平成16年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十六年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十六年十二月十日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三十四号から議案第百六十九号まで、並びに報第十四号から報第十九号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百三十四号から議案第百六十九号まで、並びに報第十四号から報第十九号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       前   川   勝   久
     二十六番       山   下   大   輔
     二十七番       木   下   善   之
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     三十九番       阪   部   菊   雄
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      白   原   勝   文
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課副主査     楠   見   直   博
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百三十四号から議案第百六十九号まで、並びに知事専決処分報告報第十四号から報第十九号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 六番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 おはようございます。
 初日に、新島雄議員が北朝鮮の拉致問題について皆さん方にお話をさせていただきました。その翌日、横田めぐみさんの遺骨がにせものであった、捏造であったということであります。新島議員はこの拉致問題を県民運動として地方でもっともっと訴えていかなきゃいけないという趣旨でお話をさせていただいたわけなんですけども、私は県民運動としてのそういった運動よりも、もうこれからは抗議運動を起こして、そして一日も早く拉致された日本国民、我々の同胞を救わなければならない、そのように思いますので、前段そのお話をさせていただきます。
 そして、森林環境税について今から質問をさせていただくわけなんですけども、これについては自民党県議団の代表というふうな見地から質問をさせていただきます。
 まず前段になりますけれども、皆さん、我々の住む地球、これは銀河系にあるわけなんですけども、銀河系にはどれだけの星があるか、わかりますか。二千億個の星があるらしいです。二千億個。一つの銀河系には大体、何千億という単位から何兆個というような星があるらしいんですけども、我々の銀河系には二千億個。その中で、地球と同じような環境の星が、人間が住めるような星が大体一億個以上あると言われているんです。一億個。
 そうしたら、我々はなぜ宇宙人に遭わないのか、そんな質問を天文学者に聞いておる話を聞いたことがあるんです。なぜ遭わないのか。その学者が言下に答えたのは、「地球ほど文明が盛んになれば、その星は一瞬に消滅する」と、こういう話をされたわけです。まあ「一瞬」というのはどれだけの時間かわかりませんけども、とにかく地球も有限の物体であると、そういう話であるわけです。そういうことを考えて、この地球の環境、そういうことで森林環境税も盛んに今論議されておるわけであります。
 ことしは地球全体が異常気象で、台風が何回も発生しました。特に台風二十三号では大きな被害が出たところであります。異常気象は地球温暖化の影響と言われております。国は、地球温暖化対策の中で、森林の二酸化炭素の吸収について、その機能を大きく計算に入れております。ロシアの京都議定書の批准により、議定書の数値の実行については、日本は六%削減のうち森林に三・九%の削減確保の実行が求められます。そのため、森林の整備と保全が緊急の課題となってきております。つまり、国が責任を持って森林を守らなければ目的が達成できないわけであります。同時に地方においても、森林面積を多く抱える我が県においても、緑のダム機能を持つ森林環境の保全に全力を挙げなければなりません。森林の持つ公益的機能を高度に発揮させることは、県民生活においても重要な課題となってきております。
 そんな中で、各府県では地方分権の時代に目的に応じた自主課税制度が検討をされております。森林整備のための森林環境税や水資源保有税もその一つであります。本県におきましても、採算性の厳しい林業において、森林所有者の努力のみでは限界があります。持続的に森林環境を保全していくためには、県民参加による森林づくりやその費用の問題などの議論を進めていく必要があります。
 そこで、私ども十人ぐらいのメンバーで先日、県議団の政務調査活動として高知県を視察してまいりました。高知県では、平成十四年度から森林保全のための森林環境税をスタートさせておりました。個人県民税と法人県民税に均等割として年額五百円の超過課税をし、その徴収したものを森林環境保全に積み立てておりました。そして、事業計画の決定は一般県民、学識経験者で構成する基金運営委員会で決めて、県民の意見が反映された透明性の高い事業に基金が使われておりました。主な事業は、県民参加による森林保全の機能を高める事業、あるいはまた公益上大変重要で緊急な環境整備事業でありました。
 今後、県議会においてもさらに検討を重ねていきたいと考えておりますが、知事は森林環境税など新たな税制度により財源を求めることについてどのように考えておられるのか、お聞かせください。
 また、本県は緑の雇用事業ということで森林の保全整備にかかわる先駆的な事業を推進しております。特に、過疎化、高齢化が進む山村地域においては、都会からの若い担い手が定住しようとしている姿は大変頼もしく感じるところであります。今後は県民みんなが参加して森林を守るという県民運動の推進が必要であると考えますが、どのような方法で取り組めばよいのか、農林水産部長の見解をお聞かせください。
 次に、教育改革について質問をさしていただきます。
 国の財政改革、三位一体改革の中で地方に求めた補助金削減について、義務教育の補助金についての議論が随分なされております。義務教育はどうあるべきか。国の責任において画一・平等になされるべきである、同時に国の責任において教育費を国が負担すべきであると、そういう考え方。あるいはまた、地方六団体、主に全国知事会でありますが、税源移譲で地方が義務教育を負担していくという大きな決断であります。結論は補助金のカットで来年の中教審の結論待ちで先送りということになるようでありますが、今回のことは、義務教育の負担を国がやるべきか、あるいはまた地方が持つべきか、金の問題でありますが、同時に義務教育のあり方、教育論、教育改革が真剣に論議されるきっかけとなりました。また、教育改革の波が広がる雰囲気が出てきたことは教育の再興にとって大きなチャンスと受けとめなければならない、私はそのように考えます。
 また、地方主権、地方分権あるいは教育の分権化の中で、地方の特色を生かした教育の実施も活力ある教育が期待されるかもしれません。地方分権教育の理想型と言える藩校をつくるというようなことも地方教育の気概ではなかろうかと、そのように思うわけであります。教育に国が責任を持つということは、それは正しいことだと思います。教育費の半分を持つぐらいで教育の責任を果たしてきたと言えるでしょうか。今日の教育現場の崩壊、例えば学級崩壊等の現場を見たときに、果たして国の責任は果たされているでしょうか、甚だ疑問であります。
 ことし、和歌山県議会も教育基本法の早期改正についての意見書を決議いたしております。中教審答申以来、教育基本法の改正の機運が高まってきておるわけであります。中曽根内閣が臨時教育審議会を設けてから二十年、教育改革を掲げて二十年になります。教育改革が叫ばれて大変久しいものがありますが、今回の国と地方の三位一体改革を契機に早急に議論を進めるべきであります。
 また、最近、教育水準の低さが問題とされております。文部省は平成十四年、新しい学習指導要領で従前より教える内容を三割もカットしました。「ゆとり教育」を実施したわけでありますが、子供たちの学力、教育水準はゆとりどころではなく、心配な水準まで低下しております。いわば、国が率先して教育の低下を招いてきたわけであります。また国際社会の中でも、日本の位置を見たときに、教育水準と経済発展の関係が危惧され始めております。資源を持たない日本が今後も豊かな国を維持していくためには、高い教育水準を確保することが先決だと考えております。
 そこで、知事に、教育のあり方、今後の教育改革のなすべき点についてお考えをお聞かせください。
 次に、制度改革の中で教職員の給与費の総額裁量制というものが文科省で示されております。そういうシステムがあります。これは給与の一律支給じゃなしに県の裁量で上下するということであろうと思いますが、この制度の運用について教育長の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
 また、義務教育費の国庫負担金制度が廃止されますと、自治体で給料を負担するということになります。そうなれば、県民の納得が得られるような給与システムが必要とされます。どのような考えをお持ちか、お聞かせください。
 次に、教育特区ということで、テレビなどでも放映されておりましたけれども、英語だけの低学年の授業とか、小・中九年間の一貫教育、そういうものを実施している学校があります。これらの教育効果と問題点について、教育長のお考えをお聞かせください。
 最後に、教育を金の問題じゃなくして、そういう金の問題ばっかりで論じているという批判がありますが、教育は人であります。尊敬される教師が多くいればいるほど、和歌山県の教育が評価されるわけであります。学校の先生を評価するということは大変難しい問題であると思いますが、このことについてどのように取り組んでいるのか、お聞かせください。また、評価システムがあればその内容をお聞かせください。
 次に、男女共同参画社会についての質問をさしていただきます。
 「読売新聞」十六年二月十七日付の記事でありますが、文部科学省所管日本青年研究所が二〇〇三年秋、米、中、韓、そして日本の四カ国の千人余りの高校生を対象としたアンケートを実施しましたところ、日本人は「男は男らしく、女は女らしく」といった性差意識が突出して低いことが明らかになったという記事がありました。こういう記事が載っております。(資料を示す)
 この記事の中で、数字なんですけども、日本が特異な数値を示したということで、「女は女らしくすべきだ」という設問で肯定した人が二八・四%しかなかった。同じ問いかけを、アメリカ五八・〇%、中国は七一・六%、韓国は四七・七%。「男は男らしく」も、日本で肯定したのは四三・四%、アメリカは六三・五%、中国に至っては八一・一%、韓国五四・九%で、四カ国で半数を割り込んだのは唯一日本だけであります。
 こういう数字を見ますと私は大変心配で──心配というよりも大変恐ろしい気がいたします。アメリカや韓国や中国、この国の指導者はこの数字を見て、私は大変喜んでおるんではないかと。逆に日本の指導者は、これは大変心配して何とかしなけりゃいけない、そういう気持ちになっていただかなきゃいけない、そういうふうに思います。
 そこで、この評価についても分かれるところでありますが、今、中学校、小学校の教育の中で盛んにジェンダーフリー教育として一般の人の自然的感情に反するような教育が行われているということからこのような結果になったものと私は考えます。男女の平等な社会参加と責任分担を目指す男女共同参画社会基本法が成立し、法施行されてから五年が経過します。県でもこの条例を制定し、二年がたっております。
 私は、この男女共同参画社会の実現については大いに賛成し、足を引っ張るつもりはもちろんありません。女性が各分野に参画し、男女の特性を生かした社会をつくるべきだと考えております。ただ、一般にジェンダーフリー教育の名のもとに、およそ性差別とつながらないものまで性差を否定していくということが起こっております。こんなことが女性運動や教育の場で起こり、社会問題となってきておるわけであります。その結果として、新聞記事のような、男らしさ、女らしさの意識構造の低下につながったものと私は考えます。思想統制のごとく、「ジェンダーチェック」と称して男女の特性や伝統文化を否定し、故意に男女まぜこぜにして、本来の男女共同参画社会の実現という目標から逸脱している実態が全国的に見られるような状況であります。自治体のいわゆる行政の中でも、性差否定につながるこのジェンダーフリーの考え方がひとり歩きしている感があります。本県にもそんな風潮があった時期があるように思います。
 平成十五年一月二十三日の内閣府男女共同参画局研修資料及びことしの四月五日の男女共同参画局の文書が都道府県に出ております。その内容は「男女共同参画はジェンダーフリーを意味しているものではない」から始まり、「男女共同参画社会は男女の差の機械的・画一的解消を求めているものではない」「男女の生物学的特徴と言われるのが生殖機能や内分泌調整等の相違としてあらわれている。この相違の背景には、脳の構造と機能の相違があることが動物実験からも認められている」「男女共同参画は、男女の逆転や中性化を描くことを目的としているものではない」「男らしさ、女らしさや伝統文化を否定しようというものではない」という政府見解であります。東京都・石原知事は「ジェンダーフリー」という用語使用を禁止し、ジェンダーフリー思想に基づいたいわゆる男女混合名簿の作成をやめるように指示しているところであります。
 そこで、男女共同参画条例を制定して二年経過した今、どのような成果があったのか、また行政とジェンダーフリーについて、考え方をお聞かせください。本来であれば、これは県下の第一人者の高嶋洋子企画部長にお聞きしたいわけなんですけど、そんなわけにいきませんので、また次の機会にお聞きしたいと思います。
 また、今、全国的にまぜこぜ教育の中で、男女混合名簿はまだしも、男と女が同じ部屋で寝るという男女同室泊というようなことをしている学校現場があるということを聞いております。ジェンダーフリー教育という名のもとに実施されているこのようなことに関して、教育長の御見解をお聞かせください。
 最後に市町村合併について質問をさせていただくわけなんですけども、最後ですから要望というような格好みたいになってきます。というのは、もう最終局面になっておりますので、そういうような気持ちでお聞かせ願いたいと思います。
 市町村合併が、あと三カ月で期限が切れるところであります。今、県内の状況を見るときに、合併合意寸前のところで破談になったり、合理性のない理由で目指した合併ができなかったという事態が起こっております。私は、平成の市町村合併は市町村の数を千程度にするというただの市町村の数合わせの問題でないと思います。地方分権を推進し、国からの権限をかち取るために地方に課せられた緊急の課題であります。地方分権実現の重要な要件と責任であると考えております。そうでなければ、いつまでたっても中央から権限をかち取ることができません。
 三位一体改革の中でも、中央省庁の壁が本当に厚く、地方分権を本当に考えているのかという疑問を持たざるを得ません。全国知事会長は、三位一体の改革の中で、国は地方について地方無視、地方軽視、地方べっ視であると、大変な怒りを持って「地方一揆も辞さない」という発言をされておりました。そのとおりだと思います。しかし、地方もやることはやらなきゃいけない。責任を果たして国の権限を絶対分権化させるという気概がなければならないと私は思います。
 そこで、市町村合併の状況について、当初にあった目標と現況についてでありますが、どれぐらいの成果があったのか、お聞かせ願いたいと思います。
 そして、最終局面での県の取り組みでありますが、市町村合併は住民の意思でということが前面に出ますと、どうも消極的な姿勢になりがちになります。それは大事なことでありますけれども、合併期限まであとわずかであります。特例法の期限切れがあとわずかであります。最後の働きかけができそうな市町村もあると思います。強力なスタンス、積極的なスタンスでその局面に臨んでほしいものであります。今後の課題についてどうなされるのか、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、森林環境税についての御質問です。
 今、議会の方で森林環境税について高知県へ行って研究を進められたというふうなことに対して、私は心から敬意を表するものでございます。今ほどこの森林というのが、お金を生み出すものということじゃなくて、環境を守るものとして重視されている時期はないし、そしてこれは世界的にも大きな潮流になってきていると。そういう中で和歌山県は緑の雇用事業とかいろんなことで森林の先進県というふうな形になってきているわけではありますけれども、やはりそういうことにはお金が要るというふうなことがあるわけです。そういう中で、やはり県民の人の全体の理解の中でそういうことを進めていくということは、僕は和歌山県にとっても非常に理想的なことだというふうに考えておりますので、これからも理事者側と議会が協力し合ってこういうふうな方向を進めることができたらというふうに考えているところでございます。
 次に、教育改革についての御質問でございます。
 これまた、今ほど日本の国の教育──初等教育、中等教育、高等教育皆ありますけれども──が注目され、また一番大事な局面に差しかかっているときはないと思います。これからは、日本の国は少子高齢化に向かっていって、今教育を受けた人たちがやっぱり力いっぱい頑張っていくような形にしていかないと、幾ら人数が減ってくるといっても一億二千数百万の人間が暮らしていくということの中では、やはりゆとりだけでは済むような時代ではなくなってきているというふうなことだろうと思います。
 そういうふうな中で、この間の三位一体の改革では、義務教育だから国だ、それで、お金を持てばそれで責任を果たしている、こういうふうな、言ってみればちょっと単純な論理がまかり通ったわけだけども、私はむしろそういうお金の話じゃなくて、国はやはり義務教育について、こういうふうな方針でこれから日本の国をこういうふうな方向へ持っていくんだからこんな形での教育をして子供が健全に育っていくようにしなければならない、これは知力もそうだし、体力もそうだし、いろんな面でそういうことの基本方針を出していく、そして地方は、そういう根本的な方針を受けて、そういうふうな中でむだが出ないように、そしてまたそれぞれの子供がそれぞれの能力に応じて発達していけるような形での地域の特性に合わせたような教育をしていく、これが本当の教育改革であって、そのことは学校の先生の月給を半分出しているからとか出してないからとかいうようなこととは根本的には全く関係のないような話で、今回の三位一体の改革の議論の中でそういうところが全く議論されずに、お金を二分の一出せば責任を持っているとか、そうじゃないとかいうようなことになったのは、私は非常に残念なことだと思っています。
 この問題、来年に送られて、そして中教審で審議されるということになったんだけども、中教審でも、初めから結論ありきというような考え方じゃなくて、やはり日本の国の教育、これは何も義務教育だけじゃないんです。もうすべての教育。中国とかインドなんかで非常に勉強を一生懸命やる子たちがもう日本の十倍、二十倍というような数でふえてきているという現実を見据えた上でどうしていくかというふうなことを僕は考えていくべきだろうというふうに思っております。
 それから、市町村合併についてですけども、今の御質問の中で、市町村合併というのは数合わせではない、そして分権ということの責任を地方が担っていくということでの今度の合併なんだというふうな位置づけ、これには私は非常に共感を覚えるところです。
 今、県下の市町村も非常に苦労して、大体五十──今はもう四十九になってますけど、もともとは五十あったところが大体六割弱ぐらいになっていくような形で進んできておりますけれども、私は今、合併に向けて努力をしているというふうなところに県は、もちろんこれはもういつも言っているように、強制したりそういうふうな性格のものではありませんけれども、いろんな形で支援できるところは支援していきたいと、このように考えているところでございます。
○議長(小川 武君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 県民みんなが参加して森林を守る方法についてでございますが、議員お話しのとおり、森林整備については森林所有者のみの努力では限界があり、県民参加による森林づくりは大切であると考えてございます。
 本県においては、富田川流域での水源の森づくりや有田川流域を初めとする漁民の森づくり、また高野山での緑の孫基金の森など、県民参加による森林整備が各地で取り組まれているところでございます。今後、こうした取り組みを県下全域に広げていくため、NPOやボランティアの方々ともさらに連携を強め、より多くの県民の皆様方に参加していただける森林づくりを進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(小川 武君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 男女共同参画につきまして、まず一点目の御質問の男女共同参画推進条例施行後の二年間の成果についてでございますが、県では、男女共同参画推進条例に基づき、平成十五年三月に男女共同参画を計画的に推進するため男女共同参画基本計画を策定いたしました。現在、同基本計画に基づき、子育て支援策や雇用の分野における男女共同参画など、女性が社会参画するための環境整備などに数値目標を掲げ、市町村や県民の皆さんと連携を図りながら取り組んでいるところであります。
 男女共生社会推進センターでは、女性のための起業支援、子育て支援、町づくりなど、各種講座を開催し、修了された方はそれぞれの分野で活躍されております。また、昨年度、全市町村で約千四百名の参加を得て男女共同参画による町づくりについて議論するいきいきタウントークを実施し、県民意識の高揚を図ったところであります。今後、基本計画の着実な実施に向け、関係機関や各部局の協力を得ながら取り組んでまいります。
 次に、二点目の御質問の行政とジェンダーフリーについての考え方でございますが、「ジェンダーフリー」という用語につきましては、使用する人によりその意味や主張する内容はさまざまであり、国においても公式な概念の定義がございません。内閣府は地方公共団体の「ジェンダーフリー」の使用について、地方公共団体が判断すべきものとしながらも、最近のこの用語をめぐる誤解や混乱の状況を踏まえると今後新たに地方公共団体において条例等を制定する場合にはあえて使用しない方がよいのではないかとの見解が示されております。
 本県におきましては、「ジェンダーフリー」という用語は男女共同参画推進条例や男女共同参画基本計画の中で使用してございません。男女共同参画の目標は、男女がひとしく利益を享受し、ともに責任を負うことであり、そのために行政としては男女が参画しやすい環境をつくることが重要であります。今後も、男女の人権が尊重され、男女がともに個性と能力を発揮できる社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育に関する五点についてお答えいたします。
 初めに、平成十六年度から採用されている総額裁量制は、現行の国庫負担制度の中で県独自の給与制度や教育施策が可能となるものであり、本県としても少人数学級の拡大や非常勤講師の効率的な配置などの面で教育水準の維持向上のため、この制度を有効に活用しております。
 また、義務教育費国庫負担制度の今後のあり方については、国の動向を踏まえて対処することとなりますが、教育公務員の給与は、民間企業との均衡を考慮しつつ、児童生徒の人間形成に直接携わるという職務の特性にかんがみ、いかに優秀な人材を確保するかということが重要となります。今後ともこうした点を踏まえた給与制度の確立が必要になってくるものと考えております。
 次に、小・中学校における新しい取り組みについては、県単独で小学校三学年から中学校三学年までの七年間を通して英語を使った授業を四地域十二小・中学校で実施しており、積極的に外国人と英語で話せる子供が育ちつつあります。
 また、小中一貫教育についても、県内三地域十四の小・中学校で九年間を見通したカリキュラムを作成するなど、小学校と中学校が一体となった教育が行われております。今後ともこうした本県の特色ある小中一貫教育を進めてまいります。
 次に、教職員の評価制度については、教職員一人一人が具体的な目標を定め、その実現状況をみずから申告する制度を取り入れるなど、自己の資質や能力を一層伸ばすことを基本に取り組むことが大切であると考えています。昨年度から調査研究委員会を設置し、三年計画で検討を進めております。本年度は県立学校の校長、教頭を対象に、学校運営のあり方やその業績等についての評価を試行的に行うとともに、評価能力を高めるための研修を実施したところであります。今後、適正で信頼できる評価のあり方などについてより幅広い観点から研究を進め、実効性の高い評価システムづくりに努めてまいります。
 最後に、男女共同参画についてお答えいたします。
 議員御指摘の他府県でのような宿泊活動のような事例は、本県ではございません。
 また、男女共同参画が目指すものは、男女がそれぞれの特性や役割を認識しながら一人一人が持っている個性や能力を十分に発揮できる社会づくりにあると考えているところであります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず、地方分権と三位一体の改革についてであります。
 これまで三位一体の改革については毎議会のように取り上げさしていただきましたが、ようやく十八年度までの全体像が決定をされ、新年度予算にも反映されることになりました。私なりによく見てみますと、十七・十八年度で国庫補助負担金を二兆八千三百八十億円も廃止・縮減するとしていますが、肝心の国からの税源移譲額はその約六割の一兆七千七百億円に値切られており、残りはメニューの廃止や補助金にかわる交付金化するとされています。十六年度分の六千五百六十億円を乗せてようやく税源移譲額が二兆四千百六十億円になるというものです。十七年度、十八年度での国庫補助負担金の削減に見合う税源移譲になっていないと言わざるを得ません。
 国庫補助負担金の廃止・縮減の内容としては、焦点となった義務教育費は二年間で八千五百億円を削減、十七年度分はその半分の四千二百五十億円を削減するとなっていますが、肝心の削減の中身については来年秋の中央教育審議会にゆだねられるとのことです。そして、国民健康保険に新たに都道府県負担を導入し七千億円を削減、生活保護費負担金と児童扶養手当の負担率見直しを対象にして、これも来年秋に結論を得るなどとなっています。地方税、地方交付税などの地方の一般財源の総額は確保するとしていますが、既に地方交付税の算出の根拠となる地方財政計画は引き続いて合理化・抑制することが明らかにされています。
 今回示された全体像を見る限り、地方分権の理念も明らかにされず、しかも地方側が求めていない国民健康保険負担金を削減に加え、生活保護、児童扶養手当など国が国民に対して責任を負うべき社会保障分野の負担金削減を進めようといたしております。このことは地方財政への負担転嫁でしかなく、地方自治体の財政運営を一層困難に追い込むことは明らかです。果たして地方分権の名に値する改革と言えるのかどうか、新年度予算にはどのように影響するのか、今後どのような展開となっていくのか、直接県民生活にもかかわってくる重要な問題でもあります。
 そこで、知事並びに総務部長にお尋ねをいたします。
 今回、国が示した三位一体の改革の全体像について、知事の率直な評価と何が問題点であると考えているのか、お聞きしたいと思うんです。
 朝日新聞の十二月四日付の報道でこの問題について大半の知事が不満や批判を表明し、十一人が落第点をつけています。その中の一人が木村知事ということになっているわけですが、「合格とは言いがたい」「国の財政再建を最優先させる財務省の作戦にはまってしまった」、こういうコメントが報道されておりました。一方、開会日には「半歩踏み出したもので評価できる部分もある」と部分評価され、「しかしながら」と続いて批判を展開されております。今回の全体像に対する地方自治体側での受けとめ方は、全くの落第とする知事や合格点に近い評価をする知事などさまざまのようで、知事の思いがそれぞれの都道府県での県民への説明の仕方、予算編成に対する基本姿勢にも影響するのではないかと思います。
 木村知事は何をもって評価に値すると言われ、何を批判されているのか。今回の国が示した全体像は何だったのか。今後どのような方向に向かっていくのか。地方分権の理念について、既に地方分権推進委員会、本格的な議論がされて十年にもなろうかとしているわけですが、国と地方との間でどのように整理をされてきているのか、知事の所見をお尋ねいたします。
 二つ目に、地方分権と三位一体の改革ということで今回の全体像が示されたわけですが、一体県民にとってどういうことになるのか、ますますわからなくなってまいりました。県が目指そうとしている地方分権の姿はどういうものなのか、きちんとした県民への説明が必要であります。
 県の広報紙「県民の友」十二月号を見てみますと、このたび県が策定した財政改革プログラムが掲載をされておりました。このままでは十七年度から二十年度の四年間で一千五十億円の財源不足が見込まれると財政の厳しさが強調され、県民の理解と協力を求めています。地方分権のための三位一体の改革によって県財政が破綻するのでは、これはもう本末転倒と言わなければなりません。県が目指そうとしている分権型社会というのはどういうものなのか、そこでの県民の暮らしはどうなるのか、県民向けにだれでもがわかるような広報がされていないようにも見受けられます。
 この質問に合わせたかのように、一昨日、県から私の家に資料が──皆さんの家にも送られたと思うんですが──今月七日に地方分権に関するホームページを開設したというペーパーが入っておりました。県民向けの地方分権パンフレットなどを作成して──財政の厳しさが「県民の友」で強調されているわけですが、一体県がどのような方向でこの地方分権を進めようとしているのか、こういった丁寧な説明、パンフレットなど作成して県民へのきちんとした説明をすべきだと思いますが、この点についても知事の見解をお尋ねいたします。
 三点目に、今回の三位一体の改革が新年度予算にどう影響してくるのかという問題です。今回の改革の詳細までが完全に明らかにはなっていない段階で断定できないこともありますが、少なくとも地方六団体が改革の前提として求めていた国庫補助負担金の廃止・縮小に見合う財源は確保されることになるのか、地方交付税の和歌山県にとっての必要額が確保されることになるのか。地方交付税については、国、地方で双方が理解を得られる、そういう表現がされておりますが、国の思いと地方の思い、これは全く逆のようにも思うわけです。
 そういうふうに地方交付税が確保されないとしたら、財政改革プログラムよりさらなる歳出削減が必要になってくるのか。問題は、そのしわ寄せが住民サービスの引き下げや受益者負担など住民負担の増大に振り向けられるとしたら、これは困った話になります。新年度予算編成を前にして大いに危惧をされるところですが、この際、財政当局の見解をお尋ねしておきたいと思います。総務部長の答弁を求めます。
 次に、複合自然災害への備えと安心の町づくりについてお尋ねをいたします。
 来年は阪神・淡路大震災の十周年の年でもあります。各方面からの研究も進み膨大な教訓情報資料集というものが作成されているなど、災害に強い町づくりを目指す数多くの研究成果、教訓が示されてきています。県としても精力的に研究を進められ、積極的に対策を進めていただきたいと思います。
 十周年を前にして、ことしは全国的に台風上陸が相次いだことや新潟、福井、兵庫などでの集中豪雨、紀伊半島沖や新潟中部、北海道東部地震など、日本列島を覆う災害が多発し、多くの人命や財産が奪われ、市民生活や地域経済が破壊をされました。災害救助法の適用は延べ二十一件、百四十九市町村にも及ぶということです。今、被災地の皆さんは、多くの悲しみを胸に秘めながらも、お互いに助け合い、暮らしの再建、地域の復興に全力を挙げておられます。その奮闘を後押しする国、自治体の支援が本当に急がれているところでもあります。
 阪神・淡路大震災の経験も踏まえ、ことし多発した風水害や震災からも多くの教訓が導き出せます。十一月の台風二十三号では、本県も農林水産業や港湾施設などに多大の被害がありました。今議会で災害復旧の予算が計上されているところでありますが、被災者支援と速やかな復旧を要望するものであります。
 兵庫県豊岡市では、円山川左岸堤防が延長約五十メートルにわたって決壊、右岸堤防も破堤、周辺地域に甚大な被害をもたらしました。計画高水位を越す集中的な豪雨に耐えられなかった、こういうことですが、計画高水位プラス五十センチの暫定堤防が以前から危険性が指摘されていたわけですが、軟弱地盤であることや予算面などの理由で整備がされてこなかった、こういうことも伝えられております。この災害以降、県は国の指導に基づき県内河川を目視による危険箇所の調査を行い対策を進めていると聞き及んでいますが、万全の対策を強く求めておきたいと思います。
 自然災害が多発する中で気になった問題の一つに、集中豪雨や地震などといった複合的な要因で二次災害を増幅させるのではないかという問題です。阪神・淡路の震災では、花崗岩に覆われたあのかたい六甲山系で七百五十カ所の土砂崩れが発生、その後の集中豪雨で新たに八百七十カ所の土砂崩れがあったということです。地震で地盤が揺すられ崩れやすくなったところが集中豪雨により崩れたと言われています。地盤の性質によって二次災害の起こり方も変わってくるということで、神戸では震災以降、詳細な地盤のデータベースを作成し、地盤の特徴を明らかにした情報提供を行っているということです。新潟中越地震でも、地すべりの原因として地盤の性質と豪雨の後の地震動の関係に着目がされています。
 本県では、ことしの三月、東南海・南海地震を想定して短期、中期、長期に実施すべき対策をまとめた地震防災対策アクションプログラムが策定をされております。プログラムの確実な実施と全国の被災状況からの教訓を学び、事業の優先順位や新たな事業を加えるなど見直しを進めていくことも求められていると思います。被災者支援のあり方も、被害想定とあわせて事前に準備をしておくことが二次、三次の被害を防ぎ、市民生活の早期安定と産業の早期復旧につながることも重要な教訓となっています。また、介護を要する高齢者、重度の障害者、障害児、乳児など、援護を必要とする被災者への対応マニュアルも長期の課題にせず早急に策定することも今回の災害での重要な教訓であります。
 そこで、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 一つは、アクションプログラム二年目になるわけですが、二年目に向けての基本的な考え方、位置づけをどうしていくのか、新年度予算に向けての基本的な考え方や全国的な被災の教訓を踏まえての見直しなどについて、知事にお尋ねをしたいと思います。
 二つ目に、地震対策だけでなく、集中豪雨などとの複合的な自然災害を予期しての被害想定づくりが必要ではないでしょうか。特に和歌山は平野部が河川の河口に広がり、軟弱地盤の地域が多く、河川の勾配も急峻となっています。断層の存在も数多く知られています。和歌山の地質、地形、地盤の調査、過去に池や川があったところ、盛り土地域など詳細な地盤の特徴を明らかにしておくことによって将来起こり得る災害を予測することができます。地盤調査の取り組みはどのようになっているのか、またどのように活用されていこうとするのか、危機管理監にお尋ねをいたします。
 三つ目に、県の被災者支援制度の内容はどうなっているのか、お尋ねいたします。
 ことし四月に被災者生活再建支援法が改正をされ、生活再建支援金として百万円限度であったものが三百万円に引き上げられました。住宅の解体撤去や整地費、生活必需品の購入費に充てられるということですが、住宅本体に対する支援がなく不十分さが指摘をされています。アクションプログラムには迅速確実な県民生活の再建復興の推進がうたわれていますが、自治体独自の生活再建施策についても検討が必要ではないでしょうか。
 また、被災した中小企業に対して、融資だけではなく直接補助を含めた総合的な支援対策も必要ではないでしょうか。既に兵庫、福井などでは災害後、施策化が進められているところです。被災者支援制度の確立が県民生活や産業の再建復旧にとっても早道になると思われますが、いかがでしょうか。福祉保健部長と商工労働部長にそれぞれお尋ねをいたします。
 この問題の最後に、高齢者、重度障害者など要援護者の救助、避難施設での生活支援、生活再建などで対応できる準備は考えられているのでしょうか。新潟中越地震の場合でも、視覚障害のある人が家の中から一歩も動けずにただひたすら救援が来るのを待っていたということや、聴覚障害の人が避難所で声が聞こえずに十分な生活──苦労をしたというようなことも聞いております。
 アクションプログラムでは一般的な避難所のあり方は短期に策定となっていますが、要援護者の保護体制は長期の課題ともなっています。災害時要援護者の把握と避難誘導も長期の課題となっています。避難施設でのサポート体制などの問題もあります。介護を要する高齢者、重度障害を持った皆さんとその家族の皆さんの不安にこたえられるのでしょうか、福祉保健部長よりお答えを願います。
 また、この問題で地域の実情や援護を必要とする世帯を一番よく把握しているのは民生委員さんを初め地域の皆さんです。今、私の住む地域でも自主防災のための組織づくりに向けて自治会役員の皆さんとも相談を重ねているところですが、これがなかなか苦労をいたしております。目の届く範囲での組織づくりや日常的な取り組みについてどうすればいいのか、地域任せにせずリーダーづくりを含めて行政からの働きかけも強めていただきたいと思います。この点は要望にとどめておきたいと思います。
 次に、雇用問題についてお尋ねをいたします。
 総務省が発表した労働力調査によりますと、十月の完全失業者数は三百十一万人で、一年前に比べ三十二万人の減少となっています。完全失業者の減少は十七カ月連続となっていますが、三百万人台という失業者は十年前の約二倍で、依然として高水準にあることは変わりがありません。また、雇用者に占める非正規社員の割合は対前年比で増加傾向にあり、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員など非正規社員の雇用者全体に占める割合は三一・五%にも及び、実に雇用者の三割が不安定雇用となっています。全国平均の有効求人倍率は〇・八八倍、和歌山は〇・七二倍、前月よりも改善したものの、近畿では奈良より少し上回っているという状況で、雇用の確保に向けた取り組みが重要な課題であります。
 和歌山市内の大手の染色会社の倒産で五十歳代前半の男性が職を失い、失業保険が切れても就職口が見つからないという相談や、また、派遣労働者としてIT関連の職場に勤める二十八歳の独身男性から、同じ職場で同じ仕事をしている常勤の社員から比べると収入が半分しかなく、将来のことを考えると転職すべきかどうか、正規社員の就職口があるのならという悩みも聞かされました。若年労働者が安定した雇用につけるかどうかは本人の生活設計のみではなく、少子化が進む社会の中では社会問題でもあります。
 雇用問題の根本的な解決は、政府による長時間労働やサービス残業の規制、正規雇用を奨励する労働政策に求められているわけですが、また同時に自治体の直接雇用、企業誘致や産業振興、教育・福祉、建設事業を初め官公需など、自治体の政策によって新たな雇用を生み出し、県民所得の向上と安定に資することも重要なことであります。今般、期間と目標を定めた雇用創出計画が策定されたことは、雇用創出に向けた自治体の姿勢のあらわれとして評価できます。
 そこで、知事並びに商工労働部長にお尋ねをいたします。
 今年度当初予算で雇用を生み出す産業対策、雇用のセーフティーネット、就職への環境づくりの三つの柱として九十九億円の雇用景気対策が求められていました。この予算をベースにして今後四年間の新規の雇用創出を推計してこのプログラムが策定されているようでありますが、今年度は前年度比で十一億三千万円ほど上回る予算を組んだということですが、新年度の雇用景気対策の取り組み、その方向に向けて知事の考え方についてお尋ねをしておきたいと思います。
 二つ目に、雇用創出プログラム「わかやまジョブ・クリエイション」についてお尋ねをします。
 これを見たところ、県の今年度予算と事業により新たな企業の立ち上げ、企業誘致、介護保険施設などの福祉事業の広がりなど新規の事業所の開設を中心に推計されているようですが、机上のプランに終わらせないためにどうするのか、進行管理とそのための組織、とりわけ産業界との連携のあり方など具体的にどのように進めていくのか、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 三つ目に、雇用のセーフティーネット対策と位置づけて十三年度から国の緊急地域雇用創出特別交付金事業に取り組んでまいりました。新年度でもこの事業の継続を求めてきましたが、今年度末をもって廃止されるということです。雇用のつなぎ効果を期待しても短期雇用だということですが、緑の雇用事業を初めとする各種の担い手育成事業、不法投棄対策や学校での非常勤講師の配置や就職アドバイザーなど、適時必要な人的配置を要するタイムリーな事業を担ってきたと思います。どのように評価をされているのか、継続が必要な事業も当然あると思われますが、今後の方針をどのようにお持ちなのか、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 若年雇用者の現状と今後の方針についてであります。
 若年者雇用の問題は、若年者自身の問題のみにするのではなく、重大な社会問題との認識が必要だと思いますが、その点をどのように考えているのか。これまでの若年者雇用の問題についての取り組みはどうであったのか。どのような成果があったと考えているのか。ジョブカフェを初め各取り組みの利用者へのアンケート調査など、フォロー追跡もしていくと議会で答弁をされていましたが、どのようになっているのか。雇用創出のプログラムにおいては、計画期間の十六年度から十九年度までの四年間で若年者の失業率一二・三%を九・五%以下にすると目標が設定をされておりますが、今後の取り組みの方針をどのように持っているのか、商工労働部長からあわせて答弁を願います。
 最後に、貴志川線の存続についてお尋ねをいたします。
 先月の二十九日、国土交通省近畿運輸局が鉄道事業法に基づく南海電鉄の貴志川線廃止届に関する公衆の利便の確保についての意見聴取を行いました。県、和歌山市、貴志川町と沿線住民団体二団体が利便の確保についての意見を述べましたが、いずれも鉄道存続を望み、鉄道の繰り上げ廃止を求める意見はありませんでした。あとは鉄道存続に向けての決断を下すこと、関係者がどういう役割分担を果たしていくのか、鉄道として存続させ得る需要をどう掘り起こしていくのかという問題の解決と見通しを持つことであろうかと思われます。しかも、期限が切られている問題でもあります。
 ところで、全国自治体善政競争──善悪の「善」と政治の「政」と書いてあるので、いい政治を評価する競争だろうというふうに思うわけですが、一回目は本県も緑の雇用事業が表彰を受けました。今回は、高野・熊野の世界遺産の価値を伝え保全に取り組む高校生の取り組みが表彰をされております。
 実は、この表彰の中に福井県の京福電鉄廃止後に第三セクターとして県と沿線自治体でえちぜん鉄道を立ち上げ運行を再開した事業が、地域共生型サービス企業として、鉄道の利便性や安全性を高め鉄道に対する地域住民の支持を得ているとして表彰されています。国土交通省運輸局のベストプラクティス集、鉄道を元気にする三十四の取り組み集の中でも紹介されていますが、えちぜん鉄道は一時廃線になっていた鉄道を第三セクター方式で再出発するに当たり、県が運行再開に必要な工事費及び今後十年間の設備投資費について負担をする、大規模改良についても県が助成をしたということです。再開にこぎつけた理由として、県が第三セクター化による鉄道線の存続に向けて主体的に働きかけ、それを受けた沿線市町村が財政面も含め積極的に関与を行ったことなど、関係自治体の支援の歩調が合わせられたことだと、このように紹介をされておりました。貴志川線も県の主体的な働きかけと沿線市町村の協調で地域住民の信頼と支持を得て存続されることを願って、質問をしたいと思います。
 一つは、国、県、和歌山市、貴志川町、南海電鉄との間で五者協議が行われてきている、このように聞きますが、その協議の状況、今後のスケジュールをどう考えているのか。鉄道存続の意思表明、経営主体の決定、予算化などのプロセスが今後求められてくるわけですが、来年九月末までに間に合うのでしょうか。来年十月以降、交通手段の空白期間をつくることは許されない問題であります。
 二点目に、新年度予算に向けてどういう考えを持っているのか。この際、鉄道インフラ部分を県で引き受ける考えはないのか。十四年四月、国土交通省鉄道局長の行政運営上の検討会として地方鉄道問題に関する検討会が発足をし、翌十五年三月に報告書が取りまとめられています。その中で、今後の地方鉄道のあり方として、地方鉄道は地域の基礎的な社会的インフラであり地域が一丸となって支えるという視点が極めて重要という考え方が打ち出され、鉄道事業者自身が自立的な経営を目指すという観点と地方鉄道を維持していくためには公的負担が不可欠とする観点を両立していくことが必要である、このようにしています。地方自治体が鉄道を維持・整備することにかかわっては、保有と運行の分離、基金の積み増し、増資、固定資産税の減免、設備投資の事業者負担分の負担、鉄道維持費補助、欠損補助などさまざまな形態が考えられるとしています。鉄道資産を長期に安定的に保有し運行の安全性を確保するという点からも、道路と同じように社会的インフラという観点から見ても鉄道資産を自治体が保有する意味はあると思われます。
 実際に青森県は、東北新幹線が並行することによってJRが在来線を手放しました。その路線、延長約二十六キロ、駅数が七、輸送人員年間約八十四万人という中小の鉄道の部類に入ると思うんですが、ここは青森県が鉄道資産を保有し、青い森鉄道として沿線自治体と第三セクターを設立して現在鉄道事業を行っております。青森県は、鉄道事業者が赤字にならぬよう線路使用料を減免して収支の均衡を保っているということです。
 三つ目に、鉄道存続と同時に鉄道を生かした町づくり計画の策定や駅周辺の整備など、貴志川線の利便性を高める計画づくりも必要ではないかということです。貴志川線問題を鉄道の維持・整備という観点だけではなく、町づくりや地域づくりの観点から地方鉄道の輸送需要に結びつく施策を講じることが必要でもあります。これは市町村が主体になる問題だと思うわけですが、和歌山市内を走る貴志川線やJR和歌山線、駐輪場が整備をされておらない、周辺の住宅地と駅とが有機的に結びついていないという問題も市民の方からも多く指摘をされているところです。鉄道を生かした町づくりの課題について県としての見解をお尋ねいたしまして、以上、三つの点をまとめて、恐縮でありますが企画部長から御答弁をひとつよろしくお願いを申し上げます。
 以上で、第一問を終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革についての御質問ですが、三位一体の改革について私の評価というふうなのが新聞に載ってたんですけども、基本的には、分権推進法という法律ができて、国の事務で地方が行っていた事務が地方の事務ということになって、かなり自主性が高まったわけです。だけど、お金については相変わらず自分のところのお金じゃなくて国からの補助金に頼ってやっているということで、これを自分のお金でやるようにすればもっともっと自主性が高まって、それからむだもなくなり、いろいろないい行政が出てくるだろうと。そういう形で、その補助金になっている税源を国から地方へ移しましょうというふうなことが一つ。
 それから、財源を調整する、そしてまた保障する制度として交付税というのがあるんだけども、これも長い間ちょっと制度疲労を起こしてきている面があるからあわせて検討しましょうと。そして、それも地方分権を進める方向で検討しましょうというのが本来の三位一体の理念だったわけだけども、今回の結論というのは、一つには税源の移譲がなされることになったということではある意味では画期的なことであるんだけども、その視点が、そういうふうな地方の自主性を高めていこうとか、もっともっと地方が自主的な考え方でやっていけるようにしようとか、そういうふうな理念が考えられずに、基本的にはその補助金を振りかえて渡す部分というのが、もうほとんど地方の自主性が高まるような部分じゃないというようなことで数字合わせがなされたと。それから、その他交付金化をするとか、零細補助金について整理するとか言われているけども、それも具体的な姿が今の段階では見えてきていないというふうなことで、非常に不満の残るものであったというふうな評価をしているわけです。
 そして、このことは、こんな知事の中でもそれだけいろいろ評価が分かれるぐらい中身がややこしいというか、はっきりしない。はっきりしないところにぼんやりと処理されてしまったというところがあるので、ましてや県民の人にはなかなかわかりにくい話だし、関心のわかない話であるということもこれまた事実なんで。
 ただ、そうはいっても、そのことで手をこまねいていることは許されないということで、県としてはこの間、ホームページをつくりまして、今それでやってますし、それから先般のテレビの番組でもその三位一体の改革をやっているわけですが、そういうふうな、なかなかわかりにくいことでもやっぱりできるだけ理解を求めていくというふうな努力はしていかないといかんと思っています。
 また、その三位一体の改革が来年度の予算にどういうふうに影響するのかということについては、再三この議場でもお答えしているように、その中身が国の予算編成というふうなことの中でまだはっきりしない面が非常にあるんで、今わかっているような条件を考え合わせながら予算の編成作業を行っているというふうなことです。
 次に、アクションプログラムについてお答えをいたします。
 このプログラムは、本年の三月に作成し、各種事業に取り組んでいるところですが、今後もこれらの施策を着実に実施していきたいというふうに思っています。新年度の予算編成でもソフト・ハード両面の施策にこのプログラムを反映させて計画を推進しているところでございまして、なお、このプログラムは固定されたものではなくて、地震などによる新たな課題が生じた場合には追加や見直し等も行っていくということで適切に対処していこうというふうに考えているところです。
 それから、雇用問題についてですが、先般、平成十六年度から十九年度までの期間において一万五千人の雇用創出を掲げた雇用創出プログラム「わかやまジョブ・クリエイション」というのを策定いたしました。新年度予算においては景気・雇用情勢の一層の改善を図るため、産業の振興と雇用の確保ということを県政の柱の一つとして取り組んで、このプログラムに基づいて新産業、新事業の創出や企業誘致、観光産業の振興、さらには緑の雇用や高齢者福祉などの福祉サービスの充実などとともに産業人材の育成確保や若年者等の就業支援を進め、雇用創出効果に重点を置いた総合的な事業展開を推進していきたいというふうに思っています。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 三位一体改革の影響についてお答えを申し上げます。
 現在の国での検討状況を踏まえますと、来年度には十一月二十六日に政府・与党が合意しました三位一体改革の全体像に盛り込まれました国庫補助負担金の廃止・縮減等の一部が実施されまして、税源移譲の対象となる国庫補助負担金につきましては、来年度は所得譲与税や税源移譲予定特例交付金による措置がなされる見込みでございますが、その詳細はまだ明らかになっておりません。
 また、これらとあわせて来年度の地方交付税を含めた地方財政対策についても国の方で検討が行われているところでありますが、地方交付税のさらなる削減を求める動きもありまして、見通しは予断を許さない状況であると考えております。
 これらの内容が詳細に固まっていない現段階では来年度の本県予算への影響についてお示しすることは困難な状況でありますが、いずれにいたしましても、国での検討状況を注意深く見守りながら、今年度のように一方的で大幅な地方交付税の削減がなされることのないよう、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保するという方針が確実に実行されて行政サービスに影響を与えることのないように、引き続き地方側から訴えていくことが重要であると考えております。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 地震と集中豪雨などとの複合的な災害への対応と地震調査への取り組みについてお答えいたします。
 災害については常に最悪のケースを想定し対応を考えることも必要でございますが、技術的な面など課題も多くあります。しかしながら、地震による揺れの被害、土砂災害については地質条件が大きく影響すると言われているため、現在、県内の地盤データ等について収集を行っているところであります。こうした検討結果をもとに今後の防災対策に活用してまいりたいと考えます。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず被災者支援制度についてでございますが、災害救助法や被災者生活再建支援法などによる支援制度がございまして、被災者生活再建支援法につきましては、本年四月の改正によりまして、家財道具等の生活必需品だけの給付制度であったものが家屋の解体・撤去及び整地に係る給付などを含む居住安定支援制度が付加され、給付の上限が三百万円に引き上げられたところでございます。しかしながら、議員御指摘のように、住宅本体の建築・改修等が支給対象となっておらず不十分なことから、制度の充実について全国知事会を通じ国に対し強く要望を行っているところでございます。
 県といたしましては、今回の台風や地震で被害を受けた兵庫県や新潟県などが独自の支援策等を設けたところであり、これらを視野に入れながら本県での支援施策について整理・検討に努め、大規模災害への備えとしてまいりたいと考えております。
 次に、要援護者の救助、生活支援についてでございますが、平成十二年三月に和歌山県障害者・高齢者・難病患者防災マニュアルを策定いたしまして、要援護者のおられる施設に対しては安全確保を最優先に、避難場所の確保や避難方法等について施設の実情に応じた具体的なマニュアルづくりを機会あるごとに指導しているところでございます。また、市町村に対しては、要援護者対策として必要な情報や適切な防災行動を迅速にとることができるような体制整備を図るよう働きかけているところでございます。
 支援のあり方につきましては、要援護者それぞれに個別の対応が必要となることから、今回の台風や地震に際し明らかになった課題を十分踏まえながら、さらにさまざまな観点から総合的に検討するため、現在、障害者・高齢者等への防災情報伝達と避難のあり方や避難所のあり方について、庁内ワーキングを通じて検討を行っておりまして、議員御提言の地域リーダーの育成なども含めまして十七年度末をめどに対策をまとめてまいりたいと考えております。これらの取り組みを通じまして要援護者のセーフティーネットの実現を図り、県民の皆様の安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) まず、被災者支援制度についてお答え申し上げます。
 甚大な被害が発生した場合には、県制度融資に常設しております災害復旧対策資金を迅速に活用することにより復旧資金の調達を支援するとともに、県制度融資借入金の返済猶予など、被災した中小企業の資金調達を適切に支援してまいりたいと考えてございます。
 また、被災した中小企業に対する総合的な支援策につきましては、他府県での取り組み状況を調査するなど、今後さらに研究してまいりたいと考えてございます。
 次に、雇用問題の三点についてお答え申し上げます。
 まず雇用創出プログラムは、全庁的組織である景気・雇用対策本部を活用して作成したところです。今後、雇用実績と予算を毎年度明らかにしていくとともに、産業界の連携等を含め、県民の方々の意見を聞きながらさらに新たな事業も検討し、全庁を挙げて雇用創出目標の達成に取り組んでまいります。
 次に、平成十三年度に創設されました緊急雇用創出特別交付金事業につきましては、昨年度末までに三千五百三十四人の雇用が図られ、今年度も千三百人以上の新規雇用が見込めるなど、厳しい雇用失業情勢の中で雇用のセーフティーネットとしてさまざまな分野で大きな役割を果たしてきたものと考えております。緊急雇用基金事業につきましては今年度が最終年度とされておりますが、これまでの基金事業の中で特に継続が必要なものにつきましては、各部局において工夫を凝らした形での事業実施が現在検討されているところでございます。
 また、国においては、景気が緩やかに回復基調にあることから、これまでの全国一律の支援から雇用機会が少ない市町村等の主体的な取り組みを支援する新たな方策が計画されております。県としましても、今後こうした動向を見きわめ、和歌山労働局を初め関係機関とも十分連携を図りながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 最後に、若年者の雇用問題についてお答え申し上げます。
 フリーターやニートの増加、高い失業率や離職率など、若者を取り巻く雇用状況は非常に深刻であり、県としましては、こうした状況が続けば国際的な競争力の低下や社会不安の増大、また一層の晩婚化や少子化等も招きかねない重要な社会問題であると認識しております。このため、県ではジョブカフェ・わかやまの開設や各種就職セミナーの実施、企業合同面談会の積極的な開催などに取り組んでおります。また、こうした施策の実施に際してはアンケート調査を実施するなど、利用者のニーズの把握に努めているところです。成果としましては、昨年度の面談会での採用内定者が三百八十三名、ジョブカフェにおいては、抽出的な調査の結果、おおむね六割程度の方が就職につながってございます。
 今後は、若年層からのキャリア教育やインターンシップの充実、ジョブカフェやこれと連携した職業訓練機能の強化等により、国や教育界、経済界と連携を図りながら、雇用創出プログラムに掲げた数値の実現に向け、より一層重点的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 南海貴志川線の鉄道存続についてでございます。
 まず、協議の現状と今後のプログラムについてでございますが、南海電鉄撤退後の鉄道存続に向けた方策を具体的に検討するため、和歌山市、貴志川町、国土交通省近畿運輸局、南海電鉄と、それに県の五者により協議を重ねてまいりました。その内容は、人員の配置を含めた経営の形態、運営費用の精査、維持補修に係るコストの低減を図ることにより平成十五年度営業損益の約五億円の赤字をおおむね二億円程度に半減させることができる見通しとなっております。
 今後、これらの検討内容等を踏まえまして、まず沿線自治体であります和歌山市、貴志川町が主体的に具体的な方策を判断されるものというふうになります。県としましては、地域にとって重要な路線であると認識しておりますので、空白期間をつくらないよう、和歌山市、貴志川町の意向や取り組み状況を十分見きわめ、市町に対して協力をしてまいりたいと考えております。
 次に、新年度予算への取り組みについてでございますが、先ほど申し上げましたように、今後、沿線自治体であります和歌山市、貴志川町が主体的に具体的な方策を判断されることになりますので、県としましては、この両市町の意向や取り組み状況を十分見きわめ、市町に対し協力してまいりたいと考えております。
 議員御質問の鉄道インフラ部分の県の引き受けについてでございますが、全国的に見ますと鉄道を存続した類似路線の状況は県が鉄道資産を保有している例はなく、沿線市町村もしくは第三セクターが鉄道用地等を保有し、県が市町村や第三セクターに財政支援をしていると、そういうふうな状況でございます。
 先ほどお話がございました青森県の青い森鉄道につきましては、東北新幹線開業時に並行する在来線についてはJRから経営が分離されることを前提にしまして、当時の運輸省と青森──これ、岩手県にもまたがっておりますけれども──岩手県の両県が了解の上に青森県がその鉄道敷地を保有するというふうなもので引き受けたものと聞いております。貴志川線の場合は民営鉄道で、その民営鉄道が乗客数の減少により鉄道経営から撤退するというケースでありますので、青森県の実例とは異なるものというふうに認識をしております。
 議員お話しの国土交通省鉄道局長の地方鉄道問題に関する検討会では、地方鉄道の存続の是非については当該地域において判断すべきであり、維持する場合にはその地域の主体的なかかわりがより求められるというふうに報告をされております。県としましては、この貴志川線の問題につきましては、地元自治体であります和歌山市、貴志川町が主体的に判断されることについてできる限りの協力をしてまいりたいというふうに考えております。
 次に、鉄道を生かした町づくりについてでございますけれども、沿線市町村が地域の交通機関として鉄道を育てていくためには、主要公共施設の配置、駅前広場や駐輪場などの整備、さらには土地利用計画の再検討などを含む町づくりや地域づくりを地域住民とともに積極的に進めていく必要があるというふうに考えております。県としましては、これら沿線市町村の主体的な取り組みに対しましてできる限りの協力をしてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 再質問でありますが、知事に一点、お尋ねをしたいと思うんです。
 地方分権を進める手段として三位一体改革というものがあろうかと思うんですが、今回のその改革の中身、一体となって進められているというのが地方財政へのしわ寄せじゃないかなと、率直にそう思うわけなんですね。こういったことに対しては、地方分権が進んだという評価をされておりますが、厳しく抗議すべきものではないかと私は思うんです。抗議をするかしないかは別としまして、しかし、地方自治体としてはその上で予算を編成していかなくてはいけないわけですから、通常、十二月議会でありますと、国から地方財政方針が示されて、それに基づく具体的な編成作業はどうなるんだと、こういう質問ができるわけですが、今回は残念ながらできません。
 新年度予算──今年度についてもかなり多くの見直しが行われました。その中でも、障害者の福祉施設であるとか、さまざまな直接県民生活にかかわる市町村への補助、事業なんかが縮小され予算がカットされるという向きがありまして、新年度さらに一層厳しくなるんじゃないかということが予測をされます。
 知事の新年度予算編成に向けて、特にこういう厳しい時代の中でありますから、県民の暮らしや中小事業者の営業、こういったところにこういう三位一体改革のしわ寄せを及ぼさない、県民の暮らしを擁護する、とりわけ弱者の生活については守るという強い決意というんですか、そういう姿勢をちょっとお聞きしたいと思うんですね。その点をお尋ねしておきたいと思うんです。
 危機管理監にお尋ねをしますが、地盤調査は現在されているということであります。地盤の性質によって、現在の河川の堤防であるとかため池であるとか山林といったところが集中豪雨によって二次被害、三次被害、こういったところを事前に想定し得る、そのための地盤調査が必要であるということを申し上げたわけですが、それを活用していきたいというお話ですが、国の方からも河川の破堤、決壊、そういったことが起こった場合の洪水被害調査なんかもきちんとやりなさいという話もあろうかと思うんです。そういった具体的な被害想定づくりというものを考えられてその地盤調査というのをされているのかどうか、その辺の考え方、事業の進め方についてきちんとお答えをしていただきたいと思います。
 あと、景気・雇用対策、これは相手があることでして、県の思いだけではなかなか進まないといった面もあろうかと思いますが、行政としてぜひ粘り強いフォローをしていきながら、新たにこれは十六年度予算に基づく四年間のシミュレーションですから、十七年度予算においてもまた新たなシミュレーションができると思うんですね。そういったことも含めて対策を進めていっていただきたいと思います。これは要望しておきます。
 貴志川線の問題です。鉄道インフラの保有の問題を私質問しましたが、青い森鉄道についてはJR転換線みたいな性格だから経緯が違うよというお話でありました。しかし、県がこういう鉄道インフラを取得してその沿線の鉄道運行の維持をしていく姿勢というのは、私は立派なものだと思うんです。社会的インフラ、道路にしても高速道路にしても、それなりに県が負担をして県が保有をして進めるということもありますから。鉄道についても、公営企業というのが現にあるわけですよね。だから、県が何も資産を取得できないという問題ではない。
 しかし、そのあり方についてどうしていくのかというのは、それは第三セクターをつくって補助をしていくという方法もあるでしょう。しかし、要するに県がこの問題について主体的にどうかかわっていくのかということを私は問いたいわけです。和歌山市も貴志川町も残していきたいという意向はあって、それぞれかなり努力、工夫をしながら模索をされているわけですが、そういった結論を待って県がそれに対して協力をする、援助をするということではなくて、県としてもこういうメニューが考えられるよと、こういう用意はできるよというような切り結びをして初めて市町村とのキャッチボールができるんではないでしょうか。市や町で計画をつくって持ってきなさい、じゃ、これに対して県はここまでなら援助できますよということではなくて、県や市や町が歩調を合わせて進めていくという中には県の主体性の発揮ということも、やはり私は求められていると思うんですよね。そのことを申し上げたいわけなんです。
 この問題についてはまた委員会でも──当該の委員会ですから議論できますので、また委員会の議論に譲りたいと思うんですが、そういうことを申し上げまして、私の二問とします。知事と危機管理監に再度答弁をお願いいたしまして、私の第二問といたします。
○議長(小川 武君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 三位一体の改革が県に、そしてまた県下の市町村に及ぼす影響、非常に厳しいものがある可能性があるので、こういうことについては積極的にそういうことにならないような働きかけということを今後とも続けていかなければならないというふうに思っておりますし、そしてまた、行政の一番大事な仕事の一つは社会的に弱い立場にある人を守っていくということはもうこれは根本で、そういうふうなことを根底に置きながら、新年度予算においては厳しい財政状況の中でめり張りのついた予算編成を行っていくというふうなこと、そしてまたその三位一体の改革の影響も十分見きわめながら対応していくというふうな気持ちで予算編成をしていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 複合的な災害への対応ということでございますけれども、いろんな要因がある中で、地震動による被害想定というのがまず必要ではないかなということで、現在その調査を行っているところでございます。
 また、それが出ますと、その後、いろんな河川なり道路というような要因を勘案する中でハザードマップ等を作成する必要があるんではないかと考えております。
 また、今回台風等が非常に多かった中で水害によるハザードマップというのが非常に大きな課題になっておりまして、これにつきましても各市町村等に作成を働きかけてまいりたいと考えておるところでございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──この際、申し上げます。発言時間は残り三十秒であります。再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十九分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十四番角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 さきに先輩・同僚議員から、今回私が質問をさせていただきます市町村合併並びに防災対策等につきましては若干重複する箇所もあろうかと思いますが、何とぞ御了承のほどよろしくお願いを申し上げます。
 まず初めに、和歌山県下の市町村合併の現状と県の合併に対する取り組みについてお伺いをいたします。
 平成五年六月に「地方分権の推進に関する決議」に始まった「平成の大合併」と言われる今回の合併も、いよいよ実行の段階に入り、住民に身近な市町村は、住民のニーズに応じた行政サービスを提供する上で中心的役割の担い手になるよう期待されております。こうした市町村が広域化、複雑・多様化する行政ニーズ、特に市町村単独では解決のできない環境問題等に的確に対応していくためには、広域行政に向けた一層の取り組みによりその体制整備を図ることが急務になっていると思われます。
 さらに、昨年「片山プラン」と言われる、いわゆる市町村合併促進プランというのが作成され、一点目は、個別地域に対する重点的な取り組みの展開として、総務省としての積極的な取り組み、また都道府県としての積極的な取り組みへの要請、二点目は積極的な広報の展開等、そして三点目は市町村合併を推進するための法的対応、四点目は市町村合併の手続の迅速化など、推進に向けた施策が公布されました。
 こういった状況の中、去る十一月十日に先輩・同僚議員とともに第四回都道府県議会議員研究交流大会に参加をさせていただきました。第一部は慶応義塾大学の小林良彰教授の基調講演があり、引き続き分科会が開かれました。私は第三分科会の「市町村合併の進展と都道府県のあり方」に出席をさせていただきました。進行役は中央大学の佐々木信夫教授で、報告者に広島県議と北海道議が壇上で現在の進捗状況等の報告がなされました。特に、合併が進んでいる広島県では、平成十二年度、合併パターン作成時では八十六の市町村がございましたが、平成十五年四月一日現在においては七十九市町村であります。そして明年、平成十七年三月三十一日見込みで、村がなくなり、合併後の市町数は二十九にまでなるとの報告があり、一瞬会場にどよめきの声が上がったことも事実でございました。私自身、この報告をお聞きしたとき、広島県では大変進んでいるのだと感心をいたしました。
 一方、本県は、当局の御努力にもかかわらず、合併の進捗状況は依然不透明なところも多いように思います。また、人口減少に加え、高齢化率も全国平均よりも高く第十五位で、今後の諸問題も多く山積しているのが現状であります。しかしながら、現在、県下において合併に対する住民の意思もさまざまで、住民投票により是非を問うといったところもあれば、議会と首長との意見相違があり、なかなか進まない地域もあるのが現実であります。
 私自身、今回の市町村合併については推進すべきとの立場であります。意見を求められれば、その都度、合併の必要性を述べさせていただき、理解と協力を訴えております。しかし、合併特例法期限が明年、平成十七年三月三十一日に迫っております。紀北、紀中、紀南といった本県独特の県民性の違いや、また文化、産業の違いもあり、それぞれの地域に応じた施策の実行が必然的になってきます。本県のあるべき将来像をかんがみれば、市町村の合併を積極的に推し進めることにより住民にとっての広域的観点に立った個性豊かな町づくりと施策の展開が可能となります。
 以上のことから、市町村合併に対する知事の御所見をお伺いいたします。
 また、総務部長には、合併論議に際しどういったアドバイスをなされてこられたのか、また今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、防災対策についてお伺いをいたします。
 本年度の当初予算に計上されております本県の橋梁に対する耐震対策事業がございますが、県都和歌山市には一級河川の紀の川があり、橋梁の延長が長いため、地域住民の皆様より、特に北島橋や六十谷橋について、耐震については大丈夫か、また補強は大丈夫かといった心配の声が多々ございます。
 皆様も御承知のとおり、北島橋の供用は昭和十三年からでありまして、和歌山市の人口約三十八万余人のうち約十七万人が紀の川右岸で住んでおります。私もそのうちの一人でありますが、安心で安全な生活活動を提供できる環境づくりの一環として、橋梁の耐震対策及び橋梁の補強対策の観点から、今後の和歌山県下の橋梁耐震対策計画並びに和歌山市内の紀の川流域にかかる橋梁の耐震対策並びに補強について、県土整備部長にお伺いをいたします。
 また、ことしは本県にとっても日本国じゅうにおいても、台風による風水害による被害が多く発生いたしました。特に台風二十三号による田辺市の目良団地での被害は大変なものでありました。私の友人から当日の状況についてお聞きいたしましたところ、当日は高潮が防波堤を越してきて海水が一気に地域一帯に流入し、結果、目良団地内一帯が一瞬にして冠水し、自家用車が浮くような状態になった、直ちに約四百人に避難勧告が出され、近くの小学校や田辺のかんぽの宿に住民たちは一時避難をされ、一時はどうなるのかという不安感でいっぱいであったとのことでございました。
 もともと本県は、海と山とに挟まれ、海岸に沿った状態での都市形成で発展し、今日まで至っておりますが、こういった海岸沿いの住民の安全対策について、関係機関との協議も必要でありますが、今後どういった方策で安全確保をなされるのか、県土整備部長にお伺いをいたします。
 続いて、和歌山市に七瀬川という天井河川がございまして、以前、大雨の際に北野という地域付近で河川が決壊し、多くの住民が避難をいたしました。その後、県当局から改修計画を地元住民の皆様へ知らされておりますが、現在の進捗状況について県土整備部長にお伺いをいたします。
 また、引き続き、通学路に指定されております鳴滝川の下流部分にかかっている水道橋も、皆様も御存じのとおり、朝夕の通勤・通学時には車や単車の往来も多く大変危険な場所で、以前より安全対策の必要性を指摘されております。私が市会議員当時にPTAの関係者の方々から強い要望を受け、当時の建設省和歌山工事事務所へ橋のつけかえの陳情に行かしていただきました。以上のことから、学童の交通安全確保と交通緩和の観点から早期に橋のつけかえを望みます。今後の見通しを県土整備部長にお伺いをいたしたいと思います。
 次に、軽度発達障害児の支援の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 まず初めに、昨日、昼休み時間に大塔村にあります障害者施設の方と、そして三川小学校の全校生徒による演奏会を見させていただきました。先輩議員の御配慮をいただきまして、皆さんとともどもに県庁前で、しばらくの間でしたけれども、参加をさせていただきました。ソロで歌われた青年も、また演奏を必死になってされている方々や、また小学校の生徒の皆さんも一生懸命それに参加しているという姿を見て、私は大変感動いたしました。これからもこういった活動に対してできる限りの協力をやっていきたいなと、そういう所感をまず述べさせていただき、また皆さんにお礼の気持ちを表しまして質問に入りたいと思います。
 長年我が公明党が提唱し、超党派の議員連盟で推し進めてまいりました自閉症や学習障害(いわゆるLD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)などへの支援を定めた発達障害者支援法がさきの臨時国会において成立し、二〇〇五年四月一日施行されます。発達障害者は人口の約五%以上とされる頻度の高い障害とされておりますが、発見がおくれ、不登校や引きこもりなどの二次障害を引き起こすケースも多いとされております。現在、知的障害を伴わない場合は障害と認定されないため、現在までは必要な支援がおくれてきたのが事実であります。
 今回の法案は、発達障害の定義を自閉症や学習障害などの脳機能障害であり症状が低年齢で発現するものと初めて明記され、国及び地方自治体に早期発見と早期支援が行われるよう必要な施策の実施を定めています。具体的な支援策としては、専門的な相談や助言、また発達障害者支援センターを都道府県に置くことができると規定されております。これにより、現在全国に十九カ所しかない自閉症・発達障害支援センターの設置促進が大きく進むことに大いに期待をしている一人であります。そして、発達障害への支援策として重要な早期発見に関しては、一歳六カ月児健診と三歳児健診、また就学時の各健診で発達障害の早期発見に十分留意しなければならないとした上で、保護者に対し相談、助言などを行うよう市町村にも求められております。また、保育、教育、就労、地域生活など、成長段階に応じてきめ細かな対策が行われるよう適切な配慮や支援体制の整備を定めたほか、障害による権利侵害が起きないよう支援も明記されております。さらに、周囲の理解が二次障害を防ぐための第一歩になることから、国民に対して発達障害者の社会参加に協力するよう努力義務も設けられております。
 私は、以前からこの症状でお困りの御家族に接するにつけ、何とか支援の方策がないかと思案をしているときに、今夏、さきの九月議会にて皆様方の御協力を得まして意見書を採択していただきました脳脊髄液減少症、いわゆるブラッドパッチ療法について皆さん方に大変お世話になりまして採択をしていただきました。このブラッドパッチ療法の意見交換会が大阪で行われました。そこに私も参加をさせていただき、各地よりドクターや、また他府県の議員も参加しての意見交換が濶達に行われました。
 席上、兵庫のドクターより、来る十二月十二日にこのブラッドパッチ療法について、新潟においては医療関係者による講演会が予定されておりますと。日曜日でありますけれども、また和歌山県におかれましても医療関係者の方にぜひとも御参加をしていただければ幸いか、こういうことのお話もございましたので、添えてお話をさせていただきます。
 その意見交換会の中でLD、ADHDの話題になり、十一月六日に千葉県は市川市にてNPO法人・空の色はそらいろの主催する講演会への参加要請があり、先日、出席をさせていただきました。初めに堂本県知事及び清水教育長のメッセージが紹介され、本年四月に特別支援教育課を設置し、現在積極的に取り組みをされ、特別支援教育の整備体制に全力で現在取り組んでいる旨の報告もございました。また、あいさつに立った国会議員の話の中で平成十七年度の予算に八億四千万円の見通しがついたとの話もあり、全国的な広がりに期待したところであります。講演会の内容は、発達障害者を抱える家族に対する理解と支援について、そして個人差のあること、さらに周囲の無理解による他者からのいじめや虐待など二次障害について、正しくこの病気を理解することの重要性が述べられていました。
 私は、この二次障害については本当に防いでいかなければならない、またそうでなければ余りにも不幸であるとも思いました。ADHDが適切にケアされないと、子供たちが自信や自尊心をなくし、その結果、うつ状態、不登校、引きこもり、家庭内暴力などを引き起こす場合があり、これらが二次障害と言われます。
 講演に立たれた久子・カニングハムさんは、三十八年間、アメリカはニューヨークで在住され、コミュニケーションセラピストとして子供たちの発達相談の活動をされ、現在、九州は太宰府市の第一福祉大学教授と長崎純心大学客員教授として活躍をされておられます。今回の講演での内容は、こういった症状に対する社会的認知と行政の対応の立ちおくれを指摘され、啓発活動の重要性を訴えられておりました。
 したがいまして、今臨時国会において法律が成立し、いよいよ全国各地で本格的な発達障害者を社会で応援をしていく体制づくりと、また発達障害の無理解をなくす第一歩がスタートできると期待を寄せるものであります。
 以上のことから、自閉症・発達障害支援センターの進捗状況及び乳幼児における定期健診時での対応、並びに保護者へのペアレントトレーニング等の体制づくりや医療機関における精神科、小児科等、保健所といった関係機関との現状と今後の方策について福祉保健部長にお伺いいたします。
 また、学校現場での現状と今後の対応についても教育長にお伺いをいたします。
 最後に、学校教育における総合的な学習についてお伺いをいたします。
 平成十年に、児童生徒がみずから学び、みずから考える力などの生きる力の育成を掲げた新学習指導要領が告示され、教育内容の厳選や総合的学習の時間の新設がされました。その後、平成十四年度より完全週五日制が導入され、大幅なカリキュラムの削減を骨子とする新学習指導要領が完全実施され、今日に至っています。
 昨年、文科省において学習指導要領の一部改正等が行われ、「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」を踏まえ、確かな学力を育成し生きる力をはぐくむという新学習指導要領のさらなる定着を進め、そのねらいの一層の実現を図るために平成十五年十二月二十六日付で小学校、中学校、高等学校並びに盲学校、聾学校及び養護学校の学習指導要領等の一部が改正され、現在に至っております。
 改正された中でも、総合的な学習の時間については、特に生きる力の育成を目指し、これまでの教科を超えた学習などができることであります。また、総合的な学習時間の一層の充実については、各教科、道徳及び特別活動で身につけた知識や技能等を相互に関連づけ、学習や生活において生かし、それらが総合的に働くようにすることを加えることを規定されております。
 この総合的な学習時間のねらいは、知恵を教え込むのではなく、みずから学び、みずから考える力の育成、また、学び方や調べ方を身につけるといった、みずから課題を設けて行う学習や将来の生き方を考える学習であります。また、特色が国が一律に内容を示さないで学校そのものが創意工夫して行えるという点であります。本県においてもいろいろな総合的な学習が実施されておりますが、特に私自身が注目した事例を御紹介させていただきたいと思います。
 平成十二年に開館した和歌山県動物愛護センターでは、動物と人とのかかわりを通じ命の大切さを学習する目的で、実際に動物に触れさせ、心音を聞いたり、動物の習性や能力、動物由来の感染症、また働く動物に関することなど、多岐にわたり学習することができます。これらの事業を通じて動物について正しい知識を深め、適正飼養や動物愛護精神を普及していくことにより、人と動物が共生する潤いのある社会創出に取り組んでおります。
 この施設では、平成十四年度から「わうくらす」(Wakayama Animal Welfare CLASSの略)で総合的な学習の時間を利用し、順序立てて複数回にわたり継続的に行う動物愛護教室があります。ここに、実際に行われた学習結果のアンケート調査がございますので、一部御紹介したいと思います。
 アンケートの回収率は、児童におきましては一〇〇%で、保護者では九五%であります。児童からは、「最も印象に残っていること」の設問については、「犬との体験」、次に「盲導犬」、さらに「ズーノーシス」がありました。次に、「初めて知ったこと」の設問については、「ズーノーシス」、次に「犬との正しい接し方、扱い方」、さらには「捨て犬の現状」などがありました。「これから動物に対してどのように接していきたいか」という設問に対しては、「きちんと世話をして最後まで飼う」、次に「正しい接し方をする」、さらに「動物の気持ちを考えて接する」などがありました。次に、「わうくらす」で感じたことに対する設問には、「今までにない授業であった」、また特に「命の大切さを感じた」などが多くありました。また、保護者の感想は、「動物を飼うには根気と責任を持つことが大切だと学んだ」、また「動物に興味を持つようになった」、さらに「飼っている動物の世話を進んで行うようにもなった」などの回答がありました。
 ここで、保護者の方の感想文なんですが、ちょっと読ませていただきますので。「動物愛護センターの方と共に総合学習をしていくという事を子供の断片的な話を聞いてはいたものの、実際、参観日に授業内容を見て、自分の思っていた事とは大きく違っていたことを認識させられました。動物を通じて学ぶいろいろな事。終生飼養や繁殖制限に関しては、人間にも通ずるところもあり、親として子供を育てていく上で、考えさせられる思いがしました。命の大切さを動物を通じて学び、それは全ての命あるものに対して同じだということ、慈しむことを感じてくれているようでした。特に犬は、近寄る事も苦手だったにもかかわらず、しっかりと抱くこともでき、夏休みにも犬のお世話をするためにと、自から進んで愛護センターに出かけて行き、とても楽しんで帰って来ました。お世話は楽しいばかりではなかったであろうに……。楽しめたということで成長かなーと思っております。ありがとうございました。」という保護者の方の感想文でありまして、子供さんの文は「わうクラスについて」ということで、「私は、わうクラスの学習して、犬のいろんなことがわかりました。例えば、盲導犬を見せてもらったことです。私は、初めて盲導犬を見て、かしこい犬だなと思いました。それに、盲導犬は仕事中にさわってはいけないということを知りました。他にも、子犬の心ぞうの音を聞いて、速いなあと思いました。みんなで犬のさんぽした時には、犬のさんぽができてよかったし、たのしかったです。わうクラスで、いろんな学習をして、動物をかうに責任をもたなくてはいけない、「生命の大切さ」をしりました。これからは、動物を大切にしていきたいと思っています。動物のことがよくわかってよかったです。」というふうな、これはそのままお借りしてきた感想文でございますが。
 という、今の感想を述べさせていただきましたが、以上、総合学習の一環として動物愛護教室、現実に今現在行われております「わうくらす」で学んだ多くのことから、児童や保護者にとって動物との体験は本当に印象深いものがあったんだろうなというふうに感じられます。その体験の中で得た正しい知識により、相手の気持ちを考える、また思いやりのある心がはぐくまれ、生き物もまた自分と同じ命であること、また命の大切さを感じることができ得たとも感じました。
 しかしながら、県下の参加校は平成十四年で一校、平成十五年度で二校、そして今年度で三校といった現状であります。現在、学校や社会、とりわけ子供たちを取り巻くいろいろな悲惨な事件は後を絶えません。将来、今の子供たちが社会活動の中心者であることは言うまでもありません。したがいまして、今後、県教委として「わうくらす」の周知徹底も含めた総合的な学習について教育長にお伺いをいたします。
 また、県動物愛護センターの現状と今後の取り組みを環境生活部長にお伺いいたしまして、私の第一問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの角田秀樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 県下の市町村合併についての御質問でございます。
 ただいま御質問にありましたように、広島県は非常に進んでいるわけでございます。ただ、和歌山県も、先ほどの答弁でも申し上げましたように、もともと五十あった市町村が二十七、八ぐらいになるということで、全国的に見れば非常に、頑張っているという言い方がいいのかどうかわかりませんけども、それぞれの関係の団体は苦労していいところまで持ってきているというふうな感じもあります。
 そしてまた、合併することによって、この厳しい財政状況の中で行財政基盤が強化されて、今までできなかったような思い切った施策も可能になるというふうなことで、非常にプラスの面も考えられますので、県としては、残された合併特例法の三カ月の間、また合併に向けて頑張っていくところについていろいろな形で支援をしていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併についてお答えを申し上げます。
 合併の推進につきましては、県といたしましても、市町村合併支援本部を中心に全庁を挙げて最大限の努力を行ってきたと考えております。具体的には、合併の必要性をさまざまな場面でPRすることによる機運の醸成から始まりまして、合併協議に対する職員の派遣や各種財政支援などを行うほか、協議が難航したような場合には各市町村間の調整もさまざまな方法で行ってまいりました。具体的な方法といたしましては、その時々の情勢に応じて、私自身も含め本庁の幹部や振興局の幹部、担当課長などが各種機会をとらえ、さまざまな方法で合併の推進の働きかけや調整を行ってまいりました。その際には、住民の福祉の維持・向上や地域全体の発展という合併の大局を見据えた議論が大変重要であるということを訴えてまいりました。
 今後とも、県といたしましては、法期限内での大きな合併効果を踏まえまして、住民の福祉維持・向上と地域全体の発展のために、期限内の合併をぎりぎりの最後まであきらめずに引き続き市町村と一緒になって合併推進に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 防災対策について四点、お答え申し上げます。
 県下の橋梁耐震対策についてでございます。
 東南海・南海地震等の巨大地震が発生した直後には、救援復旧物資などを確実に、また速やかに運搬できるよう緊急輸送道路を早急に確保する必要があり、その耐震性能の向上が重要であります。
 現在、県内には緊急輸送道路にかかる十五メートル以上の橋梁は四百二十五橋ありますが、そのうち昭和五十五年以前の古い設計基準でつくられた橋で主に県土の骨格となる第一次緊急輸送道路にかかり特に対応が必要な百十五橋について、今年度から十年間で重点的に耐震化対策を行う計画であります。
 その計画の中で、和歌山市内や紀の川にかかる橋梁は四橋含まれております。今年度は、特定重要港湾である和歌山下津港と阪和自動車道を結ぶ和歌山港線の港橋、紀の川にかかる国道四百八十号の大門口大橋、国道四百二十四号の竹房橋を初め、県下で十二橋の耐震化対策を行っております。特に昭和十三年に架設された北島橋については、長命化対策として橋脚の補修や塗装の塗りかえ、路面の補修を行うとともに、落橋防止装置の整備などを本年度から三年間で完了する予定です。
 次に、堤防や海岸沿いの安全対策についてでございます。
 まず、御指摘の田辺海岸の被災箇所につきましては、護岸の前に消波工を新設する工法により、国の災害査定を経て早期復旧に努めてまいります。また、海岸の安全対策につきましては、緊急性の高い箇所から堤防のかさ上げや離岸堤の設置など、海岸保全施設の整備を進めております。これらの事業を鋭意進めるとともに、今後とも、海岸背後の土地利用状況や過去の災害履歴等を考慮して、事業効果の高い箇所から計画的に施設整備を進め、安全性の確保を図ってまいります。
 次に、七瀬川の改修状況についてでございます。
 七瀬川につきましては、紀の川合流点から鴨居川合流点までの千六百メートルの間について、平成六年度に事業着手し、現在、用地取得の促進を図っているところでございます。この河川につきましては、浸水被害の防止軽減はもとより、県の主要プロジェクトである高速道路整備の円滑な推進を支える事業としても重要であると認識しておりまして、関係機関とも調整を図りながら今後とも早期改修に努めてまいります。また、維持管理につきましては、治水上の支障等を勘案しながら、護岸の補修、定期的な除草や堆積土砂の掘削を行っているところであり、今後とも適正な維持管理に努めてまいります。
 次に、鳴滝川下流の水道橋つけかえについてでございます。
 水道橋付近につきましては、交通量が多い上、線形が悪く歩道がない区間もあるため交通の支障となっており、改良が必要であると認識しております。現在、国、県で進めている鳴滝川の改修事業にあわせて橋梁のかけかえを含む前後道路の改良を行う予定で国と道路の改良計画について調整を進めているところであり、早期整備に向けて努めてまいります。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 軽度発達障害児支援の現状と今後の取り組みについての御質問にお答えいたします。
 まず、自閉症・発達障害支援センターについてでございますが、この支援センターは、自閉症等の特有な発達障害を有する方々に対する支援を総合的に行う拠点となるため、現在、関係団体や有識者の方々と本県における発達障害者に対する支援のあり方とセンター設置に関して種々意見交換を行っているところでございまして、できるだけ早期に設置してまいりたいと考えております。
 次に、関係機関との連携と今後の方策についてでございますが、県では、乳幼児の定期健診等の対応として親子の健康づくり支援マニュアルを策定し、乳幼児における発達障害の早期発見や早期療育等に対応できるように努めてございます。また保健所では、未熟児等への訪問指導や発達障害の疑いのある乳幼児に対する相談や診断を医師、臨床心理士などの専門職により行っております。市町村におきましても、子供の発達について保護者が理解するよう、また具体的な接し方を学べるよう、親子教室などを開催しているところでございます。
 今後もさらに医療機関、児童相談所等、関係機関と連携を密にしながら、乳幼児の発達を促進し、家族支援ができるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 総合的な学習に関連いたしまして、県動物愛護センターの現状と今後の取り組みについてでございますが、同センターは、人と動物が共生する潤いのある社会の実現を目指し、動物愛護精神の高揚と動物の適正な飼養に関する事業を展開できる拠点施設として、平成十二年四月の開館以来多くの方々に御利用いただき、年間来館者数は二十万人を超えております。
 現在、動物との触れ合い、愛護教室、犬のしつけ方教室、わうフェスタ等の動物愛護啓発事業を実施しており、その一環として、野上町及び貴志川町の小学校三校で総合的な学習の時間において、動物愛護に関する授業を通して児童が命の大切さを感じ、他人への思いやりの気持ちをはぐくみ、動物の適正飼育について理解し実践することを目的とした「わうくらす」を実施し、一定の成果を得られております。
 今後、この事業を拡大するため、引き続き講師及びボランティア育成のための講習会を開催するなど、人材の育成確保を図るとともに、県教育委員会と連携しながら「わうくらす」の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) まず、学校教育における軽度発達障害児への支援についてお答えします。
 現在、小・中学校などの通常の学級に在籍するLD、ADHD、高機能自閉症等、軽度発達障害のある児童生徒への教育的支援が喫緊の課題となっております。そのため、教育委員会では、昨年度から特別支援教育コーディネーターや巡回相談員を小・中学校に派遣するなど、具体的な支援のあり方について実践・研究を進めております。本年四月には、和歌山ビッグ愛に開設した教育相談室において、障害のある子供たちを対象とした専門的な相談活動を新たにスタートさせております。また、盲・聾・養護学校では、教材等の提供や教育相談の実施などを通して小・中学校などでの取り組みをより適切に支援できるよう努めております。
 議員御指摘の不登校につながるなどの憂慮すべき事態を招かないためにも、軽度発達障害児に対する教職員の正しい認識と適切な対応は極めて大切であります。このため、管理職を初め教職員に対する研修を幅広く実施するほか、大学教員による講演会等を開催しているところであります。
 今後もこうした取り組みを発展させ、特別支援教育の一層の充実に努めてまいる所存であります。
 次に、学校教育における総合的な学習の時間についてお答えいたします。
 現在、児童生徒を取り巻くさまざまな社会情勢の中にあって、命の大切さや人と動物との共生などについて子供たちが学ぶことは意義のあることでございます。現在、総合的な学習の時間などで県動物愛護センターの事業を活用して人と動物との共生などについて学習している学校がありますが、こうしたことがより広く取り組まれていくよう期待をしております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十四番角田秀樹君。
○角田秀樹君 知事並びに関係部長、また教育長からの御答弁をいただきました。ありがとうございます。要望と、何点か意見だけ述べさせていただきたいと思います。
 合併につきましては、県当局の御努力もありまして、進捗状況をお伺いさせていただきましたが、どうしても合併に至らないといったところも必然的に出てくると思われますけれども、最後まで残された期間、本当に──結果的にそういったところの地域については、住民のニーズに対する行政サービスの低下ということがやっぱり顕著にあらわれてくるというのが必然的と思いますので、最後まであらゆるチャンネルをもって推し進めていただきたいということを特に要望をしておきたいと思います。
 あと、防災対策におきましては、先ほど七瀬川の下流地域、現在計画に応じて用地買収云々という話がございましたが、その上流のところに居住されている、いわゆる以前決壊されたその付近の住民の方々が、降雨量が非常に多い時期、天井川でございますので、川の方が自分の家よりも高いんですから、本当に決壊ということを非常に心配をなさっておりますので、都度、修繕とかそういったものに──最終的に拡幅して矢板を打ち込んで川そのものをば強化するということではありますけれども、時間もかかりますので、その辺、十分心配りをしていただきながら今後進めていっていただきたいと思います。
 鳴滝川については、国とのいろんな、また和歌山市との関係もあろうかと思いますけれども、本当に非常に使いにくい橋でございますので、これもあわせて要望をしておきたいと思います。
 次に、自閉症、また発達障害の方々の支援というのが、今臨時国会で今回初めて法律ということできちっと裏づけをされました。これで一挙に進むという期待をするんですけれども、まず拠点づくりの支援センターというのがなければだめじゃないのかなというふうに思います。そのセンター設置に向けまして、できるものならば来年度からスタートできるような体制を組んでいただけば幸いかなと。そこを中心にしながら各関係団体との連携もとりながら、こういったLD、またADHDの方々に対して、今まで支援の手の差し伸べの、いわゆる根拠がないためになかなか手が入らないという、そういうところは今回かゆいところにも手が届くような状況になりましたので、ぜひとも早期に設置をしていただきたいことを要望しておきたいと思います。
 最後に、総合学習の運用のことなんですが、県の動物愛護センター、私も寄せていただいたんですけども、あと別の子供さんの感想文があるんですが、年間やっぱり何千頭という犬とか猫があそこで処分されてるんですね。こういったところの部分も本来ならば解決をしていく一番手っ取り早い方法は、やっぱり育てる。ただかわいいから犬を飼いたい、またかわいいから猫を飼いたい、そういうんじゃなしに、実際にその命の大切さということを学ぶ中で、また人との接し方、こういったことも学んでいけるという本当にいい機関でございます。お聞きしましたら約五十億円でこの県の動物愛護センターというのをつくっていただいたと。このつくっていただいた、いわゆる皆さんの税金での活用を多岐にわたって、総合学習という中で位置づけていただいてもっと啓発活動にも教育委員会の方でお力をいただければ、新しい人間形成ができ上がってくるんではないかなというふうに思います。
 また、動物愛護センターにおかれましては、ホースセラピーというのもございますので、かなり時間もかかろうかと思いますが、今後発展的にできればそういうものの新設も視野に入れながら御検討していただければ幸いかと思います。
 以上、もう要望とまた意見ということで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で角田秀樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 それでは、議長のお許しをいただきましたので、早速、通告に従って質問をさせていただきます。
 今議会では四つのテーマ、中国との経済交流、地域産業の再生、危機管理への取り組み、そしてスポーツの振興について議論を深める質問をさせていただきたいと思います。さきに先輩・同僚議員から質問された内容と一部重複するところもあるかと思いますが、できるだけ視点を変えて質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 さて、ことし、中国では新しい法律が公布され、そこでは特にサービス、卸、小売分野での規制が大幅に緩和されて新たなビジネスチャンスが生まれようとしています。日本人でも少ない資金で現地にお店を出し、社長にもなれる。ことしの六月に施行された外商投資商業領域管理弁法は、新法になるんですが、一〇〇%の外資の出資で外国人の直接的な経営もこの十二月十一日、あしたからですが、認められるものとなっています。また、お店を開店させるのにも、最低の資本金が日本円で、これまで──お手元の資料に少し書かせてもらっていますけれども──卸業、サービス業の分野で、卸業の場合、最低の資本金が十二億と設定されていたものが八百万に、小売業で七千五百万だったのが四百五十万と、大幅に引き下げられています。しかも、これは経済特区といったエリアを限定した法律ではなく、中国全土で適用されます。WTO加盟以降、次々に開放政策を実現させてきた中国ですが、ついにサービス分野でも大胆な市場開放に踏み切ることになりました。これで、日本の中小事業者の商売のチャンス、商機が大幅に広がるものとなります。
 先月、十一月八日から十一日の日程で、中国の北京、済南、上海へ関空プロモーションに行かせていただきました。今回は、小佐田副知事を団長として、県議会では和田先輩、森先輩が副団長となられ、先輩・同僚議員、そして関空株式会社の幹部の方と一緒に関西国際空港の売り込みに行ったのですが、そこでは多くのことを感じ、また考えさせられるものとなりました。実際に現地に立って感じた中国の熱気はマスコミなどで報道される以上のもので、日本とは一けた違う多くの人間が熱気をつくり、経済成長を加速させています。
 今後は、そう簡単にはいかない、いろいろ難しいところも多いとは思いますが、しかし、中国を含めてアジア諸国全体とどういった関係を築いていくのかといったことは私たち自身の未来にかかわる重要な問題であり、真剣な議論を積み重ねていくことが必要とされます。そこでは、あくまで国といった単位でのとらえ方、見方だけでなく、和歌山県、和歌山市、また山東省、済南、青島といった地域単位での取り組みが今後は重要になります。和歌山県として何ができるのか、できる限り努力をし、知恵を絞り、多くの県内企業の皆さんが安心して中国、アジアで仕事をしてもらえる、チャレンジできる環境を整えていくことが急がれます。これまでは単に友好親善の交流が中心でしたが、今後はそれだけでなく、経済的な交流を通じて多くの人、物、金、情報の行き来を実現する中で、友好関係から本格的な信頼関係へと発展させていかなくてはなりません。
 そこで、まず知事に中国との経済交流についての御所見を賜りたいと思います。
 また、私は、今後中国との経済分野での交流の一層の進展を期待する中で、例えば、毎年業種を超えて経済使節団を組織し、中国に派遣するといった取り組みを提案したいと思います。とにかく経営者に現地に行ってもらうことが大切で、中国の今を自分の目で見て、中国人の実際の生活を観察し、中国社会というものを肌で感じてもらう、そして仕事のチャンスをかぎ取ってもらうことが大切だと思います。
 これは、先日お話しした監査法人トーマツの経営執行社員で中国戦略の統括責任者でもある前仲さんとも大いに意見の合ったところですが、それは、何もかも行政がおぜん立てするものではなく、何を商売にできるのか、どういったサービスが受け入れられるのか、それは優秀な商売人、経営者は仕事のチャンスを自身でかぎ分ける嗅覚を持っています。しかし、それはあくまで直接現地に立たないと感じられないものです。この中国への経済使節団を和歌山でしっかりとコーディネートし、チャンネルをつくり、毎年送っていくことで県内企業、特に若い経営者の人たちに将来の大きなビジネスチャンスをつかんでもらいたいと期待しますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
 続きまして、具体的な和歌山の活性化策、起業家・中小事業者の支援と地域産業の再生に向けた取り組みについて。
 今回の質問では、企業の新陳代謝から地域経済の活性化へといったことを提案させていただきたいと思います。人間の成長でも、新しい細胞が生まれ、細胞内の老廃物を出して新たな栄養分を摂取する作用、いわゆる代謝が行われて元気な体をつくります。これがうまくいかないと病気にかかり、ほうっておくと死に至ります。これは経済活動でも同じことで、健全かつ活発な代謝が行われてこそ元気な経済環境が生まれます。そこでは、一つには意欲ある起業家の新規参入を促し、そしてもう一つは競争力のなくなった事業者の新たな業態がえ、いわば第二創業をうまく進めていかなくてはなりません。特に新規参入に関しては、国も急ピッチで環境整備を進めています。
 国の最低資本金規制特例制度、これは一円起業で有名になった制度ですが、この導入で昨年からこの十一月末までに全国で一万八千五百十四社が新たに設立されました。近畿では株式会社と有限会社を合わせて三千五十二社が設立され、和歌山県でも七十五社が生まれています。また、この中で一時期話題になったその一円起業というのも全国で八百四十九社、近畿で百五十五社、和歌山では六社となっています。しかし、全国に比べ、比率からしても和歌山の場合はまだまだ新規参入者が少ない状況です。県として、創業支援、新たに起業していこうとする者への一層の取り組みが求められます。
 また、第二創業、既存事業者についても、私自身、実際に地域を歩いてその実情を見てくる中では、事業の立て直しに大変苦労されている現実があります。そこでは、競争力が落ちている会社が手持ちの資産をすべてなくしてしまう前に新たな市場にチャレンジすることが大切で、そのための支援策、アドバイス、相談業務が非常に大切になってきます。
 そんな中、私も昨年から提案させていただいていたわかやま産業振興財団が今春、地域経済の立て直しという大きな期待を背負って設立されました。この財団では、民間から豊富な経験を持った優秀なスタッフが集められ、わかやま産業イノベーション構想など、地域経済の抜本的なてこ入れが積極的に進められようとしています。
 そこで、まず、この組織が設置され数カ月がたつわけですが、新規創業、企業再生、第二創業を支援している状況について、ここまでの取り組みの内容と、あわせて今後の見通しなどについて、知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、この財団のスタッフから直接話を伺う中では、かなりの仕事上での手ごたえをつかまれていると。しかし、今後山積みされたたくさんの課題を克服していくためには、現状の人員、お金では到底足りないといった話を耳にします。現在、わかやま産業イノベーション構想などは県の看板となる産業政策であり、先日発表されているジョブ・クリエイション構想などの雇用創出にも大きな期待のかかる産業振興財団の取り組みですから、ここは県としても重点化して人もお金も思い切ってつけていく判断が必要だと私は考えますが、これも知事の所見をお聞かせ願いたいと思います。
 さて、中小企業の再生支援については、平成十四年十月に国がデフレ総合対策を発表して以来、不良再建処理が加速されるなど企業の経営環境が一層厳しくなる中、中央ではダイエーの再建などで有名な産業再生機構による企業再生の取り組みが進められています。一方、各都道府県においては、地域性の強い中小企業の特性を踏まえてきめ細やかに中小企業の再生を支援するため、都道府県ごとに中小企業再生支援協議会が設置されています。経済産業省の発表によると、昨年二月以降この十一月までの段階で、四千七百九十三社の企業からの相談に応じ、うち二百三十四社の再生計画策定が完了し、二百九十八社は計画策定の支援中となっているということです。その結果、一万七千八百七名の雇用が確保されるなど、着実に成果は上がっているということです。
 そこでお聞きしますが、和歌山では中小企業再生支援協議会は商工会議所内に設置されています。その活動実績について県はどのように把握されていますか。また、この協議会で再生に取り組む企業について県としてどのような支援を行われているでしょうか。あわせて、その事業内容、組織目的が似通っている産業振興財団との関係について、ある面ではお互いに補い合う、補完し合う関係でもあると思いますが、その連携の実態はどのようになっているのか、担当部長から御答弁をお願いしたいと思います。
 さて、これからの時代に地域経済の将来を展望する中では、地域独自の努力が必要とされます。東京、大阪などの大企業が集積する地域とは違い、地方にある和歌山などでは、国がアナウンスする経済見通しをそのまま受けて経済のマクロ環境がよくなるのを単に待っているといった受け身の姿勢ではいけないのだと思います。護送船団では行かない現状において、地域独自でみずからの経済状況、その動向を把握し、そこにある課題を洗い出し、克服するための適時適切な政策対応が求められるものとなります。
 そんな中、今、将来の和歌山県経済を大局的な視点から見て、少し気になるところがあります。和歌山県の産業構造を見た場合、これまでは一般的には他の地方都市と同じく工業県という側面があります。県内総生産の二九%、約三割は製造業によるものとなっています。この製造業は、数字で見ても回復基調にあり、例えば設備投資の実績というものを日本政策投資銀行の調査から──お手元にお配りしている資料で御確認いただきたいんですが───二〇〇三年度の前年比の実績値が出されています。これは設備投資の状況なんですけれども、二〇〇三年度に、製造業の場合は前年比プラス七・四%、全国平均のプラス〇・六%を上回っている値が出ています。これに対して非製造業は、残念ながら前年比マイナス二五%と、全国平均のマイナス五・一%を大きく下回っています。実はこれは二〇〇三年度だけじゃなくて、二〇〇二年度の設備投資実績も二二、三%マイナスということに、和歌山の場合は非製造業がそういう状況になっています。
 近畿圏では、ほかでも数字を確認してみますと、大阪は〇%とプラス・マイナスなし、そのほかもマイナス、プラスは拮抗していて、二けたのマイナスというのは一つもないと。それが、和歌山だけがマイナス二五%と突出した状況になってしまっています。ここは非常に注意して見ておかなければいけないのだと思います。
 この非製造業が県経済に占める割合、その非製造業の中の中心、サービス、卸、小売といったもので県内総生産の約二七%、特に就業者数に至っては実に五二%を占めるものです。先ほどから、雇用の創出であったりとか、いろいろプログラムも書かれていますけれども、本当にそういうサービス、卸、小売というところが少し設備投資なんかも減速している状況というのは、やはりこれは本当に注意して見なきゃいけないんだと思います。
 このように、数字的に見てもこの非製造業分野、特にサービス、卸、小売分野が低迷する状況は雇用などの面で地域に大きな影響を与えるものであり、結局、このサービス、卸、小売の分野が持ち直せないと、雇用環境を含め、地域の経済環境、特に実感ベースでの景況感としてもどうしても厳しい状態を抜け出せません。
 日本の産業社会の大きな流れでは、過去の重厚長大産業に頼る時代から高付加価値、サービス優位の社会が訪れることは紛れもない事実であり、第三次産業とりわけサービス関連部門の占める比重が今後ますます大きくなります。そんな中、現状の和歌山県の実態を見てみると、いわゆる経済のサービス化の流れに必ずしも的確に対応し切れていないのではないかと思うのです。このようなサービス経済化への対応、需要創造型のサービス、小売業への支援という視点は、今後の県の産業政策、中小企業政策においても非常に重要なものであり、中国特需なども要因の一つとする現在の国の経済成長、経済の危機が一息ついているといった国のアナウンスに気を緩めることなく、県独自の産業基盤の整備、産業の構造転換への取り組みに今後ともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 今後は、特に雇用などでも特別に大きな意味を持つ情報、サービス、卸、小売分野への具体的かつ積極的な取り組みが必要で、それらに対応する施策の実行が急がれますが、この点について県当局の御認識と今後の取り組みの基本的な考え方などを担当部長からお聞かせ願いたいと思います。
 次に、和歌山県の課題となっている新規開業、ベンチャー企業を支援する具体的取り組みについて。
 先ごろ県から発表された雇用創出プログラム・わかやまジョブ・クリエイションでも、新規開業、新たな事業の創造については強く期待されるものとなっています。そんな中、県が進めているSOHO事業はその中核をなす施策で、私もこのSOHO事業がより充実し、成果を上げていってもらいたいと願う中で質問、提案をさせていただきます。
 まず、現状、全国のSOHO事業への国の取り組み姿勢として、先日、経済産業省で地域振興に取り組まれている、現在近畿経済産業局総務企画部の由良総務課長に話を伺ってきました。由良さんの話では、今は日本経済も落ちつきを取り戻している状況、そこでは、これまでに危機的状況下で行ってきたさまざまな緊急的施策を整理するタイミングに来ているといった見方を示されていました。国としても、既存予算の整理・重点化を図るといった観点から法制度の整理統合を進めようとしています。来年一月の次期通常国会では、これまでの中小事業者を支援する新事業創出促進法、中小創造法、経営革新法という三つの法律を新たに新法として一元化するという方針も決まっているようです。
 ここまで、国も起業家を支援して新規開業者をふやす取り組みを積極的に進めてきていて、その結果、全国で四百三十カ所以上ものSOHOオフィスができています。しかし、その中身は単なる箱物を賃貸しているだけという、本来の事業目的からは大きく外れたものとなっているものも少なくありません。そこで、今、ハード整備が一段落ついたこのタイミングで、それらの中身を充実させ支援機能を強化する取り組みが始まろうとしています。
 そんな中、和歌山県でもSOHO事業の取り組みも三年目を迎え、来年は初めて卒業者も出すことになるのですが、ここでもう一度これまでの取り組みを見直し、新たにSOHO事業を充実強化していくことが望まれると思い、質問をさせていただきます。
 そこで、まず知事に御所見を賜りたいのですが、この三年間のSOHO事業、スタートアップ・オフィスの取り組みについて、どのような評価、総括をされているでしょうか。また、今後改善しようとするところなども含め、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
 さて、今後、県のSOHO事業はどのような改善を進めるべきなのか。私なりに考えを整理するため、先日、東京港区にある日本のSOHO事業の成功モデルとして取り上げられるMINATOインキュベーションセンター(MIC)という施設に実際に足を運び、話を伺ってきました。そこでは、MICの生みの親であり、日本の新しい事業者の育成、そのインキュベーション事業の発案者の一人である芝浦工業大学教授の星野敏さんから貴重なアドバイスをいただいてきたのですが、星野先生から指摘されたポイントとしては、まず一点目に、インキュベーション事業の基本はあくまで投資事業であり、投下される税金に対して生み出される成果、富や税金をしっかりと追求しなくてはいけない、そのような事業評価を行っている施設はほとんどない。二点目として、今多くの地域でも同様の事業が進められているが、単なる箱物事業に終わっているものも少なくない。事業者を育てる具体的なプランが抜け落ちていてはインキュベーションの意味がない。新規開業をバックアップする環境、特に相談業務の充実が急がれる。三点目として、現状では施設を設置すること自体が目的化し、単に入居率を上げるのに必死になるなど、本末転倒の取り組みも目立つ。あくまで入居の条件は厳しく審査し、あわせて入居後についても、事業への取り組みが消極的な事業者については期間に関係なく退去させるべきだ。また、逆に大きな成長が見込める事業者で経営指導が引き続き必要なものについては、二年、三年で無理やり退去時期を設定せずに大きく育てることを主眼とするべきである。入居期間の設定は柔軟に対応するべきだという、三つのことを強く指摘されていました。
 そこで、この星野先生からの指摘も含め、私なりに県のSOHO事業をより充実させる具体的な提案と、あわせて幾つかの質問をさせていただきます。
 まず、現状、事業者の育成といった視点では、経営をサポートする体制が非常に弱いと感じています。現在はNPOとして青年会議所、和歌山大学などの協力を得てWBSCといったサポート組織を設置し、入居者を支援する環境をつくっているようですが、しかし、これはフルタイムのサポートではなく、実際に入居されている人から話を聞いてもほとんど機能していないのが実態のようです。そこではやはり専従の人を置くことが必要で、事業を起こす初期の段階での的確なアドバイスを行える人材が不可欠です。これは、国でインキュベーション・マネジャー(IM)制度というものをつくり、専門知識、経験、能力を有する人材を認定する取り組みを今進めています。このインキュベーション・マネジャーには経済産業省も力を入れていて、この人材を全国でネットワーク化して、それぞれの地域の成功事例をつなげてより成果を上げていこうという取り組みを始めようとしています。和歌山でもこのインキュベーション・マネジャーを専従の相談役としてSOHOに配置することを提案しますが、このことについて担当部長から御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、管理・運営面での見直しとして、まず基本として、例えば半年、極端に言えば三カ月でも、やる気のない事業者は退去させることが必要です。これまではスタートアップ・オフィスが物置がわりに使われていたといったケースもあるようですが、あくまで日常的にそれぞれの事業者の取り組み姿勢を見きわめていくことが必要です。また、逆に、現在の入居期限は基本的には三年ということですが、成果を上げさらに伸びようとしている企業については、事情を勘案して引き続いて入居延長を認めるということも検討すべきだと考えます。入居期間の柔軟な対応、入居年数の新たな設定について、これも担当部長に御見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、SOHO入居者の県発注事業への参画として。
 現在、市町村合併などから情報技術関連の仕事が県並びに各市町村で数多く発注されている状況があります。それらの受注内容を見てみると、NEC、富士通、日立など大手のメーカーが独占的に仕事をとっている状況があります。現状では県外事業者が大手元請となり事業を独占し、その下請には仙台、北海道など和歌山には関係のない地域の中小事業者に仕事が割り振られている実態があります。
 しかし、和歌山にも情報通信分野で下請のできる事業者は中小合わせてたくさんいるわけで、そういった和歌山のベンチャー企業と大手メーカーをうまく結びつけて仕事の一部でも地元に還元されるような仕組みがつくれないものかと考えます。例えば、土木建設業で使われる手法のように、地元企業を入れる条件をつけたジョイントベンチャー方式なども、簡単にはいかないかもしれませんが、検討する余地はあるのだと思います。これが実現すれば、収益面だけの問題ではなく、大手と仕事をする機会を得ることができ、新たな経験、実績がつくことになり、将来的にも大きなメリットが期待されます。
 また、あわせてジョイントベンチャーの基礎ともなることですが、大手企業との交流会の実施を数多く行ってあげてもらいたいと思います。SOHO事業者同士の交流会はこれまでも行われてきていますが、大企業との交流会はまだまだのようです。具体的な事業の相談会といったものではなく、人脈づくりのイメージでよいかと思います。そういった地道な環境づくりで大手企業とのパイプをつくることで、思わぬ仕事がSOHO事業者に与えられることもあります。自然な形でたくさんの人脈を大手企業との間でつくってもらう、このコーディネートは県であればこそできるものだと私は思います。ぜひ実現をさせてもらいたいと思いますが、これも担当部長から御答弁をお願いいたします。
 SOHO事業に関しての最後の質問として、シニア世代の参加について。
 今のSOHO事業ではあくまで創業者を比較的若い年齢でイメージしていますが、これを全く違った発想で、会社をリタイアした、事業の一線を退いたシニア世代を対象とした取り組みを提案します。現状で、三鷹市などではシニアSOHO、シニアベンチャー事業といったものが進められています。資料を取り寄せて確認してみたのですが、シニアのためのシニアによるパソコン教室からコミュニティービジネスまで、非常におもしろい取り組みがあります。シニアの知識、経験をうまく利用して新たなビジネス分野を開拓する。例えばシニアによるシニアのパソコン教室、講師の派遣などは独特のもので、教わる年配者も、若い人が先生だと気おくれする、それを同年代のシニアからゆっくり教えてもらうことにより成果が上がるといったこともあるようです。また、シニア層をSOHOに取り込むことで、その方たちが持っている人脈、知恵、経験といったものも有効に活用できると期待します。単に経験のない若い人間だけのSOHOではなく、知恵、経験のあるシニアSOHO事業といったものをあわせて併設していくと思わぬ成果も上がる可能性があると思います。SOHO事業へのシニア層の取り組みの提案について、担当部長から御答弁をお願いします。
 続きまして、危機管理の取り組みについて。
 ことしは台風、地震で大きな不安に襲われた一年でした。まず、一連の自然災害で被害を受けられた皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに、またお亡くなりになられた方々には衷心より哀悼の意を表します。
 今、地域住民の皆さんも生活の安心・安全が脅かされる状況に数多く直面する中で、防災対策への期待が大きくなっています。もうすぐ阪神・淡路大震災の節目となる十年を迎えようとするこの時期、改めてもう一度これまでの防災対策について点検し直すことが必要だと強く感じます。
 ことしは、気象庁のアメダスの記録更新が相次ぐものとなりました。また、地震についても、十月二十三日の新潟県中越地震の震度七の恐怖、それがいえる間もなく、つい先日も北海道釧路沖で震度五強の地震が発生しました。また、和歌山でもことし九月五日夜、大きな地震を二度も経験するものとなり、それぞれ地震の規模は、初回がマグニチュード六・九、二回目が七・四で、和歌山を初め三重や奈良県内では震度五弱の揺れを観測しています。この地震では、串本で八十六センチの津波も観測されました。十府県で四十人以上の重軽傷者が出て、和歌山と三重、愛知の沿岸部では津波に対する避難勧告が出され、夜中に五千人以上が避難する騒ぎとなりました。
 今回の地震で、その対応には反省すべき点が多かったと指摘されています。一つは、地震の規模や津波の有無に関する発表がおくれたことです。津波注意報が出される前に第一波が押し寄せた地域もありました。生死を左右する情報だけに、一刻を争います。また、気象庁の津波情報配信システムや各地域の震度伝達システムがうまく機能しなかったという情報伝達の問題も指摘されていました。また、自治体の対応にも問題があったと言われています。津波警報が出れば直ちに避難勧告を出さなければいけないところを、実行できた自治体は対象地域で三割以下だったということです。また、職員の集まりが悪かったところもあると指摘されています。
 ただ、これは行政だけの努力に期待をするものではなく、地域の住民にも、いざ有事となるとどういった対応をとるべきか、ふだんからのルールづくりを徹底させなくてはいけないんだと思います。今の日本の状況について、日本列島は地震の活動期に入っていると言う専門家がいます。現在の地震予知の能力では地震がいつどこで起こるかはわからないというのが実際であり、巨大地震の同時発生という事態も見据え、あくまでも日ごろからの防災の意識を高めることが大切です。
 こういった状況を踏まえて、今私たちに何ができるのかといったことで幾つかの提案並びに質問をさせていただきたいと思います。
 まず、ことし私たちも経験した九月五日の地震について、今回の対応の問題点を和歌山県としてどのように認識されていますか。改善すべき点を含め、どういった問題意識を持たれているのか、御答弁をいただきたいと思います。
 また、今回の地震だけに限らず、自然災害への対応として、情報の伝達、地域住民にどのようにして正確な情報を伝えるかといったことが非常に重要だと思います。先日、新島委員長のもと、防災等対策特別委員会で神戸の震災を契機に建てられた防災未来館へ調査に行かせていただきました。この館では、その運営、館内の案内などを震災に遭った人みずからがボランティアで引き受けられていて、実際に被災した人から貴重なお話を聞くことができました。そこでは、住民の方自身が、行政に頼るのではなく、自分たちの身は自分たちで守る、その心構えが重要だといったことを話されていて、みずからが被災されていた人たちの話だけに非常に説得力がありました。
 これは、よく言われるように、一対二対七の原則、いわゆる行政が手助けできる公助の割合は一だ、近所で助け合える部分の割合というのは二割やと。結局、自分自身で自分の身、家族の身を守るのが七割やというようなことが言われていました。あくまで自分たちで自分たち自身の身を守っていくのが基本となります。
 しかし、そのためにも正確な情報の確保が不可欠なものとなります。被災された神戸の皆さんも話されていましたが、正確な情報がない中で自己責任を住民に問うのは難しいのです。どのようにしてそれぞれの住民の皆さんに正確な情報を迅速かつ的確に伝えていくことができるのか、これは行政が事前の取り組みとして努力しなければいけないものだと思います。現状では防災無線などが有効な手段として期待されていますが、既に県内で全戸整備の完了している自治体もあり、那賀町、貴志川町、清水町、中津村、龍神村、みなべ町、中辺路町、大塔村、日置川町、古座町、古座川町、熊野川町、北山村などは一〇〇%の整備率、各戸に対して防災無線が入るような状況になっています。ただし、和歌山市などは二百三十一世帯、約〇・一三%にしか整備されておらず、県内トータルの整備率も八・九%の整備率にとどまっています。
 この状況を、すぐには無理としても、何年かの計画で努力目標値なども掲げ、整備率を上げていってもらいたいと思います。これは当然、地震災害に限ったものではなく、水害、土砂崩れなど心配のある場合、特に御高齢の方が独居老人でたくさんいらっしゃる、和歌山でもそういう地域があります。そういうところには、各家庭に正確な情報をしっかりと届けていくことを行政として考えていくこと、これが大切な取り組みになるんじゃないかなというふうに考えます。防災対策の重要施策として防災行政無線の個別受信の推進を提案しますが、担当部長から御所見を賜りたいと思います。
 また、あわせて県下での消火器の設置普及を提案します。神戸の震災では、多くの人が圧死もしくは焼死、焼け死んだと言われています。そういった悲劇的な状況がありました。まずは小さな火種をみずから消す消火器が有効だったと言われています。
 現在、和歌山市では補助金を個別世帯に出して消火器の設置を推進しています。これは非常によい試みだと思います。ぜひとも県下全域でも推進できるよう県としての取り組みを検討していただきたいと思います。県として消火器の設置の必要性をどのように認識しておられるか、またその推進のための取り組みについて具体的なお考えをお聞かせください。
 次に、県行政の組織としての取り組みとして、災害時、先頭に立ち活動してもらう県職員の皆さんの日ごろからの意識づけも非常に重要なものだと思います。職員には現状で「防災ハンドブック」の配付がされているようですが、日ごろのちょっとした心がけも大切なものとなってくると考えます。せっかく作成したハンドブックも、机の中にしまい込んでいたのでは、いざというときに全く役に立ちません。ハンドブックの概要を常に目にとまるところに掲示するなど、職員に対する意識づけも、その手法も御検討いただきたいと思います。
 また、人材の育成として、防災未来館では研修の取り組みが進められています。この研修事業、今回訪れた防災未来館での人材育成講習制度は非常に感心するものでした。ここでは、自治体のトップ、防災を担当する職員などを対象に災害対策専門研修というものを実施されていて、新潟県が職員研修として毎年何名かをその講義に受講させていたと。今回の新潟地震において、その講習を受けた職員と防災未来館との連携が非常にスムーズにいって的確な対処が行えたと言われています。新潟での災害対応では非常に手際よく知事が判断し指示命令が出せたと評価が高かったのも、防災未来館との連携があったためと言われています。ぜひこの防災未来館での研修に計画的に職員を派遣し、防災の専門知識をきちっと持った人材を育てていくといったことを提案しますが、これも危機管理監に御答弁をお願いしたいと思います。
 また、地域との連携として、これは施錠管理なんですけれども、この間、私自身が先々週の日曜日、避難訓練に実際に参加して感じたところで、今回私が避難したのは紀三井寺公園だったのですが、県内でも学校など多くの公共施設が避難場所に指定されています。避難所指定は市町村とその施設の管理者との契約らしいのですが、どの施設が指定されているかなど、十分に県民に周知されていない状況があります。また、夜間、休日などに災害が発生した場合、この施設をあける作業は職員だと思いますが、それでは迅速な対応はできません。いざ災害のとき、遠くの職員が施錠を管理していたのでは、避難所の機能を果たさなくなります。そこで、施錠管理を地元との協働で進めるといったことと、かぎをあける県下統一的基準を作成して徹底させるといったことについて県の強いリーダーシップをお願いしたいと思います。これも、あわせて危機管理監から御所見を賜りたいと思います。
 最後の質問で、スポーツの振興策についてお尋ねいたします。
 十一月二十二日、毎日新聞の地方版、「支局長からの手紙」というコーナーで、ことしの埼玉での国体の結果が取り上げられていました。「四十七位」という表題で、ごらんになられた方も多いと思いますが、お手元にそのコピーを配付させていただいております。私自身は二十二日の時点でこの記事を読み落としていまして、実はその何日か後に何人もの県民の方から指摘を受けて私自身はこの記事を読むことになったのですが、かなり反響の大きな記事でした。ただ、ここで指摘されているのは、決して現状のスポーツ行政に批判だけを加えているものではありません。鈴木毎日新聞支局長とも直接お会いし、お話を伺ってきましたが、ある面では心配をし、またある面では期待をしてこの記事を書かれたということです。
 これまで私自身も何度か指摘していますが、今回支局長もおっしゃられることは、この財政の厳しい時期に何でもお金をかけてどんどん振興しろというのでは決してありません。知恵を絞り、住民の協力も得ながらスポーツ振興策は進められるもので、そういった進め方が大切だと思います。
 そこで、一つの提案ですが、現状で国の施策として総合型地域スポーツクラブの推進といったことが進められています。この近畿では兵庫県などが特に先進的な取り組みを進め、成果も上がっているようですが、これは行政としてどんどん施設をつくったり選手強化を行政持ちで進めなさいといったものでなく、行政はあくまで地域のスポーツ振興のまとめ役でありコーディネート役を果たせればよいといったものです。あくまで民間主体、住民主体でスポーツのできる環境を充実させましょうというもので、この総合型地域スポーツクラブといったものをしっかりと推進させる中で和歌山のスポーツ力アップを図っていっていただきたいと思います。
 そこで質問ですが、まず教育長に。
 国としてはスポーツ振興に係る予算の増額が期待されそうな状況もあるようですが、現状の見通しをお聞かせください。
 あわせまして、この地域スポーツクラブ育成への取り組みとして、二〇一〇年まで助成していくといった方針もあるように聞いています。県としてこの間どういった取り組みを進められるのか、年次ごとに目標値を設定して取り組んでいくことなど提案しますが、教育長の御所見を賜りたいと思います。
 続いて、今回の国体の結果については、これはトップアスリートだけの問題ではなく、地域住民全体、子供たちから大人までの問題だと思います。生涯スポーツといった分野にこれは入ると思いますが、生涯スポーツの振興についてどのように考えられているか、お聞かせいただきたいと思います。
 あわせて、この地域総合型スポーツクラブというのは、学校教育、学校体育との連携というのがうまくできればすごく成果の上がるものだと思っています。その学校教育、学校スポーツの連携についてどのように考えられているか、お聞かせいただきたいと思います。
 質問の最後に、現在は市町村合併など合併協議が急速に進んでいる状況にあります。そこでは今回の地域スポーツクラブの扱いについて、少し待ってから、合併が済んでからといった対応をされている自治体も多いように聞いています。しかし、国の方針を確認してみると、一地域に最低一つは認定していくという考えを示しているようです。そうであれば逆に急いで、それぞれの地域でできるだけ住民に近いところでこのクラブをつくることを検討すべきだと考えますが、これも教育長から御答弁をお願いいたします。
 以上で、私の第一問目を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず中国との関係ですけれども、配られた資料、八百万円とか四百五十万円で中国で商売ができるならちょっとやってみようかなと、まあ冗談やけども思いましたけども、こういうふうなこともかなり大きな影響がこれから出てくるものだろうと思います。
 私も三度ほど中国へ行きましたが、行くたびに変化していて、正直言ってちょっと気分が悪くなるというふうな状況ですけども、まあこれ、気分が悪くなると言っても仕方がないんで、こういうふうな状況を日本、そしてまた和歌山県の発展ということにつなげていこうということで、これまでもいろいろな展示会とか、それからアンテナショップをつくる人なんかに対する支援なども行っておりますし、それからよその県と共同で上海に事務所を持つとか、いろんなことをやってるんですけども、とにかく変化が激しいものですから、現在は県庁内に中国経済交流推進会議というのを、民間の物すごくこういうことに詳しい人も入れて設けておりまして、例えば輸出支援策であるとか、対中ビジネスの支援であるとか、対中関係の人材の育成であるとか、こういうふうなことにどんなことをやっていけばいいかということを今、鋭意検討を進めているところです。
 そういうような中で、質問の中にもあった使節団の派遣というふうなことも考えられると思うんですが、ただ、行って見てきて驚いてきたというだけじゃこれ仕方がないんで、本当にそういうことが県の発展に役に立つような形のものを検討していく必要があろうというふうに思っております。
 次に、産業振興財団の活動状況ですけれども、これにつきましては、類似の機関を統合し、そしてその事務局に民間の物すごくやる気のある人に入ってもらうというようなことで、こういう人を中心に今物すごいいろいろな活動を行っておりまして、販路開拓や、それから経営課題の解決等に一定の成果を上げていると私は理解しております。
 また、そういうふうな中で、例えば商工会議所であるとか商工会とか、こういうふうなところにもやっぱり今までのままではいけないというふうな機運が芽生えつつあるというふうに聞いておりまして、こういうものを大いにこれから振興していくということが大事だろうというふうに思っております。
 それから、スタートアップ・オフィスの活用です。
 私が知事になってすぐに、やっぱりこういうふうなSOHOをつくらないかんということで、割ときれいなスタートアップ・オフィスをつくったわけです。そのときには、箱をつくってただ貸すだけだとそれこそ本当の成果が上がらないというふうなことで、厳しく対応するようにということでやってきたんですが、この三年間で入居者の売り上げは六〇%増、それから雇用される人の数は三〇%増、それから入った会社の中で法人化を達成したものが五社、それからうまく成長してこのスタートアップ・オフィスから出ていったものが三社というふうになっております。それからまた、入ったものの余りそういうことの趣旨にのっとってないものについては、審査委員会を設けて厳しく対応をしている結果、三〇%が入れかわるというふうなことで、私はこの三年間でそれなりに成果を上げてきたと思いますけども、社会の変化というのはもっともっと速いもんですから、常に最新の一番うまくいっているようなところの状況を取り入れながら新しい課題に対応していきたいと、このように思っています。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 中小企業再生支援協議会に関しての二項目についてお答えを申し上げます。
 まず、中小企業の再生を支援する公的機関として、和歌山県中小企業再生支援協議会が昨年六月に和歌山商工会議所内に設置されています。本年九月二十四日現在の活動実績は、相談取り扱い案件が四十一件、このうち再生計画策定支援案件が七件、完了案件が四件と、その成果が上がってございます。
 県としましては、県経済の活力維持、雇用の確保のためには中小企業の再生への取り組みを支援していくことは極めて重要であると考えております。このため、平成十六年度県制度融資に再生支援資金を創設し、金融機関、信用保証協会と連携しながら、協議会が支援決定した中小企業に対し必要な資金供給が可能となっているところでございます。
 なお、協議会では、常駐の専門家が再生に向けた相談・助言や再生計画策定の支援、金融機関との調整等を行ってございます。企業の状況によって総合的な支援が必要な場合には、わかやま産業振興財団、商工会、商工会議所などの関係支援機関と機能を分担しながら対応しているところであり、県としましては今後とも再生支援協議会と緊密に連携を図りながら県産業の再生に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、和歌山県経済の将来展望でありますが、議員御指摘のとおり、県経済の中でサービス、卸、小売分野の占める割合が大きいことから、サービス経済化等への対応という点につきましては、県民生活の質の向上や雇用の確保といった面からも地域のサービス業を再評価していく必要があると考えてございます。このため、本県の産業構造の中でサービス業がどのような位置を占め、どのような発展の可能性を持つものであるか等を検証していくとともに、地域経済を活性化させるための多様なサービス産業が促される施策について研究をしてまいります。
 次に、スタートアップ・オフィスの関係の四項目についてお答え申し上げます。
 県が設置いたしましたスタートアップ・オフィスにつきましては、雇用創出等に成果を得ているものの、県経済活性化へ一層貢献していただくため、議員御提案の趣旨をも踏まえながら改善してまいりたいと考えております。
 まず一点目の専属のインキュベーション・マネジャーの配置についてですが、入居の育成支援に当たりましてはNPO団体に支援事業を委託するとともに、財団法人わかやま産業振興財団と県とで総合的な相談を行ってまいったところですが、議員御提案のとおり、育成に関する専門的な知識を有する人材を配置することでより効果的な育成が可能と考えられますので、今後とも人材の有機的な活用についても検討してまいりたいと考えてございます。
 二点目の入居期間の見直しについてですが、三年を経過する卒業予定者のうち、後輩に当たる入居者へのアドバイスが可能であったり業務の受注機会の拡大が可能な事業者にあっては、期間延長につながる新たな入居形態について現在検討しているところでございます。
 三点目のSOHO事業者への発注等についてですが、個々のSOHO事業者が単独で受注する機会は、実績や総合力の面で厳しい状況にあることは認識をしております。できる限り発注に関する情報の提供に努めるとともに、SOHO事業者の交流会やビジネスマッチングを行うなどネットワーク化を促進しており、今後、関係部局と連携強化を図るなど、受注機会の拡大が図れるよう努めてまいります。
 四点目のシニア世代の活用等についてですが、いわゆる団塊の世代が今後リタイヤされ、これまで培った経験を経済活動としてどのように生かしていくかが大きな課題となってきておりますが、これまでもSOHO事業への参画を得てきており、今後も入居と支援の両面から積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 防災問題の四点についてお答えいたします。
 まず、紀伊半島沖地震の教訓と今後の取り組みでございますが、この地震につきましては、市町村の初動体制や津波警報発令に伴う避難勧告等にばらつきがあり、また住民の自主避難等でも地域差が出ました。県も、職員の出動基準等が徹底できていなかったなどの課題が出ました。このため、市町村に対しては、今回を教訓に防災対策を早急に点検・見直しを行い、適切に対処するよう依頼しております。県の各部局においても、課題、問題点を検証するとともに、災害発生時における職員対応等について周知徹底を図っております。また、地域住民に対しては防災意識の啓発や自主防災組織の充実強化等を推進してまいりたいと考えております。
 次に、情報の伝達についてでございますが、災害発生時における住民への情報伝達手段として防災行政無線は非常に大きな役割を果たすものであるため、市町村と連携を図るとともに、ハード・ソフト両面で点検し、充実させてまいりたいと考えております。議員御指摘のように、個別受信機が未整備の市町村も多数ございますので、整備が進むよう県としても努力してまいります。
 なお、また災害時の住民に対する情報提供や被害状況の把握をより早く正確に収集し提供するため、防災センターの整備とあわせ、新たに防災情報システムの整備を行ってまいります。
 消火器についてでございますが、災害における火災の被害を防止するためには消火器は重要な役割を担っております。設置の促進や使用方法等については今後とも各消防本部や婦人防火クラブ等、関係団体と連携を深め、啓発に努めるとともに、各市町村に対しても設置促進を指導してまいりたいと考えております。
 次に、県職員の防災や災害発生時の対応についてでございますが、日ごろから研修等により防災意識の向上を図るとともに、災害発生時における各自の役割分担や責任を明確化し、効率的に機能する体制が必要と考えております。今後、大規模災害に効率的に対応できる体制のあり方等についても検討してまいりたいと考えております。
 なお、職員の「防災ハンドブック」につきましては、よりわかりやすく使いやすくするため、本年度中に改訂する予定でございます。
 次に、防災に取り組む人材の育成についてでございますが、防災に対する専門的な知識を持ち、適切に指導、対応できる人材の育成が非常に重要と認識しております。今後、市町村とも連携し、こうした研修制度を積極的に活用し、人材の育成を図るとともに、人的なネットワークの形成や連携を推進してまいりたいと考えております。
 次に、避難所のあり方についてでございますが、それぞれの地域の状況の違いもあるため、市町村を中心に地域住民が連携し、避難所やそれに至る避難路を明確化していただくとともに、避難所としての効果的な使用方法等をあわせて検討いただきたいと考えております。
 県も現在、庁内にワーキンググループをつくり避難所のあり方等の検討を進めておりますが、この検討結果から、市町村等に対し一定の指針の提示等も検討してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 総合型地域スポーツクラブの設置の推進についてお答えします。
 まず、国のスポーツ振興に係る来年度予算の状況についてでございます。
 生涯スポーツの最重点施策である総合型地域スポーツクラブ育成推進事業の大幅な増額要求を行い、現在折衝中であると聞いております。なお一層、情報収集に努めたいと思っております。
 本県の生涯スポーツの振興策につきましては、県民がいつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができ、健康の保持増進や子供の居場所づくり、地域のコミュニティーづくりなどにつながるこの総合型地域スポーツクラブを中心に据えて、地域で活躍できる人材の養成や各種スポーツ大会の開催などの施策を推進しているところです。
 現在、田辺市と野上町で子供から高齢者まで二百名以上の会員を有するクラブがそれぞれ活動中であり、また、そのほか八つの地域で設立に向けて具体的な準備がなされております。確かに、現在市町村合併が進んでいる状況であり地域の変貌が考えられますが、今後ともできる限り早い時期に多くの地域にこのクラブを立ち上げることができるよう、機会あるごとに市町村教育委員会やスポーツ関係団体などにより一層強く働きかけてまいります。
 最後に、総合型地域スポーツクラブと学校体育との連携については、議員御指摘のように、さまざまな効果があり、世代間の交流による青少年の健全育成も期待できますので、年明け早々に教育委員会各課によるワーキンググループを設けて具体的な研究に入りたいと思っております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──この際、申し上げます。所定の時間まで残り三十秒であります。再質問をされますか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、山下大輔君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は十二月十三日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十八分散会

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