平成16年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに知事専決処分報告報第十三号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 まず最初に、雇用問題について何点かの質問をいたします。
 知事は就任あいさつにおいて、知事選挙を通じて県民の願いをかなえる県政を進めていくことが不可欠であることを痛感したと述べられました。今、県民の願いは、暮らしが少しでもよくなってほしい、特に若い人の働く場をつくってほしいと強く願っていると同時に、その一方で、若い人が「使い捨て」と言われるように酷使されている実態の改善を願っていると思うのです。知事の政策宣言は、四年間で延べ一万五千人の雇用の場を確保するとして、きめの細かい無料職業紹介事業に取り組むとしております。
 私は二月議会で、雇用の場をつくるために県がみずから雇用創出計画を策定することを求めました。そのとき、当局も初めて計画策定を検討することを約束してまいりました。そして、この知事の政策宣言での一万五千人の雇用確保につながったのだと私は思います。この点では前進してきたというふうに評価するものです。
 まず、この問題でお尋ねをいたします。
 最初に知事にお尋ねいたしますが、一万五千人という計画目標ですが、国の統計でも和歌山県の完全失業者は三万人を超えています。また、常用雇用を求めながらもパートやフリーターとなっている方も多数いるのですから、長期にわたって失業や半失業状態にいる方が安心して働ける場を得るにはこの目標は少な過ぎると思うのです。どのような根拠から一万五千人という数値目標を持たれたのでしょうか、お尋ねをいたします。
 次に、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 目標は延べの数字となっていますから、緊急雇用のような短期間の臨時雇用もその中に入ってくるのでしたら実際に働く場を求めている県民の雇用をつくるということでは見かけ倒しになる可能性があると思うのです。四年たって実際に雇用の場がふえる目標にする必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。
 次に、雇用の確保と県民の暮らしや福祉、教育条件の向上につながる施策を結びつけたものを雇用拡大の柱にすることが何よりも大切だと思うのです。それは、特別養護老人ホームや介護施設の充足、医療現場での看護師不足の解消、障害者施設や在宅支援体制の充足、三十人学級などの子供の教育条件の改善、自然環境や森林保全のための要員配置、農業の振興による県土の保全、防災力の向上など、こうした分野での雇用の拡大は若い人が地元で働ける場と県民の暮らしを豊かにするものでありますから、ぜひそのような方向で計画を策定することを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 先日、厚生労働省の二〇〇四年版「労働経済の分析」では、二〇〇三年のフリーターが二百十七万人、十五歳から三十四歳の若年層のうち、仕事をせず、学生でもなく、職業訓練もしていない無業者、すなわち「ニート」と呼ぶようでありますけれども、そうした若者が五十二万人に上ることが明らかにされたところです。私たちの周りにも、社会人の年齢となって家に引きこもり状態になっている若者や、引きこもりではなくても社会に適応せず、就職する気持ちもなくアルバイトをするのでもない、こうした若者がふえているのが今の実態ではないでしょうか。
 こうした状態にある若者を非難するとか怒っても、それは何の問題の解決にもならないと思うのです。全国で五十二万人ですから、和歌山でも人口の割合からすれば四千人前後は存在すると考えなければなりません。単なる雇用問題ではなく、多くの若者が社会の中に出ていけない状態に追い込まれているのです。そうした若者が社会へ出る準備のできる場、自分の思いを話せる場をつくるなど、県としての対処をどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
 次に、教育長にお尋ねをいたします。
 先日、高校生の就職活動が解禁されましたが、一時より改善したとはいえ、依然として厳しい状況には変わりはありません。先週、近畿の高等学校の教職員組合が高校生の「就職黒書」というものを発表いたしました。今、高校生の就職を指導する高校の先生方からは深刻な声が語られています。学校によってもさまざまでありますが、この黒書は、女子の事務職が依然として少ないとか、賞与なし・交通費なし・社会保険なしという企業からの求人がある、また一方では、就職の学校紹介業務は本来の教育活動を圧迫するほどになっている、対生徒、対担任、対企業、就職関係行事の計画・実施、書類作成などなど超多忙である、時間軽減や人員配置、時間的配置などを強く望みたいと強く訴えています。なお一方では、就職支援教員いわゆるジョブサポートティーチャーなどが配置されているので充実した仕事ができる、就職アドバイザー制度の継続を強く希望するなどの声も寄せられているところです。
 国の緊急雇用対策が今後どうなるかわからない状態にはありますが、ジョブサポートやジョブサポートティーチャー、就職アドバイザーなど、高校生が社会に出ていく上で力を発揮していますこれらの制度については、何としても守ってほしい、充実してほしい、こういう声も多く望まれます。私もそのことを望むものですが、いかがお考えでしょうか。
 次に、障害のある方の雇用問題についてお尋ねをしたいと思います。
 和歌山労働局のまとめた昨年六月一日現在の障害者の雇用状況は、一・八%の法定雇用率が適用される従業員五十六人以上の民間企業では、常用雇用労働者数が五万一千人余り、常用雇用の障害者が九百九十三人で、雇用率は一・九五%となり、全国平均の一・四八%を大きく上回っています。よく頑張っているというふうに思います。しかし、県や地方の教育委員会関係での雇用率は二%の法定雇用率を下回る一・二六%とのことです。なぜそのような低い雇用率になっているのでしょうか、達成するためにどうされるお考えなのでしょうか、教育長の答弁を求めたいと思います。
 次に雇用問題について、とりわけ障害者、厚生労働省からの通達の対応についてお尋ねをいたします。
 障害者雇用率は民間企業では五十六人以上雇用している企業が対象でありますから、五十五人以下の企業における障害者雇用の実態はこの調査では明らかにはなりません。厚生労働省の障害者雇用の実態調査によりますと、全国で身体障害者数は、平成十三年度で約三百二十五万人に対し平成十年での常用雇用は約四十万人です。知的障害者は、平成十三年で四十五万九千人に対し常用雇用は平成十年で六万九千人です。精神障害者数は、平成十一年では二百四万人に対し常用雇用は平成十年で約五万一千人とのことであり、いずれもごくわずかな雇用でしかありません。
 和歌山労働局によりますと、県内では障害者の求職の申し込みが平成十三年で六百九十人、十四年で七百二十二人、十五年で六百九十二人です。就職件数は各年とも二百人台とのことです。今だれもがなかなか就職できない状況にある中で、障害のある方が働く場を確保することは大変困難な状態にもあります。障害のある方にとっては、働くことそのことが成長と一体のものであります。社会とのつながりを持つ上で欠かせない問題でもあろうかと思います。
 紀の国障害者プラン二〇〇四では、「障害のある人の雇用に努める企業等を支援し、雇用促進を図るため、県における物品調達に係る入札の実施等について、障害者多数雇用事業所等への優遇措置の導入を促進します」と明記されております。平成十一年十月二十二日に当時の労働省から「障害者多数雇用事業所に対する官公需の発注の配慮について」との通達が出され、さらに平成十四年十月三十日にも厚生労働省から「障害者を多数雇用する事業所、授産施設等に対する官公需の発注等の配慮について」が出されております。
 その中身は、一つには官公需の発注について配慮をお願いしたい、二つには障害者を多数雇用する企業への支援の方策について検討をすること、三つには授産施設等の製品について庁用物品としての調達、各種行事や大会等における記念品としての活用なども含め、その優先的発注など積極的な活用を図ること、四つには授産施設等の行っている役務提供の活用の四点について配慮を求めているところです。この通達に基づいて、どのように県は受けとめられて対応をこれまでされてきたのでしょうか。これについては、商工労働部長、総務部長、福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
 ある福祉工場での話ですが、県立医大の白衣のクリーニングを毎年三月に入札するそうです。その入札のとき、落札できれば月に四十万円程度の仕事を確保できるそうです。もしとれなかったらどうしようかと緊張して、入札前日は夜も眠れないほどの緊張だそうです。いろいろ問題もあると思いますが、県や行政機関が障害者の多数雇用事業所や授産施設、福祉工場の仕事を一定確保するための制度をつくる段階になっていると私は思うのです。
 特に検討いただきたいのは、共同作業所や授産施設の製品の開発や販路の確保の問題です。一カ所の作業所で対応できないような大量の品物を必要とする場合もあるでしょう。作業所が生産できる製品や行政が希望する製品を調整する役割をする部署をつくれば、かなりの仕事を確保することができるんではないでしょうか。長野県では障害者多数雇用事業所や共同作業所が提供できる物品、役務についてはそれらの事業所と随意契約することや、印刷物については障害者多数雇用事業所などと優先的に随意契約するという障害者多数雇用事業所等からの物品等の調達に関する要綱を定め、昨年六月からその運用が始まっています。
 そこでお尋ねをしますが、県として印刷や清掃、クリーニング、記念品などで福祉枠とでもいうようなものをつくり、安定した仕事を障害のある方に確保するための要綱あるいは規程をつくってはと提案するものですが、総務部長のお考えをお聞きしたいと思います。
 次に、障害者施策についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 今、パラリンピックがアテネでさきのオリンピックに引き続いて行われていますが、世界じゅうから約四千人、そして百三十六カ国の障害者が十九のわざを競うオリンピックが開かれております。この大会には、和歌山の大橋健次さんが参加をされております。日本からは百六十三人の選手が参加をしてわざが競われているわけですが、このパラリンピックは、多くの障害を乗り越えての活躍に今、さきのオリンピックと同じように金、銀のメダルが次々報道されており、私たち国民に対して障害者の多くの活躍は感動を与えてくれていますし、励ましをいただいているような気がいたします。残る競技に悔いのないようにどうか頑張ってほしいと願いながら、障害者施策についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 一つは、ことしの当初予算で削減された心身障害者のグループホームへの補助金の問題です。和歌山市の施設──無認可でありますが──四カ所、四百万円を削ったものですが、それぞれの施設では県の補助金が削られただけで和歌山市からの補助は増額されないまま運営を続けておられます。中核市だから市が出すのが当然、県は撤退するというのでは余りにもグループホームの運営実態を見ない冷たい態度だと、私は施設を訪問しながら改めて感じたところです。
 私が先日お訪ねしたあるグループホームでは、二つのホームを経営し、十二人の若者が生活をしています。施設長御夫妻と娘さんの三人で運営をしていらっしゃいますが、毎日の掃除、洗濯など、基本的な生活習慣を身につけてもらうために頑張っておられます。食事づくりや生活指導などで忙しくて、体は幾つあっても足りないというお話でした。
 入所者の負担は月六万円ありますが、施設長初め皆さん、無給に等しい状況で頑張っておられます。本当は人を雇いたいが、県の補助金があるときでさえもとても人を雇うということは大変だった。今、ホームの若者の皆さんたちが朝から晩まで安心してそのホームで暮らしていらっしゃる姿を見てまいりました。また、ホームの近くには作業所を設けてあり、ホームの若者の多くがここで仕事をしています。ホーム以外から来る人も含めて、作業所には二十四人働いています。毎日、大体十二、三人程度が通ってきて、割りばしや歯ブラシの袋詰めやビーズのまくらづくりなどをしていました。給料は、多い人でも一日に八百円にも満たない状態です。この作業所は無認可の施設でありますが、和歌山市単独の補助金を受けて何とか指導員一人に安い給料で働いてもらっています。
 こうした障害者の自立のために懸命に頑張っていらっしゃるわけであります。施設長さんは、補助が打ち切られたのは残念でならない、このように叫んでいらっしゃいました。自立への支援として補助金カットについては再考を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
 次に、精神障害者の地域生活について質問を申し上げます。
 厚生労働省の精神保健福祉対策本部はこの九月、精神保健医療福祉の改革ビジョンを決定いたしました。今後、具体的には地方公共団体や関係審議会等の意見を聞きながら施策の推進を図るとされています。ビジョンで示されている改革の基本的考えは、入院医療中心から地域生活中心へというものです。社会的に入院を余儀なくされている人、つまり受け入れ条件が整えば退院が可能とされる人は全国に七万人あると言われています。今後十年間でこの解消を図るとします。七万人という数字には、関係者の中ではもっと多いのではないかという議論があります。いずれにしても、この人たちの地域生活を支援する体制の強化を急ぐことが今、求められているのではないでしょうか。
 厚生労働省が社会的入院の患者数を明らかにし、昨年発表いたしました。初めてのことであります。これを新たな第一歩として、多くの患者さんが、地域で暮らし、働けるようにサポートしていく施策の前進が強く期待をされるところです。
 この改革ビジョンでは、住まいの対策は地域生活支援体制の第一歩として重視をしています。さらに就労の点でいいますと、授産施設から退所する人は利用者の約二割、就労できた人は約二割、常用の仕事につくことができたケースはわずかに約六%にすぎません。就労支援、自立支援等の機能を高めることが急務であると指摘していることも、まさに重要な問題であります。
 昨年度末の県内の精神科入院患者数は二千三百三十四人でした。和歌山県が策定した紀の国障害者プラン二〇〇四では、入院患者のうち受け入れ条件が整えば退院が可能な人は五百十一人あるとされ、このうち四百人について、退院をし、地域生活を始めてもらうとしています。それ以外の人は介護施設での対応が必要だとしているのです。
 この四百人のうち、生活支援については、生活訓練施設、福祉ホームB型、グループホームの三つの施設で対応する方針が示されているところです。就業支援については、通所授産施設と小規模通所授産施設を整えるとされております。このプランについて精神障害者の支援に取り組んでいる方々から私に寄せられている声は、もっとスピードアップをしなくてはいけないという声と、そして、その施設そのものについても福祉圏域ごとに目標を持って地域格差が生まれないようにしてほしいというお話でもありました。それだけに、退院に伴う社会復帰施設等の整備と人的体制の確立が急がれなければなりません。
 プランでは、四百人の社会復帰を目指し、十年間で生活訓練施設を二カ所四十人、福祉ホームB型は十カ所二百人が入所できるようにして、残りの百六十人分はグループホーム四十カ所を整備するとなっています。しかし、施設整備を考えるとき、退院して社会復帰を目指す人だけを対象にしては不十分だと言わなければなりません。既に退院をして親元へ戻っていたが親が亡くなるなどして一人になってしまった人、あるいは、ひとり暮らしをしていたが不安なのでグループホームへ移りたいというケースも多々あります。グループホームは現在県下に十二カ所ありますが、もっともっとニーズにこたえた施設数へと目標そのものをふやしてほしいという願いが強く寄せられているところです。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 プランでは、五年後には二十カ所、十年後には四十カ所ふやすとなっていますが、そのためにどういう手だてをとるおつもりなのですか、お答えください。
 次に、グループホームを拡充するために県営住宅をグループホームに使用することについてお尋ねをいたします。この問題は、さきに触れた国の改革ビジョンの中でも「単身入居やグループホームとしての活用を進める方策を講ずる」とうたわれています。
 さきの六月議会で、我が党の藤井健太郎議員が質問をいたしました。質問は、知的障害、精神障害を持つ方は単身での入居が認められないことを見直すべきだというものでした。このときの県土整備部長のお答えはグループホームとしての県営住宅の利用については可能な限り促進を図るということでしたが、単身入居については公営住宅法の施行令では規定されていないということです。県営住宅をグループホームとして利用することを促進するという点では、実際には要綱があります。しかし、その要綱が障害になっていると言わざるを得ません。要綱では、社会福祉法人等による県営住宅の使用等に関するもので、申し込みができる住宅の要件として、一年以上空き家になっていること、そして直前三回の定期空き家募集において応募倍率がおおむね一倍以下のものとなっています。一倍以下のものです。県営住宅入居申し込みの倍率が直近の七月には十・六四倍となっているもとでは、現実にはグループホームとして利用はできない要綱になっていると言わざるを得ません。可能な限り促進すると言われるのなら、要綱を改正するべきではありませんか。
 和歌山県では、昨年十月からことし三月まで、法人のグループでの入居実績はあったということでありますけれども、改革ビジョンも踏まえて単身入居も進めるために公営住宅法の施行令の改定を国へ求めるなど、より一層積極的な対応を求めたいと思います。県土整備部長の答弁をお願いするものです。
 グループホームの運営上の問題についてもお尋ねをいたします。
 精神障害者のグループホームには、ヘルパー派遣が基本的にできません。知的障害者のグループホームには認められておりますが、なぜ区別されているのでしょうか。知的障害者のホームでは、重度の障害の場合には支援費としての運営補助金の加算があります。精神障害者の場合にも考慮されるべきだと思うところですが、いかがですか。この二点で国への要望や県独自の取り組みを考えていただきたいものです。福祉保健部長の答弁をお願いします。
 次に、就労支援の問題について質問を申し上げます。
 一つは、社会適応訓練です。これは、通院中の人が最長三年間事業所に通い、作業能力や対人関係を取り戻していこうというものです。年間の利用人員の上限は三十人となっています。一般就労へとつなげていくために多くの人に利用していただくことが求められる訓練制度でもあります。事業所には一人当たり一日二千円の助成が出されます。今年度上期の実績は、十七事業所で三十人が訓練をしていると聞きます。受け入れてくれる事業所をふやすことがもちろん大切になりますが、この状態を見ますと、一九九六年度末には十六の協力事業所がありましたが、昨年度末までの目標四十に対してことし四月一日現在では二十九事業所しか登録がありません。民間企業あるいは共同作業所関係の売店や、また市や町の社会福祉協議会といったところが協力事業所になっている現実です。
 事業所の所在地で見ますと、管轄保健所別に見ますと田辺が最も多くて十九、六割を占めています。一方で、和歌山市は三事業所、しかも二カ所は共同作業所関係です。なぜ地域によってこれほどまでの格差が生まれるのでしょうか。人口の多い和歌山市において協力してくれる事業所をふやす努力はもちろんのこと、訓練できる人数の枠を三十人にとどめずにもっと拡大することを求めたいと思います。福祉保健部長、いかがですか。
 この問題の最後に、就業・生活支援センター運営事業について質問を申し上げます。
 この事業は、精神障害者のみならず、身体・知的の障害者を含む事業になっています。就職や職場への定着が困難な障害者を対象にして身近な地域で就業及びこれに伴う日常生活、社会生活上の支援を一体的に行う施設でもあります。県知事が指定する民法法人あるいは社会福祉法人、特定非営利活動法人などがこれを担うことになっています。昨年度中に運営されたセンターは全国で四十五カ所あります。今年度末には八十カ所にふやして、来年度も大幅にふやす方針と聞いています。しかし、紀の国障害者プラン二〇〇四では積極的な設置目標が示されておりません。田辺市で運営が始まっていますが、県のプランでは福祉圏域ごとの設置といった積極的な目標が必要だと思うのですが、福祉保健部長の所見を求めたいと思います。
 第一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 先般、数値目標や達成期限を明示した政策宣言、いわゆるマニフェストを県政の基本方針として掲げたところでございます。その目標達成のためには、本県のすぐれた資源、特性を生かしながら、創意と工夫を凝らし、新しいことに積極的にチャレンジしていくことが必要であると考えております。
 また、景気の状況が回復基調にあるとはいえ、県内ではなかなか実感が薄い面もあり、雇用の確保を望む声が大きいというふうに感じているところでございます。雇用の回復に向けて県でも目標を持って最大限の努力をしていくということで一万五千人の雇用創出目標数を掲げたところであり、この目標数値にとらわれず、雇用創出効果に軸足を置いた総合的、重点的な事業展開により雇用の確保を図り、県民の方々の生活の安定と生きがいを持てるような施策を進めていきたいと、このように考えております。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 雇用問題の三点についてお答え申し上げます。
 まず、計画策定における考え方と取り組みですが、現在、雇用創出計画策定のため全庁的組織の景気・雇用対策本部で取り組みを行っているところであります。
 最近の雇用形態につきましてはさまざまな形がありますが、重要なことは雇用の場を確保することであると考えております。そうした中で、一万五千人の雇用創出計画については、産業振興のための技術開発や経営支援、企業誘致はもとより、観光や農林水産業等の地域資源を生かした雇用創出策を図るとともに、福祉や教育等の施策も含め全庁的な事業についてそれぞれの分野ごとに雇用創出効果の検討を進めており、年内の早い時期の策定に向けて取り組んでいるところでございます。
 次に、「ニート」と言われる若年層への対策でありますが、昨今、フリーターの増加が大きな社会問題になっております。また、最近は「ニート」と呼ばれる、職業にも学業にも職業訓練にもついていない若者の急増が明らかとなり、非常に憂慮しているところでございます。これまでの職業人を育成するシステムが機能しなくなっている点も指摘されており、学校や家庭、産業界、行政が連携した新たなシステムの構築が求められております。
 このため、県としましても、若年層からのキャリア教育やインターンシップの充実等による職業意識の醸成に加え、昨年他府県に先駆けて開設したジョブカフェでのカウンセリングの強化や、これと連動した職業訓練等により就職への自信や意欲を喚起していくことが肝要であると考えています。今後、和歌山労働局を初め関係機関とも十分連携を図りながら適切な支援に取り組んでまいります。
 次に、厚生労働省通達の対応についての障害者を多数雇用する事業所等に対する官公需発注の問題についてでありますが、雇用環境が非常に厳しい状況の中で、障害者多数雇用事業所等は地域において障害者の雇用の促進と理解の醸成に大きな役割を果たしているところです。しかしながら、昨今の厳しい経済状況のもと運営が不安定なケースも少なくないため、平成十四年十月の厚生労働省通達に示されております官公需発注等の際の配慮につきましては重要な課題であると考えています。
 このため、各市町村等を対象に趣旨を説明し理解を求めるとともに、庁内各部局においても前向きな取り組みが行われてきたところでございます。今後とも、御提言の趣旨を踏まえ、関係部局ともより一層の支援の方法について検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 障害者多数雇用事業所等からの物品等の調達を行う場合の取り扱いについてでございますが、厚生労働省からの通知も踏まえまして、昨年度から、授産施設等が供給できる物品等を調達しようとするときは適正な予算執行の中で各所属が随意契約により直接調達することができるよう物品調達事務規程の一部を改正して活用を図っているところでございます。さらに、政策目的による随意契約の要件緩和についての地方自治法施行令の改正の動きもございますので、県といたしましても、その動向も踏まえ対応を検討してまいりたいと考えております。
 また、障害者雇用の安定、就労の促進を図るため、障害者多数雇用事業所等への優遇措置につきましても、紀の国障害者プラン二〇〇四に基づき現在検討を進めているところでございます。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、雇用問題についての御質問の中での授産施設等に対する官公需の発注等への福祉保健部の取り組みについてでございますが、知事部局を初め、教育委員会、各振興局等で開催されます行事やイベント等の情報収集を行い授産製品の活用に努めているところでございまして、最近では「福祉のしおり」の印刷や人権週間、障害者週間での街頭啓発配布物品の調達等を行ってございます。また、昨年度、授産施設等で扱う商品を掲載したホームページを社会就労センター協議会に委託して立ち上げ、市町村に対しても授産製品等の積極的な活用をお願いしたところでございます。
 紀の国障害者プラン二〇〇四の推進を図る観点からも、魅力ある製品づくりへの支援など、なお一層の需要の拡大につながるように努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、障害者問題についてでございますが、まず和歌山市内の四つの心身障害者グループホームへの補助金についてお答えをいたします。
 従前の国庫補助対象以外のグループホームに対する県単独補助は、同グループホームに補助を行う市町村に百万円を限度に補助額の二分の一を補助してきたものでございます。和歌山市が平成九年に中核市となって以来、和歌山市と県単補助金見直しについて協議を重ね、平成十六年度から心身障害者グループホームへの補助を行わないこととしたところでございます。障害者の自立のためへの御苦労は認識をしてございますけれども、県と中核市の責任分担の観点からも中核市である和歌山市の政策判断が基本となるものと考えてございますし、全国的にも中核市に対する同様の補助は行われていないのが実情でございます。
 次に、精神障害者グループホームの設置についてでございますが、本年三月に策定した紀の国障害者プラン二〇〇四においては、精神障害者の社会参加を促進し、社会的入院の解消を図るため、五年間で二十カ所、十年間で四十カ所のグループホームを整備することとしております。現在十二カ所のグループホームが設置されており、今後、未設置の地域を重点的に整備することなどにより、できる限り早くプランの目標が達成できるよう努力してまいりたいと考えてございます。また、計画期間中であっても、社会情勢の変化、地域のニーズ等を勘案の上、必要に応じて計画の調整を行うこととしてございます。
 次に、精神障害者グループホームの運営についてでございますが、精神障害者グループホームの利用対象者は一定程度の自活能力があり共同生活を送ることに支障のない方となっており、グループホームには世話人が配置されてございます。しかし、精神障害者は医療を中心に対策が進められてきた経緯もあり、知的障害者のグループホームとではサービスに差が見られることから、今後国に対して制度の充実について働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、精神障害者社会適応訓練事業についてでございますが、議員御指摘のとおり、地域によって協力事業所の数に大きな差があることから、和歌山市を初め特に協力事業者が少ない地域を重点として事業者を初め県民の精神障害等に対する理解を促進し、社会適応訓練に協力していただける事業所の開拓に向けて和歌山市や関係機関と連携し努力してまいります。また、精神障害者の社会参加を促進するためにはこうした事業に参加できる機会をふやすことが大切であることから、平成十五年度より人数枠を二十六人から三十人にふやしたところでございますが、人数枠の一層の拡大について今後検討する必要があると考えてございます。
 次に、障害者就業・生活支援センター運営事業についてでございますが、当該センターは平成十四年度より開始された事業であり、本県においては全国でもいち早く平成十四年度に田辺市に、十六年度に和歌山市に設置しております。今後は、二カ所の活動状況及び社会的ニーズ等を踏まえ、設置計画について検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 社会的入院者の退院に伴う諸施策の関係でございます。
 まず、社会福祉法人等による県営住宅の使用等に関する要綱を改正すべきではないかという御質問ですが、この要綱は障害者の地域における自立支援の観点から平成十四年四月に制定したものでございます。これまでも、平成十五年十月から十六年三月までの短期間ではございますが、社会福祉法人によるグループホームの入居実績がございます。今後も、社会福祉法人等によるグループホームの利用につきましては、このような事例や実績、これを積み重ねるとともに、県営住宅の需給状況等に応じ可能な限り利用の促進を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、公営住宅法の施行令の改定についてでございますが、五十歳以上の高齢者及び身体障害者等は公営住宅法施行令で単身入居できることとなってございます。精神障害者につきましては同法施行令において単身入居できる者として規定されていないところですが、自立支援の観点から関係部局と連携しながら将来の研究課題としたいと考えてございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高校生の就職支援対策の一環として実施してきました就職アドバイザーやジョブサポートティーチャー、これらの活用は、求人の開拓だけでなく、セミナーの開催や面接指導等の取り組みの充実、ひいては就職決定率の改善などにつながっていると受けとめております。厳しい雇用情勢が続く中、関係部局・機関との連携を一層深め、そうした人材の確保に努め、就職支援に係る取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、障害者雇用率達成の対策についてお答えいたします。
 公立学校及び教育委員会事務局における本年度の障害者雇用率は、県立学校が二・一六%、委員会事務局が二・二〇%で法定雇用率の二%を達成しております。しかしながら、小中学校教員の場合は一・〇四%で、教育関係全体としては一・五六%となっております。こうしたことの主な要因として、教員採用検査においては教員免許状の取得が要件となっていることから、結果として障害のある受検者の数が極めて少ないという現状があります。
 障害者雇用対策の取り組みとしては、点字問題を使った受検や手話による説明を実施するなど、障害のために不利益にならないよう配慮をしているところです。今後とも受検に関する情報の提供を積極的に行うとともに、検査の実施に当たって十分配慮し、法定雇用率が達成できるよう引き続き努力をしてまいります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 一つは、いわゆるニートと言われる、五十二万人にもわたって今ふえているという状況ですね。全く気力を失ってしまっている若者たちの実態であります。これは、未来ある若者が働けない、そして働く意欲が持てないでいることは、社会にとってもやっぱり憂慮する問題だと思いますし、非常に大きな問題だと思います。こういう人たちというのは、ハローワークに行って何社面接をしても採用されない。そういう結果、自分が社会の役に立たない人間なのか、それとも自分自身が否定されているのかというふうな状況に陥って就職する気力をもう失ってしまっているという若者たちだというふうに思います。
 そういう点でも、やっぱり、仮に就職したとしてもフリーターであるとか、そういう実態に置かれるし、そして現場が非常にひどい状況のもとでそこに適応できないという状況も生まれているんじゃないかというふうに思うんです。
 だから、しかし可能性を持っている若い人でありますが、こういう人たちをいかに企業が、あるいは訓練所、教育、それからその人たちの悩みを聞いてあげられる、そういうところがいかにたくさん存在するかということが今やっぱり大事だと思うんです。世の中はもう今、大企業も正職員を雇うことをやめてパート化や派遣労働者、そういったものに置きかえてしまっているところに、若い人たちの採用が妨げられているんじゃないかというふうに思うんです。そういう社会情勢のもとですから、やっぱり大きな役割を果たすのは企業の人たちであるというふうに思うわけですね。そういう点でも、もっと積極的にこの点を行政としても企業への働きかけをやっていかなければならないんじゃないかというふうに思うわけです。
 それで、今政府が若者自立挑戦プランというのをつくっているわけですけれども、これはやはり働く意欲を高めるというものになっていないということですね。それで、その一方では「この人たちは怠けているんだ」という言葉もよく聞かれるわけですけれども、そういう点でも大きな企業の皆さん方に対して若者を採用することを本当に大きく発展させていただきたいという、そういうことが今求められているというふうに思うんです。
 やりがいのある仕事というのを若者たちはやっぱり求めていると思うんですね。そういう点でも、職業訓練の場、相談する場、そういったところが至るところにあるということを、そういう行政側の支援というものが今やっぱり求められていると思いますので、そういう点でも雇用拡大という、また雇用創出計画という部分の中にぜひ入れていただきたいというふうに思っています。
 それから、和歌山県でも完全失業者というのが、七年前は一万二千人だったんですね。ところが、今は三万人を超えている実態にあるわけですから。年内の早い時期にその計画を完成させるというふうに今答弁をいただきました。この雇用問題というのは産業のあり方の問題であり、県民の福祉や医療、教育の向上、県内の農業や林業、漁業の振興、中小企業や地場産業の振興と結びついた計画でなくてはならないというふうに思うんです。
 それでは、庁内で今検討を加えていらっしゃるということでありますけれども、和歌山県の産業の発展方向と結びついた雇用計画ということになれば、やはり第一次産業である農家、それから中小企業を経営されている方、それから商店街の方などにもいろんな意見を出してもらって一緒に計画をつくっていくというような、そういう初期の段階が今必要ではないかと思うんです。行政がやるとどうしても数字を追うという現実があるというふうに思いますので、実態を把握した上での計画ということを重視していただきたいというふうに要望をしておきたいと思います。
 それから、先ほどありました厚生労働省の通知ですね。
 障害者が働いている、あるいは授産施設、福祉工場や共同作業所、そういったところで頑張っている人たちというのは、本当にそこで働いている人も含めて、授産施設での障害者の賃金というんですか、生活していく上での賃金というのが一カ月に二万円というわずかな収入ですよね。だから、これをもっとやっぱり仕事をふやしてあげるということになれば非常に大きく前進するというふうに思うんです。この通知はそういう点で非常に大きな役割を果たしていると思うんですけども、これは答弁されたように、和歌山県でも既に事務規程を変えて、一定の共同作業所やそういうところでの品物やそういう印刷業なんかについて発注をして進めているんですよという報告がありました。しかし、まだまだこれは緒についたところだと思うんですよね。そういう点ではもっと、この作業所、授産施設の実態と、それから品物についてもうんと拡大できるような、開発できるようなものも積極的に行政が援助してあげられたらいいんじゃないかというふうに思うんです。そういう点でも障害者プランに書き込んであるそのものが本当に制度的にも確かなものになるように努力をしていただきたいというふうに思います。
 障害者プランというのは十年間の計画というような内容になっていますけれども、しかし、今の時期は精神障害者が社会的入院と言われる状況に置かれている原因そのもの、それから地域で生活をしたいというその思いを障害者の皆さん方のニーズに合ったものに──生活できて働き場を確保するというのが最大の目的ですので、ぜひともその点については十分な配慮をしていただけたらありがたいというふうに思います。
 目標そのものが非常に遠慮した目標だと私は思っています。実態としてはもっともっと多くの人たちが働きたい、退院して地域で頑張りたいという思いを持ってる人たちもたくさんいるわけですから、そういう人たちがどこで生活したい、そしてどんな職業につきたいという思いが大いにあるというふうに思いますので、そういう点でも努力をしていただけるようにお願いをしておきたいというふうに思います。
 それから、ジョブサポートティーチャー、これはもう本当に現場では大きく歓迎されているものですから、人的体制そして内容も充実してもらえるように、教育長、力を注いでいただきたい。打ち切るようなことはせんといてほしいというふうに思います。
 それから、グループホームの県営住宅への利用促進ですけども、これはやっぱり要綱が入れないという条項になってますので、これはもうどうしても改善を。「研究課題」って、緊急課題ですよ、これは。改革ビジョンの立場から考えてもこれは、やっぱり軽い精神障害者の人は人と共同して生活できる力は十分持ってるわけですから、医療や福祉、保健との関係の連絡、サポートをきちっととるというような状況も踏まえて、ぜひこれは改善を急いでください。研究課題ということは非常に消極的姿勢だと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 以上で終わります。すべて要望にいたします。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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