平成16年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十六年九月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
 平成十六年九月十七日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに報第十三号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに報第十三号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十四人)
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       前   川   勝   久
     二十六番       山   下   大   輔
     二十七番       木   下   善   之
     二十八番       原       日 出 夫
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(二人)
     一  番       須   川   倍   行
     二十九番       冨   安   民   浩
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     危機管理監      白   原   勝   文
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課副主査     楠   見   直   博
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      中   尾   祐   一
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  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに知事専決処分報告報第十三号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十二番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 通告に従い、一般質問を行ってまいります。
 まず、世界遺産に関連して六点質問いたします。
 去る七月七日、紀伊半島の霊場と参詣道が世界遺産に登録されましたが、我がふるさとの文化レベルが実は世界基準にあることがわかり、大変うれしく、誇りに思います。めったに優勝しない阪神タイガースが優勝したような感動を覚えました。指定を大きく報じてくれたアナウンス効果や、あらかじめ旅行会社が商品に仕込んでくれておいたおかげで早速効果があらわれ、この夏は大勢のお客様が高野・熊野に訪れたことと伺っております。この秋には大型キャンペーンが予定されており、さらなる発展が期待されます。また、この九月議会に議案提出されています調査が順調に進み、世界遺産条例が施行され、大切なお守りとして機能してくれることでありましょう。
 しかしながら、申し上げたいのは、高野・熊野だけが和歌山県ではないのであります。それ以外にも大変すばらしい文化遺産や自然風土は残されており、世界遺産にまさるとも劣らないものが多くあります。例えば、道成寺は熊野古道最大の物語、安珍清姫の舞台であり、道成寺文化として日本全国に影響を与えています。また寺の縁起も、天平のシンデレラ・宮子姫伝説が有名で、国宝一件、重要文化財八件という世界遺産に追加していただきたいほどの盛りだくさんの内容があります。熊野古道沿線では、ほかにも下津町の長保寺、海南市の藤白神社などがあり、県下を見渡せば、きら星のごとく磨けば光り輝き出す原石が眠っております。
 二年前の統計によりますと、我が国に国宝の数はわずか千六十三件しかありません。都道府県別の所在地を見ますと、一位はさすがに京都府が多く二百五十四件、二位が博物館の多い東京都で二百三十二件、三位はやはり奈良県で二百五件、四位大阪府六十件、五位滋賀県五十五件と続き、六位に我が和歌山県が三十五件でランクインしており、七位兵庫県二十件と、近畿二府四県と東京都で八百六十一件、率にして何と八一%と、国宝は近畿と東京に集中しているのであります。しかも、全国には国宝が一件もないところが七道県もあります。
 このように歴史と伝統のある我が県には、指定地域以外にも立派な誇り得る遺産がありますが、知事は何かお考えでしょうか。
 また、世界遺産をきっかけに、経済成長の目覚ましい中国を初め、香港、台湾、韓国、オーストラリア、欧米といった地域への集客を働きかけるべきであると考えますが、どのように取り組まれるのでしょうか。
 三点目に、十一月三日、四日、五日の三日間、商船三井の豪華客船にっぽん丸が熊野古道クルーズに来航いたします。私の地元日高港では客船誘致のちょうど準備中で、ポートセールスをする前に先方から来てくれたわけですが、これは世界遺産登録の効果と客船誘致に日ごろから努力されている新宮市並びに県港湾空港振興局のおかげであると感謝を申し上げます。
 客船は一回の寄港で数千万円の経済効果、外国船の場合は数億円の経済効果があると言われ、アメリカでは客船クルーズが利益の出る唯一の旅行商品であると言われております。客船クルーズは、本当に豊かになった我が国ではこれから大いに期待される分野でありますが、県としてどのように取り組まれるのでしょうか。
 四点、五点目は景観についてであります。
 最近、テレビの旅番組で、タイのチェンマイやインドネシアのバリ島では、わざわざ敷地内に田園風景を再現したホテルを見たことがあります。景観というものは私生活に例えればおしゃれのようなもので、おしゃれをしたからといっておなかが膨れるものではありませんが、おしゃれをしなければだれからも振り向いてもらえません。しかも心と懐が豊かでないとできません。さらに、景観については一個人ではどうすることもできず、一夜にして実現することもできません。
 そこで、ルールをつくって皆で時間をかけて守り育てないと景観は維持・進展できないと思うのであります。県において建築景観賞は成果を上げたとして、せっかくのよい取り組みも終了しましたが、むしろ今日の方が必要性は高まったと思います。予算をかけずに表彰する方法はありますし、この際、建築だけではなく、もっと対象を広げ、自然景観や農山漁村の景観、歴史的景観等々を構成・維持する個人、団体、地域を表彰してはどうでしょうか。また、県下を網羅するような景観条例をつくるべきでありますが、どのようにお考えでしょうか。
 六点目は、フリーゲージトレインの導入についてであります。
 鉄道の高速化については本県でも平成七年ごろ取り組まれ、記憶では四十億円程度を費やし、新型車両オーシャンアロー号の導入や一線スルー化などの基盤整備が行われ、新大阪─新宮間が最大二十分短縮されました。しかし今日、依然三時間四十分もかかることを考えると、以前この県議会で質問したことを思い出します。それは、当時の新大阪─新宮間が特急くろしおで四時間もかかり、四時間もあれば、東海道をのぞみで走り東京駅で乗りかえれば福島県の白河市付近まで行けることから、和歌山は大阪の隣県でありながら、心理的にも物理的にも福島県と同じぐらい遠いところにあるということを申し上げました。
 和歌山ではその後、鉄道をめぐる大きな動きはありませんでしたが、目を全国に転じれば、整備新幹線は着実に進捗し、北陸新幹線は長野まで開通しました。今、金沢を目指して工事中であります。東北新幹線は一昨年十二月、八戸まで、九州新幹線は本年三月に鹿児島までそれぞれ開通しました。また、各地で在来線の高速化も行われております。
 そこで、現在国内走行試験が行われているフリーゲージトレインの導入に向けてどのように取り組まれるのか。また、鉄道をつくるのが唯一の仕事だった日本鉄道建設公団が提案したお手盛りとも言える千八百六十億円の巨大な計画ではとても実施は無理で、実現可能な計画に見直すべきであると思いますが、いかがでしょうか。それぞれ答弁を求めます。
 次は、企業誘致に関連して四点質問をさせていただきます。
 この九月九日公表の政府月例経済報告では、原油価格、世界経済の影響に注意しながらも、景気の先行きについては、国内民間需要が着実に増加していることから景気回復が続くとの報告がありました。私たち経済の素人にも、輸出関連企業が好調なこと、不良債権の処理が進んでいること、元気な中国経済の好影響など、株価を見ても日本経済が元気を取り戻しつつあることがわかります。知事は今日の景気、設備投資動向をどのように読み取り、政策に生かすおつもりでしょうか、御答弁をお願いいたします。
 さて、先般、愛知万博協賛の府県議会議員野球大会が名古屋でありました。最近上京するときは飛行機で行くことが多く、余り名古屋の町を見たことがありませんでしたので、関西を追い抜いた経済圏の中心はさぞや高層ビルが林立していることかと思いましたが、駅前以外は高層ビルはなく、いささか拍子抜けいたしました。
 ところが、翌朝、新聞の求人欄を見ると三ページもあるのに驚きました。特にCADエンジニア、システムエンジニアなどといった工業都市らしい技術者が不足しているとのことでありました。私は、この名古屋をお手本にしたらよいと思います。和歌山県でも物づくり企業を中心に振興し、誘致をするのであります。そのためには、やはり企業誘致の専門家を育成する必要があると考えます。
 以前から、企業誘致、観光振興、防災、医療政策などは人脈や高度の専門的知識が必要なことから、じっくり専門家を育てるよう要望していますが、どの程度実現されているのでしょうか。また、企業誘致は商工会議所などの経済団体へお願いしてもよいのではないでしょうか。
 例えば御坊商工会議所には、知事にも御理解をいただいた昨年の緊急雇用対策、三百五十万円の予算で半年間、東京、大阪に二人の企業誘致専門員を置き、数百社を訪問してもらいました。残念ながら誘致に結びつきませんでしたが、それをきっかけに御坊商工会議所は誘致に結びつく情報を提供した人に百万円の懸賞金を支出することを決め、今年度からは自前で企業誘致に乗り出しました。すばらしい予算の回転ぶりであります。ぜひ来年度に向け御検討いただきたいと思います。
 四番目は、合併浄化槽の五十人槽以上も補助対象にできないかということであります。
 私が以前尋ねたところ、和歌山県では、五十人槽以上は合併浄化槽補助要綱制定以前から合併浄化槽にしなければいけないことになっていて、せっかく国庫補助があるのに県ではしないという返事でありました。もったいないなというふうに思いました。
 県内の企業用地が必ずしも公共下水道の流域でないことを考えると、企業誘致を促進するために、また環境を守るためにも五十人槽以上も補助対象とするべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 大きな三点目は、さきの紀伊半島沖地震を経験して、九点について質問をいたします。
 去る九月九日の夕刻、七時七分の地震、それに続く十一時五十七分の地震は、大きな被害もなく、無事に終息しました。だれしも本物の南海道地震でなくてよかったという思いであります。しかし、南海道地震は着実にそこまで忍び寄ってきており、今回の地震こそまさに警告と受けとめるべきであります。
 法律ができて駆け足で防災対策を講じてきましたが、道半ばのためか、今回の地震では津波警報による避難勧告が出されなかったなど、多くの課題が明らかになりました。私もゆさゆさ揺れる地震は初めての経験で、なかなかおさまらない揺れに、大したことはないとは思いつつ、慌ててガスを消しただけで、テーブルの下に隠れるのが精いっぱいでした。NHKの地震情報は速かったものの、市町村役場とのやりとりでは情報が混乱していることがわかりました。阪神大震災で活躍した携帯電話は発生直後からかからなくなり、心配した友人からは携帯にメールが届き、普通電話にも電話がかかりました。
 さて、知事も今回の地震を経験され、しかも初めて訓練でない地震対策本部を設けてどのように思われましたか。感想をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、改めて南海道地震に備えて県の防災計画はどうなっているのか。また、地震対策法を補う政令や防災事業を含めて課題はないのか。さらに、今後どのように取り組むのでしょうか。
 三点目に、今回の地震では、津波警報が出されているのに避難勧告が出されないなど初歩的なミスが出たわけですが、市町村防災計画に根本的な問題はないのか。あればどのように指導するのでしょうか。
 四点目は、現在県内の主要官庁は、夜間・休日に無人や民間委託になってしまうところばかりですが、せめて防災のかなめとなる県振興局や市町村役場は常駐する必要があるのではないでしょうか。
 五点目は、常備消防の一本化であります。
 阪神大震災のときは、日本版フィーマが必要であると──フィーマというのはアメリカの危機管理庁でありますが、これが必要だと大変やかましく言われた時期がありました。最近はフィーマの名前すら聞いたことがありません。災害の基本は、みずからの命はみずから守ることであり、生き残った人が家族を助け、地域で助け合うことが大切であるとされています。しかし、災害のプロが決して不必要になったわけではありません。むしろ、プロの養成の必要が高くなっています。
 幸い、我が国では、ほとんどの地域で常備消防が組織され、消防、救急、遭難救助などで日夜活躍してくれていますが、消防団も含め、消防こそ県内一本に組織されれば、日本版フィーマとして十分活躍が期待できると思いますが、どうお考えでしょうか。
 六点目は、県営事業の負担金についてであります。
 現在、本県では、防災上重要な県営事業のうち、ため池事業や急傾斜事業は市町村に負担金を求めることにしており、また市町村によってはさらに受益者負担を求めることがあります。しかし、高齢化が進む県下の農山村では年金で細々と暮らすお年寄りが多く、とても受益者負担が払えないので、危険な場所でも後回しにされているおそれがあります。まさにお年寄りイコール災害弱者の構図で、最近の災害報道によると死傷者のほとんどが高齢者であることから、高齢者を守ることがそのまま人的被害の軽減につながることと言えます。
 そこで、県営事業では負担金を求めないというのが最良の方法であると思いますが、もしできなくても何か工夫する必要があると思います。どのようにお考えでしょうか。
 七点目に、住宅の耐震化について伺います。
 九月二日の読売新聞によりますと、せっかく実施した住宅の耐震診断でありますが、受診戸数が約六百戸と余り効果を上げていないとの報道でありました。国民の生命・財産を守るのが政治行政の最大の仕事であるなら、生活の六割の時間を過ごす住宅を守らずして国民の生命・財産は守れません。さて、どのように住宅の耐震化を進めるのでしょうか。
 八点目は、放置艇についてであります。
 六百三十キロ余りの海岸を有する和歌山では、釣りは実益を兼ねたすばらしい趣味で、裕福な人は個人で船を所有し、リアス式海岸の入り江や河川に係留しています。厳密に言いますと不法に放置されているのでありますが、船を持ってすぐに釣りに行けるというのは田舎暮らしの特権とばかりに大目に見る向きもありますが、ことしの夏、台風で貨物船が打ち上げられ、民家を直撃したことが大きく写真で報じられており、それを見たとき大変驚き、映画の「SPEED2」や昭和の南海地震で機帆船が陸上に打ち上げられた様子を思い出し、休日に楽しい一日を過ごさせてくれる遊漁船も、津波襲来時には町や人を襲う魚雷のような凶器になるのではと心配をいたします。一刻も早い放置艇対策を望むものでありますが、放置艇の現状と今後の具体的な対策について伺います。
 九点目は、中継局の設置についてであります。
 災害時のラジオ放送が有効なことは明らかで、トランジスタラジオは防災グッズにも必ず入っているすぐれものであります。この夏の一連の台風でも、被害者がトランジスタラジオが命綱だったことを告白しています。しかしながら、私の御坊市の中心市街地ではNHK和歌山放送局のラジオ第一放送が聞き取りにくく、専ら徳島放送局を聞いているということであります。
 ところが、災害時は実は徳島では間に合わないので、心配して和歌山放送局へかけ合ったそうですが、聞こえるようにするためには中継局の設置が必要で、中継局の設置は毎年一、二件程度しかなく、予算的に困難であるとのことでした。日常的に電波の状況が悪く、聞く人が少ないから特別問題になっていないのかもしれませんが、災害時はきっとみんな聞くと思います。しかし、そのとき初めて受信状態が悪いことを知るというのでは本当に困ります。ぜひ聞こえるようにしていただきたいものであります。
 そこで、県防災計画では災害報道というのはどう位置づけられているのでしょうか。また、聞こえないのであれば県は働きかけないのでしょうか。県下に同様の地域はほかにもないのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
 大きな四番は、高速道路に関して三点伺いたいと思います。
 昨年末の近畿自動車道御坊─南部間の開通は、平成七年にくい打ち式に参加し、用地交渉にも多少関係を持ち、毎日工事の進捗を見ながら楽しみにしておりましただけに、格別の喜びがありました。何といっても、紀南地方の観光振興を初め経済発展に大いに役立っていることは喜ばしい限りであります。さらに高速道路が早く紀伊半島を一周することを望みます。
 さて、一点目は県内受注率であります。
 開通半年余りが過ぎ、冷静に考えたとき、果たして地元でどのぐらい受注があったのでしょうか。
 二点目は、救急車のETC設置についてであります。
 救急車がせっかく高速道路を急いで通ってきても、料金所では一般車両の後ろに並ぶ姿を見ると、大変不思議に思います。高速料金は無料と聞きますが、ETCをつけるなど、何とかならないものでしょうか。
 三点目は、インターチェンジの設置についてであります。
 御坊湯浅道路の広川町上津木インターは、全国初のETC専用料金所として竣工式を待つばかりとなっています。関係者の涙ぐましい努力と二階代議士の大きな政治力のたまものであります。新幹線の駅などは知らぬうちに後から幾つもできていますが、人口の少ない広川町に二つもインターチェンジができるのなら、和歌山市内の紀の川右岸と和歌山─海南間にもぜひ欲しいものでありますが、どのように認識されているのでしょうか。
 大きな五番目、最後になりますが、規制緩和について二点伺います。
 まず一点目は、農地のリサイクルについてであります。
 昨今、農家破綻という言葉を聞きます。農家が仮に経営で失敗しても、以前であれば農地を売って清算すれば十分足りたわけですが、今日では農地の地価が極端に安く、とても清算し切れないことが多く、安くても売れない農地も実はたくさんあります。耕作放棄地は全国どこへ行っても目につきますし、農林水産省がどう言い繕っても、恐らくもう既に農地は農家だけで維持できなくなっているのであります。
 一方、都会からは田舎暮らしを求めて移り住む人も多く、土いじりを通り越して新規に就農する人もいると聞きます。しかし、彼らが農地を取得するときには、取得面積などで制限がつきます。農地が余っているのに必要な人にどうしても行き渡りません。かといって、田舎暮らしを希望する人は大体熟年夫婦が多く、せっかく農地を取得しても、どちらかが亡くなれば都会近くへ戻ってしまうので、今度は農地の処分に困ります。
 そこで、農家が所有できなくなった農地を買い取り、もしくは売却、貸し付けのあっせんをし、田舎暮らしの人に売り渡す。逆に、田舎暮らしの人が要らなくなった農地を買い上げ、次の人に転売する制度を創出してはどうでしょうか。この制度により農地のリサイクルを推進することができるわけでありますが、どのようにお考えでしょうか。
 二点目は建築基準法であります。
 全国どこへ行ってもすぐそれとわかる建物があります。それは、白かベージュの鉄筋コンクリートの四角い箱で、緑色の金網の向こうに手間のかからない植栽とともに仲よく並んで見えたら、それは間違いなく公立の小学校か中学校であります。なぜ金太郎あめのごとく特色のないことになるかと言えば、文部科学省の補助金要綱と建築基準法のなせるわざであります。
 最近は鉄筋コンクリートも木造も補助基準に差がなくなったそうですが、建築基準法では、学校などの特殊建築物は、三階建てになれば耐火もしくは準耐火建築物にしなければならないと決められております。耐火建築物の代表格は、もちろん鉄筋コンクリートでありますが、近年の木造技術の進歩により、難燃処理をした大断面の集成材で建築することが可能になりました。ただ、大変高価になるのが難点であります。
 しかし、和歌山県の山間地を考えた場合、校舎の隣地には家屋のないところが多く、果たして類焼のおそれのある市街地のように耐火、準耐火建築物にする必要があるのでしょうか。また、学校から直接出火した話は余り聞いたことがありません。恐らく都会的発想からの法制定であるため、過疎地に当てはめることに無理があると思います。
 そこで、他県と連携して、木造でも建築できるよう法律の改正を求めるか、また特区の設置をしてはいかがでしょうか。お答え願いたいと思います。
 以上で、私の一般質問は終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 世界遺産の非常にいい影響が出ているということだけども、これを県全体に広げたらどうかというお話でございます。これは本当にもっともなことでして、つい先日も、道成寺の鐘が四百二十年ぶりに京都の妙満寺から帰ってくるという大きなイベントをやるということで、私も東京で参加させてもらったんですけども、大変な盛り上がりがありました。
 この道も実は熊野古道ではないんですけれども、安珍が逃げてきた道と清姫が追いかけてきた道ということで、ある意味では熊野古道に準ずるというか熊野古道と同じような道ですし、そしてまたこの鐘にまつわる伝説とかいろんなことも本当に長い間歴史を積み重ねてきたもので、全国的な広がりのあるような事柄なわけです。
 そのほか和歌山には、紀の川の流域にもいろいろな文化財がありますし、先ほどお話にありました藤白神社でありますとか長保寺、さらには和歌浦であるとか加太であるとか、これもう本当にすばらしいところが多いと。せっかく今全国の観光の目が和歌山へ向いているというときに、これを生かさない手はありませんので、全体としてよくなっていくような方法を考えていきたいと思っております。
 特に、私は先般、祈りの道展──これはあと三日間ですので、ぜひ皆さん方も行っていただきたいんですけども──大阪市立美術館で開かれている展覧会、本当に感動しました。国宝もたくさん出ていますが、その中に、やはり和歌山にこんなにすばらしいものがあったんだなというふうなことを改めて考えさせられるようなものが本当にたくさんありました。これからもっともっとこういうふうなものを大事にして、全国で第六番目の国宝の所在地というのは、これは本当になろうと思ってもなれることじゃない。少しそういう面での認識が今まで薄かったんじゃないかということを私自身も反省しております。こういうふうな点を大事にしながら考えていきたいと思っております。
 次に景気の動向ですけれども、和歌山はなかなか景気がよくならないということを皆さん言われますけれども、商工会議所の調査によりましても、和歌山も着実に景気が回復してきております。これはもう数字がはっきりして出していることです。ただ、今回の景気の回復には、中国特需でありますとか要因がある程度はっきりしていて、なかなか全般的によくなっているというふうな状況ではないわけですけども、せっかく景気がよくなってきて和歌山でもクレーンが立っているところが目立つようになってきましたし、さらに、大阪なんかももうずっと新しいビルの新築がなかったんですけども、このところ非常にふえてきていると。こういう時期に、県としてもこの波に乗りおくれないように、いろんな形で企業誘致でありますとか、それからベンチャー企業の育成、例えば先般は和歌山大学の学生のベンチャーが発明したものの一部が一億円で売れたというふうなことが新聞に載っておりましたけども、こういうふうに、やっぱりいろんな形で努力しているところは伸びていくということがありますので、県もこのような取り組みを一緒になって頑張っていきたいと、このように思っております。
 さらに、この間の紀伊半島沖地震の感想ということでございますけれども、一日に二度も大きな地震が起こったということで、私自身も夜中に出てきて、災対本部におっ取り刀で駆けつけたというふうな状況だったわけでございます。この対応につきましては、県の職員もたくさん参集していろいろ役割を果たしたんですけども、やはりまだ十分でないところもたくさんありました。さらには、津波警報が出ているのに避難しなかったとか避難勧告が出なかったというふうな根本的な問題もたくさんございましたので、こういう面について、今鋭意対策を講じようとしているところでございます。
 さらには、やはり津波の怖さというふうなものがどうもやっぱり実感できていないんだろうというふうなことがありまして、今、広川町に津波シミュレーションを見られる、要するにこんなに怖いものだということをビジュアルに体感できるような施設をつくるというふうなことで話を進めておりまして、こういうふうなものを活用したり、それから、これから防災センターもつくっていきますけども、こういうふうな中でも津波というふうなものにある程度焦点を当てたような対策というふうなものを講じていきたいと、このように考えております。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 世界遺産に関連してのインバウンド観光の強化でありますが、海外からの観光客の誘致につきましては、メディアや旅行会社の招請、多言語のホームページや観光パンフレット等を作成し、積極的な誘客活動を実施しているところであります。今回の世界遺産登録を機に欧米諸国に対する働きかけを強めるとともに、訪日観光ビザの発給地域が拡大された山東省を初め、中国からの誘客にも一層努力をしてまいります。今後とも国、各府県等との広域的な連携を強め、より効果的な誘客活動を実施してまいります。
 次に企業誘致に関連しての民間委託についてでありますが、企業誘致を進めるために、アンケートやITを使った広報等から得た情報により職員が企業訪問を行っているところです。しかし、企業誘致活動を効率的に進めるために民間企業の人脈やノウハウを活用することは大変有意義であると考えております。
 県といたしましては、平成十四年度からきのくにインバウンドコーディネーター事業を開始し、経営コンサルタント会社や投資会社に対して企業情報の収集や面談設定等を委託し、誘致交渉を継続しているところでございます。今後も民間委託につきましては、費用対効果を十分考えながら、委託先の選定や委託内容等、より効率的な方法を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、世界遺産に関連して、旅客船誘致についてでございます。
 旅客船につきましては従前から誘致活動を行ってまいりましたが、今般、世界遺産登録を契機として日高港への初寄港が決定するなど、今後さらに本県への寄港が増加していくものと期待しております。
 今回の旅客船につきましては、和歌山下津港、新宮港にも寄港し、高野山、道成寺や熊野古道を初めとしたさまざまなオプショナルツアーが企画されております。こうした旅客船による観光は和歌山の魅力を存分に味わっていただくことができる新たな観光ツールの一つであり、その寄港増加は本県の観光振興や地域の経済の活性化にも大きな効果があるものと考えております。
 旅客船の誘致につきましては、地域の観光資源に加え、地元の熱意と温かいおもてなしも重要と考えており、今後とも地元関係者を初め県観光部局とも連携を図りながら、船会社等に対してさらに積極的な誘致活動を行ってまいります。
 それから、建築景観賞の復活、景観条例の制定についてでございます。
 世界遺産に登録された今、県民の景観に対する機運も高まっており、和歌山のすばらしい景観を保持・維持することは大変重要なことだと認識しております。今後、議員の御提案を参考に、県といたしましても、さきの国会で成立しました景観法を踏まえ、行政だけではなく、地域の住民の皆様やNPO法人などと協働して魅力ある和歌山の景観を保持できる仕組み、これを検討してまいりたいと考えております。
 企業誘致に関連してでございますが、企業が設置する五十人槽以上の合併浄化槽も補助対象にできないかでございますが、公共用水域の汚染原因の約六〇%が家庭雑排水となっているため、従前より個々の家庭からの排水処理を重点に浄化槽の設置の推進に努めてきたところでございます。一方、本県では、誘致企業に対し一定の補助制度がございます。
 議員御提案の件につきましては、公共用水域の水質保全を図るための浄化槽設置と県経済の活性化や雇用の拡大を図るための企業誘致という双方の目的が限られた予算の中でいかに効率的、効果的に達成できるか、関係部局、関係機関と検討してまいりたいと考えております。
 次に、住宅の耐震化の推進についてでございます。
 県内には昭和五十六年五月以前の旧耐震基準に基づいて建設された木造住宅が約十七万戸ございますが、ことし平成十六年度から当面五カ年間で耐震診断二万戸、耐震改修三千戸を実施して、その経費の一部を補助する制度を始めたところでございます。十六年度は耐震診断三千戸、耐震改修百戸の実施を予定し、耐震診断については四十二市町村からの要望戸数が現時点で約二千戸となっております。さきの紀伊半島沖を震源とする地震発生以降、県民の皆様からのお問い合わせも増加してきており、一層事業の推進に努めてまいります。
 次に放置艇対策でございますが、本年六月、和歌山下津港において和歌山下津港プレジャーボート対策検討会を立ち上げ、放置艇収容計画や対策要綱を検討しているところでございます。今後、対象エリアを県南部地域に順次拡大するとともに、津波等の防災面も考慮しつつ、さまざまな角度から適正な収容方法や規制措置等、総合的な検討を進めるために、その具体的な計画を策定してまいりたいと考えております。
 次に高速道路に関連して、地元の受注率についてでございます。
 近畿自動車道紀勢線御坊─南部間での工事契約全体に対する県内業者関係の受注状況につきましては、全体件数七十五件のうち県内関係業者は十四件、率にして約一九%、金額で見ますと約五百五十億円のうち約三十六億円、率にして約七%であると聞いております。今後、県といたしましても、県内業者育成の観点から公団発注工事等への県内業者の参入機会を拡大していただくよう、関係方面にお願いしてまいりたいと考えております。
 続いて、紀の川右岸と和歌山─海南間にインターチェンジを設置することについてでありますが、従前から高速道路に新たにインターチェンジを追加するには町づくりに資することがその要件になっており、和歌山市が取り組む町づくりを前提に、和歌山市内の広域的な交通体系の中で必要性、可能性などについて検討する必要があると考えております。このため、議員御提案の趣旨も踏まえ、今後、和歌山市と十分調整を図りながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 木造建築の規制緩和の件でございますが、建築基準法は個々の建物の安全性等について必要な基準を定めております。特に学校などの建物が一定規模により耐火性能等が要求されていることは、使用者の安全確保の観点や防災拠点として使用されること等から必要なことと考えております。なお、校舎の建築計画設計等において、二階以下か二千平方メートル未満であれば木造建築も可能であります。本県においては、紀州材活用の観点から、耐火構造の外壁、軒裏、ひさしなどの表面材として木材使用を可能とする規制緩和について積極的に取り組んでいきます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) フリーゲージトレインにつきましては、将来の鉄道輸送を考える場合、極めて画期的な技術であり、新幹線と在来線の相互乗り入れにより、地域格差の是正に大きな期待が持てるものと認識をいたしております。現在、国において実用化のための技術開発や走行試験などが行われており、県としましても、早期実用化に向け、国への要望活動を行っております。また、本年八月には国土交通省において、関係県が参加し、フリーゲージトレイン導入のための担当課長会議が開催され、地域における課題等の情報交換を行っているところでございます。この会議につきましては、今後も継続的に開催されることとなっております。
 なお、事業実施のためには、議員御指摘のとおり、経費面での大きな課題がございますので、現在国において見直し中ではございますが、導入コストの低減についてあわせて国へ要望するとともに、先ほど申し上げました会議の中で議論を深めていきたいと考えております。
 次に、議員御指摘の御坊市中心部でのNHKラジオの問題につきましては、NHKから当該地域の受信状況の実地調査をする予定である旨、また災害時における災害情報につきましては、御坊市内に中継局があり、良好な受信状況であるFM放送との併用で対処をしていると聞いてございます。
 なお、NHKラジオ第一放送は、大阪放送局のほか、田辺、すさみ、古座、新宮の県内四カ所の中継局から放送されているところですが、一部聞き取りにくい地域があることはNHKでも認識しており、必要に応じて、受信状況の測定調査や中継局の出力状況によるエリア拡大など、難視聴地域解消に取り組んでいると聞いてございます。
 県地域防災計画においても、災害時におけるラジオ放送は県民に対する緊急情報の提供等重要な役割を担うものと位置づけされているところであり、今後ともラジオの安定的な受信に向けて、危機管理局と連携をしながらNHKに働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) まず、企業誘致に関連した人事の対応についてお答え申し上げます。
 企業誘致や観光振興、防災、医療政策などの専門的な知識が必要な部署につきましては、専門家育成という観点から、その適格性を見きわめながら担当業務の長期継続化や経験者の再配置などを行ってまいりました。特に企業誘致体制の強化につきましては、今年度、班体制から室体制への組織強化を図りまして、さらに、かつて誘致業務に携わった職員の再配置、東京での企業誘致の経験者の配置、誘致担当業務の長期継続化など専門的な知識を有する職員を優先して配置したところでございます。
 今後とも、高度な専門的知識を必要とする部署につきましては、担当者の異動期間への配慮や経験者の再配置はもちろんのこと、職員の専門性を高めるための研修機会をふやすなど、複雑多様化する行政需要にこたえられるスペシャリストの養成に努めてまいりたいと考えております。
 次にため池事業などの県営事業負担金の関係でございますが、県営事業負担金につきましては、当該事業の受益の範囲に応じて、必要な事業量確保の観点や財政状況などを総合的に勘案しながら定めております。近年の厳しい財政状況のもとで県民の皆様方からの強い要望のある県営事業を重点的かつ早期実現に向けて実施していくためには、引き続き関係市町村の御協力をお願いせざるを得ない状況にあります。
 しかしながら、三位一体の改革において国と地方の役割分担に関する議論がなされているように、今後県と市町村の役割分担や経費負担のあり方を総合的に検討する中で、御指摘のため池や急傾斜に関する事業も含めた県営事業の市町村負担金についても引き続き検討してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 地震防災対策につきましてお答えいたします。
 まず、東南海・南海地震等に備えた取り組みでございますが、東南海・南海地震対策特別措置法に基づき、県と沿岸市町において津波からの円滑な避難に関する事項などをまとめた防災対策推進計画を策定しております。また、本年三月、県の地震防災対策アクションプログラムを作成し、ソフト・ハード両面で二百二十項目の対策を設けるとともに、達成目標を設定し実施に当たっております。
 なお、課題といたしましては、耐震化や津波対策、自主防災等の組織化の促進、住民への防災意識の普及を初め財政問題等、数多く残されております。このため、国に対しても財政支援や新たな制度の設置等を要請しております。今後も、関係する他府県を初め、市町村、関係機関、地域住民等との連携を図りつつ、総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に市町村の防災計画や体制についてでございますが、今回の地震で避難勧告や災害対策本部の設置等で課題が出てきておりますので、市町村等と十分検証を行い、防災体制の充実が図られるよう助言してまいります。
 次に夜間・休日の職員の常駐についてでございますが、現在、県は振興局等に職員を常駐させておりませんが、災害時の初動体制としましては、最寄りの振興局からおおむね二キロ以内の職員を緊急防災要員に任命し、大規模な地震等が発生した場合、自主的に参集し、災害対策本部の支部の立ち上げや情報収集等に当たることになっております。
 次に常備消防の県内一本化についてでございますが、消防本部、消防団につきましては、災害発生時、地域住民の生命・財産を守る極めて重要な任務を担っております。大規模災害時には相互応援協定により消防力を結集し、対応に当たることとなっておりますが、緊急消防援助隊を初めとする広域応援体制の強化等も必要と考えます。今後も広域的、機能的に対応できるよう、関係機関とともに広域再編化等を進めてまいりたいと考えております。
 次に救急自動車へのETCの設置についてでございますが、救急搬送時は、高速道路においても緊急走行として他の車両に優先し通行するとともに、渋滞が予想される場合は消防本部があらかじめ管理事務所に確認するなど、搬送に支障のないよう対応しております。今後とも迅速な救急業務の実施のため、ETCの設置について関係機関とともに検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 農地のリサイクルについてでございますが、議員御指摘のとおり、耕作放棄地が増加している中で、いかに農地を有効に活用するかは重要な課題であると考えてございます。
 現在、農地の取得に際しましては、農業を経営として営んでいくため、農地法上一定の経営規模が求められているところでございます。こうした中、県では意欲ある農業者に農地の利用集積ができるよう、農業委員会が行う農地のあっせん活動や農業公社が規模縮小農家から農地を買い取り、規模拡大農家や新規就農者等に売り渡す農地の売買事業に対する支援を行うとともに、農地の貸借の推進にも努めているところでございます。また、農業をやってみようプログラムによる推進モデル地区での新規就農希望者の受け入れ体制の整備や遊休農地リフレッシュ再活用促進事業による遊休農地の解消と再利用に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、新たな担い手としての新規就農希望者を初め、田舎暮らしを求める人などへの農地の貸借のあっせんを含め、農地が有効に活用されるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十二番中村裕一君。
○中村裕一君 手短に一点要望を申し上げたいと思います。
 先日の記者会見で知事官舎のことが話題になって、築六十三年の木造官舎に知事はお住まいで、危ないから二階に寝ておられるということでありますけども、知事公舎は地域防災計画には入っていませんが、県としてはかなりランクの高い危機管理的な問題だと私は思います。予備費とは申しませんが、早急な耐震化が必要であるということを御指摘申し上げて、要望にさせていただきます。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十六番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 皆様、おはようございます。
 ただいま議長よりお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 最初に、地方分権推進のための三位一体改革についてお尋ねいたします。
 皆様御承知のように、全国知事会は先月の十九日、国と地方の税財政改革いわゆる三位一体改革に関して、地方向け国庫補助負担金の削減案を決定いたしました。全国市長会など残る五団体もこれを了承、地方共通案として政府に提出、政府は十一月半ばをめどに三位一体改革をまとめる方針で、現在、その議論が具体的に動き出しております。
 そもそも削減案の取りまとめは、小泉首相がことし五月、地方へ三兆円の税源移譲を指示した際に、その前提条件として地方に要請したものであります。改革案は、国から地方への補助金三・二兆円を削減して三兆円を税源移譲、その結果歳入が減る自治体には地方交付税で財源の手当てをする内容となっております。平成十八年度までの三・二兆円の削減対象は、八府省の約百五十項目、大半は各補助金の全廃を求め、国から地方に事業の権限を移す抜本改革であります。今年度の改革が各補助金を広く薄く削減するものだったことを考えるとき、分権の観点から大いに尊重されるべき提案だと思います。
 全国知事会で協議の焦点となりましたのは、教員給与費の半分を国が担う義務教育費国庫負担金の扱いでありました。削減案では、平成十八年度までに公立中学校の教職員給与分八千五百億円を廃止することとしました。同負担金の一部廃止、一般財源には強い反対がありました。自治体の財政力の違いによって教育水準の格差が広がる、一般財源化ではほかの使途に回されるおそれがあるといった危惧が反対の理由でありました。
 私も、この義務教育費国庫負担金の廃止に危惧を抱くものでありますが、地方分権を進め、国と地方の役割を明確にして、地方の自由度、自主性を高める観点から一般財源化が望ましいのか、十分議論して国民が納得できる結論を出すことが必要であると考えます。全国知事会など地方六団体が提案した義務教育費国庫負担金八千五百億円を含む三・二兆円の国庫補助負担金の削減案について、知事の御見解を承りたいと思います。
 次に、地方交付税のあるべき姿についてお尋ねいたします。
 現在、地方交付税が破綻寸前でございます。本県においても地方交付税への依存度が高いにもかかわりませず、年々減額されております。本年度当初予算では、地方交付税は前年比マイナス九・三%、百六十七億円減の千六百三十七億円となっております。臨時財政対策費、これは後で地方交付税で補足と申しますか払ってもらえるお金でありますが、一応この対策債として、それを含む地方交付税は前年比のマイナス一二・九%、二百八十六億円減額の千九百二十三億円になっております。三位一体改革で地方向けの補助金を削減し、税源移譲されても不足する財源がこれまでのように補償されるのかが不安であります。税源移譲すれば裕福な自治体にはどんどん税金が入りますが、財政力の弱い県、市町村は税収がふえない、そういう格差を調整する必要があるために地方交付税があるわけであります。しかし一方では、地方交付税がある限り地方の歳出カットが難しい面もあります。
 知事が書かれました「鄙の底力」──私もいただきました。ありがとうございました。実は、この知事の書かれた「鄙の底力」が、和歌山県では、きのう宮井平安堂を確認いたしましたらベストセラー。実を申しますと、ハリー・ポッターがたまたま九月一日から出ましたので──いわゆる「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」、これは世界で二億五千万部発行されておりまして、日本でも九月一日から二百三十万部──そのハリー・ポッターには及びませんけれども、ただし週によっては「鄙の底力」がベストセラーということをきのう店長に確認をさしていただきました。
 ここで書かれております内容の中に、「日本再生のための八つの提案」、その五、「真の「三位一体改革」を実現せよ」の中で知事はこう述べられております。「日本は全国画一的に同じような基準で、地方交付税や補助金を地方に与えています。そのことにより、日本全国が画一的にモラルハザードに陥ってしまうことにもなりました」──モラルハザード、難しい聞きなれない言葉でありますが、法律すれすれ、基準すれすれ、そういう使途に使われてしまったという意味のようでございます──「そこには様々な無駄が生じています」、また、「日本の現在の仕組みは画一主義ですから、何から何まで法令に細かく定められており、小さな市町村でもそれに従わなければなりません。公共施設を、「地方交付税を貰わないと損だとばかり」にモラルハザード的につくってしまう状態になってしまいます」と。地方交付税のむだというのも知事は指摘されているのだと思います。
 それで、地方交付税の見直しは、三位一体改革の柱の一つでもあるにもかかわりませず、いまだ補助金改革に比べて方向性が明らかになっておりません。地方側からも地方交付税について私は案を出すべきだと考えます。補助金削減は税源移譲が前提であり、地方交付税問題とは直接関係ありません。補助金の改革が現在進行しておりますが、三位一体改革の中で地方交付税の改革が必要であると思います。国は地方交付税を抑制する方向でございます。現在、地方交付税全体で十五、六兆円ございますけれども、それを抑制する、小さくしていくという方向でございます。
 今回の国庫補助負担金改革で三兆円の所得税を個人住民税へ税源移譲いたしますと、いわゆる地方交付税の原資というのは──財源て特にないわけで、原資というのは所得税の三二%を充てるとこうなっておりますので、三兆円の所得税を税源移譲いたしますと約一兆円が明らかに減るわけでございます。
 そこで、三位一体改革の中での地方交付税のあるべき姿について知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 次に、三位一体改革が及ぼす県財政及び市町村財政への影響についてお尋ねいたします。
 このテーマについては、本年七月、国が進める三位一体改革の影響を県財政課が試算し、発表されているところであります。その試算によりますと、県は、歳出削減努力を行わない場合、平成十八年度に財政再建団体に転落する可能性がある、平成十七年度以降、平成十六年度を上回る歳出削減努力を行うと仮定した場合、収支は改善するものの平成十九年度には財政再建団体に転落する、一方、市町村は現状のまま推移すると、平成十八年度までに基金はほとんどの団体で枯渇し、平成十八年度には二十二団体、平成十九年度には四十二団体が財政再建団体に転落することになるという大変ショッキングな内容でありました。
 県は、過去に昭和三十年から三年間、財政再建団体の指定を受けております。財政再建団体の指定を受けますと、御承知のように予算の策定など、総務省が直接管理することになります。また、県債の発行が制限され、独自の建設事業だけでなく、福祉、住民サービスなどの事業も制限されることになります。県及び市町村財政は地方交付税の依存度が高く、削減の影響が大であります。したがって、一層の歳入の確保、歳出削減が必要であります。今後、事業と組織の見直しが不可欠であることは申すまでもありません。そして、時代に合った財政構造にする必要があります。
 そこで、県及び市町村財政の厳しい現状にどのように対応していくお考えか。来年度予算編成の基本方針と新しい財政運営プログラムの策定とあわせ、総務部長にお尋ねいたします。
 次に、和歌山大学観光学部設置構想についてお尋ねいたします。
 現在、国立大学法人和歌山大学は、観光学部の設置構想を発表しております。和歌山大学が観光学部を設置しようとする目的は、我が国及び世界の観光資源を活用し、探求し、観光学研究の拠点となること、観光分野を初めとして広く社会で活躍する問題解決能力とホスピタリティー豊かな人材を養成すること、地域の観光資源の有効活用をベースにした地域活性化に寄与することとしております。
 観光は二十一世紀型産業として注目されております。世界のGNPの一〇%を占めます観光ビジネスは世界最大の産業であります。ところが、海外に出かける日本人が約千六百万人、日本に入ってくる外国人が五百二十万人という現状にかんがみ、本年一月、小泉首相は観光立国宣言を発し、本世紀の最大戦略に位置づけております。
 時あたかも、本県は本年七月一日に紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産登録されました。これを機に、多くの観光資源に恵まれた本県では、観光を資源、資産とする観光立県への方向を強めているところであります。
 日本の大学で観光学部を設置しております大学は、私立で立教大学、大阪明浄大学、札幌国際大学の三大学のみであります。国公立大学には、いまだ観光学部は設置されておりません。観光学を対象とする教育・研究を展開する大学が極めて限られております。このことは、観光産業での人材不足と相まって、観光学の学術的研究は時代と社会の要請に照らして欠如していると言っても過言ではありません。観光学が学問の対象としての流れができつつある今日の情勢にかんがみ、和歌山大学観光学部──仮称でありますが、この観光学部設置構想はまさに時を得たものであると考えます。
 和歌山大学では、平成十八年四月、もしくは平成十九年四月の観光学部開学を目指しております。小田学長は、本年の七月の二十二日に文部科学省に説明に行き、そして来月の十月六日に再度説明に行く予定であります。
 しかしながら一方、琉球大学は、国立大学法人初の観光学科──これは学科であります──を来年度からスタートいたします。山口大学は観光学科の設置を検討し、県は来年度予算の重点要望に、政府の予算要望に新規で盛り込んでおります。いずれも、学部でない学科であります。これらの状況や学部を改編して十年の歳月を要して開設されました和歌山大学システム工学部のことを考えるとき、観光学部の設置には相当の困難が容易に予想されます。
 観光学部設置を、世界の中の和歌山、県の活性化、地域発展をかけた県の観光戦略の一つとして位置づけ、県民挙げての取り組み、県民の熱意が強く求められます。そのためには、(仮称)和歌山大学観光学部設置期成同盟会などの支援組織、県を初めとする行政の支援体制、シンポジウムの開催など、観光学部設置への支援体制が重要であると思います。
 そこで、県の観光産業振興に貢献する和歌山大学観光学部の設置に向けての知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 また企画部長には、和歌山大学観光学部設置構想の概要と、県及び関係団体や県民の支援体制についてお尋ねいたします。
 次に、防災対策についてお尋ねいたします。
 最初に、地震・津波対策についてお尋ねいたします。
 九月五日夜、紀伊半島沖合を震源とする最大震度五弱の強い地震が二度発生しました。この地震では津波注意報、警報が発せられました。高確率で発生すると言われる東南海・南海地震が危惧される中、これと直接は関係ないとはいえ、県民は大きな不安を感じております。
 今回の地震の課題は何か。私は、二つあると思います。
 一つは、近海での地震は津波の到達が早いため、津波警報が出たときには避難勧告、指示を出すよう消防庁は基準を示しております。しかしながら、津波に対する避難勧告、指示を出した自治体は、本県では二十一市町の中で和歌山市と那智勝浦町のわずか二市町でありました。一部地域では、注意報の発令時点で既に津波の第一波が沿岸に届いていたそうであります。
 勧告を出さなかった理由として、東南海・南海地震ではなかったので防災対策推進計画の規定に当てはめる必要がない、津波による被害もないと判断されたようであります。ここで、県民のとうとい人命を守るという観点から、一刻も早い避難体制を確立するための方策についてお伺いいたします。もちろん、震度四以上の大きな地震が起きましたら津波が起きる可能性が非常に高いわけでありますから、まず住民は逃げる、避難をするということが大前提であります。
 もう一つは、ある町では電話が込み合い、職員参集が規定どおり進まなかったということであります。電話による連絡体制の問題であります。これは多分県民の皆さんも、普通一般電話でのコミュニケーションというのに大変苦労されたのだと思います。私も、五日の夜の十一時五十七分、ちょうど車で帰る途中でありましたが、大きく揺れましたので早速携帯電話で電話しようと思いましたら、全くつながりませんでした。こういう事態でございました。
 また、県民の方も安否確認などの電話が非常にかかりにくいということであります。これは、こういうように一時期に一地域に殺到すれば起こり得る現象であります。ただ、災害の場合には非常に貴重な情報の伝達において、これは大きな問題になります。安否確認についてはテレビで明快な情報を発信することが重要であると思いますし、また停電の場合はテレビは見れません。ですから、携帯電話でのメールの活用や、またインターネットの活用は有効であると考えられます。
 防災関係者は、災害時には、基本的には防災行政無線を使ってコミュニケーションができるわけであります。もう少しきめの細かな連絡をする際に、この無線の問題をどうするかというのは宿題として残っているという感じが私自身しております。これはまさに技術が伴わないといけませんので、それも含めまして、この際、緊急の連絡と情報の収集という意味での連絡というときにどのような方策をとるかということを引き続き研究し、実践に取り入れていかなければならないと考えます。
 これらの教訓は、東南海・南海地震対策への大きな課題であると思います。今後どのように対応していくお考えか、危機管理監にお尋ねいたします。
 私は、昨年の十二月定例会の一般質問で、大地震、大規模災害に備えて捜索救助犬の訓練施設を確保するとともに、コスモパーク加太の防災用地の一部を捜索救助犬の訓練施設として整備をして、近畿一円、全国の捜索救助犬を初めとする警察犬の訓練拠点として活用したらどうかと要望さしていただきました。
 今回もまた要望さしていただきますが、和歌山市冬野にございます県の消防学校、実は土地が山も含めて一万九千平米、実際に使えるのは一万五千平米、それで宿泊施設も十分ではないという状況でございまして、平成に入りまして、全国でこの消防学校は大体五万平米が基準のようでございます。もちろん、防災ヘリの離発着基地もつくらなければなりません。そういう状況でございます。もう一方、和歌山市木ノ本にございます県の警察学校、この建設移転も検討されたらどうかと提案をさしていただきます。
 県消防学校の敷地は先ほど申し上げたとおりでございますが、非常に手狭であるということでございます。警察学校も、閑静な住宅地が周辺に立ち並んでおります。学校での訓練の音がうるさい、その訓練も大変厳しい警備の訓練とか、あと射撃の訓練とかさまざまございまして、閑静な住宅地で音がうるさいというふうな住民からの苦情も出ております。
 ここで、警察学校は国費で建設されるわけでございます。ですから、大地震や大規模災害に備えて十分な訓練施設を確保するという観点から、県の消防学校、また県の警察学校を広大なコスモパーク加太用地に建設移転することを提案さしていただきます。
 この件は、消防学校などは県下市町村の消防関係者が一堂に会して研修を行う、こういった津波勧告の出し方であるとかそういう訓練を行う、さまざまな訓練を行うという意味で、やはり広大な土地が必要でございます。要望さしていただきますが、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
 次に、放置艇対策と河川浸水対策についてお尋ねいたします。
 このテーマにつきましては、先ほども先輩議員の中村裕一議員の方からもお話ございましたんですが、私も本会議で何回か質問をさしていただいております。
 本県においてはプレジャーボートの数が増加しており、約六千四百五十二隻が確認されております。このうち、マリーナなどの係留保管施設を利用しているものは公共施設、民間施設を合わせて千三十六隻、したがって五千四百十六隻は放置艇となるわけであります。放置艇割合は八三・九%、近畿地区では最も高い割合を示しております。
 こうした中、海や河川などに無秩序に係留されましたプレジャーボートのために、漁船など他の利用船舶の係留保管の阻害、また港内の安全航行に支障が生じております。一部の心ない利用者によるごみの投棄、違法駐車、地域社会ではさまざまな問題を引き起こしております。また、河川などの不法係留の壊れた船、難破船は大変景観を悪くしております。また、河川しゅんせつなどの公共事業にも障害になっております。
 地震による大きな津波──今回本会議で先輩・同僚議員からも地震の議論がたくさんなされておりますが、津波の被害は海岸沿いだけではなく、河川沿いでも起きるわけであります。津波の潮位の高さが五メーター、六メーターとなってまいりますと、一気に河口から津波が逆流をしてまいります。それも、上流に行けば行くほど、その津波の勢いが増してまいります。無秩序に係留されました放置艇は一気に物すごい勢いで川の上流まで押し上げられます。そしてまた物すごい勢いで押し下げられまして、また押し上げられるという、プレジャーボートの放置艇が家に飛び込んでくるという事態、大災害が発生する事態が十分考えられるわけであります。
 和歌山市土入川付近の湊、野崎、松江、貴志、木本連合自治会の皆さんは、このことに大きな不安を抱いております。この不法係留、放置艇問題は本県にとって緊急の課題であり、地震・津波による防災上の観点から一日も早く改善しなければならないと思うわけであります。
 この問題は、プレジャーボートの係留施設が不足して、一定のルールのもとに水域や施設の利用が行われていないことが大きな要因であります。放置艇の係留施設を県で整備してプレジャーボートの放置艇問題の速やかな解決に向けての取り組みとあわせ、津波による河川浸水対策についてお伺いいたします。
 次に、生活排水処理対策についてお尋ねいたします。
 知事就任あいさつで、木村知事は「本県は、道路などの生活や産業の基盤となる社会資本が全国的に見てまだまだ不十分であり、今後とも着実に整備を進めていく必要があります。道路や生活排水処理事業など快適な生活環境づくりに取り組んでまいります」と述べられております。
 本県の汚水処理施設整備率は、平成十五年度で三五%、最下位の徳島県が三四・三%でありますから、わずか〇・七%上回っているわけでありますが、まだまだ低い整備率であります。和歌山県全県域汚水適正処理構想で平成二十年度及びそれ以降の整備率を下水道、農業集落排水、また合併浄化槽に分けてどのように見込み、生活排水処理対策事業を進めていくお考えか、お伺いしたいと思います。
 最後に、下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法についてお尋ねいたします。
 この法律は昭和五十年に策定され、いわゆる合特法と呼ばれております。この法律の目的は、下水道の整備等により、その経営の基盤となる諸条件に著しい変化を生じることとなる一般廃棄物処理業について、その受ける著しい影響を緩和し、あわせて経営の近代化及び規模の適正化を図るための計画、いわゆる合理化事業計画を策定し、その実施を推進する等の措置を講じることによりその業務の安定を保持するとともに廃棄物の適正な処理に資するものであります。
 この合特法ができた当時、合理化事業の内容について余り明確に書かれておりませんでした。あとはよしなにという状況が実際にございました。全国的に見て、合理化事業計画を策定しないままに合特法の趣旨を尊重した形で、計画を立てずに合理化事業を実施してきた経緯がございます。見方によれば、場当たり的で非常に無責任なという感じがしないでもありませんでした。
 そこで、厚生省は平成六年三月、細かく合理化事業計画の策定要領を取りまとめ、県の廃棄物行政主管部あてに、県下市町村に対する周知指導方をよろしくとの通知を出しております。しかしながら、今日まで県下市町村において合理化事業計画が策定されていないわけであります。特に、県下で下水道普及人口が最も高い和歌山市で策定されておりません。
 本来、生活排水処理対策事業は、広域の場合は県であります。その広域の場合は別といたしまして市町村の事業でありますが、国からの通達、要領の通知など県を通して市町村を指導することになっております。これまでどのように指導されてきたのか。また、合理化事業計画が策定されていない現状から、今後どのように市町村に対し合特法の趣旨を徹底していくお考えか。
 以上、お尋ねをいたしまして、私の第一問といたします。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革に関する御質問に関してでございます。
 御案内のように、三位一体の改革は今非常に難しい局面を迎えております。総理大臣の要請に応じて地方六団体の方で案をつくって投げ返したと。この案自体非常に大きな問題を含んでいるわけですが、今特に問題になっているのが、その中の義務教育の先生の人件費の半分が補助になっているのを、これをやめにして税源移譲をしようというふうな話になっているわけです。このことについてはいろいろな意見がありまして、全国知事会でも夜中までかんかんがくがくの議論があったところでございます。
 私などは、基本的には人件費の問題と教育の問題はまたこれ別の問題でございまして、今、日本の国の基礎教育というふうなものはやっぱりしっかりとしていかないといかんと。余りお隣のことを言うのはなんですけども、お隣の中国なんかは非常に一生懸命勉強をしている人が多くなっているときに、余りゆとり、ゆとりでやると大変なことになると。だから、やはり大事なところは法律とか国が関与して運営を決めていけばいいというふうに思うんですけども。月給の話はこれは別の話でございまして、今こういうふうな補助金がなくなるから、例えば和歌山県の学校の先生の給与が払われなくなるというようなことは、これは戦後すぐのころには全国でもそういう話もちょっとあったんですけども、これからはないだろうと。
 例を挙げれば、警察官の給与というのは、これは全部県が負担しているわけです。だけど、和歌山県の警察がよその県の警察に比べて大きく劣るというふうなことはありませんし、画一的にちゃんとした仕事をしているというふうなことがあります。
 それから、高等学校は全部給与は県が見ているわけですけども、これも別に給料の違いがあったというふうなこともございません。だから、この教育の根本の議論とお金の話とは少し分けて考えるべきじゃないかというふうなのが私の個人的な感じなんですけども、だけど、いずれにせよ、この問題は非常に大きな問題で、今後私どももこの推移を見守りながらこの三位一体の改革がうまく進んでいくような努力をしていきたい、このように思っています。
 それからもう一つは、こういうふうな三位一体の改革が進むのはいいんですけれども、その中で余り裕福でない県、そしてまた市町村、そういうふうなところが交付税が減るということによって、もう本当にやっていけなくなるというふうな状況が現に出ているわけです。私どもは、この補助金の削減と税源移譲ということをあわせて交付税による調整機能というふうなことを完全に発揮してもらわないと、本当にこれはもう急激にやると自治体の運営ができなくなるというふうなことでございますので、その点については強く、そしてまた一番根本のこととして主張していかなければならないというふうに思っております。
 交付税の見直し、例えばいろいろなものをつくったときの借金の返済金を交付税の中へ算入するとか、そういうふうな事業誘導的な面があるところは否めませんので、そういうものを見直すことはやぶさかではないわけですが、やはり基本のところ、地方の県であるとか、それからまた市町村が運営できないということにならないような形ということを十分主張していこうと思っております。
 次に観光学部の問題でございますが、これについては、先般、竹中大臣が来たときに、これは大臣の方から「思い切りやります」という、これはよくわからないんだけど「思い切りやります」というふうな話がありました。私自身もこの観光学部というのは、もうこの和歌山大学には一番ぴったりくるもんじゃないかというふうに思っております。世界遺産にもなりましたし、そしてまた和歌山の特性を生かしたこれからの発展の大きな柱が観光ということから考えても一番似つかわしい学部であろうというふうに思っておりますので、県としてもいろんな形でできる限りの支援をしていきたいというふうに考えておりますし、それからもう一つは、ぜひこれを考えるときに、今、田辺にITセンターができて、今度大きなお祭りもするわけですけども、ここが和歌山大学の大学院のサテライトになるというふうなことで今進んできてるんですけども、観光ということになれば、あの辺がまた非常に大事な地域になってくるんで、そこも視野に入れたような形での学部づくりというふうなことが進められたらいいというふうに思っております。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 県と市町村の財政の関係についてお答えを申し上げます。
 三位一体の改革は地方分権推進のために必要ではございますが、一方で本県の現状からいたしますと、県財政は非常に厳しい状況に陥ることも予想されますので、財政再建団体への転落を回避するためにも徹底的な行財政改革に取り組むとともに、県税収入の確保や受益者負担の適正化など財源の確保に努めながら財政の体質を強化する必要があると考えております。そのために、具体的な数値目標を定めた、仮称でございますが、財政構造改革プログラムを策定すべく現在鋭意検討を進めているところでございます。
 県の平成十七年度の予算編成の基本方針につきましては、三位一体の改革の動向を見きわめながら徹底した行財政改革を進める一方で、県内経済、雇用への配慮を行い、県民が安心して暮らせる和歌山県づくりのための施策に積極的に取り組むことも必要であると考えておりますので、従来にも増して必要な事業に財源を重点配分する選択と集中ということと、先ほど申し上げました財政構造改革プログラムに基づいた財政の健全化の調和を基本としてまいりたいと考えております。
 一方、市町村につきましては、時代の流れに即した持続可能な財政となるよう中長期的な見通しを立てた上で歳入歳出や組織機構、職員数、給与などを構造的に見直すことが必要であること、民間活力の活用や住民との協働による行政の責任領域の見直しや、市町村合併の推進なども有効であることなどを助言してまいりたいと考えております。
 また、住民の協力を得つつ改革を進めることが重要でありまして、中長期的な財政見通しや対処方針などを積極的に住民に広報するよう働きかけたいと考えております。さらに、地方分権の推進や三位一体改革による国と地方の関係の見直しなども踏まえまして、県と市町村の間におきましても、自己責任、自己決定に基づく行財政関係を構築しつつ、お互いがコスト縮減などの共通課題に連携して対処できるよう検討してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 観光学部設置構想の概要と支援体制についてお答えいたします。
 七月二十二日に和歌山大学が文部科学省に提出した設置構想案によりますと、開学は平成十八年四月もしくは平成十九年四月となっており、入学定員は二百名とし、うち百名は純増、百名は既存学部から振りかえとなっています。
 平成十八年四月開学の場合、平成十七年六月に文部科学省に学部開設の申請を行い、十一月の認可を経て学生募集を行うスケジュールとなります。
 カリキュラムは、マーケティングや観光政策を初め、文化、スポーツ、外国語など多分野にわたっており、観光に関する豊かな知識と実践力を有し、ホスピタリティーに富んだ人材や、グローバルな視野を持ち、国際性と高い外国語能力を有する人材などの育成を目指しています。また、卒業後の就職先としては、ホテル、旅館などの観光業を初め、旅行会社や運輸関連会社など学生の人気企業が想定されております。
 和歌山大学観光学部の設置は、国立大学では全国で初めての取り組みであり、議員御指摘のとおり、学部新設のためには地元の熱意が不可欠と考えられます。今後、関係市町村や経済団体など広く関係団体に呼びかけ、支援組織を設置し、シンポジウムの開催による県民の熱意の盛り上げや国への働きかけなど、地元と大学が一丸となった取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 防災対策につきましてお答えいたします。
 まず地震・津波対策についてでございますが、津波警報が発令されたにもかかわらず避難勧告を行った市町村が少なかったことにつきましては、大きな課題と考えております。このため市町村長に対し、避難勧告の徹底など地震防災対策の見直しについて再度通知を行い、その徹底を図ったところでございます。
 大地震等防災対策の中で津波からの避難対策が大きな課題であるため、昨年度から大阪府と共同で東海、東南海、南海地震同時発生による津波の到達時間や高さ等を算定するため、詳細なシミュレーションを実施するとともに、海南市ほか三町の浸水区域図を作成しております。なお、残りの市町につきましても本年度中に策定いたします。
 これら浸水区域図をもとに、沿岸二十一市町で住民参加の手法により、津波からの避難場所を盛り込んだハザードマップを地域ごとに作成していただく予定となっております。なお、県もこの作業を通じて避難勧告を徹底するとともに、住民の円滑な避難がなされるよう、沿岸市町に対し助言を行ってまいりたいと考えております。
 次に緊急連絡と情報の収集についてでございますが、今回の地震では、電話回線のふくそうを契機といたしまして、災害時の通信手段についてもさまざまな問題が提起されたと認識しております。県も今回の教訓を踏まえまして、電気通信事業者に対し、災害時に必要な通信回線の確保を図るよう要望するとともに、災害時の通信手段として、議員御提案の防災行政無線や携帯電話メール、インターネット等を含めた各種通信媒体の効果的な利活用方策について検討してまいりたいと考えております。
 なお、県といたしましては、災害時、迅速に情報収集・提供を図るため、防災センターの設置とあわせ、衛星系無線や移動系無線を利用した総合防災情報システムを構築してまいります。
 以上です。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 放置艇対策と河川浸水対策についてでございますが、放置艇対策につきましては、収容施設の確保と水域ルールの確立というソフト・ハード両面からの対策を進めていくことが必要であると認識しているところです。
 和歌山下津地区においては、和歌山下津港プレジャーボート対策検討会を設立し、これらの事項について検討しているところでございます。また、議員御指摘の土入川における不法係留船対策につきましては、現在収容施設について、民間資金の活用を含めたさまざまな整備手法の検討を行っているところでございます。
 河川の浸水対策につきましては、しゅんせつ等の適正な維持管理による治水機能の確保はもとより、河川堤防の耐震性の確保と、水門、樋門の迅速・的確な操作が必要と認識しているところでございます。
 河川堤防につきましては、耐震点検を実施する予定としており、この結果に基づき、緊急性の高い箇所から順次堤防強化の対策を検討してまいります。また、水門、樋門につきましては、操作の自動化及び遠隔化について、後背地の状況や津波到達時間等を勘案しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に生活排水処理対策でございますが、生活排水処理対策につきましては、地域の状況によっては効率的な整備が可能となる浄化槽をより有効に活用するなど、処理構想の見直しを平成十四年度に行ったところでございます。この構想では、平成二十年度での整備目標を普及率五〇%としており、その内訳といたしましては、約二分の一を下水道、農業集落排水等の集合処理、残り二分の一を浄化槽等の個別処理で整備する計画としております。平成二十年度以降につきましても市町村と協議、調整を行い、より一層の整備促進に努めてまいりたいと考えております。
 次に合特法の趣旨の徹底と市町村に対する指導についてでございますが、県では各振興局ごとに、県、市町村及び関係事業者で構成する合特法に係る地域会議を設置しております。この会議において合特法の趣旨を周知してまいりました。今後もこの合特法に係る地域会議において、関係者間の意見交換等を通じ、法の趣旨を周知徹底してまいりたいと考えております。
 また、議員御指摘の和歌山市におきましては、合理化事業計画について研究、調査等の検討を行っていると伺っております。今後も和歌山市との協議を通じ、合理化事業計画の策定に向けて助言・指導等を行ってまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十六番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま、知事並びに関係部長、危機管理監の方から答弁をいただきました。ありがとうございました。
 私、一点だけ、先ほどの和歌山大学での観光学部の設置の件ですけれども、実はシステム工学部が約十年の歳月をかけて設立成りました。このときは学部を一つつぶしているんです。そういう大変な作業であったわけですけれども、昭和六十二、三年ごろから県の皆様が、また商工会議所、和歌山市挙げてのそういう陳情というのがたくさんございまして──実は平成五年七月の総選挙で細川政権が誕生いたしました。たまたま政権与党ということで、私も十八年六カ月野党暮らしでありましたが、いきなり西博義衆議院議員のもとで与党になったわけでございました。本当に与党というのは非常にいいものだなと感じたのは、まず予算の組み立てから一つ一つ当局は説明に来てくださいます。わずか百万、一千万等の予算の組み立て。そして予算の内示が出ますと、その資料を全部いただけるんです。野党のときはいただけません。新聞記事を見ながら談話を書いたというような、そういう思い出がございます。
 それで、ちょうどその当時、仮谷知事の方から、西衆議院議員のところには二つだけやってもらいたいことがあるんだと。それは、和歌山大学のシステム工学部の設置と、それともう一つは児童センター
──現在、子ども障害者相談センターになっておりますけれども──この二つだけでええんで頼みますよという話でございました。ほかの県選出の国会議員の先生方には、それぞれ手分けして道路とかいろいろ言っているわけですが、実はこの二つとも実現したわけであります。
 その背景はどういうところにあったかと申しますと、先ほども申し上げましたように、県議会また商工会議所挙げてのやはり陳情攻勢がございました。私も陳情団の皆さんと御一緒に秘書で参加さしていただきまして、実は遠山高等教育局長のところに行ったときに私も申し上げました。要するに、和歌山県には法学部がないので、法学部を希望する学生は他府県へ行ってしまうんだ、そして帰ってこないんだと。西衆議院議員も、紀伊水道を渡ってわざわざ徳島大学まで行ったんだという話をしましたら、「お気持ちはよくわかります」と言われまして、その後、実は赤松文部大臣がやってまいりまして、文部省は放送大学の全国化を目指しておったんです。いわゆる衛星を上げて全国の施設に──和歌山県でも志学館で放送大学の学習センターが設置されてると思いますけれども──そういう全国化を目指しておりました。数百億の予算が必要だと。
 たまたま西衆議院議員がその当時──細川政権、しばらくでありましたけれども、文教部会の部会長という大きい立場をいただいておりましたんで、わかりましたということと、一方では、大蔵省の当時の小村官房長、また主計官等にも西衆議院議員と一緒に走らせていただきました。そして平成六年度の概算要求で、平成五年に決まったんですが、二百万円の調査費がついたんです。これ、わずか二百万とお思いでしょうけれども、このことによって文部省はゴーサインを出してくれました。そして明くる年には、もちろん予算でも二百万、調査費がつきました。そのことが、いわゆる明くる年には文部省から職員を和歌山大学へ送り込んだと、こういう経緯がございます。そして、平成七年十月に認可となりまして、いよいよ平成八年の四月から学生の受験、受け入れと、こうなったわけでございます。
 私は何を申し上げたいかというと、これは、いろんな先生、国会議員の先生がいらっしゃいますけれども、何といっても文部科学省を、本丸をきちっとしなきゃいけない、そのためにはやはりいろんな県民の熱意──知事も先ほどおっしゃいましたけど、財政状況厳しい中だということでありますので、県民の熱意が大事であると。一方、学科で琉球大学も山口大学もしようとしているわけです。
 それで、小田学長ともいろいろと相談しましたが、学長も文科省から学科でどうですかと随分けしかけられてるようであります。しかし、何としても国立大学法人の和歌山大学は学部でいきたいんだと。この世界遺産登録を契機に、いわゆる国立大学としてのトップランナーとして、またオンリーワンの大学を目指すんだと。
 従前は、学問の対象には非常になりにくかったというふうに言われております。学生が果たして来るだろうか、就職先があるだろうかという問題もありました。ところが、国は観光立国宣言を発しているわけでございます。ですから、きのうも議論ございましたが、世界遺産登録、いわゆる熊野古道の理念とか歴史、そういったものの学問的体系、先ほども道成寺の安珍清姫の話もありましたが、そういうストーリーというものが非常にこれから大事になってくると思うんですね。そういったことの研究、そして和歌山大学は交流協定大学としてドイツにもフランスにも、またアメリカにもオーストラリアにも協定大学があります。交流をすることによって、その国に世界遺産を知らしめていくという、こういうことも可能になってまいります。
 また、産官学連携という地域貢献をいわゆる国立大学法人として標榜しているわけでありますので、まさにシステム工学部設置に見せたあの情熱と申しますか熱意をここでもう一度と思うわけでございます。
 それで、企画部長が主管の部になると思いますけれども、貴志川線の廃線問題とかコスモの問題とか関空の二期工事の問題とか、もう一つは遺産登録でのいわゆる保全の問題とかさまざまな課題を抱えておられますけれども、どうぞこの点を十分踏まえてひとつしっかりとした戦略を立てていただいて──今までにも随分御苦労をしていただいていることも承知しております。当然、和歌山県からも和歌山市からも、そしてまた商工会議所からもこの観光学部設置の要請をされているようでございますし、どうぞ連携して一体となって和歌山大学観光学部設置に向けて御尽力をいただきますことを強く要望さしていただきまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十二分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十七番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 ただいま議長よりお許しを得ましたので、通告に従い一般質問に入らせていただきたいと思いますが、その前に、ことしは例年になく猛暑続きで、しかも台風が観測史上最多の七回も日本に上陸し、各地にその猛威を振るい、生命や財産を奪い、農林水産物を初め、あらゆる分野に甚大な被害をもたらしました。各地でお亡くなりになった方々に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、いろんな被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。
 さて、木村知事におかれましては、その猛暑の中、二期目の県政を担うべく熱い選挙戦となりましたが、県内各地を精力的にめぐられ、県民の目線で県民の声を直接お聞きいただき、県民の熱い期待を肌で感じられたのではないかと思います。今後その県民の声を県政にどう生かしていただけるのか、心から御期待を申し上げ、質問に入らせていただきます。
 最初に、難病患者に対する身体障害者手帳の交付基準についてお伺いいたします。
 難病とは、発病の原因が不明で、治療方法はいまだ未確立で、国や県で特定疾患に指定された病気であり、これらの病魔に取りつかれた患者はさまざまな深刻な状況に直面しておられます。周囲の人に難病のことを打ち明けられず、それゆえに就労条件や就労環境において理解を得られず、時として誤解を与え、仕事が続けられないなど問題も生じているとお伺いいたしました。長期にわたる治療は、本人や家族にとって経済的または精神的に重く負担がのしかかり、将来の生活設計やかさむ治療費などの経費に対して強い不安を感じておられます。もちろん公費負担制度があり、国・県の特定疾患に認定されれば治療費の自己負担の軽減が受けられます。しかし、特定疾患の認定を受けても、身体障害者福祉法に基づく障害者手帳が交付されるわけではありません。
 私の友人の御子息にクローン病という国指定の特定疾患を患っておられる方や、またその方のお知り合いに同じ病気にかかって苦しんでおられる方がおられます。クローン病とは、消化管に炎症を伴う病的な変化が起こり、潰瘍ができたり粘膜がはれたり、内腔が狭まったりする病気であります。米国のクローン医師らによって回腸末端の病気として報告され、彼の名前をとり「クローン病」と名づけられました。その後、研究で口から肛門までの消化管のすべての部分で起こることがわかってまいりました。
 この病気は、原因不明なので治療方法も確立していません。症状は下痢、腹痛、発熱、体重減少、肛門の痛みなどがひどくなると切開手術を行い、小腸や肛門などを切除しなくてはなりません。彼は現在、和医大に入院しておりますが、以下、彼からの手紙を抜粋して御紹介したいと思います。
 「私は、中学校三年の夏、突然夜中腹痛に襲われ、近くの病院で診察をしていただきましたが、そのときはクローン病とはわからず、四歳のときの虫垂炎の跡が癒着しているんではないかと診断され、高校三年の冬まで何度も激しい痛みに襲われましたが、医師の診断は変わらず、入退院を繰り返しながら治療に当たっていました。平成七年に別の病院で症状を回復させるため手術を受け、クローン病であると診断されました。当時大変珍しい病気であったため担当医師もよくわからず、病状はすぐに回復するであろうとの診断でした。その四カ月後、進学先の大阪で大量下血し入院。その後、入退院を繰り返し、平成十年、和医大にて二度の開腹手術を経験いたしました。術後、医師の勧めにより食事を一切口にせず、昼間は栄養剤を飲み、夜間は鼻からチューブを入れ、栄養剤を注入していました。特定疾患のため国から助成していただきましたが、チューブでの注入の際用いるポンプ等約十六万円を自己負担で購入いたしました。東京女子医大にも行き、薬も栄養療法も受けました。できることはすべてしてきたつもりですが、病気は繰り返すばかりです。最近、自分で調べて知ったのですが、鼻からチューブを通す状態は明らかに身体障害者四級の規定に入るのではないかとのことですが、当時保健所から教えてもらえず、知りませんでした。実に二年間、毎晩夜間のチューブを続けました。その間、保健所に何度か足を運びましたが、手帳の交付については何の話もありませんでした。学校卒業後、いろいろな仕事につきましたが体調が定まらず、すぐに解雇されます。健常者でもなく身体障害者でもない私にとって社会復帰は難しく、病気の治療のための出費はかさむ一方です。また、病院や地域によって障害者の規定が違うようで、戸惑っております。手術を何度も繰り返し、食事も口にできず、また夜間のチューブでの栄養摂取を再開しました。胆石症や痔ろう等の合併症も引き起こしている自分が健常者に戻れる可能性は、もうありません。もちろん自分だけでなく、世の中のあらゆる難病と闘っている人々に社会的保障と地位を確立してほしいのです」と訴えておられます。
 当時の保健所の対応等については、お互いの言い分もあったのではないかと思いますので、ここでは問いません。国・県指定特定疾患のうち公費負担の特定疾患が四十五指定され、県も特定疾患に五疾患を指定していますが、このうち身体障害者手帳の交付の基準はどうなっているのでしょうか。今回のケースのように国の特定疾患に認定され、大手術を三度も受けられ、現在栄養剤をチューブにおいて摂取しなくてはならないこのような方に身体障害者手帳がなぜ交付できないのでしょうか。
 私は身体障害者三級の手帳を交付していただいておりますが、私のように外疾患の場合は症状固定の確認が容易であり、比較的身体障害者手帳は交付されやすく、内疾患の場合は交付されにくいと一般に思われていますが、症状によっては内疾患の方がつらい状況にある場合も考えられますが、いかがですか。いま一度、あらゆる難病と闘っておられる患者さんに対する身体障害者手帳の交付の認定基準のあり方と、症状に見合った対応を求めたいと思います。
 そこで、福祉保健部長にお伺いいたします。
 この身体障害者手帳の交付基準は、いつごろ、どのようにつくられたものなのでしょうか。時代に応じて改定されているのでしょうか。最近新しく認定された疾患に対して対応はできているのでしょうか。今後も適時見直しが行われるのか等もあわせてお答えいただきたいと思います。
 特定疾患を患っている方にとって、病院に通う交通費の軽減や就職に際し不利益をこうむらないようにと、身体障害者手帳に対する思いは健常者にはかり知れない思い入れがあります。木村知事も二期目の就任のごあいさつの中で述べられておられますが、中央集権型行政システムから、自己決定、自己責任を基本理念として住民本位の新しい行政システムに転換していく必要があると申されておられます。また、全国に先駆けた和歌山モデルの構築も提唱されておられます。他府県の事例に足並みをそろえるというのではなく、先ほどの手紙の中で訴えている難病をお抱えの方々の将来への不安ややりきれない切実な思いを御理解いただき、弱者の立場に立って誠意ある御答弁を心からお願い申し上げます。
 次に、木村知事は、先般、選挙中、いろいろなところで農業政策について熱い思いを訴えられておられました。そこで、和歌山県のこれからの農業の可能性と後継者の育成についてお尋ねいたしたいと思います。
 戦後、我が国は物づくりで経済大国の名を一時期世界じゅうにとどろかせ、工業製品の生産力が国家としての豊かさと国力のバロメーターとして論じられ、当然和歌山県もその社会現象に引きずられ、農村から若い労働力は都会へと移動し、過疎・過密という大きな政治的課題を生み、現在においては環境問題や核家族問題、希薄な地域社会における犯罪の多発化、少子高齢化問題まで波及し、今まさに国家のあり方が問われているような気がしてなりません。
 戦後、資源も少ない小さな国土に一億もの人口が住み、国民の生活向上のため懸命に働き、現在の豊かな日本を築いていただいた先人の御尽力には改めて頭の下がる思いでありますが、その間、我が国の農業は、たびたびの経済摩擦の駆け引きの対象となり、農産物の自給率をどんどん下げ、現在は約四〇%にすぎず、危機的状況ではないかと考えます。
 我が国は、江戸時代、鎖国制度のもととはいえ、世界有数の最先端農業国家であり、ほとんど国内で自給自足の生活が実現され、まさしく循環型社会を形成していました。しかし、国家の近代化の変貌の中で、先進国に追いつくため、農林水産業から商工業へと主力産業が移行してまいりました。その間、一次産業の従事者の比率がどんどん減少し、特に戦後、高度経済成長時代にその傾向は顕著となり、現在に至っています。
 しかし、昨今、食糧をすべて海外に頼っていいのかどうか、我が国の大きな重要課題として問題提起されております。外国からの輸入品には、アメリカのBSE問題にしても、東南アジアでの鳥インフルエンザにしても、また中国からの基準値をはるかに超える残留農薬野菜の問題にしても、食の安全、安心からすればほど遠く、食糧を外国に頼る危険性と食糧の安定確保の不安定性を図らずも露呈してしまいました。
 私も消費者の一人として、本当に海外からの輸入農産物は安全なのか、どのようにして安全チェックがなされているのか、それは一つ一つの輸入品についてできているのかと不安になります。安全基準や検査体制をもう少し充実させると安かろう悪かろうという海外の農産物は入ってこないし、それらの条件をクリアしようとすれば海外の生産コストもそれなりにかかり、国内産との価格差も縮まるのではないかと思いますが、いずれにしても日本の国民の食糧の安全性を海外に求めるのは不可能ではないかと考えます。
 そこで、我が県、和歌山県のような一次産業に力を注いでいる県にとっては、いま一度農業政策のあり方について見直す時期が訪れたのではないでしょうか。特に若い世代の専業農家の育成に対し、もっと力を注いでいただきたいと思います。
 ことしは台風の当たり年になってしまい、和歌山県においては台風六号が梅や桃などの果実に大きな被害をもたらし、またハウス栽培の施設や作物にも多くの被害が及びました。まだ償却の済んでいないハウスなどが倒壊の被害に遭うと借金だけが残り、茫然自失の状況になり、農業を続けていくこと自体放棄したくなると私の友人が申しておりました。
 もちろん、県当局においては速やかに被害状況を把握し、迅速な対応をしていただいたことに対して、私は高く評価するものであります。しかし、農業の現場の声は、もっと農業をやろうという意欲に沸く政策を望んでいます。今までの農業政策のあり方の是非は問いませんが、それこそ和歌山発の緑の雇用事業・農業版を唱える木村知事なのですから、普通の農家の感覚、常識に合わせた政策を国に対しても御提言いただき、ややもすれば土木予算偏重になりがちな農業政策から、後継者育成に重点を置いた農家の生の声が反映される農業政策に転換していただけるように御提言していただきたいと考えます。
 三十年前、当時、日本もドイツも食糧の自給率が六〇%を切ろうとしたときがありました。そのときドイツは国を挙げて国内の農業を保護し、農民の生活を保障する政策を推し進め、現在は自給率ほぼ一〇〇%を達成しているそうです。また、農業の自給率や国民の食糧の安全確保は大変大きな問題であり、最重要課題でありますが、最近は地球の環境を守る上でも農業や林業の効果が論じられ、環境維持のためのコストに換算すると圧倒的な効果があります。
 また、小泉改革の中で農業特区を認められた地域では他の法人のもとで農業を行っている会社もありますが、今後、時代の変化を取り入れた柔軟な対応をすれば農業はきっと魅力ある産業としてよみがえり、ひいては地方に活気が戻り、国土の人口バランスもとれ、今日我が国が抱える就労、教育、文化の継承、防犯等さまざまな問題の解決の糸口になるのではないか、それこそまさしく木村県政の目指すところではないかと考えますが、知事のお考えを承りたく思います。
 さらに、知事の所信表明の中にも、中国市場の大市場をターゲットにした県産品のマーケティング戦略の強化、販路の拡大などにお取り組みいただける旨述べられておられますが、私も同感であります。和歌山県の農林水産物の中には輸出品目になり得るすばらしいものがたくさんあるのではないかと、前々から思っておりました。
 もちろん、すべて農林水産物に可能性があるとは申しませんが、今回は特に農産物に焦点を絞り、中でも果実に対して、価格差を超越して和歌山産の方がおいしいと評価していただき、購入したいと考える海外の裕福な消費者もおられるのではないかと思います。現に中国の上海などの都市に住む裕福な家庭では、日本の米、野菜、果物などを逆輸入しているそうです。私も海外に出張したときに出会う現地の果物と和歌山の果物をつい比較してしまうのですが、同じ果物でもはるかに味覚においてまさっているように思います。
 また、このたび世界遺産登録により、海外のお客様にも和歌山に御来県の際、地元の果物を食べていただく機会が多々あると思います。そこで今後、和歌山産の果実など農産物を海外へ輸出できる可能性と県特産品の海外へのPRの方法について知事のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 また、農林水産部長にお伺いいたします。現在の農業者への補助金のあり方についても、年齢別や専業・兼業の区別、その他の事項を踏まえながらも、やはり後継者を育てるという観点からすべての議論が始まるように見直さなくてはならないと私は考えますが、いかがですか。
 例えば、私のお知り合いの方が二年前、ハウスを建てようとしたのですが、ハウス業者に見積もりを依頼すると四百万円の見積もりだったそうです。当時、減価償却を容易にするため低コスト耐候性ハウスが推奨され、全体的に価格が抑えられていた当時でも、補助金をもらうため国の規格に合わせて見積もりをとったところ、一千万円だったそうです。とても五〇%の補助金をいただいても自己負担額がさらに大きくなり、採算が合わないということでハウス業者にお願いしたそうです。四百万円の五〇%を補助してくれるのであれば本当に助かるのになあと申されておりました。それでは、そのハウスとどこが違うのかと比較すれば、上部のパイプやビニールの材質等は耐候性でほとんど差異がなく、風速五十メートルの風に耐えられる基礎工事の予算が割り増しになっていたそうです。そんな大きな基礎工事は必要ないのではと思いましたので、結局その制度を利用せず、安価なハウス業者に依頼し、ことしの台風にも耐え、立派にそのハウスは機能を果たしております。
 今日、農家は施設費の返済に大変苦しんでおります。農家は個人経営の企業なのですから、投資と採算をもっと重視した政策にならないものかと考えます。耐用年数から見ても、十年で償却する返済計画を立てなければ借金しか残らないそうです。このたびの台風で壊されたハウスを新たにつくろうとしている友人にお伺いすると、やはり前記の理由で補助金をもらわず、ハウス業者に依頼するそうです。台風に強い、台風が来るたびにビニールを上げなくてもよいハウスをつくるため、もう少し基準を考えてもらったら利用ができるのにと申されておりました。そうすればことしは野菜も高値で出せたのにと、県内の農家の声が聞こえてきます。
 和歌山の農業をより強く、他府県はもとより海外の競争にも打ち勝てる和歌山独自の政策を立案し、強い農家を育て、さらに後継者育成のための柔軟な対応が求められていると考えますが、和歌山県の基幹産業である農業に対し県当局のさらなるお取り組みを期待して、次の質問に移ります。
 先般九月五日、先ほど来、先輩議員からもいろいろお話がありましたが、七時七分と午後十一時五十五分ごろ紀伊半島沖で相次いで発生した地震は近畿地方を中心に最大震度五弱を記録し、「あっ、南海地震が来たんではないか。津波は」と、だれしも一瞬頭をよぎったのではないでしょうか。
 気象庁によると、一回目の震源地は紀伊半島沖でマグニチュード六・九、震源の深さ三十九キロ、二回目の地震の震源地は東海道沖で、震源の深さは四十四キロ、規模はマグニチュード七・四と推定されました。さらに七日の朝、またしても大きな揺れがありましたが、専門家によると、マグニチュードも震度も小さくなっているので終息に向かう余震ではないかと報道されておりました。揺れたその瞬間、当然津波の発生も予測され、沿岸各地では速やかな避難活動が行われ、結果的には大きな津波は発生せず、人的被害はありませんでしたが、漁船が転覆する等、改めて津波の破壊力を認識いたしました。
 しかし、テレビ報道では津波の情報がおくれ、どこが震源地なのか、しばらくわかりませんでした。県当局を初め各自治体においては二度目の地震に際し警報を発し、比較的住民の皆さんも所定の場所に混乱なく避難できたことは、木村知事が大地震の到来を予期し、国に提唱され、直ちに関係者の御協力を得て東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法を制定されるなど、昨今県民の間で地震に対する関心が高かったことが何よりの要因であったと改めて感じたところであります。
 しかし、気象庁や専門家は、紀伊半島沖や東海道沖でマグニチュード七前後の地震は全く予想もしていない新型の地震で、今後研究の対象になると戸惑いの声も産経新聞に掲載されておりました。今回の地震はフィリピン海プレートの断層で起こったものと推定され、この地震が東南海・南海地震と直接関係があるとは考えられないとのコメントでしたが、依然として私たちは大地震の備えを怠ってはならないと思います。
 過去の例を見ますと、百年の周期の間に十数回、今回のような地震が近畿の各地で起こり、まさしく大地震が近づいてきている予感がひしひしと感じられます。今回は、各沿岸自治体において有線放送などにより津波警報が発せられ、海岸地域にお住まいの皆さんも比較的落ちついた対応ができたことは大変有意義な体験となりました。しかし、気象庁の津波情報が発せられたとき既に津波の第一波は紀南に届いていたということで、びっくりするとともに不安も残りました。
 さて、今回たまたま地震が起こったのですが、私はかねてより、大地震の際、防災ネットワークの一つとして和歌山県漁業無線に注目をしていました。無線局は、五十五漁協単位にて二十七局余りの無線局で運営されているとお聞きしています。無線局の運営はそれぞれの漁業組合が行っており、二十四時間体制が望まれるのですが、現在はコスト面からいっても各局において難しい財政状況にあるとお聞きしています。
 本来、漁業従事者の命綱でもある漁業無線の現状を考えるとき、それぞれの漁業組合だけで運営し、今後維持・継続させていくことができるのか。漁業従事者の高齢化や後継者の激減という大きな問題に直面している現在、心配でなりません。漁業従事者の生活の安定と命の安全、御家族の安心を確保する漁業無線は二十四時間体制を堅持することが望ましいということは言うまでもありませんが、コストの削減や通信所のあり方など難題も抱え、十年後、その存続すら不安であります。
 現在、当局は直接漁業無線に関与していないので農林水産部長に答弁を求めませんが、そういった現状を踏まえ、私はこのたび、漁業無線を防災無線としてネットワーク化し活用することの可能性について取り上げたいと思います。
 県当局は、来るべき南海地震に対応するため防災センターを設け、各市町村と衛星により連携し、防災ネットワークの構築に取り組んでおられます。それはそれで大変重要な施策と評価いたしますが、現在機能している漁業無線などもそのネットワークに組み込んではいかがかと思いますが、どうでしょうか。
 と申しますのは、阪神大震災の際、最初に機能したのは海上輸送の支援でありました。高速道路も地震後は点検等ですぐにはその機能を発揮せず、また一般道は言うに及ばず大変な混乱・渋滞を引き起こし、救急車や消防車も現地には容易に入れなかったことは私たちの記憶に鮮明に刻まれ、今後の教訓として残してくれました。私も当時、二階俊博代議士のもと、食糧支援のため神戸を目指しましたが、到着までに一日半かかりました。私の記憶では、震災直後に日高町の比井崎漁協の皆さんには、いち早く水の補給のため船で大量の飲料水を神戸に運んでいただきました。当時、漁船の機能性は目をみはるものがあり、私の脳裏に焼きついております。
 昨年、県や串本町、串本海上保安署など十機関、約百人が参加して、初めて漁港、漁船などを活用した震災時の緊急物資の輸送訓練を行いました。大津波が紀南を強襲し、国道四十二号線は寸断され、田辺以南が孤立状態となったと想定しての訓練で、大変スムーズに海上輸送や医薬品の搬入が果たされ、効果的であったと報告されております。課題はすさみで無線の空白地帯が見つかったことぐらいと、海上での緊急物資の運搬については何の問題もなく、評価も高かったと新聞に発表されておられました。
 私たちの和歌山県は海洋県であり、要所には耐震岸壁の港湾も整備され、また漁港もたくさんあります。いざというときにこれらの港湾、漁港施設や漁船は、緊急物資の搬入や救急医療の体制の確立はもとより、負傷者の救急病院への搬出等に海上輸送を利用することは大変有効であるとの証明でもあり、大いに期待しております。そして、ここで注目されるのがこれら海上の漁船をつなぐ漁業無線であり、そのとき大変重要な役割を果たすということであります。
 そこで、さらに私がこのたび注目したのは勝浦海岸局であります。当無線局は海抜八十メートルに位置し、東南海・南海地震の広域災害の海岸沿いの中心に位置するという地理的条件を備えています。県防災基地を主局とし、勝浦海岸局を従局に組み込み、紀南の災害前線基地としての活用はできないのでしょうか。大地震や大津波が到来したとき、海岸沿いの各市町村の防災ネットワークが寸断される可能性も想定されますが、そんなときのために幾つかのネットワークを組み込んでおくことも必要ではないかと考えますが、いかがですか。
 当無線局を私も視察いたしましたが、高台に位置し、自家発電機能も完備し、さらに、借地ではありますが、かなりの敷地を所有していました。機器類は少し古いと申されておられましたが、立派に機能し、県の委託を受け、現在も二十四時間体制で遠洋漁業の通信を行っておりました。
 そこでまず、農林水産部長に勝浦海岸局の現状についてお伺いをいたします。
 こうした基地に県下三十局余りをネットワーク化し、これも来るべき大震災の補完通信機能として県の防災システムに組み込んではいかがかと考えます。先ほど申しましたように、一方で漁業従事者の生活の安定、命の安全に寄与し、また御家族の安心を守るため必要不可欠の漁業無線でありますが、現状を維持していくことは、漁業を取り巻く厳しい状況からすれば、これから先どうなるのでしょうか。漁業無線と防災無線は農林水産部、総務部と管轄は違いますが、お互い発展的研究の余地はないのか。技術的に、予算的にも大変厳しい状況であるということを承知の上で、震災等緊急時の漁船の活用も含め、総括して危機管理監に御見解をお伺いいたします。
 次に、和歌山県の陸・海・空の高速交通体系の整備促進についてお伺いいたします。
 ことしは和歌山県にとって大変意義深い年となりました。それは、言うまでもなく、知事初め関係各位の御尽力により紀伊山地の霊場と参詣道がユネスコの世界遺産に登録され、国内外に和歌山をPRできたことであります。それに伴い、たくさんの観光客も御来県いただいたとお聞きしておりますが、本当にうれしい限りであります。
 しかし、私たちの和歌山県は、その半島という地理的条件により、他府県からすると高速交通体系の整備がおくれていることも事実であります。他府県はもとより他国のお客様にもっと快適に安心してお越しいただくには、さらなる交通体系の整備が急務であると考えます。 ようやく高速道路紀勢線も、紀南一周まではかなり時間が要するとはいえ、昨年南部まで開通し、現在田辺までの区間が工事中であり、また白浜─すさみ間は国の直轄方式で行うことが決定し、紀南にお住まいの方々にも少し明かりが見えてまいりました。京奈和自動車道も昨年に比べさらに予算がふえ、急ピッチで工事が進められ、一日も早い全面開通が待たれるところであります。
 また、空においては、白浜空港も二千メートルの滑走路延長をし、ジェット機も離着陸できるようになり、一応の整備にめどがついた感がいたします。
 鉄道については、けさほど中村議員から御質問がありましたので、フリーゲージトレインなども省略させていただきますが、当局のさらなる前向きなお取り組みをお願いいたします。
 そこで私は、近ごろ少し話題から遠のいているテクノスーパーライナーについてお伺いいたします。
 和歌山県は、下津港湾、ことし暫定開港した日高港湾、そして建設中の新宮港湾と、海洋県にふさわしい重要港湾がバランスよく県内に配置され、いよいよ海路復権の予感で胸躍る思いであります。そして、以前から研究されていたテクノスーパーライナーも実験段階を終え、実用に向かって進んでいるとお聞きしていますが、その現状はどうなっているのでしょうか。
 東南アジアを二十四時間で結ぶ全天候型TSLは、日本の物流の未来を切り開く切り札と言っても過言ではありません。我が県は太平洋に突き出た半島であり、また行き交う船の多い瀬戸内海や大阪湾のような海域には超高速船であるTSLの運航は適さないのではないかと推察すると、和歌山県が海路の関西の玄関口になるのではと期待も膨らんできます。先ほど述べた高速道路の整備が進む中、海路復活を願う我が県はTSLの就航について無関心ではいられません。
 そこで、このTSLの将来性をどのように考えているのか、知事にお伺いいたします。また、現況と今後どのように対応していくのか企画部長にお尋ねいたしまして、私の第一回目の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの花田健吉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、農業の可能性ということでございますけれども、今、私も農業関係のいろんなものを読んだりしているんですが、やはり日本の農業というのは一番大きな曲がり角に来ていると思います。ただ、その曲がり角というのが、今まではともすれば輸入品に押されて日本の農業はだめになっていくというふうなことでの曲がり角という話ばかりだったんですけども、今の曲がり角というのは、そういう面も一方で大きくあるんだけども、例えば農業の運営形態を変えていくというふうなことで一つ方向性を見出すというような方向も出てきていますし、それから担い手として、例えば土木建設業に従事している会社なんかがそういうふうな農業の法人みたいなのをつくって請負をするというふうな方向に向かっているところも出てきておりますし、それからもう一つは、IターンとかUターンの人たちが新規に就農するというふうな動きも出てきております。そういうふうな意味で、ある意味では非常に明るい未来を展望できるようなところになってきているということも言えると思います。
 それからもう一つは、食糧自給率ということも非常に大事なことだというふうに国民に認識されるようになってきましたし、それから安全性の問題、環境に対するその効果の大きさということも、また今までにないほど大きな効用として見られるようになってきていると。そういうふうな中で、和歌山県は環境のよさと、それからこういうふうな歴史性とかいうようなことで売り出していっているわけですけども、それと農業というのは非常にぴったりくると。しかも、果樹中心の農業であるというふうなことから特殊性もあるというふうなことで、何とか今の新しい時代の方向性に合ったような形で、和歌山からこの第一次産業を生かしていくというふうな方法を考えていきたいと思います。
 その中で、やっぱり一番大事なのは、後継者というか、これをつくっていくというふうな形ですので、今、農業をやってみようプログラムなんていうのを始めてやっていますけども、これはただ単に外から人を呼ぶということだけじゃなくて、それも含めて、今農業をやっている人の後継ぎの人なんかも思い切りやれるような仕組み、そしてまた異業種からの転換というふうなこと、こういうふうなことについても、何か農業に従事している人が希望が持てるような方向で新しいものを打ち出すべく、今、関係部局と一緒に研究をしているところです。
 それから、当然のことながら果実の輸出ということに私は本当に大きな希望を持っています。例えば中国なんかとかへ行ったときに、よそのものが別に悪いというわけじゃないんですけども、桃とか──カキなんかは余り食べたことはありませんけれども、やっぱり日本の、特に和歌山の果実なんかはすばらしいなという感じが物すごくするわけです。
 それで、非常にあちらの方も所得水準が上がってきていますので、うまくやれば、これは大きな将来性のある分野になってくると思っています。検疫の問題なんかがあって、非常にそういう面は難しい問題があるんですけども、これも乗り越えられないことではないと思いますので、これからまた、こういうことを願っている他の県とも連携をとりながら対応していきたいというふうに思っています。
 それからテクノスーパーライナーですが、これは以前、非常に大きな話題になったんですけども、ずっと着実な研究というかが進められておりまして、ようやく小笠原と東京間で運行するというふうな形になってきました。
 私も以前、半島振興室長をしたときにこれの導入なんかでいろいろ考えたことがあったんですけども、特に和歌山の場合は瀬戸内海の入り口になっているんで、テクノスーパーライナーは高速だから一回スピードを落として、湾の中で余り効果は発揮しないので和歌山なんかには非常に大きな関係のあるような乗り物というか輸送手段になってくると思いますので、これについてもますます関心を持って対応していきたいと、このように思います。
○副議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 難病患者の方に対する身体障害者手帳の交付についてお答えをいたします。
 身体障害者手帳の交付基準につきましては、昭和二十五年に施行されました身体障害者福祉法に定められておりまして、その障害の範囲は法別表に規定する障害で、永続するものとされております。永続する障害とは、その障害が将来とも回復する可能性が極めて少ないものであることとされております。したがいまして、手帳の交付に当たりましては障害の原因に対する制限はなく、難病であっても、結果的に視覚、聴覚、音声、言語、肢体、内臓機能などの障害で、その障害が永続する方が交付の対象となります。
 議員御質問の交付基準の見直しにつきましては、例えば身体障害者障害程度等級表にヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害、いわゆるエイズによる機能障害でございますが、平成十年四月に追加されておりますし、また身体障害認定基準が平成十五年四月に改正されるなど、厚生労働省において適宜見直されているところでございます。しかしながら、議員御指摘のとおり、現行の身体障害認定基準では障害と認定できない難病患者がおられ、経済的に、また精神的にも大変な御苦労があることは十分認識しているところでございます。
 こうしたことから、県といたしましては、医学の進歩や社会情勢の変化等を踏まえ、公平性、妥当性に配慮しながら適時適切に見直し等を検討していく必要があると考え、特に難病特有の障害に着目した身体障害認定基準を設ける必要があるなど、手帳交付対象の拡大を国に強く要望しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) まず、農業における補助金や交付金のあり方の再検討についてでございますが、補助事業につきましては、政策誘導のためのモデルを育成する観点から、先進的な地域や組織などに対し実施しているところでございます。また、低コスト耐候性ハウスにつきましては、議員お話しのとおり約一千万円程度の費用が必要であるため、今後さらにコストを抑える方策がないか研究してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、後継者が夢を持てるような農業振興に取り組んでまいります。
 次に勝浦海岸局の現状についてでございますが、漁業無線局には漁業用海岸局と公共業務用無線局があります。御質問の無線局は、和歌山県無線漁業協同組合が両局の機能を持ち、会員である沿岸・沖合・遠洋漁船の漁業通信基地として昭和四十四年に那智勝浦町下里に開設したものであります。
 同局については、県が昭和五十九年に公共業務用の県営田辺無線局を廃止した際、県が実施すべき漁業用監督通信に係る無線業務を同局に委託し、現在に至っております。県からの委託費は、運営経費のうち、漁業用指導監督通信に係る漁業無線業務を実施する部分についてであり、応分の負担をしております。
 本無線局を運営する無線漁業協同組合は、会員の減少による無線利用料の減少、施設及び無線機の老朽化等により厳しい運営状況が続いておりますので、県といたしましても適正な運営について引き続き指導してまいりたいと考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 震災等に対応した漁業無線についてお答えいたします。
 まず、震災等緊急時の漁船の活用と無線についてでございますが、議員御質問のとおり、東南海・南海地震など大規模災害が発生した場合、緊急物資等の大量輸送手段として船舶を活用した海上輸送は大変重要なものと考えております。このため、県では昨年十一月に東南海・南海地震を想定した緊急物資等の輸送の実験を行うなど、関係機関との連携についての具体的な検証作業を進めているところでございます。
 次に漁業無線の防災ネットワークとしての活用についてでございますが、漁業無線を防災ネットワークとして活用するためには、現状では技術的にも財政的にも多くの問題と課題があります。いずれにいたしましても、大規模災害発生時における漁船等船舶の活用について関係課と研究してまいりたいと考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) テクノスーパーライナーの現況と今後の対応についてお答えいたします。
 テクノスーパーライナーの現況についてでございますが、平成十四年六月に日本政策投資銀行などの出資により、テクノスーパーライナーの保有管理を行う組織として株式会社テクノ・シーウェイズが設立されたところでございます。テクノスーパーライナーの実用化第一船が実際に就航するのは東京港と小笠原父島港を結ぶ小笠原航路となっており、貨客船として来年夏ごろに運航が始まる予定でございます。
 運航に当たっては輸送コストの低減や輸送貨物の確保などの課題が残されておりますが、実用運航等の中で改善されていくものと期待しております。県としましては、今後、地理的優位性を生かし、テクノスーパーライナーの寄港地として、物流拠点の形成を視野に入れてしっかり対応してまいりたいと考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(向井嘉久藏君) 以上で、花田健吉君の一般質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 では、議長のお許しを得ましたので質問に入っていきます。
 梅生育不良、梅の立ち枯れの原因解明の展望に関してお聞きします。
 木村知事二期目のスタート、最初の九月議会で、梅生育不良、梅の立ち枯れ原因解明について改めて取り上げ、県としてこの課題にどういう姿勢で取り組むのか、お尋ねします。
 私の知事への質問の要点は、第一点は、県行政として原因解明に取り組んで七年になり、しかも、うめ研究所を建設して原因解明を初め梅の生理・生態研究に入ったことは評価しつつも、いまだに原因解明ができないのはなぜか。栽培管理、気象、土壌等の分野が主たる要因であれば、七年も経過し、現場では学者の指導も得て農協、生産農家でその解明は可能ですし、それを今実践していますが、いまだに解明されていないことです。
 第二点は、この状況から見て、現場の生産農家、JA関係者、そして市町村行政は、昭和五十九年に建設された御坊火力発電所建設以降、具体的には昭和六十一年ごろから立ち枯れ現象があり、毎年立ち枯れが増加し、現在までに既に二十五万本の影響を受けた事実から見て、現場生産農家の火力発電所の煙が要因になっているのではないかという疑念を持つのは当然です。そのことから、生産農家、JA、田辺市市長を先頭に一緒になってこの疑念を解明していくため、関西電力、県当局に火力発電所のばいじんによる直接暴露試験をするためにばいじん提供を求め、その試験を研究テーマに加えていくことを求めて既に十年が経過し、いまだに実現していません。私たちは火力発電所が黒か灰色か白かと言っているのではなく、研究テーマの中の一つに取り上げることを求めているのです。これは県民の素直な気持ちですし、当たり前の要求です。
 第三点は、梅生育不良解明の過程で、関西電力が中心に研究したデータに基づく和歌山県うめ研究会の三年の研究成果の提言について、生産農家、研究グループは調査データ、解明方法、分析結果に疑問と問題を提起し、双方の見解は平行線であったにもかかわらず、県うめ研究会は関西電力のデータをもとにした学者グループの見解でまとめたことで、より現場に不信を招いたのです。私たちは、この疑念と問題点を各地域で農家が実証試験をし、酸性雨調査、大学専門家と提携し、実証を現在も進めていますが、県のまとめ提言の問題点を今私たちは科学的・実証的に指摘するための取り組みを進めています。これは本来県が協力すべきものでありますが、それになっておりません。
 こういった県、関西電力の研究データ分析への疑問は、私たち農家、研究者に新たな疑問、怒りが増してきています。やっぱりそうか、今までのデータは本物かどうかわからんなという疑念が起こっています。
 それは、最近の一連の事件です。関西電力の火力発電所などに関する検査データ改ざんや捏造などの不正報告問題です。何と十一カ所で三千六百五十九件に及ぶ不正が明らかになり、御坊火力発電所も含まれています。引き続き発生した原発事故で、福井美浜を含む四基とも検査漏れが発覚しました。関西電力のこの一連の事件は、事実上、独占企業としての権力とおごりが起こしたものであり、国に対してこのような対応をする企業ですから、私たち生産農家の疑念や問題点の指摘、要望に対し全く無視し、赤子の手をひねるようなものではないでしょうか。これに対し、真に県民の立場に立って、これらの問題解決に大企業にもきっちり対応していく県政が求められています。
 知事は、木村県政二期目の就任に当たっての所信表明に示された、「普通の人の感覚、常識からしておかしいと感じることがないように県政運営を県民のニーズにできるだけ合致させ、いわば県民の思いをかなえる県政を進めていくことが不可欠であると痛感した」と述べられています。私はその言葉に共鳴し、少なくとも十数年にわたる梅生産農家、関係機関の人たちの願いや要望を、知事二期目のこの基本理念を信じ、県民の立場で取り組まれることを願い、知事の見解をお聞きします。
 次に、具体的な次の三点について関係部長の見解をお尋ねします。
 この質問する前提として、一つは知事への見解を求めた中の三点目の県うめ対策研究会のまとめ、提言への疑問、問題をもう一度考えたいことです。
 二つ目は、関西電力の原子力発電所の事故により、原発稼働の停止に伴う火力発電所の稼働率が大幅に上昇していることであります。この七月と八月しかデータはございませんが、前年、十五年度比七月が、一号機は〇・九%の稼働率、ところがことし七月は三〇・三%、二号機は〇%でありましたが五・四%、三号機も〇%でしたが三二・四%というふうに大幅な稼働率になっておりますし、八月は、一号機は十五年度一・七%であったのが三六・九%、二号機は一・〇%であったのが一〇・六%、三号機は三・五%であったのが四四・四%というふうに大幅な稼働率の上昇であります。これについて、私は現実を踏まえて非常に危惧しているところであります。
 そこで第一点の質問は、県うめ対策研究会のまとめ、提言報告──こういうごつい本ですが、改めて質問で再度読み直しさせていただきましたけれども、これに関して私は、十二年の六月議会において問題を提起した中の主な点を再度問題として取り上げて、二つの事例を挙げながら、この問題について疑問点を呈していきたいと。先ほど言いましたように、関西電力と基本的に異なった数字的な問題、現場検証においても私たちと全く正反対の結果を出すというような事態の中で、私は改めてもう一度、このことについての当時の関西電力のデータがごまかしのデータではなかったかということを裏づけている二つの事例を挙げたいと思います。
 一つは、トレーサーガスによる排煙拡散調査を関西電力とJAの研究会でやっておりましたが、そのトレーサーガスの調査時期の稼働率が約五%から七%という時期を踏まえて、非常に低い時期をとらえて、その間のときに、いわゆる調査のときには稼働率を下げてやったと、この実態であります。だから正確に、梅枯れが起こった昭和六十一年以降は平均して三五%から四〇%という稼働率がずっと平成八年まで続いております。そういう中で、調査期間中は一〇%以下、少なくとも五%以下の中でトレーサーガスの調査をやって十分なデータが得られたかどうかという疑問があります。
 もう一つは、風向調査の調査ポイントであります。もう皆さんも住んでいたらわかると思うんですけど、御坊火力発電所から北西や西の風が三百六十五日のうち十日しかないというデータを提出してきました。そんなばかなことはあるかということで、関西電力が提示した黒岩山というのがあるんですが、そこの近くの関西電力がやったポイントではなく、私たちが二百二メートルの地点で実際に器具を持って山へ登って風向調査をやりました。その結果、それのときには、既にそのポイントというものの中には、天気のいい日はほとんど西または北西の風が吹く事実を調べ上げたわけです。それを事実と思って対したけれども、何ら取り上げてもくれず、無視されてきたという経緯があります。
 こういった意味で、私は二つの点を──ほか、水不足の問題とか土壌とか気象の問題とかたくさんありますが、この二つの事例だけでも、今、関西電力が起こした事件の中で、私が当時、幾ら意見を言っても取り上げてくれなかった事実は、まさに私たちの現場実証の資料ですら無視してきたこの実態を、県当局も積極的に見詰めながら、その解明に取り組むことが必要ではないでしょうか。そのために私は改めてこれを振り返り、もう一度再調査を私たち生産農家と県がやるべきではないかということを提案したいわけであります。
 もう一つは、栽培、気象、土壌等の分析で、実証園のその後の追跡調査、何年かたっていますが、既にようなったんやとか、もうこれで大丈夫だとしたところの追跡調査が行われていません。私たちの追跡調査では、そのときよかったけれども既に枯れてしまったり重症の木がたくさんできている事実を見たときに、そういう一年や二年、三年ぐらいで結果を出すんではなくて、ずっと追跡調査をしながら現状実証していく必要があるんではないかということを二つ目は問いたいと思います。
 次の大きな二点の質問は、うめ研究所の研究テーマに、今までの私が言いました教訓から、ばいじんによる直接暴露試験で大学機関との共同研究を求めたいが、どうでしょうか。また研究テーマも、この間も研究所へ行ってきましたけれども、到底十三名の研究スタッフだけで解明できるものではありません。たくさんのテーマを抱えてやっております。私は、大学や専門機関との共同研究を積極的に進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 三つ目は大気環境調査についてですが、一つは、常時測定局に加え、酸性雨調査等の県移動測定車による定期的定点での調査を求めます。二つ目は、梅産地の定点測定局を設定し、調査すること。三つ目は、昭和五十五年から昭和六十二年にかけて実施した御坊火力発電所稼働に伴う農産物への影響調査を実施すること。再現をしていただきたい。
 先ほども言いましたように、この当時の昭和五十五年から昭和六十二年の県の果樹試験場での調査は、稼働率がそんなに高く──平均的ではありますけど、高くありませんでした。その後、平成八年まで平均して四五%から──終わった翌年の昭和六十三年以降は四五・一%とか四〇%とか四六%、ずうっと平成八年度までそういう数値をつくっております。したがって、稼働が高くなってずうっと継続したときにもう既に調査を打ち切ったというこのことの問題を私たちは指摘してきましたけれども、それに対する再調査をここに要望するものであります。
 そこで、そういった点を踏まえながら、私は以前にも申し上げましたように、こういった今の環境基準というのは、既に人間に対する影響に対する基準を定められております。植物に対する影響がどうかということについては、環境省の「環境白書」でこのように述べております。「生物の生態・生態系の機構、生物間の相互作用等は極めて複雑で全容を明らかにすることは不可能に近い。我々が有している生物や生態系に関する情報は極めて少なく、往々にして手おくれになってから解明されることもある。自然環境への影響を評価する際には、我々が生物や生態系に関し、むしろ知っていることはわずかであるということを認識する謙虚さが求められている。また知見が少なくともその時々の最新の知見をもとに、人間活動が自然に与える影響を事前に予測・評価し、その結果を踏まえて負荷を軽減するための対策を講じる必要がある。このため、自然環境に関する知見を常に最新のものとするよう調査を充実し、事前の予測・評価のために、その結果が広く活用されるような形で蓄積・提供することが重要である」というふうに「環境白書」では述べられております。
 これに対しても、私が三つの点での観測をお願いしたのも、こういう意味で、今の環境基準は人間だけだ、人間に対する環境基準だ、環境基準を下回っていてもそれに対する自然環境や農産物に与える影響はどうなのかということが、我々農業地である果樹日本一の和歌山県としてそういう研究にやっぱり着手していくことが大事ではないかということを提案しているわけであります。
 次に、大きな二つの食料・農業・農村基本計画の見直しについての中間論点と県の考え方についてお聞きします。
 県農業は、中山間地域という中での農業経営という実態を踏まえた中で、中間論点をどう受けとめ、県農業の今後の方向をどう示していくのですか。
 例えば、事例は二つしか挙げられませんが、大規模の農家や認定農業者に絞った農業経営の方向を示されていますが、私たち中山間地域の農家にとってこのことが妥当なのかどうか、農業経営だけでは生活できないため、兼業して所得を得なければならない農家が切り捨てられていくのではないかという危惧があります。
 もう一つは、これと関係して、企業の農業参入について和歌山県としてどう対応するのかを農業という立場で基本スタンスを明確にする必要があるのではないか。例えば、カゴメのトマト進出に対しても、農地でないから企業誘致という次元でとらえてよいのかどうか。県下のトマト栽培農家への影響を初め、これからの県農業に対する考え方のスタンスがはっきりしないことには、すべてがなし崩しにならないか。
 農業を守り発展させる立場にある農林水産部としての理念と政策が問われると思うが、農林水産部長の見解をお聞きしたい。
 次に私は、その基本の立場に立って食育と地産地消推進のためには、モデルをつくり実践する必要があるのではないかということであります。以前にもその図を示して提案さしていただきましたが、私は、当面一点突破として、教育分野でのモデル、つまり学校教育の中での食育と給食を一体化させ、給食については地域モデルをつくり農家と学校給食を一体化させ、それを有機的に進めることで高齢者の生きがい対策と給食との相乗効果が発揮できると考えますが、農林水産部長のお考えをお聞きします。
 次に、介護保険制度見直しに関する意見、社会保障審議会介護保険部会と和歌山県としての制度の見直しと今後の方向についてお聞きします。
 介護保険制度見直しに関する意見は、ことし六月に社会保険審議会介護保険部会から提起され、今後十分な議論が求められています。二〇〇〇年四月、介護保険施行後四年を経て、その総括と今後の課題、見直しを私たち和歌山県においても進めなければなりません。
 介護保険制度の見直しには、高齢者の自立支援と尊厳の保持を基本とし、制度の持続可能性を高めつつ、介護予防の推進、地方ケアの推進、地域ケアの展開という新たな課題を提起しています。
 今回、私は介護保険制度見直しに関する意見を踏まえて、介護保険事業に直接かかわっている一人として、日ごろから現行介護保険制度に感じていた点をこの見直しと照らしながら県当局にその考え方をお尋ねしたいと思います。
 まず一つは、地域に密着した新たなサービスシステムの確立が重視されています。現行の介護制度は在宅、施設と合わせて十八種類に及ぶ介護サービスが規定されて、介護を必要とする人をその規定に合わせて輪切りにした介護サービス、そういうことが実態であり、介護を受ける人の立場、実情を重視されなかったりすることが多いのが実情です。地域の特性に応じた柔軟な対応と、何よりも地域で支えていく体制が今まで求められていました。この見直しは、その視点からいけば、全国的な実情を踏まえて、地域で高齢者を支えることや全国画一的規定のサービスを抜本的に見直すとされていることは大きな前進と評価されます。
 一つの事例として、通所介護事業所で一晩だけ泊まりで預かってほしい等のショートステイの要望をされたり、時には家庭へ訪問して介護したり、生活介護相談をすることや独居老人等の居住を要望されたり、多様なケースが今求められています。現行制度ではその要望には対応できません。今回見直しに示された小規模多機能型のサービスは、小規模でかつ通い、泊まり、訪問、居住などの機能を利用者の視点に立って複合的に組み合わせ、利用者の状態の変化に応じて多様なサービスを提供できるとしています。
 私は、以前から提起している公民館単位ぐらいで小規模・多機能型のサービスを計画的に進めることが介護の必要のある人と地域住民とのつながりが強まり、地域で福祉を育てていく体制が確立され、介護保険も軽減されていくと提言してきました。県当局の考えた感想をお聞かせください。
 また、介護予防の推進を大きな柱としています。今回、要支援、要介護一については介護保険から除外して、介護予防の施策を適用していくことにしています。要支援、要介護一は介護保険適用の四五%を占めている現状を見ると、介護予防という形で切り捨てられないかという心配があります。それに対して、行政と事業所でどんなシステムを構築するのかが大きな課題となります。
 これから、これら地域に密着した新しいサービスの提供や介護予防システムの構築については、市町村の力量、考え方によって市町村格差が生じることを恐れています。格差をなくすための体制が課題ですが、どう対応していくのかお聞きしたいと思います。
 さらに、見直しの幾つかの問題──私がいろいろと日常体験する中で感じたことですが、この見直しの幾つかの問題点を提起したいと思います。
 介護事業者の運営の不正等チェック対策、事業所で働くヘルパーさんのほとんどがパートという実態での人材の質の向上、ケアマネジメントするマネジャーの九割が事業所の職員で、自分のケアマネジメントをするのがその事業所のケアマネジャーがやるという、そういう中での公正・中立なケアマネジメントができるのかという疑問を日ごろから感じております。
 最後に、今回の見直しで私が最も危惧するのは、介護保険制度をほとんど全面的に市町村へ移譲することが提起されています。三位一体ということで、市町村への分権で国の地方への財政的支援がこれを契機に削減されるのではないでしょうか。そうなれば、多様なサービスを充実させよと市町村に指示しながら、しかし金は減らすでは市町村は大変な負担を強いられることになると私は予測されるのですが、どう対応するのでしょうか。
 次に最後になりますが、東南海・南海地震の予知と予兆について当局にお尋ねします。
 一点目は、科学的予知はどこまで進んでいるのか、県内の探査システムはどうか。事例と過去の予知システムの関係をちょっと紹介しながら考えてみたいと思います。
 去る九月五日の午後七時七分のマグニチュード六・九、震度五弱、午後十一時五十七分のマグニチュード七・四の震度五弱は、南海地震の予兆かと思わせる事態でした。私は前回昭和二十一年の体験をしていますが、しかしこの経験は幾つかの教訓に立って今後に生かされなければなりません。
 そこで私は、東南海・南海地震の科学的予知の体制はどこまで進んでいるのか。予知という視点から見てどの程度可能性を持っているのか。現状は、GPS連動観測システム、海洋研究開発機構による紀伊半島沖等調査、産業技術研究所地下水総合観測ネットワークが調査する地下水位調査は根来断層から走る岩出町、今回の九月五日の経験から九月十五日に本宮町に観測機を設置し調査されると聞いております。また、九月五日の地震後の海底調査を気象庁、東大が三十台を設置してデータを集め、予測の資料とする等進めています。
 私たちは、科学的に何をどのように調査して、日本の科学技術でもってどの程度予知可能なのか、全く無知に等しいわけであります。科学的予知の動向をもっと県民にわかりやすい形で説明する責任があるのではないでしょうか。お尋ねします。
 そこで私は、第二点目に、昭和十九年の東南海、昭和二十一年の南海地震の教訓から得た予知と予兆から、動植物や自然界の異常現象、つまり宏観異常現象に着目し、科学的予知を後押しする県民のネットワークを組織し、予知と予兆への一定の役割と日常的に防災意識を高めるための活動としても大きな役割を果たすと考えています。
 それについては、県災害史の中に昭和二十一年の南海道地震のときにどんな予兆があったかということで、新宮市の青年会が、その一週間余り前から気温が急に変わった、それが急変して温かい小春日和が続いて麦は少し黄色味を帯びたとか、二、三日前から夜間の静寂の中から南方より不気味な海鳴りの音が聞こえたとか言われております。また、田辺市の南海道地震の後も、小鳥のセキレイがコツコツと窓ガラスをつつき、知らせに来たとか、大きな三日月ができたとか、いろんな意味で書かれております。
 そういう意味では、真っ赤な夕日ができたとか、潮の満ち引きが非常に大きかったとか、たくさんの宏観現象がありますし、また今ナマズと地震の関係も追求されております。犬やカラスやミミズなどさまざまな動物の異常行動を見ながらも、特に地中の巨大なナマズがこの地震との関係で原因解明を今、東北大学とか研究されておりますが、こういった予兆をもう少し我々は甘く見ないで、現在の科学的予知がなかなか信頼できる方向にまでなっていない段階でこういうシステムを、ネットワークをつくってはどうかというふうに私は考えるわけであります。
 例えば串本では、京大の先生を中心にして串本の文化情報ネットワークが非日常現象いわゆる宏観現象に対する情報交換ネットワークをつくって今取り組んでおりますし、和歌山市でも、設計者を中心にこういう宏観現象に対するネットワークを和歌山市でつくって県下的に広めていきたいというふうに言われております。こういったことに対してぜひ取り組んでほしい。
 最近、私が特に感じることは、そういった地震に対して、東京大学だとか京都大学だとか気象庁だとか、どえらい科学設備をつけて検索すると言うてるけども、当時私ら、昭和十五年生まれですけれども、その後ずうっと来た小さいころは田辺市にも五カ所の地震予知をできる──地盤沈下の検査、潮の満ち引き、潮の状態、それを検査するのも今の扇ケ浜にも残っております、その跡。そういったことがどんどん薄れられてきて、大規模な科学施設でもって予知することが可能なんだという言い方がその当時の検査と非常に違う点があるのを感じますので、そういったことも、もっと過去の歴史の教訓に立って、予知していたことについてもっと赤裸に見詰める必要があるのではないかと。
 私はこの平成十年に発行された椋平廣吉さんの「地震の前兆と椋平虹現象」という本が発行されていますが、この人は、その虹の現象でもって幾つもの地震を予知されたという結果があります。そういったことでも、ずっと田辺で住みながら、全国を走り回りながら地震の予知をしていったという方、当時はいろんな人が地元に入って地震を予知した、いわば学者ではないけども、そういう研究をした人がたくさんおられたことも事実でありますから、そういったことも私たちは重視していく必要があるんではないかというふうに感じているわけです。
 したがって、私は、ネットワークは漁業関係、農協関係、温泉関係、井戸を利用している県民、NPO関係、自主防災組織、マスコミ支社等を市町村で集約し県防災へ集約する体制、もう一つは学校教育での自然科学部のクラブ活動の一環としてそういった宏観現象に対する予知を楽しくやっていくことの提案をして、私の一回目の質問を終わります。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 梅の生育不良の問題は、梅が第一次産業中の非常に基幹産業であるというふうなことから考えても、私は非常に大事な問題だと思って取り組んでまいりました。いろいろな試験も行いましたし、またデータも蓄積してまいりましたけれども、いまだに原因というものの解明には至っておりません。
 この四月にうめ研究所を設置して、ここでもまた鋭意取り組むことにいたしておりますけども、先ほども御質問の中にありましたように、やはり普通の人の感覚というふうなものに立って虚心坦懐にいろんなことを考えてみるというふうな必要があると思います。地元の人たちの不安というふうなものを取り除くためにも、これからもそういうふうな姿勢で事に当たっていきたいというふうに思っております。
 それから関西電力の一連の不祥事については、これは僕はゆゆしきことだと思っておりまして、会社がやはり説明責任をちゃんと果たして、そして信頼を回復するようにしてもらわないといろんなところへ波及してくるというふうな問題も出てまいりますので、そのようなことを心から願っているところでございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) まず、梅生育不良の二項目めについてでございますが、JA紀南と関西電力が共同で組織した十一名の専門家から成る梅生育障害対策研究会の調査研究は地元農家の意見を十分に反映しながら実施されたものであり、その報告書は学問的知見を総合的に検討・判断され、平成十二年四月にまとめられたものと考えてございます。
 なお、県は国、大学の各専門の研究者十名から成る県うめ対策研究会を設置し、独自の調査研究を実施するとともに、梅生育障害対策研究会の調査研究データも活用しながら平成十二年三月に報告書として取りまとめたところでございます。県におきましては、県うめ対策研究会の報告書で示された提言に基づき、残された課題の解明や対策技術の開発について、国指定試験による生育不良の再現実証試験や総合実証園での調査研究に引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次にばいじんによる直接暴露試験についてでございますが、これまでにもお答えしてまいりましたとおり、その科学的に評価できる研究手法が現段階では難しい状況でございますが、新たに研究手法の御提案があった場合には、多くの専門家の御意見をお聞きしながら検討してまいりたいと考えてございます。
 また、大学や専門機関との共同研究についてでございますが、現在、生育不良の指定試験やバイオテクノロジーを活用した新品種の育成、品種識別方法の確立などの研究について、国や大学の協力をいただきながら実施しているところでございますが、今後とも引き続き必要に応じ、大学等の専門機関との共同研究に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 大気環境調査についてでございますが、梅産地の定点観測局につきましては、梅産地周辺地域において大気環境変化による影響が懸念されていたことから、平成六年ごろから関西電力が地元協議会との話し合いの中で、順次地点や調査項目の追加をしながら実施しておりましたが、去る平成十五年一月をもって終了したと伺ってございます。
 県におきましては、県うめ対策研究会の報告において、特にオゾン濃度の推移を監視していく必要があるとの提言を受けていることから、本年四月に開所したうめ研究所においてオゾン濃度を継続測定しているところであり、今後は調査結果を注視してまいりたいと考えてございます。
 次に御坊火力発電所稼働と農産物への影響調査についてでございますが、本調査は、御坊火力発電所稼働前の昭和五十五年度から稼働四年後の六十二年度までの八年間に梅を初めとした果樹や野菜、花卉などへの影響を調査したものであり、その時点ではいずれの作物でも明らかな影響は見られてございません。
 また、梅の生育不良の環境調査や研究につきましては、地元うめ対策協議会と協力しながら、平成十年度に二酸化硫黄、二酸化窒素、オゾンの複合ガス暴露試験を、平成十二年度にバナジウム、ニッケル溶液の暴露試験を、また平成十三年度には県下十四カ所の降下ばいじん調査を実施しており、その結果については既に報告させていただいたところでございます。県といたしましては、このようにして積み重ねたデータを活用しながら今後の試験研究を実施してまいりたいと考えてございます。
 続いて二項目めの、県農業は中山間地域という中での農業経営を守り発展させるためにどう展望し、中間論点をどう受けとめているかについてでございますが、中山間地域が多い本県では傾斜地が多く、兼業化、高齢化が進んでおり、論点の中にあるような認定農業者などへの農地の集積等は難しいと認識してございますが、中山間地域の農業の振興は農業だけではなく集落地域の維持存続にもかかわってくることから、重点課題ととらえてございます。
 このため、県といたしましては、農業をやってみようプログラムの推進による多様な担い手の育成や遊休農地リフレッシュ再活用促進事業等による遊休農地の解消を行うとともに、農家個々への対策だけではなく、法人化の推進や農地の集積、農作業受託サービスへの取り組みといった地域ぐるみの対策をなお一層進めてまいりたいと考えてございます。
 また、企業の農業参入については、地域の活性化につながる事例も見られますが、農家に軸足を置いてどのような影響があるかなどを見きわめながら対応してまいりたいと考えてございます。
 食育と地産地消を推進するためのモデル地域についてでございますが、食料・農業・農村基本計画の中間論点整理においても食育は重要であると位置づけられてございます。
 県といたしましても、農業振興を図る上で地産地消をベースとした食育運動は重要と考えてございまして、本年二月に学校給食関係者や生産者等の参画による和歌山県食育推進協議会を設置し、組織間交流を中心とした食育推進ネットワークの構築に向け、具体的な取り組みを始めているところでございまして、その一環として本年十一月下旬には、学校関係者や生産者団体の協力のもと、県下すべての小学校、盲・聾学校、養護学校に県産ミカンを配布し、学校給食や総合学習への教材として利用いただくなど、地域に根差した食育運動を実施することとしてございます。
 今後、議員御提案の趣旨も踏まえ、より一層学校教育との連携強化を図りながら、地域に密着した地産地消や食育運動を進めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 梅生育不良の大気環境調査についてお答えいたします。
 一点目の移動測定車による大気環境調査及び酸性雨調査につきましては、平成九年から十四年まで田辺市内において実施しております。調査結果につきましては、大気常時測定局と比較いたしましても特異な状況は認められておりません。また、酸性雨調査の結果につきましても、酸性度の指標となるpHは全国の状況と比べてもほぼ同様の値となっております。
 御坊発電所に係る大気環境につきましては、今後とも発生源監視を行うとともに、移動測定車の活用を含め、御坊市周辺及び田辺市に設置している大気常時測定局の測定結果の状況について注意深く監視してまいります。
○副議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 介護保険制度の見直しに係る今後の方向についてでございますけれども、御指摘の社会保障審議会介護保険部会から報告されました介護保険制度の見直しに関する意見におきまして、来年の介護保険制度改革の基本的方向として、量から質への介護サービス改革の推進、在宅支援体制の強化等の在宅ケアの推進、市町村がより主体性を発揮することができる保険者機能の強化などが示されております。
 特に、介護費用が増加する中で介護保険制度の持続可能性を高め、明るく活力ある超高齢社会を築くためには、要介護状態になる前の段階から軽度の要介護者までの高齢者に対して新たな介護予防システムの確立が求められているところでございます。県としましても、介護サービスを受けても要介護度が重くなってきている現状を踏まえ、本年度から筋力向上トレーニングを取り入れた高齢者運動推進事業を実施しているところでございますが、引き続き新たな介護予防対策を普及してまいりたいと考えております。
 また、この報告書では、サービスの質の向上のためのケアマネジメントの体系的見直しや、介護職員の資格、研修システム、雇用のあり方の見直しを含めた人材の資質向上、利用者の選択のためのサービス事業者の情報開示の徹底と劣悪なサービスを排除する事後規制ルールの確立、また現行の在宅施設サービスの弾力的な利用を認めていくこと、さらに今後痴呆性高齢者やひとり暮らし高齢者の増加などの地域の特性に応じた地域ケアが実施されるよう地域密着型サービスを創設し、このサービス事業所の指定、指導監督及び介護報酬設定を市町村の権限とすることなどが言及されております。
 こうした状況から、議員御指摘のとおり、今後は介護保険者である市町村の取り組みがますます重要になってくると考えられますが、県としましては、市町村の独自性や創意工夫を生かしながら、均衡のとれた地域ケアの確立を積極的に推進してまいりたいと考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) まず、地震の予知についてお答えいたします。
 地震の予知につきましては、現在の科学技術の水準では一般的に困難であるとされておりますが、警報を出せる程度の地震の直前予知ができ、適切な予防措置をとることができれば、人的被害や火災等の二次災害の発生を大幅に軽減できるわけでございます。
 このため、国や大学等で地震予知に向けた基礎的な研究がなされておりますが、東南海・南海地震特別措置法の制定以降、紀伊半島沖での海底地震計調査や南海トラフの地質調査を初め地殻構造調査、電子基準点の増設、また本宮町等で行われている地下水位の観測など、調査観測体制の充実が図られております。県といたしましても、予知の現状や将来見通し等も含め、調査観測体制の充実を国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に地震の前兆をとらえるいわゆる宏観現象についてでございますが、過去の地震でも、動物の異常行動や漁獲高の急変など宏観現象も確認されたとも言われております。また、現在も大地震の発生が危惧される中、こうした自然現象等について住民の皆さんの間でも情報交換等も行われているとのことでございます。こうした活動にも注目しながら県としても関心を持ってまいりたいと考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 地震の関係です。当時、県災害史の中でちょっと感じたんですが、当時の中央気象台名古屋管区地震調査官が、地震が十二月二十一日に起こったんですが、その四日前、十七日午後九時、三重県尾鷲測候所では既にこの地震を予知したが、正式な発表を控え、地元だけで警戒していたため、地震と同時に混乱することなく整然と避難することができたと語っております。そういうふうに、四日前にそういう可能性を指摘したということ。
 もう一つは、東大地震学者の今村博士がこのように述べております。地震は予告できると。それは、そういった設備をきちっと綿密に調査網を張れば近い将来は大地震が起こるという程度の大ざっぱな予測はできるものであるというふうに言われております。
 私は、こういったものを見ますと、当時の予知検査機は、無数にと言ったら悪いんですけど、当時だけでも串本、室戸などでは六カ所に──少ないという申請はしているんですけれども、六カ所でもって測定を、特に潮の動向を検査する検潮器をずっと張りめぐらせていたと。それで大体予測できたということで、この教授も、実際にはそういう戦後の混乱期であった関係上、中央に情報を送れなかったけれども、これを予告しているということも載せられております。
 そういう意味では、科学的、今の大規模な施設とあわせ、過去の教訓に学んで、やっぱり地殻変動とかそういったものを感知できるもの、それから潮の動きを感知できるもの、そういったもう少しローカル的な部分での検査体制も大きな役割を果たすのではないかということをこの歴史の教訓に立って私は感じましたので、そういった点もひとつ考えていただけたらありがたいと思います。
 それから次に介護の関係ですけど、私は、一つは一番最後に言わせてもらいましたが、いわば今の国の制度が、この制度の見直しの中に市町村にすべてをこの権限をゆだねるという名のもとにかなりの今までの国のそういう福祉関係、また介護に関する補助金が削減されるおそれを感じています。
 そういう意味では、やっぱり知事の方も含めてこれに対して目を光らせて、こういうすばらしい見直しの案が出されているんですから、それを市町村にやるということは、僕らも日ごろからやっぱり身近に地域に関している市町村が介護に対して責任を負っていくべきだというふうに感じていました一人として、そのことによって大幅な削減をされたら、これはまた市町村が非常に厳しい財政の中でまたぞろこの福祉に対して厳しい状態になっていくし、しかも市町村の財源状況によって格差が生じることも、私は、恐れているわけです。財源的に豊かな市町村は割かし充実していくけども、財政的に非常に不十分なところはそこまで手が回らないという市町村間の格差が非常に生み出されていくというふうに思うわけで、その点の関係も非常に強めていただきたいと思います。
 最後になりますけど、いわゆる梅立ち枯れの問題についてですが。私がこの問題を取り上げたのは、少なくとも昨年までは稼働率も下がって去年の立ち枯れの本数も少し落ちついてきたという意味では非常に我々安心をしていたんですが、御存じのとおり、原発の停止に伴って、御坊火力発電所そのものは──ふだんはゼロ%により近いんです。というのは、福井の原発のフォローとして、あそこが難しいときには御坊で補うということになっていますから、その補いがどんどん、二十七日とか二十九日とか、ほとんどもう毎日に近いぐらい今たかれています。
 そういう意味で、私たちは今まで調査して打ち切った大気検査やいろんな分野をもう一度復活させていかないと、来年八月にもう一回調査がありますが、そのときに、もし今までと違った角度での立ち枯れが起こったり、引き続き再来年も起こってきたときに実証するものがない。今まで検査したのは、稼働率が少なくとも二%とか六%とかそういうときに検査をしているわけですから、ほとんどいわば観測しても意味がないぐらいの状況です。
 だから、今後どんどんたかれていく過程の中でこそ環境調査をきちっとして資料として残していかないといかんのではないかというふうに思いますので、それをしたくないんだと。僕ら、しなかったら、したくないんと違うかなと。すると、結果が出るのが怖いのと違うかなという不信につながるわけでありますから、その点をお願いしたいと思います。
 もう一つは、ばいじんはもう提起して十年、私はずっと言い続けてきたけれども出さないと。そういうことがなぜ知事の言う視線──我々常識から言うたら、白とか黒とかいうふうに研究の素材として提供してくださいよと。我々にくれたら、県がやるかやらんかにかかわらず、私たちも十分専門学者と提携してやっていますから。そういう大学の専門者と一緒になって調査研究できるわけですから。それは、私たちの研究の成果が正しいか正しくないかは別です。それはまた関西電力がそれに対して学者の中で研究をして、お互いにテーブルで論議をしていきましょうかという当たり前のことを言うてるんですけど、どこに問題があって出されないのかここが私たちには全然わからないわけであります。その点をぜひお願いしたいと。これは言い続けなければというんか、最終は裁判せないかんなと思っていますけど。これは、諫早湾でも漁民が闘って仮処分やって勝ちましたね、農林水産省に。私たちはそういうことも見据えながら研究をしていかないと。このまま続けると来年、再来年がまた大幅に枯れるような状態になると私たちは黙って見過ごすわけにいかない状態にあると、このように思っております。
 最後になりますが、ドーピング検査の拒否とかけて関西電力のばいじん提供の拒否と解く、その心は、真相を知られたくない。終わります。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 この際、十分程度休憩いたします。
  午後二時三十七分休憩
     ─────────────────────
○副議長(向井嘉久藏君) 会議に入る前に、議長から傍聴にお越しの方にお願い申し上げておきます。
 傍聴席からの私語、拍手等はお断りしておりますので、御協力のほどお願いいたします。
  午後二時四十九分再開
○副議長(向井嘉久藏君) それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。大変お疲れのところですが、よろしくお願い申し上げます。
 第一は、世界で渦巻いている暴力とテロの悪循環を断ち切る問題であります。
 九月初めに、ロシアで大変な悲劇が起こりました。武装勢力によって子供、先生、保護者が千人も学校に閉じ込められ、爆発物や銃撃によって五百人もの犠牲者を出した痛ましい事件でありました。犠牲者の御冥福をお祈りするとともに、武装テロ勢力を絶対に許すことはできない、こう思うわけでございます。
 アメリカの九・一一同時多発テロもそうでありましたが、こうした問題が起こったとき、テロに屈してはならないといって、テロの根源と見られる、正確に言えば、その国がテロの温床や根源だと思っている問題、アメリカの場合にはアフガンやイラクの問題、今回ではチェチェンの問題で一層強硬な武力による対応を強めるという方向が見られます。しかし、それでいいのでしょうか。私は、アメリカとロシアで起こった二つの悲惨なテロ問題を通じて考えてみたいのは、原爆や水爆まで持っているこの二つの軍事超大国がテロから国民の命を守ることができなかったこと、むしろ軍事的に他国を支配する政策をとっているからこそ、かえってテロの目標にされたという問題をどう考えたらいいんだろうか、こういう問題であります。
 今、大切なことは、いかなる理由があってもテロは許されないという国際的な世論でテロ勢力を包囲しながら、同時に武力とテロ、憎しみの悪循環を断ち切ることではないでしょうか。憲法九条というものは、世界にその方向を示していると考えるわけであります。テロに屈服するなといって軍事的対応を強めることは、問題をすりかえ、事態を一層深刻な方向に向かわせることになると思います。
 去る六月、ノーベル賞文学者の大江健三郎さん、国連婦人会の三木睦子さん、高野・熊野の問題を精神的側面から考察しておられる梅原猛さんなど九人の方が、憲法九条を守ろうというアピールを出されました。皆さんのお手元にお配りしています。全国に賛同者が広がっています。
 木村知事にお伺いいたします。知事は九人の方のアピールをお読みになられたでしょうか。お読みになられていたら、どういう感想をお持ちかお伺いしたいと思います。
 さて、第二の問題は教育の問題であります。今回は二つの問題を取り上げます。
 まず一つ目は、三位一体の改革にかかわる教育予算の問題です。
 三位一体の改革は木村知事の持論ですが、今年度予算編成に当たって、財源移譲される以上に補助金や交付金がカットされたことについて、知事は「キジも鳴かずば撃たれまいにと言う人もありますが」とぼやかれたこともございます。
 ところで、このたび八月、全国知事会は、財源移譲にかかわってどの補助金を削るかという問題を小泉首相から丸投げされて論議したようにお聞きしています。けさほどからも江上議員からも質問がありましたので、知事の答弁も踏まえて質問をいたします。
 私は、地方財政にしわ寄せをしている根本の問題を抜きにして、財源移譲を言うなら削るものを差し出せという問題の丸投げそのものもどうかと思いますが、道路などの財源であれば、国の基準に基づいてしか道路をつくらないということ、そのために交通量の少ないところに立派な道路をつくるというむだ遣いが指摘されていますから、補助金をカットして財源を移譲するという論議もあっていいだろうと思います。しかし、最大の論議は義務教育費国庫負担の問題でありました。その中身については朝からお話がありましたので、中身については省略いたしますけれども。
 ところで、この義務教育費国庫負担を廃止し、フラット税率により税源移譲を行った場合、有利になるのは東京を初めとする七つの都市部の県だけであって、和歌山では三八%、百十七億円の減収になるという試算がございます。もちろん一つの試算でありまして、さまざまな補正は行われるでしょうが、和歌山にとって有利なことにはなり得ないのではないかと心配するものであります。
 朝からの知事の答弁で、知事は「教育内容は国で決めたらいいが、教員の給与の問題は地方で持ったらいい」と言われました。私の考えでは逆ではないかと思っています。教育内容の中央集権は避けながら、お金の問題は国が責任を持つ、教育には金は出すが口は出さないということが大事だろうと思っているわけであります。
 ところで、この義務教育費国庫負担が廃止された場合、国庫負担の廃止と税源移譲の差をどうするのか。有利になった東京などは財源を当然取り込むわけでしょう。不利になる県への埋め合わせを、国の財政も大変だと言う中で食い逃げされるということはないのか。これまでの教育条件を低下させることなく、教職員の定数改善、少人数学級の推進など一層進めることができる見通しをお持ちなのかどうか、知事にお伺いしたいと思います。
 第二の問題は、高校再編の問題であります。
 これも第一日目に質問があった話ですが、八月二十六日、県教育委員会は記者会見で県立高校の再編整備計画案の概要を発表しました。パブリックコメント、県民の意見を求め、九月二十八日の教育委員会で決定するというふうにお聞きしています。特にその中で、来年度から大成高校の募集を停止し、海南高校と統合するという問題は、余りにも唐突であり、地元では大きな困惑が生まれています。高校というのは地域の文化の中心であります。子供たちの進路保障の問題であるとともに、地域の活性化、町づくりの問題としても重要です。
 私は、この計画発表直後から、野上町、美里町の行政関係者、野上・美里中学校、大成高校、大成高校OBの役員などを訪問して御意見をお聞きしてまいりました。
 大成高校では、数年前には大きな募集定数割れがあり、二次募集で学区枠を外して他地域から生徒を受け入れたこともありました。しかし、ここ数年間、学区撤廃にもかかわらず、地元野上町、美里町、そして海南市の生徒が三百七十二人のうち三百人を占めている。一年生でいえば百十九人のうち百六人が海南、海草から来ているという地元に根差した高校です。学校の様子も大変落ちついてきていると皆さん評価されます。
 こうした努力をしている学校を突然募集停止にするとはどうなのか。昨日の質問でも触れられたように、募集停止案を発表する三日前には、九十人を超える中学三年生を迎えて体験入学を実施している。夏休みには、フェンシングをやっている在校生が地元野上中学校を訪問して、ぜひ大成高校に来てください、こう呼びかけています。
 こうしたさなかの突然の発表であります。真剣に進路を考えている中学生や進路指導をしている教員の皆さんを無視した発表に怒りの声が沸き上がっているわけでございます。昨日教育長がお答えになったような、「前後したことは残念で申しわけない」では済まされないという思いがいたします。
 野上中学校では、育友会としてアンケートを実施しました。七割以上の方が提出されたそうです。育友会執行部としてアンケートを集約し、大成高校の存続を強く希望しますとして、その理由を三点挙げています。要約して申し上げれば、一、進路指導が始まった時期の発表は生徒や保護者を不安にしている、二、地域や住民の理解や同意がない、三、募集停止後の対応策が示されていない、以上三点です。そして、パブリックコメントという手段で広く意見を聞くシステムはできているが、このような重大な方針を決める前に私たち学校関係者及び住民の意見を直接聞いていただく場が設定されていなかった、このことが到底納得できないというふうにしています。
 このパブリックコメントという言葉は大変目新しい言葉なんですが、インターネットのホームページなどで公開をして広く意見を聞くという一見大変新しいやり方、しかしそのやり方にこの指摘は、血が通っていないという指摘だと思います。今日の教育問題を考える上でも大事な指摘であると考えさせられたわけであります。
 もちろん、高校進学を控えた子供たちや保護者の思いはいろいろあります。例えば、海南高校に行きたいけれども少し難しいと思っていて海南市外の高校を考えていた、しかし海南高校の募集定員がふえるんであればうれしい、こういう声ももちろんあります。しかし、何よりも大事にしてもらいたいのは大成高校を希望していた地元の中学生であり、大成高校が募集停止になれば他郡市の高校まで通わなくてはならない、場合によっては高校進学そのものを経済的理由であきらめなくてはならない子供たちの問題です。
 大成高校の募集停止をして海南高校の募集人数をふやしたら大成高校を希望していた生徒たちが海南高校に入れるかといえば、そうは限らないわけであります。きのくに教育協議会の報告書でも「小規模であっても、生徒や地域のニーズに対応した学校づくりができると判断した場合は別途検討するものとする」と記されておりますし、分校は存続するわけでしょう。大成高校の場合はどうなのか。古座高校の場合はどうなのか。地元の皆さんと相談しても遅くはありません。
 子供たちの夢を、受験半年前というこの時期に断ち切るのが教育者のすることなのか。学校見学に行ってこの学校を目指そうと心に決めていた子供が、その三日後に募集停止になると聞かされてどんな思いをするのか考えられたでしょうか。教育長が何を考えてこういう発表をなさったのか、また今後どう考えておられるのか、お伺いいたします。
 さて、第三の問題は海南火力発電所の安全問題であります。
 関西電力美浜原発で、配管から蒸気が噴き出して五人もの方が亡くなるという事故が起こりました。事前にチェックすることが必要だったにもかかわらずチェック項目から漏れていたという報道を聞くにつけても、人災だという思いを深めずにはいられません。
 ところが、和歌山県の御坊火力発電所にかかわっても、検査データの不正、改ざんがあったこと、先ほども発言がありました。新聞などの報道によると、関西電力関西国際空港エネルギーセンターなどに対して近畿経済産業局が実施した安全管理審査とその後の立入検査で検査記録に不備が認められたということであります。その後の報告では、管理基準をクリアするよう数値を書きかえ改ざんした悪質なケース十件を含む三千四百八十三件の不正やミスが新たに発覚したということです。以前に発覚した分を含めて三千六百五十九件と言われています。
 和歌山県内、海南・御坊火力発電所でも、重大、悪質なデータ改ざんがありました。海南では、モーターの軸が水平に保たれているかどうかを調べるテストで計測値の結果が基準となる管理値を満たしていなかったため、管理値を勝手に変更して記入するという悪質なケースが五件あったと報道されています。私の地元である海南市では、海南市当局と市議会はこのことを重視し、市議会の全員協議会の場に海南火力の責任者を呼んで説明を求めました。
 海南火力では、過去に二回重大な事故を起こしています。その一つは一九七二年、三号機が水素爆発を起こし、二・六トンの部品が建物を突き破って隣の当時の海南鋼管工場まで吹っ飛ぶという事故でした。悪くすれば、このたびの美浜原発で起こった事故以上の惨事になりかねないものでした。そこでは、二度もの事故があったのにデータをなぜ改ざんしたのかと厳しく追及されたわけであります。
 そこで私は、県であればもっと詳しい情報を集めて問題の追求をしているに違いないと考えて、危機管理室に電話を入れたわけであります。七月の上旬でありました。ところが電話をしてみると、危機管理室では自分の担当だと思っていないようでありました。それで電話が地域振興課に回されまして、そこから資料をいただいたわけであります。こういう資料でありました。(資料を示す)
 「関西国際空港エネルギーセンター他の定期事業検査に関する調査結果について」という六月二十八日付文書であります。そこには「海南発電所三号機定期自主検査」という一行がありますが、何が問題なのかはさっぱりわかりません。私は、海南市の市会議員を通じて海南火力が作成した二十八ページの文書を手に入れていましたから、それと比べてみたわけです。そこでは、不十分ではありますけれども、海南火力でどういうデータの書きかえがやられていたかという例も含めて、ここには載せられているわけです。全く県の問題のとらえ方が弱いのではないか、こういう思いをしたわけでございます。
 その後、私は日本共産党吉井英勝衆議院議員と一緒に、関西電力海南火力に調査に入りました。美浜の原発事故は原子炉そのものの事故ではありません。蒸気配管事故ですから、火力発電所でも全く同じ危険があるわけです。そこで初めて覚えた言葉ですが、「覆水流量計オリフィス」という、蒸気や熱水の流れる速度をはかるために、ある部分で配管が細くなっている部分がある。そこで渦が巻くわけで、そこで配管の肉厚減少──配管の厚さが減少する、そういうことが起こったわけです。既に、福島県の相馬共同火力発電所でもこうした事故があったことが報道されています。
 さらに、美浜原発のタービンの入り口の蒸気圧、七十気圧であります。そして温度は二百八十度C。ところが海南火力の場合は、七十気圧ではなくて二百四十六気圧、温度は五百三十八度Cということが関西電力の説明でわかりました。つまり、火力発電所の方が蒸気圧は三・五倍も高い、温度も約二倍高い。同じ事故が起こったら海南火力の方が大きな事故になるわけです。それなのに、原発の場合には定期安全レビュー報告書というものを出すようになっていますが、火力発電所にはそういうものも出していないことがわかったわけでございます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 まず、美浜での原発事故が起こって以後、火力発電所の安全性についてどういう調査をしたのか。調査をしてどういう問題点をつかんでいるのか。さらに、その前からあった関西電力のデータ改ざんなどの問題について、どういう危機意識を持ち、どう対応し、今後どう対応していくつもりなのか。
 それから、危機管理監にお伺いしたいと思います。
 私は当然これは危機だと思ったんですが、なかなかそういう認識がなかったように思われました。大企業のデータ書きかえという問題は、危機管理室として無関心でいい問題なのかどうか。
 発電所の安全問題については以上であります。
 以下、簡単に地域の問題を二点お伺いしたいと思います。
 一つの問題は、災害問題と河川の治水対策です。
 ことしの夏には、新潟、福井、四国など各地で集中豪雨がありました。被災された皆さんにはお見舞い申し上げ、また和歌山からもボランティアで駆けつけていただいた皆さんには心からお礼申し上げたいと思います。
 ところで、こうした報道を聞くにつけても、集中豪雨が和歌山県で、海南市で起こったらどうなるのかという危惧をいたします。海南市を流れる川はそう多くはありませんが、貴志川は三年前の大雨で溝ノ口付近など、あふれました。亀の川は、阪井下河原付近では通常でも川の水面と周りの土地の高さが大変近く、少し流量がふえれば浸水をします。その近所の家を回ってみると、どこの家にも砂袋を常置して水を防ぐ構えをしている、そんな状態にあります。さらに、亀川地区に入ってみますと、県営住宅付近で昨年は堤防の崩落が起こりました。一昨年は堤防を越えての浸水でした。また、日方川は改修計画があり、大幅な立ち退きなど行われているのに、なかなか工事が進みません。
 そこで考えるのは、河川の改修のための予算は──災害復旧は別として、災害を事前に防ぐための予算は、その重要性に比していかにも少な過ぎるのではないかとも考えるわけでございます。申し上げた箇所の改修見通しとともに、河川改修の予算の現状をどう考えておられるのか、県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、道路について少し簡単なことを申し上げます。
 毎回のようにお伺いしていますが、道路というものは、予算がついても地元の関係でなかなか進まないものもあります。その中で、住民が困っている生活道路の中で思い切って予算をつければ、住民の協力も得られて一気に進むのにと思うものもあります。
 道路行政の担当者がシンボリック事業とおっしゃるのも、そういう事業を指しているのかと思うんですが。例えば海南金屋線、海南第二中学校、日方川に沿った部分があります。大変狭くて、いつも車の対向には苦労している。もしも海南市の亀川という地域で火事があった場合に海南消防署から消防自動車はどういう経路で走るんだろうかと、いつも心配するわけです。しかし、道路わきの家は以前からほとんど買収に応じられるようになっている。後ろに下がっている。今回の質問を準備する過程でも、ごく一部を除いて土地買収が終わっているとお聞きしました。
 大規模な道路をつくることには、これからも何年もかかるでしょうけども、とりあえず車が対向しやすいようにする。まだ舗装はきれいにできていなくてもいいから、電柱を後ろに下げて、とにかく車が対向できるようにするんだったら、すぐにでもできるのではないか。そうすれば、例えば亀川まで消防自動車が走る場合だって安心して走れるんではないか。こういう住民のニーズに応じたような、できることから交通を便利にしていく。そういうこともまた道路整備では考えてもいいんではないか、こんなことも考えるわけですが、県土整備部長の答弁をお願いいたします。
 以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○副議長(向井嘉久藏君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず最初に、九条の会の内容、私も読ませていただきました。この内容は、私は非常に立派なものだと思います。いろいろな戦争体験であるとか、いろんな体験を持ってこられたこの国の泰斗の方々が英知を集められてこういうふうな発表をなさったと。中身は非常に立派なものだと思います。
 ただ、この問題については、なかなかそれほど単純にいかないところに物すごく難しい問題があって、私自身も非常に悩んでいるし、今新しくテロというふうなものが出てきたこの事柄に対応していく方策というふうなものが、今だれも到達していないというところに非常に難しい問題があると思っております。そして、日本は今、現行憲法九条の範囲内でそれなりの国際的な役割を果たそうということで活動しているというふうなことですので、私はこのことについて、この場で意見を申し述べようというふうな感じは持っておりませんので御理解をいただきたいと思います。
 次に、教育予算の問題です。
 これは、私はちょっと聞いていて、あれっと思ったんですが、実は今の状況は、国の方では口を出すために金を出すというふうな形になっているんです。去年は学校の先生の退職金の二分の一を持っていたのをやめにしたんです。制度を守ろうというんだったら、もう先生をやめた人の退職金だったら別に出さなくてもいいし、今の先生の月給だったら出しますよと。どうしてもそれを守らないといかんというのは、僕は余り理屈には合わないと思うんです。
 実際問題として、この義務教育の仕事というのは、自治事務ということで市町村の仕事になっているわけです。そして、地方自治の原則からいえば、仕事をしているところが自分でお金を取ってやっていくというふうなことが大原則なんです。これはもう地方分権の大原則になっています。そして、そのお金はどうすればいいかというと、金のあるところもあるし貧乏なところもあるから、税金と、それからもう一つはそれを調整する地方交付税で見ていこうというふうな話になっていて、地方団体はすべて、これは急に言い出したことじゃなくて、昔からこの教員の経費については自前の税源でやるべしというふうなことを言ってきているわけです。
 ただ、今回こういうふうな三位一体の改革で具体論になってきたら、たちまちあしたからの月給が入ってこないんじゃないかとか、日本の義務教育がだめになるんじゃないかとかいうふうな、何か根源に返ったような話をされるんだけども、私が言ってるのは、本当の教育の根源的なことは、やはり国家百年の大計だから国が責任持っていろいろ考えればいいと。ただ、お金の話はちょっと別の話だし、そういうふうな基本的なことは国が決めながらも、地方がある程度自立的にやっていくためには、今までお金によっていろいろくちばしを入れていたというふうな仕組みというのはやっぱり改めていった方がいいんじゃないかと。
 ただ、そういう場合に、例えば和歌山県とか和歌山県下の市町村というふうなものが、そのことによってお金が入ってこなくなって大変なことになるというようなことにならないように交付税制度で完全に見るようにしてくださいというふうな主張を行っているわけです。この考え方については、僕はいろんな意見があると思いますけれども、少なくとも一般論としては僕はそういうふうなことだろうと思います。
 ただ、私は知事だから、そういうふうな中で和歌山県が困らないように、やっぱり右を見たり左を見たりしてうまく物事が運んでいくような努力はしていますけども、大原則のところで、金はもらっても口は出させないとか、そういうふうな何かちょっと原則に反するような考え方というのは私はどうかなというふうな感じを持っております。
 それから関西電力の問題については、これはもうとにかく原子力発電所の問題についても大変な問題ですし、そしてまた、これは原発の本体部分で起こったんではないというふうなことにおいて、この問題については和歌山県にある火力発電所も大きな関係があるというふうに思っております。初動の情報収集等について我々にまずいところがあったとしたら、これは改めるにもちろんしくはないということで、今後十分この原子力発電所の事故についても、いろいろな情報であるとかそういうふうなものをとっていきますし、そしてまた火力発電所の改ざんについては、これは当然のことながら今後もいろいろ指導をしたりしながら、また情報等を集めて適切に対処していかなければならない、このように考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 発電所事故やデータ改ざんへの対応等についてお答えいたします。
 関西電力海南・御坊火力発電所の検査データ改ざん問題は、住民の安全にかかわる重要な問題であると認識しております。県が関西電力と結んでいる環境保全協定に関するデータにも改ざん等がなかったか報告を求めましたが、適正に処理されていたことを確認いたしました。また、美浜原子力発電所の事故発生後、直ちに本県においても配管事故に備えるため、関西電力を初め関係事業所に対し、高圧ガス保安法等に基づく各種検査の徹底と一層の安全確保について行政指導を行ったところでございます。
 今後も、企業等に対して、県民の生命、財産にかかわる事故発生防止のため改ざんや隠ぺい等のないよう、また適正に検査が実施されるよう指導するとともに、危機管理の必要性についても啓発してまいりたいと考えております。あわせて、先般策定した和歌山県危機管理計画に基づき、県職員に対する危機意識の向上等も図ってまいります。
○副議長(向井嘉久藏君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、災害問題と河川の治水対策の関係でございますが、河川改修事業は、高速道路を初めとする主要プロジェクトの推進に、その整備が不可欠な河川や、近年甚大な浸水被害を受けた河川など緊急性の高いところから優先的、重点的に実施しているところでございます。
 貴志川溝ノ口付近の改修につきましては、近年は家屋の床上浸水に至るような大きな浸水被害は受けていないところではございますが、周辺地区の今後の開発状況等を勘案しながら改修計画を検討してまいります。
 次に亀の川につきましては、現在河口から紺屋橋までの四千八百メートル間において改修事業を実施しております。河川改修は、上下流の流下能力バランスを勘案しながら下流より順次進めていくのが原則であり、御質問の箇所の抜本的な改修につきましては時間を要しますが、周辺地区の開発状況等を勘案しながら、暫定的な対応も含め今後の対応について検討してまいります。
 また、日方川につきましては、昭和六十三年度に河川改修事業に着手し、新町橋から神田橋までの八百九十メートル間を重点整備区間に位置づけて整備を進めております。現在、井松原橋から神田橋までの用地取得を実施しているところでございますが、今年度からは井松原橋の改築に着手し、平成十八年度に完了する予定としております。
 河川の治水対策につきましては、県民の安全・安心な生活を支えるための根幹をなすものであると認識しているところであり、大変厳しい財政状況の中ではございますが、今後とも効率的、効果的な治水対策の推進に努めてまいります。
 次に県道海南金屋線につきましては、都市計画道路日方大野中藤白線街路事業により、延長一・二八キロメートルを幅員十八メートルで平成十一年度から実施しております。そのうち、海南第二中学校、日方川に沿った部分につきまして狭隘区間であり、優先的に用地買収を行っており、この間の用地進捗率は八六%となってございます。
 きめ細やかな取り組みといたしまして、既に買収済み用地を活用して待避所を二カ所設置しており、今年度中にすれ違いができるよう暫定的な拡幅を行ってまいります。地元の皆様の御協力をいただきながら事業を推進してまいりたいと考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) このたびの高等学校の再編整備計画案は、社会状況が大きく変化する中で一人一人の生徒の力をどう伸ばしていくかと、その教育の推進のための方策という観点から中長期的な展望に立って策定したものでございます。
 議員御指摘の海南高校、大成高校の統合の案については、この地方の生徒数の大幅な減少が見られる中、昨年開催したきのくに教育協議会の適正規模確保の観点で、喫緊の課題であるとの報告に基づき活力のある高等学校づくりを進めるため、地域や学校の状況及び中学生の入学希望の動向などあらゆる角度から検討を重ね策定したところでございます。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 答弁ありがとうございました。
 まず、再質問したい点から申し上げます。
 一つは、やはり教育の問題、高校再編の問題でございます。
 ただいま教育長の方からは、ああいう計画を発表した考え方といいますか、記者発表したときの考え方を述べられたんですが、その後、たくさんの意見が恐らく教育委員会にも寄せられていると思います。また、半年前の発表ということであって、これはいかにもむちゃだという、そういう声もたくさんございます。そういう声を聞いてどういうふうに今お考えなのか、教育者小関洋治としての生の声で聞きたい。
 同時に私は、一たんこの計画を発表したのでありますけれども、やはりパブリックコメントを聞くというスタンスからいっても、決してこれは固定的なものではなくて、皆さんの意見、この県議会での議論、さらにパブリックコメントを受けて発表したものを見直すということもあり得る、そういう柔軟性は当然お持ちだろうというふうに思っているわけですが、その点どうなのか、こういう点をお聞きしたいと思います。
 二つ目の問題、県土整備部長の方にお伺いしたいんですが、この河川の改修の問題、これは確かに河川は下の方から改修していくということで大変時間もかかる、これはよくわかるわけです。しかし、それにしても、これは県土整備部長の口から「予算が少ないんです」というふうには言いにくいんでしょうけれども、私がこの資料を取り寄せて調べたところでは、この河川改修の問題というのは災害問題でもあって大変切実な問題なんですが、しかしここ十年間ほどを見ると大変予算が減らされているという状況があります。まあ県の予算全体が大変ですから、土木の予算全体も減っているわけですが。
 例えば、昭和の最後の年が昭和六十三年でございますけれども、その六十三年の土木予算、これを平成十六年度と比べた場合、ほぼ土木の予算は同額なんですが──その間にも高くなった時期があるんですけども、しかし河川の予算、河川課の予算でいうと六四%に下がっている。それから土木の予算でいうと、この間一番多かった年と十六年度を比べると大体七〇%、これは厳しくなっているんですが、河川課の予算は四八%まで下がっています。
 もっと極端なデータを見ますと、堤防改修の事業の予算が、平成十年までの五年間を見ると大体十六億円から十八億円ぐらいあった。それが、平成十一年から以降はその四分の一の四億円前後で推移をしています。これでは河川の改修が進まないのは当然ではないかというふうに思うわけです。もちろん道路改修への要望も大変強いんですが、いろいろこれから検討の余地があるように思うわけです。
 例えば、今お答えになった現在工事が進められている道路、これ二車線の道路なんですが、幅十八メートルという、今お話にあった大変デラックスな道路です。三メートル、三メートル、二本の車線があって、二車線で、横には四・五メートルずつの歩道がついている。何で四・五メートルかというと並木道をつくるそうなんですが。私の町ですから大変うれしいですけれども。しかし今、道路予算というものは、二十年前につくった計画についていろいろと再検討してもいいものもたくさんあるんではないか。そういう全体の中で、この河川の改修についての予算はいかにも少ないというふうに思っているんですが、県土整備部長もどうしますというふうには答えられんと思うんですけども、少し感想程度のことを、私が申し上げたことについて言っていただけたらありがたいと思っています。
 あと、余り時間がございません。──関電の問題、この問題は確かに初動の時期には対応が遅かったか、情報収集が悪かったかもわからないけれども、これからきちっと指導していくというふうに知事は言われたし、それから危機管理監の方でもそういう姿勢を示されたから、それでいいんですが、私はいろいろ職員の皆さんと話をしているときに、例えば関西電力の問題というのは、これは指導するのは通産省の問題なんだという、何かこう、そういう遠慮がありはしないかという思いを持ちます。これは、先ほどの原議員の質問も聞きながら、私の思っていることとダブり合わせながら聞いていたんですが、やはり県というのは、監督権限が国にあろうが何にあろうが知事は県民の代表ですから、百万県民から信任を受けて知事になるわけですから、それを背景にして国に対してでも県に対してでも何でも県は言うてもらいたいという思いがあるわけです。
 私は、今度の質問で、実は前回の議会で質問した冷水のトラックの事故の問題の続きをやろうと思ったんです。冷水のトラックの事故で何を聞こうかと思ったかといいましたら、あのとき後で提起をした、例えばトラックの過積載が問題で運転手が捕まったのはやむを得ないけども、しかしJRの場合はその通信の問題はどうなったのか、国土交通省の場合は道路の安全はどうだったのか、そして過積載をしなくてもいいようなトラック業界への問題はどうなのかという問題を三つ提起をしまして、この問題を一遍今度の議会で聞いてみたいと思って実は質問の準備を始めたわけです。ところが、担当職員といろいろ話してみると困った顔をするんですね。「いや、そんな問題、全然県の方で指導する権限ありませんから、答えることがなかなか難しいですわ」と、まあ私なりに言いかえたらこういう感じですね。私はもうほかにも聞きたいことがいっぱいあったから「今度はええわ」と言うてもうパスにしたんですけどね。やっぱり県民の命と暮らしにかかわる問題は、何でも権限があろうかなかろうが県としては口を出すという、こういう姿勢が非常に要るんではないかというふうなことも思いました。ちょっとまあそんな感想も述べて、私の再質問を終わりにします。
○副議長(向井嘉久藏君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 繰り返しになるかもしれませんが、やはり厳しい財政状況のもとではございますけど、本当に必要なものを効率的、効果的にとにかく整備していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○副議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 再質問にお答えいたします。
 やはりこういう大きな問題でございますので、初めて導入したパブリックコメントというものを、今寄せられているその内容を十分に吟味する必要もございます。さらに、我々の説明が必ずしも行き届いたものになっていないという点もあろうかと思います。その辺の努力もしながら、多くの方々の御意見を伺い、慎重に判断をしてまいりたいと考えております。
○副議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(向井嘉久藏君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は九月二十一日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後三時三十六分散会

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