平成16年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十六年九月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十六年九月二十一日(火曜日)午前十時開議
  第一 議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに報第十三号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに報第十三号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       前   川   勝   久
     二十六番       山   下   大   輔
     二十七番       木   下   善   之
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     危機管理監      白   原   勝   文
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課副主査     楠   見   直   博
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに知事専決報告報第十三号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十一番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 おはようございます。
 一般質問も前半が過ぎ、三連休があり、後半戦のトップバッターを議長のお許しを得て一般質問させていただくことに感謝申し上げて、私なりの質問をさせていただきたいと思います。
 その前に木村知事、二期目県政運営を目指され知事に立候補され、県民の圧倒的な支持のもとに再選されました。まずは、心からお喜び申し上げます。と同時に、社会情勢不安な時代、とりわけ厳しい財政難の真っただ中、荒海に立ち向かって航海していかなければならない和歌山丸の船長としてのお役目、大変御苦労さまでございます。県政運営の一期をお務めいただき、県民が県に対して、知事に対して限りなくある不平、不満、要望、願望のあることを実感されたことでありましょうし、さらに二期目知事選に臨まれた際、県内をほぼ二巡され、それぞれの地域で県民からの厳しい御意見を肌で感じられたとおっしゃいました。また、三万人余りの県民とも握手したとも申されました。その一人一人が県の将来に期待する思いを知事に県政運営を託し、県民の思いをかなえていただきたいという熱い願いを持って、知事、あなたの手を握ったんです。知事、その皆様方の力強く、ぬくもりのある手の感触をいつまでも忘れないでください。私も県議会人の一人として県議会と県勢発展のため、ともに切磋琢磨しながら頑張りたいと思います。頑張れ、木村良樹知事。
 今回の質問をさしていただくに当たり、きょうお見えの貴志川町長、議長、あるいは貴志川線存続に向けての貴志川線の未来を「つくる」会の濱口会長以下沿線住民のたくさんがお見えの中で、本質問は南海電鉄存続問題について一本にして質問をさせていただきたいと思います。
 本問題につきましては、平成十五年十二月定例議会の一般質問でも述べさせていただきましたが、確認の意味をも含めて再度沿革から少し触れさせていただきたいと思います。
 大正三年、和歌山駅──現在の紀和駅──と和歌山市の東部、山東の間を鉄道免許がおりまして山東軽便鉄道が設立、その後、いろんな変遷を経ながら昭和六年、東和歌山駅─貴志駅間を運行する和歌山鉄道、通称和鉄が誕生し、さらに昭和三十六年三月から南海電気鉄道の事業拡張に伴い合併され、南海電気鉄道株式会社南海貴志川線となって営業十四・三キロ、十四の駅を持つ鉄道として現在に至っているものであります。
 私の記憶している限りにおいても、あの戦後の混乱期には、関西方面から食糧の買い出しのための生命線として大変重要な交通機関でありました。高度成長期には、和歌山市の東部開発、貴志川町の住宅開発、とりわけ県営長山団地開発は、南海貴志川線があったからこそでき得た開発でありました。貴志川町には今もなお貴志川線があるからこそ他所からたくさんの方々が転入され、町人口が増加して活気のある町として発展しております。また那賀郡内、岩出町を除く五町の合併協議会も順調に進み、十七年度中には人口七万一千人のバランスのとれた新しい市が誕生いたします。和歌山市からの玄関口として大変重要な位置にあります。
 そんな中、前々から貴志川線の存続が大変困難である旨の話はいろいろお伺いしておりましたが、ことし八月十日、いよいよ南海電気鉄道から正式に貴志川線鉄道事業からの撤退について和歌山県、和歌山市、貴志川町に対して表明されました。最終決断されるまでの間、鉄道事業の持つ公共性からも南海さんとしてもぎりぎりの経営努力をしてきていただいたと思いますが、モータリゼーションの進展、道路網の整備、少子化等の影響もあり、また長引く不況で不動産賃貸や住宅開発事業での苦戦などが続き、タクシー事業や観光バス等の不採算事業からの撤退を実施してこられたとお伺いしておりますが、事ここに至って弓折れ矢尽きたとのことであります。
 民間企業である以上、その苦しみはよく理解できますし、今日までよく頑張っていただいたことに心から感謝と敬意を表したいと思います。南海さんも苦渋の選択をされ、経営継続断念の意思がかたい以上、やむを得ないこととは思いますものの、後に残されました二百万人に及ぶ利用者が路頭に迷うことになります。今までは、ともすれば空気のように当然あるべしと思っていて、鉄道経営について余りにも無関心だった沿線の利用者や地方自治体──和歌山県、和歌山市、貴志川町その他関連町においても大いに責任があったことと思います。
 平成十五年十二月六日に県も参画していただいて和歌山市、貴志川町とで立ち上げていただいた南海貴志川線対策協議会は、今までの間四回の協議が開催され、沿線住民二十五万六千人分もの署名を集められ、南海電鉄に陳情、また県知事及び国土交通省に支援の要望を実施されてきたとお伺いしておりますが、前にも申したように、八月十日に南海電鉄が撤退を表明された後は、南海さんで存続を前提として取り組んできていただいた対策協議会としてはなすすべがないのが現状でありましょう。
 南海さん撤退表明後、貴志川線存続に向けて、和歌山市、貴志川町はもちろんのこと、沿線住民が地域の足、生活の足の路線として貴志川線の未来を「つくる」会を結成され、鉄道路線を残すために立ち上がっていただきました。その会が中心となって、NHKでも「難問解決 ご近所の底力」という人気番組にも取り上げていただき、去る九月二日、NHK総合テレビで夜九時十五分から九時五十八分までの四十三分間もの間放映され、大変大きな反響を呼びました。
 また、九月七日には貴志川線存続に向けてのシンポジウムが貴志川町で開催されました。国土交通省からは鉄道局担当の大臣官房審議官大口清一氏、都市鉄道課長渡邊一洋氏、近畿運輸局長谷口克己氏、近畿運輸局鉄道部長小野隆夫氏、近畿運輸局和歌山運輸支局長太田啓三氏、同総務企画課長河崎輝昭氏など、日ごろは本当に余り親しくお目にかかれない方々でありますが、幸い、地元和歌山出身の国会議員の皆さん方のお口添えをいただき、台風十八号の警報の出ている中にもかかわらず沿線住民の皆さん方が会場立錐の余地もないほど集まられ、予定時間を一時間余りも延長される中、熱心にシンポジウムの成り行きを見守っていらっしゃいました。当然、南海電鉄側からも、常務取締役・鉄道営業本部長兜秀昭氏、統括部長亘信二氏、統括部課長桝元政明氏がお見えになっておられました。大口官房審議官の「鉄道事業の「今」を考える」という演題の講演の後、和歌山大学経済学部助教授辻元勝久氏のコーディネートによるシンポジウムの中で、全国各地で採算のとれない鉄道の廃線が相次いではいるが、国として地方鉄道への各種補助の拡大のため来年度も予算要求に努めている、また貴志川線問題については特に近畿運輸局内にプロジェクトをつくって研究している、またその用意があるなどの力強いコメントがありました。この会の様子は、県においては野添企画部長、中岡総合交通政策課長もお見えいただいておりましたし、また市内の県議会議員数名もお見えいただいておりましたので、その様子はよく御理解いただけたことと思います。
 以下、私なりの質問に対し、県知事並びに県担当部長の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 まず、知事が今九月定例議会の冒頭、県政二期目に当たり就任のごあいさつの中にもありました、「地球環境保全に貢献する全国トップクラスの環境先進県を目指す」とおっしゃっておりますが、具体的にどういうことをイメージされて申されたのですか。
 同じく就任ごあいさつの中にもある「市町村との連携」との発言の中で、「地域を自分たちの手で少しでもよくしていこうという取り組みと協働し」とあります。「市町村と連携しながら積極的に応援していく」と述べられておりますが、どんな思いで述べられたのでしょうか。私はまさに、環境先進県を目指すためには環境に優しく、公共交通機関の整備は避けて通ることのできない問題であり、その中にあって南海貴志川線存続についても地域の皆様方とともに解決していきましょうという思いを込めて申されたことと推察いたしますが、いかがですか。
 今、二十一世紀社会では、地球規模で叫ばれているエネルギー問題、温暖化防止のためのCO2排出削減問題、自然環境保全問題、高齢化社会問題等、難問が山積している中、省エネルギー、低公害車の普及促進や、交通弱者と言われている高齢者やあるいは自動車を利用できない方々への対応のため自動車交通への過度な依存を改め、環境に優しい公共交通機関への転換が今後大変重要な問題になってこようと思われている中、知事の先を読んだ力強いメッセージ、貴志川線存続問題で大変苦しんでいる私どもを含め、沿線住民の皆様方がその知事のお話を聞き漏らすはずがありません。公共交通機関への今後の積極的な取り組み、とりわけ貴志川線の存続に対する知事の力強い御所見をお伺いいたしたいと思います。
 次に、企画部長にお伺いいたします。
 まず、九月七日、貴志川町で開催されました貴志川線存続に向けてのシンポジウムを傍聴されたときの率直なご感想をお聞かせいただきたいと思います。会場の熱気、存続を願う沿線住民の生の声を肌で感じ取っていただけたことと思いますが、いかがでしょうか。
 また、平成十四年三月に発表されています和歌山県総合交通ビジョンの中で、先ほど申し上げましたとおり、いろんな難問が列記されています。とりわけ公共交通機関の整備が緊急かつ大変重要な問題であると明記されておりますが、今後、和歌山県として公共交通機関に対してどのように積極的な対応をしていくのか、その中でも今問題になっている貴志川線問題について、その存続に向け、どのように取り組んでいっていただけるものかお伺いして、まず第一回目の私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの山田正彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 今、御質問の中にありましたように、私の就任あいさつにおきまして、「環境先進県を目指す」との基本方針を明らかにいたしました。地球環境保全の視点から大量かつ効率的な輸送機能を有する鉄道などの公共交通機関は、環境に負荷の少ない、環境に優しい交通機関であると認識しております。
 貴志川線の問題につきましても、このような視点も踏まえ、地元の熱意ある取り組みの中で、地域との協働や市町村との連携に努めながら積極的に応援をしてまいりたいと考えております。
 南海貴志川線は今もなお減少し続けているとはいえ、昨年度で百九十八万五千人の乗降客があり、地域にとって通勤・通学等の利用の多い生活に密着した路線であると認識をいたしております。
 現在、地元市町、国、南海電鉄とも協議を進めているところでございますが、県としては今後地元の意向を十分に踏まえながら、地域住民の生活交通確保のため、できる限りの努力をしてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 九月七日のシンポジウムのまず感想でございますけども、当日は台風十八号の接近によりまして朝から暴風警報が出されておりました。シンポジウムの開始時刻には大荒れの状況でございました。加えて、当日は火曜日という平日のこともありまして、私自身も参加者の状況はどうかなあという感じを持っておりました。ところが、五百人収容の会場はいっぱいでございまして、始まったころには立っておられる方もございました。シンポジウムが始まりまして、パネラーの方々の発言の中で鉄道存続につながるようなお話に対しては大きな拍手が起こりまして、出席者の皆さんの鉄道存続にかける熱い思いといったものが、先ほど議員のお話にもございましたけども、本当に肌で感じることができました。
 ただ一方、昨年の貴志川町、それから和歌山市、県、またそれぞれの議会、また関係の皆さんで構成した対策協議会の利用促進の推進、それからまた二十五万人を超える署名にもかかわらず、今年度に入っても依然として利用客が減り続けております。今年度に入りまして四月から八月までに約二万四千人、月平均しまして四千八百人が前年度に比べて減少しているという厳然たる事実があります。
 そういったことで、ある意味では私自身もこの会場の熱気とこの客観的な数字とを比べた場合に複雑な思いに駆られました。したがって、やっぱり何よりも地域住民の方々のマイレール意識というか、自分たちの鉄道だという意識と、あるいは具体的な行動が必要ではないかというふうに感じました。これが私の率直な感想でございます。
 次に、今後の公共交通機関、特に南海貴志川線の問題についてどう対応していくかについてでございますけども、平成十四年三月に策定いたしました和歌山県総合交通ビジョンでは、その基本方針を交通環境のユニバーサルデザイン化、環境負荷軽減の推進、ITの活用といたしております。
 まず一点目の交通環境のユニバーサルデザイン化とは、高齢者や障害者にとって移動しやすい交通はすべての人にとっても移動しやすい交通であるという考え方に基づいた交通体系を進めるものであります。二点目の環境負荷軽減の推進とは、自動車交通への過度な依存を改めまして、徒歩、自転車、公共交通など環境に優しい多様な交通手段の確保を目指すものでございます。三点目のITの活用につきましては、急速に進展している情報通信技術の活用による安全性・利便性・快適性の高い交通サービスの提供であります。
 この中で、県の役割としましては、県全体の公共交通など交通サービスのあり方を考える中で、地域の交通計画を実現する市町村に対し、個々の施策が円滑に推進されるための支援等を行うこととしてございます。
 現在、南海貴志川線問題につきましては、県としましても、和歌山市、貴志川町とともに国、南海電鉄を交えて協議を重ねているところであり、これまで担当者会議や作業部会を四回開催してございますが、今後も引き続き協議を行うこととしてございます。この中では、具体的な駅員の配置体制を含めた運営形態の検討、運営費用を低減するための運行形態や運行本数の精査、維持・補修に係るコスト低減など、南海電鉄撤退後の鉄道存続に向けた検討を第一義として行っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十一番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 本来なら自席で行わさせていただきます再質問なり要望なんですが、傍聴の皆さんもお見えでございますので、お許しをいただきたいと思います。
 知事、企画部長からの御所見をお伺いしました。さきのシンポジウムの中で和歌山大橋市長、中村貴志川町長のお話にもありましたように、南海電鉄が正式に撤退を表明されてまだ日も浅く、厳しさをきわめている和歌山市財政、貴志川町財政では、あしたからそれではどうするとかこうするといったような具体的な対策案を出せるような状態ではありませんし、その出せない状態である以上、和歌山県としても、大変御答弁には歯がゆい思いをするものの、現時点ではいたし方ないのかなあと認めざるを得ません。
 しかし知事、来年九月までの限られた時間しかありません。南海電鉄撤退後の貴志川線を存続させるための検討・協議の中心になっていただけるのは、和歌山県しかないのです。さきにも述べましたが、一つの市や一つの町の責任で対処し得る問題ではありません。私もその後、たくさんの方々から叱咤激励を受けましたし、また存続のためのいろんなアイデアもお伺いいたしました。
 その中で特に、南海電鉄からいただいております貴志川線収支報告書の中で、例えば平成十五年度実績にしても、営業収入つまり運賃収入は三億一千万余りしかありませんが、それに対して社員四十二名とお伺いしておりますが、総人件費用は四億七千万がかかっていると、そういうふうにおっしゃっていますし、いろんな営業経費が八億一千八百万も必要である、また営業外費用も平成十五年度単年度だけでもかかっておりますので、その単年度だけで五億四千四百万もの赤字が発生しているとなっておりますが、これとて余りにも人件費がかかり過ぎるんではないかとか、いろんな問題で納得できません。厳しい指摘もございます。また、年々利用者が減少している中で、それでは公務員の皆さん──和歌山市、和歌山県へお勤めになっているその他公務員もいらっしゃいますが、その公務員さんに優先的に使用するよう指摘せえと、そういうふうなお話もお伺いしております。でも、どの話もこの話も的を射た事柄ではありましょうが、批判や批評ばかりでは前に進みません。
 前にも述べましたNHKのテレビ番組の中で、沿線住民が議論の末、貴志川線の未来を「つくる」会──先ほど申しました濱口さんという方、この方は県職員のOBでありますし、現在は貴志川町で一番大きい長山団地の区長もされております。きょうもお見えですが──提案された三位一体鉄道の構想であります。一人は事業者、一人は公共団体、一人は沿線住民であります。事業者である南海電鉄としては南海電鉄としての継続は断念するが、新規鉄道会社をつくっていただければ、そこへの車両や変電所、路線敷、あらゆるその他ハード面はもとよりでありますが、経営面、ソフト面では最大限協力をすると言っていただいております。沿線の住民の方々もマイレール意識を持ち、貴志川線の未来を「つくる」会を中心に、さらにその組織を拡大するため頑張っていただいております。利用者増客のための知恵を出し合い、また駅舎周辺の除草や清掃、その他後方支援のできることだったら何でもボランティアで協力するともおっしゃっていただいております。運営継続のためなら出資をしてもいいと言ってくださっている方々もたくさんいらっしゃいます。さらにまた、沿線には南海OBの方々も大勢いらっしゃいます。運営費削減、特に人件費の削減のためだったら電車の運転や施設管理はパートでもいいと、積極的に協力を申し出ていただいている力強い支援もあります。
 利用者増客のための方策としては、例えばパーク・アンド・ライド方式という方法があります。これは、最寄りの駅までマイカーで行き、電車等の公共交通機関に乗りかえて目的地に向かう交通施策のことであります。この秋、世界遺産に登録された高野山の観光客のために日曜・祝日に限ってテスト実施されると、こういうこともお伺いしております。そういうことで、駅周辺の民有地などを借り上げて駐車場などを整備した後であれば、一般通勤客や公務員の皆さん方にも積極的に御利用いただけるようお願いすることもできるでしょう。そんな環境整備をする場合には、大手鉄道会社には得られませんけれども、地方鉄道の場合には国からの近代化補助などが受けられます。また、そのためにも近畿運輸局内にプロジェクトチームをつくってまでいただいて、今後のこの貴志川線の取り組みを注意深く見守っていただいております。
 残るは和歌山県の決断、知事、あなたの決断にかかっているのです。知事として大変毎日多忙をきわめていらっしゃるとは思いますが、それでもたまにはマイカーで粉河寺や打田町のめっけもん広場へお出かけになっているとおっしゃっていただいています。百聞は一見にしかず──ぜひ一度貴志川線に乗ってください。そして、利用実態を実感していただきたい。利用者の皆さんと触れ合っていただきたいと思います。沿線には、貴志川高校、あるいは新しくできた向陽中学、向陽高校、信愛女子短大やあらゆる学校施設、あるいは県警の交通センター、また伊太祁曽神社とか大池遊園とか平池自然公園とかなどのいやしのスペースがたくさん点在しております。さらに、行き交う利用客、市内の学校に通う学生、通勤客、高齢者、一般沿線住民は病院やあるいは買い物等に欠かすことのできない生活路線であることをきっと実感していただけるに違いありません。環境先進県を目指す改革派知事として将来に禍根を残すようなことがあってはなりません。ぜひ早急な御決断をくださるよう重ねてお願い申し上げます。
 私も県議会議員の一人として、貴志川線存続のため、身命を賭して臨んでまいる覚悟であります。また、ここにいらっしゃる寛容にして聡明な先見の明に富んだ議員各位に心から御理解と御協力をいただきたいと期待しながら、先ほどの知事の御答弁、あの範囲内でやむを得ないということであればいたし方ありませんが、もし御返事をいただけるようであればいただいて、なければ私の要望として切にお願い申し上げ、御清聴に感謝してこの質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまも申し上げましたように、貴志川線の問題は非常に重要な問題と思っております。
 けさも新聞を読んでおりましたら、国土交通省の方で──まあ全国でこの地方線の問題は、はっきり言ってどうにもならないような状況になっているんですけれども、それに対する補助金を重点化して二割から三割に引き上げるというふうな話もありました。ただ、それをやるときには地域の総合的な協力というふうなことを重点に置いてやっていくというふうなことで、先ほど貴志川町とか和歌山市は財政が厳しいという話がありましたけども、和歌山県はそれ以上に厳しいというふうな状況の中で県全体を見ながら考えていかなければならないと。ただ、地元なんかの物すごい大きな取り組み、そしてまた負担、そういうふうなことの中で、これが一つの新しいコミュニティー鉄道の方式になるようなことがあれば県としても積極的に前向きに対応していきたい、このように考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、山田正彦君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しをいただき質問さしていただきます、新生わかやま県議団の浦口高典でございます。
 私の前に山田議員の大変日常生活にかかわる貴志川線の問題でありましたので、私の質問は非日常であります紀州よさこい祭りについて質問さしていただきますので、どうぞ皆さん気を楽にされて、肩の力を抜いて聞いていただきたいと存じますが、真剣に私も質問をさしていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは木村知事、おくればせながら、このたびは御当選、まことにおめでとうございます。この四年間、一期目にもかかわらず日本を代表する改革派知事の一人として精力的に活躍され、我が和歌山県の名前を全国に知らしめた功績は大変大きいものがあると私は認識をしておりますが、三七・二九%という史上最低の投票率であったということを顧みますと、知事におかれましては複雑な思いと、あるいは多少の御不満があるかもしれません。しかし、知事が取り組んでいらっしゃる改革は決して間違っていないと私は確信をいたしております。ただ、県民の皆さんへの浸透の度合いがまだまだ低いということかもしれません。それだけに、この二期目は、その県民の皆さんをも巻き込んでの大胆かつ積極的な改革を心から望むものであります。そうすれば四年後は、強力な対抗馬があらわれるかもしれませんが、知事の熱狂的な支持者がさらに多くなることは間違いないと私は思いますし、後世の歴史家は、和歌山県政史上、「木村の前に木村なし、木村の後に木村なし」と評価されるでしょう。知事のさらなる御奮闘を心より御期待申し上げます。
 それでは通告に従い質問をさしていただきますが、私は、本来、六月議会の一般質問でも要望し、知事が誠意を持ってつくってくださいました知事選に臨む「私の政策宣言」、つまりマニフェストについて今回質問さしていただく予定でした。しかし、去る七月二十五日に和歌山市で開催された第一回紀州よさこい祭りに県民の皆さんから予想以上の反響があり、今後の期待が大きく膨らんでいるだけに、この祭りの御報告とそれに対して知事初め県当局の皆さんの御意見をお伺いいたします。マニフェストにつきましては、これから四年間あることでございますので、今後じっくりと検証をさしていただきます。
 紀州よさこい祭りにつきましては同じく六月議会でも一般質問をいたしましたが、この祭りは、今までの祭りやイベントとの大きな違いは、官、つまり行政主導でなく、民、つまり民間主導による祭りであり、企画、集金、運営、実行等、すべてにおいて市民の力でつくった祭りであります。いわばNPOによる市民事業であります。
 そもそもこの祭りは、三年六カ月前に、元気のない和歌山を元気にしたい、そのために町を舞台にして踊りをベースにした祭りをつくり、自分たちが暮らすこの和歌山を活性化するんだという二人の若者の強い思いから始まりました。その若者とは、内田嘉高君(二十九歳)、上森成人君(三十四歳)であります。実は、本日、傍聴席にその二人が来ておりますので、御紹介をさしていただきます。──向かって右側が内田君であり、左側が上森君であります。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━どうもありがとうございます。
 彼らは、六月議会に来られた二人のオリンピック選手のような華やかさも格好よさもございませんが、この三年六カ月にわたり和歌山の地に足をつけ、柔軟な発想のもとにさまざまな企画を練り、幾つもの困難を乗り越え実行・実現してきた、本当にたくましい若者であります。
 まず初めに彼らが取り組んだことは、この祭りのベースになった和歌山MOVEという踊りのグループを立ち上げ、その踊りをいろんなところで披露しつつ、多くの共感を得て仲間をふやしてきました。
 ちなみに、一つのエピソードとして今も語り継がれているのですが、二年前のサッカーワールドカップのときにデンマークチームが和歌山のマリーナシティのロイヤルパインズホテルに宿泊したことは皆さんもご存じのとおりであります。そのとき、彼ら和歌山MOVEは呼ばれもしないのにそのホテルまで押しかけていって、支配人に直接頼み込んで、練習後の夕食時に選手の前で「皆さんを歓迎します」とばかりに自分たちの踊りを披露して大変喜んでもらったと自己満足しておりますが、この辺が彼らの乗りのよさをあらわす出来事であります。
 これから、この第一回紀州よさこい祭りを市民事業NPOという観点から、誕生からその成り立ちを順を追って説明さしていただきますが、今も申しましたとおり、とにかくよさこい型の踊りの文化のなかった和歌山市でまず核づくりからということで和歌山MOVEをつくり、週一回の定期的な練習から始めました。実は、私も彼らと最初から六カ月ほど一緒に踊り、数回ステージにも立ちました。自分でもなんですが、リズム感はありませんが、気合いは一番入っておったつもりであります。もちろん、このグループ自体素人の集まりですから決してうまくはなかったのですが、どこでも呼んでくれるところに出向き、年数十回のステージをこなし、共感してくれる仲間を一年間で五十名ほどにふやしてまいりました。
 そこで、一昨年の夏に、一度実験的に小さくとも自分たちの力で祭りをやってみようということになり、私の地元であります今福の墓地公園でいこら祭りという手づくりの祭りを企画・開催したところ、わずか三時間ほどの祭りに約五百名の観客が集まり、大成功をおさめました。
 その勢いで昨年八月、本場高知よさこい祭りにバスをチャーターして約六十名で和歌山県から初めて参加し、炎天下の中、何時間も踊ってまいりました。私は、彼らとは別に前日高知に行き、県の観光課長と市のよさこい龍馬事業推進室長に時間をとっていただき、二時間ほど高知よさこい祭りについてレクチャーを受けました。これは一昨年のデータですが、和歌山市より小さい人口三十二万の高知市でこの祭りの観光動員数は百二十四万人、経済効果が百八億一千万円ということを知り、これは単なる地元の祭りではなく、大きな観光事業であると同時に地域活性化の柱であるということがわかりました。もちろん、県や市もいろんな形でこの祭りをバックアップしているということでありました。
 また、ことしの六月十二、十三日には北海道のYOSAKOIソーランを和歌山の実行委員会のメンバーと視察に行き、この祭りを実質的に立ち上げた組織委員会専務理事の長谷川岳氏──まだ長谷川氏は三十二歳なんですが──と約一時間懇談したときにさらに驚いたことは、十三年の歴史しかない北海道の新しい祭りでありながら参加は三百三十三チームであり、踊る人数は四万三千人で踊り、観客動員数は二百八万人、経済効果が二百二十億四百五十万円であるということを知りました。また、祭りの予算が二億三千万という莫大なものであるにもかかわらず北海道からの補助金はゼロで、札幌市からわずか三百万の補助を受けているだけであり、残りは組織委員会ですべて賄っているということでありました。
 高知県も北海道も、ご存じのように和歌山県に劣らぬほど経済が厳しいところでありますが、町の雰囲気はそんなことを全く感じさせないほど活気のあるものがありました。
 話をもとに戻しますが、参加した高知よさこい祭りの体験を胸に、この感動を和歌山の人たちと共有したいという思いが強くなり、昨年九月二十二日に、踊りのグループとは別にNPOつまり民間非営利活動組織の紀州お祭りプロジェクト実行委員会を立ち上げ、当初わずか五、六名の実行委員でしたが、最終的にはこの実行委員会が四十九名にまでなりました。その中には、県や市の職員も自主的に入ってくれております。とにかく平成十六年夏に和歌山市でよさこい型の祭りを行うということがその場で決議され、そのため定期的に実行委員会を開催することになりました。
 十月には、和歌山市のぶんだら祭りと共同開催するか、あるいは独自開催でいくか検討し、独自開催路線を打ち出し、自己資金による開催、民主導による民官協働型の新しい祭りづくりを目指すこととなりました。
 十一月には事業計画の素案を検討し、会則を策定いたしました。また、祭り会場には、町のど真ん中からメッセージの発信と中心市街地活性化の観点からメーン会場をけやき大通りと西の丸広場に、そして地域会場として高松サンピアと片男波海水浴場を決定いたしました。といいましても、この時点では道路使用許可のめどは全く立っておりませんでした。しかし、伝統ある和歌祭りとぶんだら祭りをつなぐかけ橋としてこの祭りをデザインしていこうという強い思いがあり、まず自分たちでこのことを決めました。
 十二月には、実行委員会の会長に和歌山青年会議所前理事長の西平都紀子さんを迎え、副会長には内田嘉高君、事務局長には上森成人君を選任し、その実行委員会を応援する立場からサポーターズクラブも同時に立ち上げ、不肖私がリーダーに選ばれ、「五年後の和歌山は必ず変わる」を合い言葉に組織の充実を図りました。また、祭りの名称を正式に「紀州よさこい祭り」とし、来年七月二十五日に開催することも決定いたしました。その他、開催趣意書、事業計画書を策定し、高野・熊野世界遺産登録記念事業に位置づけることを確認いたしました。また、市民団体、和歌山西署、県警生活安全部等とも懇談を重ねつつ、木村知事にも面会を求め、その趣旨を説明いたしました。知事からは、「大阪府副知事時代に大阪のよさこい型の祭りこいや祭りにかかわった経験から、できる限り協力するので頑張ってください」と温かい励ましの言葉をいただき、実行委員会一同、大いに勇気づけられました。特にこの祭りは、急速に進む少子高齢化、若者の県外流出という本県の持つ特性から、逆に若者にスポットを当て、若者の居場所づくりといった大きな社会的課題を正面からとらえ、青少年の健全育成を祭りの大きなテーマの一つとして掲げて、県・市の青少年課、教育委員会にも協力を強く求めつつ、いよいよけやき大通りの使用許可に向けて実行委員会が一丸となって関係各所に交渉に当たりました。
 年が明けてことし一月から資金集めを開始。目標額を一千万円とし、広告・協賛金として「みんなでつくる祭り」をテーマに地元企業から小口協賛を多く集める方針を打ち出しました。また、県民参加による基金として一口千円のサポーターも募集を開始いたしました。しかし、いざ予算額一千万円を自分たちだけで集めるとなると、本当に大丈夫かなと実行委員一人一人が不安になったことも事実であります。さらに、県内各地と大阪のよさこい型の実行委員会にも出向き、協力を求めるために説明に回りました。また、地元和歌山市で新しいチームづくりを行うためにリーダーを対象にチームリーダー養成講習、県民カレッジ登録講座をあわせて実施。小中学校の総合学習に取り組む教員、子どもセンターの運営に取り組むPTA関係者、各種団体の責任者等に広く参加を呼びかけました。
 そして二月、三月には、新聞への記事の掲載やラジオ等マスコミへの実行委員の出演が相次ぎ、世論の高まり、つまり公共性が大きく強調されたおかげでけやき大通りの使用許可が実現し、開催準備が大きく前進をいたしました。実行委員会にも警備、音響・照明、設営、ホテル業、旅行会社、NPOなどの関係者も入り、実行委員が大幅にふえると同時に組織、渉外、集金等専門八部会に分かれ、それぞれが目標達成のために何度も会合を重ねました。また、地域会場の予定の高松地区では地域実行委員会高松勝手連が結成され、地域でのよさこい祭りの浸透も進みました。ちなみに、祭り当日、この高松勝手連の一員として踊られました長坂議員の踊りっぷりは大変見事なものでありまして、ひときわ目を引いたことを御報告いたしておきます。
 また、一月から始めたチームリーダー養成講習には、結局十二団体、十一学校、延べ三百二名が参加。新チームをつくるため、コーディネートも実行委員会の担当部会で行いました。そして、県内・泉南地域のよさこい型祭りの振興を目的とした連絡組織紀州よさこい踊り連絡会が結成され、県内外の取り組みがネットワークで結ばれることになりました。それにあわせて参加希望の問い合わせが相次ぎ、三十団体を超え、道路使用許可の制限時間との関係で、四月に予定しておりました正式募集を待たずにエントリーを断るという予想以上の反響が既にこの時点からございました。また、踊りチームだけではなく、少しでも多くの観光客を呼び込もうと旅行会社と相談し、高野・熊野世界遺産と結んだ旅行商品づくりの企画も準備をいたしました。
 以上のように、二月、三月には、企業、行政、学校、NPO、よさこい関係などの領域でネットワークや協力体制が大きく広がりました。
 四月には、和歌山大学教育学部学生自治会や同大学の足立ゼミ生が中心に開局をしておりますUWU──インターネットラジオ──が参加するなど、地域との連携を進める和歌山大学や美容学校など専門学校との協力も進みました。同時にホームページ開設、祭りのプロモーションチームの結成など、広報も積極的に行いました。それからこの時期、私が六月議会で紹介をいたしました高野口在住の歌手、ウインズの平阪氏作曲の紀州よさこい祭り総踊り曲「YAPPA紀州」が完成をし、お祭りムードが一気に盛り上がりました。
 五月には、その総踊りの振りつけと各踊りチームを先導する地方車のデザインとロゴが完成をし、そして初めての祭りだけに、その認知度を高めていただくためにビラ二万枚、ポスター一千枚を配布し、記者会見も同時に実施するなど、広報活動をさらに強化してまいりました。また、百人を目標に学校、企業、行政、諸団体に協力を呼びかけ、ボランティアも募集を始めました。それから、県内外からの参加が確定した三十チームの代表をこの和歌山市に集合してもらい、チーム説明会も行いました。
 六月にはまた、全参加チームに呼びかけ、総踊りの全体練習を開催いたしました。それに、いろんなNPOなどの協力を得て、地方車の試作車が完成をしました。高知市観光課からはゲストチーム「十人十彩」という大変有名なグループを派遣してもらえることになり、祭りに大きな弾みがつきました。また、和歌山市国際交流課が窓口になり、国際イベント・タイ王国フードフェスティバルの同時開催が決定をいたしました。
 いよいよ祭りの開催の月、この七月に入りボランティア説明会を開催したところ、当初予定していた百人の倍の二百人を超えるボランティアが登録をされました。結果として、当日二百五十人のボランティアが祭りの裏方として汗を流してくださいました。結局、昨年の九月の二十二日から祭り直前のことし七月二十三日まで実行委員会の開催は二十三回に及び、また八部会の会合を合わせると百回近くこの祭りのために会合を開催してまいりました。
 祭りの当日のことにつきましてはお手元にお配りいたしました資料をごらんいただければと存じますが、簡単に概略を説明いたしますと、観客動員数は約七万五千人、参加チームは三十チームで千五百二十六人、その中には名古屋や京都からのチームもあり、それに、この一週間前の大雨の影響で残念ながら参加することができませんでしたが、遠くは新潟からも参加予定でありました。また、県内からは地元和歌山市のチームだけではなく、岩出町のいわで夏まつりチーム、橋本市・伊都郡の紀の国やっちょんチーム、田辺市の弁慶まつりのチーム、また新宮市の熊野ハレヤ祭りのチームも参加してくれ、全員でこの祭りを盛り上げてくれました。結局、祭りにかかった費用は一千五百四十四万円、それを二百八十六団体・企業の広告・協賛金と個人サポーター二百三十二人の寄附、それに踊りチームからも参加費をいただきました。それと一部県の地域・ひと・まちづくり事業補助金百万円を受けられることになり、それらですべてを賄いました。参考までに、ことしの和歌山市のぶんだら祭りは総額一千八百九十七万円で、そのうち和歌山市からの交付金は一千七百四十万円でありました。そのかわり、私や実行委員会のメンバーは、前日の舞台づくりから祭りの翌日の朝六時からのごみの分別まで、ほとんど全員が参加をして行いました。
 私は、祭り当日、この祭りを思いっ切り実感しようと心に決めて、スタッフの一員でありながらオープニングの高松サンピア、第二会場の片男波海水浴場、そしてけやき大通りと西の丸本会場をくまなく回り、踊り子、スタッフ、ボランティア、観客の皆さんの様子をじっくりと拝見いたしましたが、一言で言って、皆さん、本当にいい表情をされていました。和歌山の人たちが一つのことでこんなに多く集まり、踊る人も見る人も、また踊りにかかわる人も感動を共有している姿に私はただただ感激をし、何度も熱いものが込み上げてまいりました。最後に総踊りYAPPA紀州を踊り子全員で舞台に上がり三回連続で踊ったのですが、その間、観客の皆さんはほとんど帰らず、最後にもう一回アンコールをして、何人もの人たちがあちらこちらで見よう見まねで踊り出したのが大変印象的でありました。そのことが、この祭りがいかに盛り上がったかということの証明であると私は思います。そして、この祭りを通して私が正直感じたことは、和歌山も捨てたもんじゃないなというような気持ちであります。
 なぜ私はこのように紀州よさこい祭りにこだわるかと言いますと、恐らくこれだけ大がかりに民しかもボランティアで市民が立ち上がり、企画から運営、資金集め、実行まで徹底して行ったことは和歌山ではかつてなかったのではないかと思うからであります。まさに市民の市民による市民のための祭りであり、和歌山を元気にしようというミッション、つまり社会的使命の持ったNPOによる市民事業であります。
 時代は、中央集権から地方分権へ、また官から民へ、しかも財政の厳しい中、官も民も意識改革をして新しい地域づくりにみずからが主体的に取り組んでいかなければならないことは、はっきりとしております。しかし、どちらかといいますと、我が和歌山県は官に対する依存傾向が強く、まず民が主体となって動こうとしないとよく耳にいたします。しかし、その頼りにする官そのものが三位一体の改革で財政難に一層の拍車がかかり、このままでいくとあと二年後に県そのものが赤字再建団体に陥るという危機の中で、今こそ民にも官にも本当のやる気を求められている時代ではないでしょうか。
 私は、昨年十二月の議会で和歌山県の人口の激減推計をグラフで説明いたしましたが、それとは別に総務省統計局が出しました平成十四年十月から十五年九月までの人口の減少割合を見ますと、我が和歌山県は全国で秋田県に次いで二番目にその割合が大きく、ここ数年、年を追うごとに割合がだんだんだんだん大きくなってきております。つまり、人口の右肩下がりが急カーブを描き出したということであります。そのような中で通常の地域経済がこれから本格的に縮小していく可能性があり、このままでは地域社会がますます元気がなくなってくるということは明らかであります。
 木村知事は、さきのマニフェストの中で、十四ページの中に何と十七回も「NPO」という言葉を使われて大きな期待をされておりますが、NPO自体、正直言ってまだまだよちよち歩きである現状の中で、このような若者たちが自分たちの手で祭りを通してまさに新しい公共をつくり、ふるさと和歌山を大胆に元気にしていこうという芽が出てきたということを、この事実を私は県議会、県当局、そして県民の皆さんにもぜひとも御認識をいただきたく、述べた次第であります。
 そこで、この紀州よさこい祭りは単なる通り子と観客が楽しむ一過性のイベントとしてではなく、一、NPOが主導の民官協働事業、二、青少年の健全育成、三、商店街、地域社会の活性化、四、新たなる観光、地場産業の育成、五、コミュニティービジネスの創出、六、伝統的文化の掘り起こしなど、多彩な可能性を含んでおります。県当局におかれましても、町づくり・人づくり・仕事づくり等の事業として認識を持っていただき、今後積極的な御協力と御活用をお願いいたしたいところであります。
 財政が厳しい時代だからこそ、既にある県や地域のあらゆるものの運用、また人材を活用していくことは大変大事なことであるということは言うまでもありません。これらのことについて関係部長の御所見をお聞かせください。
 当日、県議会議長賞のプレゼンターとして出席されました小川議長初め、新田議員、山下大輔議員や多くの県幹部の方々にも見学に来ていただき、この祭りに最初からかかわった者といたしまして大変感謝の気持ちでいっぱいでありますが、特に知事の代理として舞台に当日上がっていただいた中山副知事と津本環境生活部長には、この祭りについての率直な御感想をお聞かせください。
 また、当日木村知事にお越しいただくことを実行委員会のメンバーは強く望んでいたのですが、何分知事選の最中でありまして、田辺に御滞在中ということであり、残念ながらことしは御参加をいただくことはできませんでした。しかし来年は現職知事としてこの祭りにぜひ参加していただき、みんなと一緒に汗だくになって踊っていただければ知事の人気もウナギ登りになるのではないかと、そのように思っておりますので、知事、いかがでしょうか。踊り参加の決意も含めてこの祭りに対する知事の御感想と県政のトップとしての今後の取り組みをお聞かせください。
 以上をもちまして私の報告と一回目の質問を終わらせていただきますが、既にこの九月十三日に来年夏の第二回紀州よさこい祭りの実行委員会がスタートをいたしました。どうぞ、この実行委員初め関係者、県民の皆さんに勇気と元気を与える御答弁をお願い申し上げます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) ただいまの浦口高典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 紀州よさこい祭り第一回がこの七月に開催されたわけですけども、大変たくさんの人の参加と、そしてまた七万五千人という観客、この人たちの参加ということは僕は大変な成功だったというふうに思っております。やはり県民の人、市民の人から盛り上がる形で起こってきた祭りというふうなものは非常に値打ちがある、こういうふうに感じております。ぜひ来年もさらに規模を大きくして、そしてまた、これは高知県とか北海道で非常に盛んですのでこういうふうな県とも連携をとりながら大きな形になっていく、そしてまた和歌山を代表する祭りになっていくことを望んでおります。
 私自身は地味な性格ですので、なかなか祭りに入って踊るというのができるかどうかわかりませんけども、だけどまた、そういうふうなことができるように頑張っていきたいと、このように思っております。
○議長(小川 武君) 副知事中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○副知事(中山次郎君) 第一回紀州よさこい祭りについての感想でございますけど、七月二十五日、和歌山城西の丸広場は大変な熱気にあふれてございました。ここ何年来の猛暑ということもございましたですけど、祭りに参加しました皆さんの熱気がこうさせたんだと思ってございます。そして何よりも感じましたのは、二百五十名に上るスタッフとしてのボランティアの皆さんの生き生きとした顔でございました。こういった取り組みが元気のある町づくりや、あるいは新しい文化の創造にもつながっていくと思ってございます。NPO活動の一つの方向ではないかというふうにも考えてございます。
 また、県内各地やあるいは他府県、さらには海外からの参加もございましたけど、さらにこれらの輪を広げることによりまして大きな盛り上がりになるんではないかなというふうに考えてございます。これからの持続的な発展を大いに期待してございます。
○議長(小川 武君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 紀州よさこい祭りについて感想とNPO主導の民官協働事業及び青少年健全育成についてでございますが、まずこの祭りをじかに見させていただきまして、躍動感あふれる踊りに圧倒されました。踊りの技術もさることながら、解放感に満ちた動き、踊りを見ている人の楽しそうな表情や踊る人と見る人の一体感など、この祭りのすばらしさが伝わってまいりました。
 また、小さな子供から高校生世代を初め年配の方々も多数参加されておりまして、世代を超えて仲間と一つの目的に向かって取り組む姿勢、実行委員会の運営に携わる人やボランティアとしてサポートする人たちの行為は、自己実現や社会貢献、仲間との連帯など、まさに青少年の健全育成の場でありまして、青少年にとっては貴重な体験になったのではないかと思っております。
 また、NPO主導で取り組まれ、みんなでつくり上げた文字どおり手づくりのよさがあらわれたイベントで、このエネルギーが町づくりや地域連帯の原動力になると感じた次第でございます。
 紀州よさこい祭りは、青少年の健全育成を初め、町づくり、人づくりなど多彩な可能性を持っており、この祭りが和歌山に定着し発展することを願うとともに、県といたしましても関係機関との調整やボランティア募集などで協力させてもらいましたが、今後も県が果たせる役割を十分考え、協働・協力してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 紀州よさこい祭りにかかわっての三点についてお答え申し上げます。
 まず商店街の活性化ですが、商店街の振興には、施設整備を初め、販売促進活動による商店街全体の集客や構成する個々の店舗の魅力アップが必要なことは言うまでもありませんが、それとともに紀州よさこい祭りのようなイベント等により地域の魅力を高めていくことも非常に大切なことと言えます。これらのことは、商店街がみずからの意思と行動によりNPOと連携し、取り組んでいくことが重要であると考えておりますが、県といたしましても、商店街がNPOと連携し、活動しやすい環境づくりについて研究してまいりたいと考えております。
 次に新たな観光、地場産業の育成につきましては、議員お話しのとおり、札幌のYOSAKOIソーラン祭りのような地域の住民が始めたイベントや祭りが全国規模になり、その地域の季節の風物詩として地域の大きな観光資源に育っている例もあります。紀州よさこい祭りも今後ますます発展し、和歌山を代表する一大イベントと言われるようになっていただきたいと思っておりますし、そのため県といたしましても、職員が実施する誘客キャラバンを初め、各種マスメディアや情報誌等を積極的に活用し、県内外へのPRに努めてまいりたいと考えてございます。
 また、地場産業の育成につきましては、あらゆる機会をとらまえ販路開拓に生かしていくことが重要であり、議員御指摘のとおり、多数の参加者、観客を集める紀州よさこい祭りのようなビッグイベントを新しい発想、技術による新製品の販路開拓や評価を得る場として、あるいは参加者に地場産品を活用してもらえるような取り組みが大切であると考えております。
 今後とも、このような機会において和歌山の地場産業を発信していけるよう努めてまいります。
 次にコミュニティービジネスの創出につきましては、御指摘のとおり、祭りを開催することにより地域に活力とチャレンジ精神が呼び起こされ、そこから地域への経済効果や新たなビジネスチャンスの広がりが進むものと認識しております。
 コミュニティービジネスは、地域の資源を活用し、地域にあるさまざまな課題を解決し、地域社会への貢献を目的とするビジネスであり、祭りを通じた新たなニーズのキャッチから創出されるコミュニティービジネスへの支援について、今後関係部局と連携しながら研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 地域社会の活性化の観点から今後どのようにかかわっていくかについてお答えいたします。
 第一回紀州よさこい祭りでは、私どもも高野・熊野の世界遺産PRブースを出させていただき、その盛り上がりと開催に向けてのスタッフの皆様の熱意を実感いたしました。
 NPOと地域の方々が主体となって自前でこういったイベントを開催していただいたことは本県の活性化に大きい一石を投じていただいたもので、大変意義があったものと考えております。
 紀州よさこい祭りも次年度の開催に向けての検討が始まっていると聞いており、より盛大で多くの人々が参加するイベントとして定着していくように、また他の地域においてもこのようなNPOや地域の方々が中心となって新たな取り組みが進められるよう、県としましても可能な支援を行ってまいります。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 伝統的文化の掘り起こしについてお答えいたします。
 本県は無形民俗文化財の国指定と県指定を合わせて七十四件を保有し、全国で第四位という多くの民俗芸能や祭礼などの伝統行事が残されている県であります。このため、昭和五十年に和歌山県民俗芸能保存協会を設立して保存団体の育成に取り組んでいるほか、近畿・東海・北陸ブロック民俗芸能大会や紀伊半島民俗芸能祭に代表が参加するなど、その普及と振興に努めているところです。
 民俗芸能などの多くは地域に密着し、宗教的背景をもって歴史の中ではぐくまれてきたものであり、それぞれの保存団体が独自性や主体性を持って活動しております。
 このたび実施された紀州よさこい祭りが今後定着していく中で、伝統的な団体と新しい文化を創造する団体との相互理解や連携の輪が広まることを期待しているところです。教育委員会としましても、どのような役割を果たすことができるか検討してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番浦口高典君。
○浦口高典君 知事初め関係部長の皆さん、副知事、大変前向きな御答弁をいただきまして本当にありがとうございます。
 これは要望でございますが、特に木村知事に申し上げたいんですが、来年の紀州よさこい祭りへの踊り参加ということも含めまして、知事みずから先頭に立っていただいて、知事の著書ではありませんが、「鄙の底力」をぜひとも県民の皆さんに、また全国の皆さんにお示しいただくことを要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浦口高典君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十四分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十二番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさしていただきます。
 まず初めに、県立大学の活用による地域振興策について。
 バブル崩壊以降、我が国の長きにわたる不景気からようやく脱却し、好景気への期待感が高まっているこのごろであります。しかし、これとて石油価格の高騰や中国に偏った輸出依存にも陰りが見え隠れする状況から、このまま一本調子であらゆる産業が回復基調で安定したものにはならないとする観測が既に一部に出されるようになりました。こうした中、地方経済、とりわけ本県の中小企業を中心とした地域経済の景気は依然として沈下したままであります。いわば、不況という一時的な現象ではなく、現状のままで推移しますと本県の経済は永久に取り残された状態が続くのではないかとも危惧され、将来に向け大いに憂慮すべき状況に私たちは立たされていると言っても過言ではありません。
 県行政においてもあらゆる角度から経済浮揚策が打ち出されており、IT産業の育成、観光政策、緑の雇用事業等々、積極的かつ先駆的な地域振興策としての努力は評価しつつ、独創的で即効性や持続性を確証するにはしばらく時間が要するのではないでしょうか。
 また、三位一体の改革路線が鮮明となり、国並びに県財政による従来型の景気対策では公共事業の積極出動にも陰りとリスクが伴います。このことから、我々は将来を見据え、今、和歌山県の経済再生の活路をどこに据えるのか、県民の雇用の安定と税収の源、いわば生きる糧をどの産業に絞るべきかを問う必要があります。
 観光立県、先端企業立地等も当然考えられますが、今回は本県の特産品、特に農産物に対しては高い次元での付加価値をつけ、ブランド力をさらに強固なものにするため、その組織づくりと協力体制の必要性に焦点を当てて当局に質問をいたします。
 早くから、我々の先輩たちが汗をかき、苦労を惜しまず育ててきた梅、ミカン、カキ、桃等が本県の特産品として挙げられます。品種改良や販路拡大に努力し、ようやく世に認められた本県の大きな財産であります。それぞれの地域の基幹産業でもあるこれらの農産物を息の長い超ブランド商品に仕立て上げること、そして商圏の拡大を図ることによる県全体の雇用の安定と経済の活性化に寄与できる環境づくりが今最も求められているのではないでしょうか。そのためには、食品として人々の健康志向のニーズにこたえるとともに、さらに高レベルでの安全性も付加価値として追求しなければなりません。また、欠かすことのできない食品として多くの消費者に満足していただけるものにすべきであります。また、現状では付加価値化の研究成果が特産品に確実につながっておらず、健康食品としての効能もさほど知られ渡っていないのが実態ではないでしょうか。ややもすると付加価値化に到達できないまま忘れ去られてしまう可能性すらあります。
 このことから、梅、カキ、ミカンといったいわば既にブランド化された本県の特産品に科学的見地や医学の領域で研究を深め、健康志向食品としての優位性を立証し、国内外に情報発信する必要性を当局において具体的な施策として取り上げていただきたいと考えます。特に、医学的見地からの有為性を付加価値として特産品をステップアップさせることからまず取り組むべきであると考えます。
 具体策を述べますと、本県唯一の県立大学である和歌山県立医科大学の高等教育機関の知的財産や機能と本県特産品がリンクすることで健康食品としての科学的立証を一気に図れることになります。また、情報発信のインパクトははかり知れないものがあり、これらのことを低迷する県経済の活性化の起爆剤にすべきと考えます。
 また、この大学に拠点を置き、産学官政の連携をとることであります。あらゆる垣根を払い、産業界、研究機関、自治体、そして議会が目的を一にして、研究成果を得た上で果敢に情報発信してはどうかと考えます。
 また、拠点となるべき県立医科大学は、我々県民の手で育ててきた地域医療のかなめであることは申し上げるまでもありません。しかし、地方分権時代の新しい構想から地域と直に向かい合う大学、そして地域、住民の期待にこたえる大学を目指すならば、この医科大学への拠点づくりはまことに時宜を得たものと考えます。
 また、財政逼迫の昨今にあって、現有の特産品に既設の高等教育機関の有効活用は費用対効果の面で申し分のない組み合わせではないでしょうか。特に、連携をとる上で中心となる県立医科大学での役割は重要であります。機能解析から成果の公表まで一貫した流れの中で他の県立研究機関との連携を図っていくことになります。そして、経済波及に至る連動した取り組みや情報発信の拠点に据えるべきと考えます。この大学の活用は必ずや大きなメリットがあると確信をしております。
 幸いにも、昨年の十二月には知事の要請による県立医科大学のあり方懇談会の答申には、「県民のための大学として一層の社会貢献を果たすためにはどうあるべきか」、また「本県唯一の医科大学及び中核的医療機関としての使命はどうあるべきか」で始まり、議論の中心は「変化する時代の要請と地域、住民の期待にこたえるものでなければならない」とした上で、「地域の知的な中心とならねばならぬ大学として県民の皆さんに関心を持ってほしい」と結んでおります。
 自身、あれこれ思いをはせていますと、どうしてもここで静岡のおいしいお茶のことを引き合いに出さずにはおられません。
 千年を超える歴史を持つお茶にあって今日に至るお茶の繁栄を見るとき、決して品質が進化したからではありません。ただ、生産農家や加工業者のおいしいお茶をつくるための努力に加え、大学と地方自治体が一体となってのブランド確立のための共同研究の成果であります。そして、現在のお茶ブームは機能性の解明と情報発信によりブランドの確立と価値の高い向上を図ったからなし得たものであります。すなわち、情報が商品の価値を高めたのであります。つとに知られた事実として、静岡県立大学を中心とした高等教育機関の協力と静岡県議会のすぐれた指導力を発揮したことが大きな力になったことが挙げられます。このことは、私が最も注目した点であります。本県においても一日も早くこうした体制を構築してほしいと願わずにはおられません。
 ちなみに、現在のお茶は実にドリンク業界の三〇%のシェアを誇っている状況にあります。うらやましい限りであります。
 さて、その静岡県にまさるとも劣らない我が和歌山県の特産品であります。殺菌効果があると言われる梅、がんの抑制作用の価値が研究されている梅やミカン、風邪に効能があると言われるカキなど、それぞれの含有している成分の解析が今後医科大学の研究チームによって飛躍的に進み、日常予防的に摂取する健康補助食品、いわゆるサプリメントとしての付加価値化がイメージづくり等の商品企画力と相まって、科学的情報や他産地との差別化で高付加価値商品としてブランド化され、果敢に情報発信できるものと確信をしております。
 なお、流通に視点を当ててみますと、我が国においては小売業の王様は今やコンビニであります。日本国どこにでもある、そして二十四時間いつでも手軽に消費者に接し、商品とサービスを提供する店舗なら当然のことであります。今後もあらゆるサービスを通じて国民生活になくてはならない流通のトップとして、またサービスセンターとして地域に君臨し、ますます発展を遂げていくのではないでしょうか。ここにターゲットがあり、ここに我々は斬新な商品企画力と付加価値の高い豊富な品ぞろえで本県特産品が棚を埋め尽くすことを期待せずにはおられません。
 財政状況も極めて厳しい時代でありますが、自立を目指した地方にふさわしい先行投資や集中投資は地域振興策には必ずや必要であります。このプロジェクトの中核となるべき独立行政法人化を控えた和歌山県立医科大学に対して、研究所の新設を初めとしてあらゆる措置を講じていただきたいことを切望いたします。知事の英断に期待を申し上げ、見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、教育長に教育理念とりわけ本県教育への思いとその施策について伺います。
 私は、県議五年の間、この議会に席を置き、教育長の教育施策等について伺ってきました。最初は耳新しく、すばらしいもののように受けとめてきましたが、最近の現場の校長や先生方の話を聞くにつけ、教育長の行っている施策は一体何なのか、ただの思いつきか、生徒や教職員の実態を知って実施しているのか、他府県が実施しているからというだけなのか。その後のフォローもなく、中身の伴わない、しかも心のない権力的な教育行政のように思えてなりません。このままでは和歌山県の教育はどのようになっていくのか、心配であります。
 まずその一つは、学校評議員制度であります。
 教育委員会の要綱では、特色ある教育活動を展開するため、学校運営の基本方針や重要な活動を行うため、保護者や地域住民、学識経験者等の中から十名以内で校長の推薦により県教委が委嘱し、平成十二年から施行しています。当時、この委員設置についてはマスコミにも大きく取り上げられました。なるほど、その趣旨などについては理解ができ、その成果を期待していましたが、しかし、その後の幾つかの学校の校長や現場の先生方に聞いてきました。とりわけ大成高校、すさみ分校、古座高校等の募集停止の発表もあって、今回再度確認をしましたが、彼らの答えは、ただつくっただけで、県教委の指導もなく、何一つ機能もしておらず形骸化しており、何のための委員なのかといった答えばかりでありました。「校長や先生方に意見を言っては」と問いましたが、彼らは「県教委は何を考え、何のためにこのような委員制を押しつけてきたのかその意味もわからないのに、このまま黙っている方がよい」との答えでありました。県教委の考え方、その意味の周知徹底もない中で学校もやる意思がなく、形骸化しているとのことであります。この学校現場の声に対して教育長はどのように受けとめていますか。形骸化はしていない、学校評議員制は機能していると言えますか。数年経過したこの学校評議員の活動状況について、その現状と課題を具体的に答弁を願います。
 次に、禁煙について伺います。
 喫煙は、私たちの体に百害あっても一利なしとまで言われています。私はたばこを吸っていませんが、しかし愛煙家にとってはいっときのくつろぎにたばこは唯一の楽しみであるとも言います。愛煙家に言わせれば、嗜好品とは酒、たばこ、コーヒー等であり、酒はやめてもたばこだけは吸いたいという人もおります。医者の中にも多くの愛煙家がいます。このような中で県教委は学校のノースモーキングエリアとして子供たちの喫煙に対する毅然とした姿勢を示し、その運動を展開していることは評価をいたします。しかし、同じ嗜好品でもコーヒーは学校の職員室で自由に飲め、たばこは他人の健康上、生徒指導上に問題があるということで学校の敷地内から完全に締め出してしまいました。これによる問題が起こっております。
 県庁及び県教委の中にも喫煙場所が指定されております。職員はお互いに自覚して、この喫煙室でたばこを吸っています。しかし、学校現場ではその場所が与えられていないのであります。先生方は、生徒指導上の問題もあり、できるだけ喫煙しないように心がけておりますが、しかし休憩時間にもたばこを吸うことができずにいると言っています。その結果、今、学校の先生方はどうしているか、教育長、知っていますか。休憩時間中に自分の車の中へ入って喫煙する人、学校の校門の周辺でたむろして喫煙している先生の姿を多くの生徒、地域住民が見ているのであります。もちろん、私も見ております。本来、校門周辺等で徘回している生徒たちを指導しなければならない先生方が、県教委の有無を言わせない学校敷地内完全禁煙、その場所を与えない余りにも厳しい指導が逆効果となり、先生方が生徒と同程度の行動をとっているのであります。
 職場においても、労働者には休憩時間があります。その時間帯は、労働者は肉体的、精神的な安らぎの場、憩いの時間であります。愛煙家の憩いの時間はたばこを吸う時間でもあると言います。教育長は酒が好きで、飲酒したときの姿も聞いております。これも嗜好品です。学校はノースモーキングエリアだから喫煙を完全に否定してしまいますか。一方的に教育長の考え方を押しつけますか。それとも、せめて喫煙場所を与えるという考え方にはなりませんか。ぜひ学校現場の実態を見て柔軟な考え方、喫煙場所を設ける方法も考えてはどうかと所見を伺います。
 次に、県立高校の募集停止計画について伺います。
 県教委は、八月二十六日付で出した高校再編整備計画案では、平成二十五年には現在より四十六学級の減少になるため、将来を見据え、魅力ある学校づくりを進めるため、平成十七年度から募集停止をするとの案を出しました。この案では、平成十七年度には大成高校の募集停止を行うことになります。中学校卒業生徒数の推移を見ると、生徒数の激減により四十六学級減も理解できますし、募集停止をせざるを得ないことも理解をできます。しかし、県教委のその募集停止のやり方、通知の仕方について大変な問題があります。
 十七年度募集停止の大成高校は、平成十二年に教育長がみずからの手で単位制を導入し、生徒が生き生きと学んでいると自画自賛した学校であります。その大成高校で、ことしの八月二十三日に、中学校三年生、十一校九十四名を対象に体験入学を実施しています。この体験入学に参加した九十四名の生徒たちは大成高校を希望している生徒たちであります。ちなみに、大成高校の定員は百二十名と聞いています。この生徒たちに体験入学をさせ、希望を持たせた後、三日後に県教委は一方的に募集停止の通知をしたのであります。
 八月二十三日に体験入学した一中学生が大成高校へ行きたいという作文を書いたが、三日後に県教委の募集停止が発表され、この生徒は担任の先生のもとへ行って「大成高校が募集停止になって、僕、行くとこがない」と泣いたという話も聞いております。
 学校には長いすばらしい歴史があり、また校長、教職員、父母、同窓会、地元県会議員、関係市町村並びに教育委員会、さらには関係中学校、そして先ほど質問した学校評議員もいます。これらの関係者には全くの事前の協議もなく、抜き打ち的な発表であります。
 私の手元にある資料では、海草地方は前年度比八十七名の減少となっています。この数は海南市や下津町なども入っていることと思います。このデータだけでは一方的な募集停止にはなりません。
 教育長、あなたが平成十二年につくった単位制の大成高校は魅力のない学校だったのですか。あなたが単位制を導入した大成高校の学区は、海草地方だけではなく全県一区の学校と聞いています。海草地方の生徒減少だけでは募集停止にする理由にはならないのであります。魅力のある学校づくりを目指すと言ったこの再編計画案から見れば、教育長みずからがつくった単位制の大成高校は魅力のない学校と受けとめてもよろしいか、伺います。
 また、南紀高校周参見分校は、確かに生徒数は減少しています。しかしこの分校は、地理的環境などから県教委があえて存続させてきた分校であると聞いております。しかし、この分校においても、ことしの五月二日、五十周年式典行事を行い、この行事にあわせて特別棟の改築のため、本校や周参見振興会からの補助、分校独自の予算等、合計約五百万円ほど計上し、しかも同窓会員十名ばかりのボランティアで分校への道路改修を行ったと聞いています。式典当日、募集停止計画を知りながら、県教委の祝辞では「分校のますますの発展を期待しています」と言っています。校長初め同町長、同窓会など関係者は何も知らず、改修費の調達のため、また道路改修に汗を流しているのを横目に見て、このようなあいさつをして八月二十六日付で募集停止の通知をしたのであります。
 また古座高校では、教育長の手で四年前に中高一貫教育をスタートさせ、単位制を導入したばかりであります。この古座高校も、関係者だれ一人に協議することなく、一方的な通知であります。
 教育長、あなたのつくった中高一貫教育、単位制はすべて魅力のない学校と自分で否定してしまっています。
 私は、梅の栽培加工業、土木建築業をしています。しかし、私たち梅農家や建築業を営む者ですら、組合や業者間にはお互いの信義、一定のルールで物事を処理しております。このような裏切り行為、人をだますような行為はいたしません。このような行為を戒める教育をする教育界のトップの教育長がみずから子供や父母の希望を裏切り、県民、地域住民をだますような行為、背信行為を平気で行うのですか。思いやりの心、人の心を大切にし、人を大事にする教育こそ和歌山県の教育の誇りであると、私が高等学校PTA会長のときから県教委から聞かされ、私もそう信じてまいりました。今回の一方的、権力的な募集停止の通知には、到底納得できません。現在の県教委の姿勢には教育行政を進める資格があるのですか。まことに遺憾なことであります。教育長の答弁を伺います。
 次に、県立学校長や市町村教育長、教育委員会との関係について伺います。
 教育委員会の出した平成十六年八月二十七日付、管理職候補者選考検査の実施についての通知は、本年度から教頭候補者の選考について、一、校長の推薦した者が一名と、二、自己推薦──これは人数に制限を設けないとなっています。この自己推薦について、各校長はこのことを職員会議で紹介したそうであります。これを聞いた先生方は一笑に付し、何のための校長なのか、自己推薦には人数に制限がないのだから全員が自己推薦をしよう、そうしたら県教委はどうするのかといった声が出ております。自己推薦の自己評価実績の欄には、「自分の管理職としての適性等を記入せよ」とあります。自分は人格識見ともに教頭になるのにふさわしいからとして自分を推薦するのであります。
 自分をアピールすることは結構だと思いますが、校長が推薦できるのは一名、自己推薦には人数に制限なしとなっております。教育委員会が任命した校長がそんなに弱いのか、魅力がないと見ているのか、信用できないのか、校長が推薦した者が合格せずに自己推薦をした者が合格した場合、校長の権威はどうなるのか、学校という組織体がどうなるのか。先生方は校長の指導に従いますか。さらにうがった見方をすれば、自己推薦の裏には何かがあるのですか。私のような梅農家の者には全く理解に苦しみます。現場の先生方は、県教委が任命した校長が弱いから信用できずにこのようなことをするのだと言って笑っていますが、教育長の考え方を伺います。
 次に、市町村教育長との関係であります。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第三十八条に、県教育委員会は市町村の内申を待たずに教職員の任免、その他進退を行うことはできないと書いておりますが、最近の県教委の人事を聞きますと、市町村の小中学校の校長・教頭等の採用や異動については、市町村の内申どころか県が一方的に登用したり異動したりしており、市町村の教育委員会は戸惑っていると聞いております。市町村教育長は、なぜこのような人が自分の町の小中学校の校長にかということが多々あり、市町村教育長は、自分の町の教育委員会に説明ができないと言っております。
 私の手元にある資料では、平成十五年度末の異動では五十名近くの校長・教頭が広域人事という美名のもとに、その管理職がどんな人物なのか市町村教育長が全くわからず受け入れさせられています。
 今、県教委は市町村の内申権を無視し、服務監督権のみを強要しています。県教委は、一方的に行った校長・教頭でもし学校に問題が起これば市町村教育長の服務監督が悪いからということになります。
 県教委は市町村の教委と対等平等の関係にあると聞いております。県教委への権力の集中を行い、何ゆえ市町村教育委員会をこのように軽視していくのか、各地方教育事務所から一名ぐらいの人事主事を県教委に来させて人事異動事務をしていると答えるかもしれませんが、各地方の小中学校の実態を一番理解しているのが市町村教育委員会や教育長であります。これらを何ゆえ軽視するのですか。これで和歌山県の教育が正常化し、充実していくと思っているのですか。県立学校長や市町村教育長を軽視し、権力を集中していく県教委の姿勢、絶対に服従を強いていく姿、私が質問した四点をそれぞれつないでみてもこのことが十分にうかがえますし、これが七年間の長きにわたった県教育長の姿勢と受けとめても間違いないと思います。
 自己推薦制、市町村教育委員会との人事を含めた関係について説明を願うとともに、私の質問したこれらの四点を踏まえて県教育長の和歌山県教育への思い、教育理念を伺います。この本会議でこのような質問をしなければならないことを残念に思いながら、一回目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの坂本登君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌山県の誇る農産物、ミカンでありますとか梅でありますとかカキでありますとか、こういうふうなものに付加価値をつけてどんどん売り出していこうという御提言でございます。
 特にその中でも今現代人に非常に関心の深い健康志向食品、こういうふうなものを和歌山県立医大の医学の力と結びつけて非常に値打ちのある品をつくっていったらきっと和歌山県の農産物がよく売れるだろうというお話、私も全く同感でございます。
 現在までにも県立医大では、例えば梅肉から、これを利用しまして産業界と連携してピロリ菌というのをやっつけるような、抑制するようなものをつくるようなこともしておりますし、現在はカキ酢から、これが健康に効くということで新しい製品を生み出すというふうな努力をしております。
 県立医大以外にも、例えば青ミカンを利用していろいろなものをつくろうとか、それから北山村のジャバラでありますとか、こういうふうなもの、本当に特にインターネットとかいろんなことで売買ができますのでよく売れるというふうなことがあります。
 県立医大も今後独立行政法人になっていくというふうなことで、やはりこういうふうな面にももっと力を入れていく必要があると思いますので、県としても御提言を踏まえてこの辺力いっぱい頑張っていきたいと、このように思っております。
○副議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育に関する四点の御質問についてお答えいたします。
 まず学校評議員は、保護者や地域住民の意見を反映させるとともに、さまざまな提言を通し、特色ある学校づくりを初めとする校長の学校運営を支援していくところにねらいがあります。県内の多くの学校ではこの制度を積極的に活用し、例えば評議員による授業参観、教職員との討論会、地域の美化活動、通学マナーの改善、学校図書館の一般開放等のさまざまな実績を上げてくれているというふうに思っております。今後、より実効ある学校評議員の活用に向けて指導してまいります。
 次に、学校での禁煙についてでございます。
 喫煙が健康に及ぼす害は、従来からWHO(世界保健機関)や厚生労働省、さらには医学界などからも繰り返し指摘されてきております。また、子供たちの喫煙は健康上さらに重大な影響を与えることから、小学校から高等学校まで喫煙防止教育や禁煙指導を実施しているところです。そうした中、学校敷地内禁煙も三年目を迎え、本県の取り組みは全国に広まり、評価を受けているというふうに思っております。
 学校内で教職員に喫煙を認めることは、一見思いやりのようにも見えますが、結局は健康上極めて有害であり、子供たちに与える影響も無視できないことから、今後ともノースモーキングエリアの趣旨を徹底してまいりたいと考えております。
 あわせて、たばこのニコチンには強い依存性があることから、教職員への禁煙サポートもさらに充実する必要があると考えているところでございます。
 次に第三点目の高等学校再編整備計画案についてですが、このたびの再編案は、木下議員、雑賀議員にもお答えしましたように、長期にわたる大幅な生徒減の中で広い視野に立って将来を見据え高等学校の教育環境の充実を図る観点から、第一期計画案として作成したものでございます。
 本県では、これまでも社会の変化や生徒の進路希望、学習ニーズに対応して多くの学科改編や総合学科の設置、あるいは中高一貫教育の充実等に努めてまいりました。このたびの計画案は、こうした高等学校改革をより一層推進していくといった視点を大切にしながら生徒の生き生きとした高校生活を保障するために必要となる施策として取りまとめたものです。
 現在、パブリックコメントを実施しているところであり、寄せられた御意見や関係の皆様方との協議を深める中で最終的な案を取りまとめていく予定としております。
 これまで各校が取り組んできた中高一貫教育や単位制など、さまざまな教育活動の成果や伝統を十分に生かすことができるよう知恵を絞りながら学校づくりをしていかなければならないと考えておりますし、教育委員会としてもそのための支援を行ってまいりたいと思います。
 最後に、管理職選考検査に関してお答えいたします。
 学校の管理職としてふさわしい資質、能力、適性等を備えた人物を選考するために、従来からの校長推薦に加え、対象となる教職員の範囲を広くし、機会を拡大するとともに教職員の意識の高揚を意図して行ったものであります。
 また、小中学校の教職員の人事異動に関しましては、市町村教育委員会の教育長と十分協議し、内申を受け、全県的な視野に立ち適正な人事行政を行っているところでございます。
 今後とも、市町村教育委員会と連携した教育行政を行うことが重要であると考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「教育長、答弁漏れあり」と呼ぶ者あり〕
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れがあるようですので、当局の答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 答弁漏れの点は、最後の部分の坂本議員のお尋ねのところであろうかと思います。
 さまざまな問題点が教育界に現在もあることは十分承知しております。その中で教育が果たす役割、社会の基盤をつくっていくという意味から、より多くの関係の皆様方と連携をしながら教育行政を進めていくということは当然のことでございまして、るる御指摘いただきました点を十分に受けとめ、社会の変化に対応しながら、なおかつ教育が一貫して守っていかなければならないものを見詰めながら、特に関係者、教育の最前線で頑張っている校長さん方、PTAの皆さん方、学校評議員、市町村教育委員会の皆様方との連携をこれまで以上に強化しながら取り組んでまいりたいと。これが私の県の教育を進めていく上での理念と言えば言えるものでございます。御理解を賜りたいと思います。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「答弁漏れあり」と呼ぶ者あり〕
○副議長(向井嘉久藏君) 坂本議員に申し上げます。
 それでは、答弁漏れの箇所を御指摘願いたいと存じます。
 十二番坂本 登君。
○坂本 登君 議長、教育長に質問要旨すべて渡しています。だから、教育長、私の質問をきっちり読んでいただいてないということが言えるんと違いますか。教育長にちゃんと読んで答えてもうてください。
○副議長(向井嘉久藏君) 坂本議員に申し上げます。
 今、通知してあるということでございますが、答弁漏れの箇所を御指摘いただければありがたいのですが。
 十二番坂本 登君。
○坂本 登君 私の質問の四点を踏まえ、教育長の和歌山県教育への思い、教育理念をお伺いしましたが、何ら答えていない。
 二、教頭の自己推薦について、現場の先生方は県教委が任命した校長が弱いから、さらに信用できないからこのようなことをするのだと笑っているが教育長の考えを聞きたいと言っているのに、何も答えていない。
 三番目、教育長みずからつくった単位制大成高校、連携型中高一貫教育や単位制の古座高校は魅力のない学校と受けとめてもよろしいか伺いますに対しても答えていただいておりません。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいま坂本登君から三点にわたって答弁漏れがあったという御指摘であります。これについて答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ただいま御指摘いただきました三点のうち第一点は、先ほど私申し上げたつもりでございますが、不十分であるということであろうかと思いますので、もう一度改めて、少し言葉をつけ加えて申し上げたいと思います。
 和歌山県の教育は、豊かな自然やいろんな人たちの手づくりの教育というよさを持って今日まで来ているというふうに思っております。これを全国一律の画一的なものに埋没しないように、いろいろな知恵、今までの歴史というものを大事にして取り組んでいきたいと。そのためには、教育界にともすれば昔の習慣をそのまま踏襲すればいいのではないかという考え方もないわけではありませんので、そういうことについてはやはり改革をしていく必要があるというふうに思っております。
 それから第二点目の、教頭推薦の自己推薦でございます。
 これは、確かに校長推薦で今まで有為な人材が管理職になってきていることは間違いありませんが、その中にどうしても入り切らないような、まあある意味では型破りのような人材も時には教育界にとっては大きな活力になるということもあり得ますので、その範囲を広げたということでございます。
 ただ当然、一定の資格、要件がありますから、だれでも何でも何十人もということにはならないのは当然のことでありまして、校長が弱いから云々ということは全くございません。
 それから、今回の再編整備計画の中でいろいろ御指摘がございます大成高校や古座高校については、議員おっしゃるとおりで、非常によく頑張ってくれている面はございます。大成は単位制、古座は中高一貫。しかし、そういうことを十分認めた上で、私どもの課長も現場というか現地の地域の説明会でも申し上げたように、大変な大幅な生徒減という中で一定の規模を確保していかなければ切磋琢磨も活力も生まれてきにくいということの中から苦渋の選択として統合案を作成しているところでございます。その中で、今までの教育活動の伝統やよさや特色は生かしていける、また逆に言えば生かしていかなければならないという課題を我々は持っているし、学校関係者とも十分話し合ってまいりたいというふうに考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「答弁漏れ」と呼ぶ者あり〕
○副議長(向井嘉久藏君) 坂本議員に申し上げます。
 それでは答弁漏れの箇所を、恐れ入りますが、御指摘願いたいと思います。
 十二番坂本 登君。
○坂本 登君 私、先ほど答弁漏れのとこで言っていますけれども、いろいろとつけ加えて言っていただいたんですけれども、教育長の気持ちをはっきりと言ってくれてないなあということが第一点であります。まあ時間もございませんから、この件については、私も今文教委員会に入っているんで、この点を文教委員会でまた徹底してやらしていただきたいと思います。──時間ないというさかいに、ほんなら。
○副議長(向井嘉久藏君) 再質問を許します。
 十二番坂本 登君。
○坂本 登君 知事さん、答弁ありがとうございました。
 再質問をさせていただきます。
 ノースモーキングエリアについて。現場の先生方は校門の外に出てたむろしてたばこを吸っているから、せめて喫煙コーナーを設置してと提案しているが、ノースモーキングエリアを徹底しますとの答えであります。県教委の学校の先生に喫煙の場所を与えないのは、なぜか。先生方は学校を離れて違う場所でたばこを吸い、もしその時間に生徒が事故を起こした場合、どうなるのか。教育長に先生方のたばこを吸わせないという権限がどこにあるのか。
 二番目、大成高校への体験入学した中学生の作文についてどう思いますか。体験入学に参加した生徒は中学校の担任に「もう行く学校がなくなった」と泣いて訴えているが、教育長の所感を聞きたい。
 三番目に募集停止について。これだけ議論になっているのについて、委員長として委員会でどんな議論をしたのか、一回伺いたい。そして、先ほどちょっと教育長さんからいろいろと──その評議員の活動ですけれども、この活動を先ほど聞いてみますと、「評議員による授業参観、地域美化活動、通学マナーの改善、学校図書館の一般開放等を実施しているところであります。今後より」て、こう今説明してくれたんやけども、教育長、この評議員というのは何をするんですか。学校の美化運動したり図書やとか、PTA活動と、それちょっと勘違いしてるんと違うんか。僕らも県Pの会長もさしてもうたけれども、これはPTAの活動にしかすぎないように思います。
 そして、「生徒が生き生きとした学校生活を保障するための必要となる施策として取りまとめたものです」て書いてあるけど、これ、さっき僕も質問したけども、学校をつぶすことかいと、僕に言わせたら聞きたいんよ、ほんまに。
 そして、ここでちょっと──そうやな、ここの「伝統を十分に生かす」ということかな。そして、十二年につくった大成やらよ。古座高校、四年前に中高一貫単位制つくって、これつぶして、そのやったやつを生かして前へ進んでいきたいて言うんやろ。これが生きた──もう時間ないんかよ──もっと生かせるんだったら納得するんですけどね。もうつぶすしかやと。自分でしたやつつぶしといて、それを参考にて納得いかん。──もう時間ないんで、ちょっと行きます。
 禁煙サポートていうていろいろ努力してると言うけど、今まで何したんか。分煙するとこをつくるのも第一段階のサポートではないんか、一回聞きたいと思います。
 外で格好悪いことを──さっき「子供たちに悪い影響」て言うてましたけどね、外でたむろして先生がたばこ吸うたり車へ行って吸うたり、その影響の方がもっと悪いと。だから、それ、離れて何か学校で事故起こったときに何とするんよという。そういうことを、何ていうんかな、禁煙サポートというて取り組むんやと。そういうことを話することが禁煙サポートやと、僕思うんですけどね。違いますか、皆さん。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)私はそのように思うてるんですよ。もうちょっと教育、しっかり頑張ってもらわなね。──もう時間ないさかい言うけどね、この後は文教委員会で徹底的に審議せなんだら、こんなんおさまりませんわ。皆さんどう思いますか、これ。
○副議長(向井嘉久藏君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 何点かにわたる再質問にお答えいたします。
 まず、学校評議員の役割。これは、学校運営に対して非常に幅広い見地から活発な意見の提言をしていただくというものが基本でございます。先ほど紹介しましたのは、提言の結果実現して学校が取り組んでいる事例を紹介したわけで、評議員さんが美化活動そのものを行うという意味ではございません。
 それから、学校では評議員さん方が非常に熱心に学校のためにということでやってくださっておりまして、PTAとはまた違う立場で、地域のすぐ学校の近くの方もいらっしゃいますし、職業もさまざまな方にお願いしております。
 それから、禁煙サポートの件でございます。これは、健康上にやはりさまざまな影響が及ぶということで、医療的な立場からのサポートを中心に禁煙外来の紹介とかさまざまな研修会とかいうものを行いながら、できることならたばこを吸わなくてもいい方向へいってもらえればありがたいですよという趣旨のサポートを行っておるところでございます。
 大成高校を希望する生徒の作文については、そういう体験入学の時期と再編計画の発表の時期とが前後したということについて、本会議の最初のときに木下議員の御質問にも同種のことがございましたのであわせてそのときに申し上げたとおり、残念であり、申しわけなく思っているという気持ちを申し上げたところでございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 坂本議員に申し上げます。残りが十一秒となっておりますが、再々質問はございますか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──ないですね。
 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきまして、一般質問を行います。
 まず最初に、三位一体の改革と行財政運営についてであります。
 今年度当初予算は、三位一体の改革の初年度の予算でもありました。しかしその内容は、地方六団体が指摘するように国の財政再建のみを先行させたもので、地方分権改革にはほど遠い内容であり、国と地方の信頼関係を著しく損なう結果となったものでありました。全国ベースで国庫補助負担金の削減一兆円、地方交付税の削減二兆九千億円に対して、国から地方に移譲された財源は所得譲与税四千二百五十億円、税源移譲予定交付金二千三百億円というもので、単年度で地方自治体の財源が一挙に三兆円余りも減少となりました。基本的な税源移譲を先送りにして、教員の退職手当、公立保育所の運営費など教育や福祉にかかわる義務的経費である国庫負担金・補助金が廃止をされ、その上、臨時財政対策債を含む地方交付税が前年比一二%削減されたことは、自主財源に乏しい自治体ほどその影響は大きいものとなっています。本県では、臨時財政対策債を含む地方交付税が前年当初比で二百八十六億円の減少となり、人件費、事務事業や公共事業などで百六十二億円をカットし、それでも財源不足を補うため県債管理基金から九十四億円の繰り入れをしております。県内の五十市町村すべてが交付税の交付団体であるわけですが、前年比で減少し、総額でマイナス九・二%、百十三億円もの減額となっています。
 ことし七月、県は三位一体の改革が及ぼす県財政及び市町村財政への影響額の試算結果を発表しました。それによりますと、ことし六月に発表された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四」、骨太の方針第四弾でありますが、その方針も加味して十七年度、十八年度──来年度、再来年度は、地方交付税についてはマイナス六%の減額と推定、県への影響額は十七年度でマイナス百十五億円、十八年度でマイナス百八億円、県内五十市町村では十七年度はマイナス七十五億円、十八年度でマイナス七十億円と試算、国庫支出金の廃止・縮減と税源移譲では県下全体でマイナス百二十億円、義務教育国庫負担制度の廃止により県はマイナス六十億円の影響と試算をしております。その結果、県は歳出削減努力を行っても十九年度には財政再建団体に転落、市町村は現状のまま推移すると十八年度には二十二団体、十九年度には四十二団体が財政再建団体に転落するという試算になっています。
 地方交付税額の根拠や歳出の見積もりなど試算の条件設定が違えば、当然、結果は異なってきます。県が試算したような悲観的なシナリオから楽観的なシナリオまで幅を持って描き分けることはできるものですが、景気の回復基調や現在の国、地方の持つ債務残高を見れば、決して楽観的な見通しはできません。また、県が発表した試算として、今回の試算はそれなりに重みがあります。
 県の試算を前提に考えますと、これから本格化されようとする三位一体の改革とは一体何を目指しているのか。このまま進めば地方自治体の自立と自治そのものを脅かし、地方分権の趣旨に逆行するものになるのではないでしょうか。三位一体の改革は、地方分権の理念の実現と地方自治の発展を保障するための財政基盤づくりではなかったのでしょうか。もともと脆弱であった地方税など自主財源を中心とする財政基盤をより充実させ、自治体の創意と自主性の発揮で住民生活の安定と福祉の向上を目指しつつ持続可能な財政構造をつくり上げていくことにつながらないと三位一体の改革の意味がないと思います。
 ことし六月に発表されました「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四」、骨太の方針第四弾で、政府として目指すところの三位一体の改革についての方向性が明らかにされています。取り組む期間とされた平成十六年度から十八年度までの全体像をことしの秋に明らかにし、十一月中ごろまでということですが、年内には決定をする、全体像では、十七年度、十八年度に行う三兆円程度の国庫補助負担金改革の工程表、税源移譲の内容及び交付税改革の方向を一体的に盛り込む、税源移譲はおおむね三兆円規模とし、地方公共団体に対して国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるよう要請する、としました。この政府からの要請を受けて八月に、全国知事会が中心となって地方六団体が「国庫補助負担金に関する改革案」、副題として「地方分権推進のための三位一体の改革」を提案しました。そして、地方分権改革の本旨に沿った改革を行うよう強く求めています。提案の前提条件として、税源移譲との一体的実施、確実な税源移譲、地方交付税の確実な財政措置、施設建設に対する経過的財源措置、地方への一方的な負担転嫁の禁止、地方公共団体の意見を反映させること、こういう内容を前提条件としているわけですが、実際にこの前提条件が満たされるのかどうか、満たされなければどうするのか。これからがまさに正念場でもあります。
 一方、骨太の方針第四弾は、「地方行革を一層推進させること」として、事務事業のアウトソーシング、指定管理者制度の積極活用、公営企業の民営化や民間譲渡、公務員給与の適正化の推進など、地方財政のさらなる歳出削減を求めるとしています。また、政府の平成十七年度予算の概算要求に当たっての基本的方針でも地方財政計画の歳出規模の抑制が掲げられ、地方交付税総額を抑制することが明記をされています。一層の地方財政へのしわ寄せとなり、県民の暮らしにとってもより厳しいものになるのではないか、大いに危惧をするところです。
 近年、政府によって市町村合併に対する知事権限の法定化や都道府県の合併も特別立法から議会議決へと簡素化し、より広域な地方行政を目指す地方自治制度の改革や地方独立行政法人法、指定管理者制度や構造改革特区による規制緩和など、行政のシステム、また地方公務員制度の改革、そして地方財政制度の改革が同時に、しかも一気に矢継ぎ早に進められています。こういった改革を、好むと好まざるにかかわらず住民の利益、福祉の向上に結びつけられるように使いこなしていくことが求められています。地方財政が一層の厳しさを増すもとで、よほど明確な地方自治の理念とビジョンを持ち、県民に働きかけ続けない限り、自治体の存在意義、公共性そのものが問われることになってくると思うところです。
 そこで、知事、関係部長にお尋ねをいたします。
 一つは、三位一体の改革の初年度は、国庫補助負担金の大幅カットと不十分な財源の移転、一方的な地方交付税等の削減が進められ、事務事業の大幅な削減と基金からの財源を取り崩して予算収支の帳じり合わせを強いられました。到底、地方分権型の予算と呼べるものではなかったと思うんです。そこで、来年度予算編成の基本的な考え方を知事にお尋ねをいたします。
 歳入予測の未定要素が随分と多くあります。緊縮型になるのではないかと思うわけですが、しかし雇用や産業振興、少子高齢化や社会保障福祉関係予算の自然増への対応など、県民生活向け予算は確実に確保しなくてはなりません。起債残高をふやしたり基金からの多額の取り崩しは、後年度に財政負担を強いることになります。国庫補助負担金はカットされる一方で、税源移譲がおくれ、地方交付税も削減されては今年度より大変なことになってまいります。今後の予算編成のスケジュールも含めてどのように考えているのか、知事の見解をお尋ねいたします。
 次に全国知事会の提言について、三点にわたって知事にお尋ねをいたします。
 一つは、国庫補助負担金の廃止・縮減の具体的メニューを地方から国に示したわけですが、事は全国の地方財政全体にかかわる問題でもあります。これまで知事会は満場一致、一致点で進めることが慣例であった、そういうふうにも聞いておりますが、今回、反対意見の知事も一定あるように聞いております。それが多数決で決められましたが、その経緯、その点はどのように考えているのか。
 二点目に、国の要請に従って国庫補助負担金削減のメニューづくりを先行させたわけですが、国からの税源移譲の規模と内容を先に決定し、それに見合った国庫補助負担金を廃止・縮減してこそ自治体の自主的行政運営の拡大が図られるのではないでしょうか。やり方が逆ではないかと思えるわけですが、いかがでしょうか。とりわけ財政力の弱い本県にとって、県の試算にあるように国庫補助負担金のカット額と税源移譲額とが乖離をし、一般財源をより義務的経費に当てなくてはならなくなります。ひいては財政の硬直化を招くことになりはしないのでしょうか。商品は先に渡したものの値段は先方がつける、こういうことになりはしないのでしょうか、お尋ねをいたします。
 三点目に、義務教育費国庫負担金制度の廃止が自治体側から提案をされました。知事は、人件費は自治体で持つべきとの見解のようですが、義務教育は憲法において保障されているように、全国どの地域でもすべての子供たちに無償で公平に与えられるものであり、教育の機会均等と教育水準を維持するために国の責任を明確にするための負担金制度でもあると理解をするものです。生活保護や保育所など、国の責任で全国的に標準行政水準を維持すべきものと思うわけですが、今回の全国知事会の提案で国と自治体の役割分担がどのように明確にされたのでしょうか。
 以上三点、第一問とあわせて知事にお答えを願います。
 次に、今後の三位一体改革の見通しについて総務部長にお尋ねをいたします。
 どう進めていくのかということです。確たる財源保障の見通しはあるのでしょうか。本県の財政力指数の低さから見て、税源移譲の見込みと財政に与える影響、地方交付税の見通しなど、どういう見解を持っておられるのでしょうか。
 特に、地方交付税の縮小案が国庫補助負担金の廃止案と別個に国で議論がされています。地方交付税の削減を突出させ、地方財源を大幅に削減させることにつながらないか、危惧をするところです。財政制度審議会や経済財政諮問会議の民間議員が、地方交付税は地方財政の肥大化をもたらし、モラルハザードを招いたと攻撃を集中させています。しかし問題は、地方交付税制度にあるのではなく、主には国によって起債を事業費の九〇%から一〇〇%認め、その元利償還は後年度全額交付税措置するからということで建設事業拡大の補助金のように財政誘導に使われたところにあります。それに乗った行政当局の責任も、もちろんあります。地方交付税は自治体間の財源格差を調整する役割もありますが、基本的には、自治体が全国の標準的な行政水準を維持するための国税から地方への財源移転という自治体固有の財源でもあります。交付税総額について、十六年度の大幅削減前の水準を確保できるよう特別な働きかけを行うべきではないでしょうか。これも、総務部長から答弁をお願いします。
 次に、十六年度から二十年度までの五年間を財政改革期間とし、財政構造改革プログラムを早急に策定するということです。その理念は何か。選択と集中による事業の再構築や公共事業改革に取り組み、財政的な自立を目指すと言われていますが、その内容を具体的にお示しください。単なる経費削減の計画になることはないのか、地域づくりや町づくりの理念やビジョン、方向性が示せるのか、県民にとって希望の持てる財政構造改革プログラムとなるのか、住民の声や職員の現場の声がどのように反映されるのか、あわせて総務部長にお尋ねをいたします。
 この問題の最後に、三位一体の改革と市町村財政についてお尋ねをいたします。
 三位一体改革による市町村財政への影響額を試算し、発表したその目的は何か。各市町村と発表することについての調整はされているのか。三位一体の改革の全体像が明らかになった時点で再度試算をするのでしょうか。これも総務部長から答弁をお願いします。
 そして、今後の市町村への対応をどのようにしていくのかということです。市町村財政への影響試算のまとめで、市町村に歳入歳出の徹底的な見直しや行政の責任領域の見直し、市町村合併の推進を強調しております。すべて市町村に向けてのアピールとなっていますが、県として、じゃどれぐらい汗をかくのか。県として市町村と一緒になって財源確保のための国への働きかけはしないのでしょうか。これは総務部長からお聞きをします。
 次に知事に、この市町村への対応について二点お尋ねをいたします。
 合併するしないにかかわらず、やはり市町村への財政的支援が必要だと考えます。市町村あっての県でもあります。市町村への県補助金などの財政支援策の充実を考えておられるのでしょうか。ここで言う補助金は、決して財源補てん的な経常収支の赤字を埋める、そういう支援ではありません。市町村がこれから厳しい財政状況の中で特色ある施策、独自性を打ち出して自立を目指していくための支援策という積極的な支援策を指します。合併する自治体に対しては一億円の特例支援交付金が地域振興基金で準備をされています。合併せずに自立を目指す自治体でも、合併した自治体以上に独自性の発揮が求められるのは当然のことです。そこでも、同じように県民の生活があるわけです。同じように支援が必要なのではないでしょうか。知事に考えをお尋ねいたします。
 次に、これも知事に考えをお聞きしたいわけですが、市町村に対して、県が施行する土木事業など建設事業に伴う負担金が工事による受益を理由に徴収されています。今年度当初予算を見てみますと、五十市町村すべてに四十二億八千万円の負担金が課せられています。全国知事会は国直轄事業について、地方公共団体に個別に負担金を課すことは不合理として廃止を提案しています。県の負担額は本年度当初で約百三十億円、維持管理費についても管理主体が負担すべきとして、これも全国知事会は廃止を提案しています。県の建設事業も、県土保全という県が主体となる施策について市町村に負担金を課すことは財政負担の市町村への転嫁とならないでしょうか。縮減・廃止の方向が当然考えられるべきだと思うわけですが、いかがでしょうか。
 ちなみに、平成十六年度市町村向け県単独補助金は、百十八事業で七十五億二千万円です。その多くは、福祉、教育などソフト関係の補助金です。ハード面での建設事業関係の補助金は二十五億円から三十億円ぐらい、このように試算ができるわけですが、これでは県の市町村への単独補助より市町村が県に負担する金額の方が多くなっています。それに、負担金の多くが市町村の財政力にかかわりなく一律の負担率となっていることも問題です。財政力に応じた負担率にするなど、工夫することもできると思われます。あわせて知事の考えをお尋ねいたします。
 通告の二番目に、南海貴志川線の廃線問題についてお尋ねをいたします。私は、この問題は鉄道の存続を求める立場から質問を行います。
 南海電鉄がことし八月十日に貴志川線の事業から撤退を表明しました。事業廃止届を十月一日に国に提出し、来年九月末に事業から手を引くということ、また南海和歌山市駅から和歌山港駅までの途中三駅も来年度中に廃止することを明らかにしました。和歌山港駅から水軒口までは既に廃線となっています。
 本県における鉄道網は、紀の川流域に沿って東西を結ぶ幹線としてJR和歌山線が、海岸沿いに南北を結ぶ幹線としてJR紀勢線が、大阪都市圏との間を結ぶ幹線としてJR阪和線があり、南海本線が和歌山市駅と難波間、南海高野線が極楽橋から橋本市を経て難波間をそれぞれ結んでいます。このほか、和歌山市には南海電鉄の加太線、和歌山港線、貴志川線が、御坊市内には紀州鉄道が、それぞれ幹線から枝分かれして市街地内の鉄道網を担っています。内陸部に向かっての鉄道網はなく、民営の乗り合いバスが公共交通機関の主役となっています。
 大正五年開業の野上電鉄は平成六年三月末に廃止、大正四年開業の有田鉄道は平成十五年一月に廃止、それぞれ九十年近い鉄道の歴史を閉じてしまいました。
 県企画部交通政策課が発行している資料集で、県内旅客流動量の交通機関別分担率を見てみますと、昭和五十五年、今から二十四年前ですが、鉄道が県内の全旅客数のうち担っている割合は二〇%でした。ところが、平成十二年度では六%に、乗り合いバスは一二%が二%に、一方自家用車は五五%が八八%へと、とりわけ六十年代に一気にモータリゼーション化が進んだことがわかります。タクシー、乗り合いバスを含めた自動車総計では九三%と、圧倒的に県内の交通機関を制することになっています。
 モータリゼーションは、確かに生活の自由度や利便性を高めました。しかし一方では、高速道路網を初め幹線道路の整備に莫大な費用を費やし、交通渋滞、交通事故、駐車場問題や排気ガスによる大気汚染、地球温暖化など、社会問題を引き起こしています。本県でも、地球温暖化防止対策の一つとしてノーマイカーデー運動が取り組まれたところでもあります。さらに、モータリゼーションは、鉄道、乗り合いバスなどの公共交通機関の衰退をもたらし、高齢者や子供の移動手段に大きな影響を与えることにもなっています。モータリゼーション社会が進む中で今回の南海貴志川線の廃線問題は、都市での公共交通のあり方について、自治体の役割は何なのか、改めて考えさせられることとなりました。
 南海貴志川線が廃線になると一番困るのが、通学手段、交通手段を奪われる学生や高齢者など、みずからの移動手段を持たない交通弱者と言われる人々であります。職場と住居の分離が徹底し、郊外に公営住宅や民間住宅の開発が進み、学区制の撤廃など通学圏の広域化もあわせ、生活空間が膨張してきた今日、交通は市民の基本的な生活条件の一つともなっています。
 県の交通関係の財政支出の中で中心となっているのが、京奈和自動車道などの高規格道路から、国道、県道を初め港湾、空港などの幹線網整備とその維持費、環境保全のための対策費などです。
 鉄道については、直接的な予算措置は駅舎のバリアフリー化や紀勢線へのトイレの設置などが近年見受けられる程度です。鉄道についても、生活交通の手段として、また良好な社会資本として町づくりを進める上での鉄道の価値を見出し、交通ネットワークづくりの動脈として位置づけていくことが必要ではないでしょうか。
 廃止されようとする南海貴志川線についても、一たん廃止されて放置されると、新規開業には莫大な費用が必要となります。貴志川線は、九十年という歴史の中で、地域の努力によって守られてきた財産でもあります。失ってしまうことは地域社会にとって大きな損失でもあります。良好な社会資本として残していくことを求めるものです。
 貴志川線は、利用客が減ったとはいえ、年間二百万人近い人が利用し、輸送密度──一キロメートル当たり一日の平均輸送人員のことですが──平成十四年度で三千百二十九人となっています。中小鉄道の全国平均での収支バランスのとれる点は輸送密度二千人以上が目安となっていることから、存続は十分可能な路線と言えます。
 貴志川線と並行して走る県道秋月海南線、ピーク時の通行台数は時間当たり六百八十六台、走行速度時速十三キロ、県道和歌山橋本線はピーク時八百十台、走行速度二十三キロと、大変な混雑ぶりです。バス転換はおよそ非現実的なものではないでしょうか。鉄道を存続させ、最寄りの駅への駐車場整備や駅を中心とした町づくりが進めば貴志川線利用者もふえることは間違いがありません。
 そこで、知事並びに企画部長にお尋ねをいたします。
 一つは、県の交通政策の基本方針はどういうものでしょうか。高速道路を軸とする幹線整備に重点が置かれているように見受けられますが、高齢化社会への対応や地震など災害に強い町づくりを進めるためにも、都市計画街路、バイパス道路、踏切の改良、歩行者・自転車のための段差の解消や歩道整備、地方道の整備など、日常生活を重視した日常生活重点型の交通政策がより求められてきていると思うところですが、知事の見解についてお尋ねをいたします。
 また、交通弱者と言われる高齢者、障害者、学生や子供などの交通権確保に対する県の責任をどう考えているのか、あわせてお答え願います。
 二番目に、南海貴志川線のこれまで果たしてきた地域での役割、位置づけをどのように考えているのか、企画部長にお尋ねをいたします。
 また、貴志川線廃線問題への対応で県の果たす役割をどのように考えているのか。環境問題や福祉の問題、町づくり等の観点から鉄道社会資本として残し位置づけていくこと、そしてそのために県の役割、これを明確にすることが今求められているのではないでしょうか。企画部長の答弁を求めます。
 次に鉄道の政策的優位性について、鉄道の果たす便益性──便利で利益があるということですが、これについてどのように評価をされておられるのか。地域における社会基盤としての鉄道の価値をどのようにして、一般的にではなく具体的に認識をしていくのかという問題です。
 自治体が鉄道に対して前向きの対応をしていくためにもぜひ必要なことだと思います。安全かつ確実な輸送サービスの提供を受けるという利用者が享受をする便益、環境、エネルギー消費での優位性、駅周辺の土地利用計画、道路混雑の緩和など、社会にもたらす便益性を明らかにしていくことが必要です。また、鉄道からバスに転換することによる経済的損失、これも測定をすることが必要だと思います。便益性評価の手法については、既に国土交通省運輸局の鉄道プロジェクトの費用対効果分析マニュアルを初め、定量的手法が既に幾つか確立をしています。金額にあらわしていくことができるものです。
 鉄道を残すかどうか、その判断基準の一つに採算性が強調されがちですが、それももちろん大事な問題ではありますが、自治体が判断をする上で鉄道のもたらす社会的、経済的便益性もきちんと評価をしておく必要があると、そのように考えるからであります。
 この問題の最後に、知事にお尋ねをいたします。鉄道の存続を求める二十五万筆を超える声からしても、存続を前提にした協議を急ぐべきではないでしょうか。貴志川線を鉄道として存続させるための方策を検討していくための庁内組織づくりについてどう考えておられるのか、知事の所見をお尋ねをいたしまして、私の第一問を終わります。
 ありがとうございました。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 三位一体の改革についての御質問でございます。
 まず第一点、新年度の予算編成方針についてでございますが、新年度の予算編成方針については例年十月をめどに出しておりますが、平成十七年度は、三位一体の改革の動向が不透明であり、老人医療や介護保険等の社会保障関係費も増加することが予想されるため、県財政はますます厳しくなると考えられます。したがって、平成十七年度予算においては徹底したスクラップ・アンド・ビルドによる行財政改革を進める必要があると考えておりますが、一方で県内経済や雇用への配慮を行いながら県民が安心して暮らせる和歌山県づくりに取り組んでいく必要があると考えております。さらに、三位一体の改革が進む中で、地域の自立につながる地域活性化策にも積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 次に全国知事会の提言についてでございますが、三位一体の改革は、地方分権を推進するために地方財政の自立度を高める改革であると考えております。国庫補助負担金については各知事によっていろいろな考え方があり、白熱した論議がなされました。結果として多数決で決めることになりましたが、全国知事会として初めて夜十二時を回るまで議論をしており、また改革案には少数意見も付記するなど、議論を尽くした上での非常に民主的な決定であったと考えております。
 次に税源移譲と国庫負担金の廃止・縮減の順序ですが、そもそも今回の三位一体の改革は、骨太の方針二〇〇四に「税源移譲は概ね三兆円規模を目指す。その前提として地方公共団体に対して、国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるよう要請し、これを踏まえ検討する」とされており、さきに税源移譲が決定していることから、それに基づいて改革案を提出したものでございます。
 次に国と自治体との役割分担ですが、国が今後も引き続きどのような経費を負担すべきかについては、地方六団体の改革案では移譲対象補助金から除外すべきものとして、社会保障関係の負担金のうち格差なく国による統一的な措置が望まれるもの、例えば生活保護、児童扶養手当や、制度全般の見直しの中で検討すべきもの、例えば老人医療、介護保険のほか、国家補償的性格を有するものなど本来国で実施すべきもの、電源立地や災害復旧等を挙げており、これ以外は地方に税源移譲をするように求めているところでございます。
 次に三位一体の改革と市町村財政についてでございますが、合併の有無にかかわらない市町村への財政的支援についてでございますが、市町村については厳しい社会経済情勢が続く中で分権型社会を担う主体としての責務が増加してくることは確実でございます。こうした観点から市町村合併によるスケールメリットを生かして行財政能力を高めるということが非常に有意義であると考えており、県としては、市町村合併支援プランに基づき、合併への取り組みや合併した市町村に対し支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、合併しなかった市町村については、従来と同様に、国の制度や地方財政措置に沿いながら適切に支援を行ってまいりたいと考えております。
 県工事の市町村負担金につきましては、これまで数次にわたり三十事業について廃止または軽減を行ってまいりましたが、近年の厳しい財政状況のもと、県民の皆様方からの強い要望のある建設事業等の重点的かつ早期実現を図るためには引き続き御協力をお願いしたく、軽減についても当面は困難であると申し上げざるを得ません。しかしながら、三位一体の改革において国と地方の役割分担に関する議論がなされているように、今後、県と市町村の役割分担や経費負担のあり方を総合的に検討する中で県工事町村負担金についても検討してまいりたいと考えております。
 次に、南海貴志川線廃線問題についてでございます。
 交通政策の基本方針についての御質問でございますが、交通政策については、人・町・環境に優しい交通の実現を目指し、交通弱者に配慮した交通環境のユニバーサルデザイン化、環境に優しい環境負荷軽減の推進、安全性、利便性、快適性を高めるITの活用を基本としております。このため、これからの交通施策は、従来からのハード施策にノーマイカーデー、パーク・アンド・ライドなど、さまざまなソフト施策を連係させ、既存交通基盤の効率的な利用と環境問題への対応や町づくりとの調和など、交通分野に求められる社会的要請への対応を図らなければならないものと考えております。
 最後に、鉄道存続に向けての県の体制づくりについての御質問でございます。
 貴志川線対策協議会におきまして、貴志川線存続のため約二十五万六千人の署名を集め、南海電鉄に提出されましたが、ことしになっても利用者の減少に歯どめがかからないのが現状でございます。
 先ほど山田議員にもお答えいたしましたとおり、南海貴志川線は通勤・通学等の利用の多い生活に密着した路線であり、また鉄道は定時性、安全性に優れ、環境に優しい交通機関と認識しております。こういう認識のもとに、県としては地元の意向を十分に踏まえながら地域住民の生活交通確保のため適切な対応を図ってまいります。
○副議長(向井嘉久藏君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 三位一体の改革と行財政運営についてお答えを申し上げます。
 まず、三位一体の改革に関しての財源保障の見通しについてでありますが、本県のように財政力が弱い自治体では、国庫補助負担金の削減額に比べ税源移譲額が少ないと見込まれますので、その場合には地方交付税による調整が必要になってくると考えております。
 地方六団体の改革案では、地方の意見が確実に反映されることを担保するため国と地方六団体との協議機関を設けることを求めており、さらに税源移譲との一体的実施、確実な税源移譲、地方交付税による確実な財政措置などを前提条件としており、特に地方交付税については、改革を行っている間は昨年のような不合理な地方交付税等の一般財源を削減しないように求めております。県としても、そうした点を訴えていきたいと考えております。
 次に、財政構造改革プログラムについてでございます。
 仮称・財政構造改革プログラムは、財政再建団体への転落を回避しつつ持続可能な財政構造への転換を図ろうとするもので、平成二十年度までを財政改革実施期間と位置づけ、具体的な内容については現在検討中でございますが、例えば県行政の責任領域の見直しやNPOとの協働による事業の再構築や、公共事業におけるコスト縮減なども含めた今後とるべき財政健全化のための取り組みと歳入歳出両面にわたって目標額を示すものを策定したいと考えております。県民などの御意見も伺いながらこのプログラムを実施することにより財源を捻出して、福祉、治安、教育、地域活性化など必要な施策に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、市町村財政への影響試算などについてお答えを申し上げます。
 この試算を作成いたしました趣旨は、県及び市町村双方に大きな影響のある三位一体の改革について、骨太の方針二〇〇四に従い試算をし、県、市町村を合わせた和歌山県全体にとって具体的にどのような影響があるかを見定めることにあります。これにより、今後地方分権の趣旨に沿った三位一体改革がなされるよう国に強く訴えていく際の材料とするとともに、県及び各市町村において財政構造の転換を図っていく際の重要な基礎資料となるものと考えております。
 また、本試算はあくまで三位一体改革の県、市町村への影響の全体像をとらえるために一定の前提のもと、そのことを明らかにしながら行いまして、参考資料としてお示しをしたものであり、個別の歳出内容について個々の市町村との協議・調整を要する性格のものではないと考えております。
 なお、今後、三位一体の改革の全体像が明らかになった時点で再度試算内容を見直すことも検討してまいりたいと考えております。
 次に、今後の市町村財政への対応についてお答えをいたします。
 議員御指摘のとおり、まずは県、市町村が連携し、国に対し分権の趣旨に沿った三位一体改革がなされるよう、今回の試算等も活用しつつ引き続き強く訴えていくことが重要と考えております。
 また、今後、市町村に対しては、歳入歳出の徹底的な見直しや住民やNPO等との協働、民間活力の活用などによる行財政改革、市町村合併の推進などについて積極的に助言をしてまいりたいと考えております。
 さらに、県と市町村間につきましても、自己責任、自己決定に基づく行財政関係を構築しつつ、お互いがコスト縮減等の共通課題に連携して対処できるよう検討してまいりたいと考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 南海貴志川線廃線問題の三点についてお答えいたします。
 南海貴志川線の役割についてでございますが、南海貴志川線は和歌山市東部や貴志川町とJR和歌山駅を結ぶ重要な路線であり、通勤・通学・通院など多くの人に利用されており、地域に密着した生活交通路線でございます。鉄道の持つ定時性や大量輸送というメリットを発揮するという点では、貴志川線の存在は大きなものと認識してございます。
 次に、廃線問題に対応する県の役割についてでございます。
 鉄道の特性は、大量輸送機関であること、時間に正確であること、地域の発展に寄与していることなどが挙げられ、議員御指摘の環境や福祉、地域の社会資本、町づくりなど、いずれの観点においても鉄道が果たす役割は大きいものと認識してございます。
 県の役割でございますが、現在、県は国、和歌山市、貴志川町及び南海電鉄を交え、貴志川線存続問題について協議を重ねているところであり、県としては今後地元の意向を十分に踏まえながら、地域住民の生活交通確保のため、できる限りの協力を行ってまいりたいと考えております。
 次に、鉄道の果たす便益性評価についてでございます。
 議員お話しのとおり、鉄道は定時性、安全性の面で優位な交通機関であり、また環境面、エネルギー消費面においても、二酸化炭素排出量は鉄道が自家用自動車の九分の一と地球環境にも優しい交通機関であります。そういう意味から県ではノーマイカーデーの普及に努め、公共交通機関の利用促進を図っているところであります。
 鉄道のもたらす社会的、経済的便益性について十分認識しながら、単に採算面だけでなく、あらゆる角度から総合的に判断する必要があると考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 再質問をさせていただきます。
 知事にお尋ねをしたいと思うんですが、やはり三位一体の改革の中で、私、一番ポイントは地方交付税の問題じゃないかと思うんです。これまで経済対策ということで、公共事業を随分増発して進めてまいりました。しかし、その財源の多くが地方単独事業ということで、起債に頼ってきたわけですね。それの元利償還については交付税で措置をするからということで、随分全国で行われてまいりました。それが今、交付税総額を縮小するという話になってきておりまして、それでは、二階に持ち上げてはしごを外してしまうと、後はもう地方自治体で何とかやってよということで行財政改革を一生懸命しなさいということを国が言っているわけですから、これを、ああそうですかということで済ませるのかという問題、そこのところをはっきりしないと国と地方の信頼関係は損なわれたままだと思うんですね。そこのところをまず第一点、はっきりさせなくてはいけない。その上で、これまで国、地方の一般行政経費を見てみましても、ほとんど七割近くが地方自治体が仕事をしているんです。しかし財源は三割程度しか移転されないという問題で、これまで随分地方財政の問題になってきました。
 それが、過去をさかのぼってみますと、昭和五十年代後半に国庫補助負担金というのが八割から一気に五割にカットされるとか、一連の国が言う地方行革というのはもう二十年近く続いてきておるわけなんですよ。ここへ来て地方交付税そのものを削減するということですから、これははっきりと、これまでの国の財政運営のあり方はどうであったのか、このことをまずしっかりと反省をしてもらわなくてはいけない。その上に立って今後地方交付税をどうするのかということで交付税そのものがモラルハザード──地方財政を破綻させたという、そういう、本当に言うことを許してはならないと思うんですよね。そういう意味での交付税措置というのは必要だと私は思うんですが、その点を聞かしてほしいのと。
 それからもう一つは、今、総務部長が財政構造改革プログラムの中で、このプログラムを作成して、それで福祉、環境等々の県民生活向けの財源を捻出していくんだというお話がありましたが、いま一方で、議会では公立高校の統廃合問題が議論されておりますよね。大成高校も海南高校へということなんですが、これ、私、話を聞いていて、財政的な視点から、財政問題も絡んで高校教育に関する財源、それを統合させることによって縮小させていくというような考え方が働いているのかどうか。その点もちょっと知事に、あわせてお聞かせを願いたいと思うんです。
 それともう一点は、市町村財政、大変な状況が今から予測されるわけですが、県ももちろん市町村どころではないというお話があったと思うんですけど、しかし市町村があってこその県だと思うんですね。それを考えていく上で、今合併する市町村に対しては一億円補助金を出すと。これは、合併による需要が生まれることによっての県の財政支援ということでの補助金だと、私、理解するんですが。合併を促進するための補助金ではないと思うんですけど。もしそうだとしたら、今後一層市町村財政が厳しくなる中で、合併するしないというのはその自治体の自主的判断です。県が判断することではありません。だから、合併しない市町村があったとしても、自立を目指して頑張っていこうという決断を下した市町村があっても、県としては同じように、どの子もかわいい、こういうことで、その特色を出して頑張っていこうという市町村に対して支援をしますよという姿勢を示すべきではないでしょうか。
 その三点について知事の答弁を求めたいと思うんです。
 南海の貴志川線についてでありますが、今、知事も企画部長も、地元の意向を十分尊重してとおっしっゃたんですか、地元の意向を酌んでというお話がありましたが、地元の意向は貴志川線を残してほしいと、こういうことだと思うんですよ。そして、できる限りの協力をする、適切な対応を図ると、こういうことでありますが、そうしたら県が、やっぱり鉄道を残しておこうという決断をすることがまず必要じゃないでしょうか。その上で鉄道が果たす便益性、地域にどれだけの社会的、経済的社会資本としてこれからの町づくりにとっても期待ができるのかと、そういうところを明らかにして地元市町村にも働きかけをしていくと。そして、住民がコミュニティー鉄道としての、住民の燃え上がるような残してほしいという運動、熱意がなければという話をされましたけども、地元の住民として単純に率直に考えれば、鉄道を残してほしい、しかし私は一体何ができるんだろう、どうしたらいいんだろう、こういうところに今思いがあります。
 今、こういう、自分たちでできるところからまずやろうということで、毎月貴志川線を利用してハイキングを計画しているグループがあります。鉄道沿線の史跡を全部調べ上げて、それを廃線になるまで、来年の九月まで毎月貴志川線を利用してその史跡を訪ねて、それの内容をまた住民に返していってという運動をしているグループも出てきているわけですね。ですから、そういう本当に一人一人の市民が何をしたらいいのかというときに自治体として市民に対して働きかけをする、自治体としては残していきたい、そのためにもこういう活用の方法、こういう利用の方法ということを住民の皆さんでもというような、そういうやっぱり発信があって、ただ乗ってくれ、乗ってくれというだけではなかなか難しいんじゃないかと思うんです。そういう点もぜひ検討していただきたいと。
 時間は余りありません。この点については、朝のやりとり、議論でもありましたけど、知事の英断に期待をしたい、そういうふうに思います。
 で、三位一体の改革について知事の答弁をお願いいたします。
○副議長(向井嘉久藏君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、地方交付税についての御質問ですけれども、おっしゃるように、現在、交付税特会等々の赤字が物すごくあるのは、経済復興のために公共事業を増発して、それを交付税で元利償還を見ていくという仕組みでどんどんやったということが僕は大きな理由だと思います。
 そういうふうな中で、一応の理屈は立てながらも交付税総額を減らしてきていると、そしてそれで県も、そしてまた市町村も非常に厳しい状況になってきているというのが昨今の情勢だと思いますので、これはこの今の三位一体の改革とは別の話ですから、こういうふうなことのないように、ちゃんと約束したものは地方へ来るような形、必要な交付税総額というふうなことは確保するというふうなことを、これはもう徹底的に国に対して主張していかなければならない、このように考えております。そうしないと、財政的に弱い県とか市町村ではもうやっていけなくなってきているというふうなことが根底にありますので、このことはまあ三位一体の改革とは切り離してちゃんと要望をしていかないといかん。ともすれば、この交付税総額を減らすというふうな目的のために三位一体の改革が逆に使われるというふうなことがありますので、このようなことにならないようにしていきたいと思います。
 それから、今回の高等学校の統合の問題について財政的な問題があるのかということですけれども、この問題については教育委員会の方で教育的な配慮、それから他県の状況等々の中でこの今回の案をまとめて、そして今県民の方に諮っているというふうなことでございまして、第一義的には、派生的には、それは当然のことながら財政の問題も出てくる可能性がありますけれども、財政の問題からこういうふうな問題が起こっているということではございません。
 それから三番目の市町村財政、合併しないところについてもちゃんと考えるのが必要じゃないかと。これはもう当然のことでありまして、ただ県としては、今市町村合併をしようというふうなところについて自主的な合併を支援していくということでいろいろな措置をしているということで、まあいろんな施策があると。そして、しないところについても、当然のことながら今までどおりちゃんとやっていけるようなことはしていく、だけどやっぱり根本には今してほしいなと。してほしいけれども、これは自治体の住民が決めることだという根本の中で県は支援施策をとっているということで、合併しなかったところをいじめるとか、そこに何もしないとか、そういうふうな気持ちはもう毛頭ありませんので、この点は十分御理解いただきたいと思います。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 今、答弁いただきましたけど、確かに財政は非常にこれから厳しさが予測をされます。国に交付税を何とかせえと言ったって相手があることですから、こっちの思惑どおりで進まないというのは当然なんです。そうした場合に、今後どういうふうに行財政運営を進めていくのか。この問題なんですが、かなりの厳しさが予測をされます。そういうときに、やっぱり情報をきちんと開示をして、県民の声も十分に聞いて、その上で、独断専行ではなしにコンセンサスをとりながら進めていくということが大事なプロセスであろうと思うんです。そういう点で、これから新年度の予算編成方針等が示されて議論が進められていくだろうと思うんですが、またぜひ議論をしていきたいと思いますので、期待を損なうことのないようにしていただきたいと思います。
 終わります。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時五十四分散会

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