平成16年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成十六年六月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
 平成十六年六月十七日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第八十九号から議案第九十八号まで、並びに報第六号から報第十二号まで(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案等の付託
会議に付した事件
   一 議案第八十九号から議案第九十八号まで、並びに報第六号から報第十二号まで(質疑)
   二 一般質問
   三 議案等の付託
   四 休会決定の件
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       木   下   善   之
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       山   下   大   輔
     二十七番       前   川   勝   久
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十六番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     危機管理監      白   原   勝   文
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     石   橋   秀 彦
     農林水産部長     阪   口   裕 之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳 男
     教育委員会委員長   駒   井   則 彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西 浦   昭   人
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島 光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課副主査     楠   見   直   博
     総務課長       土   井   陽   義
   調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第八十九号から議案第九十八号まで、並びに知事専決処分報告報第六号から報第十二号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。──済みません、おくれまして。忘れ物をいたしましたので、申しわけありません。
 議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 四つの点に質問をさせていただきますが、第一に和歌山県立医科大学の独立行政法人化についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年十二月に県立医科大のあり方懇談会が提言をまとめまして、このたび、県としての医科大学改革基本方針が示されたところです。その中で、現在県立医大である医科大学を平成十八年四月一日から地方独立行政法人法による地方独立行政法人とするとしました。そして、今年中を目途に法人化の基本計画を策定するとしているところです。最初に、この基本点についてお尋ねをしたいと思います。
 現在、公立大学では、既に法人化された大学から近く法人化を予定している大学、全く法人化を検討していない大学といろいろあるところですが、法人化を予定している中には、東京都立大学や大阪府立大学、横浜市立大学があります。都立大学では、教員定員数を八百六十七人から五百十五人へ一気に減らすリストラ計画が大学関係者の頭越しに打ち出され、採用期間を限定した任期制のポストを強要するといったことがあり、大学陣が都の強引なやり方に猛反発をしております。横浜市でも、新しい大学への移行は再就職とし、任期制を原則とし、市の財政による研究費の負担は行わない、学費を値上げするという答申が行われ、大学側から、これも強い反発が出ているところです。大阪府にいたしましても、大学関係者が参加しない諮問機関でまとめた報告をもとに基本計画を策定し、大学の評議会の意思決定を得ないで教員定数の一〇%削減、学費のあり方の検討、教員の任期制の導入などが盛り込まれています。これらのケースでは、いずれも行政が大学の意見を聞くことなしに、経費の削減などを主な理由に法人化や任期制の導入が打ち出されているのが特徴です。
 昨年十月、公立大学協会が公立大学法人化に関する見解を発表されております。その中に、設置実態に対する要望があります。一番目の項目には、「公立大学法人に移行するか、旧来のままの設置形態(直営)を維持するかの選択を、設置自治体が各大学との協議をふまえた上で判断する」ということが掲げられております。これは、国立大学がこの四月から全国一斉に法人化されたのとは異なり、公立大学には法人化しない選択肢も認められているからです。
 法人化することで県立医大の性格も変わります。医大で働く教授や教官、附属病院の医療スタッフは、地方公務員ではなくなります。大きな影響があり、法人化するかどうかは大学当事者との協議が欠かせないものでもあります。この点で、基本方針に「十八年四月から法人化する」と決定する結論を導く上で、大学当局との協議の経過内容、大学当局との間で検討された論点をお示しください。その上で、法人化への移行という結論となった理由をお示しいただきたいと思います。
 なお、和歌山医大では教育・研究・診療という重要な役割を果たしているところです。何よりも県民の健康を守る医師の養成を任務としており、地域医療の中心的医療機関でもある附属病院、また予防・健康増進対策を支援することも期待されているところです。
 基本方針では法人化によるメリットとして何点か挙げていますが、医科大学の中期目標、中期計画、年度計画について県の評価委員会が業務の実績評価を行うことになり、運営交付金は県の財政から支出をされます。県財政と大きくかかわっています。県が今後法人化計画を具体化するのであれば、大学当局との綿密な協議を重ねること、何よりも県民の命を守る医療の向上、よい医療、医療人の養成、県民の福祉の増進を最優先にする立場に立って、期限に縛られることなく県民の立場に立った大学改革が求められると思うのですが、いかがでしょうか。
 医大に関連した最後の問題で、紀北分院についてお聞きをいたします。
 あり方懇の提言では、県を含めた一部事務組合形式、公設民営方式なども想定されるところです。大変厳しい意見が盛り込まれてもいましたが、今回の基本方針では、地域医療の中核拠点として住民に信頼され支持される地域に根差した規範となる病院になること、また大学附属病院本院の教育・研修機能を補完し、幅広い分野の医療に対応できる総合診療能力の高い医師を育成するための機能の充実などが掲げられています。こうした方向については地域住民の願いとも合致すると私は思うのです。しかし、方針でも指摘しているように、病院施設の老朽化など、抜本的な医療関係の整備が求められているのも事実です。私は、県がこれまで紀北分院の環境整備を打ち出しながら実際には手をこまねいてきたのではないかとの住民の方の批判も聞いてまいりました。医大法人化の方針を出した今、紀北分院の環境整備を言うのでしたら、県が地域の方々の声を十分に聞きながら分院の整備に責任を持つことをここで明言していただきたいのですが、以上のことについて知事の答弁を求めたいと思います。
 二つ目の質問に入ります。乳がん検診の充実強化についてであります。
 厚生労働省のがん検診に関する検討会は、女性特有の乳がんは年間三万五千人が発症し、約一万人が死亡していると言っています。最も発症しやすい年齢は四十五歳から四十九歳で、四十歳代が好発年齢で、女性のがん死亡の第一位にあるとも言っていますし、今後、女性のライフスタイルの変化などによって増加することが予想されるとも述べているところです。
 そこで、和歌山県の平成十四年度乳がんの死亡率は全国十位と高い水準にあります。また、十四年度の乳がん検診の受診状況は、検診を受けた人の割合は二万九千八百七十二人で一四・五%、そのうち精密検査を要する人は二千三百三十三人で七・八%、医療機関などで精密検査を受けた人は千五百四十七人で六六%、乳がんが発見された人は四十七人で〇・一六%でした。乳がんに限らずがんは、いずれのがんも早期発見・早期治療によって予後は良好となり、健康を取り戻すことは最近の診断技術や治療技術の進展によって可能となってきている状況にあります。
 厚生労働省は、本年四月二十七日、乳がん検診と子宮がん検診の実施について見直しをいたしました。そして、がん検診指針の一部改正が行われ、今、その施行に入っているところです。
 私は、ここであえて乳がん検診に限定して質問を申し上げたいと思います。
 私は、女性のとうとい命が乳がんによって失われたくないという思いから、見直しによる充実強化を願うものであります。これまで事業の実施主体である市町村の積極的な努力と医療関係者の協力のもとで受診者がふえているのも、今の状況でもあります。また県は、検診機器の整備に大きく貢献しているところです。が、今回の見直しにおいては三つの点が指摘をされ、その改善が求められているところです。その指摘の一は検診率が低いこと、二つ目には死亡率減少効果の観点から実施方法や対象年齢に問題があること、三つ目には精度管理が十分なされていないこと、このことが指摘をされているわけですけれども、このことから乳がん検診については乳房エックス線検査いわゆるマンモグラフィーを原則とする、しかしマンモグラフィーの整備状況が進んでいない現状を考慮して当分の間は視触診もあわせて実施するとなっています。マンモグラフィーによる検診実施は、乳がん発見率が非常に高く、年々整備も増加していますが、導入後三年経過した今でも四八%で、普及は進んでいない状況にあるとして、その導入と強化を求めているところです。マンモグラフィーによる乳がん検診の実施については、実施医療機関も認定施設となり、そして医師、診療放射線技師についても専門的な知識・技術が求められています。習熟した撮影技師や読影医師の必要性と基準が改めて示されたところです。
 私は、乳がんで女性が命を奪われないためにも、何よりも検診体制の充実強化を強く望むものであります。その必要性を聞き、また体験した事例を紹介し、質問したいと思います。
 私は、きょうはこのバッジ──これは乳がん撲滅ということでつくられたバッジだそうです。ここにしておりますけれども、かわいいリボンです。これはピンクリボンと言いまして、乳がん撲滅を願う世界共通のシンボルマークだそうです。シンボルマークに託されたメッセージを多くの人に伝えてほしいという思いから、ここにあります、「日本では十二分に一人が乳がんと診断されています。しかし、乳がんは早期発見すれば命を落とすことのない病気です」。エイボンという化粧品会社がこれに協力しているんだそうですけれども、そういう点で乳がんの撲滅運動に国際的なマークとしてリボンがつくられております。これを私は先日、乳がんを発症した方からいただきました。きょうはその思いも込めて皆さん方に体験を訴えて、紹介をして、そしてその撲滅実現のためにお力をかしていただきたいと、このように思うところです。このことから、乳がん検診についてはマンモグラフィーの整備が言われているわけです。
 私の友人の三十二歳の娘さんが、昨年、和歌山市の子宮がん検診カードを持って初めて子宮・乳がん検診を受けに公的病院に行きました。左乳房に小さなしこりがあることに気づいたこともあって、外科の検診担当医に「このしこりは何でしょうか」と尋ねました。医師は触診しながら「おお、あるある」と言いながら、しかし「このカードでは触診しかできませんよ」と言われて、なぜだろうと思いながらも聞くことができませんでした。医師は、一、二週間のうちにこのしこりが大きくなったり痛みがあるようだったら受診をするように指導しました。その後二週間たったころ、触診検診結果が送られてまいりました。「乳腺症だと思われる。経過観察が必要」と書かれていたので、「がん」という字がなかったのでほっとした気持ちがした。しかしその後、しこりは少し大きくなり、かちかちにかたくなって痛みも強くなってきていました。ことし三月中ごろ、ちょうど半年です、受診をいたしました。あの半年前の同じ医師の診察になりました。医師は乳房としこりに触診をしながら「何で、前のとき、エコーをしなかったのだろう」と言いながら、直ちにエコー、マンモグラフィー、そして細胞診検査を指示されました。結果は、残念ながら乳がんでした。そして、手術するよう説明がありました。だけども、本人は何の知識もなくて「手術方法を自分で考えてあした返事を」と求められたわけですけれども、そんな手術の方法など知る由はありません。全く知識のない娘さんはすっかり気が動転して、とにかくその日は帰宅して、翌日、母親と改めて説明を受け、他の病院での手術をするからと紹介状を書いてもらったそうです。そして、今乳がんで苦しんでいる人の心の支えとなって電話相談を続けておられる乳癌カウンセリングin和歌山の岡本久子さんの紹介で大阪厚生年金病院乳腺専門チームによる乳房温存手術を受けた後、今、抗がん剤で治療中であります。彼女には幼い二人の娘さんがあります。彼女は、何としても生きなければという強い気持ちで、副作用にも耐えながらの治療が続いています。今後は、この抗がん剤治療とあわせて放射線治療が六カ月以上にわたって続くことになるそうです。私は、この話を聞きながら、本当につらい思いでした。
 また、このカウンセリングをやっていらっしゃる岡本さんも、三十五歳のとき、しこりがあるのに気づいて総合病院や個人医院での乳がん検診を再々行いましたが、なかなか発見できませんでした。発見できるまで三年もかかったそうです。十七年前のことです。そして、手術までには四年。その間、不安が募り、家の中から一歩も外に出ることもできず、家事など何もする気になれなくて気持ちが落ち込み、それはそれは大変苦しみましたとおっしゃっています。自分のように苦しんでほしくないと考えて、その経験を生かして多くの方々の相談に力を注いでおられます。
 また、岡本さんの相談の中にも、出産を間近に控えている妊婦が乳房のしこりに気づいて、お産前に「ここにしこりがある」と医師に訴えましたけれども、医師は「大丈夫です」と言って、そしてお産をしました。一定の時期が来たときに検査をしたところ、もう手おくれでした。赤ちゃんを残してそのお母さんは亡くなりました。お母さんにとって、また家族にとってもどんなにこの状態が悔しかったでしょうか、悲しかったことでしょうか。そして、十九歳でも発症した女性の方もあったと聞きます。いかに初期の検診の充実と、そして知識の啓発が改めて急がれなければならない、私はそう強く思ったところです。
 岡本さんは、西口知事当時、平成八年ですけれども、第一回の女性一〇〇人委員会の委員でもありました。自分の経験を通して和歌山医科大学の中に乳腺専門外来の設置を提案していらっしゃいます。その願いが八年かかって、この一月から和歌山医科大学に乳腺外来が診療を始めたところです。一定の前進だというふうに思うのですが、遅きに失した感もございます。
 私の友人のこの三十二歳の娘さんは、こう言っています。「自分にちゃんと知識があったら、こんな苦しく悲しい思いはしなかっただろうに」と、涙ながらに今治療中でありながらも私に訴えています。また、「和歌山市のがん検診カードのありよう、触診だけしかできない方法は納得できない。初期検診の大切さを病院に指導してほしい」、また「しこりがあるのに必要な検査が行われなかったため、六カ月も発見がおくれた。最新の検査機器の整備がおくれているんじゃないか。マンモグラフィー整備を絶対に急いでほしい」、また「乳がんに対する正しい知識や予防について啓発を急いでほしい。専門医がどの病院にいるのか、情報を提供してほしいんだ。告知されたときからもう本人は頭が真っ白になってどうしたらいいかわからないという状況が続く中で、その相談や心の支えの支援をしてくれる専門的な人的体制を、また場所をつくってほしい。乳がんについて思春期から啓発をするべきではないのだろうか」、こう訴えています。こうした要望についてどのような感想を福祉保健部長、お持ちでしょうか。お聞かせください。
 また、この見直しあるいは法改正の中で、特に次の点についてもお答えいただきたいと思います。
 本県の乳がん検診率の現状と県目標はいかがでしょうか。精度の高いエックス線検査機器マンモグラフィーを少なくとも二次医療圏域の中核病院に整備をしてはと思うものですが、いかがでしょうか。専門的知識と技術を持つ医師、診療エックス線技師は、このマンモグラフィーの機器には絶対に必要なものであります。この確保が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、一九九八年、国の補助制度が廃止をされた。これは一般交付税化されたところですが、しかし今なお、市町村の実施事業と言ってもなかなか市町村の財政も大変です。先ほど申し上げましたように、市町村が一生懸命努力をして自己負担を軽減しています。補助金制度の復活を国に求めることを要求するものですが、いかがでしょうか。福祉保健部長の答弁を重ねてお願いを申し上げます。
 次に、準看護師から看護師への通信制教育についてお尋ねをいたします。
 今春から、就業経験十年以上の準看護師を対象に、働きながら看護師の資格を取るための二年課程通信制の教育制度が始まりました。今年度は山口、福岡、大分の三校で始まっています。二〇〇五年度、来年度の開設予定は、本県を含む兵庫、徳島など十校が今その準備中と聞きます。本県下の病院、福祉施設などで四千八百人余りの準看護師が今働いています。そして、看護師への教育を受講したいと希望者は千人を超える状況にあると言います。希望者全員が受講できることを私は強く望んでいます。
 これまで進学したいと思いながらもあきらめていた人たちも、やっと道が開けたと、来年の開校に熱い期待を寄せていることも聞いておりますし、開校に向けての進捗状況がどうなっているのか、このことも気になるところです。福祉保健部長からお聞かせ願います。認可申請直前という今日においての答弁でありますから限界があろうかと思いますけれども、答えられる範囲で結構ですので、お答えいただきたいと思います。
 来年四月開校予定ということは聞いていますけれども、受講希望者の皆さんたちは、学費は一体どれぐらい必要なのか、放送大学との活用も言われているけれども、どんな科目で、その学費についての情報がどうしても欲しいという声が多く寄せられています。希望する受講者は、決して安くはないであろう学費の準備が最も気がかりな点です。放送大学の活用についても理解を深めておきたいと、その情報を求めるのはごくごく自然なことではないでしょうか。希望と期待にこたえる情報提供が求められます。この間、どのような情報がどんな方法で提供されてきたのでしょうか。お聞かせ願います。
 県は、この教育制度が看護の質を向上させ、県民に行き届いた看護を提供することに大きく貢献するものであるととらえ、具体的な支援を検討する必要があると考えるものです。
 例えば、学費補助や修学資金制度の適用も考えられます。学費補助については、県看二部の授業料との比較においても積極的な支援措置を願うものですが、いかがお考えでしょうか。人手不足の中から送り出す医療機関などに対する何らかの支援も必要ではないのでしょうか。直接・間接的には送り出す職場の支援は欠かせないものとなりますから、経営者に対して希望者全員の受講を保証する上からも支援体制が急がれなければなりません。学費の補助や勤務軽減、勉強するための学習グループによる支援など、今後の課題として県の積極的な指導が期待されるところであります。また、看護教育は国の責任でもあります。設置者に対しても、経営安定のため、財政援助を国に求めるべきではないのでしょうか。福祉保健部長、どのようにお考えになっていらっしゃいますか、お聞かせいただきたいと思います。
 最後の質問で、岩出町での営業許可についてであります。岩出町での旅館の営業許可にかかわって幾つか質問を申し上げます。
 昨年七月三日、岩出保健所から岩出町根来地内のホテルの旅館業許可申請にかかわり、このホテルが岩出町の設置しているスポーツ施設の百メートル以内であることから、岩出町教育委員会に対して意見照会が行われました。このホテルは、もともとモーテルとして営業していたものが休業し、経営者がかわって旅館としての営業再開が申請されたものです。保健所の照会文書では、この施設は県のモーテル類似施設指導要綱第二条に規定するモーテル類似施設には該当しない施設であると書いてあります。岩出町の教育委員会は、次のような意見を回答しています。「当該施設の北側に位置する根来総合運動広場は、テニスコートやサッカー場などを有し、スポーツ少年団を初めとする住民の方が利用しているところであります。また、当該施設の東側に位置する大門池は岩出町立図書館の建設予定地であり、平成十七年度中に開館する予定であります。また、根来寺周辺地域は図書館建設準備委員会でも文化・文教ゾーンとされており、町においても施設の整備を図っているところであります。当該施設の営業が再開されればモーテル類似施設として利用される可能性が大であります。このことから、教育的配慮及び青少年の健全育成の観点より旅館業法第三条第三項の規定による清純な施設環境が著しく害されるおそれがあると考えます」として、最後に「今回の旅館業営業許可されることについては断固反対します」と結んでいます。地元の自治体が断固反対との回答を上げたのですが、県は旅館業の営業許可をおろしました。私は、ここには最初のボタンのかけ違いがあったのではないかと思うのです。
 この施設は、もとはモーテルだった施設が経営者がかわり、改装して旅館業としての営業許可申請をしたわけですが、県は、この施設がモーテル類似施設指導要綱に規定するモーテル類似施設ではなく旅館ということで申請を受け付けています。要綱では、車庫または駐車場から玄関、帳場を経由せず直接客室へ通ずることができる出入り口を有する構造であるものなど五点に該当するものをモーテル類似施設としています。私は現地を見てまいりましたが、外観からは普通のホテルや旅館とは見えないものでした。町の方も、この施設をモーテル類似施設ではないという県の見解に異を唱えています。
 御承知のように、根来寺は由緒ある寺院であり、その周辺は中世の遺跡が多数あり、歴史学者の皆さんから高い評価を受けている地域でありますし、昨日も、この歴史、とうとい遺跡を残すという、そんな意見がございました。今、岩出町はこの地域を文化・文教ゾーンとしていく考えだと伺っているところです。和歌山県としても、町と協力してこの地域の環境を守る努力が必要だと考えるものです。
 そうした状況を踏まえた上でお聞きいたしますが、岩出町への意見照会は旅館業法施行条例によるものであって、モーテル類似施設指導要綱に基づくものではありませんでした。しかしこの要綱は、大規模の模様がえもその指導の対象になっているとしています。このケースはこれに当たるとお考えになりますか、いかがでしょうか。また、指摘した施設がモーテル類似施設ではないという判断の根拠をお示しください。
 また、この指導要綱は施行後二十年が経過しております。この間のモーテル類似施設審査委員会で審議された件数がおありなのでしょうか、件数をお示しいただきたい。そして、実態と指導要綱の規定が整合性を失ってきている面も出てきていると思いますので、改定を検討する必要があると思いますが、いかがお考えになるでしょうか。環境生活部長の答弁を求めたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 県立医科大学の独立行政法人化について、三点を一括してお答えを申し上げます。
 県立医科大学との協議経過や論点等につきましては、昨年十二月に県内外の有識者で構成された県立医科大のあり方懇談会から、県立医科大学がその機能を一層発揮するためには県行政から独立した組織として法人格を付与し、適正な評価システムを確立して説明責任を遂行しながら主体的に運営することが大学の活性化に有効であるとの提言がなされました。これを受けてことしの二月に、学長を初め大学関係者と設置者側の関係部局長等で構成する医大改革推進会議を設置し、大学を取り巻く環境の変化、県民のニーズの高度化・多様化、少子化の進展と大学間競争の激化等に対応し、県立医科大学としての使命を十分果たしていくためには大学の改革を推進していくことが必要であるとの共同認識のもと、大学側の意見も十分踏まえながら、県立医科大学の改革の目的、現状と改革の方向性、大学の基盤強化の方策等を検討を重ねてまいりました。その結果、現行制度の枠組みの中での改革には限界があり、県立医科大学の改革を推進し、その機能を一層発揮するためには地方独立行政法人制度の活用が有効であるとの結論に至りました。
 次に、法人化の具体像の検討に当たっては、法人化のメリットが最大限発揮され、よき医療人の育成、県民に信頼される良質の医療提供、県民の健康の維持増進への寄与という県立医科大学の使命が十分果たせるようなシステムづくりが重要であると考えております。そのため、大学を初め関係機関とも緊密に意思疎通を図りながら県民の視点に立った改革の実現に向け、十分議論し、検討をしていきたいと考えております。
 紀北分院につきましては、大学附属病院本院における教育研修機能を補完して、総合診療医を養成する機能の充実などのため大学附属病院として存続するとの方針を決定したところですが、その医療環境整備につきましては、設置者としての県の責任を明確にしながら、県立医科大学全体の法人化の中で紀北分院に求められる新たな機能のあり方等とあわせ、地元市町村等の関係団体の意見や財政状況等も勘案しながらどのような医療環境整備が必要なのかについて検討を進めていきたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、乳がん検診の充実強化についてからお答えを申し上げます。
 議員御指摘のとおり、乳がん対策では、検診の充実と乳がんの知識の啓発が重要なことでございます。県内の市町村においては保健師等による健康教育、健康相談を実施しているところでございますが、県といたしましても、乳がんに対する正しい知識の普及に努め、がん検診の大切さ、自己触診の必要性と手法等についても機会をとらまえて啓発活動をさらに強化し、早期発見に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、乳がんに関する最新情報を医療機関等と連携を図りながら県民に提供するとともに、乳がんに不安を持つ女性に対して、保健所、市町村を通じて相談体制の充実等を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に検診の現状と目標でございますけれども、議員述べられましたとおり、平成十四年度の乳がん検診の受診率につきましては、本県は一四・五%と全国平均の一二・四%を上回っている状況にございますけれども、元気わかやま行動計画において受診率を平成二十二年度に三〇%を目標に取り組んでおり、今後も引き続き目標達成に向けて受診率向上に取り組んでまいります。
 次に、マンモグラフィーの整備及び専門的知識・技術を取得した医師、診療放射線技師の確保につきましては、現在、和歌山県で平成十四年、十五年度に購入したマンモグラフィーを積載した検診車を活用するなどして、ほとんどの市町村が視触診とマンモグラフィーとの併用検診を行っているところでございます。
 また、医療機関におきましては、二次医療圏域ごとにマンモグラフィーは少なくとも一台は設置されている状況にございます。しかしながら、今後一層の精度向上を図るため、検診に携わる方々の研修等も含め、和歌山県成人病検診管理指導協議会乳がん部会を中心にしまして取り組んでまいりたいと考えてございます。
 がん検診に対する補助金についてでございますが、がん検診の財源は平成十年度から交付税において措置されてございまして、受診率も上昇傾向が続いております。県といたしましては、今後とも受診率向上について引き続き市町村に要請するなど、努力してまいりたいと考えております。
 次に、準看護師から看護師への通信制教育についてでございます。
 まず、開校に向けての進捗状況でございますが、看護職員の資質の向上を図る方策の一つである準看護師が働きながら修学できる看護師二年課程通信制につきましては、昨年度から県内での設置に向け、積極的に取り組んできたところでございます。各種団体や関係者と協議を重ねた結果、和歌山県病院協会の御理解を得、平成十七年度に社団法人和歌山県病院協会立和歌山看護専門学校において設置することとなり、既に今年一月末に厚生労働省に設置計画書を提出したところでございます。
 また、和歌山県病院協会では、四月に和歌山看護専門学校に二年課程通信制準備室を設置し、七月末までに看護師養成所指定申請書の提出を行うなど、十七年四月開設に向け、準備を進めているところでございます。
 なお、県として、今年度、通信制開設準備に係る費用につきまして予算措置をしたところでございます。
 次に受講に必要な最小限の情報提供についてでございますが、まず授業料等については、和歌山看護専門学校において、現在のところ、授業料一年間二十五万円程度、入学金六万円程度を考えていると聞いてございます。またカリキュラムにつきましては、放送大学履修科目を含め、指定申請に向けて現在検討されていると聞いております。
 いずれにしましても、議員御指摘のとおり、本課程への入学希望者に対し必要な情報を可能な限り早く周知できるよう、和歌山看護専門学校へ働きかけてまいりたいと思います。
 なお、県内の学生確保のため、推薦入試制度も検討をしているとのことでございます。
 最後に県行政としての支援措置でございますが、看護職員修学資金貸与制度の活用は可能でございますが、既存課程の学生からの希望も多く、枠が限られているため、今後の検討課題にしてまいりたいと考えてございます。
 さらに、医療機関等において希望者が計画的に入学できる体制が構築できるよう、機会あるごとに関係機関に働きかけるとともに、啓発活動も積極的に実施してまいりたいと思います。
 本課程の設置につきましては、引き続き和歌山県病院協会を初め関係機関と連携を図りながら積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 岩出町内旅館業許可申請についての御質問でございますが、まず一点目のモーテル類似施設としての指導対象とすべきでなかったのかということでございます。
 今回は既存の施設の改修であり、建築基準法第二条の建築、大規模な修繕、模様がえに該当しないため、建設に係る事前協議を対象とした県モーテル類似施設建設指導要綱の対象に当たらず、また申請書に基づき施設並びに宿泊客の入室経路等を書類審査し、現地調査したところ、同指導要綱の別表第一に規定する要件には該当しないことからモーテル類似施設でないと判断したところでございます。
 次に、二点目の施行後二十年を経ている指導要綱の見直しについてでございますが、社会情勢の変化も見きわめながら、今後必要に応じて検討してまいりたいと考えてございます。
 なお、モーテル類似施設審査委員会における審議件数は三件となってございます。
 今後、経営者の変更による許可申請などの場合は、地域の環境変化などに考慮した上で関係機関と相談するなど、適切な指導に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 要望にかえておきたいというふうに思います。
 医大の独立行政法人化というのは、今から具体的に大学の方とお話しになるということになるというふうに思うんですが、やはり一番肝心なのは、現場の人たちの声を本当に酌み尽くすと。その中でやっぱり選んでいくということが何よりも大事だというふうに思います。
 懇談会の中にも学長なんかが入っていらっしゃいますけれども、大学の中で並行して本当に十分論議をされてきたとは思うんですけれども、しかしこれからが具体的に法人化への道を歩くのにはいろんな問題が出てくるというふうに思うんです。そういう点でも、十分論議の上、県民の医療という、健康を守るという柱になっているところですから、十分注意をしながら進めていただきたいというふうに思います。
 とりわけ紀北分院の問題については、これまでも議会で紀北地方の議員の皆さんたちが随分心配をされて、意見も議会で出されているわけですから、そういう点でも、地域医療とそれから医師の教育という点でも本当に住民の意見を酌み尽くすということを、やはり意見交換を十分するという中で環境を整えていただきたいし、これからの紀北分院のあり方をもっともっと論議をして進めていただきたいというふうに要望をしておきたいと思います。
 それから乳がん検診の問題ですけれども、三年前からこのマンモグラフィーという乳房エックス線が入っているわけですけども、しかしこれはなかなか思うように進んでこなかったということとあわせて、やはりずっと見ても、検診率は高まっているけれども微々たるものだという状況だというふうに思うんです。それで私が先ほど二つの例を申し上げましたけれども、しかし、おくれて亡くなっている人というのは私たちの周りにたくさんいらっしゃるわけですよね。だから、検診に行っても発見できなかったと。しかし、そこに症状が──しこりというのが自分で触診をして、だれの目にでも、またさわってみてもわかっているということが病院等や検診の場で訴えたとしても、それについて適切な初期の段階での医師の判断がされなかったということから見れば、非常に残念なことだというふうに思うんです。
 そういう点でも、このマンモグラフィーの設置というんですか、発見率が高いと言われて、国もこれを積極的に進めるということになっていますが、しかし国はこれは、設置は進めなさいと言うけれども、金出すかどうかについてはわかりませんよね、今の段階でも。今まででも、自分たちで機器については購入をするということになっているわけですから。そしてまた、専門的な知識や技術というものもそういう職能団体にゆだねてしまっているという、そういうものもあるわけですから、そこらはやはり国が責任を持つということだというふうに思うんです。
 持ったからこういうふうにするんだ、今調査をしているんだというふうに言うかもわかりませんけれども、しかし三千万円ぐらいかかるんだそうですね、このマンモグラフィーの値段が。だから、医療機器の設備として補助対象にするような新制度を設けるようにぜひとも国に意見を上げていただきたいなというふうに思うところです。
 そういう点でも、和歌山の女性が本当に乳がんで苦しまない、命を落とさないという立場でぜひ県行政がしっかりと頑張っていただきたいというふうに思います。
 ひとつ、国への補助金制度について。このマンモグラフィーの設置について、医療機器として検討していただいて国に意見を、補助金の新設についての申請をお願いしたいというふうに思います。これは要望しておきます。検討してください。
 それから、準看護師から看護師への通信制度の問題ですけれども、これは七月に本申請をして十二月に結論が出ると。許可しますというようなことになっているということなんですが、それから広報して準備をするというのは大変な努力が要るというふうに思うんです。そういう点でも、情報を受講者に対してできるものはどんどん出していっていただくということにしないとあたふたするというふうな状況で、それに乗りおくれちゃうという受講者も出てくるだろうし。またそして、病院協会等についてはいろんなところで情報が提供される。あそこで決定されていくわけですから。しかし、一般の診療医、診療所、それから福祉施設、そういうところで働いている人たちには情報が全く伝わらないというものがあると思うんです。そういう点でも、決まった内容についてはどんどん、小出しでもいいですから情報を提供をしていただきたいというふうに思います。
 これからいっぱい課題は県行政としてもあると思いますけれども、その都度、また私も提起をしていきたいというふうに思います。
 岩出の問題は、あの根来寺境内周辺というのは岩出町も文化ゾーン・文教ゾーンということで位置づけているわけですから、これから、許可はしたわ、しかし大変な問題が起こってくるであろうということを非常に懸念していらっしゃるわけですね。そういう点でも、岩出町と一緒になって地域の環境と、それからあの一帯をどう守るかという問題を一緒に検討して支援をしていっていただきたいなというふうに思います。
 また、岩出町は最近ずっと人口もふえて開けてきているわけですけれども、関空からの玄関口ですね、岩出町のちょうどこの根来寺のところは。あそこがモーテル街と言われているというふうに──私たちも見てまいりましたけれども。これはやはり、熊野古道、世界遺産という入り口のところでああいう景色がいかがなものかなというふうに疑問を持っているところです。そういう点でも検討を加えていただいて和歌山県へ来る人たちがびっくりすることのないようにしていただきたいなというふうに要望をしておきます。
 以上です。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十七番前川勝久君。
  〔前川勝久君、登壇〕(拍手)
○前川勝久君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 たまたまですけども、きょうの朝刊和歌山版を見ましたら、今まあ町村で六月定例議会が開かれているわけですけども、湯浅町長が合併についてとんざしていることを非常に残念だと、九月末までに展開が望めなければあきらめるという記事が載っています。その横へ「那智勝浦との合併協離脱へ」ということで、太地町が町議会で合併の断念の手続に入るという記事が並んで載っております。
 このように今、皆さんご存じのように、市町村合併については各地域とも非常に混迷を深めております。そこで、今回特に私の質問も、今まさに昭和の大合併から約半世紀ぶりになるんですけども、大きな転機を迎えている市町村合併一本に絞って当局の見解をお聞きしたいと思います。
 さきの六月一日付朝日新聞を皆さん見た方もおられると思うんですけども、高知県が五月三十一日にある試算を公表したということを報じてございます。その試算の内容というのは、三位一体改革による地方交付税の削減等が続けば危機的な状況に陥る、すなわち今と同じ水準の削減が続いた場合、二〇〇六年度、あと二年後に、高知県は五十三市町村があるらしいんですけども、五十三のうち十四市町村が財政再建団体に陥落する、二〇〇九年度、あと五年後には九割を超える五十一市町村、今年度の額のまま推移しても二〇一一年、七年後には八割以上の四十五市町村が財政破綻し、財政再建団体に転落するおそれがあるとして、事実上市町村に合併を促すコメントを出したという内容のものでございます。試算公表の理由を橋本知事は、「合併は市町村が住民と話し合い、自主的に判断する問題だが、現状はよく理解した上で判断してほしい」とコメントしております。
 ちなみに、高知県は二〇〇二年度の市町村の財政力指数──一番わかりやすい数字ですけども、財政力指数の平均値が全国ワーストワンとなっております。和歌山県も五十市町村でございますので高知県と似通った状況でありますけども、いわゆる優遇措置のある現行の合併特例法の最終年である今年、まさに県政の最重要課題として取り組んでいただきたいという思いで質問をいたします。現実的な解決につながるような見解をお聞かせ願います。
 さて、本県の合併協議の状況でありますが、県下各地域で法定協議会が立ち上げられ、県もそれぞれ重点支援地域に指定したところでございますが、最終的には、御承知のように特例法が当初目指しました平成十七年三月、来年三月までに合併スタートのテープカットができるのは新生みなべ町だけであり、その他は一年間の猶予特例を活用するか、ここへ来て合併協議そのものがとんざするということに陥ってございます。今回特に私が問題としたいのはこの後者、つまりこの時点で合併協議そのものがとんざしているところでございます。しかしながら、県下すべての事情について私自身見聞以上の状況を把握することは非常に困難でありますので、私にとって身近な紀南地方、特に西牟婁・東牟婁のケースについて今回取り上げて質問をいたします。
 まず上富田町(人口約一万五千人)は、田辺圏域から離脱し、単独を選択。白浜町(約二万人)・日置川町(約五千人)・すさみ町(約五千五百人)の三町においても、いろいろ途中経過はありましたが、結局は先月、白浜町・日置川町の二町による法定協議会が立ち上がり、協議が進められてございます。ここにおいて、三町のうちすさみ町が立ち往生の形となっております。
 東牟婁郡では、古座川町(約三千五百人)が串本町(約一万五千人)・古座町(約五千五百人)の協議会から離脱し、単独を選択しております。また先日、太地町(約三千六百人)が住民投票の結果、那智勝浦町(約一万九千人)との合併協議を断念する旨報道されておりますし、けさほどのニュースでもごらんのとおりでございます。
 したがって、このまま推移しますと、紀南地域では上富田町・すさみ町・古座川町・太地町・那智勝浦町が好むと好まざるにかかわらず合併できずに残ることになります。
 言うまでもなく、市町村は地方交付税によって行財政が成り立っております。三位一体改革の推進により、国は既に小さな地方自治体への割り増し制度を初め地方交付税の見直しを進めており、今後さらに削減が予想されます。このような状況の中で、これでいいんでしょうか。問題は、和歌山県としてこれでいいんでしょうか。当該市町村が自主的に決めたことだから仕方がないと県として傍観して済む話でありましょうか。実はこの質問も、この点が核心でございます。
 ちなみに、先ほど高知県の例を出しましたが、数字で恐縮ですけども、今申しました五町について数字をちょっと披露してみますと、まず一番簡単な数字の財政力指数で言いますと、上富田町が〇・四四六、これは五十市町村のうちで十四位、すさみ町が〇・二一〇、三十八位、古座川町が〇・一三〇、四十七位、太地町が〇・三一六、二十七位、那智勝浦町が〇・三九〇、二十位でございます。また、皆さんよくご存じの普通交付税の額について若干申しますと、十五年度の普通交付税の額で、上富田町は十五億六千六百万円。これは、例えば上富田町の場合は、十三年から十四年度にマイナス五・五%、約一億円が減少しております。また、十四年から十五年にはマイナス八・八%、一億五千万減少しております。同じように申しますと、すさみ町は十五年度で十五億一千万、十三から十四はマイナス九・七、一億八千万、十四から十五はマイナス一〇・七、一億八千万。古座川町は、十五年度の交付税額十七億一千万、十三から十四はマイナス五%、一億円、十四から十五年度はマイナス八・二%、一億五千万円。太地町は、十五年度交付税額六億一千万円、十三から十四年度へはマイナス九・一%、六千八百万円、十四から十五へはマイナス一一・三%、七千七百万円。那智勝浦町は、十五年度決定額二十三億八千万、十三から十四はマイナス八・四、二億三千万円、十四から十五はマイナス六・一、一億六千万円の減となっております。したがって、各町村とも今後毎年一億五千万から二億円というような額が減額されることが想定されます。平成十四年度一般会計で見ますと、最も少ない太地町で一般会計の予算額が約二十億円、最も多い那智勝浦町で約七十五億円であります。そして、これのうち、大体三割から四割が人件費、扶助費、公債費等といった義務的経費でありますから、この毎年一億五千万から二億近い減額というこの数字が町村にとっていかに深刻な数字であるかは容易に想像がつくところでございます。
 ここで、改めて、今なぜ合併が必要なのか、すなわち合併の必要性論について私なりに三つに立ち返って考えてみます。
 まず第一に、この西牟婁・東牟婁地方のそれぞれの地域は歴史的、地理的に強い結びつきを有し、現在も日常的な生活活動において強い一体性を持っている地域でございます。第二に、生活圏の一体化と計画的、総合的な町づくりの展開という点から見ますと、交通網や情報通信手段の発達によって住民の日常生活圏は飛躍的に拡大をしております。地域の一体性も増している反面、半世紀近く市町村の区域が変わっていないということにより施策の重複や不整合が効果的、効率的な町づくりの推進を阻害していることにかんがみ、地域の発展のためには住民の日常生活圏を直視し、計画性と広い視野を持ち、総合的な観点から行政サービスの向上を図る必要があると考えられます。第三に、自治能力の向上と住民ニーズの多様化、高度化への対応という観点からは、平成十二年四月に地方分権推進一括法が施行され、今後は市町村への権限移譲が進み、その役割が増すと同時に負うべき責任もさらに大きくなってまいります。したがって、みずから政策を立案し実行する能力と、それを可能にする財政基盤が従来以上に必要とされます。しかしながら、当地方を取り巻く少子高齢化や過疎化などの影響を考えると明るい展望は開けず、合併のスケールメリットを生かして行政の効率化を図り、財政基盤を強化する道を選択しなければレベルの高い行政サービスの提供は到底おぼつかないことになると思います。
 以上述べたこの合併必要論の三つの中心的な視点から考えましても、今述べました五つの町がこの恩恵から外される、適用除外され取り残されるということは、紀南地域の発展のためにも和歌山県として将来に大きな禍根を残すことになると思います。
 過日今国会で成立しましたいわゆる合併新法は、平成十七年四月一日以降に合併申請のものに適用され、平成二十二年三月三十一日までの時限法となってございます。この新法の特徴は、まず第一に総務大臣が自主的な市町村の合併を進めるための基本的な指針、いわゆる基本指針を定める、第二に、知事はこの基本指針に基づき合併を推進する必要があると認められる市町村──これは構想対象市町村ですけども──を対象として合併の推進に関する構想を定める、そしてこの構想においては、最大の難関である対象市町村の組み合わせ等も定めることとするとなってございます。第三に、知事が構想対象市町村に対し地方自治法に基づき合併協議会設置を勧告したときは、勧告を受けた市町村の長はこれを議会に付議し、もし議会が否決した場合には住民が有権者の六分の一以上の連署により、または市町村の長が住民投票の請求ができる、そして住民投票により有効投票の過半数の賛成があった場合には議会が可決したものとみなすとなってございます。
 このように、この新法は合併を推進するために知事の権限を明記、強化しているところに最大の特徴がございます。したがって、早い話が、来年四月以降は市町村で枠組みも含めて議論が進捗しないときは知事勧告により合併を推進できることになります。地方の厳しい将来を考えるときに、私自身、個人的にはこの新法の立場を支持したいと考えますが、しかしそれならなおのことと思うことがございます。それは、この新法では、現行法で認められている、すなわち来年三月までに合併するか合併申請をした場合に認められる特例措置がほとんどなくなってございます。いわゆる地方にとって甘いみつと言われる部分が、この新法では来年以降なくなっております。その最たるものである地方交付税の合併算定がえの特例期間が十年プラス激変緩和五年から段階的に五年プラス激変緩和五年に縮小されますし、よく言われる合併特例債による財政支援措置も廃止されます。この合併算定がえの話ですけども、これは、合併をしたら今の交付税の水準を十年間は保証しますよ、十一年後から十五年後までは激変緩和で少しずつ減らしますよということですけども、この部分が極めて縮小されるという意味でございます。
 このように見てきますと、合併協議の調わない、あるいは協議が進んでいない市町村に対して、県として当該地域の将来を考えたときにこのような合併が望ましい旨の勧告をし、その勧告に沿って合併協議が進められるのであれば、同じ勧告でも現行法と来年以降の新法とではその効果には雲泥の差があるわけでございます。そして、現行法においても、地方自治法第二百五十二条の第四項及び合併特例法第十六条の二により、関係市町村に対し合併協議会を設けるべきことを勧告できるのでございます。県として、将来の和歌山県のために均衡ある、整合性のとれた合併を推進するという強い決意のもとに勧告も視野に入れておるのであれば、その時期はまさに今であると確信いたしますとともに、時期を失することのないよう果敢な対応を提言するものでございます。
 昭和の大合併においても、県下の幾つかの地域で、最終的に県の調整により決着したという話も地元の古老から聞かされるところでございます。市町村合併というような余りにも住民の生活と密着した問題は、市町村の自主的な合併が本義であることは論をまちません。このことのゆえに、県も今日まで状況、成り行きを注意深く見守ってきたものと推察をいたしますが、私論として言わせてもらえれば、現行特例法の特典をどん欲に活用し、今後二十一世紀の紀南地方の発展の基礎固めをしっかり行うべきとの信念のもとに、紀南地方でいまだ合併協議に加わっていない前述の五つの町についてこのままでいいとは到底思われないのであります。
 冒頭でも述べたとおり、歴史的にも同じ地域エリアに属し、過去幾多の困難や自然災害にもともに知恵を出し汗を流し、地域振興の旗印のもとに頑張ってきた隣町同士が、片や合併の恩恵を受けて新しい町づくりのつち音が響き、片や財政再建団体転落への不安におののきながらやりたいこともできずただただ経費節減と住民への忍従を説得するしかないという姿は、双方の大方の住民の期待するところではないはずであります。市町村合併は、ここに至ってもはや理論や理屈の話ではなく、住民があすに向かって希望を持って日常生活を営むための生きた社会の現実そのものの問題なのでございます。
 知事はこれまで幾度か合併問題に対する先輩・同僚議員の質問に対し、第一義的には市町村が住民、議会とよく話し合って自主的に決めるべきものと考えるので状況、推移を見守っていきたいとの考えを表明されてございます。私も、今日までは知事のこの判断は正しかったものと思います。しかし、現行法の法期限を目前にして、そして今回取り上げた五つの町を初め、なお県下の何カ所かで合併協議さえもとんざしていることを踏まえて、改めて知事から今後に対する基本的な認識を、また総務部長から今後の具体的な対処方策をお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、ここにすさみ町役場の企画課が出している町民向けの広報誌第十七号、平成十六年五月一日というのがございます。これを、たまたますさみ町のこれを起草した若い職員が読んどいてくれということでくれたわけですけども、非常に今の合併の中身をよくあらわしている文章であると思いますんで、御披露させていただいて質問を終わらせていただきます。
 平成十六年四月三十日、白浜町、日置川町でそれぞれ臨時議会が開催され、白浜町・日置川町の二町の合併協議会の設置が可決され、すさみ町民の代表により請願されていた三町合併協議会の設置請願については見送りとなりました。
 しかし、すさみ町としては国の三位一体の改革推進による財政難の中、少子高齢化の進行、多様化する住民ニーズや生活圏の拡大等に対応し、行政の効率化と高度化を図り活力ある豊かな町づくりを進めるためには合併は必要であるとの観点から、従来からの方針である「白浜町・日置川町・すさみ町の三町合併」をねばり強く推進してまいります。
 三町は共に、豊かな景観の海岸や、近く世界遺産に登録予定の大辺路の古道を有するなど地理的、歴史的、文化的にも深い繋がりを持っています。また、地域的にもまとまりも良く、白浜町には温泉と南紀白浜空港が、日置川町には清流日置川が、すさみ町にはスキューバーダイビングやマリンスポーツの舞台で、関西の釣りのメッカといわれる枯木灘海岸があるなど、それぞれ特色を有しています。その上、高速道路についてもすさみ町までが整備計画の段階で、国の新直轄方式で進められ、その実現が促進されるなど三町合併の有利な条件が備わっています。
 このようなことから、三町での国の支援である合併特例債の活用により、活力と特色のある新しい町づくりができ、新市として飛躍できるものと大きく期待されます。
 また、平成十四年十二月に行ったアンケートでは回答者の六八%が、さらに、今回住民の代表の皆様による署名活動においては有権者の約七割にのぼる三千三百余名の町民の方々が白浜町・日置川町・すさみ町の三町の合併を強く望んでいるところであり、このことを重く受け止めて今後においても従来から進めてきた三町合併を強く推進してまいります。
 今回、白浜町、日置川町においては、先行して二町での合併協議会が設置されますが、田辺広域合併での本宮町の例にあるように途中から協議会に参加することも十分ありえることから、町内の態勢を整えて今後もねばり強くはたらきかけていきます。
 このように広報を出してございます。これを起草した若い担当者のこの熱意を、何とか私個人的にも実現したい。そして、すさみ町のみならず他の町村においても、五十年、百年先の紀南地方を見据えて、胸襟を開いて速やかに協議のテーブルに着いてほしいと願うものでございます。
 以上で終わります。
○議長(尾崎要二君) ただいまの前川勝久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 市町村合併についてお答えを申し上げます。
 本県の市町村は交付税依存度が非常に高いため、三位一体改革による地方交付税の削減等が続けば大半の市町村が財政再建団体に転落するおそれがあるという高知県の試算と同様の懸念があり、行財政基盤の強化は喫緊の課題と申せます。
 また、御指摘のとおり、同じ合併でも特例法期限内であるか否かについては、国のさまざまな支援措置の有無から大きな差があると認識しております。
 県内の合併の状況につきましては、各地で最大限の努力がなされる中で、さまざまな経緯により現在の状況に至っているわけでございます。県といたしましても、できる限り法期限内のより望ましい枠組みの合併が行われるよう、自主性を尊重しつつ、できる限り調整の労をとってきたところでございますし、またいろいろな支援を行ってきたところでございます。しかしながら、今回の合併は国の方針や地方分権の精神として自主的な合併として推進されてきたものであり、現行法においてはおのずから限界があるところでございます。このため、現在のところ、自治法に基づく合併推進の勧告がなされたのは日本で広島県一件のみというふうな状況になっているところでございます。
 県としては、大きな流れの中で和歌山県内の市町村がどのような形になっていくのが一番よいのかということについて責任を持っておりますので、住民福祉の維持向上や地域全体の発展を考えながら、議員の御指摘も踏まえ、今後ともより一層市町村と一緒になって合併推進に努力をしてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併の具体的な対処方策についてお答えを申し上げます。
 御指摘のとおり、特例法期限内の大きな合併効果を踏まえますと、できる限り期限内の合併が行われることが望ましいと考えております。
 特例法の期限につきましては、先般の合併特例法の改正を受けまして実質的に一年延長されることになっております。また、現在県内で合併協議会を構成していない市町村においても、合併を目指す動きもあると承知しております。このため、県といたしましては、法期限内の合併をぎりぎりの最後まであきらめずに引き続き市町村と一緒になって合併推進に努力していくことが大切であると考えております。その際に重要なことは、それぞれ難しい個別の問題があるとは承知しておりますが、それぞれの市町村の自主性を尊重しつつ、住民の福祉の維持向上や地域全体の発展という合併の大局を見据えた議論が大変重要であることを引き続き粘り強く訴えていきたいと考えております。
 また、議員御指摘のとおり、三位一体の改革などによる交付税の減少が続く中で、この先、市町村財政を取り巻く状況は非常に厳しいものがありますので、高知県のように本県市町村においても現状と今後の状況を正確に認識した上で合併の判断をしていただくことが必要でございます。このため、県といたしましては、引き続き国の動向や今後の財政状況等についての市町村への説明に努力してまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、前川勝久君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十二分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得まして、通告に従い、質問をさせていただきます。
 新生わかやま県議団の浦口高典でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 その前に、早いもので、昨年四月の初当選以来、一年がたちました。私自身、この一年間を振り返ってみますと、それまで十年に及ぶ浪人生活から一転、県議会の一員としてさまざまな経験をさせていただき、多くの知識も得て、ふるさと和歌山県の発展に微力ながら全力で取り組める喜びでいっぱいでございます。それも、支持者の皆様の御支援はもちろんのこと、尾崎議長初め会派を問わず先輩・同僚の皆様の御指導・御教授のたまものと、ただただ感謝の気持ちでいっぱいでございます。ありがとうございます。また、県当局の皆様におかれましても、木村知事初め県職員の方々の誠意ある態度・対応に接したとき、何分浪人生活が長かったために、初めは戸惑いを覚えながらも、心にしみ入るものがございます。これからもその誠意ある態度・対応を、私一人にではなく、県民の皆様にもひとしく向けていただくことを切にお願いを申し上げる次第でございます。
 また、昨年四月三十日に突如としてあらわれました私ども新会派新生わかやま県議団につきましては、当初、違う方向を向いた議員の寄り集まりだとか変わり者集団だとかやゆされながらも、何とか一年やってまいりました。その間、幹事長を務められました山下直也議員の脱会という我々にとって大変ショッキングな出来事がございましたが、その後、私が図らずも幹事長をさしていただくことになりまして、山下先生の当時の苦悩の一端をうかがい知ることができました。まことに御心中お察し申し上げる次第でございます。今では、会期末の定番ともなりましたが、国の政策やイデオロギーが絡んでくる採決の場合、会派内の意見が二分するどころか、賛成・反対・退席の三つに分かれるという、まさに一風変わった会派でもあります。しかし、その設立趣意書の中に、意思決定については「会派での議論は十分に行うが、一人一人の議員の考えを尊重し、意見書や採決については決定をもって議員の拘束はしない」とうたっております。ただし、ふるさと和歌山県のことにつきましては、常に県民の皆様の立場に立ち、真剣に議論し、でき得る限り意思統一を図っておりますので、これも新しい時代の議会人と会派のあり方を日々実践学習しているものと御認識をいただき、今後とも御理解のほどよろしくお願いを申し上げます。
 さて、私は昨年十二月議会の一般質問において、人口減少社会における和歌山県政のあり方について、知事初め五人の担当部長に質問をさしていただきました。今では経済が右肩上がりの時代ではないというのは常識的に言われておりますが、もともと経済の右肩上がりは、基本のところに人口の増加ということがありました。
 先日、本年四月一日現在の和歌山県の人口が百五万二千百三十人と発表され、昨年より五千三百三十三人も減少しているということですが、平成十六年三月時点における個人消費は、試算しますと年九十九万三千三百六十三円で、これにその人数を掛けると約五十三億円で、この人口減少によってこれだけ経済が縮小したことになります。いずれにしろ、いよいよ人口の激減が本格的に始まったなというのが実感でございます。
 我が県では、少しふえた時期もあったとはいえ、今から二十二年前の昭和五十七年の百九万四百二十四人をピークに人口が減少し続けており、さらに国立人口問題研究所の試算によると、二十六年後には約八十八万人まで減少するということであります。しかも、そのときの高齢化率は三三・一%と今より九ポイント近く高くなり、どのように考えても右肩上がりの経済成長は望むことができません。だから、小泉首相の「改革なくして成長なし」ではなしに、県民一人一人の満足度アップを目指した「改革なくして満足なし」の方向で改革を進めるべきだと述べさしていただきました。そして、その一般質問では詳しくは述べませんでしたが、その前の九月議会の予算委員会で、私が考える少子高齢・人口激減・マイナス経済成長時代の県民の満足を高める方法としてNPO、つまり市民の自発的な活動の重要性を集中的に質問したところ、知事は、来年、つまり平成十六年度はNPO元年にしたいと明言されました。実際に、本年度のNPO関連予算は昨年度の約七千万円から約一億一千万円と一・五倍の増額になり、またそれまで県民生活課の中にあったNPO推進室をNPO協働推進課に昇格させ、職員も四名から九名に増員し、公言されたことを着実に実行されましたことはまさに決断力と行動力のある木村知事のNPOに対する意欲のあらわれであり、高く評価すると同時に、質問者である私といたしましては大変うれしゅうございます。まことにありがとうございます。
 私は、なぜNPOにこだわるか。それは、特に和歌山県の将来を考えたときに、今までと同じように国に頼って何とか地域の活性化を図ろうとしてもなかなかできない状況にあるという認識からであります。この点は、知事もその最前線に立っていらっしゃるだけに一番よく感じられていると思います。
 後ほど三位一体の改革のところで述べさしていただきますが、平成十六年度で補助金・地方交付税が約三百億円減額されている中で、今までどおりのおねだり型の民主主義では、県民の皆さんが夢や希望を持ち、安心・安全で活力ある地域社会というのはとてもつくっていくことはできません。
 NPOについては議員初め当局の皆さんも十分御認識をお持ちと思いますので、ここでは説明を省かしていただきますが、私は、行政、企業に次ぐ三番目のセクターとしてこれからの時代を大きく切り開いていくものであると期待をしております。それだけに、決してNPOの利益のためになどという矮小化した議論を私はするつもりは毛頭ありませんし、県当局においてもいわゆる下請業者のような扱いで見られないようにお願いをいたします。
 さて、その九月議会の予算委員会翌日の九月二十四日に知事のNPO元年発言を受けて県民生活課長のところに行き、私が作成をいたしました「「新しい公共」をつくる市民活動プロジェクト」(通称NPOプロジェクト)というものについては、副知事を責任者として設立したNPO推進庁内連絡協議会がこの五月二十八日に各課副課長クラスを中心とした推進委員約百二十名に対して学習会を開催し、県職員の認識の共有化を進めてくれていると聞いております。しかし私は、これも十二月議会で申し上げましたが、県職員だけで話し合っていても本当にNPOとイコールパートナーになれるかどうか、甚だ疑問であります。そこで、これからのこの庁内連絡協議会をどのような方向に持っていくのであるか、環境生活部長、お答えください。
 また今後、県内のNPO、特にNPOの中間支援組織と接点を持つ意思はおありなのでしょうか。さらに言えば、私が先ほど申しましたNPOを本当に三番目のセクターとして支援・育成する気があるのかどうか、お聞かせください。
 さて次に、三位一体の改革に伴う補助金の削減ということについてであります。
 正確には地方交付税と補助金ですが、ここでは便宜上補助金と言わせていただきます。知事もこの改革について、全国知事会や改革派知事らと一緒になって地方の立場から意見をまとめ、国に強く働きかけられていることはよく存じ上げております。具体的には、当初小泉内閣で、方針としては平成十六年度国全体で一兆円の補助金の削減、さらに平成十七年度、十八年度で三兆円の削減ということでしたが、参議院選の影響もあり、来年以降どのような形になるか、まだはっきりしていないところもあります。
 いずれにしろ、本年はその一兆円の中で和歌山県は、地方交付税二百八十六億円、補助金四十四億円の合計三百三十億円、そのうち三十九億円の財源移譲があったとはいえ、三百億円近いお金が削減されました。これは、和歌山県全体の警察予算に匹敵するほどの大変な額ですが、この削減された分は特にどの分野に影響があったのか、総務部長、お答えください。
 私は、機会を見つけてはいろいろな職業の方と和歌山県の将来についてお話をするのですが、その中で「県も財政、本当に厳しいですよ」と言いますと、多くの方は「県にお金ないんやったら、国に頼って何とかお金出してもうたらどうよ」と言われます。それに対して、この約三百億円削減、さらには来年、再来年もことし以上に厳しくなるかもしれないというお話をしますと、「ますます和歌山県、あかんようになるなあ」と、急に不安そうな顔を皆さんされます。そこで感じたのは、県としてこの補助金削減で財政が本格的に厳しくなるという情報を県民の皆さんと果たして共有していると言えるのかどうかということであります。
 和歌山県の情報公開については、木村知事になってから非常に情報公開を徹底させ、市民オンブズマン会議によると、平成十五年度は百点満点中八十七点で、全国三位という透明度の高い県であることは多くの方もご存じでしょうが、意外とこの情報が県民の皆さんに伝わっていないのです。この件一つとってみてもわかるとおり、いわば情報公開度は高いのですが、情報共有度は低いと言えます。ここが大きな問題点であります。
 今、知事が進めなければならない改革は生活者である県民の皆さんをも巻き込んだものにしていかなければ、単に言葉だけに終わってしまう可能性があります。三重県では、北川前知事時代、情報公開は当たり前、情報を県民と共有してその情報で県民と共鳴、つまりともに鳴くことをしなければ改革はできないということを徹底させ、その結果、三重県民が納得の上で県から最高で九十億円という補助金まで出して三重県亀山市にシャープの液晶テレビの工場を誘致することに成功し、現在、この地域は大変な好景気であるということは皆さんもよくご存じのとおりであります。
 今後、この補助金三百億円削減という情報を共有するために県は何をするのですか、お答えください。情報を公開しているから知らない方が悪いなんていう、木で鼻をくくったような言い方はやめてください。
 話は全く変わりますが、七月二十五日に第一回紀州よさこい祭りが高松サンピア、片男波海水浴場、市役所前けやき大通りの三カ所で行われます。詳細につきましては、過日議会、当局幹部の皆さんに御案内をさしていただきました。この祭りは、四年半前に内田嘉高君(二十九歳)と上森成人君(三十四歳)という二人の若者の祭りを通じて和歌山を元気にしたいという強い思いから発しております。私は彼らと縁がありまして当初からこの祭りにかかわってまいりましたが、特に一年前に議員になってから、同じ会派の玉置議員が寝ても覚めても「高野・熊野世界遺産、高野・熊野世界遺産」と何かに取りつかれたように高野・熊野に取り組んでいる姿を見て、和歌山市選出の県会議員として大変な刺激を受けると同時に、危機感を持つようになりました。というのは、今から十年余り前、関西新国際空港が開港するときに「和歌山県は扇風機の裏側になる」という話がありましたが、事実、それに近いものがあると私は思っております。今度高野・熊野が世界遺産に登録されることによって和歌山県には多くの観光客が訪れることが予想され、大変喜ばしいことなのですが、しかし和歌山市がこのままだと素通りされてしまうのではないか、関空流に言うならば和歌山市は扇風機の風の外側になるという危機感であります。もちろん、他の和歌山市選出の議員の方々も同じような気持ちでそれぞれのことに取り組まれていると思います。私は、この祭りを核にして扇風機の風を少しでも和歌山市にという思いもあり、サポーターの一人として真剣に取り組んでまいりました。
 この間の経緯を説明さしていただきますと、もともとよさこい祭りは五十一年前に高知で始まったものでありますが、今では老若男女がオリジナルな曲と踊りで参加し、踊り手も見る方も心から楽しめる祭りであります。そのような踊りの文化のなかった和歌山にまず踊りのグループをつくろうということで三年半前から毎週定期的に練習をし、一人一人を募って和歌山MOVEというグループを立ち上げ、休みのたびに至るところで自分たちの踊りを披露し、仲間や支援者をふやしてまいりました。一昨年九月には試験的に自分たちで祭りを企画し、和歌山市の中心部にある今福墓地公園で手づくりのいこら祭りという祭りを開催したところ、遠くは大阪府岸和田市や有田市からも踊りの仲間が駆けつけてくれ、大変な盛り上がりを見せ、わずか数時間の祭りでありましたが確かな手ごたえを感じました。そして、その勢いをもって昨年八月の本場高知のよさこい祭りに約五十名で初参加し、大変な感動を味わってまいりました。その後、いよいよ和歌山でもこのよさこい型の祭りをやろうということで九月に紀州お祭りプロジェクト実行委員会を立ち上げ、現在では実行委員約三十名が仕事の合間を縫って月五、六回会合を重ね、平日でも深夜までこの準備に取り組んでおります。
 ちなみに、私も昨年八月に高知に行き、よさこい祭りの現場の熱気を肌で感じるとともに、高知県の観光振興課長と高知市のよさこい龍馬事業推進室長にお会いし、約二時間レクチャーを受けたのですが、四日間で観光動員数は百二十万人、経済効果も百億円以上とお聞きしました。また、この六月十二、十三日には札幌市のYOSAKOIソーラン祭りを現地視察に行き、十数年前に当時北海道大学の学生であってこの祭りをつくったYOSAKOIソーラン祭り組織委員会専務理事の長谷川岳氏にお会いして詳しく内容を聞いてまいりました。北海道では、昨年は五日間で二百二万人の観光動員数と経済効果で二百億円以上とのことで、高知・札幌とも一大イベントとして地域社会に及ぼす社会的・経済的効果も多大なものがあるということがわかりました。
 紀州よさこい祭りに係る費用につきましては、予算額約一千万円を県や市を頼らずに自分たちで集めようと、ありとあらゆるつてを頼りに集金しております。もちろん、和歌山市には過去三十数回実績があるぶんだら踊りというものがあり、一緒になってやった方が行政の支援も受けることができ、準備や費用の点でもずっと楽だし、お客さんもある程度確保できるという意見もありました。しかし彼ら若者は、あくまでも自分たちの力でということで、あと四十日ほどに迫りましたが、みんな自分の仕事を持ちながら和歌山の元気づくりのために懸命に頑張っております。
 そこで、過日、ふと気がついたことがあります。それは、彼らは決して自分たちの利益や自己満足のためにこの祭りの準備をしているのではなく、少なくともこの和歌山というところを自分たちの手で活性化しようというミッション、つまり社会的使命を持って取り組んでいるということであります。それはまさに、NPOで今議論されている新しい公共という概念そのものでございます。
 このような思いでやろうという市民発の祭りを県はどのように見ておられるのでしょうか。これも彼らの努力で、文化庁から関西元気文化圏参加事業に、また県からは高野・熊野世界遺産登録記念事業に指定を受けておりますが、県も思い切ってこれを利用して高野・熊野をこの機会にアピールしてはいかがでしょうか。そして、財政が厳しい県には、お金をくれとは言いませんが、彼らが今一番苦労しているボランティアへの参加と呼びかけに県が一役も二役も買ってはいかがでしょうか。
 今、県ではNPOとの協働ということを盛んに言っており、過日、NPO推進庁内連絡協議会でもそのことをかなり詳しく勉強されたようでありますが、実際はNPOとの協働といっても行政からNPOへの委託であり、見方を変えれば、安い労働力でNPOを適当に使うという、いわば下請であります。これではとてもパートナーシップでもって一緒に新しい公共を構築していくということはできませんし、どこまで行っても本当の意味で協働はできません。結果として、公共のことは結局行政にだけということになり、県民の皆さんの公共へのかかわりは行政任せという今までの構図どおりであり、一人一人の満足度がいつまでたっても上がらぬままで終わってしまうのではないでしょうか。
 私は、この一年間余り県職員の皆さんといろんな機会に語り、議論をさしていただきましたが、これはお世辞抜きに、皆さん、優秀な方ばかりであります。また、木村知事の方針であるスピーディーな対応も皆さんしてくれ、私としては大変感心しているのですが、しかし残念ながらダイナミック・大胆な、そしてフレキシブル・柔軟な対応に欠けると思います。もちろん、それは行政という法律・条例、そして前例に縛られる職分・職制の中ではいたし方ないかと思いますが、時代の要請は、企業であろうが行政であろうが、まさにダイナミックでフレキシブルな対応なくして生きていけない時代に入ってきております。初めに法律・条例ありきでは、とてもNPOとの協働はできません。
 そこで、どうでしょう。県職員の皆さんもこの市民発の紀州よさこい祭りに積極的にかかわってみてはいかがでしょうか。それが自然体での協働だと思います。初めに法律・条例・前例ありきではなく、モチベーション・やる気とミッション・社会的使命ありきであります。NPOには公務員が参加してはいけないという規定はありませんし、地方公務員法にも公務員のNPO参加を禁止する条文もありません。役所の仕事にNPOが参加するというイメージで協働ということを考えるのではなく、NPOに県の職員一人一人が気軽に、失敗を恐れず参加することによって、共通の体験をすることにより新しい公共の基礎が構築できると確信をいたしております。
 NPOは、理屈よりも実践であります。時代の要請もまさに理屈よりも実践であると思います。そして、今の和歌山に本当に必要なのは、失敗を恐れず実践を繰り返し繰り返し行うパワーではないでしょうか。夢を語り、知恵を出すのもいいのですが、もし和歌山県が人口激減に向かいつつあるという現実を本当に危機としてとらえるならば、夢や知恵ばかりを語り合っていても何も始まりません。私は、夢一分、知恵一分、実践八分でないとこの状況は好転しないと、この和歌山に生きる者としてこの浦口高典は実感をいたしております。県職員のNPOの参加について、はっきりと環境生活部長の御意見をお聞かせください。
 最後に、さていよいよ八月に知事選が行われます。四月二十日の時点でどの政党からも推薦をいただく約束がなかったにもかかわらず、木村知事はひとり出馬表明をされました。これは知事の英断であり、不退転の決意のあらわれであると私は思います。そして、知事の出馬がはっきりした今、十二月議会で要望いたしましたマニフェストについてお聞きしたいと思います。
 マニフェストとは、政策の数値目標を掲げ、それに至る期限、財源、プロセスを明確にし、有権者と何をどのような形で実行していくのか約束することであり、時には財源の確保のために利害関係のある有権者に厳しいことも言わねばなりません。昨年の衆議院議員の選挙のときに各政党が国民に提示したことは、既にご存じのとおりであります。これは政党のマニフェスト、つまりパーティーマニフェストというものでありますが、今度は知事選ですので、地方の首長を選ぶ選挙であり、これはローカルマニフェストというものであります。対抗される共産党の推薦の候補者の方も出してこられるでしょうから──村岡先生初め共産党の先生方にもお願いを申し上げておきますが──和歌山で初めてのマニフェスト対決ということになり、もし知事が政策本位の選挙と位置づけるなら、大変有権者の興味が向けられると私は期待をしております。
 昨年四月の統一地方選挙において、木村知事の同志である岩手県の増田知事は、次の任期の四年間で岩手県を環境・教育・情報などの先進県にするために約二百億円を投資し、その財源は公共事業や人件費等を削減することによって賄うという日本初のローカルマニフェストを訴えておりますが、知事はいかがですか。これからの県政の方向として何を掲げ、その数値目標、期限、財源、プロセスはどうであるのか、木村知事のマニフェストをお示しください。
 そして二点目は、個々の政策についてであります。知事がNPO元年と力説しているNPOについてですが、本年度は、先ほども申しましたように、予算額約七千万円から約一億一千万円に増額されました。この四年間で、つまり平成二十年度までにこの額を幾らにすることも含めて、数値目標、期限、財源、プロセス、つまりNPO政策全体のマニフェストをお示しください。
 そして三点目は、特にNPO政策の中で、昨年十二月にわかやまNPOセンターの理事が約十名、知事に面会し、そのとき六つの政策を提言をいたしました。その三番目にある中間支援機関の充実強化ということでありますが、本年三月五日付の知事の回答の中で、中間支援組織の果たす役割は極めて大きいと明言されております。同NPOセンターでは、振興局単位で活動の拠点の提供と一定の期間の活動資金の援助ということをはっきりと申し上げておりますが、具体的なNPO中間支援組織マニフェストについてお示しください。
 少々難しい質問かもしれませんが、岩手県の増田知事が約二百億円の財源を確保し、岩手県の方向性を明確にしたことに比べれば、ずっと容易であろうかと思います。みずからの選挙の年を和歌山の再生を願いNPO元年と明言した木村県政の看板となるNPOマニフェストでありますので、きちっとお答えをいただきたいと存じます。
 以上をもって第一回目の質問とさせていただきますが、特に木村知事におかれましては、行政のトップとしてだけではなく、政治家木村良樹としての思い切った御答弁を切にお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございます。
○議長(尾崎要二君) ただいまの浦口高典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 知事選挙におけるマニフェストの作成についての御質問でございます。
 御案内のように、マニフェストというのは昔はだれも聞いたことのない、聞きなれない話だったんですけれども、この間の衆議院議員選挙から非常に人口に膾炙して、また前回の選挙ではそれが争点になったということは非常に記憶に新しいところでございます。
 地方公共団体でも、若干性格は異なるものの、やはり政策について数値目標、そしてまた期限、そういうふうなものを示して選挙をしていくというふうなことが、やはりこれはある意味では一つのトレンドであろうというふうに思っておりますし、私自身もそのことが必要だと考えておりますので、現在マニフェストを作成中ということでございます。その中には、例えば雇用の確保でありますとか、そしてまた観光振興、そして福祉、治安、教育等々について、示せるものは数値目標を示しながらやっていくというふうなことにしているところでございます。
 そしてNPOについてですが、御案内のように三位一体の改革もありますし、非常にこれから先の見えにくい状況ではあるんですけども、そういうときだからこそNPOとの協働ということが私は非常に大事なことだと思っておりますし、NPO元年、元年と言っても、実は和歌山県のNPOの状況はそんなに活性化しているというふうな現状ではないというふうなこともございます。
 まずは、まだ中身は決めておりませんけれども、この認証NPO法人の数を今より非常に大きくしていくというふうなことについての努力、そういうふうなものをまたマニフェストの中身にしていきたいと思いますし、またそういう中で先般私も中間支援団体の方々とお話をしましたけども、非常に熱意にあふれてその果たすべき役割は大きいということを肌身に感じましたので、そういうことにも触れたマニフェストの中身にしていきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) NPO推進庁内連絡協議会についての数点の御質問にお答えいたします。
 NPOと行政の連携を積極的に推進するため、昨年度、NPO推進庁内連絡協議会を発足させ、全庁的なNPO推進体制を整えたところであります。
 まず、今後の方向につきましては、本年九月にはNPOとの協働を円滑かつ積極的に推進するための基本的な考え方や取り組みを明確にしたガイドラインを策定する予定でございます。また、NPO推進員を中心に各部署におけるNPOに対する理解を進めるとともに、ガイドラインの策定過程の中で各部局において所管業務の点検を行い、協働の可能性を検討してまいります。
 県内NPO、特にNPOの中間支援組織との接点につきましては、本年四月にNPO関係者や学識経験者、行政職員をメンバーに設けましたパートナーシップ協議会において行政とNPOとの相互理解や協働に当たっての課題を検討しており、ガイドラインの中に反映していきたいと考えております。
 次にNPOに対する支援・育成についてでございますが、NPOは公共サービスを提供する重要なセクターとして今後ますます重要になってくると認識しております。県民のNPO活動への参加意欲を引き出すための理解促進に努めますとともに、NPOサポートセンターを中心に、法人化に向けた取り組み支援、各種情報提供や相談、講座等を実施するなど、活動環境の整備と人材育成を図ってまいります。
 次に紀州よさこい祭りについて、この祭りをどのように見ているのか等、数点の質問にお答えいたします。
 紀州よさこい祭りは、お年寄りから子供まで多くの人が楽しめる踊りを通じて和歌山を元気づけたいという実行委員会の方々の熱い思いが実を結んだものであり、まさしく民間の力が結集した催しであります。また、若者のエネルギーを発散できる場、仲間づくりの場として青少年の健全育成にも大いに貢献するものと考えております。
 紀州よさこい祭りへの県職員のボランティア参加につきましては、現在、全職員に庁内メールで呼びかけているところです。県職員がこのような活動にボランティアとして参加することは、地域の活性化への取り組みをみずから体験することになり、大変有意義であると考えます。
 また、紀州よさこい祭りは県民の方々の地道な努力と汗が結晶したものであり、県も関係機関との調整やボランティア募集などで協力させていただいておりますが、今後ともこのような県民の自主的な活動が定着していくよう協働・協力してまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 三位一体の改革による補助金・地方交付税の削減についてでありますが、平成十六年度の当初予算におきましては、急激な財源の減少に対してあらゆる歳入の確保や徹底した歳出削減努力を行いながら、一方では世界遺産、防災、雇用対策といった県政における重点施策の事業費を確保しております。
 歳出削減の中身といたしましては、人件費を前年比でマイナス四十五億円、投資関係経費をマイナス四十二億円としたほか、あらゆる経費について見直しを実施したところでございます。
 県民への広報につきましては、内容が地方財政制度に係るものでありまして、一般的にはなじみの薄いものであるという難しい側面もありますが、時宜を得た報道等への資料提供、ホームページへの掲載等、理解を求めるべく努めているところでございます。
 現在、一定の仮定のもと、今後の三位一体の改革が本県に与える影響についての試算を行っているところでもございますが、三位一体の改革は県民生活に大きな影響を与える可能性のあるものであるため、広報の重要性は認識しておりまして、こうした試算も活用しながら、県政おはなし講座など、さまざまな機会をとらえて県民への広報に努めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 紀州よさこい祭りで高野・熊野をアピールしてはどうだということについてお答えをいたします。
 高野・熊野の世界遺産登録は、来月の初めにも登録が決定される見込みでございまして、七月二十五日に開催される紀州よさこい祭りは、議員御提言のとおり、県民の方々に世界遺産登録を知っていただくよい機会と考えてございます。ついては、祭り当日にどのような方法でPRすればよいか早急に検討し、御努力いただいている関係の皆様と御相談させていただき、本県にとっての世界遺産の意義、また保全や活用等についてアピールしてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番浦口高典君。
○浦口高典君 御答弁、ありがとうございます。
 マニフェストに絞って再質問をさせていただきたいと思いますが。
 知事、現在作成中ということでありますけれども、知事選が七月の二十二日に告示ですね、そして八月の八日が投票日ということになっておりますけれども、もちろんそれまでつくっていただけるということですね。
 繰り返しになりますけれども、マニフェストというのは、具体的な数値目標、財源、期限、そのプロセス等を県民の皆さんの前にはっきりと提示することによって選挙時の大きな選択の材料になりますし、また我々議会にとっても、これをもとに木村県政の四年間をきちっとチェックできる、県民の皆さんの前で筋の通った議論をできるんではないか。そういう意味で、私はぜひとも知事に、もちろんのことですが、選挙までにマニフェストを出していただくことを──これは質問しようと思ったんですが、もうくどくなりますので要望いたしておきます。
 知事が言われますように、県当局つまり理事者側と県議会は信頼と緊張の関係である、車の両輪であるということでありますから、私は決して木村知事はえせ改革派知事なんていうことは思っておりませんので、ぜひとも真の改革派としての姿を見せていただきたいと、そのように思っております。
 最後になりますが、「キンキのおまけ」という歌が十数年前に出たん、ご存じですか。これをつくられたのが和歌山県高野口町在住の平阪佳久さんという方でありまして、この方が最近、「和歌山LOVE SONG21」という曲をつくられました。この場ですので歌は割愛させていただきますが、歌詞だけ、ちょっと言わせていただきます。これは和歌山県のことなんです。「いつでも大阪の日影になって 時には岡山と間違えられて そやけどこれだけは分かってほしい 大阪のとなりにあるんやで」ということと同時に、歌詞だけじゃなしにせりふもあるんですが、ちょっとせりふも抜粋して読ましていただきます。「大阪はん 東京はん わいかてひとつの都道府県や(中略)今はあんたらみたいに目立てへんし 高いビルも無いけどよ(中略)今に 今に見とれよ いつかは出世して 立派な立派な日本一の都道府県になって 見せちゃるでぇ~」という、まあ和歌山県に対する応援歌だと私は思うんですが。その平阪さんが決して和歌山をおちょくって、言ってみればやゆして歌っているわけではなしに、非常に和歌山県に対する思いというのが熱い思いがあるんです。
 私、この間、電話で三十分ほど話さしていただいたんですが、もうまくし立てるように、和歌山こうしたい、こうしたいということを言っておられました。その平阪さんが、今度紀州よさこい祭りのときの総踊り曲で「YAPPA紀州」という、こういう曲を今度出されました。これは、先ほど言いましたようにこの祭りを最初から仕掛けました内田君というのが何度も何度もこの平阪さんとこに足を運んでつくってくれた曲でして、最後に、この七月の二十五日の総踊りのときに、恐らく九時以降になると思うんですが、これをかけて踊るということでありました。実は、この議場でこの曲をぜひ聞いていただきたかったんですが、前例がないということで断られましたんで。またの機会にぜひとも聞いていただきたいと思いますが。
 これちょっと、言葉は言ってみればこんなさらっとした言葉なんですがね、「お国自慢はありすぎて 輝く山川 きらめく海 いくつも湧き出る温泉は 名湯日本一 唄えよ踊れよ思いのまま 熱くもえたぎれ(中略)ここがみんなの帰る場所 ひとつになれる街 YAPPA紀州 YAPPA紀州」──やっぱり紀州ということなんですね。まさにこの曲に代表されているような、この今、和歌山県の閉塞状況をこの紀州よさこい祭りが、私はすべてを変えるということは無理かもしれませんが一つの切り口として風穴をあけるんじゃないかと、そのように思っておりますんで、どうか知事も、七月二十五日は選挙期間中でありまして大変だと思いますが、もしお時間がございましたら市役所前のとこに来ていただきまして、県民・市民の方と一緒に踊っていただくことを要望いたしまして、私の要望とさしていただきます。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浦口高典君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 七番門 三佐博君。
  〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 ただいま議長の御許可を得ましたので、発言の機会を与えられましたことを深くお礼申し上げます。
 私は今議会本会議の最後の発言者となりましたが、本日まで四日間にわたり各地域から選ばれた議員の方々が、各地域の要望事項など、現場を踏まえ、また確かな資料をもとに活発に論議されましたが、県民から信託を受けた議員の皆様方の熱意、また県民の生活向上のために心血を注いでおられる木村知事初め県職員の御尽力に触れまして、大変頼もしく感じた一人でございます。
 さて、五月二十一日から二十五日にかけまして、和歌山県と山東省が昭和五十九年四月十八日に締結いたしました友好提携二十周年を記念し、木村知事を団長に、尾崎要二議長と私が副団長として、谷洋一議員、山下直也議員、須川倍行議員、前川勝久議員、浅井修一郎議員、花田健吉議員、藤山将材議員、原日出夫議員、浦口高典議員、長坂隆司議員らと県下各地域から応募されまして選ばれた団員百二十四名をもちまして和歌山県・山東省世界遺産探訪友好交流団を結成し、中国山東省の済南市、曲阜市、泰安市、青島市を訪問いたしました。行程の中で、記念式典への参加や文化交流、観光交流等の実施とともに、紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録を目前に控え、山東省の有する孔廟、孔府、孔林、泰山などの世界遺産を訪れ、その歴史と文化に直接触れてまいりましたので、御参会の各議員の皆様方のお許しを得まして私からその概要につきまして御報告させていただきますので、御了解いただきたいと思います。
 私は、昭和五十一年四月、仮谷元知事を団長として日中友好の翼訪中団が派遣された際、当時県議会議員でございました前運輸大臣の二階俊博先生らとともに訪中いたしましたのが初めての中国でございます。その後十数回にわたり中国を訪問してまいりましたが、文化大革命など権力闘争が繰り返されました後、改革開放経済など民主化推進の功が奏したものと思いますが、訪問するたびに経済発展のその姿に触れまして大変感銘を覚えているものでございます。
 まず、五月二十一日午後から、結団式を関西国際空港会議室において実施した後に出発いたしました。夕刻に上海浦東空港に到着したわけでございますが、この日は発展目覚ましい上海市の視察を行いました。上海は、近年急速に発展を遂げた中国でも最も大きな国際商業都市であり、現在、文化・教育方面に力を注ぐとともに、二〇一〇年の万国博覧会開催に向け古い建物の取り壊しにかかるなど、新たな町づくりがされておりました。
 この日は、あいにく悪天候の中での視察となったのですが、さらなる発展を遂げようとする上海の力強い息吹が十分に肌で感じられ、視察を行いました外灘には欧風建築物が残り、各国が租界を形成していた当時の面影が残るなど、過去の遺産の活用・保存にも積極的な姿勢が見受けられるとともに、上海市民に親しまれ、大変人気のあるスポットでございます豫園──公園のようなところでございましたが──の独特な風景、豊かな資源、上質のサービスで世界から観光客を招き寄せる側面もあり、さまざまな面で魅力的な先進都市として今後和歌山県も学んでいかなければならないことが多数あるように感じた一人でございます。
 五月二十二日は、空路チャーター機により山東省の省都でございます済南市を訪れ、二十周年記念式典への参加と、一般参加者と離れて山東省張高麗書記、韓寓群省長への表敬訪問を行い、歓迎レセプションへも参加いたしました。
 二十周年記念式典は、中国の母なる川だと言われております黄河沿いにある黄河公園で行われ、まず中日友好林と名づけられた会場において記念碑の除幕式が木村知事、尾崎議長、韓省長らの手により行われた後、交流団員と山東省の出席者がペアになりまして、青空のもと、それぞれスコップやバケツを持ち、日本を代表する桜と、中国ではどこへ行っても友情がそこに根をおろすという意味を持つ大葉女貞という名前の木を植樹いたしまして永遠の友好を誓い、記念植樹を行いました次第でございます。
 次に、山東省直営の迎賓館として使われている山東大厦ホテルで行われた山東省張高麗書記、韓寓群省長への表敬訪問でございますが、張高麗書記表敬訪問においては七名の中国共産党及び山東省幹部が出席され、韓寓群省長への表敬訪問においては十三名の山東省幹部が出席のもと、友好的に歓談が行われました。いずれの表敬訪問におきましても、二十年にわたる両県省の友好交流の歴史をともに振り返りながら、友好提携締結以来、平等互恵の原則に基づき、経済、観光、教育、文化、農林水産、科学技術、人材育成等の各分野で幅広く、かつ成果に富んだ交流や協力活動を行い、喜ばしい成果を上げてきたことを確認するとともに、さらに今後の交流について意見の交換を行いました。
 なお、韓寓群省長への表敬訪問におきましては、山東省を初めとする中国の飛躍的な発展や経済のグローバル化など、近年の両県省を取り巻く環境の変化を踏まえ、二十周年を契機に両県省の友好協力関係を新たな段階に推し進めるよう尽力し、両県省のさらなる繁栄と両県省民の幸福をもたらさなければならないという共通認識のもと、経済交流、観光交流、人材交流、農林交流、文化交流、民間交流の促進を行うことの合意を文書で締結いたしまして、私どももそれをともに見さしていただきました。
 ちなみに山東省は、九千万人以上を超える中国で二番目の人口の省でございます。面積が日本の約半分の十五万六千七百平方キロメートル、農業生産量は中国第一位、GNPは中国三位の中国の沿海部の省として、改革開放経済の進展とともに著しい発展を遂げている省でございます。また山東省の省都である済南市は、山東省の政治経済の中心地であり、省内の輸送の重要な位置を占めている中心都市として栄えております。
 この日の夕刻から山東省主催の歓迎レセプションへ一般参加者の方とともに参加いたしましたが、この席上では文化交流の一環として、山東省からは済南市少年宮の歓迎演技の披露、和歌山県側からは和歌山県民謡連合会の会員による「紀州幡上げ音頭」、「紀州長持唄」、「みかん取り唄」、鯨踊り、「串本節」などの和歌山県の郷土民謡の披露が行われ、熱演が繰り広げられる中で、山東省からの参加者七十名と和歌山県からの参加者の歌や踊りが披露されるなど、ともに相互の文化に触れ合い、交流を深める機会となりました。また会場のホテルにおきましては、両県省の書道家の方々との競書会、また作品の展示、名勝地の写真パネル展なども行われ、参加者のみならずホテルに宿泊されております宿泊客などへのアピールにもつながったものと考えておる次第でございます。
 五月二十三日には、山東省の有する、一九九四年に世界遺産登録をされました曲阜市の孔廟、孔府、孔林と、一九八七年に世界遺産登録をされました泰安市の泰山を訪れました。古代中国で儒教の教えを説いた孔子が生誕後五十歳代まで暮らしていた故郷であり、十四年間の流浪の末帰郷しまして七十三歳で没するまで弟子の教育に専念した儒教の聖地であると聞いております曲阜市には、孔子を祭る祠廟や一族の墓所が残り、その繁栄と後世への影響力を物語っておりました。
 孔廟は中国三大宮殿の一つであり、中国全土に点在する孔子廟の総本山として、敷地内に清の雍正帝が再建した大成殿を初めとして数々の殿宇が建ち並んでおりました。孔府は孔子一族の住居兼役所であり、九つの庭院から成り、四百六十三の部屋を擁しています。一九四八年以降、直系の子孫が住んでいないと聞いておりますが、家具や調度品はその当時のまま保存されており、当時の生活の様式をしのぶことができました。孔林は孔子の一族の墓所で、うっそうと茂る二百万平米の林の中に数多くの墓石・墓碑が建ち並んでおりました。いずれの世界遺産もじっくりと時間をかけて歩き、その全体を視察しましたが、歴史のある数々の遺産の存在感は絶大なものがあり、孔子と弘法大師を重ね合わせ、高野山と非常に似通ったところを感じ入った次第でございます。国内外から観光客が急増しており、孔廟と孔府の入場料収入は年間十億にも上ると聞いておりましたので、活用の仕方、PRの方法により、世界遺産登録後の高野山を初め高野・熊野地域の観光産業への期待を新たにしたところでございます。
 続きまして泰山についてでございますが、中国三教の一つ──仏教、儒教、道教が三教のようでございますが、この一つの道教の大本山である泰山は、中国五大名山の一位にランクづけされている霊山であり、秦の始皇帝を初めとして多くの皇帝が天地を祭る封禅の儀を行ったところであり、歴史的な文人墨客も多くこの地を訪れております。その昔は約七千段の階段を上っていたところでありますが、我々はロープウエーを利用さしていただきましたので、少し楽でございました。降車後、約一時間かけまして山頂の玉皇廟まで駆け上がりました。多くの祠廟を拝廟しながら、私を含めすべての議員が山頂にたどり着くことができましたが、山頂からの雄大な風景は絶景で、古代中国の偉人たちがこの泰山を敬い、とうとんだそのわけをうかがえるようでございました。この泰山についても、私自身、巡礼の道熊野古道につながるものを感じたところでございますが、友好提携を結んで二十年が経過し、紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録を目前に控えている現在、この地を訪ねることができたことは感慨深さを感じたところでございます。
 また、泰安市は、泰山の入場料を一人につき百元徴収していると聞きましたが、この金額は中国人にとって大変高価な金額だと思います。にもかかわらず多くの来訪者を迎え入れている泰山の現状を考えると、曲阜市の孔廟、孔府、孔林と同様に、紀伊山地の霊場と参詣道の活用の重要性の再認識をしたところでございます。
 五月二十四日は、バスに乗りまして、高速道路を五時間余り乗車いたしまして青島市を訪ねました。気候はよく、ヨーロッパ風情の都市風光、青い海、起伏する山々など、独特の観光資源を有する青島市は中国人のあこがれの地と言われ、海水浴を目的とした観光客を中心に国内外から多くの来訪者がある観光地であると同時に、和歌山下津港と友好提携を結んでいる港でもあり、本県港湾関係者と相互交流を行っている中国で有数の港である青島港を有するなど、近年以来、著しい発展を遂げている中国と世界の注目を集めている都市です。
 我々は、この青島の地で、午後から迎賓館と青島桟橋、青島ビール工場の視察をいたしました。ドイツ占領期間のトップの官邸であった建物は一九三四年に現在の名称である「迎賓館」と呼称を改められまして、毛沢東主席ほか歴代の中国共産党幹部も宿泊したことのある邸宅でありますが、五年前から観光の施設として公開されておられました。この迎賓館のみならず青島の町並みは、ドイツの植民地時代の風景がよく残っておりました。また青島桟橋は、海のきれいな青島の古くからのシンボルとして屈指の観光地でございます。さらに、世界的に有名な青島ビール工場では視察コースが確立されているなど、青島市には観光客を魅了するスポットがさまざまな側面から用意されておりました。ビール工場見学では、ビールも試飲さしていただきました。
 先ほど、曲阜市、泰安市の世界遺産は高野・熊野地方に通ずるものを感じると申し上げましたが、青島市には、これらの地方と違った、白浜、和歌山マリーナシティなどの和歌山県の海岸線の地方と似通った魅力を感じたところでございます。いずれの都市も、その集客力の強さから、政策面で和歌山県が学ぶべき点は多くあろうかと思いましたので、今後、当局において御検討いただきたいと思います。
 続いてでございますが、この日の夕刻から、青島市の徐人民代表大会主任を表敬訪問いたしました後に、青島市主催の歓迎レセプションに参加さしていただきました。いずれも、青島市の六名の幹部が出席のもと、非常に気持ちよく歓迎していただきまして、今後さらなる友好関係の確立を誓い合うよい機会となったものと考えております。
 そうして五月二十五日には、ホテルにおきまして解団式を行い、空路、帰国したわけでございます。
 以上、概要の説明を終わらせていただきますが、中国山東省友好提携二十周年記念事業は、我々と山東省の幹部がお互いに、長い信頼関係が友好提携二十周年につながり、関係が永遠に続いていくことを望む気持ちを確認し、山東省が有する世界遺産などを訪れる中で本県のすばらしい自然や文化を改めて見直す絶好の機会となっただけではなく、発展目覚ましい中国のすさまじいばかりの活力を目の当たりにしまして潜在力の高さと無限の発展性を実感する機会ともなりました。
 今後、和歌山県の発展のために山東省から学んでいかなければならない面が多数あるように感じます。和歌山県と山東省は、今後、両省県を取り巻く環境の変化に則した新しい交流のあり方を模索し、よりすばらしい友好関係をともに構築していかなければならない気持ちを新たにしたところでございます。
 以上、訪中報告といたしますが、木村知事は、訪問期間中、団員の方々ともいつも親しく語り合われておりました。また、山東省の要人の方々とも折あるたびに熱心に話し合われておられましたが、今回の中国山東省の交流の結果を踏まえ、今後山東省と友好促進について経済交流を図るなど、具体的な取り組みをお尋ねしたいと思います。
 また、木村知事は、六月定例議会の本日までの本会議において、登壇されました各議員から、四カ年にわたる実績により全国屈指の知事として高く評価されていることが皆さんから表明されておりました。いよいよ当面する知事選挙に際し、数多くの政党や推薦団体等の推挙により再び県政を担当すべく立候補の決意を表明されたところでございますが、時節柄、県民の要望は大変広い県土におきまして多岐多様にわたり、重責を感じておられることと思います。前回は西口勇前知事の突然の辞任の後であり、慌ただしい中で出馬の決意をされたものですが、今回は四カ年の知事としての取り組んでこられた実績が評価される上に、今後県民の期待は大変大きいものと思います。
 選挙に臨む者といたしまして、一票の重み、重さ、これをひしひし感じていることと思います。初心忘れずの気持ちを堅持され、県内各地の各界各層の方々と生の声を目に耳にできるだけ多く広く聴取され、数多くの県民の方々と触れ合い、御健康で第二期木村県政を確立されるために大勝されますことを支持者の一人としてお祈り申し上げます。
 これで終わりといたします。御清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの門三佐博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 先般、不肖私が団長を仰せつかりまして、そして門先生、尾崎議長さんが副団長ということで、県議会議員の方々、そして県民の方々と、山東省との友好二十周年を記念する訪中団ということで山東省に行ってまいりました。ただいま門先生の御報告を聞きながら改めて中身を思い出して、非常に懐かしい思いがしていたわけでございます。
 今後の山東省と和歌山県との関係ということでございますが、私も中国へ行くたびにびっくりするんですけども、どんどん、もう本当に毎日変わっていってるというふうな状況でございます。山東省の省都であります済南、ここも私は二度目でございましたが、前回行ったときよりまた大きな変化を遂げておりました。青島に至っては、もう本当にびっくりするよう町になってきているというふうなことで、当然のことながら、二十年前に和歌山県が山東省と友好関係を結んだときとは、もうありとあらゆる条件が違ってきているというふうなことでございます。そして今後の友好関係は、そういうふうな現実の上に立って、この二十年間の培ってきたものを大きく花開かせていくということが必要だろうと思っております。
 中国山東省は和歌山県にとっても、これからはいろいろな和歌山県の産品を買ってもらう市場にもなってくると思いますし、そしてまた和歌山県は観光立県ということを標榜しているわけでございますけども、山東省も非常に裕福な人が多くなってきているということの中で、和歌山県へまた観光客を迎え入れるというふうなことも大きな目標というふうな形になってくると思います。
 ことしの夏から初めて県の職員が山東省へ派遣されますとともに、山東省からも山東省の職員が和歌山県へ来るというふうな形で、本当の意味での人的交流ということも始まります。それから、上海に各県と共同で置いたアドバイザーの方も、この間山東省へも一緒に来てくれたんですけども、非常にレベルの高い方のようで、この方を──人を活用するというのはよくないですけども、まあこの人と協力した形での和歌山県の産品のあちらへの進出というふうなことについてもいろいろやっていかないといかんと思います。
 そしてまた、和歌山県の果物──中国にもいろいろ果物があると思うんですけども、よその国の果物のことを言うのはあんまりよくないですけども、そうほっぺたが落ちるというような感じはなかったわけで、和歌山県のカキとか桃とかミカン、これはまあいろいろ難しい問題があると思うんですけれども、こういうふうなものは中国の人もこれはもうびっくりするだろうというふうな感じがいたしました。こういうふうなものをまた輸出していくような仕組みとか、いろんなこと──これから中国は本当にもう新しい意味での草創期にあるような感じでございますので、他におくれることなく進めていきたいと思います。
 それからまた、山口県が山東省と友好関係を和歌山と同じく結んでおります。これからは、競い合うのではなくて一緒に共同して、お互いを補い合いながらこの山東省との関係を進めていくというふうなことをしたいと思います。
 それから組織につきましても、今までは、まあ言ってみれば国際交流という観点が中心だったんですけど、これからやっぱり経済交流ということが中心になってくると思うんで、そういう意味でまた別の組織のあり方なんかも前向きに考えていきたいと思います。
 いずれにいたしましても、議員各位のいろんな形での御示唆を受けながら新しい山東省と和歌山県との関係というものを築いていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、門三佐博君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。六月十八日及び二十一日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 御異議なしと認めます。よって、六月十八日及び二十一日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、六月二十二日定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時十三分散会

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