平成16年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成十六年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
 平成十六年十二月十三日(月曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三十四号から議案第百六十九号まで、並びに報第十四号から報第十九号まで(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案等の付託
  第四 請願付託の件
  第五 意見書・決議案
会議に付した事件
   一 議案第百三十四号から議案第百六十九号まで、並びに報第十四号から報第十九号まで(質疑)
   二 一般質問
   三 議案等の付託
   四 請願付託の件
   五 意見書
   六 休会決定の件
出席議員(四十六人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       前   川   勝   久
     二十六番       山   下   大   輔
     二十七番       木   下   善   之
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      白   原   勝   文
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課副主査     楠   見   直   博
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百三十四号から議案第百六十九号まで、並びに知事専決処分報告報第十四号から報第十九号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十七番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 皆さん、おはようございます。お許しを賜りましたので、一般質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、関西国際空港に関する諸問題についてお尋ねをいたします。
 去る十一月八日から十一日までの四日間、関西国際空港エアポートプロモーション活動の一環として中国を訪問させていただきました。北京、済南、上海の三都市を駆けめぐってまいったのでございます。小佐田昌計副知事を団長といたしまして、県議会からは和田正人県議会日中友好議員連盟副会長、村岡キミ子、飯田敬文、谷洋一、前川勝久、浅井修一郎、花田健吉、山下大輔の各氏と私の九人が参加をさせていただきました。当局からは、計画局長の杉本さん初め四名、議会事務局からは島光正議事課長、また関西国際空港株式会社からは比沢一行常務など二名、合わせて十七名の構成でございました。
 私たちは、十一月八日午前八時に関西空港に集合いたしまして直ちに結団式を行い、午前十時発の全日空一五九便で北京に向けて出発したのでございます。
 なお、この際、村山敦関西国際空港株式会社社長が、大変御多忙にもかかわりませず、わざわざお見送りに出ていただきましたことをあえて申し添えておきたいと思います。
 北京首都空港には、山東省から張継剛外事弁公室副主任初め三名の幹部がわざわざ出迎えに来てくれておりました。私たちは午後一番に中国中央政府の民用航空総局を訪問し、同総局国際合作司の王栄華司長と会談をし、明年一月にも予定されております日中間航空交渉において山東航空を中国側の指定企業として追加するよう強く要望したところでございます。と申しますのも、この日中間航空交渉の場で指定企業としてノミネートされなければ国際便は飛ばせないことになっているからであります。席上、王司長からは、「山東航空は国際便を飛ばす免許は既に得ている。観光ビザの解禁によって日本への観光客の増加を我々は確信しているし、当然、山東省からの直行便もふえると思う。来年一月にも非公式の日中間航空交渉が行われる予定である。その際には、和歌山県、山東省、山東航空の考え方を十分に配慮したい」と、前向きの回答があったのであります。
 翌九日、私どもは午前七時半に宿舎を出発し、午前九時四十分発の山東航空一一五二便で済南へ向かう予定でございましたが、あいにく済南空港が濃霧により旅客機の離着陸がストップとなり、北京首都空港で三時間余り足どめとなりました。結局、午後零時五十分、北京を出発いたしました。済南空港に到着した私たちは、おくれを取り戻そうと昼食もそこそこに、新済南空港建設現場視察、山東航空公司表敬訪問、山東省政府首脳との会談と、精力的に走り回ったのであります。
 新済南空港は三千六百メートル級の滑走路を有し、バース数十三、年間八百万人の旅客に対応できる堂々たる国際空港であり、明年二月完工、五月供用開始の予定と聞いております。私たちが訪れたときには最後の仕上げ工事が盛んに行われておりました。
 山東航空の蘇中民董事常務副総経理は、「済南─関西空港間の申請を民用航空総局に対して既に行っており、必ず実現できるものと確信している。また、我々は既に国際便運航の免許も取得している」と語り、私どもに対して「日本の航空当局への働きかけをお願いしたい」との要請があったのであります。また山東省の謝玉堂副省長は、「山東省政府としても、民用航空総局に対し、山東航空の済南─関空便の就航の必要性について意見書を提出している。済南から関西空港への直行便が開設されれば、和歌山県との交流、日本との交流がさらに深まるものと考えている」との返答がありました。私たちは、山東省政府、山東航空に対して関西空港への直行便の一日も早い就航を強く要望したところであり、昨年十一月に実施しました関西国際空港エアポートプロモーションよりもさらに関西空港─済南間の直行便の実現に向けて大きく一歩踏み出したと深く実感した次第でございます。
 なお、この会談の席上、私は「来年の春、桜の咲くころにぜひとも再会しましょう。そのためにも、何としても関空─済南間の直行便を実現しましょう」と呼びかけ、「日本の春、満開の桜を見に行きたい。そのために互いに努力しましょう」との返事があり、終始友好的な話し合いとなったのであります。
 同日夜、山東省政府の招宴が開かれ、関空─済南間の直行便の実現や日中友好の話に花が咲いたことは言うまでもありません。
 三日目、済南から上海へ飛んだ私たちは、午後直ちに中国東方航空を訪問。萬明武董事副総経理と会談し──同航空が現在、国際便としてそれぞれ週二便、関西空港─青島、関西空港─煙台間を飛ばしているわけでございますが、この便について、「今般、山東省が日本への観光ビザの発給対象地域に編入されたこともあり、大幅な観光客の増加が見込まれている。成田空港が現在ほぼ満杯の状況にあることから、ぜひとも早い機会に関西空港便の増便をお願いしたい」と強く要望いたしました。これに対して萬副総経理は、「関西空港への中国からの旅客がふえていることは承知している。また、ビザ解禁による増便は重要な検討材料と認識している。しかし、関西空港に滑走路が一本しかなく、時間帯によっては満杯の状況であるのは不安だ。二本目の滑走路が必要ではないか」との率直な意見が出されました。我々の方からは、「その点は全く同感であり、そのために二〇〇七年供用開始を目指して現在平行滑走路の実現に向けて全力を傾けて取り組んでいるところである」と答えたのであります。このようなやりとりの末、増便については実現に向けて引き続き互いに努力していくことで合意を見たのであります。
 なお、最終日、上海浦東空港から全日空一五六便で関西国際空港へと帰途に着いたのでありますが、市内のターミナルから浦東空港まで、最近開業したリニアモーターカーに乗ってきました。都心と空港を結ぶアクセスとして注目を集めているこの鉄道は、約三十七キロメートルの距離をわずか七分三十秒で走行するもので、最高時速四百三十一キロメートルを体感してまいりました。
 ともあれ、三泊四日で三都市を訪問し、四つの関係機関と会談、意見交換、申し入れを行い、あわせて視察もするという強行スケジュールでございましたが、十分に所期の目的を達したと確信をいたすものでございますが、同行の皆さん、いかがでございましょうか。(「そうだ」呼ぶ者あり)
 そこで質問に移りますが、団長を務められた小佐田副知事から、今回の関西国際空港エアポートプロモーション活動に関する感想、総括と、関西国際空港への直行便の実現と増便の可能性等に関する手ごたえ、成果のほどについて御答弁をいただきたいと存じます。
 次に、同じく十一月二十九日、三十日の日程で、本県議会関西国際空港対策特別委員会といたしまして、平行滑走路の二〇〇七年供用開始に向けて平成十七年度予算編成において関西国際空港二期事業への予算づけの要望活動を行ったところでございます。要望先は、国土交通省、財務省、与党二党幹事長並びに県選出国会議員等々でございます。
 今回の要望先はいずれも多忙をきわめる人々ばかりでございまして、アポイントメントをいただくのに大変苦労したのでありますが、本県選出の二階俊博、石田真敏、西博義の衆議院議員の皆さんに大変御苦労をおかけしたことをあえて申し添えたいと存じます。
 各要望先に対しましては、関西国際空港の二期事業の早期完成と二〇〇七年の供用開始の必要性と、そのための予算の確保を強く訴えさせていただきました。これに対して自民党の武部勤幹事長は、「地元の意向は十分に承った。森さんと同じ公明党の大臣も頑張ってくれているので、私もともに頑張りたい」と力強いお言葉をいただいたところでございます。
 なお、この席には石田真敏衆議院議員、世耕弘成参議院議員が同席をしていただきました。
 次に、公明党の太田昭宏幹事長代行は、「私も皆さんと同じ決意、気持ちで一生懸命に取り組んでいく」との決意を聞かせてくれました。
 北側一雄国土交通大臣のところへは二階衆議院議員が同道していただきました。冒頭、二階衆議院議員から「北側大臣は与党二党でつくる関西国際空港推進議員連盟の幹事長を務めてもらっている」との話があり、北側大臣は、「実は、谷垣禎一財務大臣は同議連の副会長である。来年、中部国際空港が開港し、近い将来、羽田空港へも国際便が入ってくることになるだろう。そういう状況の中で、関西国際空港の二期事業、平行滑走路の二〇〇七年供用開始はぜひともやらなければならない」との並々ならぬ決意の披瀝がありました。また北側大臣からは、「現在、大阪府にも頑張ってもらっているが、地元にももっと汗をかいてもらう必要がある」との注文も出されたのであります。これを受けて二階衆議院議員は、「北側大臣は地元の大阪府選出の国会議員である。大臣が発言をしやすい環境をつくることが大事だ。和歌山県も大いに汗をかこう」とこたえ、私たちも引き続き最大限の努力を払うことを誓ったのであります。
 このほか、岩村敬国土交通省事務次官、岩崎貞二同航空局長、本田勝同飛行場部長など、国土交通省の主要な幹部へも要望活動を行い、和歌山県の熱意、意向を十分に訴えてまいりました。この中で、「二期事業は必ずやります」との岩村事務次官の発言など、まことに心強い反応が多々あったことを特に御報告申し上げておきたいと思います。
 また財務省では、林主計官に対し、平成十四年の塩川財務大臣と扇国土交通大臣の間で交わされた申し合わせ、すなわち「二〇〇七年の供用開始を目標として進められている二期事業については予定どおり用地造成を進めることとし、供用開始に必要な施設の整備については今後の需要動向や会社の経営状況を見つつ行う」との文書を引き、関西国際空港株式会社が初の経常黒字を計上し、発着便数も冬ダイヤで過去最高が見込まれることを強調いたしましたところ、林主計官は「経常黒字は補給金のおかげであり、発着回数も過去最低」との、間違っている上に、木で鼻をくくったような答弁があったのでございます。私の発言を途中で制止しようとしたり、木で鼻をくくるような返事といい、全く鼻白むような思いでございましたが、私たちといたしましては正論を主張し、言うべきことは十分に主張してまいりました。
 なお、予算要望活動の合間を縫って本県選出国会議員の皆さん八人のところへも、関西国際空港二期事業への満額予算計上への支援を強くお願いしたところでございます。
 ところで、十二月八日付朝刊各紙が一面トップで、あるいは大々的に報じておりましたのでもう皆さん御存じだと思いますが、「関空二期 満額三百億円計上へ」とか「関空二期予算化へ」という凸版見出しが躍っておりました。私は朝一番にこの新聞を見て、思わず「よし、やった」と快哉を叫んだのでございます。この一連の報道は、十二月七日の閣議終了後の定例記者会見で北側国土交通大臣が「空港整備法を見直す」と発言したことを受けたものであります。
 空港整備法を見直すとは、すなわち、かねてから懸案であった大阪伊丹空港を一種空港から二種Aへと格下げすることを意味しているわけでありまして、これにより、関西国際空港二期事業の予算計上の条件として財務省が示しておりました、一つ、関西国際空港の需要の確保、二つ、関空会社の経営の安定──この二つは先ほども申し上げました塩川・扇両大臣の合意事項でございます──三点目、伊丹空港の二種空港への格下げ、四点目、地元の支援、この四項目をすべてクリアすることが明確となったのであります。言いかえれば、関西国際空港二期事業に関する予定どおりの予算計上への障害がすべて取り払われたことを意味するのであります。この伊丹空港の格下げについては、大阪国際空港騒音対策協議会いわゆる十一市協など、伊丹空港周辺のなりふり構わぬ抵抗、反対運動があり、難航していたのでありますが、よくぞ北側大臣が決断してくれたと私はこの場で申し上げたいと思います。
 つい先日、大臣室で北側大臣と会い、大臣の熱意を肌で感じ取った私たちといたしましては、これで二〇〇七年の供用開始に向けて大きく前進を開始したと断言したいのでありますが、いかがでございましょうか。
 ともあれ、我が委員会の予算要望活動はまことに実り多いものとなったと、まあ手前みそでございますが、申し上げておきたいと思います。
 そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
 関西国際空港二期事業の二〇〇七年供用開始に向けて、北側大臣の言う「地元にも汗をかいてもらいたい」との注文を受けて和歌山県としてどのような汗をかくのか、何をしていくのか。率直な御意見を聞かせていただきたいと思います。
 三つ目に、現在、二期工事の進捗状況はどうなっているのか。
 四点目、関西国際空港の国際線・国内線の便数について、特に伊丹空港の運用見直しの実施との絡みについてもお答えをいただきたいと思います。
 五点目、平成十六年度中間決算において初の経常黒字を達成することがマスコミ等で大々的に報じられておりましたが、このことについてさらに詳しく報告をしていただきたい。
 六点目、関西国際空港の整備充実にあわせ、関連地域整備の着実な推進が今後必要になってまいりますが、和歌山県としての今後の取り組みについてもお答えをいただきたい。
 以上四点は、高嶋企画部長からお願いをしたいと思います。
 次に二つ目の項目、県産品の販路開拓についてお尋ねをいたしたいと思います。
 今十二月定例会の冒頭の知事説明要旨の中で木村知事は、イオン株式会社の岡田社長と会談したこと、全国のジャスコ二百八十店舗で和歌山フェアを開催したこと、最近オープンした堺市のダイヤモンドシティ・プラウや泉南市のイオンりんくう泉南ショッピングセンター内ジャスコで常設の和歌山コーナーを設置したことなどを報告されました。まさに知事が申されるごとく、本県自慢のこだわり産品が定番で棚に並び、県産品の販売促進と和歌山県全体のブランドイメージ向上に結びつくものと、大いに期待するところであります。
 ところで、県庁内組織としてブランド推進局が誕生して一年八カ月。局長を中心に二十五名の職員の皆さんの創意と工夫、努力が徐々に花を咲かせ、実を結ぼうとしていることに私は賛辞を送りたいと思います。
 最初は、東京都内のイトーヨーカ堂の店舗での和歌山産品コーナーに端を発し、やがて首都圏のイトーヨーカ堂に広まり、紀ノ国屋や仙台の藤崎百貨店、あるいはイオングループジャスコ各店へと拡大していったのであります。聞くところによりますと、実にさまざまな反響があり、多くの声が寄せられていると聞いております。
 例えば、消費者の声を幾つか申し上げますと、「和歌山県がどこにあるのかよく知らなかったし、どんな産品があるのかも知らなかったが、このフェアを見て驚いた。今後、機会があれば和歌山へ行ってみたい」。それから、「かまぼこがふだん食べているものより大変おいしいので正月に欲しい。取り寄せは可能か」。フェア初日に商品を購入されたお客様ですが、「数日後、大変気に入ったと数個まとめ買いをしていった」と。それから、試食コーナーがあるんですが、そこで試食をしたあるお客様が、「これが本物のマグロか。とてもおいしい。今まで食べていたものと全然違う」と驚かれ、本物を売れば値段が高くても消費者は買っていくということを担当の職員は実感したと、そういうさまざまな反響があったわけでございます。
 また一方でメーカーや生産者の方の声でございますが、これは梅干し業者、「中にはアミノ酸などの添加物が入っていない、結果的には塩分濃度の高い昔ながらの梅干しを求められるお客様が結構いた。消費者のニーズが多様化していることを肌で感じて勉強になった」と。それから、これはドレッシングの製造業者でございますが、「おいしさよりも健康的な商品、例えばノンオイルかどうかを一番目の基準に選ばれる傾向が強かった。今後の商品開発に大いに役立つ」。それから、これは和菓子業者ですが、「スーパーでは箱入りの菓子は売りにくいので新たに少量パック商品を開発したところ、好評であった」と、商品改良が当たった例でございます。もう一つ、梅酒製造業者でございますが、「フェアへの出店を通じて注目され、他の問屋からの問い合わせがふえている。首都圏の販路拡大につながる可能性ができた」と喜んでいたという、そんな声でございます。また、こんなエピソードもございます。「フェアで和菓子を購入したお客様がわざわざ旅行で和歌山に来たときに店に寄って買って行ってくれた」と、そういう和菓子業者の声もありました。
 わずか二年弱ではございますけれども、このように着実に和歌山産品の販路開拓と定番化、ブランド化が進み、ひいては和歌山県のイメージアップ、認知度の上昇につながって本県のPR宣伝に大きな効果があったと申し上げたいのであります。
 例えば、これはジャスコ店で周辺の各世帯に配布された、こういうチラシでございますけれども(資料を示す)その中に、一ページを割いて──このページがそうですね。これすべて、「和歌山の味紀行」というページがこの中に設けられているんであります。ほかにも、こういう和歌山フェアをする際に必ずこういうものが各戸に新聞折り込みされるんですけれども、いずれもこの中に一ページ、和歌山フェアのページがある。これは、いずれも和歌山県が金を出したんではなくて、このショッピングセンターの好意によってこういうページを設けていただいておるわけで、中には十五万部折り込み広告に入れたというものもあるそうでございます。そして最近、このような県産品の商品カタログまで配布することになりました。(資料を示す)これは業者向けなんですけれども、皆さんの席に一つずつ置いてありますので、ぜひごらんください。知事にも。(資料を渡す)
 恐らく都道府県の取り組みとしては、これは我が国で初めてと申し上げてもよいんではないかと思います。このブランド推進局の活動について、関係者の皆さんの苦労と努力に敬意を表しつつ、質問に移りたいと思います。
 第一点、ブランド推進局がスタートして一年八カ月でございますが、その反響や波及効果などについて石橋商工労働部長から答弁をいただきます。
 二つ目に、これまで開催してきた和歌山フェア等の売り上げは一体どの程度になるのか。また、この和歌山フェアを開催し続けてきた宣伝効果はどの程度のものがあるのか。商工労働部長にお尋ねをしたいと思います。
 三つ目に、局長を中心に職員の皆さんの創意工夫と知恵、ユニークな取り組みが今各方面から注目を浴びておりますが、ブランド推進局は今日まで一年八カ月、何を目指してきたのか、そして今後何を目指していこうとしておられるのか、そのポリシー、理念について改めてここで聞かせていただきたいと思います。商工労働部長、よろしく。
 四つ目に、これまでイトーヨーカ堂、紀ノ国屋、イオングループジャスコと和歌山フェアを重ねてきたわけでございますが、今後はどのような戦略のもとに全国へと広めていくおつもりであるのか、和歌山ブランドを売り込んでいくおつもりであるのか、商工労働部長にお尋ねをしたいと思います。
 五つ目の質問として、以前にもこの本会議における一般質問で提言申し上げたことでありますが、和歌山ブランドの海外、特に東アジアへの販路開拓についてであります。
 東アジアと言えば韓国、中国、台湾ということになろうかと思いますが、実は昨年、関西国際空港エアポートプロモーション活動で北京市を訪問したときに、公務の合間を縫いまして、私、イトーヨーカ堂の北京店を訪問いたしました。このとき、同店の幹部と約一時間にわたって意見交換をし、売り場も見学をさせていただいたところでございます。この結果、さまざまなことが判明しました。例えば、十キログラム入りの米は大体三十五元から三十八元、日本円にしますと五百円程度で売られております。したがって、日本の米をそのまま持ち込んでも、到底価格面で太刀打ちできないわけであります。また、流通コストや関税障壁の問題等がございますので、米を初めとする農産品というのは、中国市場への参入というのはそのままでは非常に難しいものがあろうというふうに思います。
 実は、ここに「中国進出企業地図」という、こんな大変大部の本がございますが、この中にこのように書かれております。実はこの本、つい先日、和歌山県職員労働組合委員長の中畑仁志氏と懇談しているときに中国の話になりまして、県産品をどうして売り込むかという話をいろいろしていたら、その中で、「実はこんな本があるんですよ」と言って見せていただいたわけでございますが。この本、中国の関係の本ばっかりを出版している蒼蒼社というところの本でございまして、著者は稲垣清さん、一九四七年生まれ、五十七歳、慶応義塾大学大学院修了、三菱総研の主席研究員を経て現在、東洋証券アジア有限公司(香港)のエコノミストであります。
 今、中国では、富裕層と言われる者が大体一%と言われているんですが、主として沿岸地域、都市部の個人経営者や大手企業家など、中国全体の人口比で一%、一千万人であり、年収は大体十万元、百五十万円以上である。もう一つ、中国ブランド戦略協会というところの調べによりますと、年収二十四万元から六十万元のぜいたく消費族は現在一億七千万人あり、二〇一〇年には二億五千万人にふえるだろうと。この市場は人口全体の一三%に当たるわけでございまして、この超富裕層と言われるのは、年収レベルで三十万元する車をぽんと買うそうだと言うのですね。三十万元カーというのは、日本で言えば四百万円ぐらいに当たりますから、まあそのままで言えばクラウンとか、そのクラスの車だと思います。そういうふうに今非常に中国の所得レベルが上がっているということを考えますと、これをターゲットにして高級店志向の販売戦略で十分和歌山ブランドの参入は可能ではないかと。
 例えばその一つの例として、先ほど申し上げましたイトーヨーカ堂というのは、これは同じ北京市内でも非常に周辺部で、一般中間層というか、庶民層の町の中にあります。したがってその販売戦略も、商品はほとんど中国国内で生産した商品であって、価格も百元以下のものが中心。それに対して、同じ日本からの進出企業で伊勢丹が上海市内に梅龍鎮店というんですかね南京路というところにある店でございますが、ここは周辺に高級ブランドショップが建ち並んでおりまして、この伊勢丹には資生堂やワコールなどを初め、婦人服では23区とかミッシェルクランとかJOJOとか、東京と同じブランドが並んでいるそうであります。商品の六割以上が日本からの輸入品で占められている。そういう高級イメージで顧客を引き寄せていると。もちろん、この付近には伊勢丹以外にもエルメスとかプラダとか、そういう高級ブランドショップがありまして、マンダリンやリッツカールトンなどの高級ホテルも建ち並んでいると。日本で言えば、まさに青山、赤坂のような町だというふうに紹介をしております。
 このように、戦略次第では中国で和歌山の高級なもの、いいものを十分売り込める可能性が僕はあると、そのように思うんであります。一方で、このイトーヨーカ堂の佐野正之営業本部長さんといろいろ話をしているときに、この人がおっしゃってたんですけれども、この店の周辺というのは月収が千二百元から千三百元程度の中間層なんですが、そういう人たちが三百元ほどするものをぽんと買っていくと言うんですね。ちょうど日本で言いますと、例えば月収五十万の家庭の人が十五万円ぐらいするものを現金で買っていくようなものでありまして、「非常に驚かされることが多い」と、そのようにおっしゃっておりました。このように、正規の職業以外に、いわゆる数字にあらわれない、例えばいろんな、アルバイトであるとかサイドジョブであるとか、利ざや稼ぎをしていたりとか口ききで副収入があるとか、そんな表面にあらわれない副収入があるんじゃないかという情報通の話もあります。
 また、もう一つ、日本の資生堂の化粧品を資生堂のブランド名で売っても全く売れなかったのに、同じ商品を中国ブランドの名前に変えて売ったら途端に物すごく売れ出したという、そんな話もあるんであります。したがって、いろんな工夫や努力で販路開拓というのは決して不可能ではないと、そのように私は思います。
 中国のみならず、韓国や台湾に対しても同じようにこれから本格的に進出を考える必要があるんではないか、そのように思いますので、知事からこのことについてお話を聞かせていただきたいと思います。
 この項の最後に、ブランド推進局の組織機構の強化拡充についてであります。
 県産品の販路開拓が今軌道に乗り、各方面から注目も集め、また本格的に日本全国へ、そして東アジアへと拡大していこうとする中で、ブランド推進局の組織機構を強化し、人員もふやしていく、そして優秀な人材を育て充当していくことが必要であると私は考えますが、知事、いかがでございましょうか。前向きの答弁をお願いするものでございます。
 以上で、私の第一質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 関空に関する御質問でございます。
 つい先般、新聞で第二期の滑走路の三百億円満額──決定したわけじゃないけど、つくというふうなことが出ていて、私もよかったなと本当に喜んでいるところでございますけれども、こういうふうな決定がなされたことについても、この十一月の二十九日、三十日の両日、関西国際空港対策特別委員会において関係各方面へ本当に強力な要請、また陳情活動をされたことの成果だというふうに、私も本当に思っているところでございます。
 関空については、私もよく言われるんですが、「和歌山までどれぐらいかかるんですか」と聞かれたときに、「大体三、四十分ぐらいで行くんですよ」という話をしたら、「和歌山空港みたいなもんですね」というふうな話もありまして、この関空の振興については和歌山県はよその府県以上に力を入れていかなければならないというふうな信念でいるところで、今回の予算要求についても、財務省の方から出てきた地元としての努力ということについて、現在、これは関西国際空港全体構想促進協議会というところで考えていることですけれども、和歌山県としては、その中で積極的に関西一丸となった関空会社の支援ということについて前向きに取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。
 次に、県産品の販路開拓、特に海外、東アジアへの販路開拓に取り組んだらどうかという御質問でございます。
 日本の国も十三年不況とか十四年不況とか、ずっとデフレが続いてきたと。そういうふうな中で、その原因が中国から安い物の輸出品が日本へ来るからというふうなことが言われていたわけでございますけれども、ここへ来て、中国は安い物を輸出する国であるとともに日本の物を買う市場としても非常に有望なところであるというふうな認識が高まり、また現に鉄鋼であるとか造船であるとか、そういうふうないろんなものについては、その効果というものがもう既に顕著にあらわれているところでございます。
 そういう中で、和歌山県の産品というふうなものも積極的に売り込むことができないかということで、昨年は北京のイトーヨーカ堂でどうかというふうな調査を行ったんですけども、これについては先ほど御質問の中にもあったように、そこがそう高いものを売ってるところじゃなかったというふうなことで、なかなか厳しいというふうなことがございました。
 ことしは、香港で高級なスーパーというところへ行ったら、これはかなりいけるんじゃないかというふうなことで今頑張っているところなんですけども、ただ、今、御質問の中にもありましたように中国は日々変わっていってるというふうなこと、それから中国の中の所得層というのも、もう本当に物すごく大金持ちの人の層も相当できてきている。日本でも高いものがいい人がいるように、中国でもだんだんとそういうふうな、品質がよければ高くても買うというふうな層が出てきているということもありますので、去年の北京のことにとらわれることなく、広く新しいそういうふうな需要開拓ということに積極的に取り組んでいきたい、このように思っております。
 それから、第三点目のブランド推進局。
 ブランド推進局──私は知事就任当初から、和歌山の県産品を広く日本全国にアピールすることによって物が売れるようにしようということでこういうふうな推進局を設け、大手スーパー等との販売促進というふうなことに取り組んできたところで、今まで担当部局の努力もあって一定の成果──一定のというか、非常に大きな成果をおさめてきたものだというふうに思っております。この点については、今までの動きということをまた反省したり、そしてまたどういうところを改めたらいいかというふうなことを十分研究しながら、組織についてもこういうふうな成長部門には必要な人材をどんどん投入していかなければならないというふうな考え方を持っておりますので、そういうふうな積極的な姿勢で今後も取り組んでいきたいと、このように思っています。
○議長(小川 武君) 副知事小佐田昌計君。
  〔小佐田昌計君、登壇〕
○副知事(小佐田昌計君) 関西国際空港エアポートプロモーション活動についてでございますが、今回のエアポートプロモーションに際しまして議会から御参加いただきました方々に、改めまして厚くお礼申し上げたいと思います。
 森議員の御報告にもございましたが、北京市の中国民用航空総局では、日本と中国の航空当局間協議の代表者である王栄華・国際合作司長とお会いし、山東航空の関空への新規就航について意見交換を活発に行いました。また、山東省においては山東航空を訪問し、関空への新規就航、そして上海市では中国東方航空を訪問し、青島、煙台路線の増便を強く要望してまいりました。
 特に中国民用航空総局の王栄華国際合作司長からは、「次に開催する日本・中国航空当局間協議の際は、和歌山県、山東省、山東航空の考えを十分配慮する」との前向きな回答をいただき、非常に有意義なプロモーションであったと感じております。
 また、中国東方航空においては、「関西国際空港は希望時間帯の発着枠がないため増便が難しく、予定どおりの平行滑走路の供用が必要である」との指摘を受け、改めて二期事業の二〇〇七年供用開始に全力で取り組まねばならないと痛感した次第であります。
 本県としましては、来年早々にも開催予定の日本・中国航空当局間協議の結果を踏まえ、積極的に山東航空の関西国際空港への乗り入れについて働きかけてまいりたいと考えております。近い将来、山東航空が関西国際空港へ新規就航することを強く望んでございます。
○議長(小川 武君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 関西国際空港二期工事の進捗状況についてお答えをいたします。
 進捗状況につきましては、順調に埋立工事が進められておりまして、昨年十一月下旬より埋め立ての最終段階であります二次揚土工事が開始され、本年度末ごろには滑走路、平行誘導路及び南側連絡誘導路などの用地が完成する見込みとなっております。
 なお、十一月末現在で全体計画面積五百四十五ヘクタールのうち四百九十三ヘクタールが陸化しまして、施工数量ベースでの進捗率は約八七%となっており、来年度にはほぼ埋立工事が完成するものと聞いております。
 国際線につきましては、イラク戦争やSARSの影響から脱却いたしまして、ことしの冬ダイヤは過去最高の週当たり六百八十六便が見込まれまして、急速に回復しております。
 国内線につきましては、伊丹空港へのシフトが進み、減少傾向にあります。しかし、去る九月二十九日に国土交通省が伊丹空港の運用見直しを発表いたしました。その内容は、高騒音機材の段階的就航禁止、ジェット枠の段階的見直し及び遠距離路線の不使用努力などとなっております。
 今後は、伊丹空港の運用見直しによる関空へのシフトに加え、来年三月十一日からのスカイマークエアラインズの新規就航により確実な回復が見込まれる状況となっております。その結果、平成十九年には発着回数が年間十三万回を超える見通しとなっております。
 去る十一月二十四日に、関西国際空港株式会社の平成十六年度の中間決算が発表されました。それによりますと、乗り入れ便数や旅客数が昨年のSARS等の影響から順調に回復したため営業収益が大幅に増加、反面、営業費用につきましては、経営改善計画における軽費削減が着実に実行されたことから開港十年目で初めて経常黒字に転換し、三十九億円の経常利益を計上したとのことであります。通年でも黒字の見込みになると聞いております。
 関連地域整備につきましては、昭和六十一年に関西国際空港の立地を県勢の発展に積極的に活用することを目的として策定いたしました関西国際空港関連地域整備計画に基づき、着実に推進されるよう取り組んでいるところでございます。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 県産品の販路開拓についての四点についてお答え申し上げます。
 まず、ブランド推進局誕生後の反響と波及効果についてでございますが、議員お話しのように、昨年来、スーパーではイトーヨーカ堂を初め、イオン、紀ノ国屋、また三越、藤崎、ロビンソンの各百貨店などへ県産品の販路拡大や定番商品化、ブランド化をねらったソフトアンテナショップ・和歌山フェアを開催してまいりました。
 県内生産者の声といたしましては、「多様化した消費者ニーズを肌で感じることができ、商品開発に意欲が出てきた」、また「市場への露出がふえたため、新しい問屋からの問い合わせがふえた」と喜んでいるなど、商品力の向上や販路開拓意欲の醸成に大きな効果があったと考えてございます。
 また、このような直接的な販路開拓の取り組みは先進事例として他府県からも注目を浴び、組織体制や事業概要等について十数県から調査や照会があるなど、大きな効果があったと考えてございます。
 次に、和歌山フェアの売り上げ総額と宣伝効果についてお答え申し上げます。
 これまでの開催実績ですが、昨年度は五社十六店舗で開催し、イトーヨーカ堂での二度の全店企画を含め、二億七千七百万の売り上げがございました。今年度は、現在、六社二十七店舗で開催しており、売り上げは、一部未集計のものがございますが、春のイトーヨーカ堂、秋のイオンの全店企画を含め三億七千三百万円となっており、店舗数も売上額も急増してございます。
 宣伝効果につきましては、これらのソフトアンテナショップの開催を通じ、本県の経費負担の少ない効果的なPRが行われてございます。また、消費者の方々もフェアを楽しみに待たれているなど、回を重ねるにつれ県産品の認知度が向上してきており、あわせて和歌山県そのもののファンが増加してきていると感じてございます。
 次にブランド推進局のポリシー、理念についてでございますが、ブランド推進局の目指すのは、その名のとおり、県産品のブランド化の推進であります。このため、ソフトアンテナショップを数多く開催しておりますが、その第一の目的は、定番商品をつくり、全国の消費者に対して認知度を高めていくことであります。大手量販店を中心に展開している理由もそこにあります。
 既に数種類の商品が定番商品として採用されております。また、ソフトアンテナショップについては、まさにアンテナであり、消費者情報の収集がもう一つの目的であります。
 店舗、地域によって売れる商品は異なり、消費者の反応も変わってきます。これらの情報をいかにうまく生産者が活用し、商品開発や商品改良に役立てていただけるか、生産者の方々にこうした意欲が一層高められるよう、本事業を通じて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 最後に、ブランド推進局が目指す今後の戦略についてお答えします。
 まず、定番商品化の推進のためには、一つには、この秋にイオンの大阪府下の新店二店舗で常設の和歌山コーナーが設置されましたが、このような定番化の流れを加速するような選択と集中による仕組みをシステム化することが必要であります。このため、今後、多岐にわたり、そうした定番化のシステムを構築していきたいと考えております。
 また、生産者のニーズに合わせたメニューの充実を図ることが重要であり、対象地域についても、首都圏、近畿圏が従来から中心となっておりますが、今後、他の地域や海外へも進出していきたいと考えてございます。
 店舗につきましても、大手量販店に限らず、コンビニエンスストアやホテル等にも拡大するなど、これまでの成果を踏まえ、さらなる定番商品化の推進と新市場の開拓に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番森 正樹君。
○森 正樹君 二点だけ申し上げたいと思います。
 一つは、今、知事、関空対策特別委員会の強力な予算要望のおかげと言っていただきましたが、これまあお世辞だと私は思いますけもども。もちろん、我々もその一翼を担わしていただいたことは間違いございません。歴代の委員長も大変頑張っていただきましたし、私もこの二年、精いっぱい努力をしてまいりました。
 ただ、オール関西──関西は一つということでこの関西国際空港を盛り上げようという関西国際空港全体構想推進協議会、この会が秋山会長を中心に本当に一つになって努力してきた結果だと、そのように思います。ただ、まだ決して正式発表ではございませんし、寸分の油断もなくこれからもやはりこの二〇〇七年供用開始に向けて取り組んでいかきゃならない、気を緩めてはならないと、そのように私は思いますので、ともに頑張りたいと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それから二点目の、県産品の販路開拓のうち組織機構の強化について、知事、余りはっきりしたお答えされませんでしたけれども、ぜひとも次の人事異動のときにはこのブランド推進局の組織機構の強化について──組織、人員をふやすことと、機構としてももっと充実していただきたい。決して人をふやせばいいということではございませんけれども、優秀な人材を充てることによって、重点配置することによってさらにこの和歌山県を世界に、日本国じゅうに発信していくことにつながっていくと思います。ぜひよろしくお願いをいたしまして、要望でございます。終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十八番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 ことしは、実にいろんな災害の多い年でありました。まず、新潟県中越地震並びに台風二十三号等の風水害により亡くなられた方々と御家族の皆様に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げます。
 十個もの台風が日本上陸、十月二十三日には新潟県の地震、もうこれで終わりと思っていたら十一月の二十九日、十二月六日と根室半島沖でマグニチュード七前後の地震、おまけに十二月四日夜半からの長時間にわたる大型台風並みの暴風雨、まさに自然災害の当たり年でありました。日ごろの備えの必要性を嫌というほど思い知らされた次第であります。
 今回は以下三点、四日目ゆえ重複もありますが、災害にかかわる質問を通告に従いまして順次行います。
 一番目に、災害に強い港湾・漁港づくりについてであります。
 港湾には、港湾背後地にある生活、産業、それを防護するためのセーフティー機能がなければなりません。台風二十三号は強風域が半径八百キロメートル以上の超大型の台風で、全国に甚大な、ことし最悪の被害を及ぼしました。「ナウファス」という我が国沿岸の波浪情報ネットワークによれば、高知県室戸市の室津沖一・五キロメートルの地点でナウファス観測史上最高波となる有義波高が何と十三・五五メートルを記録したそうです。和歌山県においても、農林水産物はもちろんのこと、海岸における波の被害が大きく、県内公共土木施設被害は合計百七十八カ所、七十五億円にも上り、特に海岸・港湾や漁港に大きなつめ跡を残しました。
 去る十月二十一日朝七時過ぎに「雑賀崎の工業団地の防波堤が波でなぎ倒されてえらいことになっている」と連絡をいただき、早速現地を見せていただきましたところ、第二室戸台風以来と言われる高波によって防波堤が二カ所決壊し、その勢いで歩道も崩れてコンクリート破片、れんが、土砂が散乱し、防風林はことごとくなぎ倒され、道路は埋まってしまっているわ、手すりのパイプや電線類はひん曲がっているわ、車は横転しているわで、台風二十三号のすさまじさに寒けを覚えました。当日二十日の夜は午後八時まで会社から出ることもできなかったということで、会社社屋内にも海水が押し寄せ、社内の緑地に植えられた草木も波に洗われてしまっておりました。
 片男波へ参りますと、海の家が半分以上砂に埋もれてしまって駐車場は見えなくなり、波がもたらしたごみがあたり一面に散らばっておりました。県当局の皆さんも朝一番で各港湾・漁港へ出向かれており、各地の惨状を目の当たりにされたということであります。
 小石まじりの砂浜と背後の松林が東西六キロメートルにわたって続いている煙樹ケ浜も、日ノ御埼側は大きく湾曲して岩肌があらわれ、南側には大きな砂山ができていたりと形状まで変わってしまうありさま、沖堤防が砕けた雑賀崎漁港初め、県内五十六カ所もの漁港でも計三十九億円の被害に見舞われたわけであります。県もその翌日早々に国の方へ出向いて関係各省と交渉をいただき、その後も引き続き当たっていただいているということでありますが、以下、質問に移らせていただきます。
 一番目、今回の台風においては四十三年も前の台風以来の高波が押し寄せてきたわけでありますが、地球温暖化による水面上昇も指摘される中、原状復旧するだけでは、今後ももし同規模の台風が襲来すると、また同じような、いやそれ以上の被害になる可能性が強いわけであります。同じことを繰り返さぬよう、どのような災害復旧工事をお考えですか。護岸、また砂浜、それぞれお答え願います。
 二番目に、たび重なる台風で漁港においても大きな被害があったわけですが、同様にどのような災害復旧がなされるのか、主な被害状況とともにお答えください。
 二番目、高齢者・障害者の大災害時の避難体制、防災マニュアルについてであります。
 各地における集中豪雨災害から台風災害、あるいは大規模地震災害に至るまで、犠牲者のうち六十五歳以上の高齢者あるいは足の不自由な方々が過半数を超えていると言われております。特に大地震が起これば、津波による被害が沿岸部を中心に大きくなることが十分予想されます。ことしはとりわけ自然災害が多い年でありましたが、それだけに災害弱者の避難・救助体制を整備して犠牲を少なくしていく施策の積極的推進が急がれます。自力避難の困難な災害弱者に関しては、事前に避難の援助を行う者を定めておくような支援体制の整備、高齢者や障害者の方を避難いただく訓練、あるいは日ごろから目にとまりやすい避難地への誘導標識の整備等も必要に思われます。
 去る九月五日、和歌山県において、台風の影響で不安定な天候状況の中、午後七時七分、マグニチュード六・九の地震、午後十一時五十七分、マグニチュード七・四の地震、そして九月の七日には朝八時二十九分、マグニチュード六・四の余震、すなわち紀伊半島南東沖地震が発生したとき、和歌山市沿岸域においても避難勧告が出されましたが、あるひとり住まいの足の不自由な高齢の女性が避難所の小学校へ行きたいものの思うに任せず和歌山市の消防局へ電話したら、夜たまたま職員がおられてすぐさま送ってくださったそうですが、今度大災害が発生したときにもし避難所へ連れていってくださる方もおらず逃げおくれることになっていたらと、そのことを考えると非常に不安だと私に漏らしておられました。
 もちろん、日ごろからの地域における住民の自助・共助の意識は必要でありますが、パニック状況の中、特に高齢者・障害者の方々の安全でかつ速やかな避難体制、防災マニュアルについてはどうなっておりますか。危機管理監に御答弁願います。
 三番目に、イノシシ等による被害についてであります。
 「猪突猛進」という言葉が私は好きでありますが、最近、ちとイノシシの暴走が過ぎるようであります。
 イノシシについては、平成十三年十二月議会で、当時中山議員が一般質問をされたことがありますが、被害が県下で一層広範囲に広がっている状況にあり、私の方からも質問させていただきたいと思います。
 ことしも春先から和歌山市山東地区、安原地区などでイノシシによって根元まで掘り起こされて食い荒らされるというタケノコ被害の話が持ち上がっておりましたが、本年の相次ぐ台風の襲来で環境の変化、山中のえさ不足からか、あるいは頭数の増加からか、秋の実りを迎えた十月初めになって各地からイノシシによる田畑の被害、ミカン、稲、芋などの農産物が踏み荒らされたり食い荒らされたりの苦情が相次ぎました。
 まず、本来生息などしていなかったはずの名草山のふもと、和歌山市内原、広原、吉原地区においても三、四年前よりイノシシが山のふもとまで出没し、和歌山市の指導で電気さくやトタン、ワイヤメッシュなどで田畑を囲ったりと防護を図っていたものの、イノシシは夜行性で慎重、しかも鼻がきき、学習能力も高く、それに囲っていない別のところから入られたりと被害が広がり、被害届は出すものの有害捕獲の許可もいただけないままで農業経営に支障を来しております。
 和歌山市和佐地区においても、稲刈り直前にイノシシに田んぼに入られて走り回り、転げ回られて、においはつけられるわ、稲穂は倒されるわ、やわらかいうちに稲穂はついばまれるわで大きな被害をこうむったり、酸味が残っているときはかじっても吐き出していたのに、甘くなりかけて収穫を間近に控えたミカンの場合は木についた実が全部食われたり、野菜畑を踏み荒らされたり、農家の皆さんの必死の懸命の防護努力にもかかわらず自助努力も報われていない状況であります。
 ここは、山岳地帯も狭く、紀伊風土記の丘も近くにあって鳥獣保護区域にあり、原則的に鉄砲を撃つわけにもいかないということで、市当局も理解はいただいているものの、山すそへ共同でフェンスを張って所有者ごとに連携をとってほしいと言われるのですが、実際、莫大な費用と作業の難しさで実行も困難で、県市の協議のもと、鳥獣保護区においても有害捕獲のためのおり、わなを設置してもらえるよう被害届を出しておりますが、実現には至っておらない状況であります。これも、市から有害捕獲の許可をもらった上で一人一頭のみの捕獲しか許されていないそうであります。
 例えば、奈良県の吉野地方のある村では、村の田畑全部を村人がおりで囲っているところもあると言いますが、現実問題、全部の田畑を囲い込むということは難しいと思います。
 去る十月十三日には、県・市から計四名、現地へお越しいただき、被害者四十名から五十名の皆さんが現状、惨状を訴えたわけであります。防護さくで対応しても時がたつと効果も薄れ、ナフタリンをつるしたり軽油をしみ込ませたタオルをつったり、風鈴を設置したりといろいろ策を講じても効果はなかったとのことです。丹精込めてつくった作物も収穫前に荒らされ、食われたりするので、ことしは耕作意欲が失われて休耕畑にした箇所も見られます。
 ミカン畑の周りはイノシシの足跡だらけで、まさにイノシシの運動場のありさまでありました。トタンを張ってその上に電気を通すことはまだ一番効果があるということですが、台風等、強風が吹くとたちどころに壊れてしまいます。市当局からは、まずイノシシの習性をよく理解すること、田や畑の周りを見通しよくすること、食と住の近いところは危ないという注意点を御指導いただいております。それに、近年、ハンターも減少傾向、高齢化傾向にあるということで、有害駆除に頼っても限度があると言われます。
 三年前の十二月四日付の「紀伊民報」紙の中で、宗正彦県猟友会会長によると、その当時で既に五年間で七倍強捕獲数が増加していたそうであります。被害があれば即駆除していくしかありません。このままでは山のふもとの農地が荒廃してしまい、農業経営は立ち行かず、まさに生業とされている農業を放棄せざるを得ない状況なのです。
 そこで、質問に移ります。環境生活部長に、以下三点お伺いします。
 一番目に、捕獲用おり一つで十万円強いたします。電気さくも一反囲いますと七万から八万円のコストがかかります。和歌山市では、おりやさくといった材料に対して上限二万五千円までの補助をいただけるということですが、相次ぐ要望で財政的にも非常に厳しい話を伺っております。しかし、農業という生業の放棄という根幹の問題にかかわる話であります。特にことしのようなとりわけ暑い夏、それに相次ぐ台風の襲来といったまさに非常事態の年には、県としても市町村に任せきりにはできない状況であります。どうか国とも協議いただきながら、被害地域において有害捕獲の促進を図るとか、狩猟期間を延長するとか、ハンター養成を行うとか、具体的な対応を急いでいただきたいと思います。今、こうしている間にもイノシシは次の行動に移っているかもしれません。一刻の猶予も許されない状態です。市町村の力だけでは限度があります。どうか、助けてあげてください。
 二番目、アライグマについてであります。
 このアライグマについても、和歌山市当局によると、イノシシに迫る勢いで増繁殖を続け、県内各地で農作物被害が広がっているようであります。原産はアメリカ大陸で、木登りや水泳が上手で、食べ物も幅広い雑食性であり、夜行性ときております。アニメの「あらいぐまラスカル」でペットブームに火がついたわけですが、やはりしょせん野生のクマであって、ペット動物として飼育に耐え切れず放してしまう方が少なくないようで、繁殖も盛んで次第に数をふやし、順応性も高くて日本でも野生化しているようです。アライグマの影響は、農業被害にととまらず、キツネやタヌキ、イタチ類などの在来種との競合や野鳥への被害など、生態系全体へと広がっています。
 紀南地方で二年前より爆発的にふえ始め、今、和歌山市でも急増して、イノシシとともに予断の許さない状況にあります。さくをしても乗り越えてくるし、銃器による捕獲も難しいのでおりでの捕獲を実施中で、移入種で天敵がいないので見つけ次第捕まえて有害鳥獣として根絶するように指導されているとのことですが、現在の捕獲状況と県としての対応を聞かせてください。
 やはり、ことし各地でツキノワグマの出没で住民は危険にさらされておりますが、アライグマも、もとペットとはいえ、野生の凶暴な動物であります。これも、イノシシ同様、早いうちの対応をお願いいたしたいと思います。
 三番目に、アライグマも、もとは日本においては飼育用に飼われたものが無責任にも野に放されて野生化したものであります。飼う人のモラルにかかわる問題であります。周辺に、農作物被害だけでなく、人命にも危害を及ぼす可能性があるわけで、飼育する人たちに対し、今まで以上の厳格なルールづけ、万一飼育場所から放してしまった際の行政処分をきちっとしていただきたいと思いますが、どうなっておりますか。
 また、「飼育方法は猫ちゃんと同じです」と、そんなうそをついて販売するペット業者、その存在も否定できず、業者に対する監督指導についてもお伺いいたします。
 以上三点、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 災害に強い港湾・漁港づくりについてお答え申し上げます。
 まず、海岸の被災箇所につきましては、早急に復旧を行うとともに、高波により背後の人家などに被害が生じている場合には国の災害査定を受け、護岸の前面に消波ブロックを新設または補充することによって災害の防止を図ってまいります。
 次に片男波海岸等の砂浜の復旧につきましては、国に対し協議を重ねてまいりましたが、砂浜は自然物であるため、法律に基づいた災害復旧事業の対象とはならないとの見解であります。
 県財政も厳しいことから、地元自治会やボランティアの御協力をいただきながら、地元と県が一体となって里浜づくりの一環として砂浜の復旧に努めてまいりたいと考えております。
 次に漁港につきましては、本年のたび重なる台風により防波堤の転倒や物揚げ場の損傷など多くの被害を受け、県管理漁港では和歌浦漁港など五件、市や町の管理漁港では雑賀崎漁港や周参見漁港など五十四件、総額五十一億円相当の被害が生じております。これらの復旧につきましては、今月から来月中旬にかけて災害査定を受け、直ちに復旧に努めてまいります。
 さらに、今般の大型台風による漁港被害が甚大であったことを踏まえ、関係市町と連携を図りながら、設計に用いる波の高さ、いわゆる設計波高の検証を行うなど、適切に対応してまいります。
 以上です。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 災害時要援護者に対する避難体制等についてお答えいたします。
 災害時、高齢者や体の不自由な方など、災害時要援護者と言われる方をいかに安全に避難誘導できるか、また救助体制等、大きな課題となっております。
 議員御指摘のように、大規模な災害になればなるほど地域での対応、助け合いが重要であります。平成十二年に福祉保健部において、災害時要援護者に対する対応について周囲の人々の理解を深めていただくとともに、日ごろから地震や風水害についての知識や心構え、また平素の準備の必要性等をうたった「和歌山県障害者・高齢者・難病患者防災マニュアル」を策定し、市町村を初め消防や各種関係団体等に送付するとともに、さまざまな機会をとらえて広報・啓発に努めております。
 なお、国においても、本年の台風等による風水害の発生を受けて、災害時要援護者に対する避難支援についてのガイドラインの作成を検討されていると聞いております。県といたしましては、このガイドラインをもとに、地域ぐるみで災害時要援護者等を避難させる計画の作成等を市町村に働きかけるとともに、地域住民の協力を得て支援体制を充実してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) イノシシなどによる被害対策につきまして、まず一点目の御質問のイノシシ対策についてでございますが、農作物に多大の被害を与えるイノシシの捕獲には、狩猟によるものと有害によるものがございます。本県の場合、有害捕獲の割合は他府県と比べて低い現状にあります。また有害捕獲は、時期を問わず被害のある場所でタイムリーに実施できるという面がございます。こうしたことから、有害捕獲を推し進めることが大変有効かつ重要なことと考えております。その手法といたしましては、他県や県内でも実証されているように、おりによる捕獲が最も有効であると認識しており、今後、おりによる有害捕獲を市町村、関係機関と連携を図りながら積極的に推進してまいりたいと考えております。
 また、有害捕獲時の捕獲頭数につきましては、今日、農作物被害が増大する現状にかんがみ、基準緩和に向け、早急に取り組んでまいります。
 議員御指摘の狩猟期間の延長につきましても、被害対策の一つと考えております。現在、その有効性と手順等について検討しておりますが、有害捕獲等の対策の成果を見つつ、引き続き導入についての検討をしてまいります。
 次にハンターの養成でございますが、本年度から資格取得の機会を広げるため、狩猟免許試験の回数をふやすとともに、一部で日曜日にも実施できることといたしております。
 二点目のアライグマの捕獲状況と対応についてでございますが、平成十六年度の十一月末現在の有害による捕獲数は四百七十五頭であり、平成十五年度の二百九十七頭と比較して大幅に増加しております。
 県といたしましては、外来種でもあり、ここ数年の急激な増加により早期の対策が不可欠と考えております。捕獲頭数の制限をなくすとともに、有害捕獲従事者要件の緩和及びおり購入補助等、いち早く取り組んだところでございます。今後とも市町村と連携して捕獲の促進に努めてまいります。
 三点目の、飼育者への行政指導・処分と業者に対する監督指導についてでございますが、動物の愛護及び管理に関する法律で、所有者等の適正飼養の責務とともに、愛護動物を遺棄した場合の罰則規定も設けられてございます。
 また、動物販売業者の責務といたしまして、購入者に対し、「当該動物の適正な飼養又は保管の方法について、必要な説明を行い、理解させるように努めなければならない」と規定されており、定期的に施設の立入検査を実施し、販売業者には、購入者に動物の適正飼養を十分説明し、理解を得るよう指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十八番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 台風のような強風、これは港湾地域で特に大きいわけですが、被害に苦しめられるだけでなく、逆にこれを利用して、例えば電気の備蓄をするとかいった風力発電についても検討してみてはいかがかと思います。北海道とか東北地方を初め、取り組んでいるところも少なくないようであります。
 イノシシの被害ですが、農家にとって生活の糧をまさに略奪されるのですから、死活問題であります。県当局におかれましても絶えず市町村と連絡をとっていただいて、特に被害が出たところにはまたやってくる可能性が高いわけですから、調査の上、すぐさま有害捕獲ができるよう、狩猟の延長期間についても臨機応変のアクションをお願いいたします。
 それと、アライグマに限らずあらゆるペットについて言えることですが、飼えなくなったら野に放すとかしているというのでは余りに安易で無責任過ぎます。家族の一員として最後まで責任を持って飼い続けてあげることが人の道であります。県におかれましても、ペットによる被害がこれ以上広がらないように、日ごろから口うるさいぐらいの啓発活動、行政指導をよろしくお願い申し上げまして、要望にかえさしていただきます。
 終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十七分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 きょうは、福祉保健部長ただ一人に対して集中的に御質問を申し上げたいというふうに思います。
 まず最初に、介護保険制度の見直しについてでございます。
 介護保険制度が始まりまして五年目を迎えました。そして、来年の四月が見直しの時期となっております。政府は、今、大幅な制度の見直しを行うとして、来年の通常国会に法案を提出する予定です。そのため、今、検討が盛んと行われているところであります。将来にわたる財源確保として、保険料の徴収を現行の四十歳以上を二十歳以上に拡大すること、サービス利用負担率を現行一割を二割から三割に引き上げる、さらには要支援・要介護一の軽度の高齢者を介護保険制度から外すことの検討や、その上、特養ホーム利用に新たにホテルコストという家賃や水・光熱費を保険外負担として徴収することも検討を始めていると聞きます。こうした検討見直しは、高齢者のサービス利用制限と国民負担を一層ふやすこととなります。結果として国の介護への財政支出を抑えるための制度見直しであることが、ここでよくわかります。まさに大改悪と言わざるを得ません。
 今般の介護保険見直しは、単なる介護をめぐる問題のみならず、聖域なき構造改革を進める上で高齢者の生存権をもじゅうりんする内容を含んでいると思えてなりません。今後の社会保障制度に大きく影響するだろうことを私は大変危惧するところであります。
 検討中ということで詳細がよくわからない部分もある今日ですが、この五年間、介護保険制度にどのような問題点が発生しているのかを私なりに利用者を初め施設や事業所、ケアマネジャーやヘルパーの皆さんに見直しに対する御意見なども聞いてまいりましたので、それらも含めて質問にしたいというふうに思っております。日夜施設で在宅介護で御苦労されている方々の思いや悩みが見直しに反映できることと、より安心できる介護制度になることを願って質問を申し上げます。
 本県の六十五歳以上の人口は二十四万五千三百二十一人です。高齢化率は、平成十五年度が二二・五%、そして十六年度が二三%と、全国水準で見ますと全国第十三番目に入ります。要介護認定者は四万五千三百五十二人です。介護認定は受けたものの介護サービスを全く利用していない高齢者もおられるわけですが、ほとんどの方が施設やあるいは在宅サービスを利用しておられます。独居老人、そして老夫婦世帯がふえていること、老老介護もいまだに多い現状に至っております。
 介護保険料徴収は、御存じのように、四十歳以上のすべての人から徴収し、介護給付対象者となる六十五歳以上の年金受給者は年金から情け容赦なく自動的に差し引かれます。国民年金の最高支給額は月六万六千円です。高齢者の多くは平均月四万七千円の年金受給額であって、無年金者の数も無視することはできない状態になっています。
 保険料の天引きは日常の生活に重くのしかかっているのも御存じのとおりです。加えて、介護サービスの利用料の一割負担についても、在宅利用ではデイサービスやホームヘルパーサービスを削る人や、利用したいがお金がないからと削る人がだんだんふえてきていると言います。県下の市町村では、財政困難な中でも低所得者への単独減免制度を進めて大変喜ばれていると聞きます。全国の三千二百余りの自治体でも、四分の一の自治体が減免制度を実施し、さらに広がりを見せております。
 本県は、本年六月四日現在、保険料の減免で十三市町、利用料では十六市町、社会福祉法人等の利用料減免も三十五市町村が支援をいたしております。国はこれに対して、全額減免してはだめだ、資産状況を──一律に減免してはならない、一般財源の繰り入れはしてはならないと、非常に厳しい指導をいたしております。しかし自治体では、県民の利用者の苦労にこたえて減免制度を実施しているところも少なくありません。
 国の減免制度はどうかといいますと、「災害・病気などの収入の激減など特別な理由に限って」と限定をしています。六十五歳以上の保険料は五段階の定額制ですから、所得の少ない人ほど負担が重い仕組みになっています。これを廃止して所得に応じた定率制に改めるべきではないのでしょうか。国の制度として低所得者への減免制度がありません。ここに、この保険の欠陥があるのではないでしょうか。減免制度の創設を重ねて求めるものですが、所見を伺いたいと思います。
 次に、国は、サービス利用はかえって本人の能力実現を妨げていると言って要支援・要介護一の高齢者を保険から切り捨てようとしています。本当にそうなのでしょうか。現場の方々に聞きますと、「ちゃんと介護を受けている人の方が状態は悪化しませんよ」という返事です。デイサービスでの人との交流や入浴などによって、また施設においても同様、症状が悪くなる人は少ないと聞きます。
 県下には、要支援・要介護一と認定された高齢者は二万三千百五十八人おられます。この方々が保険から外されますと、施設を退所しなければならなくなる人も出てくるんではないでしょうか。中には行く当てもない高齢者も出てくるでありましょう。そういう高齢者を路上に放置するのでしょうか。こんなことは絶対に許されないことです。介護保険制度の導入以前から入所している自立・要支援の高齢者の継続入所の廃止も、これまた大きな問題になります。こういった人たちを切り捨てるなどということは絶対に許されるべきではありません。継続が求められるところです。
 保険から切り捨てて新介護予防につなげる保障が本当に確実にあるのでしょうか。これまで福祉予算であった介護予防、地域支え合い事業をそっくり介護保険に移動させる、これはまさに国の財政支出を縮小させるねらいそのものではありませんか。より安心の介護保険でサービスを保障することに力を注いでほしいと、このように思うわけです。必要とするサービス利用によって高齢者の能力は花開くと私は考えるものです。現行の継続を願うものです。いかがでしょうか。
 次に、特養ホームの入所希望待機者が全国で三十二万人、本県で約一千九百人です。介護保険導入時では約七百人でしたが、この六月では三倍近くにふえている現状です。本県では特養ホームなどを設置したいという希望が多くなってまいりました。
 わかやま長寿プラン二〇〇三によりますと、平成十五年度から五年間で六百四十四床整備することになっております。これでは、約九百人の待機者の大半は五年たっても入所できないことになります。国の補助金も減額されてきたところでありますけれども、積極的に国への働きかけを強め、整備においては国の財政支援をもとに戻させることも必要だと思います。何といっても特養ホームは、在宅で生活する高齢者や介護を支える家族にとってはいざというときの支えです。ショートステイの増設によって待機者や家族へのサービスを考えることも大切ではないのでしょうか。一年、二年もの待機は異常な状態です。
 あわせて、特養ホーム利用者のホテルコストなどは新たな負担増となるものです。低い年金生活者にとっては入所できない施設となってしまいます。ホテルコスト導入によって、特養ホームでは月額三万円から八万円の値上げ、相部屋で八万から八万七千円、月に要るようになります。個室で十三万四千円にするという試算さえ出ているところですから、到底認めるわけにはいきません。整備計画の進捗状況と考え方についてお聞かせ願いたいと思います。
 次に、その利用者一人一人に必要なケアプランをと苦労されているケアマネジャーの問題であります。
 ケアマネジャーの仕事を聞いてまいりました。一人の利用者と面接するには、家を訪問して家族とも会い、生活環境、住居の状況、周辺の状況などをも調査しながら、サービスの希望を聞きながらケアプランをつくる。それを利用者と家族に説明し、合意が得られたらそれぞれサービス事業所に連絡をする。その間、事業所、行政関係、医療関係との連絡調整などなど大変な労働ですが、みんなくたくたになっても頑張って夜中まで働いているそうです。利用者からのサービスの変更、苦情、相談などにも対応しなくてはなりません。記録、書類作成など超多忙としか言いようがないと、疲れた体で私の尋ねることに答えていただきました。最近は、この労働に耐えられず、体調を崩して退職する人が後を絶たないため、技術や経験の蓄積がないと嘆いてもおられました。
 国の標準を見てみますと、ケアマネジャー一人の担当件数は、標準的に五十件と言われてきています。「これはとても無理です。机上のプランなら可能でしょう。どんなに頑張っても三十人から三十五人が精いっぱいで、限界です。ぜひ専門職としての研修や研究を積み重ね、利用者の立場でつくり上げるケアプランの充実を願っているんです。労働時間問題や労働条件の改善も山ほどある」とも語っていました。所見を伺いたいと思います。
 次に、今見直し検討が行われている内容は、利用者や国民や自治体に負担増を押しつけるばかりです。国は制度導入のとき、介護施策にそれまでの五〇%の国庫負担を二五%に引き下げてしまいました。ここに保険料・利用料の高い原因が発生していると思うのです。高齢者の人権尊重を重視し、安心して豊かな暮らしを保障したいと心から願うものです。
 医療・福祉は金のあるなしによってその利用を左右されてはなりませんし、まさにこれは社会保障の原則だと思うのです。国庫負担を五〇%に戻すことは当然です。当面、三〇%に引き上げることが求められています。このことは、全国の市長会、町村会の繰り返しての要望でもあります。ぜひとも見直しの意見として国に積極的に働きかけていただきたい、このように思いますが、いかがでございますか。
 県は、高齢者の意識調査なるものを平成十四年に実施をされています。介護保険に関する的確な調査にはなっていません。利用者、家族、事業所、施設、医療機関、市町村などの意見を改めて把握する調査を行い、国に伝えることを求めたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
 以上六点について、福祉保健部長の率直な御意見、御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 二つ目の問題として、重症心身障害児者問題についてであります。
 十二月三日から九日の障害者週間にちなんで、NHKの教育テレビは三日間にわたって夜八時から生放送で送る特別番組を放映しておりました。特に四日は三時間に及ぶものでもありました。スタジオに障害者と、そしてその両親を迎えて、その成長する姿や障害を持ちながらもみずから積極的に夢を実現するために努力する姿、会社人間だったお父さんがダウン症児とともに、また父親同士が交流を深めながら明るく育ち合う姿、難聴の青年たちが週末にライブを開き大人気を博してしている姿、またパラリンピックで金メダルに輝いた障害者の姿などを見ていて、心温まる思いがいたしました。障害者への理解を一層深める番組でもありました。
 そして、この九日、昼休みの十二時三十分から三十分間でしたが、県庁玄関前広場ではあすなろ楽団・三川小学校ジョイント演奏会が行われて私も参加をしてまいりましたが、演奏されたのは大塔村の三川小学校の児童たちと、そして大塔村にあります知的障害者更生施設や、あるいはグループホームなどで施設を利用している皆さんの演奏でした。これは、十年間の交流からお互いの相互理解と信頼関係が生まれる中で合同練習が重ねられてきたと聞きました。障害者の明るく元気で、そして全身からあふれるほどの力で演奏された姿は私たちの心に大きくとまるものもありましたし、私もだんだんその音楽に引き込まれてリズムを踏む、こういったような状況もありました。これからも障害者とそして地域の皆さんたちが一緒に音楽や、あるいは他のいろいろな行事で楽しまれること、そしてともに生き、安心して生き続けられる状況をつくりたい、このように思ったほどです。
 私は、先日、重症障害児者を介護している二人のお母さんから、「ショートステイ──いわゆる短期入所──を申し込んでも拒否されて入所できない。どうしたらよいか」という相談を直接受けてまいりました。そしてお会いしてお話を聞きましたところ、二人のうちの一人の障害者は、十九歳の女性です。病名は不明だということです。身障一級の手帳、療育手帳。二歳のころ、それまでしっかり歩いていたが、急にふらふら歩くようになり、四つんばいになって歩くようになった後、歩けなくなったそうです。びっくりして医大やあるいは京大、日赤病院というふうな形で入院をしながら検査をいたしましたが、とうとう診断ができませんでした。医師からは「銅代謝異常かな」とも言われたきりです。このときから全く寝たきりになり、人工呼吸器を装着する、そして食事は経管栄養。二十四時間全面介助が必要になりました。四肢は麻痺し、おしゃべりもできません。語りかけると、ただ目を大きく見開いて顔を向けるという状況。教育は、紀北養護学校で訪問教育を受けながら高等部を卒業しております。そして現在、通園施設あゆみの園に週三回、午前十時から午後三時までの通園をいたしております。そして、週一回は海南の通園施設のサービスを利用しておられます。訪問入浴を週二回。医療は四週間に一回、診察を受けた後、投薬を受けているところです。
 七年前、介護しているお母さんが顎関節症で手術をしなければならなくなりました。ちょうど施設に体験入所ということで親子ともども入院したときでありますが、顎関節の痛みはそこまでは我慢をしていました。しかし症状がだんだんひどくなったので、子供をショートステイしてほしいということで申し込みましたが、「一人だけではだめです」と言って断られました。当時、受け入れるところは国立和歌山病院だけでしたので──現在でもそうでありますけれども──美浜町まで痛いのをこらえて自分で車を運転して送っていって、やっとの思いでショートステイができたそうです。ところが、お母さんが手術をして五日目に子供の状態が悪化いたしました。お母さんは、「仕方なく痛いのを我慢しながらでも早く退院をせざるを得なかった。本当に情けなかった」、このようにおっしゃっています。最近でも母親の都合で三日ほど短期入所を申し込みましたが、これも再び断られました。その理由は、「人工呼吸器を装着しているからだめです。夜間の看護体制がとれません。気管吸引のある人も、そして多動の人もだめです」ということでした。これでは一体どこへ行ったらいいのでしょうか。
 もう一人の障害者の状態でありますが、二十二歳の男性、病名は低酸素脳症、四肢麻痺。この方は身障一級と療育手帳、障害年金を受給していますし、在宅酸素療法も行っていますし、てんかん発作が時々あるようであります。この方は、六歳のとき、えびせんをのどに詰まらせてすぐ病院に行きましたが呼吸不全となり、そのまま障害者となりました。二十四時間全面介助、食事は経管栄養。もちろん、しゃべれません。言葉をかけると声の方を見るだけです。教育は、同じく紀北養護学校の訪問教育を受けながら高等部を卒業いたしました。このお母さんは、教育というのを紀北養護学校の先生から聞いたときに、「寝たきりの子供に教育なんて」と思っていたそうです。養護学校の先生方の熱心な教育への話を聞く中でその必要性を知り、訪問教育を受けるようになったそうです。現在は二週間に一回、病院の外来に診察と薬をもらいに行っております。これは、てんかん発作予防のための薬が主だそうです。そして、訪問看護週二回、訪問介護週──これ、ちょっと済みません、聞き漏らしております。何回か受けていらっしゃいます──訪問入浴週一回。
 ある日、結婚式のためにお母さんが東京まで行くことになりました。ショートステイを申し込みましたが、酸素吸入しているために断られました。仕方なく妹さんに無理して来てもらいました。朝一番の新幹線で行き、結婚式が終了すると飛んで帰るように新幹線に飛び乗りました。まさにトンボ返りという実態であります。このお母さんは、「預ける施設がないから病気にもなれない」と訴えておられました。また、預けるところがないというそのときには、「あーあ、自分がこんなにしてしまった。自分に責任があるんだ」と、自己嫌悪にいつも陥られるそうです。だから、「自分がだめになったときは最終的に助けてほしい」と、その切実さを訴えておられましたし、私はこのお母さんの声をしっかりと受けとめたいと思います。
 この二人のお母さんだけの問題ではありません。在宅で二十四時間一生懸命介護を続ける家族に「施設はありますよ」と言うだけで問題解決するのでしょうか。
 福祉保健部長にお尋ねいたします。
 県下に重症心身障害児は何人ぐらいいらっしゃいますか。施設入所と在宅でいらっしゃる数はどれだけですか。そして、在宅者のショートステイ施設は何カ所あるのでしょうか。お聞かせください。
 入所施設が整備されていることは大変うれしいことでありますが、申し上げた事象の問題をどう改善するのか。
 御存じのように、短期入所は病気などで介護できないとき、リフレッシュをしたいとき、旅行やのっぴきならない葬式、またお祝いの結婚式など私的や社会的理由での利用も可能となっているのですから、施設側の受け入れるための体制づくりが急がれるべきではないのでしょうか。特に二人の事象のように、人工呼吸器や酸素吸入、吸引器使用者のための専門知識や技術の研修による人材育成がどうしても必要だと考えます。そのための財政支援を惜しむべきではないと思いますし、いかがなものでしょうか。どのような対策を考えておられるのでしょうか、お聞かせ願います。
 次に、難病の患者さんでも同じだと思うんです。在宅の難病患者さんのショートステイ事業について、受け入れ施設や利用状況はどうなっていますか。
 難病といっても、百二十一の病名があります。大変多い疾患数でありますが、介護保険法や身体障害者福祉法、また老人福祉法などによるショートステイ事業がありますが、これらとの関係はどうなるのでしょうか。
 以上の点について、福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
 これで、第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、介護保険制度の見直し問題についてお答えを申し上げます。
 介護保険制度は、議員お話がございましたが、介護保険法の施行後五年を目途として、その全般に関し必要な見直しを行うこととされており、改正法案の来年の通常国会の提出に向け、国において取りまとめの議論が現在大詰めを迎えているところでございまして、その具体的内容についてはいまだ決まっていないところがございますが、そうした状況の中、できる範囲の中でお答えをさしていただきたいと思います。
 まず、保険料・利用料の減免制度の創設についてでございますが、見直しが検討されている中で保険料・利用料につきましては、公的年金のみの収入であれば、年収二百六十六万円以下の市町村民税世帯非課税者である所得階層第二段階におきまして細分化し、さらにきめ細かな低所得者の負担軽減ができるとともに、高額所得者に対する段階区分でもより細かな区分設定も認めることができるよう検討がなされておるところでございます。
 なお、保険料の定率制導入につきましては、国での議論の中で、景気動向による保険料収納額の変動、年度途中の徴収方法の変更などの理由によりまして導入されない方向であると聞いております。
 県としましても、国に対して、低所得者が必要なサービスが受けられないことがないよう積極的に要望しているところでございます。
 次に、要支援・要介護一の従来の介護給付サービスの適用継続についてでございますが、新しい予防給付の考え方は、介護サービスを受けても要介護度が重度化している傾向があることを踏まえ、軽度な方に対するサービスの中身をより本人の自立や要介護状態の改善に役立つようにしていく方向で検討されているものであり、介護予防の趣旨はサービスの切り下げではなく、サービスの質的な転換を目指すものと理解をしてございます。
 新予防給付の具体的な内容につきましては、現在、国の専門家による委員会で、介護予防の観点から、既存のサービスも含め、その有効性の検証がなされているところでございます。このため、本人の残存能力を低下させるおそれのある単なる家事の代行のようなサービスについては見直されるものと思われますが、個々のケースにおける必要性にかかわりなく一律にサービスを制限するものではないと聞いております。
 いずれにしましても、制度の見直しに当たっては、高齢者の自立、生活機能の向上に向けた介護サービスとすることが重要であると考えております。
 次に、特別養護老人ホームの待機入所者の問題についてでございますが、県といたしましては、できる限り入所待機者の問題が解決されるよう、従来からわかやま長寿プラン二〇〇三に基づき、計画的・積極的に施設の整備を進めてきたところでございます。
 特別養護老人ホームの整備計画の進捗状況につきましては、平成十七年度末までに四千四百六床が整備される見込みとなっており、整備率は九一・九%、平成十九年度までの整備残数は三百八十六床となります。
 特養等の施設整備を進める際には、各老人保健福祉圏域における整備率、待機者の割合、在宅サービスも含めた給付水準等を総合的に勘案して整備を行っていく必要があると考えております。
 今後は、施設と在宅のバランスのとれた総合的なサービス提供体制の整備が必要であり、例えば居宅サービスでも、デイサービスに利用者の必要に応じて泊まり機能を持った、仮称でございますが小規模多機能型居宅介護などの創設が検討されております。
 次に介護施設のホテルコストにつきましては、入所者の所得に応じたきめ細かな対応が必要であり、低所得者に対する配慮がなされていると聞いております。
 次にケアマネジメント担当件数につきましては、公平・公正の確保やマネジメントの強化の観点から、現在、国においてケアマネジャー一人当たり標準担当件数などの基準や報酬額について体系的に見直しの検討がなされているところでございます。
 次に介護保険財源の国庫負担の引き上げについてでございますが、各保険者の財政安定化は制度運営の上で大変重要なことであり、県としても国に対し、介護給付費財政調整交付金について国庫負担金二五%とは別枠で措置するよう強く要望しているところでございます。
 次に、介護保険制度に利用者等の県民の声を反映させることについてでございますが、県において平成十七年度中に見直すこととなってございます長寿プラン二〇〇六の策定作業において実施する実態調査におきまして、議員御指摘のように利用者、家族、サービス事業者などの意見ができるだけ反映されるよう創意工夫し、国に対してもその結果を伝えてまいりたいと考えてございます。
 次に重症心身障害児者問題についてでございますが、重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複している重症心身障害児者は、平成十六年三月末時点で、市町村の協力を得て把握したところでは約四百七十名と推定されます。そのうち施設入所の方は約二百八十名ですので、在宅の方は約百九十名おられるものと把握してございます。
 また、支援費制度に基づく指定短期入所施設いわゆるショートステイ事業所数は、身体障害者福祉法に基づくものが二十事業所、知的障害者福祉法に基づくものが二十八事業所、児童福祉法に基づくものが二十二事業所でございます。そのうち、医療機関は八施設となってございます。
 議員御指摘のように、人工呼吸器等を使用されている方のショートステイ受け入れにつきましては、夜間の介護だけではなく看護も必要なことから、入院設備の整った医療機関でないと対応が難しい面がございます。
 県といたしましては、できるだけ多くの医療機関に事業所指定を受けていただくために県病院協会に制度の説明を行い、協力をお願いしているところでございまして、それを契機に指定申請いただいた医療機関もございます。
 今後ともショートステイの必要な方が安心して利用できるよう、受け入れ可能な施設の増加を図るとともに、指定事業者に対して支援費制度の適正運用を指導してまいりたいと考えております。
 次に在宅難病患者のショートステイについてでございますが、議員御指摘の百二十一の疾患に診断された方は難病患者等ショートステイ事業が利用できることとなっております。
 難病の方のうち、身体障害者手帳をお持ちの方は身体障害者福祉法、介護の認定を受けられた方は介護保険法、六十五歳以上の方は老人福祉法の制度によるショートステイを利用していただくこととなっております。
 難病患者等ショートステイ事業は、各市町村が主体となり、契約した医療機関を利用する制度となってございます。昨年度は十三市町村に約百件の申し込みと把握をしております。今後は、難病患者の方がより利用しやすいよう一層周知を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。今一番利用者の方々が困っていらっしゃる問題というのは、やっぱり保険料が高いということと、それから利用料が払えないと。払えないために今まで受けていたそのサービスを削らざるを得ないということで非常に困っていらっしゃる声はもうあちこちで聞かれますし、ヘルパーさんたちの話を聞いても、「もうそれはええよ。もう来んといて」という声が行くたびにある人もあるそうです。そういう点で見れば、やはり利用料や保険料の負担というのがいかに高齢者の皆さん方のサービス抑制になっているかというのが理解していただけるんじゃないかと思います。
 特に今、ヘルパーさんたちも本当に一生懸命頑張っていらっしゃるけれども、しかし行くたびに断られるということについては、「私たちは本当にどうしたらいいんだろう。患者負担がせめて一回、二回減った分が支援されていたならば、こんなふうにお年寄りが嘆かなくてもいいだろうにな」という声が、今本当に大きくなってきていると思いますし、またショートステイに入りたくても施設がない、満杯だというような状況があるわけですね。そういうところでもすっかり疲れ切っている家族介護者の皆さんたちが、もうこれ以上どうしようもないという疲れ切った中で、今、全国的に悲しい事件も起こっております。そういうことが幸いにして和歌山にはありませんけれども、そういった状況が今まさに起ころうとしているんではないかというふうに思います。
 そういう点で、国の災害時とか緊急的な問題にしか減免制度が設けられていないというところ、それから介護保険制度が導入される以前の介護予算ですか、そういったものが大幅に五〇%から二五%に削られた、そのことが今の財政を苦しめているんだというふうに思うんです。そういう点でも、やっぱり保険料の減免制度を的確にやるということ、それは低所得者を救う最大の道ですよね。
 それから利用料に対しても、やはり軽減措置を多くの自治体が全国でやっています。だけども国は、全額の免除はだめですよ、資産などについても、一律に減額しちゃいけません、その穴埋めをしたために、減免制度をつくったために一般会計からの財政繰り入れはだめですよという三原則を強硬に指導しているわけですよね。そういう中で地方自治体が財政的にも大変苦しくなっているという現状です。にもかかわらず支援策をとっているわけですから。そのためにも減免制度というのはどうしても必要だというふうに思いますので、強くこれから働きかけていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
 今度の見直しは、何といっても利用者のために、今どんな問題が起こって、本当に制度としてどう改善しなければならないのかというところがかぎなのに、財政をつくるために利用者や国民に対して負担増の制度をつくり上げていくということしか考えていないというところに大きな問題があるというふうに思います。その最たるものは、要支援やそれから要介護一の皆さんたちを保険外のものにしていくとか、新たに制度をつくってそこへ負担増を強いる問題、それから特別養護老人ホームといったところにホテルコストという、名前はいいですけれども、そこへ入る人たちに対して家賃とか光熱費を新たに設定するということですから。今、一カ月五万二千円ぐらいで済んでいるところが、四人部屋になりますと、今度は八万円相当の額にはね上がると。個室の場合やったら、今五万二千円のところが、もちろん十二、三万に大きく負担がふえるというシステムが試算されているところですから、こういう点でも、本当にだれもがひとしく介護を受けられる、経済的に本当に心配なく受けられるというような仕組みをつくることが今一番求められているのに、新たな制度をつくって負担増を強いるというようなことは本当にやってはいかんことだと思います。社会保障制度そのものについての原則を外れているんじゃないかというふうに思います。
 これまでも、年金問題にしても、それからお年寄りの医療費の負担増にしても、みんな言ってきたことは、サービスの過剰だとか、あるいは一固まりの人たちのために税金を使うことはよくないとか、入院している人、家にいる人、みんなどこでも御飯を食べるんだから食費ぐらいは出せよといった、そういうような負担増の制度が次々と行われてきたその一環だと思うんです。こういう点では国民を苦しめる介護保険にしかならないというふうに思いますので、しっかりと、そこで働くケアマネジャーさんの問題とか、ヘルパーさんの問題も含めて県は物を言うときにはきちんと言うていただきたい、このようにお願いをしておきます。
 それから、重症心身障害者のホームヘルパーの問題ですけれども、本当にこれは切実な問題になってきているんですね。県は、重症心身障害者の人がどれだけ県下にいるかと。それは、市町村に調査を求めて聞いたところこれだけだったという数字になっているわけですけれども、その中で、私が二つの例を申し上げたような人たちが──在宅酸素をしている人たちとか、あるいは人工呼吸器を装着している人とか、それから喀たんの吸引を在宅でもしているし、ショートステイでもどうしてもしなくちゃいけないと、そういった重症心身障害者が一体何名県下にいらっしゃるのかというのはつかんでいませんよね。だから、改善するためには、施設だけを整えても、本当にどういう人たちが困っているんだということをしっかりつかまない限り、これはかなわないことになるんです。だから、人工呼吸器なんかを装着しているというのは特殊なものですから、これはやっぱり医療機関が一番好ましいとそちらでもおっしゃいますけれども、まさにそのとおりだと思うんです。ああいう老人ホームとかそれから施設、一般的な児童施設なんかでは、とてもじゃないけども職員もそういう技術やそういうものを経験したことが少ないと思うんです。だから、そういう点では病院が望ましいとおっしゃるのはそのとおりだと思います。お母さんたちも「かかっている病院で受け入れてくれたら一番うれしい。安心なんだ」と、こうおっしゃいますけれども、まさにそれを行政側が積極的に進めてもらうということだと思います。病院側の協力というのは、「急性期だけを見ますよ」とおっしゃるそうですけれども、そうではないんですね。ショートステイの意義というものも病院当局にもやっぱり理解してもらって、そして積極的に受け入れる。ましてや私は和医大──大学病院では、そういう点では積極的にベッドを確保して、そして入ってもらうという、それぐらいの積極性があってもいいと思うんですけれども。医大にも積極的に働きかけていただきたいというふうに思います。
 きょうは、とにかくお母さんたちの切実な思いと、それから介護保険に対する県民の皆さん方からの改善について申し上げましたので、どうか積極的な取り組みをお願いしたいと思います。要望といたします。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十七番木下善之君。
  〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 ただいま議長のお許しを得ましたので、発言の機会を与えていただきましたこと、深く御礼を申し上げます。
 私は今議会最後の一般質問の発言者となりますが、本日までの四日間、それぞれ各議員の皆さん方が本県の将来像あるいは県民福祉向上のために活発な議論をされ、また知事を初め当局の答弁に大きな期待を寄せた一人であります。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 さて、私は、在伯和歌山県人会連合会及びBC州和歌山県人会からの招請を受け、木村知事、小川議長、門議員、尾崎太郎議員、東議員、浦口議員及び県職員五名の方々とともに、去る十月二十八日から十一月六日までブラジル、カナダを訪問してまいりましたので、その報告と若干の質問をさせていただきます。
 十月二十八日、十六時十五分にエア・カナダ三六便で関西空港を出発し、カナダ・バンクーバー空港、トロント空港を経由し、十月二十九日の朝、ブラジル・サンパウロ空港へ到着いたしました。空港では、在伯和歌山県人会の皆さんが横断幕を持って多数出迎えてくださいました。三十時間近いフライトでしたが、一瞬にして疲れが吹っ飛んだようでございました。その後、白バイ六台の先導により市内のイビラプエラ公園に移動し、公園内にある開拓戦没者慰霊碑に献花を行いました。ブラジル日本都道府県連合会の田畑副会長から慰霊碑について説明を受けましたが、大志を抱いてブラジルの地へ渡られた先人の方々へ敬意を持って参拝をさせていただいたところであります。
 その後、サンパウロ州官邸を訪問し、儀典局長のアルーダ女史にサンパウロ州の概要等について教えていただきました。ブラジルの国土は日本の約二十四倍、人口は約一億七千八百万人、首都はブラジリアでありますが、サンパウロ市は世界第四番目の千百万人の大都市で、産業、経済、文化の中心となっております。ブラジルは、アメリカとともに世界一の食料生産国でありますが、石油ショック時代はわずか一〇%の石油自給率であったものが、近年、油田開発により一〇〇%に近い自給率の確保が可能と言われております。また、IT大国とも言われ、既に十年前より電子投票が実施され、全国五千五百カ所の自治体の長及び市議選の結果が大都市においても二時間以内で確定され、「税務申告、納税、免許証など、ほとんどの行政事務がインターネットで実施できます」と言われておりました。
 十月三十日には、サンパウロ市から約五十キロメートル離れたモジダスクルーゼス市を訪問し、御坊市出身の大江さんが経営する大規模なラン園を視察させていただき、立派な邸宅を拝見しました。また、後継者である二十七歳の息子さんは、日本へ二カ年間、がんの研修に来られたとのことで、頼もしく感じた次第であります。
 次に、モジ市から約五十キロメートル離れたビリチーバミリン市を訪ね、古座町出身の南さんが経営する南農機工場を視察させていただきました。六十人の雇用で、製品は、野菜栽培の大型農機を初め、現在はホームセンターの陳列棚の製造も手がけておられました。
 その後、在伯県人会の中でもとりわけ結束の強いモジダスクルーゼス支部主催の歓迎昼食会に出席し、ブラジル・ミナス州の郷土料理をいただきながら県人会の皆様七十名と懇談をしてまいりました。モジ地方では野菜の集約栽培が主で、葉菜類が多い地帯、また富有柿の栽培が盛んで、戦後、県移民課の職員が穂木を持って接ぎ木されたようで、相当なカキ園がありました。現在満開でございます。収穫は三月から四月のころと言われておりました。
 その後、サンパウロ市内に戻り、リベルダーデ地区の日本人街を視察し、続いてサンパウロ日本国総領事館において石田総領事夫妻より日伯国交の現状などの話を聞き、大変参考となった次第であります。
 十月三十一日は、午前十時から開催された在伯和歌山県人会連合会創立五十周年記念式典に出席をさせていただき、先般の九月十五日、小泉総理が涙を流されたのと同じ会場であるブラジル日本文化協会講堂には、ブラジル各地から県人の方々約八百三十名が集まりました。木村知事、小川議長、門議員が祝辞を述べ、県人会の方々を激励いたしました。知事、議長から高齢者の方々への表彰や県人会活動に功績のあった方々への表彰があり、地元サンパウロ州ジェラルド知事や南カリフォルニア県人会の上原会長、ペルー和歌山県人会小坂会長などの祝辞も行われ、上原南カリフォルニア県人会会長からは、「和歌山県人がこれだけ海外で活躍されているのは大きな財産であり、世界和歌山県人会大会を開催してはどうか」との提言もありました。私は、この式典の中で、本県で九カ月間農業分野の研修を受けた西川アンドレ三世君の謝辞に特に感銘を受けた次第であります。和歌山のすばらしさ、そして人情味の豊かさ等切々と申され、私も改めて和歌山の魅力を見直してまいりたいと思います。最後に私が万歳三唱の音頭をとらせていただき、記念式典が大盛会のうちに終了し、その後、祝賀会が行われ、尾崎議員の発声による乾杯の後、県人の皆様と御苦労されたお話などを聞かせていただき、ゆっくりと懇談をさせていただきました。
 この祝賀会で、偶然、八十三歳で極めて元気そうな岡田さんとおっしゃる方と話す機会がありました。岡田さんは県人会副会長を過去に務められた方で、出身は橋本市吉原と言われ、びっくりしました。岡田さんは、太平洋戦争の復員後結婚され、夫婦で昭和二十年代にブラジルに渡り、英語が得意でしたので通訳として重宝がられ、今では子供三人と多くの三世に恵まれ、皆さん立派に活躍されておるとのことでありました。帰国後は、早速岡田さんの関係宅を訪問し、岡田公生様との出会いを報告した次第であります。
 また、かつらぎ町東渋田出身の六十歳代の女性、東浦テルミさんは門議員の紹介でお会いいたしました。東浦さんは昭和三十年代に県移民課の紹介で花嫁としてブラジルに移住された方で、結婚相手はブラジルにいる鳥取県出身の青年でした。写真一枚で結婚を決断したと言われ、神戸港よりブラジル丸に乗っての五十三日間、親、多くの兄弟とも別れ、長い船旅と不安で涙もかれてしまったと言っておりました。しかし、苦労はあったものの今では幸せで、六人の子供は立派に成長し、三世の孫も多く誕生していると話されており、感無量でありました。
 また、現在サンパウロ在住の八十八歳の県人の松原寿一氏より、台風二十三号に対する和歌山県への義援金として一千ドルの寄附申し出が木村知事にありました。思い起こせば昭和二十八年、我が和歌山県が大水害に襲われ、これらの被害に遭った人たちを救済するため、県がブラジルへ移住を計画・実行したこと、またこれに対して在伯和歌山県人会が受け入れに多大な貢献されたことを思いますと、大きな感慨を覚えました。
 引き続き記念アトラクションが開催され、サンバショーや県人会の方々の熱唱が披露されました。サンバショーでは、東議員が八百人の観客のステージに上り、地元ダンサーにまじりダンスを披露し、県人会の方々より大きな拍手喝采を浴びました。
 その後、ブラジルでの最後の行事である県人会主催のお別れ会が、五年前に改築された和歌山県人会館一階サロンで県人会代表六十名の参加のもと、夕刻より開催され、さらに懇親を深めたところであります。
 また、ブラジル滞在の三日間、本県からの進出企業であるノーリツブラジル社の鳴神社長がおつき合いをくださいまして大変心強く、感謝いたしております。
 その夜、在伯県人会の方々に見送られ、サンパウロ空港を出発。機中泊の後、十一月一日、カナダ・トロント空港経由にてカルガリー空港へ到着し、世界遺産であるカナディアンロッキー山脈自然公園群入り口であるバンフに到着いたしました。
 バンフではバンフ国立公園管理事務所を訪問し、広報担当のアン・モロー女史よりバンフ国立公園の保護と管理、また利用促進について説明を受け、意見交換をしてまいりました。特にクマ、シカ、あるいは多くの小動物を含め、保護に対するすばらしい取り組みがされ、広い車道は常に動物が優先とし、リスなど小動物の横断にも「細心の注意を」と記載されておりました。また、天然に育った針葉樹林の密生はどうするのかと聞くと、「間引きはしない。枯れ木、倒木も除去しない。すべて自然体のままにしておくことが自然公園である」と言われました。
 十一月二日は飛行機にてバンクーバー空港へ到着いたしましたが、ここでもサンパウロ同様、横断幕を掲げたBC州和歌山県人会の方々の出迎えを受けました。バンクーバーは本県日高郡美浜町、当時の三尾村出身の工野儀兵衛翁が明治二十一年(一八八八年)にカナダへ渡り、「フレーザー川にサケがわく」と現地の様子をふるさとに伝え、その後、多くの村民を呼び寄せたところであります。移住された方々は主に漁業に従事し、現地で稼いだ金はふるさとに送られ、やがて村の財政を潤していくこととなりました。最初は出稼ぎの形態であったが、長期移民へと変わっていき、現地には三尾村人会が結成され、カナダに第二の三尾村がつくられていった歴史がございます。三尾の人たちは政府など行政の援助を受けることなくみずからの意思で海外へ雄飛して行ったところであり、同郷であるという人々のきずなの強さに驚かされたのであります。帰国した人たちは洋風の家を建て、生活も洋式で暮らしていたので、三尾は「アメリカ村」と呼ばれるようになったわけであります。今でも県人会のメンバーの多くは三尾出身の方でありました。
 翌日の十一月三日はリッチモンド市へ移動し、カナダ移住の先駆者である工野儀兵衛翁を顕彰して和歌山県人の手によりつくられた公園である工野ガーデンで行われた第五回桜の木植樹祭に出席し、塩害に強いアケボノという品種の桜の木を植樹してまいりました。この植樹により、永遠の友好と強いきずなを誓い合うことができました。リッチモンド市は和歌山市と友好姉妹都市の締結を一九七三年に行われておるようであります。
 その後、近くのフレーザー川周辺を視察し、かつて多くの県人が働いていた元缶詰工場を改装して博物館にしたガルフ・オブ・ジョージア資料館、日系関係者が二〇〇二年に建立した日系漁師像を見学しました。この像は、BC州漁業史に多大な貢献をした日系漁師の功績をたたえた像であり、BC州和歌山県人会も建立に大きな役割を果たされたものと言われておりました。
 夕刻からは県人会主催の歓迎会が開かれ、知事、議長のあいさつ、浦口議員の乾杯の後、リッチモンド市長マルコム・ブローディー氏や在バンクーバー総領事の多賀敏行氏らの来賓を交えながらBC州和歌山県人会の約七十名の方々と交流をいたしました。私と同席した方で林栄造氏は、本宮市の出身でありました。BC州和歌山県人会の役員で、このときの総合司会をいただいたわけでありますが、私のちょうど後輩でございまして、農業大学校を昭和四十二年卒業の五十八歳、造園業を手広くなされておる方でございまして、積もった話がたくさんございました。このことを帰国後、農業大学校の熊谷校長にも報告したところであります。
 十一月四日にはバンクーバー島のビクトリア市を訪ね、年じゅう花が咲き誇り、年間百万人の観光客が訪れるブッチャートガーデンを視察するとともにBC州政府観光局を訪問し、観光施策について説明を受けるとともに意見交換を行ってまいりました。カナダは五月から九月の観光客は年々増加しているようで、私もぜひもう一度ゆっくりと訪れたいと存じます。
 翌日の十一月五日にバンクーバー空港を出発、十一月六日、関西空港へ帰着した次第でありますが、長時間のフライト、時差、そして特に大変であったのが気候の変化で、ブラジルは日中の温度が三十度でありましたが、カナダのバンフは零下五度、一夜明けると二十センチの積雪がございまして、私も、コートがなかったんでジャンパーを買うた次第です。三十五度から四十度ほどの温度差が記憶にありまして、びっくりいたしました。
 こうした大変ハードな日程でありましたが、充実した海外視察訪問を無事終えることができました。全行程の中、知事、議長は七回相当のあいさつする機会があり、知事の心のこもったあいさつ、議長からは紀州弁を取り入れたユーモアたっぷりのあいさつは、その場を和やかな雰囲気にさせ、大変よい結果となりました。また私は、ほとんど日本語がどこへ行きましても通じましたので、大変安心して勉強をさしていただきました。
 大志を抱いて海外へ雄飛した和歌山県人が数々の困難を乗り越え、各国でたくましく活躍されていますのを拝見するとともに、県人会の方々が次世代を担う若い人たちと母県との交流について大きな期待をされていることを実感した次第であります。県人会の役員の方々からは、より一層の交流をと、特に現在実施されております技術研修員の受け入れ事業についての強い要望を受けました。
 そこで、知事に、海外県人会との交流を今後どのように進められていくのか、お伺いいたしたいと思います。
 以上で、ブラジル・カナダ訪問の報告を含め、一般質問といたします。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの木下議員の御報告を聞きながら、もう大分日がたちましたので、私も改めてもう一度この間の訪問のことを思い出させていただきまして、本当にありがとうございました。
 この訪問、先ほどもありましたように、ブラジルの県人会の五十周年ということで、大体三十周年、四十周年、五十周年と──門先生は三回ともずっと行かれているということでしたけども、五十周年ということで、私、そして議長を団長にして行ってきたわけでございます。
 現地の皆さん方は非常に喜んでくださったんですけども、何分、このブラジルなんかも一世、二世の時代から三世、四世の時代へ入っていて、こちらの方々は皆、和歌山県のことを「母県」というふうな言い方をして非常に親しみを持って毎日暮らしておられるようですし、そしてまたNHKの衛星放送なんかも見られているんで、非常に日本のことにも詳しいというふうな状況にあり、いろんなことをこちらも教えていただいて非常に参考になりました。
 そしてまた、先ほどの中の話にもありましたけれども、小泉総理がちょっと前に行かれて大変話題になりましたけども、くしくも同じ会館に八百名の方がブラジル各地から集まって大会を開かれ、そこに我々も参加したわけですけども、これも本当に非常な盛り上がりで、皆さんの和歌山県に対する気持ちの強さを改めて感じるとともに、また和歌山からブラジルへ渡った方、そしてまたその後行きましたカナダへ渡った方々は、大体その地において非常に指導的な地位につかれている方が多いというふうなことで、海外での和歌山県出身者の活動に非常に心強い思いがしたわけでございます。
 そういう中で、このブラジルの方々の希望でも非常に強かったのが、だんだんと子孫といいますか自分たちの子供や孫の代になると関係が薄れてくると。そういう中で、和歌山県へ交流で来ている新しい世代がそういう活動の中心になって非常に頑張ってくれているので、こういうものをもっと強化してほしいというふうな話がありました。予算の問題がありましてちょっと減らしたりしましたが、これは非常に有効なことだということが改めて感得されましたので、またこれは力強く進めていかなければならないと思います。そしてまた、その他の方面においても、この方々の和歌山県に対する思いを大切にして、またこちらでもこの方々の活躍ということを県民の方々に広く知らせることによって和歌山県に元気をつける一つの方策にしていきたいというふうに思っております。
 カナダでもバンクーバー──これはまた三尾の方から行かれた方が中心になって非常に和やかな夕食会など開かれ、そしてまた横断幕を持って何回も何回も出迎え・見送り・出迎え・見送りと、本当に頭の下がる思いでした。あちらへ渡られた方の心温かい歓迎に接して本当に久しぶりに心が洗われるような思いがしたわけでございます。これからもこういうふうな地域との交流を力いっぱい進めてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、木下善之君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 次に日程第五、和議第三十一号「北朝鮮による日本人拉致問題の早期全面解決を求める意見書(案)」及び和議第三十二号「北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決を求める意見書(案)」を一括して議題といたします。
 案文は、お手元に配付しております。
 お諮りいたします。本案については、いずれも提出者の説明等を省略し、これより直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、和議第三十一号を採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(小川 武君) 起立少数であります。よって、本案は否決されました。
 次に、和議第三十二号を採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(小川 武君) 起立全員であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。
 お諮りいたします。十二月十四日及び十五日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 御異議なしと認めます。よって、十二月十四日及び十五日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、十二月十六日定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十二分散会

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