平成17年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(江上柳助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十六番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 こんにちは。二月定例会一般質問初日にこのように発言をさせていただく機会をいただきました先輩・同僚議員の皆様に心から感謝と御礼申し上げます。ありがとうございます。
 ただいま議長よりお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、防災対策についてお尋ねをいたします。
 昨年は、自然災害の多い年でございました。十回にわたる台風の日本列島上陸と大雨、さらには九月五日には紀伊半島沖の地震、そして十月二十三日、新潟県中越地震、さらには十二月二十六日にはスマトラ島沖大地震とインド洋の大津波がございました。このインド洋の大津波で、改めて津波の恐ろしさを実感した次第でございます。
 三十年内に六〇%、さらに五〇%の確率で発生すると言われております東南海地震、そして南海地震に対して、私たちは県民の生命と財産を守るために災害に強い県土づくりを目指していかなければなりません。
 けさ、県議会の方へやってまいりまして、駐車場に車をとめて、その奥に私どもの県議会の初代議長であられます浜口梧陵翁の銅像がございました。ちょうど私たちのこの県議会本会議場を温かいまなざしでいつも見詰めてくださっております。
 皆様御承知のとおり、浜口梧陵翁は一八五四年、今から百五十一年前の安政の大地震、津波来襲のときに稲むらに火を放ち村人を救済し、そして救済・復旧に尽力をされた方であります。そして、次の災害に備えまして堤防をつくりました。四年間の歳月をかけて巨額の私費を投じてこの堤防をつくったわけでございます。今は広村堤防として残されております。この堤防をつくることによって村人たちの広村からの離散をとめたとも言われております。そして、それから九十二年後の一九四六年、昭和二十一年の南海地震のときにはこの広村堤防の威力がいかんなく発揮されまして、広地区にお住まいの住民たちは津波被害から免れることができたわけでございます。
 昭和九年、文部省が第四期の国定教科書制定に当たりまして、全国から国語と修身の公募をいたしました。そのときに、当時、小泉八雲の「生ける神」、英語で言いますと「ア・リビング・ゴッド」、これに感銘をいたしておりました弱冠二十七歳の青年教師、耐久中学校出身でございますが、この「生ける神」を中心としながら子供たちの心にこの五兵衛すなわち梧陵翁の心を植えつけたいと、そういう思いで書き改めたのが「稲むらの火」でございます。そして、国定教科書に採用されまして、昭和十二年から十年間、昭和二十二年まで国定教科書として採用されまして、当時の子供たち、そして多くの人々に深い感動を与えたわけでございます。
 この中井常蔵先生は、昭和六十二年九月二日に国土庁長官の災害功績賞という賞を受賞されております。この「稲むらの火」を書きましてから五十三年たってからのことでございます。まことに異例のことでございます。
 私は、先月、この「稲むらの火」の舞台となりました広川町を見学させていただきました。まず、先ほど申し上げました国史跡の三段構えの広村堤防。さらには昭和の八年に村人たちがこの梧陵翁に感謝の思いを込めてつくったと言われる感恩碑。毎年十一月三日にはこの前で津波祭りが行われるというふうにお聞きしております。さらには、県の重要文化財に指定されております耐久舎。さらには梧陵翁の墓碑。これも国の史跡でございます。そして、昭和二十一年の南海地震のときに津波で被害を受けられた江上川沿いの日東紡績。こちらには当時は大阪から来られた方がほとんどで、津波の恐ろしさを知らなくてここで二十二人亡くなったと伺っております。さらには、国重要文化財の広八幡神社。また梧陵翁の御自宅と──今、記念館の建設が進められてございました──見学させていただきまして、改めて梧陵翁の功績に感銘をしたわけでございます。
 特に、広八幡神社の宮司からは「この広村堤防は世界一です」と。「なぜですか」と私聞きました。これは、土でつくられている、高さが五メーター、そして長さが六百三十七メーター、要するに子供でもよじ登れるんだ、そして、海岸側には松の木を植えまして、松林によって海から波で打ち上げられた船などもとめることができる、そして、曲線を描いている、津波の衝撃を一気に受けるんではなくて、曲線を描くことによってこれを和らげている、そして、住宅側にはハゼの木を植えまして、ロウをとってそれを資金としまして堤防の補修に充てているという、そういうお話を聞きまして、先人の知恵には感動したわけでございます。
 さらには、広川町の教育委員会へ行ってまいりまして、いろんな資料をいただきました。そこで担当者が言っておりました。「この国定教科書に採用されました「稲むらの火」の「これはただごとでない」という最初の一行の文章、これはインパクトが強いでしょう」と言われて、そのとおりですと感じた次第でございます。
 この「稲むらの火」につきましては、佐々淳行元内閣安全保障室長、初代の室長でありますが、この方が「自然災害の危機管理」、「稲むらの火」の中で、このように述べておられます。いわゆる「稲むらの火」で浜口梧陵が火を放った。そして避難所へ避難させた。八幡神社でありますけれども。ここで一人一人、何名の方が避難してきたのか確認をして数えたということ。さらには、自分のところにあった米で炊き出しを始めたわけですね。それでも足りないといえば、ほかから買ってきて、そして皆さんに食事を与えたという。また、その後に堤防をつくったということでありますが、まさにこの「稲むらの火」の中に防災対策の、また危機管理のエッセンスが込められていると、このように申しておるわけでございます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 時代の先覚者・浜口梧陵翁の偉業と功績は「稲むらの火」として災害時に人命尊重の理念、具体的な活動を通して、世の大人たち、子供たちに問いかけた意義は大変大きいものがあると考えます。知事は今後、「稲むらの火」の教訓を防災対策や危機管理にどのように生かし、防災先進県を目指すお考えか、お伺いいたします。
 次に、防災教育への取り組みについてお伺いします。
 スマトラ沖大地震によるインド洋大津波で三十万人を超えるとうとい人命が失われました。このインド洋大津波を受け、「稲むらの火」が防災教育の教材として改めて脚光を浴びてきております。
 このような状況の中、県教育委員会は本年一月七日、防災教育「稲むらの火」推進プロジェクト会議を設置いたしました。東南海・南海地震に備え本県における防災教育のより一層の充実を図り、「稲むらの火」を初めとした教材等を全国に発信することにより防災教育先進県としての役割を果たしていくため設置されたものであります。教育現場で「稲むらの火」を学び、生かすことは、本県のみならず全国の防災力を向上させることにつながると確信いたします。今後どのように取り組むお考えか、教育長にお伺いいたします。
 次に、きのくに木造住宅耐震化促進事業についてお伺いします。
 阪神・淡路大震災では、家屋や家具の倒壊により犠牲者の約八〇%から八五%のとうとい人命が失われたと言われております。このような被害を防ぐためには、家屋や家具の耐震化が必要であります。
 県と市町村では、昭和五十六年五月三十一日以前に建築された木造住宅等について、無料で耐震診断士を派遣し、診断の結果、耐震性が低い場合に耐震補強を行う費用の一部を補助するきのくに木造住宅耐震化促進事業を実施しております。補助額は九十万円を限度として、その三分の二が県と市町村の補助となっております。実施している市町村は、現在、田辺市、岩出町、打田町、川辺町、みなべ町、串本町の一市五町であります。特に、住宅が密集しております和歌山市での実施が大いに期待されております。国土交通省の新年度予算案では、今後さらに住宅の耐震化を進めるための地域住宅交付金五百八十億円が新規事業として計上されています。今後、耐震化支援策を実施していない市町村に対して、一般住宅の耐震診断や耐震改修の助成制度の創設をどのように求めていくお考えか、県土整備部長にお伺いいたします。
 また、耐震化の基本は柱と壁を強化すれば強度が四倍も五倍も強くなると言われております。ともすれば、業者から予定外の工事費を請求されるおそれもあります。そこで、耐震診断、耐震補強の基準をつくりマニュアル化すべきであると考えます。いかがでしょうか。
 次に、公的建造物及び社会福祉施設の耐震化についてお伺いします。
 本県の小中学校、高等学校の耐震化は、知事を初め関係者の御尽力でかなり進んでまいりました。しかしながら、公立体育館や公民館等の公的建造物や災害弱者と言われる高齢者などが入居されております特別養護老人ホームなどの社会福祉施設の耐震化は非常におくれております。内閣府の地震防災施設の現状に関する全国調査によりますと、本県の公的建造物耐震化率は四七・六%、社会福祉施設耐震化率は五一・七%で、北海道の四九・一%、鹿児島県の五〇・六%に次いでワースト三位であります。今後どのように公的建造物や社会福祉施設の耐震化に取り組むお考えか、危機管理監並びに福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、第二阪和国道の建設促進についてお伺いします。
 第二阪和国道は、関西国際空港があります大阪府泉南地域と和歌山を結ぶ道路で、国道二十六号の渋滞緩和と都市機能向上を目指しているわけであります。また、大阪と和歌山を結ぶ幹線道路である一般国道二十六号の慢性的な交通渋滞やそれによる都市機能の低下を解消することを目的に計画された道路でもあります。
 昨年六月に箱作ランプから箱の浦ランプ間が部分開通いたしました。第二阪和国道の一部完成により国道二十六号や周辺道路の混雑が解消され、これらの道路が地域に密着した生活道路として機能し始めております。また、周辺道路の交通量が減少することで、交通事故の減少や車の排気ガスなどによる大気汚染が改善されてきております。
 第二阪和国道は、渋滞の解消だけではなく、災害、医療などの緊急活動に重要な道路でもあります。現実に大阪方面から県立医大や日赤和歌山医療センターなどに搬送されます救急患者も多いわけであります。これらは、いずれも大阪側から見た視点でございます。
 ここで、和歌山側から見ますと、第二阪和国道は東南海・南海地震などの大規模災害が発生した場合、本県への自衛隊信太山駐屯地の第三十七普通科連隊が和歌山県を担当することになってございます。災害本部長県知事の方から大規模災害のときに自衛隊に出動要請をかけたときに、じゃ和歌山県下にどのルートでどのコースを通って和歌山入りをしてくれるんだろうかと、そういうことをちょっと考えたわけでございます。
 したがいまして、災害救援部隊また災害救援物資の重要な緊急輸送道路として不可欠であります。もちろん、関空へのアクセス道路、経済物流の道でもあります。阪和高速道路(近畿自動車道紀勢線)と並んで本県への陸路の玄関口であることは申すまでもございません。
 現在、国道二十六号の府県境に位置する孝子峠付近は、異常気象時に道路通行規制区間に指定されているため、災害時などに交通が途絶えてしまう危険性があります。十年前の阪神・淡路大震災の発生時、阪和高速いわゆる近畿自動車道紀勢線が全線通行どめになったことを申し添えておきます。
 したがいまして、第二阪和国道の建設促進は緊急の課題でもあります。災害時緊急輸送のための道路、命の道として本県側から工事を着手して第二阪和国道の一日も早い全線開通が強く望まれております。本県側からの工事着工について、知事のお考えと具体的な取り組みについてお伺いいたします。
 次に、次世代育成支援の推進についてお伺いします。
 まず初めに、次世代育成支援対策推進法の施行に伴う本県の取り組みについてであります。
 政府は初めて、「少子化社会白書」を昨年十二月、刊行いたしました。刊行に当たっての中で、このように述べられております。「少子化の急速な進行は、社会や経済、地域の持続可能性を基盤から揺るがす事態をもたらしており、経済成長の鈍化、税や社会保障における負担の増大、地域社会の活力低下など、深刻な問題を引き起こすことが危惧されています」と書かれております。また、白書では、少子化の原因として未婚化の進展や晩婚化の進展及び夫婦の出生力の低下を挙げております。そして、これらの背景にあるものとして、仕事と子育てを両立できる環境整備のおくれや高学歴化、結婚・出産に対する価値観の変化、子育てに対する負担感の増大及び経済的不安定の増大等を取り上げております。
 本県にかかわる記述をこの白書で見ますと、二〇〇二年に一年間で子供さんが一人しか生まれなかった北山村が紹介されておりました。ちなみに、人口は六百三十五名で、わずか一人でございました。さらには、これから二十五年後の生産年齢人口、十五歳から六十五歳までのいわゆる働き手人口がこれから二十五年後は三〇%減少になって七〇%になると。これも、ほかの県で見ますと、秋田、長崎、山口に次いでワースト四位。要するに、二十五年後は十五歳から六十五歳までの働き手の方は今の七割しかいない、こういう実態でございます。
 御承知のとおり、一昨年、国会において、子供を産み育てる者が真に誇りと喜びを感ずることのできる社会を実現し、少子化の進展に歯どめをかけることをねらいとした少子化社会対策基本法と、具体的な行動計画づくりを自治体と企業に求めた次世代育成支援対策推進法が成立しました。政府が自治体、企業と一体となって国家政策として次世代育成支援を進め、家庭や地域社会における子育て機能の再生を目指すこととしたものであります。
 県は、法の施行に伴い、今月末までには向こう十年間の取り組み計画を策定し、集中的・計画的に実効性のある施策・事業を着実に実施しなければなりません。国の行動計画策定指針を見ますと、県が計画に盛り込むべき事項として、大項目だけでも、地域における子育ての支援とか教育環境の整備、生活環境の整備など七つの分野にわたっておりまして、具体的取り組みが明示されております。国の並々ならぬ意気込みが感じられるわけでありますが、私はこの少子化対策は単に出生率をアップさせるということではなくて、子供や女性の視点に立って子育て支援策を考えるべきだと思います。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 今日の出生率の低下は、まさに未曾有の緊急事態であります。今回の少子化対策に空振りは許されないのであります。新世紀を切り開く若いエネルギーを確保する上からも本県の取り組み姿勢が問われる最重要課題と考えます。少子化への県の取り組みについて、知事の基本的な考えと具体的な取り組み体制についてお伺いいたします。
 次に、企業における少子化対策についてであります。
 今回の次世代育成支援対策推進法では、企業が果たすべき役割にも踏み込んでおります。従業員が三百人を超える企業に対しては、父親の休暇取得の促進や利用しやすい育児休業制度の実施、短時間労働勤務制度の実施、さらには所定外労働の削減、ワークシェアリングの実施等々、仕事と子育ての両立支援や働き方の見直しなどの対策を盛り込んだ計画づくりを義務づけております。
 残念ながら、主務大臣への届け出は策定事実の届け出のみで、公表義務は見送られました。また、従業員三百人以下の事業主は努力義務にとどまっております。企業におけるこうした少子化対策への取り組みこそが必要であります。効果の上がる対策であることを大いに期待しているところであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 こうした取り組みの促進について、国の労働関係機関とも力を合わせ、厳しい経済環境のもと、具体的にはどのような対策を講じて企業における少子化対策の取り組みを促進していかれるのか、知事の積極的かつ明快な御答弁をお願いします。
 次に、最後の項目になります。金融機関の経営統合とペイオフ全面解禁についてお伺いします。
 最初に、和歌山銀行の紀陽銀行への経営統合の申し入れについてお尋ねいたします。
 昨年十一月、株式会社和歌山銀行は株式会社紀陽銀行に対し経営統合の申し入れを行いました。経営統合の申し入れの趣旨は、経営統合による業務面、店舗ネットワーク面での経営効率の向上を図り、収益基盤を拡充することでさらなる経営体質の強化と安定を図ることにあります。現在、これも三月末までをめどとして相互に協力し、協議が進められているところであります。
 本県経済は依然厳しく、多くの地場産業を支えます中小企業は業種等によって苦しい経営を余儀なくされております。一方、雇用情勢も厳しい環境の中にあります。また、地方銀行が一行のみになり、県民の金融機関の選択範囲が著しく狭められ、金融の窓口が狭まり閉塞状態に陥ると言っても過言ではありません。さらに、従業員の雇用のみならず、新卒者の雇用にも大きな影響を及ぼします。金融機関の経営統合は県民、特に中小企業者にとって最大の関心事でもあります。中小企業の資金需要に対応していくためには、県の制度融資や金融機関と県信用保証協会の役割が重要であります。とりわけ県信用保証協会の審査業務、期中管理などの機能強化が強く望まれます。
 県は先月二月十五日、木村良樹知事名をもってこの経営統合に関し、紀陽銀行と和歌山銀行に対して、本県経済のさらなる活性化、中小企業の資金需要への配慮、従業員の雇用の維持・確保などへの配慮を求める要請をされました。紀陽銀行と和歌山銀行の経営統合の検討・協議への申し入れについては知事に、また中小企業への円滑な資金供給については商工労働部長にお伺いいたします。
 最後になりました。ペイオフ全面解禁に向けた取り組みについてお伺いします。
 皆様御承知のとおり、金融機関が万が一破綻した場合、預金のうち一千万円とその利息額を超える部分が一部カットされますペイオフ制度について、平成十四年四月に定期性預金が一部解禁となり、同年十二月の預金保険法改正による延長等を経て、いよいよ本年四月に全面解禁されることになりました。地方公共団体の公金預金についても同様に取り扱われます。
 全国の多くの自治体では、ペイオフ全面解禁に向けて無利息、要求払い、決済サービスの提供という三機能を備え全額保護される決済用預金の導入等の対策を進めているようです。万が一金融機関が破綻し、県の公金預金の一部がカットされるような事態になれば、県行政の運営に重大な影響を及ぼすことになります。こうしたことは絶対にあってはならないことであります。
 決済用預金に預けておけば公金は全額保証されることでしょう。しかしながら、地方自治法では最も確実かつ有利な方法で効率的に運用しなければならないとの規定もあり、決済用預金は安全であっても利息を生まない金融商品であります。県民の財産である公金の安全を図るのは当然でありますが、一方でいかに有利に運用するかという問題もあるわけであります。
 そこで、出納長にお尋ねいたします。
 本県では、四月からのペイオフ全面解禁に向け、決済用預金の導入の有無を含めてどのような対策を講じ、どのような方法で公金を管理していくのかお伺いをいたしまして、私の第一回目の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 「稲むらの火」のエピソードと和歌山県を防災先進県にという御質問でございます。
 先般のスマトラ沖の地震・大津波では、こういう津波の知識というものを持っているか持っていないかということが命の分かれ目になるというふうなことを経験したところでございまして、その中で、この浜口梧陵翁の「稲むらの火」のエピソードが大きく全世界的にクローズアップされることになったわけでございます。マスコミも連日報道いたしましたし、また国連の防災会議でも話題になったというふうに聞いております。
 和歌山県では、この浜口梧陵翁が初代の県議会議長でもあったということで非常にゆかりが深いということ、そしてまた東南海・南海地震で非常に影響を受ける中心的な県であるということもありまして、このエピソードというものを大きく今後の防災活動に役立てていこうというふうに考えております。
 一つは、学校の教科書等に新たにこのエピソードを入れてもらうような運動、これはなかなかすぐにはできないようでございますけれども、こういうことを地道に行って、国の方でも漫画をつくるというような動きが出ているというようなことなので、こういうふうなことの働きかけをしてまいりますし、それから今、広川町の方に広川町と共同で浜口家の屋敷のところに津波防災教育センターをつくるということで進めておりますけれども、これの中でもこの「稲むらの火」の問題というものとあわせてPRすることによって、この地域に人が集まってきて津波の恐ろしさというものを全国的に広報・宣伝する非常に大きなセンターになるのではないかと思っております。
 さらにはまた、現代版「稲むらの火」というふうなやり方についてのアイデアというものを募集をいたしまして、こういうふうなことでの新しい施策を打っていって、県民の人が津波のときに助かるように、いろんなことにこの「稲むらの火」というものを活用していきたいというふうに思っております。
 次に、第二阪和道路の建設促進の問題でございます。
 私もよく通るわけでございますが、途中で切れているということで非常に不便を感じているわけでございまして、おととし、和歌山北バイパスが開通し、さらには昨年、西脇山口線の供用が開始されたことで、和歌山市内ではこの効果によって非常に渋滞が解消されたということがあるわけですけども、さらにこれが大阪の方とつながるということが非常に大事な問題だというふうに思っておりますし、御質問にもありましたように、防災面とか救急医療の面でも非常に大きな役割を果たすものだと思っております。
 現在事業中のところの建設の促進を大阪府とともに達成するように努力するとともに、県境部分の未着手部分についても、和歌山の方からということもございます。そういうふうな方向で進んでいくように、事業化の決定がなされるように国の方へも強く要望していきたいと、このように思っております。
 それから、少子化への取り組みについての御質問でございます。
 少子化問題は、これはもう国を挙げての大変な問題というふうなことでございます。そういう中で、和歌山県でも少子高齢化が他県に先駆けて進んでおりまして、何と二〇三〇年には県の人口が八十八万人になるというふうな予測も出ているところでございます。
 こういう中で、次世代育成支援対策推進法に基づきまして、和歌山県でも少子化対策の行動計画というものをつくろうとしているところでございますけれども、この中では、一つは県民の各層の意見を聞いて計画をつくっていくということを行います。それから、和歌山県にも都市的な形態の地域と、そしてまた地方的形態の地域、いろいろな地域特性があるので、そういう地域の特性に合わした少子化対策ということを緻密に組み立てていこうということにしております。さらには、理念だけじゃいけないんで、数値目標を入れていこうということで、七十一項目の数値目標が入った計画をつくろうとしているところでございます。
 いずれにせよ、この問題は理念だけではなかなか進まない、地道な一つずつの取り組みということが少子化対策につながってくると思いますので、県政の中の最大重要課題の一つとして今後取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 さらに、企業における少子化対策が非常に大事なわけでございます。何といっても企業の理解がなければこの少子化がとまらないというふうな問題もあるわけでございまして、先ほど申しました次世代育成支援対策推進法でも、三百一人以上の企業についてはことしの四月一日までに行動計画を策定するということが義務づけられているわけでございますが、三百人以下の企業についてはそういうことになっていない、努力義務にとどまっているということでございます。
 ただ、和歌山県の場合は三百人以下の企業が大半を占めているわけでございますので、そういうところが努力義務だからというようなことで進まないということになるとこれは非常に問題が多いわけで、企業の方にも世の中がもう変わってきているんだというふうな認識、そしてまた、この少子化対策というものが役所や企業を挙げての重要な問題だということの認識を持ってもらうような努力を、経営者協会や国と協力しながら強力に進めていきたい、このように思っております。
 最後に、金融機関の経営統合の問題でございますが、現在、紀陽銀行と和歌山銀行が経営統合に向けて協議を行っているところでございまして、御質問にもありましたように、雇用問題に悪影響が出ないようにということとか、それから中小企業等の資金需要への対応への配慮ということを先般要望したところでございます。今後も引き続き、状況を把握したり意見交換を行ったりして、そういうふうな申し入れの目標が達成されるように努力を続けてまいりたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 出納長水谷聡明君。
  〔水谷聡明君、登壇〕
○出納長(水谷聡明君) ペイオフ解禁に向けた取り組みにつきましてお答えいたします。
 本県のペイオフ対策と公金の管理方法でございますが、安全性の点からは、借入金等の債務との相殺枠内で定期預金による運用を行っています。
 次に、有利な運用の点からは、国債、政府保証債、地方債など、元本の償還及び利息の支払いが確実な債券による運用を行っており、現在、基金総額約九百六十五億円のうち二百七十億円の債券を購入しています。
 また、日々の県の収入金や支出金を保管する歳計現金につきましてもできるだけ有利な方法で運用を行っていますが、一時的に歳計現金の残高が膨らみ相殺の範囲を超える場合がありますので、公金の保護に万全を期するため、全額保護される決済用預金の活用を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 住宅耐震化促進の関係についてお答え申し上げます。
 きのくに木造住宅耐震化促進事業につきましては、平成十六年度より県内全域を対象に実施しており、耐震診断につきましては四十七市町村で今年度二千件余りを実施しているところでございます。また、平成十七年度につきましても、引き続いて県内全市町村に住宅の耐震化制度の必要性について指導・啓発するとともに、国の諸制度等を十分活用するなどして事業の促進に努めてまいります。
 次に、耐震事業のマニュアル化についてでございますが、耐震診断につきましては、県で認定した木造住宅耐震診断士が耐震診断マニュアルに基づき実施しております。また、議員御指摘のとおり、耐震補強工事については効果的かつ適正な施工が求められております。
 現在、紀州材を活用した補強工法も研究しており、今後も既存の工法のほか、新たな研究成果などを取り入れた事例集などをより充実させていきたいと考えております。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 公的建造物の耐震化についてお答えいたします。
 耐震化対策につきましては、昨年策定した地震防災対策アクションプログラムに基づき推進しておりますが、県有施設につきましては、まず耐震診断を行うため、庁内関係部局でワーキンググループを立ち上げ、対象施設や優先順位等を検討し、計画書を作成するとともに、これに基づき平成十七年度から三カ年をかけ耐震診断を実施いたします。今後、これらの診断結果をもとに耐震改修も計画的に推進してまいりたいと考えます。
 また、災害発生時の応急対策の拠点や住民の利用施設等につきましては、優先的に耐震化を進めてまいりたいと考えております。その中心となる県庁舎、警察本部庁舎等につきましては、十七年度から耐震改修工事に着手されます。このほか、小中学校や市町村等の公的施設につきましても、耐震化を促進するため関係機関等に働きかけてまいりたいと存じます。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 社会福祉施設の耐震化についてお答えを申し上げます。
 現在、県内には入居型の社会福祉施設が百四十四施設ございます。そのうち、建築基準法の改正により耐震基準が大幅に変更された昭和五十六年以前に建設され改修等がなされていないものが三十八施設と把握しております。
 議員御指摘のように、社会福祉施設は災害時要援護者の方などが入居されておりますし、また、さきの新潟中越地震時には高齢者の方々の有効な避難場所となったように、災害時における利活用も考えられております。
 これまで、老朽化の進行などにより緊急性の高いものを優先しながら順次計画的に改修等整備を行う中で耐震基準の適合にも取り組んでまいっておりますけれども、現在、知的障害者更生施設由良あかつき園や児童養護施設こばと学園などの整備を進めているところでございます。
 今後とも、県有施設の耐震化はもちろんのこと、市町村や民間の施設管理者に対し耐震化の促進等について指導・助言を行いますとともに、国に対しましても耐震化対策に対する施設整備の優先採択や制度の充実等を強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 中小企業への資金供給についてお答え申し上げます。
 中小企業への金融支援等につきましては、随時、保証協会や金融機関と意見、情報を交換するなど、連携を強化しているところでございます。この結果を踏まえ、平成十七年度県制度融資において、無担保・第三者保証人なしで利用できる「元気わかやま資金」の創設や、ニーズの高い借りかえ資金制度を拡充するなど、中小企業の資金調達の円滑化を一層支援することとしております。
 また、中小企業が必要な事業資金を円滑に調達する上で信用保証協会の果たす役割は重要になってくるものと考えてございます。保証協会では、県と協調し中小企業への積極的かつ弾力的な保証業務に取り組んでいるところであり、また、蓄積している情報、ノウハウや専門的人材等を活用し、運転・設備資金、創業資金、資金繰りなどへの助言・指導など、多様な資金ニーズにきめ細かく対応しているところでございます。
 今後も、財政基盤への支援等を通じ、このような保証協会の取り組みをさらに推進してまいりたいと考えてございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 防災教育についてお答えいたします。
 まず、「稲むらの火」の教材化の推進については、教育委員会内における推進プロジェクトと同時に、地元広川町にも関係者から成る稲むらの火協議会を設置し、積極的な取り組みを進めているところです。
 このたび、ある教科書会社が作成した小学校六年生の道徳の副読本に「稲むらの火」の話が取り上げられました。教育委員会としては、今後作成される教科書への掲載を視野に入れ、文部科学省や教科書会社に対する働きかけを強めてまいります。
 また、日本の防災研究の第一人者である京都大学・河田惠昭氏が理事長を務めるNPO法人環境防災総合政策研究機構において漫画による浜口梧陵伝を出版する企画があり、こうしたさまざまな関係機関との連携・協力も行ってまいります。
 さらに、防災教育全般については、高校生防災ボランティアスクールなどを通して地域の防災を支える若い力の育成に努めるとともに、昨年度策定した「学校における防災教育指針」に基づき、各学校において児童生徒の防災意識を高めるための具体的な取り組みが進むよう指導してまいりたいと思っております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十六番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま、知事並びに関係部長から積極的かつ前向きの御答弁をいただきまして、大変ありがとうございました。
 一、二点だけ、要望にさしていただきたいと思います。
 まず、いわゆる「稲むらの火」をなぜ今回テーマにしたかと言いますと、やはり言わんとするところは、災害に備えよ、また事前の対策に万全を期してこれをいざというときに実践せよと、こういう趣旨だと思います。そういった意味で、現在いろんな防災ボランティア登録制度も設けられておると思いますし、また各種──いろんな業種ございますね。トラック協会だとか海運業界であるとか、そういったところとのいわゆる協定を結ばれていると思います。そういったものを日ごろから、コミュニケーションを図るというか、危機管理監のもとで行われていると思いますけれども、より実効性のあるものとするために、この体制づくりとか、いざというときはどういう形で要請をするのかといったことも含めて──じゃ実際に機材はあるのかといった、例えば建設業界であるとブルドーザーであるとかユンボであるとか、そういったものが本当にあるのかどうかという、そういったことも含めまして体制の打ち合わせ等もさらにきちっと行っていただきたいということであります。
 それから、減災のためのハード・ソフトの整備につきましては、これも際限はないと思いますから、一定の数値目標というものも決めて設定をして取り組んでいかれたらいいんじゃないかと思います。
 それと、第二阪和国道、これはもう本当に県民、市民の願いでもございます。本当に知事の方から前向きの御答弁いただきました。事業化に向けてという、これは大変重みのある一言だと思いますし、ぜひひとつお取り組みを。──まあ、国のあることでございますから、何ぼ言っても。ぜひまた頑張っていただきたいと思います。
 それから、最後になりますけれども、少子化対策であります。
 この少子化対策、ともすれば何か産めやふやせやという雰囲気にもなりかねませんけれども、やはりしっかりとサポートすることはしっかりしていくと。そういう中で、子供を持つ人、持たない人も含めた女性の意見を十分反映されるような仕組みを取り入れることが大事だと思います。あくまでも女性の自己決定を支援できる施策が望まれるわけでございますので、その周辺整備といいますか、周辺の環境整備。
 例えば、緑の雇用事業でどんどん和歌山に五百二十四人来ていただいて、お子さんがいると。お子さんがいて、じゃ、どこの学校へ行くんや、どうして教育するんやという、そういう課題も残ってございます。一方では、ほほ笑ましい課題もございます。緑の雇用で和歌山に来られて地元の方と結婚されたとかですね。その後のサポートをしていくということも大事だと思いますので、この点も要望さしていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は三月七日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時五十二分散会

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