平成16年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、質問させていただきます。
 まず、質問に入る前に、報告をさせていただきたいと思います。
 私は、ことしの二月県議会で和歌浦の観光問題について質問をいたしました。質問というよりは提言でしたが、その中心点は、和歌浦は中国の国父と言われる孫文と民俗学者・南方熊楠がロンドン時代の旧交を温めた地である、ここに記念物をつくって日中友好のシンボルとし、和歌浦観光にも役立ててはどうか、こういうことでございました。
 私は、先月十一月の四日から九日、日中友好協会和歌山県連合会二十七名の訪中団の団長として中国を訪問いたしました。民間団体としての自主的な訪問であります。
 上海空港におりて蘇州市の学校を訪問し、児童画の交換をし、桂林にも足を伸ばしたのですが、さらには和歌浦によく似ているという西湖がある杭州市を訪問いたしました。蘇州市は人口五百八十三万、杭州市は人口六百四十二万、ともに上海周辺の急速に経済発展を遂げている地域です。私は、初めての中国訪問で、工業団地、住宅の建設に圧倒される思いがいたしました。
 私たちは杭州市の対外友好協会を訪問いたしまして、副会長の華麗珍さんという方にお会いし、交流をいたしました。杭州市の副市長もなさった女性の方です。杭州市は岐阜市と友好自治体の関係を結んでおり、京都、鳥取、山口など各地域の都市と交流があると言いますが、和歌山とは余り交流がありません。私たちから申し入れた文書を読んで西湖と和歌浦がよく似ていることを初めて知ったのでしょう、歓迎のあいさつで「和歌浦というのは大変景色のいいところだとお聞きしています」、こういふうに言っておられました。私の方からは、孫文と南方熊楠の出会いの地であること、ロンドン亡命時代の出会いまで含めて説明をし、ここに出会いの記念物をつくって日中友好のシンボルにする運動を進めているとお話をし、最後に県の観光課からいただいた中国語の和歌山観光のパンフレットもお渡しいたしました。
 また、和歌浦に住んでいる団員からは、和歌浦の写真を見せ、西湖とそっくりだという話もしましたし、海南市の団員からは、海南市に日中両国平和の塔が市民のカンパでつくられた話もいたしました。華麗珍さんは大変喜ばれて「和歌山との友好を深めたい。日本に行く人にはぜひ和歌の浦に寄るように言いましょう」、こう言われました。私たちも、ぜひ和歌浦に、そして平和の塔がある海南市にも来てくださいと申し上げたわけでございます。
 また、蘇州市の小学校で預かってきた児童画百点につきましては、今、JR海南駅で展示中であります。
 全くの民間団体の訪中でありましたが、杭州市あるいは蘇州市と和歌山が交流を深める条件をつくってきたと思っています。
 以上、報告でありますが、民間団体が進めてきた日中友好の取り組みをぜひ生かしていただけるように要望いたします。
 また先日、訪中団として知事にもお会いし、報告もいたしましたが、何か感想や御意見がありましたらいただければと思います。
 さて、今から質問に入ります。
 第一は、道路問題です。
 財源には限りがある。県民にとって本当に必要な道路を早くつくってほしい、こういう気持ちが皆さん共通だと思います。その点で木村知事が一・五車線道路というものを提言された。これは大変いいことだと思います。先日も海南・海草の議員連絡協議会で陳情した折も、いいことをおっしゃった。用地買収は難しいところに定規で引いたように真っすぐな道をつくらなくてもいいので、多少カーブしても弾力的に道づくりというものは考えたらいいんじゃないですか、こういうふうな意味に私は受け取りましたが、これも賛成であります。
 知事がこういうふうにおっしゃるのは、裏返せば、定規で引いたような真っすぐな道を無理につくろうとする傾向があるということでしょうが。それだけではない。幅十メートルの道路があれば十分なところに幅十八メートルも二十メートルもという大きな道路を計画をして、計画をしてから二十年たってもでき上がらないというケースが至るところにあるんではないでしょうか。
 その一つ、私は一番よくわかる海南市の例で申し上げますが、海南市内で日方大野中藤白線という都市計画道路で、日方川に沿った部分があります。前回の議会で、せっかく用地買収も進んでいるから暫定的にでも早く通れるようにしてほしい、こういうふうに申し上げたわけです。この道路は一番狭い部分の用地買収が進み、いま一歩まで来ています。そして、私が申し上げた点では、前向きの答弁をいただきました。しかし、その計画を見てびっくりしました。片道一車線の二車線道路なんですが、一車線幅四・五メートル、三メートルに一・五メートルずつの予備がついている、そして両側に四・五メートルの歩道がついている、こういうデラックス道路であります。しかも、定規で引いたようにとは言いませんが、真っすぐに道をつけようとした結果、現在川沿いに四メートルから五メートルの道があるんですが、その道の上を広げるんではなくて、その道に並行して十八メートル道路をずばっとつけるという、こういう工事が現在進んでいるわけです。
 市民の要求から言えば、必要なのはセンターラインを引ける幅六メートルの車道、それに幅三メートルか四メートルの片側に歩道があれば自転車も人も通れるでしょう。合わせて十メートルもあれば何とかなる。川沿いの現道を拡幅すれば、現在の四メートルか五メートルを五、六メートル拡幅すれば、それで十分道はできる。これが市街地の真ん中を通っている道路だったら、両側に四・五メートルの歩道があって、その周りに商店街があって、ウインドーがあって、こういうことになるわけですが、この道路の場合は日方川沿いを通っている。川の隣は日方川が流れている。こういう場所であります。こちら側からは、一部はもう山がかなり近くまで迫っているところもある。この地域でどうしてこんなデラックスな道路なのかと、首をかしげるわけであります。
 この道路は一九八二年に計画をされ、十七年たって事業化されたものです。一九八二年という非常に景気のいい時期──それから十七年たって状況が変わりました。さらに言えば、海南市の日方、大野、藤白をぐるりと回る、壮大なと言えるかどうかわかりませんが、海南市で言えば壮大な道路計画の一部であります。この大野から藤白に至る地域も道路が大変狭くて、一日も早く道路を広げてほしいんです。しかし、求められているのは十八メートルというようなデラックスなものではないでしょう。しかも、この十八メートルの道路ですから、都市計画が決定されたときには、熊野古道をつぶすのかという住民から反対の声も上がったと言います。それが今では、そういう道路計画あるのかということが、行政は忘れていないでしょうけれども、住民からは忘れられたような計画になっています。
 そして、そのぐるっと回る一部分だけが日方川沿いを進んだというのは、現在私が指摘した道路なんです。私は自分が一番よくわかる海南の話をしましたけれども、議員の皆様方の身近にもそんな話はいっぱいあるんではないでしょうか。一たん計画した道路であっても、時代の変化などを見て本当に住民のニーズに合ったものなのか、節々で見直すことが必要だと考えるわけであります。
 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
 第一、日方大野中藤白線という道路計画を幅十八メートル道路として完成させる見通しをお持ちなのか。お持ちだとすれば、一体この道路は何年たったらできるんでしょうか。
 第二に、私は、こうした都市計画公共事業は一たん計画したものでも再評価して、実現可能なものに見直すことが必要だと思っています。公共事業の再評価委員会というものが開かれていますが、どういう場合に再評価委員会にかけられるのか、その基準をお聞きしたいし、またこの日方川沿いの道路などの場合はどうなのか、これもお聞きしたいと思います。
 第三に、再評価委員会は第三者を含んだ再評価ですが、その前にやっぱり行政の担当者が一番問題はわかっていると思うわけで、みずから再評価をして見直すということが必要だと思いますが、どうでしょうか。
 第四番目に、再評価委員会にかけられたときは既に用地の買収が相当進んでいて、いろいろ問題があると思っても今さらやめられないという問題も多々あると思います。事前評価ということも大切ですが、どうなっているのかお聞きしたいと思うわけです。
 二つ目の問題、これも道路の問題ですが、道路の計画ができても地権者の理解が得られないので道路の建設がおくれるという問題であります。
 大変難しい条件をつけられる地権者の方もいらっしゃって、担当者も御苦労なさると思います。しかし、地権者だけを悪者にしてはいけない。実は国土交通省道路局が平成十四年の八月に、今から二年余り前ですが、「市民参画型道路計画プロセスのガイドライン」というものを出しています。その考え方は、行政が道路をつくる場合にまず内部で検討して、この法線、この規模が一番いいんだという結論を出して住民に説得するというこれまでのやり方、そういうやり方ではなくて、幾つもの案を出す、幾つもの案を出した中で、それから選択する段階から、構想段階のプロセスから市民の意見を聞くということがここには書かれています。
 先日、海南市では国道三百七十号阪井バイパスをめぐって議論になっています。海南市の都市計画審議会でいろいろな意見が出されました。普通は都市計画審議会で一つの道路をつくるために何日もかかって議論をするなどということは少ないだろうと思うんですが、この審議会は二日半かかりました。最初午後から開かれて、現地調査を含めて話し合ったが時間が足りなかった、二日目は朝から会議を始めて夕方までやった、それでも課題が残っていて、県の審議会が十二月一日ということがありましたから、とうとう役所休みの土曜日の朝審議会を開いて、そして小委員会を含めて審議会を開いて、附帯意見もつけてやっと当局の案が認められたというのがこの審議会の内容でした。
 道路が必要なことは、異論はありません。このことについては、地域の住民の多数の方も、また都市計画審議会の委員の全員も同じだったと思います。この審議会で問題になったことは、事前に住民の意見を吸い上げてくれていないのではないかという問題でした。構想段階で複数の案を示して市民の意見を聞くということを国土交通省道路局でも示しているのに、なぜ自分の決めた計画を絶対に変えようとしないのか、こういう不満が集中したわけです。
 私は、六月の県会でこの問題を取り上げ、道路を盛り土にするかどうかの問題では、住民の意見に聞くべきものがあると指摘いたしました。平成十三年に住民アンケートが行われているわけですが、そしてそのアンケートをもって県は地元の同意を得ているとしているわけですが、そのアンケートには盛り土云々ということについては一切触れられていません。
 県土整備部長にお伺いいたします。阪井バイパスの計画決定では、明らかに国土交通省が二年前に出したガイドラインは無視されているわけですが、どうしてそういうことになるのかお伺いいたします。
 また、海南市の都市計画審議会でも県の都市計画審議会でも、「環境問題に配慮して」などの附帯意見がつけられました。こうした意見も取り入れながら、住民の合意を今後図るのかどうかについてもお伺いしたいと思います。
 大きな第二番目の問題は、入札・談合、随意契約の問題についてお伺いいたします。
 このたび海草振興局海南工事事務所で平成十年から十一年にかけて起こった談合問題、損害賠償の訴訟を起こすことが提案されています。それは賛成なんですが、私の出身、私の地域で起こった事件でありますので、こうした問題が起こったことは大変残念に思います。
 ところで、こうした談合問題はこのケースだけなんだろうか。もっと普遍的に談合問題があるのではないかと思います。海南で談合が行われたことが明らかになったケースでは、落札率は九九%にもなっています。けれども、当局に資料を提出していただきますと、結構高い落札率もあるわけです。一方、入札方式を改めた長野県では、平均九六%だった落札率が、新しい制度のもとで七五%に下がっています。この方式に改めれば和歌山県でも四十一億円の節約が可能だという試算もあります。全国的にも入札・談合問題改善の声が高まり、全国弁護士会ではこの問題の改善を求めるためのアンケートを全国の都道府県、政令都市に実施しています。しかし、和歌山県ではこのアンケートにお答えになっていないようです。外部監査委員会の報告でもこの落札価格が高いということが指摘がなされています。
 こうした意見を踏まえて、入札問題の改善、談合防止についてどのような取り組みをしているのか、県土整備部長にお伺いいたします。
 一方、監査委員会の報告でも、随意契約の問題で改善が求められているという指摘があります。随意契約ではこれまでどういう問題があったと考えているのか、またどう改善をするのか。これは総務部長の見解をお聞きしたいと思います。
 大きな第三の問題は、市町村合併の問題であります。
 まず、市町村合併にかかわって信じられないような事件、残念な事件が起こりました。美里町で住民投票を求める署名をした住民に、美里町の幹部職員が町長の指示のもとに、どういう気持ちで署名したのかと一人一人に電話したという事件であります。この事件は、市町村合併に賛成か反対か、住民投票に賛成か反対かという問題ではありません。住民の自由な意思表明に町当局が圧力をかけたという人権問題、民主主義の問題であります。市町村合併の問題であれ、福祉の問題であれ、自分の願いを署名に託した個人に対して行政当局から、あなたはなぜ署名をしたのか、共産党の議員に頼まれて署名をしたのか、こういう電話が入るとしたら、住民の意思表明への不当な圧力以外の何物でもありません。
 美里町民の皆さんからは、町当局がやったことへの抗議の声が上がりました。美里町民の人権感覚は健全であります。ところが残念なことに抗議を受けた町幹部職員は、自分がしたことが問題だと思っていないという人権感覚の希薄さであります。もちろん私は、すべての町幹部職員がそうだと思いません。町長に言われたけれども、これはちょっとおかしいなと思って配られた自分の分担分の署名用紙を自分の引き出しにこそっと入れて持っていたと、そういう職員の方も恐らく多かったと思うんですが、しかしかなりの数の町民に電話がかかったわけです。
 どうしてこんなことが起こったんだろう。申しましたように、このことは合併問題でなく人権問題、民主主義の問題ですが、一面では合併できなかったら大変なことになるというようなお話が大変広がっておりまして、町長をこんなことに追い込んだという面もあるのかなという気もいたします。こういう問題が起こったということについて木村知事はどういう感想をお持ちなのか。こんなこと聞かれて迷惑だというふうにおっしゃるかもしれませんが、県民の人権が侵害された問題でありますので、ひとつ御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。
 続いて本来の市町村合併の問題でありますが、市町村合併については日本共産党県議団としましては、市町村合併は住民が決めるという立場から十分に情報が提供され、住民が納得する結論を出すことを求めてきました。合併が決まった市町村もありますが、多くの市町村で合併協議が続けられています。また、合併協議をしたんだけれども条件が折り合わず合併が御破算になったケース、初めから合併が協議されていないケースもあります。
 そうした中で、県下の状況を見ますと、三十六市町村で合併が決まり、合併協議が進んでいますが、十四市町村は合併なしで進むという選択をしております。合併する市町村も合併しない市町村もそれぞれ理由があって、住民が選択した道であり、和歌山県民であります。県はそれぞれの市町村に支援しなくてはならないと思います。
 地域振興基金という積み立ては、その趣旨は文字どおり地域振興でありますから、合併する市町村にも合併しない市町村にもそれなりの支援をする必要あろうと考えるわけですが、これも知事の見解をお聞きしたいと思います。
 最後に、三位一体の改革と教育予算であります。
 三位一体の改革については、知事の状況説明でも、必ずしも思うようになっていない、まだまだ課題があるということのようです。
 私は、前回の議会で国庫負担金削減に義務教育費国庫負担を差し出して大丈夫なのかと申し上げました。知事は知事なりの考えを述べられました。今、その議論を繰り返すつもりはありません。しかし、知事の立場から言っても三位一体の改革が課題を残している中で、このたびの財政改革が本当に教育予算にマイナスにならないのかという点は、多くの県民、教育関係者が心配しているところであります。けさほどからの説明を聞きましても、一層心配になりました。今後、三位一体改革をめぐってはいろいろなやりとりがあるでしょうが、知事は教育予算にしわ寄せすることは絶対しないという決意を改めて表明をしておいていただきたい。しつこいようですが、よろしくお願いします。
 さて最後に、今回の質問で私は、いつもやっている教育長への質問はございませんでしたが、さきの県議会で大問題になった高校再編、海南高校と大成高校の合併問題、大成高校の募集停止問題につきましてはまだまだ大きな課題が残されていますが、しかし五万人の署名に託された保護者、高校生、県民の願いを教育委員会が重く受けとめていただいたことは評価し、今後の課題についてはまた文教委員会でも、いろんな場で議論をしていきたいと思っています。
 以上で、私の第一回目の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、杭州との交流についての感想ということですけれども、今後、日本と中国の関係というのは、経済面、観光面、政治面、軍事の面も含めていろんな面で今まででは考えられないようないろんなプラスの面、マイナス面を含めて関係が出てくると。もう既に出てきつつあるわけです。そういうふうな中で、いろんなチャンネルで中国と交流を図っていって、いろんなことをお互い理解し合うという活動というのは、非常に私は大事なものだというふうに思っております。
 ただその際、やはり日本の国がこういうふうに考えているんだ、こうあるんだということをやっぱり表明するというふうなことも、私自身はこのごろこの中国との関係を考えて非常に大事なことだと改めて思いつつ、当たり前のことと言えば当たり前のことですけれども、そういうような感想をこの問題については持っております。
 それから、美里町の関係でございます。これは、大分報道もされておりました。私どもが知っている範囲では、合併反対の方に、どこにその改善の余地があるのかというふうな気持ちで聞いたというふうなことを聞いているわけですけれども、地域によっていろいろ実情はあるし、一般的なことは言えませんけども、個人的な感想としては、一般論としては、住民の人がいろいろ投書したり、それからこの場合は署名したというふうなことについて、何か特別に個別にどういうふうな気持ちでしたんかというようなことを行政側から聞かれたら、やはりびっくりするだろうというふうなこともあるし、そういうことで自由な意思の表明ということが阻害されるというふうなことがあってはならない、このように私は思っております。
 それから三位一体の改革ですけども、これは先ほど申し上げたんですが、教育については、義務教育も含めてもう今自治体の事務というふうにちゃんと決まっているわけです。そういうふうな中で、お金についてもやはり自由にやっていこうというふうなことを求めて今回のことが行われたわけで、私は、仮に補助金がなくなったからといって自治体が義務教育をおろそかにするというふうなことは決してあり得ないし、またあってはならないことだというふうに思っております。
 教育は非常に難しいことで、つい昨日も日本の生徒の学力が世界的に見て下がっているというふうな問題が出ていました。これはゆとり教育というのを文部科学省が進めて、その結果とは言いませんけれども、そういうふうなことが出ているんで、やはり国として一定の学力を持った子供を育てていくということは私は大事なことで、これをある程度全国的な基準でやっていくということが必要なことは、これはもう言うまでもないことなんだけども、そういうふうな中で、地方自治体がやはり責任を持ってやっていくという観点から自由度を高めていくというふうなことですので、決して教育予算を削ろうとかそういうふうな、まあ言ってみればさもしい考えでこういうふうな主張を行っていることではないということを御理解いただきたい、このように思います。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、道路問題のうち公共事業再評価と行政による公共事業の見直しについてでございます。
 例として出されました日方大野中藤白線は、延長三・九キロメートル、幅員は将来の土地利用を考慮した十八メートルで、海南市街地の商業系及び住居系地域を通過する環状道路として都市計画決定された道路でございます。現在、このうち日方付近の一・二八キロメートルを平成十一年度から事業中であり、当面はこの箇所の重点的な進捗を図ってまいりたいと考えております。
 次に、公共事業再評価委員会に諮る基準といたしましては、和歌山県公共事業再評価実施要領に五点定められております。一点目は事業採択後一定期間が経過し未着手の事業、二点目は事業採択後長期間が経過し継続中の事業、三点目は準備計画段階で一定期間が経過している事業、四点目は再評価実施後一定期間が経過している事業、五点目は社会情勢の急激な変化、技術革新等により再評価の実施の必要性が生じた事業であります。なお、一定期間とは五年間、また長期間とは道路事業の場合、十年間でございます。
 一方、日方における事業は現在事業化後六年目であり、十年を経過しておらず、再評価の対象としなかったものでございます。
 また、日方川に沿った箇所につきましても、当該地域の用途が住居系地域であるとともに、沿道には中学校などもあり、今後の地域の発展や交通安全等を考慮すれば歩道等の連続性を確保し、幅員は十八メートル必要であると考えております。
 次に公共事業事前評価についてでございますが、公共事業の着手に当たっては、これまでも幅員、断面構成などの事業内容、事業効果、事業の重要性、緊急性等、事前に内部で検討を行ってまいりました。なお、より広いさまざまな観点から事業内容を検討し、広く県民の皆様に御理解いただくため、現在、公共事業事前評価システムの構築に取り組んでおります。新規採択の理由、根拠などがより明確になるよう評価内容を公表するなど、県民の皆様への説明責任を果たし、透明性のある公共事業の推進を目指してまいります。
 いずれにいたしましても、今後とも限られた予算の中で、効率的、効果的に事業が進められるよう努力してまいります。
 次に、道路問題のうち「市民参画型道路計画プロセスのガイドライン」についてでございます。
 国の「市民参画型道路計画プロセスのガイドライン」につきましては平成十四年八月に策定されたもので、東京の外郭環状道路などのような高規格幹線道路など大規模な事業のもので、構想段階において適用するものとされております。
 延長約二・五キロの阪井バイパスにつきましては、このガイドラインが策定された平成十四年当時には既にルートを地元に提示するなど具体的な計画段階に至っていたことなどから、本ガイドラインは適用しておりません。しかしながら、ルート検討段階において平成十一年と十三年には関係自治会に説明をし、平成十三年には自治会がバイパスの必要性、ルートの是非についてアンケートを実施し、その結果多数の賛成を得られたところであります。
 また、今回の都市計画決定に際しましては、平成十五年十二月から各関係自治会十地区において地区ごとに事前説明会を開催するとともに、四月には法定の説明会を開催し、十月には都市計画案の縦覧を行い、住民の方、海南市長などさまざまな方々の御意見をいただき、この十二月一日、和歌山県都市計画審議会で審議されたところでございます。
 国道三百七十号の阪井地区につきましては早期整備が必要と考えておりまして、今後、事業実施に当たりまして、都市計画審議会の意見を踏まえ、さらに地域住民の方と詳細な構造等について十分な協議を行い、環境に配慮し、進めてまいりたいと考えております。
 なお、市民参画型道路プロセスにつきましては、今後その必要性がますます高まると予想されますので、国のガイドラインを参考に検討してまいります。
 次に入札改善、談合防止についてでございますが、和歌山県では「公共事業等の入札及び契約手続改善策方針」を平成十四年五月に策定し、改善に取り組んでおります。具体的には、透明性の確保のため、予定価格等の事前公表や入札監視委員会の設置を行いました。公正な競争の促進のため、指名業者数の拡大や指名業者の非固定化、対象地域の拡大などを行いました。また、談合その他不正行為の排除のために、損害賠償予約条項や解除権の契約書への明記、工事費内訳書の提出の義務づけを行い、さらに本年六月には指名停止基準の明確化及び指名停止措置の強化などの施策を実施してまいりました。その結果、落札率につきましては、平成十三年度の九四・八%から十四年度には九一・七%に下がり、御指摘の日本弁護士連合会の調査結果に当てはめれば全国で七位の低さとなっております。
 今後、さらに談合等の不正行為防止策の強化や公募型指名競争入札の拡大など公正な競争の促進等の検討を行い、引き続き入札契約制度の適正化に努めてまいります。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 随意契約についてお答えを申し上げます。
 随意契約は、地方自治法上、限定的、例外的な契約方法でありまして、要件に該当する場合でも、その趣旨を踏まえて慎重に検討しなければならないものと考えております。
 今回の監査委員からの意見は、業務委託について随意契約の要件を満たしているものでも、経済性、透明性、公平性を確保する観点から契約方法の見直しを検討すべきであるというものでありますが、実際、長年にわたり随意契約で行っていた業務委託に入札を導入した結果、契約額が安くなったというような例もございます。
 この意見を踏まえまして全庁的に取り組む必要があると考えており、その一環としてより経済性、透明性、公平性を持った契約のあり方についてワーキングを行うとともに、現在進めております予算編成作業でも各部局に対し、こうした観点から契約事務を見直すよう強く指示しておりまして、平成十七年度における予算の執行過程でこれらを生かしてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 合併する市町村にも合併しない市町村にも支援をということをお聞きしたんですが、その点が今抜けておるんじゃないでしょうか。
○議長(小川 武君) 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) どうも失礼をいたしました。これ、失念いたしておりまして。
 合併につきましては、当然のことながら、今合併で努力されて合併の方向へ持っていかれた市町村、こういうふうなところには交付金とかいろんな制度で県の方も支援していくというふうなことになっているわけでございますけれども、当然、自治体の判断として合併せずにいこうというふうになったところについても、別にそのことによって何か特定の不利益を得るというふうなことにはならないわけで、ひとしく県民の人が住んでいる市町村ですから、県の方としては最大限の努力でそういうふうなところが、厳しくはなってくると思いますけれども、そういうふうな厳しい財政状況の中で成り立っていくようないろんな協力ということをするのに、もちろんやぶさかではないということでございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 要望と再質問を申し上げます。特にどうしてもという点に絞ってやります。
 まず、県土整備部長の答弁に対して要望でありますが、本当につくってほしい道路を早くという、この原点に常に立ち返る必要があるんではないかというふうに考えているわけです。そのために再評価委員会とか事前評価とかいろんなことから聞いてみたわけですが、私の中心点はそこにあります。
 しかし、道路行政の担当者は、計画された道路を早くつくる、立派につくるということが仕事でありますから、どうしてもそこからしか見るわけにはいかない。だから、その道路の問題が、その状況、時代の変化に合わせて本当に必要な道路を早くという観点からどうなのかということを大局的にチェックするシステムが必要だというふうなことを考えるのが私の考えです。
 先ほど私は、一九八二年に熊野古道をつぶすのかという話が大野藤白の道路の問題で出たということを申し上げたんですが、例えば熊野古道という問題についての行政の側の感度というのは、恐らく一九八二年と、そしてこの世界遺産に登録された今日とでは相当変わっているでしょう。恐らく今また財政状況も相当変わっています。今もう一度線を引き直すとしたら相当変わったことになるんではないかというふうに思っています。
 きょうの答弁で、県土整備部長からこれ以上答弁を求めるのは無理だと思います。もう少しそういう点は、知事を含めて大きなところで考えてもらうほかはないので。しかし、きょうはこれ以上申し上げませんが、今後十分ひとつ検討課題にしていただきたいと思います。
 次に、阪井バイパスについての問題であります。
 よく事前の説明として、平成十三年に説明をし、概略のイメージを示して、そして結果、多数が賛成したというふうによく言われるわけですが、しかしそういうことをよく言われますけども、そう言われたんでは、都市計画審議会に対して意見を言ってきた住民の皆さんが悪者になってしまう。そのとき示されたイメージ図というのは、現在示されているルートとはかなり大きくかけ離れていますし、問題になっている盛り土については何も表示されていなかった。そういう情報しか住民に与えずにこのアンケートへ賛成したではないかと言われると困るということは、まず申し上げておきたいと思います。
 しかし、都市計画審議会が終わった今の段階で、これ以上その前の問題を、あのときこうやったではないか、どうやったではないかと言うても、これは建設的でありませんから、今、「事業実施に当たっては地域住民の方と十分協議を行い」というふうに答えていただいていますから、このことを本当にやっていただきたいということをお願いします。
 ただ、その点で、一点だけ再質問します。
 それは、「海南市長、県都市計画審議会の意見を踏まえ」というふうに言われているわけですが、海南市長の意見では「環境面等において十分配慮」ということは言われています。これは海南市の都市計画審議会でもつけられた附帯意見ですし、県の都市計画審議会でもつけられた意見だというふうに思っています。この「環境面で十分配慮し」という文言が加わったのは、盛り土にした場合に地域が分断される、日陰になる、騒音被害が大きいなど、盛り土にした場合にかかわって論議された結果つけられた附帯意見だというふうに理解されますが、そういう理解でよろしいでしょうか。そのほかにも「環境面において十分な配慮」ということの中身があるのだったらお示しいただきたいと思います。これが再質問であります。
 以下、要望でありますが、入札問題については、幾つか要望を申し上げます。
 改革は一朝一夕にはいきませんが、透明性の確保と公正な競争の促進へ一層の努力を求めていきたいと思います。全国で入札改革では先進的と言われる自治体でも試行錯誤の連続のようです。今お答えいただいた内容では前向きの姿勢はうかがうことができるわけですが、一般競争入札を行う工事金額は、他の先進県に比べてみると決して低くはないなと。改革の余地はまだ残されていると思います。また、競争によって落札率が下がったときに品質が保たれるのか、あるいは下請企業への経営の影響などはどうかなどの検討が必要です。幾つか必要なことがあると思います。
 この問題で提言している研究者の意見の中には、例えば低価格調査制度では、ダンピングを防ぐだけではなくて下請業者への発注価格が適正かどうかなども含めて調査するように改革が必要ではないかという、そういう提言もございます。あるいは、入札するときに工事内訳書に下請業者名を書くように求めるとか、分離分割発注を促進するなど、工夫次第でいろいろな施策をとることは可能ではないかと考えます。あるいは、企業の側に法律違反があったと確定したときなど県が契約を解除できるわけですが、その際の違約金は和歌山県では請負金額の一〇%です。幾つかの県では二〇%としている。こういうことも検討に値すると思います。こういう問題も含めて、ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思います。
 以上で、二回目の質問を終わります。
○議長(小川 武君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 阪井パイバスの環境への配慮といたしましては、沿道の生活環境、交通環境や例えば盛り土部の周辺の環境、景観などについて配慮すべく、例えば低騒音舗装にするとか、必要な植栽や緑化を施すなど、いろいろと検討していきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、地元の皆様とも十分協議しながら事業を進めてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 住民の皆さんとよく話し合ってということで、それでいいと思うんですが、やはり特にこの環境の問題で言うと、盛り土の問題が大きな議論になると。したがって、平面交差か盛り土かというこういう問題を含めて、ひとつ十分検討していただきたいということを要望として申し上げておきます。
 終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十七分休憩
     ─────────────────────

このページの先頭へ