平成17年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(浦口高典議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百三十二号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第五号まで及び報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十三番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 おはようございます。
 質問に入らせていただく前に、私ごとで大変恐縮でございますが、きょう三月七日は実は私の五十回目の誕生日でございまして、半世紀生きてきたというこの記念の日に、伝統ある和歌山県議会の一員として、私をお支えいただいている県民の皆さんの生の声を木村知事初め県の幹部の皆さんにお訴えできることの喜びを今ひしひしと感じるとともに、その責任の重さを十分感じております。
 それでは、これより議長のお許しを得まして、通告に従い、質問させていただきます。
 先輩・同僚の議員の皆さんもそうだと思いますが、私も年始のあいさつに支持者や関係者の皆さんのところへごあいさつにお伺いいたしました。特に私のように選挙において一つの推薦団体も組織も持たない者にとりましては、お一人お一人が私を支えていただいているすべてでもあります。それだけに、数百軒のお宅を一人でお伺いし、ごあいさつとともに現在皆さん方がどのような状況にあるかということをじっくりお聞きし、そのことをできるだけこの一般質問や議会活動に生かすべく真剣に回ってまいりました。
 そこで感じたことは、特に和歌山の人を相手にしている個人事業主や中小企業の方々には先の見えない不安感が非常に強く、決して景気が上向いてきたなどという楽観的な見方はできないということでありました。お会いする方の十人中八、九人までは「全く先が見えなくて不安や」とか「まだまだ悪うなるん違うやろうか」というような言葉が返ってきたり、中には「もう死にかけてるで」と冗談とも本気ともつかぬ言葉が返ってくるありさまでした。また、あとの一人、二人は「まあぼちぼちやな。これからもこんなもん違うやろか」と、どちらかというとあきらめに近い言葉が返ってまいりました。以前だと、景気が少々悪くとも「あと一、二年待てば何とかなるやろう」という楽観論もよく聞かれたのでありますが、ここ数年よくなるという経験をしていないために、何をやってもあかんというようなモチベーション、やる気そのものが低下していることが私の肌で感じることができました。
 そしてまた、ことしに入って寒くなったせいでもあるでしょうが、頻繁に葬式の連絡が入るようになりました。先ほど申しましたように、私のように支援組織を持たない者でも既に十件以上の葬式の案内がございました。しかし、結婚式や出産の知らせは一つもございません。これは、ひょっとして死ぬ人の方が生まれてくる子の数より大分多いのではないかと思い、市役所の市民課に問い合わせたところ、この一月の和歌山市での出生者数は男女合わせて二百八十名に対し死亡者数は同じく四百十六名で、死亡者数が出生者数の約一・五倍であります。
 そして、人口を聞いて驚いたのですが、この二月一日に和歌山市ではついに三十八万人を切り、三十七万人台になったということであります。また、同じく県の統計課で和歌山県の人口を調べたところ、ことしの一月一日現在で百五万人を切り、百四万九千四百五十七人に減少しておりました。これはまさに一昨年の十二月議会において私が和歌山県・市の人口推計図をグラフで提示し御説明しましたように、本格的な人口減少社会へこれから入っていくということであります。これは、和歌山では少子高齢社会というよりも少産多死、つまり生まれてくる人が少なく死ぬ人が多い社会であり、そして特に本県の場合、高校卒業後、約九割が他府県に進学するという多出社会でもあります。これでは、和歌山での経済的な営みを含め、あらゆる面で先行き不安なのは無理もございません。
 そして、先輩・同僚の議員の皆さんも恐らく共通の悩みとしてお持ちだと思うのですが、就職の問題であります。特にここでは新卒者の就職ということについてでありますが、「息子が(あるいは娘が)東京や大阪の大学に行っているんだけれども、和歌山でどこか就職するとこないやろか」という相談をよく受けます。「企業というても、なかなか本人の能力を生かすところが和歌山にないみたいやし」とか「できたら県庁へ入ってもらえれば、親としてはこれほどうれしいことないんやけども、県庁て今難しいて言わして」というようなことで、結局多くの若者が東京や大阪など他府県で就職し、和歌山へ帰ってくることが少ない現状があります。これでは、少産多死、多出社会が言ってみれば当たり前になってしまって、人口の減少にますます拍車がかかることは間違いありません。それを私は、決して極論ではなく、和歌山はこのままでは人口激減社会に入ると警鐘を鳴らさせていただいた次第であります。
 このように何軒も回ってじっくりと皆さんのお話を聞くのは非常に大事なことだと思うのですが、ただ聞いているだけでは、私も新年早々、少々暗い気持ちになってしまいました。そこで、私の方からこの胸のバッジを見せて──これ議員バッジじゃないです。こっち側のバッジですね──「しかし、和歌山、何やってもあかんということはないですよ。去年の夏、紀州よさこい祭りやったでしょう。一日のことでしたけど、和歌山、熱く燃えましたよね」と話を切りかえると、大抵の方は「そうよ、あれよかったわ。物すごく人集まったし、あんなに和歌山にも若い人おったんやね」とか、実際に見に行っていない人でも「よかったらしいの。後でテレビで見たけど、私も行きたかったよ」と言ってくれます。
 これは、決して町中の声だけではありません。和歌山市に「紀州ジャーナル」という旬刊紙がありますが、昨年十一月二十五日号で、帝国データバンクの田中雄造和歌山支店長のインタビュー記事にこんなのが載っていました。「紀州よさこいは盛り上がった。和歌山にこんな若者がいたのかと思ったぐらいです。紀州よさこい祭りもコーディネートする人がいたからいい結果につながった。それに祭りを成功させようとみんな本気でしたね。本気が大切」と評価してくれていたので、この二月十六日に田中支店長を訪ね、約一時間ほど話をしてまいりました。その中でも、やはり田中氏は「紀州よさこいは、かかわってきた人たちの本気さが伝わってきて、見ている人たちの表情にも心から楽しんでいるのが感じることができましたね。私は東京の人間で、和歌山に来て六年になるけれども、こんなのは初めてでしたよ」と言ってくださいました。
 紀州よさこいについては後ほどゆっくり説明させていただきますが、そのほか回っておりますと、訪問先では木村知事についてよく質問を受けました。「木村さんどうよ」「最近ちょっとおとなしなったん違うか」「前は改革派知事でようテレビに出てたけどな」というような質問であります。それに対して、私は「木村知事は和歌山県のために頑張っていますよ」と断言しております。さらに「知事は昨年夏の選挙でマニフェスト(政権公約)を掲げ、今それの実現に向けて一生懸命やっていますよ」と私が言いますと、「そのマニフェストって何よ」という質問が返ってきます。
 マニフェストについては、私はやはり一昨年の十二月議会と昨年の六月議会の一般質問で木村知事に知事選に臨むに当たってぜひマニフェストを掲げてくださいと要望したことに対し、誠意を持っておこたえいただけたと私も大変喜んでおりますが、今回、年始の訪問を通じて私は、本格的な人口減少が進む和歌山において新たな発展を考えたときに大きなポイントは二つあるのではないかと私なりに考えました。それは、紀州よさこいに象徴される県民自身の地域における盛り上げ、つまりボトムアップと政権公約、マニフェストを掲げ当選した知事の強力なリーダーシップで断固として新しい和歌山をつくるという姿勢であります。いわばこの二つは車の両輪であり、これがうまく回れば、和歌山に決して未来はないどころか明るい展望が開けてくる、いわば希望の光だと私は確信をしております。
 そして、その紀州よさこい祭りについてでありますが、昨年九月議会でも報告いたしましたように、七月二十五日に初めて開催したにもかかわらず、参加チーム三十チーム、約一千六百人が踊り、観客動員数約七万五千人でした。しかもこれにかかった費用、一千五百六十万のうち、一部県からの地域・ひと・まちづくり補助金百万円以外すべて自分たちで集め、この祭りを大成功させました。
 この祭りを主催しておりますのは紀州お祭りプロジェクト実行委員会で、若者を中心に約四十名が、踊りをベースにした祭りで和歌山を元気にしようとボランティアで頑張ってくれております。私は単なるサポーターズクラブ、応援団の一人でありますが、そんな彼らがことしも成功させるために仕事や学業の合間に企画を立て、いろんな実行をしております。
 その一端を説明させていただきますと、祭りが終わって約四カ月後の十一月十三日から十二月三日にかけて、第一回紀州よさこい祭り写真展を、カメラの西本高松店とオークワパームシティで開催し、感動を再び呼び起こしました。また、昨年は大変自然災害の多い年であり、祭り開催後に若者を中心に新しく結成されたよさこいチームの中から、自分たちで被災地の方々に何かできることはないだろうかという声が上がり、実行委員会が中心となって、十一月二十一日に北ぶらくり丁・キッズフリーマーケットと、十一月二十八日に「踊りで元気を!おどるんや!紀州よさこいinパームシティ」のチャリティー企画を行い、約三千人の観客を集め、義援金二十六万四千三百六十五円をいただき、日本赤十字社を通じて新潟中越地震災害並びに台風二十三号の兵庫県、京都府の被災地の方々に送らせていただきました。
 ただ、これだけですと一回の成功の余韻に浸りながら思ったことだけをやっているように見えますが、決してそのようなことではなく、ことしの祭りをさらにパワーアップさせるために、踊りや化粧、メイク等、祭りに関係するスキルアップや各チームのオリジナリティーづくりを目指し、ことしの一月二十三日より、やはり実行委員会が主催して「どうせならいっぱい踊ったろうワークショップ」という講座を設け、ヨガ、ジャズダンス、モダンバレエ、太極拳、メイクアップ等いろんなジャンルの指導者を招き、各チーム数名ずつ、約五十名の参加者に指導してきました。実は、私も一月二十五日に日本拳法の部門を担当し、二時間びっちり、突き、けり、呼吸法、構え、中心軸のつくり方等を指導してきました。この模様は後日ケーブルテレビのJ:COMで放映されましたが、受講者は講座全体で五千五百円の受講料を支払ってまで参加し、また各チームのメンバーに伝えるために大変熱心に受講し、私のときも、なれない突きやけりわざを一生懸命やっている姿が印象的でした。
 また、この二月五日には、紀州よさこい祭りと和歌山県を県外にPRしようと各チームから集まったメンバーでオフィシャルチーム「紀風」を発足させ、和歌山を最大限アピールできる新曲とともに振りつけも猛練習中で、この四月二日のダイワロイネットホテル和歌山のオープニングイベントでのデビューを目指し頑張っております。私も何度かこの練習風景を見に行きましたが、県外へアピールする目的だけではなく、和歌山を内から元気にするという大変いいチームだと感じております。ぜひ皆様も御期待いただければと存じます。
 さて、このように積極的に祭りを通して和歌山を元気にしようというミッションで、かかわる者すべてがその立場で労力を惜しまず活動していることは、先ほどの帝国データバンクの田中支店長の話だけではなく、他の方面でも高く評価され、例えば和歌山市で約十六万部発行されている「ニュース和歌山」の二〇〇四年和歌山重大ニュースに高野・熊野世界遺産登録とともに選ばれ、さらに昨年十二月十七日には、法務省和歌山保護観察所長から社会を明るくする運動に貢献したということで表彰を受けました。
 また、町や人の反応としては、和歌山オリジナルの祭りづくりに向けて地元和歌山の楽曲家や振りつけ師が制作に参加するようになったり、踊り子の衣装づくりを応援する専門家たちが職種を超えて集まり、よさこい応援団Kea企画が企画されました。そして、障害者の就労支援を目的に、和歌山県社会就労支援センター協議会(二十九認可作業所)と協力して作業所での紀州材を使った鳴子──これですね。踊るときに手に持つこれです(現物を示す)──づくりに挑戦中ということであります。
 それに、おとなしいと言われております和歌山大学の学生も徐々に立ち上がり始め、昨年秋の和歌山大学祭では、学祭の実行委員会もよさこいイベントを実施いたしました。また、IBW美容専門学校の学生や和大祭の実行委員、同じく同大のシステム工学部デザイン部BOXが準備のスタッフに参加し活動しており、実行委員が和歌山での学生の起業を支援する動きも出てきております。さらに、今回は和歌山市中央商店街連合会が取り組みを決め、本町通りが地域会場に決定し、少しでも中心市街地活性化の呼び水になることを期待しております。
 ことしは、前回の成功を機に「和歌山で一番の市民発観光事業の目玉に」を合い言葉に、七月二十三日、二十四日の二日間にわたり、昨年の二倍の三木町─西汀丁間の約五百メートルのパレードを中心に、さきに述べたぶらくり丁、本町通り、高松車庫前、片男波海水浴場、そしてメーン会場の西の丸・砂の丸広場と五会場で開催予定で、参加チーム四十五チーム、二千五百人の踊り子──これは会場の都合で最大だそうですが──観客動員数十五万人を目指し、各地域がともに元気になる祭りに向けて日夜準備に取り組んでおります。この場をおかりして、先輩・同僚の議員、県幹部の皆様方の御支援・御協力を心よりお願い申し上げる次第でございます。
 祭りの話はこれぐらいにさせていただきまして、私が和歌山にとってもう一方の希望の光だと申し上げましたが、木村マニフェストについてこれから質問をさせていただきます。
 マニフェストは、一昨年の一月に北川前三重県知事が提唱し、同年四月の地方の首長選において増田岩手県知事初め何人かの候補者がローカルマニフェストを掲げて選挙を行いました。また、同年十月の衆議院選において、政党が掲げたパーティーマニフェストにより政策を中心とした選挙が行われたことは御存じのとおりであります。詳しくは、配付させていただいた資料をごらんいただければと思います。
 昨年九月八日にはマニフェストを掲げて当選した五県の知事の、また十一月二十七日には五市区長のローカルマニフェスト検証大会が早稲田大学であり、両大会とも約八百名の聴衆が集まり、特に十一月の大会には、私たち新生わかやま県議団が会派研修として出席をしてまいりました。また、お手元の、二月四日に東京の日本プレスセンターで行われましたローカルマニフェスト連盟結成大会には、北川正恭氏よりお声がかかり、私一人出席をさせていただきました。いずれの大会も、マニフェストを訴え住民から直接選ばれた首長の、地方からこの国の形を変えていくという強い意思が伝わってきて、大変勉強になりました。ローカルマニフェスト推進首長連盟には、和歌山県では木村知事と中津村の笹村長が入会されているということでしたが、木村知事の改革にかける思いを感じることができて、私は大変うれしく思っておる次第でございます。
 先ほど申し上げましたが、和歌山では残念ながら、昨年八月の知事選で当時木村知事候補がマニフェストを掲げていること自体知らなかった有権者が多かったと思います。また、公職選挙法の関係もあり選挙期間中はマニフェストを書いた文書を配布できないということもありましたが、木村知事がはっきりとした政策を中心に県民の皆さんにお訴えし当選してきたことの意義は、大変意義深いことだと私は思っております。なぜなら、このマニフェストをベースに今後の行政運営ができるからであり、県民にとっても大変わかりやすいシステムであるからであります。
 事実、ことし一月には、このマニフェストをベースに、県として「わかやま改革と発展の政策~一三四の重点項目~」が発表されました。各数値目標、期限、財源、工程表等を実に細かいところまで考えられ、すばらしいものだと思いますが、両方じっくり読んで一つどうしても見えてこないのは、木村知事はこのマニフェストにより和歌山県をどのような県にしようとしているのか、そのビジョンについてであります。そして、そのためには、七つの重点施策のうち何に一番力を入れ、木村知事が描く和歌山の姿に近づけようとしているのかということであります。ビジョンとプライオリティー(優先順位)についてはっきりとお答えを下さい。
 次に財源についてでありますが、重点施策を実現するために平成十七年度三十八億円を計上されていますが、この四年間で合計どれだけのお金を使い、その捻出方法について御答弁をよろしくお願いいたします。
 参考までに、ここに岩手県の増田知事が一昨年春に日本で初めてつくったローカルマニフェストがあります。これにおいては、公共事業を三〇%カットして四年間で二百億円マニフェストのために確保すると明言されています。また、ビジョンにおいては、生活者主権、地域主権の確立ということを明確に訴え、プライオリティー(優先順位)の高いものとして前期二年間で最優先に取り組むとして、一、産業廃棄物不法投棄事業への取り組みと循環型社会の形成、二、雇用対策という二点をはっきりと掲げておりますが、木村知事はいかがでしょうか。
 特に私は、現在の和歌山は産業に発展性が乏しいから雇用を生み出すことができず、結果として人口が加速度的に減少傾向にあると思っておりますが、木村知事の重点施策の中で、産業の振興によって果たしてどれだけの新規産業が起こり、そのことによって税収の増額が見込めるのでしょうか。これは商工労働部長、お答えください。
 また、産業の振興と並んで、雇用の確保の推進により一万五千人の雇用をということで、昨年十一月のジョブ・クリエイションの中でどの分野で具体的に何人ずつ雇用を生み出すとまで明記されていますが、その中で、Iターン、Uターンを含め、先ほど私が問題といたしました他府県へ進学している大学生、専門学校生の割合がどれだけふえるのか、明確にお答えを、やはり商工労働部長、よろしくお願いいたします。
 重点施策二番目に、都市との交流による地域活性化の推進の中で緑の雇用事業をさらに推進し、Iターン、Uターンによる定住者三百五十五名(平成十五年度末)を四年間で五百名にふやすと言われておりますが、人数の多少はありますが、私はこの点を高く評価いたしております。国の補助事業とはいえ、新たな視点に立ち、今まで定住できなかったところにここ四年、五年で三百五十五名の人たちを定住させ、それをさらに五百名までふやしていこうという試みはすばらしいことだと私は思います。
 今も申しましたとおり、他府県の大学や専門学校に行っている息子や娘を持つ親としては、自分の子供たちが地元に就職し、生活してくれることは切実な願いであります。新卒者の若者が一人でも多くその中に入っていれば少しでも人口減少に歯どめがかかるものと思いますし、県民の皆さんのニーズに合っているのではないかと私は思います。産業の振興と雇用の確保の推進により、果たして人口減少に歯どめをかけることができるのでしょうか。知事、御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 ここに、地域づくり推進委員会というところが平成十四年(二〇〇二年)三月につくった和歌山県内市町村の将来推計人口というもののコピーがあります。これは、一九九五年と二〇〇〇年の国勢調査の人口推移をベースに、本年二〇〇五年から二〇一〇年、二〇一五年、さらに二〇三〇年、つまり平成四十二年までの国勢調査時の人口推計を出したものでありますが、国勢調査は御存じのとおり十月一日ですからまだことしは七カ月先の話ですが、既に二〇〇五年一月一日の時点で我が和歌山県は百四万九千四百五十七人と、ここに書いてある推計人口をさらに三百五十七人既に下回っております。
 もちろん、人口が多ければそれですべてよしという価値観で私はこのことを言っているのではありません。しかし、冒頭で申し上げました和歌山の人を相手にしている個人事業主や中小企業の立場で考えてみれば答えは簡単ではないでしょうか。つまり、顧客である人口が目に見えて減ってくれば、先行き不安なのは当たり前であります。また、若者にとって、幾らふるさとが和歌山であるといっても、夢も希望も自分を生かせる仕事もなければ、果たしてこの和歌山県に定住するでしょうか。どうかこの点を十分お考えをいただき、はっきりとした真剣なお答えを切にお願いをいたしまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの浦口高典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) マニフェストについて、マニフェストで和歌山県をどうするのかというふうな御質問でございます。
 昨年の選挙でマニフェストをつくって、そしてたくさんの数値目標を挙げて選挙をしたわけですけれども、御質問にもありましたように、ほとんど全くと言っていいほど関心を呼びませんでした。これは私は非常に残念なことだと思っているんですけども、しかし、そういうふうな状況であるということを踏まえた上で、そのことに屈せずに継続的にこの努力をしていかなければならないということで、新年度の予算にも、これは財政当局も、そして各部局も挙げて、このマニフェストというものを基本にして予算編成を行うような形になりました。
 その結果として、百十事業、三十八億円というふうな額、非常に厳しい財政状況の中では思い切った対応をとれているというふうな感じがあるんですけども、そしてまたこの数値の目標を挙げて県民の人にいろんなことを約束していくということは非常に僕は大事なことだとは思っていますが、ただ一方、このマニフェストというものにも一定の限界というか、使いようによっては毒になる部分が非常にあるわけです。というのは、普通にやっていても一応達成できるような数値目標を数値目標として挙げて、逆に言えば割と安易なところについて達成感を持つというふうな傾向がなきにしもあらずというふうなことがありますし、それからまた、時代がどんどん変わっている中で、一回決めた数値目標をすべていいものとして、もうこれで決めてあるんだからこれだけでやっていればいいんだということで、ある意味では思考停止状態になるというふうなことが考えられるわけです。
 今の時代に一番大切なのは、県の職員一人一人が創造的に自分の能力をすべて使って、和歌山県がどういうふうにすればいいことになっていくかというふうなことを考えていくということがエネルギーを生み出していく原点であるというふうに考えておりますので、私はこのマニフェストというもののあり方についても、今は非常にブーム的な状況の中で進んできているけども、一定やっぱりこの進行管理については僕は考えていかなければならないというふうな面もあろうかと思っています。しかしながら、プラスの面が非常に大きいことは間違いないというふうなことです。
 そして、その中でどういうふうなところに力を入れていくのかということですが、はっきり言って、ありとあらゆることに力を入れないともう元気が出てこないというふうな状況なんですけども、一つは和歌山をできるだけ自立できるような形にしていかなければならない。御質問の中にもありましたように、非常に厳しい状況です。地理的な条件、そしてまた人口的な問題、高齢化の問題、すべての状況が、もうなかなか簡単に対応できるというふうな限界を超えているという面があるわけですが、だからといって、それであきらめてしまったらもうずるずると泥沼へはまってしまうんで、地道に一つずつ、例えば地場産業の振興でありますとか、観光産業の振興でありますとか、そして、自然を生かすということの中で人を呼び込んでいくというふうな方策とか、こういうふうなことをやはり地道に行っていくことが一つ大事だと思っています。
 それからもう一つは、その次の財源をどういうふうにして生み出すのかという問題とも大きく関連してくるわけでございますけども、今世の中を挙げて、行政のむだ、特に地方行政のむだというふうな方向に、日本全体がこれを見直すという形の方向へかじを切りつつあります。これは大きな国家運動に今なりつつあるということで、これは一定の──別の意図もあるのかもしれませんけども、しかしながら、これをやっぱり一つのきっかけとして地方の方もむだを見直していかないといかんということは大いにあることだと思うんで、私自身はこれをマイナスというふうにとらえるんじゃなくて、やはり責任のある自治体になっていくという方向の一つのきっかけとしてとらえて、和歌山県の中でもまだ──毎年いろんなことを見直してはきていますけども、さらに観点を変えて見直さなければならないところが私はあると思っておりますので、そういうふうなところからやっぱり財源を生み出していって、それを新しいマニフェストを実行していくようなことに充てていきたいというふうに思っております。
 そして、また防災問題、それから最初の答弁でも申し上げましたけども、こういうふうな能力主義の時代というのは、ともすれば非常にぎすぎすした、そしてまた弱者に厳しい時代に今なりつつあるということ、これはもういろんなところで言われていることですけども、そういうふうなことに対して手を差し伸べるのが、また行政の一番大きな役割だろうというふうに思っておりますので、そういうふうな点もこのマニフェストを基本にしながらやっていきたいというふうに思っております。
 それから、四年間でどれだけこのマニフェストにというふうなことなんですけども、実はこの三十八億円という額も、これはもう当然、別にマニフェストがなくてもやっていたような事柄も大いに含まれておりますので、金額が幾らというふうなことを言うこと自体は僕は余り意味のないことだと思っておりますけども、そういうふうな本来的な行政改革の中で財源を生み出して、そして少しでも新しい施策、政策、元気が出ていくような政策に回していくという不断の努力というものが大事だろうというふうに思っております。
 それから、人口が減少していると、これに対してどういうふうな政策をとるのかということでございます。
 人口の減少は、これはもう和歌山県だけじゃなく──和歌山県はよそを先取りして起こっておりますけども──もう日本全国が大変なスピードで人口が減少していくのは、これはもう人口の構成上もはっきりしていることなんです。そういう中で、特に高齢化が進んでいる和歌山県の場合、亡くなる方の方が出生者よりも多くなって非常に加速度的に人口が減っていくというのは、これはもう統計的にもはっきりしていることなんですが、だからといって、これも同じく、そしたらもうふやすというふうなことをしないと、どんどん人口が減って地域の活力が減っていくというふうなことがあるわけです。
 そういう中で、例えば緑の雇用でありますとか、農業をやってみようプログラムでありますとか、それから漁業への他者の進出みたいなことを進めていく事業でありますとか、こういうふうなこと、実は幾ら努力しても、でき上がってくる数というのは非常に少ないんですけども、しかし、こういうふうな小さなことの積み重ねからやはりやっていかないと、もうびっくりするような大きな自動車会社が和歌山へ進出して何万人もの人を雇って東京からも社員が来るというふうな形になればそれは一番望ましいんだけど、なかなかそういうふうなことは正直難しいんで、やはりこの和歌山のよさというものを生かしながら少しでも交流人口をふやして、そしてその中から幾らかの人でも定着していくようにしていく。
 それから、もう一つは地場産業の振興。今いろいろ和歌山にある新しい技術等に支援を行うような事業を新年度でも行っておりますけども、こういうところで少しでも起業が行われて、そこへ和歌山の若者の人が、例えば学校は東京とか大阪とか外へ出ていても、また帰って頑張ってみようというふうな形になるような努力、これも一気にいくというふうなことにはなりませんけども、一つずつ地道に積み重ねていきたいというふうに思っております。
 いずれにせよ、和歌山の振興、これからはやはり自分のところにあるいいものを伸ばしていくと。そして伸びようとする人を引っ張るんじゃなくて、伸びようとする人をみんなで守り立てていくというふうな形にしていかないといけないと思います。
 私も、このごろはちょっとおとなしくなったと。いろんな新しいことをやれば「はね返っている」と、やらなくなれば「おとなしくなった」と、どうすればいいのかというような気持ちもないではありませんけれども、いずれにせよ、新しいことに向けて県が元気になるように頑張っていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) マニフェストに関しての二点についてお答えいたします。
 まず、マニフェストの産業の振興分野につきましては、経営革新や技術革新による新事業の創出を図る元気な企業を起爆剤として県経済の牽引役を数多く生み出すことを目指して、県内産業のイノベーションを推進するなど、ともに本県の特色である農林水産業や食品、化学産業等の産業資源を生かした新産業の創出、さらには県産品のブランド化や県内企業の国際化による販路拡大、また戦略的な企業誘致等に取り組んでいるところでございます。
 商工労働部では、これらの施策による全体的な税収の増額を算出することは困難ではありますが、施策の展開により税収の増加が図られるとともに、安定した自主財源の確保が促され、自立した県経済の構築と発展が確立されていくものと考えているところでございます。
 次に、若者をターゲットにした定住策につきましては、県内出身の大学生等を対象に実施しております就職意識調査の結果を見ましても約五割の学生が県内での就職を希望しており、若者のふるさと志向も高く、議員御提言のように、Uターン等の促進は重要な課題であると認識してございます。
 このため、本県への円滑な人材の流入、還流を目的に、包括的な若年者雇用対策を推進することとしてございます。具体的には、県内での就職を希望する県外進学者等を対象にしたきのくにUターンフェアの開催や誘致企業、県内企業における合同就職面接会等の実施、若者の就職支援を一体的、効率的に展開するジョブカフェ・わかやまの充実等により、さまざまな角度からIターン、Uターン等への推進に取り組んできたところでございます。県としましては、こうした施策の推進によって、四年間で約二千人の就職支援を目指しているところであります。今後は一層、若年者の県内定住と県外からの就職促進を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番浦口高典君。
○浦口高典君 御答弁、まことにありがとうございました。
 ちょっと前後いたしますが、最初に石橋商工労働部長に要望いたしておきます。
 一万五千人のうちに具体的に本当にどれだけ新卒者を少しでも多く入れていただくか。その数字はなかなか挙げにくいと思うんですが、何度も言います。くどいようですけども、やはり若者がこれ以上どんどん県外へ流出してしまいますと、つまり多出社会が進みますと、和歌山県の勢いがますます弱くなってくる可能性があります。それだけに、この雇用問題というのは、商工労働部だけの問題ではないと思うんですが、他の県幹部の皆様にもぜひ新卒者を和歌山にという視点を持っていただくことを切に強く要望いたしておきます。
 次に、木村知事に。私はマニフェストを最近勉強しておりまして、よくわかってきたんですが、マニフェストには狭義の概念と広義の概念というのがあるんですね。狭義、つまり狭い意味では、よく言われているように数値目標、期限、財源、工程表等を示して、それを達成するということなんですね。それはマニフェストの定義なんです。しかし、広義、つまり広い意味では、トップリーダーがやはり時代の流れを的確につかみ、このような和歌山県をつくるんだという明確なビジョンと方向性、そしてその実行力を県民に訴えて、それを政治生命をかけてでも実現するんだという指導力だというふうに、私、最近解釈をするようになりました。
 しかし、これはやはり数値目標を達成するだけでは、そういったビジョンを実現化することはできないと思います。そのことはよく知事も御理解されていると思うんですが、それだけに、今後知事の方からインパクトのある熱きメッセージをコンパクトにまとめていただいて、県民の皆さんのモチベーション、やる気を喚起していただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浦口高典君の質問が終了いたしました。

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