公務員法には、「職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを実施しなければならない」と規定されております。この規定の趣旨は、健康管理と、職員が職務によって蓄積した疲労・ストレスを解消し、あしたの活力を養うことが元気回復、いわゆるレクリエーションであると理解しております。
 しかしながら、昨年の秋から、大阪市における過剰な福利厚生制度や、民間企業では考えられないようなお手盛りによる公金の使用が、連日のように新聞紙上やテレビ等で大きく取り上げられてまいりました。職員互助会へは職員の掛金の二、三倍の公費を補助したり、生命共済掛金を公費で全額負担したり、制服と称してスーツを係長以下の職員に二、三年に一回新調したり、空残業があったりと、余りにも目に余る職員厚遇の数々には、驚きとともにあきれかえるばかりであります。
 話は少しそれますが、二〇〇四年のノーベル平和賞を受賞されたケニアの副環境相ワンガリ・マータイさんがさきに来日されたときにしばしば口にされた日本語は「もったいない」であったそうです。京都議定書の発効記念行事で来日され、各地で講演をされたようであります。
 彼女が口にした「もったいない」は、限りある資源を大切に利用する一人一人の心を意味するとして、地球環境の大切さを訴えるのにこれ以上適切な言葉はないと、一言ですべてを言い尽くすこの言葉にいたく心を動かされたそうであります。この「もったいない」を小泉総理は、食糧不足の時代に「つくった人の身になって大事に食べなさい」と親が子に諭した言葉と説明されたそうであります。
 しかし、私はこの言葉は、何も食べ物だけに限って使う言葉ではないと思います。我々の身の回りには、知らず知らずのうちにたくさんの「もったいない」をつくってしまったのではないだろうか。今日の互助会問題の本質な部分、県民が納めた税金が職員の福利厚生事業に使われている、それも県民感覚からすると厚遇と思われるような使われ方をしているのではないか。この思いから、互助会事業への公費の支出について、県民は少なからず不信感を持ったのではないかと私は感じるわけであります。
 県は、今回改めて、税金は大変貴重なもので、このマータイさんの「もったいない」感覚でもって見直しを進めてくれたものと思いますが、いかがでしょうか。このように多くの批判を受けた職員の福利厚生制度、職員互助会を今回の補正予算で県はどのようなものに変えようとしているのか、総務部長の見解をお尋ねいたします。
 最後に、耕作放棄地対策について。
 先日、友人から「日置川町に全体で六反五畝の田があったが、足腰がいうことをきかないのでつくることができなくなった。ほうっておくと近所の人から文句を言われ、町田さん、何とかしてくれないか」と相談を受けました。行ってみると、六反五畝だそうですが、二十三枚に分かれており、田の境界がわからないほど雑草が生えていました。
 農地法は農地所有者に耕作を義務づけていますが、現実には、農家の働き手の高齢化や田畑を相続した後継者が都市への移住などで耕作をやめるケースが続出しております。雑草が生えたり、ごみが不法投棄されたり、放棄地は近隣農家にとって迷惑な存在であります。農業団体などが所有者に管理を促しても、従わないというよりは従えないことが多く、農村では大きな問題になりつつあります。
 私の地元西牟婁地方でも、特に中山間においては過疎化による不在村の農地所有者の増加と農業従事者の高齢化、また地域に農地を借りて農業をやろうという後継者は不足しているために、つくり手のない耕作放棄地が目立っています。
 全国で耕作放棄は全農地の七%に当たり、三十四万ヘクタールに達していると言われています。これ以上増加すれば、農業の急激な衰退を招くことは目に見えています。このことは、耕地の少ない我が県にあって、食料の安定供給の面からも、地域経済や環境保全の上からも大きな問題であります。県においても農地の有効利用対策に取り組まれていますが、まだまだその効果が十分でないと思われます。
 そこで、今後、耕作放棄地の積極的な活用対策の強化が特に必要であると考えますが、どのような取り組みをされるのか、農林水産部長にお尋ねいたします。
 御清聴、ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの町田亘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革についての御質問でございますが、昨年あれだけ大騒ぎをして、またことしも三位一体の改革をどのようにしていくかというふうな時期が来たわけでございます。
 昨年の成果については、一応税源の移譲はなされたとはいうものの、いろいろな関与はそのまま残ったというふうなことで、実は余り地方分権に役に立っていないのではないかという意見もありまして、和歌山県では、やはり余り空中戦ばっかりしていても仕方がないということで、本当に去年やったことがどういうふうに地方のためになっているのか、またならないのかということを、先般、検証しようということで一応の発表をしたところでございます。
 その中で、やはり相変わらず国の関与というふうなものは残されていると。これについては、交付金化とかいろいろな美名のもとでやられているけども、実は国の方が地方にいろいろ口出しをする仕組みは変わってないというようなことがあって、こういうふうなことは引き続きやっぱり変えていかないといかんということが明らかになったと。
 それからもう一点は、三位一体の改革、税源移譲というふうに言われているんだけども、やはり和歌山県とか県内の市町村とか、財政力の弱いところには必ずしも好ましい結果にはなっていない。非常に財政運営の上で不安を持たせるような形になっている。そういうふうなことの中で、例えば税源移譲ということについて言えば、都市とかそういうところに非常に税源が偏っている法人関係税はもう国の方へ渡して、そのかわりに税源が全国に満遍なくある消費税というふうなものは全部地方税源にするとか、こういうふうなやっぱり抜本的な改革を考えなければ、なかなか日本の国がどこも、都市も地方もうまく発展していくような形にはならないのではないかということも申しましたし、それからまた地方交付税についても、減らせばいいというふうなものじゃなくて、やはりこれだけ日本の国にいろんな団体がある中で、これが皆うまくやっていくためには、この地方交付税というふうなものが、それは確かに改革も必要なんだけれども、これを守っていかなければならないと。そういうときに、短期的に毎年計算してこういうふうな額が変わっていくというような形になると非常に不安定になってくるんで、やはり中期的にこれぐらいの財源はちゃんと地方へ来ますよというふうな安心を持てるような仕組みにしていかなければ、なかなか三位一体の改革といっても本当のものにはならないのではないかというふうなことを言ったわけです。
 きのうも中教審の委員会が開かれたみたいですが、教育の問題、義務教育の教員の給料の国庫負担の話がえらく中心になっていますけども、いずれにせよ、大きな話の中で、この三位一体ということが本当に地方公共団体の自立ということにつながっていくようになるような実のある議論をしていきたいと、このように思っております。
 それから医大の法人化ですけども、実は独立行政法人になって何が変わるのかというふうなこと、わかったようでわからないというのが、これ、実際のところです。それから、国立大学についても独立行政法人化になっているわけですが、そう大きく変化というふうなものが見えてきていないという実情はあるわけですが、しかしながら独立行政法人化して、例えば予算であるとか組織の制約というふうなものを緩和していくとか、そしてまた、今、手続がいろいろ煩雑化しているようなことについて簡素化していくというふうな大きな流れはありますので、今回、和歌山県立医大についても独立行政法人化をしていこうというふうな方向の動きになっているわけでございます。
 ただ、仕組みは変えたから、そうしたら本当に中身まで変わってくるのかというと、これはそういうふうなものではありませんので、やはりこのことをきっかけに、この独立行政法人化ということを踏まえて、県立医大がより活性化して県民のためになる大学というふうなものになるように県の方もいろいろな形で関与していかなければならないと思っておりますし、それからもう一つは、やはり県立医大にはたくさんの税金が投入されているわけでございます。そして、これはこれからも変わることでないわけでございますから、やはり県の中核病院、そしてまた医師、看護師の供給元、そういうふうなこと、そしてまた高度医療の中心というふうなことで、県の医療の中で担う位置は非常に大きいものですから、県としても応分の関与ということをしていかなければならないというふうに思っております。
 そしてまた、これからはやはり産学官の連携ということが非常に大事な時代になってきます。今も医大を含めていろいろな産学官連携の事業が行われていますけども、独立行政法人化になることによってこういう傾向をもっと強めていくというふうなことが私は大事だろうと思います。独立行政法人化は、当然のことながら医大の方にも相当大きな責任をもたらすものだというふうな認識のもとに、いろいろなことを進めていく必要があるのではないかというふうに思っております。
 最後に、障害者の方を支援する施設についての指定管理者の制度の導入のあり方ということでございますけれども、指定管理者制度につきましては、公の施設については指定管理者制度を導入するということが決まっているわけですけども、これはすべて同じように、どんな性格の公の施設も皆同じというふうなわけにはいかないということは、議員の御質問のとおりだと私は思っております。やはり地域性もありますし、そしてまた、障害者の方のための施設というふうなものについては、そこに入っている人の安心と信頼が一番大事だというふうに考えておりますので、そういうことに沿った運営ができるような配慮というものを考えていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、障害者施設の指定管理者の募集方法についてお答えを申し上げます。
 障害者施設は、利用者の特性、社会福祉施設としての特性がございます。利用者に対するサービス水準の確保、サービス提供のノウハウ、物的・人的能力、利用者、保護者などの意見などの条件を満たす特定の社会福祉法人でないと施設設置の目的達成や適正な運営確保ができないと判断してございまして、非公募も含め、外部の有識者委員も加わった選定委員会を設置し、その御意見もいただいて指定先を選定したいと考えております。
 次に、有功ケ丘学園への指定管理者制度の導入についてでございます。
 昨年来、有功ケ丘学園保護者会と協議を重ねてきたところでございまして、その導入方法につきましては、基本的にはさきにお答えした障害者施設と同じ考え方となりますが、加えて、発達期にある児童に対する療育支援は非常に重要であることから、同種施設の運営実績を有する社会福祉法人が適切であると考えてございまして、選定委員会の御意見もいただきながら指定先を選定してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 和歌山県職員互助会への補助金の削減についての御質問がございました。
 議員御指摘のとおり、地方公務員法第四十二条に地方公共団体は職員の福利厚生事業を実施しなければならないと規定されておりまして、その福利厚生事業の一部を職員互助会が職員の掛金と県からの補助金により事業を実施してきたところでございます。
 この職員互助会に対する補助対象などにつきましては、従来からも適宜見直しを行ってまいりましたが、今回、今の社会情勢に見合ったものになっているのか、あるいは議員が指摘されました「もったいない」といった視点も加えましてさらに精査をしました結果、医療費を初めとする個人給付的な事業への公費補助を取りやめまして、職員の保健・健康回復事業に限定した抜本的な見直しを行いまして、補助制度のスリム化を図り、おおむね六割程度の縮減を図ったところでございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 耕作放棄地対策についてでございます。
 議員御指摘のとおり、耕作放棄地が増加している中で、農地を有効に活用していくことが重要な課題であると認識してございます。このため、県では今年度より五年間継続されました中山間地域等直接支払制度を引き続き実施するとともに、本県独自の施策である遊休農地解消総合対策促進事業において農地の保全管理を行う団体等を支援する事業を新たに設けるなど、施策の充実に努めているところでございます。
 また、新たな担い手の確保対策として昨年度から「農業をやってみよう」に取り組み、就農支援センターを中心にいたしまして、新規就農を目指す方々に技術習得研修などを実施しているところでございます。
 このたびの農地関連三法の改正により、長期間にわたって耕作が放棄されている農地について、市町村長による農地所有者等に対する管理の措置命令といったことが盛り込まれたところでございます。こうした法改正の趣旨をも踏まえまして、今後とも市町村及び農業委員会、農業団体等とより一層連携を密にしながら、地域の実態に即した担い手の育成・確保、それから農地の利用集積などを推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校教育関係五点についてお答えします。
 まず教員の資質向上に関して、指導力に課題のある教員を対象に、本県では平成十三年度から県教育研修センターで特別研修を実施しております。さらに、昨年度から教員の資質に関する審査委員会を設置し、専門家による判定を行っているところです。
 また、お話のありました教員免許の更新制は、一つの有効な手段であると認識しております。今後、更新の基準をどう定めるか、従来の免許制度との整合性をどうするかなど、検討を要する課題があるものと考えております。
 授業の評価に関しては、昨年実施した九校で、教員の約八割が授業内容や指導方法に工夫を凝らしていると回答しているのに反して、生徒からの肯定的な評価は半数に満たないという学校が相当数ありました。生徒による授業アンケートを本年度はすべての県立高校で行うこととしており、これを契機に教員が授業のあり方を見直し、組織的な授業改善の取り組みを進めるよう指導してまいります。
 また、教員に対する評価については、平成十五年度から調査研究をスタートさせ、昨年度、県立学校の校長・教頭に対して、新たな評価制度を試行的に導入したところであり、今年度はこの対象者の範囲を拡大することとしております。
 今後とも、一人一人の努力や実績が適正に評価され、それが指導力や資質の向上につながるよう、多面的に検討を進めてまいります。
 民間出身の校長については、現在採用して三年目を迎えた五名が企業人として培った企画力や組織運営等の手腕を遺憾なく発揮して、教頭の協力もあわせて活力ある学校経営を行っております。
 今後も、民間人の登用を含め、管理職としてふさわしい資質、能力、適性を備えた人物を幅広く任用し、必要な研修についてもその充実に努めてまいります。
 また、教員の平均年齢は、本県におきましても全国の状況と同様に高くなってきておりますので、退職者数や長期的見通しに立った計画的な採用を行い、バランスのとれた年齢構成になるよう努めているところです。
 次に、朝来駅を中心とした上富田町での実践は、地域と学校とが一つになって駅舎の整備とさまざまな活動とを結びつけた事例として高く評価しております。
 私も、ほっとステーションが成立以前の状態と、でき上がってから、二度見させてもらっております。今後もこのような地域で子供を育てる実践がより多く展開されるよう、取り組んでまいります。
 最後に、南紀高校周参見分校については、地域・学校協議会等における地元の要望や意見、これまでの学校の教育活動等を勘案して、十八年度、十九年度の生徒募集を行った上で入学者の状況を見て判断することといたしました。
 昼間定時制は、全県的なバランスに配慮するとともに、さまざまな学習ニーズにこたえることができるよう、田辺市にある南紀高校の本校に設置し、定時制教育の拠点校としてより一層の充実を図ってまいります。
 以上であります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、町田亘君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 質問について、第一点目の政府の食料・農業・農村基本計画と和歌山県農業政策の方向について御質問したいと思います。
 ことし平成十七年三月に閣議決定された今回の食料・農業・農村基本計画の特徴は、食の安全と食糧自給率向上と将来への食糧安全保障を展望した中で日本の農業・農村をどうするのか、具体的には品目横断的政策への移行、つまり個々の品目別から担い手の経営全体に着目した直接支払い制度の導入、担い手育成と農地制度の改革、環境保全と資源保全政策という日本の農政改革の主な三課題を提起されています。
 和歌山県の農業・農村の現状から今後の方向を展望して新基本計画をどうとらえるのか、知事の所見をお伺いしたいと思います。
 次に私は、新基本計画の三つの課題のうち二つに絞って、和歌山県農業・農村の実情から見て、これを県としてどう受けとめ、どう対応していくのか、お尋ねしたいと思います。
 まず、本題に入る前に、和歌山県の農家の現状をまず理解してみたい。和歌山県の販売農家数のうち、専業農家三五%、農業を主とする兼業農家一七%、兼業が主な農家四八%、農業産出額は果樹五八%、野菜一五%、一戸当たりの耕地面積は一町以下は六六%を占めている中山間農業であることを踏まえて、第一点は新基本計画の提起する担い手育成と農地制度の改革についてお尋ねします。
 農用地利用改善事業をより拡大して地域での集落営農の組織化、法人化を図り、担い手に対し農地を面的なまとまりのある形で利用集積する、また、小規模農家や兼業農家の土地を担い手へ貸し付けたり、集落の営農組織へ吸収していく方向が打ち出されています。この方向は、和歌山県の農業は、ほとんどが先ほど述べた中山間営農であり、一農家当たりの耕地面積は一町以下が六六%を占める実情から見るなら、基本的にこの考え方は本県農業になじまないと考えるが、どうでしょうか。
 国の考え方に対し、県としても作物品目による適正規模を明確にし、例えば梅を考えれば、家族での営農はせいぜい一町から二町が限度です。地域の営農の特性をまとめ上げ、国に提言していく必要があると考えるが、どうでしょうか。
 また、国の担い手育成という考え方は、大規模化と安定農業、つまり農業で生活できる年収を得るための方向を打ち出していますが、農業人口の減少と高齢化、耕作放棄農地を含め、小規模兼業農家であっても就農人口をふやし、担い手を育成していく方向をむしろ示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、新基本計画は農地の効率的利用のための新規参入の促進ということで、農業生産法人以外の株式会社等の法人についてもリース方式による農業への参入を可能とするため、今までの特区制を打ち払って全国的に展開するとあります。
 私は農業に参画することに問題があると思いませんし、大いに賛成ですが、第一点の担い手育成という名のもとに小規模農家、兼業農家が吸収されていかないか。この株式会社参入も、どこでどのようにして認めながら地域営農とうまく融合していくための方向を見出すのか。小規模農家が吸収されていかないか、どこで歯どめをかけられるのか、どうでしょうか。農林水産部長にお伺いします。
 次に、経営安定対策での品目横断政策と品目別政策の見直しについてですが、今までは品目別に講じられていた経営安定対策を見直し、新基本計画は麦、大豆等について品目別でなく集落営農組織、専業的農業経営者に直接支払いを導入して経営安定を図っていく方針を示し、小規模農家、兼業農家は営農組織に入って実質は吸収されていかないと、その保障の対象にならない方向が示されました。
 県農業は果樹、野菜が中心で品目別政策の対象ですが、これを見直すとあります。どう見直されるのでしょうか。ミカン、梅、カキ、桃、野菜等の経営安定のための具体的方針が示されていない中、県として国に対し経営安定のための対応方針を持ち得ているのか、農林水産部長の見解をお聞きしたい。
 次に、新基本計画を踏まえて、県として農業・農村振興計画の策定を提案したいと思います。
 振興計画を作成していく上で、私は現場の農業経営や実情を踏まえ、次の点を考慮しながら農業振興計画の策定に考慮されたいということで問題提起したいと思います。
 一つは、県農業経営は単作経営が主力を占めています。もし災害や病害虫や他の要因で被害を受けると、たちまち経営が破綻してしまう状況にあります。今後の農業経営として、複合的営農や地域複合経営への考え方に立って労働力の分散と土地生産の向上をしていく、つまり年間にばらつかせた営農経営を安定させていくことが大切ではないでしょうか。ミカンだけ、梅だけとか、そういう部分だけでなくて、複合的営農が農家の経営を保障していくのではないかということを日ごろから感じていますが、そのこと。
 二つ目は、新基本計画に示されている優良農地づくりをする上での、農産物を栽培する上での優良農地をつくる考え方。今までの、山を切り、腐葉土のよい土を谷に埋めてしまい、がらんがらんの農地をつくり、水ためも防風林もなく、宅地造成と同じ手法での農地づくりからの転換が必要です。よい土を確保し、水ためをつくり、自然林を残し、防風・防霜・防潮林をつくる農地づくりへの転換を目指すべきではないか。
 三つ目は、農業は土づくりからの原点に戻り、化学肥料から有機肥料への計画的移行を意識的に進めることが大切です。土と水、そして海への流れという、私たちは、環境保全を意識した農業経営を行政がきちんと押さえた活動が求められています。県下をブロック別にして、県内で発生する有機性資源を一〇〇%回収、有機堆肥にして、農家、市町村、民間経営者と協力してプロジェクトを組み、推し進める具体的方針を持つ必要があるのではないか。
 最後に、女性の農業参画は年々増加しています。女性の農業で働く環境づくりは、農政の柱になっていません。例えば農地づくりの中にトイレの設置すら組み入れられていない状況、真剣に対応すべきであります。こういったことを私は提起しながら、政府の新基本計画を踏まえて、県としての農業・農村振興計画の策定を求めますが、農林水産部長の見解をお尋ねいたします。
 次に、商標法改正に伴い、地域ブランド品をどう保護育成していくのか。
 県内の地域ブランド商標の現状と、今後、地域のブランドを育成していくためにどう取り組まれていくのでしょうか。ミカン、梅、トマト、野菜、水産物、ユズ、ジャバラ、加工品等、地域おこし、特産品づくりで、県下では数多くの特色ある地場産品、地域ブランド化に積極的に取り組まれている状況の中で、地域ブランド商標として育成していく必要があると考えます。今回、商標法改正に伴い、地域ブランドとして登録することが一定緩和されたこともあって、地名プラス商品名の育成と確立が急がれます。
 そこで、県として、商標法改正に伴う県内の地域ブランド商品をどう保護育成していくのか、既に商標登録されている実情を把握されているのか、農林水産部長にお伺いいたします。
 次に、三点目ですけど、木質系バイオマスの利用と普及についてです。
 日本は、京都議定書によって二〇〇八年から二〇一二年で温室効果ガスを一九九〇年の排出量から六%削減することを約束しました。しかも、六%の三分の二を森林吸収量三・九%に頼らなければなりません。
 和歌山県は全国のリーダーとして、緑の雇用事業、企業の森づくり、国産木材の利用の促進等、国に対しても県の事業として大きな役割を果たしています。
 私は今回は、木質バイオマスの、とりわけ公共施設や一般家庭に普及できるペレットストーブやチップボイラーについて問題提起したいと考えます。これは、地球温暖化防止対策に市民がみずから実践を通して協力していく運動でもあります。
 もう一つは、人工林で発生する森林バイオマスや果樹王国和歌山であるミカン・梅・カキ・桃の剪定枝を地域のエネルギー資源として位置づけ、各公共施設や家庭用の熱エネルギーとして利用・普及することを和歌山県の緑の雇用のもう一つの運動の柱としていくことを提案したいと考えます。
 例えば、龍神のチップボイラーの経験を少し事例に挙げますと、田辺市龍神村の季楽里龍神に関して十六年度の決算を見ますと、チップを森林組合から仕入れるのが四百二十万円。それに対して、例えば百七十四キロリットルを消費しているんですが、ところが、もしこれを灯油代に換算しますと、以前はリッター五十円で八百七十万円という決算になっていますが、今回調べますと六十四円に灯油が十四円上がっていますので、そうしますと一千二百万円ということですから、本来の三分の一の四百二十万円で実は運営コストが済んでいるという、今の時代に即したやっぱり状況にあるんではないかと。もちろん初期の投資額は大きいですけれども、これが今の時代、これからの原油高騰の中で非常に役割を果たしているのではないかなというふうに感じました。
 そういう中で、太陽光発電もそうですけど、エネルギー庁が最初普及させるために補助をして、ずうっと広がって、ことしからですか、補助金がもうゼロになっていくという形でやります。京セラなんか、それを普及させるために補助額を会社で見ようという形で出されましたけど、やっぱりこのチップボイラーなりペレットストーブを普及させるためには一定の県なり市町村の協力体制の中でモデル地区をつくってやっていくと必ず私は普及していくというふうに思うんですが、中山間地域における公共施設や家庭用熱需要に対して、いわゆる森林バイオマス、果樹剪定枝が化石燃料の代替として考える時代ですし、和歌山県として自然に恵まれた、いわゆる世界遺産指定県として県民のライフスタイルとして普及させていくことが和歌山県の大きなイメージアップにつながると考えますが、知事の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、木質バイオマス、とりわけペレットストーブとチップボイラー等を利用・普及されていく上での課題や問題点はどこにあるのでしょうか、またどうすればそれら問題点をクリアできるのか、農林水産部長にお尋ねします。
 最後に、水質保全と浄化槽維持管理について質問します。
 浄化槽の普及による水質保全を県下的に進められている中で、浄化槽法第十一条検査の受検率は、和歌山県は一一・一%と低く、全国平均一六・五%を下回っています。受検率の低い原因はどこにあるのでしょうか。浄化槽設置者への啓発を含めて、改善するための県の指導はどうでしょうか。今度は国においては浄化槽法の改正に伴い罰則規定が設けられたと聞いているが、罰則規定にのみ寄りかかっていては受検率向上はできないのではないか。
 そこで、私は、受検率の低い要因の一つは、七条及び十一条検査の料金設定が高いのではないか。七条検査は一万五千円、十一条検査は毎年八千円の料金設定は、これは知事の認可で県が決定しています。この料金決定について、何を尺度で決めているのでしょうか。私、調べてみますと、全国的に見ても和歌山県は非常に高い料金設定であり、料金の見直しをすべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。私は、料金の見直しによりさらに低くするならば受検率が向上されると思うし、より検査手数料がふえればふえるほど料金設定の手数料を引き下げることになるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 次に、浄化槽の水質検査については、本県は浄化槽法第七条及び第十一条に基づく水質検査を社団法人和歌山県水質保全センターが行っています。水質保全センターに七条及び十一条検査を一括集中する体制に弊害はないのか。一つは、紀北と紀南に分散することで効率性が生まれ、十一条検査への啓発と普及を初め効率性が生まれることによって料金がさらに下げられる体制ができるのではないか。
 私は、こういった意味では、県水質保全センターの組織の見直しや、新たに紀南地方への検査機関の設置を含め、検査機関のあり方について検討することを提起しますが、県土整備部長にその見解をお聞きしたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、農業の新食料・農業・農村基本計画と和歌山県の農業の関係ということでございます。
 この新食料・農業・農村基本計画は、今日の非常に難しい農業の状況というものを反映して、攻めの農政と申しましょうか、米作を中心とした食糧自給率の向上でありますとか、品目横断的な政策を新たにとっていくというふうなことが中心になり、そしてまた、あわせて減ってきている担い手の育成を図っていくというふうなことだろうと思っております。
 食糧自給率の問題でありますとか品目横断的政策については、和歌山県というのはやっぱり果樹とか花卉とかいうふうなのが中心の農業で、そしてまた農地が非常に小さくて限られているというふうな状況があって、この新しい基本計画がそのまま和歌山県にぴったり妥当するものであるというふうには考えておりません。
 ただ、担い手の育成というふうなことは非常に大事でして、やはり和歌山県の一つの大きな柱は第一次産業であると、そしてまたその中心は農業であるというふうにも考えておりますので、何とか新たな担い手を、夢を持てる農業という形で和歌山県に入ってくるなり、そしてまた地元の人も元気を出してやれるような仕組みを考えていきたいと思っております。
 そういう中で、例えばミカンが昨年日本一になったという機会をとらえて大いにブランド化をしていくこととか、そしてまた桃とかカキとか梅とかいうふうなものについて、そのよさというものをさらに徹底的にアピールしていくような仕組み、そして販路を県の方でも考えていくような仕組みというふうなことで和歌山県の農業の振興を図っていきたいというふうに思っておりますし、そしてまた外からの人の導入ということにつきましても、先ほどもありましたように、農業をやってみようプログラムというのをやっておりまして、これでやはり参入してくる人もだんだんとふえてきております。
 こういうことをどんどんやっていって、農業というのはやはりやりがいのある仕事なんだというふうな形の意識というものを和歌山県からだんだん発信していけるようにしていかないと、これはまあ食糧自給率ということにはじかには関係しないかもしれませんけども、やはり先ほどの「もったいない」という話にもあったように、日本全体が「もったいない」というふうな気持ちを持つようになってくれば、やはり地産地消的な発想というふうなものがもっと出てくるだろう。そういう中で、地域の農業というものをやはり育てていかなければならないというふうな意識が国民、県民の間にも出てくることだろうというふうに考えておりますので、こういう面を地域振興という観点とあわせて図っていきたいと思っております。
 それから、木質バイオマスの利用ということですけども、これは実は岩手県でペレットストーブを一生懸命やっていまして、私も見学に、もう何年も前に行きました。和歌山の場合は、はっきり言って暖かいところなので、なかなかペレットストーブが県下一帯に普及するというふうにはいかないと思いますけれども、しかしながら、今お話にありました龍神村の──旧龍神村ですね──国民宿舎のチップボイラー、私も開所式のときに行って見ましたけれども、これがこの原油の高騰の中でそんなに大変ないい成果を上げているというふうなことは今お話を聞いて知ったんですけども、こういうふうな面は非常に大事だと思いますし、こういうふうなデータをあわせて発信することによって県内でこの木質バイオマスを利用できるようなものをもっとふやしていくというふうな努力を進めていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 担い手育成と農地制度の改革についてでございますが、集落営農の組織化・法人化につきましては、稲作など土地利用型農業地域においては有効な施策と考えますが、本県のように平地農業地域が少なく中山間地域が大半を占める立地条件のもとで果樹、野菜、花卉等の集約型農業を主とする地域では、なじみにくいと申しますか、ぴたりと当てはまらないものと考えてございます。
 次に、担い手育成につきましては、効率的かつ安定的な農業経営の育成を図る上で農地の利用集積は重要と考えておりまして、県におきましても、認定農業者制度の推進を通じ、規模拡大を志向する農家の経営改善に資するよう支援を行うなど、担い手の育成に努めているところでございます。
 一方、兼業農家や小規模農家等における農業生産活動は、地域の優良農地を保全し、産地形成や農村機能の維持を図る上において重要な役割を担っているところと認識してございます。
 また、株式会社等の農業参入につきましては、今回の法改正で一部規制の緩和が行われたところでございまして、地域農業における担い手の状況を踏まえながら、市町村と連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、農業安定対策における品目横断的政策と品目別政策の見直しについてでございますが、国は新たな農業安定対策として、稲、麦などの土地利用型営農については品目横断的政策を、果樹、野菜等の集約的な作目については品目別政策を導入する方針を示しているところでございます。
 このような中で、平成十三年度から取り組んでいるミカンの経営安定対策におきまして、需給調整や出荷基準、品質基準の徹底など、一定の効果はございましたが、担い手農家の育成につながりにくいといった課題もあらわれてまいっております。
 こうしたことから、将来を見据えた農家の経営安定を図るためには、生産対策に重点を置いて競争力のある果樹産地の育成に取り組むことが何より重要であると認識しているところでございます。このため、全国みかん生産府県知事会議等を通じまして、産地の実態に即した施策の具体化に向けて、国に対して強く働きかけているところでございます。
 また、県といたしましては、国の制度との連携を図りつつ、高品質果実の低コスト生産を基本としながらオリジナル品種の育成や優良系統への改植、小規模な基盤整備など、産地体制の強化を積極的に推進することにより農家経営の安定に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、振興計画の策定についてでございます。
 議員から問題提起をいただきました農業経営の安定化、優良農地づくり、環境保全型農業を推進する上での土づくり、また女性の視点に立った農作業の環境づくりなど、いずれも重要なことと認識してございます。
 御提起いただいた内容を踏まえながら、生産者の方々を初めとした幅広い意見を伺い、環境と調和し、和歌山の特色を生かした収益性の高い農業を展開できるよう、今後の本県農業の指針を定めてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、商標法改正に伴う地域ブランドの育成についてでございますが、地域ブランドを育成・支援していくことは非常に重要なことと考えてございます。
 御質問ありましたとおり、このたびの商標法改正によりまして、今後ますます地域ブランド化が進むものと考えてございます。本県において既に地域ブランドとして確立しているものも含めまして、首都圏等を中心に展開しているソフトアンテナショップ事業などを通じて市場の拡大を進めるとともに、より一層の品質向上を図りながら全国津々浦々にまで知名度を得るよう、関係部局と連携してまいりたいと考えてございます。
 また、「南高梅」あるいは「まるどりみかん」といった既に商標登録が済んでいるものもございますけれども、これまで登録ができなかったといいますか、難しかった地域産品も含めまして商標登録に積極的に取り組んでいくよう、農協等関係団体に働きかけ、地域ブランドの確立に努めてまいりたいと思ってございます。
 最後に、木質系バイオマスの利用と普及についてでございますけれども、ペレットストーブやチップボイラーなどの普及を図る上で、設置費用や故障時のメンテナンス、それから原料の安定的な供給体制といったことが課題かなというふうに考えてございます。
 これらの課題につきましては、今後さらに先進県における取り組み状況や技術情報などの収集に努めるとともに、各地域での勉強会、産学官の研究会などへも参加するなど、幅広く利用の可能性を検討する中で地域の特性に合った取り組みを推進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 水質保全と浄化槽維持管理についてでございます。
 浄化槽設置者に対しまして、これまでも浄化槽維持管理の重要性の啓発に努めてまいりましたが、今後ともあらゆる機会をとらえ、水質検査等の必要性について啓発を行ってまいります。
 次に、浄化槽法第七条検査、十一条検査の料金が高いとの御指摘でございますが、全国的に見ても比較的高い状況でありますので、そのコスト構造の分析など、料金について検討してまいります。
 また同時に、本県の地理的条件などを踏まえ、より効率的で機動的な検査のあり方について検討してまいります。
 いずれにいたしましても、関係する多くの皆様の御理解、御協力をいただきながら、郷土和歌山の川や海の水質向上に向け、今後とも努力してまいります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 要望ですけども、和歌山県の農業・農村振興計画については和歌山県の特徴ある実態の中での新たな十年後を目指した──国も十年、そして五年を節目にして見直していくというふうに出されておりますが、県もぜひ特徴ある、いわば新基本計画の基本は踏まえながらも和歌山県の特性ある振興計画をぜひ策定していただきたいと、こう思っております。
 それから、木質系バイオマスの利用と普及についてですが、いろいろ難しいとか、私もいろんな先生の講演も聞いたり資料も見せていただいて、実質、全国的にも、もうチップボイラーも、それからペレットストーブも右肩上がりで普及が伸びております。そういう意味では、和歌山県でせっかく知事があれだけ森と緑の雇用という二つの面で非常に脚光を浴びているんですから、実質的な面での環境づくりというか、世界遺産に訪れてきたときに、そこの民宿なり旅館がホールにペレットストーブがあるとか、それからちょっとした休憩所へ行けばそのペレットストーブがあって、何かこう憩いの場であったり、心が安らぐという一つの大きな側面もあると思うんですね、効果が。そういうことで、そのことがまた市民やみんなの中に、木質バイオマスによって地球温暖化防止に一人一人が貢献しているという部分にも、僕は市民運動としてつながっていくと思うんで。もちろん我々も、そういう意味では積極的に市民運動として活動していかなきゃならんと思うんですが、やっぱり進めるための基本である、少し県と市町村での補助をしてモデルケースをつくっていくことが、先ほども言いました太陽光発電のようにずうっと面的に広がっていくんじゃないかと、こう思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、今の水質保全と浄化槽維持管理についてですが、実質的に料金そのものの体系を見直すということでぜひよろしくお願いしたいと思います。
 これは、体質的には我々ちょっと──これ要望というんか、問題を指摘していかなあかんのですけど、七条と十一条検査はもちろんありますけれども、我々浄化槽設置者は、このほかに保守点検料及び清掃料金が加算されているわけですね。公共下水の場合は公的負担ということでなっているんですが、我々、浄化槽の場合は、そういうふうに検査料並びに汚泥の清掃、くみ取りについても負担しています。公共料金との違いがありますけども。そこで公共下水との違いはありますが。そういう意味では、そういったことの負担割が非常に高い中で、この七条、十一条の検査料の見直しによって一一%がもっと引き上げられていくと思いますんで、その点、ぜひ努力していただきたい。
 もう一つは、私、分散化せえという一つの場合に、この水質保全センターの社団法人の組織そのものに一回メス入れてほしいと思う。というのは、悪いという意味ではなくて、もう少しこう──例えば社団法人浄化そう協会、それと社団法人清掃協会というか、お互いに関係あるところだけ二団体しか入ってないと。こういうことで料金決定なり運営がされていくことは少し異質かなと。他の社団法人と比べたら。もっと数多く入れて、そしてきちっとチェック機能もあってと、そういうのが本来なんですけど、この二団体しか入っていない。この水質保全センターそのものの社団法人としてのあり方についても少し県の方で助言をしていくなり、もう少し民主的に運営できるなり、機構を見直していただけたらありがたいと思います。
 以上で終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十四分休憩
     ──────────────────────────
  午後一時三分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に基づき、早速一般質問に入らせていただきます。
 まず、入札・談合問題からお尋ねをいたします。
 今、全国的な問題として取り上げられている橋梁談合問題ですが、国土交通省発注工事からJH(日本道路公団)発注工事、そして公団OBとの癒着へと、問題は広がっています。今回の鉄鋼製橋梁談合事件の舞台となったのは、K会、A会と言われる談合組織です。全国的な企業ですから、この和歌山県の発注する鉄鋼橋梁工事にも、このメンバーの業者が受注をしております。業者らは西日本でも組織をつくっていて、地方自治体の工事でも受注調整をしていたとの報道もあり、和歌山県にも大いにかかわりのある問題として注目し、県工事の受注状況を調査いたしました。
 十四年度、十五年度、十六年度の三年間の県発注橋梁工事で一億円以上のものをすべて調べましたところ、合計三十六件、総額九十四億円の工事のうち、二十五件、七十九億円の仕事を談合組織の企業が受注をしていました。これは件数ベースで約七割、金額ベースにすると何と八四%にも上る受注率であります。
 また私は、そのK会、A会の企業が落札した工事、三年間二十五件すべての執行調書をチェックいたしました。その中で、入札参加企業に注目をいたしました。というのは、工事の入札に参加した業者の顔ぶれを見ると、K会、A会のメンバーだけ、つまり初めから身内だけで入札を行われた、こういうケースが多いんですね。先ほど指摘したK会、A会の業者が落札したケースにおいて、入札参加業者が全部この会のメンバーだったケースが二十五件中十三件にも上り、それに加えてメンバー以外にたった一社だけ加えた、そういう形のものが七件もありました。合わせると二十五件中二十件までが、ほぼ独占的なメンバーにより取り仕切られているような形でありました。それだけ鉄鋼橋梁を受注するメーカーが限られているという裏返しでもありますが、そういう現状を逆手にとり、悪用して、この日本を代表する大企業らがかかわって四十年間も談合を続け、国民の税金を食い物にしてきたという許せない問題であります。
 公正取引委員会の発表している資料によりますと、過去の入札談合事件において、談合による不当利得の平均値は一八・六%だとされています。つまり、談合されたことにより、その分だけ高く落札されて、競争したときよりも不当なもうけを得たというデータです。県の三年分の事業費九十四億円に当てはめてみると、十七億六千万円という税金が不当な利益として企業に支払われ、県民が損害を受けた計算になります。
 こういった点を踏まえ、県は橋梁談合問題での談合組織による県内受注状況をどう見るのかを質問いたします。県内工事での受注状況を踏まえ、国や公正取引委員会、警察の捜査に任せておくのではなく、県としても調査をすることや、またアクションを起こす必要があると考えますが、木村知事はどうお考えでしょうか。御答弁をお願いいたします。
 次に、県庁南別館建設工事の談合疑惑についてお尋ねをいたします。
 県は、四月二十五日、和歌山県庁南別館の機械設備工事の入札をやり直すことを発表いたしました。これは、業界新聞に談合情報が掲載されたことから、オンブズマンからも疑念があると指摘をされていたものです。
 今回の入札において、どういう経過と判断で入札やり直しを決断されたのか、お示しください。また、同時に入札された同じ南別館の建築工事と電気設備工事、この二つの入札についても、複数のマスコミから事前の談合情報の通報があり、機械工事と同様の疑念があったわけですが、これらは入札が決定されてそのまま進められています。なぜこれらの入札も一緒にやり直さなかったのかという点についてもお答えいただきたいと思います。県土整備部長より答弁を願います。
 続いて、入札制度改革についてお尋ねいたします。
 知事の提案理由説明の中でも強調されていましたが、県はこのほど入札制度の改革を打ち出しました。先ほどからの質問でも指摘したような談合の再発防止の観点からも、談合の摘発の強化とともに、入札制度の改革は大変重要です。
 私は、談合の排除を初め、県の高額な工事の入札が九五%程度に横並び、落札率高どまりになっているこの事態の是正、透明性と競争性の確保、また受注機会の公平性の確保、県内企業の育成、安いだけでなくいい仕事をする企業が報われる、そんな仕組みを取り入れるなど、入札制度の一層の改善を求めるものです。
 また、小規模登録事業者制度、こういったものも参考にして、道路の補修や維持管理など地域に密着した身近な仕事は、入札によらずに地元の業者が迅速に処理できるような制度も検討していく、そうすれば余分な事務量も省け、仕事もスピードアップする効果があると思います。
 私の提言は、高額な工事については、談合がされずに入札率が下がるような、そういう制度改革をもっともっと思い切って進めていくこと、そして、県内中小業者が受注するような、そういう小額の事業については、これらと区別し、地域の業者の受注機会確保と育成のための努力と工夫が必要だというものです。ぜひ一層の検討をお願いします。
 これらの提案の上に立って、今回の入札制度改革についてお尋ねをいたします。
 現在の公募型指名入札制度を導入するときには、談合防止の有効な方法だと、そういうふれ込みだったわけですが、実際には落札率は高どまり、談合の疑いも情報も後を絶たないなど、制度をより厳しくしてきました、こういう延長線上だけの総括では、これまでの対応について反省や総括が不十分だと指摘をせざるを得ません。県土整備部長より、今回のこの入札制度改革における改善点や方向性、特徴について御答弁をお願いいたします。
 次に、二つ目の柱である障害者自立支援法案にかかわって質問をさせていただきます。
 現在、国会では障害者自立支援法案が審議をされています。この法案は、精神障害を含めてサービスを一元化することや国の予算を義務的経費にすること、複雑な施設体系を見直すことなど、これまで関係者から出されていた願いにこたえたという前進面もある一方で、利用者負担がこれまでの支払い能力に応じた応能負担から応益負担になることなど、さまざまな問題点が指摘をされ、政治的立場を超えた大論議が巻き起こっています。今定例県議会にも、全会派の紹介議員による、障害がある人の地域生活の拡充を求める請願が提出されているところでもあります。
 私は、今回の法案のどんな点が問題とされているのか、障害者にとって実際にどんな影響が出るのか、施設や作業所は一体どうなるのかと、有田郡内の作業所、授産施設をすべてお訪ねするとともに、障害者団体や関係者の皆さんに実際にお話を伺ってまいりました。
 ある授産施設に伺うと、「利用者の多くは、一日数百円の工賃にしかならない中でも、働ける喜びを感じて通所をしています。それなのに「作業所で働くのにお金が要るようになりますよ」とか「お昼の御飯代で何百円要るようになりますよ」、こういうのでは、もう作業所に行かすのをやめようという家がふえるのでは」と心配されています。
 また、あるグループホームでは、「睡眠時無呼吸症候群で医者に通っている利用者がおられた。月にすると五千円ほど医者代がかかっている。自立支援法で負担がふえて、わずかに手元に残るお金だけでは、この医者代が出せずに治療を中断することにならないか心配だ。楽しみにしてきた年一回の旅行積み立てもできるかどうか」と顔を曇らせました。
 山間部の小さな共同作業所では、知的障害四人、精神障害一人の計五人が通っていました。障害を持った方が胸を張って頑張るには、都市部では考えられないような苦労もしながら、支え合い、励まし合って運営を続けてこられました。ここでも「こういう小さな作業所への補助金が削られていくのではないか」と、先行きへの不安でいっぱいでした。
 また、多くの関係者から、「何よりも障害者の働く場を広げてほしい。働くことができて賃金や年金などの収入が確保されれば負担だってできる。健常者と肩を並べて支援を受けたいし、税金も払えるようになりたいのです」との声が出されました。障害者雇用の拡大と、そして年金の確立は大前提だと思いました。
 また、「自己負担金を同居の家族の収入や将来のための預貯金から出させようというのは許せない」、こういう御意見や、自立支援法案の説明を聞けば聞くほど「いつまでも家族に迷惑をかける」「この子を残して死ねない」「親が死んだ後、この子はどうしていけばいいのか」、こういったこれまでの不安が一層強まっている、そういうふうに感じてまいりました。
 この法案の審議とあわせて、県障害福祉課は県内各地で意見交換会を開催し、法案の動向を説明するとともに、県内の障害者、関係者から要望、意見を聞く努力をされてきました。法案成立前、県がこのような会を持つというのは初めてのことであり、近畿の中でも和歌山県だけであったと聞いています。私は、この県の取り組みは時宜を得たものとして評価したいと思います。私自身も有田地方で開かれた意見交換会に出席をさせていただき、関係者の皆さんと御一緒に県の説明も聞き、御意見をお聞きしてまいりました。この会場でも「医療費の自己負担はどうなりますか」、「県の補助は続けていただけるのでしょうか」などの切実な声が出されました。
 私は今回、関係者の皆さんから声をお聞きし、法案の方向性を調べるほどに、これは自立支援ならぬ自立阻害になってしまうという思いを強くしてきました。特に、先ほど指摘した応益負担の問題です。一体福祉を受けることは益なのでしょうか。作業所など働く場で賃金以上の利用料を取るというのは、どう考えてもおかしいです。障害が重いほど、ハンディが大きいほど負担が大きい仕組みでいいのでしょうか。応益負担は福祉になじみません。
 また、利用者負担の上限額は、同居している家族の収入も加えて判断する世帯収入の考え方です。現行の支援費制度が始まるときには、扶養義務者を一体どこまでにするのかが大問題になって、配偶者と子供は残ったものの、親や兄弟・姉妹を扶養義務者から外したんです。このことから見ると、今回の法案は逆行であり、障害者がいつまでも親や兄弟・姉妹に迷惑をかけると肩身の狭い思いをする制度であり、全くの後退ではないでしょうか。障害者本人の収入のみに限定するべきです。
 このほかにも、難病や自閉症などの発達障害が対象外であることや、本格的な所得保障策に踏み込んでいないこと、就労対策が抜け落ちていること、福祉サービスの利用抑制、そして自立支援医療になると負担が重くなることが心配されていることなど、多くの問題点を抱えています。そして、何よりも障害者、地方からの意見が生かされていない拙速な法案だと思うのです。
 そこで、知事にお伺いをします。
 県として先週の十五日に、国に対して意見書を提出されました。県民生活に深くかかわる問題として県民の声、地方からの声を示すという点では、大変意義のあることと歓迎をするものです。知事は、この意見書を提出する上で、関係者の声をどうお感じになったでしょうか。何を国に求めなければと感じたでしょうか。県が開催した意見交換会で県民からどんな意見、要望が出され、国に対してどう意見を上げていくのか。知事の思いも含めて御答弁をお願いいたします。
 次に、自立支援医療にかかわってお尋ねをいたします。
 自立支援法案では、これまで公費負担で行われてきた更生医療や育成医療、精神障害者通院公費負担制度、これを自立支援医療給付として支援法に組み込み、原則一割負担にするとしています。しかも、対象の病気を減らし、対象外は一般医療で三割負担です。そのため医療費負担ができない精神障害者が、服薬や通院を控えて病状が悪化し、在宅生活が困難になるのではと言われています。
 また、重度な障害を持つ障害児や障害者にとって、県が自己負担分をカバーする重度心身障害児(者)医療費支給事業は、まさに命綱であります。事業の継続、堅持を強く求めるものであります。この事業の位置づけ、今後の方向について、福祉保健部長より答弁をお願いいたします。
 三つ目に、障害福祉計画についてお尋ねをいたします。
 国は、福祉サービスも自己決定と選択の時代だと、こんなふうに言いますが、都会ではともかく田舎では、行くところがない、基盤整備がうんとおくれている、これが実態です。今後、障害福祉計画を市町村でも県でも立てていくわけですが、国はこの計画に示した数値目標、基準以上にはお金を出さない、そういう仕組みになるとされていますから、県がしっかりと充実した計画を立てることが大事になってきます。県の計画策定に当たっては、市町村からの計画を単純に積み上げて県の計画にするということでは、これ不十分です。県内の市町村や地域ごとの社会資源整備については県が調整・指導を行っていく仕組みになりますから、人口が少ないから施設がない、施設や事業者がないからサービスが使えない、こういうことのないようにしっかりと県がその役割を果たすべきだと考えます。市町村と密接に連携をし、また支援・指導を行いながらしっかりとした障害福祉計画を立てていくべきだと思いますが、この点についてのお考えを福祉保健部長からお聞かせください。
 それでは三番目の柱、水害・土砂災害対策についての質問に移らせていただきます。
 梅雨の季節となりましたが、さっぱり雨は降りません。降るときはむちゃくちゃに降るし、降らないときとなるとさっぱり降らないわと、どうにも近年の気候は不順で異常になってきています。
 昨年は、記録的な台風上陸の年でもあったため、全国各地で洪水、土砂災害が多発をいたしました。七・一八水害から半世紀、大きな被害を受けた有田川流域に住む者として、再びその惨禍を繰り返さないためにも自然災害への備えを十分にしておく必要があると考えています。
 このほど吉備町では、町内の防災マップを作成し、全戸に配布をいたしました。金屋町でも、この六月補正で作成計画が提案をされています。
 この有田川のはんらんを想定した浸水予想図については、県の有田川洪水予報事業での浸水予想図のデータを使って浸水範囲や水位を色分けして、警戒と日ごろの意識づけを呼びかけています。町内の家庭では、自分の家のある地域の浸水の深さや、また避難場所、避難経路が話題となっています。「二八水害のときもここら辺まで水が来たそうだ」とか「もっとここら辺も水につかったはずや」、こういった過去の経験も語られています。津波ハザードマップとともに、河川洪水のハザードマップも関心が高まっている状況です。
 県は、洪水予報の文書の中で、こんなふうに述べています。「昭和二十八年の「七・一八水害」を契機に河川改修が抜本的に進められ、河川拡幅や、堤防の嵩上げ、さらに二川ダムが建設された。その後、築造された堤防の老朽化・低水路の未改修等により年々被災している状況を改善するため、昭和五十七年より、計画規模を一〇〇分の一とする中小河川改修事業が実施され、現在に至るまで河道改修事業が鋭意進められているが、治水安全度は計画規模まで至っておらず、有田川はなおも水害の危険をはらんでいる。このため、河道改修等による治水事業の推進は勿論、的確な洪水予測と迅速な情報の伝達によって、民心の安定を図り、ひいては洪水被害の軽減をもたらすことが重要となっている」、こうあるんですが、この文書にもあるように、正確で実態に合わせた被害想定と避難場所・避難経路の徹底というのは大変重要です。
 しかし、今回のこの浸水予想図は百年に一回の大雨をシミュレーションしたものですが、二川ダムの設計雨量の範囲内にどんぴしゃ入っていて、ダムで洪水調節が綱渡りながらもできた想定になっているんですね。逆に言えば、ダムによる洪水調整をしてもこれだけの被害が予想されると、そういうものです。これがもう少しでも余計に雨が降ったり、もしくは雨のピークが後ろにずれれば、ダムは操作規程に基づいて、洪水調節をせずに上流から流れ込んだ洪水をそのまま下流に放流する「ただし書き操作」と呼ばれる放流に移ることになります。そうすれば、この想定をはるかに超える被害が出ることになります。
 昨年は台風も多く、非常に雨の多かった年でもあり、全国の二十五カ所のダムでただし書き操作による放流がされたと聞いています。一年間に二十五回というのは、これまでの十年分に相当する、そんな数だそうで、これくらい近年は異常気象、集中豪雨の被害が多くなってきているというあらわれではないかと私は思います。
 今回、有田川では洪水予報体制がとられ、浸水予想図も発表されたのは、河口から十八キロ地点までの、いわば堤防を築いた築堤区間にとどまっています。しかし、ここより上流でも、道の低いところ、川の曲がったところなど過去に水害の被害の大きかった地域では、水害への備えに対する関心は非常に高いんです。災害のリスクの高い地形や浸水、水没が予測されるところは、実態に合わせて被害想定や避難体制の強化が求められているのではないでしょうか。洪水ハザードマップを作成し、実態に即した浸水想定や避難対策の一層の推進を求めるものですが、いかがでしょうか。県内河川のハザードマップの作成状況や見通し、住民との取り組みについて、県土整備部長より御答弁を願います。
 次に、有田川の堆積土砂撤去についてお伺いをいたします。
 有田川では、土砂の堆積、草や木の繁殖による土砂堆積が進み、河床が上がって危険だという指摘や、有田川の水位が高いため支流の水が出ていけずに支流の水位も危険な状態であり、幾ら支流の河川改修をしても有田川本流の河床を下げない限り効果が出ない、こういう地元市町村からの声も紹介し、堆積土砂の撤去を私は強く求めてまいりました。これに対し県は、その緊急性を認めるには至らないものの、堆積状況の推移を調査し、今後の方向性を検討していただいています。
 私は、有田川の土砂撤去で河床を下げてほしいという地元住民の切実な願いを改めて強調し、有効な方策に一歩踏み出していただくよう強く求めるものですが、今回の質問では、有田川の高速四車線化区域で川の流れを整える事業が実施されることについてお伺いをいたします。
 ここは連続して合計三本の橋が並ぶことになり橋脚が林立をすることや、川の流れが蛇行してまともに堤防にぶつかっているところがある、そういうことから地元要望の大変強い地点であり、計画の概要と方向性をお示しいただきたい、こういうふうに思います。
 また、清水町の清水橋下流では、支流との合流によって土砂の堆積が進んでいます。私は、二川ダムのバックウオーター現象で流れが遅くなることによる堆積の進行も加わっていると考えていますが、この地点は未改修の堤防も残っているところであり、砂利のしゅんせつを望む声が上がっていますが、いかがでしょうか。有田川の堆積土砂とかかわる二点について、県土整備部長より答弁を願います。
 最後に、土砂災害防止の点で、湯浅町の山田山の土砂堰堤対策についてお尋ねをいたします。
 ここは一昨年の九月議会の質問でも取り上げましたが、谷を埋めて造成した堰堤の内側に十八万トンもの大量の雨がたまって、堰堤の崩壊が始まり、あわや膨大な土石流が発生する寸前のところにまでなりました。これに気づいた町の必死の対応と、この堰堤の災害復旧では国、県の尽力をいただき、事なきを得ている状態です。その後、この根本的な対策として大量の水がたまらないように堰堤の内側を土砂で埋めることになり、県環境保全公社の協力も得て県工事による建設残土搬入を進めていただいてきました。しかし、なかなか思うように計画が進まずに苦労をされているようです。ぜひこの土砂搬入のスピードをアップしていただき、一日も早く災害のおそれがないように対策を完了すべきだと願うものですが、この土砂搬入の計画と見通しについて、県土整備部長より御答弁を願います。
 以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず最初に橋梁談合の問題ですけども、これは今、非常に大きな問題になっているわけですが、こういうふうな問題は、単に独占禁止法違反というふうな違法・適法の問題だけじゃなくて、せっかく厳しい中で組んでいる予算というふうなものの適正な執行を大きく阻害するというふうなことで、これはもう非常に私も憤りを感じるところでございます。そういうことで、この告発された十一社については早速指名停止を行ったところでございまして、今後とも公正取引委員会や検察庁の動向を十分注視しながら厳正に対応していきたいと思います。
 この談合とかいうふうなことについては、ある意味ではイタチごっこみたいなところもあるんですけども、和歌山県としては、少なくともよその県よりは透明性が高くて、そして厳正な措置をとろうというふうなことで入札制度の大きな改革を行ったんですけども、これも一方では地元企業を育成しないといかんというふうな問題もありますので、この二者を追うというふうな形の中での改正ですけども、成果が上がることを期待しているところでございます。
 次に、障害者自立支援法案についてでございます。
 これは現在、国会で審議中でございますけれども、中身は大きな改革であり、障害者の人たちの生活に大きな影響を及ぼすものであるという認識のもとに、御質問にもありましたように、この四月から五月にかけて県内三十六カ所で意見交換会を精力的に開催いたしました。そういうふうな中で、特に利用者負担が入ってくるというふうな問題、そしてまたサービス体系のあり方の問題等々、いろいろな問題、切実な問題提起がなされたというふうに聞いております。
 私どもとしては、このような意見交換会でのこととか、こういうふうなものを真摯に受けとめて、厚生労働省に対して負担能力のない方にサービス抑制ということにつながらないような形の措置ということを強く要望し、今後ともこのような姿勢で臨みたいと考えているところでございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、入札談合問題でございます。
 県庁南別館建設工事入札の経緯でございますが、建築工事、電気設備工事、機械設備工事の三件について公募型指名競争入札方式を採用し、四月十五日に入札を行ったところでございます。
 これらの工事については、入札執行前に談合があるのではないかとの匿名情報が報道機関を通じて幾つか寄せられ、談合情報対応マニュアルに基づき、次のように対応いたしました。
 まず建築工事については、落札予定者及び落札率が示されておりましたため入札前に調査を行いましたが、談合の事実は確認されなかったので入札を実施しました。結果的には、情報とは異なるJVが落札いたしました。
 次に電気設備工事及び機械設備工事につきましては、落札額の情報がないなど、調査に値しない情報であったため、入札を執行しました。これらも情報とは異なる結果でございました。
 しかしながら、機械設備工事については、四月十四日付の大阪の業界紙に、落札予定者として幹事会社とその構成員全社の名を、また他の参加JVについてはすべての幹事会社名を示す内容の記事が掲載されていたことが入札執行後の四月二十日に判明し、その内容が事実と一致しておりました。県といたしましては、非公表としていた参加者名、特にその幹事会社すべてが記載されていたこと、落札者が一致していたこと、入札執行後数日を経過していたこと等にかんがみ、マニュアルの想定外ではございましたが、迅速な対応が必要であると判断し、再入札することとしたものでございます。
 次に入札制度改革でございますが、先日発表させていただきましたように、今後さらに談合排除を強化するため、情報と入札結果が一致すれば入札を無効とするなど、厳しく迅速な対応を定めた談合情報対応マニュアルの改正や談合等不正行為による損害賠償金を契約額の一〇%から二〇%に引き上げを行うこととしました。また、これまでの公募型指名競争入札を改め、指名行為をなくし、入札参加者が事前にわからない郵便入札を活用した事後審査型方式とした受注希望公募型競争入札や、条件付き一般競争入札を一部導入することといたしました。
 また、Gメンの強化や経営事項審査方法の改善などにより、不良不適格業者を排除するとともに、災害時の対応など地域への貢献度、若年者等の雇用状況及び建設機械の保有状況などを新たに企業評価に反映するなど、努力している企業が報われるような仕組みを構築してまいることとしております。
 今後とも引き続き、建設産業の健全な育成と、より公正で透明性、競争性の高い入札制度の実現に取り組んでまいります。
 次に、水害・土砂対策の関係でございます。
 まず一点目、洪水ハザードマップについてでございますが、近年、記録的な集中豪雨が増加傾向にあります。このような中、災害の未然防止のため、財政状況が大変厳しい中ではございますが、ハード施設整備を着実に進めてまいりたいと考えております。
 一方、洪水による被害を最小限にとどめるためにも、ハード整備とあわせて、ソフト対策の充実を図ることも大変重要であると考えております。
 県では、浸水のおそれのある区域を示した浸水想定区域図の作成を進めており、市町村がこれに基づき、住民の皆様に避難路や避難場所などを認識していただくため、洪水ハザードマップを作成することとしております。
 また、台風の接近などで大雨が予想される場合には、住民の皆様が警戒や避難等を迅速かつ的確に行えるよう、気象台と連携し、県下全域の雨量予測や紀の川、熊野川、有田川、日高川で洪水予報を実施しているところでございます。
 特に御質問の洪水ハザードマップにつきましては、県下で二十七市町が対象となっており、そのうち七市町が既に作成し、公表しております。今年度より洪水ハザードマップ作成に係る国の補助制度が創設されましたので、残る二十市町に対し平成二十年度までに公表を行えるよう、県としましても作成費用の一部助成や技術的指導の支援を行ってまいります。
 このような河川に関する情報提供などのさまざまな取り組みを通じて、県としましては県民の皆様一人一人の防災意識を高め、被害の防止・軽減に努めてまいります。
 次に、有田川の関係でございます。
 河川の治水機能を確保するため、適切な管理を行っていくことは重要であると認識しております。
 有田川の高速四車線化区域につきましては、日本道路公団施工の橋梁や護岸工事の施工工程等と整合を図りながら流路の蛇行を修正し、堤防補強を図る低水護岸を整備していく予定であります。
 また、清水橋下流合流地域につきましては、土砂の堆積状況や流下能力を勘案し、広域的な観点から検討してまいります。
 最後に、湯浅町山田山の関係でございます。
 湯浅町山田の湯浅建設残土公的処分場につきましては、平成十五年六月二日に受け入れを開始して以来、その後の公共投資の減少などの影響もあり、平成十七年五月末現在で搬入率が全体の八%と低迷しております。
 今後、各工事箇所における発生土量の抑制や処分に係るコストに留意しつつも、湯浅町、地元住民や関係者等との調整を図りながら、可能な限り搬入の促進に努めてまいります。
 以上です。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、重度心身障害児(者)医療費助成につきましては、重度心身障害児者の方々の健康の保持と福祉の増進を目的として、県単独制度として昭和五十年度から実施をしてきているところでございます。しかしながら、当該制度の医療費及び対象者も年々増加してきておりまして、平成十六年度における当該制度に要した費用は、県、市町村を合わせて約三十億円にも上っており、今後も増加することが予想されます。
 今回の障害者自立支援法案におきましては、障害者の医療費の自己負担について、応能負担から原則一割の応益負担に改めようとするなど、国の制度も見直しがなされようとしているところでございます。
 こうした状況を踏まえ、重度心身障害児(者)医療費助成制度を含め、県単独医療費助成制度全体の見直しについて、今後さまざまな観点から検討を行い、持続可能な制度となるよう再構築を図る必要があると考えてございます。
 次に障害福祉計画についてでございますが、障害者自立支援法案におきましては、国の基本方針に基づいて、県及び市町村は平成十八年度中に障害福祉計画を策定するよう義務づけられることとなります。
 計画の内容につきましては、市町村では障害福祉サービスの必要な見込み量やその確保のための方策等、県では各障害福祉圏域ごとの見込み量やその確保のための方策等を盛り込むこととなっており、今後は障害福祉サービスはこの計画に基づいて提供されることとなります。
 県の計画の策定に当たりましては、単に各市町村の計画を積み上げるのではなく、各圏域におきまして、例えば一市町村で対応できない事項等を圏域全体で検討するなど、各市町村と十分連携調整を図るとともに、適切に指導・助言を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 当局の御答弁いただきました。ありがとうございました。
 一つ要望と、そして二つ再質問をさせていただきたいと思います。
 先に要望から申し上げます。
 自立支援医療費にかかわること、市町村への指導援助について、これ、まとめて要望しておきます。
 部長から重度心身障害児(者)医療費の関係で答弁をいただいたわけなんですが、部長の答弁は、必要性よりも財政的な先行き不安の話──持続可能とか、お金の話ばっかりがどうにも耳についたように思うんですね。これでは、意見交換会のときの説明よりもずっと冷たい。財政危機を乗り越えるためのしわ寄せをこの弱者に求めるべきではないと私は思います。命綱の制度を守り、充実させる、その姿勢に立つよう、私は強く要望をするものです。
 また、精神の公費負担の問題でも一言要望をいたしたいと思います。
 今は公費負担によって本人負担は五%に抑えられていますし、県内の二十八市町村では、その本人五%負担分を補助しています。これは決して財政に余裕があるからやっているわけではありません。今、精神疾患を患う方はふえる一方で、テレビでも「医師にかかりましょう」と呼びかけています。また、入院患者さんにも病院は通院への移行を促しています。
 精神疾患を患い、仕事を休まなければならなくなって収入がなくなった、そういう患者さんに対して、県の行政の窓口なんかも、「仕事がない時期でも通院医療費は公費負担してくれるから、安心して病院へ行ってくださいね。治療を中断しないでくださいね」と、そういうふうにアドバイスができたわけなんですよね。公費負担があってこそ、こういうアドバイスもできたと思っています。
 私は、市町村がこの制度を続けられるように、この一割負担でふえる五%部分を県が負担するように要望するものです。こういう部分でも、市町村とぜひ力を合わせながら障害を持つ方への支援をしていくよう要望をしておきたいというふうに思います。
 それから、入札談合問題と国への自立支援法の要望との関係で、知事に二点再質問をさしていただきます。
 橋梁談合の問題では、これは適切な予算執行を妨げる大きな問題で憤りを感じる、入札制度の改革もどんどんやっていきたいと、こういう決意表明をいただいたと思っています。
 そもそもこの大きな鉄骨製の橋梁なんていうのは、個人とか民間が建設するものじゃなくて、ほとんどすべては公共事業で、税金で建設をするものだと思うんです。今回はその税金を談合によってかすめ取った談合集団の犯罪性が問題なんであって、そういう意味では国民、県民も、国や全国の市町村も、みんな被害者だというふうに思うんですね。だから、受注できる業者が限られているというこの今の状況を悪用して談合によって工事費を高く操って不当な利益を得てきたこういったK会、A会の業者の社会的責任、これ、非常に重いと私思うんです。
 だから、知事がおっしゃったように、犯罪捜査という点では行政としてはその限界性もあるかもしれません。でも指名停止処分も、こんなふうに指名停止業者が多くなってくると、今、県の工事の入札も事実上ストップしているような状態にまで影響が出ているわけで、県民のための事業、これもまたこれ以上おくらせるわけにもいかない、こういう本当に迷惑な話だと思うんです。だから、こういう企業への社会的責任、これはきっちり果たさせるべきだと思いますね。
 行政に限界があるときでも、知事は政治家としての仕事ができると思うんです。全国の都道府県も、いわば同じ立場の被害者なわけなんですから、何かできるのではとも私思ったりします。
 県庁南別館のこの入札をやり直すという決断は、県民の支持を得ていると思うんですね。これまでの談合マニュアルでは対応できない、そういう行政の限界があったけども、県民に不信感が募っているとして迅速な対応が必要だ、こういうふうな判断をしてやり直しを決定した。このように県民世論の支持を得て一歩踏み出すということもあると思うんですね。事態を見守るだけでなかなか有効な手も足も出ないんだというだけじゃなくて、行動を起こすべきだというふうに思いますが、再度知事の答弁を求めたいと思います。
 それから、自立支援法にかかわっての国への意見を上げていくという問題ですが、知事の方では、今回意見書を上げて、これからもそういった姿勢で臨みたいと、こういうお話いただいたわけですが、ぜひ引き続きいろんな立場で意見を述べていただきたいと思うんですよ。
 というのは、今回の意見交換会の案内文書、これずっと関係者に渡された文書ですけど、こんなふうに書いています。「県としましては、皆様の御意見をお伺いし、現在説明できる内容は説明させていただくとともに、国に対して伝えるべき点は提言していきたいと考えています」と。この言葉を聞いて関係者は非常に喜んだわけです。県は私たちの声を伝えてもくれるんだ、ただ説明に来るだけじゃないんだと、こういうふうに喜んだわけなんですね。
 では、「いつ意見を上げるんか」と、こういうふうに関係者が聞くと、「法案成立後に政省令が出る前にその意見を上げるつもりなんだ」と、こういうことだったと思うんですね。せっかく聞いた県民の意見を、決まってからというんでは遅いんじゃないかと。こういう意見に後押しされて今回の意見提出をいただいたというふうに思っているんです。
 今回の法案のひどいところは、具体的なサービスの内容とか、それから負担の割合とか所得の範囲とか、そういう大事な部分は法案成立後の政省令で決めていく、こんなふうになっているというところだと思うんです。
 ですから、障害をお持ちの方や作業所の皆さんにお聞きしても、「どんな仕組みになるか、ほんまにわかりにくいし、利用者の方にも、私らも説明しにくいんや」というふうにおっしゃっていました。そして、この問題は、決まってからでは遅いというふうに思うんです。ですから、県の意見書にも載せていただいている障害者や家族の意見、ほんまにこの胸に迫るものがあります。それは本当に苦労しているし、その中でも前向きに頑張ってやっていらっしゃるから心に響くんだというふうに思うんですね。
 県としても、法律が成立し、政令が決まってからでは遅いわけで、今回の意見書に加えて、今後、法案がいろんな修正とか議論で深まっていくと思います。いろんな局面あるでしょう。また、県民からの世論の高まりもあるでしょう。そういった局面にあわせて、今後も引き続き機会をとらえて国に対して意見を上げていただきたいというふうに思うものですが、いかがでしょうか。
 以上二点、知事に答弁をお願いいたします。
○議長(小川 武君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 談合に対する厳正な態度ということですけども、私はもうこれからもとにかく──この間も手続にないようなことでもすぐにやったわけですけども、いずれにせよ、こういうふうなことに対する憤りとかそういうものは、先ほどもお話ししたように私は非常に強いものを持っているし、そのことをきっちりしていかなかったら県民の行政に対する信頼が失われるというふうに思っておりますので、この橋梁のやつは、これはもうすぐに指名停止にしているんで、これ以上きつい手段はちょっとないんだろうと思うんですが、そのほかのことについても、これからも厳正に対応していくつもりでおります。
 それから、障害者の方の自立支援の法律の関係、これ、県内でいろいろ意見を伺ったやつ、まだ十分国の方へ言い尽くせてないところもあろうかと思います。いろんな機会をとらえて、これはもう口だけじゃなくて、本当に障害者の人がこういうことで本当に困っているんだ、こういうことで本当に不安に思っているんだというふうなことを適切に伝えていきたいと、このように思います。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 知事の決意を聞かせていただいたというふうに思います。
 私、きょう、この福祉の問題、それから談合の問題、これ税金のむだ遣いということにもかかわって質問をさせていただいたわけですが、二十一世紀は人権の世紀とも言われていますけども、確かに高齢者がふえていくことは事実ですし、障害を持った方も健常者と肩を並べて一緒に頑張っていきたい、そのための支援をもっともっと豊かにしていく、そういうことが求められていく世紀だと思うんですね。そういった時代だからこそ、今、税金の集め方も使い方も、そういう時代に合わせた切りかえをしていく、組みかえをしていくいい機会だというふうに私は思うんです。
 そういう意味では、本当にこの税金の集め方も能力に応じてきっちり納める人には納めていただくし、またむだ遣いや利権といったものにもきっちりメスを入れていく、また弱者のための予算をカットする、こういったことをやめて、弱者へのしわ寄せをさせない、そういう予算の組み方、今後とも頑張っていかなければならないんじゃないかと思います。
 憲法二十五条の精神が本当に花開くような、そういう政治を和歌山県政に強く求めて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 九番前川勝久君。
  〔前川勝久君、登壇〕(拍手)
○前川勝久君 議長のお許しを得ましたので、一般質問を続行いたします。
 今回は、今般の県立高等学校再編整備計画の中でも、特に私の地元である南紀高校及び同周参見分校について質問をいたします。
 県教育委員会は、昨年八月に県立高等学校再編整備計画案を公表いたしました。以来、広く県民からパブリックコメントを募り、また、県議会においても本会議及び文教委員会で白熱した議論が行われました。その内容は、計画案は余りにも地域の要望とかけ離れている、余りにも唐突であり拙速である、地域はもとより県議会としても寝耳に水である等々の問題を幅広く指摘され、今日まで八カ月余り、再度検討作業を進めてきたところでございます。その結果が、五月十七日に県教委が最終決定した再編整備計画第一期実施プログラムでございます。
 ちょっと本論から離れますけども、ほとんどの皆さんは一緒だと思うんですけども、教育内容あるいは教育制度といった問題はもともと素人には非常にわかりにくい、私自身もそういう先入観がございます。したがって、具体的な問題になると切り口がわからずに腰が引けてしまうというように、極めて難しい問題であるということは私自身も重々認識をしてございます。その上で、今回はこの再編整備計画が単に純粋に教育上の問題だけでなく、県立学校として当該地域に及ぼす社会的影響が極めて大きいと思いますので、再編整備計画の中の南紀高校及び南紀高校周参見分校について教育長の見解を伺います。
 去る五月十三日に開催されました文教委員会において、教育長は昨年の当初案の発表から今日までの経緯を次のように説明しております。「昨年八月に計画案を発表して以来、広く県民から意見をお聞きするために、大成高校、南紀高校、同周参見分校、古座高校の四地域に地域・学校協議会を設置し、再編対象高校や地域において延べ六十回以上の協議会や説明会を実施してきました。そうした場における学校や地域の方々からのさまざまな御意見を参考にしながら、教育委員会事務局として再編整備計画のあり方について、慎重かつ柔軟性を持って種々検討作業を進めてまいりました。このたびの最終案は、こうした地域・学校協議会や県議会なかんずく文教委員会でいただいた御意見等を踏まえるとともに、平成十七年度入試における入学者数の状況等をも参考資料にして案を作成した」と述べています。また、同委員会における答弁でも、「昨年の当初案発表以来、議会での質問、地元関係者には説明や協議を行っていると認識している。完全とは言えないが、十分説明したつもりである」と述べております。
 つまり、何回も協議会や説明会を実施して十分説明し、さまざまな意見を踏まえて作成したベストの計画であるとのことでございます。しかし、地元や現場の意見を聞いてみますと、今言ったような県教委の説明を額面どおり受け取ることができないのでございます。
 そこで、個々に以下の点について所見を伺います。
 全日制看護科を熊野高校に移設することについてでございます。
 このことについては、南紀高校関係者はもとより、地元もこぞって、今なぜ熊野高校へ移設なのか、県教委の言う看護医療の発達にあわせて施設整備等を充実させてきたが、南紀高校のキャンパスはかつての田辺高校の定時制のキャンパスであり、非常に手狭であり、これ以上充実・発展は困難である、五年間の一貫教育という教育課程でより発展した形で充実を求めるためには現在のキャンパスでは限界がある、看護教育には高度な医療に対する知識・技術に加えて人間性が要求される、大きな学校で切磋琢磨をしながら多様な生徒との交流も図りながら十分な教育環境のもとで学ばすことがさらなる発展につながる、単なる現状維持、延長線上だけで考えるのでは再編整備という基本的な考え方の中では合わないと思っている等の説明は、到底説得力ある明確な理由とはなっていないのであります。
 逆に、熊野高校移設によって、かえって生徒の通学の便が格段に悪くなります。JR田辺駅に比べて特急電車が停車せず電車の便数が半減するJR朝来駅を最寄り駅とする熊野高校では、県下一円から通学する生徒の便の確保が極めて困難であり、このことがまた学習時間や実習時間に大きな影響を与えます。また、利便性の上からも、医療学習に必要な医師、講師の確保が困難になることも予想されます。いずれにいたしましても、生徒や保護者に対して負担や不安ばかりを増加させる結論ではございませんか。
 南紀高校の育友会長は、看護科がなくなってしまうおそれすら抱いていると危惧をしております。移設に反対し、街頭で署名活動までした生徒の気持ち、また、午前六時台と七時台の二本しかない電車で通学しなければならない生徒の不便は理解してもらえなかったのでございます。
 過日の文教委員会での答弁でも、「今述べたようなさまざまな問題があるのは十分承知している。それを解決すべく、施設・設備面を初め最善の努力を、とりわけ学校関係者と話し合いを続けてきたところである」と述べています。
 思うに、県教委のこうした手法は、どうも順序が逆ではないのか。まず移設ありきで、その他のことは後で考えるというのでは、特に生徒や父兄の不安を払拭することはできないのでございます。例えば、今行われている県立の水産関係の試験研究機関の再編整備であれば、まず立地規模等を確定して、それに合わせて人事や施設・設備等を考えることは可能でございます。
 しかし、学校は生徒あってのものであります。金ぴかの校舎をつくり、最新の設備を導入しようとも、主人公である生徒、それを取り巻く教職員等の学校関係者の利便性が確保され、彼らが心底から学校を愛し、前向きで真摯な取り組みをし、地域に誇りを持てるものでなければ存立し得ないのでございます。たかが通学の便ぐらいと軽んじることは、大きな過ちでございます。ましてや南紀高校の看護科は県内唯一の五年制の看護師養成学科であることから、遠くは和歌山市を初め、広範な地域から通学しているのであります。
 過日の文教委員会においての質疑でも現場の考えとの乖離を指摘する意見が多く出されているのに、新聞報道によりますと、十七日の教育委員会は賛成一色、移設に異論を唱える委員は一人もいなかったとの報道でございました。
 さらに看護科を移設される熊野高校を考えると、平成十六年度からそれまでの普通科、園芸科、林業科を廃止し、総合学科に統合したのでございます。総合学科は、普通科目と専門科目を幅広く開設し、生徒一人一人が自分の興味、関心に応じた学習時間割をつくることにより就職や進学といった個々の目標に沿って主体的に学ぶことができる学科であると説明をされております。
 熊野高校への総合学科設置は、当時、学校関係者はもとより、育友会、地域挙げての要望で実現したものでありますので、これについてどうこう言うつもりは毛頭ございませんが、私個人としては、かつては「県庁農林部は三重農林と熊林でもっている」とまで言われた伝統のある熊野の林業科の名前が消えることに一抹の寂しさを禁じ得なかったのでございます。しかし、林業科の名前は消えましたが、総合学科には林業系列として残されているので、百歩譲って、これからは熊野と言えば総合学科、総合学科と言えば熊野と言われるように、みんなで頑張って新しい伝統を築いていけばいいと自分なりに納得をしたわけでございます。しかし、今度の移設計画で、総合学科と並立して看護学科を設置するのであれば、何ゆえに熊林のブランドを捨ててまで総合学科を設置したのか、じくじたる思いをするのでございます。
 いずれにいたしましても、看護学科の熊野高校移設は、地元では関係者の大方が望んでいないのでございます。県下唯一の五年制看護師養成学科の維持、高度化する医療技術に対応できる施設・設備等の教育環境の一層の整備を大義名分に、県教委サイドに立って進める計画であると思わざるを得ないのでございます。
 私は、恐らく県教委は、後に述べる昼間定時制の設置との関連で、まず南紀高校本校に昼間定時制の設置ありきで出発したために、この昼間定時制と昼間看護科の併設は、校舎施設等の狭隘さ、不備はもちろん、生徒指導上多くの困難な問題を抱えることになるとの判断から、しからばこの際、昼間看護科を先ほど述べた大義名分のもとに熊野高校に移設しようとのことになったのではと個人的に推測をしております。
 現に、昨年、熊野高校に総合学科をとの議論の中でも、近い将来南紀高校の看護科を移設するというような話は一度もなかったわけであります。したがって、何回も協議会を開いて説明してきたとの話でありますが、最初から地域の声に謙虚に耳を傾ける余地が余りなかったのではないのかとさえ思うわけでございます。
 次に、南紀高校本校に十八年度から昼間定時制課程を開設することについては、紀南地方に昼間定時制をというのは地域はもとより関係者の長年の願望であり、率直に歓迎するものでございます。しかし、なぜ南紀高校本校に設置するのかについて、先ほど述べた看護科の熊野移設と無関係ではないと考えるゆえに、釈然としないのであります。
 御承知のとおり、定時制課程については、今日では、かつて言われた経済的理由によりやむなく昼間働かざるを得ない多数の勤労青少年に高等学校教育を受ける機会を持ち得るようにするとの認識から、そのありさまが大分変わってきているのであります。すなわち整備計画にもうたわれているとおり、勤労青少年に限らず、みずからの学習スタイルに合わせ学びたい者、不登校経験のある者、中途退学者、リカレント教育を求める者等、多様な生徒を受け入れる受け皿としての役割が大きくなってきているのであります。したがって、こうした社会の変化に対応する昼間定時制の必要性については異論のないところでございます。
 昼間定時制の果たすべき役割をこのように認識しますと、県教委も認めている、非常に狭隘で施設設備も不十分、しかも全日制の田辺高校と同一のキャンパスである南紀高校本校に設置するのが本当に適正なのか。この件については地元の要望も大変大きいと聞いておりますだけに、自問自答するのでございます。
 さらに、南紀高校周参見分校の取り扱いでございます。今回の計画では、十八、十九年度は生徒募集を行うが、両年度にわたって定員三十人の二〇%、六人の条項を満たさなければ募集を停止することになっています。
 周参見分校は、地元自治体や地域住民の絶大な支援があり、五十一年の歴史と伝統のある学校です。少人数とはいえ、勤労青少年のほか、全日制高校からの進路変更者、不登校生徒、中途退学者、高校教育を希望する一般社会人等、毎年多様な生徒を受け入れ、小規模校の特色を生かして生徒一人一人にきめ細かい指導を行い、立派に卒業させて社会に送り出すなど、実に多くの教育効果を上げております。平成十五年九月、念願の独立校舎を確保いたしました。それに伴い、地元関係者の尽力と協力によって分校専用の通学路や駐車場が整備されました。
 今回の整備計画では、定時制の方向、なかんずく昼間定時制について、先ほど申し上げましたとおり、多様な生徒を受け入れる柔軟なシステムを取り入れると提言されていますが、これは周参見分校のこれまでの実践と実績そのものでございます。
 また、JR朝来駅から串本駅までの約八十キロ間に県立高校が一校も存在しないことから、県立高校の適正配置の上からも、たとえ小規模校であっても周参見分校の存在は必要であると考えます。さらに、周参見の場合は、御坊市から新宮市までの生徒の通学が可能となります。
 このような諸条件を考えると、周参見分校を夜間定時制のまま二年間存続させて様子を見るという消極策ではなくて、むしろ実践経験と実績を有する夜間定時制を昼間定時制に移行させて存続させる、またその方が二〇%条項のクリアがより容易になる、まさに前向きな積極策であると考えるわけでございます。
 逆に、整備計画どおり南紀高校本校に昼間定時制を設置し、周参見分校は夜間定時制のままだと、さきに述べた定時制そのものの中身の変更と相まって、周参見分校の存続は不可能と断言できます。現に、周参見分校の在校生一年から三年生のすべてが、昼間定時制ができればそちらに移りたいとの希望を持っていると聞いてございます。周参見分校にとって今必要なことは、廃止を前提とした再編整備ではなく、さまざまな思いを抱えて入学・転入してくる生徒たちを受け入れる分校の存在そのものであります。
 南紀高校及び周参見分校に係る今回の整備計画についてるる申し上げましたが、昨年八月の当初案から八カ月の議論、検討の集大成ではありますが、一部で存続への望みは残されたものの、総じて結論が先送りされるなど、地元の不安を全面的に解消するに至らない結論となったと言わざるを得ないのでございます。
 そこで、今まで申し述べました南紀高校、同周参見分校の抱える諸条件を前提に、もし私が計画担当作成者なら、次のような構想を考えます。
 まず、昼間看護科は、県内唯一の五年制看護師養成学科であり、できる限り広域の多くの生徒にその機会を提供すべきと考えて、利便性にまさる南紀高校本校に残して整備充実を図る。
 昼間定時制は、定時制そのものの中身の変容にかんがみ、この際思い切って周参見分校に設置する。これにより、紀南地方、御坊市から新宮市まで、ほとんどすべての地域から通学が可能となります。ちなみに、有田以北の生徒については、紀の川高校、青陵高校の昼間定時制に通学できるわけでございます。また、当地方八十キロの間に県立高校不在のアンバランスが解消します。また、不登校生等の受け皿としては、市街地より田舎の方が適すると考えます。
 夜間定時制は、就労・勤務場所が田辺周辺に集中することにかんがみ、南紀高校を本校に残すというものでございます。
 さて、県立学校は、純粋に教育の場であるだけでなく、紀南地域のような少子高齢化、過疎化に悩む地域にとってはあらゆる面で地域の中心であり、それゆえにその灯を消してはならないと、関係者はもとより、地域ぐるみで懸命の努力を続けているのであります。県立高校再編整備計画の必然性の名のもとに、地域の声に謙虚に耳を傾けることにちゅうちょしてはならないのでございます。
 そこで、教育長に伺います。
 まず第一に、熊野高校の普通科、園芸科、森林科学科を統合して十六年度から総合学科を設置するとの議論をしていた二年前の時点で、南紀高校の看護学科の熊野への移設の話があったのでございますか。
 第二に、看護科移設の主たる理由として、現キャンパスの狭隘性、施設整備の不十分性、人間性涵養のために大きな学校での切磋琢磨の必要性を正面に掲げていますが、県内唯一の五年制看護学科としての期待の高い中で、主人公である生徒の通学等の利便性の確保、父兄の負担、不安、今まで努力してきた関係者の意見がまとまっていないことについての見解。
 第三に、定時制概念の変容に対する見解と、例えば全日制に適応できなくなったが勉学への熱意はある、そういう生徒が全日制田辺高校と同一キャンパス、同じ敷地内にある南紀高校昼間定時制に通うことになるわけですけども、例えば全日制はきちっと制服を着て登校いたします。昼間定時制は、ゆとりのある教育の目的でフリーの服装で登校いたします。こういうことが、同じ敷地へ同じ通学路を通って通うことに何らおかしいとは思わんのかなと、率直に思います。そういうことについての見解をまずお聞きいたします。
 第四に、紀南に昼間定時制をというのは地域の総意でありますが、田辺市に立地する南紀高校本校では串本以南からの通学は不可能であるが、周参見分校なら御坊以南のどの地域からも通学が可能でございます。この点についての見解をお伺いいたします。
 第五に、周参見分校を昼間定時制に切りかえて二年間状況を見る、その結果、依然として二〇%条項をクリアできないときは思い切って周参見分校を廃止する、これだと地域関係者も納得いたしますし、財政負担の増加もないと考えます。こういう余地はないのか、これについての見解をお聞きいたします。
 第六に、私が先ほど述べました昼間看護科は南紀高校本校に、昼間の定時制は周参見分校へ、夜間定時制は南紀高校本校にという私案についての見解をお聞きいたします。
 最後に、南紀高校周参見分校生徒会が、過日県知事に寄せた文章がここにございます。これを一応紹介をさせていただきます。
 「知事様、いつも私たちが勉強できるようにお力添えをいただき、ありがとうございます。おかげさまで創立五十周年にして念願の独立校舎ができました。けれども、校舎ができて、これから勉強に頑張ろうと思っていたやさき、廃校になるというお話を聞き、私たちはショックを受けました。確かに、周参見分校は在校生二十名の小さな定時制高校です。でも、すばらしい優しさのあふれた学校なのです。学校には、本当にいろいろな仲間がいます。子育てを終わって高校卒業の資格を取ろうと働きながら学んでいる年配の人、父親を亡くして家計を助けるために全日制を退学して働きながら学んでいる人、他校でいじめられて毎朝吐き気がして登校できなくなったが転校してきてからは生き生きと勉強している生徒、みんな周参見分校で助けられた生徒ばかりです。生徒数が減り、統廃合は仕方のないことかもしれません。しかし、すさみや串本からは、田辺や新宮の定時制に通うことはできません。私たちの地域は交通の便が悪く、周参見分校にしか通えないのです。私たちが今こうして学べるのも、今まで分校存続に力を注いでくださった多くの方々がいたからだとお聞きしています。今まで廃校の危機がたくさんありながら、その都度廃校にならないように努力してくださったとお聞きしています。もし今、周参見分校がなかったら、私たちはどうなっていたかわかりません。行き場がなく、自暴自棄になり、荒れ果てた青春を過ごしていたかもしれません。定時制高校は挫折した生徒にとって大きな自信や夢を与えてくれる場所なのです。私たちの分校に通う姿を見て、退学した人たちがもう一度高校へ行ってみたいという人が何人もいます。私たちがまじめに努力しようと思わせてくださったのは、地域の方々の温かい声援です。本当に感謝しています。どうか知事様、どんな生徒も優しく受け入れてくれる周参見分校を存続してくださいますよう、心からお願い申し上げます」という文章でございます。
 この文章にすべてが言い尽くされていると思いますが、周参見分校は過去幾多の廃校の危機に見舞われながらも今日まで存続させ、四百数十名の卒業生を世に送り出し、そのほとんどが地域に残って過疎化に悩む地域の中核として頑張っているという事実は、先ほど触れました熊野林業とともに県教委の長い歴史でも特筆すべき功績であると私は思います。それだけに、再編整備のゆえに、いとも簡単になぜそれを捨て去るのか。時代の変化に対応して姿、形は変わっても、それを前向きに発展させようとしないのか。今回この再編整備計画を検証してつくづく思った私の思いでございます。
 以上で終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの前川勝久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 県立高校の再編整備計画についてお答えします。
 きのくに教育協議会の報告を土台にして、昨年八月に計画案を策定し、その後、パブリックコメントや地方別説明会を行うとともに、議員からもお話ありましたように、四つの地方で地域・学校協議会を設け、説明や協議を重ねてまいりました。こうした場における意見等を踏まえながら、慎重かつ柔軟に審議を重ね、去る五月十七日に県立高等学校再編整備計画並びに第一期実施プログラムを決定し、公表したところです。
 南紀高校看護科の移設につきましては、熊野高校に新たに実習棟を整備し、ゆとりのあるよりよい教育環境のもとで看護教育が展開できること、熊野高校総合学科の福祉系列とこの看護科がタイアップすることにより相乗的な発展が望めること、さらに、多くの生徒と触れ合い切磋琢磨することで看護師として求められる豊かな人間性や社会性を涵養できることなど、さまざまな点で大きな教育効果が期待されると考えております。
 また、議員御指摘の当初の案が生徒や学校関係者に少なからず不安を与えたことを考慮し、現時点での在校生は南紀高校で卒業することに変更いたしました。十八年度、十九年度の入学生についても、現在の在校生と一緒に学ぶ環境を大切にするため、一定期間南紀高校で学んだ後、平成二十年度に三つの学年が一括して移ることといたしております。
 紀南地方の昼間定時制の設置は、地域の長年の願いでありました。こうしたことや、各地域の中学校卒業生徒の状況、進路希望、多様な生徒の学習ニーズ等、多角的に検討を重ねた結果、このたび南紀高校本校に昼間定時制を設けることとしたところであります。
 なお、周参見分校につきましては、これまで分校の果たしてきた役割や関係者の御意見等を考慮して、平成十八年度、十九年度に生徒募集を行い、今後の志願者、特に地元志願者の動向や地域の取り組み等を見守ってまいります。
 今後は、全県的な視野に立って、地元、学校、関係機関とのさらなる連携を大切にしながら、より充実した教育環境を整え、生徒が生き生きと学べる魅力ある高等学校づくりを推進してまいります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、前川勝久君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十六分散会

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