平成16年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後二時三十七分再開
○副議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 お疲れのところですが、本日の最終バッターとして、いましばらくお時間をいただきたいと思います。当初議会に引き続き質問する機会をいただけましたことを感謝し、心を込めて質問、提案をさせていただきたいと思います。
 それでは、議長からお許しをいただきましたので、早速、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 まずは、うれしい御報告を兼ねて、アテネオリンピック出場のチャンスを生かしてナショナルトレーニングセンター構想のさらなる推進について。
 最初の質問は、私が現在和歌山県セーリング連盟の会長をお引き受けしている中で、御報告かたがたの質問とさせていただきます。
 これまで「和歌浦の海からアテネへ」を合い言葉にオリンピック出場を目指し活動を続けてきました和歌山県セーリング連盟所属の佐竹美都子、吉迫由香のペアが、先ごろ行われましたオリンピックの最終選考レース、四七〇級世界選手権大会で、見事、日本の候補チーム中トップの成績をおさめ、アテネオリンピック代表の座を獲得しました。これもひとえに関係の皆様のお力添えのおかげと、心から感謝する次第です。
 二年前、私が最初に彼女たちに出会ったときは、本当にアテネは遠い夢の話でした。しかし、高い目標を掲げ、信念を持って活動をしていれば道は開ける。「一念、岩をも通す」ということを今回、改めて実感させられました。彼女たちの強い意志、精神力には脱帽します。ここまで、彼女たちの取り組みは決して順風満帆なものではありませんでした。通常、オリンピック出場が期待されるヨット選手の多くは、企業から潤沢な資金提供を受けて活動しています。しかし、彼女たちは単に和歌山県セーリング連盟所属ということで、資金的にも恵まれない本当に厳しい環境に置かれ、また一たんはオリンピック強化選手から外されるという状況の中で、しかし、決して希望を捨てずに和歌浦でヨットに乗り、戦い続けてきたのでした。
 その彼女たちのいちずな姿に感動した多くの人が、助けの手を差し伸べてくれました。資金難を何とか救おうと、草の根でキャンペーンTシャツを販売してくれた多くの個人サポーター。彼女たちのセーリング環境を手弁当、ボランティアで支えてくれたセーリング連盟のスタッフ。また、最終では、資金難から海外で行われる最終選考レースへの出場自体が危ぶまれた中、企業としてその窮地を救っていただいた株式会社島精機製作所、ノーリツ鋼機株式会社、株式会社サイバーリンクス、日吉染業など、多くの県内企業の皆様。本当にたくさんのお力をいただいて、アテネへの出場権を手にしました。彼女たちも心から感謝しており、その御恩に報いるためにも、オリンピックの晴れ舞台で必ずよい成績を残して帰ってくると誓っています。
 お手元に、二人の顔写真とヨットの写真、並びにアテネでのスケジュールを配らせていただいておりますので、ぜひ皆様にも名前と顔を覚えていただき、アテネオリンピックでは大いに応援をしてあげてもらいたいと思います。
 実はきょう、たまたまオフの日に当たりまして、もうあした、あさってには日本を立つんですけれども、急遽、議会の傍聴ということで来てくれていますので(拍手)。右から、雑賀コーチと佐竹美都子、吉迫由香です。最終二十一日にはメダルセレモニーがある予定で、余り欲張ってもいけませんが、ぜひメダルを獲得し、アテネの地で日の丸を掲げてきてもらいたいと思います。
 さて、そこで、このアテネオリンピック出場のチャンスを生かしてナショナルトレーニングセンター構想のさらなる推進として、知事並びに教育長に御所見を賜りたいと思います。これまでも知事、教育長を先頭に和歌山県として積極的に取り組んできてくれていることは重々承知した上で、この機会を生かしてさらなる誘致活動につなげていただきたいと、二点だけ要望を含めて質問をさせていただきたいと思います。
 今回のアテネオリンピックは、和歌山からさきの吉迫・佐竹ペアとレーザー級では鈴木國央選手が出場を決め、七種目中、二種目に出場することになりました。日本代表枠がたった七つしかないうち、和歌山県連に所属する選手たちが二つの枠を手にしたことは快挙だと評価される状況にあり、また今回、アテネに出場するヨット競技の日本代表チームとしても、コーチを含めた総勢十四名のチーム編成が行われたのですが、その中で和歌山県から雑賀秀夫コーチを含め四名ものオフィシャル参加が実現するものとなっています。
 今、日本のセーリング界では和歌山の地位が大きく浮上する状況となっています。今回のアテネに向けた結果を見て、和歌山・和歌浦の環境はヨット練習には非常に適しているという認識を改めて多くのヨット関係者に持ってもらい、現にオリンピック出場を決めた後、早速この和歌浦湾で練習をしたいと、企業チームで有名なミキハウスから合宿地として利用したいとの申し出を受けています。また、国内に限らず、アテネの次に決まっている北京オリンピックをにらんで中国のナショナルチームもこの和歌浦での練習を希望していて、今、日本国内はもとより世界的にもこの和歌山・和歌浦が大いに注目を集める状況となっているのです。
 こういった状況をしっかりと把握した上で、ぜひ吉迫、佐竹の心意気と同じく「一念、岩をも通す」の精神でナショナルトレセンの取り組みを加速させていただきたいと思います。改めて、日本オリンピック委員会、文部科学省への働きかけについて、知事並びに教育長からその意気込みをお伺いしたいと思います。
 また、今回のアテネ出場の効果は、マスコミを通じての情報発信という点でも大きな成果を得ているものと考えます。彼女たちがオリンピック出場を決めてから取材を受けた主なものを御紹介すると、朝日、読売、産経、毎日の四大紙を初め、読売新聞広島、朝日新聞あいあい京都、中国新聞、京都新聞社などからの取材を受け、また有線放送のジェイコム関西、情報誌ではアエラ、フライデーなどの全国誌で扱っていただいています。また、テレビ局関係の取材では、NHK、TBS、テレビ朝日、テレビ新広島、関西テレビは一日同行取材をしていただくなど、数多くのマスコミから注目を集める状況となり、大きな宣伝効果を生むものとなっています。これらを代理店に勤める友人に広告効果としてその測定を大まかにしてもらうと、そこでは五、六千万の広告効果が上がっていると試算してくれました。今後、ナショナルトレセンが実現するならば、オリンピック代表選手の多くはこの和歌浦で合宿を行い、通常の練習にも日常的にこの和歌山が舞台となるわけで、和歌山を売り出すチャンスが数多く訪れるものとなります。
 そこで、改めて、ナショナルトレセンを設置する和歌山県のメリットということについて、広報的側面から見たその効果を含め、教育長から御認識を伺いたいと思います。
 次に、第二問といたしまして、エリート教育だけでない、より個性的な人材育成の視点として個性を伸ばす和歌山教育への取り組みについて。
 まず、質問に移る前に、長崎県佐世保市で起きた小学生の事件について、私も同じように小学生の娘を持つ親として、御家族には心から哀悼の意を表します。少しでも今の時代の教育、学校がよりよいものとなるよう、心を込めて質問をさせていただきます。
 さて、先ごろ、作家の村上龍さんが出版された「十三歳のハローワーク」という本が話題を呼んでいます。これがその「十三歳のハローワーク」という本で、少し高い本なんですけれども、この「十三歳のハローワーク」、去年十二月に発売されたこの本はおよそ二カ月で五十万部を突破し、発行から約半年で百万部を超えたという大きなセールスを生んでいる本です。本の推薦人となられている坂本龍一さんいわく、「この困難な時に、この本に出会えるかどうかは、その子の一生を決定するだろう。この本に出会えた子は幸運だ」と、推薦の言葉を寄せられています。これはちょっと大げさかもしれませんが、しかし、今の時代に少なからず意味のある本だと私も思います。
 本の中で著者は、「人生は一度しかない。好きで好きでしょうがないことを仕事にしたほうがいいと思いませんか?「いい学校を出ていい会社に入れば安心」という時代は終わりました。十三歳から大人まで、自分の本当に好きなことをもう一度よく考えて仕事を選ぼう!」と呼びかけています。この本は、動物、スポーツ、映画、音楽、料理など、いろいろな「好き」を入り口にして五百十四種の職業を紹介していて、派遣、起業、資格など、雇用の現状を網羅した仕事の百科全書となっています。
 なぜ、こういった本が今そんなに売れるのでしょうか。現在、私たちの生きる社会は大きな曲がり角に来ているのだと思います。日本の会社、その雇用環境、社会システムも大きく変わろうとしています。終身雇用が崩壊し、会社への絶対の信頼も根本から崩れていくこの時代に、いい学校を出ていい会社に入れば安心という何かに頼る絶対安心の時代は確実に終わりを告げようとしています。
 私の大学院時代の友人に小寺さんという方がいます。出会った当時、彼は大企業に勤め、将来を嘱望されていたのですが、大学院の在学中にその会社をやめてしまい、奥さんの実家の美術工芸品の修復を行う小さな小さな会社を手伝い始めました。しかし、その小さな職場は、今の学校ではなかなか伝えられない大きな魅力を持った職場だったようです。
 先日、彼に会って話を伺ってきました。彼の入った会社は、京都にある株式会社文化財保護という会社です。そもそも文化財の保護・修復は文化財保護法により規定されているもので、その文化財を保護・修復する企業は、建造物の分野では大手ゼネコンを初め中小建設会社、設計会社などが多数存在していてしのぎを削っている状況にあるそうです。しかし、これに対して美術工芸品の分野では、彫刻のみを専門的に扱う財団法人の美術院と、それ以外のすべての美術工芸品を扱う国宝修理装こう師連盟という団体に加盟している十社だけだそうで、そこに国内外約二百五十人と推定される技術者がおおよそ一万点ある国宝及び相当数の重要文化財の保存・修復を行っていて、内情は慢性的な人不足となっているそうです。小寺さんの会社もこの美術工芸品の保存・修復を行っている中の一社なのですが、その仕事は熟練のわざが必要であり、これまでは徒弟制度などで人材の確保をしてきたが、現在の社会環境ではその人材確保が難しいのが実態だと話されていました。
 この業界は決して魅力のない職場ではなく、その仕事自体が知られていないことと、高学歴の時代にあって年の若い器用な子が門をたたきにくい状況にあることなどで雇用のミスマッチが起こっていると説明してくれました。雇用のミスマッチは先端産業の例などがよく紹介されますが、アナログの伝統職にも当てはまります。ここでは、決して勉強のできる・できない、また高学歴が問われることはありません。この世界では感性を磨くことが重要で、できるだけ早くから熟練者について訓練を受けることが大切であり、こういった仕事に年齢の若いうちからめぐり合えば能力を発揮できる子供はたくさんいるはずだと話されていました。
 この業界での仕事は、国内にとどまらず広く海外にも市場は拡大しており、人によってはあこがれの仕事にもなるはずだと小寺さんは指摘します。日本固有の重要文化財は遠く海外にも点在しており、欧米の美術館や博物館からも多くの仕事が発注される状況だそうです。アメリカのフリーア美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、英国の大英博物館、オランダの極東美術保存センターなどでは多くの日本人技術者が招かれ、尊敬される職人として受け入れられているそうです。本人さえ望めばその活躍の場は世界にも広がる状況となっていて、また収入面を見ても三十歳前後で年収一千万を超える収入を得ることも珍しいものではなく、非常に魅力ある仕事だと話されていました。
 これはあくまで一例ですが、世の中には今の学校では教えられていないような価値観、たくさんの仕事、可能性があるわけで、そのような多様な価値観をしっかりと子供たちに示せるかどうかが今の教育で試されているのだと思います。受験用の学力などといったものは、人生を生きる上の価値基準の中でたかだか一つの物差しでしかありません。本来は、そのほかにも子供たちが評価されるべき価値基準はたくさんあるわけで、それぞれの子供に合った生き方、個性の伸ばし方を教え諭していくことが重要です。
 実際に私の周りでも、学校の成績、学歴ではなく、その人の持つ人格、技術、知恵といったものが大いに生かされ、立派に社会で活躍されている方がたくさんいらっしゃいます。逆に、学歴があっても社会で通用しない人もたくさんいるのも現実です。私たちの今の社会は、これまでの成功モデルが崩れていく中で新たな模索を始めなくてはいけない状況であり、そこではまさに学校教育のあり方そのものが問われていて、その答えは決してこれまでの延長線上にはなく、また応急処置で取り繕えるものでもなくなっています。子供の個性、一人一人の能力を最大限に引き出す学校とはどういったものなのか、その根本から問い直さなくてはいけない時期に来ているのだと思います。
 さて、そこで、昨年から和歌山県では新たな取り組みとして中高一貫の教育が始められていますが、その目的はあくまで一校、二校の受験用のエリート校をつくるものではないはずです。この中高一貫教育は、その進め方次第では新たな公教育の世界を切り開き、子供の多様な個性を伸ばしていく取り組みが大いに進展する可能性があるのだと思います。
 昨年の議会でも少し触れましたが、例えば和歌山市で現在ある高等学校の特色を生かした具体例として和歌山工業を物づくり、マイスターの養成校とする中高一貫の実現、また県和商、市和商などでは企業家、商売人の養成校、また和歌山北校などでは現在スポーツ活動に活発に取り組んでくれているので、その特徴を生かした中高一貫による環境整備など、それぞれに明確な特色を持たせて子供に選択をさせていく。そこでは、決して勉強といった一元化された価値基準ではない学校選択が行われ、その中で胸を張り自信を持ってそれぞれの学校に入学していく子供が数多く生まれることを期待するものです。
 公教育による、例えば工業専門の中高一貫などは全国にも例のないもので、もし実現すれば和歌山県が新たな公教育の扉を開くことになると大きな期待を寄せる中、教育長の御意見をお伺いしたいと思います。
 また、ことしの夏ごろには中高一貫の新たな教育委員会の方針も出されるようですが、その前の今のこの時期に、改めて中高一貫を進めるその方針と、できるだけ具体的な内容についても教育長の御所見を賜りたいと思います。
 続いて、学校教育における職業観の育成とキャリア教育の実践について。
 今後は、より具体的に社会の実態を子供たちに伝え、将来、実社会で直面する、ある面では厳しさも含めて知らせることが子供たちの大きな成長につながるのだと思います。今議会では新たな予算としてきのくにデュアルシステムといった取り組みもされるようで大いに歓迎するところですが、子供たちに幅広く職業、働くことについて、そこではお金の話、収入などにも触れるなど、より現実をリアルに映す学びを実現させていくことが大切だと考えますが、教育長の考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、シルバー人材の学校への受け入れ、定年を迎えた特に民間の方を新たに学校の現場へ確保していく仕組みづくりについて。
 現在の学校の先生は、その大半が普通科の高校を出て、大学に入り、教職をとり、試験に受かって学校の先生になった人たちで、いわばこれまでの社会の成功モデルの型にはまった人たちだと言えます。今の学校の先生が子供たちに多様な社会の実態を教えようとしても、先生自体に経験がなく、それは難しいのだと思います。そこでは、豊かな社会経験、貴重な民間の知恵を持った外部の人材の受け入れに積極的に取り組むことが重要だと考えますが、これも教育長の御所見を賜りたいと思います。
 教育問題の最後として、和歌山教育のグランドデザインの策定について。
 今、教育、学校を取り巻く環境は激動期に入っていて、この大きな変動期に当たる時代にこそ、将来を見据えて和歌山独自の教育のグランドデザインをしっかりと描くべきだと思います。不透明な時代だからこそ和歌山の公教育の未来について明確に青写真を描き、どのようにして子供の個性、一人一人の能力を最大限に引き出す教育環境をつくり上げていくのか、和歌山県としての方針をしっかりと打ち出すことが必要とされています。ころころ変わる教育方針ではなく、一貫した方向性を示し、ぶれなく人材育成に努めるためにも和歌山教育のグランドデザインを策定することを提案しますが、教育長にこれも御所見を賜りたいと思います。
 次に第三問目、最後の質問として、和歌山県庁の広報力強化に向けた戦略的取り組みについて。
 この夏には知事選があることから、今いろんなところで知事に対しての県民の皆様からの声を聞く機会が多くなっています。そこでは、よく頑張ってくれているとしっかりと評価してくれている人がたくさんいる反面、やはりまだ県として取り組んでいる内容について理解の少ない方がいらっしゃることも事実です。
 私自身は、知事のこれまでの県政運営については、実際に全国の自治体にも出向きその取り組み内容を比較してくる中で、非常によく頑張られているというのが正直な印象です。県政の改革に取り組まれ、国、中央政府に対してもこれまでの和歌山では考えられないほどさまざまな提言をされ、和歌山に対するイメージも変わってきていることを肌で感じています。全国のいろんな勉強会に参加させていただくときも和歌山の県議会議員としてそれなりの関心も持ってもらい、県政に関する質問をされる機会も多くなっていて、そういった面では和歌山県で政治にかかわる者として誇らしく感じ、素直にうれしくも思っています。
 しかし、今後は、より強く情報発信を行い、もっともっと県内外を問わず和歌山県の取り組みについて知っていただくための努力が必要とされているのだと思います。「よらしむべし、知らしむべからず」といったことではこれからの厳しい時代の地域づくりは難しく、そこでは、今回提案をさせていただく広報力の強化を徹底して進めることが非常に重要なことだと考えます。あくまでも今の時代は、単によい政策を立案し実行していくだけではなく、より多くの人の理解を得て協力関係に引き込んでいくことが重要であり、そこでは多くの人に理解を広めていく行政活動、いわゆる広報の果たすべき役割がますます重要なものとなってきます。
 今回、広報にかかわる提案をさせていただこうとする中では、あくまで机上の論理ではなく、他の先進の自治体での実態を確認するとともに、行政に限らず民間の知恵も得ようと、幾つかの民間企業、広報関係の専門機関にもお邪魔して話を伺ってきました。その中で、特に民間では、多くの企業において広報を経営の根幹にかかわるものとして非常に厳しい目でとらえている実情を目の当たりにしました。広報力はイコール会社の経営力で、広報が会社の経営を左右するとまで言われていました。
 総合商社でニチメン・日商岩井の持ち株会社で広報部門を取り仕切る山口俊之さんのお話では、「近年、多くの企業では広報を単なる情報の下請屋ではなく総合的な経営管理のセクションといった位置づけを与え、企画部門などと一体のものとして企業経営の中核に据えている。実際に企業のトップが経営の一環として広報をとらえている会社は大きく業績を伸ばしていて、これは行政でも同じことが言えるのではないか。行政が地域を経営すると言われる時代では、民間も行政も同じで広報を徹底して強化することが非常に有効な手段であり、それにより従来とは全く次元の異なる業績向上につながる可能性が大きい」と指摘されていました。
 また、民間企業を幾つか回り広報についての話をお聞きしてくる中では、多くの企業で「広報」という言葉にかわる意味に「コミュニケーション」という言葉を使われていることに気づきました。株式会社電通で民間企業のみならず現在の小泉内閣に対しても広報アドバイザーとして御活躍されているソーシャルプロジェクト室室長の渡辺広之さん、シニアプロデューサーの澤茂樹さんにも直接お会いし、お話を伺ってきたのですが、お二人とも口をそろえて「コミュニケーションパワーが重要な時代となっている。広報活動は経営のすべての機能、すべての資源を戦略的、有機的に統合して実施されるトータルなコミュニケーション活動である」と話されていました。「これまでのように、単なる情報発信、お知らせ広報では、情報がはんらんする今の社会では到底実効性は上がらない。今こそきめの細かい対話型の広報、コミュニケーションとしての重要性を認識するときであり、これまでの広報の視点を変えて、コミュニケーションセクションといった位置づけの中で組織情報の設置点、集約拠点として情報戦略を組み立てることが求められている。また、その時代には広聴機能を強化し、マーケティングへの取り組みも本格化させるべきである。広報とマーケティングは一対の関係であり、そのマーケティングの重要性をしっかりと認識しないと質の高い広報も実現しない。経営トップとマーケティングと広報のいわゆる三位一体のコミュニケーション活動が大きな武器となる」と指摘されていました。
 次に、行政に目を向けると、静岡県を初め東京都、岩手県、高知県、岐阜県、富山県などで、これまでの行政には見られなかったような民間のノウハウを取り込んだ熱心な広報活動が進められているようです。社団法人日本広報協会の調査・企画部長である渡辺昭彦さんのお話では、静岡県などは民間広報を徹底して研究し、昨年から県庁内における広報の位置づけを見直し、企画部との連動を緊密に図る広報局を新たに設置して戦略的な広報の取り組みを推進しているとのことです。積極的に広報改革に取り組む静岡県では、その手始めにこれまでの広報活動の問題点の洗い出しを行っているのですが──その資料がここにあるのですが、この資料を見せていただくと、これは現在の和歌山県にも当てはまる課題が相当数挙げられるものとなっています。
 広報の課題として整理されたものを幾つか見てみると、まず第一点目として静岡県の努力が正確に県民に理解されていない、第二点目として部局広報が放置されている、第三点目として広報の重要性が庁内幹部職員に理解されていない、そして四点目として職員向け庁内広報という意識がないといったことが指摘され、これらを改善する対策について具体的な改善計画が示され、速やかに実行に移されています。静岡県を初めとする幾つかの自治体では、民間の問題意識と同じく広報は地域の未来を左右するものとして受けとめ、積極的な取り組みが進められています。
 もう一つだけ参考例として、民間に近い広報戦略を打ち出しているとよく例に挙げられる東京都について。
 東京都では、石原知事の就任後、改めて広報の重要性を認識し、その見直しに徹底して取り組んでいると東京都知事本局政策部報道課の波田健二さんは話してくれました。石原知事は、就任以来、人事と広報は最重点のものとして自分自身がやると明確にし、自身がスポークスマンになるとともに、全庁を挙げて効果的なコミュニケーション環境の確立に力を注ぎ、積極的、効率的な広報活動の推進に努めています。この姿勢は都庁全体に浸透しており、全部局に広報担当を置き、それを統括する立場で知事本局政策部に専属の報道課を設置し、民間の取り組みにも決して引けをとらないコミュニケーション活動を実践しています。また、東京都では従来からの単年度で場当たり的に行ってきた広報事業も根本から見直し、効果的、効率的な広報計画の立案に努め、また都政への信頼をより一層厚くするため、特に都民の声を初めとして東京都に寄せられるさまざまな情報について、その収集、蓄積、分析に力を入れ、民間手法で導入したマーケティングにも積極的に取り組んでいるとのことでした。
 今回の質問で私自身いろいろなところにお邪魔し、お話を伺い、アドバイスをいただいてくる中で、当初考えていた以上に改めて広報の重要性を強く認識するものとなりました。現在は官民を問わず広報活動の強化が進められており、こういった動きは今後さらに強まるものと思われます。和歌山県としても他におくれをとることなく、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 今回、私が提案させていただく広報力強化の取り組み、その本質は、和歌山が日本一の自治体、和歌山はナンバーワンなのだという誇り、プライドづくりであると思います。和歌山の望ましいイメージを徹底して伝えていく、これは県政運営を現場で進める多くの職員さんを勇気づけますし、県民にとっても大きな自信となっていくものです。当然、広報だけではなく、そもそもはよい政策、よい施策を実現していかなくてはいけないのですが、あくまで広報と両輪となった行政活動により世間のよい評価をこれまで以上に得ることができるのだと考えます。
 和歌山県は今、まさにチャンスのときを迎えているように私には思えます。木村知事のもと、県政改革、さまざまな新しい政策、施策への積極的な取り組みが実行され、また高野・熊野の世界遺産登録なども加わって全国への情報発信力も格段に高まっている状況にあります。こういった機会を逃すことなく徹底して広報活動の改善に係る広範な取り組みを進め、県勢の発展につなげていってもらいたいと心から願うものです。今回の提案は、担当部署の皆さんにとってはしんどいことも多いかと思いますが、それは私自身が大きな大きな期待を込めてのものとお許しいただき、ぜひ表面的な対応にとどまることなく根っこの部分からの広報改革に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、まず知事にお伺いいたしますが、今回提案させていただいている広報力強化への取り組みについて、これは私自身、今後の木村県政を左右するぐらい大きな課題だと感じていますが、知事御自身はこの広報部門の強化についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。また、あわせてその改善に向けて取り組まれる意気込みも一緒にお伺いできればと思います。
 続いて、広報戦略並びに広報計画の検討について。
 これには少し予算の持ち方などを工夫しなくてはなりませんが、単年度の予算に縛られることなく、広報の戦略並びに複数年にわたる具体的な広報計画を立案していくことを提案します。例えば、ことし予定されている高野・熊野の世界遺産登録などについても、場当たり的にことしの広報だけをその場しのぎで考えるのではなく、今後五年、十年でどういった広報戦略を組み上げるのかが重要なものとなります。和歌山県が取り組む広報活動について、広報戦略、広報計画の策定、その重要性をどのように認識し、今後具体的にどのように取り組まれようとするのか。またあわせて、そこでは内部の人間だけではなく外部の専門家なども招き入れての検討会議、例えば広報戦略会議などといったものを設置して広報戦略、広報計画をしっかりと練り上げていく必要性を強く感じるところですが、あわせて公室長の御所見を伺いたいと思います。
 次に、広報の効果測定への取り組みについて。
 広報した結果、どのような効果が上がったのか、広報後の成果を把握し、次の広報計画、広報戦略に生かしていくといったサイクルが大切で、そこでは広報の効果測定が非常に重要なものとなります。特に現状のように厳しい財政状況、限られた予算の中で効果的、効率的な広報を実現していくためにも、また政策評価の上でも効果測定は欠かせないものと考えますが、公室長にお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、マーケティングへの積極的な取り組みについて。
 今回、さまざまなところでお話をお伺いしてくる中で、広報力強化のためにマーケティングの重要性を改めて強く指摘されました。現在の広報室は、従来は広報広聴といった名前であって、現状では広聴は班として残っているようですが、この広聴機能を強化した和歌山県全体を指してのマーケティング活動を推進する体制の再整備が必要だと考えます。現在の和歌山県では、ブランド推進局とその中にマーケティング担当のセクションもありますが、そこはあくまでミカンを売る、梅干しを売るといった狭義、狭い意味でのマーケティング活動しか受け持たれていない状況にあるようです。今後は県全体に係るマーケティング活動の充実が急がれるものと考えますが、いかがでしょうか。
 また、広報活動とブランド化に向けた取り組みについて。
 現在、和歌山県ではオンリーワンを目指す取り組みをさまざまに進め、そこではブランド化といったことをよく口にされます。私もこれからの地方自立の時代に向け非常に重要な取り組みだと思いますが、しかし、実際問題として和歌山ブランドを確立させていくプロセスについては、まだまだ明確にはされていないものと思います。地域のブランド化に向けては、個々個別の取り組みとあわせて地域全体としての一貫性のあるブランド戦略を持たなくてはなりません。そこでは、広報室を初め、広告宣伝を受け持つ観光局、またブランド推進局などがそれぞれに意識的に強く連携して地域のブランド化を推進していかなくてはならないのだと思います。ここでも広報部門は非常に重要な役割を担わなくてはいけないと考えますが、和歌山県というブランドをつくっていくための組織内における連携のあり方と今後の取り組みについてのお考え、認識といった部分についてあわせて御意見を賜りたいと思います。
 最後に、庁内広報、組織内部のコミュニケーション活動の充実について。
 今回提案させていただいた広報力強化では、組織内部のコミュニケーション活動を活発にする取り組みが不可欠です。組織内部のコミュニケーションは外部へのコミュニケーションの基盤であり、内部のコミュニケーションが不十分では外部との満足のいくコミュニケーション活動は到底望めません。現状で和歌山県庁内のコミュニケーション活動はスムーズに行われているでしょうか。例えば、県庁の重要な決定事項は内部の伝達よりも新聞やテレビ、ラジオなどを通して知ることの方が多くはないでしょうか。情報管理のポイントとして、県庁内の情報は他のどんなマスコミよりも、外部に出る前にまず全職員に常に早く知らせるということが鉄則です。庁内広報を強化することで県庁職員一人一人に和歌山県の組織としての一体感を持たせ、さらには強力に県政運営に巻き込んでいくこととなります。広報改革の第一歩は組織内のコミュニケーション環境の改善にもあると言われる中、そのための仕組みづくり、新たな組織的な対応も必要となるかもしれませんが、庁内広報の強化について、これも公室長の御所見を賜りたいと思います。
 以上で、質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まずナショナルトレーニングセンターの誘致の問題でございますけれども、私も、実は去年、ラッセル・クーツが来たというふうなこと、そしてまた今回、オリンピックに吉迫・佐竹両選手が──今来られてますけども──出るというようなことで、この和歌浦というふうなものに対して改めて認識を深めていたところでございますけども、今のお話にありましたように、北京オリンピックで中国チームが和歌浦で練習しようというふうな話を聞いたら、これはもう相当力を入れないといかんなというふうな感じになってきております。
 このナショナルトレーニングセンターの誘致については、従来から教育委員会を中心として取り組んでおり、昨年の十一月には副知事を会長とする誘致委員会を設置して文部科学省やJOCなどに対して働きかけを行ってきており、また国の施策に対する要望についても重点項目として挙げているところでございますけれども、今のような事態を踏まえてさらに一層その働きかけを強めていきたいというふうに思っております。
 それから、広報についての御質問でございますが、広報が重要だということについては全く私も同意見でございます。今の時代は、内容とともにそれを外へ発信していく努力ということが同じぐらい重要性を持つような時代になってきている。そういう中で、今まで私自身もいろいろな形で発信という努力をしてきたわけですけれども、非常にやはり今思い返してみると場当たり的な形、それからスポット的なものであったというふうな感じを持っておりますので、今後は組織的に、そしてまたいろんな形の効果というふうなものを測定しながら有機的連関を持って広報が行えるような組織づくり、体制づくりということを進めてまいりたいと、このように考えております。
○副議長(吉井和視君) 知事公室長小佐田昌計君。
  〔小佐田昌計君、登壇〕
○知事公室長(小佐田昌計君) 広報力強化に向けた戦略的な取り組みについて、お答えをいたします。
 まず、広報戦略、広報計画の必要性と広報戦略会議についてでございますが、これまでも広報広聴委員会など庁内の広報関連組織を活用して定期的に広報広聴の方針などを説明し、重点施策については広報戦略を協議・検討しております。また、県内市町村と県とで構成する県広報協会の研修会など、専門家から具体的な指摘をもらったり他の自治体や民間広報担当者から現場の話を聞くなど、広報力の強化に努めているところでございます。より和歌山を売り出すために、また各施策についてより多くの理解と評価を得るために、中長期スパンでの広報戦略や広報計画を策定することは非常に必要なことだと考えてございます。また、外部の専門家の意見も踏まえた広報計画のあり方については、関係課室と連携しながら十分検討してまいりたいと考えております。
 次に、広報事業に係る効果測定についてでございますが、各メディアの調査データやそれぞれの広報媒体、また個々の事業でのアンケート結果などを参考にしているところですが、トータルな広報の効果測定はなかなか難しいことも事実でございます。広報の効果測定は、ニーズの把握や政策評価とあわせて今後の広報計画を立てるに当たり非常に大切でありますので、庁内外の各種データの集約を強化するとともに、より効率的な効果測定の方法などを研究してまいりたいと考えております。
 次に、マーケティング活動とブランド化への取り組みについてでございますが、広報活動に当たり、県民ニーズの把握いわゆるマーケティングは欠かせないものでございます。このため、県民の皆さんと直接ひざを交えて懇談や説明をするふれあい未来づくりトーク、県政おはなし講座、また直接提案をいただく知事と親しメールなどを通して現場の生の声を施策に生かしているところですが、今後もニーズの把握方法の拡大、またそれを施策に生かす仕組みの見直しなどを含め、より積極的な展開を図ってまいりたいと考えております。
 地域ブランドへの取り組みにつきましては、これまでもそれぞれの担当部局で実施され、自然や観光を初め、農林水産物、さらには工業技術等々、国内外に誇れる成果も数多くございます。これらの各分野の集積がブランドであり、それが本県のイメージをつくり上げていくのではないかとも思っております。本県の一元的なイメージづくりはなかなか難しいものとも感じておりますが、例えば、今回の世界遺産登録が実現しますと、まさしく世界に通用するブランドを得たことになりますので、これを機に世界遺産を有する県として関係課室がより連携して、さまざまな機会をとらえて情報収集・発信の強化を図り、総合的な地域ブランドの創造に向けて努力してまいりたいと考えております。
 次に、組織内コミュニケーションについてでございますが、現在、毎月の広報連絡会議など庁内の各種連絡調整会議を通して、新しい情報の交換を初め、広報広聴の方針などの再確認や協議をしております。また、庁内イントラネットやホームページを活用して職員相互の意見や知識の共有化、報道機関への資料提供の周知なども行っているところです。こうしたコミュニケーションは広報力強化の観点からも重要でありますので、全職員が広報担当者であるとの意識づけをより徹底させてまいりたいと考えております。
 いずれにしましても、議員御指摘のとおり、行政の事業遂行に当たっては的確な情報の収集と発信が何よりも大切であると思います。そうした意味において、広報の重要性をいま一度再確認し、県勢の発展につなげてまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 最初に、ナショナルトレーニングセンターについてお答えします。
 このたび、和歌浦湾を拠点にトレーニングを積んでこられたセーリング競技の吉迫、佐竹、鈴木の三選手と雑賀コーチの四名の方がオリンピック日本代表に選ばれたことは、県民の喜びであるとともに、本県の青少年に大きな希望を与えてくれるものと期待しております。
 今回のアテネオリンピック出場が強力なアピール材料となり、和歌山へのナショナルトレーニングセンターの誘致が実現することを願っております。そのことでセーリング競技のトップアスリートが和歌山に集まり、トレーニングや各種大会などのイベントが多数開催されることになれば、各種のメディアを通じて和歌山の海のよさをPRできる機会が多くなるものと考えております。ナショナルトレーニングセンターの誘致はスポーツや観光の振興など本県の活性化に資するものであり、今後も国や競技団体に対して精いっぱい働きかけを続けてまいります。
 次に、個性を伸ばす和歌山教育への取り組みについてお答えします。
 本県の中高一貫教育は、早期からみずからの個性や才能を見つけ、それを伸ばし、豊かな人間性をはぐくむとともに、生徒が希望する進路を実現できるようにすることをねらいとしています。この春開校した県立向陽中学校においても、理数系の確かな学力を育てる特色ある教育課程を展開する中で、現在、生徒たちは生き生きと学習に取り組んでいます。今後の中高一貫教育校の設置は、県民のニーズを踏まえ、多様な個性の伸長という視点を大事にしながら、特色あるものとなるようさまざまな角度から検討をしてまいります。
 職業教育において社会の現実を体験することは、職業人としての自覚を培う上で極めて大切であります。本県では、これまでインターンシップなどの普及に取り組んできており、本年度は長期間の企業内実習等を通して地域の産業が求める有為な人材を育成するきのくにデュアルシステムを田辺・西牟婁地方をモデルに実施することとしています。これらの取り組みを通して確かな勤労観、職業観の育成や将来のスペシャリストとしての専門性の向上等、キャリア教育を大きく前進してまいりたいと考えております。
 次に、学校におけるシルバー人材の活用は、貴重な人生経験や技術を子供たちに直接伝えることを通して学校での学びをより豊かなものにし、人間的な成長を促すという大きな意義を持つものであります。現在、小中学校において長年の職業経験を持つ大工職、漆器職等、外部の人材を特別非常勤講師として招く取り組みを行っているところです。また、とかく視野が狭いと言われる教職員についても、数年前から毎年三十人平均、これを民間の会社等に派遣して長期社会体験研修を実施しております。今後もさまざまな方法を工夫して、より積極的、計画的にそうした人材の活用を進めてまいる考えであります。
 最後に、本県教育のグランドデザインを描くに当たっては、和歌山という地域、風土をフィールドにした真の学びを構築し、二十一世紀をたくましく生きる人材を育成することが大切であると考えております。とりわけ、今日のように先行きの不透明感が増幅する状況にあっては、厳しい変化に流されることなく、みずからの意思と責任で進路を開拓し、社会人、職業人として自立していく力を身につけさせる教育が強く求められており、そのために必要な改革を積極的かつ腰を据えて展開してまいる所存であります。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁いただけましたので、再質問させていただきます。
 アテネオリンピック出場、ナショナルトレセンについて、まず、先ほど先輩議員である向井議員の方からお教えいただいたのですが、今回、和歌山からパラリンピックの方で中村智太郎さんも出場されるということをお伺いいたしました。大いに健闘を期待したいと思います。
 先ほどから、吉迫・佐竹の件ではお話をいただいていますけれども、実は彼女たちがオリンピックでメダルをとれる可能性というのは──余りこうプレッシャーをかけてもいけないんですけれども、実はこの女子四七〇級というのは三大会連続入賞してきている種目でして、日本のヨット界では一番世界に近いと言われている種目です。そういった部分もありますので、とにかくよい成績を残してナショナルトレセンのさらなる弾みにつなげてもらえればと祈るばかりです。
 あと、広報力強化に向けた取り組みについては前向きな御答弁をいただけましたので、ぜひしっかりとお取り組みいただきたいと、これも要望といたします。
 最後に、個性を伸ばす和歌山教育の取り組みについて、これ一点だけ知事に少しお伺いしたいんですけれども、先ほどお話ししたように、教育長が向陽高校の方では生き生きと生徒がしているというお話をお聞きして、私もつい先日、向陽高校に行き、校長にもお話をお伺いして実際に授業も見てきました。確かに生き生きとした取り組みが進められていて、よい取り組みが始まっていると感じています。だからこそ、ここで立ちどまらずに取り組みを進めていっていただきたいと。
 最後に、知事に一点だけ、工業系の中高一貫、商業系の中高一貫などについて、私はぜひ前向きに進めていただきたいと。単に学校で競争がだめだということじゃなくて、競争の目標とするところを幾つも山をつくると。子供の個性に合ったところで競争させていくような教育環境。だから、学校で勉強はできるというところも一生懸命競わせたらいいし、そこのいい学校もつくればいいし、ほかにはいろんな個性に合わせた学校の目標というものも今後教育環境ではつくっていくべきだと考えるのですが、そのあたりについて知事の御所見を賜りたいと思います。
○副議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 今の工業系とか、それから商業系の中高一貫、これは僕は発想としては非常におもしろいと思います。発想としては非常におもしろいけれども、なかなかそれに応募してくる人がいるかどうか、やっぱりいろいろな準備というか、そういうふうな調査も必要だと思いますので、一つの貴重な御意見として、これは教育委員会がやることですけども、これを受けとめながら考えていくということだろうと思います。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(吉井和視君) 以上で、山下大輔君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後三時二十九分散会

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