平成16年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(江上柳助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十六番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 皆様、おはようございます。
 ただいま議長よりお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 最初に、地方分権推進のための三位一体改革についてお尋ねいたします。
 皆様御承知のように、全国知事会は先月の十九日、国と地方の税財政改革いわゆる三位一体改革に関して、地方向け国庫補助負担金の削減案を決定いたしました。全国市長会など残る五団体もこれを了承、地方共通案として政府に提出、政府は十一月半ばをめどに三位一体改革をまとめる方針で、現在、その議論が具体的に動き出しております。
 そもそも削減案の取りまとめは、小泉首相がことし五月、地方へ三兆円の税源移譲を指示した際に、その前提条件として地方に要請したものであります。改革案は、国から地方への補助金三・二兆円を削減して三兆円を税源移譲、その結果歳入が減る自治体には地方交付税で財源の手当てをする内容となっております。平成十八年度までの三・二兆円の削減対象は、八府省の約百五十項目、大半は各補助金の全廃を求め、国から地方に事業の権限を移す抜本改革であります。今年度の改革が各補助金を広く薄く削減するものだったことを考えるとき、分権の観点から大いに尊重されるべき提案だと思います。
 全国知事会で協議の焦点となりましたのは、教員給与費の半分を国が担う義務教育費国庫負担金の扱いでありました。削減案では、平成十八年度までに公立中学校の教職員給与分八千五百億円を廃止することとしました。同負担金の一部廃止、一般財源には強い反対がありました。自治体の財政力の違いによって教育水準の格差が広がる、一般財源化ではほかの使途に回されるおそれがあるといった危惧が反対の理由でありました。
 私も、この義務教育費国庫負担金の廃止に危惧を抱くものでありますが、地方分権を進め、国と地方の役割を明確にして、地方の自由度、自主性を高める観点から一般財源化が望ましいのか、十分議論して国民が納得できる結論を出すことが必要であると考えます。全国知事会など地方六団体が提案した義務教育費国庫負担金八千五百億円を含む三・二兆円の国庫補助負担金の削減案について、知事の御見解を承りたいと思います。
 次に、地方交付税のあるべき姿についてお尋ねいたします。
 現在、地方交付税が破綻寸前でございます。本県においても地方交付税への依存度が高いにもかかわりませず、年々減額されております。本年度当初予算では、地方交付税は前年比マイナス九・三%、百六十七億円減の千六百三十七億円となっております。臨時財政対策費、これは後で地方交付税で補足と申しますか払ってもらえるお金でありますが、一応この対策債として、それを含む地方交付税は前年比のマイナス一二・九%、二百八十六億円減額の千九百二十三億円になっております。三位一体改革で地方向けの補助金を削減し、税源移譲されても不足する財源がこれまでのように補償されるのかが不安であります。税源移譲すれば裕福な自治体にはどんどん税金が入りますが、財政力の弱い県、市町村は税収がふえない、そういう格差を調整する必要があるために地方交付税があるわけであります。しかし一方では、地方交付税がある限り地方の歳出カットが難しい面もあります。
 知事が書かれました「鄙の底力」──私もいただきました。ありがとうございました。実は、この知事の書かれた「鄙の底力」が、和歌山県では、きのう宮井平安堂を確認いたしましたらベストセラー。実を申しますと、ハリー・ポッターがたまたま九月一日から出ましたので──いわゆる「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」、これは世界で二億五千万部発行されておりまして、日本でも九月一日から二百三十万部──そのハリー・ポッターには及びませんけれども、ただし週によっては「鄙の底力」がベストセラーということをきのう店長に確認をさしていただきました。
 ここで書かれております内容の中に、「日本再生のための八つの提案」、その五、「真の「三位一体改革」を実現せよ」の中で知事はこう述べられております。「日本は全国画一的に同じような基準で、地方交付税や補助金を地方に与えています。そのことにより、日本全国が画一的にモラルハザードに陥ってしまうことにもなりました」──モラルハザード、難しい聞きなれない言葉でありますが、法律すれすれ、基準すれすれ、そういう使途に使われてしまったという意味のようでございます──「そこには様々な無駄が生じています」、また、「日本の現在の仕組みは画一主義ですから、何から何まで法令に細かく定められており、小さな市町村でもそれに従わなければなりません。公共施設を、「地方交付税を貰わないと損だとばかり」にモラルハザード的につくってしまう状態になってしまいます」と。地方交付税のむだというのも知事は指摘されているのだと思います。
 それで、地方交付税の見直しは、三位一体改革の柱の一つでもあるにもかかわりませず、いまだ補助金改革に比べて方向性が明らかになっておりません。地方側からも地方交付税について私は案を出すべきだと考えます。補助金削減は税源移譲が前提であり、地方交付税問題とは直接関係ありません。補助金の改革が現在進行しておりますが、三位一体改革の中で地方交付税の改革が必要であると思います。国は地方交付税を抑制する方向でございます。現在、地方交付税全体で十五、六兆円ございますけれども、それを抑制する、小さくしていくという方向でございます。
 今回の国庫補助負担金改革で三兆円の所得税を個人住民税へ税源移譲いたしますと、いわゆる地方交付税の原資というのは──財源て特にないわけで、原資というのは所得税の三二%を充てるとこうなっておりますので、三兆円の所得税を税源移譲いたしますと約一兆円が明らかに減るわけでございます。
 そこで、三位一体改革の中での地方交付税のあるべき姿について知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 次に、三位一体改革が及ぼす県財政及び市町村財政への影響についてお尋ねいたします。
 このテーマについては、本年七月、国が進める三位一体改革の影響を県財政課が試算し、発表されているところであります。その試算によりますと、県は、歳出削減努力を行わない場合、平成十八年度に財政再建団体に転落する可能性がある、平成十七年度以降、平成十六年度を上回る歳出削減努力を行うと仮定した場合、収支は改善するものの平成十九年度には財政再建団体に転落する、一方、市町村は現状のまま推移すると、平成十八年度までに基金はほとんどの団体で枯渇し、平成十八年度には二十二団体、平成十九年度には四十二団体が財政再建団体に転落することになるという大変ショッキングな内容でありました。
 県は、過去に昭和三十年から三年間、財政再建団体の指定を受けております。財政再建団体の指定を受けますと、御承知のように予算の策定など、総務省が直接管理することになります。また、県債の発行が制限され、独自の建設事業だけでなく、福祉、住民サービスなどの事業も制限されることになります。県及び市町村財政は地方交付税の依存度が高く、削減の影響が大であります。したがって、一層の歳入の確保、歳出削減が必要であります。今後、事業と組織の見直しが不可欠であることは申すまでもありません。そして、時代に合った財政構造にする必要があります。
 そこで、県及び市町村財政の厳しい現状にどのように対応していくお考えか。来年度予算編成の基本方針と新しい財政運営プログラムの策定とあわせ、総務部長にお尋ねいたします。
 次に、和歌山大学観光学部設置構想についてお尋ねいたします。
 現在、国立大学法人和歌山大学は、観光学部の設置構想を発表しております。和歌山大学が観光学部を設置しようとする目的は、我が国及び世界の観光資源を活用し、探求し、観光学研究の拠点となること、観光分野を初めとして広く社会で活躍する問題解決能力とホスピタリティー豊かな人材を養成すること、地域の観光資源の有効活用をベースにした地域活性化に寄与することとしております。
 観光は二十一世紀型産業として注目されております。世界のGNPの一〇%を占めます観光ビジネスは世界最大の産業であります。ところが、海外に出かける日本人が約千六百万人、日本に入ってくる外国人が五百二十万人という現状にかんがみ、本年一月、小泉首相は観光立国宣言を発し、本世紀の最大戦略に位置づけております。
 時あたかも、本県は本年七月一日に紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産登録されました。これを機に、多くの観光資源に恵まれた本県では、観光を資源、資産とする観光立県への方向を強めているところであります。
 日本の大学で観光学部を設置しております大学は、私立で立教大学、大阪明浄大学、札幌国際大学の三大学のみであります。国公立大学には、いまだ観光学部は設置されておりません。観光学を対象とする教育・研究を展開する大学が極めて限られております。このことは、観光産業での人材不足と相まって、観光学の学術的研究は時代と社会の要請に照らして欠如していると言っても過言ではありません。観光学が学問の対象としての流れができつつある今日の情勢にかんがみ、和歌山大学観光学部──仮称でありますが、この観光学部設置構想はまさに時を得たものであると考えます。
 和歌山大学では、平成十八年四月、もしくは平成十九年四月の観光学部開学を目指しております。小田学長は、本年の七月の二十二日に文部科学省に説明に行き、そして来月の十月六日に再度説明に行く予定であります。
 しかしながら一方、琉球大学は、国立大学法人初の観光学科──これは学科であります──を来年度からスタートいたします。山口大学は観光学科の設置を検討し、県は来年度予算の重点要望に、政府の予算要望に新規で盛り込んでおります。いずれも、学部でない学科であります。これらの状況や学部を改編して十年の歳月を要して開設されました和歌山大学システム工学部のことを考えるとき、観光学部の設置には相当の困難が容易に予想されます。
 観光学部設置を、世界の中の和歌山、県の活性化、地域発展をかけた県の観光戦略の一つとして位置づけ、県民挙げての取り組み、県民の熱意が強く求められます。そのためには、(仮称)和歌山大学観光学部設置期成同盟会などの支援組織、県を初めとする行政の支援体制、シンポジウムの開催など、観光学部設置への支援体制が重要であると思います。
 そこで、県の観光産業振興に貢献する和歌山大学観光学部の設置に向けての知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 また企画部長には、和歌山大学観光学部設置構想の概要と、県及び関係団体や県民の支援体制についてお尋ねいたします。
 次に、防災対策についてお尋ねいたします。
 最初に、地震・津波対策についてお尋ねいたします。
 九月五日夜、紀伊半島沖合を震源とする最大震度五弱の強い地震が二度発生しました。この地震では津波注意報、警報が発せられました。高確率で発生すると言われる東南海・南海地震が危惧される中、これと直接は関係ないとはいえ、県民は大きな不安を感じております。
 今回の地震の課題は何か。私は、二つあると思います。
 一つは、近海での地震は津波の到達が早いため、津波警報が出たときには避難勧告、指示を出すよう消防庁は基準を示しております。しかしながら、津波に対する避難勧告、指示を出した自治体は、本県では二十一市町の中で和歌山市と那智勝浦町のわずか二市町でありました。一部地域では、注意報の発令時点で既に津波の第一波が沿岸に届いていたそうであります。
 勧告を出さなかった理由として、東南海・南海地震ではなかったので防災対策推進計画の規定に当てはめる必要がない、津波による被害もないと判断されたようであります。ここで、県民のとうとい人命を守るという観点から、一刻も早い避難体制を確立するための方策についてお伺いいたします。もちろん、震度四以上の大きな地震が起きましたら津波が起きる可能性が非常に高いわけでありますから、まず住民は逃げる、避難をするということが大前提であります。
 もう一つは、ある町では電話が込み合い、職員参集が規定どおり進まなかったということであります。電話による連絡体制の問題であります。これは多分県民の皆さんも、普通一般電話でのコミュニケーションというのに大変苦労されたのだと思います。私も、五日の夜の十一時五十七分、ちょうど車で帰る途中でありましたが、大きく揺れましたので早速携帯電話で電話しようと思いましたら、全くつながりませんでした。こういう事態でございました。
 また、県民の方も安否確認などの電話が非常にかかりにくいということであります。これは、こういうように一時期に一地域に殺到すれば起こり得る現象であります。ただ、災害の場合には非常に貴重な情報の伝達において、これは大きな問題になります。安否確認についてはテレビで明快な情報を発信することが重要であると思いますし、また停電の場合はテレビは見れません。ですから、携帯電話でのメールの活用や、またインターネットの活用は有効であると考えられます。
 防災関係者は、災害時には、基本的には防災行政無線を使ってコミュニケーションができるわけであります。もう少しきめの細かな連絡をする際に、この無線の問題をどうするかというのは宿題として残っているという感じが私自身しております。これはまさに技術が伴わないといけませんので、それも含めまして、この際、緊急の連絡と情報の収集という意味での連絡というときにどのような方策をとるかということを引き続き研究し、実践に取り入れていかなければならないと考えます。
 これらの教訓は、東南海・南海地震対策への大きな課題であると思います。今後どのように対応していくお考えか、危機管理監にお尋ねいたします。
 私は、昨年の十二月定例会の一般質問で、大地震、大規模災害に備えて捜索救助犬の訓練施設を確保するとともに、コスモパーク加太の防災用地の一部を捜索救助犬の訓練施設として整備をして、近畿一円、全国の捜索救助犬を初めとする警察犬の訓練拠点として活用したらどうかと要望さしていただきました。
 今回もまた要望さしていただきますが、和歌山市冬野にございます県の消防学校、実は土地が山も含めて一万九千平米、実際に使えるのは一万五千平米、それで宿泊施設も十分ではないという状況でございまして、平成に入りまして、全国でこの消防学校は大体五万平米が基準のようでございます。もちろん、防災ヘリの離発着基地もつくらなければなりません。そういう状況でございます。もう一方、和歌山市木ノ本にございます県の警察学校、この建設移転も検討されたらどうかと提案をさしていただきます。
 県消防学校の敷地は先ほど申し上げたとおりでございますが、非常に手狭であるということでございます。警察学校も、閑静な住宅地が周辺に立ち並んでおります。学校での訓練の音がうるさい、その訓練も大変厳しい警備の訓練とか、あと射撃の訓練とかさまざまございまして、閑静な住宅地で音がうるさいというふうな住民からの苦情も出ております。
 ここで、警察学校は国費で建設されるわけでございます。ですから、大地震や大規模災害に備えて十分な訓練施設を確保するという観点から、県の消防学校、また県の警察学校を広大なコスモパーク加太用地に建設移転することを提案さしていただきます。
 この件は、消防学校などは県下市町村の消防関係者が一堂に会して研修を行う、こういった津波勧告の出し方であるとかそういう訓練を行う、さまざまな訓練を行うという意味で、やはり広大な土地が必要でございます。要望さしていただきますが、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
 次に、放置艇対策と河川浸水対策についてお尋ねいたします。
 このテーマにつきましては、先ほども先輩議員の中村裕一議員の方からもお話ございましたんですが、私も本会議で何回か質問をさしていただいております。
 本県においてはプレジャーボートの数が増加しており、約六千四百五十二隻が確認されております。このうち、マリーナなどの係留保管施設を利用しているものは公共施設、民間施設を合わせて千三十六隻、したがって五千四百十六隻は放置艇となるわけであります。放置艇割合は八三・九%、近畿地区では最も高い割合を示しております。
 こうした中、海や河川などに無秩序に係留されましたプレジャーボートのために、漁船など他の利用船舶の係留保管の阻害、また港内の安全航行に支障が生じております。一部の心ない利用者によるごみの投棄、違法駐車、地域社会ではさまざまな問題を引き起こしております。また、河川などの不法係留の壊れた船、難破船は大変景観を悪くしております。また、河川しゅんせつなどの公共事業にも障害になっております。
 地震による大きな津波──今回本会議で先輩・同僚議員からも地震の議論がたくさんなされておりますが、津波の被害は海岸沿いだけではなく、河川沿いでも起きるわけであります。津波の潮位の高さが五メーター、六メーターとなってまいりますと、一気に河口から津波が逆流をしてまいります。それも、上流に行けば行くほど、その津波の勢いが増してまいります。無秩序に係留されました放置艇は一気に物すごい勢いで川の上流まで押し上げられます。そしてまた物すごい勢いで押し下げられまして、また押し上げられるという、プレジャーボートの放置艇が家に飛び込んでくるという事態、大災害が発生する事態が十分考えられるわけであります。
 和歌山市土入川付近の湊、野崎、松江、貴志、木本連合自治会の皆さんは、このことに大きな不安を抱いております。この不法係留、放置艇問題は本県にとって緊急の課題であり、地震・津波による防災上の観点から一日も早く改善しなければならないと思うわけであります。
 この問題は、プレジャーボートの係留施設が不足して、一定のルールのもとに水域や施設の利用が行われていないことが大きな要因であります。放置艇の係留施設を県で整備してプレジャーボートの放置艇問題の速やかな解決に向けての取り組みとあわせ、津波による河川浸水対策についてお伺いいたします。
 次に、生活排水処理対策についてお尋ねいたします。
 知事就任あいさつで、木村知事は「本県は、道路などの生活や産業の基盤となる社会資本が全国的に見てまだまだ不十分であり、今後とも着実に整備を進めていく必要があります。道路や生活排水処理事業など快適な生活環境づくりに取り組んでまいります」と述べられております。
 本県の汚水処理施設整備率は、平成十五年度で三五%、最下位の徳島県が三四・三%でありますから、わずか〇・七%上回っているわけでありますが、まだまだ低い整備率であります。和歌山県全県域汚水適正処理構想で平成二十年度及びそれ以降の整備率を下水道、農業集落排水、また合併浄化槽に分けてどのように見込み、生活排水処理対策事業を進めていくお考えか、お伺いしたいと思います。
 最後に、下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法についてお尋ねいたします。
 この法律は昭和五十年に策定され、いわゆる合特法と呼ばれております。この法律の目的は、下水道の整備等により、その経営の基盤となる諸条件に著しい変化を生じることとなる一般廃棄物処理業について、その受ける著しい影響を緩和し、あわせて経営の近代化及び規模の適正化を図るための計画、いわゆる合理化事業計画を策定し、その実施を推進する等の措置を講じることによりその業務の安定を保持するとともに廃棄物の適正な処理に資するものであります。
 この合特法ができた当時、合理化事業の内容について余り明確に書かれておりませんでした。あとはよしなにという状況が実際にございました。全国的に見て、合理化事業計画を策定しないままに合特法の趣旨を尊重した形で、計画を立てずに合理化事業を実施してきた経緯がございます。見方によれば、場当たり的で非常に無責任なという感じがしないでもありませんでした。
 そこで、厚生省は平成六年三月、細かく合理化事業計画の策定要領を取りまとめ、県の廃棄物行政主管部あてに、県下市町村に対する周知指導方をよろしくとの通知を出しております。しかしながら、今日まで県下市町村において合理化事業計画が策定されていないわけであります。特に、県下で下水道普及人口が最も高い和歌山市で策定されておりません。
 本来、生活排水処理対策事業は、広域の場合は県であります。その広域の場合は別といたしまして市町村の事業でありますが、国からの通達、要領の通知など県を通して市町村を指導することになっております。これまでどのように指導されてきたのか。また、合理化事業計画が策定されていない現状から、今後どのように市町村に対し合特法の趣旨を徹底していくお考えか。
 以上、お尋ねをいたしまして、私の第一問といたします。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革に関する御質問に関してでございます。
 御案内のように、三位一体の改革は今非常に難しい局面を迎えております。総理大臣の要請に応じて地方六団体の方で案をつくって投げ返したと。この案自体非常に大きな問題を含んでいるわけですが、今特に問題になっているのが、その中の義務教育の先生の人件費の半分が補助になっているのを、これをやめにして税源移譲をしようというふうな話になっているわけです。このことについてはいろいろな意見がありまして、全国知事会でも夜中までかんかんがくがくの議論があったところでございます。
 私などは、基本的には人件費の問題と教育の問題はまたこれ別の問題でございまして、今、日本の国の基礎教育というふうなものはやっぱりしっかりとしていかないといかんと。余りお隣のことを言うのはなんですけども、お隣の中国なんかは非常に一生懸命勉強をしている人が多くなっているときに、余りゆとり、ゆとりでやると大変なことになると。だから、やはり大事なところは法律とか国が関与して運営を決めていけばいいというふうに思うんですけども。月給の話はこれは別の話でございまして、今こういうふうな補助金がなくなるから、例えば和歌山県の学校の先生の給与が払われなくなるというようなことは、これは戦後すぐのころには全国でもそういう話もちょっとあったんですけども、これからはないだろうと。
 例を挙げれば、警察官の給与というのは、これは全部県が負担しているわけです。だけど、和歌山県の警察がよその県の警察に比べて大きく劣るというふうなことはありませんし、画一的にちゃんとした仕事をしているというふうなことがあります。
 それから、高等学校は全部給与は県が見ているわけですけども、これも別に給料の違いがあったというふうなこともございません。だから、この教育の根本の議論とお金の話とは少し分けて考えるべきじゃないかというふうなのが私の個人的な感じなんですけども、だけど、いずれにせよ、この問題は非常に大きな問題で、今後私どももこの推移を見守りながらこの三位一体の改革がうまく進んでいくような努力をしていきたい、このように思っています。
 それからもう一つは、こういうふうな三位一体の改革が進むのはいいんですけれども、その中で余り裕福でない県、そしてまた市町村、そういうふうなところが交付税が減るということによって、もう本当にやっていけなくなるというふうな状況が現に出ているわけです。私どもは、この補助金の削減と税源移譲ということをあわせて交付税による調整機能というふうなことを完全に発揮してもらわないと、本当にこれはもう急激にやると自治体の運営ができなくなるというふうなことでございますので、その点については強く、そしてまた一番根本のこととして主張していかなければならないというふうに思っております。
 交付税の見直し、例えばいろいろなものをつくったときの借金の返済金を交付税の中へ算入するとか、そういうふうな事業誘導的な面があるところは否めませんので、そういうものを見直すことはやぶさかではないわけですが、やはり基本のところ、地方の県であるとか、それからまた市町村が運営できないということにならないような形ということを十分主張していこうと思っております。
 次に観光学部の問題でございますが、これについては、先般、竹中大臣が来たときに、これは大臣の方から「思い切りやります」という、これはよくわからないんだけど「思い切りやります」というふうな話がありました。私自身もこの観光学部というのは、もうこの和歌山大学には一番ぴったりくるもんじゃないかというふうに思っております。世界遺産にもなりましたし、そしてまた和歌山の特性を生かしたこれからの発展の大きな柱が観光ということから考えても一番似つかわしい学部であろうというふうに思っておりますので、県としてもいろんな形でできる限りの支援をしていきたいというふうに考えておりますし、それからもう一つは、ぜひこれを考えるときに、今、田辺にITセンターができて、今度大きなお祭りもするわけですけども、ここが和歌山大学の大学院のサテライトになるというふうなことで今進んできてるんですけども、観光ということになれば、あの辺がまた非常に大事な地域になってくるんで、そこも視野に入れたような形での学部づくりというふうなことが進められたらいいというふうに思っております。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 県と市町村の財政の関係についてお答えを申し上げます。
 三位一体の改革は地方分権推進のために必要ではございますが、一方で本県の現状からいたしますと、県財政は非常に厳しい状況に陥ることも予想されますので、財政再建団体への転落を回避するためにも徹底的な行財政改革に取り組むとともに、県税収入の確保や受益者負担の適正化など財源の確保に努めながら財政の体質を強化する必要があると考えております。そのために、具体的な数値目標を定めた、仮称でございますが、財政構造改革プログラムを策定すべく現在鋭意検討を進めているところでございます。
 県の平成十七年度の予算編成の基本方針につきましては、三位一体の改革の動向を見きわめながら徹底した行財政改革を進める一方で、県内経済、雇用への配慮を行い、県民が安心して暮らせる和歌山県づくりのための施策に積極的に取り組むことも必要であると考えておりますので、従来にも増して必要な事業に財源を重点配分する選択と集中ということと、先ほど申し上げました財政構造改革プログラムに基づいた財政の健全化の調和を基本としてまいりたいと考えております。
 一方、市町村につきましては、時代の流れに即した持続可能な財政となるよう中長期的な見通しを立てた上で歳入歳出や組織機構、職員数、給与などを構造的に見直すことが必要であること、民間活力の活用や住民との協働による行政の責任領域の見直しや、市町村合併の推進なども有効であることなどを助言してまいりたいと考えております。
 また、住民の協力を得つつ改革を進めることが重要でありまして、中長期的な財政見通しや対処方針などを積極的に住民に広報するよう働きかけたいと考えております。さらに、地方分権の推進や三位一体改革による国と地方の関係の見直しなども踏まえまして、県と市町村の間におきましても、自己責任、自己決定に基づく行財政関係を構築しつつ、お互いがコスト縮減などの共通課題に連携して対処できるよう検討してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 観光学部設置構想の概要と支援体制についてお答えいたします。
 七月二十二日に和歌山大学が文部科学省に提出した設置構想案によりますと、開学は平成十八年四月もしくは平成十九年四月となっており、入学定員は二百名とし、うち百名は純増、百名は既存学部から振りかえとなっています。
 平成十八年四月開学の場合、平成十七年六月に文部科学省に学部開設の申請を行い、十一月の認可を経て学生募集を行うスケジュールとなります。
 カリキュラムは、マーケティングや観光政策を初め、文化、スポーツ、外国語など多分野にわたっており、観光に関する豊かな知識と実践力を有し、ホスピタリティーに富んだ人材や、グローバルな視野を持ち、国際性と高い外国語能力を有する人材などの育成を目指しています。また、卒業後の就職先としては、ホテル、旅館などの観光業を初め、旅行会社や運輸関連会社など学生の人気企業が想定されております。
 和歌山大学観光学部の設置は、国立大学では全国で初めての取り組みであり、議員御指摘のとおり、学部新設のためには地元の熱意が不可欠と考えられます。今後、関係市町村や経済団体など広く関係団体に呼びかけ、支援組織を設置し、シンポジウムの開催による県民の熱意の盛り上げや国への働きかけなど、地元と大学が一丸となった取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 防災対策につきましてお答えいたします。
 まず地震・津波対策についてでございますが、津波警報が発令されたにもかかわらず避難勧告を行った市町村が少なかったことにつきましては、大きな課題と考えております。このため市町村長に対し、避難勧告の徹底など地震防災対策の見直しについて再度通知を行い、その徹底を図ったところでございます。
 大地震等防災対策の中で津波からの避難対策が大きな課題であるため、昨年度から大阪府と共同で東海、東南海、南海地震同時発生による津波の到達時間や高さ等を算定するため、詳細なシミュレーションを実施するとともに、海南市ほか三町の浸水区域図を作成しております。なお、残りの市町につきましても本年度中に策定いたします。
 これら浸水区域図をもとに、沿岸二十一市町で住民参加の手法により、津波からの避難場所を盛り込んだハザードマップを地域ごとに作成していただく予定となっております。なお、県もこの作業を通じて避難勧告を徹底するとともに、住民の円滑な避難がなされるよう、沿岸市町に対し助言を行ってまいりたいと考えております。
 次に緊急連絡と情報の収集についてでございますが、今回の地震では、電話回線のふくそうを契機といたしまして、災害時の通信手段についてもさまざまな問題が提起されたと認識しております。県も今回の教訓を踏まえまして、電気通信事業者に対し、災害時に必要な通信回線の確保を図るよう要望するとともに、災害時の通信手段として、議員御提案の防災行政無線や携帯電話メール、インターネット等を含めた各種通信媒体の効果的な利活用方策について検討してまいりたいと考えております。
 なお、県といたしましては、災害時、迅速に情報収集・提供を図るため、防災センターの設置とあわせ、衛星系無線や移動系無線を利用した総合防災情報システムを構築してまいります。
 以上です。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 放置艇対策と河川浸水対策についてでございますが、放置艇対策につきましては、収容施設の確保と水域ルールの確立というソフト・ハード両面からの対策を進めていくことが必要であると認識しているところです。
 和歌山下津地区においては、和歌山下津港プレジャーボート対策検討会を設立し、これらの事項について検討しているところでございます。また、議員御指摘の土入川における不法係留船対策につきましては、現在収容施設について、民間資金の活用を含めたさまざまな整備手法の検討を行っているところでございます。
 河川の浸水対策につきましては、しゅんせつ等の適正な維持管理による治水機能の確保はもとより、河川堤防の耐震性の確保と、水門、樋門の迅速・的確な操作が必要と認識しているところでございます。
 河川堤防につきましては、耐震点検を実施する予定としており、この結果に基づき、緊急性の高い箇所から順次堤防強化の対策を検討してまいります。また、水門、樋門につきましては、操作の自動化及び遠隔化について、後背地の状況や津波到達時間等を勘案しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に生活排水処理対策でございますが、生活排水処理対策につきましては、地域の状況によっては効率的な整備が可能となる浄化槽をより有効に活用するなど、処理構想の見直しを平成十四年度に行ったところでございます。この構想では、平成二十年度での整備目標を普及率五〇%としており、その内訳といたしましては、約二分の一を下水道、農業集落排水等の集合処理、残り二分の一を浄化槽等の個別処理で整備する計画としております。平成二十年度以降につきましても市町村と協議、調整を行い、より一層の整備促進に努めてまいりたいと考えております。
 次に合特法の趣旨の徹底と市町村に対する指導についてでございますが、県では各振興局ごとに、県、市町村及び関係事業者で構成する合特法に係る地域会議を設置しております。この会議において合特法の趣旨を周知してまいりました。今後もこの合特法に係る地域会議において、関係者間の意見交換等を通じ、法の趣旨を周知徹底してまいりたいと考えております。
 また、議員御指摘の和歌山市におきましては、合理化事業計画について研究、調査等の検討を行っていると伺っております。今後も和歌山市との協議を通じ、合理化事業計画の策定に向けて助言・指導等を行ってまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十六番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま、知事並びに関係部長、危機管理監の方から答弁をいただきました。ありがとうございました。
 私、一点だけ、先ほどの和歌山大学での観光学部の設置の件ですけれども、実はシステム工学部が約十年の歳月をかけて設立成りました。このときは学部を一つつぶしているんです。そういう大変な作業であったわけですけれども、昭和六十二、三年ごろから県の皆様が、また商工会議所、和歌山市挙げてのそういう陳情というのがたくさんございまして──実は平成五年七月の総選挙で細川政権が誕生いたしました。たまたま政権与党ということで、私も十八年六カ月野党暮らしでありましたが、いきなり西博義衆議院議員のもとで与党になったわけでございました。本当に与党というのは非常にいいものだなと感じたのは、まず予算の組み立てから一つ一つ当局は説明に来てくださいます。わずか百万、一千万等の予算の組み立て。そして予算の内示が出ますと、その資料を全部いただけるんです。野党のときはいただけません。新聞記事を見ながら談話を書いたというような、そういう思い出がございます。
 それで、ちょうどその当時、仮谷知事の方から、西衆議院議員のところには二つだけやってもらいたいことがあるんだと。それは、和歌山大学のシステム工学部の設置と、それともう一つは児童センター
──現在、子ども障害者相談センターになっておりますけれども──この二つだけでええんで頼みますよという話でございました。ほかの県選出の国会議員の先生方には、それぞれ手分けして道路とかいろいろ言っているわけですが、実はこの二つとも実現したわけであります。
 その背景はどういうところにあったかと申しますと、先ほども申し上げましたように、県議会また商工会議所挙げてのやはり陳情攻勢がございました。私も陳情団の皆さんと御一緒に秘書で参加さしていただきまして、実は遠山高等教育局長のところに行ったときに私も申し上げました。要するに、和歌山県には法学部がないので、法学部を希望する学生は他府県へ行ってしまうんだ、そして帰ってこないんだと。西衆議院議員も、紀伊水道を渡ってわざわざ徳島大学まで行ったんだという話をしましたら、「お気持ちはよくわかります」と言われまして、その後、実は赤松文部大臣がやってまいりまして、文部省は放送大学の全国化を目指しておったんです。いわゆる衛星を上げて全国の施設に──和歌山県でも志学館で放送大学の学習センターが設置されてると思いますけれども──そういう全国化を目指しておりました。数百億の予算が必要だと。
 たまたま西衆議院議員がその当時──細川政権、しばらくでありましたけれども、文教部会の部会長という大きい立場をいただいておりましたんで、わかりましたということと、一方では、大蔵省の当時の小村官房長、また主計官等にも西衆議院議員と一緒に走らせていただきました。そして平成六年度の概算要求で、平成五年に決まったんですが、二百万円の調査費がついたんです。これ、わずか二百万とお思いでしょうけれども、このことによって文部省はゴーサインを出してくれました。そして明くる年には、もちろん予算でも二百万、調査費がつきました。そのことが、いわゆる明くる年には文部省から職員を和歌山大学へ送り込んだと、こういう経緯がございます。そして、平成七年十月に認可となりまして、いよいよ平成八年の四月から学生の受験、受け入れと、こうなったわけでございます。
 私は何を申し上げたいかというと、これは、いろんな先生、国会議員の先生がいらっしゃいますけれども、何といっても文部科学省を、本丸をきちっとしなきゃいけない、そのためにはやはりいろんな県民の熱意──知事も先ほどおっしゃいましたけど、財政状況厳しい中だということでありますので、県民の熱意が大事であると。一方、学科で琉球大学も山口大学もしようとしているわけです。
 それで、小田学長ともいろいろと相談しましたが、学長も文科省から学科でどうですかと随分けしかけられてるようであります。しかし、何としても国立大学法人の和歌山大学は学部でいきたいんだと。この世界遺産登録を契機に、いわゆる国立大学としてのトップランナーとして、またオンリーワンの大学を目指すんだと。
 従前は、学問の対象には非常になりにくかったというふうに言われております。学生が果たして来るだろうか、就職先があるだろうかという問題もありました。ところが、国は観光立国宣言を発しているわけでございます。ですから、きのうも議論ございましたが、世界遺産登録、いわゆる熊野古道の理念とか歴史、そういったものの学問的体系、先ほども道成寺の安珍清姫の話もありましたが、そういうストーリーというものが非常にこれから大事になってくると思うんですね。そういったことの研究、そして和歌山大学は交流協定大学としてドイツにもフランスにも、またアメリカにもオーストラリアにも協定大学があります。交流をすることによって、その国に世界遺産を知らしめていくという、こういうことも可能になってまいります。
 また、産官学連携という地域貢献をいわゆる国立大学法人として標榜しているわけでありますので、まさにシステム工学部設置に見せたあの情熱と申しますか熱意をここでもう一度と思うわけでございます。
 それで、企画部長が主管の部になると思いますけれども、貴志川線の廃線問題とかコスモの問題とか関空の二期工事の問題とか、もう一つは遺産登録でのいわゆる保全の問題とかさまざまな課題を抱えておられますけれども、どうぞこの点を十分踏まえてひとつしっかりとした戦略を立てていただいて──今までにも随分御苦労をしていただいていることも承知しております。当然、和歌山県からも和歌山市からも、そしてまた商工会議所からもこの観光学部設置の要請をされているようでございますし、どうぞ連携して一体となって和歌山大学観光学部設置に向けて御尽力をいただきますことを強く要望さしていただきまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十二分休憩
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