平成16年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(木下善之議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに知事専決処分報告報第十三号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十七番木下善之君。
  〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず、平成十六年九月定例会の最初に機会を与えていただきました先輩、同僚の議員の皆さんに感謝を申し上げます。一般質問は今回で十五回目になるわけでございますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 最近、相次いで日本に上陸した、台風六号を初め十六号、十八号の県内の被害額は、桃を初め、取り入れを間近に控えたカキ、ミカン並びにハウス施設や公共施設で九月十五日現在七十七億円強と聞いております。被害に遭われた方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げます。
 では、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 木村知事の再選、二期県政についてお尋ねいたします。
 去る八月八日に行われました知事選におきまして、木村知事は改革と発展を目指して力強く立候補され、我々自由民主党も党を挙げて御支援を差し上げたところですが、多くの県民の御支持を得て見事再選されました木村知事、まことにおめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
 今でも、選挙期間中、木村知事の真っ黒に日焼けされたお顔を思い出し、猛暑の中で選挙戦では告示以来ほぼ県内を二巡し、延べ三万人以上の県民と握手され、また多くの県民の皆さんと直接お話をされたと聞いております。県内の町々、つじつじで、倒れそうになるほど暑い中、仕事の手をとめて、また七月三十一日の台風の影響で激しい雨が降る中、橋本市においても十二カ所、約五百人が知事さんの到着をじっと待って一人一人が拍手いたしました。声援を送られた市・県民のその県政に対する熱い思いを受けとめ、今後の四年間の県政を誤りなく進めていただきたいと思います。
 知事は、選挙戦を通じて県民の県政に対するニーズや県政への意見を酌み取り、それらを二期県政に直ちに反映されることと思います。私も県民の思いをかなえる県政を標榜されている木村知事に賛同し、地域の住民の意見を県の施策や事業に反映されることを大いに期待するところであります。また、そのための協力を惜しむものではございません。
 二期目の木村知事は、これまでの幾つかの実績を踏まえながら、いわばリセットするような気持ちでこれらを見直すとともに、また普通の人の目線でもっておかしいと思われることは改めるなど、さらなる改革と発展の県政を進められるものと思います。知事は、県民の声を聞きながら、シャープで明晰な頭脳をもって、それを県政に反映し、県民の福祉の向上と県勢の浮揚に全力をもって邁進していただきたいと思っております。
 さて、今回の知事選挙は、和歌山県政史上に残る歴史的な出来事がございました。それは、さきの衆議院選挙で話題になりましたいわゆるマニフェスト選挙が木村知事の取り組みによって県政史上初めて行われたことであります。
 木村知事は、数値目標、期限などを示した詳細なマニフェストとも言える公約「私の政策宣言」を掲げて選挙戦に臨まれました。この政策宣言は、五十八項目に及ぶ数値目標を付した百二十にも及ぶ二期県政の重要な政策案を載せております。これは、木村知事が改革派知事としての真骨頂を発揮されたものと考えております。
 数値目標が施策案の全体の半数にも上がるものは、岩手県の増田知事や鳥取県の片山知事を初め、他の改革派知事もつくっておらず、木村知事のマニフェストのみと聞いております。私は、財政事情や厳しい時代の流れを踏まえ、多くの数値目標を掲げることはなかなか難しいことであると考えます。そうした問題に知事はあえて挑戦されたものであり、少しでもこれからの県政の姿を明らかにしたいという意気込みを示されたものとして、評価されるものであると思います。
 今議会冒頭、知事の就任あいさつ、施政方針において、この政策宣言を今後の県政の基本方針とされることを表明されました。我々県民は、その実現に大いに期待するものであり、その具体化を支持するものであります。
 そこで、県財政が厳しい状況の中、これから四年間、知事はマニフェストである政策宣言をどのように具体化し、政策を実施されるのか、知事にお尋ねをいたします。
 次に地方分権の推進について、いわゆる三位一体改革についてであります。
 本年六月、国は「骨太の方針二〇〇四」において、平成十七年度及び十八年度におおむね三兆円の税源移譲と、それに見合う国庫補助負担金の廃止などを打ち出したところであります。骨太の方針では、この三兆円の補助金廃止リストを含めた改革案を地方六団体に取りまとめることを要請し、その改革案を踏まえ検討するとなっています。ボールは地方へ投げられたのであります。今度は地方がしっかりと投げ返す番であります。
 知事会を中心とする地方六団体は、協議の結果、去る八月二十四日、三・二兆円に及ぶ補助金廃止リストを含む国庫補助負担金等に関する改革案として取りまとめ、同日、小泉首相を初め政府に提出したところであり、私は補助金廃止リストを初めとするこの改革案をオール地方として一致して国に提案したことは、地方分権の推進上、画期的な出来事であったと考えます。
 取りまとめの中心であった知事会におきましては、義務教育国庫負担金や公共事業関係補助金の取り扱いをめぐって知事たちの意見が分かれ、分断の危機を迎えるほど白熱した議論が行われたと聞いております。少数反対意見の取り扱いまで真剣に議論し、ぎりぎりの調整を重ね、最終的には、地方分権の推進のため、四十七都道府県知事は小異を捨て大同につかれました。木村知事には改革派のリーダーの一人として、今回の提案をまとめることに大変な御努力をされたことと思います。まずもって、木村知事を初めとする知事会に敬意を表したく存じます。
 今回の地方からの提案には、幾つかの懸念や課題があります。
 まず一つは、国がこの地方からの改革案を受け入れるかどうかということであります。
 具体的には、三・二兆円の補助金廃止リストの実施と、いわば同時履行に、それに見合う税源移譲に応じるかどうかということであります。昨年の国の予算編成では、各省のいわば省益が優先されるような、つまみ食いのような一兆円の補助金廃止、それに見合う税源移譲の不履行、そして交付税の一方的な削減など、地方にとってゆゆしき事態に陥ってしまいました。今回は、国と地方の協議機関の設置を前提条件に改革案の実施を迫りました。国は協議機関の設置を認めましたが、今後は全国知事会初め地方六団体は、ぜひこの機関を活用して国の一方的な改革を阻止し、地方の立場に立った三位一体改革の実現について、木村知事にもぜひ頑張ってほしいと思っております。
 もう一つの問題は、本県のような厳しい財政状況にある自治体にとって、三兆円の補助金の廃止、それに見合う税源移譲が行われればどのような影響が及ぶのかということであります。言いかえれば、地方分権を進め住民の生活が豊かになるはずが、かえって地方の提供するサービス水準の低下を招くことがないかという問題であります。
 しかし、この点につきましても、地方の自由度が拡大することによって住民のニーズにこたえた創意工夫でかえってコスト低減が図られ、少ない予算で最大の効果を生み出すことにつながるものと信じております。いずれにしましても、地方分権を進めることで自己決定、自己責任の地域経営をいかに行うか、地方の真価が問われていることに違いはございません。
 そこで、今回の地方六団体がまとめた国庫補助金の廃止などの改革案を実施すると県財政にどのような影響を及ぼすのか、また、三位一体改革を踏まえ、これからの県財政をどのように運営していくのか、知事からお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、世界遺産登録後の対応についてであります。
 世界遺産の採択に向け、今日まで長きにわたり当局の努力と県下関係地域の熱い支援、また多くの県民の御協力によって、ついに世界に認めていただいた「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産となったことは本県の誇りであります。このことは、千三百年維持された先人に感謝しなければと思います。また、本県が中心となり、奈良、三重両県への呼びかけ、調整に至る苦労の道のりについて知事より承っております。日本では自然遺産を含め十二件目の世界遺産登録となり、平成十六年七月七日に登録されました。心よりおめでとうを申し上げたいのであります。
 紀伊山地には、それぞれの起源や内容を異にする熊野三山、吉野大峰、空海が開いた高野山の三つの山岳霊場と、そこに至る参詣道がおのずから生まれたものと存じます。熊野地方は平安時代から貴族や庶民が大勢参られ、アリの熊野もうでと言われ、これらの道が登録されるのはスペインのサンティアゴへの道に次いで世界で二番目とされ、自然景観も大変重視されていると存じます。
 私は、熊野古道歩きは先としまして、五月に高野町石道を七時間かけて登りました。弘法大師空海が八〇〇年初頭に登った道として、当時一町、百九メートルごとに百八十本の木製の塔婆を建て、道標とされたものを鎌倉時代に一基二百貫の石標百八十基にかえたとあります。
 歩いてみて感じた点は、全体として思ったより非常にいいなと受けとめてございますけれども、沿道では石灯の折れたもの、コケが生えて記載事項不明のもの、石標が奥まって見つけにくいもの、説明板の必要性のあるもの、これについては外国人の方の登山には外国語の標識も必要と考えます。また、急傾斜道では間伐材丸太の敷設なんかも必要な箇所──これは大門の下の方に相当感じたのであります。三時間歩かないとトイレのない区間、万一の事故対策に向けた保全の必要な箇所、携帯電話の通じない区間、沿道の育成林の放任のところがありました。これは紀の国として、今後、緑の雇用事業で取り組んでいただきたいということも強く感じたところであります。
 世界遺産を維持管理していく上で、将来、町石道沿道の樹木を年次的に買い取り計画を樹立し、千年の重さをつくり、先人の苦労を私どもも受け継ぎ、後世へつないでいくべきと考えます。今議会においても関係条例の制定、仮称世界遺産センター構想の策定を初め、十数カ所の関連地域の景観形成等、整備予算が提案されておりますが、さらに検討されることを希望しておきます。
 世界遺産センター所長の話として、建造物のすばらしい遺産と巡礼の道も珍しく、こうした遺産は幾つかにも分かれており、周辺緩衝地帯含め一万一千八百六十ヘクタールの規模で日本では最大となっているため、保護管理が大変難しいと言われております。
 そこで、お尋ねすることは、今後の保護管理についてどう取り組まれるのか。また、景観の整備や道路、駐車場等の世界遺産の活用に向けての整備について、さらに、維持していくための特別措置法の取り組みに向けた考え方について、関係部長にお尋ねをいたします。
 次に、市町村合併の県の取り組みについてであります。
 過去の合併を見ますと、明治の大合併は明治二十年中心に、その後七十七年を経過して昭和の大合併となり昭和三十年中心に行われ、半世紀ぶりの平成の合併でありますが、残すところ五カ月余りとなってまいりました。県下の各市町村の大半は大変苦慮されており、諸事情によって合併協議会から離脱するところ、合併絡みで首長が辞任するなど、また合併に伴う住民の投票条例に向けた運動の展開もあります。さらに、市町村議会においても定数削減の中、八対七など一票差による賛否が自治体の将来に大きな禍根を残すなど、余りにも課題が多過ぎるのではなかろうかと考えます。
 合併の根幹をなす市町村財政においても、平成十八年度で十六年以上の歳出削減努力を行っても約三十三市町村が財政再建団体に転落すると言われ、これら現状認識が十分されておられるのか。また、合併の大局を見据えた議論が重要でなかろうかと考えます。
 平成十七年四月一日以降の合併新法は五カ年延長の時限立法であるが、十七年三月三十一日までの申請分を除き、特別措置の大半は認められないようであります。合併の新法の特徴として、知事の権限を強化するとあって知事が勧告することができるとありますが、知事は県下の状況を判断され、どう対処されるのか、お伺いいたします。
 また、総務部長には、想定する南海地震以上の大うねりが合併問題と受けとめていただき、未来にバラ色のふるさとづくりの展望を開く前向きの合併に向けた取り組みが必要で、今後残すところわずかな中、当局としてどう取り組まれようとされているのか、また合併に伴う警察署の地域所管再編の考え方についても警察本部長に伺います。
 次に、県立高校の再編整備計画についてお尋ねいたします。
 昭和の終わりころから小学校の生徒児童数が一段と減少傾向が見られ、小中学校の統廃合が余儀なくされ、平成に入り一層助長するに至っております。再編整備の当局の示されているのは、平成十七年から十九年の三カ年を一期とし、再編整備に入られるが、順次、第二期、三期と対処してまいりたいとするようであります。
 本県の平成十六年度の高校進学率は九七・七%と全国第七位と高く、このことは、関係者の努力と本人は言うに及ばず保護者の理解、そして受け入れの教育環境もすぐれていたことも見逃すわけにはまいりません。
 しかしながら、少子化の進行はとまることなく急激な減少を余儀なくされ、県下の高校入学も平成元年一万八千十四人をピークに、平成十六年は一万一千七百五人とピーク時の六五%となっていることも事実でありますが、学校は蛍の光とともに地域文化のよりどころとした中心的な役割を果たしている施設を来年から廃校にするとした話は、私ども議員も最近知らされ、対象地域の生徒、保護者及び関係者に大きな衝撃を与えているところであります。
 二〇〇七年に古座、串本と統合、二〇〇六年に南紀高校周参見分校が南紀高校と統合、そして来年には大成と海南との統合は余りにも性急な話で、県教委は失速で、機関車のかまだけ走っているのではなかろうかと考えます。来年の大成、海南との統合は、地元との話し合いは十分されていたのかどうか。
 聞くところによると、大成高校ではつい最近、八月二十三日、同校に対して入学を希望している百人近くの中学生に学校説明会と体験入学を実施したと聞いております。そのわずか三日後に再編整備計画案が発表され、募集停止を行う可能性が示されました。学校のOB、保護者会を初め、野上町行政当局、町議会においても、余りにも突然の発表であり、まして数カ月でその結論を急ごうとする県教委の姿勢に強い不満の声が上がっていると聞いております。特に在校生や来春進学を目指す中学生などの気持ちを考えますと、今県教委が進めようとする手法について大変危惧を感じているのは、私一人でないと思います。具体的な説明を求めるものであります。
 一方、ゆとりある教育の面から、生徒一人一人の個性を最大限に生かして、他府県の例を引くことなく、充実した和歌山方式の再考ができないものか。また、本県は、立地条件から見て遠距離通学上、保護者の負担増、また通学時間の増大と、多くの弊害も発生するのではなかろうかと考えます。
 そこでお尋ねすることは、一つ、再編整備の基本的な考え方について、二つ、地元への対応について、三つ、現状を踏まえ、特色ある和歌山方式の可能性について、以上、教育長にお尋ねするものであります。
 次に、企業局の廃止についてお尋ねいたします。
 さきの平成十六年六月定例会において、企業局の廃止が検討されているとの説明がありました。企業局廃止と聞き、昭和三十三年の発足以来、四十年の長きにわたり時代の要請にこたえながら県政の主要なプロジェクトに対して重要な役割を果たしてきたことを思うと、一抹の寂しさを感じるものであります。
 バブル崩壊後、時代は大きく変革のときを迎えています。環境意識の高まりや、住民ニーズの多様化が見られるようになっています。そのような中、企業局が果たしてきた役割を見直すことにより、よりスリムで効率的な行政システムづくりを目指すことは、県の行政として当然必要なものと考えております。
 さて、先日、新聞紙上で発電所の売却を関西電力株式会社に申し入れたという記事が掲載されていました。発電所の売却についても、民間でできるものは民間でという行政改革の観点からも一定の評価をしてよいと考えます。しかし、企業局見直しの一環として県が進めている発電所の関西電力株式会社に対する売却計画について不安を持っている住民もいるのも事実であります。
 そこで、お尋ねすることは、発電所の民間譲渡を検討している理由は何か、発電所の売却の見通しはどうか、発電所が県から民間に移ることでダム管理上何か変わることがあるのか、以上、三点を企業局長にお尋ねをいたします。
 次に、紀伊丹生川ダムの中止に伴う地元対策について伺います。
 少し経過の概要について申し上げますと、紀伊丹生川ダム建設の話は、私が市議会に初めて参画させていただいた昭和五十年でありました。地元関係市・町の要望でなく、国は治水と利水の両面からぜひとも建設をとし、昭和五十四年より可能性の調査、続いて平成元年より実施調査。この間、県議会水資源対策特別委員会が昭和五十六年発足、昭和六十年、紀の川流域三市十二町による紀の川水対策協議会を設立し、大阪分水の検討とともに、県議会においても再三現地へ出向かれた経緯もあって、平成元年、国土交通省のダム事務所を橋本市へ設置。関係流域は橋本市、九度山町、高野町の一市二町で、平成十年堰堤高百四十五メートル、総貯水容量六十四万立方メートルの規模とし、以降十二回に及ぶダム審議会の開催によりダム建設は妥当との結論に達し、ダム審議会として関係住民の生活再建、地域整備、環境保全、地域交流支援等、万全を期してまいりたいとしたやさきの平成十四年五月十六日、近畿整備局より突然中止の発表がありました。
 一方、地元は失われた二十八年と言われ、道路を初め地域環境整備、水没地の育成林の放任問題等、地元の心労の償いをと厳しく問われたことは忘れてはなりません。また、ことしは喜びの世界遺産登録がされましたが、アクセス道路として国道三百七十一号の道路幅員が三メートル余りと狭く、国道の機能が果たされず、地元生活者にまで大きな影響をもたらしたことであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 今後の地域整備の可能性について企画部長に、また、国道三百七十一号の整備促進について県土整備部長にお尋ねをいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 去る選挙の期間中には大変御支援いただきましたこと、まず御礼を申し上げます。
 そして、改めて二期県政に当たっての心意気という御質問でございます。
 御質問の中にもありましたように、今ちょっと下火になりましたけども、私も数値目標をたくさん入れたマニフェストというふうなものをつくって、余り県民の方の関心を引くところまでは残念ながらいきませんでしたけども、私の気持ちとしてそういうものを出して今後の県政の指針としたわけでございます。できるだけ──世の中がどんどん変わっておりますので、余りそういうことに縛られ過ぎてもいけないというふうな気持ちを持っておりますけれども、一方では、こういうふうないろんなことでの数値目標を上げて頑張っていくということが和歌山をよくするということの上で非常に大事なことだろうと思っておりますので、そんな形で議会とも諮りながら進めていきたいと思っております。
 そして、今後の県政ですが、やはり一期四年やってきまして、中には成功した事例もたくさんございますが、余りうまくいっていないようなこともあります。こういうふうなものをやはり一度虚心坦懐に見直して、その上で進めるべきものはさらに進め、そしてまた新しい施策の必要なものについてはどんどん考えていくと。
 その際、一番大事だと思っておりますことは、県民の方の一般の声、それと行政というものの間にやはり差があると。そういうふうなものをできるだけ埋めて、本当に県政というものを県民の方が身近に考えていただけるような形にしていきたいというふうに思っておりますし、それから、特に県内を今回、回っておりまして感じたことでございますが、やはり和歌山県は非常に高齢化が進んできていると。そういうふうな中で、お年寄りを特に大切にしていくような、そしてまた、それもただ単に介護とかそういうふうなことだけではなくて、お年寄りに生きがいが出るような形のいろんな施策というふうなことを考えていきたいというふうに思っております。
 それからまた、幸いに高野・熊野が世界遺産に登録されて非常な反響を呼んでいるわけでございますけれども、こういうふうな和歌山県の持っているよさというものを何とか生かして、ようやく世間一般も景気が回復基調に入ってきておりますので、そういうものとあわせて和歌山県の振興を図っていきたい、このように思っているところでございます。
 次に、三位一体の改革でございます。
 三位一体の改革につきましては、総論としてはこれはもう地方分権にとって大変必要なことという観点で、全国知事会でも先般、夜中までかんかんがくがくの議論をして補助金削減、税源移譲というふうなことの案をまとめ、総理大臣に提出したわけでございますけども、その後、この案をめぐって大変な議論が起こっていることは御承知のとおりでございます。
 私どもといたしましては、和歌山県、非常に財源的に厳しいところでございます。そういうふうな中で、税源移譲して和歌山県に来る額と、そして補助金が削減される額に余りに乖離があると、もうそれでなくてもここ数年の交付税の削減によってボディーブローがきいてきておりまして、県も、そしてまた県下の市町村も財政運営に支障を来すというふうな状況になってきておりますので、税源の移譲とあわせて交付税の措置ということを強く求めていきたいと思います。
 それがなければ、ただ単に国の負担というものを地方に回すというふうなことになりかねません。そしてまた、今こういうところが非常に議論の中心にもなってきておりますので、こういうことについては十分強く、財源的に豊かでない県の立場、そしてまた県下の市町村の立場というものを訴えていきたいというふうに考えている次第でございます。
 それから、市町村合併についての御質問でございます。
 市町村合併もいよいよ佳境に入ってきておりまして、今うまく進んでいっているところ、それからもともとそういう形で進んできたけどもばらけてしまったところとか、いろんなところが出てきているところは御承知のとおりでございます。これも、合併ということは住民の方が決めるというのがやはり大原則でございますので、そういう中の産みの苦しみかというふうに思いまして、県といたしましても、今までどおり合併についてやろうとするところについては、いろんな形での情報提供であるとか支援を行っているところでございます。
 そして、今度、合併新法というものができ上がって、そしてその中で知事の勧告権等を含むより強い権限がこの次のステージでの合併についてとられるというふうなことが決まりました。私どもといたしましても、今回、今やっている合併の行く末、そしてそれの動向、そしてまたそれの影響ということを見きわめながら、そしてまたこれはやはり和歌山県だけで突出したことというのもあれでございますので、各県の動向等々も注目していきながら、次のステージにおいて責任ある立場を県としてとっていきたいと、このように考えているところでございます。
○議長(小川 武君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 世界遺産の活用に向けた整備についてお答えいたします。
 世界遺産登録後、主な地域への入り込み客が昨年七月に比べ本年は二六・八%の増加となるなど、世界遺産効果が早くもあらわれてきた状況となっております。和歌山県を一度訪れてみよう、もう一度来てみたいなど、多くの方々に思っていただけるよう、世界遺産の保全にあわせ、その活用に向けた取り組みが重要と考えております。
 こうしたことから、昨年度末に策定いたしました和歌山県世界遺産保全・活用プランに沿い、例えば高野山においては町並みや駐車場、歩道の整備を図るなど、関係部局協力のもと、それぞれの地域において世界遺産関連施策を中長期的に進めているところでございます。
 今後は、訪問客の増加などにより生じるであろう新たな課題に対し、プランに盛り込んだ施策の充実を図り、地元市町村との連携の上、世界遺産の活用に向けた整備について積極的に取り組んでまいります。
 次に、紀伊丹生川ダムの中止に伴う地域整備につきましては、ダム建設中止直後から、国、橋本市、九度山町、高野町、県で構成する旧紀伊丹生川ダム地域振興協議会において協議を行い、実現可能なものから事業に着手してきております。
 県としましては、今後、同協議会において住民福祉、地域振興の観点から本年度内を目途に方向性を出せるよう、これまでの経緯を十分踏まえながら積極的な対応を行ってまいります。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併の今後の取り組みについてお答えを申し上げます。
 特例法の期限まで五カ月余りとなりまして、県内各地での合併協議も大詰めを迎えようとしております。県といたしましては、特例法期限内での大きな合併効果を踏まえますとできる限り期限内の合併が行われることが望ましいと考えておりまして、法期限内の合併をぎりきりの最後まであきらめずに、引き続き市町村と一緒になって合併推進に努力していくことが大切であると考えております。
 その際に重要なことは、それぞれ難しい個別の問題があるとは承知しておりますが、それぞれの市町村の自主性を尊重しつつ、住民の福祉の維持向上や地域全体の発展という合併の大局を見据えた議論が大変重要であることを引き続き粘り強く訴えていきたいと考えております。
 特に、議員御指摘のとおり、三位一体の改革などによる交付税の減少が続く中で、この先、市町村財政を取り巻く状況は非常に厳しいものがありますので、各市町村においては現状と今後の状況を正確に認識した上で合併の判断をしていただくことが必要であり、県としては引き続き、国の動向や今後の財政状況等についての市町村への説明に努力してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 企業局長西 芳男君。
  〔西 芳男君、登壇〕
○企業局長(西 芳男君) まず、発電所の民間譲渡を検討している理由でございますけれども、本県が関西電力株式会社に売電をしております料金は、建設年次の新しい発電所もあることからコスト高もありまして、全国の他の公営電気事業者と比較いたしましても平均単価で約一・五倍と、かなり高いものになってございます。電力の自由化が進展する中、このことが県営発電所を続けていく上で大きな不安要素となっております。
 一方、企業局が経営しております三発電所はすべて水力発電所でございまして、河川総合開発の一翼を担う国策として推進されてきた経緯がございます。地球温暖化等の環境問題がクローズアップされている今日、二酸化炭素を排出しないクリーンで再生可能な純国産エネルギーとして、水力発電は今なお有用なものと考えてございます。
 このような認識のもとに、行政改革の基本的な考え方に沿いまして、民間でできるものは民間にという方向で検討を行い、実績のある民間企業への売却の可能性を探ってまいったところでございます。
 次に、発電所売却の見通しについてでございますが、去る七月七日に、本県電力の卸売先である関西電力株式会社に対し、三発電所の今後の取り扱いに関して売却等を含めて協議を行うことについて申し入れを行いまして、新年度からの新体制を目指し、鋭意協議を行っているところでございます。
 最後に、発電所の売却によりダムの管理上何か変わるのかということでございますが、多目的ダムに設置した発電所は治水優先の水位運用がなされておりまして、河川管理者が従来どおりダムの管理を行いますので、基本的にはダム管理上変わることなどはないと考えております。
 また、発電所の売却に伴い、河川管理上なお検討が必要な事項がないかどうか、現在、所轄部局と協議を行っているところでございます。
 以上です。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 国道三百七十一号の整備促進についてでございます。
 国道三百七十一号につきましては、橋本市横座から高野町平原までの区間十五・三キロのうち、特に交通の支障となっている二十二カ所について緊急に整備すべく、今年度から平成十九年度までの四年間で、補助事業により狭隘箇所の拡幅及び待避所の設置等を行っていくこととしております。
 今年度は、このうち三カ所を二億円の予算で用地買収及び改良工事に着手する予定であり、さらに、今議会においても国の調整費を活用した二千万円の増額をお願いしているところでございます。
 今後とも着実に整備を進めてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) まず、世界遺産に関して、三県における今後の保護と特別措置法に向けた取り組みについてお答えします。
 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のコア部分につきましては、文化財保護法に基づき既に保存管理計画を策定しているところでございます。しかしながら、自然と人間の営みによって長い時間をかけて形成された文化的景観を主な要素とするこの世界遺産にとっては、自然や歴史的な景観をどのように保全していくかが重要な問題であると受けとめております。このため、奈良、三重、和歌山の三県はもとより、文化庁を初め関係省庁と協議の上、今後、自然環境も含めた保存管理計画を策定することとしております。
 また、議員御質問の特別措置法につきましては、本年七月に開催されました三県協議会において、新たな法整備の取り組みも念頭に置きながら、問題点の整理や方策について調査研究を進めることが決定さたところであります。今後とも保存管理に鋭意努めてまいりたいと考えております。
 次に、このたび発表しました県立高校の再編整備計画案は、生徒の興味、関心や進路希望の多様化等に適切に対応したより魅力的な高等学校づくりを進め、一人一人の生徒の力を伸ばす教育を推進する観点から、昨年度まとめられたきのくに教育協議会の報告に基づき、時代や社会の変化に対応した県立高校のあり方について、中長期的な展望に立って作成したものであります。
 それとともに、議員御指摘のように、平成元年度のピーク時には一万八千十四人あった中学校卒業生徒が、本年平成十六年度には一万一千七百五人、さらに十年後には約一万人と大幅な生徒減が続く現況の中、活力ある和歌山らしい高校教育を展開していくためには、広い視野に立って将来を見据えた計画が必要であると考えております。
 また、地元への対応については、再編計画案の策定後、速やかに当該高等学校長を初め地元市町村教育委員会、関係機関等に経過や事情について説明をし、意見交換をするとともに、県民一般を対象に九月二十三日までを期限として現在パブリックコメントを実施しております。
 なお、議員御指摘の大成高校の例のように、学校が独自に実施した体験入学の時期と発表の時期とが前後することとなってしまったことについては残念であり、申しわけなく思っております。
 和歌山らしい工夫をという御指摘については、生徒の進路希望をかなえる多くの選択科目の開設や多様な個性の触れ合いによる切磋琢磨、部活動や学校行事等を適切に運営できる学校規模として、四学級から八学級が適正であると判断しているところであります。さらに、総合学科や中高一貫教育の適正配置、昼間定時制の設置といった特色ある教育がより広い地域で展開できるようにするなど、和歌山の子供たちの教育環境をいかに充実させるかということで計画案を策定したところでございます。
 現在行っているパブリックコメントでは、数多くの御意見が寄せられております。今後これらを参考にするとともに、県議会を初め関係者の皆様方との協議を深め、最終的な案を取りまとめ、決定してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 警察署の管轄区域の再編についてお答えいたします。
 県警察としましても、市町村合併の協議の動向を注視し、検討を行っているところでございます。
 警察署の管轄区域につきましては、地域の安全と安心を確保する観点から、人口、地理的条件、地域住民の利便性、事件・事故の発生状況、地域住民の要望・御意見等を総合的に勘案し、検討してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、木下善之君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ