平成16年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 では、議長のお許しを得ましたので質問に入っていきます。
 梅生育不良、梅の立ち枯れの原因解明の展望に関してお聞きします。
 木村知事二期目のスタート、最初の九月議会で、梅生育不良、梅の立ち枯れ原因解明について改めて取り上げ、県としてこの課題にどういう姿勢で取り組むのか、お尋ねします。
 私の知事への質問の要点は、第一点は、県行政として原因解明に取り組んで七年になり、しかも、うめ研究所を建設して原因解明を初め梅の生理・生態研究に入ったことは評価しつつも、いまだに原因解明ができないのはなぜか。栽培管理、気象、土壌等の分野が主たる要因であれば、七年も経過し、現場では学者の指導も得て農協、生産農家でその解明は可能ですし、それを今実践していますが、いまだに解明されていないことです。
 第二点は、この状況から見て、現場の生産農家、JA関係者、そして市町村行政は、昭和五十九年に建設された御坊火力発電所建設以降、具体的には昭和六十一年ごろから立ち枯れ現象があり、毎年立ち枯れが増加し、現在までに既に二十五万本の影響を受けた事実から見て、現場生産農家の火力発電所の煙が要因になっているのではないかという疑念を持つのは当然です。そのことから、生産農家、JA、田辺市市長を先頭に一緒になってこの疑念を解明していくため、関西電力、県当局に火力発電所のばいじんによる直接暴露試験をするためにばいじん提供を求め、その試験を研究テーマに加えていくことを求めて既に十年が経過し、いまだに実現していません。私たちは火力発電所が黒か灰色か白かと言っているのではなく、研究テーマの中の一つに取り上げることを求めているのです。これは県民の素直な気持ちですし、当たり前の要求です。
 第三点は、梅生育不良解明の過程で、関西電力が中心に研究したデータに基づく和歌山県うめ研究会の三年の研究成果の提言について、生産農家、研究グループは調査データ、解明方法、分析結果に疑問と問題を提起し、双方の見解は平行線であったにもかかわらず、県うめ研究会は関西電力のデータをもとにした学者グループの見解でまとめたことで、より現場に不信を招いたのです。私たちは、この疑念と問題点を各地域で農家が実証試験をし、酸性雨調査、大学専門家と提携し、実証を現在も進めていますが、県のまとめ提言の問題点を今私たちは科学的・実証的に指摘するための取り組みを進めています。これは本来県が協力すべきものでありますが、それになっておりません。
 こういった県、関西電力の研究データ分析への疑問は、私たち農家、研究者に新たな疑問、怒りが増してきています。やっぱりそうか、今までのデータは本物かどうかわからんなという疑念が起こっています。
 それは、最近の一連の事件です。関西電力の火力発電所などに関する検査データ改ざんや捏造などの不正報告問題です。何と十一カ所で三千六百五十九件に及ぶ不正が明らかになり、御坊火力発電所も含まれています。引き続き発生した原発事故で、福井美浜を含む四基とも検査漏れが発覚しました。関西電力のこの一連の事件は、事実上、独占企業としての権力とおごりが起こしたものであり、国に対してこのような対応をする企業ですから、私たち生産農家の疑念や問題点の指摘、要望に対し全く無視し、赤子の手をひねるようなものではないでしょうか。これに対し、真に県民の立場に立って、これらの問題解決に大企業にもきっちり対応していく県政が求められています。
 知事は、木村県政二期目の就任に当たっての所信表明に示された、「普通の人の感覚、常識からしておかしいと感じることがないように県政運営を県民のニーズにできるだけ合致させ、いわば県民の思いをかなえる県政を進めていくことが不可欠であると痛感した」と述べられています。私はその言葉に共鳴し、少なくとも十数年にわたる梅生産農家、関係機関の人たちの願いや要望を、知事二期目のこの基本理念を信じ、県民の立場で取り組まれることを願い、知事の見解をお聞きします。
 次に、具体的な次の三点について関係部長の見解をお尋ねします。
 この質問する前提として、一つは知事への見解を求めた中の三点目の県うめ対策研究会のまとめ、提言への疑問、問題をもう一度考えたいことです。
 二つ目は、関西電力の原子力発電所の事故により、原発稼働の停止に伴う火力発電所の稼働率が大幅に上昇していることであります。この七月と八月しかデータはございませんが、前年、十五年度比七月が、一号機は〇・九%の稼働率、ところがことし七月は三〇・三%、二号機は〇%でありましたが五・四%、三号機も〇%でしたが三二・四%というふうに大幅な稼働率になっておりますし、八月は、一号機は十五年度一・七%であったのが三六・九%、二号機は一・〇%であったのが一〇・六%、三号機は三・五%であったのが四四・四%というふうに大幅な稼働率の上昇であります。これについて、私は現実を踏まえて非常に危惧しているところであります。
 そこで第一点の質問は、県うめ対策研究会のまとめ、提言報告──こういうごつい本ですが、改めて質問で再度読み直しさせていただきましたけれども、これに関して私は、十二年の六月議会において問題を提起した中の主な点を再度問題として取り上げて、二つの事例を挙げながら、この問題について疑問点を呈していきたいと。先ほど言いましたように、関西電力と基本的に異なった数字的な問題、現場検証においても私たちと全く正反対の結果を出すというような事態の中で、私は改めてもう一度、このことについての当時の関西電力のデータがごまかしのデータではなかったかということを裏づけている二つの事例を挙げたいと思います。
 一つは、トレーサーガスによる排煙拡散調査を関西電力とJAの研究会でやっておりましたが、そのトレーサーガスの調査時期の稼働率が約五%から七%という時期を踏まえて、非常に低い時期をとらえて、その間のときに、いわゆる調査のときには稼働率を下げてやったと、この実態であります。だから正確に、梅枯れが起こった昭和六十一年以降は平均して三五%から四〇%という稼働率がずっと平成八年まで続いております。そういう中で、調査期間中は一〇%以下、少なくとも五%以下の中でトレーサーガスの調査をやって十分なデータが得られたかどうかという疑問があります。
 もう一つは、風向調査の調査ポイントであります。もう皆さんも住んでいたらわかると思うんですけど、御坊火力発電所から北西や西の風が三百六十五日のうち十日しかないというデータを提出してきました。そんなばかなことはあるかということで、関西電力が提示した黒岩山というのがあるんですが、そこの近くの関西電力がやったポイントではなく、私たちが二百二メートルの地点で実際に器具を持って山へ登って風向調査をやりました。その結果、それのときには、既にそのポイントというものの中には、天気のいい日はほとんど西または北西の風が吹く事実を調べ上げたわけです。それを事実と思って対したけれども、何ら取り上げてもくれず、無視されてきたという経緯があります。
 こういった意味で、私は二つの点を──ほか、水不足の問題とか土壌とか気象の問題とかたくさんありますが、この二つの事例だけでも、今、関西電力が起こした事件の中で、私が当時、幾ら意見を言っても取り上げてくれなかった事実は、まさに私たちの現場実証の資料ですら無視してきたこの実態を、県当局も積極的に見詰めながら、その解明に取り組むことが必要ではないでしょうか。そのために私は改めてこれを振り返り、もう一度再調査を私たち生産農家と県がやるべきではないかということを提案したいわけであります。
 もう一つは、栽培、気象、土壌等の分析で、実証園のその後の追跡調査、何年かたっていますが、既にようなったんやとか、もうこれで大丈夫だとしたところの追跡調査が行われていません。私たちの追跡調査では、そのときよかったけれども既に枯れてしまったり重症の木がたくさんできている事実を見たときに、そういう一年や二年、三年ぐらいで結果を出すんではなくて、ずっと追跡調査をしながら現状実証していく必要があるんではないかということを二つ目は問いたいと思います。
 次の大きな二点の質問は、うめ研究所の研究テーマに、今までの私が言いました教訓から、ばいじんによる直接暴露試験で大学機関との共同研究を求めたいが、どうでしょうか。また研究テーマも、この間も研究所へ行ってきましたけれども、到底十三名の研究スタッフだけで解明できるものではありません。たくさんのテーマを抱えてやっております。私は、大学や専門機関との共同研究を積極的に進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 三つ目は大気環境調査についてですが、一つは、常時測定局に加え、酸性雨調査等の県移動測定車による定期的定点での調査を求めます。二つ目は、梅産地の定点測定局を設定し、調査すること。三つ目は、昭和五十五年から昭和六十二年にかけて実施した御坊火力発電所稼働に伴う農産物への影響調査を実施すること。再現をしていただきたい。
 先ほども言いましたように、この当時の昭和五十五年から昭和六十二年の県の果樹試験場での調査は、稼働率がそんなに高く──平均的ではありますけど、高くありませんでした。その後、平成八年まで平均して四五%から──終わった翌年の昭和六十三年以降は四五・一%とか四〇%とか四六%、ずうっと平成八年度までそういう数値をつくっております。したがって、稼働が高くなってずうっと継続したときにもう既に調査を打ち切ったというこのことの問題を私たちは指摘してきましたけれども、それに対する再調査をここに要望するものであります。
 そこで、そういった点を踏まえながら、私は以前にも申し上げましたように、こういった今の環境基準というのは、既に人間に対する影響に対する基準を定められております。植物に対する影響がどうかということについては、環境省の「環境白書」でこのように述べております。「生物の生態・生態系の機構、生物間の相互作用等は極めて複雑で全容を明らかにすることは不可能に近い。我々が有している生物や生態系に関する情報は極めて少なく、往々にして手おくれになってから解明されることもある。自然環境への影響を評価する際には、我々が生物や生態系に関し、むしろ知っていることはわずかであるということを認識する謙虚さが求められている。また知見が少なくともその時々の最新の知見をもとに、人間活動が自然に与える影響を事前に予測・評価し、その結果を踏まえて負荷を軽減するための対策を講じる必要がある。このため、自然環境に関する知見を常に最新のものとするよう調査を充実し、事前の予測・評価のために、その結果が広く活用されるような形で蓄積・提供することが重要である」というふうに「環境白書」では述べられております。
 これに対しても、私が三つの点での観測をお願いしたのも、こういう意味で、今の環境基準は人間だけだ、人間に対する環境基準だ、環境基準を下回っていてもそれに対する自然環境や農産物に与える影響はどうなのかということが、我々農業地である果樹日本一の和歌山県としてそういう研究にやっぱり着手していくことが大事ではないかということを提案しているわけであります。
 次に、大きな二つの食料・農業・農村基本計画の見直しについての中間論点と県の考え方についてお聞きします。
 県農業は、中山間地域という中での農業経営という実態を踏まえた中で、中間論点をどう受けとめ、県農業の今後の方向をどう示していくのですか。
 例えば、事例は二つしか挙げられませんが、大規模の農家や認定農業者に絞った農業経営の方向を示されていますが、私たち中山間地域の農家にとってこのことが妥当なのかどうか、農業経営だけでは生活できないため、兼業して所得を得なければならない農家が切り捨てられていくのではないかという危惧があります。
 もう一つは、これと関係して、企業の農業参入について和歌山県としてどう対応するのかを農業という立場で基本スタンスを明確にする必要があるのではないか。例えば、カゴメのトマト進出に対しても、農地でないから企業誘致という次元でとらえてよいのかどうか。県下のトマト栽培農家への影響を初め、これからの県農業に対する考え方のスタンスがはっきりしないことには、すべてがなし崩しにならないか。
 農業を守り発展させる立場にある農林水産部としての理念と政策が問われると思うが、農林水産部長の見解をお聞きしたい。
 次に私は、その基本の立場に立って食育と地産地消推進のためには、モデルをつくり実践する必要があるのではないかということであります。以前にもその図を示して提案さしていただきましたが、私は、当面一点突破として、教育分野でのモデル、つまり学校教育の中での食育と給食を一体化させ、給食については地域モデルをつくり農家と学校給食を一体化させ、それを有機的に進めることで高齢者の生きがい対策と給食との相乗効果が発揮できると考えますが、農林水産部長のお考えをお聞きします。
 次に、介護保険制度見直しに関する意見、社会保障審議会介護保険部会と和歌山県としての制度の見直しと今後の方向についてお聞きします。
 介護保険制度見直しに関する意見は、ことし六月に社会保険審議会介護保険部会から提起され、今後十分な議論が求められています。二〇〇〇年四月、介護保険施行後四年を経て、その総括と今後の課題、見直しを私たち和歌山県においても進めなければなりません。
 介護保険制度の見直しには、高齢者の自立支援と尊厳の保持を基本とし、制度の持続可能性を高めつつ、介護予防の推進、地方ケアの推進、地域ケアの展開という新たな課題を提起しています。
 今回、私は介護保険制度見直しに関する意見を踏まえて、介護保険事業に直接かかわっている一人として、日ごろから現行介護保険制度に感じていた点をこの見直しと照らしながら県当局にその考え方をお尋ねしたいと思います。
 まず一つは、地域に密着した新たなサービスシステムの確立が重視されています。現行の介護制度は在宅、施設と合わせて十八種類に及ぶ介護サービスが規定されて、介護を必要とする人をその規定に合わせて輪切りにした介護サービス、そういうことが実態であり、介護を受ける人の立場、実情を重視されなかったりすることが多いのが実情です。地域の特性に応じた柔軟な対応と、何よりも地域で支えていく体制が今まで求められていました。この見直しは、その視点からいけば、全国的な実情を踏まえて、地域で高齢者を支えることや全国画一的規定のサービスを抜本的に見直すとされていることは大きな前進と評価されます。
 一つの事例として、通所介護事業所で一晩だけ泊まりで預かってほしい等のショートステイの要望をされたり、時には家庭へ訪問して介護したり、生活介護相談をすることや独居老人等の居住を要望されたり、多様なケースが今求められています。現行制度ではその要望には対応できません。今回見直しに示された小規模多機能型のサービスは、小規模でかつ通い、泊まり、訪問、居住などの機能を利用者の視点に立って複合的に組み合わせ、利用者の状態の変化に応じて多様なサービスを提供できるとしています。
 私は、以前から提起している公民館単位ぐらいで小規模・多機能型のサービスを計画的に進めることが介護の必要のある人と地域住民とのつながりが強まり、地域で福祉を育てていく体制が確立され、介護保険も軽減されていくと提言してきました。県当局の考えた感想をお聞かせください。
 また、介護予防の推進を大きな柱としています。今回、要支援、要介護一については介護保険から除外して、介護予防の施策を適用していくことにしています。要支援、要介護一は介護保険適用の四五%を占めている現状を見ると、介護予防という形で切り捨てられないかという心配があります。それに対して、行政と事業所でどんなシステムを構築するのかが大きな課題となります。
 これから、これら地域に密着した新しいサービスの提供や介護予防システムの構築については、市町村の力量、考え方によって市町村格差が生じることを恐れています。格差をなくすための体制が課題ですが、どう対応していくのかお聞きしたいと思います。
 さらに、見直しの幾つかの問題──私がいろいろと日常体験する中で感じたことですが、この見直しの幾つかの問題点を提起したいと思います。
 介護事業者の運営の不正等チェック対策、事業所で働くヘルパーさんのほとんどがパートという実態での人材の質の向上、ケアマネジメントするマネジャーの九割が事業所の職員で、自分のケアマネジメントをするのがその事業所のケアマネジャーがやるという、そういう中での公正・中立なケアマネジメントができるのかという疑問を日ごろから感じております。
 最後に、今回の見直しで私が最も危惧するのは、介護保険制度をほとんど全面的に市町村へ移譲することが提起されています。三位一体ということで、市町村への分権で国の地方への財政的支援がこれを契機に削減されるのではないでしょうか。そうなれば、多様なサービスを充実させよと市町村に指示しながら、しかし金は減らすでは市町村は大変な負担を強いられることになると私は予測されるのですが、どう対応するのでしょうか。
 次に最後になりますが、東南海・南海地震の予知と予兆について当局にお尋ねします。
 一点目は、科学的予知はどこまで進んでいるのか、県内の探査システムはどうか。事例と過去の予知システムの関係をちょっと紹介しながら考えてみたいと思います。
 去る九月五日の午後七時七分のマグニチュード六・九、震度五弱、午後十一時五十七分のマグニチュード七・四の震度五弱は、南海地震の予兆かと思わせる事態でした。私は前回昭和二十一年の体験をしていますが、しかしこの経験は幾つかの教訓に立って今後に生かされなければなりません。
 そこで私は、東南海・南海地震の科学的予知の体制はどこまで進んでいるのか。予知という視点から見てどの程度可能性を持っているのか。現状は、GPS連動観測システム、海洋研究開発機構による紀伊半島沖等調査、産業技術研究所地下水総合観測ネットワークが調査する地下水位調査は根来断層から走る岩出町、今回の九月五日の経験から九月十五日に本宮町に観測機を設置し調査されると聞いております。また、九月五日の地震後の海底調査を気象庁、東大が三十台を設置してデータを集め、予測の資料とする等進めています。
 私たちは、科学的に何をどのように調査して、日本の科学技術でもってどの程度予知可能なのか、全く無知に等しいわけであります。科学的予知の動向をもっと県民にわかりやすい形で説明する責任があるのではないでしょうか。お尋ねします。
 そこで私は、第二点目に、昭和十九年の東南海、昭和二十一年の南海地震の教訓から得た予知と予兆から、動植物や自然界の異常現象、つまり宏観異常現象に着目し、科学的予知を後押しする県民のネットワークを組織し、予知と予兆への一定の役割と日常的に防災意識を高めるための活動としても大きな役割を果たすと考えています。
 それについては、県災害史の中に昭和二十一年の南海道地震のときにどんな予兆があったかということで、新宮市の青年会が、その一週間余り前から気温が急に変わった、それが急変して温かい小春日和が続いて麦は少し黄色味を帯びたとか、二、三日前から夜間の静寂の中から南方より不気味な海鳴りの音が聞こえたとか言われております。また、田辺市の南海道地震の後も、小鳥のセキレイがコツコツと窓ガラスをつつき、知らせに来たとか、大きな三日月ができたとか、いろんな意味で書かれております。
 そういう意味では、真っ赤な夕日ができたとか、潮の満ち引きが非常に大きかったとか、たくさんの宏観現象がありますし、また今ナマズと地震の関係も追求されております。犬やカラスやミミズなどさまざまな動物の異常行動を見ながらも、特に地中の巨大なナマズがこの地震との関係で原因解明を今、東北大学とか研究されておりますが、こういった予兆をもう少し我々は甘く見ないで、現在の科学的予知がなかなか信頼できる方向にまでなっていない段階でこういうシステムを、ネットワークをつくってはどうかというふうに私は考えるわけであります。
 例えば串本では、京大の先生を中心にして串本の文化情報ネットワークが非日常現象いわゆる宏観現象に対する情報交換ネットワークをつくって今取り組んでおりますし、和歌山市でも、設計者を中心にこういう宏観現象に対するネットワークを和歌山市でつくって県下的に広めていきたいというふうに言われております。こういったことに対してぜひ取り組んでほしい。
 最近、私が特に感じることは、そういった地震に対して、東京大学だとか京都大学だとか気象庁だとか、どえらい科学設備をつけて検索すると言うてるけども、当時私ら、昭和十五年生まれですけれども、その後ずうっと来た小さいころは田辺市にも五カ所の地震予知をできる──地盤沈下の検査、潮の満ち引き、潮の状態、それを検査するのも今の扇ケ浜にも残っております、その跡。そういったことがどんどん薄れられてきて、大規模な科学施設でもって予知することが可能なんだという言い方がその当時の検査と非常に違う点があるのを感じますので、そういったことも、もっと過去の歴史の教訓に立って、予知していたことについてもっと赤裸に見詰める必要があるのではないかと。
 私はこの平成十年に発行された椋平廣吉さんの「地震の前兆と椋平虹現象」という本が発行されていますが、この人は、その虹の現象でもって幾つもの地震を予知されたという結果があります。そういったことでも、ずっと田辺で住みながら、全国を走り回りながら地震の予知をしていったという方、当時はいろんな人が地元に入って地震を予知した、いわば学者ではないけども、そういう研究をした人がたくさんおられたことも事実でありますから、そういったことも私たちは重視していく必要があるんではないかというふうに感じているわけです。
 したがって、私は、ネットワークは漁業関係、農協関係、温泉関係、井戸を利用している県民、NPO関係、自主防災組織、マスコミ支社等を市町村で集約し県防災へ集約する体制、もう一つは学校教育での自然科学部のクラブ活動の一環としてそういった宏観現象に対する予知を楽しくやっていくことの提案をして、私の一回目の質問を終わります。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 梅の生育不良の問題は、梅が第一次産業中の非常に基幹産業であるというふうなことから考えても、私は非常に大事な問題だと思って取り組んでまいりました。いろいろな試験も行いましたし、またデータも蓄積してまいりましたけれども、いまだに原因というものの解明には至っておりません。
 この四月にうめ研究所を設置して、ここでもまた鋭意取り組むことにいたしておりますけども、先ほども御質問の中にありましたように、やはり普通の人の感覚というふうなものに立って虚心坦懐にいろんなことを考えてみるというふうな必要があると思います。地元の人たちの不安というふうなものを取り除くためにも、これからもそういうふうな姿勢で事に当たっていきたいというふうに思っております。
 それから関西電力の一連の不祥事については、これは僕はゆゆしきことだと思っておりまして、会社がやはり説明責任をちゃんと果たして、そして信頼を回復するようにしてもらわないといろんなところへ波及してくるというふうな問題も出てまいりますので、そのようなことを心から願っているところでございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) まず、梅生育不良の二項目めについてでございますが、JA紀南と関西電力が共同で組織した十一名の専門家から成る梅生育障害対策研究会の調査研究は地元農家の意見を十分に反映しながら実施されたものであり、その報告書は学問的知見を総合的に検討・判断され、平成十二年四月にまとめられたものと考えてございます。
 なお、県は国、大学の各専門の研究者十名から成る県うめ対策研究会を設置し、独自の調査研究を実施するとともに、梅生育障害対策研究会の調査研究データも活用しながら平成十二年三月に報告書として取りまとめたところでございます。県におきましては、県うめ対策研究会の報告書で示された提言に基づき、残された課題の解明や対策技術の開発について、国指定試験による生育不良の再現実証試験や総合実証園での調査研究に引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次にばいじんによる直接暴露試験についてでございますが、これまでにもお答えしてまいりましたとおり、その科学的に評価できる研究手法が現段階では難しい状況でございますが、新たに研究手法の御提案があった場合には、多くの専門家の御意見をお聞きしながら検討してまいりたいと考えてございます。
 また、大学や専門機関との共同研究についてでございますが、現在、生育不良の指定試験やバイオテクノロジーを活用した新品種の育成、品種識別方法の確立などの研究について、国や大学の協力をいただきながら実施しているところでございますが、今後とも引き続き必要に応じ、大学等の専門機関との共同研究に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 大気環境調査についてでございますが、梅産地の定点観測局につきましては、梅産地周辺地域において大気環境変化による影響が懸念されていたことから、平成六年ごろから関西電力が地元協議会との話し合いの中で、順次地点や調査項目の追加をしながら実施しておりましたが、去る平成十五年一月をもって終了したと伺ってございます。
 県におきましては、県うめ対策研究会の報告において、特にオゾン濃度の推移を監視していく必要があるとの提言を受けていることから、本年四月に開所したうめ研究所においてオゾン濃度を継続測定しているところであり、今後は調査結果を注視してまいりたいと考えてございます。
 次に御坊火力発電所稼働と農産物への影響調査についてでございますが、本調査は、御坊火力発電所稼働前の昭和五十五年度から稼働四年後の六十二年度までの八年間に梅を初めとした果樹や野菜、花卉などへの影響を調査したものであり、その時点ではいずれの作物でも明らかな影響は見られてございません。
 また、梅の生育不良の環境調査や研究につきましては、地元うめ対策協議会と協力しながら、平成十年度に二酸化硫黄、二酸化窒素、オゾンの複合ガス暴露試験を、平成十二年度にバナジウム、ニッケル溶液の暴露試験を、また平成十三年度には県下十四カ所の降下ばいじん調査を実施しており、その結果については既に報告させていただいたところでございます。県といたしましては、このようにして積み重ねたデータを活用しながら今後の試験研究を実施してまいりたいと考えてございます。
 続いて二項目めの、県農業は中山間地域という中での農業経営を守り発展させるためにどう展望し、中間論点をどう受けとめているかについてでございますが、中山間地域が多い本県では傾斜地が多く、兼業化、高齢化が進んでおり、論点の中にあるような認定農業者などへの農地の集積等は難しいと認識してございますが、中山間地域の農業の振興は農業だけではなく集落地域の維持存続にもかかわってくることから、重点課題ととらえてございます。
 このため、県といたしましては、農業をやってみようプログラムの推進による多様な担い手の育成や遊休農地リフレッシュ再活用促進事業等による遊休農地の解消を行うとともに、農家個々への対策だけではなく、法人化の推進や農地の集積、農作業受託サービスへの取り組みといった地域ぐるみの対策をなお一層進めてまいりたいと考えてございます。
 また、企業の農業参入については、地域の活性化につながる事例も見られますが、農家に軸足を置いてどのような影響があるかなどを見きわめながら対応してまいりたいと考えてございます。
 食育と地産地消を推進するためのモデル地域についてでございますが、食料・農業・農村基本計画の中間論点整理においても食育は重要であると位置づけられてございます。
 県といたしましても、農業振興を図る上で地産地消をベースとした食育運動は重要と考えてございまして、本年二月に学校給食関係者や生産者等の参画による和歌山県食育推進協議会を設置し、組織間交流を中心とした食育推進ネットワークの構築に向け、具体的な取り組みを始めているところでございまして、その一環として本年十一月下旬には、学校関係者や生産者団体の協力のもと、県下すべての小学校、盲・聾学校、養護学校に県産ミカンを配布し、学校給食や総合学習への教材として利用いただくなど、地域に根差した食育運動を実施することとしてございます。
 今後、議員御提案の趣旨も踏まえ、より一層学校教育との連携強化を図りながら、地域に密着した地産地消や食育運動を進めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 梅生育不良の大気環境調査についてお答えいたします。
 一点目の移動測定車による大気環境調査及び酸性雨調査につきましては、平成九年から十四年まで田辺市内において実施しております。調査結果につきましては、大気常時測定局と比較いたしましても特異な状況は認められておりません。また、酸性雨調査の結果につきましても、酸性度の指標となるpHは全国の状況と比べてもほぼ同様の値となっております。
 御坊発電所に係る大気環境につきましては、今後とも発生源監視を行うとともに、移動測定車の活用を含め、御坊市周辺及び田辺市に設置している大気常時測定局の測定結果の状況について注意深く監視してまいります。
○副議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 介護保険制度の見直しに係る今後の方向についてでございますけれども、御指摘の社会保障審議会介護保険部会から報告されました介護保険制度の見直しに関する意見におきまして、来年の介護保険制度改革の基本的方向として、量から質への介護サービス改革の推進、在宅支援体制の強化等の在宅ケアの推進、市町村がより主体性を発揮することができる保険者機能の強化などが示されております。
 特に、介護費用が増加する中で介護保険制度の持続可能性を高め、明るく活力ある超高齢社会を築くためには、要介護状態になる前の段階から軽度の要介護者までの高齢者に対して新たな介護予防システムの確立が求められているところでございます。県としましても、介護サービスを受けても要介護度が重くなってきている現状を踏まえ、本年度から筋力向上トレーニングを取り入れた高齢者運動推進事業を実施しているところでございますが、引き続き新たな介護予防対策を普及してまいりたいと考えております。
 また、この報告書では、サービスの質の向上のためのケアマネジメントの体系的見直しや、介護職員の資格、研修システム、雇用のあり方の見直しを含めた人材の資質向上、利用者の選択のためのサービス事業者の情報開示の徹底と劣悪なサービスを排除する事後規制ルールの確立、また現行の在宅施設サービスの弾力的な利用を認めていくこと、さらに今後痴呆性高齢者やひとり暮らし高齢者の増加などの地域の特性に応じた地域ケアが実施されるよう地域密着型サービスを創設し、このサービス事業所の指定、指導監督及び介護報酬設定を市町村の権限とすることなどが言及されております。
 こうした状況から、議員御指摘のとおり、今後は介護保険者である市町村の取り組みがますます重要になってくると考えられますが、県としましては、市町村の独自性や創意工夫を生かしながら、均衡のとれた地域ケアの確立を積極的に推進してまいりたいと考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) まず、地震の予知についてお答えいたします。
 地震の予知につきましては、現在の科学技術の水準では一般的に困難であるとされておりますが、警報を出せる程度の地震の直前予知ができ、適切な予防措置をとることができれば、人的被害や火災等の二次災害の発生を大幅に軽減できるわけでございます。
 このため、国や大学等で地震予知に向けた基礎的な研究がなされておりますが、東南海・南海地震特別措置法の制定以降、紀伊半島沖での海底地震計調査や南海トラフの地質調査を初め地殻構造調査、電子基準点の増設、また本宮町等で行われている地下水位の観測など、調査観測体制の充実が図られております。県といたしましても、予知の現状や将来見通し等も含め、調査観測体制の充実を国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に地震の前兆をとらえるいわゆる宏観現象についてでございますが、過去の地震でも、動物の異常行動や漁獲高の急変など宏観現象も確認されたとも言われております。また、現在も大地震の発生が危惧される中、こうした自然現象等について住民の皆さんの間でも情報交換等も行われているとのことでございます。こうした活動にも注目しながら県としても関心を持ってまいりたいと考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 地震の関係です。当時、県災害史の中でちょっと感じたんですが、当時の中央気象台名古屋管区地震調査官が、地震が十二月二十一日に起こったんですが、その四日前、十七日午後九時、三重県尾鷲測候所では既にこの地震を予知したが、正式な発表を控え、地元だけで警戒していたため、地震と同時に混乱することなく整然と避難することができたと語っております。そういうふうに、四日前にそういう可能性を指摘したということ。
 もう一つは、東大地震学者の今村博士がこのように述べております。地震は予告できると。それは、そういった設備をきちっと綿密に調査網を張れば近い将来は大地震が起こるという程度の大ざっぱな予測はできるものであるというふうに言われております。
 私は、こういったものを見ますと、当時の予知検査機は、無数にと言ったら悪いんですけど、当時だけでも串本、室戸などでは六カ所に──少ないという申請はしているんですけれども、六カ所でもって測定を、特に潮の動向を検査する検潮器をずっと張りめぐらせていたと。それで大体予測できたということで、この教授も、実際にはそういう戦後の混乱期であった関係上、中央に情報を送れなかったけれども、これを予告しているということも載せられております。
 そういう意味では、科学的、今の大規模な施設とあわせ、過去の教訓に学んで、やっぱり地殻変動とかそういったものを感知できるもの、それから潮の動きを感知できるもの、そういったもう少しローカル的な部分での検査体制も大きな役割を果たすのではないかということをこの歴史の教訓に立って私は感じましたので、そういった点もひとつ考えていただけたらありがたいと思います。
 それから次に介護の関係ですけど、私は、一つは一番最後に言わせてもらいましたが、いわば今の国の制度が、この制度の見直しの中に市町村にすべてをこの権限をゆだねるという名のもとにかなりの今までの国のそういう福祉関係、また介護に関する補助金が削減されるおそれを感じています。
 そういう意味では、やっぱり知事の方も含めてこれに対して目を光らせて、こういうすばらしい見直しの案が出されているんですから、それを市町村にやるということは、僕らも日ごろからやっぱり身近に地域に関している市町村が介護に対して責任を負っていくべきだというふうに感じていました一人として、そのことによって大幅な削減をされたら、これはまた市町村が非常に厳しい財政の中でまたぞろこの福祉に対して厳しい状態になっていくし、しかも市町村の財源状況によって格差が生じることも、私は、恐れているわけです。財源的に豊かな市町村は割かし充実していくけども、財政的に非常に不十分なところはそこまで手が回らないという市町村間の格差が非常に生み出されていくというふうに思うわけで、その点の関係も非常に強めていただきたいと思います。
 最後になりますけど、いわゆる梅立ち枯れの問題についてですが。私がこの問題を取り上げたのは、少なくとも昨年までは稼働率も下がって去年の立ち枯れの本数も少し落ちついてきたという意味では非常に我々安心をしていたんですが、御存じのとおり、原発の停止に伴って、御坊火力発電所そのものは──ふだんはゼロ%により近いんです。というのは、福井の原発のフォローとして、あそこが難しいときには御坊で補うということになっていますから、その補いがどんどん、二十七日とか二十九日とか、ほとんどもう毎日に近いぐらい今たかれています。
 そういう意味で、私たちは今まで調査して打ち切った大気検査やいろんな分野をもう一度復活させていかないと、来年八月にもう一回調査がありますが、そのときに、もし今までと違った角度での立ち枯れが起こったり、引き続き再来年も起こってきたときに実証するものがない。今まで検査したのは、稼働率が少なくとも二%とか六%とかそういうときに検査をしているわけですから、ほとんどいわば観測しても意味がないぐらいの状況です。
 だから、今後どんどんたかれていく過程の中でこそ環境調査をきちっとして資料として残していかないといかんのではないかというふうに思いますので、それをしたくないんだと。僕ら、しなかったら、したくないんと違うかなと。すると、結果が出るのが怖いのと違うかなという不信につながるわけでありますから、その点をお願いしたいと思います。
 もう一つは、ばいじんはもう提起して十年、私はずっと言い続けてきたけれども出さないと。そういうことがなぜ知事の言う視線──我々常識から言うたら、白とか黒とかいうふうに研究の素材として提供してくださいよと。我々にくれたら、県がやるかやらんかにかかわらず、私たちも十分専門学者と提携してやっていますから。そういう大学の専門者と一緒になって調査研究できるわけですから。それは、私たちの研究の成果が正しいか正しくないかは別です。それはまた関西電力がそれに対して学者の中で研究をして、お互いにテーブルで論議をしていきましょうかという当たり前のことを言うてるんですけど、どこに問題があって出されないのかここが私たちには全然わからないわけであります。その点をぜひお願いしたいと。これは言い続けなければというんか、最終は裁判せないかんなと思っていますけど。これは、諫早湾でも漁民が闘って仮処分やって勝ちましたね、農林水産省に。私たちはそういうことも見据えながら研究をしていかないと。このまま続けると来年、再来年がまた大幅に枯れるような状態になると私たちは黙って見過ごすわけにいかない状態にあると、このように思っております。
 最後になりますが、ドーピング検査の拒否とかけて関西電力のばいじん提供の拒否と解く、その心は、真相を知られたくない。終わります。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 この際、十分程度休憩いたします。
  午後二時三十七分休憩
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