平成16年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに知事専決処分報告報第十三号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十二番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 通告に従い、一般質問を行ってまいります。
 まず、世界遺産に関連して六点質問いたします。
 去る七月七日、紀伊半島の霊場と参詣道が世界遺産に登録されましたが、我がふるさとの文化レベルが実は世界基準にあることがわかり、大変うれしく、誇りに思います。めったに優勝しない阪神タイガースが優勝したような感動を覚えました。指定を大きく報じてくれたアナウンス効果や、あらかじめ旅行会社が商品に仕込んでくれておいたおかげで早速効果があらわれ、この夏は大勢のお客様が高野・熊野に訪れたことと伺っております。この秋には大型キャンペーンが予定されており、さらなる発展が期待されます。また、この九月議会に議案提出されています調査が順調に進み、世界遺産条例が施行され、大切なお守りとして機能してくれることでありましょう。
 しかしながら、申し上げたいのは、高野・熊野だけが和歌山県ではないのであります。それ以外にも大変すばらしい文化遺産や自然風土は残されており、世界遺産にまさるとも劣らないものが多くあります。例えば、道成寺は熊野古道最大の物語、安珍清姫の舞台であり、道成寺文化として日本全国に影響を与えています。また寺の縁起も、天平のシンデレラ・宮子姫伝説が有名で、国宝一件、重要文化財八件という世界遺産に追加していただきたいほどの盛りだくさんの内容があります。熊野古道沿線では、ほかにも下津町の長保寺、海南市の藤白神社などがあり、県下を見渡せば、きら星のごとく磨けば光り輝き出す原石が眠っております。
 二年前の統計によりますと、我が国に国宝の数はわずか千六十三件しかありません。都道府県別の所在地を見ますと、一位はさすがに京都府が多く二百五十四件、二位が博物館の多い東京都で二百三十二件、三位はやはり奈良県で二百五件、四位大阪府六十件、五位滋賀県五十五件と続き、六位に我が和歌山県が三十五件でランクインしており、七位兵庫県二十件と、近畿二府四県と東京都で八百六十一件、率にして何と八一%と、国宝は近畿と東京に集中しているのであります。しかも、全国には国宝が一件もないところが七道県もあります。
 このように歴史と伝統のある我が県には、指定地域以外にも立派な誇り得る遺産がありますが、知事は何かお考えでしょうか。
 また、世界遺産をきっかけに、経済成長の目覚ましい中国を初め、香港、台湾、韓国、オーストラリア、欧米といった地域への集客を働きかけるべきであると考えますが、どのように取り組まれるのでしょうか。
 三点目に、十一月三日、四日、五日の三日間、商船三井の豪華客船にっぽん丸が熊野古道クルーズに来航いたします。私の地元日高港では客船誘致のちょうど準備中で、ポートセールスをする前に先方から来てくれたわけですが、これは世界遺産登録の効果と客船誘致に日ごろから努力されている新宮市並びに県港湾空港振興局のおかげであると感謝を申し上げます。
 客船は一回の寄港で数千万円の経済効果、外国船の場合は数億円の経済効果があると言われ、アメリカでは客船クルーズが利益の出る唯一の旅行商品であると言われております。客船クルーズは、本当に豊かになった我が国ではこれから大いに期待される分野でありますが、県としてどのように取り組まれるのでしょうか。
 四点、五点目は景観についてであります。
 最近、テレビの旅番組で、タイのチェンマイやインドネシアのバリ島では、わざわざ敷地内に田園風景を再現したホテルを見たことがあります。景観というものは私生活に例えればおしゃれのようなもので、おしゃれをしたからといっておなかが膨れるものではありませんが、おしゃれをしなければだれからも振り向いてもらえません。しかも心と懐が豊かでないとできません。さらに、景観については一個人ではどうすることもできず、一夜にして実現することもできません。
 そこで、ルールをつくって皆で時間をかけて守り育てないと景観は維持・進展できないと思うのであります。県において建築景観賞は成果を上げたとして、せっかくのよい取り組みも終了しましたが、むしろ今日の方が必要性は高まったと思います。予算をかけずに表彰する方法はありますし、この際、建築だけではなく、もっと対象を広げ、自然景観や農山漁村の景観、歴史的景観等々を構成・維持する個人、団体、地域を表彰してはどうでしょうか。また、県下を網羅するような景観条例をつくるべきでありますが、どのようにお考えでしょうか。
 六点目は、フリーゲージトレインの導入についてであります。
 鉄道の高速化については本県でも平成七年ごろ取り組まれ、記憶では四十億円程度を費やし、新型車両オーシャンアロー号の導入や一線スルー化などの基盤整備が行われ、新大阪─新宮間が最大二十分短縮されました。しかし今日、依然三時間四十分もかかることを考えると、以前この県議会で質問したことを思い出します。それは、当時の新大阪─新宮間が特急くろしおで四時間もかかり、四時間もあれば、東海道をのぞみで走り東京駅で乗りかえれば福島県の白河市付近まで行けることから、和歌山は大阪の隣県でありながら、心理的にも物理的にも福島県と同じぐらい遠いところにあるということを申し上げました。
 和歌山ではその後、鉄道をめぐる大きな動きはありませんでしたが、目を全国に転じれば、整備新幹線は着実に進捗し、北陸新幹線は長野まで開通しました。今、金沢を目指して工事中であります。東北新幹線は一昨年十二月、八戸まで、九州新幹線は本年三月に鹿児島までそれぞれ開通しました。また、各地で在来線の高速化も行われております。
 そこで、現在国内走行試験が行われているフリーゲージトレインの導入に向けてどのように取り組まれるのか。また、鉄道をつくるのが唯一の仕事だった日本鉄道建設公団が提案したお手盛りとも言える千八百六十億円の巨大な計画ではとても実施は無理で、実現可能な計画に見直すべきであると思いますが、いかがでしょうか。それぞれ答弁を求めます。
 次は、企業誘致に関連して四点質問をさせていただきます。
 この九月九日公表の政府月例経済報告では、原油価格、世界経済の影響に注意しながらも、景気の先行きについては、国内民間需要が着実に増加していることから景気回復が続くとの報告がありました。私たち経済の素人にも、輸出関連企業が好調なこと、不良債権の処理が進んでいること、元気な中国経済の好影響など、株価を見ても日本経済が元気を取り戻しつつあることがわかります。知事は今日の景気、設備投資動向をどのように読み取り、政策に生かすおつもりでしょうか、御答弁をお願いいたします。
 さて、先般、愛知万博協賛の府県議会議員野球大会が名古屋でありました。最近上京するときは飛行機で行くことが多く、余り名古屋の町を見たことがありませんでしたので、関西を追い抜いた経済圏の中心はさぞや高層ビルが林立していることかと思いましたが、駅前以外は高層ビルはなく、いささか拍子抜けいたしました。
 ところが、翌朝、新聞の求人欄を見ると三ページもあるのに驚きました。特にCADエンジニア、システムエンジニアなどといった工業都市らしい技術者が不足しているとのことでありました。私は、この名古屋をお手本にしたらよいと思います。和歌山県でも物づくり企業を中心に振興し、誘致をするのであります。そのためには、やはり企業誘致の専門家を育成する必要があると考えます。
 以前から、企業誘致、観光振興、防災、医療政策などは人脈や高度の専門的知識が必要なことから、じっくり専門家を育てるよう要望していますが、どの程度実現されているのでしょうか。また、企業誘致は商工会議所などの経済団体へお願いしてもよいのではないでしょうか。
 例えば御坊商工会議所には、知事にも御理解をいただいた昨年の緊急雇用対策、三百五十万円の予算で半年間、東京、大阪に二人の企業誘致専門員を置き、数百社を訪問してもらいました。残念ながら誘致に結びつきませんでしたが、それをきっかけに御坊商工会議所は誘致に結びつく情報を提供した人に百万円の懸賞金を支出することを決め、今年度からは自前で企業誘致に乗り出しました。すばらしい予算の回転ぶりであります。ぜひ来年度に向け御検討いただきたいと思います。
 四番目は、合併浄化槽の五十人槽以上も補助対象にできないかということであります。
 私が以前尋ねたところ、和歌山県では、五十人槽以上は合併浄化槽補助要綱制定以前から合併浄化槽にしなければいけないことになっていて、せっかく国庫補助があるのに県ではしないという返事でありました。もったいないなというふうに思いました。
 県内の企業用地が必ずしも公共下水道の流域でないことを考えると、企業誘致を促進するために、また環境を守るためにも五十人槽以上も補助対象とするべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 大きな三点目は、さきの紀伊半島沖地震を経験して、九点について質問をいたします。
 去る九月九日の夕刻、七時七分の地震、それに続く十一時五十七分の地震は、大きな被害もなく、無事に終息しました。だれしも本物の南海道地震でなくてよかったという思いであります。しかし、南海道地震は着実にそこまで忍び寄ってきており、今回の地震こそまさに警告と受けとめるべきであります。
 法律ができて駆け足で防災対策を講じてきましたが、道半ばのためか、今回の地震では津波警報による避難勧告が出されなかったなど、多くの課題が明らかになりました。私もゆさゆさ揺れる地震は初めての経験で、なかなかおさまらない揺れに、大したことはないとは思いつつ、慌ててガスを消しただけで、テーブルの下に隠れるのが精いっぱいでした。NHKの地震情報は速かったものの、市町村役場とのやりとりでは情報が混乱していることがわかりました。阪神大震災で活躍した携帯電話は発生直後からかからなくなり、心配した友人からは携帯にメールが届き、普通電話にも電話がかかりました。
 さて、知事も今回の地震を経験され、しかも初めて訓練でない地震対策本部を設けてどのように思われましたか。感想をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、改めて南海道地震に備えて県の防災計画はどうなっているのか。また、地震対策法を補う政令や防災事業を含めて課題はないのか。さらに、今後どのように取り組むのでしょうか。
 三点目に、今回の地震では、津波警報が出されているのに避難勧告が出されないなど初歩的なミスが出たわけですが、市町村防災計画に根本的な問題はないのか。あればどのように指導するのでしょうか。
 四点目は、現在県内の主要官庁は、夜間・休日に無人や民間委託になってしまうところばかりですが、せめて防災のかなめとなる県振興局や市町村役場は常駐する必要があるのではないでしょうか。
 五点目は、常備消防の一本化であります。
 阪神大震災のときは、日本版フィーマが必要であると──フィーマというのはアメリカの危機管理庁でありますが、これが必要だと大変やかましく言われた時期がありました。最近はフィーマの名前すら聞いたことがありません。災害の基本は、みずからの命はみずから守ることであり、生き残った人が家族を助け、地域で助け合うことが大切であるとされています。しかし、災害のプロが決して不必要になったわけではありません。むしろ、プロの養成の必要が高くなっています。
 幸い、我が国では、ほとんどの地域で常備消防が組織され、消防、救急、遭難救助などで日夜活躍してくれていますが、消防団も含め、消防こそ県内一本に組織されれば、日本版フィーマとして十分活躍が期待できると思いますが、どうお考えでしょうか。
 六点目は、県営事業の負担金についてであります。
 現在、本県では、防災上重要な県営事業のうち、ため池事業や急傾斜事業は市町村に負担金を求めることにしており、また市町村によってはさらに受益者負担を求めることがあります。しかし、高齢化が進む県下の農山村では年金で細々と暮らすお年寄りが多く、とても受益者負担が払えないので、危険な場所でも後回しにされているおそれがあります。まさにお年寄りイコール災害弱者の構図で、最近の災害報道によると死傷者のほとんどが高齢者であることから、高齢者を守ることがそのまま人的被害の軽減につながることと言えます。
 そこで、県営事業では負担金を求めないというのが最良の方法であると思いますが、もしできなくても何か工夫する必要があると思います。どのようにお考えでしょうか。
 七点目に、住宅の耐震化について伺います。
 九月二日の読売新聞によりますと、せっかく実施した住宅の耐震診断でありますが、受診戸数が約六百戸と余り効果を上げていないとの報道でありました。国民の生命・財産を守るのが政治行政の最大の仕事であるなら、生活の六割の時間を過ごす住宅を守らずして国民の生命・財産は守れません。さて、どのように住宅の耐震化を進めるのでしょうか。
 八点目は、放置艇についてであります。
 六百三十キロ余りの海岸を有する和歌山では、釣りは実益を兼ねたすばらしい趣味で、裕福な人は個人で船を所有し、リアス式海岸の入り江や河川に係留しています。厳密に言いますと不法に放置されているのでありますが、船を持ってすぐに釣りに行けるというのは田舎暮らしの特権とばかりに大目に見る向きもありますが、ことしの夏、台風で貨物船が打ち上げられ、民家を直撃したことが大きく写真で報じられており、それを見たとき大変驚き、映画の「SPEED2」や昭和の南海地震で機帆船が陸上に打ち上げられた様子を思い出し、休日に楽しい一日を過ごさせてくれる遊漁船も、津波襲来時には町や人を襲う魚雷のような凶器になるのではと心配をいたします。一刻も早い放置艇対策を望むものでありますが、放置艇の現状と今後の具体的な対策について伺います。
 九点目は、中継局の設置についてであります。
 災害時のラジオ放送が有効なことは明らかで、トランジスタラジオは防災グッズにも必ず入っているすぐれものであります。この夏の一連の台風でも、被害者がトランジスタラジオが命綱だったことを告白しています。しかしながら、私の御坊市の中心市街地ではNHK和歌山放送局のラジオ第一放送が聞き取りにくく、専ら徳島放送局を聞いているということであります。
 ところが、災害時は実は徳島では間に合わないので、心配して和歌山放送局へかけ合ったそうですが、聞こえるようにするためには中継局の設置が必要で、中継局の設置は毎年一、二件程度しかなく、予算的に困難であるとのことでした。日常的に電波の状況が悪く、聞く人が少ないから特別問題になっていないのかもしれませんが、災害時はきっとみんな聞くと思います。しかし、そのとき初めて受信状態が悪いことを知るというのでは本当に困ります。ぜひ聞こえるようにしていただきたいものであります。
 そこで、県防災計画では災害報道というのはどう位置づけられているのでしょうか。また、聞こえないのであれば県は働きかけないのでしょうか。県下に同様の地域はほかにもないのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
 大きな四番は、高速道路に関して三点伺いたいと思います。
 昨年末の近畿自動車道御坊─南部間の開通は、平成七年にくい打ち式に参加し、用地交渉にも多少関係を持ち、毎日工事の進捗を見ながら楽しみにしておりましただけに、格別の喜びがありました。何といっても、紀南地方の観光振興を初め経済発展に大いに役立っていることは喜ばしい限りであります。さらに高速道路が早く紀伊半島を一周することを望みます。
 さて、一点目は県内受注率であります。
 開通半年余りが過ぎ、冷静に考えたとき、果たして地元でどのぐらい受注があったのでしょうか。
 二点目は、救急車のETC設置についてであります。
 救急車がせっかく高速道路を急いで通ってきても、料金所では一般車両の後ろに並ぶ姿を見ると、大変不思議に思います。高速料金は無料と聞きますが、ETCをつけるなど、何とかならないものでしょうか。
 三点目は、インターチェンジの設置についてであります。
 御坊湯浅道路の広川町上津木インターは、全国初のETC専用料金所として竣工式を待つばかりとなっています。関係者の涙ぐましい努力と二階代議士の大きな政治力のたまものであります。新幹線の駅などは知らぬうちに後から幾つもできていますが、人口の少ない広川町に二つもインターチェンジができるのなら、和歌山市内の紀の川右岸と和歌山─海南間にもぜひ欲しいものでありますが、どのように認識されているのでしょうか。
 大きな五番目、最後になりますが、規制緩和について二点伺います。
 まず一点目は、農地のリサイクルについてであります。
 昨今、農家破綻という言葉を聞きます。農家が仮に経営で失敗しても、以前であれば農地を売って清算すれば十分足りたわけですが、今日では農地の地価が極端に安く、とても清算し切れないことが多く、安くても売れない農地も実はたくさんあります。耕作放棄地は全国どこへ行っても目につきますし、農林水産省がどう言い繕っても、恐らくもう既に農地は農家だけで維持できなくなっているのであります。
 一方、都会からは田舎暮らしを求めて移り住む人も多く、土いじりを通り越して新規に就農する人もいると聞きます。しかし、彼らが農地を取得するときには、取得面積などで制限がつきます。農地が余っているのに必要な人にどうしても行き渡りません。かといって、田舎暮らしを希望する人は大体熟年夫婦が多く、せっかく農地を取得しても、どちらかが亡くなれば都会近くへ戻ってしまうので、今度は農地の処分に困ります。
 そこで、農家が所有できなくなった農地を買い取り、もしくは売却、貸し付けのあっせんをし、田舎暮らしの人に売り渡す。逆に、田舎暮らしの人が要らなくなった農地を買い上げ、次の人に転売する制度を創出してはどうでしょうか。この制度により農地のリサイクルを推進することができるわけでありますが、どのようにお考えでしょうか。
 二点目は建築基準法であります。
 全国どこへ行ってもすぐそれとわかる建物があります。それは、白かベージュの鉄筋コンクリートの四角い箱で、緑色の金網の向こうに手間のかからない植栽とともに仲よく並んで見えたら、それは間違いなく公立の小学校か中学校であります。なぜ金太郎あめのごとく特色のないことになるかと言えば、文部科学省の補助金要綱と建築基準法のなせるわざであります。
 最近は鉄筋コンクリートも木造も補助基準に差がなくなったそうですが、建築基準法では、学校などの特殊建築物は、三階建てになれば耐火もしくは準耐火建築物にしなければならないと決められております。耐火建築物の代表格は、もちろん鉄筋コンクリートでありますが、近年の木造技術の進歩により、難燃処理をした大断面の集成材で建築することが可能になりました。ただ、大変高価になるのが難点であります。
 しかし、和歌山県の山間地を考えた場合、校舎の隣地には家屋のないところが多く、果たして類焼のおそれのある市街地のように耐火、準耐火建築物にする必要があるのでしょうか。また、学校から直接出火した話は余り聞いたことがありません。恐らく都会的発想からの法制定であるため、過疎地に当てはめることに無理があると思います。
 そこで、他県と連携して、木造でも建築できるよう法律の改正を求めるか、また特区の設置をしてはいかがでしょうか。お答え願いたいと思います。
 以上で、私の一般質問は終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 世界遺産の非常にいい影響が出ているということだけども、これを県全体に広げたらどうかというお話でございます。これは本当にもっともなことでして、つい先日も、道成寺の鐘が四百二十年ぶりに京都の妙満寺から帰ってくるという大きなイベントをやるということで、私も東京で参加させてもらったんですけども、大変な盛り上がりがありました。
 この道も実は熊野古道ではないんですけれども、安珍が逃げてきた道と清姫が追いかけてきた道ということで、ある意味では熊野古道に準ずるというか熊野古道と同じような道ですし、そしてまたこの鐘にまつわる伝説とかいろんなことも本当に長い間歴史を積み重ねてきたもので、全国的な広がりのあるような事柄なわけです。
 そのほか和歌山には、紀の川の流域にもいろいろな文化財がありますし、先ほどお話にありました藤白神社でありますとか長保寺、さらには和歌浦であるとか加太であるとか、これもう本当にすばらしいところが多いと。せっかく今全国の観光の目が和歌山へ向いているというときに、これを生かさない手はありませんので、全体としてよくなっていくような方法を考えていきたいと思っております。
 特に、私は先般、祈りの道展──これはあと三日間ですので、ぜひ皆さん方も行っていただきたいんですけども──大阪市立美術館で開かれている展覧会、本当に感動しました。国宝もたくさん出ていますが、その中に、やはり和歌山にこんなにすばらしいものがあったんだなというふうなことを改めて考えさせられるようなものが本当にたくさんありました。これからもっともっとこういうふうなものを大事にして、全国で第六番目の国宝の所在地というのは、これは本当になろうと思ってもなれることじゃない。少しそういう面での認識が今まで薄かったんじゃないかということを私自身も反省しております。こういうふうな点を大事にしながら考えていきたいと思っております。
 次に景気の動向ですけれども、和歌山はなかなか景気がよくならないということを皆さん言われますけれども、商工会議所の調査によりましても、和歌山も着実に景気が回復してきております。これはもう数字がはっきりして出していることです。ただ、今回の景気の回復には、中国特需でありますとか要因がある程度はっきりしていて、なかなか全般的によくなっているというふうな状況ではないわけですけども、せっかく景気がよくなってきて和歌山でもクレーンが立っているところが目立つようになってきましたし、さらに、大阪なんかももうずっと新しいビルの新築がなかったんですけども、このところ非常にふえてきていると。こういう時期に、県としてもこの波に乗りおくれないように、いろんな形で企業誘致でありますとか、それからベンチャー企業の育成、例えば先般は和歌山大学の学生のベンチャーが発明したものの一部が一億円で売れたというふうなことが新聞に載っておりましたけども、こういうふうに、やっぱりいろんな形で努力しているところは伸びていくということがありますので、県もこのような取り組みを一緒になって頑張っていきたいと、このように思っております。
 さらに、この間の紀伊半島沖地震の感想ということでございますけれども、一日に二度も大きな地震が起こったということで、私自身も夜中に出てきて、災対本部におっ取り刀で駆けつけたというふうな状況だったわけでございます。この対応につきましては、県の職員もたくさん参集していろいろ役割を果たしたんですけども、やはりまだ十分でないところもたくさんありました。さらには、津波警報が出ているのに避難しなかったとか避難勧告が出なかったというふうな根本的な問題もたくさんございましたので、こういう面について、今鋭意対策を講じようとしているところでございます。
 さらには、やはり津波の怖さというふうなものがどうもやっぱり実感できていないんだろうというふうなことがありまして、今、広川町に津波シミュレーションを見られる、要するにこんなに怖いものだということをビジュアルに体感できるような施設をつくるというふうなことで話を進めておりまして、こういうふうなものを活用したり、それから、これから防災センターもつくっていきますけども、こういうふうな中でも津波というふうなものにある程度焦点を当てたような対策というふうなものを講じていきたいと、このように考えております。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 世界遺産に関連してのインバウンド観光の強化でありますが、海外からの観光客の誘致につきましては、メディアや旅行会社の招請、多言語のホームページや観光パンフレット等を作成し、積極的な誘客活動を実施しているところであります。今回の世界遺産登録を機に欧米諸国に対する働きかけを強めるとともに、訪日観光ビザの発給地域が拡大された山東省を初め、中国からの誘客にも一層努力をしてまいります。今後とも国、各府県等との広域的な連携を強め、より効果的な誘客活動を実施してまいります。
 次に企業誘致に関連しての民間委託についてでありますが、企業誘致を進めるために、アンケートやITを使った広報等から得た情報により職員が企業訪問を行っているところです。しかし、企業誘致活動を効率的に進めるために民間企業の人脈やノウハウを活用することは大変有意義であると考えております。
 県といたしましては、平成十四年度からきのくにインバウンドコーディネーター事業を開始し、経営コンサルタント会社や投資会社に対して企業情報の収集や面談設定等を委託し、誘致交渉を継続しているところでございます。今後も民間委託につきましては、費用対効果を十分考えながら、委託先の選定や委託内容等、より効率的な方法を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、世界遺産に関連して、旅客船誘致についてでございます。
 旅客船につきましては従前から誘致活動を行ってまいりましたが、今般、世界遺産登録を契機として日高港への初寄港が決定するなど、今後さらに本県への寄港が増加していくものと期待しております。
 今回の旅客船につきましては、和歌山下津港、新宮港にも寄港し、高野山、道成寺や熊野古道を初めとしたさまざまなオプショナルツアーが企画されております。こうした旅客船による観光は和歌山の魅力を存分に味わっていただくことができる新たな観光ツールの一つであり、その寄港増加は本県の観光振興や地域の経済の活性化にも大きな効果があるものと考えております。
 旅客船の誘致につきましては、地域の観光資源に加え、地元の熱意と温かいおもてなしも重要と考えており、今後とも地元関係者を初め県観光部局とも連携を図りながら、船会社等に対してさらに積極的な誘致活動を行ってまいります。
 それから、建築景観賞の復活、景観条例の制定についてでございます。
 世界遺産に登録された今、県民の景観に対する機運も高まっており、和歌山のすばらしい景観を保持・維持することは大変重要なことだと認識しております。今後、議員の御提案を参考に、県といたしましても、さきの国会で成立しました景観法を踏まえ、行政だけではなく、地域の住民の皆様やNPO法人などと協働して魅力ある和歌山の景観を保持できる仕組み、これを検討してまいりたいと考えております。
 企業誘致に関連してでございますが、企業が設置する五十人槽以上の合併浄化槽も補助対象にできないかでございますが、公共用水域の汚染原因の約六〇%が家庭雑排水となっているため、従前より個々の家庭からの排水処理を重点に浄化槽の設置の推進に努めてきたところでございます。一方、本県では、誘致企業に対し一定の補助制度がございます。
 議員御提案の件につきましては、公共用水域の水質保全を図るための浄化槽設置と県経済の活性化や雇用の拡大を図るための企業誘致という双方の目的が限られた予算の中でいかに効率的、効果的に達成できるか、関係部局、関係機関と検討してまいりたいと考えております。
 次に、住宅の耐震化の推進についてでございます。
 県内には昭和五十六年五月以前の旧耐震基準に基づいて建設された木造住宅が約十七万戸ございますが、ことし平成十六年度から当面五カ年間で耐震診断二万戸、耐震改修三千戸を実施して、その経費の一部を補助する制度を始めたところでございます。十六年度は耐震診断三千戸、耐震改修百戸の実施を予定し、耐震診断については四十二市町村からの要望戸数が現時点で約二千戸となっております。さきの紀伊半島沖を震源とする地震発生以降、県民の皆様からのお問い合わせも増加してきており、一層事業の推進に努めてまいります。
 次に放置艇対策でございますが、本年六月、和歌山下津港において和歌山下津港プレジャーボート対策検討会を立ち上げ、放置艇収容計画や対策要綱を検討しているところでございます。今後、対象エリアを県南部地域に順次拡大するとともに、津波等の防災面も考慮しつつ、さまざまな角度から適正な収容方法や規制措置等、総合的な検討を進めるために、その具体的な計画を策定してまいりたいと考えております。
 次に高速道路に関連して、地元の受注率についてでございます。
 近畿自動車道紀勢線御坊─南部間での工事契約全体に対する県内業者関係の受注状況につきましては、全体件数七十五件のうち県内関係業者は十四件、率にして約一九%、金額で見ますと約五百五十億円のうち約三十六億円、率にして約七%であると聞いております。今後、県といたしましても、県内業者育成の観点から公団発注工事等への県内業者の参入機会を拡大していただくよう、関係方面にお願いしてまいりたいと考えております。
 続いて、紀の川右岸と和歌山─海南間にインターチェンジを設置することについてでありますが、従前から高速道路に新たにインターチェンジを追加するには町づくりに資することがその要件になっており、和歌山市が取り組む町づくりを前提に、和歌山市内の広域的な交通体系の中で必要性、可能性などについて検討する必要があると考えております。このため、議員御提案の趣旨も踏まえ、今後、和歌山市と十分調整を図りながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 木造建築の規制緩和の件でございますが、建築基準法は個々の建物の安全性等について必要な基準を定めております。特に学校などの建物が一定規模により耐火性能等が要求されていることは、使用者の安全確保の観点や防災拠点として使用されること等から必要なことと考えております。なお、校舎の建築計画設計等において、二階以下か二千平方メートル未満であれば木造建築も可能であります。本県においては、紀州材活用の観点から、耐火構造の外壁、軒裏、ひさしなどの表面材として木材使用を可能とする規制緩和について積極的に取り組んでいきます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) フリーゲージトレインにつきましては、将来の鉄道輸送を考える場合、極めて画期的な技術であり、新幹線と在来線の相互乗り入れにより、地域格差の是正に大きな期待が持てるものと認識をいたしております。現在、国において実用化のための技術開発や走行試験などが行われており、県としましても、早期実用化に向け、国への要望活動を行っております。また、本年八月には国土交通省において、関係県が参加し、フリーゲージトレイン導入のための担当課長会議が開催され、地域における課題等の情報交換を行っているところでございます。この会議につきましては、今後も継続的に開催されることとなっております。
 なお、事業実施のためには、議員御指摘のとおり、経費面での大きな課題がございますので、現在国において見直し中ではございますが、導入コストの低減についてあわせて国へ要望するとともに、先ほど申し上げました会議の中で議論を深めていきたいと考えております。
 次に、議員御指摘の御坊市中心部でのNHKラジオの問題につきましては、NHKから当該地域の受信状況の実地調査をする予定である旨、また災害時における災害情報につきましては、御坊市内に中継局があり、良好な受信状況であるFM放送との併用で対処をしていると聞いてございます。
 なお、NHKラジオ第一放送は、大阪放送局のほか、田辺、すさみ、古座、新宮の県内四カ所の中継局から放送されているところですが、一部聞き取りにくい地域があることはNHKでも認識しており、必要に応じて、受信状況の測定調査や中継局の出力状況によるエリア拡大など、難視聴地域解消に取り組んでいると聞いてございます。
 県地域防災計画においても、災害時におけるラジオ放送は県民に対する緊急情報の提供等重要な役割を担うものと位置づけされているところであり、今後ともラジオの安定的な受信に向けて、危機管理局と連携をしながらNHKに働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) まず、企業誘致に関連した人事の対応についてお答え申し上げます。
 企業誘致や観光振興、防災、医療政策などの専門的な知識が必要な部署につきましては、専門家育成という観点から、その適格性を見きわめながら担当業務の長期継続化や経験者の再配置などを行ってまいりました。特に企業誘致体制の強化につきましては、今年度、班体制から室体制への組織強化を図りまして、さらに、かつて誘致業務に携わった職員の再配置、東京での企業誘致の経験者の配置、誘致担当業務の長期継続化など専門的な知識を有する職員を優先して配置したところでございます。
 今後とも、高度な専門的知識を必要とする部署につきましては、担当者の異動期間への配慮や経験者の再配置はもちろんのこと、職員の専門性を高めるための研修機会をふやすなど、複雑多様化する行政需要にこたえられるスペシャリストの養成に努めてまいりたいと考えております。
 次にため池事業などの県営事業負担金の関係でございますが、県営事業負担金につきましては、当該事業の受益の範囲に応じて、必要な事業量確保の観点や財政状況などを総合的に勘案しながら定めております。近年の厳しい財政状況のもとで県民の皆様方からの強い要望のある県営事業を重点的かつ早期実現に向けて実施していくためには、引き続き関係市町村の御協力をお願いせざるを得ない状況にあります。
 しかしながら、三位一体の改革において国と地方の役割分担に関する議論がなされているように、今後県と市町村の役割分担や経費負担のあり方を総合的に検討する中で、御指摘のため池や急傾斜に関する事業も含めた県営事業の市町村負担金についても引き続き検討してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 地震防災対策につきましてお答えいたします。
 まず、東南海・南海地震等に備えた取り組みでございますが、東南海・南海地震対策特別措置法に基づき、県と沿岸市町において津波からの円滑な避難に関する事項などをまとめた防災対策推進計画を策定しております。また、本年三月、県の地震防災対策アクションプログラムを作成し、ソフト・ハード両面で二百二十項目の対策を設けるとともに、達成目標を設定し実施に当たっております。
 なお、課題といたしましては、耐震化や津波対策、自主防災等の組織化の促進、住民への防災意識の普及を初め財政問題等、数多く残されております。このため、国に対しても財政支援や新たな制度の設置等を要請しております。今後も、関係する他府県を初め、市町村、関係機関、地域住民等との連携を図りつつ、総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に市町村の防災計画や体制についてでございますが、今回の地震で避難勧告や災害対策本部の設置等で課題が出てきておりますので、市町村等と十分検証を行い、防災体制の充実が図られるよう助言してまいります。
 次に夜間・休日の職員の常駐についてでございますが、現在、県は振興局等に職員を常駐させておりませんが、災害時の初動体制としましては、最寄りの振興局からおおむね二キロ以内の職員を緊急防災要員に任命し、大規模な地震等が発生した場合、自主的に参集し、災害対策本部の支部の立ち上げや情報収集等に当たることになっております。
 次に常備消防の県内一本化についてでございますが、消防本部、消防団につきましては、災害発生時、地域住民の生命・財産を守る極めて重要な任務を担っております。大規模災害時には相互応援協定により消防力を結集し、対応に当たることとなっておりますが、緊急消防援助隊を初めとする広域応援体制の強化等も必要と考えます。今後も広域的、機能的に対応できるよう、関係機関とともに広域再編化等を進めてまいりたいと考えております。
 次に救急自動車へのETCの設置についてでございますが、救急搬送時は、高速道路においても緊急走行として他の車両に優先し通行するとともに、渋滞が予想される場合は消防本部があらかじめ管理事務所に確認するなど、搬送に支障のないよう対応しております。今後とも迅速な救急業務の実施のため、ETCの設置について関係機関とともに検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 農地のリサイクルについてでございますが、議員御指摘のとおり、耕作放棄地が増加している中で、いかに農地を有効に活用するかは重要な課題であると考えてございます。
 現在、農地の取得に際しましては、農業を経営として営んでいくため、農地法上一定の経営規模が求められているところでございます。こうした中、県では意欲ある農業者に農地の利用集積ができるよう、農業委員会が行う農地のあっせん活動や農業公社が規模縮小農家から農地を買い取り、規模拡大農家や新規就農者等に売り渡す農地の売買事業に対する支援を行うとともに、農地の貸借の推進にも努めているところでございます。また、農業をやってみようプログラムによる推進モデル地区での新規就農希望者の受け入れ体制の整備や遊休農地リフレッシュ再活用促進事業による遊休農地の解消と再利用に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、新たな担い手としての新規就農希望者を初め、田舎暮らしを求める人などへの農地の貸借のあっせんを含め、農地が有効に活用されるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十二番中村裕一君。
○中村裕一君 手短に一点要望を申し上げたいと思います。
 先日の記者会見で知事官舎のことが話題になって、築六十三年の木造官舎に知事はお住まいで、危ないから二階に寝ておられるということでありますけども、知事公舎は地域防災計画には入っていませんが、県としてはかなりランクの高い危機管理的な問題だと私は思います。予備費とは申しませんが、早急な耐震化が必要であるということを御指摘申し上げて、要望にさせていただきます。

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