平成16年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(森 正樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百三十四号から議案第百六十九号まで、並びに知事専決処分報告報第十四号から報第十九号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十七番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 皆さん、おはようございます。お許しを賜りましたので、一般質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、関西国際空港に関する諸問題についてお尋ねをいたします。
 去る十一月八日から十一日までの四日間、関西国際空港エアポートプロモーション活動の一環として中国を訪問させていただきました。北京、済南、上海の三都市を駆けめぐってまいったのでございます。小佐田昌計副知事を団長といたしまして、県議会からは和田正人県議会日中友好議員連盟副会長、村岡キミ子、飯田敬文、谷洋一、前川勝久、浅井修一郎、花田健吉、山下大輔の各氏と私の九人が参加をさせていただきました。当局からは、計画局長の杉本さん初め四名、議会事務局からは島光正議事課長、また関西国際空港株式会社からは比沢一行常務など二名、合わせて十七名の構成でございました。
 私たちは、十一月八日午前八時に関西空港に集合いたしまして直ちに結団式を行い、午前十時発の全日空一五九便で北京に向けて出発したのでございます。
 なお、この際、村山敦関西国際空港株式会社社長が、大変御多忙にもかかわりませず、わざわざお見送りに出ていただきましたことをあえて申し添えておきたいと思います。
 北京首都空港には、山東省から張継剛外事弁公室副主任初め三名の幹部がわざわざ出迎えに来てくれておりました。私たちは午後一番に中国中央政府の民用航空総局を訪問し、同総局国際合作司の王栄華司長と会談をし、明年一月にも予定されております日中間航空交渉において山東航空を中国側の指定企業として追加するよう強く要望したところでございます。と申しますのも、この日中間航空交渉の場で指定企業としてノミネートされなければ国際便は飛ばせないことになっているからであります。席上、王司長からは、「山東航空は国際便を飛ばす免許は既に得ている。観光ビザの解禁によって日本への観光客の増加を我々は確信しているし、当然、山東省からの直行便もふえると思う。来年一月にも非公式の日中間航空交渉が行われる予定である。その際には、和歌山県、山東省、山東航空の考え方を十分に配慮したい」と、前向きの回答があったのであります。
 翌九日、私どもは午前七時半に宿舎を出発し、午前九時四十分発の山東航空一一五二便で済南へ向かう予定でございましたが、あいにく済南空港が濃霧により旅客機の離着陸がストップとなり、北京首都空港で三時間余り足どめとなりました。結局、午後零時五十分、北京を出発いたしました。済南空港に到着した私たちは、おくれを取り戻そうと昼食もそこそこに、新済南空港建設現場視察、山東航空公司表敬訪問、山東省政府首脳との会談と、精力的に走り回ったのであります。
 新済南空港は三千六百メートル級の滑走路を有し、バース数十三、年間八百万人の旅客に対応できる堂々たる国際空港であり、明年二月完工、五月供用開始の予定と聞いております。私たちが訪れたときには最後の仕上げ工事が盛んに行われておりました。
 山東航空の蘇中民董事常務副総経理は、「済南─関西空港間の申請を民用航空総局に対して既に行っており、必ず実現できるものと確信している。また、我々は既に国際便運航の免許も取得している」と語り、私どもに対して「日本の航空当局への働きかけをお願いしたい」との要請があったのであります。また山東省の謝玉堂副省長は、「山東省政府としても、民用航空総局に対し、山東航空の済南─関空便の就航の必要性について意見書を提出している。済南から関西空港への直行便が開設されれば、和歌山県との交流、日本との交流がさらに深まるものと考えている」との返答がありました。私たちは、山東省政府、山東航空に対して関西空港への直行便の一日も早い就航を強く要望したところであり、昨年十一月に実施しました関西国際空港エアポートプロモーションよりもさらに関西空港─済南間の直行便の実現に向けて大きく一歩踏み出したと深く実感した次第でございます。
 なお、この会談の席上、私は「来年の春、桜の咲くころにぜひとも再会しましょう。そのためにも、何としても関空─済南間の直行便を実現しましょう」と呼びかけ、「日本の春、満開の桜を見に行きたい。そのために互いに努力しましょう」との返事があり、終始友好的な話し合いとなったのであります。
 同日夜、山東省政府の招宴が開かれ、関空─済南間の直行便の実現や日中友好の話に花が咲いたことは言うまでもありません。
 三日目、済南から上海へ飛んだ私たちは、午後直ちに中国東方航空を訪問。萬明武董事副総経理と会談し──同航空が現在、国際便としてそれぞれ週二便、関西空港─青島、関西空港─煙台間を飛ばしているわけでございますが、この便について、「今般、山東省が日本への観光ビザの発給対象地域に編入されたこともあり、大幅な観光客の増加が見込まれている。成田空港が現在ほぼ満杯の状況にあることから、ぜひとも早い機会に関西空港便の増便をお願いしたい」と強く要望いたしました。これに対して萬副総経理は、「関西空港への中国からの旅客がふえていることは承知している。また、ビザ解禁による増便は重要な検討材料と認識している。しかし、関西空港に滑走路が一本しかなく、時間帯によっては満杯の状況であるのは不安だ。二本目の滑走路が必要ではないか」との率直な意見が出されました。我々の方からは、「その点は全く同感であり、そのために二〇〇七年供用開始を目指して現在平行滑走路の実現に向けて全力を傾けて取り組んでいるところである」と答えたのであります。このようなやりとりの末、増便については実現に向けて引き続き互いに努力していくことで合意を見たのであります。
 なお、最終日、上海浦東空港から全日空一五六便で関西国際空港へと帰途に着いたのでありますが、市内のターミナルから浦東空港まで、最近開業したリニアモーターカーに乗ってきました。都心と空港を結ぶアクセスとして注目を集めているこの鉄道は、約三十七キロメートルの距離をわずか七分三十秒で走行するもので、最高時速四百三十一キロメートルを体感してまいりました。
 ともあれ、三泊四日で三都市を訪問し、四つの関係機関と会談、意見交換、申し入れを行い、あわせて視察もするという強行スケジュールでございましたが、十分に所期の目的を達したと確信をいたすものでございますが、同行の皆さん、いかがでございましょうか。(「そうだ」呼ぶ者あり)
 そこで質問に移りますが、団長を務められた小佐田副知事から、今回の関西国際空港エアポートプロモーション活動に関する感想、総括と、関西国際空港への直行便の実現と増便の可能性等に関する手ごたえ、成果のほどについて御答弁をいただきたいと存じます。
 次に、同じく十一月二十九日、三十日の日程で、本県議会関西国際空港対策特別委員会といたしまして、平行滑走路の二〇〇七年供用開始に向けて平成十七年度予算編成において関西国際空港二期事業への予算づけの要望活動を行ったところでございます。要望先は、国土交通省、財務省、与党二党幹事長並びに県選出国会議員等々でございます。
 今回の要望先はいずれも多忙をきわめる人々ばかりでございまして、アポイントメントをいただくのに大変苦労したのでありますが、本県選出の二階俊博、石田真敏、西博義の衆議院議員の皆さんに大変御苦労をおかけしたことをあえて申し添えたいと存じます。
 各要望先に対しましては、関西国際空港の二期事業の早期完成と二〇〇七年の供用開始の必要性と、そのための予算の確保を強く訴えさせていただきました。これに対して自民党の武部勤幹事長は、「地元の意向は十分に承った。森さんと同じ公明党の大臣も頑張ってくれているので、私もともに頑張りたい」と力強いお言葉をいただいたところでございます。
 なお、この席には石田真敏衆議院議員、世耕弘成参議院議員が同席をしていただきました。
 次に、公明党の太田昭宏幹事長代行は、「私も皆さんと同じ決意、気持ちで一生懸命に取り組んでいく」との決意を聞かせてくれました。
 北側一雄国土交通大臣のところへは二階衆議院議員が同道していただきました。冒頭、二階衆議院議員から「北側大臣は与党二党でつくる関西国際空港推進議員連盟の幹事長を務めてもらっている」との話があり、北側大臣は、「実は、谷垣禎一財務大臣は同議連の副会長である。来年、中部国際空港が開港し、近い将来、羽田空港へも国際便が入ってくることになるだろう。そういう状況の中で、関西国際空港の二期事業、平行滑走路の二〇〇七年供用開始はぜひともやらなければならない」との並々ならぬ決意の披瀝がありました。また北側大臣からは、「現在、大阪府にも頑張ってもらっているが、地元にももっと汗をかいてもらう必要がある」との注文も出されたのであります。これを受けて二階衆議院議員は、「北側大臣は地元の大阪府選出の国会議員である。大臣が発言をしやすい環境をつくることが大事だ。和歌山県も大いに汗をかこう」とこたえ、私たちも引き続き最大限の努力を払うことを誓ったのであります。
 このほか、岩村敬国土交通省事務次官、岩崎貞二同航空局長、本田勝同飛行場部長など、国土交通省の主要な幹部へも要望活動を行い、和歌山県の熱意、意向を十分に訴えてまいりました。この中で、「二期事業は必ずやります」との岩村事務次官の発言など、まことに心強い反応が多々あったことを特に御報告申し上げておきたいと思います。
 また財務省では、林主計官に対し、平成十四年の塩川財務大臣と扇国土交通大臣の間で交わされた申し合わせ、すなわち「二〇〇七年の供用開始を目標として進められている二期事業については予定どおり用地造成を進めることとし、供用開始に必要な施設の整備については今後の需要動向や会社の経営状況を見つつ行う」との文書を引き、関西国際空港株式会社が初の経常黒字を計上し、発着便数も冬ダイヤで過去最高が見込まれることを強調いたしましたところ、林主計官は「経常黒字は補給金のおかげであり、発着回数も過去最低」との、間違っている上に、木で鼻をくくったような答弁があったのでございます。私の発言を途中で制止しようとしたり、木で鼻をくくるような返事といい、全く鼻白むような思いでございましたが、私たちといたしましては正論を主張し、言うべきことは十分に主張してまいりました。
 なお、予算要望活動の合間を縫って本県選出国会議員の皆さん八人のところへも、関西国際空港二期事業への満額予算計上への支援を強くお願いしたところでございます。
 ところで、十二月八日付朝刊各紙が一面トップで、あるいは大々的に報じておりましたのでもう皆さん御存じだと思いますが、「関空二期 満額三百億円計上へ」とか「関空二期予算化へ」という凸版見出しが躍っておりました。私は朝一番にこの新聞を見て、思わず「よし、やった」と快哉を叫んだのでございます。この一連の報道は、十二月七日の閣議終了後の定例記者会見で北側国土交通大臣が「空港整備法を見直す」と発言したことを受けたものであります。
 空港整備法を見直すとは、すなわち、かねてから懸案であった大阪伊丹空港を一種空港から二種Aへと格下げすることを意味しているわけでありまして、これにより、関西国際空港二期事業の予算計上の条件として財務省が示しておりました、一つ、関西国際空港の需要の確保、二つ、関空会社の経営の安定──この二つは先ほども申し上げました塩川・扇両大臣の合意事項でございます──三点目、伊丹空港の二種空港への格下げ、四点目、地元の支援、この四項目をすべてクリアすることが明確となったのであります。言いかえれば、関西国際空港二期事業に関する予定どおりの予算計上への障害がすべて取り払われたことを意味するのであります。この伊丹空港の格下げについては、大阪国際空港騒音対策協議会いわゆる十一市協など、伊丹空港周辺のなりふり構わぬ抵抗、反対運動があり、難航していたのでありますが、よくぞ北側大臣が決断してくれたと私はこの場で申し上げたいと思います。
 つい先日、大臣室で北側大臣と会い、大臣の熱意を肌で感じ取った私たちといたしましては、これで二〇〇七年の供用開始に向けて大きく前進を開始したと断言したいのでありますが、いかがでございましょうか。
 ともあれ、我が委員会の予算要望活動はまことに実り多いものとなったと、まあ手前みそでございますが、申し上げておきたいと思います。
 そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
 関西国際空港二期事業の二〇〇七年供用開始に向けて、北側大臣の言う「地元にも汗をかいてもらいたい」との注文を受けて和歌山県としてどのような汗をかくのか、何をしていくのか。率直な御意見を聞かせていただきたいと思います。
 三つ目に、現在、二期工事の進捗状況はどうなっているのか。
 四点目、関西国際空港の国際線・国内線の便数について、特に伊丹空港の運用見直しの実施との絡みについてもお答えをいただきたいと思います。
 五点目、平成十六年度中間決算において初の経常黒字を達成することがマスコミ等で大々的に報じられておりましたが、このことについてさらに詳しく報告をしていただきたい。
 六点目、関西国際空港の整備充実にあわせ、関連地域整備の着実な推進が今後必要になってまいりますが、和歌山県としての今後の取り組みについてもお答えをいただきたい。
 以上四点は、高嶋企画部長からお願いをしたいと思います。
 次に二つ目の項目、県産品の販路開拓についてお尋ねをいたしたいと思います。
 今十二月定例会の冒頭の知事説明要旨の中で木村知事は、イオン株式会社の岡田社長と会談したこと、全国のジャスコ二百八十店舗で和歌山フェアを開催したこと、最近オープンした堺市のダイヤモンドシティ・プラウや泉南市のイオンりんくう泉南ショッピングセンター内ジャスコで常設の和歌山コーナーを設置したことなどを報告されました。まさに知事が申されるごとく、本県自慢のこだわり産品が定番で棚に並び、県産品の販売促進と和歌山県全体のブランドイメージ向上に結びつくものと、大いに期待するところであります。
 ところで、県庁内組織としてブランド推進局が誕生して一年八カ月。局長を中心に二十五名の職員の皆さんの創意と工夫、努力が徐々に花を咲かせ、実を結ぼうとしていることに私は賛辞を送りたいと思います。
 最初は、東京都内のイトーヨーカ堂の店舗での和歌山産品コーナーに端を発し、やがて首都圏のイトーヨーカ堂に広まり、紀ノ国屋や仙台の藤崎百貨店、あるいはイオングループジャスコ各店へと拡大していったのであります。聞くところによりますと、実にさまざまな反響があり、多くの声が寄せられていると聞いております。
 例えば、消費者の声を幾つか申し上げますと、「和歌山県がどこにあるのかよく知らなかったし、どんな産品があるのかも知らなかったが、このフェアを見て驚いた。今後、機会があれば和歌山へ行ってみたい」。それから、「かまぼこがふだん食べているものより大変おいしいので正月に欲しい。取り寄せは可能か」。フェア初日に商品を購入されたお客様ですが、「数日後、大変気に入ったと数個まとめ買いをしていった」と。それから、試食コーナーがあるんですが、そこで試食をしたあるお客様が、「これが本物のマグロか。とてもおいしい。今まで食べていたものと全然違う」と驚かれ、本物を売れば値段が高くても消費者は買っていくということを担当の職員は実感したと、そういうさまざまな反響があったわけでございます。
 また一方でメーカーや生産者の方の声でございますが、これは梅干し業者、「中にはアミノ酸などの添加物が入っていない、結果的には塩分濃度の高い昔ながらの梅干しを求められるお客様が結構いた。消費者のニーズが多様化していることを肌で感じて勉強になった」と。それから、これはドレッシングの製造業者でございますが、「おいしさよりも健康的な商品、例えばノンオイルかどうかを一番目の基準に選ばれる傾向が強かった。今後の商品開発に大いに役立つ」。それから、これは和菓子業者ですが、「スーパーでは箱入りの菓子は売りにくいので新たに少量パック商品を開発したところ、好評であった」と、商品改良が当たった例でございます。もう一つ、梅酒製造業者でございますが、「フェアへの出店を通じて注目され、他の問屋からの問い合わせがふえている。首都圏の販路拡大につながる可能性ができた」と喜んでいたという、そんな声でございます。また、こんなエピソードもございます。「フェアで和菓子を購入したお客様がわざわざ旅行で和歌山に来たときに店に寄って買って行ってくれた」と、そういう和菓子業者の声もありました。
 わずか二年弱ではございますけれども、このように着実に和歌山産品の販路開拓と定番化、ブランド化が進み、ひいては和歌山県のイメージアップ、認知度の上昇につながって本県のPR宣伝に大きな効果があったと申し上げたいのであります。
 例えば、これはジャスコ店で周辺の各世帯に配布された、こういうチラシでございますけれども(資料を示す)その中に、一ページを割いて──このページがそうですね。これすべて、「和歌山の味紀行」というページがこの中に設けられているんであります。ほかにも、こういう和歌山フェアをする際に必ずこういうものが各戸に新聞折り込みされるんですけれども、いずれもこの中に一ページ、和歌山フェアのページがある。これは、いずれも和歌山県が金を出したんではなくて、このショッピングセンターの好意によってこういうページを設けていただいておるわけで、中には十五万部折り込み広告に入れたというものもあるそうでございます。そして最近、このような県産品の商品カタログまで配布することになりました。(資料を示す)これは業者向けなんですけれども、皆さんの席に一つずつ置いてありますので、ぜひごらんください。知事にも。(資料を渡す)
 恐らく都道府県の取り組みとしては、これは我が国で初めてと申し上げてもよいんではないかと思います。このブランド推進局の活動について、関係者の皆さんの苦労と努力に敬意を表しつつ、質問に移りたいと思います。
 第一点、ブランド推進局がスタートして一年八カ月でございますが、その反響や波及効果などについて石橋商工労働部長から答弁をいただきます。
 二つ目に、これまで開催してきた和歌山フェア等の売り上げは一体どの程度になるのか。また、この和歌山フェアを開催し続けてきた宣伝効果はどの程度のものがあるのか。商工労働部長にお尋ねをしたいと思います。
 三つ目に、局長を中心に職員の皆さんの創意工夫と知恵、ユニークな取り組みが今各方面から注目を浴びておりますが、ブランド推進局は今日まで一年八カ月、何を目指してきたのか、そして今後何を目指していこうとしておられるのか、そのポリシー、理念について改めてここで聞かせていただきたいと思います。商工労働部長、よろしく。
 四つ目に、これまでイトーヨーカ堂、紀ノ国屋、イオングループジャスコと和歌山フェアを重ねてきたわけでございますが、今後はどのような戦略のもとに全国へと広めていくおつもりであるのか、和歌山ブランドを売り込んでいくおつもりであるのか、商工労働部長にお尋ねをしたいと思います。
 五つ目の質問として、以前にもこの本会議における一般質問で提言申し上げたことでありますが、和歌山ブランドの海外、特に東アジアへの販路開拓についてであります。
 東アジアと言えば韓国、中国、台湾ということになろうかと思いますが、実は昨年、関西国際空港エアポートプロモーション活動で北京市を訪問したときに、公務の合間を縫いまして、私、イトーヨーカ堂の北京店を訪問いたしました。このとき、同店の幹部と約一時間にわたって意見交換をし、売り場も見学をさせていただいたところでございます。この結果、さまざまなことが判明しました。例えば、十キログラム入りの米は大体三十五元から三十八元、日本円にしますと五百円程度で売られております。したがって、日本の米をそのまま持ち込んでも、到底価格面で太刀打ちできないわけであります。また、流通コストや関税障壁の問題等がございますので、米を初めとする農産品というのは、中国市場への参入というのはそのままでは非常に難しいものがあろうというふうに思います。
 実は、ここに「中国進出企業地図」という、こんな大変大部の本がございますが、この中にこのように書かれております。実はこの本、つい先日、和歌山県職員労働組合委員長の中畑仁志氏と懇談しているときに中国の話になりまして、県産品をどうして売り込むかという話をいろいろしていたら、その中で、「実はこんな本があるんですよ」と言って見せていただいたわけでございますが。この本、中国の関係の本ばっかりを出版している蒼蒼社というところの本でございまして、著者は稲垣清さん、一九四七年生まれ、五十七歳、慶応義塾大学大学院修了、三菱総研の主席研究員を経て現在、東洋証券アジア有限公司(香港)のエコノミストであります。
 今、中国では、富裕層と言われる者が大体一%と言われているんですが、主として沿岸地域、都市部の個人経営者や大手企業家など、中国全体の人口比で一%、一千万人であり、年収は大体十万元、百五十万円以上である。もう一つ、中国ブランド戦略協会というところの調べによりますと、年収二十四万元から六十万元のぜいたく消費族は現在一億七千万人あり、二〇一〇年には二億五千万人にふえるだろうと。この市場は人口全体の一三%に当たるわけでございまして、この超富裕層と言われるのは、年収レベルで三十万元する車をぽんと買うそうだと言うのですね。三十万元カーというのは、日本で言えば四百万円ぐらいに当たりますから、まあそのままで言えばクラウンとか、そのクラスの車だと思います。そういうふうに今非常に中国の所得レベルが上がっているということを考えますと、これをターゲットにして高級店志向の販売戦略で十分和歌山ブランドの参入は可能ではないかと。
 例えばその一つの例として、先ほど申し上げましたイトーヨーカ堂というのは、これは同じ北京市内でも非常に周辺部で、一般中間層というか、庶民層の町の中にあります。したがってその販売戦略も、商品はほとんど中国国内で生産した商品であって、価格も百元以下のものが中心。それに対して、同じ日本からの進出企業で伊勢丹が上海市内に梅龍鎮店というんですかね南京路というところにある店でございますが、ここは周辺に高級ブランドショップが建ち並んでおりまして、この伊勢丹には資生堂やワコールなどを初め、婦人服では23区とかミッシェルクランとかJOJOとか、東京と同じブランドが並んでいるそうであります。商品の六割以上が日本からの輸入品で占められている。そういう高級イメージで顧客を引き寄せていると。もちろん、この付近には伊勢丹以外にもエルメスとかプラダとか、そういう高級ブランドショップがありまして、マンダリンやリッツカールトンなどの高級ホテルも建ち並んでいると。日本で言えば、まさに青山、赤坂のような町だというふうに紹介をしております。
 このように、戦略次第では中国で和歌山の高級なもの、いいものを十分売り込める可能性が僕はあると、そのように思うんであります。一方で、このイトーヨーカ堂の佐野正之営業本部長さんといろいろ話をしているときに、この人がおっしゃってたんですけれども、この店の周辺というのは月収が千二百元から千三百元程度の中間層なんですが、そういう人たちが三百元ほどするものをぽんと買っていくと言うんですね。ちょうど日本で言いますと、例えば月収五十万の家庭の人が十五万円ぐらいするものを現金で買っていくようなものでありまして、「非常に驚かされることが多い」と、そのようにおっしゃっておりました。このように、正規の職業以外に、いわゆる数字にあらわれない、例えばいろんな、アルバイトであるとかサイドジョブであるとか、利ざや稼ぎをしていたりとか口ききで副収入があるとか、そんな表面にあらわれない副収入があるんじゃないかという情報通の話もあります。
 また、もう一つ、日本の資生堂の化粧品を資生堂のブランド名で売っても全く売れなかったのに、同じ商品を中国ブランドの名前に変えて売ったら途端に物すごく売れ出したという、そんな話もあるんであります。したがって、いろんな工夫や努力で販路開拓というのは決して不可能ではないと、そのように私は思います。
 中国のみならず、韓国や台湾に対しても同じようにこれから本格的に進出を考える必要があるんではないか、そのように思いますので、知事からこのことについてお話を聞かせていただきたいと思います。
 この項の最後に、ブランド推進局の組織機構の強化拡充についてであります。
 県産品の販路開拓が今軌道に乗り、各方面から注目も集め、また本格的に日本全国へ、そして東アジアへと拡大していこうとする中で、ブランド推進局の組織機構を強化し、人員もふやしていく、そして優秀な人材を育て充当していくことが必要であると私は考えますが、知事、いかがでございましょうか。前向きの答弁をお願いするものでございます。
 以上で、私の第一質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 関空に関する御質問でございます。
 つい先般、新聞で第二期の滑走路の三百億円満額──決定したわけじゃないけど、つくというふうなことが出ていて、私もよかったなと本当に喜んでいるところでございますけれども、こういうふうな決定がなされたことについても、この十一月の二十九日、三十日の両日、関西国際空港対策特別委員会において関係各方面へ本当に強力な要請、また陳情活動をされたことの成果だというふうに、私も本当に思っているところでございます。
 関空については、私もよく言われるんですが、「和歌山までどれぐらいかかるんですか」と聞かれたときに、「大体三、四十分ぐらいで行くんですよ」という話をしたら、「和歌山空港みたいなもんですね」というふうな話もありまして、この関空の振興については和歌山県はよその府県以上に力を入れていかなければならないというふうな信念でいるところで、今回の予算要求についても、財務省の方から出てきた地元としての努力ということについて、現在、これは関西国際空港全体構想促進協議会というところで考えていることですけれども、和歌山県としては、その中で積極的に関西一丸となった関空会社の支援ということについて前向きに取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。
 次に、県産品の販路開拓、特に海外、東アジアへの販路開拓に取り組んだらどうかという御質問でございます。
 日本の国も十三年不況とか十四年不況とか、ずっとデフレが続いてきたと。そういうふうな中で、その原因が中国から安い物の輸出品が日本へ来るからというふうなことが言われていたわけでございますけれども、ここへ来て、中国は安い物を輸出する国であるとともに日本の物を買う市場としても非常に有望なところであるというふうな認識が高まり、また現に鉄鋼であるとか造船であるとか、そういうふうないろんなものについては、その効果というものがもう既に顕著にあらわれているところでございます。
 そういう中で、和歌山県の産品というふうなものも積極的に売り込むことができないかということで、昨年は北京のイトーヨーカ堂でどうかというふうな調査を行ったんですけども、これについては先ほど御質問の中にもあったように、そこがそう高いものを売ってるところじゃなかったというふうなことで、なかなか厳しいというふうなことがございました。
 ことしは、香港で高級なスーパーというところへ行ったら、これはかなりいけるんじゃないかというふうなことで今頑張っているところなんですけども、ただ、今、御質問の中にもありましたように中国は日々変わっていってるというふうなこと、それから中国の中の所得層というのも、もう本当に物すごく大金持ちの人の層も相当できてきている。日本でも高いものがいい人がいるように、中国でもだんだんとそういうふうな、品質がよければ高くても買うというふうな層が出てきているということもありますので、去年の北京のことにとらわれることなく、広く新しいそういうふうな需要開拓ということに積極的に取り組んでいきたい、このように思っております。
 それから、第三点目のブランド推進局。
 ブランド推進局──私は知事就任当初から、和歌山の県産品を広く日本全国にアピールすることによって物が売れるようにしようということでこういうふうな推進局を設け、大手スーパー等との販売促進というふうなことに取り組んできたところで、今まで担当部局の努力もあって一定の成果──一定のというか、非常に大きな成果をおさめてきたものだというふうに思っております。この点については、今までの動きということをまた反省したり、そしてまたどういうところを改めたらいいかというふうなことを十分研究しながら、組織についてもこういうふうな成長部門には必要な人材をどんどん投入していかなければならないというふうな考え方を持っておりますので、そういうふうな積極的な姿勢で今後も取り組んでいきたいと、このように思っています。
○議長(小川 武君) 副知事小佐田昌計君。
  〔小佐田昌計君、登壇〕
○副知事(小佐田昌計君) 関西国際空港エアポートプロモーション活動についてでございますが、今回のエアポートプロモーションに際しまして議会から御参加いただきました方々に、改めまして厚くお礼申し上げたいと思います。
 森議員の御報告にもございましたが、北京市の中国民用航空総局では、日本と中国の航空当局間協議の代表者である王栄華・国際合作司長とお会いし、山東航空の関空への新規就航について意見交換を活発に行いました。また、山東省においては山東航空を訪問し、関空への新規就航、そして上海市では中国東方航空を訪問し、青島、煙台路線の増便を強く要望してまいりました。
 特に中国民用航空総局の王栄華国際合作司長からは、「次に開催する日本・中国航空当局間協議の際は、和歌山県、山東省、山東航空の考えを十分配慮する」との前向きな回答をいただき、非常に有意義なプロモーションであったと感じております。
 また、中国東方航空においては、「関西国際空港は希望時間帯の発着枠がないため増便が難しく、予定どおりの平行滑走路の供用が必要である」との指摘を受け、改めて二期事業の二〇〇七年供用開始に全力で取り組まねばならないと痛感した次第であります。
 本県としましては、来年早々にも開催予定の日本・中国航空当局間協議の結果を踏まえ、積極的に山東航空の関西国際空港への乗り入れについて働きかけてまいりたいと考えております。近い将来、山東航空が関西国際空港へ新規就航することを強く望んでございます。
○議長(小川 武君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 関西国際空港二期工事の進捗状況についてお答えをいたします。
 進捗状況につきましては、順調に埋立工事が進められておりまして、昨年十一月下旬より埋め立ての最終段階であります二次揚土工事が開始され、本年度末ごろには滑走路、平行誘導路及び南側連絡誘導路などの用地が完成する見込みとなっております。
 なお、十一月末現在で全体計画面積五百四十五ヘクタールのうち四百九十三ヘクタールが陸化しまして、施工数量ベースでの進捗率は約八七%となっており、来年度にはほぼ埋立工事が完成するものと聞いております。
 国際線につきましては、イラク戦争やSARSの影響から脱却いたしまして、ことしの冬ダイヤは過去最高の週当たり六百八十六便が見込まれまして、急速に回復しております。
 国内線につきましては、伊丹空港へのシフトが進み、減少傾向にあります。しかし、去る九月二十九日に国土交通省が伊丹空港の運用見直しを発表いたしました。その内容は、高騒音機材の段階的就航禁止、ジェット枠の段階的見直し及び遠距離路線の不使用努力などとなっております。
 今後は、伊丹空港の運用見直しによる関空へのシフトに加え、来年三月十一日からのスカイマークエアラインズの新規就航により確実な回復が見込まれる状況となっております。その結果、平成十九年には発着回数が年間十三万回を超える見通しとなっております。
 去る十一月二十四日に、関西国際空港株式会社の平成十六年度の中間決算が発表されました。それによりますと、乗り入れ便数や旅客数が昨年のSARS等の影響から順調に回復したため営業収益が大幅に増加、反面、営業費用につきましては、経営改善計画における軽費削減が着実に実行されたことから開港十年目で初めて経常黒字に転換し、三十九億円の経常利益を計上したとのことであります。通年でも黒字の見込みになると聞いております。
 関連地域整備につきましては、昭和六十一年に関西国際空港の立地を県勢の発展に積極的に活用することを目的として策定いたしました関西国際空港関連地域整備計画に基づき、着実に推進されるよう取り組んでいるところでございます。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 県産品の販路開拓についての四点についてお答え申し上げます。
 まず、ブランド推進局誕生後の反響と波及効果についてでございますが、議員お話しのように、昨年来、スーパーではイトーヨーカ堂を初め、イオン、紀ノ国屋、また三越、藤崎、ロビンソンの各百貨店などへ県産品の販路拡大や定番商品化、ブランド化をねらったソフトアンテナショップ・和歌山フェアを開催してまいりました。
 県内生産者の声といたしましては、「多様化した消費者ニーズを肌で感じることができ、商品開発に意欲が出てきた」、また「市場への露出がふえたため、新しい問屋からの問い合わせがふえた」と喜んでいるなど、商品力の向上や販路開拓意欲の醸成に大きな効果があったと考えてございます。
 また、このような直接的な販路開拓の取り組みは先進事例として他府県からも注目を浴び、組織体制や事業概要等について十数県から調査や照会があるなど、大きな効果があったと考えてございます。
 次に、和歌山フェアの売り上げ総額と宣伝効果についてお答え申し上げます。
 これまでの開催実績ですが、昨年度は五社十六店舗で開催し、イトーヨーカ堂での二度の全店企画を含め、二億七千七百万の売り上げがございました。今年度は、現在、六社二十七店舗で開催しており、売り上げは、一部未集計のものがございますが、春のイトーヨーカ堂、秋のイオンの全店企画を含め三億七千三百万円となっており、店舗数も売上額も急増してございます。
 宣伝効果につきましては、これらのソフトアンテナショップの開催を通じ、本県の経費負担の少ない効果的なPRが行われてございます。また、消費者の方々もフェアを楽しみに待たれているなど、回を重ねるにつれ県産品の認知度が向上してきており、あわせて和歌山県そのもののファンが増加してきていると感じてございます。
 次にブランド推進局のポリシー、理念についてでございますが、ブランド推進局の目指すのは、その名のとおり、県産品のブランド化の推進であります。このため、ソフトアンテナショップを数多く開催しておりますが、その第一の目的は、定番商品をつくり、全国の消費者に対して認知度を高めていくことであります。大手量販店を中心に展開している理由もそこにあります。
 既に数種類の商品が定番商品として採用されております。また、ソフトアンテナショップについては、まさにアンテナであり、消費者情報の収集がもう一つの目的であります。
 店舗、地域によって売れる商品は異なり、消費者の反応も変わってきます。これらの情報をいかにうまく生産者が活用し、商品開発や商品改良に役立てていただけるか、生産者の方々にこうした意欲が一層高められるよう、本事業を通じて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 最後に、ブランド推進局が目指す今後の戦略についてお答えします。
 まず、定番商品化の推進のためには、一つには、この秋にイオンの大阪府下の新店二店舗で常設の和歌山コーナーが設置されましたが、このような定番化の流れを加速するような選択と集中による仕組みをシステム化することが必要であります。このため、今後、多岐にわたり、そうした定番化のシステムを構築していきたいと考えております。
 また、生産者のニーズに合わせたメニューの充実を図ることが重要であり、対象地域についても、首都圏、近畿圏が従来から中心となっておりますが、今後、他の地域や海外へも進出していきたいと考えてございます。
 店舗につきましても、大手量販店に限らず、コンビニエンスストアやホテル等にも拡大するなど、これまでの成果を踏まえ、さらなる定番商品化の推進と新市場の開拓に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番森 正樹君。
○森 正樹君 二点だけ申し上げたいと思います。
 一つは、今、知事、関空対策特別委員会の強力な予算要望のおかげと言っていただきましたが、これまあお世辞だと私は思いますけもども。もちろん、我々もその一翼を担わしていただいたことは間違いございません。歴代の委員長も大変頑張っていただきましたし、私もこの二年、精いっぱい努力をしてまいりました。
 ただ、オール関西──関西は一つということでこの関西国際空港を盛り上げようという関西国際空港全体構想推進協議会、この会が秋山会長を中心に本当に一つになって努力してきた結果だと、そのように思います。ただ、まだ決して正式発表ではございませんし、寸分の油断もなくこれからもやはりこの二〇〇七年供用開始に向けて取り組んでいかきゃならない、気を緩めてはならないと、そのように私は思いますので、ともに頑張りたいと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それから二点目の、県産品の販路開拓のうち組織機構の強化について、知事、余りはっきりしたお答えされませんでしたけれども、ぜひとも次の人事異動のときにはこのブランド推進局の組織機構の強化について──組織、人員をふやすことと、機構としてももっと充実していただきたい。決して人をふやせばいいということではございませんけれども、優秀な人材を充てることによって、重点配置することによってさらにこの和歌山県を世界に、日本国じゅうに発信していくことにつながっていくと思います。ぜひよろしくお願いをいたしまして、要望でございます。終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。

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