平成16年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(向井嘉久藏君) 会議に入る前に、議長から傍聴にお越しの方にお願い申し上げておきます。
 傍聴席からの私語、拍手等はお断りしておりますので、御協力のほどお願いいたします。
  午後二時四十九分再開
○副議長(向井嘉久藏君) それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。大変お疲れのところですが、よろしくお願い申し上げます。
 第一は、世界で渦巻いている暴力とテロの悪循環を断ち切る問題であります。
 九月初めに、ロシアで大変な悲劇が起こりました。武装勢力によって子供、先生、保護者が千人も学校に閉じ込められ、爆発物や銃撃によって五百人もの犠牲者を出した痛ましい事件でありました。犠牲者の御冥福をお祈りするとともに、武装テロ勢力を絶対に許すことはできない、こう思うわけでございます。
 アメリカの九・一一同時多発テロもそうでありましたが、こうした問題が起こったとき、テロに屈してはならないといって、テロの根源と見られる、正確に言えば、その国がテロの温床や根源だと思っている問題、アメリカの場合にはアフガンやイラクの問題、今回ではチェチェンの問題で一層強硬な武力による対応を強めるという方向が見られます。しかし、それでいいのでしょうか。私は、アメリカとロシアで起こった二つの悲惨なテロ問題を通じて考えてみたいのは、原爆や水爆まで持っているこの二つの軍事超大国がテロから国民の命を守ることができなかったこと、むしろ軍事的に他国を支配する政策をとっているからこそ、かえってテロの目標にされたという問題をどう考えたらいいんだろうか、こういう問題であります。
 今、大切なことは、いかなる理由があってもテロは許されないという国際的な世論でテロ勢力を包囲しながら、同時に武力とテロ、憎しみの悪循環を断ち切ることではないでしょうか。憲法九条というものは、世界にその方向を示していると考えるわけであります。テロに屈服するなといって軍事的対応を強めることは、問題をすりかえ、事態を一層深刻な方向に向かわせることになると思います。
 去る六月、ノーベル賞文学者の大江健三郎さん、国連婦人会の三木睦子さん、高野・熊野の問題を精神的側面から考察しておられる梅原猛さんなど九人の方が、憲法九条を守ろうというアピールを出されました。皆さんのお手元にお配りしています。全国に賛同者が広がっています。
 木村知事にお伺いいたします。知事は九人の方のアピールをお読みになられたでしょうか。お読みになられていたら、どういう感想をお持ちかお伺いしたいと思います。
 さて、第二の問題は教育の問題であります。今回は二つの問題を取り上げます。
 まず一つ目は、三位一体の改革にかかわる教育予算の問題です。
 三位一体の改革は木村知事の持論ですが、今年度予算編成に当たって、財源移譲される以上に補助金や交付金がカットされたことについて、知事は「キジも鳴かずば撃たれまいにと言う人もありますが」とぼやかれたこともございます。
 ところで、このたび八月、全国知事会は、財源移譲にかかわってどの補助金を削るかという問題を小泉首相から丸投げされて論議したようにお聞きしています。けさほどからも江上議員からも質問がありましたので、知事の答弁も踏まえて質問をいたします。
 私は、地方財政にしわ寄せをしている根本の問題を抜きにして、財源移譲を言うなら削るものを差し出せという問題の丸投げそのものもどうかと思いますが、道路などの財源であれば、国の基準に基づいてしか道路をつくらないということ、そのために交通量の少ないところに立派な道路をつくるというむだ遣いが指摘されていますから、補助金をカットして財源を移譲するという論議もあっていいだろうと思います。しかし、最大の論議は義務教育費国庫負担の問題でありました。その中身については朝からお話がありましたので、中身については省略いたしますけれども。
 ところで、この義務教育費国庫負担を廃止し、フラット税率により税源移譲を行った場合、有利になるのは東京を初めとする七つの都市部の県だけであって、和歌山では三八%、百十七億円の減収になるという試算がございます。もちろん一つの試算でありまして、さまざまな補正は行われるでしょうが、和歌山にとって有利なことにはなり得ないのではないかと心配するものであります。
 朝からの知事の答弁で、知事は「教育内容は国で決めたらいいが、教員の給与の問題は地方で持ったらいい」と言われました。私の考えでは逆ではないかと思っています。教育内容の中央集権は避けながら、お金の問題は国が責任を持つ、教育には金は出すが口は出さないということが大事だろうと思っているわけであります。
 ところで、この義務教育費国庫負担が廃止された場合、国庫負担の廃止と税源移譲の差をどうするのか。有利になった東京などは財源を当然取り込むわけでしょう。不利になる県への埋め合わせを、国の財政も大変だと言う中で食い逃げされるということはないのか。これまでの教育条件を低下させることなく、教職員の定数改善、少人数学級の推進など一層進めることができる見通しをお持ちなのかどうか、知事にお伺いしたいと思います。
 第二の問題は、高校再編の問題であります。
 これも第一日目に質問があった話ですが、八月二十六日、県教育委員会は記者会見で県立高校の再編整備計画案の概要を発表しました。パブリックコメント、県民の意見を求め、九月二十八日の教育委員会で決定するというふうにお聞きしています。特にその中で、来年度から大成高校の募集を停止し、海南高校と統合するという問題は、余りにも唐突であり、地元では大きな困惑が生まれています。高校というのは地域の文化の中心であります。子供たちの進路保障の問題であるとともに、地域の活性化、町づくりの問題としても重要です。
 私は、この計画発表直後から、野上町、美里町の行政関係者、野上・美里中学校、大成高校、大成高校OBの役員などを訪問して御意見をお聞きしてまいりました。
 大成高校では、数年前には大きな募集定数割れがあり、二次募集で学区枠を外して他地域から生徒を受け入れたこともありました。しかし、ここ数年間、学区撤廃にもかかわらず、地元野上町、美里町、そして海南市の生徒が三百七十二人のうち三百人を占めている。一年生でいえば百十九人のうち百六人が海南、海草から来ているという地元に根差した高校です。学校の様子も大変落ちついてきていると皆さん評価されます。
 こうした努力をしている学校を突然募集停止にするとはどうなのか。昨日の質問でも触れられたように、募集停止案を発表する三日前には、九十人を超える中学三年生を迎えて体験入学を実施している。夏休みには、フェンシングをやっている在校生が地元野上中学校を訪問して、ぜひ大成高校に来てください、こう呼びかけています。
 こうしたさなかの突然の発表であります。真剣に進路を考えている中学生や進路指導をしている教員の皆さんを無視した発表に怒りの声が沸き上がっているわけでございます。昨日教育長がお答えになったような、「前後したことは残念で申しわけない」では済まされないという思いがいたします。
 野上中学校では、育友会としてアンケートを実施しました。七割以上の方が提出されたそうです。育友会執行部としてアンケートを集約し、大成高校の存続を強く希望しますとして、その理由を三点挙げています。要約して申し上げれば、一、進路指導が始まった時期の発表は生徒や保護者を不安にしている、二、地域や住民の理解や同意がない、三、募集停止後の対応策が示されていない、以上三点です。そして、パブリックコメントという手段で広く意見を聞くシステムはできているが、このような重大な方針を決める前に私たち学校関係者及び住民の意見を直接聞いていただく場が設定されていなかった、このことが到底納得できないというふうにしています。
 このパブリックコメントという言葉は大変目新しい言葉なんですが、インターネットのホームページなどで公開をして広く意見を聞くという一見大変新しいやり方、しかしそのやり方にこの指摘は、血が通っていないという指摘だと思います。今日の教育問題を考える上でも大事な指摘であると考えさせられたわけであります。
 もちろん、高校進学を控えた子供たちや保護者の思いはいろいろあります。例えば、海南高校に行きたいけれども少し難しいと思っていて海南市外の高校を考えていた、しかし海南高校の募集定員がふえるんであればうれしい、こういう声ももちろんあります。しかし、何よりも大事にしてもらいたいのは大成高校を希望していた地元の中学生であり、大成高校が募集停止になれば他郡市の高校まで通わなくてはならない、場合によっては高校進学そのものを経済的理由であきらめなくてはならない子供たちの問題です。
 大成高校の募集停止をして海南高校の募集人数をふやしたら大成高校を希望していた生徒たちが海南高校に入れるかといえば、そうは限らないわけであります。きのくに教育協議会の報告書でも「小規模であっても、生徒や地域のニーズに対応した学校づくりができると判断した場合は別途検討するものとする」と記されておりますし、分校は存続するわけでしょう。大成高校の場合はどうなのか。古座高校の場合はどうなのか。地元の皆さんと相談しても遅くはありません。
 子供たちの夢を、受験半年前というこの時期に断ち切るのが教育者のすることなのか。学校見学に行ってこの学校を目指そうと心に決めていた子供が、その三日後に募集停止になると聞かされてどんな思いをするのか考えられたでしょうか。教育長が何を考えてこういう発表をなさったのか、また今後どう考えておられるのか、お伺いいたします。
 さて、第三の問題は海南火力発電所の安全問題であります。
 関西電力美浜原発で、配管から蒸気が噴き出して五人もの方が亡くなるという事故が起こりました。事前にチェックすることが必要だったにもかかわらずチェック項目から漏れていたという報道を聞くにつけても、人災だという思いを深めずにはいられません。
 ところが、和歌山県の御坊火力発電所にかかわっても、検査データの不正、改ざんがあったこと、先ほども発言がありました。新聞などの報道によると、関西電力関西国際空港エネルギーセンターなどに対して近畿経済産業局が実施した安全管理審査とその後の立入検査で検査記録に不備が認められたということであります。その後の報告では、管理基準をクリアするよう数値を書きかえ改ざんした悪質なケース十件を含む三千四百八十三件の不正やミスが新たに発覚したということです。以前に発覚した分を含めて三千六百五十九件と言われています。
 和歌山県内、海南・御坊火力発電所でも、重大、悪質なデータ改ざんがありました。海南では、モーターの軸が水平に保たれているかどうかを調べるテストで計測値の結果が基準となる管理値を満たしていなかったため、管理値を勝手に変更して記入するという悪質なケースが五件あったと報道されています。私の地元である海南市では、海南市当局と市議会はこのことを重視し、市議会の全員協議会の場に海南火力の責任者を呼んで説明を求めました。
 海南火力では、過去に二回重大な事故を起こしています。その一つは一九七二年、三号機が水素爆発を起こし、二・六トンの部品が建物を突き破って隣の当時の海南鋼管工場まで吹っ飛ぶという事故でした。悪くすれば、このたびの美浜原発で起こった事故以上の惨事になりかねないものでした。そこでは、二度もの事故があったのにデータをなぜ改ざんしたのかと厳しく追及されたわけであります。
 そこで私は、県であればもっと詳しい情報を集めて問題の追求をしているに違いないと考えて、危機管理室に電話を入れたわけであります。七月の上旬でありました。ところが電話をしてみると、危機管理室では自分の担当だと思っていないようでありました。それで電話が地域振興課に回されまして、そこから資料をいただいたわけであります。こういう資料でありました。(資料を示す)
 「関西国際空港エネルギーセンター他の定期事業検査に関する調査結果について」という六月二十八日付文書であります。そこには「海南発電所三号機定期自主検査」という一行がありますが、何が問題なのかはさっぱりわかりません。私は、海南市の市会議員を通じて海南火力が作成した二十八ページの文書を手に入れていましたから、それと比べてみたわけです。そこでは、不十分ではありますけれども、海南火力でどういうデータの書きかえがやられていたかという例も含めて、ここには載せられているわけです。全く県の問題のとらえ方が弱いのではないか、こういう思いをしたわけでございます。
 その後、私は日本共産党吉井英勝衆議院議員と一緒に、関西電力海南火力に調査に入りました。美浜の原発事故は原子炉そのものの事故ではありません。蒸気配管事故ですから、火力発電所でも全く同じ危険があるわけです。そこで初めて覚えた言葉ですが、「覆水流量計オリフィス」という、蒸気や熱水の流れる速度をはかるために、ある部分で配管が細くなっている部分がある。そこで渦が巻くわけで、そこで配管の肉厚減少──配管の厚さが減少する、そういうことが起こったわけです。既に、福島県の相馬共同火力発電所でもこうした事故があったことが報道されています。
 さらに、美浜原発のタービンの入り口の蒸気圧、七十気圧であります。そして温度は二百八十度C。ところが海南火力の場合は、七十気圧ではなくて二百四十六気圧、温度は五百三十八度Cということが関西電力の説明でわかりました。つまり、火力発電所の方が蒸気圧は三・五倍も高い、温度も約二倍高い。同じ事故が起こったら海南火力の方が大きな事故になるわけです。それなのに、原発の場合には定期安全レビュー報告書というものを出すようになっていますが、火力発電所にはそういうものも出していないことがわかったわけでございます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 まず、美浜での原発事故が起こって以後、火力発電所の安全性についてどういう調査をしたのか。調査をしてどういう問題点をつかんでいるのか。さらに、その前からあった関西電力のデータ改ざんなどの問題について、どういう危機意識を持ち、どう対応し、今後どう対応していくつもりなのか。
 それから、危機管理監にお伺いしたいと思います。
 私は当然これは危機だと思ったんですが、なかなかそういう認識がなかったように思われました。大企業のデータ書きかえという問題は、危機管理室として無関心でいい問題なのかどうか。
 発電所の安全問題については以上であります。
 以下、簡単に地域の問題を二点お伺いしたいと思います。
 一つの問題は、災害問題と河川の治水対策です。
 ことしの夏には、新潟、福井、四国など各地で集中豪雨がありました。被災された皆さんにはお見舞い申し上げ、また和歌山からもボランティアで駆けつけていただいた皆さんには心からお礼申し上げたいと思います。
 ところで、こうした報道を聞くにつけても、集中豪雨が和歌山県で、海南市で起こったらどうなるのかという危惧をいたします。海南市を流れる川はそう多くはありませんが、貴志川は三年前の大雨で溝ノ口付近など、あふれました。亀の川は、阪井下河原付近では通常でも川の水面と周りの土地の高さが大変近く、少し流量がふえれば浸水をします。その近所の家を回ってみると、どこの家にも砂袋を常置して水を防ぐ構えをしている、そんな状態にあります。さらに、亀川地区に入ってみますと、県営住宅付近で昨年は堤防の崩落が起こりました。一昨年は堤防を越えての浸水でした。また、日方川は改修計画があり、大幅な立ち退きなど行われているのに、なかなか工事が進みません。
 そこで考えるのは、河川の改修のための予算は──災害復旧は別として、災害を事前に防ぐための予算は、その重要性に比していかにも少な過ぎるのではないかとも考えるわけでございます。申し上げた箇所の改修見通しとともに、河川改修の予算の現状をどう考えておられるのか、県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、道路について少し簡単なことを申し上げます。
 毎回のようにお伺いしていますが、道路というものは、予算がついても地元の関係でなかなか進まないものもあります。その中で、住民が困っている生活道路の中で思い切って予算をつければ、住民の協力も得られて一気に進むのにと思うものもあります。
 道路行政の担当者がシンボリック事業とおっしゃるのも、そういう事業を指しているのかと思うんですが。例えば海南金屋線、海南第二中学校、日方川に沿った部分があります。大変狭くて、いつも車の対向には苦労している。もしも海南市の亀川という地域で火事があった場合に海南消防署から消防自動車はどういう経路で走るんだろうかと、いつも心配するわけです。しかし、道路わきの家は以前からほとんど買収に応じられるようになっている。後ろに下がっている。今回の質問を準備する過程でも、ごく一部を除いて土地買収が終わっているとお聞きしました。
 大規模な道路をつくることには、これからも何年もかかるでしょうけども、とりあえず車が対向しやすいようにする。まだ舗装はきれいにできていなくてもいいから、電柱を後ろに下げて、とにかく車が対向できるようにするんだったら、すぐにでもできるのではないか。そうすれば、例えば亀川まで消防自動車が走る場合だって安心して走れるんではないか。こういう住民のニーズに応じたような、できることから交通を便利にしていく。そういうこともまた道路整備では考えてもいいんではないか、こんなことも考えるわけですが、県土整備部長の答弁をお願いいたします。
 以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず最初に、九条の会の内容、私も読ませていただきました。この内容は、私は非常に立派なものだと思います。いろいろな戦争体験であるとか、いろんな体験を持ってこられたこの国の泰斗の方々が英知を集められてこういうふうな発表をなさったと。中身は非常に立派なものだと思います。
 ただ、この問題については、なかなかそれほど単純にいかないところに物すごく難しい問題があって、私自身も非常に悩んでいるし、今新しくテロというふうなものが出てきたこの事柄に対応していく方策というふうなものが、今だれも到達していないというところに非常に難しい問題があると思っております。そして、日本は今、現行憲法九条の範囲内でそれなりの国際的な役割を果たそうということで活動しているというふうなことですので、私はこのことについて、この場で意見を申し述べようというふうな感じは持っておりませんので御理解をいただきたいと思います。
 次に、教育予算の問題です。
 これは、私はちょっと聞いていて、あれっと思ったんですが、実は今の状況は、国の方では口を出すために金を出すというふうな形になっているんです。去年は学校の先生の退職金の二分の一を持っていたのをやめにしたんです。制度を守ろうというんだったら、もう先生をやめた人の退職金だったら別に出さなくてもいいし、今の先生の月給だったら出しますよと。どうしてもそれを守らないといかんというのは、僕は余り理屈には合わないと思うんです。
 実際問題として、この義務教育の仕事というのは、自治事務ということで市町村の仕事になっているわけです。そして、地方自治の原則からいえば、仕事をしているところが自分でお金を取ってやっていくというふうなことが大原則なんです。これはもう地方分権の大原則になっています。そして、そのお金はどうすればいいかというと、金のあるところもあるし貧乏なところもあるから、税金と、それからもう一つはそれを調整する地方交付税で見ていこうというふうな話になっていて、地方団体はすべて、これは急に言い出したことじゃなくて、昔からこの教員の経費については自前の税源でやるべしというふうなことを言ってきているわけです。
 ただ、今回こういうふうな三位一体の改革で具体論になってきたら、たちまちあしたからの月給が入ってこないんじゃないかとか、日本の義務教育がだめになるんじゃないかとかいうふうな、何か根源に返ったような話をされるんだけども、私が言ってるのは、本当の教育の根源的なことは、やはり国家百年の大計だから国が責任持っていろいろ考えればいいと。ただ、お金の話はちょっと別の話だし、そういうふうな基本的なことは国が決めながらも、地方がある程度自立的にやっていくためには、今までお金によっていろいろくちばしを入れていたというふうな仕組みというのはやっぱり改めていった方がいいんじゃないかと。
 ただ、そういう場合に、例えば和歌山県とか和歌山県下の市町村というふうなものが、そのことによってお金が入ってこなくなって大変なことになるというようなことにならないように交付税制度で完全に見るようにしてくださいというふうな主張を行っているわけです。この考え方については、僕はいろんな意見があると思いますけれども、少なくとも一般論としては僕はそういうふうなことだろうと思います。
 ただ、私は知事だから、そういうふうな中で和歌山県が困らないように、やっぱり右を見たり左を見たりしてうまく物事が運んでいくような努力はしていますけども、大原則のところで、金はもらっても口は出させないとか、そういうふうな何かちょっと原則に反するような考え方というのは私はどうかなというふうな感じを持っております。
 それから関西電力の問題については、これはもうとにかく原子力発電所の問題についても大変な問題ですし、そしてまた、これは原発の本体部分で起こったんではないというふうなことにおいて、この問題については和歌山県にある火力発電所も大きな関係があるというふうに思っております。初動の情報収集等について我々にまずいところがあったとしたら、これは改めるにもちろんしくはないということで、今後十分この原子力発電所の事故についても、いろいろな情報であるとかそういうふうなものをとっていきますし、そしてまた火力発電所の改ざんについては、これは当然のことながら今後もいろいろ指導をしたりしながら、また情報等を集めて適切に対処していかなければならない、このように考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 発電所事故やデータ改ざんへの対応等についてお答えいたします。
 関西電力海南・御坊火力発電所の検査データ改ざん問題は、住民の安全にかかわる重要な問題であると認識しております。県が関西電力と結んでいる環境保全協定に関するデータにも改ざん等がなかったか報告を求めましたが、適正に処理されていたことを確認いたしました。また、美浜原子力発電所の事故発生後、直ちに本県においても配管事故に備えるため、関西電力を初め関係事業所に対し、高圧ガス保安法等に基づく各種検査の徹底と一層の安全確保について行政指導を行ったところでございます。
 今後も、企業等に対して、県民の生命、財産にかかわる事故発生防止のため改ざんや隠ぺい等のないよう、また適正に検査が実施されるよう指導するとともに、危機管理の必要性についても啓発してまいりたいと考えております。あわせて、先般策定した和歌山県危機管理計画に基づき、県職員に対する危機意識の向上等も図ってまいります。
○副議長(向井嘉久藏君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、災害問題と河川の治水対策の関係でございますが、河川改修事業は、高速道路を初めとする主要プロジェクトの推進に、その整備が不可欠な河川や、近年甚大な浸水被害を受けた河川など緊急性の高いところから優先的、重点的に実施しているところでございます。
 貴志川溝ノ口付近の改修につきましては、近年は家屋の床上浸水に至るような大きな浸水被害は受けていないところではございますが、周辺地区の今後の開発状況等を勘案しながら改修計画を検討してまいります。
 次に亀の川につきましては、現在河口から紺屋橋までの四千八百メートル間において改修事業を実施しております。河川改修は、上下流の流下能力バランスを勘案しながら下流より順次進めていくのが原則であり、御質問の箇所の抜本的な改修につきましては時間を要しますが、周辺地区の開発状況等を勘案しながら、暫定的な対応も含め今後の対応について検討してまいります。
 また、日方川につきましては、昭和六十三年度に河川改修事業に着手し、新町橋から神田橋までの八百九十メートル間を重点整備区間に位置づけて整備を進めております。現在、井松原橋から神田橋までの用地取得を実施しているところでございますが、今年度からは井松原橋の改築に着手し、平成十八年度に完了する予定としております。
 河川の治水対策につきましては、県民の安全・安心な生活を支えるための根幹をなすものであると認識しているところであり、大変厳しい財政状況の中ではございますが、今後とも効率的、効果的な治水対策の推進に努めてまいります。
 次に県道海南金屋線につきましては、都市計画道路日方大野中藤白線街路事業により、延長一・二八キロメートルを幅員十八メートルで平成十一年度から実施しております。そのうち、海南第二中学校、日方川に沿った部分につきまして狭隘区間であり、優先的に用地買収を行っており、この間の用地進捗率は八六%となってございます。
 きめ細やかな取り組みといたしまして、既に買収済み用地を活用して待避所を二カ所設置しており、今年度中にすれ違いができるよう暫定的な拡幅を行ってまいります。地元の皆様の御協力をいただきながら事業を推進してまいりたいと考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) このたびの高等学校の再編整備計画案は、社会状況が大きく変化する中で一人一人の生徒の力をどう伸ばしていくかと、その教育の推進のための方策という観点から中長期的な展望に立って策定したものでございます。
 議員御指摘の海南高校、大成高校の統合の案については、この地方の生徒数の大幅な減少が見られる中、昨年開催したきのくに教育協議会の適正規模確保の観点で、喫緊の課題であるとの報告に基づき活力のある高等学校づくりを進めるため、地域や学校の状況及び中学生の入学希望の動向などあらゆる角度から検討を重ね策定したところでございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 答弁ありがとうございました。
 まず、再質問したい点から申し上げます。
 一つは、やはり教育の問題、高校再編の問題でございます。
 ただいま教育長の方からは、ああいう計画を発表した考え方といいますか、記者発表したときの考え方を述べられたんですが、その後、たくさんの意見が恐らく教育委員会にも寄せられていると思います。また、半年前の発表ということであって、これはいかにもむちゃだという、そういう声もたくさんございます。そういう声を聞いてどういうふうに今お考えなのか、教育者小関洋治としての生の声で聞きたい。
 同時に私は、一たんこの計画を発表したのでありますけれども、やはりパブリックコメントを聞くというスタンスからいっても、決してこれは固定的なものではなくて、皆さんの意見、この県議会での議論、さらにパブリックコメントを受けて発表したものを見直すということもあり得る、そういう柔軟性は当然お持ちだろうというふうに思っているわけですが、その点どうなのか、こういう点をお聞きしたいと思います。
 二つ目の問題、県土整備部長の方にお伺いしたいんですが、この河川の改修の問題、これは確かに河川は下の方から改修していくということで大変時間もかかる、これはよくわかるわけです。しかし、それにしても、これは県土整備部長の口から「予算が少ないんです」というふうには言いにくいんでしょうけれども、私がこの資料を取り寄せて調べたところでは、この河川改修の問題というのは災害問題でもあって大変切実な問題なんですが、しかしここ十年間ほどを見ると大変予算が減らされているという状況があります。まあ県の予算全体が大変ですから、土木の予算全体も減っているわけですが。
 例えば、昭和の最後の年が昭和六十三年でございますけれども、その六十三年の土木予算、これを平成十六年度と比べた場合、ほぼ土木の予算は同額なんですが──その間にも高くなった時期があるんですけども、しかし河川の予算、河川課の予算でいうと六四%に下がっている。それから土木の予算でいうと、この間一番多かった年と十六年度を比べると大体七〇%、これは厳しくなっているんですが、河川課の予算は四八%まで下がっています。
 もっと極端なデータを見ますと、堤防改修の事業の予算が、平成十年までの五年間を見ると大体十六億円から十八億円ぐらいあった。それが、平成十一年から以降はその四分の一の四億円前後で推移をしています。これでは河川の改修が進まないのは当然ではないかというふうに思うわけです。もちろん道路改修への要望も大変強いんですが、いろいろこれから検討の余地があるように思うわけです。
 例えば、今お答えになった現在工事が進められている道路、これ二車線の道路なんですが、幅十八メートルという、今お話にあった大変デラックスな道路です。三メートル、三メートル、二本の車線があって、二車線で、横には四・五メートルずつの歩道がついている。何で四・五メートルかというと並木道をつくるそうなんですが。私の町ですから大変うれしいですけれども。しかし今、道路予算というものは、二十年前につくった計画についていろいろと再検討してもいいものもたくさんあるんではないか。そういう全体の中で、この河川の改修についての予算はいかにも少ないというふうに思っているんですが、県土整備部長もどうしますというふうには答えられんと思うんですけども、少し感想程度のことを、私が申し上げたことについて言っていただけたらありがたいと思っています。
 あと、余り時間がございません。──関電の問題、この問題は確かに初動の時期には対応が遅かったか、情報収集が悪かったかもわからないけれども、これからきちっと指導していくというふうに知事は言われたし、それから危機管理監の方でもそういう姿勢を示されたから、それでいいんですが、私はいろいろ職員の皆さんと話をしているときに、例えば関西電力の問題というのは、これは指導するのは通産省の問題なんだという、何かこう、そういう遠慮がありはしないかという思いを持ちます。これは、先ほどの原議員の質問も聞きながら、私の思っていることとダブり合わせながら聞いていたんですが、やはり県というのは、監督権限が国にあろうが何にあろうが知事は県民の代表ですから、百万県民から信任を受けて知事になるわけですから、それを背景にして国に対してでも県に対してでも何でも県は言うてもらいたいという思いがあるわけです。
 私は、今度の質問で、実は前回の議会で質問した冷水のトラックの事故の問題の続きをやろうと思ったんです。冷水のトラックの事故で何を聞こうかと思ったかといいましたら、あのとき後で提起をした、例えばトラックの過積載が問題で運転手が捕まったのはやむを得ないけども、しかしJRの場合はその通信の問題はどうなったのか、国土交通省の場合は道路の安全はどうだったのか、そして過積載をしなくてもいいようなトラック業界への問題はどうなのかという問題を三つ提起をしまして、この問題を一遍今度の議会で聞いてみたいと思って実は質問の準備を始めたわけです。ところが、担当職員といろいろ話してみると困った顔をするんですね。「いや、そんな問題、全然県の方で指導する権限ありませんから、答えることがなかなか難しいですわ」と、まあ私なりに言いかえたらこういう感じですね。私はもうほかにも聞きたいことがいっぱいあったから「今度はええわ」と言うてもうパスにしたんですけどね。やっぱり県民の命と暮らしにかかわる問題は、何でも権限があろうかなかろうが県としては口を出すという、こういう姿勢が非常に要るんではないかというふうなことも思いました。ちょっとまあそんな感想も述べて、私の再質問を終わりにします。
○副議長(向井嘉久藏君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 繰り返しになるかもしれませんが、やはり厳しい財政状況のもとではございますけど、本当に必要なものを効率的、効果的にとにかく整備していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○副議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 再質問にお答えいたします。
 やはりこういう大きな問題でございますので、初めて導入したパブリックコメントというものを、今寄せられているその内容を十分に吟味する必要もございます。さらに、我々の説明が必ずしも行き届いたものになっていないという点もあろうかと思います。その辺の努力もしながら、多くの方々の御意見を伺い、慎重に判断をしてまいりたいと考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(向井嘉久藏君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は九月二十一日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後三時三十六分散会

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