平成16年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十六年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
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議事日程 第二号
 平成十六年十二月八日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三十四号から議案第百六十九号まで、並びに報第十四号から報第十九号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百三十四号から議案第百六十九号まで、並びに報第十四号から報第十九号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       前   川   勝   久
     二十六番       山   下   大   輔
     二十七番       木   下   善   之
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      白   原   勝   文
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課副主査     楠   見   直   博
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      中   尾   祐   一
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  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第百三十五号から議案第百三十八号までは、職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第一、議案第百三十四号から議案第百六十九号まで、並びに知事専決処分報告報第十四号から報第十九号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十二番谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 おはようございます。
 十二月定例会のトップバッターとして一般質問の機会を与えていただきました先輩並びに同僚の議員の皆様に、感謝申し上げます。
 議長の許可をいただきましたので、ただいまより質問をさせていただきます。
 本県が直面している重要課題である財政問題、世界遺産、災害問題の三点について質問させていただきます。
 まず、このたび新潟県中越地震並びに台風二十三号などの豪雨災害により亡くなられた方々とその御遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げますとともに、被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 最初に、三位一体の改革と平成十七年度当初予算編成についてお尋ねいたします。
 去る十一月二十六日、政府・与党から三位一体の改革の全体像が発表されました。その主な内容でありますが、まず国庫補助負担金改革については平成十七年度及び平成十八年度予算において三兆円規模の廃止・縮減を行い、税源移譲については平成十六年度分を含めておおむね三兆円規模を目指し、この税源移譲は所得税から個人住民税の移譲によって行うものとし、個人住民税所得割の税率をフラット化することを基本として実施することとされています。また、焦点となっていた義務教育国庫負担金については八千五百億円の削減、うち十七年度分は四千二百五十億円とされています。さらに、費用負担についての地方案を生かす方策を検討するとしながらも義務教育制度は国の責任を引き続き堅持する、来年秋までに中央教育審議会において結論を得るとの表現も盛り込まれており、結局、金額だけを決め、制度の中身をどう変えるのかよくわからないわけであります。
 社会保障関係では、国民健康保険については地方への権限移譲を前提に都道府県の負担を導入するとなっています。生活保護については、事前に補助負担率が引き下げられるとの情報もありましたが、児童扶養手当とともに平成十七年度中に検討するとされています。生活保護費や児童扶養手当、国民健康保険に関しては、そもそも格差なく国による統一的な措置が望まれるものであり、地方団体には全くその裁量の余地がないものと考えられ、地方分権の推進にはつながりません。それゆえに地方六団体が提出した国庫補助負担金の改革案では、わざわざ廃止を提案しないものとしているものです。私は、これらが今回の削減対象、または今後の検討対象になっていることについて、やや疑問を感じているものであります。
 また、公共投資については、例えば一・五車線道路の実施のように、地方公共団体が最も創意工夫を発揮できる分野であると考えられますが、それらは税源移譲の対象にせずに、かわりに補助金の交付金化が明記されています。交付金は補助金に比べて使途の制限が緩く、地方の裁量拡大にはなるという側面はありますが、その配分権限は依然として中央省庁に残りますので、これも地方分権の推進にはつながりません。
 一方、地方交付税については、平成十八年度までは地域において必要な行政課題に対しては適切に財源措置を行い、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税の一般財源の総額を確保するとされておりますので、私はこれで一安心だと思ったのですが、続いてその後の文章で、「国・地方の双方が納得できるかたちで歳出削減に引き続き努め、平成十七年度以降も地方財政計画の合理化、透明化を進める」と書かれています。この部分だけ取り上げますと、やはり地方交付税は削減されるのかと思ったりもいたします。そして、依然として谷垣財務大臣は、七、八兆円の交付税削減を主張しているのであります。今年度の例を出すまでもなく、地方交付税の削減は地方に大きな影響を与えるものです。県財政ももちろんのことですが、市町村財政のことも心配であります。
 このことに関連しまして、去る十一月十日、県は「谷垣財務大臣の経済財政諮問会議提出資料に基づく和歌山県内市町村の地方交付税等の削減額試算」を発表しています。それによりますと、来年度から二年間で地方交付税が七、八兆円削減された場合、県内市町村の地方交付税は、平成十五年度と比べ、額にして四百二十七億円のマイナス、率にして三四・五%の削減になります。そして、四十九市町村中、四十三市町村で削減額が標準財政規模の二〇%を超え、基金取り崩し等の対処がない場合は財政再建団体に追い込まれるという非常に危機的な状況になっています。
 私は、こんな削減案は余りにも現実離れしていると感じていますが、もし実現されると市町村の存亡に係る看過できない問題であると憂慮しています。それゆえに地方交付税の取り扱いについては、いかようにでも解釈できる文章ではなく、もっと簡単明瞭にすべきではないのかと考えています。
 以上のように、今回の全体像を改めて見直してみますと、政府から取りまとめを依頼されて全国知事会や全国議長会がつくり上げた地方六団体の改革案というものが、果たしてどの程度反映されているのか疑問を生じるところであります。
 特に地方交付税については本県の最も重要な歳入であると認識しており、三位一体の改革を進める上で生じる不都合な部分、例えば税源移譲される額が削減される国庫補助金額より小さくなる場合はそれを調整するという重要な機能を持っていると考えていますので、今回の全体像にある地方交付税の部分に不安を感じています。このままでは、結局、中央省庁の思うがままに地方へ負担がやってきて、本県や県内市町村のような決して財政力が強いとは言えない自治体にとって非常に厳しい状況になってしまわないか、憂慮しているところであります。
 そこで、知事は今回の全体像についてどのように評価されているのか、お伺いをいたします。
 また、こうした三位一体の改革を受けて、知事は平成十七年度当初予算編成をどのように行うつもりなのか、知事の基本的な考え方をお聞きいたします。
 次に、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録後の取り組みについてお尋ねいたします。
 登録後、観光客が急激にふえるなど、世界遺産効果が如実にあらわれてきています。県観光局の調べによりますと、高野・熊野地域の世界遺産の主な登録地において、この夏、七、八月の来訪者は前年に比べ約二十万人多い二五・四%の増加となっています。また、那智勝浦町を例にとると大門坂を歩かれる人が昨年に比べて約五倍にもふえるなど、驚くべきにぎわいを呈しているのであります。これは、七月の登録前後に全国のマスコミから大きく取り上げられたこともあると思いますが、世界遺産というネームバリューが多くの人々の注目を集めた結果であろうと考えています。改めて世界遺産のすごさを感じるのであります。昨今の決して明るいとは言えない社会情勢の中で、こうした状況は和歌山県にとって本当にうれしいことであり、まずは県民で喜ぶべきところであると思います。
 さて、明るい話題はひとまずとして、世界遺産登録が行われた以上、ここで改めて注意を払っていかなくてはならないことがあります。余りにも多くの観光客が訪れることで、ごみが散らかされたり、観光客を見込んだ店舗や広告、看板等の過剰な増加などにより、周辺の環境や景観が破壊されていくことになりはしないでしょうか。また、周辺の環境だけでなく、熊野古道の路面が荒れたり、世界遺産そのものの価値が薄れていくことはないでしょうか。
 私は、世界遺産登録を一時のブームだけに終わらせることなく、かつ世界遺産の目的である将来への遺産の継承とその価値を保っていくことを念頭に置き、行政がリーダーシップをとりながら必要な施策に取り組んでいくことが重要であると考えています。
 平成十六年度当初予算においては、世界遺産関連事業として三十六事業、約十六億円の予算措置が行われ、また世界遺産登録を受け、さらに二億円余りの事業が九月補正予算として計上されたところであります。つきましては、こうした世界遺産にかかわる事業のおおむねの進捗事業に加え、特に九月定例会で予算化された和歌山県世界遺産条例案策定の状況、和歌山県世界遺産センターの設置についての方向や進め方などもあわせ、世界遺産をいかに守り、いかに和歌山の発展に向け役立たせていくかについて、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 最後は、災害問題についてお尋ねいたします。
 去る十月二十三日十七時五十六分、新潟県中越地方においてマグニチュード六・八、震度七の直下型地震が発生し、その後も震度六強を含む余震が頻繁に起こり、長岡市、小千谷市、川口町、山古志村を中心に建物倒壊、道路寸断、土砂崩れなど、甚大な被害をこうむりました。新潟県中越地震災害対策本部が十一月二十六日に発表した被害状況によりますと、人的被害が死者四十名、重軽傷者二千八百六十一名、住家被害は全壊二千六百九十七棟を含め約八万五千棟、そのほかの建物の被害も七万五千棟余りに上っています。また、道路、河川などの土木施設の被災は、道路施設六千六十二カ所や河川施設二百二十九カ所を初め、がけ崩れも四百四十二カ所で発生しています。特に高速道路を初め生活道路の寸断によって多数の地区が孤立し、山古志村では全村避難を余儀なくされ、現在でも十四地区を含め二十地区の集落は陸路を遮断されており、テント生活等の避難生活も強いられています。さらに、電気、水道、ガスのライフラインにも甚大な被害があり、いまだに復旧しておりません。
 連日、テレビや新聞等マスコミで中越地震のことが報道される中で、信濃川沿いの県道を主婦皆川貴子さん母子三人が長岡市から自宅のある小出町に帰る途中に、道路の斜面が大崩落を起こし、車ごと土砂と岩石と一緒に川に押し流され行方不明になっていましたが、四日ぶりに車が発見され、余震の続く中、レスキュー隊の献身的な救出活動により、長男の優太君が奇跡的に救出されました。このことは、私たち国民に勇気と感動を与えてくれました。この奇跡の救出劇を生み出したのは、東京消防庁のハイパーレスキュー隊と地元の消防隊員など、多くの方々による命がけの努力の結果であります。聞くところによりますと、この東京消防庁のハイパーレスキュー隊は阪神大震災を教訓にして一九九六年に創設されたそうで、今回の件はその成果を遺憾なく発揮されたと思います。阪神大震災後、行政における防災対策も着実に進んでいるとの印象を受け、国民の一人として頼もしく感じています。
 これから本格的な冬の季節を迎え、被災された方々にはさらに雪との闘いもありますが、力を合わせて復旧に向け頑張っていただきたいと心より願っています。
 このように中越地震の被害状況を見ておりますと、本県にとっても人ごとのようには思われません。近い将来起こると想定されている東南海・南海地震に対して、特に紀南地方では地震の揺れに加え、津波により道路が寸断され、孤立地域がいっぱい出るのではないかと心配しています。
 また、本年は台風や集中豪雨による災害が例年になく多い年でした。気象庁の発表では、台風の年間平均の発生数は二十六・七個で、そのうち上陸数は二・六個となっていますが、本年は現在までで発生数二十七個、上陸数十個となっています。発生数は平年並みですが、上陸数は平年の四倍にもなっており、過去五十五年間で最多となりました。特に台風二十三号の被害は、ことし本県で最大であったと聞いています。被害施設に近接する県民の方々にとって安心して日々の生活が過ごせるためにも、早期復旧が望まれているところです。
 そこで、県内道路網の地震対策はどうなっているのか、国道四十二号線の代替として高速道路の南伸はぜひ必要ではないか、本年の道路、河川、港湾などの土木施設の被害状況と復旧事業の今後の見通しについてはどうなっているのか。以上三点について県土整備部長にお尋ねいたします。
 また、農林水産関係につきましても、六月下旬に台風六号が紀北地方を襲い、農家の皆さんが丹精込めて育て、これから収穫しようとした桃が何千トンも風で落とされ、大きな被害が出たのを初めとして、県内農林水産業に被害を与えた台風は八個に上り、大きなつめ跡を残しました。農作物では、桃だけでなくカキやミカンの枝が折れたり、こすれて傷がつき品質が落ちるなど、出荷できないものもたくさんあったと聞いています。さらには、植えつけたばかりの野菜が水につかったり、強風によってビニールハウスが壊れたり、農家の皆さんの落胆は大変なものであったと推察するところであります。
 また、台風二十三号では、防波堤を破壊するぐらいの波が漁港を襲い、漁協などの建物や漁船、魚の養殖施設などが壊され、今なお後始末に苦労されている漁業関係者の皆さんの心情を察すると大変心が痛みます。山林におきましても、県内各地で風倒木や山崩れなどの被害があったと聞いています。
 県では六月以降速やかに対策を講じ、農家等の支援に尽力されていると思いますが、農林水産関係の被害と、その対応状況について農林水産部長にお尋ねいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございます。
○議長(小川 武君) ただいまの谷洋一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革についての見解ということでございますけれども、ご案内のように、一応三兆円規模の税源移譲と一定の補助金の廃止削減、そしてまた一般財源の総額確保ということが漠然とは書き込まれたわけでございますけれども、基本的な地方分権を進めるというふうな理念が余り感じられない内容であるというふうなことを思っております。
 一つずつ申し上げますと、例えば補助金の削減につきましては、御質問の中にもありましたように、生活保護について今回ははっきりとは見送られた形にはなったんですけども、来年中に補助率の引き下げみたいなことも含めて結論を出していくというふうなことが書かれているわけですし、そして国保については、今はない都道府県の負担というものが入ってきた。これはもともとそういうふうにしたいと国の方が考えていたことなんで、これも分権の役に立つというふうなことではございません。
 そしてまた、税源移譲について言えば、三兆円とは書いてありますものの、今年度行っている分も含めてということで、初めは外計算というふうなことで考えていたのがそういう形で規模が少なくなっているということもあります。
 そして、和歌山県とか県下の市町村に一番心配な交付税の問題については、ただいま申し上げましたように、一般財源の総額を確保するというふうには書いてあるものの、交付税の算定に当たってはいろいろ不要な要素というふうなものもあるので、そういうふうなものは見直していくんだというふうなことが書いてあるんで、予断を許さない状況。
 昨今の新聞を見ましても、例えば地方公共団体の給与がこういうふうに高いというふうなことで削減余地があるんだとか、結婚奨励金を出したりしているようなことがけしからんと、そういうふうなことで交付税を減らしていこうという意図というふうなものがほの見えるというふうなことで、この点もなかなか油断できるような状況ではないというふうなことですので、いずれにいたしましても、ああいう方針は出たものの、これからも県の財政運営、そしてまた県下の市町村の財政運営に支障を来すことのないような形で注意深く見守り、また必要な意見は言っていく必要があると、このように考えているところでございます。
 さらに、そういうふうなものを受けての来年度の県の予算編成はということでございますけれども、今も申し上げましたように、補助金をどうしていくのかということの姿というものが細かいところまでは見えないというふうなことがあります。それから交付税についても、どういうふうになっていくのかはっきりしたことは──総額は確保するとは言っているものの、どんな形になって、個別の団体にどういう額で来るかということについてはまだわからないというふうな状況で、非常にいつもの予算編成と比べて難しい、歳入の見積もりについて難しい面があるんですけれども、先般作成いたしました財政改革プログラム、これには交付税は少し下がるというふうな前提のもとにいろんな見直しということを行っておりますので、それを基本に予算編成を行い、さらにそういうふうな中ではあるけれども、やはり予算の重点化ということを図って県勢の伸展もあわせてねらっているというふうな形で今は予算の作業を進めているところでございます。
 次に世界遺産登録についてでございますけれども、世界遺産登録の効果は、観光面等について予想以上の成果が出ております。単純な観光客の増もございますが、そのほかにもいろいろ、例えばタクシーの需要がふえたとか、町を歩いている人の数がもう目に見えてふえたとか、いろんなことで地域の活性化の効果が上がっているというふうに思いますけれども、御質問の中にありましたように、まず一つは、ことしが指定された年なのでブームになるのは当たり前と言えば当たり前のことで、来年度以降どういうふうになっていくかというふうな問題が一つあります。そしてまた、たくさんの人が来たがために逆に環境が荒らされるというふうなことの中で、本来高野山、そしてまた熊野というふうなものが持っている魅力が減殺されていくというふうなおそれも非常にあるわけです。
 そういうふうな中で一つ好ましいのは、地域において、例えば熊野川を利用して船で観光客を遊覧させるような仕組みを地元の方で考えていこうというふうな動きが出てきたり、それから大辺路を自分たちで切り開いて整備していこうというふうな住民の人の積極的な動きが出てきたりしていること。こんなふうないろんないい面がありますので、ぜひこの世界遺産登録の効果──これ効果があるということがわかって、日本全国でみんな世界遺産にしたいというふうな動きが出てきているというようなことがこの間の新聞にも出ていましたけども、和歌山がある意味では先鞭をつけたわけですから、そういうようなことの名に恥じないようにしていかないといかん。
 そのためには、指定後のいろいろな変化ということも考えの中に入れて世界遺産の条例というふうなものをつくっていくということが非常に大事だと思います。これは日本で初めてというふうなことにもなりますので、力を入れて、そしてこの地域に合ったような条例をつくっていかないといかんと思いますし、それからまた来た人が高野とか熊野とか、世界遺産というものについて本当に理解できるというふうな仕組みも大事なので、世界遺産センターを今、本宮町につくろうということでいろいろ進んできているわけでございますけども、これも形だけのものにするんじゃなく、本当に世界遺産というものの今後の発展ということに資する内容のものにしていきたい、このように考えているところでございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 災害問題について三点お答え申し上げます。
 まず、県内道路網の地震対策についてでございます。
 地震発生後には復旧・復興物資等の迅速な輸送を確保するために緊急輸送道路を早急に確保する必要があり、その耐震性能の向上が重要であります。
 現在、県内には緊急輸送道路にかかる十五メートル以上の橋梁が四百二十五橋あります。そのうち、昭和五十五年以前の古い設計基準でつくられた橋で、主に県土の骨格となる第一次緊急輸送道路にかかる特に対応が必要な百十五橋について、本年度当初から十年間で耐震化対策を図っているところでございます。当面三年間で、津波の被害を大きく受けると予想される国道四十二号の田辺市から新宮市間の代替となる国道三百十一号や百六十八号を中心とした道路、また震災時に重要な防災拠点と直轄国道等を連絡する道路等にかかる十九橋を重点的に整備を行ってまいります。本年度は国道百六十八号の相賀橋、国道三百十一号の蕨尾橋、曽根橋、和歌山港線の港橋など十二橋の耐震化対策を行っております。また、のり面強化につきましても、第一次緊急輸送道路上で対策が必要とされる九十九カ所を重点的に進めております。
 なお、本年度は国道百六十八号の熊野川町、国道三百十一号の中辺路町等の整備を行っております。
 次に、高速道路の南伸の必要性についてでございます。
 東南海・南海地震では、地震・津波により紀南地方で海岸沿いの唯一の幹線道路である国道四十二号が多くの箇所で寸断され、沿線集落の孤立化が懸念されています。今回の新潟県中越地震の状況を参考にいたしましても、被災直後には緊急車両の通行や緊急物資輸送のためのルート確保が復旧・復興に際して極めて大きな役割を果たすこと、特に高速道路の耐震性能の高さとネットワーク機能の重要性が改めて認識させられたところでございます。紀伊半島においても、耐震性能の高い高速道路によるネットワークを一日も早く完成させることが何よりも重要であると改めて考えさせられたところでございます。
 十一月十六日に三重県とともに東京で近畿自動車道紀勢線建設促進協議会の総会を開催した際にも、多くの方々が高速道路の防災対策上の必要性について強く訴えられたところでございます。今後とも国に対し、紀伊半島一周の高速道路の早期整備を強く働きかけてまいります。
 最後に、土木施設の被害状況と復旧事業の今後の見通しについてでございます。
 本年は、全国的に例年になく異常気象に見舞われました。本県においても十一月末現在で台風が六回直撃するとともに、豪雨が五回、大きな地すべりが二回となっております。これらによる県土整備部関係の公共土木施設の被害は、県、市町村合わせて道路で百二十九カ所、約二十六億円、河川・海岸等で百九カ所、約二十四億円、港湾・漁港で九十一カ所、約六十四億円、合計三百二十九カ所、約百十四億円の被害が発生しております。これらの復旧事業の見通しにつきましては、一部は既に工事着手しておりますが、残りの箇所についても国の災害査定を経て早期に着手し、一日も早く復旧できるよう取り組んでまいります。
○議長(小川 武君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 農林水産関係の被害とその対応状況についてでございますが、本年度のたび重なる台風等による被害総額は約八十五億円でございます。その内訳といたしましては、農作物など農業関係が約六十三億円、農地関係が約十億円、林業関係が約七億円、水産関係が約五億円でございます。このため、県単独事業により果樹の改植や廃プラスチック処理などの助成を行うとともに、緊急融資対策として低利の融資制度を創設したところ、十一月末現在、四百十一件、約七億円の申し込みがあり、農家の経営安定に活用いただいているところでございます。また、共済金の支払いについては、円滑な損害評価の実施を指導しましたところ、梅につきましては年内の支払いが確定し、その他の果樹や水産関係につきましても、国等の審査事務が終了次第、順次支払われる見込みでございます。
 なお、農地や山林の災害復旧事業につきましては、林業関係は国の査定がすべて終了し、農地関係も年内をめどに国との協議を進めているところであります。国の査定が終了したものから順次復旧工事に着手しているところでございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、谷洋一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、質問させていただきます。
 まず、質問に入る前に、報告をさせていただきたいと思います。
 私は、ことしの二月県議会で和歌浦の観光問題について質問をいたしました。質問というよりは提言でしたが、その中心点は、和歌浦は中国の国父と言われる孫文と民俗学者・南方熊楠がロンドン時代の旧交を温めた地である、ここに記念物をつくって日中友好のシンボルとし、和歌浦観光にも役立ててはどうか、こういうことでございました。
 私は、先月十一月の四日から九日、日中友好協会和歌山県連合会二十七名の訪中団の団長として中国を訪問いたしました。民間団体としての自主的な訪問であります。
 上海空港におりて蘇州市の学校を訪問し、児童画の交換をし、桂林にも足を伸ばしたのですが、さらには和歌浦によく似ているという西湖がある杭州市を訪問いたしました。蘇州市は人口五百八十三万、杭州市は人口六百四十二万、ともに上海周辺の急速に経済発展を遂げている地域です。私は、初めての中国訪問で、工業団地、住宅の建設に圧倒される思いがいたしました。
 私たちは杭州市の対外友好協会を訪問いたしまして、副会長の華麗珍さんという方にお会いし、交流をいたしました。杭州市の副市長もなさった女性の方です。杭州市は岐阜市と友好自治体の関係を結んでおり、京都、鳥取、山口など各地域の都市と交流があると言いますが、和歌山とは余り交流がありません。私たちから申し入れた文書を読んで西湖と和歌浦がよく似ていることを初めて知ったのでしょう、歓迎のあいさつで「和歌浦というのは大変景色のいいところだとお聞きしています」、こういふうに言っておられました。私の方からは、孫文と南方熊楠の出会いの地であること、ロンドン亡命時代の出会いまで含めて説明をし、ここに出会いの記念物をつくって日中友好のシンボルにする運動を進めているとお話をし、最後に県の観光課からいただいた中国語の和歌山観光のパンフレットもお渡しいたしました。
 また、和歌浦に住んでいる団員からは、和歌浦の写真を見せ、西湖とそっくりだという話もしましたし、海南市の団員からは、海南市に日中両国平和の塔が市民のカンパでつくられた話もいたしました。華麗珍さんは大変喜ばれて「和歌山との友好を深めたい。日本に行く人にはぜひ和歌の浦に寄るように言いましょう」、こう言われました。私たちも、ぜひ和歌浦に、そして平和の塔がある海南市にも来てくださいと申し上げたわけでございます。
 また、蘇州市の小学校で預かってきた児童画百点につきましては、今、JR海南駅で展示中であります。
 全くの民間団体の訪中でありましたが、杭州市あるいは蘇州市と和歌山が交流を深める条件をつくってきたと思っています。
 以上、報告でありますが、民間団体が進めてきた日中友好の取り組みをぜひ生かしていただけるように要望いたします。
 また先日、訪中団として知事にもお会いし、報告もいたしましたが、何か感想や御意見がありましたらいただければと思います。
 さて、今から質問に入ります。
 第一は、道路問題です。
 財源には限りがある。県民にとって本当に必要な道路を早くつくってほしい、こういう気持ちが皆さん共通だと思います。その点で木村知事が一・五車線道路というものを提言された。これは大変いいことだと思います。先日も海南・海草の議員連絡協議会で陳情した折も、いいことをおっしゃった。用地買収は難しいところに定規で引いたように真っすぐな道をつくらなくてもいいので、多少カーブしても弾力的に道づくりというものは考えたらいいんじゃないですか、こういうふうな意味に私は受け取りましたが、これも賛成であります。
 知事がこういうふうにおっしゃるのは、裏返せば、定規で引いたような真っすぐな道を無理につくろうとする傾向があるということでしょうが。それだけではない。幅十メートルの道路があれば十分なところに幅十八メートルも二十メートルもという大きな道路を計画をして、計画をしてから二十年たってもでき上がらないというケースが至るところにあるんではないでしょうか。
 その一つ、私は一番よくわかる海南市の例で申し上げますが、海南市内で日方大野中藤白線という都市計画道路で、日方川に沿った部分があります。前回の議会で、せっかく用地買収も進んでいるから暫定的にでも早く通れるようにしてほしい、こういうふうに申し上げたわけです。この道路は一番狭い部分の用地買収が進み、いま一歩まで来ています。そして、私が申し上げた点では、前向きの答弁をいただきました。しかし、その計画を見てびっくりしました。片道一車線の二車線道路なんですが、一車線幅四・五メートル、三メートルに一・五メートルずつの予備がついている、そして両側に四・五メートルの歩道がついている、こういうデラックス道路であります。しかも、定規で引いたようにとは言いませんが、真っすぐに道をつけようとした結果、現在川沿いに四メートルから五メートルの道があるんですが、その道の上を広げるんではなくて、その道に並行して十八メートル道路をずばっとつけるという、こういう工事が現在進んでいるわけです。
 市民の要求から言えば、必要なのはセンターラインを引ける幅六メートルの車道、それに幅三メートルか四メートルの片側に歩道があれば自転車も人も通れるでしょう。合わせて十メートルもあれば何とかなる。川沿いの現道を拡幅すれば、現在の四メートルか五メートルを五、六メートル拡幅すれば、それで十分道はできる。これが市街地の真ん中を通っている道路だったら、両側に四・五メートルの歩道があって、その周りに商店街があって、ウインドーがあって、こういうことになるわけですが、この道路の場合は日方川沿いを通っている。川の隣は日方川が流れている。こういう場所であります。こちら側からは、一部はもう山がかなり近くまで迫っているところもある。この地域でどうしてこんなデラックスな道路なのかと、首をかしげるわけであります。
 この道路は一九八二年に計画をされ、十七年たって事業化されたものです。一九八二年という非常に景気のいい時期──それから十七年たって状況が変わりました。さらに言えば、海南市の日方、大野、藤白をぐるりと回る、壮大なと言えるかどうかわかりませんが、海南市で言えば壮大な道路計画の一部であります。この大野から藤白に至る地域も道路が大変狭くて、一日も早く道路を広げてほしいんです。しかし、求められているのは十八メートルというようなデラックスなものではないでしょう。しかも、この十八メートルの道路ですから、都市計画が決定されたときには、熊野古道をつぶすのかという住民から反対の声も上がったと言います。それが今では、そういう道路計画あるのかということが、行政は忘れていないでしょうけれども、住民からは忘れられたような計画になっています。
 そして、そのぐるっと回る一部分だけが日方川沿いを進んだというのは、現在私が指摘した道路なんです。私は自分が一番よくわかる海南の話をしましたけれども、議員の皆様方の身近にもそんな話はいっぱいあるんではないでしょうか。一たん計画した道路であっても、時代の変化などを見て本当に住民のニーズに合ったものなのか、節々で見直すことが必要だと考えるわけであります。
 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
 第一、日方大野中藤白線という道路計画を幅十八メートル道路として完成させる見通しをお持ちなのか。お持ちだとすれば、一体この道路は何年たったらできるんでしょうか。
 第二に、私は、こうした都市計画公共事業は一たん計画したものでも再評価して、実現可能なものに見直すことが必要だと思っています。公共事業の再評価委員会というものが開かれていますが、どういう場合に再評価委員会にかけられるのか、その基準をお聞きしたいし、またこの日方川沿いの道路などの場合はどうなのか、これもお聞きしたいと思います。
 第三に、再評価委員会は第三者を含んだ再評価ですが、その前にやっぱり行政の担当者が一番問題はわかっていると思うわけで、みずから再評価をして見直すということが必要だと思いますが、どうでしょうか。
 第四番目に、再評価委員会にかけられたときは既に用地の買収が相当進んでいて、いろいろ問題があると思っても今さらやめられないという問題も多々あると思います。事前評価ということも大切ですが、どうなっているのかお聞きしたいと思うわけです。
 二つ目の問題、これも道路の問題ですが、道路の計画ができても地権者の理解が得られないので道路の建設がおくれるという問題であります。
 大変難しい条件をつけられる地権者の方もいらっしゃって、担当者も御苦労なさると思います。しかし、地権者だけを悪者にしてはいけない。実は国土交通省道路局が平成十四年の八月に、今から二年余り前ですが、「市民参画型道路計画プロセスのガイドライン」というものを出しています。その考え方は、行政が道路をつくる場合にまず内部で検討して、この法線、この規模が一番いいんだという結論を出して住民に説得するというこれまでのやり方、そういうやり方ではなくて、幾つもの案を出す、幾つもの案を出した中で、それから選択する段階から、構想段階のプロセスから市民の意見を聞くということがここには書かれています。
 先日、海南市では国道三百七十号阪井バイパスをめぐって議論になっています。海南市の都市計画審議会でいろいろな意見が出されました。普通は都市計画審議会で一つの道路をつくるために何日もかかって議論をするなどということは少ないだろうと思うんですが、この審議会は二日半かかりました。最初午後から開かれて、現地調査を含めて話し合ったが時間が足りなかった、二日目は朝から会議を始めて夕方までやった、それでも課題が残っていて、県の審議会が十二月一日ということがありましたから、とうとう役所休みの土曜日の朝審議会を開いて、そして小委員会を含めて審議会を開いて、附帯意見もつけてやっと当局の案が認められたというのがこの審議会の内容でした。
 道路が必要なことは、異論はありません。このことについては、地域の住民の多数の方も、また都市計画審議会の委員の全員も同じだったと思います。この審議会で問題になったことは、事前に住民の意見を吸い上げてくれていないのではないかという問題でした。構想段階で複数の案を示して市民の意見を聞くということを国土交通省道路局でも示しているのに、なぜ自分の決めた計画を絶対に変えようとしないのか、こういう不満が集中したわけです。
 私は、六月の県会でこの問題を取り上げ、道路を盛り土にするかどうかの問題では、住民の意見に聞くべきものがあると指摘いたしました。平成十三年に住民アンケートが行われているわけですが、そしてそのアンケートをもって県は地元の同意を得ているとしているわけですが、そのアンケートには盛り土云々ということについては一切触れられていません。
 県土整備部長にお伺いいたします。阪井バイパスの計画決定では、明らかに国土交通省が二年前に出したガイドラインは無視されているわけですが、どうしてそういうことになるのかお伺いいたします。
 また、海南市の都市計画審議会でも県の都市計画審議会でも、「環境問題に配慮して」などの附帯意見がつけられました。こうした意見も取り入れながら、住民の合意を今後図るのかどうかについてもお伺いしたいと思います。
 大きな第二番目の問題は、入札・談合、随意契約の問題についてお伺いいたします。
 このたび海草振興局海南工事事務所で平成十年から十一年にかけて起こった談合問題、損害賠償の訴訟を起こすことが提案されています。それは賛成なんですが、私の出身、私の地域で起こった事件でありますので、こうした問題が起こったことは大変残念に思います。
 ところで、こうした談合問題はこのケースだけなんだろうか。もっと普遍的に談合問題があるのではないかと思います。海南で談合が行われたことが明らかになったケースでは、落札率は九九%にもなっています。けれども、当局に資料を提出していただきますと、結構高い落札率もあるわけです。一方、入札方式を改めた長野県では、平均九六%だった落札率が、新しい制度のもとで七五%に下がっています。この方式に改めれば和歌山県でも四十一億円の節約が可能だという試算もあります。全国的にも入札・談合問題改善の声が高まり、全国弁護士会ではこの問題の改善を求めるためのアンケートを全国の都道府県、政令都市に実施しています。しかし、和歌山県ではこのアンケートにお答えになっていないようです。外部監査委員会の報告でもこの落札価格が高いということが指摘がなされています。
 こうした意見を踏まえて、入札問題の改善、談合防止についてどのような取り組みをしているのか、県土整備部長にお伺いいたします。
 一方、監査委員会の報告でも、随意契約の問題で改善が求められているという指摘があります。随意契約ではこれまでどういう問題があったと考えているのか、またどう改善をするのか。これは総務部長の見解をお聞きしたいと思います。
 大きな第三の問題は、市町村合併の問題であります。
 まず、市町村合併にかかわって信じられないような事件、残念な事件が起こりました。美里町で住民投票を求める署名をした住民に、美里町の幹部職員が町長の指示のもとに、どういう気持ちで署名したのかと一人一人に電話したという事件であります。この事件は、市町村合併に賛成か反対か、住民投票に賛成か反対かという問題ではありません。住民の自由な意思表明に町当局が圧力をかけたという人権問題、民主主義の問題であります。市町村合併の問題であれ、福祉の問題であれ、自分の願いを署名に託した個人に対して行政当局から、あなたはなぜ署名をしたのか、共産党の議員に頼まれて署名をしたのか、こういう電話が入るとしたら、住民の意思表明への不当な圧力以外の何物でもありません。
 美里町民の皆さんからは、町当局がやったことへの抗議の声が上がりました。美里町民の人権感覚は健全であります。ところが残念なことに抗議を受けた町幹部職員は、自分がしたことが問題だと思っていないという人権感覚の希薄さであります。もちろん私は、すべての町幹部職員がそうだと思いません。町長に言われたけれども、これはちょっとおかしいなと思って配られた自分の分担分の署名用紙を自分の引き出しにこそっと入れて持っていたと、そういう職員の方も恐らく多かったと思うんですが、しかしかなりの数の町民に電話がかかったわけです。
 どうしてこんなことが起こったんだろう。申しましたように、このことは合併問題でなく人権問題、民主主義の問題ですが、一面では合併できなかったら大変なことになるというようなお話が大変広がっておりまして、町長をこんなことに追い込んだという面もあるのかなという気もいたします。こういう問題が起こったということについて木村知事はどういう感想をお持ちなのか。こんなこと聞かれて迷惑だというふうにおっしゃるかもしれませんが、県民の人権が侵害された問題でありますので、ひとつ御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。
 続いて本来の市町村合併の問題でありますが、市町村合併については日本共産党県議団としましては、市町村合併は住民が決めるという立場から十分に情報が提供され、住民が納得する結論を出すことを求めてきました。合併が決まった市町村もありますが、多くの市町村で合併協議が続けられています。また、合併協議をしたんだけれども条件が折り合わず合併が御破算になったケース、初めから合併が協議されていないケースもあります。
 そうした中で、県下の状況を見ますと、三十六市町村で合併が決まり、合併協議が進んでいますが、十四市町村は合併なしで進むという選択をしております。合併する市町村も合併しない市町村もそれぞれ理由があって、住民が選択した道であり、和歌山県民であります。県はそれぞれの市町村に支援しなくてはならないと思います。
 地域振興基金という積み立ては、その趣旨は文字どおり地域振興でありますから、合併する市町村にも合併しない市町村にもそれなりの支援をする必要あろうと考えるわけですが、これも知事の見解をお聞きしたいと思います。
 最後に、三位一体の改革と教育予算であります。
 三位一体の改革については、知事の状況説明でも、必ずしも思うようになっていない、まだまだ課題があるということのようです。
 私は、前回の議会で国庫負担金削減に義務教育費国庫負担を差し出して大丈夫なのかと申し上げました。知事は知事なりの考えを述べられました。今、その議論を繰り返すつもりはありません。しかし、知事の立場から言っても三位一体の改革が課題を残している中で、このたびの財政改革が本当に教育予算にマイナスにならないのかという点は、多くの県民、教育関係者が心配しているところであります。けさほどからの説明を聞きましても、一層心配になりました。今後、三位一体改革をめぐってはいろいろなやりとりがあるでしょうが、知事は教育予算にしわ寄せすることは絶対しないという決意を改めて表明をしておいていただきたい。しつこいようですが、よろしくお願いします。
 さて最後に、今回の質問で私は、いつもやっている教育長への質問はございませんでしたが、さきの県議会で大問題になった高校再編、海南高校と大成高校の合併問題、大成高校の募集停止問題につきましてはまだまだ大きな課題が残されていますが、しかし五万人の署名に託された保護者、高校生、県民の願いを教育委員会が重く受けとめていただいたことは評価し、今後の課題についてはまた文教委員会でも、いろんな場で議論をしていきたいと思っています。
 以上で、私の第一回目の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、杭州との交流についての感想ということですけれども、今後、日本と中国の関係というのは、経済面、観光面、政治面、軍事の面も含めていろんな面で今まででは考えられないようないろんなプラスの面、マイナス面を含めて関係が出てくると。もう既に出てきつつあるわけです。そういうふうな中で、いろんなチャンネルで中国と交流を図っていって、いろんなことをお互い理解し合うという活動というのは、非常に私は大事なものだというふうに思っております。
 ただその際、やはり日本の国がこういうふうに考えているんだ、こうあるんだということをやっぱり表明するというふうなことも、私自身はこのごろこの中国との関係を考えて非常に大事なことだと改めて思いつつ、当たり前のことと言えば当たり前のことですけれども、そういうような感想をこの問題については持っております。
 それから、美里町の関係でございます。これは、大分報道もされておりました。私どもが知っている範囲では、合併反対の方に、どこにその改善の余地があるのかというふうな気持ちで聞いたというふうなことを聞いているわけですけれども、地域によっていろいろ実情はあるし、一般的なことは言えませんけども、個人的な感想としては、一般論としては、住民の人がいろいろ投書したり、それからこの場合は署名したというふうなことについて、何か特別に個別にどういうふうな気持ちでしたんかというようなことを行政側から聞かれたら、やはりびっくりするだろうというふうなこともあるし、そういうことで自由な意思の表明ということが阻害されるというふうなことがあってはならない、このように私は思っております。
 それから三位一体の改革ですけども、これは先ほど申し上げたんですが、教育については、義務教育も含めてもう今自治体の事務というふうにちゃんと決まっているわけです。そういうふうな中で、お金についてもやはり自由にやっていこうというふうなことを求めて今回のことが行われたわけで、私は、仮に補助金がなくなったからといって自治体が義務教育をおろそかにするというふうなことは決してあり得ないし、またあってはならないことだというふうに思っております。
 教育は非常に難しいことで、つい昨日も日本の生徒の学力が世界的に見て下がっているというふうな問題が出ていました。これはゆとり教育というのを文部科学省が進めて、その結果とは言いませんけれども、そういうふうなことが出ているんで、やはり国として一定の学力を持った子供を育てていくということは私は大事なことで、これをある程度全国的な基準でやっていくということが必要なことは、これはもう言うまでもないことなんだけども、そういうふうな中で、地方自治体がやはり責任を持ってやっていくという観点から自由度を高めていくというふうなことですので、決して教育予算を削ろうとかそういうふうな、まあ言ってみればさもしい考えでこういうふうな主張を行っていることではないということを御理解いただきたい、このように思います。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、道路問題のうち公共事業再評価と行政による公共事業の見直しについてでございます。
 例として出されました日方大野中藤白線は、延長三・九キロメートル、幅員は将来の土地利用を考慮した十八メートルで、海南市街地の商業系及び住居系地域を通過する環状道路として都市計画決定された道路でございます。現在、このうち日方付近の一・二八キロメートルを平成十一年度から事業中であり、当面はこの箇所の重点的な進捗を図ってまいりたいと考えております。
 次に、公共事業再評価委員会に諮る基準といたしましては、和歌山県公共事業再評価実施要領に五点定められております。一点目は事業採択後一定期間が経過し未着手の事業、二点目は事業採択後長期間が経過し継続中の事業、三点目は準備計画段階で一定期間が経過している事業、四点目は再評価実施後一定期間が経過している事業、五点目は社会情勢の急激な変化、技術革新等により再評価の実施の必要性が生じた事業であります。なお、一定期間とは五年間、また長期間とは道路事業の場合、十年間でございます。
 一方、日方における事業は現在事業化後六年目であり、十年を経過しておらず、再評価の対象としなかったものでございます。
 また、日方川に沿った箇所につきましても、当該地域の用途が住居系地域であるとともに、沿道には中学校などもあり、今後の地域の発展や交通安全等を考慮すれば歩道等の連続性を確保し、幅員は十八メートル必要であると考えております。
 次に公共事業事前評価についてでございますが、公共事業の着手に当たっては、これまでも幅員、断面構成などの事業内容、事業効果、事業の重要性、緊急性等、事前に内部で検討を行ってまいりました。なお、より広いさまざまな観点から事業内容を検討し、広く県民の皆様に御理解いただくため、現在、公共事業事前評価システムの構築に取り組んでおります。新規採択の理由、根拠などがより明確になるよう評価内容を公表するなど、県民の皆様への説明責任を果たし、透明性のある公共事業の推進を目指してまいります。
 いずれにいたしましても、今後とも限られた予算の中で、効率的、効果的に事業が進められるよう努力してまいります。
 次に、道路問題のうち「市民参画型道路計画プロセスのガイドライン」についてでございます。
 国の「市民参画型道路計画プロセスのガイドライン」につきましては平成十四年八月に策定されたもので、東京の外郭環状道路などのような高規格幹線道路など大規模な事業のもので、構想段階において適用するものとされております。
 延長約二・五キロの阪井バイパスにつきましては、このガイドラインが策定された平成十四年当時には既にルートを地元に提示するなど具体的な計画段階に至っていたことなどから、本ガイドラインは適用しておりません。しかしながら、ルート検討段階において平成十一年と十三年には関係自治会に説明をし、平成十三年には自治会がバイパスの必要性、ルートの是非についてアンケートを実施し、その結果多数の賛成を得られたところであります。
 また、今回の都市計画決定に際しましては、平成十五年十二月から各関係自治会十地区において地区ごとに事前説明会を開催するとともに、四月には法定の説明会を開催し、十月には都市計画案の縦覧を行い、住民の方、海南市長などさまざまな方々の御意見をいただき、この十二月一日、和歌山県都市計画審議会で審議されたところでございます。
 国道三百七十号の阪井地区につきましては早期整備が必要と考えておりまして、今後、事業実施に当たりまして、都市計画審議会の意見を踏まえ、さらに地域住民の方と詳細な構造等について十分な協議を行い、環境に配慮し、進めてまいりたいと考えております。
 なお、市民参画型道路プロセスにつきましては、今後その必要性がますます高まると予想されますので、国のガイドラインを参考に検討してまいります。
 次に入札改善、談合防止についてでございますが、和歌山県では「公共事業等の入札及び契約手続改善策方針」を平成十四年五月に策定し、改善に取り組んでおります。具体的には、透明性の確保のため、予定価格等の事前公表や入札監視委員会の設置を行いました。公正な競争の促進のため、指名業者数の拡大や指名業者の非固定化、対象地域の拡大などを行いました。また、談合その他不正行為の排除のために、損害賠償予約条項や解除権の契約書への明記、工事費内訳書の提出の義務づけを行い、さらに本年六月には指名停止基準の明確化及び指名停止措置の強化などの施策を実施してまいりました。その結果、落札率につきましては、平成十三年度の九四・八%から十四年度には九一・七%に下がり、御指摘の日本弁護士連合会の調査結果に当てはめれば全国で七位の低さとなっております。
 今後、さらに談合等の不正行為防止策の強化や公募型指名競争入札の拡大など公正な競争の促進等の検討を行い、引き続き入札契約制度の適正化に努めてまいります。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 随意契約についてお答えを申し上げます。
 随意契約は、地方自治法上、限定的、例外的な契約方法でありまして、要件に該当する場合でも、その趣旨を踏まえて慎重に検討しなければならないものと考えております。
 今回の監査委員からの意見は、業務委託について随意契約の要件を満たしているものでも、経済性、透明性、公平性を確保する観点から契約方法の見直しを検討すべきであるというものでありますが、実際、長年にわたり随意契約で行っていた業務委託に入札を導入した結果、契約額が安くなったというような例もございます。
 この意見を踏まえまして全庁的に取り組む必要があると考えており、その一環としてより経済性、透明性、公平性を持った契約のあり方についてワーキングを行うとともに、現在進めております予算編成作業でも各部局に対し、こうした観点から契約事務を見直すよう強く指示しておりまして、平成十七年度における予算の執行過程でこれらを生かしてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 合併する市町村にも合併しない市町村にも支援をということをお聞きしたんですが、その点が今抜けておるんじゃないでしょうか。
○議長(小川 武君) 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) どうも失礼をいたしました。これ、失念いたしておりまして。
 合併につきましては、当然のことながら、今合併で努力されて合併の方向へ持っていかれた市町村、こういうふうなところには交付金とかいろんな制度で県の方も支援していくというふうなことになっているわけでございますけれども、当然、自治体の判断として合併せずにいこうというふうになったところについても、別にそのことによって何か特定の不利益を得るというふうなことにはならないわけで、ひとしく県民の人が住んでいる市町村ですから、県の方としては最大限の努力でそういうふうなところが、厳しくはなってくると思いますけれども、そういうふうな厳しい財政状況の中で成り立っていくようないろんな協力ということをするのに、もちろんやぶさかではないということでございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 要望と再質問を申し上げます。特にどうしてもという点に絞ってやります。
 まず、県土整備部長の答弁に対して要望でありますが、本当につくってほしい道路を早くという、この原点に常に立ち返る必要があるんではないかというふうに考えているわけです。そのために再評価委員会とか事前評価とかいろんなことから聞いてみたわけですが、私の中心点はそこにあります。
 しかし、道路行政の担当者は、計画された道路を早くつくる、立派につくるということが仕事でありますから、どうしてもそこからしか見るわけにはいかない。だから、その道路の問題が、その状況、時代の変化に合わせて本当に必要な道路を早くという観点からどうなのかということを大局的にチェックするシステムが必要だというふうなことを考えるのが私の考えです。
 先ほど私は、一九八二年に熊野古道をつぶすのかという話が大野藤白の道路の問題で出たということを申し上げたんですが、例えば熊野古道という問題についての行政の側の感度というのは、恐らく一九八二年と、そしてこの世界遺産に登録された今日とでは相当変わっているでしょう。恐らく今また財政状況も相当変わっています。今もう一度線を引き直すとしたら相当変わったことになるんではないかというふうに思っています。
 きょうの答弁で、県土整備部長からこれ以上答弁を求めるのは無理だと思います。もう少しそういう点は、知事を含めて大きなところで考えてもらうほかはないので。しかし、きょうはこれ以上申し上げませんが、今後十分ひとつ検討課題にしていただきたいと思います。
 次に、阪井バイパスについての問題であります。
 よく事前の説明として、平成十三年に説明をし、概略のイメージを示して、そして結果、多数が賛成したというふうによく言われるわけですが、しかしそういうことをよく言われますけども、そう言われたんでは、都市計画審議会に対して意見を言ってきた住民の皆さんが悪者になってしまう。そのとき示されたイメージ図というのは、現在示されているルートとはかなり大きくかけ離れていますし、問題になっている盛り土については何も表示されていなかった。そういう情報しか住民に与えずにこのアンケートへ賛成したではないかと言われると困るということは、まず申し上げておきたいと思います。
 しかし、都市計画審議会が終わった今の段階で、これ以上その前の問題を、あのときこうやったではないか、どうやったではないかと言うても、これは建設的でありませんから、今、「事業実施に当たっては地域住民の方と十分協議を行い」というふうに答えていただいていますから、このことを本当にやっていただきたいということをお願いします。
 ただ、その点で、一点だけ再質問します。
 それは、「海南市長、県都市計画審議会の意見を踏まえ」というふうに言われているわけですが、海南市長の意見では「環境面等において十分配慮」ということは言われています。これは海南市の都市計画審議会でもつけられた附帯意見ですし、県の都市計画審議会でもつけられた意見だというふうに思っています。この「環境面で十分配慮し」という文言が加わったのは、盛り土にした場合に地域が分断される、日陰になる、騒音被害が大きいなど、盛り土にした場合にかかわって論議された結果つけられた附帯意見だというふうに理解されますが、そういう理解でよろしいでしょうか。そのほかにも「環境面において十分な配慮」ということの中身があるのだったらお示しいただきたいと思います。これが再質問であります。
 以下、要望でありますが、入札問題については、幾つか要望を申し上げます。
 改革は一朝一夕にはいきませんが、透明性の確保と公正な競争の促進へ一層の努力を求めていきたいと思います。全国で入札改革では先進的と言われる自治体でも試行錯誤の連続のようです。今お答えいただいた内容では前向きの姿勢はうかがうことができるわけですが、一般競争入札を行う工事金額は、他の先進県に比べてみると決して低くはないなと。改革の余地はまだ残されていると思います。また、競争によって落札率が下がったときに品質が保たれるのか、あるいは下請企業への経営の影響などはどうかなどの検討が必要です。幾つか必要なことがあると思います。
 この問題で提言している研究者の意見の中には、例えば低価格調査制度では、ダンピングを防ぐだけではなくて下請業者への発注価格が適正かどうかなども含めて調査するように改革が必要ではないかという、そういう提言もございます。あるいは、入札するときに工事内訳書に下請業者名を書くように求めるとか、分離分割発注を促進するなど、工夫次第でいろいろな施策をとることは可能ではないかと考えます。あるいは、企業の側に法律違反があったと確定したときなど県が契約を解除できるわけですが、その際の違約金は和歌山県では請負金額の一〇%です。幾つかの県では二〇%としている。こういうことも検討に値すると思います。こういう問題も含めて、ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思います。
 以上で、二回目の質問を終わります。
○議長(小川 武君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 阪井パイバスの環境への配慮といたしましては、沿道の生活環境、交通環境や例えば盛り土部の周辺の環境、景観などについて配慮すべく、例えば低騒音舗装にするとか、必要な植栽や緑化を施すなど、いろいろと検討していきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、地元の皆様とも十分協議しながら事業を進めてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 住民の皆さんとよく話し合ってということで、それでいいと思うんですが、やはり特にこの環境の問題で言うと、盛り土の問題が大きな議論になると。したがって、平面交差か盛り土かというこういう問題を含めて、ひとつ十分検討していただきたいということを要望として申し上げておきます。
 終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十七分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、財政改革プログラムと平成十七年度予算編成についてお尋ねをいたします。
 我が国の経済は、かつてない長期不況、金融システム危機、深刻な雇用不安に苦しんできましたが、ようやく明るい兆しが見えてきました。アメリカ・中国経済の順調な拡大を受けて対米・対中輸出の増加など、景気回復が続いてきております。さらに内需におきましても、新三種の神器と言われる薄型テレビ、DVDレコーダー、デジカメが久しぶりにヒット商品として登場し、個人消費の増加を図ってきております。しかし、本格的な景気回復軌道に乗せ、中小企業や地方にまで波及させていくにはまだまだ厳しい状況にあります。
 去る十一月二十六日に、三位一体の改革に関する全体像が政府・与党で合意され、発表されたところであります。その内容は、国庫補助負担金は平成十七年度及び平成十八年度予算において三兆円程度の廃止・縮減等の改革を行う、税源移譲は平成十六年度に所得譲与税及び税源移譲予定特例交付金として措置された額を含めましておおむね三兆円規模を目指す、この税源移譲は所得税から個人住民税への移譲によって行うものとし、個人住民税所得割の税率のフラット化を基本に実施する、また地域間の財政力格差の拡大について確実な対応を図る、地方交付税は、平成十七年度及び十八年度は地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保する、あわせて二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支黒字化を目指して国・地方の双方が納得できる形で歳出削減に努める、さらに税源移譲に伴う財政力格差の拡大をしないよう増収分を当面基準財政収入額に一〇〇%算入する、平成十七年度以降、地方財政計画の計画と決算の乖離を是正し適正計上を行う、その上で中期財政ビジョンを策定するとのことであります。
 三位一体とは改革の手法を示すものであり、改革の目的は、地方財政の自立であることは言うまでもありません。地方の権限と責任を拡大し、歳入歳出両面での地方の自由度を高めることで、真に住民に必要な行政サービスを地方がみずからの責任で自主的・効率的に選択できる幅を拡大できる簡素で効率的な行財政システムの構築を図ることにあります。
 本県の財政は、県内景気が製造業を中心に改善の傾向にありますが、県税収入が予断を許さない状況にあるとともに、九〇年代に数次にわたって実施されてきました景気対策による公共事業の追加や臨時財政対策債の発行などにより県債残高が急増し、本年度末において一般会計の県債残高が六千九百億円と過去最高に達する見込みであり、平成十六年度末の財政調整基金、県債管理基金の合わせた残高が約三百億円と見込まれるなど、県財政は危機的な状況にあります。
 県は今日まで、職員定数の削減、職員給与のカットの実施、公共事業の抑制や全庁的な事業の見直し、外郭団体の見直しなどを行い、積極的に財政改革に取り組んできたところであります。しかし、景気の低迷による県税収入の伸び悩みや国の三位一体改革の影響などにより、平成十七年度以降多額の財源不足が見込まれ、平成二十年までの四年間で約千五十億円の財源不足が見込まれ、このまま推移すると平成十八年度には財政再建団体に転落するとの深刻な予測となりました。
 そこで、県は本年十月十五日に財政改革プログラムを発表し、財政再建団体への転落を回避しつつ、持続可能な財政構造への転換を目指しております。財政改革プログラムの具体的な収支差解消に向けた取り組みは、歳出の削減として人件費総額抑制で百五十五億円程度、公共事業改革の推進で百二十億程度、事務事業見直しで二百億程度、計四百七十五億円程度を目標額としております。歳入の確保としては、県税収入の確保で二十億円程度、財政健全化債の発行で二百四十億円程度、計二百六十億円程度を確保する目標額であります。不足する約三百億円については、特定目的基金である土地開発基金及び地域環境保全基金から百九十億円借り入れて充当する、しかしなお百二十五億円程度の収支不足が生じるとの概要であります。
 そこで、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 一、三位一体改革の全体像に対し、税源移譲や地方交付税の総額確保に対して評価できますが、公共事業関係補助金の交付金化や義務教育費国庫負担金削減など重要課題が先送りされ、地方の自由裁量、責任拡大につながらない国民健康保険の都道府県負担が新たに導入された点に不満や批判があります。本県の場合、税源移譲が行われても補助金削減額が大きく、不足分に対する財政措置が必要であります。知事は、三位一体改革の本県への影響と見解はどうか。
 二、財政改革プログラムでは、約千五十億円の財源不足に対して、歳出削減で四百七十五億円、歳入確保で二百六十億円のうち二百四十億円が財政健全化債での確保であり、退職金の大幅な増加が見込まれる平成十九年、二十年には特定目的基金より借り入れて対応するなど、四百四十億円を借り入れて財源不足に充てる計画であります。今後、国において地方交付税が地方自治体の予想を超える減額も危惧されるところであり、県は平成二十年までの収支差解消にどう取り組まれるのか。
 三、人件費総額の抑制については、知事部局、教育委員会それぞれどう対応されるのか、また事務事業の見直しをどう進められるのか。
 四、県税収入の確保について、平成十五年度より県税徴収対策本部を設置し、収入率の向上に取り組んできております。本県の場合、収入率を一%向上させれば八億円の増収になるわけであります。そこで、景気の改善傾向にあり、増収が期待される今年度の税収見通しと県税収入率向上対策についてどう取り組まれるのか。
 五、未利用の県有財産の処分による歳入確保について、平成十三年度は五億八千百万円、平成十四年度は八億九千七百万円、平成十五年度は八千万円と処分を行ってきております。管財課所管の二千平米以上の県有地である元那賀高校の用地や独立行政法人国立高専の学校用地を初めとする県有地や各部局が管理する未利用で処分可能な県有地は積極的に処分するなど、今後どう対応されるのか。
 六、平成十七年度予算編成において、三位一体改革の全体像や財政改革プログラムの考え方を踏まえ、財政健全化のための取り組みを積極的に推進するとともに、安心で活力あふれる和歌山の実現を目指して予算編成に当たるとしております。具体的には、既存事業にガイドラインを示し、既存事業は二〇%、公共事業等は六%の削減を図るとして新たに包括予算制度を導入し、各部局の自己決定、自己責任で事務事業の見直しや新規事業の創出など、住民ニーズにより的確に対応した予算編成を求めております。平成十六年の予算編成では、国において地方交付税と臨時財政対策債が合計で二・九兆円削減されたため、各自治体では予算編成ができないという悲鳴が上がりました。また、去る十二月一日には、公明党県議団から平成十七年度の予算要望として三十三項目を知事に提出させていただいたところであります。木村知事は、本年度の予算編成にどう当たられるのか。
 以上、六点お尋ねをいたします。
 次に、南海貴志川線の存続についてお尋ねをいたします。
 南海貴志川線については、昨年十月に南海電鉄から和歌山市、貴志川町及び和歌山県に対して、廃止を含めた検討を行うとの経営内容の報告がありました。和歌山市と貴志川町の住民基本台帳による平成十六年五月の人口は、和歌山市三十八万八千人、貴志川町二万一千人と沿線住民がいるわけでありますが、四十年代以降の車社会の進展と沿線道路網の整備により輸送人員が著しく減少し、昭和四十九年のピーク時三百六十一万四千人から、平成十五年度は百九十八万五千人と半減してきております。南海電鉄は、これまでにワンマン化や駅の無人化等のコスト削減に努めてきたものの赤字状態が続き、この十年間で約七十億円の累積赤字を計上し、平成十五年度の営業損益も約五億一千万円の赤字となり、経営上やむなく撤退を決めたとのことであります。
 この報告を受けて昨年十二月に、和歌山市、貴志川町、両議会及び自治会関係者と県が参加して、南海貴志川線対策協議会を組織しました。同協議会は、利用状況を把握するための利用者アンケートなど実態調査の実施や利用促進を図るための署名活動を実施して、約二十五万六千人の署名を本年三月に南海電鉄に提出してきました。さらに、国土交通省や県選出国会議員に対して、本年四月に要望活動を実施してきたところであります。しかし、南海電鉄は本年九月三十日に国土交通省へ貴志川線の廃止届書を提出したため、南海電鉄は平成十七年十月一日をもって貴志川線から撤退することとなりました。
 こうした状況の中、貴志川線の存続への取り組みとして、和歌山市、貴志川町、国土交通省近畿運輸局、南海電鉄、和歌山県の五者による会議が開催されてきました。この会議では、支出面で人員の配置を含め、運営形態、運営費用の精査、維持補修に係るコストの低減などが検討され、赤字を約二億円程度に半減させることができる見通しと伺っております。今後、収入面の改善策等を検討し、早期に方向性を見出すとのことであります。
 県議会におきましても、関係の皆様方の努力で小川議長を会長とする貴志川線存続と利用促進を願う議員連盟が本年九月に発足、十月二十二日には大橋和歌山市長、中村貴志川町長を迎え、勉強会を開催いたしました。また、十一月十七日、半島振興過疎対策特別委員会において、大沢広太郎委員長と委員のメンバーが貴志川線を視察し、中村貴志川町長を初め貴志川町の方々から貴志川線存続の陳情を受けてまいりました。
 去る十一月二十二日、大橋和歌山市長は、定例の記者会見で貴志川線問題の五者会議の内容に触れて、かなりの額まで赤字を減らす運営収支のシミュレーションができたが、それでも赤字は残るとして、今後、行政支援の負担割合や南海からの譲渡額などを具体化した上で参入企業の公募を行いたい、南海にかわる新たな経営母体として複数の企業が名乗りを上げていると話した旨の報道がなされております。
 さらに十一月二十九日、国土交通省近畿運輸局が廃線後のあり方について、沿線住民や県、和歌山市、貴志川町からの声や要望を聞く意見聴取を大阪市で開催。席上、高嶋企画部長は、「貴志川線の存在は大きなものと認識しておりますので、県民の皆様の御理解をいただきながら貴志川線問題の解決に当たりたいと考えています」と意見陳述を述べたと伺っております。
 また、貴志川線存続に向けた住民運動として、本年九月に貴志川線の未来をつくる会が発足。浜口晃夫代表が中心となり、会員のメンバーが「乗って残そう貴志川線」を合い言葉に、ポスター、チラシの作成や看板を各駅に設置してきております。このようなポスターを作成しております。(資料を示す)
 さらに十二月十一日には、貴志川線存続への運動を推進するため、県立向陽高校体育館を会場として住民フォーラムの開催を計画いたしております。
 さらに、和歌山市立宮小学校三年四組の児童が総合学習の一環として貴志川線問題と取り組み、十二月三日に貴志川線に乗って貴志川町の長山団地を訪れ、貴志川線存続に取り組んでいる貴志川線の未来をつくる会のメンバーから貴志川線の学習をしたと伺っております。
 そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
 現在貴志川線を利用している人たちにとっては、貴志川線存続が最も適した公共交通機関の確保であります。そのため、県、和歌山市、貴志川町が協議をし、年内にも負担割合を決め、南海からの資産譲渡額を決定し、参入企業の公募を行うことに県はどう取り組まれるのか。また、貴志川線の存続について上下分離方式で、電車の運行を営業する運行会社と資産の保有を行う保有会社に分離をして保有会社に対して県などに支援をお願いしたいとの考え方がありますが、知事の見解はどうか、お尋ねをいたします。
 次に、架空請求やおれおれ詐欺の被害防止対策についてお尋ねをいたします。
 電話で「おれ、おれだよ」などと身内を装い、お金をだまし取るおれおれ詐欺の被害が広がっています。被害総額は今年の八月末で百億円を突破し、おれおれ詐欺が大きな社会問題となってきております。被害者は四十歳以上の女性が全体の六割以上に上り、子供や孫の交通事故や消費者金融の借金をでっち上げ、示談金や返済を請求する事例が多発しています。最近では学生の保護者をねらうケースがふえており、手口も巧妙化し、電話口に警察官や弁護士役が次々と出て、もっともらしい状況を演出する劇団型が目立っております。子供や家族が交通事故や事件に遭ったと聞けば心配の余り動転する気持ちを利用して多額のお金を振り込ませる悪質な犯罪であります。
 犯行に使われる携帯電話のうち、九割がプリペイド式であります。プリペイド式の携帯電話は、犯行への悪用を防ぐため、契約時の本人確認、転売したときの届け出を義務化して本人確認を行う、本人確認ができない場合は利用を停止する規制強化法案が来年の通常国会に提出される予定であります。去る十一月三十日、携帯電話各社と総務省がプリペイド式携帯電話の不正利用防止策を強化することを発表し、年内にも本人確認を求め、回答がない場合には利用を強制停止する法施行を前倒しで規制を行うこととしております。さらに犯行に利用される預金口座も、口座屋から入手したものが大半であり、本年十二月に預金口座の不正売買を禁止し、違反者には罰則を課する改正本人確認法が成立いたしました。
 また、本県では、おれおれ詐欺に加えて、身に覚えのない架空請求などによる被害も急増しております。県消費生活センターでは、今年上半期四月から九月に寄せられた相談件数が、前年同期に比べて二千二百七十五件多い七千二百四件と過去最多となりました。同センターによりますと、相談内容で最も多かったのが携帯電話の情報料などの架空請求で、その多くは「電子消費者未納利用料請求最終通告書」などと題したはがきを送りつけ、指定された連絡先に電話をすると数十万円を請求されるというものであります。
 同センターでは、相談活動に加え、県民への注意を呼びかける活動として、架空請求対策マニュアル等を市町村や関係方面に配布をし啓発を行うとともに、ラジオを通じてのスポット放送、講座の開催、「県民の友」などでの啓発に努めてきております。また、県警察本部においても本年六月に捜査二課に身近な知能犯罪対策班を発足させ、おれおれ詐欺や架空請求による犯罪防止への捜査摘発、未然防止対策に取り組んできております。さらに、去る十一月二十二日に開催された近畿ブロック知事会議においても、架空請求等に関する消費者トラブル防止に対して緊急提言がなされたところであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 一、本県における架空請求による被害やおれおれ詐欺による被害の実態と捜査状況、及び未然防止への取り組みはどうか。
 二、県消費生活センターにおける相談状況と、休日相談が受けられる相談体制の充実と啓発活動の充実にどう取り組まれるのか。
 三、架空請求はがき等は明らかに詐欺行為を行う目的が確かであり、郵政公社の判断で配達を保留できれば被害が未然に防止できるわけでありますが、何らかの措置がとられないものか。
 以上三点、お尋ねをいたします。
 次に、キャリア教育の推進に関連してお尋ねをいたします。
 若者の雇用をめぐる状況は、バブル経済崩壊後の経済の低迷、厳しい国際競争下での産業の空洞化、あるいはそのような経済・産業の状況のもとでの正規雇用の減少と一時的、臨時的な雇用の増加といった雇用形態の変化など、若者の雇用を取り巻く環境が激変してきております。
 本年に入ってからも二十四歳以下の完全失業率は九ないし一〇%台と、十人に一人の割合であります。こうした状況の中で、平成四年には百一万人だったフリーターが、平成十五年には二百十七万人と倍増してきております。加えて、一度就職しても長続きせず、「七五三現象」と呼ばれる就職してから三年以内にやめる割合が、中学生で七割、高校生で五割、大学生で三割と言われております。加えて、フリーターでもない、無業者と言われる若者が急増してきております。教育も職業訓練も受けていないという英語のノット・イン・エデュケーション・エンプロイメント・オア・トレーニングの頭文字をとってneet、ニートと呼ばれる人は、平成十四年には大学卒業者で約十二万人、高校卒業者で十四万人いると言われております。厚生労働省が本年九月に発表した「労働経済白書」では、十五歳から三十四歳の未婚者で通学も仕事もしていない非労働者のニートの数が五十二万人もいることを明らかにしました。
 細田官房長官は十二月六日の定例記者会見で、「ニートの増加については大きな問題だ。そうした人たちの将来は、訓練もせず、働く意欲も高まらないまま年をとって困るだけ。そうした状況から脱却してもらうため道筋をつけることが必要だ」と述べ、ニート対策を重視する考えを強調いたしました。
 イギリスにおきましては、ニートの定義を十六歳から十八歳に限定し、その一割近くがニートであるとの報告があったため、二〇〇一年から十三歳から十九歳のすべての子供を対象にコネクションズサービス制度をスタートさせました。この制度は、学校の中にまでアドバイザーが入り、早い段階からキャリア相談などを行い、卒業しても無業者にならないよう導いていく、仮にニートになっても社会的に孤立しないよう職業訓練に導いたり、同じ人がずっとサポートする制度であると伺っております。
 我が国においても、平成十一年十二月の中教審答申でキャリア教育の推進が提唱されました。その後、協力者会議の報告書等を経て、昨年六月にキャリア教育が経済産業、文部科学、厚生労働、経済財政政策担当の四大臣から若者の自立挑戦プランの一環に位置づけられ、新キャリア教育プランとして推進が図られることとなりました。
 また近年、中学校では生き方の指導の一環として職場体験学習が重視され、兵庫県では「トライやる・ウィーク」を契機として複数日で実施する学校がふえ、さらに総合的な学習時間の導入から八〇%を超える実施率となっております。高校では、厳しい就職状況から、インターンシップが職業学科や総合学科を中心に実施率が高まってきております。さらに、国の来年度予算の概算要求に、若者の雇用対策として前年度を大幅に上回る八百十億円が計上されたと伺っております。
 そこで、教育長並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 一、新キャリア教育総合計画の推進として、実務教育連結型人材育成システム、いわゆるデュアルシステムの導入についてどう取り組まれているのか。
 二、新キャリア教育プラン推進事業として、キャリア教育推進地域事業への取り組みはどうか。
 三、キャリア教育実践プロジェクトの事業に新年度どう取り組まれるのか。
 四、若者の自立挑戦プランの事業として新年度、若者の自立塾(仮称)を全国に四十カ所ほど設置することや、就職基礎能力速成講座の実施など、フリーターやニートに対する働く意欲の涵養向上対策等が図られていますが、本県におけるフリーターやニートの実態を把握し、どう対応されるのか。
 以上四点お尋ねをいたしまして、第一回目の質問といたします。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革の本県に対する影響の問題ですけれども、言われている住民税の一〇%のフラットな税率で取るというふうな形にしますと、和歌山県と県内の市町村を合わせて二百億円ぐらいの税収が入ってくると。一方、補助金が減る分については、十七年度、十八年度の二カ年でということなんですけども、どういうふうな形でなされるのか、補助率の引き下げでなされるのか、完全に補助金がなくなるのか、そういうふうないわゆる補助金見直しの工程表というものが明らかになっておりませんので、この補助金の削減による影響額は今のところ計算ができないというふうなことになっております。
 しかしながら、和歌山県でありますとか県下の市町村のように税源の乏しいところでは、多分この補助金の削減額の方が税収で入ってくる額よりも多くなるというふうなことで、財政運営に支障を来すということが予測されるので、そこで問題になってくるのが交付税でその部分を見るというふうなことなわけです。
 そして、一応この一般財源については総額をちゃんと確保するというふうには言っているものの、先ほど午前中にも述べましたように、ここのところが十分にはっきりしないというふうな面がありますので、このあたり十分──今年度の地財折衝の状況もそうですし、そしてまた来年度以降もそうなんですけども、必要な発言をしていかないと、これは財政的に厳しい自治体にとってもっと大変なことになるというふうなことになりますので、意を用いていきたいというふうに思っております。
 それから、今、財政改革プログラムをつくったわけですけれども、その中での収支差の解消、要するに入ってくるものと出ていくものとの差が相当あるけどもどうするのかというふうなことですけれども、これについては平成二十年度までに千五十億円ぐらいの収支不足、収支差が出てくるというふうに積算して、そしてこれを回避するため事務事業の見直し、そして行革、そしてまた行革をすることによって認められる特別な借金、起債、それから基金の取り崩し、こういうふうなことで対応して財政再建団体への転落を回避しようというふうなことになっているわけです。
 しかしながら、これにつきましても、一応交付税が一定の割合では減るという前提には立っているものの、大幅な減少というふうなことになりますと、この財政改革プログラムの見通し自体が大きく根底から揺らいでくるということになりますので、これもまた同じ話になりますけども、地方交付税というふうなものの確保と財源保障機能──財源調整機能だけではなくて保障機能というふうなものを確実に守ってもらうというふうなことでの働きかけというものを強めていかなければならないと、このように思っているところでございます。
 それから、こういうふうな状況を受けて新年度の予算についてはどのように対応するのかということでございますけれども、これについては、景気も見通し不透明ではありますけども、若干よくなってきているというふうな中で、やはり県民が希望を持っていろんなことができるというふうな形にしていく必要がありますので、やはり重点化と──選択と集中というふうな言い方をしますけども、重点的な予算の配分ということをしていかなければならないと思っておりますし、そしてまたその予算編成の方針の中でも、例えば包括予算主義といって、現場といいますか各部局にある程度予算の裁量権を与えて、その中で一番効率的な使い方を考えるようなシステムの仕組みの導入でありますとか、それから例えば土地が売れたというふうな部分については、その部分は使えるようにするというふうなメリットシステムと、そういうふうなものを機動的に導入することによってめり張りのきいた予算編成を行っていきたいというふうに考えております。
 次に南海貴志川線の問題についてでございますが、まず新規参入企業公募への対応については、これまで和歌山市、貴志川町、国土交通省近畿運輸局、南海鉄道と県の五者により、鉄道存続のための検討を行ってまいりました。その内容はお話のとおり、人員の配置を含めた経営形態、運営費用の精査、維持補修に係るコストの低減を図ることにより、赤字を約二億円程度に半減させることができる見通しとなっているところでございます。
 今後、これらの検討内容等を踏まえ、まず沿線自治体である和歌山市、貴志川町が主体的に具体的な方策を判断されることになるわけでございます。県としては地域にとって重要な路線であると認識しておりますので、和歌山市、貴志川町の意向や取り組み状況を十分見きわめ、市町に対し協力をしてまいりたいと考えております。
 次に、貴志川線存続に向けた上下分離方式への見解についてでございますが、全国的に見ますと、鉄道を存続した類似路線の状況は、県が鉄道資産を保有している例はなく、沿線市町村もしくは第三セクターが鉄道用地等を保有し、県が市町村や第三セクターに財政支援をしている状況でございます。こういうふうな状況も踏まえまして、地元自治体である和歌山市、貴志川町が主体的に判断されることについて県としてはできる限り協力をしてまいりたい、このように考えております。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 財政改革プログラムの関係の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、人件費総額の抑制についてでありますが、知事部局の定数削減につきましては、電子県庁の推進や市町村合併に伴う振興局の見直しを初めとする組織機構の再編等によりまして、今後五年間で企業局を含む知事部局の条例定数の約一割に当たります四百三十人を削減することとしたところでございまして、今後多様化する県民サービスに適切に対応していく中で着実に定数削減に取り組んでまいります。
 また、給与カットにつきましては、これまでも四年間実施しているところでございますが、来年度も引き続き管理職二%、その他一%のカットを実施したいと考えており、それ以後につきましても財政状況等を見ながら適切に対処してまいりたいと考えております。
 さらに、退職手当につきましては、長期勤続後に定年または勧奨等により退職した職員に対する調整率一〇〇分の一一〇を平成十六年の一月一日から一〇〇の一〇七にし、平成十七年の一月一日から一〇〇分の一〇四にするほか、退職時特別昇給の制度を平成十七年一月一日から廃止をいたします。今後とも本県におきましては大変厳しい財政運営が余儀なくされると予想されますので、人件費の抑制に引き続き努めてまいります。
 次に事務事業の見直しにつきましては、削減目標を設定して徹底的な見直しを行うこととしており、県の業務の積極的なアウトソーシングや公共施設等の運営における指定管理者制度の導入、零細補助金の廃止や補助率の見直しといった県単独補助金の見直しなども実施してまいりたいと考えております。
 続きまして税の関係でございますが、まず今年度の税収見通しにつきましては、十月末の県税の調定額は企業収益が堅調なことなどを受けまして約六百三十億円で、対前年同期比でプラス〇・八%となっております。この状況で推移いたしますと、当初予算額は確保できる見通しでございますが、昨今の原油価格の高騰による企業収益への影響など懸念される点も見受けられますので、今後の動向に十分注意してまいります。
 次に県税収入率向上対策でございますが、昨年八月に県税徴収対策本部を設置したところでございまして、振興局ごとの徴収目標及び行動目標の設定と進行管理を行うとともに、納税相談の充実、差し押さえの強化などの取り組みを進めてまいりました。本年度は、本庁税務課に県税特別徴収対策チームを新たに設置をして滞納整理の一層の促進を図っているところでございます。今後ともこうした取り組みを進め、収入率の向上に努めてまいります。
 次に未利用の県有財産の活用につきましては、利用調査など詳細な資産の洗い出しを行うとともに、庁内全体で検討を進めて関係市町村とも協議をしながら計画的な処分を行ってまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 架空請求やおれおれ詐欺の被害防止対策についてお答えいたします。
 まず、県消費生活センターにおける架空請求に関する相談状況についてでございますが、本年上半期における全相談件数七千二百四件のうち、身に覚えのない情報料請求いわゆる架空請求等が四千五百七十七件で、全相談件数の六六%となってございます。これは、昨年度同時期と比べまして二・八倍と大幅に増加しております。
 次に、このような状況を踏まえまして休日における消費者相談体制の充実についてでございますが、消費生活センターにおける相談が月曜日に集中している現状があり、また関係者からも休日に相談を受けることがあると聞いてございます。こうした実態を考慮して、より効果的な相談体制を検討してまいります。
 また、おれおれ詐欺や架空請求被害の未然防止の啓発活動の充実につきましては、機会あるごとに広く県民に啓発を行ってございます。今年度、特に携帯電話を使い始めた中学生、高校生や被害の受けやすい高齢者に対し、学校や行事等に出前講座を実施し、積極的に啓発に努めているところでございます。なお、「県民の友」十二月号の第二面全面に特集記事を掲載しております。
 今後とも、被害の未然防止のため、消費者相談の充実や市町村相談窓口の支援等を行うとともに効果的な啓発に努めてまいります。
 次に郵政公社による配達の保留についてでございますが、配達される架空請求のはがきに対して、郵便法等により配達の保留等ができないと聞いてございますが、今後こうしたことへの対応につきまして、関係府県、関係者と情報収集に努めてまいります。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) フリーター、ニートに働く意欲の向上対策についてお答え申し上げます。
 昨今、フリーターやニートと呼ばれる若者の増加が大きな問題となっております。このような状況が続けば社会保障システムの脆弱化や経済に与える影響も懸念され、非常に憂慮しているところです。このため、ジョブカフェ・わかやまを開設するなど、若年者の就職支援に取り組んできたところでございます。
 議員御指摘のとおり、厚生労働省では若年者対策として、働く意欲の涵養、向上を図るため、職業意識の啓発、職場におけるコミュニケーション能力の強化等、若者が早期に、しかも安定した就労につなげるための新たな取り組みが検討されております。
 今後、県といたしましても、関係機関と連携し、若年者の雇用の実態把握に努めるとともに、国の動向を見きわめながら就職促進に向けて適切に対処してまいります。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 初めに、教育関係における人件費の抑制についてお答えいたします。
 今後、児童生徒数の減少による教職員数の減員や市町村合併が進む中での学校の適正規模化、統廃合等により、平成十六年度からの五カ年間に約四百名程度の教職員の定数減を行うこととしております。
 なお、少人数学級編制等必要な教育施策に係る定数の確保に努めるとともに、本県教育の一層の活性化に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、キャリア教育の推進についてお答えします。
 御指摘のように、就職をめぐる環境の激変やフリーター等の増大は憂慮すべき問題であると受けとめております。こうした状況を打開するためには、一人一人に確かな勤労観、職業観を初め、社会人、職業人としての基礎的、基本的な態度や能力をしっかりと身につけさせることが極めて重要であります。
 このため、学校教育においてそれぞれの発達段階に応じた活動をどのように系統的に展開していくか、あるいは社会の現実を踏まえ、自己の将来をどう描くかというキャリア教育の観点に立って、職場体験やインターンシップ等、多様な体験活動をより一層普及していく必要があると考えております。
 これまでの各学校における、例えば七百カ所余りの事業所に御協力いただいて二千二百名程度が参加している学校独自のインターンシップ等の取り組みに加え、平成十五年度から県教育委員会事務局やその外部機関等においても受け入れを行っており、今年度は盲・聾・養護学校を含む約六十名の高校生が参加しました。また、本年度からきのくにデュアルシステムを田辺・西牟婁地方でスタートさせ、専門高校と企業等が長期の企業内研修等を通して合同で人材育成に取り組むほか、龍神村をキャリア教育推進地域に指定し、村内の小中高等学校において十二年間の一貫した活動プログラムづくりとその実践に取り組んでおります。
 来年度、国の新規事業として予定されているキャリア教育実践プロジェクトにおいて、中学生を中心とした五日間程度の職場体験とそのシステムづくり等に積極的に取り組み、県内の多くの地域で充実した活動が展開できるよう努めてまいります。
○議長(小川 武君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 架空請求やいわゆるおれおれ詐欺について、まず被害の実態と捜査状況についてお答えいたします。
 本年十一月末現在、架空請求詐欺は六十七件、約五千五百万円、おれおれ詐欺は五十二件、約六千八百万円の被害届けを受理しております。また、被害届け以外に、十一月末までに約七千七百件の相談を受理しております。これらの事案は極めて悪質な犯罪であることから、本年六月、警察本部内に身近な知能犯罪対策班を設置し、犯人検挙に向け捜査体制の強化を図ったところであり、十月にはおれおれ詐欺に利用された口座の通帳等を金融機関からだまし取っていた口座屋二名を検挙しております。
 次に、被害の未然防止への取り組みについてお答えいたします。
 その一は、広報啓発活動の推進であります。架空請求やおれおれ詐欺の被害防止を図るには、県民の皆様の防犯意識を高めることが最も重要であると考えております。そのために、警察のホームページやミニ広報誌などあらゆるメディアを活用し、広報啓発活動を推進しております。また、県消費生活センターや各自治体等と連携し、相談に対する適切な指導助言や広報啓発に努めているところでございます。
 その二は、金融機関との連携であります。金融機関の窓口で多額の現金を振り込む客に対し、職員による積極的な声かけ、ATM機の操作画面上にテロップを流すなど、金融機関窓口における被害防止対策に努めているところでございます。また、被害を認知した際には犯行に利用された銀行口座について迅速な凍結依頼を行い、被害の未然防止に努めております。
 警察といたしましては、さきの国会で成立した改正本人確認法を有効に活用し、捜査の強化を図るとともに、引き続き被害の未然防止に努めてまいる所存であります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十番新田和弘君。 
○新田和弘君 簡潔に三点、要望させていただきます。
 まず第一点目でございますが、財政の収支差解消についてでございます。
 本県の平成十六年度当初予算を見ますと、義務的経費が四七・七%とおおよそ半分近くがやっぱり義務的経費になっておるということの中で、当局におかれましても人件費の削減等に職員の皆さんの御理解をいただいて、努力をしていただいて、今後も人員の削減等努力をされておるわけでございますが、もう一方の公債費は七百十九億がございますけれども、この公債費の平準化、縮減ということについても努力していかなければならないんではないかと思います。
 そういった意味で、県の方は平成十五年からミニ公募債というのを発行いたしまして、十五年は十億円、十六年度におきましては、こういった紀の国きらら債ということで一月に二十億円を発行するということで、今後においても財政健全化債を発行していくということが言われておるわけでございますが、岐阜県におきましても、今年、市場型公募債を発行することを決めているようでございます。
 本県の場合、起債制限比率が県の努力で改善されまして現在一四・四%ということで、若干まだ起債をする力があるというか、そういうふうな状況でございますので、少しロットを広げて、そして市場公募債等も視野に入れて、もちろん銀行引き受けの起債の方が単価は安いというふうには伺っておるんですけれども、そういった意味で高い起債については繰り上げて償還をし、また返済していく起債の公債費に充当するなどを行えば地方交付税が減額しても若干それで補てんしていくということが可能であり、いわゆる投資的経費の確保にもつながるんではないかとこのように思いますので、そういった点についても今後十分御検討をお願いいたしたいと思います。
 それから、二点目に貴志川線の問題でございますけれども、もうちょっとはっきりした答弁が欲しかったわけでございますが。と申しますのは、十七年十月一日でこの事業が廃止をされるということが決まっておるわけでございますので、仮に新たな企業が参入をするということが決まっても、やはり準備期間ということからすると約半年ぐらいかかるんではないかと。そうしますと、四月の初旬までにはどこがどうやるのかということをきちっと決めなければ、公共交通機関の確保が困難になってしまう。そういった意味で、主体的にはもちろん和歌山市と貴志川町でありますが、ここと県が本当に十分協議をして方向性を出していただきたい。
 さらに、やっぱり最終的にはお金の問題になってくると思いますので、和歌山市、貴志川町も財政困難だというようなことでございますので、国に対しましてこういった鉄道を存続さしていくというような場合に新たな起債なり、そういう財源を確保できるような措置を、過疎債のような形のような有利な条件の起債を和歌山市にも認めていただいて財源捻出をして、その上で存続に向けての取り組みを行う等、国にも十分そういった点もお願いをして、財源確保の上で存続という方向性をぜひ見出していけるよう御努力をお願いいたしたいと思います。
 それから、三点目のおれおれの詐欺の問題でございますが、県も積極的に県民への啓発ということで、十二月号の「県民の友」の二面の見開きに大きく取り上げていただいて県民の皆さんに啓発をされておりますし、警察本部においても懸命に取り組んでいただいていることに敬意を表するわけでございますが、私はこのはがきのことで、先ほど答弁で、郵政公社は郵便法の関係ではがきの配達を保留できないということでございますけれども、こういったはがきが郵便局から配達されることによって詐欺にかかって多額のお金をだまし取られると。そうすると、郵便局はそういったお手伝いをしておると言われてもやむを得ないような状況にあるわけですので、銀行口座の売買の禁止の法律ができたり、またプリペイド式の携帯電話の規制等が各事業者で行われているのと同様にこういった問題についても国に法整備を行ってもらって、やはり入り口のところで防いでいけるような体制づくりもぜひ要望していただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 きょうの一般質問も、私が最後であります。いましばらく御辛抱いただき、おつき合いをいただきたいと思います。
 先月、十一月の十六日から十八日まで防災等対策特別委員会におきまして、釧路、帯広方面へ視察に行ってまいりました。昨年の十勝沖地震のその後の対応などを勉強してまいったのでありますが、それからこの三週間という間に、十勝沖を震源とする二度の震度五強という地震がありました。新潟のこともありまして本当に人ごとではない、東南海・南海地震に対する備えの大切さを再度認識いたしております。そしてまた、当局におかれましても準備を進めていただいておりますが、県民が安心で安全に暮らせる町づくりを望んでおります。
 また先日、我が自民党県議団の時局講演会におきましては、元内閣官房参与の中山恭子さんにお越しをいただきまして、「拉致問題にかかわって」と題して御講演をいただきました。会場は、六百席の会場でありましたが、すぐに満席になりまして、本当に人があふれ、千人を超す方がお越しになっていただきました。中山さんは講演の最後に、「どうか地方の皆さんも、拉致問題が全面解決するまで応援をしてください」、そのように訴えておられました。昨日、曽我ひとみさんが夫のジェンキンスさんと二人の子供とともにふるさと佐渡へ、家族一緒に渡ることができました。どうか、拉致問題につきましても皆さん方の御支援を重ねてお願いをいたします。
 議長のお許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。
 まず、最初であります。四十七──この数字は都道府県の数をあらわしています。四十七位。ちなみに、和歌山の下水道普及率は四十六位です。十六年度の「一〇〇の指標から見た和歌山」で探してみました。四十七位が何であるか、一生懸命探しましたら一つだけ出てきました。一商店当たりの卸売販売の年間販売額が四十七位。これ一つだけでありまして、ほかにありません。
 ところが、和歌山県はことしの国体において、初めての屈辱的な最下位になりました。いや、なってしまいました。厳しい数字を突きつけられたと私は感じています。勝負事には順位がつきものであります。一位があれば、予選で敗れる者もおります。優勝チームがあれば、敗れ去ったチームがあるのであります。だれもが一位だけを目指しているわけではないのですが、やる限りは勝ちたいと思っているのが事実であるでしょう。ゴルフにおいても。
 今回の結果は、大変残念に思う反面、冷静に考えてみると本当のスタートラインに立ったのではないか、そう考えることができます。これ以上、下がらないのです。後はないのです。ただ、上を見れば切りがない。
 そこで、思い切った方策がとれるということであります。今までの枠組みを打ち壊し、組織を見直すよいチャンスだと私は考えます。野球の世界には、古くからこんな言葉があります。「チャンスの後にピンチあり。ピンチの後にチャンスあり」。今回の屈辱を糧にして冷静に反省をし調査研究することで、必ず次につながるものと考えますし、つながらなければ和歌山のスポーツも県勢も衰退の一途をたどるでしょう。そうなっては困ります。スポーツを愛する者の一人として断じて許されないことと考えますし、現在の時代背景や教育的立場から考えても、スポーツ振興は大きな柱と考えています。
 ことし行われたアテネオリンピックでは、日本国民が夜中の放送にもかかわらず日本人選手の活躍に一喜一憂し、センターポールに上がる国旗を見て涙する場面も多くありました。スポーツとは、そういうものなんです。和歌山の現状を今、再度見詰め直したいと思います。
 第一に、施設の面であります。五十メートルの室内プールはありません。馬術競技をする競技場もありません。ナイター設備のある野球場もありません。グラウンドホッケーをする公式競技場もありません。(「射撃場もないよ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。ほかにも多くの競技があります。
 聞くところによると、県議会においても、この議場においても何人もの議員が登壇をして、紀三井寺球場にナイター施設つけよらようという質問をしていました。ところが、そのできない理由の一つに、近隣する自治会や地元同意がとれない、そういう答弁でありましたが、最近、この地元同意はどうもとれそうだというんですが、球場が余りにも古いかなと思ってしまうのでありますが、ただ今度は予算がないということにもかかわってくるのかなという動きがありますが、これはこれでよいことだなと思っております。
 また、五十メートルの室内プールでありますが、約二十年前に私は富山を訪れたときに、既に富山にはありました。
 せんだって、馬術関係の人とお話をする機会がありました。馬術競技の近畿大会があるそうであります。これは、近畿六県が持ち回りで開催をしているようであります。和歌山の担当になった、ところが開催する場所がない、和歌山県主催の大阪会場でやる。何かおかしいなと思いながら、それしか方法がないんですということをおっしゃっておられました。
 首をかしげたくなることが大変多いのが現実であります。今までどんな強化策を考え、どんな施策を打ってきたのか、考えさせることが大変多くあります。
 次に、国体での成績であります。
 黒潮国体で総合優勝を果たしてから、その余力を食いつぶしながら、徐々に徐々に成績は下降線をたどってまいりました。近年では、二十九位、四十一位、四十三位と来て四十七位です。あえて最下位とは申しません。開催した和歌山国体の折には、やはり選手を集め、指導者も集め、強化を全面に打ち出して天皇杯、皇后杯をとったわけでありますが、その後、この強化選手が年々年を重ねていく、指導者も重ねていく、そういう現状の中で成績も落ちてきた。そこへもってきて、今度は不況の影響であります。企業スポーツが衰退をして影響したと私は分析をいたします。ならば今こそ、和歌山のスポーツ振興を真剣に考えるときが来たと思いますし、やらねばならないと使命感に燃えてほしいのであります。和歌山のスポーツ界においては、落ち込んでいる暇などないはずであります。
 そこで、幾つかを質問したいと思います。
 まず、知事。
 知事は、県の体育協会の会長をなさっておられます。会長として今回の国体の成績に対してどう感じておられるか。また、和歌山県のスポーツに関してどうお考えになっておられるのか、お聞きをいたします。どこかの知事は国体に関して、「開催県だからといって天皇杯、皇后杯をどうしてもとらなければならないというものではない」、そんな発言もありましたが、木村知事はどういう考えを持っているのか、お答えをいただきたいと思います。
 また、知事なりに最下位になった原因をどうとらまえておられるのか、スポーツは知事の中においてどの程度の部分を占めているのか、今後の和歌山県のスポーツに関してどのような展望を持っているのか、お答えをいただきたいと思います。
 同じく、教育長にも質問をいたします。
 和歌山県の競技スポーツに関係する強化費は、全国的に見てどの程度でありますか。和歌山県のスポーツ施設は全国レベルにおいてどの程度のものなのであるか。また、今回の国体では種目による得点が従来より変更になり、和歌山にとっては不利に働いたと聞いておりますが、どのように変更されたのか。また、得点制度はこれからも続いていくのか。和歌山県の指導者のレベルはどの程度と考えているか。体育指導員の採用が途切れている現在、採用のめどはあるのか。そして最後に、来年の国体に向けての秘策があればお答えをいただきたい。
 次に、道路網についてであります。
 道路は、人や物の移動や輸送に欠かせない基本的な社会基盤の一つであります。しかしながら、道路整備が交通事情に対応できていないのが現状であります。外に開かれた和歌山実現のため、交流ネットワークの創造として、高速道路、国道、県道、府県間道路や都市計画道路の整備が必要と考えます。
 そこで、和歌山市内の道路事情を考えてみたいと思います。
 国道が二十四号、二十六号、四十二号と三本通っていますが、そのいずれもが汀丁交差点で交わっております。これは、都市機能が中心部に集中しているため、和歌山市内の道路体系は中心部に向かって車が流入し、分散する構造になっています。この体系ではどうしても停滞が発生するのであります。流れをよくするためにバイパス整備が必要となってきます。
 十月に、西脇山口線の市小路、平井周辺がバイパスとして開通をいたしました。このことにより、紀の川大橋、北島橋、紀の国大橋が東西の道でつながってきました。私は前回の質問でも言いましたが、紀の国大橋ができたことによって紀の川大橋や北島橋が大いに緩和されたと考えていました。事実、実感としてもありました。しかし、最近の車の流れを見ていると、現実はそうでもないのかなと思うことがあります。
 西脇山口線が開通をして、和歌山市の北西からの流入車両はどのような流れになっているのか。また、紀の国大橋、北島橋、紀の川大橋の三本の橋に関しての交通の流れはどのようになっているのか。工事に対する結果並びに状況をお答えください。
 次に、前回も質問をいたしました北インターの整備であります。
 紀の川北部の東西幹線道路である西脇山口線が開通をされ、今度は阪和自動車道への紀の川北部での接続ということになります。直川、府中のあたりまでの道路改良も早めなければなりませんが、ここでは、高速道路への乗りおりはほとんどが大阪方面の車両と考えられます。ということは、片側だけのハーフインターでもよいのではないかと考えますし、素人なりに考えてもそんなに難しい工事ではないと思っています。インターチェンジができる可能性をお答えください。
 そして、今のインターチェンジだけでは、東南海・南海地震のときや一般道路の橋梁が破損した場合など万が一の場合不十分と考えますし、現在のインターチェンジ周辺の混雑を考えると、渋滞緩和策の一つとして必ず役に立つインターチェンジになると思いますが、いかがですか。
 そして次に、現在のインターチェンジ周辺の状況であります。
 岩出から四車線の国道二十四号を和歌山市内へ入ってくるとき、紀州大橋の手前で車線が二車線に狭められております。紀州大橋が二車線なので、そこへ入る車の量を調整しているのだと思いますが、それにしても、四車線にするための車道がもう何年もそのままになっております。四車線から二車線に狭められている道の混雑を考えると、早く四車線で走らせてほしいと思うものであります。紀州大橋は、いつ四車線化ができ上がるのですか。国土交通省の事業でありますが、和歌山県内のことですので県においても把握していると考えます。工事の進捗状況など、御説明をいただきたいと思います。
 最後の質問項目であります。雇用問題、中小企業の振興についてであります。
 私たちの住む和歌山は、不況にあえいで随分と年月がたっています。地域産業の基盤をなす中小企業にとっては、厳しくもつらい経営が続いています。そんな中での紀陽銀行と和歌山銀行の統合などは、県内中小零細企業にとっては、足腰の弱いところは切り捨てられるのではないか、資金調達が今までと同じようにいくのか、また行員にとってはリストラの問題など不安を抱えるものと考えますし、一般顧客からは、銀行が遠くなる、集金に来てくれないなど不便を強いられることにもなると思いますが、知事は今回の統合予定についてどう考えておられるのか、所見を伺います。
 私は、今回の統合問題では、今政府において議論がされている郵政民営化問題と同じ不安が出てくるのではないかと考えています。過疎地における銀行の支店を縮小し、新規取引先が切り捨てられる可能性が大きくなるなど、心配をしています。汗を流し、知恵を出してまじめに頑張っている中小零細企業がやむなく廃業、倒産とならないよう、県においては、今回の統合については経済の論理や単なる経営上の統合合併ととらえることなく、弱者に光を当て、利便性をも視野に入れた県民の要望を銀行に対してお願いしていただきたいと思っています。
 戦後の日本経済を支えてきたのは、中小企業であります。これからの経済の発展を支えるのも中小企業と考えています。
 先日、和歌山県内では八番目となる太洋工業がジャスダック市場への株式上場を果たしました。大変うれしいニュースと喜んでおりますが、まだまだ中小企業を取り巻く環境は厳しいものがあります。大都市での景気動向とは大いに異なるところがあります。県においては雇用創出プログラム「わかやまジョブ・クリエイション」を策定し、企業誘致や産業振興施策、高齢者福祉など県が主体的に取り組む事業として考え方や内容を明らかにしたところですが、失業者問題や経営改善など、景気回復にはまだまだ時間がかかると考えています。何としても中小企業に元気になってもらい、和歌山の経済が力強く回復することを期待していますし、それにより雇用に関する問題も好転していくものと考えます。
 この中小企業こそが経済雇用の主役であり、和歌山県経済のバックボーンであるということは言うまでもありません。ベンチャービジネスの発想や成長を助け、地域社会に貢献する企業を育てることは行政の使命と考えますが、県として中小企業の振興にどのように取り組まれていくのか、お伺いしたいと思います。
 また、雇用問題に関連して、地域経済の振興を願い、中小企業の発展を望み、雇用がたくさん生まれることを期待し、わかやまジョブ・クリエイションについて質問をいたします。
 わかやまジョブ・クリエイションでは、平成十六年から十九年度までの四年間で一万五千人の雇用を創出するとしているのには、大いに期待しております。雇用創出目標の達成に向け、産業振興による雇用創出、行政による多様な雇用機会の創出、雇用のミスマッチの解消による就職支援の三つを掲げ、施策を展開していくとしていますが、このプログラムの概要や特色、目標達成に向けての今後の考え方を伺いたいと思います。このプログラムは何分装飾が多く、簡単に理解しがたい言葉もありますので、商工労働部長よりわかりやすく説明を求めます。
 以上が、私の第一回目の質問であります。御清聴をいただきましてありがとうございます。終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの国体の成績について、私も実は新聞を見たとき、非常にショックを受けました。一番になるのもなかなか難しいけれども、びりになるというのもなかなか難しい。そしてまた、このびりになるというふうなことは、やっぱり県民の士気に非常にかかわることだというふうな気持ちを、私は正直言って持ったところでございます。
 集団競技の得点がことしからたくさん配されるようになったとか、それから県のインターハイで活躍して期待していた選手が奮わなかったとか、いろいろ個別には事情があると思いますけれども、しかしながらやはり全体的に四十番台をこのところ低迷しているというふうなことは、これは間違いないことなので、やはり私はこの時代、スポーツの振興ということは非常に大事なことだと思っているので、何とかこの状況を打開したいというふうに思っております。
 そういう中で、つい先般開かれた近畿知事会議でも、和歌山県もいよいよ国体の二巡目に立候補すると。その中で、これはまあいずれまた議会にお諮りするわけですけども、御存じのように、今非常に財政的にも厳しい中でやっていくということで難しいので、広域開催で皆さんの御協力をいただけないかというふうなことを諮りましたところ、来ていたすべての知事の人が協力するよというふうなことになりました。こういうふうな二巡目国体へのエントリーというふうなことをまずきっかけにして、これから大きく和歌山県のスポーツというふうなものがまた振興していくような努力をしていきたい。
 例えば、ナイター設備がない野球場というのは、日本でも和歌山だけというふうな話もあります。これも、日本で一つだけというのはなかなか難しい。やはりそういうことは胸を張って言えるようなことでもないんで、別にトップテンに入ろうとは思っていませんけれども、そういうふうなちょっとよそと変わったような状況になっているようなことについては思い切り見直していきたいと、このように思っています。
 そしてまた、天皇杯、皇后杯をとるかということについては、私は東京都なんかが出てくるときに、和歌山県が無理をして天皇杯をとるというふうなことはちょっとやっぱり不自然なことがあると思うんだけど、ただそのこととベストを尽くして一番可能な限りいい成績をとるということはまた別のことなんで、そういうふうな方向で力を尽くして、そしてまた和歌山県の青少年がスポーツで大いに力を、勇気を持てるようなことをしていきたい。時間のかかることですのですぐに結果が出るというわけにはいかないと思いますけども、そんな方向でスポーツ振興に取り組んでいきたいと、このように思っています。
 それからもう一つ、紀陽銀行と和歌山銀行の合併を進めるための協議を始めるということです。
 これにつきましては、都市銀行の再編が一段落し、不良債権の処理が山を越えたというふうな中で、今度は地銀、そしてまた第二地銀の統合、統廃合ということがペイオフを控えて問題になるというふうに言われております。今回のこともそういうことの一環の中に入っているんだろうというふうに推測はしておりますけれども、しかしながら今御質問の中にありましたように、そのことでまず一つは、銀行に働いている人の職場が狭まってくるような可能性もあると。それからまた、その銀行から融資を受けている中小企業というふうなところが苦境に立たされる可能性もなくはないということでございますので、私どもとしてはそういうことにならないように関係金融機関にも強く申し入れ、それからまたその他の商工施策の中においても、これはまた後に部長が話すると思いますけれども、いろいろな対策をとっていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 道路網について、三点お答え申し上げます。
 まず、西脇山口線開通による交通の流れについてでございますが、今回の西脇山口線供用により和歌山市北部の東西ネットワークが強化されたため、紀の川を渡る三本の橋の交通が分散され、和歌山市北西部から市中心部へ向かう三つのルートが有効に機能し、渋滞緩和に大きな役割を果たしていると考えております。
 具体的には、朝の通勤時間帯の梅原交差点から紀の川を渡ってJR和歌山駅に至るまでの所要時間は、もともと三十分程度要していたものでございますが、短縮時間で見ますと紀の国大橋経由で約九分、北島橋経由で約七分、紀の川大橋経由で約十二分と、それぞれ大幅に短縮が図られております。このような状況を踏まえ、今後とも西脇山口線など幹線道路の整備に取り組んでまいりたいと思います。
 次に和歌山北インターについてでありますが、新たにインターチェンジを設置するには町づくりに資することがその要件になっているため、和歌山市が取り組む町づくりを前提に、和歌山市内の広域的な交通体系の中で必要性、可能性などについて検討する必要があると考えております。
 一方、国では今後、高速自動車国道の有効利用を図るため、ETCを活用したコスト削減が可能なスマートインターチェンジ等の設置を推進するとしております。こういった状況のもと、議員御提案の趣旨も踏まえ、和歌山市と十分調整を図りながら、今後さらに積極的に検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に紀州大橋の四車線化の進捗状況でございますが、国道二十四号の和歌山バイパスにつきましては、紀州大橋を含む残る二・四キロの四車線化に向けた事業を国が進めており、昨年度末に紀州大橋の下り線の橋梁上部工工事に着手し、今年度も引き続き橋梁上部工工事を進め、平成十九年度に二・四キロの供用開始を行うと聞いております。今後とも、早期供用が図られるよう国へ強く働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 雇用問題、中小企業の振興についての二点についてお答え申し上げます。
 まず中小企業の振興策につきましては、最も重要な課題と認識し、本年三月に和歌山産業イノベーション構想を策定し、中小企業の総合的、一体的な支援を推進しているところでございます。そのため、商工労働部の組織を再編し、産業支援課を経済センターに設置するとともに、財団法人わかやま産業振興財団を設置することにより、経営、技術創業、販路開拓、金融などの支援をワンストップで迅速に対応できる体制を整えたところでございます。
 また、中小企業の金融面につきましては、県制度融資において借りかえ資金や無担保の資金調達支援である広域CLO融資制度の実施、小企業者枠の拡充等を行ってきたところでございます。さらに、地場産業の振興として産地組合が取り組む新技術、新商品の開発や販路開拓、中国を初めとする海外進出を支援するとともに、小売商業の創業を促進する等、商店街の活性化にも努めております。
 今後、銀行の統合の問題も踏まえ、これらの事業を一層充実発展させるとともに、新たな取り組みに挑戦する中小企業の支援体制を強化することにより、中小企業の振興に邁進してまいります。
 次に、雇用創出プログラム「わかやまジョブ・クリエイション」は、景気・雇用情勢のより一層の改善を図るため、四年間で延べ一万五千人の雇用創出を目指すものでございます。このため、プログラムでは雇用創出につながる県事業を体系別に位置づけ、積算することにより雇用創出目標を設定するとともに、さらに年度別と雇用の種類別にも雇用創出数を明らかにしているところでございます。
 具体的には、新産業、新事業の創出や企業誘致、観光産業の振興、さらには各種福祉サービスの充実などによる雇用創出で一万三千九百人、行政のアウトソーシングの推進などの行政による多様な雇用機会の創出で一千百人の雇用創出を目指すとともに、若年者対策など雇用のミスマッチの解消策もあわせて推進することとしています。
 さらに、雇用形態が多様化している現在、働く場を創出することが重要との考えから正社員、パート社員などの雇用形態の区分ではなく、雇用の種類別では、雇用期間が一年を超える常勤的な雇用と、おおむね六カ月から一年以内の短期的な雇用、さらに経済波及効果に基づく理論的な雇用の三つに区分したところでございます。
 また、このプログラムは現時点で実施あるいは検討中の事業で構成しているため、年度別では三年後、四年後の雇用創出目標は初年度や二年度に比べ少なくなっておりますが、今後、実績と予算を毎年度明らかにし、新たな事業もさらに検討しながら、目標達成に向け、雇用創出効果に重点を置いた総合的な事業展開を推進してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツの振興についてお答えします。
 今回の国民体育大会の成績は、まことに残念な結果と言わざるを得ません。県選手団の活躍に期待し、応援していただいた県民に大変申しわけなく思っているところでございます。
 御質問の競技力向上のための選手強化費につきましては、全国水準から見て極めて厳しい状況にあります。また、本県のスポーツ施設は、人口当たりの設置数において、多目的運動広場や体育館などは全国平均を上回っていますが、陸上競技場や球技場などは平均を下回っております。また、それらの施設は、一部を除いて全体的に老朽化が進んでいる状況であります。
 国体において、昨年の第五十八回大会から新たに取り入れられた得点方式は、九人以上の団体種目の得点が従来よりもふえて高得点となり、本県の得意とする二人から四人の種目の得点が減じられ、結果として不利になってまいりました。今後この方式が続くと聞いております。
 指導者につきましては、日本を代表するようなすぐれた実績を上げた人たちが各競技において熱心に指導してくれておりますが、全般的に高齢となっているのが現状であります。
 体育指導員は現在採用しておりませんが、本年度から公立学校の保健体育科教員採用検査において一次検査の一部を免除するなどして、優秀な選手や指導者の確保に取り組んでいるところです。
 従前から学校教育の充実やスポーツの振興を重要な柱と位置づけ、その施策に取り組んでまいりましたが、中でも競技スポーツは礼節や精神力を体得させるとともに、見る者に感動を与えるなど極めて有意義な活動であることから、積極的に推進したところであります。
 このたびの結果を重く受けとめ、早急に競技力を高めるために、ジュニア選手を組織的、計画的に育成する一貫指導システムの整備充実や指導者の養成、確保等が最も重要であると考えております。関係機関、団体と連携し、一丸となり強化策に取り組む所存であります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三番新島 雄君。
○新島 雄君 答弁をいただきましたが、道路に関してです、部長。
 北インターの件なんですが、私は、和歌山市内にインターチェンジが一つあることは必要条件だと思います。しかし、十分条件ではないと思っています。だから、交通体系なんかも考えないかんでしょうけれども、県民が何を望んでいるのか、どんな道が必要と感じているのかをよく見きわめてほしいんです。それを早くしてほしいんです。要望します。
 雇用問題なんですが、私の質問が悪かったかもわかりませんが、議場にいらっしゃる皆さんも、答弁がわかりにくいというような表現を、顔を見たらしていました。私もそうです。
 部長は現実として、雇用問題、中小企業、本当に苦労しているのわかっていると思うんですよ。それは、こんなんしました、あんなんしましたではないような気がするんでね、そこらもう一回洗い直してくれんかなって思うのが本音の部分です。表現が悪いかもしれませんけどね、本当に中小零細企業は血の汗を流していますよ。それで、働く場所探すのに本当にいろんなところへ頭下げて、必死になって探している人、ようさんいます。それがいい人材であるということもあります。だからもう一度、「頑張ろう和歌山」です。よろしくお願いします。
 最後、国体に関してなんですが、知事の答弁も教育長の答弁も、潔さがあったと私は評価をします。その潔さというのは何なのかと言えば、最下位を心からまず認めている。認めやな、これスタートせんですよね。それは僕は大いに評価をします。
 しかしこっから、落ち込んでやんとやらなしようないんですから──この議場の中にはスポーツに長年携わってきた人がたくさんいますし、スポーツを愛する人もたくさんいます。応援をずっとしているわけですから、県民と同じように和歌山県のスポーツが力強く復活することを我々も応援しますので、その心意気を十分感じ取っていただいて、もう今から次の国体に向けてスタートを切ってほしいし、そして二巡目国体に向けての中長期的な展望もきちっと立ててスタートを切ろうではありませんか。我々も一緒に頑張りますから、やりましょう。要望です。終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新島雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十八分散会

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