平成16年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第八十九号から議案第九十八号まで、並びに知事専決処分報告報第六号から報第十二号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。──済みません、おくれまして。忘れ物をいたしましたので、申しわけありません。
 議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 四つの点に質問をさせていただきますが、第一に和歌山県立医科大学の独立行政法人化についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年十二月に県立医科大のあり方懇談会が提言をまとめまして、このたび、県としての医科大学改革基本方針が示されたところです。その中で、現在県立医大である医科大学を平成十八年四月一日から地方独立行政法人法による地方独立行政法人とするとしました。そして、今年中を目途に法人化の基本計画を策定するとしているところです。最初に、この基本点についてお尋ねをしたいと思います。
 現在、公立大学では、既に法人化された大学から近く法人化を予定している大学、全く法人化を検討していない大学といろいろあるところですが、法人化を予定している中には、東京都立大学や大阪府立大学、横浜市立大学があります。都立大学では、教員定員数を八百六十七人から五百十五人へ一気に減らすリストラ計画が大学関係者の頭越しに打ち出され、採用期間を限定した任期制のポストを強要するといったことがあり、大学陣が都の強引なやり方に猛反発をしております。横浜市でも、新しい大学への移行は再就職とし、任期制を原則とし、市の財政による研究費の負担は行わない、学費を値上げするという答申が行われ、大学側から、これも強い反発が出ているところです。大阪府にいたしましても、大学関係者が参加しない諮問機関でまとめた報告をもとに基本計画を策定し、大学の評議会の意思決定を得ないで教員定数の一〇%削減、学費のあり方の検討、教員の任期制の導入などが盛り込まれています。これらのケースでは、いずれも行政が大学の意見を聞くことなしに、経費の削減などを主な理由に法人化や任期制の導入が打ち出されているのが特徴です。
 昨年十月、公立大学協会が公立大学法人化に関する見解を発表されております。その中に、設置実態に対する要望があります。一番目の項目には、「公立大学法人に移行するか、旧来のままの設置形態(直営)を維持するかの選択を、設置自治体が各大学との協議をふまえた上で判断する」ということが掲げられております。これは、国立大学がこの四月から全国一斉に法人化されたのとは異なり、公立大学には法人化しない選択肢も認められているからです。
 法人化することで県立医大の性格も変わります。医大で働く教授や教官、附属病院の医療スタッフは、地方公務員ではなくなります。大きな影響があり、法人化するかどうかは大学当事者との協議が欠かせないものでもあります。この点で、基本方針に「十八年四月から法人化する」と決定する結論を導く上で、大学当局との協議の経過内容、大学当局との間で検討された論点をお示しください。その上で、法人化への移行という結論となった理由をお示しいただきたいと思います。
 なお、和歌山医大では教育・研究・診療という重要な役割を果たしているところです。何よりも県民の健康を守る医師の養成を任務としており、地域医療の中心的医療機関でもある附属病院、また予防・健康増進対策を支援することも期待されているところです。
 基本方針では法人化によるメリットとして何点か挙げていますが、医科大学の中期目標、中期計画、年度計画について県の評価委員会が業務の実績評価を行うことになり、運営交付金は県の財政から支出をされます。県財政と大きくかかわっています。県が今後法人化計画を具体化するのであれば、大学当局との綿密な協議を重ねること、何よりも県民の命を守る医療の向上、よい医療、医療人の養成、県民の福祉の増進を最優先にする立場に立って、期限に縛られることなく県民の立場に立った大学改革が求められると思うのですが、いかがでしょうか。
 医大に関連した最後の問題で、紀北分院についてお聞きをいたします。
 あり方懇の提言では、県を含めた一部事務組合形式、公設民営方式なども想定されるところです。大変厳しい意見が盛り込まれてもいましたが、今回の基本方針では、地域医療の中核拠点として住民に信頼され支持される地域に根差した規範となる病院になること、また大学附属病院本院の教育・研修機能を補完し、幅広い分野の医療に対応できる総合診療能力の高い医師を育成するための機能の充実などが掲げられています。こうした方向については地域住民の願いとも合致すると私は思うのです。しかし、方針でも指摘しているように、病院施設の老朽化など、抜本的な医療関係の整備が求められているのも事実です。私は、県がこれまで紀北分院の環境整備を打ち出しながら実際には手をこまねいてきたのではないかとの住民の方の批判も聞いてまいりました。医大法人化の方針を出した今、紀北分院の環境整備を言うのでしたら、県が地域の方々の声を十分に聞きながら分院の整備に責任を持つことをここで明言していただきたいのですが、以上のことについて知事の答弁を求めたいと思います。
 二つ目の質問に入ります。乳がん検診の充実強化についてであります。
 厚生労働省のがん検診に関する検討会は、女性特有の乳がんは年間三万五千人が発症し、約一万人が死亡していると言っています。最も発症しやすい年齢は四十五歳から四十九歳で、四十歳代が好発年齢で、女性のがん死亡の第一位にあるとも言っていますし、今後、女性のライフスタイルの変化などによって増加することが予想されるとも述べているところです。
 そこで、和歌山県の平成十四年度乳がんの死亡率は全国十位と高い水準にあります。また、十四年度の乳がん検診の受診状況は、検診を受けた人の割合は二万九千八百七十二人で一四・五%、そのうち精密検査を要する人は二千三百三十三人で七・八%、医療機関などで精密検査を受けた人は千五百四十七人で六六%、乳がんが発見された人は四十七人で〇・一六%でした。乳がんに限らずがんは、いずれのがんも早期発見・早期治療によって予後は良好となり、健康を取り戻すことは最近の診断技術や治療技術の進展によって可能となってきている状況にあります。
 厚生労働省は、本年四月二十七日、乳がん検診と子宮がん検診の実施について見直しをいたしました。そして、がん検診指針の一部改正が行われ、今、その施行に入っているところです。
 私は、ここであえて乳がん検診に限定して質問を申し上げたいと思います。
 私は、女性のとうとい命が乳がんによって失われたくないという思いから、見直しによる充実強化を願うものであります。これまで事業の実施主体である市町村の積極的な努力と医療関係者の協力のもとで受診者がふえているのも、今の状況でもあります。また県は、検診機器の整備に大きく貢献しているところです。が、今回の見直しにおいては三つの点が指摘をされ、その改善が求められているところです。その指摘の一は検診率が低いこと、二つ目には死亡率減少効果の観点から実施方法や対象年齢に問題があること、三つ目には精度管理が十分なされていないこと、このことが指摘をされているわけですけれども、このことから乳がん検診については乳房エックス線検査いわゆるマンモグラフィーを原則とする、しかしマンモグラフィーの整備状況が進んでいない現状を考慮して当分の間は視触診もあわせて実施するとなっています。マンモグラフィーによる検診実施は、乳がん発見率が非常に高く、年々整備も増加していますが、導入後三年経過した今でも四八%で、普及は進んでいない状況にあるとして、その導入と強化を求めているところです。マンモグラフィーによる乳がん検診の実施については、実施医療機関も認定施設となり、そして医師、診療放射線技師についても専門的な知識・技術が求められています。習熟した撮影技師や読影医師の必要性と基準が改めて示されたところです。
 私は、乳がんで女性が命を奪われないためにも、何よりも検診体制の充実強化を強く望むものであります。その必要性を聞き、また体験した事例を紹介し、質問したいと思います。
 私は、きょうはこのバッジ──これは乳がん撲滅ということでつくられたバッジだそうです。ここにしておりますけれども、かわいいリボンです。これはピンクリボンと言いまして、乳がん撲滅を願う世界共通のシンボルマークだそうです。シンボルマークに託されたメッセージを多くの人に伝えてほしいという思いから、ここにあります、「日本では十二分に一人が乳がんと診断されています。しかし、乳がんは早期発見すれば命を落とすことのない病気です」。エイボンという化粧品会社がこれに協力しているんだそうですけれども、そういう点で乳がんの撲滅運動に国際的なマークとしてリボンがつくられております。これを私は先日、乳がんを発症した方からいただきました。きょうはその思いも込めて皆さん方に体験を訴えて、紹介をして、そしてその撲滅実現のためにお力をかしていただきたいと、このように思うところです。このことから、乳がん検診についてはマンモグラフィーの整備が言われているわけです。
 私の友人の三十二歳の娘さんが、昨年、和歌山市の子宮がん検診カードを持って初めて子宮・乳がん検診を受けに公的病院に行きました。左乳房に小さなしこりがあることに気づいたこともあって、外科の検診担当医に「このしこりは何でしょうか」と尋ねました。医師は触診しながら「おお、あるある」と言いながら、しかし「このカードでは触診しかできませんよ」と言われて、なぜだろうと思いながらも聞くことができませんでした。医師は、一、二週間のうちにこのしこりが大きくなったり痛みがあるようだったら受診をするように指導しました。その後二週間たったころ、触診検診結果が送られてまいりました。「乳腺症だと思われる。経過観察が必要」と書かれていたので、「がん」という字がなかったのでほっとした気持ちがした。しかしその後、しこりは少し大きくなり、かちかちにかたくなって痛みも強くなってきていました。ことし三月中ごろ、ちょうど半年です、受診をいたしました。あの半年前の同じ医師の診察になりました。医師は乳房としこりに触診をしながら「何で、前のとき、エコーをしなかったのだろう」と言いながら、直ちにエコー、マンモグラフィー、そして細胞診検査を指示されました。結果は、残念ながら乳がんでした。そして、手術するよう説明がありました。だけども、本人は何の知識もなくて「手術方法を自分で考えてあした返事を」と求められたわけですけれども、そんな手術の方法など知る由はありません。全く知識のない娘さんはすっかり気が動転して、とにかくその日は帰宅して、翌日、母親と改めて説明を受け、他の病院での手術をするからと紹介状を書いてもらったそうです。そして、今乳がんで苦しんでいる人の心の支えとなって電話相談を続けておられる乳癌カウンセリングin和歌山の岡本久子さんの紹介で大阪厚生年金病院乳腺専門チームによる乳房温存手術を受けた後、今、抗がん剤で治療中であります。彼女には幼い二人の娘さんがあります。彼女は、何としても生きなければという強い気持ちで、副作用にも耐えながらの治療が続いています。今後は、この抗がん剤治療とあわせて放射線治療が六カ月以上にわたって続くことになるそうです。私は、この話を聞きながら、本当につらい思いでした。
 また、このカウンセリングをやっていらっしゃる岡本さんも、三十五歳のとき、しこりがあるのに気づいて総合病院や個人医院での乳がん検診を再々行いましたが、なかなか発見できませんでした。発見できるまで三年もかかったそうです。十七年前のことです。そして、手術までには四年。その間、不安が募り、家の中から一歩も外に出ることもできず、家事など何もする気になれなくて気持ちが落ち込み、それはそれは大変苦しみましたとおっしゃっています。自分のように苦しんでほしくないと考えて、その経験を生かして多くの方々の相談に力を注いでおられます。
 また、岡本さんの相談の中にも、出産を間近に控えている妊婦が乳房のしこりに気づいて、お産前に「ここにしこりがある」と医師に訴えましたけれども、医師は「大丈夫です」と言って、そしてお産をしました。一定の時期が来たときに検査をしたところ、もう手おくれでした。赤ちゃんを残してそのお母さんは亡くなりました。お母さんにとって、また家族にとってもどんなにこの状態が悔しかったでしょうか、悲しかったことでしょうか。そして、十九歳でも発症した女性の方もあったと聞きます。いかに初期の検診の充実と、そして知識の啓発が改めて急がれなければならない、私はそう強く思ったところです。
 岡本さんは、西口知事当時、平成八年ですけれども、第一回の女性一〇〇人委員会の委員でもありました。自分の経験を通して和歌山医科大学の中に乳腺専門外来の設置を提案していらっしゃいます。その願いが八年かかって、この一月から和歌山医科大学に乳腺外来が診療を始めたところです。一定の前進だというふうに思うのですが、遅きに失した感もございます。
 私の友人のこの三十二歳の娘さんは、こう言っています。「自分にちゃんと知識があったら、こんな苦しく悲しい思いはしなかっただろうに」と、涙ながらに今治療中でありながらも私に訴えています。また、「和歌山市のがん検診カードのありよう、触診だけしかできない方法は納得できない。初期検診の大切さを病院に指導してほしい」、また「しこりがあるのに必要な検査が行われなかったため、六カ月も発見がおくれた。最新の検査機器の整備がおくれているんじゃないか。マンモグラフィー整備を絶対に急いでほしい」、また「乳がんに対する正しい知識や予防について啓発を急いでほしい。専門医がどの病院にいるのか、情報を提供してほしいんだ。告知されたときからもう本人は頭が真っ白になってどうしたらいいかわからないという状況が続く中で、その相談や心の支えの支援をしてくれる専門的な人的体制を、また場所をつくってほしい。乳がんについて思春期から啓発をするべきではないのだろうか」、こう訴えています。こうした要望についてどのような感想を福祉保健部長、お持ちでしょうか。お聞かせください。
 また、この見直しあるいは法改正の中で、特に次の点についてもお答えいただきたいと思います。
 本県の乳がん検診率の現状と県目標はいかがでしょうか。精度の高いエックス線検査機器マンモグラフィーを少なくとも二次医療圏域の中核病院に整備をしてはと思うものですが、いかがでしょうか。専門的知識と技術を持つ医師、診療エックス線技師は、このマンモグラフィーの機器には絶対に必要なものであります。この確保が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、一九九八年、国の補助制度が廃止をされた。これは一般交付税化されたところですが、しかし今なお、市町村の実施事業と言ってもなかなか市町村の財政も大変です。先ほど申し上げましたように、市町村が一生懸命努力をして自己負担を軽減しています。補助金制度の復活を国に求めることを要求するものですが、いかがでしょうか。福祉保健部長の答弁を重ねてお願いを申し上げます。
 次に、準看護師から看護師への通信制教育についてお尋ねをいたします。
 今春から、就業経験十年以上の準看護師を対象に、働きながら看護師の資格を取るための二年課程通信制の教育制度が始まりました。今年度は山口、福岡、大分の三校で始まっています。二〇〇五年度、来年度の開設予定は、本県を含む兵庫、徳島など十校が今その準備中と聞きます。本県下の病院、福祉施設などで四千八百人余りの準看護師が今働いています。そして、看護師への教育を受講したいと希望者は千人を超える状況にあると言います。希望者全員が受講できることを私は強く望んでいます。
 これまで進学したいと思いながらもあきらめていた人たちも、やっと道が開けたと、来年の開校に熱い期待を寄せていることも聞いておりますし、開校に向けての進捗状況がどうなっているのか、このことも気になるところです。福祉保健部長からお聞かせ願います。認可申請直前という今日においての答弁でありますから限界があろうかと思いますけれども、答えられる範囲で結構ですので、お答えいただきたいと思います。
 来年四月開校予定ということは聞いていますけれども、受講希望者の皆さんたちは、学費は一体どれぐらい必要なのか、放送大学との活用も言われているけれども、どんな科目で、その学費についての情報がどうしても欲しいという声が多く寄せられています。希望する受講者は、決して安くはないであろう学費の準備が最も気がかりな点です。放送大学の活用についても理解を深めておきたいと、その情報を求めるのはごくごく自然なことではないでしょうか。希望と期待にこたえる情報提供が求められます。この間、どのような情報がどんな方法で提供されてきたのでしょうか。お聞かせ願います。
 県は、この教育制度が看護の質を向上させ、県民に行き届いた看護を提供することに大きく貢献するものであるととらえ、具体的な支援を検討する必要があると考えるものです。
 例えば、学費補助や修学資金制度の適用も考えられます。学費補助については、県看二部の授業料との比較においても積極的な支援措置を願うものですが、いかがお考えでしょうか。人手不足の中から送り出す医療機関などに対する何らかの支援も必要ではないのでしょうか。直接・間接的には送り出す職場の支援は欠かせないものとなりますから、経営者に対して希望者全員の受講を保証する上からも支援体制が急がれなければなりません。学費の補助や勤務軽減、勉強するための学習グループによる支援など、今後の課題として県の積極的な指導が期待されるところであります。また、看護教育は国の責任でもあります。設置者に対しても、経営安定のため、財政援助を国に求めるべきではないのでしょうか。福祉保健部長、どのようにお考えになっていらっしゃいますか、お聞かせいただきたいと思います。
 最後の質問で、岩出町での営業許可についてであります。岩出町での旅館の営業許可にかかわって幾つか質問を申し上げます。
 昨年七月三日、岩出保健所から岩出町根来地内のホテルの旅館業許可申請にかかわり、このホテルが岩出町の設置しているスポーツ施設の百メートル以内であることから、岩出町教育委員会に対して意見照会が行われました。このホテルは、もともとモーテルとして営業していたものが休業し、経営者がかわって旅館としての営業再開が申請されたものです。保健所の照会文書では、この施設は県のモーテル類似施設指導要綱第二条に規定するモーテル類似施設には該当しない施設であると書いてあります。岩出町の教育委員会は、次のような意見を回答しています。「当該施設の北側に位置する根来総合運動広場は、テニスコートやサッカー場などを有し、スポーツ少年団を初めとする住民の方が利用しているところであります。また、当該施設の東側に位置する大門池は岩出町立図書館の建設予定地であり、平成十七年度中に開館する予定であります。また、根来寺周辺地域は図書館建設準備委員会でも文化・文教ゾーンとされており、町においても施設の整備を図っているところであります。当該施設の営業が再開されればモーテル類似施設として利用される可能性が大であります。このことから、教育的配慮及び青少年の健全育成の観点より旅館業法第三条第三項の規定による清純な施設環境が著しく害されるおそれがあると考えます」として、最後に「今回の旅館業営業許可されることについては断固反対します」と結んでいます。地元の自治体が断固反対との回答を上げたのですが、県は旅館業の営業許可をおろしました。私は、ここには最初のボタンのかけ違いがあったのではないかと思うのです。
 この施設は、もとはモーテルだった施設が経営者がかわり、改装して旅館業としての営業許可申請をしたわけですが、県は、この施設がモーテル類似施設指導要綱に規定するモーテル類似施設ではなく旅館ということで申請を受け付けています。要綱では、車庫または駐車場から玄関、帳場を経由せず直接客室へ通ずることができる出入り口を有する構造であるものなど五点に該当するものをモーテル類似施設としています。私は現地を見てまいりましたが、外観からは普通のホテルや旅館とは見えないものでした。町の方も、この施設をモーテル類似施設ではないという県の見解に異を唱えています。
 御承知のように、根来寺は由緒ある寺院であり、その周辺は中世の遺跡が多数あり、歴史学者の皆さんから高い評価を受けている地域でありますし、昨日も、この歴史、とうとい遺跡を残すという、そんな意見がございました。今、岩出町はこの地域を文化・文教ゾーンとしていく考えだと伺っているところです。和歌山県としても、町と協力してこの地域の環境を守る努力が必要だと考えるものです。
 そうした状況を踏まえた上でお聞きいたしますが、岩出町への意見照会は旅館業法施行条例によるものであって、モーテル類似施設指導要綱に基づくものではありませんでした。しかしこの要綱は、大規模の模様がえもその指導の対象になっているとしています。このケースはこれに当たるとお考えになりますか、いかがでしょうか。また、指摘した施設がモーテル類似施設ではないという判断の根拠をお示しください。
 また、この指導要綱は施行後二十年が経過しております。この間のモーテル類似施設審査委員会で審議された件数がおありなのでしょうか、件数をお示しいただきたい。そして、実態と指導要綱の規定が整合性を失ってきている面も出てきていると思いますので、改定を検討する必要があると思いますが、いかがお考えになるでしょうか。環境生活部長の答弁を求めたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 県立医科大学の独立行政法人化について、三点を一括してお答えを申し上げます。
 県立医科大学との協議経過や論点等につきましては、昨年十二月に県内外の有識者で構成された県立医科大のあり方懇談会から、県立医科大学がその機能を一層発揮するためには県行政から独立した組織として法人格を付与し、適正な評価システムを確立して説明責任を遂行しながら主体的に運営することが大学の活性化に有効であるとの提言がなされました。これを受けてことしの二月に、学長を初め大学関係者と設置者側の関係部局長等で構成する医大改革推進会議を設置し、大学を取り巻く環境の変化、県民のニーズの高度化・多様化、少子化の進展と大学間競争の激化等に対応し、県立医科大学としての使命を十分果たしていくためには大学の改革を推進していくことが必要であるとの共同認識のもと、大学側の意見も十分踏まえながら、県立医科大学の改革の目的、現状と改革の方向性、大学の基盤強化の方策等を検討を重ねてまいりました。その結果、現行制度の枠組みの中での改革には限界があり、県立医科大学の改革を推進し、その機能を一層発揮するためには地方独立行政法人制度の活用が有効であるとの結論に至りました。
 次に、法人化の具体像の検討に当たっては、法人化のメリットが最大限発揮され、よき医療人の育成、県民に信頼される良質の医療提供、県民の健康の維持増進への寄与という県立医科大学の使命が十分果たせるようなシステムづくりが重要であると考えております。そのため、大学を初め関係機関とも緊密に意思疎通を図りながら県民の視点に立った改革の実現に向け、十分議論し、検討をしていきたいと考えております。
 紀北分院につきましては、大学附属病院本院における教育研修機能を補完して、総合診療医を養成する機能の充実などのため大学附属病院として存続するとの方針を決定したところですが、その医療環境整備につきましては、設置者としての県の責任を明確にしながら、県立医科大学全体の法人化の中で紀北分院に求められる新たな機能のあり方等とあわせ、地元市町村等の関係団体の意見や財政状況等も勘案しながらどのような医療環境整備が必要なのかについて検討を進めていきたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、乳がん検診の充実強化についてからお答えを申し上げます。
 議員御指摘のとおり、乳がん対策では、検診の充実と乳がんの知識の啓発が重要なことでございます。県内の市町村においては保健師等による健康教育、健康相談を実施しているところでございますが、県といたしましても、乳がんに対する正しい知識の普及に努め、がん検診の大切さ、自己触診の必要性と手法等についても機会をとらまえて啓発活動をさらに強化し、早期発見に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、乳がんに関する最新情報を医療機関等と連携を図りながら県民に提供するとともに、乳がんに不安を持つ女性に対して、保健所、市町村を通じて相談体制の充実等を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に検診の現状と目標でございますけれども、議員述べられましたとおり、平成十四年度の乳がん検診の受診率につきましては、本県は一四・五%と全国平均の一二・四%を上回っている状況にございますけれども、元気わかやま行動計画において受診率を平成二十二年度に三〇%を目標に取り組んでおり、今後も引き続き目標達成に向けて受診率向上に取り組んでまいります。
 次に、マンモグラフィーの整備及び専門的知識・技術を取得した医師、診療放射線技師の確保につきましては、現在、和歌山県で平成十四年、十五年度に購入したマンモグラフィーを積載した検診車を活用するなどして、ほとんどの市町村が視触診とマンモグラフィーとの併用検診を行っているところでございます。
 また、医療機関におきましては、二次医療圏域ごとにマンモグラフィーは少なくとも一台は設置されている状況にございます。しかしながら、今後一層の精度向上を図るため、検診に携わる方々の研修等も含め、和歌山県成人病検診管理指導協議会乳がん部会を中心にしまして取り組んでまいりたいと考えてございます。
 がん検診に対する補助金についてでございますが、がん検診の財源は平成十年度から交付税において措置されてございまして、受診率も上昇傾向が続いております。県といたしましては、今後とも受診率向上について引き続き市町村に要請するなど、努力してまいりたいと考えております。
 次に、準看護師から看護師への通信制教育についてでございます。
 まず、開校に向けての進捗状況でございますが、看護職員の資質の向上を図る方策の一つである準看護師が働きながら修学できる看護師二年課程通信制につきましては、昨年度から県内での設置に向け、積極的に取り組んできたところでございます。各種団体や関係者と協議を重ねた結果、和歌山県病院協会の御理解を得、平成十七年度に社団法人和歌山県病院協会立和歌山看護専門学校において設置することとなり、既に今年一月末に厚生労働省に設置計画書を提出したところでございます。
 また、和歌山県病院協会では、四月に和歌山看護専門学校に二年課程通信制準備室を設置し、七月末までに看護師養成所指定申請書の提出を行うなど、十七年四月開設に向け、準備を進めているところでございます。
 なお、県として、今年度、通信制開設準備に係る費用につきまして予算措置をしたところでございます。
 次に受講に必要な最小限の情報提供についてでございますが、まず授業料等については、和歌山看護専門学校において、現在のところ、授業料一年間二十五万円程度、入学金六万円程度を考えていると聞いてございます。またカリキュラムにつきましては、放送大学履修科目を含め、指定申請に向けて現在検討されていると聞いております。
 いずれにしましても、議員御指摘のとおり、本課程への入学希望者に対し必要な情報を可能な限り早く周知できるよう、和歌山看護専門学校へ働きかけてまいりたいと思います。
 なお、県内の学生確保のため、推薦入試制度も検討をしているとのことでございます。
 最後に県行政としての支援措置でございますが、看護職員修学資金貸与制度の活用は可能でございますが、既存課程の学生からの希望も多く、枠が限られているため、今後の検討課題にしてまいりたいと考えてございます。
 さらに、医療機関等において希望者が計画的に入学できる体制が構築できるよう、機会あるごとに関係機関に働きかけるとともに、啓発活動も積極的に実施してまいりたいと思います。
 本課程の設置につきましては、引き続き和歌山県病院協会を初め関係機関と連携を図りながら積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 岩出町内旅館業許可申請についての御質問でございますが、まず一点目のモーテル類似施設としての指導対象とすべきでなかったのかということでございます。
 今回は既存の施設の改修であり、建築基準法第二条の建築、大規模な修繕、模様がえに該当しないため、建設に係る事前協議を対象とした県モーテル類似施設建設指導要綱の対象に当たらず、また申請書に基づき施設並びに宿泊客の入室経路等を書類審査し、現地調査したところ、同指導要綱の別表第一に規定する要件には該当しないことからモーテル類似施設でないと判断したところでございます。
 次に、二点目の施行後二十年を経ている指導要綱の見直しについてでございますが、社会情勢の変化も見きわめながら、今後必要に応じて検討してまいりたいと考えてございます。
 なお、モーテル類似施設審査委員会における審議件数は三件となってございます。
 今後、経営者の変更による許可申請などの場合は、地域の環境変化などに考慮した上で関係機関と相談するなど、適切な指導に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 要望にかえておきたいというふうに思います。
 医大の独立行政法人化というのは、今から具体的に大学の方とお話しになるということになるというふうに思うんですが、やはり一番肝心なのは、現場の人たちの声を本当に酌み尽くすと。その中でやっぱり選んでいくということが何よりも大事だというふうに思います。
 懇談会の中にも学長なんかが入っていらっしゃいますけれども、大学の中で並行して本当に十分論議をされてきたとは思うんですけれども、しかしこれからが具体的に法人化への道を歩くのにはいろんな問題が出てくるというふうに思うんです。そういう点でも、十分論議の上、県民の医療という、健康を守るという柱になっているところですから、十分注意をしながら進めていただきたいというふうに思います。
 とりわけ紀北分院の問題については、これまでも議会で紀北地方の議員の皆さんたちが随分心配をされて、意見も議会で出されているわけですから、そういう点でも、地域医療とそれから医師の教育という点でも本当に住民の意見を酌み尽くすということを、やはり意見交換を十分するという中で環境を整えていただきたいし、これからの紀北分院のあり方をもっともっと論議をして進めていただきたいというふうに要望をしておきたいと思います。
 それから乳がん検診の問題ですけれども、三年前からこのマンモグラフィーという乳房エックス線が入っているわけですけども、しかしこれはなかなか思うように進んでこなかったということとあわせて、やはりずっと見ても、検診率は高まっているけれども微々たるものだという状況だというふうに思うんです。それで私が先ほど二つの例を申し上げましたけれども、しかし、おくれて亡くなっている人というのは私たちの周りにたくさんいらっしゃるわけですよね。だから、検診に行っても発見できなかったと。しかし、そこに症状が──しこりというのが自分で触診をして、だれの目にでも、またさわってみてもわかっているということが病院等や検診の場で訴えたとしても、それについて適切な初期の段階での医師の判断がされなかったということから見れば、非常に残念なことだというふうに思うんです。
 そういう点でも、このマンモグラフィーの設置というんですか、発見率が高いと言われて、国もこれを積極的に進めるということになっていますが、しかし国はこれは、設置は進めなさいと言うけれども、金出すかどうかについてはわかりませんよね、今の段階でも。今まででも、自分たちで機器については購入をするということになっているわけですから。そしてまた、専門的な知識や技術というものもそういう職能団体にゆだねてしまっているという、そういうものもあるわけですから、そこらはやはり国が責任を持つということだというふうに思うんです。
 持ったからこういうふうにするんだ、今調査をしているんだというふうに言うかもわかりませんけれども、しかし三千万円ぐらいかかるんだそうですね、このマンモグラフィーの値段が。だから、医療機器の設備として補助対象にするような新制度を設けるようにぜひとも国に意見を上げていただきたいなというふうに思うところです。
 そういう点でも、和歌山の女性が本当に乳がんで苦しまない、命を落とさないという立場でぜひ県行政がしっかりと頑張っていただきたいというふうに思います。
 ひとつ、国への補助金制度について。このマンモグラフィーの設置について、医療機器として検討していただいて国に意見を、補助金の新設についての申請をお願いしたいというふうに思います。これは要望しておきます。検討してください。
 それから、準看護師から看護師への通信制度の問題ですけれども、これは七月に本申請をして十二月に結論が出ると。許可しますというようなことになっているということなんですが、それから広報して準備をするというのは大変な努力が要るというふうに思うんです。そういう点でも、情報を受講者に対してできるものはどんどん出していっていただくということにしないとあたふたするというふうな状況で、それに乗りおくれちゃうという受講者も出てくるだろうし。またそして、病院協会等についてはいろんなところで情報が提供される。あそこで決定されていくわけですから。しかし、一般の診療医、診療所、それから福祉施設、そういうところで働いている人たちには情報が全く伝わらないというものがあると思うんです。そういう点でも、決まった内容についてはどんどん、小出しでもいいですから情報を提供をしていただきたいというふうに思います。
 これからいっぱい課題は県行政としてもあると思いますけれども、その都度、また私も提起をしていきたいというふうに思います。
 岩出の問題は、あの根来寺境内周辺というのは岩出町も文化ゾーン・文教ゾーンということで位置づけているわけですから、これから、許可はしたわ、しかし大変な問題が起こってくるであろうということを非常に懸念していらっしゃるわけですね。そういう点でも、岩出町と一緒になって地域の環境と、それからあの一帯をどう守るかという問題を一緒に検討して支援をしていっていただきたいなというふうに思います。
 また、岩出町は最近ずっと人口もふえて開けてきているわけですけれども、関空からの玄関口ですね、岩出町のちょうどこの根来寺のところは。あそこがモーテル街と言われているというふうに──私たちも見てまいりましたけれども。これはやはり、熊野古道、世界遺産という入り口のところでああいう景色がいかがなものかなというふうに疑問を持っているところです。そういう点でも検討を加えていただいて和歌山県へ来る人たちがびっくりすることのないようにしていただきたいなというふうに要望をしておきます。
 以上です。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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