平成16年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時三分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百三十四号から議案第百六十九号まで、並びに知事専決処分報告報第十四号から報第十九号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 六番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 おはようございます。
 初日に、新島雄議員が北朝鮮の拉致問題について皆さん方にお話をさせていただきました。その翌日、横田めぐみさんの遺骨がにせものであった、捏造であったということであります。新島議員はこの拉致問題を県民運動として地方でもっともっと訴えていかなきゃいけないという趣旨でお話をさせていただいたわけなんですけども、私は県民運動としてのそういった運動よりも、もうこれからは抗議運動を起こして、そして一日も早く拉致された日本国民、我々の同胞を救わなければならない、そのように思いますので、前段そのお話をさせていただきます。
 そして、森林環境税について今から質問をさせていただくわけなんですけども、これについては自民党県議団の代表というふうな見地から質問をさせていただきます。
 まず前段になりますけれども、皆さん、我々の住む地球、これは銀河系にあるわけなんですけども、銀河系にはどれだけの星があるか、わかりますか。二千億個の星があるらしいです。二千億個。一つの銀河系には大体、何千億という単位から何兆個というような星があるらしいんですけども、我々の銀河系には二千億個。その中で、地球と同じような環境の星が、人間が住めるような星が大体一億個以上あると言われているんです。一億個。
 そうしたら、我々はなぜ宇宙人に遭わないのか、そんな質問を天文学者に聞いておる話を聞いたことがあるんです。なぜ遭わないのか。その学者が言下に答えたのは、「地球ほど文明が盛んになれば、その星は一瞬に消滅する」と、こういう話をされたわけです。まあ「一瞬」というのはどれだけの時間かわかりませんけども、とにかく地球も有限の物体であると、そういう話であるわけです。そういうことを考えて、この地球の環境、そういうことで森林環境税も盛んに今論議されておるわけであります。
 ことしは地球全体が異常気象で、台風が何回も発生しました。特に台風二十三号では大きな被害が出たところであります。異常気象は地球温暖化の影響と言われております。国は、地球温暖化対策の中で、森林の二酸化炭素の吸収について、その機能を大きく計算に入れております。ロシアの京都議定書の批准により、議定書の数値の実行については、日本は六%削減のうち森林に三・九%の削減確保の実行が求められます。そのため、森林の整備と保全が緊急の課題となってきております。つまり、国が責任を持って森林を守らなければ目的が達成できないわけであります。同時に地方においても、森林面積を多く抱える我が県においても、緑のダム機能を持つ森林環境の保全に全力を挙げなければなりません。森林の持つ公益的機能を高度に発揮させることは、県民生活においても重要な課題となってきております。
 そんな中で、各府県では地方分権の時代に目的に応じた自主課税制度が検討をされております。森林整備のための森林環境税や水資源保有税もその一つであります。本県におきましても、採算性の厳しい林業において、森林所有者の努力のみでは限界があります。持続的に森林環境を保全していくためには、県民参加による森林づくりやその費用の問題などの議論を進めていく必要があります。
 そこで、私ども十人ぐらいのメンバーで先日、県議団の政務調査活動として高知県を視察してまいりました。高知県では、平成十四年度から森林保全のための森林環境税をスタートさせておりました。個人県民税と法人県民税に均等割として年額五百円の超過課税をし、その徴収したものを森林環境保全に積み立てておりました。そして、事業計画の決定は一般県民、学識経験者で構成する基金運営委員会で決めて、県民の意見が反映された透明性の高い事業に基金が使われておりました。主な事業は、県民参加による森林保全の機能を高める事業、あるいはまた公益上大変重要で緊急な環境整備事業でありました。
 今後、県議会においてもさらに検討を重ねていきたいと考えておりますが、知事は森林環境税など新たな税制度により財源を求めることについてどのように考えておられるのか、お聞かせください。
 また、本県は緑の雇用事業ということで森林の保全整備にかかわる先駆的な事業を推進しております。特に、過疎化、高齢化が進む山村地域においては、都会からの若い担い手が定住しようとしている姿は大変頼もしく感じるところであります。今後は県民みんなが参加して森林を守るという県民運動の推進が必要であると考えますが、どのような方法で取り組めばよいのか、農林水産部長の見解をお聞かせください。
 次に、教育改革について質問をさしていただきます。
 国の財政改革、三位一体改革の中で地方に求めた補助金削減について、義務教育の補助金についての議論が随分なされております。義務教育はどうあるべきか。国の責任において画一・平等になされるべきである、同時に国の責任において教育費を国が負担すべきであると、そういう考え方。あるいはまた、地方六団体、主に全国知事会でありますが、税源移譲で地方が義務教育を負担していくという大きな決断であります。結論は補助金のカットで来年の中教審の結論待ちで先送りということになるようでありますが、今回のことは、義務教育の負担を国がやるべきか、あるいはまた地方が持つべきか、金の問題でありますが、同時に義務教育のあり方、教育論、教育改革が真剣に論議されるきっかけとなりました。また、教育改革の波が広がる雰囲気が出てきたことは教育の再興にとって大きなチャンスと受けとめなければならない、私はそのように考えます。
 また、地方主権、地方分権あるいは教育の分権化の中で、地方の特色を生かした教育の実施も活力ある教育が期待されるかもしれません。地方分権教育の理想型と言える藩校をつくるというようなことも地方教育の気概ではなかろうかと、そのように思うわけであります。教育に国が責任を持つということは、それは正しいことだと思います。教育費の半分を持つぐらいで教育の責任を果たしてきたと言えるでしょうか。今日の教育現場の崩壊、例えば学級崩壊等の現場を見たときに、果たして国の責任は果たされているでしょうか、甚だ疑問であります。
 ことし、和歌山県議会も教育基本法の早期改正についての意見書を決議いたしております。中教審答申以来、教育基本法の改正の機運が高まってきておるわけであります。中曽根内閣が臨時教育審議会を設けてから二十年、教育改革を掲げて二十年になります。教育改革が叫ばれて大変久しいものがありますが、今回の国と地方の三位一体改革を契機に早急に議論を進めるべきであります。
 また、最近、教育水準の低さが問題とされております。文部省は平成十四年、新しい学習指導要領で従前より教える内容を三割もカットしました。「ゆとり教育」を実施したわけでありますが、子供たちの学力、教育水準はゆとりどころではなく、心配な水準まで低下しております。いわば、国が率先して教育の低下を招いてきたわけであります。また国際社会の中でも、日本の位置を見たときに、教育水準と経済発展の関係が危惧され始めております。資源を持たない日本が今後も豊かな国を維持していくためには、高い教育水準を確保することが先決だと考えております。
 そこで、知事に、教育のあり方、今後の教育改革のなすべき点についてお考えをお聞かせください。
 次に、制度改革の中で教職員の給与費の総額裁量制というものが文科省で示されております。そういうシステムがあります。これは給与の一律支給じゃなしに県の裁量で上下するということであろうと思いますが、この制度の運用について教育長の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
 また、義務教育費の国庫負担金制度が廃止されますと、自治体で給料を負担するということになります。そうなれば、県民の納得が得られるような給与システムが必要とされます。どのような考えをお持ちか、お聞かせください。
 次に、教育特区ということで、テレビなどでも放映されておりましたけれども、英語だけの低学年の授業とか、小・中九年間の一貫教育、そういうものを実施している学校があります。これらの教育効果と問題点について、教育長のお考えをお聞かせください。
 最後に、教育を金の問題じゃなくして、そういう金の問題ばっかりで論じているという批判がありますが、教育は人であります。尊敬される教師が多くいればいるほど、和歌山県の教育が評価されるわけであります。学校の先生を評価するということは大変難しい問題であると思いますが、このことについてどのように取り組んでいるのか、お聞かせください。また、評価システムがあればその内容をお聞かせください。
 次に、男女共同参画社会についての質問をさしていただきます。
 「読売新聞」十六年二月十七日付の記事でありますが、文部科学省所管日本青年研究所が二〇〇三年秋、米、中、韓、そして日本の四カ国の千人余りの高校生を対象としたアンケートを実施しましたところ、日本人は「男は男らしく、女は女らしく」といった性差意識が突出して低いことが明らかになったという記事がありました。こういう記事が載っております。(資料を示す)
 この記事の中で、数字なんですけども、日本が特異な数値を示したということで、「女は女らしくすべきだ」という設問で肯定した人が二八・四%しかなかった。同じ問いかけを、アメリカ五八・〇%、中国は七一・六%、韓国は四七・七%。「男は男らしく」も、日本で肯定したのは四三・四%、アメリカは六三・五%、中国に至っては八一・一%、韓国五四・九%で、四カ国で半数を割り込んだのは唯一日本だけであります。
 こういう数字を見ますと私は大変心配で──心配というよりも大変恐ろしい気がいたします。アメリカや韓国や中国、この国の指導者はこの数字を見て、私は大変喜んでおるんではないかと。逆に日本の指導者は、これは大変心配して何とかしなけりゃいけない、そういう気持ちになっていただかなきゃいけない、そういうふうに思います。
 そこで、この評価についても分かれるところでありますが、今、中学校、小学校の教育の中で盛んにジェンダーフリー教育として一般の人の自然的感情に反するような教育が行われているということからこのような結果になったものと私は考えます。男女の平等な社会参加と責任分担を目指す男女共同参画社会基本法が成立し、法施行されてから五年が経過します。県でもこの条例を制定し、二年がたっております。
 私は、この男女共同参画社会の実現については大いに賛成し、足を引っ張るつもりはもちろんありません。女性が各分野に参画し、男女の特性を生かした社会をつくるべきだと考えております。ただ、一般にジェンダーフリー教育の名のもとに、およそ性差別とつながらないものまで性差を否定していくということが起こっております。こんなことが女性運動や教育の場で起こり、社会問題となってきておるわけであります。その結果として、新聞記事のような、男らしさ、女らしさの意識構造の低下につながったものと私は考えます。思想統制のごとく、「ジェンダーチェック」と称して男女の特性や伝統文化を否定し、故意に男女まぜこぜにして、本来の男女共同参画社会の実現という目標から逸脱している実態が全国的に見られるような状況であります。自治体のいわゆる行政の中でも、性差否定につながるこのジェンダーフリーの考え方がひとり歩きしている感があります。本県にもそんな風潮があった時期があるように思います。
 平成十五年一月二十三日の内閣府男女共同参画局研修資料及びことしの四月五日の男女共同参画局の文書が都道府県に出ております。その内容は「男女共同参画はジェンダーフリーを意味しているものではない」から始まり、「男女共同参画社会は男女の差の機械的・画一的解消を求めているものではない」「男女の生物学的特徴と言われるのが生殖機能や内分泌調整等の相違としてあらわれている。この相違の背景には、脳の構造と機能の相違があることが動物実験からも認められている」「男女共同参画は、男女の逆転や中性化を描くことを目的としているものではない」「男らしさ、女らしさや伝統文化を否定しようというものではない」という政府見解であります。東京都・石原知事は「ジェンダーフリー」という用語使用を禁止し、ジェンダーフリー思想に基づいたいわゆる男女混合名簿の作成をやめるように指示しているところであります。
 そこで、男女共同参画条例を制定して二年経過した今、どのような成果があったのか、また行政とジェンダーフリーについて、考え方をお聞かせください。本来であれば、これは県下の第一人者の高嶋洋子企画部長にお聞きしたいわけなんですけど、そんなわけにいきませんので、また次の機会にお聞きしたいと思います。
 また、今、全国的にまぜこぜ教育の中で、男女混合名簿はまだしも、男と女が同じ部屋で寝るという男女同室泊というようなことをしている学校現場があるということを聞いております。ジェンダーフリー教育という名のもとに実施されているこのようなことに関して、教育長の御見解をお聞かせください。
 最後に市町村合併について質問をさせていただくわけなんですけども、最後ですから要望というような格好みたいになってきます。というのは、もう最終局面になっておりますので、そういうような気持ちでお聞かせ願いたいと思います。
 市町村合併が、あと三カ月で期限が切れるところであります。今、県内の状況を見るときに、合併合意寸前のところで破談になったり、合理性のない理由で目指した合併ができなかったという事態が起こっております。私は、平成の市町村合併は市町村の数を千程度にするというただの市町村の数合わせの問題でないと思います。地方分権を推進し、国からの権限をかち取るために地方に課せられた緊急の課題であります。地方分権実現の重要な要件と責任であると考えております。そうでなければ、いつまでたっても中央から権限をかち取ることができません。
 三位一体改革の中でも、中央省庁の壁が本当に厚く、地方分権を本当に考えているのかという疑問を持たざるを得ません。全国知事会長は、三位一体の改革の中で、国は地方について地方無視、地方軽視、地方べっ視であると、大変な怒りを持って「地方一揆も辞さない」という発言をされておりました。そのとおりだと思います。しかし、地方もやることはやらなきゃいけない。責任を果たして国の権限を絶対分権化させるという気概がなければならないと私は思います。
 そこで、市町村合併の状況について、当初にあった目標と現況についてでありますが、どれぐらいの成果があったのか、お聞かせ願いたいと思います。
 そして、最終局面での県の取り組みでありますが、市町村合併は住民の意思でということが前面に出ますと、どうも消極的な姿勢になりがちになります。それは大事なことでありますけれども、合併期限まであとわずかであります。特例法の期限切れがあとわずかであります。最後の働きかけができそうな市町村もあると思います。強力なスタンス、積極的なスタンスでその局面に臨んでほしいものであります。今後の課題についてどうなされるのか、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、森林環境税についての御質問です。
 今、議会の方で森林環境税について高知県へ行って研究を進められたというふうなことに対して、私は心から敬意を表するものでございます。今ほどこの森林というのが、お金を生み出すものということじゃなくて、環境を守るものとして重視されている時期はないし、そしてこれは世界的にも大きな潮流になってきていると。そういう中で和歌山県は緑の雇用事業とかいろんなことで森林の先進県というふうな形になってきているわけではありますけれども、やはりそういうことにはお金が要るというふうなことがあるわけです。そういう中で、やはり県民の人の全体の理解の中でそういうことを進めていくということは、僕は和歌山県にとっても非常に理想的なことだというふうに考えておりますので、これからも理事者側と議会が協力し合ってこういうふうな方向を進めることができたらというふうに考えているところでございます。
 次に、教育改革についての御質問でございます。
 これまた、今ほど日本の国の教育──初等教育、中等教育、高等教育皆ありますけれども──が注目され、また一番大事な局面に差しかかっているときはないと思います。これからは、日本の国は少子高齢化に向かっていって、今教育を受けた人たちがやっぱり力いっぱい頑張っていくような形にしていかないと、幾ら人数が減ってくるといっても一億二千数百万の人間が暮らしていくということの中では、やはりゆとりだけでは済むような時代ではなくなってきているというふうなことだろうと思います。
 そういうふうな中で、この間の三位一体の改革では、義務教育だから国だ、それで、お金を持てばそれで責任を果たしている、こういうふうな、言ってみればちょっと単純な論理がまかり通ったわけだけども、私はむしろそういうお金の話じゃなくて、国はやはり義務教育について、こういうふうな方針でこれから日本の国をこういうふうな方向へ持っていくんだからこんな形での教育をして子供が健全に育っていくようにしなければならない、これは知力もそうだし、体力もそうだし、いろんな面でそういうことの基本方針を出していく、そして地方は、そういう根本的な方針を受けて、そういうふうな中でむだが出ないように、そしてまたそれぞれの子供がそれぞれの能力に応じて発達していけるような形での地域の特性に合わせたような教育をしていく、これが本当の教育改革であって、そのことは学校の先生の月給を半分出しているからとか出してないからとかいうようなこととは根本的には全く関係のないような話で、今回の三位一体の改革の議論の中でそういうところが全く議論されずに、お金を二分の一出せば責任を持っているとか、そうじゃないとかいうようなことになったのは、私は非常に残念なことだと思っています。
 この問題、来年に送られて、そして中教審で審議されるということになったんだけども、中教審でも、初めから結論ありきというような考え方じゃなくて、やはり日本の国の教育、これは何も義務教育だけじゃないんです。もうすべての教育。中国とかインドなんかで非常に勉強を一生懸命やる子たちがもう日本の十倍、二十倍というような数でふえてきているという現実を見据えた上でどうしていくかというふうなことを僕は考えていくべきだろうというふうに思っております。
 それから、市町村合併についてですけども、今の御質問の中で、市町村合併というのは数合わせではない、そして分権ということの責任を地方が担っていくということでの今度の合併なんだというふうな位置づけ、これには私は非常に共感を覚えるところです。
 今、県下の市町村も非常に苦労して、大体五十──今はもう四十九になってますけど、もともとは五十あったところが大体六割弱ぐらいになっていくような形で進んできておりますけれども、私は今、合併に向けて努力をしているというふうなところに県は、もちろんこれはもういつも言っているように、強制したりそういうふうな性格のものではありませんけれども、いろんな形で支援できるところは支援していきたいと、このように考えているところでございます。
○議長(小川 武君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 県民みんなが参加して森林を守る方法についてでございますが、議員お話しのとおり、森林整備については森林所有者のみの努力では限界があり、県民参加による森林づくりは大切であると考えてございます。
 本県においては、富田川流域での水源の森づくりや有田川流域を初めとする漁民の森づくり、また高野山での緑の孫基金の森など、県民参加による森林整備が各地で取り組まれているところでございます。今後、こうした取り組みを県下全域に広げていくため、NPOやボランティアの方々ともさらに連携を強め、より多くの県民の皆様方に参加していただける森林づくりを進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(小川 武君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 男女共同参画につきまして、まず一点目の御質問の男女共同参画推進条例施行後の二年間の成果についてでございますが、県では、男女共同参画推進条例に基づき、平成十五年三月に男女共同参画を計画的に推進するため男女共同参画基本計画を策定いたしました。現在、同基本計画に基づき、子育て支援策や雇用の分野における男女共同参画など、女性が社会参画するための環境整備などに数値目標を掲げ、市町村や県民の皆さんと連携を図りながら取り組んでいるところであります。
 男女共生社会推進センターでは、女性のための起業支援、子育て支援、町づくりなど、各種講座を開催し、修了された方はそれぞれの分野で活躍されております。また、昨年度、全市町村で約千四百名の参加を得て男女共同参画による町づくりについて議論するいきいきタウントークを実施し、県民意識の高揚を図ったところであります。今後、基本計画の着実な実施に向け、関係機関や各部局の協力を得ながら取り組んでまいります。
 次に、二点目の御質問の行政とジェンダーフリーについての考え方でございますが、「ジェンダーフリー」という用語につきましては、使用する人によりその意味や主張する内容はさまざまであり、国においても公式な概念の定義がございません。内閣府は地方公共団体の「ジェンダーフリー」の使用について、地方公共団体が判断すべきものとしながらも、最近のこの用語をめぐる誤解や混乱の状況を踏まえると今後新たに地方公共団体において条例等を制定する場合にはあえて使用しない方がよいのではないかとの見解が示されております。
 本県におきましては、「ジェンダーフリー」という用語は男女共同参画推進条例や男女共同参画基本計画の中で使用してございません。男女共同参画の目標は、男女がひとしく利益を享受し、ともに責任を負うことであり、そのために行政としては男女が参画しやすい環境をつくることが重要であります。今後も、男女の人権が尊重され、男女がともに個性と能力を発揮できる社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育に関する五点についてお答えいたします。
 初めに、平成十六年度から採用されている総額裁量制は、現行の国庫負担制度の中で県独自の給与制度や教育施策が可能となるものであり、本県としても少人数学級の拡大や非常勤講師の効率的な配置などの面で教育水準の維持向上のため、この制度を有効に活用しております。
 また、義務教育費国庫負担制度の今後のあり方については、国の動向を踏まえて対処することとなりますが、教育公務員の給与は、民間企業との均衡を考慮しつつ、児童生徒の人間形成に直接携わるという職務の特性にかんがみ、いかに優秀な人材を確保するかということが重要となります。今後ともこうした点を踏まえた給与制度の確立が必要になってくるものと考えております。
 次に、小・中学校における新しい取り組みについては、県単独で小学校三学年から中学校三学年までの七年間を通して英語を使った授業を四地域十二小・中学校で実施しており、積極的に外国人と英語で話せる子供が育ちつつあります。
 また、小中一貫教育についても、県内三地域十四の小・中学校で九年間を見通したカリキュラムを作成するなど、小学校と中学校が一体となった教育が行われております。今後ともこうした本県の特色ある小中一貫教育を進めてまいります。
 次に、教職員の評価制度については、教職員一人一人が具体的な目標を定め、その実現状況をみずから申告する制度を取り入れるなど、自己の資質や能力を一層伸ばすことを基本に取り組むことが大切であると考えています。昨年度から調査研究委員会を設置し、三年計画で検討を進めております。本年度は県立学校の校長、教頭を対象に、学校運営のあり方やその業績等についての評価を試行的に行うとともに、評価能力を高めるための研修を実施したところであります。今後、適正で信頼できる評価のあり方などについてより幅広い観点から研究を進め、実効性の高い評価システムづくりに努めてまいります。
 最後に、男女共同参画についてお答えいたします。
 議員御指摘の他府県でのような宿泊活動のような事例は、本県ではございません。
 また、男女共同参画が目指すものは、男女がそれぞれの特性や役割を認識しながら一人一人が持っている個性や能力を十分に発揮できる社会づくりにあると考えているところであります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。

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