平成16年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(森 正樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 お許しを得ましたので、一般質問に入らせていただきたいと思います。
 初めに、関西国際空港に関する諸問題についてお尋ねをいたします。
 イギリス・ロンドンに本部を置きますスカイトラックス社という会社が最近公表いたしましたランキング、調査結果を御紹介したいと思います。同社は一九八九年創立とまだ二十年に満たない比較的若い会社でございますけれども、昨年二〇〇三年六月から本年三月まで十カ月間にわたって、世界八十六カ国、四百八十万人の人々を対象に投票方式で調査をいたしております。その結果「エアポート・オブ・ザ・イヤー二〇〇四」というランキングが公表されました。対象者数が極めて多いことから、この調査結果は極めて信頼性が高いと考えていいと思います。
 その調査項目は以下の六点であります。
 一つ、ターミナルビルの待合いすが十分あるか、快適ないすであるか、ターミナルビルの雰囲気や装飾物、清潔さ、それに喫煙室があるか。第二点、トイレやシャワールームの場所や利便性、それに清潔度や場所のわかりやすさ、身障者やベビー用施設の充実度。三点目、旅客セキュリティー手続に要する時間や待ち時間、セキュリティーサービスの効率性や丁寧さ。四点目、出入国時の手続時間や稼働カウンター数、スタッフの言語能力や態度、丁寧さ、親切さ。五点目、ビジネスセンターの場所や利便性、インターネット施設の場所や利便性、それに電話、ファクス、ATMなどの機器の位置や利便性。六点目、空港内店舗の種類や商品の品ぞろえと価格、スタッフのサービス度であります。
 この六項目は空港を利用する旅客の満足度を知るための部門をほぼ網羅していると私は思いますけれども、この調査によるランクづけで関西国際空港は、世界に数ある国際空港の中でトップテン、第九位にランクされているのであります。ちなみに、我が国のもう一つの国際空港であります成田の新東京国際空港は第二十九位でありました。
 気になるアジアの他のライバル空港でございますけれども、トップテン入りしておりますのは、香港のチェックラップコック国際空港が一位、シンガポールのチャンギ空港が二位、韓国・ソウルの仁川国際空港が四位、マレーシア・クアラルンプール国際空港が五位と、いずれも上位にランクされているわけであります。すなわち、関西国際空港はアジア地区で第五位ということになるんでありましょうか。
 関西国際空港の項目別の順位を見てみますと、出入国管理部門で堂々の第一位、トイレ・シャワールーム部門で第三位、ターミナルビルの快適性の部門で四位、旅客セキュリティー部門では七位と、いずれも高い評価を受けているのであります。残念ながらビジネス施設と空港内店舗の両部門でトップテンにはるか及ばず、今後の課題となっておりますけれども、この両部門を除けば世界のトップスリーにランクされたと言ってもいいんではないかと私は思います。
 さて、去る九月三日、関西国際空港開港十周年記念式典がホテル日航関西空港で行われました。私も、関空対策特別委員長のゆえをもちまして参加させていただきました。関西国際空港の計画が決定してから二十年、開港して十年、この間まさにさまざまなことがございました。その道程は決して平たんではありません、山あり谷ありと申し上げればいいのか、言いかえれば苦難の連続であったと言っても過言ではないと思います。
 しかし、ともかく無事に開港十周年を迎え、しかも世界の多くの国際空港に伍して快適性、利便性において極めて高い評価を受けるまでに成長したのであります。私は式典に参加し、会場の一隅でじいんと胸が熱くなるのを禁じ得ませんでした。
 ところで、スカイトラックス社の前年の同調査では関西国際空港は総合ランキング第十二位だったことを考えますと、村山敦関西国際空港株式会社社長を初め、すべての関係者の皆様の懸命の地道な努力の積み重ねのたまものと申し上げていいと思います。
 また、これに先立ちまして七月七日、リッツ・カールトンホテル大阪におきまして、関西国際空港全体構想推進協議会の年次総会が行われました。私は議長の名代として代表して参加をさせていただきました。
 この二つの会合、式典におきまして、いずれも村山社長があいさつに立たれたわけでございますが、そのあいさつの一言一言に、関西国際空港をアジアの国際拠点空港、ナンバーワンにするんだ、何としても二期事業を成功させるんだという熱い熱い思いがひしひしと伝わってまいりました。私は思わずあいさつの中で、二回「そのとおり」と大きな声で叫んでしまったほどでございます。
 開港十周年を一つの節目といたしまして、関西国際空港が新たな歴史の扉を開き、その一歩を踏み出そうとしておりますけれども、まだまだこれから越えていかなければならない課題が幾つも前途に横たわっております。まさにこれからが正念場であろうと思います。
 そこで、関西国際空港をめぐる幾つかの問題についてお尋ねをしたいと存じます。
 まず第一点、いわゆる二期事業慎重論についてであります。
 いわく、関西空港には需要の伸びが見られない、関空会社の経営改善の結果を見きわめる必要がある。これはまあ、二期事業はそれからでも遅くないという意味でありましょうか。滑走路をつくる優先順位は羽田が先だ、公共投資がむだにならぬよう関西三空港について地元で話し合うことが必要不可欠などなどであります。
 そこで、この木を見て森を見ないともいうべき見当外れの二期事業慎重論についてどう思われるか、木村知事の率直な御意見を承りたいと思います。
 二点目、大阪空港問題についてであります。
 七月十三日に、秋山喜久関西経済団体連合会会長を座長といたしまして、関西三空港懇談会という会合が開かれました。この席で大阪空港の騒音問題が議論され、ふえ続ける騒音等の環境対策の問題の改善のために、同空港の発着便数と使用機の規制を強化する方針が浮上いたしました。この懇談会の方針を受けて先月、国土交通省が大阪空港の発着便数の制限等を示したところでございます。
 これを受けて、大阪空港周辺の自治体で構成する十一市協──この会は正式名称は大阪国際空港騒音対策協議会というんですが、俗に十一の市が入っておりますので十一市協と言っております。このメンバーが口々に、なりふり構わぬ関空救済だとか、これ以上の騒音増大はあり得ない、利用者無視だなどといった反発の声を一斉に上げたことがマスコミで報じられておりました。なりふり構わぬとはよくも言えたものだなと、私はあいた口がふさがりませんでしたし、憤りさえ感じた次第であります。
 というのも、かつて私は記者時代に、衆議院で言う大阪三区を担当しておりまして、これは大阪空港から高槻、島本町までの、あの淀川右岸の地域であります。何度も十一市協や大阪空港周辺住民団体、また経済団体等による運輸省や周辺整備機構幹部に対する陳情・要望活動を取材いたしました。その席で、運輸省や周辺整備機構の幹部に対してこれらの人たちが口々に、こんな欠陥空港は一日も早く廃止せよ、大阪空港は出ていけ、私たちの生活を破壊する空港なんて要らないということを口をきわめて大合唱、大阪空港不要論を大合唱していたのをまるできのうのことのように思い出します。まさに運輸省や周辺整備機構幹部を糾弾するがごときその姿を見て、私は取材をしておりまして何もそこまで言わなくもいいじゃないかと正直思ったものであります。
 このように、大阪空港は欠陥空港でありますから、十一市協や住民の圧力によりまして、すなわち彼らの要求によって、夜間の離着陸が禁止され、一日の発着便数やまたジェット機の発着回数にも制限が加えられたわけで、現在に至っているわけでございます。
 また、国際航空需要が大きく伸びを示す中で、夜間の離着陸が禁止され発着便数にも制限のある大阪空港ではこれからの新しい時代の国際空港にはなり得ないということで、関西の空の表玄関として新たな二十四時間運用可能な新空港の建設の必要性に当時迫られていたわけでありまして、この結果、さまざまな紆余曲折を経て、大阪空港を廃止し、国策として泉州沖五キロメートルの海上に、騒音問題のない我が国初の二十四時間運用可能な国際拠点空港として関西国際空港が新たに建設されることになったのです。そうではありませんか、皆さん。
 ところが、あに図らんや、関西国際空港が苦難の末に開港しようとするやさきになって、十一市協や大阪空港周辺の諸団体が何を血迷ったか、大阪空港存続を口々に叫び出したのであります。笑止千万なのは、大阪空港の離発着する航空機による騒音で甚大な被害を受けたとして、大阪空港の廃止と被害補償を求めて裁判を提起し法廷闘争を繰り広げていた大阪空港騒音公害訴訟団までもが大阪空港存続を言い出したのには、全く理解に苦しむというか、前代未聞の珍事と言わざるを得ないのであります。
 この大阪空港の騒音問題のために投入された移転補償費や防音工事費などは、昭和四十二年から平成十五年までの三十七年間で、実に七千八百四十七億円もの巨費に達します。この巨費は、ちょうど今、後ほど述べますが、明年の完成を目指して建設が進められております中部国際空港の総事業費に匹敵するものでありまして、南紀白浜空港並みの第三種空港であれば十六個もつくれる巨費なのであります。しかも、これら投入された金はほとんど何の投資効果も生まない金と言っても過言ではないと私は思います。
 これら十一市協や大阪空港周辺の経済団体、住民団体、公害訴訟団などの地域エゴむき出しの行動、発言こそ、私はなりふり構わぬものとの指弾を受けても仕方がないと、ここで声を大にして申し上げたいと思います。
 この関西三空港懇談会の方針を踏まえまして国土交通省が示した大阪空港への発着便数の制限等について、私は本来、関西国際空港にあった便をもとに戻すだけでありますし、関西国際空港への追い風と純粋にとらえていいと思いますが、一部のマスコミ等では関空救済策だという批判をしておりますけれども、いかがでございましょうか、知事の御答弁をいただきたいと思います。
 ところで、不肖私が委員長を務めます本県議会関西国際空港対策特別委員会の県外視察で、去る一月三十日、建設中の中部国際空港を見てまいりました。もうほぼ完成しておりまして、現在ある名古屋空港を廃止してすべてをここに集中する。そして、愛知県を中心として地元財界、自治体が一丸となってこの中部国際空港の立ち上げに取り組んでおります。まさに関西の状況とはまるで違うわけでございまして、これはやがて将来、関西国際空港の大変強力なライバルになるんではないかと、私は危機感を感じました。
 この点から考えましても、関西国際空港の国際拠点空港としての整備を急がなければならないこと、すなわち二期事業の当初の予定どおりの供用開始に全力を挙げて取り組まなければならないということをあえてつけ加えておきたいと思います。
 そこで、関西国際空港の二期事業の必要性について、何点か例を挙げて申し上げたいと思います。
 IATA(国際航空運送協会)やICAO(国際民間航空機関)等が最近、相次いで将来の航空需要の予測を発表しております。例えばICAOは、一九九九年から二〇一〇年、この十二年間に世界全体での平均伸び率は年間四・五%ですが、アジア大洋州は七・〇%と予測をしております。また、IATAですけれども、これは一九九九年から二〇一四年、十六年間で世界全体が四・三に対してアジア・太平洋州が四・八%、それからWTO、世界観光機関でございますが、これが二〇〇二年から二〇二〇年、十九年間で年平均伸び率が世界全体が四・一に対して東アジア・太平洋は五・〇%。いずれも、アジアがこれから大変な航空需要の伸びが期待できるし、ふえるのではないかと見ているわけでございます。
 また、お隣の中国、今大変な観光ブームになっているそうでございますけれども、一九九六年に中国の出国者数が五百六万人であったのに対して、二〇〇三年最新のデータで二千二十二万人、実に七年間で四倍の伸びを示しているのであります。それから、これ以外にも香港市民の我が国に対してのビザがことしの四月から免除になりましたし、韓国からの修学旅行生のビザも同じくことしの三月から免除になっております。それから、中国からの修学旅行生のビザ発行手数料も無料化にこの四月からなりました。
 それから、昨年、我々が関空エアポートプロモーションで行きました中国の方でございますけれども、今まで上海、北京、広東省、この三つしかビザが発給されませんでしたけれども、新たに浙江省、江蘇省、遼寧省、天津市、そして我々の姉妹友好先でございます山東省、この五つの地域がビザ発給対象地域に拡大されることに決定をいたしました。浙江省、江蘇省というのは、「江浙実らば天下飢えず」と言われた中国でも一番古くから穀倉地帯で豊かな地域でございます。その地域とあわせて山東省も含まれることになりました。
 このようなさまざまな観点から、今後、我が国への観光客の増大が見込まれるのであります。成田空港が現在ほぼ満杯状態の中で、こうしたふえ続ける航空需要を受け入れることのできる唯一の国際拠点空港として、二本目の滑走路が必要不可欠のものとなることは明らかであります。これが第一の理由。
 第二に、既に関西空港の一時間当たりの発着回数が限界に近づいておりまして、例えば現在、大体一時間発着枠は三十回と定めておりますけれども、午前十時台がもう既に三十回、そして夕方の十七時から二十時の間ほぼ満杯に近い状態でございます。十七時台が二十八回、十八時台が二十三回、十九時台はもう三十回、二十時台が二十八回、こういう状態であるということ。これが第二点。
 それから、第三点として、我が国唯一の二十四時間空港でございますので、この機能をフルに発揮するためにも現滑走路のメンテナンスをする必要がある。これは週三回、それぞれ三時間かけてやるわけでございまして、今は深夜にやっているそうでございますが、このメンテナンスのための滑走路閉鎖の解消をする必要がある。それが三点目。
 第四に、四千メートル級の滑走路を複数持つというのは、これはもう今やグローバルスタンダード、世界基準であるということ。
 以上の理由によりまして、二本目の平行滑走路の二〇〇七年、平成十九年の供用開始は、ぜひとも実現しなければならないものと考えますが、木村知事の率直な御意見を聞かせていただきたいと思います。
 ところで、明るいニュースがあります。私は本年六月、東京浜松町にありますスカイマークエアラインズの本社を訪問させていただきました。西久保愼一社長に会ってまいりました。なぜなら、同社が本年五月に関西─羽田間に新規就航する意向を表明したからであります。西久保社長は、我が社は羽田空港に新規優遇枠ということで八便往復の新規就航枠を持ってるんですけれども、今それを全部JAL、ANAに貸していると。四便ずつ。それを二便ずつ返してもらって、ぜひとも四便、シャトル便を関空─羽田間で飛ばしたい、そういうことをおっしゃっておられました。私たちにとってこれは願ったりかなったりのことでございますし、ぜひとも早期に実現をしてほしいというふうに強く申し上げたところでございます。西久保社長は、私たちもそう考えておりますけれども、ぜひとも皆さんの御協力と御支援をお願いしたいと、強く語っておられました。
 そして、先週の金曜日、九月十日、同社は国土交通省に対し、羽田─関西路線一日四往復、新規就航を正式に申請したのであります。同社は明年三月十一日から運航開始を希望しておりますが、これによって、現在、関西─羽田間のシャトル便で最大五時間の空白時間がございますが、これが埋められることになり、喜ばしい次第であります。
 ところで、去る七月二十一日と、つい先日の九月九日の二度にわたって西久保社長が木村知事を表敬訪問されているそうでございますので、この同社への協力支援について、木村知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 この項の最後に、関西国際空港をめぐる今後の取り組みについて触れたいと思います。
 尾崎要二議員の後を受けまして、私、関西国際空港対策特別委員長を仰せつかっておりますが、以来、さまざまな活動に取り組んでまいりました。主なものを申し上げますと、まず昨年九月に関西国際空港の二期滑走路の建設現場を見てまいりました。それから、十一月十九日から二十二日にかけて、先ほどもちょっと申し上げました関西空港のエアポートプロモーション活動の一環として、山東省人民政府、それから中国政府、民航総局、また山東航空等を訪問させていただきました。また、本年一月に東京の全日空等々、航空会社を訪ねるとともに、中部国際空港を見てまいった次第でございます。さらに、七月十五日から十六日にかけて国土交通省、政府・与党二党の安倍、冬柴両幹事長、それから和歌山県選出の国会議員の皆さんに対して、この二期事業推進のための陳情をさせていただいたところでございます。
 今後も我が委員会としては、委員の皆さんにお諮りをする中で、可能な限り積極的に活動を行っていくつもりでございます。関西空港のために私たちは何ができるのか、いや何をすべきなのか、県当局におかれましても、ぜひとも活発な発言と精力的な活動をお願いしたいと思います。企画部長、よろしくお願いしときます。あの十一市協などに好き勝手なことを言わせておくのではなくて、これに負けないだけの発言と行動力を展開していただきますよう、この点は要望させていただきます。
 二番目の質問項目に入ります。観光振興についてであります。
 関西国際空港の中でも触れましたけれども、近年の経済発展によりまして豊かになったアジア諸国が今海外旅行ブームの中にあります。例えば、先ほども申し上げましたけれども、中国ではこの数年の間に四倍にふえた。恐らくこれは今後も物すごく爆発的に伸びていくと、そのように私は思います。加えて、ビザの免除がされるなど非常に海外へ出やすい環境づくりが進んでいるわけでございまして、観光ビッグバンと言われる観光客の増大が確実なものとなりつつあります。我が国政府もこのような観光ビッグバンの到来を見据えてビジット・ジャパン・キャンペーンを推進中でありまして、訪日外国人旅行者を二〇〇二年実績五百万人から一千万人に拡大、倍に拡大するということを目標にさまざまな取り組みを進めていると聞き及んでおります。
 さて、高野・熊野と参詣道が世界遺産に登録されて以来、新聞・テレビ等マスコミで連日のように取り上げております。すなわち今、全国民が高野・熊野に非常に大きく注目をし、関心を示しているのでありまして、この宣伝効果たるやはかり知れないものがあり、この流れはやがて海外へも波及していくものと思われます。
 以上の諸点を踏まえて、以下四点にわたり、お考えをお聞きしたいと思います。
 まず第一に、PR宣伝についてでありますが、マスコミ任せにするのではなくて、本県が主体的に和歌山県の魅力を内外にどう発信していくか、そのお考えをぜひとも商工労働部長にお聞きをしたいと思います。
 第二に、観光立県を標榜する本県としては、県外、国外からの内外の観光客の皆さんにいかに和歌山への好印象を抱いていただくかということが大事だと思いますが、これらの旅行者の皆さんにリピーターになっていただくために、観光にかかわる業界の人たちだけではなくて、百七万県民全員が受け入れ側としてホスピタリティーの向上に取り組むことが肝心であろうと思います。このことについて、観光局として、商工労働部として、どのような戦略のもとにどう取り組むおつもりでありましょうか、商工労働部長のお考えをお尋ねいたします。
 第三に、近年急速にふえ続ける海外からの観光客のための受け皿づくりとして、関係者のための語学研修や各国語による観光案内パンフレット、観光案内看板の作成、設置等にどう取り組むおつもりでしょうか。これはいろんな部局にわたりますが、商工労働部長、まとめて御答弁お願いを申し上げます。
 第四に、観光地や道の駅、鉄道駅等の公衆トイレのグレードアップについてであります。
 私たちもいろいろなところへ、県外、国外へ行ったときに思うんですが、トイレのきれいさというのは非常に大事なんですね。小さな問題ですけれども大事だと、その土地の印象をよくする、悪くする大事な点だと思うんです。例えば、水が出なかったりとか、便器が汚れている、壊れている、あるいは悪臭がする、そういうトイレではもう二度と使いたくないし、非常にその土地の印象も悪くなる。そういう意味で、本県への好印象をいただくために大事なことでございますので、これら公衆トイレの維持管理、グレードアップにどう取り組んでいくおつもりでございましょうか。これもいろんな部局にわたりますが、商工労働部長、まとめて御答弁よろしくお願いします。
 最後に、県立情報交流センターBig・Uについてお尋ねをいたします。
 設計会社の見通しの甘さ、ルーズさが原因となりまして完成がおくれたことは、まことに遺憾にたえないところでございます。ただ、ともあれ完成を目前に、すばらしい施設が完成に近づきつつあることを素直に喜びたいと思います。教育研修センターだけではなくて県民みんなが利用できる施設にすべきだと私かつて提言したことがございますが、今ようやく完成を前に「全国マルチメディア祭二〇〇四inわかやま」の開催にこぎつけましたことに、ほっとしている一人でございます。
 完成を間近にしたこのBig・Uを去る七日、建設委員会の県内視察で前芝委員長のもと行ってまいりました。一緒に行かれた同僚・先輩議員の皆さんも、立派なものができたなという感想を述べておられたのを私も耳にしております。私もそう思いました。仏つくって魂を入れるために、今後いかにこの施設をフルに活用していくか、Big・Uの活用、運用について、企画部長から答弁よろしくお願いを申し上げます。
 第二に、これもかねがね提案申し上げてきたことでございますが、このBig・Uを核として白浜町、田辺市地域、南紀の空き保養所施設も活用して、IHS構想に基づいてIT先進企業等の誘致にさらに力を入れていただきたい。現在までの進出企業とそれに伴う雇用創出の成果もあわせて、今後の取り組みも含めて商工労働部長の答弁を求めるものでございます。
 以上で質問を終わりますが、何せ私、最後の質問者でございまして、もう皆さん少々お疲れの方もいらっしゃいますでしょうし、どうぞ答弁は簡潔明瞭に、冗長にならないようにお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) では、長い答弁を予定しておりましたが、手短にいかせていただきます。
 まず、二期事業慎重論に対する私の立場ですけども、泥棒を捕まえてから縄をなっているようなことでは全然話になりません。今さっき森議員がおっしゃったように、中国は今非常に発展していて、いずれどんどん日本との間に飛行機で行ったり来たりする人が出てくるようになると思います。そのときに、今から埋め立てましょうということでは全然話にならない。今ごろ大きな国際空港で、一本だけの滑走路でやっているようなところは、世界を見渡してもありません。二本なんていうのは、私は最低の線だというふうに思っておりますので、県としてもそういうふうな立場を堅持していろいろ発言をしていきたいというふうに思っております。
 それから、今度、伊丹の制限ということですけども、これは当然のことでして、その時々の声の大きい人の話によって方針をいろいろ変えてきたことが今日の混迷につながっていると思います。ようやくこういうふうな、ある程度原点に返るというふうな方向が出た。これを奇貨として、関空がますます国内便についてもいろんなところと、返ってくる分だけじゃなくて、さらにそれでにぎわいを取り戻してほかもここへ来るというふうな形にやっぱりしていかないといかんと。これについてもいろいろ発言をしていきたいと思います。
 それから、スカイマークエアラインズについては、この間、西久保社長が来られました。非常に積極的な方ですし、これでシャトル便がふえるということで一気に利便性が高まると思います。そのことがまた、例えば今、堺の人は大抵伊丹へ飛行機に乗りに行っているというふうなことですけども、この辺がやっぱり返ってくることがなかったら、なかなか関空のにぎわいというふうなことは難しいと思いますので、そういうふうなこと、和歌山県も積極的に利用していくというふうなことで努力をしていきたいと考えております。
 簡単ですけども、以上です。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 二項目めの観光振興で、観光立県の実を上げよの四点についてお答え申し上げます。
 まず、PRの強化にいかに取り組むかでありますが、今回の世界遺産登録を契機としたマスメディアの取り上げ状況は予想を超えるものであり、現在も国内外からの取材が相次いでおります。また十月からは和歌山県大型観光キャンペーンを展開してまいりますが、今後とも情報発信力のあるキャンペーンの実施、さらには全国約五百のテレビ、新聞、雑誌等に定期的かつ迅速に幅広い観光情報の提供を行うなど、一層の取材誘致を進め、世界遺産登録の効果を県内各地に波及させてまいりたいと考えてございます。
 次に、ホスピタリティーの向上についてでありますが、ホスピタリティーの向上は観光客をお迎えする上で極めて大事なことであり、特に世界遺産登録という国内外から本県が注目されているこの時期を、ホスピタリティー向上の大きな機会ととらまえております。大型観光キャンペーンに先立ち、バリアフリーやおもてなしの心などについて、宿泊施設、交通機関等に対する研修を昨年度より県内各地で延べ十八回実施しております。また、観光事業者だけではなく、県民意識の高揚を図るため広報誌を活用するなど、ホスピタリティーの向上を図ってまいります。
 次に、海外からの観光客の受け入れのための語学研修、各国語のパンフレット、看板の設置についてでありますが、海外からの観光客の受け入れ対策は、誘致活動を実施していく上で重要なものであると考えております。国の地域限定の通訳案内業制度の創設の動きも見据え、ボランティア等に対する通訳ガイド研修を延べ四回、約七十名の参加を得て実施いたしました。また、多言語のパンフレット、接客会話集等を作成するとともに、外国語による看板等の整備を進めているところであります。今後とも観光関連事業者等との連携を図りながら、受け入れ体制の整備に努めてまいります。
 次に、国外、県外からの観光客のために道の駅、鉄道の駅、観光地等のトイレのグレードアップについてでありますが、公衆トイレにつきましては、観光地のイメージに大きな影響を与える要因と考えております。このため、要望のあった市町村に対して新設や改修に補助を行うとともに、あわせてバリアフリー化等も考慮して対応しているところであります。今後とも企画部、環境生活部、県土整備部と連携を図りながら、快適な空間づくりを目指してまいります。
 次に、三項目めのBig・Uを核としてさらなるIT先進企業の誘致をでありますが、IT先進企業の誘致につきましては、IHS構想を推進するための優遇制度の創設、遊休保養所を活用した白浜町ITビジネスオフィスの整備支援、アンテナを高くした誘致活動等により、鋭意推進しているところでございます。
 既に白浜町内の遊休保養所に二社、本年一月に開設された白浜町ITビジネスオフィスにも二社が入居するなど、首都圏から白浜町に四社、また田辺市へは二社の合計六社が進出決定し、七十名近い地元雇用を創出しております。さらに現在、数社と交渉中であります。
 今後はIT人材育成、産業支援の拠点機能を担う県立情報交流センターBig・Uを十分に活用し地元市町、NPO等関係機関との緊密な連携のもと、本構想のより一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) Big・Uの活用、運用についてお答えいたします。
 県立情報交流センターBig・Uは、本県が田辺・白浜地域で展開しておりますIHS構想や、総務省の指定によるITビジネスモデル地区構想等の中核拠点として整備を行っているところでございます。
 本施設は、SOHO事業者、NPO法人情報セキュリティ研究所、和歌山大学、県総合教育センター、県立図書館紀南分館、県情報政策課など、教育とITにかかわるさまざまな機関が集積するという特徴を有しており、この特徴を生かして、地域の将来を担う優秀なIT人材の体系的育成に特に重点を置いて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 そのための第一歩として、県民のIT利活用能力の向上とともに各産業分野におけるIT利活用の一層の普及と促進を目指し、和歌山型ITスキル標準としてITの実務能力に関する標準的な研修体系づくりを進めているところでございます。
 また、Big・U内の交流スペースや各種のコンピューター機器等につきましては、単にSOHOブース等の入居者のみならず、広く地域の民間企業、団体等に利用を開放してまいりたいと考えております。こうした施設の共同利用等を通じて企業間の連携協力が促進されることにより、新たなビジネスモデルやビジネスチャンスの創造、創出に結びついていくものと考えてございます。
 さらに、施設の管理運営については、指定管理者制度を採用して民間ノウハウの積極的な導入を図るなど、Big・Uの活用・運用に当たりましては、今後ともさまざまなニーズに柔軟かつ迅速に対応しながら、IT産業の集積と振興に積極的に取り組んでまいります。
 なお、十一月に開催いたします全国マルチメディア祭では、Big・Uにおいてオープニングセレモニー及び地域情報化サミット、政府機関等による各種展示等を予定しており、Big・Uのこけら落としにふさわしい華やかなイベントとしてまいりたいと考えてございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番森 正樹君。
○森 正樹君 簡単にします。
 シャトルに乗るならスカイマークエアラインズというわけにはいかんでしょうけれども、勇気を持って新たに参入をしてくれるわけでございますし、県庁はもとより県下市町村でありますとか県内有力企業に対して、ぜひともこのシャトル便に乗るようにと、乗ってくださいというPRもぜひやっていただきたい。私、別にスカイマークエアラインズの西久保社長から何ももらっていませんし、別に回し者でも何でもございませんが、我々の長年のこのシャトル便、五時間もの空白、一時は七時間もあったわけですけれども、それが埋まるわけですから、こんなありがたいことはないんで、これを協力するのは当たり前だと私は思うんで、ぜひともそういう形でお願いをしたい。
 それから、先ほどの質問の中でちょっと申し上げましたが、ある財務省の幹部が、航空需要からいって優先順位は羽田が上だと。こんなばかな話は僕、ないと思うんです。あれは国内空港で基幹空港であって、関西空港は成田と並んで国際空港なんです。その国際空港と国内の基幹空港を同列に並べて、需要でいったら向こうの方が上だ。それは東京という大きなヒンターランドを持っていますから、首都ですから、それは需要は大きいでしょう。だけど、そんな問題じゃないんで。知事もおっしゃったとおり、これは国策としてやることであって、需要からいって羽田が上だなんて、そんなばかなことを言っている財務省、これは本当に問題だと思うんですけれども、それに対してもそうではないんだと、関空の二期事業早期の完成、実現がこういう理由で必要なんだということを我々も声を大にして叫んでいきたいし、ぜひとも当局もそういう方向で努力をお願いしたいと思います。
 以上、いずれも要望であります。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十六分散会

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