平成16年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十六年九月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
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議事日程 第二号
 平成十六年九月十六日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに報第十三号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに報第十三号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       前   川   勝   久
     二十六番       山   下   大   輔
     二十七番       木   下   善   之
     二十八番       原       日 出 夫
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     二十九番       冨   安   民   浩
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     危機管理監      白   原   勝   文
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課副主査     楠   見   直   博
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(小川 武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百二号から議案第百二十一号まで、並びに知事専決処分報告報第十三号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十七番木下善之君。
  〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず、平成十六年九月定例会の最初に機会を与えていただきました先輩、同僚の議員の皆さんに感謝を申し上げます。一般質問は今回で十五回目になるわけでございますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 最近、相次いで日本に上陸した、台風六号を初め十六号、十八号の県内の被害額は、桃を初め、取り入れを間近に控えたカキ、ミカン並びにハウス施設や公共施設で九月十五日現在七十七億円強と聞いております。被害に遭われた方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げます。
 では、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 木村知事の再選、二期県政についてお尋ねいたします。
 去る八月八日に行われました知事選におきまして、木村知事は改革と発展を目指して力強く立候補され、我々自由民主党も党を挙げて御支援を差し上げたところですが、多くの県民の御支持を得て見事再選されました木村知事、まことにおめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
 今でも、選挙期間中、木村知事の真っ黒に日焼けされたお顔を思い出し、猛暑の中で選挙戦では告示以来ほぼ県内を二巡し、延べ三万人以上の県民と握手され、また多くの県民の皆さんと直接お話をされたと聞いております。県内の町々、つじつじで、倒れそうになるほど暑い中、仕事の手をとめて、また七月三十一日の台風の影響で激しい雨が降る中、橋本市においても十二カ所、約五百人が知事さんの到着をじっと待って一人一人が拍手いたしました。声援を送られた市・県民のその県政に対する熱い思いを受けとめ、今後の四年間の県政を誤りなく進めていただきたいと思います。
 知事は、選挙戦を通じて県民の県政に対するニーズや県政への意見を酌み取り、それらを二期県政に直ちに反映されることと思います。私も県民の思いをかなえる県政を標榜されている木村知事に賛同し、地域の住民の意見を県の施策や事業に反映されることを大いに期待するところであります。また、そのための協力を惜しむものではございません。
 二期目の木村知事は、これまでの幾つかの実績を踏まえながら、いわばリセットするような気持ちでこれらを見直すとともに、また普通の人の目線でもっておかしいと思われることは改めるなど、さらなる改革と発展の県政を進められるものと思います。知事は、県民の声を聞きながら、シャープで明晰な頭脳をもって、それを県政に反映し、県民の福祉の向上と県勢の浮揚に全力をもって邁進していただきたいと思っております。
 さて、今回の知事選挙は、和歌山県政史上に残る歴史的な出来事がございました。それは、さきの衆議院選挙で話題になりましたいわゆるマニフェスト選挙が木村知事の取り組みによって県政史上初めて行われたことであります。
 木村知事は、数値目標、期限などを示した詳細なマニフェストとも言える公約「私の政策宣言」を掲げて選挙戦に臨まれました。この政策宣言は、五十八項目に及ぶ数値目標を付した百二十にも及ぶ二期県政の重要な政策案を載せております。これは、木村知事が改革派知事としての真骨頂を発揮されたものと考えております。
 数値目標が施策案の全体の半数にも上がるものは、岩手県の増田知事や鳥取県の片山知事を初め、他の改革派知事もつくっておらず、木村知事のマニフェストのみと聞いております。私は、財政事情や厳しい時代の流れを踏まえ、多くの数値目標を掲げることはなかなか難しいことであると考えます。そうした問題に知事はあえて挑戦されたものであり、少しでもこれからの県政の姿を明らかにしたいという意気込みを示されたものとして、評価されるものであると思います。
 今議会冒頭、知事の就任あいさつ、施政方針において、この政策宣言を今後の県政の基本方針とされることを表明されました。我々県民は、その実現に大いに期待するものであり、その具体化を支持するものであります。
 そこで、県財政が厳しい状況の中、これから四年間、知事はマニフェストである政策宣言をどのように具体化し、政策を実施されるのか、知事にお尋ねをいたします。
 次に地方分権の推進について、いわゆる三位一体改革についてであります。
 本年六月、国は「骨太の方針二〇〇四」において、平成十七年度及び十八年度におおむね三兆円の税源移譲と、それに見合う国庫補助負担金の廃止などを打ち出したところであります。骨太の方針では、この三兆円の補助金廃止リストを含めた改革案を地方六団体に取りまとめることを要請し、その改革案を踏まえ検討するとなっています。ボールは地方へ投げられたのであります。今度は地方がしっかりと投げ返す番であります。
 知事会を中心とする地方六団体は、協議の結果、去る八月二十四日、三・二兆円に及ぶ補助金廃止リストを含む国庫補助負担金等に関する改革案として取りまとめ、同日、小泉首相を初め政府に提出したところであり、私は補助金廃止リストを初めとするこの改革案をオール地方として一致して国に提案したことは、地方分権の推進上、画期的な出来事であったと考えます。
 取りまとめの中心であった知事会におきましては、義務教育国庫負担金や公共事業関係補助金の取り扱いをめぐって知事たちの意見が分かれ、分断の危機を迎えるほど白熱した議論が行われたと聞いております。少数反対意見の取り扱いまで真剣に議論し、ぎりぎりの調整を重ね、最終的には、地方分権の推進のため、四十七都道府県知事は小異を捨て大同につかれました。木村知事には改革派のリーダーの一人として、今回の提案をまとめることに大変な御努力をされたことと思います。まずもって、木村知事を初めとする知事会に敬意を表したく存じます。
 今回の地方からの提案には、幾つかの懸念や課題があります。
 まず一つは、国がこの地方からの改革案を受け入れるかどうかということであります。
 具体的には、三・二兆円の補助金廃止リストの実施と、いわば同時履行に、それに見合う税源移譲に応じるかどうかということであります。昨年の国の予算編成では、各省のいわば省益が優先されるような、つまみ食いのような一兆円の補助金廃止、それに見合う税源移譲の不履行、そして交付税の一方的な削減など、地方にとってゆゆしき事態に陥ってしまいました。今回は、国と地方の協議機関の設置を前提条件に改革案の実施を迫りました。国は協議機関の設置を認めましたが、今後は全国知事会初め地方六団体は、ぜひこの機関を活用して国の一方的な改革を阻止し、地方の立場に立った三位一体改革の実現について、木村知事にもぜひ頑張ってほしいと思っております。
 もう一つの問題は、本県のような厳しい財政状況にある自治体にとって、三兆円の補助金の廃止、それに見合う税源移譲が行われればどのような影響が及ぶのかということであります。言いかえれば、地方分権を進め住民の生活が豊かになるはずが、かえって地方の提供するサービス水準の低下を招くことがないかという問題であります。
 しかし、この点につきましても、地方の自由度が拡大することによって住民のニーズにこたえた創意工夫でかえってコスト低減が図られ、少ない予算で最大の効果を生み出すことにつながるものと信じております。いずれにしましても、地方分権を進めることで自己決定、自己責任の地域経営をいかに行うか、地方の真価が問われていることに違いはございません。
 そこで、今回の地方六団体がまとめた国庫補助金の廃止などの改革案を実施すると県財政にどのような影響を及ぼすのか、また、三位一体改革を踏まえ、これからの県財政をどのように運営していくのか、知事からお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、世界遺産登録後の対応についてであります。
 世界遺産の採択に向け、今日まで長きにわたり当局の努力と県下関係地域の熱い支援、また多くの県民の御協力によって、ついに世界に認めていただいた「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産となったことは本県の誇りであります。このことは、千三百年維持された先人に感謝しなければと思います。また、本県が中心となり、奈良、三重両県への呼びかけ、調整に至る苦労の道のりについて知事より承っております。日本では自然遺産を含め十二件目の世界遺産登録となり、平成十六年七月七日に登録されました。心よりおめでとうを申し上げたいのであります。
 紀伊山地には、それぞれの起源や内容を異にする熊野三山、吉野大峰、空海が開いた高野山の三つの山岳霊場と、そこに至る参詣道がおのずから生まれたものと存じます。熊野地方は平安時代から貴族や庶民が大勢参られ、アリの熊野もうでと言われ、これらの道が登録されるのはスペインのサンティアゴへの道に次いで世界で二番目とされ、自然景観も大変重視されていると存じます。
 私は、熊野古道歩きは先としまして、五月に高野町石道を七時間かけて登りました。弘法大師空海が八〇〇年初頭に登った道として、当時一町、百九メートルごとに百八十本の木製の塔婆を建て、道標とされたものを鎌倉時代に一基二百貫の石標百八十基にかえたとあります。
 歩いてみて感じた点は、全体として思ったより非常にいいなと受けとめてございますけれども、沿道では石灯の折れたもの、コケが生えて記載事項不明のもの、石標が奥まって見つけにくいもの、説明板の必要性のあるもの、これについては外国人の方の登山には外国語の標識も必要と考えます。また、急傾斜道では間伐材丸太の敷設なんかも必要な箇所──これは大門の下の方に相当感じたのであります。三時間歩かないとトイレのない区間、万一の事故対策に向けた保全の必要な箇所、携帯電話の通じない区間、沿道の育成林の放任のところがありました。これは紀の国として、今後、緑の雇用事業で取り組んでいただきたいということも強く感じたところであります。
 世界遺産を維持管理していく上で、将来、町石道沿道の樹木を年次的に買い取り計画を樹立し、千年の重さをつくり、先人の苦労を私どもも受け継ぎ、後世へつないでいくべきと考えます。今議会においても関係条例の制定、仮称世界遺産センター構想の策定を初め、十数カ所の関連地域の景観形成等、整備予算が提案されておりますが、さらに検討されることを希望しておきます。
 世界遺産センター所長の話として、建造物のすばらしい遺産と巡礼の道も珍しく、こうした遺産は幾つかにも分かれており、周辺緩衝地帯含め一万一千八百六十ヘクタールの規模で日本では最大となっているため、保護管理が大変難しいと言われております。
 そこで、お尋ねすることは、今後の保護管理についてどう取り組まれるのか。また、景観の整備や道路、駐車場等の世界遺産の活用に向けての整備について、さらに、維持していくための特別措置法の取り組みに向けた考え方について、関係部長にお尋ねをいたします。
 次に、市町村合併の県の取り組みについてであります。
 過去の合併を見ますと、明治の大合併は明治二十年中心に、その後七十七年を経過して昭和の大合併となり昭和三十年中心に行われ、半世紀ぶりの平成の合併でありますが、残すところ五カ月余りとなってまいりました。県下の各市町村の大半は大変苦慮されており、諸事情によって合併協議会から離脱するところ、合併絡みで首長が辞任するなど、また合併に伴う住民の投票条例に向けた運動の展開もあります。さらに、市町村議会においても定数削減の中、八対七など一票差による賛否が自治体の将来に大きな禍根を残すなど、余りにも課題が多過ぎるのではなかろうかと考えます。
 合併の根幹をなす市町村財政においても、平成十八年度で十六年以上の歳出削減努力を行っても約三十三市町村が財政再建団体に転落すると言われ、これら現状認識が十分されておられるのか。また、合併の大局を見据えた議論が重要でなかろうかと考えます。
 平成十七年四月一日以降の合併新法は五カ年延長の時限立法であるが、十七年三月三十一日までの申請分を除き、特別措置の大半は認められないようであります。合併の新法の特徴として、知事の権限を強化するとあって知事が勧告することができるとありますが、知事は県下の状況を判断され、どう対処されるのか、お伺いいたします。
 また、総務部長には、想定する南海地震以上の大うねりが合併問題と受けとめていただき、未来にバラ色のふるさとづくりの展望を開く前向きの合併に向けた取り組みが必要で、今後残すところわずかな中、当局としてどう取り組まれようとされているのか、また合併に伴う警察署の地域所管再編の考え方についても警察本部長に伺います。
 次に、県立高校の再編整備計画についてお尋ねいたします。
 昭和の終わりころから小学校の生徒児童数が一段と減少傾向が見られ、小中学校の統廃合が余儀なくされ、平成に入り一層助長するに至っております。再編整備の当局の示されているのは、平成十七年から十九年の三カ年を一期とし、再編整備に入られるが、順次、第二期、三期と対処してまいりたいとするようであります。
 本県の平成十六年度の高校進学率は九七・七%と全国第七位と高く、このことは、関係者の努力と本人は言うに及ばず保護者の理解、そして受け入れの教育環境もすぐれていたことも見逃すわけにはまいりません。
 しかしながら、少子化の進行はとまることなく急激な減少を余儀なくされ、県下の高校入学も平成元年一万八千十四人をピークに、平成十六年は一万一千七百五人とピーク時の六五%となっていることも事実でありますが、学校は蛍の光とともに地域文化のよりどころとした中心的な役割を果たしている施設を来年から廃校にするとした話は、私ども議員も最近知らされ、対象地域の生徒、保護者及び関係者に大きな衝撃を与えているところであります。
 二〇〇七年に古座、串本と統合、二〇〇六年に南紀高校周参見分校が南紀高校と統合、そして来年には大成と海南との統合は余りにも性急な話で、県教委は失速で、機関車のかまだけ走っているのではなかろうかと考えます。来年の大成、海南との統合は、地元との話し合いは十分されていたのかどうか。
 聞くところによると、大成高校ではつい最近、八月二十三日、同校に対して入学を希望している百人近くの中学生に学校説明会と体験入学を実施したと聞いております。そのわずか三日後に再編整備計画案が発表され、募集停止を行う可能性が示されました。学校のOB、保護者会を初め、野上町行政当局、町議会においても、余りにも突然の発表であり、まして数カ月でその結論を急ごうとする県教委の姿勢に強い不満の声が上がっていると聞いております。特に在校生や来春進学を目指す中学生などの気持ちを考えますと、今県教委が進めようとする手法について大変危惧を感じているのは、私一人でないと思います。具体的な説明を求めるものであります。
 一方、ゆとりある教育の面から、生徒一人一人の個性を最大限に生かして、他府県の例を引くことなく、充実した和歌山方式の再考ができないものか。また、本県は、立地条件から見て遠距離通学上、保護者の負担増、また通学時間の増大と、多くの弊害も発生するのではなかろうかと考えます。
 そこでお尋ねすることは、一つ、再編整備の基本的な考え方について、二つ、地元への対応について、三つ、現状を踏まえ、特色ある和歌山方式の可能性について、以上、教育長にお尋ねするものであります。
 次に、企業局の廃止についてお尋ねいたします。
 さきの平成十六年六月定例会において、企業局の廃止が検討されているとの説明がありました。企業局廃止と聞き、昭和三十三年の発足以来、四十年の長きにわたり時代の要請にこたえながら県政の主要なプロジェクトに対して重要な役割を果たしてきたことを思うと、一抹の寂しさを感じるものであります。
 バブル崩壊後、時代は大きく変革のときを迎えています。環境意識の高まりや、住民ニーズの多様化が見られるようになっています。そのような中、企業局が果たしてきた役割を見直すことにより、よりスリムで効率的な行政システムづくりを目指すことは、県の行政として当然必要なものと考えております。
 さて、先日、新聞紙上で発電所の売却を関西電力株式会社に申し入れたという記事が掲載されていました。発電所の売却についても、民間でできるものは民間でという行政改革の観点からも一定の評価をしてよいと考えます。しかし、企業局見直しの一環として県が進めている発電所の関西電力株式会社に対する売却計画について不安を持っている住民もいるのも事実であります。
 そこで、お尋ねすることは、発電所の民間譲渡を検討している理由は何か、発電所の売却の見通しはどうか、発電所が県から民間に移ることでダム管理上何か変わることがあるのか、以上、三点を企業局長にお尋ねをいたします。
 次に、紀伊丹生川ダムの中止に伴う地元対策について伺います。
 少し経過の概要について申し上げますと、紀伊丹生川ダム建設の話は、私が市議会に初めて参画させていただいた昭和五十年でありました。地元関係市・町の要望でなく、国は治水と利水の両面からぜひとも建設をとし、昭和五十四年より可能性の調査、続いて平成元年より実施調査。この間、県議会水資源対策特別委員会が昭和五十六年発足、昭和六十年、紀の川流域三市十二町による紀の川水対策協議会を設立し、大阪分水の検討とともに、県議会においても再三現地へ出向かれた経緯もあって、平成元年、国土交通省のダム事務所を橋本市へ設置。関係流域は橋本市、九度山町、高野町の一市二町で、平成十年堰堤高百四十五メートル、総貯水容量六十四万立方メートルの規模とし、以降十二回に及ぶダム審議会の開催によりダム建設は妥当との結論に達し、ダム審議会として関係住民の生活再建、地域整備、環境保全、地域交流支援等、万全を期してまいりたいとしたやさきの平成十四年五月十六日、近畿整備局より突然中止の発表がありました。
 一方、地元は失われた二十八年と言われ、道路を初め地域環境整備、水没地の育成林の放任問題等、地元の心労の償いをと厳しく問われたことは忘れてはなりません。また、ことしは喜びの世界遺産登録がされましたが、アクセス道路として国道三百七十一号の道路幅員が三メートル余りと狭く、国道の機能が果たされず、地元生活者にまで大きな影響をもたらしたことであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 今後の地域整備の可能性について企画部長に、また、国道三百七十一号の整備促進について県土整備部長にお尋ねをいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 去る選挙の期間中には大変御支援いただきましたこと、まず御礼を申し上げます。
 そして、改めて二期県政に当たっての心意気という御質問でございます。
 御質問の中にもありましたように、今ちょっと下火になりましたけども、私も数値目標をたくさん入れたマニフェストというふうなものをつくって、余り県民の方の関心を引くところまでは残念ながらいきませんでしたけども、私の気持ちとしてそういうものを出して今後の県政の指針としたわけでございます。できるだけ──世の中がどんどん変わっておりますので、余りそういうことに縛られ過ぎてもいけないというふうな気持ちを持っておりますけれども、一方では、こういうふうないろんなことでの数値目標を上げて頑張っていくということが和歌山をよくするということの上で非常に大事なことだろうと思っておりますので、そんな形で議会とも諮りながら進めていきたいと思っております。
 そして、今後の県政ですが、やはり一期四年やってきまして、中には成功した事例もたくさんございますが、余りうまくいっていないようなこともあります。こういうふうなものをやはり一度虚心坦懐に見直して、その上で進めるべきものはさらに進め、そしてまた新しい施策の必要なものについてはどんどん考えていくと。
 その際、一番大事だと思っておりますことは、県民の方の一般の声、それと行政というものの間にやはり差があると。そういうふうなものをできるだけ埋めて、本当に県政というものを県民の方が身近に考えていただけるような形にしていきたいというふうに思っておりますし、それから、特に県内を今回、回っておりまして感じたことでございますが、やはり和歌山県は非常に高齢化が進んできていると。そういうふうな中で、お年寄りを特に大切にしていくような、そしてまた、それもただ単に介護とかそういうふうなことだけではなくて、お年寄りに生きがいが出るような形のいろんな施策というふうなことを考えていきたいというふうに思っております。
 それからまた、幸いに高野・熊野が世界遺産に登録されて非常な反響を呼んでいるわけでございますけれども、こういうふうな和歌山県の持っているよさというものを何とか生かして、ようやく世間一般も景気が回復基調に入ってきておりますので、そういうものとあわせて和歌山県の振興を図っていきたい、このように思っているところでございます。
 次に、三位一体の改革でございます。
 三位一体の改革につきましては、総論としてはこれはもう地方分権にとって大変必要なことという観点で、全国知事会でも先般、夜中までかんかんがくがくの議論をして補助金削減、税源移譲というふうなことの案をまとめ、総理大臣に提出したわけでございますけども、その後、この案をめぐって大変な議論が起こっていることは御承知のとおりでございます。
 私どもといたしましては、和歌山県、非常に財源的に厳しいところでございます。そういうふうな中で、税源移譲して和歌山県に来る額と、そして補助金が削減される額に余りに乖離があると、もうそれでなくてもここ数年の交付税の削減によってボディーブローがきいてきておりまして、県も、そしてまた県下の市町村も財政運営に支障を来すというふうな状況になってきておりますので、税源の移譲とあわせて交付税の措置ということを強く求めていきたいと思います。
 それがなければ、ただ単に国の負担というものを地方に回すというふうなことになりかねません。そしてまた、今こういうところが非常に議論の中心にもなってきておりますので、こういうことについては十分強く、財源的に豊かでない県の立場、そしてまた県下の市町村の立場というものを訴えていきたいというふうに考えている次第でございます。
 それから、市町村合併についての御質問でございます。
 市町村合併もいよいよ佳境に入ってきておりまして、今うまく進んでいっているところ、それからもともとそういう形で進んできたけどもばらけてしまったところとか、いろんなところが出てきているところは御承知のとおりでございます。これも、合併ということは住民の方が決めるというのがやはり大原則でございますので、そういう中の産みの苦しみかというふうに思いまして、県といたしましても、今までどおり合併についてやろうとするところについては、いろんな形での情報提供であるとか支援を行っているところでございます。
 そして、今度、合併新法というものができ上がって、そしてその中で知事の勧告権等を含むより強い権限がこの次のステージでの合併についてとられるというふうなことが決まりました。私どもといたしましても、今回、今やっている合併の行く末、そしてそれの動向、そしてまたそれの影響ということを見きわめながら、そしてまたこれはやはり和歌山県だけで突出したことというのもあれでございますので、各県の動向等々も注目していきながら、次のステージにおいて責任ある立場を県としてとっていきたいと、このように考えているところでございます。
○議長(小川 武君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 世界遺産の活用に向けた整備についてお答えいたします。
 世界遺産登録後、主な地域への入り込み客が昨年七月に比べ本年は二六・八%の増加となるなど、世界遺産効果が早くもあらわれてきた状況となっております。和歌山県を一度訪れてみよう、もう一度来てみたいなど、多くの方々に思っていただけるよう、世界遺産の保全にあわせ、その活用に向けた取り組みが重要と考えております。
 こうしたことから、昨年度末に策定いたしました和歌山県世界遺産保全・活用プランに沿い、例えば高野山においては町並みや駐車場、歩道の整備を図るなど、関係部局協力のもと、それぞれの地域において世界遺産関連施策を中長期的に進めているところでございます。
 今後は、訪問客の増加などにより生じるであろう新たな課題に対し、プランに盛り込んだ施策の充実を図り、地元市町村との連携の上、世界遺産の活用に向けた整備について積極的に取り組んでまいります。
 次に、紀伊丹生川ダムの中止に伴う地域整備につきましては、ダム建設中止直後から、国、橋本市、九度山町、高野町、県で構成する旧紀伊丹生川ダム地域振興協議会において協議を行い、実現可能なものから事業に着手してきております。
 県としましては、今後、同協議会において住民福祉、地域振興の観点から本年度内を目途に方向性を出せるよう、これまでの経緯を十分踏まえながら積極的な対応を行ってまいります。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併の今後の取り組みについてお答えを申し上げます。
 特例法の期限まで五カ月余りとなりまして、県内各地での合併協議も大詰めを迎えようとしております。県といたしましては、特例法期限内での大きな合併効果を踏まえますとできる限り期限内の合併が行われることが望ましいと考えておりまして、法期限内の合併をぎりきりの最後まであきらめずに、引き続き市町村と一緒になって合併推進に努力していくことが大切であると考えております。
 その際に重要なことは、それぞれ難しい個別の問題があるとは承知しておりますが、それぞれの市町村の自主性を尊重しつつ、住民の福祉の維持向上や地域全体の発展という合併の大局を見据えた議論が大変重要であることを引き続き粘り強く訴えていきたいと考えております。
 特に、議員御指摘のとおり、三位一体の改革などによる交付税の減少が続く中で、この先、市町村財政を取り巻く状況は非常に厳しいものがありますので、各市町村においては現状と今後の状況を正確に認識した上で合併の判断をしていただくことが必要であり、県としては引き続き、国の動向や今後の財政状況等についての市町村への説明に努力してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 企業局長西 芳男君。
  〔西 芳男君、登壇〕
○企業局長(西 芳男君) まず、発電所の民間譲渡を検討している理由でございますけれども、本県が関西電力株式会社に売電をしております料金は、建設年次の新しい発電所もあることからコスト高もありまして、全国の他の公営電気事業者と比較いたしましても平均単価で約一・五倍と、かなり高いものになってございます。電力の自由化が進展する中、このことが県営発電所を続けていく上で大きな不安要素となっております。
 一方、企業局が経営しております三発電所はすべて水力発電所でございまして、河川総合開発の一翼を担う国策として推進されてきた経緯がございます。地球温暖化等の環境問題がクローズアップされている今日、二酸化炭素を排出しないクリーンで再生可能な純国産エネルギーとして、水力発電は今なお有用なものと考えてございます。
 このような認識のもとに、行政改革の基本的な考え方に沿いまして、民間でできるものは民間にという方向で検討を行い、実績のある民間企業への売却の可能性を探ってまいったところでございます。
 次に、発電所売却の見通しについてでございますが、去る七月七日に、本県電力の卸売先である関西電力株式会社に対し、三発電所の今後の取り扱いに関して売却等を含めて協議を行うことについて申し入れを行いまして、新年度からの新体制を目指し、鋭意協議を行っているところでございます。
 最後に、発電所の売却によりダムの管理上何か変わるのかということでございますが、多目的ダムに設置した発電所は治水優先の水位運用がなされておりまして、河川管理者が従来どおりダムの管理を行いますので、基本的にはダム管理上変わることなどはないと考えております。
 また、発電所の売却に伴い、河川管理上なお検討が必要な事項がないかどうか、現在、所轄部局と協議を行っているところでございます。
 以上です。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 国道三百七十一号の整備促進についてでございます。
 国道三百七十一号につきましては、橋本市横座から高野町平原までの区間十五・三キロのうち、特に交通の支障となっている二十二カ所について緊急に整備すべく、今年度から平成十九年度までの四年間で、補助事業により狭隘箇所の拡幅及び待避所の設置等を行っていくこととしております。
 今年度は、このうち三カ所を二億円の予算で用地買収及び改良工事に着手する予定であり、さらに、今議会においても国の調整費を活用した二千万円の増額をお願いしているところでございます。
 今後とも着実に整備を進めてまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) まず、世界遺産に関して、三県における今後の保護と特別措置法に向けた取り組みについてお答えします。
 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のコア部分につきましては、文化財保護法に基づき既に保存管理計画を策定しているところでございます。しかしながら、自然と人間の営みによって長い時間をかけて形成された文化的景観を主な要素とするこの世界遺産にとっては、自然や歴史的な景観をどのように保全していくかが重要な問題であると受けとめております。このため、奈良、三重、和歌山の三県はもとより、文化庁を初め関係省庁と協議の上、今後、自然環境も含めた保存管理計画を策定することとしております。
 また、議員御質問の特別措置法につきましては、本年七月に開催されました三県協議会において、新たな法整備の取り組みも念頭に置きながら、問題点の整理や方策について調査研究を進めることが決定さたところであります。今後とも保存管理に鋭意努めてまいりたいと考えております。
 次に、このたび発表しました県立高校の再編整備計画案は、生徒の興味、関心や進路希望の多様化等に適切に対応したより魅力的な高等学校づくりを進め、一人一人の生徒の力を伸ばす教育を推進する観点から、昨年度まとめられたきのくに教育協議会の報告に基づき、時代や社会の変化に対応した県立高校のあり方について、中長期的な展望に立って作成したものであります。
 それとともに、議員御指摘のように、平成元年度のピーク時には一万八千十四人あった中学校卒業生徒が、本年平成十六年度には一万一千七百五人、さらに十年後には約一万人と大幅な生徒減が続く現況の中、活力ある和歌山らしい高校教育を展開していくためには、広い視野に立って将来を見据えた計画が必要であると考えております。
 また、地元への対応については、再編計画案の策定後、速やかに当該高等学校長を初め地元市町村教育委員会、関係機関等に経過や事情について説明をし、意見交換をするとともに、県民一般を対象に九月二十三日までを期限として現在パブリックコメントを実施しております。
 なお、議員御指摘の大成高校の例のように、学校が独自に実施した体験入学の時期と発表の時期とが前後することとなってしまったことについては残念であり、申しわけなく思っております。
 和歌山らしい工夫をという御指摘については、生徒の進路希望をかなえる多くの選択科目の開設や多様な個性の触れ合いによる切磋琢磨、部活動や学校行事等を適切に運営できる学校規模として、四学級から八学級が適正であると判断しているところであります。さらに、総合学科や中高一貫教育の適正配置、昼間定時制の設置といった特色ある教育がより広い地域で展開できるようにするなど、和歌山の子供たちの教育環境をいかに充実させるかということで計画案を策定したところでございます。
 現在行っているパブリックコメントでは、数多くの御意見が寄せられております。今後これらを参考にするとともに、県議会を初め関係者の皆様方との協議を深め、最終的な案を取りまとめ、決定してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 警察署の管轄区域の再編についてお答えいたします。
 県警察としましても、市町村合併の協議の動向を注視し、検討を行っているところでございます。
 警察署の管轄区域につきましては、地域の安全と安心を確保する観点から、人口、地理的条件、地域住民の利便性、事件・事故の発生状況、地域住民の要望・御意見等を総合的に勘案し、検討してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川 武君) 以上で、木下善之君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十五番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。
 まず最初に、木村知事におかれましては、二期目の当選、本当におめでとうございます。これからも思い切った県政改革をやっていただきたいと思います。
 きょうは、世界遺産登録後の反響と、さらなる課題について質問いたしますけども、きょうは実を言いますと傍聴席の方にそういった世界遺産に関連をする方々も見えておられますので、誠意のある御回答をお願いしたいと思います。
 それでは、早速始めます。
 私たちの念願でありました高野・熊野が七月一日に世界遺産登録決定をされました。この間の関係者の方々の御尽力に対して心から感謝を申し上げます。
 登録決定以降二カ月がたちました。その結果、初めに予想していたとおりの期待に近い数字がいろんなところに出てきました。そして、それにまつわる関連の産業も本腰を入れて取り組み始めました。
 まず、皆さんに私なりに現地を調査した今までの成果を申し上げます。 
 最初に、一番気にかかっていました観光客のことですが、主な登録地では、登録された七月、八月中の実績は、前年の同月と比べてみますと、九度山町では三万七千百人だったのが五万五千四百人になりました。これは一・五倍ですね。さらに、町石道を歩く観光客は三千五百四十人で、昨年の二倍と増加をしています。中辺路町では、六万五千八百人だったのが十三万八千八百人になりました。これは二倍強であります。本宮町では、十三万九千六百人だったのが十九万五千六百人になりました。これは約一・四倍です。主な登録地の残りの高野町、那智勝浦町を入れた五町全体では、八十万七千二百人だったのが百一万二千六百人になりました。約一・三倍です。これらの数字を見ると、今まで私が議会質問で申し上げましたほぼその推定どおりの数字になっているということにほっとしております。
 さて、私の地元のことですが、きょうもお見えでございますが、白浜温泉にあるホテルでは、世界遺産地のホテルということでワンランクアップされ、七月、八月は定価料金で満室にできるようになってきたとの喜びの声が寄せられました。
 また、うれしい悲鳴ですが、本宮町ではいつもなら日帰りで約一千三百人ぐらいの観光客ですが、登録直後には二倍以上の三千人もの人が押し寄せました。当日は郵便局が臨時に店を出し、切手とエコはがきを売り出したところ、約四十万円近い売り上げがあったと聞いています。それが、取り寄せたんですが、こういうはがきです。
 熊野本宮大社への参拝客が登録前に比べて二倍になったり、また気になる外国人観光客のことでありますけども、直接登録地の自治体に問い合わせますと、高野山では、登録前の昨年の八月の宿泊は一日五十二人から、登録後のことしの八月は百五十九人にふえました。これは何と三倍であります。
 また、これまたきょうもお見えでございますけども、和歌山市内の主要ホテル八カ所の宿泊客の稼働率も、昨年七月は六九・一%、登録後の七月は七〇・七%と、一・六ポイント伸びています。また、和歌山市内のあるホテルでは、高野・熊野世界遺産観光だけで七十本のグループの予約が入っています。一本のグループで四十人から五十人ですから、この商品については昨年まではゼロでしたから、まさに世界遺産登録の大きな成果です。つまり、登録地以外でも効果が出てきています。
 語り部、つまり世界遺産ガイドのことですが、その要請も登録前から比べると十五倍にもふえました。散発ですが、熊野古道では、今まで来たことの少なかったヨーロッパ人やアメリカ人が来られました。また、見たこともない顔つきの人も来ていました。旅館やホテルでは、まだ外国人が日本人ほどふえていませんが、今までは東南アジア系の人が多かったのに、登録以降、アメリカ人とヨーロッパ人が目につくようになって変化が起きています。このことは、今後の観光行政を考えるとき、有利な状況が生まれてくると思います。アメリカとかヨーロッパから来るのは、どちらかというと、すべてではございませんが、生活にゆとりがあって旅行費用は余り気にしない人が多いので、日本としてはありがたいのであります。
 日本には一度も来たことのない人が、今回初めて直接高野山、熊野古道に来て歩いたという外国人の方とお会いをしました。そのとき、この方はこんなことを言っていました。日本の中の和歌山県という意識はなく、初めての日本行きで高野・熊野を見に来たのですと。このように、高野・熊野が世界遺産に登録されたことが初めて日本を知ってくれるきっかけになった意義は大きいと思います。日本に行くきっかけは経済やビジネスだけではなくて観光、旅行が優先したという、これからの観光行政に教訓を残してくれたのではないでしょうか。そこに私は大きな意義があると思います。
 何も外国人だけでなく、国内でも大きな反響と同時に、意外な見方をしている人が多いのであります。それは、私ども新生わかやま県議団が八月十七日に会派の政務調査で熊本へ行ったら、空港から乗ったタクシーの運転者さんから「NHKテレビで世界遺産と南方熊楠を見たので行ってみたい」と言われたり、また名水百選で有名な白水村へ行けば、村長みずからが「十一月に町村会で高野・熊野世界遺産を見学に行く予定だ」と言っていただき、大変大きな反響に驚くとともにうれしく思いました。
 高野山では、昨年の七月、八月は二十二万四千百人だったのが、御存じのとおり、夏は観光客で満杯ですが、その上さらに登録後の七月、八月には二十六万六千七百人になりました。売り上げでは、道の駅のある熊野古道本宮では去年の同時期より二けたの伸びがあり、びっくりしています。また、和歌山市内からことし四月より高野・熊野への直通バスを土日、祝祭日のみ運行をしていただいていますが、登録前の六月と登録後の七月と比べると約七倍にも乗客は伸びています。
 世界遺産になることによって、地元の人たちの表情に活気が出てきました。また、常日ごろ遠くの人と触れ合いがなかった人たちが、その触れ合いによって表情が明るく、活気が出てきました。サッカーのワールドカップのとき、大分県の村がカメルーンチームを歓待しまして、それからは人に対する接し方が細やかで日々笑顔で人づき合いもよくなった、これが大会の大成功の一つですよと言ったことと同じように、住民が変わったことこそ世界遺産登録の貴重な財産であると私は思います。つまり、お金では買えない成果であります。私が会った登録地周辺の首長が、さすが世界遺産だと、その影響の大きさに驚いていました。
 もう一つ、海外からはこんなことがありまして、うれしいやらびっくりするやらの報告をさせていただきたいと思います。
 それは、八月二十五日の日付で、自宅に一通の外国からのお手紙をもらいました。差出人は、欧州和歌山県人会組織委員会中口和己さんという方であります。私自身は全く会ったことのない初めての方でありました。
 手紙の内容を要約をしますと、こういう一枚物の手紙でありますけども、「高野・熊野の世界遺産登録が正式に認定されましたこと、海外に住む県人としてうれしく、和歌山を誇りに思っている者でございますが、私は、和歌山県は国際的交流の要素を備えた県だと思っております。ここに来まして高野・熊野世界遺産登録が認定されましたこと、世界に和歌山を知らしめるまたとないチャンスかと存じます。私は、これからは和歌山県もEU諸国とかかわることが大切だと思っております。来年の春ごろ、私はデンマーク、ドイツ、イギリス、ポーランド、イタリアなどで高野・熊野世界遺産登録記念展のようなものを開催企画しております。せっかく和歌山県に生まれ、せっかくヨーロッパに住んでおる者として、何かのかけ橋になれることは冥利に尽きることだと考えております」、このような手紙をいただきました。
 話は進みますが、昨年から私どもと一緒にやってきた熊野古道沿いの地元の若い人たちは、世界遺産のフリーマーケットを定着させたり、手打ちそばを開店させたり、それぞれがふるさとに誇りを持ち、新しい仕事をつくろうとしています。また、私の住んでいる白浜の地元の人たちが相談に来てくれ、一緒になって知恵を出し、手づくりの土産物をつくろうと話し合いを持っています。今までは問屋さんから来るのを待っていましたが、初めて自分たちが創造力をかき立ててつくり出しています。
 例えば、地元のおじいさんのアイデアでありますけども、間伐材を利用したキーホルダー、また、子供さんのアイデアでありますけども、大きなせんべいをつくって熊野古道の地図を入れて、古道の道しるべせんべいということでつくっていこうではないかと、そんな取り組みが始まっています。さらに、歌で申しますとこういった、山田議員さんの地元でございますけれども、貴志川町の樫葉好次さんという方が「熊野路旅情」というのを九月からクラウンレコードから発売をされております。さらに、和歌山市内の演歌歌手の山口智世さんですけれども、こういう「悠久の道~熊野古道」というのを出しながら世界遺産をアピールしております。さらに、この間送ってきてくれたんですけれども、これまた小原議員さんの出身の本宮町でありますけども、役場の職員さん方が、こういうデザインをつくって、今、宣伝をしてくれております。
 このように、世界遺産に登録をされてから県民自身が社会に自分から率先をして溶け込むようになってきており、世界遺産に感謝をしながらふるさとにだんだんと誇りを持ってきておると、そういうことを私は回る中で強く感じました。こうした登録後の反響について、まず知事の御感想をお聞きをしたいと思います。
 続いて、世界遺産登録後のさらなる課題について、当局の見解を求めてまいりたいと思います。
 これだけ観光客がふえ、十月からはさらに観光客二百万人増を目指そうとしています県大型観光キャンペーンが展開されていく中で、まだまだ受け入れる側のサービスが手薄なことについて、一つ一つその考えをお聞きをしていきたいと思います。
 その一つは、語り部のことであります。
 語り部の要請が登録前と比べて十五倍にふえていますが、県が取り組んでいる語り部養成では、私は足りないと思います。これから来るであろう観光客に十分な体制は届かないのではないでしょうか。また、和歌山市内のあるホテルでは、宿泊していただける観光客にサービスとPRを兼ねて高野・熊野の語り部コーナーを企画しており、既に十月以降二十グループの予定が入っており、高野熊野世界遺産連絡会にも要請が来ています。
 このように、県としても語り部養成に力を入れ、取り組んでいただいているところでありますけども、想像以上のこのニーズにこたえていくためにも、NPOなどに委託をし、語り部養成の拡充を図っていただきたい。また、通訳ガイドについても、私が提案していました地方独自のものが国としての方針として示されてきたようですが、その取り組みについて県としてはどのように考えているのでしょうか。
 さらに、八月末にオーストラリアのシドニーへ世界遺産観光客の受け入れ調査に行ってきましたが、JALの支社長との話の中で、日本の観光地・高山でオーストラリア人二名をJALが推薦をして通訳などの仕事をしてもらうワーキングホリデー制度を活用しているとのアドバイスを受けましたが、この高野・熊野の地でもこうした制度を活用すべきだと考えますが、いかがでしょうか。商工労働部長にお伺いをします。
 二つ目は、世界遺産情報の一元化についてであります。
 世界遺産登録地の役所では、登録以降、登録前より二倍の問い合わせがあり、ほかの地域のことも聞かれ、対応に苦慮しており、結果的に観光客にも不便をかけているとのことであります。そのあたりは、情報を一番持っており速やかな対応ができる県庁が情報を集めて、何を聞かれても答えられるようなスタッフを配置し、そしてお客さんに混乱しないで的確な指示ができる情報の一元化を県庁でつくっていただきたいと思うのであります。そうした一元化をしてもらうと私ども県民がお手伝いできるスタッフがありますから、その情報を有効に使い、観光客に親切に対応できるのであります。
 私も一緒に活動しています高野熊野世界遺産連絡会では、高野・熊野世界遺産を保全し活用していくための五つのシンポジウムなどを開き、その情報を観光客の役に立たすにはどのようにするのか、検討準備をしています。
 私は、こんな内容がいいんではないかと思います。あくまでも私見ですが、例えば道順や語り部の手配については、そこに行くにはこことここを通れば一番近い、混雑するのでこちらの道を通ってください、滑りやすくなっているからこちらを回ってください、急なところもあるし、雨が降ったら歩きにくくなるから、その安全のための情報を流す、休憩所やトイレはどことどこですよとか、そうしてくれるとお客さん一人でもわかるし、迷うこともありません。
 観光客の地域別で入り込み状況が一目でわかるシテスムづくりなど、そういう満足していただける雰囲気をつくってあげることではないでしょうか。そうしたところに県庁の役人を派遣することが大事ではないでしょうか。既に民間会社にも派遣をしていますが、世界遺産を活用するのは、ごく一部の県民がやるのではなく、行政が後押しをすることが重要であると私は思います。こうしたことをすることが観光客を招くサービスにつながるのではないでしょうか。NPOなどに任せっ切りでそれで終わりではなく、県が中心になって後押しをすることが本当の成果になると思いますが、いかがでしょうか。
 今議会で補正予算として上げています世界遺産センターの設置ですが、二〇〇七年開設予定とお聞きをしていますが、どのようなことをするのか、予算はどうなのか、高野・熊野全体を網羅するのか、二〇〇七年までの対応はどうするのか、知事にお伺いをしたいと思います。
 続いて、もう一つ要望します。それは古道を保全するためのマナーをきちんとしてほしいことであります。
 わかりやすく言うと、こういうことなんです。世界の世界遺産地を調査する中で私自身アドバイスをいただいたことなんですが、毎日毎日、その日が暮れたら鉄道の線路を点検するのと同じように、毎日毎日、職員が点検をしてほしいのであります。オーストラリアの世界遺産地のブルーマウンテンでは、山をパトロールし、山火事情報を流し、観光客に徹底をしています。安全か、そうでないか、事故が起こってからでは遅いのであります。つまり、古道パトロール隊のようなものが必要であります。
 また、古道を歩く観光客も、適度な人数で歩けるように規制や整理が必要であります。靴底から入る外来種対策をし、古道の植物の保全をしていく必要もあると、私の知っている学者がアドバイスをしてくれました。さらに、つえの先に植物保護のための保護ゴムを取りつけるなど、保全のためのルールをつくり、マナーを徹底しなければならないと思います。
 これらは、大もとでは県に強力な支援をしていただくことによって将来の不安というものが解消するのです。つまり、整備や管理が県を中心に動かなければ、せっかくの世界遺産も長い将来活用できなくなってしまうおそれがあると思いますが、知事、いかがでしょうか。
 先ほども申し上げましたが、八月末からオーストラリアに世界遺産観光調査に行ってきましたが、どちらかというとオーストラリアは観光立国であります。したがって、観光にはかなり厳しいのであります。観光客をふやすために、国内の国民の観光に対するモラルを厳しくしています。例えばごみのことをとりますと、捨てると二百オーストラリアドルの罰金、日本円にしまして約一万六千円です。シートベルトをして車で行きますが、日本では運転手と助手席だけがペナルティーがありますが、オーストラリアではバスも含めて後部座席もベルトをしなければ罰せられます。それはひいては、交通安全だけではなく、少なくとも観光というところに意識をしているのであります。受け入れる体制を厳しくすることによって、観光客が事故をできるだけ少なくする。つまり、車でやってくる人は安全を守るためにまずオーストラリア人が模範を示せよということであります。自国の人が観光客の被害を絶対に起こさないということを徹底をしています。
 観光立国和歌山を目指すためにも、こうしたことを参考にするとともに、世界遺産登録地にふさわしい交通安全対策について、県警本部長にお伺いをしたいと思います。
 話は前後しますが、再度、知事にお伺いします。
 暴論と言われるかもしれませんが、自動車と世界遺産と関係ありませんよという思い切った、人間の知恵と歩くという体力のみにしか許さないという世界遺産からスタートするという姿勢を貫くことはどうでしょうか。二十一世紀の文化とは、こうした文明社会の自動車とか無縁の、自分自身の足で歩きながら創造力など自分自身を鍛える場にしてみたらと思います。それがもう一つの魅力になるのではないでしょうか。この高野・熊野のすばらしい世界遺産は、私たちが守ること、地球がいつまでも壊されることなく人々に見てもらうためには、自動車という文明の力を遠ざけるという新しい暮らしや文化をこの登録地で宣言することが必要ではないでしょうか。そういう方向に持っていくことにどのような考えを持っているのか、知事にお伺いをしたいと思います。
 続いて、知事にぜひとも実行していただきたいことがございます。それは、高野・熊野世界遺産登録地の目指す方向であります。先月、高野山に行き、高野山文化フォーラムに参加をしてきましたが、豪華なゲストがパネラーとして参加していましたが、何を目指すのかということが参加者にはわからなかったように思います。
 私は、今までも議会質問の中で幾つか提言をしてきましたが、高野・熊野の世界遺産の精神文化を私なりに申し上げますと、空海の教えなどから今までの地球を壊す文明と決別することをこの登録地で私たち県民が実行していくことだと考えます。
 例えば、空気や水など環境を世界の登録地のどこよりもきれいにすること。そのため、地球温暖化防止の取り組みを世界に先駆けて実施をすることや、森林や水を守るための先進的な取り組みや、車社会主体から人間の足で歩くということを主体にした社会をつくることなど。また、人間の飽食、グルメ社会への警鐘にと、空海や南方熊楠の教えを広げた和歌山にふさわしいスローフードの創出など、そして、世界平和の話し合いの舞台をこの高野・熊野世界遺産地に実現をすることなどであります。これらを実現することが、七百五十を超える世界遺産のどこよりも魅力のある、行ってみたい、住みたいところとなり、ふるさとに住んでいる私たちもここに生まれてよかったと誇りが持てるのではないでしょうか。そして、これらを実行することによって新しい産業や雇用というものもたくさん生まれてくると思います。
 私は、このような一つ一つの課題について県民の皆さんに参加していただき、昨年からシンポジウムやフォーラムを開催してきましたけども、多くの賛同をいただきました。知事及び教育長の御見解を賜りたいと思います。
 もう一つ、大きなことを知事に聞かなくてはなりません。それは、世界遺産とクリーンエネルギーのことであります。
 先般、美浜原発の事故がありました。亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。安全管理体制を強化をするとともに、原子力発電に対する国民の信頼を回復することが求められていると思います。
 それとともに、日本も原子力発電に頼るだけでなく、風力発電など自然エネルギーの方向に大きくかじをとることが必要ではないでしょうか。とりわけ世界遺産登録地の和歌山県にその必要性が求められていると思います。そこには、一段高いところから知事の姿勢、発言というものが重みを持ってくると思います。そして、多少電力不足の事態が起きて不便になるかもしれませんが、風の力などによって我々の必要な社会エネルギーをつくり出すことが必要ではないでしょうか。世界遺産登録は、周りのすべての環境がきれいになるということでもあると思います。
 この和歌山の地を風力発電など自然エネルギーの地にしていくこと、それこそが世界遺産のもう一つの重要な側面ではないでしょうか。知事にお伺いをしたいと思います。
 最後の項目ですが、日本を知ってもらう、来てもらう、高野・熊野世界遺産のPRと海外から日本に来る観光客対策であります。
 国も二〇一〇年まで、外国人観光客を日本に今の五百万人から一千万人にしていくことを打ち出していますが、なかなか進んでいません。
 私は、昨年はイタリア、ことしは東ヨーロッパ、オーストラリアなどに行ってきましたが、日本に来る観光対策を成功させることについて聞いて歩きました。既にイタリアや東ヨーロッパ、EU対策については議会で提言をしてきましたが、オーストラリアでは、こういう人たちにどう接触すればいいんではないかというヒントを得られました。
 それは、オーストラリアにもある日本人会の婦人部の協力であります。婦人部の幹部の方々は、その国の要人とパーティーなどで接触をしています。そういう人たちの啓蒙というのを、その婦人の方々の力をおかりすることの効果が大きいのであります。シドニーで日本人会の幹部の婦人にお会いをし、和歌山のことを説明すると、男の人と違って──男の場合は、どちらかといいますとビジネスのつき合いをしていてもそんなに親密なつき合いはないのですが、しかし、御婦人方は新しいニュースとか、そういうものにしょっちゅう接しています。
 高野・熊野世界遺産のパンフレットを見て、私の話を聞いてくれました。そして、その明くる日には、婦人部の役員会でその話をしてくれました。まず、その人たちを和歌山にお呼びをしたらどうでしょうか。総領事館で、二〇〇六年は日本とオーストラリア交流年としてお互いの国を相互訪問し、交流し合うように決まりました。和歌山の高野・熊野世界遺産を売り込んではどうかと提言を受けました。地元のマスコミも取り上げるだろうと言われました。そういう機会をつかんでPRすべきだと思います。二〇〇六年にはオーストラリアの首相も日本へ行く、そのときに日本の首相とともに高野・熊野に来てもらうことを今から準備を始めてはどうでしょうか。
 このように、高野・熊野を知ってもらうために世界の日本人会へのアプローチを始めることについて、お伺いをしたいと思います。
 さらに、和歌山県内の世界の友好提携国や和歌山県人会などを活用することをしているでしょうか。また、すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、JALパックのオーストラリアの支社長とお会いをし、高野・熊野世界遺産観光のPRについてお話をしましたが、そこでは百人ものスタッフがオーストラリアから日本も含めた国外への観光関連の仕事をしていましたが、言われたことは、オーストラリアでもまず日本というものが余り知られていない。今は年間七万人から八万人が日本に行っているが、初めて日本を紹介するこうしたパンフレットをつくったと見せていただきました。こういうパンフレットでありますけども(現物を示す)、それを見て愕然としました。実は、地図には和歌山では白浜と勝浦しか載っていません。高野山などありません。もちろん、観光紹介のところには和歌山は全くありませんでした。同じ日本の会社であります。こうした日本の海外での旅行会社にもきめ細かくアタックしていくことが大変必要ではないでしょうか。お伺いをしたいと思います。
 訪日対策として世界を回りながら強く感じたことは、日本に来てください、日本に来てくださいと、そういうことだけではなかなか進まない。もっと具体的な政策を打つべきだと私は実感をいたしました。例えば、ODA費用の一部を観光客促進の誘致策として、知事が国に働きかけてはどうでしょうか。具体的には、日本に来たときの宿泊に支援をするとか、ポイント制をつくって日本に来た人は今度来るときは何割かを安くするとか、小泉首相が訪日観光対策を大きく打ち出し、外国人の観光客に来てもらうため、そのぐらいの大胆な発想があってもいいのではないかと私は思います。
 民生のためのODA政策をやっていますが、その国の国民の生活を豊かにする中に、すばらしい地球を知ることも欠かせない日本の責務であります。つまり、観光をしてもらうことも民生活動の一つであります。結果として、箱とか物ではなく、人々のいやしやきずなをつくるためにも、人々の往来は必要であります。特に二十一世紀、世界が時間的にうんと近くなり、片や民族の紛争が勃発をするという中で、観光は一つの平和のきずなを強める役目があるんではないかと思いますが、商工労働部長にお伺いをしたいと思います。
 以上、八点をもって世界遺産登録の和歌山県の変化について見てまいりました。当局の御見解をお伺いし、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの玉置議員の質問、数字を上げたいろんなこと、私も本当に初めて耳にするものが多くて非常に参考になりました。
 この高野・熊野の反響ということでございますけれども、実は私自身も驚くほどのものがございまして、和歌山の中よりも例えば東京とか、そういうふうなところへ行きましたら、このごろ和歌山のことをテレビでやることが物すごく多くなったねというようなことをいろんな人から言われます。これは何も別に僕が和歌山の知事をしているからということじゃなくて、ほかの人が間接的にまた聞いたような話も入っておりますので、そういうふうなことで、先ほどいろいろ土産物なんかを自分たちで考えていくような動きが出てきたとか、いろんなお話が出てましたけども、私もそういうふうなこの世界遺産の登録ということが、ただ単にそういうことじゃなくて、地域の元気ということに結びつきつつあるということを物すごくうれしく思っておりますし、これを県としても、この民主導の動きというものを何とかサポートしていくというふうな形でいろんな取り組みを進めていきたいというふうに考えている次第でございます。
 そういう中で、情報の一元化というふうなことがありました。これは非常に大事なことでございまして、この高野・熊野というのは物すごく広いと。そして、どこかわからないというところが、メリットでもありデメリットでもあるというふうに思うわけでございます。メリットとしては、いろんな広がりがあるものだから、同じ人でも何回でも来れると。例えば法隆寺だったら一回行けば宝物まで全部見れますけれども、高野・熊野はそうはいかないというふうなところがあって、これは非常なメリットだと思いますけれども、逆に、取りとめがないと。要するに、どこへ行けばその真髄に触れることができるのかというふうなことについてのコンセンサスがなかなか得がたいというふうなことがあります。そういう意味でいろんな情報というふうなことを的確に流していくということは、これはよその世界遺産よりももっとこの地域については大事だろうというふうに思っております。
 県も今ホームページをつくったりしていろんなことをやってますけれども、今、本宮町の方で計画しております世界遺産センター、こういうふうなところに、私はぜひそういうふうな情報のある意味では一元的な管理をするような機能も持たせて、何でもわからんことがあったらそこへ行ったらいろんなことを教えてもらえるというふうな形、しかもそのアクセスは来てからのことじゃなくて、例えばよそからこれから行こうと思っているような人にも、高野なんかも含めて情報が出ていくような形も考えれば非常によくなってくると思いますし、そういうときにも今までの官制といいますか、公務員ばっかりが中心になってやるようなことじゃなくて、NPOの人たちと協働しながら、よりよい使う人の身になったような情報提供というふうなことを考えることができればというふうに考えているわけでございます。
 それから、保全とマナーというふうなことです。
 私も実は、時々熊野古道であるとか町石道を歩いたりしたんですけれども、むしろ世界遺産に登録されないときにもっと歩いとけばよかったなというふうな気持ちを逆に持つというふうなこともあります。ということは、そういうことでは実はこれは逆説的な話でいけないんで、なぜかというと、みんなが歩き出したらもう荒れたりして昔のよさがなくなってしまうんじゃないかという危惧がやっぱり心の底に若干あるからです。そういうことも含めて、先ほど言われたような例えば古道パトロールでありますとか、それから語り部の人たちとうまく連携をとってやるとか、それから地域の子供たちとうまく連携をとってやるとか、そういう形でこの古道というものを保全していくというふうな取り組み、これはあわせて強力に行っていく必要があるというふうに思っております。
 さらに、この高野とか熊野で自動車を遠ざけるというふうなことがございました。この高野・熊野はやはり自然に着目するということで、なかなか自動車と相入れないというふうな面があることは、これは否めないところでございます。ただ、やはり観光客というふうなことに着目しますと、今は自動車の時代ですので、やはりどこへでも自動車である程度行って、そこから体験できるというふうな形がやはり必要になり、それがやはりこの高野・熊野というものを発展させる大きな原動力にもなってくると思いますので、この自動車との共生のあり方ということをより進んだ形で考えていきたいと。
 例えば、高野山なんかは実は山上都市でありますので、できるだけ歩く人が心配しないで歩いて回れるというふうな形が望ましいと思います。ただ、やっぱりそこで商売をしたり生活したりしている人の利便性ということもありますので、そういうものをうまく調整をとりながら、例えばヨーロッパの中世の都市、なかなか車は入ってきません。そういうふうなものが実現できるようなことがあれば、これはますますこの高野・熊野というものがよくなるんじゃないかなと。これはすぐにできる話じゃありませんけども、そんなふうなことも考えております。
 それから、高野・熊野の理念というふうなもの、余りはっきりしないじゃないかというふうなことでございます。これはなかなか、歴史があるところですし、それぞれに例えば江戸時代と平安時代ではまた持つ意味が違っていたとか、いろんなことがあると思うんですけども、今のこの時代においては、やはりいやしであるとか、それからよみがえりであるとか、自然を生かした歴史と自然とが合わさったいやし、よみがえりの地として、これを都会人とか外国の人とか、そういう人たちに何か新しいものを提供できるような地にしていく。そしてまた、ライフスタイルでもちょっとやっぱり二十一世紀型のライフスタイルをここから発信できるような形にしていくというふうなことが私は大事だろうと思います。
 そういうふうな中で、今、健康村構想ということで、この地に来たら健康を回復する。中高年の人も、それからお年寄りの方も、やはりそこで何かを得てくるというふうな形のものをこの和歌山から発信できないかということで、これは主要なプロジェクトとしてこれから取り組んでいきたいというふうに思っております。
 さらには、先ほどお話のありましたエネルギーです。今もエネルギー、原子力発電とか火力発電とかいろんなものがありますけれども、これからエネルギーについてもある程度、私は、大規模なところはまた別の考え方をしていかなければなりませんけれども、ローカルエネルギーについてはエネルギーの地産地消というふうなことが非常に大事だろうというふうに思っております。例えばバイオマスでありますとか、水力。水力についても小水力発電というふうなものがあります。こういうふうな新しい、この和歌山の地に合ったようなクリーンなエネルギーというものをどんどん導入することによって、そういう面でもこの地を先進地としていきたい、このように思っております。
 以上です。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 二項目めの世界遺産登録後のさらなる課題の二点についてお答え申し上げます。
 まず、語り部、通訳ガイドにつきましては、現在、紀州語り部として百五名を登録しているところですが、需要の増大に対応すべく、先般、百六名の希望者に語り部養成講座を開催したところでございます。既に一部の方は活動を開始しており、一層の活躍を期待をしているところでございます。
 今後の語り部の養成につきましては、旅行者のニーズや需要等も考える中で、議員御提言のようなNPOなどとの協力も検討してまいります。
 次に、昨年より国に要望しておりました地域限定の通訳案内業制度の創設については、国においてガイドライン等の作成が行われる予定であり、それらの動きを注視して対応してまいります。
 また、海外からの誘客については、ワーキングホリデー制度の活用等の幅広い観点から検討していく必要があるものと考えております。
 次に、世界遺産のPRと海外から日本に来る観光客対策についてでありますが、海外からの観光客の誘致につきましては、東アジアのみならず欧米の旅行会社やメディア招請等の積極的な活動を実施しております。
 海外誘致宣伝活動の重点地域については、国のビジット・ジャパン・キャンペーンの対象国である東アジア及び欧米の八カ国と考えております。オーストラリアにおける誘客活動については、今後の訪日需要動向等を見きわめた上で、議員御指摘の交流などを活用しながら観光PRを実施していきたいと考えております。
 友好提携先や在外和歌山県人会については、世界遺産関連パンフレトなどを送付し、PRに努めております。また、日本人会への情報発信等はもとより、海外の日本旅行会社にも働きかけを行ってまいります。
 次に、御提言のODAに係る観光客誘致の活用について今後研究するとともに、当面はビジット・ジャパン・キャンペーン予算の拡大及び連携等を働きかける方法により、観光を通じ各国の相互交流と相互理解に貢献していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高野・熊野世界遺産登録地の目指す方向についてお答えいたします。
 紀伊山地の霊場と参詣道は、日本古来の自然崇拝に起源する神道と中国から伝えられた仏教の融合をあらわすもので、広大な面積の資産と周辺の森林景観が千二百年以上にわたる聖山の伝統を良好に保っているという評価を受け、このたび世界遺産に登録されたところでございます。
 この悠久の自然と歴史が形成してきた資産及び文化的景観を後世に継承するため保護保全に万全を期すとともに、紀伊山地の持つ日本人の心の原点とも言われる歴史性を広く周知してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 世界遺産にふさわしい交通安全対策についてお答えいたします。
 高野・熊野地域の世界遺産登録に伴い観光客の来県が増加することが見込まれることから、県警察といたしましても、この地域を初めとする県内の交通の安全を確保することが重要であると認識しております。そのため、交通事故をなくする県民運動推進協議会を初めとする関係機関と連携し、県民の交通マナーの向上に努めるとともに、県内各地の古道を歩く人たちの安全確保を含め、交通事故の発生状況に応じた交通安全対策を推進してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十五番玉置公良君。
○玉置公良君 御答弁ありがとうございました。
 質問ということではありませんけども、今の答弁を聞いておりましても、やはり登録地以外の和歌山県全体の動きになってきておると、そういう押さえをしていただいておりますし、さらに、やっぱりこれは和歌山県全体の世界遺産だと、こういう取り組みを深めていかなくてはならんと思っていますんで、その点をまた今後ともよろしくお願いをしたいと思います。
 それと、知事が健康村構想を触れられましたんで少しだけ要望しておきますと、私はそれぞれの考え方があると思うんですけども、できればその一千二百年前に空海さんがそこでどういう健康法をしやったんかと。例えば、歩いて疲れたら、今の現代風のマッサージじゃなしに、何か葉っぱを使ってマッサージをしたとか、そういった思い切ってタイムカプセルのように一千二百年前に戻ると。そういったことが本当の世界遺産登録地の健康村構想になるんではないかと思いますし、その点、今後、御検討をお願いしたいと思います。
 以上です。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、一般質問を早速させていただきます。
 私は、まず初めに、今月連続して発生したこの大規模地震を教訓にした東南海・南海地震に備える地震津波対策について質問をさせていただきます。
 九月五日、紀伊半島沖でマグニチュード七・四を最高とする連続した地震が発生し、県内を初め震度五弱の激しい揺れが観測され、夜中の十一時五十七分の地震に対しては紀伊半島沿岸に初めて津波警報が発令をされました。
 この地震が起こったとき、だれもが一体いつまで揺れが続くんだろうか、続けてより大きな地震が来るんではないか、不安と恐怖を感じたことでしょう。今回は東南海・南海地震のようなプレート型の地震ではなかったために大津波が発生するような事態にはならなかったわけですが、木村知事はあいさつの中で、厳重な警戒と初動体制に努めたが、津波避難の体制や通信などの課題を残した、これを教訓にして今後に生かしていくと表明されましたが、まさに日ごろの地震訓練でない地震本番から何を学んだかを総点検する必要があると思います。
 私は、地震の後、湯浅広湾に面した湯浅町と広川町の役場を訪問し、防災担当者から直接、初動体制や住民の避難体制についてお話を伺ってきました。昨年の六月議会で私は傾いて時間どおりに閉まらない水門の問題を取り上げましたから、気になってそれぞれの水門の開閉状況もお聞きしました。昨年指摘した湯浅町の水門は改修にかかっていただいて、無事操作できたので喜んだわけですが、今度は養源寺堀水門、この水門の緊急降下装置が作動しなかったんです。
 県からこの水門の管理を任されている広川町は、二回目の地震、夜中の地震で津波警報が出されたのを受けて、職員が水門操作のために駆けつけました。一回目の地震のときは通常操作で操作をしたそうですが、二回目は警報が出たので通常の三分の一の時間で閉まる緊急降下をしようとしたのですが、操作不能であったわけです。やむなく通常操作に切りかえて無事降下させたそうです。
 通常、この水門というのはワイヤでつらされている状態ではなくて、両側からのフックの上に乗せて固定をしているわけです。ですから、水門を閉めるときには一たん水門を少し上げて、それでフックを外してからこの降下をさせる、そういう操作をするんですが、当日、職員の方はこうおっしゃいました。「機械が故障していたのかもしれないし、ひょっとしたら私の操作方法が間違っていたのかもしれんのです。私はフックを外してから緊急操作ボタンを押したんですが、そのフックを外す操作をせずに、いきなり緊急降下を押したら動作したのかもしれんのです。メーカーにも来てもらって、県と一緒に調査してもらうことになっています」と、気の毒なぐらい動揺した様子でした。もし私が彼の立場だったら、自分の操作ミスで壊したのじゃないか、もしこれで住民に万一のことがあったらと頭が真っ白になったことだと思うんです。後で調べたら、この職員の操作方法が規定どおりで正しくて、機械の故障だろうということでした。
 私は、これは地震本番だったからこそわかった問題点として重視する必要があると思います。緊急降下装置は水門に無理な力がかかるので、訓練では使ってはならないとされていた装置なんですね。そんな一回も操作したことのない、やったことのない行動というのが、いかに本番で間に合わないのかということがわかったと思うのです。今回の地震での教訓を明らかにし、こういった防災訓練のあり方や施設の問題点をきっちり点検する大事な機会だと思います。
 また一方で、地震発生時の行政側の対応としては、避難勧告の発令が二自治体しか行われなかった点が指摘をされました。私がお聞きした湯浅町、広川町ともに、地震の発生地点や津波予想が一メートル程度ということを踏まえて現場で総合的に判断をしたということでしたが、避難勧告を出す基準の精査や徹底が求められるのは当然だと思います。
 しかし、地震の後、住民がどう動いたか、これがもっと大事だと思います。私はテレビの報道を見て、懐中電灯をつけて腰の曲がったおばあさんの手を引きながら家族で坂道を避難していく、その住民の姿を見たときには感動をしました。行政と住民自身が一体となった日ごろの訓練や防災啓発のたまものだ、幾ら行政が呼びかけても住民が動くところまで準備を重ねておかなければ命を守ることができない、そういうふうに再認識をしました。
 また、新聞の投書欄にも、これまでは地震・津波の現実感のない人も多かったが、立て続けに起こった今回の地震を通じて、近所の寝たきりの人をどうするかなど、住民も現実的な対策を考えるようになるのではないか、そういう声が出されていましたが、まさに東南海・南海地震が現実のものとして迫ってきているし、住民の意識も飛躍的に高まっているこの時期を逃さずに、避難体制や住民自身の手によるその取り組みを発展させる必要があると考えます。
 この点を踏まえて、以下、質問をさせていただきます。
 避難勧告の基準など県・市町村の初動体制について、及び水門や防潮扉の操作について、この二点について今回の地震を通じて明らかになった問題点や教訓を危機管理監と県土整備部長よりお答えください。
 次に、震災津波防災マップの作成と活用状況についてお尋ねをいたします。
 津波被害の想定される沿岸市町村では、浸水予想図や避難場所、避難経路を徹底するための防災マップづくりが進められています。これは湯浅町と広川町の防災マップです。行政からこうした避難のための情報を徹底するとともに、これだけで終わらせるのではなく、住民自身がだれとどの道を通ってどこに避難をするのか、そういう具体的な行動計画や訓練を地域で練り上げることなしには役に立ちません。この取り組みの状況についても危機管理監より御答弁を願います。
 地震津波対策の最後に、避難所でもある公立学校施設の耐震化についてお尋ねをいたします。
 先ほど公立学校施設の耐震化状況について全国の進捗状況表が発表され、和歌山県の耐震化率は昨年に引き続いて全国第四十五位という不名誉な状況でした。耐震診断は随分進んだと思うのですが、来年度末までの三カ年計画で全校の耐震診断を完了させるというその計画から見てどうなのか、耐震補強をどうスピードアップしていくのか、教育長の答弁をお願いいたします。
 この際、あわせて今回の補正予算で広川町の津波防災教育センター(仮称)整備の予算を計上いただきましたことにお礼を申し上げますとともに、十月十六日には第二回稲むらの火祭りとして、たいまつを持って歩いて最後に稲むらに火をつけるという物語さながらのイベントが計画されています。ぜひ知事にもお越しいただけたらと、御案内をさせていただきます。
 次に、二つ目の柱である県営水力発電所売却計画と有田川の災害対策について質問をさせていただきます。
 県は、今年度末で企業局廃止の方針を打ち出し、県内に三カ所あるダムによる水力発電所を関西電力に売却する計画だということを明らかにしました。この発電所売却計画は、県民から見れば本当に突然だったわけで、新聞報道で初めて知った、大変なことだと声が上がっています。
 二川ダムを初め発電所を持つ県営の三つのダムは、洪水対策と利水、主に発電の目的を持つ多目的ダムです。しかし、ダムは洪水対策のためにはできるだけ水位を下げて大雨に備えたい。しかし、発電のためにはできるだけ水を多くためて多くの発電をしたいわけです。水力発電は水の位置エネルギーでこのタービンを回す仕掛けですから、同じだけの量を使っても、ダムに水をためていればためているほど、水圧によってより多くの発電が可能になるんです。ですからできるだけ、たとえ一メートルでも、十センチでも水を多くためた方が利益が上がる仕組みになっているわけです。片方は水位を下げたい、もう片方は水位を上げたい、多目的ダムというのはこういう矛盾した操作が求められる宿命、これを初めから持っているダムなんです。
 ですから、多目的ダムはふだんはいっぱいに水をためて発電し、大雨が予想されるときには予備放流をして水位を下げて大雨に備えると、こういう設計をするわけですが、ところが実際には、大雨の予想は辛うじて予想できるのも台風の雨ぐらいで、最近問題になっている集中豪雨や梅雨前線の大雨などは予想できずに、実際に大雨が降り始めてから気象庁も警報を出す。ダムの水位がうんと上がり過ぎてから、がばっと放流する。そのころには下流も水位が上がっているのに、余計に洪水がひどくなる。これがこれまでの現実の姿なんですね。
 そんな不安を抱えながらも、発電が営利目的にやられたらどうなるのでしょうか。安全性よりも経済効率の方が結果として優先されるのではないでしょうか。実際に日高川の流域でお話を伺いますと、日高川には関西電力の流れ込み式の発電所が五カ所あるわけです。夏の渇水期、水の減ったころには堰の下流の川の水が減って、アユが酸欠であっぷあっぷし出すというんですね。そのときに発電所の堰を少しあけてくれないか、こういうふうにお願いをしても、電力需要の最盛期なので御理解願いますと、取り合ってくれないというんですね。
 安全性の問題では、この間、関西電力美浜原発の事故がありました。これも安全性よりも経済性を優先させて、検査をコストダウンのために下請に切りかえたり、検査期間を延ばしたり、原発の運転をとめずに無理に検査を準備させたりという、関西電力の安全軽視の姿勢が招いた事故だと指摘をされています。
 また、洪水や濁り水の問題では、日置川の殿山ダムは関西電力が経営する発電専用のダムですが、このダムの異常放流による被害については、御存じのように裁判で住民が争っています。そして、県営の多目的ダムでは、けさの朝刊でも報道されておりましたように、日高川では濁水問題で漁協から公害調停が出されていますし、古座川でも濁水被害で漁協から抗議文、異常放流による洪水被害では住民が八月に訴訟に踏み切ったところです。
 有田川流域でも七・一八水害のような惨事を二度と繰り返すまい、こういう強い思いがあります。これは去年、吉備町が水害五十周年で発行した記念誌です。
 こういった問題や背景の上に加えて、発電所売却によって電力会社の電力需要や採算性が優先させられて、洪水対策、安全性、河川環境などが二の次にどうしてもなってしまうんじゃないか、そういう率直な心配の声が寄せられているわけです。
 また一方で、発電所を売却するということは、水利権も関電の手に売り渡すことになります。現在の発電用の水利権は、申請者の発電所も和歌山県知事、許可権者も和歌山県知事です。ダムも発電所も県のものだからこそ一体のものとして運用できたことが、片方が人の手に渡ってしまってからでは、住民の声やダムと発電所の調整は非常に困難になる可能性があると言わなければなりません。
 私は、この間、県内の三つの発電所を実際に視察してまいりました。古座川七川ダムと佐田発電所、そして有田川二川ダムと岩倉発電所、日高川の椿山ダムと美山発電所。岩倉と美山では実際に中まで入らせていただいて、見せていただいてきました。現在、発電所は遠隔操作をされていますけれども、週一回の発電機の定期点検に始まって、水をダムから送ってくる導水管の定期検査など、保守点検や安全点検の苦労も職員の方から聞かせていただきました。この保守点検や安全点検のコストを安く上げるために民間委託するわけですから、これらが民間委託でどうなっていくのかも心配な点です。
 また、海南のインテリジェントパークにある発電所遠隔操作のための管理センターにも伺ってきました。県内三つの発電所を一カ所から遠隔操作できるようにと、コンピューターに六億円、建物全部で十三億円かけて、この四月にオープンさせたばかりではないですか。売却すればたった一年でここから遠隔操作をする必要がなくなるわけで、何のために新築をしたのかということになります。
 その一方で、売却先の関西電力から見ればどうでしょうか。建設から四十年も五十年もたったそんな水力発電所を引き受けても関電としては得をするはずがない、こんな古い小さな発電所を関電は本気で買うのだろうかという声もお聞きします。県内の三つの発電所はそれぞれ一万キロワット程度の出力です。関西電力海南火力の発電所は二百十万キロワット、御坊火力発電所は百八十万キロワットです。電力需要の低迷で、現在、海南火力は四つある発電施設のうち一つしか稼働していませんし、御坊では稼働率が何と三%を切っており、年間六日か七日しか動いていないという状況です。自分とこの巨大発電施設を遊ばせておきながら、火力発電と比べるともう出力計の針の誤差の範囲かと言われるような、そんな施設はお荷物ではないでしょうか。施設の買い取り費用に加えてダム建設時の借金払いの残り、これも一括で国に返済をする必要がありますから、莫大な費用もかかります。関電にそんなお荷物を買ってもらうんだから、大きな借りをつくるのではないかと勘ぐる声が出るのも不思議ではありません。
 一方で、国全体の電力政策を歴史的に見てみると、電力需要急増期には国策として多目的ダムが一斉に計画をされました。普通、電力事業者が水力発電をやろうと思えば、ダムをつくるための土地の買収、補償、ダムと発電所の建設費用が全部かかります。それを全部、国と地方のお金で賄って建設をし、発電所の維持管理は行政がやって、できた電気だけ買い上げて利益を上乗せして消費者に売るという、電力会社にとっては結構な仕組みだったわけですね。そして、時代が過ぎて、県が維持できなくなって、その発電施設をただ同然で電力会社が引き取るというようなことであれば、トータルで見ると得をするのは電力会社でしょう。大きな台風や水害の悲惨な歴史を繰り返したくないというその住民の願いを盾に、自治体としても財政面で有利な発電所つきの多目的ダム、こういう形が全国的に広がってしまったわけです。
 さて、この発電所売却問題で地元はどう反応しているでしょうか。三つの多目的ダム、特に容量の小さい二川ダムと七川ダムへの住民の願いは、洪水対策として、濁りの長期化対策の上でも、ダムの水位をもっと下げよというのが住民の声です。しかし、今のダムの現状は、洪水対策が第一で発電は二の次と口では言いながら、実際は発電のための大量の貯水がされているというのが実態です。県が発電所を売却することによりこれが一層悪化するのではないかというのが最大の心配事です。
 新聞報道で県のこの計画を知った関係者からは、すぐさま不安と怒りの声が起こりました。有田地方でも有田川流域の清水町、金屋町、吉備町、有田市の一市三町の首長がそろって本庁までおいでになり、計画と経過の説明を求めました。加えて清水町議会では全会一致で抗議の文書を採択し、議会代表が県庁においでになりました。これがその文書です。
 それぞれの地元の自治体関係者は、発電が採算重視でやられたらダムへ水をため過ぎて怖くていてられやん、幾ら県の施設だからといっても、地元自治体に相談もし、情報も公開してやってもらわんと、県だけの都合で勝手にやってもらっては困ると、怒りを隠せません。
 また、私は清水町の二川地区、金屋町の岩野川地区、吉備町の田殿地区などで、このダムと発電所の問題で住民団体の報告会に招かれ、住民の皆さんの意見を伺ってまいりました。ダム直下の二川地区では、区長さん初め多くの区民の方が集まり、次々に怒りを表明されました。二川地区はダム建設には反対だった。当時、ダム反対町長まで誕生した。しかし、洪水対策のためにと言われて泣く泣く同意をしたんですと。発電所を売り渡すのであったら、ダム建設時の約束違反だ。一からやり直しをせんなんことになる。発電がもうからんのやったら、もう発電やめて、どうか防災ダム一本にしてほしい。これが圧倒的な声でした。
 熊本県では、濁水問題などで問題を抱えていた発電用の県営荒瀬ダムをこの二〇一〇年で撤去する、そういう全国初の方針を決定しました。新聞報道によると潮谷知事は、発電機など機材の耐用年数が近づく一方でダムによる電力供給の割合は低下しているという費用対効果の問題や、地元の反対、九州電力との契約などを多角的、総体的に検証してたどり着いた結果だ、こういうふうにおっしゃっていますが、発電のためにダムで川の水をせきとめ大量の水をためる、このことのデメリットが各地で明らかになってきたんだと思うんです。
 今回、和歌山県では、企業局は売却理由として、県内三発電所について、電力不足の時代にはそれなりの意義があったが、将来的にリスクが大き過ぎると言っているわけですから、歴史的な役割を終え、洪水被害や濁りの長期化で問題ある発電施設については、そのあり方そのものを問うことこそが必要とされているんではないでしょうか。
 私は、そういう決して遠くない将来の展望を探りながらも、当面の課題となっている拙速な発電所売却計画には反対であり、県は慎重な態度をとるべきだと主張をするものです。
 以下、七点について質問をさせていただきます。
 まず、今回の発電所売却計画に至った理由について、そして売却契約の概要とともに、発電施設の資産価値、売却時に国に返さなければならない起債残高をお示しいただきたいと思います。加えて、水利権や発電放流の操作方法など売却条件については、情報公開して地元合意を事前に得るつもりはあるのかどうか。以上、三点について企業局長より御答弁を願います。
 次に、売却計画が起こる以前から指摘をされてきた有田川の災害対策についてですが、二川ダムの操作規則の改定はいつまでにするのか、河床が上がり危険な有田川下流の堆積土砂問題はその後どうなっているのか、この二点についても県土整備部長から答弁をお願いします。
 発電所問題の最後に、木村知事にお伺いします。
 御紹介したような、発電所が採算重視になるとダムに一層水をためるようになるので困る、こういう声が住民、地元市町村長、町議会からも出されていますが、この災害面や河川環境面での不安、疑問、怒りを知事はどう受けとめていらっしゃるのか。そして、その上に立って、来年三月末までに結論を出すという性急な発電所売却計画は白紙撤回し、住民や地元自治体と十分に議論して方向を出すべきではないでしょうか。御答弁をお願いいたします。
 引き続き、三つ目の柱である公共事業における県の信頼回復についてお尋ねをいたします。
 国道四百八十号清水町内三田バイパスでの橋の設計ミスの問題では、さきの六月議会で四千百六十六万円の補正予算を組んで、手直し工事の準備を進めていました。このほど工事の状況や訴訟に関する状況が説明されましたが、それによると手直し工事の概算工事費が補正予算を組んだ額の二倍以上である一億五百万円になると説明を受けました。六月議会の時点ではわからなかった工事が膨らんだとのことですが、私は二月議会で設計業者の数十カ所に及ぶ設計ミスと、それを県の検査で見抜けなかった問題や今後の信頼回復に向けた対応を取り上げてきましたが、わざわざ補正予算まで組んで手直し工事を始めたにもかかわらず、今になって金額が倍に膨らみました、新たな手直しが必要になりましたというのでは、余りにも見通しが甘いのではないでしょうか。一体どんな積算をしているのかと批判をされても仕方がないと思います。手直し工事の見通しが甘かったのではないかという点、手直し工事の修正はどのようなものか、また完成予定期日に影響はないのか、この三点について県土整備部長よりお答えください。
 次に、旅費肩がわりという業者との癒着問題が六月末に問題になりました。これは県土整備部の職員が出張した際、宿泊費などを請負業者に肩がわりさせたというもので、同行した業者は昨年末に県を定年退職した元幹部職員でした。知事は記者会見で、県土整備部内の構造的な問題があるのかどうか徹底的に解明するよう指示したと述べ、部内で業務改善委員会を立ち上げて解明と再発防止に取り組んできたと報告されています。
 県土整備部長より、業務改善委員会ではこの点どう解明してきたのか、再発防止の取り組みはどうなのか、この二点をお答えください。
 加えて、この例でも問題になったように、定年や中途退職した職員が県の仕事を受ける業者にすぐ再就職するケースが多いわけですが、行政と業者の癒着につながるとの批判があります。国会でも国家公務員法の法改正も議論されています。県としてもこのような方向に沿って、離職後一定期間は密接な関係にある営利企業への再就職を原則禁止にするなどを検討すべきではないでしょうか。総務部長よりこれは御答弁を願います。
 以上をもって、第一回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 県営の水力発電所の売却の問題でございますけれども、これは後ほど説明があると思いますが、もうこのままほうっておくとなかなか採算がとれなくなる。これは地方公営企業ということで、商売という言葉を使うのはぐあい悪いんですけども、一応収支が合わないといけないというふうな方針でずっと県がやってきたんですが、今ならば電力会社が買ってくれる可能性もあるというふうなことの中で検討を進めてきたところでございます。
 そして、ややもするとダムの問題とそれから発電所の問題が少し混同される嫌いがあるんですけども、発電所を売るということはダムを売るということとは全く当然のことながら違うことでございまして、ダムはこれからもずっと県営ダムとして県が責任を持って管理をしていくということです。当然のことながら、その際、何が一番問題になるかというと治水面ということで、沿岸というか、川の下流の住民の人の命と安全ということが一番の大切なこととなるということは当然のことで、そういうことにあわせて今、二川ダムの管理規程もより厳しい内容に見直しを行ってきているということです。
 仮にこの発電の部分を民間会社にゆだねるということになっても、当然のことながらその部分、いわゆるダムとしての管理の部分は、これは県が責任を持って管理規程に基づいて行うということになりますので、ここは確かに地元の方が心配なさる面もあろうかと思いますけれども、決してそういうふうなことの混同がないような形で対応していこうというふうなことで進めていることでございますので御理解をいただきたい、このように思っております。
○議長(小川 武君) 危機管理監白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○危機管理監(白原勝文君) 地震津波対策についてお答えいたします。
 まず、今回の地震を通じて明らかになった問題点、教訓についてでございますが、今回の体験で、今までわからなかった問題点や課題が出てきております。とりわけ市町村の初動体制については、対応等にばらつきがありました。このため、九月七日に危機管理監名の文書で、地震防災対策や地震発生時に市町村長がとるべき対応等について点検・見直しを行い、早急に対処するよう依頼するとともに、住民への避難勧告につきましては、消防庁から通知されている「津波警報が発令された場合は、海岸付近の住民等に直ちに海浜から退避し、安全な場所に避難する勧告・指示を行うこと」の趣旨を踏まえ、適切に対処するよう重ねて依頼しました。
 県も地震発生後、直ちに知事を本部長とする災害対策本部を設置し、出先機関等を含め五百名の職員が参集し、被害情報の収集や関係機関との連絡調整等に当たりましたが、職員の参集や連絡体制、初動マニュアルの整備・活用状況などを検証し、今後改善してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、今回の教訓をもとに東南海・南海地震対策等を推進してまいりたいと存じます。
 次に、震災津波防災マップの作成と活用状況についてお答えいたします。
 津波防災マップまたは津波ハザードマップとも呼んでおりますが、この作成状況ですが、沿岸二十一市町のうち七市町が作成済みとなっております。現在、県は津波ハザードマップの基礎となる浸水区域図を作成するためシミュレーションを行っており、その結果が出次第、順次、沿岸市町に提出する予定にしております。
 なお、ハザードマップ作成に当たり、避難の経路や場所、災害時要援護者への対応なども周知するためには住民参加で作成する手法も有効で、そうした作成マニュアルも市町村に提示しております。また、本年度新設した地震防災対策総合補助金でも、津波ハザードマップの作成を対象としております。
 ハザードマップの活用につきましては、今後の防災津波対策でも大きな役割を果たすとともに、津波避難訓練に際しても、住民の皆さんに事前に避難計画を周知できることや訓練後の検証などにも活用できることから、未整備市町に対しても早急な整備を呼びかけております。
 なお、津波避難訓練につきましては、一昨年から沿岸二十一市町と県で、また三重県等隣接県との連携を図り、約一万人を超える住民等の参加を得て実施しておりますが、本年も十二月二十一日の実施に向け、準備を行っております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、水門・防潮扉の操作についてでございます。
 ただいま御紹介をいただいた例も含め、今回の経験を教訓として関係市町と連携をとりながら、現地での施設の再点検を行うとともに緊急時の操作訓練を実施して、津波時に適切な対応ができるよう取り組んでまいります。
 次に有田川の安全対策に関してでございますが、まず二川ダム操作規則につきましては、関係自治体等の意向も踏まえ、現在見直し作業を進めているところでございますが、原案作成後、関係部局と調整を図り、遅くとも平成十七年度の出水期に間に合うように改定したいと考えております。
 有田川下流の堆積土砂問題についてでございますが、有田川の土砂の堆積状況について調査したところ、前回調査した平成十二年から大きな変化は認められておりませんが、低水流路が蛇行している区間や堆積、洗掘などの局所的な河床の状況も踏まえ、対応について関係機関とも協議し、検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、公共事業における県の信頼回復についてでございます。
 まず、国道四百八十号三田バイパスの件でございます。本年四月から設計の見直し作業にかかるとともに、耐震性の確認や公的機関における橋脚の強度試験など詳細に見直しを行った結果、想定した以上に橋脚の地中基礎部の補強などが必要となったものでございます。設計見直し途中での見込みだったとはいえ、増額となったことについてはまことに遺憾でございます。
 既にできている有田川の橋台につきましては、橋台の上部を一部取り壊し、再構築することにしております。また川の中に立つ橋脚につきましても、上から約五メートル取り壊し、再構築するとともに、地中基礎部につきましても二・五メートルの拡幅を行うこととしております。
 なお、今後の工事といたしましては、これらの手直し工事のほか、未着手の高野側の橋台の工事、上部工の工事などにつきましても十月から再開する予定であり、平成十八年度供用への影響がないように最善の努力をしてまいります。
 続いて、旅費問題など業者との不祥事、再発防止についてでございますが、県土整備部では、さきの工場検査出張問題を契機として、本年七月二十七日に当部の局長クラスで構成する県土整備部関係業務改善委員会を立ち上げて、再発防止の観点から問題点や対策の検討を行っているところでございます。
 今回の事案の検討結果といたしましては、利害関係者との節度ある応対など公務員として求められるモラルが欠けていたことがまず第一の原因であり、検査のあり方や組織におけるチェック体制にも改善すべき点があったものと認識してございます。
 次に、再発防止に向けた取り組みといたしましては、検査出張時における留意事項を定めてチェック体制を確立し、工場検査のあり方の検討を進めるとともに、職場研修などを通じ、引き続き職員の意識改革を図ることとしてございます。
 いずれにいたしましても、これらの問題に関しまして、公共事業を担う県土整備部といたしましては、県民の信用を失墜することのないよう努めてまいります。
○議長(小川 武君) 企業局長西 芳男君。
  〔西 芳男君、登壇〕
○企業局長(西 芳男君) まず、発電所売却計画に至った理由についてでございますけれども、先ほど木下議員の御質問に対し答弁いたしましたとおり、県営で電気の卸売を続けるには、電力の自由化が進展する中、採算性の面で将来に大きな不安があるということが主な理由でございます。
 また、「民間でできることは民間に」の言葉どおり、数多くの水力発電所を有し豊富な管理の経験がある民間電気事業者へ任せることができればより信頼性を保つことができるものと考え、取り組んでいるところでございます。
 次に売却計画の概要についてでございますが、今回、企業局が計画しておりますのは、発電機や受変電設備を設置している発電所を初め、ダムから水を取り入れるための設備や水を河川に戻すための設備など、水力発電に必要な一連の設備を対象としております。
 なお、治水上大きな役割を果たしているダムそのものについては、今までどおり県が保有、管理していくことにいささかの変わりもないものでございます。
 また、発電施設の資産価値、返済すべき起債残高についてでございますが、現在お諮りいたしております平成十五年度決算におきましては、電気事業会計の固定資産は八十四億七千九百三十八万円、企業債の未償還残高は四十六億四千五百四十万円でございます。
 最後に、水利権や発電放流の操作方法など売却条件についてでございますが、企業局がこれまで関係者の皆様方と話し合い、取り決めてきた事項につきましては、そのまま引き継ぐことを基本に具体的に関西電力と協議を行っているところでございます。また、関係者の皆様方にはその旨お伝えをしてございます。
 今回、御心配をおかけしておりますのは、ダムと発電所それぞれの機能についての理解が十分になされていなかったことが原因ではないかと考えております。この点に関しまして関係者の皆様方の御理解が得られますよう、引き続き今後取り組んでまいります。
○議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 職員の再就職につきましてお答えを申し上げます。
 現在、国家公務員の場合は、国家公務員法の規定によりまして、離職後二年間、人事院の承認を受けなければ、離職前五年間に在職していた国の機関等と密接な関係にある営利企業に再就職できないことになっておりますが、地方公務員についてはそういった規定はございません。
 そうした中、本県では自身で再就職をした者に対しては、県民の不信を招かないよう退職後二年間は退職前の業務に関連した営業活動を自粛するよう指導しているところでございます。
 密接な関係にある営利企業への再就職につきましては、職員の生活権や人材の活用等の問題もある中で、法律改正の動きや他府県の動向等を注視して、今後そのあり方について検討してまいりたいと考えております。
○議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 本県の公立学校施設の耐震化の状況についてお答えします。
 まず小中学校では、平成十五年度から十七年度までの三年間ですべての市町村において耐震診断を実施する計画となっており、現在その達成に向けて鋭意努力しているところです。耐震診断の実施率は、昨年四月に五・六%であったのに対し、本年七月には五五・六%となっております。耐震化工事につきましても、昨年七月に文部科学省が策定した「学校施設耐震化推進指針」に基づいた円滑な実施を各市町村に指導しているところです。
 また県立学校では、耐震診断を本年度中に完了させるとともに、耐震化工事についても順次進めてまいります。
 学校施設は児童生徒が一日の大半を過ごす生活の場であると同時に非常災害時の応急避難場所ともなり、安全性が確保されていることが重要であります。耐震化率の低い市町村に対しては、早急に耐震診断を実施し、必要となる耐震化工事を着実に行うよう、関係部局と一体となって働きかけてまいります。
○議長(小川 武君) 傍聴の方々に申し上げます。私語、拍手等は禁止されております。厳粛に願います。
 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきます。
 まず初めに、発電所の売却問題です。
 この問題では答弁いただいたわけですが、住民や地元自治体から出されている声とは随分ずれがあるというふうに思うんですね。答弁では、住民の側に誤解があると。発電所とダムをごっちゃにされているところがあって、発電所を売っても変わりませんよ、理解してもらってないので理解してもらえるように頑張ります、そういうトーンに感じるんですね。私は、これは納得できません。
 しかし、県民から見れば発電所もダムもどちらも県のものであって、一体のものとして見ているのは、これは当たり前のことだと思うんです。そういう住民の側の心配に耳をかさずに進んでしまってはだめだと思うんです。住民が心配しているのは、売ってしまってからでは遅いという問題がたくさんあると思うんですね。
 例えばこの売却条件、具体的に詰めているということですけれども、例えばダムの発電用の貯水容量を考えてみてください。住民の求めにより今その操作規則を見直していただいているということでした。これでうんと発電容量を制限しようということになれば、水利権者の同意がこれまた必要になると思うんですね。一たん水利権を売り渡したら、それを制限するとなったら補償問題も出てくると思うんです。だから、いささかも変わらないとおっしゃいますけども、発電所にもダムにも変えてもらいたいことは山ほどあるわけなんです。売った後では遅いんだということを私は指摘したいと思うんです。
 それともう一つ、もう発電やめよという声とともに、水力発電もうまく活用すればという意見も私は別に聞いてきました。企業局の説明では、岩倉発電所もクリーンな発電所だというふうに胸を張ります。調べてみたら県の電気代、予算の中で払っている電気代、結構要るんですね。びっくりしました。知事部局の県庁や出先機関で年間二億三千万円、教育委員会の県立学校四十七校で年間三億四千万円、警察・駐在・信号機、これ全部で二億三千万円、合計八億円のお金が毎年毎年県財政から支出をされているわけなんです。
 そこで、いっそ売らずに県の自家発電所にして、無理にせず、安全第一で、環境重視で動かして県の電気代を安くする、足らないときは電気を買うし、余れば売ればいいんじゃないかというんですね。それもおもしろいと思って企業局に聞くと、そんな簡単にいかんのですよということだったんです。できた電気は自分で使うよりも売った方が得をする、そういう仕組みだって言うんですね。しかし、その制度の方が変だと思うんです。これまでも企業局が県営発電所で発電事業をして上げた利益、この財源は県民の福祉や道路整備などの予算には使えなくて発電事業だけにしか使えない、こういう仕組みだったわけですね。おかしいです。制度が変なんですから、それを変えていこうと全国に先駆けて地方から提案するのもいいんじゃないかと思うんです。
 私、企業局の説明を聞きますと、今回の問題、売却という選択肢、事業委託という選択肢は持っているんですけど、公営企業とは形を変えた活用というような選択肢とか、環境面、災害面でマイナスの大きいそういう発電所はやめる、そういう選択肢、これ持ってないというのが私は問題だというふうに思うんです。
 何度も繰り返しますが、もう発電所をやめろという意見もあるし、知恵を出せという意見もありますが、売り飛ばしてくださいという意見はありません。それだけはやめてくれというのが住民の声なんですね。知事は民間にゆだねてもダム管理は責任を持ちますと答弁をなさいましたけれども、地元議会の一致した意見というのは、これ重いですよ。防災ダム一本にしてくれというその住民の思い、ぜひ受けとめていただきたいというふうに思うんですね。
 このダム問題では、ちょっとまとめて知事の方に再質問をさせていただきます。二点、質問させてもらいます。
 私の質問の七番目の項目の三月末までの期限の問題ですが、三月末までに売却という期限にどうしてもこだわるおつもりですか。三月末という期限にこだわるおつもりかどうかをもう一度御答弁ください。
 そして、三つ目の項目、地元合意の項目ですが、意見に耳を傾けるという答弁をずっとされていらっしゃいますけども、地元合意もなしに売ることはしないと明言をできますか。この二点についてお答えをいただきたいというふうに思います。
 次の癒着と再就職の問題、再質問をさせていただきたいと思うんです。
 業者との癒着と再就職の問題では、県土整備部長と総務部長のお二人から答弁いただきました。原因や再発防止ではモラルとか意識の問題を強調されましたし、天下りや癒着と見られるような再就職の規制、こうなったら人事課の仕事のようで、国家公務員は法律で規制されているが県としては自粛を指導している、そういうお話だったですね。営業を自粛するよう指導している、こういうことだったですね。
 では、実態はどうでしょうか。これ大変ゆゆしき事態です。県土整備部がまとめた資料を見て私びっくりしたんですが、これがその資料ですけども、十五年三月末と十六年三月末、この二年間分の定年退職、中途退職をした土木技術職員の再就職先の一覧表です。結果を申し上げますと、十六年三月の方は、退職してすぐ再就職した十九名のうち何と十七名が法律で言う密接な関係のある営利企業に再就職しています。十五年三月の分では十五名中十四名です。国家公務員ならアウトです。
 総務部長はその指導をしているとの答弁でしたけども、どうでしょうか。県土整備部長の答弁のモラルとか意識の問題をこれは超えているんじゃないでしょうか。再就職はとめられない、営業は自粛してくださいと口で言うだけでは、普通の感覚としては今の時代通らない、こういうふうに思うんです。
 この問題は、これもまたまとめて知事に再質問をさせていただきますが、知事は構造的な問題があるなら徹底的に解明するように指示をされたわけですから、この再就職問題の実態を知事はどうお考えになるのか、そして県行政の根幹である信頼回復に向けた知事の決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。
 以上です。
○議長(小川 武君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 水力発電所の廃止の問題ですけれども、これはもう相手のあることですので、三月三十一日までに話がついてうまくいくかどうかと、これはこれからの話し合いの中に入ってくると思います。だけど、先ほどの答弁でも申しましたように、この公営企業としての発電事業というのはそもそも、自治体が行うものだと、もともとは電力が少なかった時代に必要性があってみんな始めたんだけども、今ではもうそういうふうな実態ではなくなってきていると。そういうふうな中で県としてこれからどういうふうにしていくかというふうなときに、関西電力が僕はそんなに信頼できない会社だとは思わないけれども、そこが適正な価格で買って引き継いでやっていきますというふうなことを言ってくれるのは、これは僕はそれなりの合理性のあることだと思うし、それでそのときに安全面というふうなことについて絶対におろそかになることがないようにということを県の方が管理者としてこれからも続けていくということも、これまた当然のことなんで、いずれにせよ細部について詰めないといかんようなことについては、今御指摘もあったような点も含めてこれから鋭意詰めていってお互い交渉していくというふうな話になってくることだと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
 それから、技術の職員の人の再就職の問題ですけども、これは正直言いまして、国の場合は非常に広い範囲でいろいろな就職先を探すことができるというふうなことがあるわけですけども、これは和歌山県に限らず地方公共団体の場合は、そんなにたくさんの就職先があるわけではありません。そしてまた年金の問題とか、いろんな問題がある中で、やはり公務員の人も退職した後、生活していかなければならないというふうな問題もあります。そういうふうな中で、今言いましたような癒着というようなことが絶対に起こらないように、営業活動というふうなものについて当面二年間ぐらいは自粛するようにというふうなことを徹底していこうというふうなことを言っているわけで、これはやはりいろいろその人の生活の問題もありますので、そういうふうなことで御理解いただきたいと思うんですが、ただ、このことについては、これはもう和歌山県だけの現象ではなくて、日本全国どこでもそういうふうな状況になっておりますので、そういう中でまた大きな動きが出てくればそれに合わせて和歌山県も積極的に対応していきたい、こういうふうに思っております。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 ありがとうございました。
 関電との交渉は相手のあることで、地元とも細部をこれから詰めていきたいんだという御答弁の趣旨であったかと思うんですけども、何しろ帳簿価格でも百三十億円のものですから、これ幾らでという話し合いになるのかということも含めて、地元との話し合いをきっちりされるかどうか私は見ていきたいと思っていますし、私がお聞きした地元の合意なしに売るということはしない、これ明言できるかどうかということについては、はっきりしたお答えがなかったので、その点についてもう一度お答えを願いたいというふうに思うんです。
 それから、先ほどの癒着の問題、そういうふうな不信を抱かないように信頼を回復するためにどうするかということですが、もちろん国民一人一人には、公務員である以前に憲法で保障された権利があるわけで、それは大事なんですけども、それが公務員としてのその地位を利用したことにならないか、癒着の温床にならないかという点は、これはシビアに今の時代見られている問題だというふうに思っています。ですから、このままの今のままでいいというふうには私は思っていませんし、これからも厳しくやっぱりその姿勢を改めていきたいというふうに思っています。
 一点だけ、答えをお願いいたします。
○議長(小川 武君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 当然、県の方は行政の責任を持つ者として、住民の人にいろいろな情報の開示とかをしていく義務はありますし、当然このことについてもそういうふうなことは行っていこうと思っておりますけれども、しかしながら、いろんなことを終わった後で最終的な決断をするのはやはり県の責任でありますし、また企業局としての──企業局というのは経営の採算性を考えないといかんところでございますので、そういうふうな判断のもとに行っていこうというふうなことでございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 お許しを得ましたので、一般質問に入らせていただきたいと思います。
 初めに、関西国際空港に関する諸問題についてお尋ねをいたします。
 イギリス・ロンドンに本部を置きますスカイトラックス社という会社が最近公表いたしましたランキング、調査結果を御紹介したいと思います。同社は一九八九年創立とまだ二十年に満たない比較的若い会社でございますけれども、昨年二〇〇三年六月から本年三月まで十カ月間にわたって、世界八十六カ国、四百八十万人の人々を対象に投票方式で調査をいたしております。その結果「エアポート・オブ・ザ・イヤー二〇〇四」というランキングが公表されました。対象者数が極めて多いことから、この調査結果は極めて信頼性が高いと考えていいと思います。
 その調査項目は以下の六点であります。
 一つ、ターミナルビルの待合いすが十分あるか、快適ないすであるか、ターミナルビルの雰囲気や装飾物、清潔さ、それに喫煙室があるか。第二点、トイレやシャワールームの場所や利便性、それに清潔度や場所のわかりやすさ、身障者やベビー用施設の充実度。三点目、旅客セキュリティー手続に要する時間や待ち時間、セキュリティーサービスの効率性や丁寧さ。四点目、出入国時の手続時間や稼働カウンター数、スタッフの言語能力や態度、丁寧さ、親切さ。五点目、ビジネスセンターの場所や利便性、インターネット施設の場所や利便性、それに電話、ファクス、ATMなどの機器の位置や利便性。六点目、空港内店舗の種類や商品の品ぞろえと価格、スタッフのサービス度であります。
 この六項目は空港を利用する旅客の満足度を知るための部門をほぼ網羅していると私は思いますけれども、この調査によるランクづけで関西国際空港は、世界に数ある国際空港の中でトップテン、第九位にランクされているのであります。ちなみに、我が国のもう一つの国際空港であります成田の新東京国際空港は第二十九位でありました。
 気になるアジアの他のライバル空港でございますけれども、トップテン入りしておりますのは、香港のチェックラップコック国際空港が一位、シンガポールのチャンギ空港が二位、韓国・ソウルの仁川国際空港が四位、マレーシア・クアラルンプール国際空港が五位と、いずれも上位にランクされているわけであります。すなわち、関西国際空港はアジア地区で第五位ということになるんでありましょうか。
 関西国際空港の項目別の順位を見てみますと、出入国管理部門で堂々の第一位、トイレ・シャワールーム部門で第三位、ターミナルビルの快適性の部門で四位、旅客セキュリティー部門では七位と、いずれも高い評価を受けているのであります。残念ながらビジネス施設と空港内店舗の両部門でトップテンにはるか及ばず、今後の課題となっておりますけれども、この両部門を除けば世界のトップスリーにランクされたと言ってもいいんではないかと私は思います。
 さて、去る九月三日、関西国際空港開港十周年記念式典がホテル日航関西空港で行われました。私も、関空対策特別委員長のゆえをもちまして参加させていただきました。関西国際空港の計画が決定してから二十年、開港して十年、この間まさにさまざまなことがございました。その道程は決して平たんではありません、山あり谷ありと申し上げればいいのか、言いかえれば苦難の連続であったと言っても過言ではないと思います。
 しかし、ともかく無事に開港十周年を迎え、しかも世界の多くの国際空港に伍して快適性、利便性において極めて高い評価を受けるまでに成長したのであります。私は式典に参加し、会場の一隅でじいんと胸が熱くなるのを禁じ得ませんでした。
 ところで、スカイトラックス社の前年の同調査では関西国際空港は総合ランキング第十二位だったことを考えますと、村山敦関西国際空港株式会社社長を初め、すべての関係者の皆様の懸命の地道な努力の積み重ねのたまものと申し上げていいと思います。
 また、これに先立ちまして七月七日、リッツ・カールトンホテル大阪におきまして、関西国際空港全体構想推進協議会の年次総会が行われました。私は議長の名代として代表して参加をさせていただきました。
 この二つの会合、式典におきまして、いずれも村山社長があいさつに立たれたわけでございますが、そのあいさつの一言一言に、関西国際空港をアジアの国際拠点空港、ナンバーワンにするんだ、何としても二期事業を成功させるんだという熱い熱い思いがひしひしと伝わってまいりました。私は思わずあいさつの中で、二回「そのとおり」と大きな声で叫んでしまったほどでございます。
 開港十周年を一つの節目といたしまして、関西国際空港が新たな歴史の扉を開き、その一歩を踏み出そうとしておりますけれども、まだまだこれから越えていかなければならない課題が幾つも前途に横たわっております。まさにこれからが正念場であろうと思います。
 そこで、関西国際空港をめぐる幾つかの問題についてお尋ねをしたいと存じます。
 まず第一点、いわゆる二期事業慎重論についてであります。
 いわく、関西空港には需要の伸びが見られない、関空会社の経営改善の結果を見きわめる必要がある。これはまあ、二期事業はそれからでも遅くないという意味でありましょうか。滑走路をつくる優先順位は羽田が先だ、公共投資がむだにならぬよう関西三空港について地元で話し合うことが必要不可欠などなどであります。
 そこで、この木を見て森を見ないともいうべき見当外れの二期事業慎重論についてどう思われるか、木村知事の率直な御意見を承りたいと思います。
 二点目、大阪空港問題についてであります。
 七月十三日に、秋山喜久関西経済団体連合会会長を座長といたしまして、関西三空港懇談会という会合が開かれました。この席で大阪空港の騒音問題が議論され、ふえ続ける騒音等の環境対策の問題の改善のために、同空港の発着便数と使用機の規制を強化する方針が浮上いたしました。この懇談会の方針を受けて先月、国土交通省が大阪空港の発着便数の制限等を示したところでございます。
 これを受けて、大阪空港周辺の自治体で構成する十一市協──この会は正式名称は大阪国際空港騒音対策協議会というんですが、俗に十一の市が入っておりますので十一市協と言っております。このメンバーが口々に、なりふり構わぬ関空救済だとか、これ以上の騒音増大はあり得ない、利用者無視だなどといった反発の声を一斉に上げたことがマスコミで報じられておりました。なりふり構わぬとはよくも言えたものだなと、私はあいた口がふさがりませんでしたし、憤りさえ感じた次第であります。
 というのも、かつて私は記者時代に、衆議院で言う大阪三区を担当しておりまして、これは大阪空港から高槻、島本町までの、あの淀川右岸の地域であります。何度も十一市協や大阪空港周辺住民団体、また経済団体等による運輸省や周辺整備機構幹部に対する陳情・要望活動を取材いたしました。その席で、運輸省や周辺整備機構の幹部に対してこれらの人たちが口々に、こんな欠陥空港は一日も早く廃止せよ、大阪空港は出ていけ、私たちの生活を破壊する空港なんて要らないということを口をきわめて大合唱、大阪空港不要論を大合唱していたのをまるできのうのことのように思い出します。まさに運輸省や周辺整備機構幹部を糾弾するがごときその姿を見て、私は取材をしておりまして何もそこまで言わなくもいいじゃないかと正直思ったものであります。
 このように、大阪空港は欠陥空港でありますから、十一市協や住民の圧力によりまして、すなわち彼らの要求によって、夜間の離着陸が禁止され、一日の発着便数やまたジェット機の発着回数にも制限が加えられたわけで、現在に至っているわけでございます。
 また、国際航空需要が大きく伸びを示す中で、夜間の離着陸が禁止され発着便数にも制限のある大阪空港ではこれからの新しい時代の国際空港にはなり得ないということで、関西の空の表玄関として新たな二十四時間運用可能な新空港の建設の必要性に当時迫られていたわけでありまして、この結果、さまざまな紆余曲折を経て、大阪空港を廃止し、国策として泉州沖五キロメートルの海上に、騒音問題のない我が国初の二十四時間運用可能な国際拠点空港として関西国際空港が新たに建設されることになったのです。そうではありませんか、皆さん。
 ところが、あに図らんや、関西国際空港が苦難の末に開港しようとするやさきになって、十一市協や大阪空港周辺の諸団体が何を血迷ったか、大阪空港存続を口々に叫び出したのであります。笑止千万なのは、大阪空港の離発着する航空機による騒音で甚大な被害を受けたとして、大阪空港の廃止と被害補償を求めて裁判を提起し法廷闘争を繰り広げていた大阪空港騒音公害訴訟団までもが大阪空港存続を言い出したのには、全く理解に苦しむというか、前代未聞の珍事と言わざるを得ないのであります。
 この大阪空港の騒音問題のために投入された移転補償費や防音工事費などは、昭和四十二年から平成十五年までの三十七年間で、実に七千八百四十七億円もの巨費に達します。この巨費は、ちょうど今、後ほど述べますが、明年の完成を目指して建設が進められております中部国際空港の総事業費に匹敵するものでありまして、南紀白浜空港並みの第三種空港であれば十六個もつくれる巨費なのであります。しかも、これら投入された金はほとんど何の投資効果も生まない金と言っても過言ではないと私は思います。
 これら十一市協や大阪空港周辺の経済団体、住民団体、公害訴訟団などの地域エゴむき出しの行動、発言こそ、私はなりふり構わぬものとの指弾を受けても仕方がないと、ここで声を大にして申し上げたいと思います。
 この関西三空港懇談会の方針を踏まえまして国土交通省が示した大阪空港への発着便数の制限等について、私は本来、関西国際空港にあった便をもとに戻すだけでありますし、関西国際空港への追い風と純粋にとらえていいと思いますが、一部のマスコミ等では関空救済策だという批判をしておりますけれども、いかがでございましょうか、知事の御答弁をいただきたいと思います。
 ところで、不肖私が委員長を務めます本県議会関西国際空港対策特別委員会の県外視察で、去る一月三十日、建設中の中部国際空港を見てまいりました。もうほぼ完成しておりまして、現在ある名古屋空港を廃止してすべてをここに集中する。そして、愛知県を中心として地元財界、自治体が一丸となってこの中部国際空港の立ち上げに取り組んでおります。まさに関西の状況とはまるで違うわけでございまして、これはやがて将来、関西国際空港の大変強力なライバルになるんではないかと、私は危機感を感じました。
 この点から考えましても、関西国際空港の国際拠点空港としての整備を急がなければならないこと、すなわち二期事業の当初の予定どおりの供用開始に全力を挙げて取り組まなければならないということをあえてつけ加えておきたいと思います。
 そこで、関西国際空港の二期事業の必要性について、何点か例を挙げて申し上げたいと思います。
 IATA(国際航空運送協会)やICAO(国際民間航空機関)等が最近、相次いで将来の航空需要の予測を発表しております。例えばICAOは、一九九九年から二〇一〇年、この十二年間に世界全体での平均伸び率は年間四・五%ですが、アジア大洋州は七・〇%と予測をしております。また、IATAですけれども、これは一九九九年から二〇一四年、十六年間で世界全体が四・三に対してアジア・太平洋州が四・八%、それからWTO、世界観光機関でございますが、これが二〇〇二年から二〇二〇年、十九年間で年平均伸び率が世界全体が四・一に対して東アジア・太平洋は五・〇%。いずれも、アジアがこれから大変な航空需要の伸びが期待できるし、ふえるのではないかと見ているわけでございます。
 また、お隣の中国、今大変な観光ブームになっているそうでございますけれども、一九九六年に中国の出国者数が五百六万人であったのに対して、二〇〇三年最新のデータで二千二十二万人、実に七年間で四倍の伸びを示しているのであります。それから、これ以外にも香港市民の我が国に対してのビザがことしの四月から免除になりましたし、韓国からの修学旅行生のビザも同じくことしの三月から免除になっております。それから、中国からの修学旅行生のビザ発行手数料も無料化にこの四月からなりました。
 それから、昨年、我々が関空エアポートプロモーションで行きました中国の方でございますけれども、今まで上海、北京、広東省、この三つしかビザが発給されませんでしたけれども、新たに浙江省、江蘇省、遼寧省、天津市、そして我々の姉妹友好先でございます山東省、この五つの地域がビザ発給対象地域に拡大されることに決定をいたしました。浙江省、江蘇省というのは、「江浙実らば天下飢えず」と言われた中国でも一番古くから穀倉地帯で豊かな地域でございます。その地域とあわせて山東省も含まれることになりました。
 このようなさまざまな観点から、今後、我が国への観光客の増大が見込まれるのであります。成田空港が現在ほぼ満杯状態の中で、こうしたふえ続ける航空需要を受け入れることのできる唯一の国際拠点空港として、二本目の滑走路が必要不可欠のものとなることは明らかであります。これが第一の理由。
 第二に、既に関西空港の一時間当たりの発着回数が限界に近づいておりまして、例えば現在、大体一時間発着枠は三十回と定めておりますけれども、午前十時台がもう既に三十回、そして夕方の十七時から二十時の間ほぼ満杯に近い状態でございます。十七時台が二十八回、十八時台が二十三回、十九時台はもう三十回、二十時台が二十八回、こういう状態であるということ。これが第二点。
 それから、第三点として、我が国唯一の二十四時間空港でございますので、この機能をフルに発揮するためにも現滑走路のメンテナンスをする必要がある。これは週三回、それぞれ三時間かけてやるわけでございまして、今は深夜にやっているそうでございますが、このメンテナンスのための滑走路閉鎖の解消をする必要がある。それが三点目。
 第四に、四千メートル級の滑走路を複数持つというのは、これはもう今やグローバルスタンダード、世界基準であるということ。
 以上の理由によりまして、二本目の平行滑走路の二〇〇七年、平成十九年の供用開始は、ぜひとも実現しなければならないものと考えますが、木村知事の率直な御意見を聞かせていただきたいと思います。
 ところで、明るいニュースがあります。私は本年六月、東京浜松町にありますスカイマークエアラインズの本社を訪問させていただきました。西久保愼一社長に会ってまいりました。なぜなら、同社が本年五月に関西─羽田間に新規就航する意向を表明したからであります。西久保社長は、我が社は羽田空港に新規優遇枠ということで八便往復の新規就航枠を持ってるんですけれども、今それを全部JAL、ANAに貸していると。四便ずつ。それを二便ずつ返してもらって、ぜひとも四便、シャトル便を関空─羽田間で飛ばしたい、そういうことをおっしゃっておられました。私たちにとってこれは願ったりかなったりのことでございますし、ぜひとも早期に実現をしてほしいというふうに強く申し上げたところでございます。西久保社長は、私たちもそう考えておりますけれども、ぜひとも皆さんの御協力と御支援をお願いしたいと、強く語っておられました。
 そして、先週の金曜日、九月十日、同社は国土交通省に対し、羽田─関西路線一日四往復、新規就航を正式に申請したのであります。同社は明年三月十一日から運航開始を希望しておりますが、これによって、現在、関西─羽田間のシャトル便で最大五時間の空白時間がございますが、これが埋められることになり、喜ばしい次第であります。
 ところで、去る七月二十一日と、つい先日の九月九日の二度にわたって西久保社長が木村知事を表敬訪問されているそうでございますので、この同社への協力支援について、木村知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 この項の最後に、関西国際空港をめぐる今後の取り組みについて触れたいと思います。
 尾崎要二議員の後を受けまして、私、関西国際空港対策特別委員長を仰せつかっておりますが、以来、さまざまな活動に取り組んでまいりました。主なものを申し上げますと、まず昨年九月に関西国際空港の二期滑走路の建設現場を見てまいりました。それから、十一月十九日から二十二日にかけて、先ほどもちょっと申し上げました関西空港のエアポートプロモーション活動の一環として、山東省人民政府、それから中国政府、民航総局、また山東航空等を訪問させていただきました。また、本年一月に東京の全日空等々、航空会社を訪ねるとともに、中部国際空港を見てまいった次第でございます。さらに、七月十五日から十六日にかけて国土交通省、政府・与党二党の安倍、冬柴両幹事長、それから和歌山県選出の国会議員の皆さんに対して、この二期事業推進のための陳情をさせていただいたところでございます。
 今後も我が委員会としては、委員の皆さんにお諮りをする中で、可能な限り積極的に活動を行っていくつもりでございます。関西空港のために私たちは何ができるのか、いや何をすべきなのか、県当局におかれましても、ぜひとも活発な発言と精力的な活動をお願いしたいと思います。企画部長、よろしくお願いしときます。あの十一市協などに好き勝手なことを言わせておくのではなくて、これに負けないだけの発言と行動力を展開していただきますよう、この点は要望させていただきます。
 二番目の質問項目に入ります。観光振興についてであります。
 関西国際空港の中でも触れましたけれども、近年の経済発展によりまして豊かになったアジア諸国が今海外旅行ブームの中にあります。例えば、先ほども申し上げましたけれども、中国ではこの数年の間に四倍にふえた。恐らくこれは今後も物すごく爆発的に伸びていくと、そのように私は思います。加えて、ビザの免除がされるなど非常に海外へ出やすい環境づくりが進んでいるわけでございまして、観光ビッグバンと言われる観光客の増大が確実なものとなりつつあります。我が国政府もこのような観光ビッグバンの到来を見据えてビジット・ジャパン・キャンペーンを推進中でありまして、訪日外国人旅行者を二〇〇二年実績五百万人から一千万人に拡大、倍に拡大するということを目標にさまざまな取り組みを進めていると聞き及んでおります。
 さて、高野・熊野と参詣道が世界遺産に登録されて以来、新聞・テレビ等マスコミで連日のように取り上げております。すなわち今、全国民が高野・熊野に非常に大きく注目をし、関心を示しているのでありまして、この宣伝効果たるやはかり知れないものがあり、この流れはやがて海外へも波及していくものと思われます。
 以上の諸点を踏まえて、以下四点にわたり、お考えをお聞きしたいと思います。
 まず第一に、PR宣伝についてでありますが、マスコミ任せにするのではなくて、本県が主体的に和歌山県の魅力を内外にどう発信していくか、そのお考えをぜひとも商工労働部長にお聞きをしたいと思います。
 第二に、観光立県を標榜する本県としては、県外、国外からの内外の観光客の皆さんにいかに和歌山への好印象を抱いていただくかということが大事だと思いますが、これらの旅行者の皆さんにリピーターになっていただくために、観光にかかわる業界の人たちだけではなくて、百七万県民全員が受け入れ側としてホスピタリティーの向上に取り組むことが肝心であろうと思います。このことについて、観光局として、商工労働部として、どのような戦略のもとにどう取り組むおつもりでありましょうか、商工労働部長のお考えをお尋ねいたします。
 第三に、近年急速にふえ続ける海外からの観光客のための受け皿づくりとして、関係者のための語学研修や各国語による観光案内パンフレット、観光案内看板の作成、設置等にどう取り組むおつもりでしょうか。これはいろんな部局にわたりますが、商工労働部長、まとめて御答弁お願いを申し上げます。
 第四に、観光地や道の駅、鉄道駅等の公衆トイレのグレードアップについてであります。
 私たちもいろいろなところへ、県外、国外へ行ったときに思うんですが、トイレのきれいさというのは非常に大事なんですね。小さな問題ですけれども大事だと、その土地の印象をよくする、悪くする大事な点だと思うんです。例えば、水が出なかったりとか、便器が汚れている、壊れている、あるいは悪臭がする、そういうトイレではもう二度と使いたくないし、非常にその土地の印象も悪くなる。そういう意味で、本県への好印象をいただくために大事なことでございますので、これら公衆トイレの維持管理、グレードアップにどう取り組んでいくおつもりでございましょうか。これもいろんな部局にわたりますが、商工労働部長、まとめて御答弁よろしくお願いします。
 最後に、県立情報交流センターBig・Uについてお尋ねをいたします。
 設計会社の見通しの甘さ、ルーズさが原因となりまして完成がおくれたことは、まことに遺憾にたえないところでございます。ただ、ともあれ完成を目前に、すばらしい施設が完成に近づきつつあることを素直に喜びたいと思います。教育研修センターだけではなくて県民みんなが利用できる施設にすべきだと私かつて提言したことがございますが、今ようやく完成を前に「全国マルチメディア祭二〇〇四inわかやま」の開催にこぎつけましたことに、ほっとしている一人でございます。
 完成を間近にしたこのBig・Uを去る七日、建設委員会の県内視察で前芝委員長のもと行ってまいりました。一緒に行かれた同僚・先輩議員の皆さんも、立派なものができたなという感想を述べておられたのを私も耳にしております。私もそう思いました。仏つくって魂を入れるために、今後いかにこの施設をフルに活用していくか、Big・Uの活用、運用について、企画部長から答弁よろしくお願いを申し上げます。
 第二に、これもかねがね提案申し上げてきたことでございますが、このBig・Uを核として白浜町、田辺市地域、南紀の空き保養所施設も活用して、IHS構想に基づいてIT先進企業等の誘致にさらに力を入れていただきたい。現在までの進出企業とそれに伴う雇用創出の成果もあわせて、今後の取り組みも含めて商工労働部長の答弁を求めるものでございます。
 以上で質問を終わりますが、何せ私、最後の質問者でございまして、もう皆さん少々お疲れの方もいらっしゃいますでしょうし、どうぞ答弁は簡潔明瞭に、冗長にならないようにお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(小川 武君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) では、長い答弁を予定しておりましたが、手短にいかせていただきます。
 まず、二期事業慎重論に対する私の立場ですけども、泥棒を捕まえてから縄をなっているようなことでは全然話になりません。今さっき森議員がおっしゃったように、中国は今非常に発展していて、いずれどんどん日本との間に飛行機で行ったり来たりする人が出てくるようになると思います。そのときに、今から埋め立てましょうということでは全然話にならない。今ごろ大きな国際空港で、一本だけの滑走路でやっているようなところは、世界を見渡してもありません。二本なんていうのは、私は最低の線だというふうに思っておりますので、県としてもそういうふうな立場を堅持していろいろ発言をしていきたいというふうに思っております。
 それから、今度、伊丹の制限ということですけども、これは当然のことでして、その時々の声の大きい人の話によって方針をいろいろ変えてきたことが今日の混迷につながっていると思います。ようやくこういうふうな、ある程度原点に返るというふうな方向が出た。これを奇貨として、関空がますます国内便についてもいろんなところと、返ってくる分だけじゃなくて、さらにそれでにぎわいを取り戻してほかもここへ来るというふうな形にやっぱりしていかないといかんと。これについてもいろいろ発言をしていきたいと思います。
 それから、スカイマークエアラインズについては、この間、西久保社長が来られました。非常に積極的な方ですし、これでシャトル便がふえるということで一気に利便性が高まると思います。そのことがまた、例えば今、堺の人は大抵伊丹へ飛行機に乗りに行っているというふうなことですけども、この辺がやっぱり返ってくることがなかったら、なかなか関空のにぎわいというふうなことは難しいと思いますので、そういうふうなこと、和歌山県も積極的に利用していくというふうなことで努力をしていきたいと考えております。
 簡単ですけども、以上です。
○議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 二項目めの観光振興で、観光立県の実を上げよの四点についてお答え申し上げます。
 まず、PRの強化にいかに取り組むかでありますが、今回の世界遺産登録を契機としたマスメディアの取り上げ状況は予想を超えるものであり、現在も国内外からの取材が相次いでおります。また十月からは和歌山県大型観光キャンペーンを展開してまいりますが、今後とも情報発信力のあるキャンペーンの実施、さらには全国約五百のテレビ、新聞、雑誌等に定期的かつ迅速に幅広い観光情報の提供を行うなど、一層の取材誘致を進め、世界遺産登録の効果を県内各地に波及させてまいりたいと考えてございます。
 次に、ホスピタリティーの向上についてでありますが、ホスピタリティーの向上は観光客をお迎えする上で極めて大事なことであり、特に世界遺産登録という国内外から本県が注目されているこの時期を、ホスピタリティー向上の大きな機会ととらまえております。大型観光キャンペーンに先立ち、バリアフリーやおもてなしの心などについて、宿泊施設、交通機関等に対する研修を昨年度より県内各地で延べ十八回実施しております。また、観光事業者だけではなく、県民意識の高揚を図るため広報誌を活用するなど、ホスピタリティーの向上を図ってまいります。
 次に、海外からの観光客の受け入れのための語学研修、各国語のパンフレット、看板の設置についてでありますが、海外からの観光客の受け入れ対策は、誘致活動を実施していく上で重要なものであると考えております。国の地域限定の通訳案内業制度の創設の動きも見据え、ボランティア等に対する通訳ガイド研修を延べ四回、約七十名の参加を得て実施いたしました。また、多言語のパンフレット、接客会話集等を作成するとともに、外国語による看板等の整備を進めているところであります。今後とも観光関連事業者等との連携を図りながら、受け入れ体制の整備に努めてまいります。
 次に、国外、県外からの観光客のために道の駅、鉄道の駅、観光地等のトイレのグレードアップについてでありますが、公衆トイレにつきましては、観光地のイメージに大きな影響を与える要因と考えております。このため、要望のあった市町村に対して新設や改修に補助を行うとともに、あわせてバリアフリー化等も考慮して対応しているところであります。今後とも企画部、環境生活部、県土整備部と連携を図りながら、快適な空間づくりを目指してまいります。
 次に、三項目めのBig・Uを核としてさらなるIT先進企業の誘致をでありますが、IT先進企業の誘致につきましては、IHS構想を推進するための優遇制度の創設、遊休保養所を活用した白浜町ITビジネスオフィスの整備支援、アンテナを高くした誘致活動等により、鋭意推進しているところでございます。
 既に白浜町内の遊休保養所に二社、本年一月に開設された白浜町ITビジネスオフィスにも二社が入居するなど、首都圏から白浜町に四社、また田辺市へは二社の合計六社が進出決定し、七十名近い地元雇用を創出しております。さらに現在、数社と交渉中であります。
 今後はIT人材育成、産業支援の拠点機能を担う県立情報交流センターBig・Uを十分に活用し地元市町、NPO等関係機関との緊密な連携のもと、本構想のより一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(小川 武君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) Big・Uの活用、運用についてお答えいたします。
 県立情報交流センターBig・Uは、本県が田辺・白浜地域で展開しておりますIHS構想や、総務省の指定によるITビジネスモデル地区構想等の中核拠点として整備を行っているところでございます。
 本施設は、SOHO事業者、NPO法人情報セキュリティ研究所、和歌山大学、県総合教育センター、県立図書館紀南分館、県情報政策課など、教育とITにかかわるさまざまな機関が集積するという特徴を有しており、この特徴を生かして、地域の将来を担う優秀なIT人材の体系的育成に特に重点を置いて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 そのための第一歩として、県民のIT利活用能力の向上とともに各産業分野におけるIT利活用の一層の普及と促進を目指し、和歌山型ITスキル標準としてITの実務能力に関する標準的な研修体系づくりを進めているところでございます。
 また、Big・U内の交流スペースや各種のコンピューター機器等につきましては、単にSOHOブース等の入居者のみならず、広く地域の民間企業、団体等に利用を開放してまいりたいと考えております。こうした施設の共同利用等を通じて企業間の連携協力が促進されることにより、新たなビジネスモデルやビジネスチャンスの創造、創出に結びついていくものと考えてございます。
 さらに、施設の管理運営については、指定管理者制度を採用して民間ノウハウの積極的な導入を図るなど、Big・Uの活用・運用に当たりましては、今後ともさまざまなニーズに柔軟かつ迅速に対応しながら、IT産業の集積と振興に積極的に取り組んでまいります。
 なお、十一月に開催いたします全国マルチメディア祭では、Big・Uにおいてオープニングセレモニー及び地域情報化サミット、政府機関等による各種展示等を予定しており、Big・Uのこけら落としにふさわしい華やかなイベントとしてまいりたいと考えてございます。
○議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番森 正樹君。
○森 正樹君 簡単にします。
 シャトルに乗るならスカイマークエアラインズというわけにはいかんでしょうけれども、勇気を持って新たに参入をしてくれるわけでございますし、県庁はもとより県下市町村でありますとか県内有力企業に対して、ぜひともこのシャトル便に乗るようにと、乗ってくださいというPRもぜひやっていただきたい。私、別にスカイマークエアラインズの西久保社長から何ももらっていませんし、別に回し者でも何でもございませんが、我々の長年のこのシャトル便、五時間もの空白、一時は七時間もあったわけですけれども、それが埋まるわけですから、こんなありがたいことはないんで、これを協力するのは当たり前だと私は思うんで、ぜひともそういう形でお願いをしたい。
 それから、先ほどの質問の中でちょっと申し上げましたが、ある財務省の幹部が、航空需要からいって優先順位は羽田が上だと。こんなばかな話は僕、ないと思うんです。あれは国内空港で基幹空港であって、関西空港は成田と並んで国際空港なんです。その国際空港と国内の基幹空港を同列に並べて、需要でいったら向こうの方が上だ。それは東京という大きなヒンターランドを持っていますから、首都ですから、それは需要は大きいでしょう。だけど、そんな問題じゃないんで。知事もおっしゃったとおり、これは国策としてやることであって、需要からいって羽田が上だなんて、そんなばかなことを言っている財務省、これは本当に問題だと思うんですけれども、それに対してもそうではないんだと、関空の二期事業早期の完成、実現がこういう理由で必要なんだということを我々も声を大にして叫んでいきたいし、ぜひとも当局もそういう方向で努力をお願いしたいと思います。
 以上、いずれも要望であります。
○議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十六分散会

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