平成17年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十七年二月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
 平成十七年三月四日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第二十号から議案第三十八号まで及び議案第九十二号、並びに報第一号、報第二号及び報第六号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
  第二 議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百二十七号まで、並びに報第三号から報第五号まで及び報第七号(質疑)
  第三 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第二十号から議案第三十八号まで及び議案第九十二号、並びに報第一号、報第二号及び報第六号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
   二 議案第百二十八号から議案第百三十二号まで(当局説明)
   三 議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百三十二号まで、並びに報第三号から報第五号まで及び報第七号(質疑)
   三 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       前   川   勝   久
     二十六番       山   下   大   輔
     二十七番       木   下   善   之
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     四十五番       松   本   貞   次
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      白   原   勝   文
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       楠   本       隆
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    高   垣   博   明
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課副主査     楠   見   直   博
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十時二分休憩
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  午前十一時二分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第一、補正予算等議案、議案第二十号から議案第三十八号まで及び議案第九十二号、並びに知事専決処分報告報第一号、報第二号及び報第六号を一括して議題とし、順次、常任委員会委員長の報告を求めます。
 文教委員会委員長原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○文教委員会委員長(原 日出夫君) 文教委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案一件であります。
 委員会は、二月二十五日、第六委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第二十号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上をもちまして、文教委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(小川 武君) 総務委員会委員長江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○総務委員会委員長(江上柳助君) 総務委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案六件、知事専決処分報告二件であります。
 委員会は、二月二十五日、第一委員会室において開催し、医科大学、看護短期大学部、出納室、人事委員会事務局、監査委員事務局、選挙管理委員会、県議会事務局、知事公室、企画部、総務部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第二十号、議案第二十六号、議案第二十七号、議案第三十一号、議案第三十二号及び議案第三十四号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。知事専決処分報告報第二号及び報第六号は、全会一致で承認されました。
 以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(小川 武君) 福祉環境委員会委員長須川倍行君。
  〔須川倍行君、登壇〕(拍手)
○福祉環境委員会委員長(須川倍行君) 福祉環境委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案三件であります。
 委員会は、二月二十五日、第二委員会室において開催し、環境生活部、福祉保健部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第二十号、議案第二十五号、議案第三十五号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託議案に係る各委員の主な質疑項目を申し上げますと、福祉保健部関係では、救急医療対策の医師確保について、ノロウイルス等による感染性胃腸炎対策についてただされました。
 以上をもちまして、福祉環境委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(小川 武君) 経済警察委員会委員長尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕(拍手)
○経済警察委員会委員長(尾崎太郎君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案三件であります。
 委員会は、二月二十五日、第三委員会室において開催し、公安委員会、商工労働部・労働委員会の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第二十号、議案第二十四号及び議案第二十八号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託議案に係る各委員の主な質疑項目を申し上げますと、商工労働部関係で、電源立地交付金事業について、県営競輪事業についてただされました。
 以上をもちまして、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(小川 武君) 農林水産委員会委員長東 幸司君。
  〔東 幸司君、登壇〕(拍手)
○農林水産委員会委員長(東 幸司君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案五件であります。
 委員会は、二月二十五日、第四委員会室において開催し、農林水産部から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第二十号から議案第二十三号までは全会一致をもって、議案第九十二号は賛成多数をもって、原案のとおり可決すべきものと決しました。知事専決処分報告報第一号は、全会一致をもって原案のとおり承認すべきものと決しました。
 次に、付託議案に係る各委員の主な質疑項目を申し上げますと、紀の川用水土地改良区貸付金について、緑の雇用担い手住宅の整備について、水産試験研究機関の建設スケジュールの変更理由について、わかやま森林と緑の公社事業についてただされました。
 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(小川 武君) 建設委員会委員長前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○建設委員会委員長(前芝雅嗣君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案八件であります。
 委員会は、二月二十五日、第五委員会室において開催し、企業局、県土整備部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第二十号、議案第二十九号、議案第三十号、議案第三十三号、議案第三十六号から議案第三十八号及び議案第九十二号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託議案に係る各委員の質疑項目を申し上げますと、企業局関係では、電気事業における資産売却収入の使途及び事業廃止に伴う清算並びに駐車場事業の債務の償還について、県土整備部関係では、災害復旧事業の国の採択状況について、土木費、農林水産業費の減額補正についてただされました。
 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(小川 武君) 以上で、常任委員会委員長の報告が終わりました。
 これより、委員長の報告に対する質疑に入ります。質疑はありませんか。──質疑なしと認めます。
 次に、討論に入ります。
 まず、松坂英樹君から反対討論の通告がありますので、これを許可いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 日本共産党県議団を代表いたしまして、議案第二十八号、三十六号、三十七号、九十二号に反対の立場から討論をいたします。
 まず議案第二十八号の競輪事業特別会計については公営ギャンブル反対の立場から、議案第九十二号の市町村負担金については市町村からの負担率軽減の要望にこたえていないという点で反対です。
 次に、議案第三十六号は電気事業会計補正予算です。今回の補正議案は、行政のスリム化、民間にできることは民間にと企業局を廃止することとし、電気事業を関西電力に譲渡するため、発電所などの資産を処分し、剰余金を駐車場事業会計と工業用水道事業会計に譲るというものです。県民にとって企業局廃止の方針や水力発電所の関西電力への売却方針の決定は突然で、地元住民からは民間への売却によりダム水位が不安だという声が上がりました。しかし、県は発電所は売るがダムは売らないから大丈夫として、売却を押し切ろうとしています。この間のダム操作改善への努力は一定の評価をするものですが、水利権をそっくりそのまま関西電力に譲り渡すことにより、平常時のダム水位を下げて集中豪雨や地震対策に備えてほしいという声にはこたえるものになっていません。
 将来の電気事業経営に不安を持つのであれば、ケース・バイ・ケースでいろいろな解決方法があったはずです。熊本県では、県営荒瀬ダムと発電所の廃止に向けて、自由化までの七年間かけてダム撤去の費用まで含めた計画を立てました。和歌山県としても、さまざまな選択肢を検討し、県民合意を得られるような議論をすべきであったと思います。よって、県民の不安を押し切った形での発電所売却には反対であります。
 最後に、議案第三十七号の土地造成事業会計については、昨年の補正予算審議でも収益が当初売却見込みの半額にとどまっていることや販売単価が造成価格を下回っている点を指摘して反対しましたが、今年度はさらにひどくて当初の売却見込みのわずか一割しか収益がなく、事業計画の甘さの総括も責任の所在もはっきりしないという問題点を指摘して反対をするものです。
 以上で、反対討論を終わります。
○議長(小川 武君) 次に、谷洋一君から賛成討論の通告がありますので、これを許可いたします。
 二十二番谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 お許しをいただきましたので、自由民主党県議団を代表いたしまして、本二月定例議会に提案されている平成十六年度補正予算議案等に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。
 なお、新生わかやま県議団、公明党県議団、県民クラブ、無所属クラブの各会派も賛成という立場で同じ認識のもと、私の方から討論させていただきます。
 まず、一般会計補正予算議案につきましては、国の十六年度補正予算に応じ、本県における災害対策に資する公共投資や情報通信網、社会福祉施設の整備等、緊急に実施すべき事業への対処が盛り込まれておりますが、いずれも県民の命と暮らしを支える上で重要な施策であり、機を逸することなく円滑な執行を望むものであります。
 また、公共事業など各事業の進捗実績見込み等を踏まえ所要の補正を行うとともに、次年度以降の財政負担の軽減を図るための県債の繰り上げ償還を図るなど、今後の適正な財政運営に向けた措置も施されているものと認識しております。
 特別会計につきましても、おおむね一般会計同様、実績を的確かつ適正に反映した補正となっておりますが、その中で電気事業会計につきましては、企業局が所有する発電所を関西電力に売却し事業を廃止するに当たり必要な所要の措置を講ずるものであり、来るべき電力の自由化も見据えた時宜にかなった適切な措置であります。
 また、土地造成事業会計につきましては、企業用地を取り巻く厳しい経済状況の中、企業債の借りかえによる効率的な運営を図るものであり、適正な内容であります。
 ほかの関連議案につきましても、補正予算計上に伴い必要になる措置であり、必要かつ適切なものであります。
 以上申し上げた認識のもと、我々自由民主党県議団そして各会派といたしましては、今議会に提案されている諸議案のうち平成十六年度補正予算議案等の先議案件について原案どおり成立することを期するものであることを申し上げ、賛成討論とさせていただきます。
○議長(小川 武君) これをもって、討論を終結いたします。
 これより採決に入ります。
 まず、議案第二十八号、議案第三十六号、議案第三十七号及び議案第九十二号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(小川 武君) 起立多数であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 次に、議案第二十号から議案第二十七号まで、議案第二十九号から議案第三十五号まで及び議案第三十八号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(小川 武君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 次に、知事専決処分報告報第一号、報第二号及び報第六号を一括して採決いたします。
 本件に対する委員長の報告は、いずれも承認であります。
 本件を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(小川 武君) 起立全員であります。よって、本件はいずれもこれを承認することに決定いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十二分休憩
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  午後一時二分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第四十四号から議案第四十八号まで、議案第五十号、議案第五十一号、議案第五十四号、議案第五十五号、議案第八十一号、議案第八十七号及び議案第八十九号は、いずれも職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 次に、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 お諮りいたします。ただいま報告の議案第百二十八号から議案第百三十二号までを本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 議案第百二十八号から議案第百三十二号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案について、御説明を申し上げます。
 議案第百二十八号から第百三十一号は、平成十六年度予算のうち用地取得の遅延等により本年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして平成十七年度に繰り越して使用することをお願いするものでございます。
 議案第百三十二号は、町村の廃置分合について議決をお願いするものでございます。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
○議長(小川 武君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 次に日程第二、議案第一号から議案第十九号まで、議案第三十九号から議案第九十一号まで及び議案第九十三号から議案第百二十七号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第五号まで及び報第七号、並びに追加提出議案議案第百二十八号から議案第百三十二号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 七番門 三佐博君。
  〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 皆さん、こんにちは。
 このたび、平成十七年度県予算初め重要諸案件を御審議されます県議会本会議の一般質問冒頭におきまして、議長のお許しを得まして質問の機会を与えていただきました議員の皆様方に深く感謝を申し上げまして、これより通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 最初に、二期目の木村県政についてお尋ねいたします。
 ことしは太平洋戦争の終戦から六十周年に当たり、人の人生に例えればちょうど還暦を迎えたことになります。日本人の一人としてこれまでの六十年間を振り返り、まことに感慨深いものがございます。
 私は小学校三年生のときに終戦を迎えましたが、子供ながらに、あらゆる物資が不足し、耐乏生活を強いられていたことを覚えております。敗戦後の物心両面の欠乏感を克服すべく、日本国民は国を再建するという志を高く持ちながら一念奮起し、一人一人がそれこそ血のにじむような勤勉な努力を積み重ねてまいりました。その結果、敗戦から三十年後には、アメリカに次ぐ経済大国にまで上り詰めてきたのであります。我が国のこの勢いを称して「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とまで言われたほどでございました。
 しかしながら、「おごれる者は久しからず」という言葉のとおり、その行き先がバブルの崩壊を迎え、これまで国民の勤勉・努力によって築いてまいりました富や成功への自信が文字どおり水泡に帰してしまい、言いようのない喪失感に陥ったのであります。それ以来、「失われた十年」と言われる長い長い苦しい構造改革の時期を経ながら、民間企業を中心としたリストラなど努力を続けました結果、ようやく景気の回復が堅調になってきたところであります。これまでのような問題先送りばかりしていては本当の解決にはつながらず、確実に崩壊の危機を迎えてしまいます。改革を避けて通ることはできないという危機感を持ったことが、この試練の時期を経験した大きな教訓でありました。
 今、景気が少し安定している時期に、この教訓を生かし、今後起こり得る少子高齢化などによる経済規模縮小という新たな局面に対処できるように日本の社会・経済システムを改造することが必要であると思います。このような時代認識、危機意識から、国に先導して地方を起点に独自の改革に取り組む知事や市町村長が多く出てまいりました。
 本県の木村知事は、このような時代の木鐸とも呼べる改革者の一人であると思います。木村知事は、これまでの緑の雇用事業、一・五車線道路など、地方の実情に合った公共事業の促進、東南海・南海地震対策など「地方から国を変える」改革を先導されてきました。今や木村知事は新聞、テレビなどのマスコミの脚光を浴び、増田岩手県知事、片山鳥取県知事などと並ぶ改革派の雄の一人として取り上げられるほどでございます。昨年の知事選挙におきましては、木村知事は一期目の実績への信頼とそれを踏まえたさらなる改革への期待を一身に集め、見事再選されましたが、このことにより改革派知事としての評価を不動のものにされたと思います。
 木村知事は、昨年九月議会における知事就任直後の就任あいさつにおいて、創意と工夫を凝らし、独自の発想による改革と発展の県政、自立型経済構造への転換や新ふるさと創りの推進により自立と交流を図る県政、安全で安心な県民生活を確保する最小不安社会の実現を基軸にした県政を進めていくことを強く表明されました。また、多くの県民との対話を重ねていくことで、県政に対しさまざまな提言や要望、中には大変厳しい意見もあることを承知しながら、今後ともさまざまな機会を通じ積極的に県民の意見を聞き、県政に生かしていくと述べられておられます。そして、何よりも生活・生産活動の現場からの発想を大切にし、生活者の視点から地に足のついた着実な行政を進めていくとされておられます。
 私は、このような木村知事の考え方に賛同する者の一人でございます。ぜひこの考え方を二期目県政の基本に据えていただきたいと思っております。私ども県議会議員や市町村長、市町村会議員を初め県民の県政に対する声を率直に受けとめていただき、県民の願いをかなえる県政を進めていただきたいと願っております。
 以上、私なりに木村県政への思いを申し上げてまいりましたが、ここで改めて知事にお尋ねします。
 二期目県政の理念、どのような県政を目指していくか、お示しいただきたいと思います。
 次に、平成十七年度予算についてお尋ねします。
 平成十七年度予算は、木村知事の第二期県政のスタートの予算であります。先日の冒頭説明において知事は、「これまでの取り組みをリセットし、新しい県政を開くという決意のもと、県民の皆様との対話を通じ「県民の想いをかなえる県政」を進め、自信と誇りを持つことができる和歌山の実現に取り組む」と、さらに、「いま一度和歌山から日本を変えるという改革の原点に戻って、県内各地で行われている地産地消、地域福祉、子育て、防犯、観光振興等のNPO活動を初め住民による地域活性化の取り組みに対し積極的に支援を行うなど、やる気にあふれた出るくいを伸ばし、新しい和歌山モデルの構築を目指したい」と表明されております。
 また、昨年の知事選挙において木村知事は、「私の政策宣言」という表題でいわゆるマニフェストを掲げ、戦われました。その後、ことしの新春の記者会見では、知事選挙で掲げたマニフェストの実現に向けて「わかやま改革と発展の政策~一三四の重点項目~」を発表されました。そこでは、マニフェストに掲げている施策を網羅してその具体的な取り組み内容及び工程を記載しております。マニフェストに掲げられております五十九件の数値目標については最優先の数値目標としてその達成に積極的に取り組み、それぞれの重点項目については平成十七年度にほぼ着手済みとなる工程になっているとのことでございます。
 そこで、お尋ねいたします。
 まず、知事は今回の予算編成においてどのような基本姿勢で臨まれたのか、知事のマニフェストはどのように反映されているのか、お尋ねいたします。
 次に、国の三位一体の改革についてお聞きします。
 昨年の三位一体の改革では、国庫補助負担金の廃止・縮減額に比べて不十分な税源移譲と一方的かつ大幅な地方交付税等の削減が実施されたところであります。特に地方交付税と臨時財政対策債の合計は前年度に比較して二百八十六億も減額され、地方自治体は非常に苦しいやりくりを強いられたと聞いております。こうした苦しい経験から、平成十六年度は地方六団体が一丸となって地方分権を推進するための真の三位一体の改革を実施するよう国に働きかけを行ってきた結果、昨年の十一月二十六日の政府・与党が発表した三位一体の改革の全体像においては三兆円規模の税源移譲の実施が盛り込まれ、税源移譲の対象となる国庫補助負担金については、所得譲与税や税源移譲予定特例交付金による措置がなされる見込みとのことであります。また、地方交付税等につきましては、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保するという方針が示されたところです。本県のように地方交付税の依存度が高い県にとってはまことに喜ばしいことだとやや安心したものでございますが、実際のところ、平成十七年度予算における三位一体の改革の影響はどのようなものか、知事はどのように評価されているのか、お尋ねいたします。
 次に、財政改革プログラム、財政の健全化についてお聞きします。
 昨年十月、県は厳しい財政状況を踏まえ、持続可能な財政構造への転換を図るため、財政改革プログラムを発表されました。それによりますと、平成二十年度までに一千五十億円の財源が不足し、平成十八年度には何も努力しなければ財政再建団体に陥るという大変ショッキングな内容でありました。発表当時、知事も「財政再建に特効薬はない。必要な部分にはきちんとお金を使いながら地道なコスト削減を進めていくしかない」と決意を語っていましたが、平成十七年度予算は財政改革プログラム発表後初の予算編成でありますが、この財政改革プログラムと比較してどういう結果になり、どのように評価していくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、企業局の廃止についてお尋ねいたします。
 本県企業局は、昭和三十三年から今日まで地方公営企業として数多くの事業を実施し、一定の成果を上げてきたものと思いますが、いよいよ半世紀にわたる長い歴史にその幕をおろすことになりました。振り返りますと、佐田、岩倉、美山各発電所の建設を初め、有田川、紀の川工業用水道事業、海南港、和歌山南港の造成や吉備、桃山の工業団地の造成など、本県経済の発展に少なからず貢献するとともに、南白浜、潮岬有料道路の建設や和歌山マリーナシティの建設など、本県の観光振興に大きな役割を果たしてきたところでございます。この間、私も県政にかかわってきました一人としてさまざまな思いがあるとともに、一抹の寂しさを禁じ得ないというのが現在の心境でございます。
 バブル経済の崩壊以降、我が国の経済は長く厳しい時代が今日まで続き、公営企業を取り巻く環境も時代とともに大きく変化してきたことは私も承知しておりますが、今回、本県におきまして企業局を廃止するに至った最大の要因と現在実施している事業の今後の取り組みについて、企業局長の答弁を求めます。
 また、これに関連いたしまして、電気事業を関西電力株式会社に売却した後も県当局におけるダム管理に当たっては引き続き万全の体制で臨んでいただかなければならないのは当然でありますが、今後の対応について県土整備部長の答弁をお願いいたします。
 次に、国道四百八十号の和歌山県側、大阪府側の整備状況及び府県間トンネル建設についてお尋ねいたします。
 最初に、知事に一言お礼申し上げます。花園村村民が長年にわたり願望していました花園美里トンネル二千メートルが貫通されまして、来る三月二十五日、知事を迎えて完成式が行われることと伺っております。また、近く四百八十号梨子ノ木トンネルの着工もあり、本年十月一日よりかつらぎ町と合併されます花園村の村民にとりましては、北浦村長を初め皆様、大変喜んでおる次第でございます。知事初め御尽力を賜りました皆様に、本席をかりまして厚く御礼申し上げたいと思います。
 現在、紀北地方では、関西大環状道路の一部をなし、和歌山と奈良、京都を結ぶ京奈和自動車道や大阪府との連携を強化する第二阪和国道、国道三百七十一号、泉佐野岩出線及び国道四百八十号などの府県間道路を重点的に整備が進められております。ここ数年では、第二阪和国道の和歌山北バイパスや泉佐野岩出線の根来から備前間の供用、また大阪府側でも第二阪和の箱の浦ランプまでの延伸や国道三百七十一号の天見バイパスの一部が供用されるなど、着実にその整備が進められて府県間の交流・連携が強化されつつあることを感じる次第でございます。さらに、京奈和自動車道につきましては、橋本道路の早期供用に向け工事が急ピッチで進められている状況や奈良県内の整備の進捗を見ますと、地域の利便性向上のみならず、奈良、京都などとの大幅な時間短縮により世界遺産を結ぶ新たな観光ルートの設定など、観光振興や地域経済の活性化に大きな期待を抱くところでございます。
 こういった状況の中、私が今回質問いたしますのは、国道四百八十号の府県境部の整備についてであります。
 国道四百八十号は、大阪府泉大津からかつらぎ町、高野町を通り有田市に至る幹線道路でありますが、和泉市から那賀町の府県間の区間は特に幅員が狭小で線形も悪く、交通の難所となっております。このため、県では平成六年度からかつらぎ町四郷の平道路として整備が進められ、府県間トンネルの坑口付近までの区間についてはその姿が見えつつあります。地元の皆様方も大変整備に喜んでおります。一方、大阪府の約七キロメートル間は和泉市の父鬼バイパスとして整備が進められ、平成十五年三月に約一キロメートルが供用されましたが、残る区間が多く、大阪府の財政事情から和歌山県側に比べて進度が遅いように感じられます。
 こういった中、府県境トンネル部の国直轄代行事業採択を視野に入れ、平成十五年から国が調査を進めていると伺っております。道路は、ネットワーク化されてこそその効用を最大限に発揮されます。このネットワークが完成すると、国道二十四号から大阪外環状線道路でございます国道百七十号までは約二十分程度で結べることになり、世界遺産に登録された高野山などへの参詣には最も利便な道路でございます。産業・観光の誘致や通勤圏の拡大、伊都・那賀地方の基幹産業であるカキ、桃などの出荷などに大きな力を与えてくれるものと確信しております。早期完成を図るために、今までより以上に国、大阪府、和歌山県の三者が連携し、一丸となって取り組んでいくことが重要であると考えております。
 そこで、国道四百八十号の和歌山県側、大阪府側の整備及び府県間トンネル建設の状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお尋ねいたします。
 次に、県立医科大学の地方独立行政法人化に伴う法人の運営・管理の考え方についてお伺いいたします。
 現在、平成十八年四月の地方独立行政法人化に向けて検討が進められているとお聞きしております。この法人化により、医科大学の自主・自律性を高めることで医大を活性化し、大学の教育・研究機能の充実や県民への医療サービスの向上を目指すということで、これからの大学を取り巻く厳しい環境に適応する新たな手法として、私もこの法人化に期待し、注目しているところであります。
 本県の医科大学は、大学の教育・研究のみならず、県民の医療を守る中心的な機関でもあります。そういう県民の期待にこたえるために法人運営の体制をどう確立していくかということは非常に重要ではないかと考えます。法人化すると法人の運営全体の責任は理事長が負うことになりますが、県が法人を設立するということは法人の業務の最終的な責任は県にあります。法人化により今まで以上に自己責任や効率的な運営が求められることになるなどを考えると、学長一人に大きな負担を強いるのではなく、法人全体の運営と大学の教育・研究の運営をそれぞれの適任者が役割分担し、お互いが連携をとりながら法人を運営管理していく方が設置者たる県としても県民の期待や信頼にこたえられる運営体制ではないかと考えますが、木村知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、県立医科大学附属病院紀北分院の再編整備についてお尋ねいたします。
 この問題につきましては、私は去る十三年十二月定例県議会及び平成十五年二月定例県議会におきましても県立医科大学紀北分院の改築と充実について質問をさせていただきました。医科大学附属病院として、また橋本・伊都地域における保健医療の中核機関として紀北分院が果たすべき重要な役割にかんがみ、できるだけ早期に整備充実を図られたい旨の要望をし、木村知事の基本的な考え方をお伺いしてまいりました。
 平成十五年二月の定例議会では、木村知事からは「私自身としても、紀北分院の重要性、和歌山県の歴史、そして今の施設の老朽化の状況は理解している。医大のあり方懇談会で紀北分院のあり方についても提言をいただくようになっており、どういう運営形態で、どういう診療科目で、どういう形で紀北分院が一番役に立つようなやり方にしていくのか真剣に検討していく」、こういう趣旨の答弁をいただきました。
 その後、医大のあり方懇談会の提言を受け、昨年五月に策定された和歌山県立医科大学改革基本方針において、紀北分院については「多科にまたがる幅の広い医療に対応できる総合診療医の養成が強く求められており、紀北分院は地域に密着した病院として総合診療医を養成するフィールドとして最も適しており、大学附属病院本院の教育・研修機能を補完し、今後一層重要な役割を果たしていくため、大学附属病院として存続する必要がある」とし、紀北分院の存続を明確に表明していただきました。この木村知事の決断は、紀北分院の充実について幾度か県の方針をお伺いしてきた者といたしまして大変心強く、また大きな前進であると評価しているところでございます。
 しかしながら、その施設整備については、「耐震化など抜本的な医療環境整備について財政状況も勘案しながら早急に具体的に検討する必要がある」として、「県立医科大学全体の法人化の中で検討するものとする」となっており、いつから着手するのかといった具体的な整備計画には全く触れられておりません。現在、三位一体の改革等により県財政を取り巻く環境は非常に不透明で厳しいものがあることは十分理解しているところでございますが、紀北分院の存続を決断していただいた今日、地元の強い要望もあり紀北分院の現状から考えて早期に施設の整備に着手すべきではないかと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、山本博之和医大学長にお尋ねいたします。
 山本学長には、公園前の前の医大から現地に統合移転されるその直前から学長として御就任され、二期八年間を無事に勤め上げ、このほど任期満了により御退任されることを伺っていますが、人の生命にかかわる医療という大変重要な職種の上に大きな組織を運営する責任者として気の休まる時間もなく献身的に御尽力されましたことに、私も公私にわたり大変お世話になっている一人といたしまして心から敬意を表し、感謝申し上げたいと思います。これからは、豊富な御経験を生かされ、本県の発展と和医大の進展のため御健康で御活躍されますことを心からお祈り申し上げます。きょうは御出席、御苦労さんでございます。
 また、紀北分院の充実については、設置者である木村知事にただいまお伺いいたしましたが、現場の責任者として山本学長にもお尋ねいたしたいと思います。
 検討委員会、紀北分院のあり方懇談会のたび重なる御審議の結果、広範な領域の診療ができる総合診療医の育成を初め、地域のニーズにこたえる医療機関として充実を図るべく、今年度予算の中にも調査費の計上がされております。山本学長も、いつも紀北分院の充実については深い御理解を示され、地域に密着した診療科目を充実したいと主張されておりました。このほどの御勇退に際し、後継の学長にもこの考え方を力強く引き継いでいただきたいということを要望申し上げますので、御所見をお伺いいたしたいと思います。
 次に、治安維持について警察本部長にお尋ねいたします。
 本県における治安情勢につきましては、当局の御努力により昨年の刑法犯認知件数が七年ぶりに二万件を下回りましたが、殺人、強盗などの重要犯罪の増加を初め、刑法犯検挙件数の約四割は次代を担う少年であるなど、決して予断を許さない状況にあると認識しているところであります。今後の治安情勢を見据え、本県の警察官の増員については、知事を初め関係当局の御尽力によりまして平成十四年度から三年間にわたり相当数を確保していただいたのを初め、空き交番の解消として交番相談員の増員により体制の強化が図られてきておると伺っております。
 しかしながら、先ほど来の話のとおり、現下の治安情勢はまことに厳しく、特に県民の身近なところにおける治安回復や犯罪防止について県民が不安を感じているのではないかと危惧しているところでございます。
 今後、県警察が犯罪抑止に向けて安心・安全基盤づくりを推進するためには、地域や関係機関との連携はもとより、より多くの警察官を街頭に繰り出した街頭活動の強化と事件・事故の対応で不在になりがちな交番をできるだけ少なくすることが大事だと思うのであります。このために、交番への警察官増員を初め、警察官の増員と同じ効果が期待できる交番相談員の拡充を図る必要があり、貴重な経験や知識を有する警察官OBの交番相談員等への活用が不可欠であります。街頭活動の強化と空き交番の解消という両輪がうまくかみ合って初めて県民の治安に対する不安の解消が図れるものと確信しております。
 そこで、警察本部長にお尋ねいたします。
 警察官の増員を含め、今後空き交番対策についてどのように取り組んでいかれるのか、御見解をお伺いいたします。
 最後に、市町村合併に伴う警察署の管轄区域についてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
 現在、県下の警察署の配分は、市や郡、生活エリアを軸とした市町村の範囲に、しかもそれぞれ地域の人口規模、社会的な条件を勘案され設置されているものと思います。しかし、市町村合併が進めば市町村のエリアが変わることから、警察署の管轄区域についても見直さなければならないと考えますが、このたびの市町村合併への対応について警察本部長のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴、どうもありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの門三佐博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの御質問にお答えを申し上げます。
 二期目の県政に当たってどういうことを考えているのかということでございます。
 私は、一つには今御質問の中にもありましたように、今日本の国は本当に未曾有の変革期と。少子高齢化も大変な勢いで進んでいくわけですし、お隣の中国の大変な隆盛というふうなことも、ありとあらゆる環境の変化というふうなものが今まで考えられなかったようなスピード、規模で起こりつつあると。そういうふうな時代認識のもとに、この和歌山県がそういうふうな時代の流れの中から取り残されることのないように、時代に即応したような県政ということをまず目指していきたいというふうに思っております。
 それから、第二点目には、やはりそういうときにどういう形でやっていくかということになると、この和歌山県が持っているよさというふうなものを伸ばしていくことが大事だし、またそのことによってしか県勢の進展ということはなかなか望めないのでないかと。例えば、和歌山県のすばらしい歴史であるとか自然とか、こういうふうなものを観光とかいろんな形で全国に売り出していくことも一つですし、それからすばらしい地場産業とか技術、こういうふうなものに磨きをかけて和歌山県ここにありというふうな形で示していくことの手助けというふうなことも大事です。
 それから、もう一つは農林水産業。こういう第一次産業というふうなものがこれからの時代に非常にまた別の意味で重要性を増してくる。そういうふうな時代性に合わせた施策をとっていくということも大事だと、こういうふうに考えて、そういうことから県の自立性を高めていきたい、このように思っております。
 それからまた、近年見られるように、非常に弱者の人に厳しい、能力主義ということは非常にそういうふうな面で厳しい時代になりつつあるというふうなことで、県政のやっぱり一つの柱として弱者の人に対する目配り、気配りということを忘れない、そういう人に優しい県政ということを実現していきたいというふうに思っておりますし、そしてまた、ともすれば今いろんなところで──具体的には申しませんけれども──自治体の行政と世間一般の常識というものの乖離というふうなものがいろんなところで指摘されるようになってきておりますので、こういうふうなことのないように、普通の人の生活者の目線と行政というふうなものが大きく食い違わない県政というものを四つ目には目指していきたい、このように考えているところでございます。
 そういう中でマニフェストをつくって予算編成をしたが、それが生かされているのかという御質問でございます。
 ただいまの和歌山県の財政状況は非常に厳しいわけですけども、厳しいからといって緊縮型で縮んでいては何も新しいことが出てこないということもありまして、昨年マニフェストをつくりまして県民の方にこういうふうなことをやっていきますということを数値目標を示してお約束したところでございますけれども、ある意味ではこれに基づきましての初めての予算編成ということで、一つは例えば産業の振興でありますとか雇用の促進ということについて二十四事業、六・八億円というものが予算案の中に入っておりますし、そしてまた都市との交流を進め地域の活性化を図るということで十四事業、二億円、そしてまた、県民の方の不安を最小にしていく最小不安社会の実現ということで十四事業、七・八億円というふうなものを含み、七つの分野にわたって百十事業、三十八億円というふうなものがこのマニフェストの、ある意味では初年度実現するものとして予算案の中に盛り込ませていただいたわけでございます。こういうふうなことを着実に実行していくことによって、数値目標と合わせた県政の達成度ということを住民の方によくわかっていただくような形で仕事を進めていきたいというふうに思っております。
 次に、三位一体の改革の影響ということでございます。
 三位一体の改革については、去年、非常に大きな騒ぎになったわけでございますけれども、そういう中で補助金、負担金の廃止・縮減が行われました。これに対する措置としては、一つは税源移譲に相当するものとして税源移譲予定特例交付金でありますとか、それから所得譲与税、こういうふうなものでこの補助金、負担金の削減額というものはおおむね補償をされたというふうな形になっておりまして、さらに足らない部分については交付税で面倒を見てもらうというふうな形になったわけなんですけども、実は一方で交付税制度の大きな見直しというふうな流れがありまして、その方の流れの中で、やはり和歌山県は来年五十二億円ほど交付税が減ってくるというふうなことがあります。そういうことを踏まえて、緊縮型の新年度の予算編成ということを行わしていただいたわけでございます。
 この三位一体の改革につきましては、去年大変問題になりました義務教育費の国庫負担金の問題、これについては税源移譲ということを地方六団体は要求しているわけでございますけども、その問題も積み残しになっておりますし、それから生活保護費の負担金でありますとか、それから児童扶養手当、こういうふうな地方に全然裁量の余地がふえないというふうなものについて対処していくというようなことを言ってて、これも今後検討するというようなことになっておりますので来年度もまた予断を許さない展開になると思いますが、地方の方が不利にならないように、そして地方分権化の進展にこの三位一体の改革ということが少しでも役立つようにいろんな形で国の方に意見を言っていきたいと、このように考えております。
 次に、財政改革プログラム。
 去年の十月に財政改革プログラムをつくったけれども、それにのっとって財政運営ができているのかというふうな御質問かと思いますが、この財政改革プログラムに従いまして、来年度の予算でも定数の削減、そして給与のカット、退職手当の見直しなど、歳出面での大きな縮減ということを行っております。そしてまた、事務事業の見直し、県債の発行の抑制等々、財政の健全化というふうなことに対応しておりまして、将来的に非常に厳しい状況が予想される財政運営に適正に、このプログラムにのっとった形で対応をできているというふうに考えております。
 しかしながら、御案内のように、近々団塊の世代の公務員の方々が一挙に退職時期を迎えるというふうなことにもなって、この退職手当の支給等、非常に大きな歳出のこぶができてくるというふうなこともございますので、引き続き──ある意味では三位一体の改革の中の十七年度、十八年度は猶予期間というふうな形にもなっておりますので、こういう機会にさらに財政の健全化に向けて努力をしてまいりたいというふうに思っております。
 次に、県立医大の独立行政法人化に伴う運営のあり方ということについての御質問でございます。
 この地方の独立行政法人につきましては、法律で一つは理事長と学長を兼務する形、それからもう一つはこの理事長と学長を分離する形、どちらを選ぶかということがその地方公共団体の判断にゆだねられているというふうなことになっているわけでございます。
 御質問の中にもありましたように、理事長と学長がそれぞれの分野を担って、そして両者がうまく相談し合いながら大学の運営を進めていくのがいいんじゃないかというお考え、これはもう非常に傾聴に値するものだというふうに思いますが、いずれにせよ、この問題につきましては現在、大学の関係者も交えてどういうふうな形でいくかということを検討しておりまして、この検討結果を踏まえてまた議会にお諮り申し上げたいというふうに思っているところでございます。
 それから、紀北分院の問題でございます。
 この問題につきましては、御質問の中にもありましたように、私も非常に積極的な回答を行っているわけでございますけれども、独立行政法人化の問題が一方にあるというふうなことの中で、この紀北分院についても独立行政法人化した大学病院のあり方ということと一体的に考えていかないといかんというふうな問題があるわけでございます。一定の考えの方向は出ているわけでございますけれども、さらにこの紀北分院の果たすべき機能、それから新たに付加すべき機能というふうなものについて、十七年度の当初予算に基礎調査費を計上いたしておりますので、この調査費をさらに活用して研究を進めていきたいと思っております。
 そしてまた、この紀北分院、私も何回か行ったことありますけども、施設が非常に老朽化してきているということもありまして、そういつまでも延ばしておけるような状況の問題ではないというふうな認識は現在持っているところでございますので、こういうふうな調査費を活用して今後のあり方を十分検討していきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 企業局長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○企業局長(楠本 隆君) 企業局廃止に係る二点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、企業局を廃止するに至った要因でございますが、御質問にもございましたように、企業局は昭和三十三年の発足以来、地方公営企業の特性を生かしながら多くの事業を実施し、県政の主要なプロジェクトに対しましても重要な役割を果たしてまいりました。しかしながら、公営企業を取り巻く環境も時代とともに大きく変化する中で、一つには、企業誘致を図るべく取り組んでまいりました土地造成事業が昨年度の日高港完成によりまして終了したこと、さらには来るべき平成二十二年の電力自由化に伴いまして発電事業の採算性の急激な悪化が予測されることから、関西電力株式会社との間で発電所の売却について合意が行われたこと、これらの結果、知事部局の各部と同等に位置づけられておりました局としての組織の必要性が低下し、よりスリムで効率的な体制へ移行すべき時期が来たものと考えまして、本年度限りで廃止を行うものでございます。
 次に、今後の各事業の取り組みでございますが、現在公営企業として実施しております四事業のうち、まず電気事業につきましては、電力自由化に対応するため、関西電力株式会社に企業局が所有する佐田、岩倉及び美山発電所を四十二億五千万円で売却をいたしまして、電気事業における企業債を全額償還をした上で事業を廃止することといたしております。
 次に、工業用水道事業につきましては、商工振興施策の一環として重要な事業であるという認識の上に立ちまして、商工労働部において引き続き運営することといたしております。
 また、土地造成事業につきましても、商工労働部において既存の企業誘致施策と一元的に組み合わせることによりまして完成土地の早期売却に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、大新公園の地下駐車場事業につきましては、企業局廃止に伴いまして、借入金を電気事業清算剰余金によりまして全額償還した上で県土整備部において引き続き運営を行っていく予定でございます。
 今後は、各事業の知事部局における事業執行に支障を来すことのないよう、その引き継ぎには万全を期してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、発電事業売却後のダム管理についてお答え申し上げます。
 企業局の所有する水力発電所が関西電力に譲渡された以降においても、ダムの管理運用は河川管理者である和歌山県が行うことに変わりはなく、今後とも責任を持ってダム運用を行ってまいります。さらに、今般の企業局廃止を契機として発電事業が譲渡される三つのダムについて、より治水面に配慮したダム運用が行えるよう、現在、関西電力と水位運用等に係る協議を行っているところでございます。
 特に二川ダムにつきましては、七川ダムと同様に、気象情報等に基づきより早い段階から予備放流を開始するなど、治水機能をさらに強化したダム運用を行うべく、現在ダム運用規程の策定作業を進めているところであり、本年の出水期より実施してまいります。
 なお、この問題につきましては、これまでも何回か御質問いただいております。それだけに、県民の皆様の関心の大きさ、あるいはその心配の大きさ、改めて実感しているところでございます。いずれにしても、今後とも流域住民の皆様の生命と財産の保全を第一に考え、治水面を最重視したダム運用を関係職員一丸となって行ってまいります。
 次に、国道四百八十号の関係でございます。
 和歌山県側で事業中の平道路につきましては、難航していた用地が今年度に完了し、全区間で工事を展開しております。このうち、町道平折登堂川線から県道那賀かつらぎ線までの三・四キロ区間の橋梁及び改良工事を実施中であり、一部区間において平成十六年十一月に斜面崩壊がありましたが、平成十七年度中の供用開始を図りたいと考えております。
 大阪府側の父鬼バイパスにつきましては、国道百七十号から大野町をバイパスする区間はおおむね供用済みで、父鬼町をバイパスして府県間トンネル付近までの区間は用地取得率が約三五%、工事進捗は約一二%となっており、その間にある約一・五キロの第二トンネルの早期着工に向け整備を推進していると聞いています。
 府県間トンネルにつきましては、昨年度から国直轄で幹線調査が行われており、整備効果の検討、需要予測、地質調査、府県間交通流動特性の把握等について調査が進められているところでございます。引き続き府県間トンネルの調査を促進し、早期に国直轄権限代行事業に採択されるよう、大阪府とともに引き続き国に強く働きかけてまいります。
 また、大阪府側の整備促進についても、阪和開発連絡協議会の場などで大阪府に対し強く働きかけてまいります。
○議長(小川 武君) 医科大学学長山本博之君。
  〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) ただいまは身に余るお言葉をちょうだいし、恐縮してございます。
 議員の皆様には、長年にわたり御理解、御支援を賜り、この場をおかりいたしまして心から御礼を申し上げます。
 それでは、御質問の附属病院紀北分院の整備についてお答えをいたします。
 本学は、昭和二十年に県立医学専門学校として開校以来、本県唯一の医科大学として、また県の保健医療の中核機関として、県民の健康の維持・増進に寄与し、県民の期待にこたえることを使命としているところでございます。本学が時代のニーズにこたえ、その使命をより一層果たすことができるための大学改革の手段の一つとして、現在、平成十八年四月からの公立大学法人化に向けての準備作業に全学を挙げて取り組んでいるところでございます。
 そのような中で、紀北分院につきましては、地域に密着した医療を実践する大学附属病院として、臓器別にかかわらず幅広い診療ができる総合診療医の教育を担うことになってございます。総合診療医育成のフィールドとなる地域に密着した地域のニーズに対応した医療を展開するための紀北分院の施設などの整備につきましては、法人の中期計画の中で計画されていくものと考えてございます。これらのことは、これまでに学内に諮り、積み重ねてきたことでございますが、継続性を持たすべく引き継いでおきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 警察官の定員増と空き交番対策についてお答えいたします。
 県内の治安情勢を見ますと、昨年の刑法犯認知件数は一万八千七百四件と前年に比べまして二千五百件余り、マイナス一二%と三年連続して減少し、七年ぶりに二万件を下回ることができました。しかしながら、殺人、強盗等の重要犯罪や少年非行の増加など、なお憂慮すべき状況にあります。
 議員御指摘のとおり、街頭活動の強化と空き交番の解消につきましては県警察の重要課題と認識しているところであり、このため、平成十四年度から三年間で認められた計九十五人の警察官の増員の中から交番勤務の警察官を可能な限り拡充してまいりました。また、警察OBの交番相談員につきましても、平成十六年度に十二人を増員していただき、現在まで三十六人まで拡充し、空き交番の解消に努めてきたところであります。
 平成十七年度予算におきましては、警察官二十人、交番相談員十三人の増員をお願いしているところであり、今後も引き続き交番勤務の警察官、交番相談員の拡充を図り、空き交番の解消に努めてまいる所存であります。
 次に、市町村合併と各警察署管轄市町村の見直しについてお答えいたします。
 警察署の管轄区域の変更に当たっては、基本的には行政区域に一致させることが望ましいと考えておりますが、事件・事故への迅速な対応や各種届け出の受理など、地域住民に対する治安面のサービスに影響を及ぼすことがないように、人口、地理的条件、地域住民の利便性、事件・事故の発生状況等を総合的に勘案し、慎重に検討してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、門三佐博君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十六番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 こんにちは。二月定例会一般質問初日にこのように発言をさせていただく機会をいただきました先輩・同僚議員の皆様に心から感謝と御礼申し上げます。ありがとうございます。
 ただいま議長よりお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、防災対策についてお尋ねをいたします。
 昨年は、自然災害の多い年でございました。十回にわたる台風の日本列島上陸と大雨、さらには九月五日には紀伊半島沖の地震、そして十月二十三日、新潟県中越地震、さらには十二月二十六日にはスマトラ島沖大地震とインド洋の大津波がございました。このインド洋の大津波で、改めて津波の恐ろしさを実感した次第でございます。
 三十年内に六〇%、さらに五〇%の確率で発生すると言われております東南海地震、そして南海地震に対して、私たちは県民の生命と財産を守るために災害に強い県土づくりを目指していかなければなりません。
 けさ、県議会の方へやってまいりまして、駐車場に車をとめて、その奥に私どもの県議会の初代議長であられます浜口梧陵翁の銅像がございました。ちょうど私たちのこの県議会本会議場を温かいまなざしでいつも見詰めてくださっております。
 皆様御承知のとおり、浜口梧陵翁は一八五四年、今から百五十一年前の安政の大地震、津波来襲のときに稲むらに火を放ち村人を救済し、そして救済・復旧に尽力をされた方であります。そして、次の災害に備えまして堤防をつくりました。四年間の歳月をかけて巨額の私費を投じてこの堤防をつくったわけでございます。今は広村堤防として残されております。この堤防をつくることによって村人たちの広村からの離散をとめたとも言われております。そして、それから九十二年後の一九四六年、昭和二十一年の南海地震のときにはこの広村堤防の威力がいかんなく発揮されまして、広地区にお住まいの住民たちは津波被害から免れることができたわけでございます。
 昭和九年、文部省が第四期の国定教科書制定に当たりまして、全国から国語と修身の公募をいたしました。そのときに、当時、小泉八雲の「生ける神」、英語で言いますと「ア・リビング・ゴッド」、これに感銘をいたしておりました弱冠二十七歳の青年教師、耐久中学校出身でございますが、この「生ける神」を中心としながら子供たちの心にこの五兵衛すなわち梧陵翁の心を植えつけたいと、そういう思いで書き改めたのが「稲むらの火」でございます。そして、国定教科書に採用されまして、昭和十二年から十年間、昭和二十二年まで国定教科書として採用されまして、当時の子供たち、そして多くの人々に深い感動を与えたわけでございます。
 この中井常蔵先生は、昭和六十二年九月二日に国土庁長官の災害功績賞という賞を受賞されております。この「稲むらの火」を書きましてから五十三年たってからのことでございます。まことに異例のことでございます。
 私は、先月、この「稲むらの火」の舞台となりました広川町を見学させていただきました。まず、先ほど申し上げました国史跡の三段構えの広村堤防。さらには昭和の八年に村人たちがこの梧陵翁に感謝の思いを込めてつくったと言われる感恩碑。毎年十一月三日にはこの前で津波祭りが行われるというふうにお聞きしております。さらには、県の重要文化財に指定されております耐久舎。さらには梧陵翁の墓碑。これも国の史跡でございます。そして、昭和二十一年の南海地震のときに津波で被害を受けられた江上川沿いの日東紡績。こちらには当時は大阪から来られた方がほとんどで、津波の恐ろしさを知らなくてここで二十二人亡くなったと伺っております。さらには、国重要文化財の広八幡神社。また梧陵翁の御自宅と──今、記念館の建設が進められてございました──見学させていただきまして、改めて梧陵翁の功績に感銘をしたわけでございます。
 特に、広八幡神社の宮司からは「この広村堤防は世界一です」と。「なぜですか」と私聞きました。これは、土でつくられている、高さが五メーター、そして長さが六百三十七メーター、要するに子供でもよじ登れるんだ、そして、海岸側には松の木を植えまして、松林によって海から波で打ち上げられた船などもとめることができる、そして、曲線を描いている、津波の衝撃を一気に受けるんではなくて、曲線を描くことによってこれを和らげている、そして、住宅側にはハゼの木を植えまして、ロウをとってそれを資金としまして堤防の補修に充てているという、そういうお話を聞きまして、先人の知恵には感動したわけでございます。
 さらには、広川町の教育委員会へ行ってまいりまして、いろんな資料をいただきました。そこで担当者が言っておりました。「この国定教科書に採用されました「稲むらの火」の「これはただごとでない」という最初の一行の文章、これはインパクトが強いでしょう」と言われて、そのとおりですと感じた次第でございます。
 この「稲むらの火」につきましては、佐々淳行元内閣安全保障室長、初代の室長でありますが、この方が「自然災害の危機管理」、「稲むらの火」の中で、このように述べておられます。いわゆる「稲むらの火」で浜口梧陵が火を放った。そして避難所へ避難させた。八幡神社でありますけれども。ここで一人一人、何名の方が避難してきたのか確認をして数えたということ。さらには、自分のところにあった米で炊き出しを始めたわけですね。それでも足りないといえば、ほかから買ってきて、そして皆さんに食事を与えたという。また、その後に堤防をつくったということでありますが、まさにこの「稲むらの火」の中に防災対策の、また危機管理のエッセンスが込められていると、このように申しておるわけでございます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 時代の先覚者・浜口梧陵翁の偉業と功績は「稲むらの火」として災害時に人命尊重の理念、具体的な活動を通して、世の大人たち、子供たちに問いかけた意義は大変大きいものがあると考えます。知事は今後、「稲むらの火」の教訓を防災対策や危機管理にどのように生かし、防災先進県を目指すお考えか、お伺いいたします。
 次に、防災教育への取り組みについてお伺いします。
 スマトラ沖大地震によるインド洋大津波で三十万人を超えるとうとい人命が失われました。このインド洋大津波を受け、「稲むらの火」が防災教育の教材として改めて脚光を浴びてきております。
 このような状況の中、県教育委員会は本年一月七日、防災教育「稲むらの火」推進プロジェクト会議を設置いたしました。東南海・南海地震に備え本県における防災教育のより一層の充実を図り、「稲むらの火」を初めとした教材等を全国に発信することにより防災教育先進県としての役割を果たしていくため設置されたものであります。教育現場で「稲むらの火」を学び、生かすことは、本県のみならず全国の防災力を向上させることにつながると確信いたします。今後どのように取り組むお考えか、教育長にお伺いいたします。
 次に、きのくに木造住宅耐震化促進事業についてお伺いします。
 阪神・淡路大震災では、家屋や家具の倒壊により犠牲者の約八〇%から八五%のとうとい人命が失われたと言われております。このような被害を防ぐためには、家屋や家具の耐震化が必要であります。
 県と市町村では、昭和五十六年五月三十一日以前に建築された木造住宅等について、無料で耐震診断士を派遣し、診断の結果、耐震性が低い場合に耐震補強を行う費用の一部を補助するきのくに木造住宅耐震化促進事業を実施しております。補助額は九十万円を限度として、その三分の二が県と市町村の補助となっております。実施している市町村は、現在、田辺市、岩出町、打田町、川辺町、みなべ町、串本町の一市五町であります。特に、住宅が密集しております和歌山市での実施が大いに期待されております。国土交通省の新年度予算案では、今後さらに住宅の耐震化を進めるための地域住宅交付金五百八十億円が新規事業として計上されています。今後、耐震化支援策を実施していない市町村に対して、一般住宅の耐震診断や耐震改修の助成制度の創設をどのように求めていくお考えか、県土整備部長にお伺いいたします。
 また、耐震化の基本は柱と壁を強化すれば強度が四倍も五倍も強くなると言われております。ともすれば、業者から予定外の工事費を請求されるおそれもあります。そこで、耐震診断、耐震補強の基準をつくりマニュアル化すべきであると考えます。いかがでしょうか。
 次に、公的建造物及び社会福祉施設の耐震化についてお伺いします。
 本県の小中学校、高等学校の耐震化は、知事を初め関係者の御尽力でかなり進んでまいりました。しかしながら、公立体育館や公民館等の公的建造物や災害弱者と言われる高齢者などが入居されております特別養護老人ホームなどの社会福祉施設の耐震化は非常におくれております。内閣府の地震防災施設の現状に関する全国調査によりますと、本県の公的建造物耐震化率は四七・六%、社会福祉施設耐震化率は五一・七%で、北海道の四九・一%、鹿児島県の五〇・六%に次いでワースト三位であります。今後どのように公的建造物や社会福祉施設の耐震化に取り組むお考えか、危機管理監並びに福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、第二阪和国道の建設促進についてお伺いします。
 第二阪和国道は、関西国際空港があります大阪府泉南地域と和歌山を結ぶ道路で、国道二十六号の渋滞緩和と都市機能向上を目指しているわけであります。また、大阪と和歌山を結ぶ幹線道路である一般国道二十六号の慢性的な交通渋滞やそれによる都市機能の低下を解消することを目的に計画された道路でもあります。
 昨年六月に箱作ランプから箱の浦ランプ間が部分開通いたしました。第二阪和国道の一部完成により国道二十六号や周辺道路の混雑が解消され、これらの道路が地域に密着した生活道路として機能し始めております。また、周辺道路の交通量が減少することで、交通事故の減少や車の排気ガスなどによる大気汚染が改善されてきております。
 第二阪和国道は、渋滞の解消だけではなく、災害、医療などの緊急活動に重要な道路でもあります。現実に大阪方面から県立医大や日赤和歌山医療センターなどに搬送されます救急患者も多いわけであります。これらは、いずれも大阪側から見た視点でございます。
 ここで、和歌山側から見ますと、第二阪和国道は東南海・南海地震などの大規模災害が発生した場合、本県への自衛隊信太山駐屯地の第三十七普通科連隊が和歌山県を担当することになってございます。災害本部長県知事の方から大規模災害のときに自衛隊に出動要請をかけたときに、じゃ和歌山県下にどのルートでどのコースを通って和歌山入りをしてくれるんだろうかと、そういうことをちょっと考えたわけでございます。
 したがいまして、災害救援部隊また災害救援物資の重要な緊急輸送道路として不可欠であります。もちろん、関空へのアクセス道路、経済物流の道でもあります。阪和高速道路(近畿自動車道紀勢線)と並んで本県への陸路の玄関口であることは申すまでもございません。
 現在、国道二十六号の府県境に位置する孝子峠付近は、異常気象時に道路通行規制区間に指定されているため、災害時などに交通が途絶えてしまう危険性があります。十年前の阪神・淡路大震災の発生時、阪和高速いわゆる近畿自動車道紀勢線が全線通行どめになったことを申し添えておきます。
 したがいまして、第二阪和国道の建設促進は緊急の課題でもあります。災害時緊急輸送のための道路、命の道として本県側から工事を着手して第二阪和国道の一日も早い全線開通が強く望まれております。本県側からの工事着工について、知事のお考えと具体的な取り組みについてお伺いいたします。
 次に、次世代育成支援の推進についてお伺いします。
 まず初めに、次世代育成支援対策推進法の施行に伴う本県の取り組みについてであります。
 政府は初めて、「少子化社会白書」を昨年十二月、刊行いたしました。刊行に当たっての中で、このように述べられております。「少子化の急速な進行は、社会や経済、地域の持続可能性を基盤から揺るがす事態をもたらしており、経済成長の鈍化、税や社会保障における負担の増大、地域社会の活力低下など、深刻な問題を引き起こすことが危惧されています」と書かれております。また、白書では、少子化の原因として未婚化の進展や晩婚化の進展及び夫婦の出生力の低下を挙げております。そして、これらの背景にあるものとして、仕事と子育てを両立できる環境整備のおくれや高学歴化、結婚・出産に対する価値観の変化、子育てに対する負担感の増大及び経済的不安定の増大等を取り上げております。
 本県にかかわる記述をこの白書で見ますと、二〇〇二年に一年間で子供さんが一人しか生まれなかった北山村が紹介されておりました。ちなみに、人口は六百三十五名で、わずか一人でございました。さらには、これから二十五年後の生産年齢人口、十五歳から六十五歳までのいわゆる働き手人口がこれから二十五年後は三〇%減少になって七〇%になると。これも、ほかの県で見ますと、秋田、長崎、山口に次いでワースト四位。要するに、二十五年後は十五歳から六十五歳までの働き手の方は今の七割しかいない、こういう実態でございます。
 御承知のとおり、一昨年、国会において、子供を産み育てる者が真に誇りと喜びを感ずることのできる社会を実現し、少子化の進展に歯どめをかけることをねらいとした少子化社会対策基本法と、具体的な行動計画づくりを自治体と企業に求めた次世代育成支援対策推進法が成立しました。政府が自治体、企業と一体となって国家政策として次世代育成支援を進め、家庭や地域社会における子育て機能の再生を目指すこととしたものであります。
 県は、法の施行に伴い、今月末までには向こう十年間の取り組み計画を策定し、集中的・計画的に実効性のある施策・事業を着実に実施しなければなりません。国の行動計画策定指針を見ますと、県が計画に盛り込むべき事項として、大項目だけでも、地域における子育ての支援とか教育環境の整備、生活環境の整備など七つの分野にわたっておりまして、具体的取り組みが明示されております。国の並々ならぬ意気込みが感じられるわけでありますが、私はこの少子化対策は単に出生率をアップさせるということではなくて、子供や女性の視点に立って子育て支援策を考えるべきだと思います。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 今日の出生率の低下は、まさに未曾有の緊急事態であります。今回の少子化対策に空振りは許されないのであります。新世紀を切り開く若いエネルギーを確保する上からも本県の取り組み姿勢が問われる最重要課題と考えます。少子化への県の取り組みについて、知事の基本的な考えと具体的な取り組み体制についてお伺いいたします。
 次に、企業における少子化対策についてであります。
 今回の次世代育成支援対策推進法では、企業が果たすべき役割にも踏み込んでおります。従業員が三百人を超える企業に対しては、父親の休暇取得の促進や利用しやすい育児休業制度の実施、短時間労働勤務制度の実施、さらには所定外労働の削減、ワークシェアリングの実施等々、仕事と子育ての両立支援や働き方の見直しなどの対策を盛り込んだ計画づくりを義務づけております。
 残念ながら、主務大臣への届け出は策定事実の届け出のみで、公表義務は見送られました。また、従業員三百人以下の事業主は努力義務にとどまっております。企業におけるこうした少子化対策への取り組みこそが必要であります。効果の上がる対策であることを大いに期待しているところであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 こうした取り組みの促進について、国の労働関係機関とも力を合わせ、厳しい経済環境のもと、具体的にはどのような対策を講じて企業における少子化対策の取り組みを促進していかれるのか、知事の積極的かつ明快な御答弁をお願いします。
 次に、最後の項目になります。金融機関の経営統合とペイオフ全面解禁についてお伺いします。
 最初に、和歌山銀行の紀陽銀行への経営統合の申し入れについてお尋ねいたします。
 昨年十一月、株式会社和歌山銀行は株式会社紀陽銀行に対し経営統合の申し入れを行いました。経営統合の申し入れの趣旨は、経営統合による業務面、店舗ネットワーク面での経営効率の向上を図り、収益基盤を拡充することでさらなる経営体質の強化と安定を図ることにあります。現在、これも三月末までをめどとして相互に協力し、協議が進められているところであります。
 本県経済は依然厳しく、多くの地場産業を支えます中小企業は業種等によって苦しい経営を余儀なくされております。一方、雇用情勢も厳しい環境の中にあります。また、地方銀行が一行のみになり、県民の金融機関の選択範囲が著しく狭められ、金融の窓口が狭まり閉塞状態に陥ると言っても過言ではありません。さらに、従業員の雇用のみならず、新卒者の雇用にも大きな影響を及ぼします。金融機関の経営統合は県民、特に中小企業者にとって最大の関心事でもあります。中小企業の資金需要に対応していくためには、県の制度融資や金融機関と県信用保証協会の役割が重要であります。とりわけ県信用保証協会の審査業務、期中管理などの機能強化が強く望まれます。
 県は先月二月十五日、木村良樹知事名をもってこの経営統合に関し、紀陽銀行と和歌山銀行に対して、本県経済のさらなる活性化、中小企業の資金需要への配慮、従業員の雇用の維持・確保などへの配慮を求める要請をされました。紀陽銀行と和歌山銀行の経営統合の検討・協議への申し入れについては知事に、また中小企業への円滑な資金供給については商工労働部長にお伺いいたします。
 最後になりました。ペイオフ全面解禁に向けた取り組みについてお伺いします。
 皆様御承知のとおり、金融機関が万が一破綻した場合、預金のうち一千万円とその利息額を超える部分が一部カットされますペイオフ制度について、平成十四年四月に定期性預金が一部解禁となり、同年十二月の預金保険法改正による延長等を経て、いよいよ本年四月に全面解禁されることになりました。地方公共団体の公金預金についても同様に取り扱われます。
 全国の多くの自治体では、ペイオフ全面解禁に向けて無利息、要求払い、決済サービスの提供という三機能を備え全額保護される決済用預金の導入等の対策を進めているようです。万が一金融機関が破綻し、県の公金預金の一部がカットされるような事態になれば、県行政の運営に重大な影響を及ぼすことになります。こうしたことは絶対にあってはならないことであります。
 決済用預金に預けておけば公金は全額保証されることでしょう。しかしながら、地方自治法では最も確実かつ有利な方法で効率的に運用しなければならないとの規定もあり、決済用預金は安全であっても利息を生まない金融商品であります。県民の財産である公金の安全を図るのは当然でありますが、一方でいかに有利に運用するかという問題もあるわけであります。
 そこで、出納長にお尋ねいたします。
 本県では、四月からのペイオフ全面解禁に向け、決済用預金の導入の有無を含めてどのような対策を講じ、どのような方法で公金を管理していくのかお伺いをいたしまして、私の第一回目の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 「稲むらの火」のエピソードと和歌山県を防災先進県にという御質問でございます。
 先般のスマトラ沖の地震・大津波では、こういう津波の知識というものを持っているか持っていないかということが命の分かれ目になるというふうなことを経験したところでございまして、その中で、この浜口梧陵翁の「稲むらの火」のエピソードが大きく全世界的にクローズアップされることになったわけでございます。マスコミも連日報道いたしましたし、また国連の防災会議でも話題になったというふうに聞いております。
 和歌山県では、この浜口梧陵翁が初代の県議会議長でもあったということで非常にゆかりが深いということ、そしてまた東南海・南海地震で非常に影響を受ける中心的な県であるということもありまして、このエピソードというものを大きく今後の防災活動に役立てていこうというふうに考えております。
 一つは、学校の教科書等に新たにこのエピソードを入れてもらうような運動、これはなかなかすぐにはできないようでございますけれども、こういうことを地道に行って、国の方でも漫画をつくるというような動きが出ているというようなことなので、こういうふうなことの働きかけをしてまいりますし、それから今、広川町の方に広川町と共同で浜口家の屋敷のところに津波防災教育センターをつくるということで進めておりますけれども、これの中でもこの「稲むらの火」の問題というものとあわせてPRすることによって、この地域に人が集まってきて津波の恐ろしさというものを全国的に広報・宣伝する非常に大きなセンターになるのではないかと思っております。
 さらにはまた、現代版「稲むらの火」というふうなやり方についてのアイデアというものを募集をいたしまして、こういうふうなことでの新しい施策を打っていって、県民の人が津波のときに助かるように、いろんなことにこの「稲むらの火」というものを活用していきたいというふうに思っております。
 次に、第二阪和道路の建設促進の問題でございます。
 私もよく通るわけでございますが、途中で切れているということで非常に不便を感じているわけでございまして、おととし、和歌山北バイパスが開通し、さらには昨年、西脇山口線の供用が開始されたことで、和歌山市内ではこの効果によって非常に渋滞が解消されたということがあるわけですけども、さらにこれが大阪の方とつながるということが非常に大事な問題だというふうに思っておりますし、御質問にもありましたように、防災面とか救急医療の面でも非常に大きな役割を果たすものだと思っております。
 現在事業中のところの建設の促進を大阪府とともに達成するように努力するとともに、県境部分の未着手部分についても、和歌山の方からということもございます。そういうふうな方向で進んでいくように、事業化の決定がなされるように国の方へも強く要望していきたいと、このように思っております。
 それから、少子化への取り組みについての御質問でございます。
 少子化問題は、これはもう国を挙げての大変な問題というふうなことでございます。そういう中で、和歌山県でも少子高齢化が他県に先駆けて進んでおりまして、何と二〇三〇年には県の人口が八十八万人になるというふうな予測も出ているところでございます。
 こういう中で、次世代育成支援対策推進法に基づきまして、和歌山県でも少子化対策の行動計画というものをつくろうとしているところでございますけれども、この中では、一つは県民の各層の意見を聞いて計画をつくっていくということを行います。それから、和歌山県にも都市的な形態の地域と、そしてまた地方的形態の地域、いろいろな地域特性があるので、そういう地域の特性に合わした少子化対策ということを緻密に組み立てていこうということにしております。さらには、理念だけじゃいけないんで、数値目標を入れていこうということで、七十一項目の数値目標が入った計画をつくろうとしているところでございます。
 いずれにせよ、この問題は理念だけではなかなか進まない、地道な一つずつの取り組みということが少子化対策につながってくると思いますので、県政の中の最大重要課題の一つとして今後取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 さらに、企業における少子化対策が非常に大事なわけでございます。何といっても企業の理解がなければこの少子化がとまらないというふうな問題もあるわけでございまして、先ほど申しました次世代育成支援対策推進法でも、三百一人以上の企業についてはことしの四月一日までに行動計画を策定するということが義務づけられているわけでございますが、三百人以下の企業についてはそういうことになっていない、努力義務にとどまっているということでございます。
 ただ、和歌山県の場合は三百人以下の企業が大半を占めているわけでございますので、そういうところが努力義務だからというようなことで進まないということになるとこれは非常に問題が多いわけで、企業の方にも世の中がもう変わってきているんだというふうな認識、そしてまた、この少子化対策というものが役所や企業を挙げての重要な問題だということの認識を持ってもらうような努力を、経営者協会や国と協力しながら強力に進めていきたい、このように思っております。
 最後に、金融機関の経営統合の問題でございますが、現在、紀陽銀行と和歌山銀行が経営統合に向けて協議を行っているところでございまして、御質問にもありましたように、雇用問題に悪影響が出ないようにということとか、それから中小企業等の資金需要への対応への配慮ということを先般要望したところでございます。今後も引き続き、状況を把握したり意見交換を行ったりして、そういうふうな申し入れの目標が達成されるように努力を続けてまいりたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 出納長水谷聡明君。
  〔水谷聡明君、登壇〕
○出納長(水谷聡明君) ペイオフ解禁に向けた取り組みにつきましてお答えいたします。
 本県のペイオフ対策と公金の管理方法でございますが、安全性の点からは、借入金等の債務との相殺枠内で定期預金による運用を行っています。
 次に、有利な運用の点からは、国債、政府保証債、地方債など、元本の償還及び利息の支払いが確実な債券による運用を行っており、現在、基金総額約九百六十五億円のうち二百七十億円の債券を購入しています。
 また、日々の県の収入金や支出金を保管する歳計現金につきましてもできるだけ有利な方法で運用を行っていますが、一時的に歳計現金の残高が膨らみ相殺の範囲を超える場合がありますので、公金の保護に万全を期するため、全額保護される決済用預金の活用を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 住宅耐震化促進の関係についてお答え申し上げます。
 きのくに木造住宅耐震化促進事業につきましては、平成十六年度より県内全域を対象に実施しており、耐震診断につきましては四十七市町村で今年度二千件余りを実施しているところでございます。また、平成十七年度につきましても、引き続いて県内全市町村に住宅の耐震化制度の必要性について指導・啓発するとともに、国の諸制度等を十分活用するなどして事業の促進に努めてまいります。
 次に、耐震事業のマニュアル化についてでございますが、耐震診断につきましては、県で認定した木造住宅耐震診断士が耐震診断マニュアルに基づき実施しております。また、議員御指摘のとおり、耐震補強工事については効果的かつ適正な施工が求められております。
 現在、紀州材を活用した補強工法も研究しており、今後も既存の工法のほか、新たな研究成果などを取り入れた事例集などをより充実させていきたいと考えております。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 公的建造物の耐震化についてお答えいたします。
 耐震化対策につきましては、昨年策定した地震防災対策アクションプログラムに基づき推進しておりますが、県有施設につきましては、まず耐震診断を行うため、庁内関係部局でワーキンググループを立ち上げ、対象施設や優先順位等を検討し、計画書を作成するとともに、これに基づき平成十七年度から三カ年をかけ耐震診断を実施いたします。今後、これらの診断結果をもとに耐震改修も計画的に推進してまいりたいと考えます。
 また、災害発生時の応急対策の拠点や住民の利用施設等につきましては、優先的に耐震化を進めてまいりたいと考えております。その中心となる県庁舎、警察本部庁舎等につきましては、十七年度から耐震改修工事に着手されます。このほか、小中学校や市町村等の公的施設につきましても、耐震化を促進するため関係機関等に働きかけてまいりたいと存じます。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 社会福祉施設の耐震化についてお答えを申し上げます。
 現在、県内には入居型の社会福祉施設が百四十四施設ございます。そのうち、建築基準法の改正により耐震基準が大幅に変更された昭和五十六年以前に建設され改修等がなされていないものが三十八施設と把握しております。
 議員御指摘のように、社会福祉施設は災害時要援護者の方などが入居されておりますし、また、さきの新潟中越地震時には高齢者の方々の有効な避難場所となったように、災害時における利活用も考えられております。
 これまで、老朽化の進行などにより緊急性の高いものを優先しながら順次計画的に改修等整備を行う中で耐震基準の適合にも取り組んでまいっておりますけれども、現在、知的障害者更生施設由良あかつき園や児童養護施設こばと学園などの整備を進めているところでございます。
 今後とも、県有施設の耐震化はもちろんのこと、市町村や民間の施設管理者に対し耐震化の促進等について指導・助言を行いますとともに、国に対しましても耐震化対策に対する施設整備の優先採択や制度の充実等を強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 中小企業への資金供給についてお答え申し上げます。
 中小企業への金融支援等につきましては、随時、保証協会や金融機関と意見、情報を交換するなど、連携を強化しているところでございます。この結果を踏まえ、平成十七年度県制度融資において、無担保・第三者保証人なしで利用できる「元気わかやま資金」の創設や、ニーズの高い借りかえ資金制度を拡充するなど、中小企業の資金調達の円滑化を一層支援することとしております。
 また、中小企業が必要な事業資金を円滑に調達する上で信用保証協会の果たす役割は重要になってくるものと考えてございます。保証協会では、県と協調し中小企業への積極的かつ弾力的な保証業務に取り組んでいるところであり、また、蓄積している情報、ノウハウや専門的人材等を活用し、運転・設備資金、創業資金、資金繰りなどへの助言・指導など、多様な資金ニーズにきめ細かく対応しているところでございます。
 今後も、財政基盤への支援等を通じ、このような保証協会の取り組みをさらに推進してまいりたいと考えてございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 防災教育についてお答えいたします。
 まず、「稲むらの火」の教材化の推進については、教育委員会内における推進プロジェクトと同時に、地元広川町にも関係者から成る稲むらの火協議会を設置し、積極的な取り組みを進めているところです。
 このたび、ある教科書会社が作成した小学校六年生の道徳の副読本に「稲むらの火」の話が取り上げられました。教育委員会としては、今後作成される教科書への掲載を視野に入れ、文部科学省や教科書会社に対する働きかけを強めてまいります。
 また、日本の防災研究の第一人者である京都大学・河田惠昭氏が理事長を務めるNPO法人環境防災総合政策研究機構において漫画による浜口梧陵伝を出版する企画があり、こうしたさまざまな関係機関との連携・協力も行ってまいります。
 さらに、防災教育全般については、高校生防災ボランティアスクールなどを通して地域の防災を支える若い力の育成に努めるとともに、昨年度策定した「学校における防災教育指針」に基づき、各学校において児童生徒の防災意識を高めるための具体的な取り組みが進むよう指導してまいりたいと思っております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十六番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま、知事並びに関係部長から積極的かつ前向きの御答弁をいただきまして、大変ありがとうございました。
 一、二点だけ、要望にさしていただきたいと思います。
 まず、いわゆる「稲むらの火」をなぜ今回テーマにしたかと言いますと、やはり言わんとするところは、災害に備えよ、また事前の対策に万全を期してこれをいざというときに実践せよと、こういう趣旨だと思います。そういった意味で、現在いろんな防災ボランティア登録制度も設けられておると思いますし、また各種──いろんな業種ございますね。トラック協会だとか海運業界であるとか、そういったところとのいわゆる協定を結ばれていると思います。そういったものを日ごろから、コミュニケーションを図るというか、危機管理監のもとで行われていると思いますけれども、より実効性のあるものとするために、この体制づくりとか、いざというときはどういう形で要請をするのかといったことも含めて──じゃ実際に機材はあるのかといった、例えば建設業界であるとブルドーザーであるとかユンボであるとか、そういったものが本当にあるのかどうかという、そういったことも含めまして体制の打ち合わせ等もさらにきちっと行っていただきたいということであります。
 それから、減災のためのハード・ソフトの整備につきましては、これも際限はないと思いますから、一定の数値目標というものも決めて設定をして取り組んでいかれたらいいんじゃないかと思います。
 それと、第二阪和国道、これはもう本当に県民、市民の願いでもございます。本当に知事の方から前向きの御答弁いただきました。事業化に向けてという、これは大変重みのある一言だと思いますし、ぜひひとつお取り組みを。──まあ、国のあることでございますから、何ぼ言っても。ぜひまた頑張っていただきたいと思います。
 それから、最後になりますけれども、少子化対策であります。
 この少子化対策、ともすれば何か産めやふやせやという雰囲気にもなりかねませんけれども、やはりしっかりとサポートすることはしっかりしていくと。そういう中で、子供を持つ人、持たない人も含めた女性の意見を十分反映されるような仕組みを取り入れることが大事だと思います。あくまでも女性の自己決定を支援できる施策が望まれるわけでございますので、その周辺整備といいますか、周辺の環境整備。
 例えば、緑の雇用事業でどんどん和歌山に五百二十四人来ていただいて、お子さんがいると。お子さんがいて、じゃ、どこの学校へ行くんや、どうして教育するんやという、そういう課題も残ってございます。一方では、ほほ笑ましい課題もございます。緑の雇用で和歌山に来られて地元の方と結婚されたとかですね。その後のサポートをしていくということも大事だと思いますので、この点も要望さしていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は三月七日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時五十二分散会

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