平成16年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(谷 洋一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第百三十五号から議案第百三十八号までは、職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第一、議案第百三十四号から議案第百六十九号まで、並びに知事専決処分報告報第十四号から報第十九号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十二番谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 おはようございます。
 十二月定例会のトップバッターとして一般質問の機会を与えていただきました先輩並びに同僚の議員の皆様に、感謝申し上げます。
 議長の許可をいただきましたので、ただいまより質問をさせていただきます。
 本県が直面している重要課題である財政問題、世界遺産、災害問題の三点について質問させていただきます。
 まず、このたび新潟県中越地震並びに台風二十三号などの豪雨災害により亡くなられた方々とその御遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げますとともに、被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 最初に、三位一体の改革と平成十七年度当初予算編成についてお尋ねいたします。
 去る十一月二十六日、政府・与党から三位一体の改革の全体像が発表されました。その主な内容でありますが、まず国庫補助負担金改革については平成十七年度及び平成十八年度予算において三兆円規模の廃止・縮減を行い、税源移譲については平成十六年度分を含めておおむね三兆円規模を目指し、この税源移譲は所得税から個人住民税の移譲によって行うものとし、個人住民税所得割の税率をフラット化することを基本として実施することとされています。また、焦点となっていた義務教育国庫負担金については八千五百億円の削減、うち十七年度分は四千二百五十億円とされています。さらに、費用負担についての地方案を生かす方策を検討するとしながらも義務教育制度は国の責任を引き続き堅持する、来年秋までに中央教育審議会において結論を得るとの表現も盛り込まれており、結局、金額だけを決め、制度の中身をどう変えるのかよくわからないわけであります。
 社会保障関係では、国民健康保険については地方への権限移譲を前提に都道府県の負担を導入するとなっています。生活保護については、事前に補助負担率が引き下げられるとの情報もありましたが、児童扶養手当とともに平成十七年度中に検討するとされています。生活保護費や児童扶養手当、国民健康保険に関しては、そもそも格差なく国による統一的な措置が望まれるものであり、地方団体には全くその裁量の余地がないものと考えられ、地方分権の推進にはつながりません。それゆえに地方六団体が提出した国庫補助負担金の改革案では、わざわざ廃止を提案しないものとしているものです。私は、これらが今回の削減対象、または今後の検討対象になっていることについて、やや疑問を感じているものであります。
 また、公共投資については、例えば一・五車線道路の実施のように、地方公共団体が最も創意工夫を発揮できる分野であると考えられますが、それらは税源移譲の対象にせずに、かわりに補助金の交付金化が明記されています。交付金は補助金に比べて使途の制限が緩く、地方の裁量拡大にはなるという側面はありますが、その配分権限は依然として中央省庁に残りますので、これも地方分権の推進にはつながりません。
 一方、地方交付税については、平成十八年度までは地域において必要な行政課題に対しては適切に財源措置を行い、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税の一般財源の総額を確保するとされておりますので、私はこれで一安心だと思ったのですが、続いてその後の文章で、「国・地方の双方が納得できるかたちで歳出削減に引き続き努め、平成十七年度以降も地方財政計画の合理化、透明化を進める」と書かれています。この部分だけ取り上げますと、やはり地方交付税は削減されるのかと思ったりもいたします。そして、依然として谷垣財務大臣は、七、八兆円の交付税削減を主張しているのであります。今年度の例を出すまでもなく、地方交付税の削減は地方に大きな影響を与えるものです。県財政ももちろんのことですが、市町村財政のことも心配であります。
 このことに関連しまして、去る十一月十日、県は「谷垣財務大臣の経済財政諮問会議提出資料に基づく和歌山県内市町村の地方交付税等の削減額試算」を発表しています。それによりますと、来年度から二年間で地方交付税が七、八兆円削減された場合、県内市町村の地方交付税は、平成十五年度と比べ、額にして四百二十七億円のマイナス、率にして三四・五%の削減になります。そして、四十九市町村中、四十三市町村で削減額が標準財政規模の二〇%を超え、基金取り崩し等の対処がない場合は財政再建団体に追い込まれるという非常に危機的な状況になっています。
 私は、こんな削減案は余りにも現実離れしていると感じていますが、もし実現されると市町村の存亡に係る看過できない問題であると憂慮しています。それゆえに地方交付税の取り扱いについては、いかようにでも解釈できる文章ではなく、もっと簡単明瞭にすべきではないのかと考えています。
 以上のように、今回の全体像を改めて見直してみますと、政府から取りまとめを依頼されて全国知事会や全国議長会がつくり上げた地方六団体の改革案というものが、果たしてどの程度反映されているのか疑問を生じるところであります。
 特に地方交付税については本県の最も重要な歳入であると認識しており、三位一体の改革を進める上で生じる不都合な部分、例えば税源移譲される額が削減される国庫補助金額より小さくなる場合はそれを調整するという重要な機能を持っていると考えていますので、今回の全体像にある地方交付税の部分に不安を感じています。このままでは、結局、中央省庁の思うがままに地方へ負担がやってきて、本県や県内市町村のような決して財政力が強いとは言えない自治体にとって非常に厳しい状況になってしまわないか、憂慮しているところであります。
 そこで、知事は今回の全体像についてどのように評価されているのか、お伺いをいたします。
 また、こうした三位一体の改革を受けて、知事は平成十七年度当初予算編成をどのように行うつもりなのか、知事の基本的な考え方をお聞きいたします。
 次に、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録後の取り組みについてお尋ねいたします。
 登録後、観光客が急激にふえるなど、世界遺産効果が如実にあらわれてきています。県観光局の調べによりますと、高野・熊野地域の世界遺産の主な登録地において、この夏、七、八月の来訪者は前年に比べ約二十万人多い二五・四%の増加となっています。また、那智勝浦町を例にとると大門坂を歩かれる人が昨年に比べて約五倍にもふえるなど、驚くべきにぎわいを呈しているのであります。これは、七月の登録前後に全国のマスコミから大きく取り上げられたこともあると思いますが、世界遺産というネームバリューが多くの人々の注目を集めた結果であろうと考えています。改めて世界遺産のすごさを感じるのであります。昨今の決して明るいとは言えない社会情勢の中で、こうした状況は和歌山県にとって本当にうれしいことであり、まずは県民で喜ぶべきところであると思います。
 さて、明るい話題はひとまずとして、世界遺産登録が行われた以上、ここで改めて注意を払っていかなくてはならないことがあります。余りにも多くの観光客が訪れることで、ごみが散らかされたり、観光客を見込んだ店舗や広告、看板等の過剰な増加などにより、周辺の環境や景観が破壊されていくことになりはしないでしょうか。また、周辺の環境だけでなく、熊野古道の路面が荒れたり、世界遺産そのものの価値が薄れていくことはないでしょうか。
 私は、世界遺産登録を一時のブームだけに終わらせることなく、かつ世界遺産の目的である将来への遺産の継承とその価値を保っていくことを念頭に置き、行政がリーダーシップをとりながら必要な施策に取り組んでいくことが重要であると考えています。
 平成十六年度当初予算においては、世界遺産関連事業として三十六事業、約十六億円の予算措置が行われ、また世界遺産登録を受け、さらに二億円余りの事業が九月補正予算として計上されたところであります。つきましては、こうした世界遺産にかかわる事業のおおむねの進捗事業に加え、特に九月定例会で予算化された和歌山県世界遺産条例案策定の状況、和歌山県世界遺産センターの設置についての方向や進め方などもあわせ、世界遺産をいかに守り、いかに和歌山の発展に向け役立たせていくかについて、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 最後は、災害問題についてお尋ねいたします。
 去る十月二十三日十七時五十六分、新潟県中越地方においてマグニチュード六・八、震度七の直下型地震が発生し、その後も震度六強を含む余震が頻繁に起こり、長岡市、小千谷市、川口町、山古志村を中心に建物倒壊、道路寸断、土砂崩れなど、甚大な被害をこうむりました。新潟県中越地震災害対策本部が十一月二十六日に発表した被害状況によりますと、人的被害が死者四十名、重軽傷者二千八百六十一名、住家被害は全壊二千六百九十七棟を含め約八万五千棟、そのほかの建物の被害も七万五千棟余りに上っています。また、道路、河川などの土木施設の被災は、道路施設六千六十二カ所や河川施設二百二十九カ所を初め、がけ崩れも四百四十二カ所で発生しています。特に高速道路を初め生活道路の寸断によって多数の地区が孤立し、山古志村では全村避難を余儀なくされ、現在でも十四地区を含め二十地区の集落は陸路を遮断されており、テント生活等の避難生活も強いられています。さらに、電気、水道、ガスのライフラインにも甚大な被害があり、いまだに復旧しておりません。
 連日、テレビや新聞等マスコミで中越地震のことが報道される中で、信濃川沿いの県道を主婦皆川貴子さん母子三人が長岡市から自宅のある小出町に帰る途中に、道路の斜面が大崩落を起こし、車ごと土砂と岩石と一緒に川に押し流され行方不明になっていましたが、四日ぶりに車が発見され、余震の続く中、レスキュー隊の献身的な救出活動により、長男の優太君が奇跡的に救出されました。このことは、私たち国民に勇気と感動を与えてくれました。この奇跡の救出劇を生み出したのは、東京消防庁のハイパーレスキュー隊と地元の消防隊員など、多くの方々による命がけの努力の結果であります。聞くところによりますと、この東京消防庁のハイパーレスキュー隊は阪神大震災を教訓にして一九九六年に創設されたそうで、今回の件はその成果を遺憾なく発揮されたと思います。阪神大震災後、行政における防災対策も着実に進んでいるとの印象を受け、国民の一人として頼もしく感じています。
 これから本格的な冬の季節を迎え、被災された方々にはさらに雪との闘いもありますが、力を合わせて復旧に向け頑張っていただきたいと心より願っています。
 このように中越地震の被害状況を見ておりますと、本県にとっても人ごとのようには思われません。近い将来起こると想定されている東南海・南海地震に対して、特に紀南地方では地震の揺れに加え、津波により道路が寸断され、孤立地域がいっぱい出るのではないかと心配しています。
 また、本年は台風や集中豪雨による災害が例年になく多い年でした。気象庁の発表では、台風の年間平均の発生数は二十六・七個で、そのうち上陸数は二・六個となっていますが、本年は現在までで発生数二十七個、上陸数十個となっています。発生数は平年並みですが、上陸数は平年の四倍にもなっており、過去五十五年間で最多となりました。特に台風二十三号の被害は、ことし本県で最大であったと聞いています。被害施設に近接する県民の方々にとって安心して日々の生活が過ごせるためにも、早期復旧が望まれているところです。
 そこで、県内道路網の地震対策はどうなっているのか、国道四十二号線の代替として高速道路の南伸はぜひ必要ではないか、本年の道路、河川、港湾などの土木施設の被害状況と復旧事業の今後の見通しについてはどうなっているのか。以上三点について県土整備部長にお尋ねいたします。
 また、農林水産関係につきましても、六月下旬に台風六号が紀北地方を襲い、農家の皆さんが丹精込めて育て、これから収穫しようとした桃が何千トンも風で落とされ、大きな被害が出たのを初めとして、県内農林水産業に被害を与えた台風は八個に上り、大きなつめ跡を残しました。農作物では、桃だけでなくカキやミカンの枝が折れたり、こすれて傷がつき品質が落ちるなど、出荷できないものもたくさんあったと聞いています。さらには、植えつけたばかりの野菜が水につかったり、強風によってビニールハウスが壊れたり、農家の皆さんの落胆は大変なものであったと推察するところであります。
 また、台風二十三号では、防波堤を破壊するぐらいの波が漁港を襲い、漁協などの建物や漁船、魚の養殖施設などが壊され、今なお後始末に苦労されている漁業関係者の皆さんの心情を察すると大変心が痛みます。山林におきましても、県内各地で風倒木や山崩れなどの被害があったと聞いています。
 県では六月以降速やかに対策を講じ、農家等の支援に尽力されていると思いますが、農林水産関係の被害と、その対応状況について農林水産部長にお尋ねいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございます。
○議長(小川 武君) ただいまの谷洋一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革についての見解ということでございますけれども、ご案内のように、一応三兆円規模の税源移譲と一定の補助金の廃止削減、そしてまた一般財源の総額確保ということが漠然とは書き込まれたわけでございますけれども、基本的な地方分権を進めるというふうな理念が余り感じられない内容であるというふうなことを思っております。
 一つずつ申し上げますと、例えば補助金の削減につきましては、御質問の中にもありましたように、生活保護について今回ははっきりとは見送られた形にはなったんですけども、来年中に補助率の引き下げみたいなことも含めて結論を出していくというふうなことが書かれているわけですし、そして国保については、今はない都道府県の負担というものが入ってきた。これはもともとそういうふうにしたいと国の方が考えていたことなんで、これも分権の役に立つというふうなことではございません。
 そしてまた、税源移譲について言えば、三兆円とは書いてありますものの、今年度行っている分も含めてということで、初めは外計算というふうなことで考えていたのがそういう形で規模が少なくなっているということもあります。
 そして、和歌山県とか県下の市町村に一番心配な交付税の問題については、ただいま申し上げましたように、一般財源の総額を確保するというふうには書いてあるものの、交付税の算定に当たってはいろいろ不要な要素というふうなものもあるので、そういうふうなものは見直していくんだというふうなことが書いてあるんで、予断を許さない状況。
 昨今の新聞を見ましても、例えば地方公共団体の給与がこういうふうに高いというふうなことで削減余地があるんだとか、結婚奨励金を出したりしているようなことがけしからんと、そういうふうなことで交付税を減らしていこうという意図というふうなものがほの見えるというふうなことで、この点もなかなか油断できるような状況ではないというふうなことですので、いずれにいたしましても、ああいう方針は出たものの、これからも県の財政運営、そしてまた県下の市町村の財政運営に支障を来すことのないような形で注意深く見守り、また必要な意見は言っていく必要があると、このように考えているところでございます。
 さらに、そういうふうなものを受けての来年度の県の予算編成はということでございますけれども、今も申し上げましたように、補助金をどうしていくのかということの姿というものが細かいところまでは見えないというふうなことがあります。それから交付税についても、どういうふうになっていくのかはっきりしたことは──総額は確保するとは言っているものの、どんな形になって、個別の団体にどういう額で来るかということについてはまだわからないというふうな状況で、非常にいつもの予算編成と比べて難しい、歳入の見積もりについて難しい面があるんですけれども、先般作成いたしました財政改革プログラム、これには交付税は少し下がるというふうな前提のもとにいろんな見直しということを行っておりますので、それを基本に予算編成を行い、さらにそういうふうな中ではあるけれども、やはり予算の重点化ということを図って県勢の伸展もあわせてねらっているというふうな形で今は予算の作業を進めているところでございます。
 次に世界遺産登録についてでございますけれども、世界遺産登録の効果は、観光面等について予想以上の成果が出ております。単純な観光客の増もございますが、そのほかにもいろいろ、例えばタクシーの需要がふえたとか、町を歩いている人の数がもう目に見えてふえたとか、いろんなことで地域の活性化の効果が上がっているというふうに思いますけれども、御質問の中にありましたように、まず一つは、ことしが指定された年なのでブームになるのは当たり前と言えば当たり前のことで、来年度以降どういうふうになっていくかというふうな問題が一つあります。そしてまた、たくさんの人が来たがために逆に環境が荒らされるというふうなことの中で、本来高野山、そしてまた熊野というふうなものが持っている魅力が減殺されていくというふうなおそれも非常にあるわけです。
 そういうふうな中で一つ好ましいのは、地域において、例えば熊野川を利用して船で観光客を遊覧させるような仕組みを地元の方で考えていこうというふうな動きが出てきたり、それから大辺路を自分たちで切り開いて整備していこうというふうな住民の人の積極的な動きが出てきたりしていること。こんなふうないろんないい面がありますので、ぜひこの世界遺産登録の効果──これ効果があるということがわかって、日本全国でみんな世界遺産にしたいというふうな動きが出てきているというようなことがこの間の新聞にも出ていましたけども、和歌山がある意味では先鞭をつけたわけですから、そういうようなことの名に恥じないようにしていかないといかん。
 そのためには、指定後のいろいろな変化ということも考えの中に入れて世界遺産の条例というふうなものをつくっていくということが非常に大事だと思います。これは日本で初めてというふうなことにもなりますので、力を入れて、そしてこの地域に合ったような条例をつくっていかないといかんと思いますし、それからまた来た人が高野とか熊野とか、世界遺産というものについて本当に理解できるというふうな仕組みも大事なので、世界遺産センターを今、本宮町につくろうということでいろいろ進んできているわけでございますけども、これも形だけのものにするんじゃなく、本当に世界遺産というものの今後の発展ということに資する内容のものにしていきたい、このように考えているところでございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 災害問題について三点お答え申し上げます。
 まず、県内道路網の地震対策についてでございます。
 地震発生後には復旧・復興物資等の迅速な輸送を確保するために緊急輸送道路を早急に確保する必要があり、その耐震性能の向上が重要であります。
 現在、県内には緊急輸送道路にかかる十五メートル以上の橋梁が四百二十五橋あります。そのうち、昭和五十五年以前の古い設計基準でつくられた橋で、主に県土の骨格となる第一次緊急輸送道路にかかる特に対応が必要な百十五橋について、本年度当初から十年間で耐震化対策を図っているところでございます。当面三年間で、津波の被害を大きく受けると予想される国道四十二号の田辺市から新宮市間の代替となる国道三百十一号や百六十八号を中心とした道路、また震災時に重要な防災拠点と直轄国道等を連絡する道路等にかかる十九橋を重点的に整備を行ってまいります。本年度は国道百六十八号の相賀橋、国道三百十一号の蕨尾橋、曽根橋、和歌山港線の港橋など十二橋の耐震化対策を行っております。また、のり面強化につきましても、第一次緊急輸送道路上で対策が必要とされる九十九カ所を重点的に進めております。
 なお、本年度は国道百六十八号の熊野川町、国道三百十一号の中辺路町等の整備を行っております。
 次に、高速道路の南伸の必要性についてでございます。
 東南海・南海地震では、地震・津波により紀南地方で海岸沿いの唯一の幹線道路である国道四十二号が多くの箇所で寸断され、沿線集落の孤立化が懸念されています。今回の新潟県中越地震の状況を参考にいたしましても、被災直後には緊急車両の通行や緊急物資輸送のためのルート確保が復旧・復興に際して極めて大きな役割を果たすこと、特に高速道路の耐震性能の高さとネットワーク機能の重要性が改めて認識させられたところでございます。紀伊半島においても、耐震性能の高い高速道路によるネットワークを一日も早く完成させることが何よりも重要であると改めて考えさせられたところでございます。
 十一月十六日に三重県とともに東京で近畿自動車道紀勢線建設促進協議会の総会を開催した際にも、多くの方々が高速道路の防災対策上の必要性について強く訴えられたところでございます。今後とも国に対し、紀伊半島一周の高速道路の早期整備を強く働きかけてまいります。
 最後に、土木施設の被害状況と復旧事業の今後の見通しについてでございます。
 本年は、全国的に例年になく異常気象に見舞われました。本県においても十一月末現在で台風が六回直撃するとともに、豪雨が五回、大きな地すべりが二回となっております。これらによる県土整備部関係の公共土木施設の被害は、県、市町村合わせて道路で百二十九カ所、約二十六億円、河川・海岸等で百九カ所、約二十四億円、港湾・漁港で九十一カ所、約六十四億円、合計三百二十九カ所、約百十四億円の被害が発生しております。これらの復旧事業の見通しにつきましては、一部は既に工事着手しておりますが、残りの箇所についても国の災害査定を経て早期に着手し、一日も早く復旧できるよう取り組んでまいります。
○議長(小川 武君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 農林水産関係の被害とその対応状況についてでございますが、本年度のたび重なる台風等による被害総額は約八十五億円でございます。その内訳といたしましては、農作物など農業関係が約六十三億円、農地関係が約十億円、林業関係が約七億円、水産関係が約五億円でございます。このため、県単独事業により果樹の改植や廃プラスチック処理などの助成を行うとともに、緊急融資対策として低利の融資制度を創設したところ、十一月末現在、四百十一件、約七億円の申し込みがあり、農家の経営安定に活用いただいているところでございます。また、共済金の支払いについては、円滑な損害評価の実施を指導しましたところ、梅につきましては年内の支払いが確定し、その他の果樹や水産関係につきましても、国等の審査事務が終了次第、順次支払われる見込みでございます。
 なお、農地や山林の災害復旧事業につきましては、林業関係は国の査定がすべて終了し、農地関係も年内をめどに国との協議を進めているところであります。国の査定が終了したものから順次復旧工事に着手しているところでございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、谷洋一君の質問が終了いたしました。

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