平成16年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、財政改革プログラムと平成十七年度予算編成についてお尋ねをいたします。
 我が国の経済は、かつてない長期不況、金融システム危機、深刻な雇用不安に苦しんできましたが、ようやく明るい兆しが見えてきました。アメリカ・中国経済の順調な拡大を受けて対米・対中輸出の増加など、景気回復が続いてきております。さらに内需におきましても、新三種の神器と言われる薄型テレビ、DVDレコーダー、デジカメが久しぶりにヒット商品として登場し、個人消費の増加を図ってきております。しかし、本格的な景気回復軌道に乗せ、中小企業や地方にまで波及させていくにはまだまだ厳しい状況にあります。
 去る十一月二十六日に、三位一体の改革に関する全体像が政府・与党で合意され、発表されたところであります。その内容は、国庫補助負担金は平成十七年度及び平成十八年度予算において三兆円程度の廃止・縮減等の改革を行う、税源移譲は平成十六年度に所得譲与税及び税源移譲予定特例交付金として措置された額を含めましておおむね三兆円規模を目指す、この税源移譲は所得税から個人住民税への移譲によって行うものとし、個人住民税所得割の税率のフラット化を基本に実施する、また地域間の財政力格差の拡大について確実な対応を図る、地方交付税は、平成十七年度及び十八年度は地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保する、あわせて二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支黒字化を目指して国・地方の双方が納得できる形で歳出削減に努める、さらに税源移譲に伴う財政力格差の拡大をしないよう増収分を当面基準財政収入額に一〇〇%算入する、平成十七年度以降、地方財政計画の計画と決算の乖離を是正し適正計上を行う、その上で中期財政ビジョンを策定するとのことであります。
 三位一体とは改革の手法を示すものであり、改革の目的は、地方財政の自立であることは言うまでもありません。地方の権限と責任を拡大し、歳入歳出両面での地方の自由度を高めることで、真に住民に必要な行政サービスを地方がみずからの責任で自主的・効率的に選択できる幅を拡大できる簡素で効率的な行財政システムの構築を図ることにあります。
 本県の財政は、県内景気が製造業を中心に改善の傾向にありますが、県税収入が予断を許さない状況にあるとともに、九〇年代に数次にわたって実施されてきました景気対策による公共事業の追加や臨時財政対策債の発行などにより県債残高が急増し、本年度末において一般会計の県債残高が六千九百億円と過去最高に達する見込みであり、平成十六年度末の財政調整基金、県債管理基金の合わせた残高が約三百億円と見込まれるなど、県財政は危機的な状況にあります。
 県は今日まで、職員定数の削減、職員給与のカットの実施、公共事業の抑制や全庁的な事業の見直し、外郭団体の見直しなどを行い、積極的に財政改革に取り組んできたところであります。しかし、景気の低迷による県税収入の伸び悩みや国の三位一体改革の影響などにより、平成十七年度以降多額の財源不足が見込まれ、平成二十年までの四年間で約千五十億円の財源不足が見込まれ、このまま推移すると平成十八年度には財政再建団体に転落するとの深刻な予測となりました。
 そこで、県は本年十月十五日に財政改革プログラムを発表し、財政再建団体への転落を回避しつつ、持続可能な財政構造への転換を目指しております。財政改革プログラムの具体的な収支差解消に向けた取り組みは、歳出の削減として人件費総額抑制で百五十五億円程度、公共事業改革の推進で百二十億程度、事務事業見直しで二百億程度、計四百七十五億円程度を目標額としております。歳入の確保としては、県税収入の確保で二十億円程度、財政健全化債の発行で二百四十億円程度、計二百六十億円程度を確保する目標額であります。不足する約三百億円については、特定目的基金である土地開発基金及び地域環境保全基金から百九十億円借り入れて充当する、しかしなお百二十五億円程度の収支不足が生じるとの概要であります。
 そこで、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 一、三位一体改革の全体像に対し、税源移譲や地方交付税の総額確保に対して評価できますが、公共事業関係補助金の交付金化や義務教育費国庫負担金削減など重要課題が先送りされ、地方の自由裁量、責任拡大につながらない国民健康保険の都道府県負担が新たに導入された点に不満や批判があります。本県の場合、税源移譲が行われても補助金削減額が大きく、不足分に対する財政措置が必要であります。知事は、三位一体改革の本県への影響と見解はどうか。
 二、財政改革プログラムでは、約千五十億円の財源不足に対して、歳出削減で四百七十五億円、歳入確保で二百六十億円のうち二百四十億円が財政健全化債での確保であり、退職金の大幅な増加が見込まれる平成十九年、二十年には特定目的基金より借り入れて対応するなど、四百四十億円を借り入れて財源不足に充てる計画であります。今後、国において地方交付税が地方自治体の予想を超える減額も危惧されるところであり、県は平成二十年までの収支差解消にどう取り組まれるのか。
 三、人件費総額の抑制については、知事部局、教育委員会それぞれどう対応されるのか、また事務事業の見直しをどう進められるのか。
 四、県税収入の確保について、平成十五年度より県税徴収対策本部を設置し、収入率の向上に取り組んできております。本県の場合、収入率を一%向上させれば八億円の増収になるわけであります。そこで、景気の改善傾向にあり、増収が期待される今年度の税収見通しと県税収入率向上対策についてどう取り組まれるのか。
 五、未利用の県有財産の処分による歳入確保について、平成十三年度は五億八千百万円、平成十四年度は八億九千七百万円、平成十五年度は八千万円と処分を行ってきております。管財課所管の二千平米以上の県有地である元那賀高校の用地や独立行政法人国立高専の学校用地を初めとする県有地や各部局が管理する未利用で処分可能な県有地は積極的に処分するなど、今後どう対応されるのか。
 六、平成十七年度予算編成において、三位一体改革の全体像や財政改革プログラムの考え方を踏まえ、財政健全化のための取り組みを積極的に推進するとともに、安心で活力あふれる和歌山の実現を目指して予算編成に当たるとしております。具体的には、既存事業にガイドラインを示し、既存事業は二〇%、公共事業等は六%の削減を図るとして新たに包括予算制度を導入し、各部局の自己決定、自己責任で事務事業の見直しや新規事業の創出など、住民ニーズにより的確に対応した予算編成を求めております。平成十六年の予算編成では、国において地方交付税と臨時財政対策債が合計で二・九兆円削減されたため、各自治体では予算編成ができないという悲鳴が上がりました。また、去る十二月一日には、公明党県議団から平成十七年度の予算要望として三十三項目を知事に提出させていただいたところであります。木村知事は、本年度の予算編成にどう当たられるのか。
 以上、六点お尋ねをいたします。
 次に、南海貴志川線の存続についてお尋ねをいたします。
 南海貴志川線については、昨年十月に南海電鉄から和歌山市、貴志川町及び和歌山県に対して、廃止を含めた検討を行うとの経営内容の報告がありました。和歌山市と貴志川町の住民基本台帳による平成十六年五月の人口は、和歌山市三十八万八千人、貴志川町二万一千人と沿線住民がいるわけでありますが、四十年代以降の車社会の進展と沿線道路網の整備により輸送人員が著しく減少し、昭和四十九年のピーク時三百六十一万四千人から、平成十五年度は百九十八万五千人と半減してきております。南海電鉄は、これまでにワンマン化や駅の無人化等のコスト削減に努めてきたものの赤字状態が続き、この十年間で約七十億円の累積赤字を計上し、平成十五年度の営業損益も約五億一千万円の赤字となり、経営上やむなく撤退を決めたとのことであります。
 この報告を受けて昨年十二月に、和歌山市、貴志川町、両議会及び自治会関係者と県が参加して、南海貴志川線対策協議会を組織しました。同協議会は、利用状況を把握するための利用者アンケートなど実態調査の実施や利用促進を図るための署名活動を実施して、約二十五万六千人の署名を本年三月に南海電鉄に提出してきました。さらに、国土交通省や県選出国会議員に対して、本年四月に要望活動を実施してきたところであります。しかし、南海電鉄は本年九月三十日に国土交通省へ貴志川線の廃止届書を提出したため、南海電鉄は平成十七年十月一日をもって貴志川線から撤退することとなりました。
 こうした状況の中、貴志川線の存続への取り組みとして、和歌山市、貴志川町、国土交通省近畿運輸局、南海電鉄、和歌山県の五者による会議が開催されてきました。この会議では、支出面で人員の配置を含め、運営形態、運営費用の精査、維持補修に係るコストの低減などが検討され、赤字を約二億円程度に半減させることができる見通しと伺っております。今後、収入面の改善策等を検討し、早期に方向性を見出すとのことであります。
 県議会におきましても、関係の皆様方の努力で小川議長を会長とする貴志川線存続と利用促進を願う議員連盟が本年九月に発足、十月二十二日には大橋和歌山市長、中村貴志川町長を迎え、勉強会を開催いたしました。また、十一月十七日、半島振興過疎対策特別委員会において、大沢広太郎委員長と委員のメンバーが貴志川線を視察し、中村貴志川町長を初め貴志川町の方々から貴志川線存続の陳情を受けてまいりました。
 去る十一月二十二日、大橋和歌山市長は、定例の記者会見で貴志川線問題の五者会議の内容に触れて、かなりの額まで赤字を減らす運営収支のシミュレーションができたが、それでも赤字は残るとして、今後、行政支援の負担割合や南海からの譲渡額などを具体化した上で参入企業の公募を行いたい、南海にかわる新たな経営母体として複数の企業が名乗りを上げていると話した旨の報道がなされております。
 さらに十一月二十九日、国土交通省近畿運輸局が廃線後のあり方について、沿線住民や県、和歌山市、貴志川町からの声や要望を聞く意見聴取を大阪市で開催。席上、高嶋企画部長は、「貴志川線の存在は大きなものと認識しておりますので、県民の皆様の御理解をいただきながら貴志川線問題の解決に当たりたいと考えています」と意見陳述を述べたと伺っております。
 また、貴志川線存続に向けた住民運動として、本年九月に貴志川線の未来をつくる会が発足。浜口晃夫代表が中心となり、会員のメンバーが「乗って残そう貴志川線」を合い言葉に、ポスター、チラシの作成や看板を各駅に設置してきております。このようなポスターを作成しております。(資料を示す)
 さらに十二月十一日には、貴志川線存続への運動を推進するため、県立向陽高校体育館を会場として住民フォーラムの開催を計画いたしております。
 さらに、和歌山市立宮小学校三年四組の児童が総合学習の一環として貴志川線問題と取り組み、十二月三日に貴志川線に乗って貴志川町の長山団地を訪れ、貴志川線存続に取り組んでいる貴志川線の未来をつくる会のメンバーから貴志川線の学習をしたと伺っております。
 そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
 現在貴志川線を利用している人たちにとっては、貴志川線存続が最も適した公共交通機関の確保であります。そのため、県、和歌山市、貴志川町が協議をし、年内にも負担割合を決め、南海からの資産譲渡額を決定し、参入企業の公募を行うことに県はどう取り組まれるのか。また、貴志川線の存続について上下分離方式で、電車の運行を営業する運行会社と資産の保有を行う保有会社に分離をして保有会社に対して県などに支援をお願いしたいとの考え方がありますが、知事の見解はどうか、お尋ねをいたします。
 次に、架空請求やおれおれ詐欺の被害防止対策についてお尋ねをいたします。
 電話で「おれ、おれだよ」などと身内を装い、お金をだまし取るおれおれ詐欺の被害が広がっています。被害総額は今年の八月末で百億円を突破し、おれおれ詐欺が大きな社会問題となってきております。被害者は四十歳以上の女性が全体の六割以上に上り、子供や孫の交通事故や消費者金融の借金をでっち上げ、示談金や返済を請求する事例が多発しています。最近では学生の保護者をねらうケースがふえており、手口も巧妙化し、電話口に警察官や弁護士役が次々と出て、もっともらしい状況を演出する劇団型が目立っております。子供や家族が交通事故や事件に遭ったと聞けば心配の余り動転する気持ちを利用して多額のお金を振り込ませる悪質な犯罪であります。
 犯行に使われる携帯電話のうち、九割がプリペイド式であります。プリペイド式の携帯電話は、犯行への悪用を防ぐため、契約時の本人確認、転売したときの届け出を義務化して本人確認を行う、本人確認ができない場合は利用を停止する規制強化法案が来年の通常国会に提出される予定であります。去る十一月三十日、携帯電話各社と総務省がプリペイド式携帯電話の不正利用防止策を強化することを発表し、年内にも本人確認を求め、回答がない場合には利用を強制停止する法施行を前倒しで規制を行うこととしております。さらに犯行に利用される預金口座も、口座屋から入手したものが大半であり、本年十二月に預金口座の不正売買を禁止し、違反者には罰則を課する改正本人確認法が成立いたしました。
 また、本県では、おれおれ詐欺に加えて、身に覚えのない架空請求などによる被害も急増しております。県消費生活センターでは、今年上半期四月から九月に寄せられた相談件数が、前年同期に比べて二千二百七十五件多い七千二百四件と過去最多となりました。同センターによりますと、相談内容で最も多かったのが携帯電話の情報料などの架空請求で、その多くは「電子消費者未納利用料請求最終通告書」などと題したはがきを送りつけ、指定された連絡先に電話をすると数十万円を請求されるというものであります。
 同センターでは、相談活動に加え、県民への注意を呼びかける活動として、架空請求対策マニュアル等を市町村や関係方面に配布をし啓発を行うとともに、ラジオを通じてのスポット放送、講座の開催、「県民の友」などでの啓発に努めてきております。また、県警察本部においても本年六月に捜査二課に身近な知能犯罪対策班を発足させ、おれおれ詐欺や架空請求による犯罪防止への捜査摘発、未然防止対策に取り組んできております。さらに、去る十一月二十二日に開催された近畿ブロック知事会議においても、架空請求等に関する消費者トラブル防止に対して緊急提言がなされたところであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 一、本県における架空請求による被害やおれおれ詐欺による被害の実態と捜査状況、及び未然防止への取り組みはどうか。
 二、県消費生活センターにおける相談状況と、休日相談が受けられる相談体制の充実と啓発活動の充実にどう取り組まれるのか。
 三、架空請求はがき等は明らかに詐欺行為を行う目的が確かであり、郵政公社の判断で配達を保留できれば被害が未然に防止できるわけでありますが、何らかの措置がとられないものか。
 以上三点、お尋ねをいたします。
 次に、キャリア教育の推進に関連してお尋ねをいたします。
 若者の雇用をめぐる状況は、バブル経済崩壊後の経済の低迷、厳しい国際競争下での産業の空洞化、あるいはそのような経済・産業の状況のもとでの正規雇用の減少と一時的、臨時的な雇用の増加といった雇用形態の変化など、若者の雇用を取り巻く環境が激変してきております。
 本年に入ってからも二十四歳以下の完全失業率は九ないし一〇%台と、十人に一人の割合であります。こうした状況の中で、平成四年には百一万人だったフリーターが、平成十五年には二百十七万人と倍増してきております。加えて、一度就職しても長続きせず、「七五三現象」と呼ばれる就職してから三年以内にやめる割合が、中学生で七割、高校生で五割、大学生で三割と言われております。加えて、フリーターでもない、無業者と言われる若者が急増してきております。教育も職業訓練も受けていないという英語のノット・イン・エデュケーション・エンプロイメント・オア・トレーニングの頭文字をとってneet、ニートと呼ばれる人は、平成十四年には大学卒業者で約十二万人、高校卒業者で十四万人いると言われております。厚生労働省が本年九月に発表した「労働経済白書」では、十五歳から三十四歳の未婚者で通学も仕事もしていない非労働者のニートの数が五十二万人もいることを明らかにしました。
 細田官房長官は十二月六日の定例記者会見で、「ニートの増加については大きな問題だ。そうした人たちの将来は、訓練もせず、働く意欲も高まらないまま年をとって困るだけ。そうした状況から脱却してもらうため道筋をつけることが必要だ」と述べ、ニート対策を重視する考えを強調いたしました。
 イギリスにおきましては、ニートの定義を十六歳から十八歳に限定し、その一割近くがニートであるとの報告があったため、二〇〇一年から十三歳から十九歳のすべての子供を対象にコネクションズサービス制度をスタートさせました。この制度は、学校の中にまでアドバイザーが入り、早い段階からキャリア相談などを行い、卒業しても無業者にならないよう導いていく、仮にニートになっても社会的に孤立しないよう職業訓練に導いたり、同じ人がずっとサポートする制度であると伺っております。
 我が国においても、平成十一年十二月の中教審答申でキャリア教育の推進が提唱されました。その後、協力者会議の報告書等を経て、昨年六月にキャリア教育が経済産業、文部科学、厚生労働、経済財政政策担当の四大臣から若者の自立挑戦プランの一環に位置づけられ、新キャリア教育プランとして推進が図られることとなりました。
 また近年、中学校では生き方の指導の一環として職場体験学習が重視され、兵庫県では「トライやる・ウィーク」を契機として複数日で実施する学校がふえ、さらに総合的な学習時間の導入から八〇%を超える実施率となっております。高校では、厳しい就職状況から、インターンシップが職業学科や総合学科を中心に実施率が高まってきております。さらに、国の来年度予算の概算要求に、若者の雇用対策として前年度を大幅に上回る八百十億円が計上されたと伺っております。
 そこで、教育長並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 一、新キャリア教育総合計画の推進として、実務教育連結型人材育成システム、いわゆるデュアルシステムの導入についてどう取り組まれているのか。
 二、新キャリア教育プラン推進事業として、キャリア教育推進地域事業への取り組みはどうか。
 三、キャリア教育実践プロジェクトの事業に新年度どう取り組まれるのか。
 四、若者の自立挑戦プランの事業として新年度、若者の自立塾(仮称)を全国に四十カ所ほど設置することや、就職基礎能力速成講座の実施など、フリーターやニートに対する働く意欲の涵養向上対策等が図られていますが、本県におけるフリーターやニートの実態を把握し、どう対応されるのか。
 以上四点お尋ねをいたしまして、第一回目の質問といたします。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革の本県に対する影響の問題ですけれども、言われている住民税の一〇%のフラットな税率で取るというふうな形にしますと、和歌山県と県内の市町村を合わせて二百億円ぐらいの税収が入ってくると。一方、補助金が減る分については、十七年度、十八年度の二カ年でということなんですけども、どういうふうな形でなされるのか、補助率の引き下げでなされるのか、完全に補助金がなくなるのか、そういうふうないわゆる補助金見直しの工程表というものが明らかになっておりませんので、この補助金の削減による影響額は今のところ計算ができないというふうなことになっております。
 しかしながら、和歌山県でありますとか県下の市町村のように税源の乏しいところでは、多分この補助金の削減額の方が税収で入ってくる額よりも多くなるというふうなことで、財政運営に支障を来すということが予測されるので、そこで問題になってくるのが交付税でその部分を見るというふうなことなわけです。
 そして、一応この一般財源については総額をちゃんと確保するというふうには言っているものの、先ほど午前中にも述べましたように、ここのところが十分にはっきりしないというふうな面がありますので、このあたり十分──今年度の地財折衝の状況もそうですし、そしてまた来年度以降もそうなんですけども、必要な発言をしていかないと、これは財政的に厳しい自治体にとってもっと大変なことになるというふうなことになりますので、意を用いていきたいというふうに思っております。
 それから、今、財政改革プログラムをつくったわけですけれども、その中での収支差の解消、要するに入ってくるものと出ていくものとの差が相当あるけどもどうするのかというふうなことですけれども、これについては平成二十年度までに千五十億円ぐらいの収支不足、収支差が出てくるというふうに積算して、そしてこれを回避するため事務事業の見直し、そして行革、そしてまた行革をすることによって認められる特別な借金、起債、それから基金の取り崩し、こういうふうなことで対応して財政再建団体への転落を回避しようというふうなことになっているわけです。
 しかしながら、これにつきましても、一応交付税が一定の割合では減るという前提には立っているものの、大幅な減少というふうなことになりますと、この財政改革プログラムの見通し自体が大きく根底から揺らいでくるということになりますので、これもまた同じ話になりますけども、地方交付税というふうなものの確保と財源保障機能──財源調整機能だけではなくて保障機能というふうなものを確実に守ってもらうというふうなことでの働きかけというものを強めていかなければならないと、このように思っているところでございます。
 それから、こういうふうな状況を受けて新年度の予算についてはどのように対応するのかということでございますけれども、これについては、景気も見通し不透明ではありますけども、若干よくなってきているというふうな中で、やはり県民が希望を持っていろんなことができるというふうな形にしていく必要がありますので、やはり重点化と──選択と集中というふうな言い方をしますけども、重点的な予算の配分ということをしていかなければならないと思っておりますし、そしてまたその予算編成の方針の中でも、例えば包括予算主義といって、現場といいますか各部局にある程度予算の裁量権を与えて、その中で一番効率的な使い方を考えるようなシステムの仕組みの導入でありますとか、それから例えば土地が売れたというふうな部分については、その部分は使えるようにするというふうなメリットシステムと、そういうふうなものを機動的に導入することによってめり張りのきいた予算編成を行っていきたいというふうに考えております。
 次に南海貴志川線の問題についてでございますが、まず新規参入企業公募への対応については、これまで和歌山市、貴志川町、国土交通省近畿運輸局、南海鉄道と県の五者により、鉄道存続のための検討を行ってまいりました。その内容はお話のとおり、人員の配置を含めた経営形態、運営費用の精査、維持補修に係るコストの低減を図ることにより、赤字を約二億円程度に半減させることができる見通しとなっているところでございます。
 今後、これらの検討内容等を踏まえ、まず沿線自治体である和歌山市、貴志川町が主体的に具体的な方策を判断されることになるわけでございます。県としては地域にとって重要な路線であると認識しておりますので、和歌山市、貴志川町の意向や取り組み状況を十分見きわめ、市町に対し協力をしてまいりたいと考えております。
 次に、貴志川線存続に向けた上下分離方式への見解についてでございますが、全国的に見ますと、鉄道を存続した類似路線の状況は、県が鉄道資産を保有している例はなく、沿線市町村もしくは第三セクターが鉄道用地等を保有し、県が市町村や第三セクターに財政支援をしている状況でございます。こういうふうな状況も踏まえまして、地元自治体である和歌山市、貴志川町が主体的に判断されることについて県としてはできる限り協力をしてまいりたい、このように考えております。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 財政改革プログラムの関係の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、人件費総額の抑制についてでありますが、知事部局の定数削減につきましては、電子県庁の推進や市町村合併に伴う振興局の見直しを初めとする組織機構の再編等によりまして、今後五年間で企業局を含む知事部局の条例定数の約一割に当たります四百三十人を削減することとしたところでございまして、今後多様化する県民サービスに適切に対応していく中で着実に定数削減に取り組んでまいります。
 また、給与カットにつきましては、これまでも四年間実施しているところでございますが、来年度も引き続き管理職二%、その他一%のカットを実施したいと考えており、それ以後につきましても財政状況等を見ながら適切に対処してまいりたいと考えております。
 さらに、退職手当につきましては、長期勤続後に定年または勧奨等により退職した職員に対する調整率一〇〇分の一一〇を平成十六年の一月一日から一〇〇の一〇七にし、平成十七年の一月一日から一〇〇分の一〇四にするほか、退職時特別昇給の制度を平成十七年一月一日から廃止をいたします。今後とも本県におきましては大変厳しい財政運営が余儀なくされると予想されますので、人件費の抑制に引き続き努めてまいります。
 次に事務事業の見直しにつきましては、削減目標を設定して徹底的な見直しを行うこととしており、県の業務の積極的なアウトソーシングや公共施設等の運営における指定管理者制度の導入、零細補助金の廃止や補助率の見直しといった県単独補助金の見直しなども実施してまいりたいと考えております。
 続きまして税の関係でございますが、まず今年度の税収見通しにつきましては、十月末の県税の調定額は企業収益が堅調なことなどを受けまして約六百三十億円で、対前年同期比でプラス〇・八%となっております。この状況で推移いたしますと、当初予算額は確保できる見通しでございますが、昨今の原油価格の高騰による企業収益への影響など懸念される点も見受けられますので、今後の動向に十分注意してまいります。
 次に県税収入率向上対策でございますが、昨年八月に県税徴収対策本部を設置したところでございまして、振興局ごとの徴収目標及び行動目標の設定と進行管理を行うとともに、納税相談の充実、差し押さえの強化などの取り組みを進めてまいりました。本年度は、本庁税務課に県税特別徴収対策チームを新たに設置をして滞納整理の一層の促進を図っているところでございます。今後ともこうした取り組みを進め、収入率の向上に努めてまいります。
 次に未利用の県有財産の活用につきましては、利用調査など詳細な資産の洗い出しを行うとともに、庁内全体で検討を進めて関係市町村とも協議をしながら計画的な処分を行ってまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 架空請求やおれおれ詐欺の被害防止対策についてお答えいたします。
 まず、県消費生活センターにおける架空請求に関する相談状況についてでございますが、本年上半期における全相談件数七千二百四件のうち、身に覚えのない情報料請求いわゆる架空請求等が四千五百七十七件で、全相談件数の六六%となってございます。これは、昨年度同時期と比べまして二・八倍と大幅に増加しております。
 次に、このような状況を踏まえまして休日における消費者相談体制の充実についてでございますが、消費生活センターにおける相談が月曜日に集中している現状があり、また関係者からも休日に相談を受けることがあると聞いてございます。こうした実態を考慮して、より効果的な相談体制を検討してまいります。
 また、おれおれ詐欺や架空請求被害の未然防止の啓発活動の充実につきましては、機会あるごとに広く県民に啓発を行ってございます。今年度、特に携帯電話を使い始めた中学生、高校生や被害の受けやすい高齢者に対し、学校や行事等に出前講座を実施し、積極的に啓発に努めているところでございます。なお、「県民の友」十二月号の第二面全面に特集記事を掲載しております。
 今後とも、被害の未然防止のため、消費者相談の充実や市町村相談窓口の支援等を行うとともに効果的な啓発に努めてまいります。
 次に郵政公社による配達の保留についてでございますが、配達される架空請求のはがきに対して、郵便法等により配達の保留等ができないと聞いてございますが、今後こうしたことへの対応につきまして、関係府県、関係者と情報収集に努めてまいります。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) フリーター、ニートに働く意欲の向上対策についてお答え申し上げます。
 昨今、フリーターやニートと呼ばれる若者の増加が大きな問題となっております。このような状況が続けば社会保障システムの脆弱化や経済に与える影響も懸念され、非常に憂慮しているところです。このため、ジョブカフェ・わかやまを開設するなど、若年者の就職支援に取り組んできたところでございます。
 議員御指摘のとおり、厚生労働省では若年者対策として、働く意欲の涵養、向上を図るため、職業意識の啓発、職場におけるコミュニケーション能力の強化等、若者が早期に、しかも安定した就労につなげるための新たな取り組みが検討されております。
 今後、県といたしましても、関係機関と連携し、若年者の雇用の実態把握に努めるとともに、国の動向を見きわめながら就職促進に向けて適切に対処してまいります。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 初めに、教育関係における人件費の抑制についてお答えいたします。
 今後、児童生徒数の減少による教職員数の減員や市町村合併が進む中での学校の適正規模化、統廃合等により、平成十六年度からの五カ年間に約四百名程度の教職員の定数減を行うこととしております。
 なお、少人数学級編制等必要な教育施策に係る定数の確保に努めるとともに、本県教育の一層の活性化に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、キャリア教育の推進についてお答えします。
 御指摘のように、就職をめぐる環境の激変やフリーター等の増大は憂慮すべき問題であると受けとめております。こうした状況を打開するためには、一人一人に確かな勤労観、職業観を初め、社会人、職業人としての基礎的、基本的な態度や能力をしっかりと身につけさせることが極めて重要であります。
 このため、学校教育においてそれぞれの発達段階に応じた活動をどのように系統的に展開していくか、あるいは社会の現実を踏まえ、自己の将来をどう描くかというキャリア教育の観点に立って、職場体験やインターンシップ等、多様な体験活動をより一層普及していく必要があると考えております。
 これまでの各学校における、例えば七百カ所余りの事業所に御協力いただいて二千二百名程度が参加している学校独自のインターンシップ等の取り組みに加え、平成十五年度から県教育委員会事務局やその外部機関等においても受け入れを行っており、今年度は盲・聾・養護学校を含む約六十名の高校生が参加しました。また、本年度からきのくにデュアルシステムを田辺・西牟婁地方でスタートさせ、専門高校と企業等が長期の企業内研修等を通して合同で人材育成に取り組むほか、龍神村をキャリア教育推進地域に指定し、村内の小中高等学校において十二年間の一貫した活動プログラムづくりとその実践に取り組んでおります。
 来年度、国の新規事業として予定されているキャリア教育実践プロジェクトにおいて、中学生を中心とした五日間程度の職場体験とそのシステムづくり等に積極的に取り組み、県内の多くの地域で充実した活動が展開できるよう努めてまいります。
○議長(小川 武君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 架空請求やいわゆるおれおれ詐欺について、まず被害の実態と捜査状況についてお答えいたします。
 本年十一月末現在、架空請求詐欺は六十七件、約五千五百万円、おれおれ詐欺は五十二件、約六千八百万円の被害届けを受理しております。また、被害届け以外に、十一月末までに約七千七百件の相談を受理しております。これらの事案は極めて悪質な犯罪であることから、本年六月、警察本部内に身近な知能犯罪対策班を設置し、犯人検挙に向け捜査体制の強化を図ったところであり、十月にはおれおれ詐欺に利用された口座の通帳等を金融機関からだまし取っていた口座屋二名を検挙しております。
 次に、被害の未然防止への取り組みについてお答えいたします。
 その一は、広報啓発活動の推進であります。架空請求やおれおれ詐欺の被害防止を図るには、県民の皆様の防犯意識を高めることが最も重要であると考えております。そのために、警察のホームページやミニ広報誌などあらゆるメディアを活用し、広報啓発活動を推進しております。また、県消費生活センターや各自治体等と連携し、相談に対する適切な指導助言や広報啓発に努めているところでございます。
 その二は、金融機関との連携であります。金融機関の窓口で多額の現金を振り込む客に対し、職員による積極的な声かけ、ATM機の操作画面上にテロップを流すなど、金融機関窓口における被害防止対策に努めているところでございます。また、被害を認知した際には犯行に利用された銀行口座について迅速な凍結依頼を行い、被害の未然防止に努めております。
 警察といたしましては、さきの国会で成立した改正本人確認法を有効に活用し、捜査の強化を図るとともに、引き続き被害の未然防止に努めてまいる所存であります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十番新田和弘君。 
○新田和弘君 簡潔に三点、要望させていただきます。
 まず第一点目でございますが、財政の収支差解消についてでございます。
 本県の平成十六年度当初予算を見ますと、義務的経費が四七・七%とおおよそ半分近くがやっぱり義務的経費になっておるということの中で、当局におかれましても人件費の削減等に職員の皆さんの御理解をいただいて、努力をしていただいて、今後も人員の削減等努力をされておるわけでございますが、もう一方の公債費は七百十九億がございますけれども、この公債費の平準化、縮減ということについても努力していかなければならないんではないかと思います。
 そういった意味で、県の方は平成十五年からミニ公募債というのを発行いたしまして、十五年は十億円、十六年度におきましては、こういった紀の国きらら債ということで一月に二十億円を発行するということで、今後においても財政健全化債を発行していくということが言われておるわけでございますが、岐阜県におきましても、今年、市場型公募債を発行することを決めているようでございます。
 本県の場合、起債制限比率が県の努力で改善されまして現在一四・四%ということで、若干まだ起債をする力があるというか、そういうふうな状況でございますので、少しロットを広げて、そして市場公募債等も視野に入れて、もちろん銀行引き受けの起債の方が単価は安いというふうには伺っておるんですけれども、そういった意味で高い起債については繰り上げて償還をし、また返済していく起債の公債費に充当するなどを行えば地方交付税が減額しても若干それで補てんしていくということが可能であり、いわゆる投資的経費の確保にもつながるんではないかとこのように思いますので、そういった点についても今後十分御検討をお願いいたしたいと思います。
 それから、二点目に貴志川線の問題でございますけれども、もうちょっとはっきりした答弁が欲しかったわけでございますが。と申しますのは、十七年十月一日でこの事業が廃止をされるということが決まっておるわけでございますので、仮に新たな企業が参入をするということが決まっても、やはり準備期間ということからすると約半年ぐらいかかるんではないかと。そうしますと、四月の初旬までにはどこがどうやるのかということをきちっと決めなければ、公共交通機関の確保が困難になってしまう。そういった意味で、主体的にはもちろん和歌山市と貴志川町でありますが、ここと県が本当に十分協議をして方向性を出していただきたい。
 さらに、やっぱり最終的にはお金の問題になってくると思いますので、和歌山市、貴志川町も財政困難だというようなことでございますので、国に対しましてこういった鉄道を存続さしていくというような場合に新たな起債なり、そういう財源を確保できるような措置を、過疎債のような形のような有利な条件の起債を和歌山市にも認めていただいて財源捻出をして、その上で存続に向けての取り組みを行う等、国にも十分そういった点もお願いをして、財源確保の上で存続という方向性をぜひ見出していけるよう御努力をお願いいたしたいと思います。
 それから、三点目のおれおれの詐欺の問題でございますが、県も積極的に県民への啓発ということで、十二月号の「県民の友」の二面の見開きに大きく取り上げていただいて県民の皆さんに啓発をされておりますし、警察本部においても懸命に取り組んでいただいていることに敬意を表するわけでございますが、私はこのはがきのことで、先ほど答弁で、郵政公社は郵便法の関係ではがきの配達を保留できないということでございますけれども、こういったはがきが郵便局から配達されることによって詐欺にかかって多額のお金をだまし取られると。そうすると、郵便局はそういったお手伝いをしておると言われてもやむを得ないような状況にあるわけですので、銀行口座の売買の禁止の法律ができたり、またプリペイド式の携帯電話の規制等が各事業者で行われているのと同様にこういった問題についても国に法整備を行ってもらって、やはり入り口のところで防いでいけるような体制づくりもぜひ要望していただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。

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