平成16年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(坂本 登議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十二番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさしていただきます。
 まず初めに、県立大学の活用による地域振興策について。
 バブル崩壊以降、我が国の長きにわたる不景気からようやく脱却し、好景気への期待感が高まっているこのごろであります。しかし、これとて石油価格の高騰や中国に偏った輸出依存にも陰りが見え隠れする状況から、このまま一本調子であらゆる産業が回復基調で安定したものにはならないとする観測が既に一部に出されるようになりました。こうした中、地方経済、とりわけ本県の中小企業を中心とした地域経済の景気は依然として沈下したままであります。いわば、不況という一時的な現象ではなく、現状のままで推移しますと本県の経済は永久に取り残された状態が続くのではないかとも危惧され、将来に向け大いに憂慮すべき状況に私たちは立たされていると言っても過言ではありません。
 県行政においてもあらゆる角度から経済浮揚策が打ち出されており、IT産業の育成、観光政策、緑の雇用事業等々、積極的かつ先駆的な地域振興策としての努力は評価しつつ、独創的で即効性や持続性を確証するにはしばらく時間が要するのではないでしょうか。
 また、三位一体の改革路線が鮮明となり、国並びに県財政による従来型の景気対策では公共事業の積極出動にも陰りとリスクが伴います。このことから、我々は将来を見据え、今、和歌山県の経済再生の活路をどこに据えるのか、県民の雇用の安定と税収の源、いわば生きる糧をどの産業に絞るべきかを問う必要があります。
 観光立県、先端企業立地等も当然考えられますが、今回は本県の特産品、特に農産物に対しては高い次元での付加価値をつけ、ブランド力をさらに強固なものにするため、その組織づくりと協力体制の必要性に焦点を当てて当局に質問をいたします。
 早くから、我々の先輩たちが汗をかき、苦労を惜しまず育ててきた梅、ミカン、カキ、桃等が本県の特産品として挙げられます。品種改良や販路拡大に努力し、ようやく世に認められた本県の大きな財産であります。それぞれの地域の基幹産業でもあるこれらの農産物を息の長い超ブランド商品に仕立て上げること、そして商圏の拡大を図ることによる県全体の雇用の安定と経済の活性化に寄与できる環境づくりが今最も求められているのではないでしょうか。そのためには、食品として人々の健康志向のニーズにこたえるとともに、さらに高レベルでの安全性も付加価値として追求しなければなりません。また、欠かすことのできない食品として多くの消費者に満足していただけるものにすべきであります。また、現状では付加価値化の研究成果が特産品に確実につながっておらず、健康食品としての効能もさほど知られ渡っていないのが実態ではないでしょうか。ややもすると付加価値化に到達できないまま忘れ去られてしまう可能性すらあります。
 このことから、梅、カキ、ミカンといったいわば既にブランド化された本県の特産品に科学的見地や医学の領域で研究を深め、健康志向食品としての優位性を立証し、国内外に情報発信する必要性を当局において具体的な施策として取り上げていただきたいと考えます。特に、医学的見地からの有為性を付加価値として特産品をステップアップさせることからまず取り組むべきであると考えます。
 具体策を述べますと、本県唯一の県立大学である和歌山県立医科大学の高等教育機関の知的財産や機能と本県特産品がリンクすることで健康食品としての科学的立証を一気に図れることになります。また、情報発信のインパクトははかり知れないものがあり、これらのことを低迷する県経済の活性化の起爆剤にすべきと考えます。
 また、この大学に拠点を置き、産学官政の連携をとることであります。あらゆる垣根を払い、産業界、研究機関、自治体、そして議会が目的を一にして、研究成果を得た上で果敢に情報発信してはどうかと考えます。
 また、拠点となるべき県立医科大学は、我々県民の手で育ててきた地域医療のかなめであることは申し上げるまでもありません。しかし、地方分権時代の新しい構想から地域と直に向かい合う大学、そして地域、住民の期待にこたえる大学を目指すならば、この医科大学への拠点づくりはまことに時宜を得たものと考えます。
 また、財政逼迫の昨今にあって、現有の特産品に既設の高等教育機関の有効活用は費用対効果の面で申し分のない組み合わせではないでしょうか。特に、連携をとる上で中心となる県立医科大学での役割は重要であります。機能解析から成果の公表まで一貫した流れの中で他の県立研究機関との連携を図っていくことになります。そして、経済波及に至る連動した取り組みや情報発信の拠点に据えるべきと考えます。この大学の活用は必ずや大きなメリットがあると確信をしております。
 幸いにも、昨年の十二月には知事の要請による県立医科大学のあり方懇談会の答申には、「県民のための大学として一層の社会貢献を果たすためにはどうあるべきか」、また「本県唯一の医科大学及び中核的医療機関としての使命はどうあるべきか」で始まり、議論の中心は「変化する時代の要請と地域、住民の期待にこたえるものでなければならない」とした上で、「地域の知的な中心とならねばならぬ大学として県民の皆さんに関心を持ってほしい」と結んでおります。
 自身、あれこれ思いをはせていますと、どうしてもここで静岡のおいしいお茶のことを引き合いに出さずにはおられません。
 千年を超える歴史を持つお茶にあって今日に至るお茶の繁栄を見るとき、決して品質が進化したからではありません。ただ、生産農家や加工業者のおいしいお茶をつくるための努力に加え、大学と地方自治体が一体となってのブランド確立のための共同研究の成果であります。そして、現在のお茶ブームは機能性の解明と情報発信によりブランドの確立と価値の高い向上を図ったからなし得たものであります。すなわち、情報が商品の価値を高めたのであります。つとに知られた事実として、静岡県立大学を中心とした高等教育機関の協力と静岡県議会のすぐれた指導力を発揮したことが大きな力になったことが挙げられます。このことは、私が最も注目した点であります。本県においても一日も早くこうした体制を構築してほしいと願わずにはおられません。
 ちなみに、現在のお茶は実にドリンク業界の三〇%のシェアを誇っている状況にあります。うらやましい限りであります。
 さて、その静岡県にまさるとも劣らない我が和歌山県の特産品であります。殺菌効果があると言われる梅、がんの抑制作用の価値が研究されている梅やミカン、風邪に効能があると言われるカキなど、それぞれの含有している成分の解析が今後医科大学の研究チームによって飛躍的に進み、日常予防的に摂取する健康補助食品、いわゆるサプリメントとしての付加価値化がイメージづくり等の商品企画力と相まって、科学的情報や他産地との差別化で高付加価値商品としてブランド化され、果敢に情報発信できるものと確信をしております。
 なお、流通に視点を当ててみますと、我が国においては小売業の王様は今やコンビニであります。日本国どこにでもある、そして二十四時間いつでも手軽に消費者に接し、商品とサービスを提供する店舗なら当然のことであります。今後もあらゆるサービスを通じて国民生活になくてはならない流通のトップとして、またサービスセンターとして地域に君臨し、ますます発展を遂げていくのではないでしょうか。ここにターゲットがあり、ここに我々は斬新な商品企画力と付加価値の高い豊富な品ぞろえで本県特産品が棚を埋め尽くすことを期待せずにはおられません。
 財政状況も極めて厳しい時代でありますが、自立を目指した地方にふさわしい先行投資や集中投資は地域振興策には必ずや必要であります。このプロジェクトの中核となるべき独立行政法人化を控えた和歌山県立医科大学に対して、研究所の新設を初めとしてあらゆる措置を講じていただきたいことを切望いたします。知事の英断に期待を申し上げ、見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、教育長に教育理念とりわけ本県教育への思いとその施策について伺います。
 私は、県議五年の間、この議会に席を置き、教育長の教育施策等について伺ってきました。最初は耳新しく、すばらしいもののように受けとめてきましたが、最近の現場の校長や先生方の話を聞くにつけ、教育長の行っている施策は一体何なのか、ただの思いつきか、生徒や教職員の実態を知って実施しているのか、他府県が実施しているからというだけなのか。その後のフォローもなく、中身の伴わない、しかも心のない権力的な教育行政のように思えてなりません。このままでは和歌山県の教育はどのようになっていくのか、心配であります。
 まずその一つは、学校評議員制度であります。
 教育委員会の要綱では、特色ある教育活動を展開するため、学校運営の基本方針や重要な活動を行うため、保護者や地域住民、学識経験者等の中から十名以内で校長の推薦により県教委が委嘱し、平成十二年から施行しています。当時、この委員設置についてはマスコミにも大きく取り上げられました。なるほど、その趣旨などについては理解ができ、その成果を期待していましたが、しかし、その後の幾つかの学校の校長や現場の先生方に聞いてきました。とりわけ大成高校、すさみ分校、古座高校等の募集停止の発表もあって、今回再度確認をしましたが、彼らの答えは、ただつくっただけで、県教委の指導もなく、何一つ機能もしておらず形骸化しており、何のための委員なのかといった答えばかりでありました。「校長や先生方に意見を言っては」と問いましたが、彼らは「県教委は何を考え、何のためにこのような委員制を押しつけてきたのかその意味もわからないのに、このまま黙っている方がよい」との答えでありました。県教委の考え方、その意味の周知徹底もない中で学校もやる意思がなく、形骸化しているとのことであります。この学校現場の声に対して教育長はどのように受けとめていますか。形骸化はしていない、学校評議員制は機能していると言えますか。数年経過したこの学校評議員の活動状況について、その現状と課題を具体的に答弁を願います。
 次に、禁煙について伺います。
 喫煙は、私たちの体に百害あっても一利なしとまで言われています。私はたばこを吸っていませんが、しかし愛煙家にとってはいっときのくつろぎにたばこは唯一の楽しみであるとも言います。愛煙家に言わせれば、嗜好品とは酒、たばこ、コーヒー等であり、酒はやめてもたばこだけは吸いたいという人もおります。医者の中にも多くの愛煙家がいます。このような中で県教委は学校のノースモーキングエリアとして子供たちの喫煙に対する毅然とした姿勢を示し、その運動を展開していることは評価をいたします。しかし、同じ嗜好品でもコーヒーは学校の職員室で自由に飲め、たばこは他人の健康上、生徒指導上に問題があるということで学校の敷地内から完全に締め出してしまいました。これによる問題が起こっております。
 県庁及び県教委の中にも喫煙場所が指定されております。職員はお互いに自覚して、この喫煙室でたばこを吸っています。しかし、学校現場ではその場所が与えられていないのであります。先生方は、生徒指導上の問題もあり、できるだけ喫煙しないように心がけておりますが、しかし休憩時間にもたばこを吸うことができずにいると言っています。その結果、今、学校の先生方はどうしているか、教育長、知っていますか。休憩時間中に自分の車の中へ入って喫煙する人、学校の校門の周辺でたむろして喫煙している先生の姿を多くの生徒、地域住民が見ているのであります。もちろん、私も見ております。本来、校門周辺等で徘回している生徒たちを指導しなければならない先生方が、県教委の有無を言わせない学校敷地内完全禁煙、その場所を与えない余りにも厳しい指導が逆効果となり、先生方が生徒と同程度の行動をとっているのであります。
 職場においても、労働者には休憩時間があります。その時間帯は、労働者は肉体的、精神的な安らぎの場、憩いの時間であります。愛煙家の憩いの時間はたばこを吸う時間でもあると言います。教育長は酒が好きで、飲酒したときの姿も聞いております。これも嗜好品です。学校はノースモーキングエリアだから喫煙を完全に否定してしまいますか。一方的に教育長の考え方を押しつけますか。それとも、せめて喫煙場所を与えるという考え方にはなりませんか。ぜひ学校現場の実態を見て柔軟な考え方、喫煙場所を設ける方法も考えてはどうかと所見を伺います。
 次に、県立高校の募集停止計画について伺います。
 県教委は、八月二十六日付で出した高校再編整備計画案では、平成二十五年には現在より四十六学級の減少になるため、将来を見据え、魅力ある学校づくりを進めるため、平成十七年度から募集停止をするとの案を出しました。この案では、平成十七年度には大成高校の募集停止を行うことになります。中学校卒業生徒数の推移を見ると、生徒数の激減により四十六学級減も理解できますし、募集停止をせざるを得ないことも理解をできます。しかし、県教委のその募集停止のやり方、通知の仕方について大変な問題があります。
 十七年度募集停止の大成高校は、平成十二年に教育長がみずからの手で単位制を導入し、生徒が生き生きと学んでいると自画自賛した学校であります。その大成高校で、ことしの八月二十三日に、中学校三年生、十一校九十四名を対象に体験入学を実施しています。この体験入学に参加した九十四名の生徒たちは大成高校を希望している生徒たちであります。ちなみに、大成高校の定員は百二十名と聞いています。この生徒たちに体験入学をさせ、希望を持たせた後、三日後に県教委は一方的に募集停止の通知をしたのであります。
 八月二十三日に体験入学した一中学生が大成高校へ行きたいという作文を書いたが、三日後に県教委の募集停止が発表され、この生徒は担任の先生のもとへ行って「大成高校が募集停止になって、僕、行くとこがない」と泣いたという話も聞いております。
 学校には長いすばらしい歴史があり、また校長、教職員、父母、同窓会、地元県会議員、関係市町村並びに教育委員会、さらには関係中学校、そして先ほど質問した学校評議員もいます。これらの関係者には全くの事前の協議もなく、抜き打ち的な発表であります。
 私の手元にある資料では、海草地方は前年度比八十七名の減少となっています。この数は海南市や下津町なども入っていることと思います。このデータだけでは一方的な募集停止にはなりません。
 教育長、あなたが平成十二年につくった単位制の大成高校は魅力のない学校だったのですか。あなたが単位制を導入した大成高校の学区は、海草地方だけではなく全県一区の学校と聞いています。海草地方の生徒減少だけでは募集停止にする理由にはならないのであります。魅力のある学校づくりを目指すと言ったこの再編計画案から見れば、教育長みずからがつくった単位制の大成高校は魅力のない学校と受けとめてもよろしいか、伺います。
 また、南紀高校周参見分校は、確かに生徒数は減少しています。しかしこの分校は、地理的環境などから県教委があえて存続させてきた分校であると聞いております。しかし、この分校においても、ことしの五月二日、五十周年式典行事を行い、この行事にあわせて特別棟の改築のため、本校や周参見振興会からの補助、分校独自の予算等、合計約五百万円ほど計上し、しかも同窓会員十名ばかりのボランティアで分校への道路改修を行ったと聞いています。式典当日、募集停止計画を知りながら、県教委の祝辞では「分校のますますの発展を期待しています」と言っています。校長初め同町長、同窓会など関係者は何も知らず、改修費の調達のため、また道路改修に汗を流しているのを横目に見て、このようなあいさつをして八月二十六日付で募集停止の通知をしたのであります。
 また古座高校では、教育長の手で四年前に中高一貫教育をスタートさせ、単位制を導入したばかりであります。この古座高校も、関係者だれ一人に協議することなく、一方的な通知であります。
 教育長、あなたのつくった中高一貫教育、単位制はすべて魅力のない学校と自分で否定してしまっています。
 私は、梅の栽培加工業、土木建築業をしています。しかし、私たち梅農家や建築業を営む者ですら、組合や業者間にはお互いの信義、一定のルールで物事を処理しております。このような裏切り行為、人をだますような行為はいたしません。このような行為を戒める教育をする教育界のトップの教育長がみずから子供や父母の希望を裏切り、県民、地域住民をだますような行為、背信行為を平気で行うのですか。思いやりの心、人の心を大切にし、人を大事にする教育こそ和歌山県の教育の誇りであると、私が高等学校PTA会長のときから県教委から聞かされ、私もそう信じてまいりました。今回の一方的、権力的な募集停止の通知には、到底納得できません。現在の県教委の姿勢には教育行政を進める資格があるのですか。まことに遺憾なことであります。教育長の答弁を伺います。
 次に、県立学校長や市町村教育長、教育委員会との関係について伺います。
 教育委員会の出した平成十六年八月二十七日付、管理職候補者選考検査の実施についての通知は、本年度から教頭候補者の選考について、一、校長の推薦した者が一名と、二、自己推薦──これは人数に制限を設けないとなっています。この自己推薦について、各校長はこのことを職員会議で紹介したそうであります。これを聞いた先生方は一笑に付し、何のための校長なのか、自己推薦には人数に制限がないのだから全員が自己推薦をしよう、そうしたら県教委はどうするのかといった声が出ております。自己推薦の自己評価実績の欄には、「自分の管理職としての適性等を記入せよ」とあります。自分は人格識見ともに教頭になるのにふさわしいからとして自分を推薦するのであります。
 自分をアピールすることは結構だと思いますが、校長が推薦できるのは一名、自己推薦には人数に制限なしとなっております。教育委員会が任命した校長がそんなに弱いのか、魅力がないと見ているのか、信用できないのか、校長が推薦した者が合格せずに自己推薦をした者が合格した場合、校長の権威はどうなるのか、学校という組織体がどうなるのか。先生方は校長の指導に従いますか。さらにうがった見方をすれば、自己推薦の裏には何かがあるのですか。私のような梅農家の者には全く理解に苦しみます。現場の先生方は、県教委が任命した校長が弱いから信用できずにこのようなことをするのだと言って笑っていますが、教育長の考え方を伺います。
 次に、市町村教育長との関係であります。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第三十八条に、県教育委員会は市町村の内申を待たずに教職員の任免、その他進退を行うことはできないと書いておりますが、最近の県教委の人事を聞きますと、市町村の小中学校の校長・教頭等の採用や異動については、市町村の内申どころか県が一方的に登用したり異動したりしており、市町村の教育委員会は戸惑っていると聞いております。市町村教育長は、なぜこのような人が自分の町の小中学校の校長にかということが多々あり、市町村教育長は、自分の町の教育委員会に説明ができないと言っております。
 私の手元にある資料では、平成十五年度末の異動では五十名近くの校長・教頭が広域人事という美名のもとに、その管理職がどんな人物なのか市町村教育長が全くわからず受け入れさせられています。
 今、県教委は市町村の内申権を無視し、服務監督権のみを強要しています。県教委は、一方的に行った校長・教頭でもし学校に問題が起これば市町村教育長の服務監督が悪いからということになります。
 県教委は市町村の教委と対等平等の関係にあると聞いております。県教委への権力の集中を行い、何ゆえ市町村教育委員会をこのように軽視していくのか、各地方教育事務所から一名ぐらいの人事主事を県教委に来させて人事異動事務をしていると答えるかもしれませんが、各地方の小中学校の実態を一番理解しているのが市町村教育委員会や教育長であります。これらを何ゆえ軽視するのですか。これで和歌山県の教育が正常化し、充実していくと思っているのですか。県立学校長や市町村教育長を軽視し、権力を集中していく県教委の姿勢、絶対に服従を強いていく姿、私が質問した四点をそれぞれつないでみてもこのことが十分にうかがえますし、これが七年間の長きにわたった県教育長の姿勢と受けとめても間違いないと思います。
 自己推薦制、市町村教育委員会との人事を含めた関係について説明を願うとともに、私の質問したこれらの四点を踏まえて県教育長の和歌山県教育への思い、教育理念を伺います。この本会議でこのような質問をしなければならないことを残念に思いながら、一回目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの坂本登君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌山県の誇る農産物、ミカンでありますとか梅でありますとかカキでありますとか、こういうふうなものに付加価値をつけてどんどん売り出していこうという御提言でございます。
 特にその中でも今現代人に非常に関心の深い健康志向食品、こういうふうなものを和歌山県立医大の医学の力と結びつけて非常に値打ちのある品をつくっていったらきっと和歌山県の農産物がよく売れるだろうというお話、私も全く同感でございます。
 現在までにも県立医大では、例えば梅肉から、これを利用しまして産業界と連携してピロリ菌というのをやっつけるような、抑制するようなものをつくるようなこともしておりますし、現在はカキ酢から、これが健康に効くということで新しい製品を生み出すというふうな努力をしております。
 県立医大以外にも、例えば青ミカンを利用していろいろなものをつくろうとか、それから北山村のジャバラでありますとか、こういうふうなもの、本当に特にインターネットとかいろんなことで売買ができますのでよく売れるというふうなことがあります。
 県立医大も今後独立行政法人になっていくというふうなことで、やはりこういうふうな面にももっと力を入れていく必要があると思いますので、県としても御提言を踏まえてこの辺力いっぱい頑張っていきたいと、このように思っております。
○副議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育に関する四点の御質問についてお答えいたします。
 まず学校評議員は、保護者や地域住民の意見を反映させるとともに、さまざまな提言を通し、特色ある学校づくりを初めとする校長の学校運営を支援していくところにねらいがあります。県内の多くの学校ではこの制度を積極的に活用し、例えば評議員による授業参観、教職員との討論会、地域の美化活動、通学マナーの改善、学校図書館の一般開放等のさまざまな実績を上げてくれているというふうに思っております。今後、より実効ある学校評議員の活用に向けて指導してまいります。
 次に、学校での禁煙についてでございます。
 喫煙が健康に及ぼす害は、従来からWHO(世界保健機関)や厚生労働省、さらには医学界などからも繰り返し指摘されてきております。また、子供たちの喫煙は健康上さらに重大な影響を与えることから、小学校から高等学校まで喫煙防止教育や禁煙指導を実施しているところです。そうした中、学校敷地内禁煙も三年目を迎え、本県の取り組みは全国に広まり、評価を受けているというふうに思っております。
 学校内で教職員に喫煙を認めることは、一見思いやりのようにも見えますが、結局は健康上極めて有害であり、子供たちに与える影響も無視できないことから、今後ともノースモーキングエリアの趣旨を徹底してまいりたいと考えております。
 あわせて、たばこのニコチンには強い依存性があることから、教職員への禁煙サポートもさらに充実する必要があると考えているところでございます。
 次に第三点目の高等学校再編整備計画案についてですが、このたびの再編案は、木下議員、雑賀議員にもお答えしましたように、長期にわたる大幅な生徒減の中で広い視野に立って将来を見据え高等学校の教育環境の充実を図る観点から、第一期計画案として作成したものでございます。
 本県では、これまでも社会の変化や生徒の進路希望、学習ニーズに対応して多くの学科改編や総合学科の設置、あるいは中高一貫教育の充実等に努めてまいりました。このたびの計画案は、こうした高等学校改革をより一層推進していくといった視点を大切にしながら生徒の生き生きとした高校生活を保障するために必要となる施策として取りまとめたものです。
 現在、パブリックコメントを実施しているところであり、寄せられた御意見や関係の皆様方との協議を深める中で最終的な案を取りまとめていく予定としております。
 これまで各校が取り組んできた中高一貫教育や単位制など、さまざまな教育活動の成果や伝統を十分に生かすことができるよう知恵を絞りながら学校づくりをしていかなければならないと考えておりますし、教育委員会としてもそのための支援を行ってまいりたいと思います。
 最後に、管理職選考検査に関してお答えいたします。
 学校の管理職としてふさわしい資質、能力、適性等を備えた人物を選考するために、従来からの校長推薦に加え、対象となる教職員の範囲を広くし、機会を拡大するとともに教職員の意識の高揚を意図して行ったものであります。
 また、小中学校の教職員の人事異動に関しましては、市町村教育委員会の教育長と十分協議し、内申を受け、全県的な視野に立ち適正な人事行政を行っているところでございます。
 今後とも、市町村教育委員会と連携した教育行政を行うことが重要であると考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「教育長、答弁漏れあり」と呼ぶ者あり〕
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れがあるようですので、当局の答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 答弁漏れの点は、最後の部分の坂本議員のお尋ねのところであろうかと思います。
 さまざまな問題点が教育界に現在もあることは十分承知しております。その中で教育が果たす役割、社会の基盤をつくっていくという意味から、より多くの関係の皆様方と連携をしながら教育行政を進めていくということは当然のことでございまして、るる御指摘いただきました点を十分に受けとめ、社会の変化に対応しながら、なおかつ教育が一貫して守っていかなければならないものを見詰めながら、特に関係者、教育の最前線で頑張っている校長さん方、PTAの皆さん方、学校評議員、市町村教育委員会の皆様方との連携をこれまで以上に強化しながら取り組んでまいりたいと。これが私の県の教育を進めていく上での理念と言えば言えるものでございます。御理解を賜りたいと思います。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「答弁漏れあり」と呼ぶ者あり〕
○副議長(向井嘉久藏君) 坂本議員に申し上げます。
 それでは、答弁漏れの箇所を御指摘願いたいと存じます。
 十二番坂本 登君。
○坂本 登君 議長、教育長に質問要旨すべて渡しています。だから、教育長、私の質問をきっちり読んでいただいてないということが言えるんと違いますか。教育長にちゃんと読んで答えてもうてください。
○副議長(向井嘉久藏君) 坂本議員に申し上げます。
 今、通知してあるということでございますが、答弁漏れの箇所を御指摘いただければありがたいのですが。
 十二番坂本 登君。
○坂本 登君 私の質問の四点を踏まえ、教育長の和歌山県教育への思い、教育理念をお伺いしましたが、何ら答えていない。
 二、教頭の自己推薦について、現場の先生方は県教委が任命した校長が弱いから、さらに信用できないからこのようなことをするのだと笑っているが教育長の考えを聞きたいと言っているのに、何も答えていない。
 三番目、教育長みずからつくった単位制大成高校、連携型中高一貫教育や単位制の古座高校は魅力のない学校と受けとめてもよろしいか伺いますに対しても答えていただいておりません。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいま坂本登君から三点にわたって答弁漏れがあったという御指摘であります。これについて答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ただいま御指摘いただきました三点のうち第一点は、先ほど私申し上げたつもりでございますが、不十分であるということであろうかと思いますので、もう一度改めて、少し言葉をつけ加えて申し上げたいと思います。
 和歌山県の教育は、豊かな自然やいろんな人たちの手づくりの教育というよさを持って今日まで来ているというふうに思っております。これを全国一律の画一的なものに埋没しないように、いろいろな知恵、今までの歴史というものを大事にして取り組んでいきたいと。そのためには、教育界にともすれば昔の習慣をそのまま踏襲すればいいのではないかという考え方もないわけではありませんので、そういうことについてはやはり改革をしていく必要があるというふうに思っております。
 それから第二点目の、教頭推薦の自己推薦でございます。
 これは、確かに校長推薦で今まで有為な人材が管理職になってきていることは間違いありませんが、その中にどうしても入り切らないような、まあある意味では型破りのような人材も時には教育界にとっては大きな活力になるということもあり得ますので、その範囲を広げたということでございます。
 ただ当然、一定の資格、要件がありますから、だれでも何でも何十人もということにはならないのは当然のことでありまして、校長が弱いから云々ということは全くございません。
 それから、今回の再編整備計画の中でいろいろ御指摘がございます大成高校や古座高校については、議員おっしゃるとおりで、非常によく頑張ってくれている面はございます。大成は単位制、古座は中高一貫。しかし、そういうことを十分認めた上で、私どもの課長も現場というか現地の地域の説明会でも申し上げたように、大変な大幅な生徒減という中で一定の規模を確保していかなければ切磋琢磨も活力も生まれてきにくいということの中から苦渋の選択として統合案を作成しているところでございます。その中で、今までの教育活動の伝統やよさや特色は生かしていける、また逆に言えば生かしていかなければならないという課題を我々は持っているし、学校関係者とも十分話し合ってまいりたいというふうに考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「答弁漏れ」と呼ぶ者あり〕
○副議長(向井嘉久藏君) 坂本議員に申し上げます。
 それでは答弁漏れの箇所を、恐れ入りますが、御指摘願いたいと思います。
 十二番坂本 登君。
○坂本 登君 私、先ほど答弁漏れのとこで言っていますけれども、いろいろとつけ加えて言っていただいたんですけれども、教育長の気持ちをはっきりと言ってくれてないなあということが第一点であります。まあ時間もございませんから、この件については、私も今文教委員会に入っているんで、この点を文教委員会でまた徹底してやらしていただきたいと思います。──時間ないというさかいに、ほんなら。
○副議長(向井嘉久藏君) 再質問を許します。
 十二番坂本 登君。
○坂本 登君 知事さん、答弁ありがとうございました。
 再質問をさせていただきます。
 ノースモーキングエリアについて。現場の先生方は校門の外に出てたむろしてたばこを吸っているから、せめて喫煙コーナーを設置してと提案しているが、ノースモーキングエリアを徹底しますとの答えであります。県教委の学校の先生に喫煙の場所を与えないのは、なぜか。先生方は学校を離れて違う場所でたばこを吸い、もしその時間に生徒が事故を起こした場合、どうなるのか。教育長に先生方のたばこを吸わせないという権限がどこにあるのか。
 二番目、大成高校への体験入学した中学生の作文についてどう思いますか。体験入学に参加した生徒は中学校の担任に「もう行く学校がなくなった」と泣いて訴えているが、教育長の所感を聞きたい。
 三番目に募集停止について。これだけ議論になっているのについて、委員長として委員会でどんな議論をしたのか、一回伺いたい。そして、先ほどちょっと教育長さんからいろいろと──その評議員の活動ですけれども、この活動を先ほど聞いてみますと、「評議員による授業参観、地域美化活動、通学マナーの改善、学校図書館の一般開放等を実施しているところであります。今後より」て、こう今説明してくれたんやけども、教育長、この評議員というのは何をするんですか。学校の美化運動したり図書やとか、PTA活動と、それちょっと勘違いしてるんと違うんか。僕らも県Pの会長もさしてもうたけれども、これはPTAの活動にしかすぎないように思います。
 そして、「生徒が生き生きとした学校生活を保障するための必要となる施策として取りまとめたものです」て書いてあるけど、これ、さっき僕も質問したけども、学校をつぶすことかいと、僕に言わせたら聞きたいんよ、ほんまに。
 そして、ここでちょっと──そうやな、ここの「伝統を十分に生かす」ということかな。そして、十二年につくった大成やらよ。古座高校、四年前に中高一貫単位制つくって、これつぶして、そのやったやつを生かして前へ進んでいきたいて言うんやろ。これが生きた──もう時間ないんかよ──もっと生かせるんだったら納得するんですけどね。もうつぶすしかやと。自分でしたやつつぶしといて、それを参考にて納得いかん。──もう時間ないんで、ちょっと行きます。
 禁煙サポートていうていろいろ努力してると言うけど、今まで何したんか。分煙するとこをつくるのも第一段階のサポートではないんか、一回聞きたいと思います。
 外で格好悪いことを──さっき「子供たちに悪い影響」て言うてましたけどね、外でたむろして先生がたばこ吸うたり車へ行って吸うたり、その影響の方がもっと悪いと。だから、それ、離れて何か学校で事故起こったときに何とするんよという。そういうことを、何ていうんかな、禁煙サポートというて取り組むんやと。そういうことを話することが禁煙サポートやと、僕思うんですけどね。違いますか、皆さん。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)私はそのように思うてるんですよ。もうちょっと教育、しっかり頑張ってもらわなね。──もう時間ないさかい言うけどね、この後は文教委員会で徹底的に審議せなんだら、こんなんおさまりませんわ。皆さんどう思いますか、これ。
○副議長(向井嘉久藏君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 何点かにわたる再質問にお答えいたします。
 まず、学校評議員の役割。これは、学校運営に対して非常に幅広い見地から活発な意見の提言をしていただくというものが基本でございます。先ほど紹介しましたのは、提言の結果実現して学校が取り組んでいる事例を紹介したわけで、評議員さんが美化活動そのものを行うという意味ではございません。
 それから、学校では評議員さん方が非常に熱心に学校のためにということでやってくださっておりまして、PTAとはまた違う立場で、地域のすぐ学校の近くの方もいらっしゃいますし、職業もさまざまな方にお願いしております。
 それから、禁煙サポートの件でございます。これは、健康上にやはりさまざまな影響が及ぶということで、医療的な立場からのサポートを中心に禁煙外来の紹介とかさまざまな研修会とかいうものを行いながら、できることならたばこを吸わなくてもいい方向へいってもらえればありがたいですよという趣旨のサポートを行っておるところでございます。
 大成高校を希望する生徒の作文については、そういう体験入学の時期と再編計画の発表の時期とが前後したということについて、本会議の最初のときに木下議員の御質問にも同種のことがございましたのであわせてそのときに申し上げたとおり、残念であり、申しわけなく思っているという気持ちを申し上げたところでございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 坂本議員に申し上げます。残りが十一秒となっておりますが、再々質問はございますか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──ないですね。
 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。

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