平成16年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成十六年九月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
 平成十六年九月二十二日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに報第十三号(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案等の付託
  第四 請願付託の件
会議に付した事件
   一 議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに報第十三号(質疑)
   二 一般質問
   三 議案等の付託
   四 請願付託の件
   五 休会決定の件
出席議員(四十六人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       前   川   勝   久
     二十六番       山   下   大   輔
     二十七番       木   下   善   之
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     危機管理監      白   原   勝   文
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員    湯   川       力
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    高   垣   博   明
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課副主査     楠   見   直   博
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに知事専決処分報告報第十三号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 まず最初に、雇用問題について何点かの質問をいたします。
 知事は就任あいさつにおいて、知事選挙を通じて県民の願いをかなえる県政を進めていくことが不可欠であることを痛感したと述べられました。今、県民の願いは、暮らしが少しでもよくなってほしい、特に若い人の働く場をつくってほしいと強く願っていると同時に、その一方で、若い人が「使い捨て」と言われるように酷使されている実態の改善を願っていると思うのです。知事の政策宣言は、四年間で延べ一万五千人の雇用の場を確保するとして、きめの細かい無料職業紹介事業に取り組むとしております。
 私は二月議会で、雇用の場をつくるために県がみずから雇用創出計画を策定することを求めました。そのとき、当局も初めて計画策定を検討することを約束してまいりました。そして、この知事の政策宣言での一万五千人の雇用確保につながったのだと私は思います。この点では前進してきたというふうに評価するものです。
 まず、この問題でお尋ねをいたします。
 最初に知事にお尋ねいたしますが、一万五千人という計画目標ですが、国の統計でも和歌山県の完全失業者は三万人を超えています。また、常用雇用を求めながらもパートやフリーターとなっている方も多数いるのですから、長期にわたって失業や半失業状態にいる方が安心して働ける場を得るにはこの目標は少な過ぎると思うのです。どのような根拠から一万五千人という数値目標を持たれたのでしょうか、お尋ねをいたします。
 次に、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 目標は延べの数字となっていますから、緊急雇用のような短期間の臨時雇用もその中に入ってくるのでしたら実際に働く場を求めている県民の雇用をつくるということでは見かけ倒しになる可能性があると思うのです。四年たって実際に雇用の場がふえる目標にする必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。
 次に、雇用の確保と県民の暮らしや福祉、教育条件の向上につながる施策を結びつけたものを雇用拡大の柱にすることが何よりも大切だと思うのです。それは、特別養護老人ホームや介護施設の充足、医療現場での看護師不足の解消、障害者施設や在宅支援体制の充足、三十人学級などの子供の教育条件の改善、自然環境や森林保全のための要員配置、農業の振興による県土の保全、防災力の向上など、こうした分野での雇用の拡大は若い人が地元で働ける場と県民の暮らしを豊かにするものでありますから、ぜひそのような方向で計画を策定することを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 先日、厚生労働省の二〇〇四年版「労働経済の分析」では、二〇〇三年のフリーターが二百十七万人、十五歳から三十四歳の若年層のうち、仕事をせず、学生でもなく、職業訓練もしていない無業者、すなわち「ニート」と呼ぶようでありますけれども、そうした若者が五十二万人に上ることが明らかにされたところです。私たちの周りにも、社会人の年齢となって家に引きこもり状態になっている若者や、引きこもりではなくても社会に適応せず、就職する気持ちもなくアルバイトをするのでもない、こうした若者がふえているのが今の実態ではないでしょうか。
 こうした状態にある若者を非難するとか怒っても、それは何の問題の解決にもならないと思うのです。全国で五十二万人ですから、和歌山でも人口の割合からすれば四千人前後は存在すると考えなければなりません。単なる雇用問題ではなく、多くの若者が社会の中に出ていけない状態に追い込まれているのです。そうした若者が社会へ出る準備のできる場、自分の思いを話せる場をつくるなど、県としての対処をどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
 次に、教育長にお尋ねをいたします。
 先日、高校生の就職活動が解禁されましたが、一時より改善したとはいえ、依然として厳しい状況には変わりはありません。先週、近畿の高等学校の教職員組合が高校生の「就職黒書」というものを発表いたしました。今、高校生の就職を指導する高校の先生方からは深刻な声が語られています。学校によってもさまざまでありますが、この黒書は、女子の事務職が依然として少ないとか、賞与なし・交通費なし・社会保険なしという企業からの求人がある、また一方では、就職の学校紹介業務は本来の教育活動を圧迫するほどになっている、対生徒、対担任、対企業、就職関係行事の計画・実施、書類作成などなど超多忙である、時間軽減や人員配置、時間的配置などを強く望みたいと強く訴えています。なお一方では、就職支援教員いわゆるジョブサポートティーチャーなどが配置されているので充実した仕事ができる、就職アドバイザー制度の継続を強く希望するなどの声も寄せられているところです。
 国の緊急雇用対策が今後どうなるかわからない状態にはありますが、ジョブサポートやジョブサポートティーチャー、就職アドバイザーなど、高校生が社会に出ていく上で力を発揮していますこれらの制度については、何としても守ってほしい、充実してほしい、こういう声も多く望まれます。私もそのことを望むものですが、いかがお考えでしょうか。
 次に、障害のある方の雇用問題についてお尋ねをしたいと思います。
 和歌山労働局のまとめた昨年六月一日現在の障害者の雇用状況は、一・八%の法定雇用率が適用される従業員五十六人以上の民間企業では、常用雇用労働者数が五万一千人余り、常用雇用の障害者が九百九十三人で、雇用率は一・九五%となり、全国平均の一・四八%を大きく上回っています。よく頑張っているというふうに思います。しかし、県や地方の教育委員会関係での雇用率は二%の法定雇用率を下回る一・二六%とのことです。なぜそのような低い雇用率になっているのでしょうか、達成するためにどうされるお考えなのでしょうか、教育長の答弁を求めたいと思います。
 次に雇用問題について、とりわけ障害者、厚生労働省からの通達の対応についてお尋ねをいたします。
 障害者雇用率は民間企業では五十六人以上雇用している企業が対象でありますから、五十五人以下の企業における障害者雇用の実態はこの調査では明らかにはなりません。厚生労働省の障害者雇用の実態調査によりますと、全国で身体障害者数は、平成十三年度で約三百二十五万人に対し平成十年での常用雇用は約四十万人です。知的障害者は、平成十三年で四十五万九千人に対し常用雇用は平成十年で六万九千人です。精神障害者数は、平成十一年では二百四万人に対し常用雇用は平成十年で約五万一千人とのことであり、いずれもごくわずかな雇用でしかありません。
 和歌山労働局によりますと、県内では障害者の求職の申し込みが平成十三年で六百九十人、十四年で七百二十二人、十五年で六百九十二人です。就職件数は各年とも二百人台とのことです。今だれもがなかなか就職できない状況にある中で、障害のある方が働く場を確保することは大変困難な状態にもあります。障害のある方にとっては、働くことそのことが成長と一体のものであります。社会とのつながりを持つ上で欠かせない問題でもあろうかと思います。
 紀の国障害者プラン二〇〇四では、「障害のある人の雇用に努める企業等を支援し、雇用促進を図るため、県における物品調達に係る入札の実施等について、障害者多数雇用事業所等への優遇措置の導入を促進します」と明記されております。平成十一年十月二十二日に当時の労働省から「障害者多数雇用事業所に対する官公需の発注の配慮について」との通達が出され、さらに平成十四年十月三十日にも厚生労働省から「障害者を多数雇用する事業所、授産施設等に対する官公需の発注等の配慮について」が出されております。
 その中身は、一つには官公需の発注について配慮をお願いしたい、二つには障害者を多数雇用する企業への支援の方策について検討をすること、三つには授産施設等の製品について庁用物品としての調達、各種行事や大会等における記念品としての活用なども含め、その優先的発注など積極的な活用を図ること、四つには授産施設等の行っている役務提供の活用の四点について配慮を求めているところです。この通達に基づいて、どのように県は受けとめられて対応をこれまでされてきたのでしょうか。これについては、商工労働部長、総務部長、福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
 ある福祉工場での話ですが、県立医大の白衣のクリーニングを毎年三月に入札するそうです。その入札のとき、落札できれば月に四十万円程度の仕事を確保できるそうです。もしとれなかったらどうしようかと緊張して、入札前日は夜も眠れないほどの緊張だそうです。いろいろ問題もあると思いますが、県や行政機関が障害者の多数雇用事業所や授産施設、福祉工場の仕事を一定確保するための制度をつくる段階になっていると私は思うのです。
 特に検討いただきたいのは、共同作業所や授産施設の製品の開発や販路の確保の問題です。一カ所の作業所で対応できないような大量の品物を必要とする場合もあるでしょう。作業所が生産できる製品や行政が希望する製品を調整する役割をする部署をつくれば、かなりの仕事を確保することができるんではないでしょうか。長野県では障害者多数雇用事業所や共同作業所が提供できる物品、役務についてはそれらの事業所と随意契約することや、印刷物については障害者多数雇用事業所などと優先的に随意契約するという障害者多数雇用事業所等からの物品等の調達に関する要綱を定め、昨年六月からその運用が始まっています。
 そこでお尋ねをしますが、県として印刷や清掃、クリーニング、記念品などで福祉枠とでもいうようなものをつくり、安定した仕事を障害のある方に確保するための要綱あるいは規程をつくってはと提案するものですが、総務部長のお考えをお聞きしたいと思います。
 次に、障害者施策についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 今、パラリンピックがアテネでさきのオリンピックに引き続いて行われていますが、世界じゅうから約四千人、そして百三十六カ国の障害者が十九のわざを競うオリンピックが開かれております。この大会には、和歌山の大橋健次さんが参加をされております。日本からは百六十三人の選手が参加をしてわざが競われているわけですが、このパラリンピックは、多くの障害を乗り越えての活躍に今、さきのオリンピックと同じように金、銀のメダルが次々報道されており、私たち国民に対して障害者の多くの活躍は感動を与えてくれていますし、励ましをいただいているような気がいたします。残る競技に悔いのないようにどうか頑張ってほしいと願いながら、障害者施策についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 一つは、ことしの当初予算で削減された心身障害者のグループホームへの補助金の問題です。和歌山市の施設──無認可でありますが──四カ所、四百万円を削ったものですが、それぞれの施設では県の補助金が削られただけで和歌山市からの補助は増額されないまま運営を続けておられます。中核市だから市が出すのが当然、県は撤退するというのでは余りにもグループホームの運営実態を見ない冷たい態度だと、私は施設を訪問しながら改めて感じたところです。
 私が先日お訪ねしたあるグループホームでは、二つのホームを経営し、十二人の若者が生活をしています。施設長御夫妻と娘さんの三人で運営をしていらっしゃいますが、毎日の掃除、洗濯など、基本的な生活習慣を身につけてもらうために頑張っておられます。食事づくりや生活指導などで忙しくて、体は幾つあっても足りないというお話でした。
 入所者の負担は月六万円ありますが、施設長初め皆さん、無給に等しい状況で頑張っておられます。本当は人を雇いたいが、県の補助金があるときでさえもとても人を雇うということは大変だった。今、ホームの若者の皆さんたちが朝から晩まで安心してそのホームで暮らしていらっしゃる姿を見てまいりました。また、ホームの近くには作業所を設けてあり、ホームの若者の多くがここで仕事をしています。ホーム以外から来る人も含めて、作業所には二十四人働いています。毎日、大体十二、三人程度が通ってきて、割りばしや歯ブラシの袋詰めやビーズのまくらづくりなどをしていました。給料は、多い人でも一日に八百円にも満たない状態です。この作業所は無認可の施設でありますが、和歌山市単独の補助金を受けて何とか指導員一人に安い給料で働いてもらっています。
 こうした障害者の自立のために懸命に頑張っていらっしゃるわけであります。施設長さんは、補助が打ち切られたのは残念でならない、このように叫んでいらっしゃいました。自立への支援として補助金カットについては再考を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
 次に、精神障害者の地域生活について質問を申し上げます。
 厚生労働省の精神保健福祉対策本部はこの九月、精神保健医療福祉の改革ビジョンを決定いたしました。今後、具体的には地方公共団体や関係審議会等の意見を聞きながら施策の推進を図るとされています。ビジョンで示されている改革の基本的考えは、入院医療中心から地域生活中心へというものです。社会的に入院を余儀なくされている人、つまり受け入れ条件が整えば退院が可能とされる人は全国に七万人あると言われています。今後十年間でこの解消を図るとします。七万人という数字には、関係者の中ではもっと多いのではないかという議論があります。いずれにしても、この人たちの地域生活を支援する体制の強化を急ぐことが今、求められているのではないでしょうか。
 厚生労働省が社会的入院の患者数を明らかにし、昨年発表いたしました。初めてのことであります。これを新たな第一歩として、多くの患者さんが、地域で暮らし、働けるようにサポートしていく施策の前進が強く期待をされるところです。
 この改革ビジョンでは、住まいの対策は地域生活支援体制の第一歩として重視をしています。さらに就労の点でいいますと、授産施設から退所する人は利用者の約二割、就労できた人は約二割、常用の仕事につくことができたケースはわずかに約六%にすぎません。就労支援、自立支援等の機能を高めることが急務であると指摘していることも、まさに重要な問題であります。
 昨年度末の県内の精神科入院患者数は二千三百三十四人でした。和歌山県が策定した紀の国障害者プラン二〇〇四では、入院患者のうち受け入れ条件が整えば退院が可能な人は五百十一人あるとされ、このうち四百人について、退院をし、地域生活を始めてもらうとしています。それ以外の人は介護施設での対応が必要だとしているのです。
 この四百人のうち、生活支援については、生活訓練施設、福祉ホームB型、グループホームの三つの施設で対応する方針が示されているところです。就業支援については、通所授産施設と小規模通所授産施設を整えるとされております。このプランについて精神障害者の支援に取り組んでいる方々から私に寄せられている声は、もっとスピードアップをしなくてはいけないという声と、そして、その施設そのものについても福祉圏域ごとに目標を持って地域格差が生まれないようにしてほしいというお話でもありました。それだけに、退院に伴う社会復帰施設等の整備と人的体制の確立が急がれなければなりません。
 プランでは、四百人の社会復帰を目指し、十年間で生活訓練施設を二カ所四十人、福祉ホームB型は十カ所二百人が入所できるようにして、残りの百六十人分はグループホーム四十カ所を整備するとなっています。しかし、施設整備を考えるとき、退院して社会復帰を目指す人だけを対象にしては不十分だと言わなければなりません。既に退院をして親元へ戻っていたが親が亡くなるなどして一人になってしまった人、あるいは、ひとり暮らしをしていたが不安なのでグループホームへ移りたいというケースも多々あります。グループホームは現在県下に十二カ所ありますが、もっともっとニーズにこたえた施設数へと目標そのものをふやしてほしいという願いが強く寄せられているところです。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 プランでは、五年後には二十カ所、十年後には四十カ所ふやすとなっていますが、そのためにどういう手だてをとるおつもりなのですか、お答えください。
 次に、グループホームを拡充するために県営住宅をグループホームに使用することについてお尋ねをいたします。この問題は、さきに触れた国の改革ビジョンの中でも「単身入居やグループホームとしての活用を進める方策を講ずる」とうたわれています。
 さきの六月議会で、我が党の藤井健太郎議員が質問をいたしました。質問は、知的障害、精神障害を持つ方は単身での入居が認められないことを見直すべきだというものでした。このときの県土整備部長のお答えはグループホームとしての県営住宅の利用については可能な限り促進を図るということでしたが、単身入居については公営住宅法の施行令では規定されていないということです。県営住宅をグループホームとして利用することを促進するという点では、実際には要綱があります。しかし、その要綱が障害になっていると言わざるを得ません。要綱では、社会福祉法人等による県営住宅の使用等に関するもので、申し込みができる住宅の要件として、一年以上空き家になっていること、そして直前三回の定期空き家募集において応募倍率がおおむね一倍以下のものとなっています。一倍以下のものです。県営住宅入居申し込みの倍率が直近の七月には十・六四倍となっているもとでは、現実にはグループホームとして利用はできない要綱になっていると言わざるを得ません。可能な限り促進すると言われるのなら、要綱を改正するべきではありませんか。
 和歌山県では、昨年十月からことし三月まで、法人のグループでの入居実績はあったということでありますけれども、改革ビジョンも踏まえて単身入居も進めるために公営住宅法の施行令の改定を国へ求めるなど、より一層積極的な対応を求めたいと思います。県土整備部長の答弁をお願いするものです。
 グループホームの運営上の問題についてもお尋ねをいたします。
 精神障害者のグループホームには、ヘルパー派遣が基本的にできません。知的障害者のグループホームには認められておりますが、なぜ区別されているのでしょうか。知的障害者のホームでは、重度の障害の場合には支援費としての運営補助金の加算があります。精神障害者の場合にも考慮されるべきだと思うところですが、いかがですか。この二点で国への要望や県独自の取り組みを考えていただきたいものです。福祉保健部長の答弁をお願いします。
 次に、就労支援の問題について質問を申し上げます。
 一つは、社会適応訓練です。これは、通院中の人が最長三年間事業所に通い、作業能力や対人関係を取り戻していこうというものです。年間の利用人員の上限は三十人となっています。一般就労へとつなげていくために多くの人に利用していただくことが求められる訓練制度でもあります。事業所には一人当たり一日二千円の助成が出されます。今年度上期の実績は、十七事業所で三十人が訓練をしていると聞きます。受け入れてくれる事業所をふやすことがもちろん大切になりますが、この状態を見ますと、一九九六年度末には十六の協力事業所がありましたが、昨年度末までの目標四十に対してことし四月一日現在では二十九事業所しか登録がありません。民間企業あるいは共同作業所関係の売店や、また市や町の社会福祉協議会といったところが協力事業所になっている現実です。
 事業所の所在地で見ますと、管轄保健所別に見ますと田辺が最も多くて十九、六割を占めています。一方で、和歌山市は三事業所、しかも二カ所は共同作業所関係です。なぜ地域によってこれほどまでの格差が生まれるのでしょうか。人口の多い和歌山市において協力してくれる事業所をふやす努力はもちろんのこと、訓練できる人数の枠を三十人にとどめずにもっと拡大することを求めたいと思います。福祉保健部長、いかがですか。
 この問題の最後に、就業・生活支援センター運営事業について質問を申し上げます。
 この事業は、精神障害者のみならず、身体・知的の障害者を含む事業になっています。就職や職場への定着が困難な障害者を対象にして身近な地域で就業及びこれに伴う日常生活、社会生活上の支援を一体的に行う施設でもあります。県知事が指定する民法法人あるいは社会福祉法人、特定非営利活動法人などがこれを担うことになっています。昨年度中に運営されたセンターは全国で四十五カ所あります。今年度末には八十カ所にふやして、来年度も大幅にふやす方針と聞いています。しかし、紀の国障害者プラン二〇〇四では積極的な設置目標が示されておりません。田辺市で運営が始まっていますが、県のプランでは福祉圏域ごとの設置といった積極的な目標が必要だと思うのですが、福祉保健部長の所見を求めたいと思います。
 第一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 先般、数値目標や達成期限を明示した政策宣言、いわゆるマニフェストを県政の基本方針として掲げたところでございます。その目標達成のためには、本県のすぐれた資源、特性を生かしながら、創意と工夫を凝らし、新しいことに積極的にチャレンジしていくことが必要であると考えております。
 また、景気の状況が回復基調にあるとはいえ、県内ではなかなか実感が薄い面もあり、雇用の確保を望む声が大きいというふうに感じているところでございます。雇用の回復に向けて県でも目標を持って最大限の努力をしていくということで一万五千人の雇用創出目標数を掲げたところであり、この目標数値にとらわれず、雇用創出効果に軸足を置いた総合的、重点的な事業展開により雇用の確保を図り、県民の方々の生活の安定と生きがいを持てるような施策を進めていきたいと、このように考えております。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 雇用問題の三点についてお答え申し上げます。
 まず、計画策定における考え方と取り組みですが、現在、雇用創出計画策定のため全庁的組織の景気・雇用対策本部で取り組みを行っているところであります。
 最近の雇用形態につきましてはさまざまな形がありますが、重要なことは雇用の場を確保することであると考えております。そうした中で、一万五千人の雇用創出計画については、産業振興のための技術開発や経営支援、企業誘致はもとより、観光や農林水産業等の地域資源を生かした雇用創出策を図るとともに、福祉や教育等の施策も含め全庁的な事業についてそれぞれの分野ごとに雇用創出効果の検討を進めており、年内の早い時期の策定に向けて取り組んでいるところでございます。
 次に、「ニート」と言われる若年層への対策でありますが、昨今、フリーターの増加が大きな社会問題になっております。また、最近は「ニート」と呼ばれる、職業にも学業にも職業訓練にもついていない若者の急増が明らかとなり、非常に憂慮しているところでございます。これまでの職業人を育成するシステムが機能しなくなっている点も指摘されており、学校や家庭、産業界、行政が連携した新たなシステムの構築が求められております。
 このため、県としましても、若年層からのキャリア教育やインターンシップの充実等による職業意識の醸成に加え、昨年他府県に先駆けて開設したジョブカフェでのカウンセリングの強化や、これと連動した職業訓練等により就職への自信や意欲を喚起していくことが肝要であると考えています。今後、和歌山労働局を初め関係機関とも十分連携を図りながら適切な支援に取り組んでまいります。
 次に、厚生労働省通達の対応についての障害者を多数雇用する事業所等に対する官公需発注の問題についてでありますが、雇用環境が非常に厳しい状況の中で、障害者多数雇用事業所等は地域において障害者の雇用の促進と理解の醸成に大きな役割を果たしているところです。しかしながら、昨今の厳しい経済状況のもと運営が不安定なケースも少なくないため、平成十四年十月の厚生労働省通達に示されております官公需発注等の際の配慮につきましては重要な課題であると考えています。
 このため、各市町村等を対象に趣旨を説明し理解を求めるとともに、庁内各部局においても前向きな取り組みが行われてきたところでございます。今後とも、御提言の趣旨を踏まえ、関係部局ともより一層の支援の方法について検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 障害者多数雇用事業所等からの物品等の調達を行う場合の取り扱いについてでございますが、厚生労働省からの通知も踏まえまして、昨年度から、授産施設等が供給できる物品等を調達しようとするときは適正な予算執行の中で各所属が随意契約により直接調達することができるよう物品調達事務規程の一部を改正して活用を図っているところでございます。さらに、政策目的による随意契約の要件緩和についての地方自治法施行令の改正の動きもございますので、県といたしましても、その動向も踏まえ対応を検討してまいりたいと考えております。
 また、障害者雇用の安定、就労の促進を図るため、障害者多数雇用事業所等への優遇措置につきましても、紀の国障害者プラン二〇〇四に基づき現在検討を進めているところでございます。
○議長(小川 武君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、雇用問題についての御質問の中での授産施設等に対する官公需の発注等への福祉保健部の取り組みについてでございますが、知事部局を初め、教育委員会、各振興局等で開催されます行事やイベント等の情報収集を行い授産製品の活用に努めているところでございまして、最近では「福祉のしおり」の印刷や人権週間、障害者週間での街頭啓発配布物品の調達等を行ってございます。また、昨年度、授産施設等で扱う商品を掲載したホームページを社会就労センター協議会に委託して立ち上げ、市町村に対しても授産製品等の積極的な活用をお願いしたところでございます。
 紀の国障害者プラン二〇〇四の推進を図る観点からも、魅力ある製品づくりへの支援など、なお一層の需要の拡大につながるように努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、障害者問題についてでございますが、まず和歌山市内の四つの心身障害者グループホームへの補助金についてお答えをいたします。
 従前の国庫補助対象以外のグループホームに対する県単独補助は、同グループホームに補助を行う市町村に百万円を限度に補助額の二分の一を補助してきたものでございます。和歌山市が平成九年に中核市となって以来、和歌山市と県単補助金見直しについて協議を重ね、平成十六年度から心身障害者グループホームへの補助を行わないこととしたところでございます。障害者の自立のためへの御苦労は認識をしてございますけれども、県と中核市の責任分担の観点からも中核市である和歌山市の政策判断が基本となるものと考えてございますし、全国的にも中核市に対する同様の補助は行われていないのが実情でございます。
 次に、精神障害者グループホームの設置についてでございますが、本年三月に策定した紀の国障害者プラン二〇〇四においては、精神障害者の社会参加を促進し、社会的入院の解消を図るため、五年間で二十カ所、十年間で四十カ所のグループホームを整備することとしております。現在十二カ所のグループホームが設置されており、今後、未設置の地域を重点的に整備することなどにより、できる限り早くプランの目標が達成できるよう努力してまいりたいと考えてございます。また、計画期間中であっても、社会情勢の変化、地域のニーズ等を勘案の上、必要に応じて計画の調整を行うこととしてございます。
 次に、精神障害者グループホームの運営についてでございますが、精神障害者グループホームの利用対象者は一定程度の自活能力があり共同生活を送ることに支障のない方となっており、グループホームには世話人が配置されてございます。しかし、精神障害者は医療を中心に対策が進められてきた経緯もあり、知的障害者のグループホームとではサービスに差が見られることから、今後国に対して制度の充実について働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、精神障害者社会適応訓練事業についてでございますが、議員御指摘のとおり、地域によって協力事業所の数に大きな差があることから、和歌山市を初め特に協力事業者が少ない地域を重点として事業者を初め県民の精神障害等に対する理解を促進し、社会適応訓練に協力していただける事業所の開拓に向けて和歌山市や関係機関と連携し努力してまいります。また、精神障害者の社会参加を促進するためにはこうした事業に参加できる機会をふやすことが大切であることから、平成十五年度より人数枠を二十六人から三十人にふやしたところでございますが、人数枠の一層の拡大について今後検討する必要があると考えてございます。
 次に、障害者就業・生活支援センター運営事業についてでございますが、当該センターは平成十四年度より開始された事業であり、本県においては全国でもいち早く平成十四年度に田辺市に、十六年度に和歌山市に設置しております。今後は、二カ所の活動状況及び社会的ニーズ等を踏まえ、設置計画について検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 社会的入院者の退院に伴う諸施策の関係でございます。
 まず、社会福祉法人等による県営住宅の使用等に関する要綱を改正すべきではないかという御質問ですが、この要綱は障害者の地域における自立支援の観点から平成十四年四月に制定したものでございます。これまでも、平成十五年十月から十六年三月までの短期間ではございますが、社会福祉法人によるグループホームの入居実績がございます。今後も、社会福祉法人等によるグループホームの利用につきましては、このような事例や実績、これを積み重ねるとともに、県営住宅の需給状況等に応じ可能な限り利用の促進を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、公営住宅法の施行令の改定についてでございますが、五十歳以上の高齢者及び身体障害者等は公営住宅法施行令で単身入居できることとなってございます。精神障害者につきましては同法施行令において単身入居できる者として規定されていないところですが、自立支援の観点から関係部局と連携しながら将来の研究課題としたいと考えてございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高校生の就職支援対策の一環として実施してきました就職アドバイザーやジョブサポートティーチャー、これらの活用は、求人の開拓だけでなく、セミナーの開催や面接指導等の取り組みの充実、ひいては就職決定率の改善などにつながっていると受けとめております。厳しい雇用情勢が続く中、関係部局・機関との連携を一層深め、そうした人材の確保に努め、就職支援に係る取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、障害者雇用率達成の対策についてお答えいたします。
 公立学校及び教育委員会事務局における本年度の障害者雇用率は、県立学校が二・一六%、委員会事務局が二・二〇%で法定雇用率の二%を達成しております。しかしながら、小中学校教員の場合は一・〇四%で、教育関係全体としては一・五六%となっております。こうしたことの主な要因として、教員採用検査においては教員免許状の取得が要件となっていることから、結果として障害のある受検者の数が極めて少ないという現状があります。
 障害者雇用対策の取り組みとしては、点字問題を使った受検や手話による説明を実施するなど、障害のために不利益にならないよう配慮をしているところです。今後とも受検に関する情報の提供を積極的に行うとともに、検査の実施に当たって十分配慮し、法定雇用率が達成できるよう引き続き努力をしてまいります。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 一つは、いわゆるニートと言われる、五十二万人にもわたって今ふえているという状況ですね。全く気力を失ってしまっている若者たちの実態であります。これは、未来ある若者が働けない、そして働く意欲が持てないでいることは、社会にとってもやっぱり憂慮する問題だと思いますし、非常に大きな問題だと思います。こういう人たちというのは、ハローワークに行って何社面接をしても採用されない。そういう結果、自分が社会の役に立たない人間なのか、それとも自分自身が否定されているのかというふうな状況に陥って就職する気力をもう失ってしまっているという若者たちだというふうに思います。
 そういう点でも、やっぱり、仮に就職したとしてもフリーターであるとか、そういう実態に置かれるし、そして現場が非常にひどい状況のもとでそこに適応できないという状況も生まれているんじゃないかというふうに思うんです。
 だから、しかし可能性を持っている若い人でありますが、こういう人たちをいかに企業が、あるいは訓練所、教育、それからその人たちの悩みを聞いてあげられる、そういうところがいかにたくさん存在するかということが今やっぱり大事だと思うんです。世の中はもう今、大企業も正職員を雇うことをやめてパート化や派遣労働者、そういったものに置きかえてしまっているところに、若い人たちの採用が妨げられているんじゃないかというふうに思うんです。そういう社会情勢のもとですから、やっぱり大きな役割を果たすのは企業の人たちであるというふうに思うわけですね。そういう点でも、もっと積極的にこの点を行政としても企業への働きかけをやっていかなければならないんじゃないかというふうに思うわけです。
 それで、今政府が若者自立挑戦プランというのをつくっているわけですけれども、これはやはり働く意欲を高めるというものになっていないということですね。それで、その一方では「この人たちは怠けているんだ」という言葉もよく聞かれるわけですけれども、そういう点でも大きな企業の皆さん方に対して若者を採用することを本当に大きく発展させていただきたいという、そういうことが今求められているというふうに思うんです。
 やりがいのある仕事というのを若者たちはやっぱり求めていると思うんですね。そういう点でも、職業訓練の場、相談する場、そういったところが至るところにあるということを、そういう行政側の支援というものが今やっぱり求められていると思いますので、そういう点でも雇用拡大という、また雇用創出計画という部分の中にぜひ入れていただきたいというふうに思っています。
 それから、和歌山県でも完全失業者というのが、七年前は一万二千人だったんですね。ところが、今は三万人を超えている実態にあるわけですから。年内の早い時期にその計画を完成させるというふうに今答弁をいただきました。この雇用問題というのは産業のあり方の問題であり、県民の福祉や医療、教育の向上、県内の農業や林業、漁業の振興、中小企業や地場産業の振興と結びついた計画でなくてはならないというふうに思うんです。
 それでは、庁内で今検討を加えていらっしゃるということでありますけれども、和歌山県の産業の発展方向と結びついた雇用計画ということになれば、やはり第一次産業である農家、それから中小企業を経営されている方、それから商店街の方などにもいろんな意見を出してもらって一緒に計画をつくっていくというような、そういう初期の段階が今必要ではないかと思うんです。行政がやるとどうしても数字を追うという現実があるというふうに思いますので、実態を把握した上での計画ということを重視していただきたいというふうに要望をしておきたいと思います。
 それから、先ほどありました厚生労働省の通知ですね。
 障害者が働いている、あるいは授産施設、福祉工場や共同作業所、そういったところで頑張っている人たちというのは、本当にそこで働いている人も含めて、授産施設での障害者の賃金というんですか、生活していく上での賃金というのが一カ月に二万円というわずかな収入ですよね。だから、これをもっとやっぱり仕事をふやしてあげるということになれば非常に大きく前進するというふうに思うんです。この通知はそういう点で非常に大きな役割を果たしていると思うんですけども、これは答弁されたように、和歌山県でも既に事務規程を変えて、一定の共同作業所やそういうところでの品物やそういう印刷業なんかについて発注をして進めているんですよという報告がありました。しかし、まだまだこれは緒についたところだと思うんですよね。そういう点ではもっと、この作業所、授産施設の実態と、それから品物についてもうんと拡大できるような、開発できるようなものも積極的に行政が援助してあげられたらいいんじゃないかというふうに思うんです。そういう点でも障害者プランに書き込んであるそのものが本当に制度的にも確かなものになるように努力をしていただきたいというふうに思います。
 障害者プランというのは十年間の計画というような内容になっていますけれども、しかし、今の時期は精神障害者が社会的入院と言われる状況に置かれている原因そのもの、それから地域で生活をしたいというその思いを障害者の皆さん方のニーズに合ったものに──生活できて働き場を確保するというのが最大の目的ですので、ぜひともその点については十分な配慮をしていただけたらありがたいというふうに思います。
 目標そのものが非常に遠慮した目標だと私は思っています。実態としてはもっともっと多くの人たちが働きたい、退院して地域で頑張りたいという思いを持ってる人たちもたくさんいるわけですから、そういう人たちがどこで生活したい、そしてどんな職業につきたいという思いが大いにあるというふうに思いますので、そういう点でも努力をしていただけるようにお願いをしておきたいというふうに思います。
 それから、ジョブサポートティーチャー、これはもう本当に現場では大きく歓迎されているものですから、人的体制そして内容も充実してもらえるように、教育長、力を注いでいただきたい。打ち切るようなことはせんといてほしいというふうに思います。
 それから、グループホームの県営住宅への利用促進ですけども、これはやっぱり要綱が入れないという条項になってますので、これはもうどうしても改善を。「研究課題」って、緊急課題ですよ、これは。改革ビジョンの立場から考えてもこれは、やっぱり軽い精神障害者の人は人と共同して生活できる力は十分持ってるわけですから、医療や福祉、保健との関係の連絡、サポートをきちっととるというような状況も踏まえて、ぜひこれは改善を急いでください。研究課題ということは非常に消極的姿勢だと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 以上で終わります。すべて要望にいたします。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番前川勝久君。
  〔前川勝久君、登壇〕(拍手)
○前川勝久君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 私は西牟婁に今住んでるんですけども、今何が一番大事かと問われたら、間違いなくちゅうちょせずに町村合併やというように答えます。そういうことで、今回も町村合併についてお伺いをいたします。
 既に初日から三人の議員が質問をいたしました。一部重複するところがあると思いますが、御容赦を願います。
 いわゆる優遇措置を盛り込んだ合併特例法のタイムリミットが目前に迫っております。すなわち、特例法の適用を受けるには来年三月までに各市町村議会で議決をして県知事に申請し、十八年三月までに合併することが条件という状況でございます。このような状況のもとで県内の市町村合併協議がいよいよ大詰めを迎え、相次ぐ離脱、枠組み変更等、極めて波乱含みに推移していることを私自身心から残念に思うと同時に、このまま何の調整もなしに合併の幕引きとなることは和歌山県の将来にとって大きな禍根を残すと深く憂慮をいたしますので、今回も六月議会に引き続いて、市町村合併に絞って当局の見解をお聞きをいたします。
 六月議会で私は、高知県が五月三十一日にある試算を公表したということについて触れさせていただきました。その後、本県においても七月十二日に三位一体改革が及ぼす市町村財政への影響と題する試算を公表しております。その内容は、国から地方に合計で三兆円の税源移譲が平成十八年度に行われるという前提のもとで、三位一体改革による地方交付税等の影響額、いわゆる削減額でございますけども、五十市町村合計で平成十六年度百七十八億円、十七年度二百五十六億円、十八年度三百五十億円、十九年度三百五十億円、二十年度三百五十億円となる一方、これと逆比例して、市町村の貯金である財政調整基金あるいは減債基金の残高は、平成十六年度三百十七億円、十七年度六十一億円、十八年度は△二百八十九億円、十九年度は△六百三十九億円、二十年度は△九百八十九億円となる。その結果、十八年度で二十二団体──これは五十市町村のうちの二十二団体でございます──十九年度で四十二団体、平成二十年度で四十六団体が財政再建団体に転落するという危機的状態になる。しかも、十七年度以降、平成十六年度以上の歳出削減努力を行うと仮定した場合でも、平成十八年度で十六団体、平成十九年度には八割の四十団体が財政再建団体に転落するというものでございます。
 また、これらの三位一体改革の直接的な影響に加えて、平成十七年度より実施予定のさらなる段階補正、いわゆる小規模団体への交付税の割り増し制度ですけども、これの縮減や平成十七年度に予定されております国勢調査の人口減少に伴う交付税の減少見込み等、より一層厳しい財政状況となるとしております。
 そして、このような厳しい状況を踏まえて今後の市町村の行財政運営については、一つ、歳入歳出の徹底的な見直しを行うこと、一つ、住民、NPO等との協働や民間活力の活用等による行政の責任領域の見直し、一つ、市町村合併の推進等、時代の流れに沿った持続可能な財政構造へ転換していく必要があるとしております。
 この報告の中で、前段の厳しい状況については具体的な数字が示すところであり、極めて明瞭でございます。問題は、後段の今後の行財政運営への取り組みの部分であります。極めて抽象的であり、私に言わせれば全く机上の作文であり、これを読んだ市町村議員初め市町村行政に携わる者が果たして「時代の流れに沿った持続可能な財政構造」とは一体どのような財政構造なのか、イメージすることさえできないのではないでしょうか。
 第一に歳入歳出の徹底的な見直しでありますが、言うはやすし、行うはかたしの典型でございます。まだまだ思い切った見直しをしなければならないことは数多くあると私も率直に思います。しかし、歳出面の典型的な見直しターゲットである職員数、議員数、各種行政委員数の削減、特別職や議員報酬の削減、各種団体への補助金の廃止・削減、普通建設事業の縮小等にはおのずから限界がございます。極端な話、先ほどの試算で二十二団体、非常に努力しても十六団体が平成十八年度に再建団体に転落するとありますが、これらの団体が平成十八年度で再建団体へ転落を免れるために平成十七年度で職員数あるいは議員数を半数にする、また給与、報酬を半額にする、普通建設事業は全くやらない、そんなことは現実にできないわけであります。また歳入面についても、過疎化と少子高齢化の激流にのみ込まれている町村にとって、いかにみずからの努力と創意工夫をもってしてもどこに新たな税源を求めることができましょうか。
 第二に、住民、NPO等との協働や民間活力の活用等による行政の責任領域の見直しについても、民間でできるものは可能な限り民間へということはここ一年や二年前から言われ出したものでは決してございません。バブル崩壊後十数年間一貫して言われ続け、各自治体においてもそれぞれ精いっぱいの努力をしてきたにもかかわらず、今日の状況に至ってなおそのことが市町村自立のための中核的な努力目標に掲げられること自体が、そのことがいかに困難なことであるかの証左であります。加えて、特に紀南地方においては、行政と責任を分担するに足り得るNPOや個人、法人等の民間組織が現に存在するのか、あるいは近々誕生するのか、そもそも受け皿の存在そのものが極めて心もとない、あるいは不透明な状況であります。
 第三に、市町村合併の推進等について、つまるところ、今日のさまざまな状況を考えるときに、今、二十年、三十年先の我が町、我が地域の存立のために適正な規模の合併を促進し、自力本願で足腰を強くすることが簡単明瞭な道筋であり、これしかないと強く信ずるものでございます。
 さて、冒頭にも述べましたとおり、波乱含みに推移している県内の合併協議についてであります。
 お手元に「県内の法定合併協議会の設置状況」というのを配付させていただきましたが、これを見ていただきながら聞いていただいたらありがたいんですけども、これによりますと、現在十四の法定合併協議会があり、五十市町村のうち三十六市町村が加盟、加盟率は七二・〇%、ちなみに全国平均は七月一日現在で六二・七%だそうでございます。このまま推移しますと二十八市町村に編成されることになりますが、他方で、この図で白地の部分、この町村が現時点で法定協議会に参加をしておりません。これを見ていただきますと、特に際立っているのが西牟婁郡、東牟婁郡の状況でございます。このエリアでは六町村が白地になってございます。
 上富田町、那智勝浦町を除く四町村は人口六千以下の小規模町村であり、しかもこの地域は県下で最も過疎化、少子高齢化が進んでいる地域であり、前述の県の試算でもいち早く再建団体に転落する可能性のある地域でございます。私は、地元であるだけに、だれにも増して一層、このままで合併特例法の期限が徒過し、市町村支援策である合併特例法の特典を活用することすらできず、二、三年後には間違いなく財政再建団体に転落する状況に強く危機感を抱くものでございます。
 ちなみに、「財政再建団体」という言葉を我々もよく聞くわけですけども、私なりに若干これを箇条書きで整理してきましたので、再建団体の復習の意味でちょっと読み上げてみますと、この再建団体とは、昭和三十年に地方財政再建促進特別措置法いわゆる再建法により定められた制度でございます。市町村の場合は、赤字額が標準財政規模の二〇%を超えると財政再建団体に転落いたします。民間企業でいえば一種の破産状態で、会社更生法の適用を受けることに相当をいたします。
 それでは、再建団体になった場合の具体的な影響はどうかということになりますと、総務大臣の承認を受けた財政再建計画、これはおおむね七年間をめどに計画をされるそうですが、現実には十年を超す再建計画もございます。この再建計画に基づいて歳入、歳出の両面にわたって厳しい見直しが求められ、自治体として主体的な自治能力の発揮と責任を果たすことが不可能になります。
 歳入面では、各種の使用料、手数料や国民健康保険料などが国の基準または当該地方で最も高い額を徴収している市町村と同一となり、住民の負担が増加します。また歳出面では、市町村独自で実施している事業の廃止や各種団体への補助金の削減はもちろん、環境、福祉、教育などの事業が類似市町村あるいは当該地方で最も低い水準の市町村と同程度となります。また、将来に向けた都市基盤の整備や学校施設、道路など、市民生活に欠くことのできない施設・設備の改修・整備についても計画的に実施できなくなる等、行政サービスの著しい低下が予想されます。
 さらに、毎年の予算は再建計画の範囲内で編成するため、再建計画の変更を伴う補正予算の編成に当たっても、その都度、国、県の同意が必要になります。要するに、市町村の判断で予算が組めないし、何も決められないのであります。全国の自治体が何が何でも回避しようとする財政再建団体とは、おおむねこのような内容のものでございます。
 ここで、本当に皆さん、考えてほしいんでございます。今言いましたこういう内容を有する財政再建団体に、紀南地域でこれだけの町村が十八年度、十九年度というほぼ同一時期にこういう再建団体に転落することが現実化したら、それこそバブル崩壊後のいわゆる失われた十年どころか、紀南地域の将来ひいては和歌山県の将来にとって取り返しのつかない事態に陥ることは必定でございます。
 知事は六月議会における答弁で、「できる限り法期限内により望ましい枠組みの合併が行われるよう、市町村の自主性を尊重しつつ、できる限りの調整やさまざまな支援を行うなど、最大限の努力を行ってきた。県は県内の市町村がどういう形になっていくのが一番よいのかということについて責任を持っておりますので、今後とも市町村と一緒になって合併推進に最大限努力したい」と述べられております。
 私は六月議会で、一般質問では異例であることを承知の上で、合併問題の一事に絞って質問をいたしました。それは、現行合併特例法の期限が来年三月末であることにかんがみて今この時期がさまざまな調整等を行う上で最も重要な時期である、またそのことを県当局にも認識していただきたいとの思いでの行動でございました。六月議会から今日までほぼ三カ月。その間、参議院選挙、知事選挙等がありましたが、三カ月という期聞は決して短い期間ではありません。この間、恐らく市町村と一緒になって合併推進に最大限努力をしていただいたことと存じますが、その結果がなお今日の波乱含みの推移でございます。
 知事がこれまでこの議場でたびたび言ってきた市町村の自主性の尊重、県の役割にはおのずと限界があるとの認識を前面に掲げ続ける限り、このまま波乱含みのままで推移して、結果として責任があるという県の責任が果たされないことになる。そのことが和歌山県の将来にとって大きな禍根を残すと危惧をいたします。
 なるほど、現行特例法の第一条には「この法律は、市町村行政の広域化の要請に対処し、自主的な市町村の合併を推進し」とありますが、そこには「市町村財政」云々という文言は一言もございません。すなわち、この法律が制定された当時は、今日市町村を追い込んでいる三位一体改革の影響といったせっぱ詰まった背景がなかったのでございます。したがって、今日、状況が大きく変わっているのであります。国の三位一体改革という政策によって追い込まれている市町村に対し、なお法律制定当時の主として広域化の要請に対処するための自主的な合併を強調し、県としては依然としてその推移を見守るということであれば、現実との認識の乖離がいかにも大きいと思わざるを得ないのでございます。すなわち、この地域では県が指導力を発揮し、もっと積極的に調整を行うべきとの意見が圧倒的に多いのでございます。私も今日に至って強くそう思います。
 そこで、知事に単刀直入にお尋ねをいたします。
 まず第一に、合併特例法によるいわゆる平成の大合併の議論が本格的に始められたのはここ二、三年の間でございます。この間、市町村と一緒になって望ましい枠組みの合併推進に最大限努力してきたとの自負をお持ちでございますか。
 第二に、お手元の資料の白地の部分、いわゆる法定協議会に未加入市町村の部分でございますが、これらを抱えるそれぞれの地域について、県が考える望ましい枠組み実現のため知事みずからが調整、指導に当たる考えはございますか。
 第三に、現行法においても、地方自治法二百五十二条の二第四項及び合併特例法第十六条の二により、関係市町村に対し合併協議会を設けるべきことを勧告できるのであります。県として責任があるという責任を全うする意味でも、また将来の和歌山県の均衡ある発展のためにも、適正な整合性のある合併を推進するという強い決意のもとに知事勧告も視野に入れておられますか。
 第四に、知事みずからの調整あるいは勧告もあり得るとお考えならば、そのタイムリミットをいつごろとお考えですか。
 とりあえず、以上を質問させていただきます。
○議長(小川 武君) ただいまの前川勝久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま御質問にありましたように、現在市町村合併については非常に大事な時期を迎えているということは、これはもう間違いのない事実でございます。そして、全国的に今まで協議会を開いていたところがだんだんだめになるとか、そういうふうなことがもう日常茶飯事のように起こっておりまして、和歌山県内でもそういうふうな事例もあります。そしてまた、だめだったところがまた一緒になるというふうな例も出てきているわけでございます。
 この間、今随分県は努力してないというふうな論調でしたけれども、職員をなさったらよくわかると思いますけども、県の職員は物すごく一生懸命努力しています。はっきり言って、中へも入り込み、職員も派遣し、そしてできる限りの努力をしてきて、そして全国より高い協議会の率ということに現在なっているわけでございます。
 言うまでもなく、今住民投票をすれば非常に厳しい結果が全国的に出てきておるわけです。これはなかなか住民の方の意見も一体ではないというふうなことの中で、県も、そしてまた地元の市町村も、非常に悩みながらやってきているというふうなことだろうと思います。そういうことは十分御理解いただきたいと思うのと、それから三位一体の改革の中で財政が厳しくなっているのは、別に合併したからすべてが解決するというふうな話ではありません。ただ、日本の国に三千数百の自治体はやっぱり多過ぎるだろうというふうなことの中から適正規模というものを目指していこうということでやっているわけで、合併したから再建団体にならないとか、そしてまた、日本じゅうの団体が言ったように再建団体になるよう形になれば、おのずから違った地方財政の制度が出てくるというふうなことになってくるということでございます。
 私どもは、これからも残された期間、合併に向けていろいろな努力を積み重ねていきます。そしてまた、新しい法律の中では新しい法律の中で状況を見きわめながら我々として十分な責任を果たしていきたいと、このように考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番前川勝久君。
○前川勝久君 再質問をさせていただきます。
 知事答弁の後に再質問で部長答弁という大変恐縮に思うんですけども、若干内容が具体的になりますので、答弁は総務部長にお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 この先ほどの図面の中、特に紀南地域について具体的にお尋ねをしたいんですけども、この地域では、九月三日に合併協定調印が行われた串本町と古座町の合併については最終的に古座町が住民投票によって単独を選択をいたしました。太地町は、今年六月に住民アンケートで合併反対が過半数を占めたため、那智勝浦町との法定協議会を解散いたしました。北山村は、昨年二月、事実上の住民投票で県内合併を決めたが、消防・救急体制の意見の食い違い等から新宮市、熊野川町との法定協議会を離脱いたしました。これらのケースは、いずれも一度は同じテーブルに着きながら、住民投票、住民アンケートあるいは意見の食い違い等により所期の目的を達することができなかった事例でございました。
 すさみ町は、平成十四年八月の住民アンケートでは六八%、今年行われた住民有志による署名活動では有権者の七割、三千三百余名の町民が白浜町、日置川町との三町合併を強く希望しておりますが、白浜町、日置川町二町のみで法定協議会を設置し協議を進めてございます。したがって、前述の三町村とすさみ町の場合では状況が異なります。
 古座川町、太地町、北山村の場合は、とにもかくにも住民の意思を問うた結果として今日を迎えているわけでございますが、私個人的には、前述のように三町村内部の財政的、社会環境的な厳しさのみにとどまらず、紀南地方の将来の発展のためにもこの枠組みが望ましいとは思えないのであります。過疎化、少子高齢化の激流と立ち向かい、三位一体改革の大波をかぶりながら、合併メリットである国のさまざまな支援措置すら受けられず、単独を維持し、相当の行政サービスを提供することは「一層の経費節減に努める」という言葉だけでは乗り切れないと危惧するからでございます。
 県は、この地域についてはとりあえずこの枠組みでと考えておりますか。あるいは、県のリーダーシップで再度自立可能な適正な規模の他の枠組みを提示し、調整に乗り出す考えがございますか、どうでしょうか。
 次に、すさみ町について、町議会初め町民の圧倒的多数が白浜町、日置川町との合併を望んでいるのに、協議のテーブルにさえ着けない現状でございます。したがって、前述の三町村と明らかにその対応が異なります。私は、このような対応の場合こそまさに県の出番、県が責任を果たすべき場合であると考えます。このすさみ町のような対応の場合においてすら、自主的な合併を推進するという建前のもとに県の姿勢が一歩も二歩も後退していると思えてならないのであります。
 そこで、伺います。第一に、白浜町、日置川町が自主的に決めた結果であるのでいたし方ないと現時点では考えてございますか。
 第二に、どういう枠組みになるかは県としても責任があるという県の立場からして、責任を持てると言い得るためには二町合併でございますか、すさみ町を加えた三町合併ですか。
 第三に、三町合併が望ましいと考えるのであれば、今日までどのような努力を重ねられてきたのでしょうか。例えば、振興局長さん初め振興局の担当者が一生懸命努力していただいておりますことは私もよく存じておりますし、心から感謝をしておりますが、本庁としての対応はどうでありましたか。
 第四に、現行法での合併に向けての協議のタイムリミットは恐らく十一月ごろと個人的には想定されますが、今後部長みずから、あるいは三役が調整に当たってもらえる可能性がございますか。
 以上、よろしくお願いいたします。
○議長(小川 武君) しばらく休憩いたします。
  午前十一時二十六分休憩
     ─────────────────────
  午前十一時二十七分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 二十五番前川勝久君。
○前川勝久君 今の再質問についてでございますけども、今、通告をしていないので再質問できないという忠告をいただきました。そのとおりであると思いますので、ただいまの再質問は要望にかえさせていただきます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で前川勝久君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十七分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。
 まず、木村知事には、再選おめでとうございます。この厳しい時代に地方の首長としては単に「おめでとう」では済まない大変なことも多いとは思いますが、しかし頑張っていただきたいと思います。
 今議会の冒頭、知事の就任あいさつで「身命を賭して県政に臨む」という決意が述べられました。今の時代にはそれぐらいの気概が本当に必要なのだと思います。私もその知事の思いを少しでも自身のものとして今回も精いっぱい議会質問をさせていただきたいと思いますので、当局には誠意のある御答弁をお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従って質問をさせていただきます。
 今議会は三つのテーマ、和歌山の自立戦略、そして三位一体改革と財政問題、最後に貴志川線の廃線問題について議論を深める質問をさせていただきたいと思います。本日は一般質問最終日ということもあり、さきに先輩・同僚議員からも質問をされた内容と一部重複する部分もあるかとは思いますが、できるだけ視点を変えて質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、早速、和歌山の自立戦略、新たな視点を持った行政への転換について、これはアテネオリンピック・ヨット競技の御報告を兼ねた質問とさせていただきます。
 まず、今回のアテネ大会では、議会の先輩・同僚議員、また県当局の皆様からも物心両面でお支えいただきましたことを心からお礼申し上げます。皆様に応援していただいたヨット競技ですが、男子レーザー級の鈴木國央君は三十五位、女子四七〇級の吉迫・佐竹ペアは十一位という結果に終わりました。それぞれに大変残念な結果だったのですが、しかし、この和歌山・和歌浦の海からオリンピックに二チームも出場できたということは高い評価を受けています。結果は結果として厳しく受けとめながらも、今回の経験を糧としてまた次の北京に向けて体制の強化を図っていきたいと思っています。
 特に、次の中国・北京大会のヨット競技は、和歌山下津港と姉妹港である青島で開かれます。これからの四年間はヨットを通じた中国との交流もこれまで以上に盛んになると思いますので、これを和歌山の活性化にもつなげられるよう積極的に取り組んでいきたいと思っています。
 さて、今回のアテネオリンピックは、特に日本にとっては選手団の頑張りもあって非常に楽しめた大会だったのではないでしょうか。そもそも、このオリンピック大会というものの歴史を改めて勉強してみると、非常に興味深い話が幾つもあります。その中には、今の時代に新しい視点で地域経営に当たろうとする私たちにとって参考になると思われるものも数多くあります。その一例を挙げ、和歌山の自立戦略ということを考えてみたいと思います。
 一九八四年に行われたロサンゼルスオリンピックは、一セントも税金を使わずに行われた大会としてオリンピックの新たな歴史をつくったものと評価されています。それまではスタジアムの建設や環境整備などで多額の費用がかかり、開催都市は赤字続きで大きなダメージを残すのがオリンピック大会でした。そんなこともあり、一九八四年大会に立候補していたのはロスだけでした。現在のように織烈な誘致競争をしている状況にはなかったのです。
 ロサンゼルスオリンピックを大成功に導いたのは、ピーター・ユベロスという人物です。ビジネスマンとして成功をおさめていた彼が大会実行委員長に選ばれてから、さまざまな改革へのチャレンジがスタートしました。最初に彼が言ったのは、既成概念をすべて捨てようということです。全く新しい視点でオリンピックを見て、この大会自体を商品として考えようということでした。オリンピック大会はそもそも価値の高いものであるが、しかし、その真の経済的価値を高める作業がなおざりにされてきている。
 最初は、税金を使わない大会と宣言した彼に、皆、疑問を投げかけていました。そんなことはお構いなしに彼は戦略を練り、四つの柱、テレビ放映料、スポンサー協賛金、入場料収入、記念グッズの売り上げ、これですべての費用を賄うという行動目標を立てて活動を開始しました。
 テレビ放映権はそれまでの常識を超える金額を最低価格として提示、アメリカ四大ネットワークのうち一番高い金額を示したABCと約四百五十億円で契約しました。また、その放映権料も前払いとして利息を稼ぐという徹底ぶりでした。
 スポンサーは一業種一社、総数を合計で三十社に限定してロゴマーク使用の価値を高める戦略をとりました。これにより、それまでは多くのスポンサー企業が五輪マークを乱用して価値が半減してしまっている状況を一変させたのです。一業種一社、例えば飲料業界ではコカ・コーラとペプシに激しいスポンサー争いを演じさせ、これを見ていた他業種もスポンサーに次々と名乗りを上げ、高額の協賛金を集めました。
 また、ユベロスは、一般市民の聖火ランナーからも参加費用を徴収することを計画しました。聖火を運ぶのはギリシャ委員会の管轄で「聖なる火」を商品化することは許さないと猛反発を受けましたが、しかし、一緒にオリンピックをつくる一員として聖火ランナーに参加してくれる人なら資金的な協力も当然してもらうべきだとユベロスは主張し、結局、ギリシャ委員会も説得され、有料聖火ランナーも実現しました。
 大会そのものは、百四十の国と地域から六千七百九十七人の選手が集まり、史上最大規模のオリンピックとなり、大成功に終わりました。大会の決算はおよそ四百億円の黒字を出し、ユベロスはその全額をアメリカの青少年の育成とスポーツ振興に寄付することとしました。オリンピックを初めて黒字で運営したピーター・ユベロスの功績は非常に大きいとされています。その後、オリンピック開催には多くの都市が立候補するようになっています。
 「価値を生み出すのは人間の知恵である。ただあるものをそのままほうっておいてもそれは何の価値も見出さない」、ユベロスが残した言葉ですが、地域経営でも同じようなことが言えるのだと思います。人間の知恵により新たな価値が吹き込まれ、魅力ある地域が創造されていきます。和歌山には、高野・熊野の世界遺産などを初めとして、まだまだ多くの資源が眠っています。地域の自立を実現させるには、地域にあるすべての資源を商品化して価値を上げるといった視点が重要で、これがすなわち自立に向けた一つの戦略となります。
 鳥取県では、自立戦略を専門に考えるセクション「地域自立戦略課」を新設して取り組みを始めています。先日、鳥取県に行ってきました。視点を変え新たな価値を創造する鳥取県の実現を目指して、片山知事を先頭に県内のあらゆる資源、人、物、歴史といったものを商品化するという取り組みが進められています。
 その一例として、鳥取自立塾というものがあります。何名かの和歌山市議会の皆さんと一緒に今回初めて参加させていただいたのですが、そこでは改革者・片山善博を商品として二日間の研修が行われていました。知事の人脈も活用して全国から改革派といわれる政治家、行政マンも講師として招かれていたのですが、会場はあふれんばかりの大盛況で、全国から市町村議会議員、都道府県議会議員も数多く参加し、また鳥取市民の方も含め、たくさんの集客が実現していました。
 また、この事業は簡単に業者委託するのではなく、鳥取県庁の職員の皆さんが土日にもかかわらずボランティアとして参加し、宿手配の案内から会場設営まで行い、知恵を絞り、自分たちの手でイベントを成功させるといったものになっていました。こういったところからも職員の意識は変わってきていると、自立戦略課の担当者の方が説明してくれました。
 既成の概念、考え方に凝り固まることなく、とにかく知恵を絞り、すべての地域資源を価値の高いものに生まれ変わらせていくといった新たな視点を持ち、行政活動を展開していく。和歌山県でもこのような考えは県政運営を進める上でも非常に重要だと思いますが、知事はどのようにお考えになられるでしょうか。
 また、こういった点で現状の県庁の取り組みを評価して、知事の率直な感想をお聞かせください。また、今後、改善・強化していこうとする点などがありましたらお聞かせください。
 あわせて、具体的な提案を一つさせていただきたいと思います。私たちの和歌山県でも改革者として全国的に有名な木村知事がいます。失礼かもしれませんが、木村知事自体を商品化するといったことを考えてはどうでしょうか。鳥取県でもそうですが、トップリーダーを売り出す、県の貴重な商品として活用するということは、県自体のイメージをアップすることにもなりますし、さまざまに波及する効果が期待されます。民間企業でも、トップの商品化、またその活用は、企業ブランドをつくっていく上でも重要な戦略として位置づけられています。
 例えば、木村知事を目玉としてシンポジウム、セミナーなどを開催し、全国から集客を図る取り組みを検討することも一つだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、もう少し知恵を絞って、知事は現在、全国知事会の中で道州制研究会の座長を任されていますが、これもよい材料として活用すべきだと考えます。この研究会を和歌山で行うといったことはどうでしょうか。あわせて、「道州制─地方自治を問い直す」などのテーマで勉強会を開催する。そもそも、この道州制研究会については、道州制、分権、地方自治といったことを考える会なのですから、その会議をすべて東京で行うのも芸がないと思います。地方のことを地方から考えるといった視点も大切で、ぜひ和歌山での開催を実現させていただきたいと思いますが、知事はどのようにお考えになられるでしょうか。
 続きまして、二つ目の質問として三位一体改革と財政問題について。
 この夏、知事は、選挙もあり、また地方自治の未来を左右する重要な全国知事会にも積極的に参加され、まさに東奔西走されていたようです。知事会での三位一体改革に係る取り組みについては全国ニュースでも大きく取り扱われ、ニュースステーションなどでも特集として取り上げられる中、木村知事も映っておられましたが、私も興味深く拝見させていただきました。
 この三位一体の改革、これは国任せではなく、地方の切実な問題として我々も当事者意識をしっかりと持って考えていかなくてはならないものです。そもそも、この改革には、私たちの国を分権型社会としていく、地方を自立させていくというストーリーが描かれています。昨年は、私自身もこの改革で国、地方の関係が新たに見直され、地方が自立する姿が徐々にではあるが現実のものとなっていくと喜んでいたのですが、しかしふたをあけてみると昨年のものはとんでもないものでした。昨年、三位一体改革の名のもとで行われたものは、その本来の理念をねじ曲げるもので、財源移譲は担保されぬまま、地方の自主性とは何も関係ないような補助金が削られ、その一方で地方交付税もばっさり切り捨てられる、まさに国の都合、国の財政当局の都合だけで地方財政にしわ寄せが行われたものとなっていました。これには県下の市町村も大きな影響を受け、予算編成で四苦八苦して非常に厳しい状況に追い込まれています。
 さて、今、来年度予算の編成にかかろうとするこの大切な時期に、三位一体改革の議論が改めて注目されています。この改革とセットになる財政の議論は、地方自治に大きな影響を与えます。ここで和歌山の現状を踏まえて知事のお考えを改めてお聞かせいただきたいと思います。
 この改革の初年度となる平成十六年度はその記念すべき第一歩となるべきであったにもかかわらず、ある部分では地方の自由裁量を狭める逆機能をもたらした実態があります。知事は、ここまでの三位一体改革をどのように評価されているでしょうか。
 あわせて、先月、八月十八日、十九日に行われた知事会について、知事はこの会議をどのように総括して、どういった感想を持たれているのか、またその会議を通して三位一体改革の今後の展望、どういったことに期待を寄せられているのか、率直な御意見をお聞かせ願いたいと思います。
 さて、今後、三位一体改革が進み地方の自立ということが実現していく過程では、知事の就任あいさつであったように、リセット県政、地域自立型の社会を新たに構築していくことが求められます。ただ、その実現に向けては小手先の行政対応だけでしのげるものでは決してないのだと思います。これは行政だけの問題ではなく、地域全体としてこの厳しい時代を乗り切っていく知恵が問われていて、地域住民の本格的な参画を前提とした地域運営の仕組み、新たなシステムの構築が必要となります。そこでは、県の行政自体がみずからの地域における存在の意味、存在意義を再定義しつつ、地域住民とともに役割分担の見直しを進めるという新たな和歌山県の構想づくりが急がれると私は考えます。
 そんな中、知事がこの夏の選挙で提示されたマニフェストの中で指摘されている県民自治という考えは非常に重要だと思います。改めてこの県民自治という言葉について、具体的な説明をお願いしたいと思います。
 また、さきの知事選挙で重要な位置づけを与えられていたマニフェストですが、残念ながら、それを手にとり理解していただいている県民の方はごく少数だと思います。知事の考え、県政の進もうとする方向性を多くの住民に理解してもらうことが大切だと考えますが、どのようにして県民に広め、理解してもらおうとしているのか、また、住民との協働による地域づくり、県民自治を実際に実現していくプロセスとしてどういったことをお考えになられているのか、あわせて知事のご所見を賜りたいと思います。
 次に、財政の問題について。
 まず、現状における厳しい財政状況の認識について。これまで和歌山県では多額の県債を発行してきています。二〇〇三年度普通会計の決算状況を見ても県債は昨年度より一五・七%ふえ、残高は二・八%増の六千七百九十一億円余りとなり、過去最高となっています。これは、予算規模の一・二倍、県民一人当たり老人から幼児まで約六十四万円もの借金を抱える計算となります。三位一体改革を進めて地域を自立させていくとはいっても、大変厳しい状況にあるように思います。
 そこで、まず知事はこの状況をどのように認識しておられるのか、お聞かせください。また、財政を健全化させると一言で言っても、これにはかなり大胆な取り組みが必要だと思いますが、そのポイントとして知事はどのようなことをお考えになられているのか、ご所見を賜りたいと思います。
 次に、先日、県財政課から出されたコメントでは、今後、三位一体改革の中で地方交付税や国庫支出金の先行きは不透明で、行政運営の一層の合理化、効率化が必要ということでした。これからの三位一体改革の進展次第では、平成十七年度以降の県予算がことし以上に厳しい状況に陥る可能性もあると心配されます。そんな中、財政課では県財政の抜本的改革プランとして財政構造改革プログラムといったものを作成されているようです。そこで、その中身として、例えば数値目標なども含めてあくまで実効性の高い具体的なプランとすべきだと私は考えますが、現在の取り組み状況についてお聞かせいただきたいと思います。
 また、二〇〇四年度予算で大幅に削減された地方交付税について、来年度の見通しをどのように持たれていますか。平成十六年度の状況は、三位一体改革に伴う一兆二千億円の交付税削減が昨年末に決定され、県下の市町村でも年明けに急遽基金の取り崩しを検討するなど、厳しい対応に迫られました。財務省は来年度も改革路線を堅持して地方歳出で一兆を超える削減を目指すといった意向もあるようですが、実際のところはどういった状況だと認識されていますか。
 また、あわせて市町村への対応として、県内の各市町村としても昨年の二の舞とならないような対策が必要ですが、ただ、国からの情報を得る環境などが県とは大きく違う中では市町村独自の努力にも限界があります。そこでは県としても市町村に対する何らかの対応も必要だと考えますが、現状における市町村への対応状況についてお聞かせください。
 また、例えば京都府などでは、財政の健全化に向けて府と市町村が協力し、同じテーブルに着いて協議する連絡会議、行財政連携推進会議といったものを立ち上げています。ここでは特に財政をキーワードとして情報交換、ある面では府からのアドバイス、また市町村と府との間での協力関係の模索といったことが進められています。和歌山でもこの厳しい状況下で市町村を支えていくためには、京都府のように市町村と一緒に考え協働する仕組みをつくっていくことも有効な手段だと私は考えますが、県当局として市町村との間でこういった協働の場をつくっていくことに対する御見解をお聞かせ願いたいと思います。
 さて、今回の三位一体改革は、この国の未来のためにも何としてもなし遂げなくてはならない大改革だと思いますが、しかし、今後は補助金の配分権限を持つ中央省庁の巻き返しや党、族議員の反発も必死だと言われています。そんな中、どうやってこの改革を実現させていくことができるのでしょうか。
 私は、この三位一体改革を成功に導くための唯一最高の戦略として、広く国民を味方につけることが何よりも重要なポイントだと考えます。この改革を本来の理念どおり進めるためには、今以上にもっと広い土俵でこの議論を展開させることが必要です。この和歌山でも、ニュースなどで三位一体改革といった言葉自体は耳にしている県民の方も多いとは思います。しかし、どのおばちゃん、おっちゃんに聞いても、その中身を理解している人はほとんどいないのが現実だと思います。この改革の趣旨をしっかりとわかっていただければ、必ず多くの国民が味方になってくれると思います。
 変な横やりを入れさせず、この改革を矮小化した議論にしないためにも、今が正念場だと思います。木村知事のリーダーシップでぜひ知事会などに改めて国民の理解が少ないことなどを訴えていただいて、改革の中身について議論しているだけでなく、三位一体改革の全体像を国民に周知する取り組みについて、もう一度しっかりと考えていただきたいと思います。この改革には国民的運動としていくための努力が欠かせないものと私は考えますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
 最後の質問として、南海電鉄の貴志川線廃線問題について。
 この九月議会では、先輩の山田正彦議員、藤井健太郎議員からも熱のこもった質問が行われてきていますが、この問題については今議会、私が最終の質問者となるようですので、ぜひ当局においては、今後の協議を進展させるためにも、さらに踏み込んだ御答弁を期待して質問させていただきます。
 さて、先月八月十日、南海電鉄は正式に貴志川線の鉄道事業から撤退することを表明しました。現在の鉄道事業法では、従来の免許制とは異なり、あくまで許可制であり、事前に届け出を行えば通常であれば一年後には廃止できるものとなっています。この九月末にも届け出が出されるということで、南海貴志川線が廃線となるまで、このままいくと残された時間はあとわずかです。
 そんな中で今、多くの利用者の方から不安を打ち明けられる状況となっています。生活路線がなくなる、地域の過疎化が加速する、学校にどうやって行けばいいのか。この貴志川線は、和歌山市にある和歌山駅と貴志川町の貴志駅を結ぶ十四・三キロの路線です。駅の数は十四、そのうち和歌山市にある駅は十駅で、先日和歌山市が行った調査では多くの和歌山市民が利用しており、私自身、強い危機感を持って取り組まなくてはならない問題だと思っています。
 ただ、私はこの沿線に住む住民ではありませんので、昔遠足で行ったことがあるといったような記憶しかなく、特に最近の実態については理解が不足している状況でした。よって、廃線問題が浮上してから、夏休みの間の利用状況、また通勤・通学で混雑するこの九月の新学期が始まってからの状況などを調べるために、実際に何度か朝の始発からこの貴志川線に乗りに行ってきました。
 平日の朝は、現在も貴志川線は満員の状態で運行しています。お手元の資料をちょっと御確認いただきたいんですけれども、このパネルにしたものの縮小したものをお配りさしていただいていると思います。(パネルを示す)
 一つが、早朝、電車で通勤・通学に通う状況なんですけれども、少し驚いたのが、この写真の中にちょっと小さく写っていますけれども、小さい小学生なんかも含めて若い人が本当に多いということを感じました。また、これは和歌山駅のその電車からおりられている状況なんですけれども、本当にたくさんの通勤客がおりられている状況があり、行く前のイメージとは少し違いましたので、ちょっとでも現状の貴志川線を知っていただければと思います。
 現場では多くの利用者の生の声を聞くことができたのですが、そこでは特に若い人たち、中学生、高校生の訴えは切実なものがありました。和歌山工業に通う高校一年生の男の子は、「電車で高校に通い始めたばかりで、こんなことになるとは思ってもみなかった。もし廃線になったら、原付バイクで親戚の家まで行って自転車に乗りかえて学校に行くことになる。仕方がないけど、毎日貴志川から原付バイクで市内の親戚のところに通うのは危ないし、怖いと思う。今さら学校を変わるわけにもいかないし、悩んでいる」と打ち明けてくれました。彼は、貴志駅から毎朝電車に乗って竈山駅でおり、そこに置いてある自転車に乗って学校へ通っているそうです。若い子供たちの意見を聞く中では、現在の通学に関する不安とあわせて将来の就職、生活に関する不安も大きいと感じました。
 貴志川線に実際に乗ってみると、沿線にある向陽高校などを含め、和工、県和商など、また小中学校への通学も含めて本当に多くの子供たちがこの貴志川線を利用している状況を目の当たりにします。また、この貴志川線は、若い子供たちとあわせて高齢者、いわゆる交通弱者にとってなくてはならない路線となっています。高齢者にとっては通院、買い物などの生活路線として、平日は一日往復九十六本、土日は八十本が運行されていて、本当に重要な交通機関であり、簡単に廃線にするわけにはいかないと、実際に利用の現場を見てきて改めて実感しました。
 貴志川線は、大正三年、一九一四年に山東軽便鉄道として開業、その後、和歌山電気軌道との合併を経て一九六一年から現在の南海が経営する貴志川線となっています。貴志川線の経営状況を見てみると、確かに厳しいものとなっているようです。
 先日、大阪の南海電鉄の本社にも行き、直接話を伺ってきました。南海の鉄道事業の統括本部長である兜常務取締役と御面談をいただき、一時間半ほどの時間をかけて現在の南海電鉄本体の実態、貴志川線の置かれている状況など具体的な説明を受けたのですが、結局、「南海本体としてもこれまで賃金カットやホテルの売却など事業見直しを行い、あわせて貴志川線単体としても経営改善を図る努力をしてきたが、毎年約五億円、累積で七十億円以上の赤字が出ているこの貴志川線をこれ以上放置しておくことは経営上許されない状況となっている。特に企業の格付会社などからの厳しい指摘も受けていて、どうしようもなくなった。本音を言って鉄道マンとしてはレールをはがすということはたまらないものであり、感情論では残したいのはやまやまではあるが、株式会社としては当然株主に責任を負うものであり、これ以上南海電鉄として貴志川線を存続させることは不可能だ」ということでした。
 ただし、南海ではなく事業主体が変わって今の資産を引き継ぎ、初期投資を最低限に抑えてやっていくのであれば鉄道事業としての存続は可能ではないかといった見方を示されていました。南海が事業を行うとなると大手私鉄といった姿勢が問われ、中小私鉄が経営する以上に大きなコスト負担が発生する。もし単にこの路線を確保するためだけの最低限のコストをはじくと経営が成り立つ可能性はあるのではないかといったことを話されていました。
 ここで、もう一つ、少しお手元の資料を見ていただきたいのですが、これは伊藤雅博士──鉄道関連を専門で御研究されている先生ですけれども──のリポートで、南海貴志川線の廃線問題を受けて、その状況を分析していただいたものです。全国で貴志川線と同規模の二十路線を調査して比較・分析したレポートの一部で、まだ何ページかの分析説明のページがあるのですが、とりあえずまとめの部分だけをお配りしています。
 詳細の説明は避けますが、そこにも書かれているように、経営努力は必要ではあるが、利用実態から見ても廃線にするような路線ではなく、民間の鉄道事業として経営が成り立つ可能性が決して少なくない。伊藤先生は、この貴志川線の場合、鉄道をなくすデメリットが大き過ぎると心配されています。
 さて、鉄道事業として存続させるには、鉄道運営と関連施設の管理を分ける上下分離方式の採用、また地域のサポートとして駅掃除、切符のもぎりといった駅管理に係る協力体制の確立など、さまざまな知恵を絞る必要は当然あります。また、市、町、県、国といったそれぞれができる範囲で協力し、あわせて何といっても地域住民の積極的なかかわりも必要とされますが、それらの環境が整うとするならば鉄道事業の存続は十分に可能だと私自身は思っています。先日の和歌山市議会では大橋市長が鉄道存続に向けて精いっぱい努力するといった決意を表明されていましたが、この問題に関して地元自治体の取り組みとあわせて県の対応が今後の展開には大きく影響するものとなります。
 そこで、貴志川線廃線問題に関しての県の基本姿勢について幾つかお尋ねをいたします。
 まず最初に、この貴志川線の経営に関しては、私自身もいろいろ調べてみたのですが、まだまだわからない部分があります。特に財務内容については、貴志川線だけをとってのバランスシートがないので実際にはよくわかりません。この財務状況を分析し明らかにしない限り、民間の経営先を探すにしても、話は前に進みません。県としてこれまで貴志川線単体での経営実態、財務状況について分析されてきているように伺っていますが、その中身についてお聞かせいただきたいと思います。
 また、その分析の中で民間で経営が成り立つ可能性をどのように考えておられるのか、またそのためにはどういった条件が必要と考えられるか、お聞かせください。
 先日、九月七日に貴志川町でこの廃線問題に関するシンポジウムがありました。私も出席していたのですが、その中で国土交通省鉄道局・大口官房審議官の講演があり、地方鉄道の事業に対する国の支援策の説明がありました。この国の制度、近代化補助並びに運営費補助などは今回の貴志川線存続ではぜひ利用すべきだと考えます。この国の制度の活用に関して現時点での見通しはどうか、また制度活用が難しいとすればどういったところがネックになっているのか、お伺いします。
 また、この貴志川線を引き継いで事業を継続させるとして、どこが経営主体になるにしても、初期投資をできるだけ抑えることがポイントとなります。また、県としても毎年毎年この鉄道事業にお金を出し続けることは、現在の財政状況を見ても難しいと思います。そこで、県として具体的にどこまで鉄道事業をサポートする意思があるのか。そこでは、これ以上はできないといった一線もあると思います。現状でどういったところまでの手助けが可能と考えているのか、お伺いいたします。
 最後に、知事の所見をお聞かせ願いたいと思います。
 これまで、和歌山市議会、貴志川町議会を初めとして海南市、野上町、美里町、桃山町の各議会で存続を求める決議書が可決されています。年間で二百万人もの県民が利用するこの鉄道事業の廃線は、県民生活に大きな影響を与えます。これまでに県内でも幾つかの路線が廃線となってきていますが、利用者の状況を考えると、それらとは明らかに性格の異なる廃線問題です。また、沿線には県営団地も分譲しており、この長山団地を選んだ住民の最大の理由は南海貴志川線が運行していることであり、現在も多くの団地住民が通勤、通学、また生活路線として利用しており、この団地を分譲している県の責任は少なからずあるものと思います。
 また、そもそも鉄道事業というのは、その社会的意義としても地域の都市インフラとして重要なものであり、和歌山市や貴志川町の経済圏において都市の活性化装置として利用価値の高い資源です。あわせて、これからの時代の環境問題の視点からも鉄道事業の価値はさらに大きなものとなると考えます。
 このようなさまざまな視点に立つ中で、改めて知事に、この貴志川線存続に向けた決意をお聞かせいただきたいと思います。
 以上で質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) たくさんの質問があったので、忘れてしまいますけれども。
 まず、私はこの和歌山県を発展させるということの中で、できるだけ自立をするというふうなことを探っていくことが大事だというふうに思っています。特に、景気が回復基調にある今こそ、和歌山の持てる力、すなわち例えば観光資源であるとか、歴史性であるとか、農林水産業であるとか、地場産業であるとか、こういうふうなもののいいところをできるだけ付加価値をつけて伸ばしていく、そしてそれに県がいろんな形で後押しをしていくというふうなことが大事だと思うんで、何もかも県の方が考えてやっていくというような形では絶対にうまくいくことありません。やっぱりその自分たちの伸びていこうというふうな力に、できるだけ県の方がそれに合ったような形で応援していくというふうなことが大事だと思います。今までもそういうふうな観点でやってきたわけですけれども、これからまたより一層新しい形でそういうことをしていきたいというふうに思っております。
 それから、そういうことをする県の組織ですけれども、この一期目にいろいろ組織改革を行いました。そういうふうな中で、うまくいったところもあるし、さほどでもないところもありますけども、例えば新しいマーケティング、イトーヨーカ堂であるとかジャスコとか、こういうふうなところと組んでやっていくような仕事とか、わざわざ新しい局をつくってやってるんですけども、いろんな成果が上がっています。それから、緑の雇用なんかについても局をつくってやった。そうすると、もう今は私がこういうふうに考えるということなしにでもどんどん自律的に進んでいくような形になっています。
 これからほかのいろんな部局についてもそんなふうな形で、この和歌山のポテンシャルがどんどん発揮されるような形になるような組織づくりということをしていかないといかんし、そのときに、NPOでありますとか、そういうふうな民間団体との協力が欠くことができないので、こういう面もどんどんやっていきたいというふうに思っています。
 そういうふうな形で組織づくりとか運営をやってきたんですけども、まだなかなか仏つくって魂入れずというふうなところもあります。今、鳥取の例なんかも出されてましたけども、こういうところ非常に進んでいるみたいなので、そういう先進的なところの例というふうなものも十分参考にしながら対応をしていきたいということです。
 それから知事の商品化ということで、まあ商品になるほど大したものでもないんであれですけども、いろんな形でいろんな場に顔を出して、そしてできるだけ和歌山をアピールしていくというふうなことが大事だろうと思います。この間も本を出して、余り売れてないかもしれませんけども、いろんな形で自分の考えということを外に披瀝していく。それと、いろんな批評家の方であるとか評論家の方であるとか、そういう方からも感想みたいなのが全国から届いてきてますけれども、そういうふうなことをすることによって「鄙の底力」というか、ひなにも底力があるんだということを認識してもらう必要があると思いますし、場合によっては、前回はやらなかったんですけども、これからは例えば和歌山でいろんな人を呼んできてシンポジウムをやったりセミナーをやるというふうなことも考えていかないといかんと思います。これは幾らでもそういう人たちがいますのでできないことはないんですが、ただ今の状況の和歌山にそれがちょっと受け入れられるかどうかというふうなことで一抹の不安がありますので今まで控えてたんですけども、これからはそういうことも考えていく必要がありますし。
 道州制研究会は、これは全国知事会の組織ですので、これをこっちへ引っ張ってきてというふうなことにすぐになるかどうかわかりませんが、私がこの道州制の委員になりましたのも、例えば和歌山はずっと昔に小野知事が阪奈和合併なんていうことを大分熱心に言われたような歴史があるんです。これはまだみんながそんなふうなことをちょっと常識的じゃないと思うころにそういうふうなことを言われた先人がおられるというふうなこと──稲むらの火も先人ですけども、こういうふうなことで外へはっきり訴えかけられていったということも僕は大きなことだと思いますので、別に阪奈和合併がいいわけじゃないんですけども、そういうふうなこれからの地方制度の枠組みということを和歌山県も割と先頭になって考えていってもいいんじゃないかなというような気持ちでこれをお引き受けしたというふうなことがあるわけです。
 それから、三位一体の改革ですけども、この三位一体の改革、これ自身は基本的には今、国からの補助金とあわせていろいろ国が地方へ介入してくるというふうなことが地方自治体がいろいろ自分たちで創意工夫をしてやっていくことの妨げになっているということ、これはもう何十年も言われてきたことなんで、このこと自体はもう原則としては疑う余地のない正しいことなんだけども、ただその起こってきた動機が、地方に対する補助金を上げたりするのをもう減らそうとか、それから交付税もあわせて減らしてしまおうとか、そしてちょびっとだけ税源を上げようというふうな形になれば、これは逆に地方の力を弱めてしまうという形になりつつあるというふうなこと、特に去年の改革なんかはそんな形になっているというふうな面も否めませんので、今回そういうことにならないようにいろいろ言っているわけです。
 全国知事会でもこの間、かんかんがくがくの議論がありました。私なんかはまだおとなしくしていた方で、もうこのごろは皆どの知事も百家争鳴というような形で意見を言い、これをテレビで中継もしてたんですけども、いずれにせよ、そういうふうな中で一定の方向の補助金削減の案を出したと。これからこの実現に向かっていろいろ大変なことが多いと思います。私のとこへも国の役所から働きかけとかいろんなものがありますけれども、余りそう頑迷に考えるほどのことはないんで、やはり柔軟に対応していかないといかんと思うんですが、基本的にはこういうふうなことが人口に膾炙してテレビの番組でも言うようになったということがやっぱり今回の大きな成果だと思うし、これは総理大臣から出しなさいと言われて出したわけだから、やっぱり何がしか今度は中央政府の方で一つの答えを出してこないといかんというふうな形になってくるんで、これがやっぱり大きな意味では地方分権の進展にもうつながるだろうというふうに思います。
 ただ、御案内のように、今、和歌山県にしても、それから県下の市町村にしても、非常に財政的に厳しい状況にあるし、自立する自立すると言っても自立にはほど遠い状況にあるのも、これはもう──これは和歌山だけじゃなくて地方の県は皆そうですけど──否めない状況なわけです。そういう中で本当の意味の三位一体改革を実現するには、やはり交付税制度も含めて地方制度全体の仕組みの見直しということを考えなければ、これははっきり言ってあり得ないことなんで、今回の三位一体の改革の話はその入り口というふうなことだと私は位置づけています。ただ、これが完全に失敗に終わると分権ということからほど遠い状況になってしまう可能性もあるので、ここはやはり注意しながら対応していく必要があります。
 次に、マニフェストで県民自治というふうなことを書いてあるわけですけども、私自身がこう言ってるのは、簡単に言えば、普通の人がおかしいなと思うことと、それから自治体の方、行政当局がおかしいなと思うことを大体同じぐらいの線に持っていくというふうなことなんです。今はかなりそういうことに乖離があります。一般の人が、こんなつまらん手続でいろいろ縛られるのは大変だなと片方で思う。役所の方は、いやこれはもう絶対に大事な手続だからと思う。かなり乖離があります。そうすると、間をどういうふうなことでとっていくかということを真剣に考えていくというふうなことがやはり住民の目に立った県政というふうなことになっていくのだろうと思っております。
 そういうふうなことの中で、やはりこういうことを全部県民にわかっていただく必要があるんで、去年の暮れぐらいから大分、県政報告会というのをやったんですけども、県政報告会という形じゃなくて、やはり私これから県下を回って、ある程度の数の人に集まってもらって、今県政がどういうふうな方向に向いているか、地方自治の問題点は何かというようなことをできるだけ話していくような機会を新たに設けていこうというふうに思っております。
 それから、厳しい財政状況への対応ということですが、先ほど申し上げましたように、和歌山県にしても県下の市町村にしても、大きな交付税制度、それから補助金制度、そういうふうなものの中で生きているというふうな仕組みがありますので、おのずから今の中で自立するという制度、仕組みは限られてるんですけども、そういうふうな中でも、例えば人件費の縮減でありますとか、いろいろな不要不急の事業の見直しでありますとかいうふうなことをどんどんやっていかないといかんと思うんですけども、そういうときに、せっかく今景気が回復しつつあるときに自治体がその足を引っ張るというふうなことになってはこれはもう元も子もないということですので、必要なものには重点的に投資していくという差別化というふうなことを改めて考えていかなければならないというふうな感じで思っているわけです。
 それから、真の三位一体の改革は何かということですが、これは今お話ししましたように、今やってることはかなり今の制度を前提とした、小手先と言ったら悪いですけども、小手先のことなんだけど、こんなことすら今までの国と地方の関係の中では初めてのことだったわけです。ただ、やっぱり国民の人にもっとこういうことをわかってもらうためには、その行く先のところにどういう社会があって、それが自分たちの生活にどういうふうな関係で影響を及ぼしてくるのかというふうなことの具体的な例をやはり示していくということなくしては、三位一体なんてわけのわからん──その「三位一体」自身がわけのわからない言葉として有名なわけです。要するにそういうふうなことですので、この言葉自体がわからなくなってしまったら本当に元も子もありませんから、そういうふうな具体例を示していく必要があると思います。
 それから、最後に貴志川線の問題ですけれども、これは非常に難しい問題です。何か、今その写真も見ましたけど、本当にたくさんの人が利用しているわけだけど、多分生徒の人は皆定期だから安い値段しか多分払ってないと思うんです。そうなると、やっぱりある程度は住民の負担もふやしていくというふうな仕組みとか人件費を減らすとか、いい方法があればやっていかないと、本当にここの場合は利用者が多いんで大変だというふうな気がしますけども。
 一方で、滋賀県の信楽鉄道の大事故みたいなことがあったりして、何でもかんでも合理化すれば済むというものでないところにこの鉄道事業等の難しさがあるということですし、それから自治体の負担というものにも限りがあるというふうなこともありますので、いずれにせよ、関係のところとこれからいろいろ協議しながら何がいい方策かということを探っていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 財政の問題についてお答えを申し上げます。
 まず、財政構造改革プログラムについてでございますが、七月に発表しております三位一体の改革が及ぼす県財政及び市町村財政への影響の試算にありますように、本県の財政は非常に厳しい状況にございまして、三位一体改革の結論次第では、歳出削減努力を行わなかった場合に平成十八年度に財政再建団体に転落する可能性もあろうかと思います。
 こうした危機的な状況を迎えまして、今こそ財政健全化に取り組まなければ本県はこれからの激しい時代の流れに対応できる力を失ってしまうのではないかと、財政の担当として憂慮しているところでございます。
 現在検討を進めております財政構造改革プログラムは、財政再建団体への転落を回避しつつ、福祉、治安、教育といった必要な施策の財源を捻出するために、歳入・歳出両面にわたって目標額を設定して財政の健全化に取り組もうというものを考えております。なお、このプログラムは来年度の予算編成方針にかかわってくるものでありますので、早急に策定したいと考えております。
 次に、地方交付税の見通しでございますが、総務省から政府の概算要求にあわせて今回初めて地方財政の収支見通しなども考慮して地方への配分ベースで今年度と同額とする試算が公表されておりますが、一方で地方歳出の一層の削減により地方交付税を抑制しようとする動きもございまして、これから国の方で検討が進められていくものと承知しておりますが、現在のところ見通しは不透明な状況でございます。
 いずれにいたしましても、昨年のような一方的かつ唐突な地方交付税の削減が行われないように、地方六団体は改革案の前提条件として、改革期間中は不合理な地方交付税などの削減をしないことや、地方交付税は地方固有の財源であるので、その総額を決めるための地方財政対策、地方財政計画の作成に当たっては地方公共団体の意見を反映させる場を設けることを求めているところでございます。
 次に、市町村についてでございますが、まずは県、市町村が連携して国に対し分権の趣旨に沿った三位一体改革がなされるよう引き続き強く訴えていくことが重要であると考えております。また、市町村に対しましては、時代の流れに即した持続可能な財政となるように、歳入・歳出や組織機構の構造的な見直し、住民との協働、民間活力の活用、市町村合併の推進などを積極的に助言してまいりたいと考えております。
 あわせまして、住民の協力を得つつ改革を進めることが重要でございまして、中長期的な財政見通しや対処方針などを積極的に住民に広報するように働きかけてまいります。
 さらに、地方分権の推進や三位一体改革による国と地方の関係の見直しなども踏まえまして、県と市町村の間につきましても自己責任、自己決定に基づく行財政関係を構築しながら、お互いがコスト縮減等の共通課題に連携して対処できるように、議員御指摘の県と市町村との連絡会議の立ち上げも含めまして検討してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 南海貴志川線の廃線問題についての御質問、三点についてお答えいたします。
 まず、南海貴志川線の財務状況についてでございますが、南海電鉄の資料及び聞き取りによって検討した内容について申し上げます。
 平成十五年度の南海貴志川線の営業収入は約三億一千万円、営業費用は約八億二千万円であり、よって営業損益は約五億一千万円となってございます。
 財務状況の分析内容についてでございますが、中小民鉄との違いを加味しながら申し上げます。
 まず第一点目ですが、役員給与や広告宣伝費、庶務費など、南海電鉄全体の共通経費を貴志川線でも分担していることが挙げられます。二点目といたしまして、人件費につきましては、平成十四年度末現在、貴志川線全体の職員四十二名の平均年齢は四十五・二歳となっており、南海全体の四十・二歳と比較して平均年齢が高いことから人件費が多少高くなっていると思われます。三点目といたしまして、運賃につきましても、南海電鉄の運賃体系の制限から中小民鉄と比較した場合、安く抑えられてございます。四点目といたしまして、安全面におきましても大手民鉄としての高いレベルでの保守管理が実施されておりまして、中小民鉄とは一概に比較できないところがございます。
 この中で、一点目に申し上げました本社費用については約一億円が計上されておりまして、貴志川線の営業費用から単純に除きますと貴志川線単体での営業損益は約四億一千万円となります。
 民間経営の成立の可能性でございますが、まず一点目は、給与水準や職員数を抜本的に見直す必要があると考えますが、職員数につきましては非常時における迅速な対応等を考える必要があると考えます。二点目といたしましては、運賃や外部委託などの雇用形態等についても見直すことが必要と考えます。
 現在の貴志川線の施設につきましては、先ほど申し上げましたとおり高いレベルで整備されておりまして、安全確保のためこれを維持していく必要があると考えております。
 なお、貴志川線単体に係る職員の人件費は現在約四億円となっておりまして、現在の運賃水準、運行本数を維持した場合には、仮に人件費を除いたとしてようやく収支が均衡する状況でございます。したがって、より一層のコストの縮減や運賃の値上げ、また利用者の増加等が必要であると考えております。
 次に、地方鉄道の事業に対する国の支援策についてでございます。
 国土交通省に確認しましたところ、現在の補助制度としては中小民鉄が行う安全性向上のための近代化設備の整備費を補助する制度がございますが、国の平成十七年度概算要求にこの補助制度の拡充が盛り込まれておりまして、具体的には駐車場の整備や新駅設置に係る経費等が補助対象として追加されてございます。このため、貴志川線が仮に大手民鉄以外の事業者によって存続運営された場合は、今申し上げました駐車場の整備や新駅設置に係る事業が補助対象となります。なお、運営費補助につきましては対象外とのことでございます。
 次に、県が鉄道事業を支援する内容についてでございますが、現在、和歌山市、貴志川町とともに国、南海電鉄を交えて鉄道存続を第一義として協議を重ねているところでございます。県といたしましては、地元の意向を十分に踏まえながら、地域住民の方々の生活交通確保のためできる限りの協力をすることとしてございます。今後、さらに沿線自治体とも十分協議を進める中で対応を考えてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきます。
 まず和歌山の自立戦略について、知事の御答弁でもありましたように、確かに今の和歌山県の頑張りは評価できるものだと思っています。その上で一層の取り組みを期待します。この和歌山は素材的には本当にたくさんの資源に恵まれた地域だと思っていますので、そこではこれまで非貨幣的な価値とされていたものを実際の経済的な価値に結びつけるような知恵のある行政を展開し、豊かな地域、皆が誇りを持って住み続けられる地域をぜひとも実現していってもらいたいと思います。
 次に、三位一体の改革と財政問題について。
 今回の三位一体改革では、地方は地方でこれまでの反省もしなくてはいけないのだと思っています。例えば、地方交付税の削減の問題をとっても、昨日の議論でもあったように、国の甘い言葉、口車に乗っていろんなことをやってきた中では国に恨み言もありますが、しかし、裏を返せば地方もその国の敷いた路線に乗って甘えてきた現実があるんだと思います。今回の三位一体改革で改めて考えていかなくてはいけないことは、地方は国の方針に従っていればよいと、そういった時代が確実に終わったのであり、これから本当の意味での自立する精神、みずからの目で将来を見通し、みずからの頭で考え行動していかなくてはいけないということだと思います。ぜひ今後とも、外部環境に振り回されることなく主体的に何事も判断できる能力を身につけていけるような和歌山県政というものを木村知事の強いリーダーシップのもとつくっていっていただきたいと思います。
 以上、要望二点ですが、最後に一つ、これは知事の御所見をいただきたいと思います。
 今議会で当局の答弁をお伺いしてくる中では、私の今の御答弁いただいた中でも、地元、地元と、沿線の自治体の地元の努力ということを話としては出てきています。ただ、県としても、和歌山県の地域における交通政策としてやっぱり主体的に取り組んでいくということは必要とされるんじゃないかと。県として、今の段階で鉄道として必ず残すとは約束できないと理解します。しかし、鉄道として残すことが重要な選択肢としてあるのであれば、今こそ最善の努力をしてもらいたいと思います。
 今回の問題は、時間との勝負といった側面があります。どういった枠組みで鉄道事業の存続が可能となるのか、そのフレームをつくることが急がれます。県として何ができるのか、地元自治体として何をすべきか、また地元住民としてどういった協力が可能なのか、その具体的な中身を早く詰めて協力体制を明らかにした上で、公募をするなり一本釣りをするなりして早急に新しい経営主体を探すことが求められます。
 しかし、現在は県、地元市町、そして地域住民と三すくみの状況となっているように私は感じます。それぞれに出方をうかがい、ある面ではそれぞれに責任を押しつけ合っている、そんなことでは事態は打開できないのではないかと心配するところです。他の地域で同じような例を見ても、県の決断が大きな影響を与えています。三重県の近鉄北勢線は昨年四月に三岐鉄道が引き継いでいますが、ここでは当時の県知事であった北川さんの判断が話の流れをつくりました。福井県、長野県などでも、それぞれ京福電鉄、しなの鉄道の存続には県として積極的なかかわりを持っている状況があります。それぞれに事情は異なります。支援するといっても、金額だけの問題じゃなくて、県としてどういう姿勢で臨むかということがこういった事態を打開することには大きな影響力を与える、県の対応は大きく事態を動かすインパクトがあるんだと思います。今こそ木村知事の強いリーダーシップを期待するものです。
 私の今回の質問は、県に何でもしてあげてほしいといったことを決して望むものではありません。しかし、県としてあくまで主導的な役割は強く期待するものです。県が主体的にできること・できないことを早く判断して、ここまではできるがここからはできないといった条件を先に提示して他の関係先にも働きかけてもらいたいと思います。
 最後にもう一度、知事に、できれば年内を一つの区切りとして鉄道事業への協力体制を明確にするといったことなど、県として主導的役割を果たす決意を改めてお伺いできればと思います。
 以上、要望二点、知事への質問を一点として私の第二問を終わらせていただきたいと思います。
○議長(小川 武君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 鉄道の存続の問題については、非常に難しい問題と思います。よその地域が存続を判断したときと財政状況も違いますし、今まで和歌山県にもいろんな鉄道があったのを廃止してきた前例もあります。そういうふうなことも、いろんなことを考えながら県も最大限の対応をしているわけですけども。
 そういうふうな中で、やはり僕は、先ほど部長も答えましたけども、どういうふうな仕組みだったら存続の可能性があるのか、例えば一億円上納金みたいなのがあるとか、社員の年齢が四十六歳か何かで人件費が非常に高いと、こういうふうなことはかっちりやっぱり詰めてみて、そしてまた本当の意味の維持管理にどれぐらいのことが要るのか、そういうふうな基礎的な数字を見た上で、さらには収入としてあとどれぐらい上げたらやっていけるのかというふうなこと、こういうふうなことの検討ということは十分やっていく必要があるというふうに思っています。
 それは、この三つのところが一緒になってやっていかないといかんし、国の方も、応援している、応援していると言いながら赤字の補てんは全然しないというふうな補助制度だったら、これははっきり言って何の役にも立ちませんので、そのあたりも踏まえて物事を考えていかなければならないというふうなことです。
○議長(小川 武君) 所定の時間が参りましたので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十九番小原 泰君。
  〔小原 泰君、登壇〕(拍手)
○小原 泰君 議長のお許しをいただきました。一般質問も私が最後となり、今定例会のトリを務めるよう御配慮いただきました先輩方に感謝申し上げ、通告に従いまして質問に入らせていただきます。
 知事、二期目の当選おめでとうございます。知事は、先般の選挙に際し、「私の政策宣言」いわゆるマニフェストの選挙戦に臨まれました。その中の県政の三つの理念の中に「県民主役の県政」があります。「県民の想いをかなえる、県民が主役の県政を実現する」というものです。また、今定例会の冒頭の知事就任あいさつでは、「今回の選挙で県内をほぼ二巡し、それぞれの地域で多くの県民と対話を重ねてきた。その中で、県民と県政の間の距離や厳しい意見もあることを改めて肌で感じた。そこで、県政をより身近に感じていただくために、普通の人の感覚で、県民のニーズに合致した県民の思いをかなえる県政を進めていくことが不可欠であると痛感した」と選挙期間中感じたことを述べ、「地域で頑張っている人を中心に地方が元気にならないと元気を取り戻すことはないという思いを強くした」と言われておりました。
 私は知事に、「一隅を照らす」という言葉を胸に秘め、二期目の県政に臨んでいただきたいと思います。この言葉は、知事と同じ旧自治省の出身であり、多くの県民に親しまれ、いまだにその名を語り継がれる本県を代表する名知事の一人であった故大橋正雄氏が座右の銘として好んだ言葉であります。比叡山に天台宗を開いた最澄の言葉であります。
 この言葉には、自分自身が置かれたその場所、立場で精いっぱい努力し、明るく光り輝くことのできる人こそ何物にもかえがたい国の宝であるという意味で、自分のためばかりでなく、人の幸せを求め、人の心の痛みがわかる人、人の喜びが素直に喜べる人、人に対して優しい思いやりが持てる心豊かな人こそが国の宝であるといった意味が含まれています。
 私にとって、「一隅を照らす」という言葉には二つの思いがあります。一つは、片隅にあっても光り輝く存在であるということ。和歌山という全国の中でも小さな県でありながら常に光り輝く県でありたい、また知事には県のトップとして光り輝く知事であっていただきたい、そういう思いであります。
 もう一つは、片隅にも政治の光をということであります。今、県内の町村は合併問題で悩み苦しんでいます。合併がうまく進んでいる町村においても、将来的に中心部だけが栄え、片隅の地域というのは経済的にも政治的にも取り残されるのではないかという不安がいっぱいであります。また、合併がうまく進んでいない町村においてはより以上の不安と苦しみを抱えながら、財政状況厳しい中、小さな行政の運営に当たっていかなければなりません。そういった片隅の地域に対しても県として政治的、財政的に暖かい光を当てていただきたい、そういう思いであります。効率性や効果性だけを言うのではなく、片隅にあっても和歌山県土であり、和歌山県民が住んでいるんだという認識を持って、片隅の地域にも政治の光をお願いするところであります。
 「一隅を照らす」、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 続いて、教育関係についてお尋ねいたします。
 今定例会は、八月二十六日に発表された県立高等学校再編整備について多くの方が質問を行いました。その中で私は、古座高校と串本高校の統合に絞ってお聞きしたいと思います。
 古座高校は、創立八十七年の歴史と伝統があり、各界各層で活躍する幾多の人材を輩出し、当地域の教育ニーズにこたえるとともに大きな成果を積み重ねてきました。また、近年においては連携型中高一貫教育や単位制の導入など、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開するとともに、不登校や中途退学をなくすきめ細やかな指導を行うなど、地域からも信頼されている学校であることは地域のだれもが認めるところであります。
 しかしながら、県立高等学校再編整備案では、古座高校は平成十九年度から串本高校に統合されることになります。これに驚いた地元では、古座高校育友会と同窓会を中心に地域と連携する中で九月七日に決起集会を開催し、古座高校を存続させる会を結成させ、存続に向け立ち上がりました。本日は、その会の方々が、古座高校の存続を求める二万人以上の署名を携えて傍聴にお見えでございます。
 再編整備計画案の内容は、十九年度に古座高校としての募集を停止し、在校生は串本高校へ移ることとなっています。その結果、十七年、十八年度に入学する生徒は、一・二年生のときは古座高校で学び、二・三年生時は串本高校へ通うことになります。また、統合後の学校の枠組みにはこれまで古座高校が行ってきた中高一貫教育や単位制のシステムは組み込まれていません。これでは、中高一貫教育の中で古座高校に入学した生徒はどうなるのでしょうか。また、入学を目指していた中学生はどうなるのでしょうか。このような状況では、残された平成十七年、十八年度の二年間は学習意欲や目的意識のある生徒が入学を希望せず、実質的には来年度からの入学希望者はなくなると思います。そして、十八年度の古座高校は三年生だけの学校となるのではないかと懸念するところであります。
 古座高校の廃校は、古座川地域の生徒にとっては遠距離通学や下宿生活を強いられ、生徒への負担がふえることばかりでなく、保護者にとっても通学費等の教育費がかさむこととなり、山村地域での生活を圧迫することとなります。また、高校の廃校は、教育面ばかりでなく、あらゆる面において古座・古座川地域に大きな影響を与えることは必至であります。
 本年三月二十六日、第四期きのくに教育協議会により報告された「和歌山県立高等学校における今後の教育改革の在り方について」の中に「県立高等学校の再編整備にあたっての考え方」の項目があります。そこには、「小規模校であっても、生徒や地域のニーズに対応した学校づくりができると判断される場合は、別途検討を行うものとする。 なお、生徒減に伴う再編整備とは別に、各校が培ってきた伝統や教育力、設置学科の特徴を十分に生かしながら、総合学科や中高一貫教育等の導入によって、学校の特色化を図っていくことができる場合には、教育の質的向上という観点から、検討を行うことが望ましい」と書かれています。
 この報告を踏まえてのことと思いますが、県教育委員会では九月八日に、大成高校美里分校、有田中央高校清水分校、日高高校中津分校、南部高校龍神分校の四つの分校において、例年の定員割れを補充する形で生徒を全国募集すると発表いたしました。私は、前の質問で知事に「片隅の地域にも政治の光を」とお願いしたとおり、過疎・山村地域に住む議員として、古座高校の存続を望む一人として教育長にお尋ねいたします。
 古座・古座川地域の大自然の中にある古座高校を地域の特色を生かした三十人の学級編成による中等教育学校にし、県外枠を導入するなど、全国に先駆けた教育モデル校に再構築してでも存続させるべきであると考えますが、教育長の御見解をお伺いいたします。
 次に、小規模校での義務教育の充実についてであります。
 和歌山県には、多くの小規模な小中学校があります。私も、小中学校時代を本宮町の小さな学校で過ごしました。今は過疎化、高齢化とともに少子化も進み、児童数、生徒数も減少を続けており、先生の数も減っています。私の中学校時代でも、小規模な学校であるがゆえに、幾つかの科目では専門の教科の先生がいなくて別の教科の先生に教えてもらったことを記憶しています。英語の専門の先生がいなくて別の教科の先生だったり、特に美術、音楽などの副教科についてはほとんどが別の教科の先生に教わったように記憶しています。
 現在のように生徒数、学級数が減り、先生が減った小規模校なら、私の中学時代よりさらに専門の教科以外の先生に教わることが多くなっているのではないかと思いますが、どうでしょうか。専門の教科の先生が教えてくれる授業と、そうでない先生の授業とではかなりの差が出るのではないでしょうか。一概に専門の先生かどうかではなく先生個々の資質によるところが多いのかもしれませんが、専門以外の先生の授業は単調でおもしろくない、興味がわかない、授業がわからないなどといった現役中学生の声を耳にしたことがあります。
 また、中学校で専門の先生がそろっていない小規模校で教育を受ける子供たちの保護者は、専門の先生がそろった学校で教育を受ける子供たちに比べ教育条件で不利な状況となっているのではないかと常に不安を感じています。もちろん、学校の規模だけで教育条件のすべてを言うわけではありません。比較的小規模校の多い熊野地域は、七月には世界遺産に登録され、世界に誇れる地域になりました。ふるさとを誇りにできることがまた一つふえたと大変な喜びでありますし、このふるさとに育つ子供たちは幸せであると思います。
 しかし、保護者や地域にとっては、自然環境には恵まれていても、小規模校での教育に対する不安や新しい教育情報、文化に触れる機会の少なさなど、地理的に不利な条件の中で子供たちの個性や能力が十分に育っていくのか不安に感じていることも事実であります。今、教育は地方分権や規制緩和の流れの中で地方の特色を生かした教育の推進が求められていますが、私は国を支える子供たちの教育の基礎を築く義務教育の充実は最も重要であると考えます。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 専門の先生がそろっていない小規模校の子供たちに専門の先生がそろった学校の子供たちと同等の義務教育を受けさせたいと考えることから、可能な限り専門の先生の授業が受けられるよう、学校の枠にとらわれず、ある一定の地域において専門の先生が授業を受け持つような仕組みができないものかと考えますが、小規模校における義務教育の充実について見解をお聞かせください。
 次は、県下一斉学力診断テストであります。
 先日、九月十二日の新聞記事に、河村文部科学大臣が義務教育のあり方を大きく転換する改革案「河村プラン」が掲載されていました。その柱の一つに義務教育九年間の到達目標の明確化を掲げ、この実現のため、教える基準とされてきた学習指導要領を子供の学習の到達目標へと変える方向が示されています。私も、義務教育の到達目標を設定し、それに到達しているか否かを子供や保護者に対して説明する必要があると考えます。
 教える基準から到達目標になることで責任ある教育が必要となり、安易に専門教科以外の先生による授業ができなくなるのではないでしょうか。また、子供一人一人の学力の定着状況を示しておけば、小規模校などでの教育の格差に対する保護者の不安は少しは解消できるのではないでしょうか。そういう意味から考えますと、昨年十一月に本県教育委員会が県下一斉に約六万三千人の児童生徒を対象にして実施した学力診断テストはまことに的を射た施策であり、基礎・基本の定着状況を継続的に見る上においても重要であると考えます。
 改めて、教育長に質問いたします。
 学力診断テストの結果では八地方における学力の差異は見られなかったと言われますが、小規模校と大規模校での差異は見られなかったのでしょうか。また、その結果を分析し、各学校ではどのような学力向上の取り組みがなされているのでしょうか。取り組みがなされているとすれば、その改善結果がわかるようにするには継続した学力診断テストの実施が必要であると考えますが、御見解をお聞かせください。
 次に、熊野地域の世界遺産登録を契機とした南紀白浜空港の利用促進についてお尋ねいたします。
 今回、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産として登録されましたことは、まことに喜ばしいことであります。この登録は、人類共通の財産を後世に伝えていく義務を負うとともに、できるだけ多くの人々にできるだけ長くこの豊かな自然や歴史を体感していただくことができるような仕組みをつくっていくことが行政を含めた私たちの使命として課せられたものだと感じているところであります。
 こうした観点から高野・熊野地域を見てみますと、世界遺産登録の効果は絶大であり、登録後、多くのテレビや新聞などで取り上げられた結果、本年七月、八月の二カ月間の高野町、九度山町、本宮町、中辺路町、那智勝浦町の世界遺産関連五町への観光入り込み客は、宿泊客、日帰り客を含めて百一万人に上り、昨年の八十万人に比べて二十一万人も増加しております。平安時代末期以降、多くの人々が熊野もうでという聖地巡礼に取りつかれたように、現代人が全国から新たないやしを求めて今後ますます熊野古道を初めとする熊野地域を訪れることが予想されます。
 かつての熊野もうででは京都から往復約一カ月もの日数がかかったと言われておりますが、交通手段が発達した今日、道路や交通機関を整備することにより、できるだけ短時間で来ていただき、一時間でも長く熊野地域の歴史や豊かな自然を味わって帰っていただけるようにすることが必要であります。このことが、世界遺産登録を一過性のブームで終わらせず、リピーターの確保につながっていくものと考えます。
 熊野地域への交通手段としては鉄道や船、航空機などありますが、所要時間からすれば航空機の優位性は明らかであります。例えば、東京から白浜までは、新幹線などを利用すると約五時間余りかかりますが、飛行機を利用すれば一時間で着くことができます。南紀白浜空港の果たす役割は今まで以上に重要になってくるものと考えられます。観光を初め地元振興を図るためには、豊富な路線や便利なダイヤを持つ利便性の高い空港が必要であると考えます。
 しかし、現在の南紀白浜空港の状況を見てみますと、一日二、三便の東京便しか就航しておらず、しかも昨年度の搭乗率が五四・五%、今年度七月までの搭乗率が五一・四%と、決して高いものとは言えない状況であります。
 そこで、これまでの首都圏からの白浜空港の利用促進策としてどのような対策をとられてきたのか、また世界遺産登録を契機として今後どのようにして利用促進を図っていくものか、県土整備部長にお伺いいたします。
 また、国内外からの集客を考えれば、東京以外の地域からの豊富な就航も必要であると考えます。福岡、札幌などの国内はもちろんのこと、国外からの就航も含め航空会社に働きかけてはいかがでしょうか。あわせてお尋ねいたします。
 次に、時間的に早く着けるだけでなく、できるだけ安く訪れることができるようにすることも必要であります。旅行代理店の話によりますと、今後は観光の広域化、多様化が進み、熊野地域と高野地域とのパッケージツアーの需要がふえるであろうとのことであります。そうなると、南紀白浜空港を利用して和歌山に入り、熊野地域から高野山を観光し、関西国際空港を利用して帰る観光客、またその逆のルートというのも考えられます。通常、往復運賃割引というのは同一空港間での適用が原則でありますから、南紀白浜空港から入り、関西国際空港から帰れば往復運賃割引の適用はありません。しかし、両空港を利用した場合でも往復運賃割引が適用されれば、首都圏からの誘客を図る意味でも大変なアドバンテージになると思います。
 石川県には能登空港と小松空港という二つの空港があります。本年二月、大沢委員長のもと半島振興過疎対策特別委員会で石川県を訪れたとき、この二つの空港を利用した場合でも往復割引が適用される「能登ワイドリピート二」という制度があることを勉強し、空港の利便性を図ることに努めているという説明を受けました。このような制度を南紀白浜空港と関西国際空港にも適用することによって、航空運賃が安くなり、利便性が図られ、南紀白浜空港の活性化につながるのではないでしょうか。県民の目線に立った行政の推進を日ごろから言われている知事にとって、こういったことこそがまさに利用する者の立場に立った行政の推進であり、すぐにでも検討を始められることと思いますが、県土整備部長の見解をお聞かせ願います。
 最後に、今まで申し上げましたように、世界遺産登録によるインパクトを最大限に活用し、地域振興を図っていくためには、南紀白浜空港と関西国際空港の両空港の連携を密にし、利用促進を図っていくことが重要であると考えます。しかし、県におけるそれぞれの空港の担当窓口は今、県土整備部と企画部とに分かれています。今後は担当窓口を一元化し、航空行政を進めていく必要があるのではないでしょうか。これは私の要望であり、特に答弁を求めませんが、組織の見直しを検討される際にはぜひ御検討いただければと思います。
 以上で、一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの小原泰君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま「一隅を照らす」という言葉がありましたけども、いろいろな意味があるんだろうと思うんですが、私のこの言葉の理解としては、目立たないけれども、社会にとって非常に大事なところのことを一生懸命やってる人を大事にしていくということが国の基であるというふうなことだろうと、ずっと理解をしてまいりました。
 そういうことから言えば、今、日本の国、みんなが東京とかそういうふうな都市へ行って住むような形になってきた中で、地方にとどまって、そしてその地域の伝統を守り、そして文化を守っている人たち、大変困難はあるけども守っている人たち、そしてまた、そういうところへIターンであるとかUターンで帰ってきて新天地を求めようとする人たち、こういう人たちがある意味では僕は一隅を照らす人ではないかというふうにも思うわけで、この言葉は今風に言えばひとつ地方分権の理念にも通じることではないかというふうなことも思うわけでございます。
 そういうふうな中で、今いろいろなことの中でそういう人たちの住む町村が非常に厳しい状況の中に置かれていると。県としては、こういう町村を指導するというふうな立場ではなく、やっぱり一緒になって悩み苦しむという立場に立ってやっていかなければならないというふうなことを思っておりますので、私は──本当はすぐにやらないといかんのかもしれませんけども、今、この三位一体の改革であるとか、いろんなことの中で弱小の市町村というふうなものが波間に翻弄されている。今まで以上にそういうことでは心の支えを必要とするような──お金の支えはなかなか出せないわけだけども──時期になってきているというふうなことを思いますので、県の組織でも、地方課そしてまたその後身としての市町村課が今あるわけですけども、こういうふうなところの役割を改めて見直し、そしてまた振興局の中の町村との相談ということの役割も改めて見直して、こういうところを充実していって、一隅を照らしている町村が苦しまないように、またそこで住んでいる一隅を照らしている人たちが大変悩んだりしないようなことをできるだけ心がけていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 南紀白浜空港の利用促進につきましては、これまで県及び地元関係者で組織する南紀白浜空港利用促進実行委員会を中心として首都圏での各種イベント等を利用したPR活動に取り組んでまいりました。これらの活動に加え、今般の世界遺産登録を契機とし、ほんまもん体験等の体験型観光や熊野古道などを組み合わせた修学旅行の誘致を行うとともに、わかやま喜集館や航空機内用雑誌、ビデオを活用し、豊かな自然、歴史など本県の魅力について情報発信を積極的に行い、新たな空港利用客の発掘に努めてまいります。
 また、東京便以外の新規路線開拓につきましても、今後、国内外からの来訪者の増加が考えられることから、旅客需要を見きわめながら関係機関に働きかけてまいりたいと考えており、今後とも関係者が一体となって地理的優位性のある南紀白浜空港の特徴を十二分に発揮できるよう、その利用促進に向けて総合的に取り組んでまいります。
 次に、関西国際空港との連携につきましては、旅行代理店に対しまして南紀白浜空港と関西国際空港利用のパック商品の企画開発を働きかけているところであります。議員御提案の両空港を利用した往復割引運賃を初めとするより安価な運賃の適用につきましても、航空会社等関係機関に強く働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題、三点についてお答えいたします。
 最初に、県立古座高校と串本高校の統合案についてお答えします。
 古座高校は、議員御指摘のとおり、連携型中高一貫教育や単位制の取り組みを行い、特色ある教育実践を展開してまいりました。しかしながら、東牟婁地方の現在の生徒数は、約千五百人いた昭和五十年のピーク時の半数以下となり、古座・串本両校ではこのところ入学者が募集定員に満たない状況が続いております。
 このたびの統合案は、当地方の生徒が学習や部活動等において互いに切磋琢磨する中でみずからを高められるような教育環境の整備、生徒の興味、関心に応じた多様な教育内容を盛り込み、活力ある高校教育を展開していくために作成したものであります。
 現在、パブリックコメントを実施しているところであり、寄せられた御意見や関係の皆様方との協議を深める中で最終的な案を取りまとめていく予定としております。両校に関しても、それぞれの学校で培ってきた特色や連携型中高一貫教育等の実績あるいは伝統を生かしつつ、生徒にとって魅力のある学校になるよう留意してまいりたいと思っております。
 次に、義務教育における小規模校の教育の充実についてお答えいたします。
 議員のお話のように、和歌山県には小規模校が多く、特に中学校の場合、全校で三学級以下の学校が県内の中学校総数の中の約三分の一を占めております。学級数に基づいて教員を配置することから、教科によっては専門の教員が授業を担当できない状況にあり、こうした中学校の一部には非常勤講師を配置したり、近隣の学校の教員が他の学校と兼務をして授業を行っております。また、地理的な条件を克服するためコンピューターを活用し、遠隔地の学校間を結んだ授業や小規模校の特性を生かした指導を行っているところであり、今後さらにこれらの取り組みを充実させてまいります。
 最後に、昨年行いました学力診断テストの結果については、地方別に大きな差異は認められず、さらに小規模校においてもきめ細かな指導の成果が上がっていると判断できる結果が出ております。各学校ではこのテスト結果を分析し、指導方法の改善や教材の工夫などを行って課題の解決に向けた取り組みをそれぞれ独自に進めております。
 本年度も学力の定着状況や改善の成果を継続して把握するために、十月七日に第二回目の学力診断テストを実施いたします。そのうち小学校の五年生と中学校の二年生は岩手県、宮城県、福岡県と共通の問題を使用して行うことによって、より客観的に学習状況を把握し、学力の向上を目指した取り組みを進めてまいりたいと思っております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十九番小原 泰君。
○小原 泰君 「一隅を照らす」、知事のハートの中にいつまでも残る言葉であることを願うところであります。
 高校の再編の問題につきましては、二十四日の文教委員会において細かな論議がされるものと思いますが、これまでに寄せられました県民の声、地域住民の声が十分反映されますことを強く希望し、質問を終わります。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小原泰君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件のうち、議案第百二十号平成十五年度和歌山県歳入歳出決算の認定について及び議案第百二十一号平成十五年度和歌山県公営企業決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 次に日程第四、請願付託の件について御報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。九月二十四日及び二十七日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 御異議なしと認めます。よって、九月二十四日及び二十七日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、九月二十八日定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十二分散会

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