平成16年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(下川俊樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第八十九号から議案第九十八号まで、並びに知事専決処分報告報第六号から報第十二号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十六番下川俊樹君。
  〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、当局の所信をお伺いしたいと思います。
 まず、木村知事におかれては、先般、第二期県政に向けて出馬、立候補を表明されておりますので、これに関連して、初めに県政への取り組みについて知事にお尋ねをしたいと思います。
 過去四年間、知事におかれては、東南海・南海地震や緑の雇用事業に対する取り組み、ドクターヘリの運行、さらにはコスモパーク加太問題等、多くの分野で評価すべき点がありました。また、ITセンターの建設、雑賀崎沖合の埋め立て計画の中止、橋本市における産業廃棄物処理、県立医科大学の跡地利用も、今から振り返ってみますと大きな決断であったと考える次第であります。こうした実績は、知事のしがらみのない政治スタンスから発想され、生み出されたものであり、高く評価できる点でもありますが、反面、その果敢な発想とスピード感あふれる行政の運営手法は時としてもろ刃の剣のごとく、シャープさなるがゆえのリアクションもあったのではないかと考える次第であります。
 私はかねてより、政治とは信頼であると確信をしてございます。和歌山発のアイデアを積極的に提供し、行動する政治スタイルに対する評価の声、あるいは批判の声など、さまざまな波紋を投げかけられたと認識しております。事は和歌山県政の根幹にかかわる重大な判断であり、軽々に個人の立ち居振る舞いや好き嫌いの感情等にこの判断をゆだねるわけにはまいりません。すなわち、和歌山県政の将来にとって知事の県政運営が県民にとって真に信頼に値するものか、その知事を推薦することは責任政党として真に和歌山県の将来に責任を果たすことができるのかという点であります。しがらみがない、しがらみを絶つということは、知事と県民、市町村、県議会、国会議員とのコミュニケーションを絶つということではありません。
 知事は、ある紙上で、知事は行政官であるといった旨の発言をされておりますが、知事には、これまで旧自治省での経験や各府県での知識や見識から培い温めてきた理想の地方行政がイメージされているものと考えます。それゆえに、市町村との一層の信頼関係を構築していくべきではないかと考えます。財政の逼迫、景気低迷、過疎・高齢化、合併問題等に悩む市町村の現状にさらに真摯に耳を傾け、その現状をしっかり認識し、足場を固めたとき、知事の豊富な行政知識と果敢な行動力が県民に対してより説得力をもって展開されるものと考える次第であります。その際、県議会との関係が最も重要であるということをこの際強く指摘をしておきたいと思います。
 今回の知事選挙に際しては、自由民主党は党を挙げて木村知事の再選を支持してまいる所存でございます。しかしながら、自由民主党県議団としましては、今後、評価すべき点は積極的に評価し、ただすべき点は積極的にこれをただしてまいる所存であります。
 知事のこれまでの評価と政治姿勢についてるる申し述べてまいりましたが、このことは同時に、現に県政が直面する喫緊の諸課題に対する今後の木村県政に対する期待と不安に直結するからであります。
 三位一体の改革と地方財政、世界遺産登録、雇用対策、市町村合併、過疎・高齢化、どれをとっても待ったなしの重要課題であり、県民生活に直結する問題点ばかりであります。私がこれまで申し上げてきたこと、県民各界各層の知事に対する批判、要望を踏まえて今後の県政運営に当たってどのような基本姿勢で臨もうとされているのか、決意と方針を伺います。
 次に、三位一体の改革についてお尋ねをいたします。
 去る六月四日、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四、いわゆる骨太の方針第四弾が閣議決定され、その中で三位一体の改革も発表されました。今回の改革では平成十七年、十八年度に行う三兆円程度の国庫補助負担金改革の工程表、税源移譲の内容及び交付税改革の方向性を一体的に盛り込み、そのため税源移譲は三兆円規模を目指す、その前提として地方公共団体に対して国庫補助金改革の具体案を取りまとめるように要請し、これを踏まえ検討するとされています。また税源移譲については、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施し、その際、住民税の税率をフラット化する方向で検討も行われることとなっております。さらに、地方団体の効率的な行政運営を促進するよう地方交付税の算定の見直しを検討し、あわせて財政力の弱い団体においては税源移譲額が国庫補助負担金の廃止・縮小に伴い、財源措置すべき額に満たない場合があることから、実態を踏まえつつ、地方交付税の算定等を通じて適切に対応されることとなっております。
 昨年の例を見ればわかりますように、三位一体の改革は地方財政に大きな影響を及ぼします。地方自治体には規模の大小、財政力の強弱等、さまざまな格差があります。財政力が脆弱で多くの依存財源に頼っている本県の議員の一人として、平成十七年、十八年の両年にわたる三位一体の改革が和歌山県の財政にどのような影響を及ぼすのか、大変危惧しているところであります。
 そこで、今回の三位一体の改革をどのように考え、評価しているのか、改めて知事の所見をお伺いしたいと思います。
 次に、世界遺産登録に関連して熊野古道の環境整備についてお尋ねいたします。
 世界遺産登録のそもそもの発端といいますか、その機運が一気に盛り上がったのが平成十年十月、当時の西口勇知事とスペイン・ガリシア州のフラガ首相との間で調印されました熊野古道とスペイン・サンティアゴへの道との姉妹道提携であったと思います。このとき、私は県議会議長としてスペインに赴き、この調印式に立ち会ってまいりました。また、昨年十一月には木村知事からの要請もあり、尾崎議長とともに再びスペイン・ガリシア州とパリのユネスコ本部を訪問し、世界遺産登録の最後の要請を行ってきたところであります。思い出深いプロジェクトであります。二度のスペイン訪問を通じて私なりに感じた点は、この古道がしっかり保存・保全され、歩く人々の立場に立ったきめ細かな支援がなされているということであります。具体的には、標識の整備であり、簡易な宿泊施設の整備などであります。
 ひるがえって、熊野古道はどうでしょう。平成十二年ごろから急速に盛り上がってまいりました世界遺産登録への機運の中で、これまでの熊野古道に対する県民の目は大きく変わってきてございます。何げなくその存在を感じていた地域の方々の熊野古道に対する評価は大きく変わり、例えば県外の方々からの熊野古道に対する質問に、知らないと恥ずかしい、もっと大切にしなければならないという意識がほうはいとして起こってまいりました。
 去る二月二十四日付の読売新聞の報道によりますと、政府も本格的に観光立国を目指して、日本を訪れる外国人旅行者を現在の約五百万人から二〇一〇年には約一千万人に倍増させると打ち出しました。特に観光資源の豊富な地方の地域振興に積極的に貢献していく、そのための推進委員会を発足させると紹介され、課題としては高い宿泊料金と言葉の壁との記事が紹介をされてございました。
 こうした大きな流れを背景に、熊野古道に関連して二点、知事のお考えをお伺いするものであります。
 まず一点は、宿泊料金に関してであります。
 サンティアゴへの道では、道中にたくさんのアルベルゲという簡易宿泊施設を見受けました。たしか一泊三百円から五百円程度の宿泊料であったと思います。ベッドやシャワー、洗濯機が使用できる簡単な施設が整備をされてございました。
 私は、熊野古道にもこうした簡易な宿泊施設の設置を提案するものであります。安い宿泊料金は当然のごとく旅行者には魅力であり、加えて旅人にとってどこまで歩かなければならないという時間的、体力的制約から解放されるという効果も期待をされるわけであります。幸い、緑の雇用事業を初めとする県産材の活用が積極的に推進をされていますので、この際、熊野古道沿いに県産材を活用して簡単な炊事もできる簡易宿泊施設を整備してはどうでしょうか。もちろん、そこで使われる夕食の材料は地域でとれた食材をパックにした地産地消であります。世界遺産登録と地域振興、こうした地道な具体的な取り組みから始めてはどうでしょうか。簡易宿泊施設の整備について、知事のお考えを伺うものであります。
 関連して、二点目は熊野古道ルートの一体的整備を提案したいと思います。
 熊野の入り口は藤白からと言われます。熊野古道は、藤白の峠を越えますと、有田─湯浅の糸我峠、そして広川から日高に至る鹿ケ瀬峠を越え、その後はおおむね平たんな町中の道が続きます。熊野に至って新宮市内でも同様の現象が見られます。峠に残る熊野古道はすばらしいものがあります。整備もされてございます。一方、町中の道の部分はと申しますと、そこは地域の生活道路であり、人が、車が行き交う道路でもあります。必然的に古道としての整備はおくれてまいります。世界遺産登録には厳しい条件があり、その範囲が限定されることは当然なことであります。やむを得ないと思いますが、本県にとって熊野古道は県内を縦断するかけがえのない観光・文化資源であると思います。
 この際、世界遺産登録とは違った視点から、県内の熊野古道についてはいつだれがどこを歩いても迷うことなく、安心して歩ける道として全県的、一体的な整備に取り組むよう提案するものであります。知事のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 次に、国道四百八十号道路改築、仮称三田一号橋設計ミスに関してお尋ねをしたいと思います。
 さきの二月議会において、国道四百八十号清水町三田バイパス橋梁設計ミスにより、この工事の完成時期がおくれているとの説明がありました。極めて遺憾であります。一日も早いバイパス道路の供用開始は多くの県民の願いでありますので、現在の状況と今後の進め方を明らかにして説明責任を果たし、県民の信頼を回復する必要があるものと考える次第であります。
 この設計ミスについては、設計請負業者の技術力不足と照査不足であり、業者側もそれを認めているとのことでございます。しかしながら、聞くところによりますと、ことし三月、契約解除通知とあわせて代金返還の請求を行ったにもかかわらず、現在まで返還されていないどころか、契約解除を不服として国土工営コンサルタンツから債務不存在確認調停が提起されているとのことであります。
 設計ミスによる設計コンサルタントのこのような対応に対し、県から契約解除に伴う代金返還請求及び損害賠償請求に関する訴訟を提起する議案が本議会に提出されておりますが、この件について県としてどのように考えているのか、知事にお尋ねをしたいと思います。
 次に、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 契約解除通知に対する国土工営コンサルタンツの対応状況と、それに対して県はどのような姿勢で臨むのか、また、供用開始のおくれが最小限になるよう取り組んでいくとのことでありますが、既に発注されている修正設計の進捗状況と今後の橋梁工事の工程についてお尋ねをいたします。
 次に、廃棄物の問題についてお尋ねいたします。
 かねてより日高郡以南の地域は大阪湾フェニックス計画の対象区域外となっており、産業界は久しく産業廃棄物の最終処分に苦しんでまいりました。人口の減少に悩む市町村にとっては地域の活性化を目指す上で企業誘致と地域産業の振興はまさに喫緊の課題であり、環境問題はもとより地域振興の観点からも、産業廃棄物の最終処分場問題は迅速に解決されなければならない問題であります。同時に、紀南地域には、東牟婁郡を中心に西牟婁郡の一部を含めて一般廃棄物の焼却灰の処理に困窮して、やむを得ず多額の経費を費やして県外の委託処理を行っている市町村が相当数あります。この点からも最終処分場問題は早急な対応が必要と考える次第でございます。
 私も本会議や予算委員会で再三にわたって紀南地域の廃棄物問題を取り上げて早期の解決を強く訴えてまいりましたが、一昨年十一月に県、市町村、産業界が連携して紀南地域廃棄物処理促進協議会が設立をされ、ようやく課題解決への第一歩が踏み出されたものと考えてございます。産業界はもとより市町村、そして紀南地域の住民は促進協議会の活動に大きな関心と期待を抱いているところであります。
 そこで、知事に、紀南地域の廃棄物問題の現状をどのように認識し、県としてどのように対処されようとしているのか、基本的な考え方についてお尋ねをいたします。
 また環境生活部長には、紀南地域廃棄物処理促進協議会での取り組みの状況並びに今後の見通しについてお尋ねをいたします。
 最後に、昨年の六月議会において約四千名の署名を添えて要望してまいりました熊野川河口大橋の建設についてお尋ねをいたします。
 私の地元である新宮市と三重県の鵜殿村、紀宝町といった地域はともに熊野川河口に位置し、属する県こそ違え、生活、経済、文化を共有する一体となった圏域であります。しかしながら、熊野川を挟んで両地域を結ぶ道路は国道四十二号の熊野川大橋ただ一本だけであります。しかもこの橋は、両地域の往来の多さから朝夕に慢性的な渋滞が発生し、圏域の住民の日常生活に大きな障害となっているだけでなく、差し迫る東南海・南海地震などの大災害は言うまでもなく、日常の交通事故でさえ交通が途絶するという非常に脆弱な状況にあります。
 私は、県議会議員に当選直後から海岸沿いの新線建設を強く訴えてまいりました。おかげで県道あけぼの広角線は着実に整備が進められてございます。この道路の持つ意味は、言うまでもなく新宮市内のバイパス機能であります。さきに申しました国道四十二号の現状と海岸沿いの県道の役割を考え合わせ、私はこの際、この県道を熊野川河口大橋として延長し、三重県と連携することがぜひとも必要であると考えてございます。
 昨年末には、新宮市長を初め市議会議長、市議会、海岸道路の建設を促進する会など地元の方々と知事に要望を申し上げた際には前向きな発言をいただき、大変意を強くしたところであり、さらには過日、知事には現地を御視察いただいてございます。その状況については十分把握されていると思います。ここで改めて熊野川河口大橋の建設に向けた取り組み姿勢について、知事にお伺いをしたいと思います。
 また、県境をまたぐ架橋でありますので、事業を推進するに当たって国土交通省や三重県との調整などが重要になると思われますが、そうした今後の進め方について県土整備部長にお尋ねをして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず初めに、私、先般、御質問にもありましたように県知事選挙に立候補を表明したところでございまして、ただいま下川議員の方からも党として応援していこうという非常にありがたいお言葉をいただいたわけでございます。
 私は、御質問の中にもありましたように政治は信頼であると、これは本当にそのとおりだというふうに思っておりまして、議会との関係も、私は今までも信頼関係を築くように努力してきたつもりではございますけども、これからは一層この県議会との信頼関係というものを大事にして和歌山県政を進めていきたいと思いますし、またその中に、やはり私は緊張関係ということも大変大事なことだというふうに思っております。相互にチェックをしながら和歌山県政が進んでいくようにしていきたいということが私の心からなる願いでございます。
 そしてまた、その際、例えば市町村の話がございました。今、市町村は、実は三位一体のかけ声、そしてまた合併、こういうことの中で大変厳しい状況の中にあえいでおります。そういうときにできるだけ県としてもその市町村の主体性を侵すことなく、しかしながら相談に来たときには本当に親身になってこたえられるというふうな情報を集め、そしてまたそういうふうな対応をとっていくことが何より大事だと思いますし、これはますます厳しくなってきますので、これまで以上にやっていかなければならないことだというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、県政は理事側と、そして県議会、これが本当に車の両輪となって進めていくべきものであると私は考えておりますので、またそのようなことでいろんな形で御指導、御鞭撻を賜ることができたら本当に幸せだというふうに思っている次第でございます。
 次に、三位一体の改革の評価でございます。
 三位一体の改革につきましては、去年、初めて一歩を踏み出したわけでございますけれども、ふたをあけてみると、確かに税源の移譲ということはあったものの非常に不満足な状況で、そしてそれは十分に補助金のカットを補うようなものではなかった。しかも、地方交付税については規模是正と。言ってみれば、地方単独事業をそんなにしてないんだから減らしても大丈夫だというふうなことの美名のもとに大幅な削減が行われた。それが和歌山県もそうですし、県下の市町村も非常に財政運営に苦労する状況になってきているというふうなことでございます。
 来年度もこれと同じような考え方で行われれば、県も県下の市町村もこれまで以上に財政運営に支障を来すことになるというふうなことを思っております。そして、私のそういうことに対しての一つの基本的な考え方は、まずこの三位一体の改革、三兆円の税源移譲ということは骨太の方針に書き込まれたわけでございます。これは堅持してもらわなければならないと。そしてそれとあわせて、地方の方から補助金の削減ということについて考え方を示せということを言われておりますので、これについてもやはり都道府県、市町村、こういうところが腹を据えて地方六団体なんかで中心になってこれに対する案を出していかないと足元を見られるというふうなことになると思います。
 一方、地方交付税に関して言えば、これを簡素合理化するという美名のもとに一方的にお金が減ってくる。これは、はっきり言って地方の自治体に対しては死ねと言っているのと同じようなことでございますので、そういうふうなことが行われないような働きかけ、これを強めていかなければならない。
 いずれにいたしましても、こういうふうな方針において、私は全国知事会、その他いろんな場でこういうふうなことについて発言をしてまいりたいと思いますので、また議会からもいろんな形で御示唆を賜れればありがたいというふうに思っております。
 次に、世界遺産の登録についてでございます。
 いよいよ来月の初めには世界遺産に高野・熊野が登録されることになりました。そして、その中で熊野古道については、私は熊野古道が曲がりなりにも世界遺産になれるということの大きな基礎は熊博というふうなものの中でいろいろな整備がなされてきたと。そしてまた、住民の運動というふうなものもそういう中で培われてきたことが僕はやっぱり大きな土台になっていると思います。
 そして、今はそういうふうなものをさらにブラッシュアップをして、先ほどおっしゃった簡易宿泊施設、私もスペインで見てまいりましたが、こういうふうなものがあれば必ず──私はあの道を歩いた人に聞いたら、何泊かは上等の旅館に泊まって、そして何泊かはああいうふうな簡易宿泊所に泊まって、疲れをとりながら回るというのが非常に一般的なんだというような話を聞きました。県産材を使ったようなものでそういうふうな施設をつくって、それで例えば運営についてはNPOに必要な金額を払ってやってもらうというふうな新しい方式で僕はぜひこれをやっていきたいなと思っております。一気にたくさんつくるというのは難しいかもしれませんけども、モデル的に一つか二つつくってみて、そしてまたそれがうまくいけばさらにふやしていくというふうな形で、やはり一味違った世界遺産にしていく努力というものをとってまいりたいと思います。
 それからもう一つは、町中の熊野古道、これを大事にしましょうということでございます。
 熊野古道は大阪の七軒家というところ──京都からですけども──からずっと続いているわけでありまして、その中には町の中もあればいろいろあるんですけども、先ほど御質問にありましたように、ずっと皆が歩くということになれば町中の道もやっぱりある程度整備しておかないと、ぶつぶつに見て、ここだけ歩けばそれでいいというふうなんじゃちょっとサンティアゴへの道には見劣りがするんじゃないかというふうに思っておりますので、この町中の道についてもあわせてどんな形で整備を進め、そしてまた旅人にわかってもらえるような形がいいか積極的に検討をしてまいりたい、このように思っております。
 次に、国道四百八十号仮称三田一号橋の設計瑕疵に伴う訴訟についてでございますが、今回の件につきましては、設計業者がみずからのミスを認め、期限までに修正を完遂する旨の申し出を行いながらその約束を履行せず、債務不存在確認調停を提起したことは極めて遺憾でございます。本議会におきまして、代金返済等の訴訟案件を御承認いただいた後、代金返還及び損害賠償の訴訟提起を行い、司法の場で解決を図っていく考えでございます。
 いずれにいたしましても、今後このようなことが起こらないよう十分な対策を図るとともに、当該工事の早期完成が図れるよう最大限努力をしてまいりたいと思っております。
 次に、紀南地域の廃棄物問題に関する基本的な考え方でございますが、紀南地域におきましては廃棄物処理施設の不足から処理を県外に頼らざるを得ない現状が大きな課題となっていることは、私自身も十分認識をしております。このため、平成十四年十一月に県も参加して産業界、市町村と紀南地域廃棄物処理促進協議会を設立し、適正な廃棄物処理のあり方について広域的な見地から検討を進めてまいりました。協議会の諮問機関である検討委員会から本年三月に出された答申では、まず発生抑制、再使用、再資源化を進め、その上で残った廃棄物については地域内に最終処分場を確保し、一般廃棄物と産業廃棄物をあわせて適正処理するという取り組むべき課題が示されております。県としても、答申の具体化に向け、ソフト・ハード両面からの具体的な取り組みを協議会に参画している皆さんとともに進めてまいります。間もなく世界遺産に登録される豊かな自然、歴史と文化を有するこの紀南地域が協議会の基本理念でもある「百年たっても美しい紀南」であるよう積極的に県としての役割を果たしてまいりたいと考えております。
 最後に、熊野川河口大橋についての御質問でございます。
 これは、先般、私も地元へ参りました。そして、多数の地元住民の人がおられる中で、ここに橋をかけたいんだというふうなお話を伺ってまいりました。そして、見た感じではそんなに不可能というふうな感じじゃなく、これはやはり進めていかなければならないと私自身も思ったところでございます。
 そして、今まで和歌山県は大阪との関係でいろんなことが進んできたというふうな面があったんですけども、ここへきて愛知県、名古屋が非常に元気が出てきている。そういうことからいえば、やはり三重を通して、新宮がまたその窓口になっていかなければならない。そういうことであれば、県境を流れているこの熊野川に一本しか橋がないというふうな状況は、これはやはり発想からしてもちょっとおかしいんじゃないかなというふうな感じを私自身も強く持ちました。この問題については三重県知事──今の知事とも非常に仲よくしておりますので、三重県知事とも十分協議し、そしてこれは国土交通省のことでございますので、国土交通省とも積極的に相談しながら前向きな対応を県としてとっていきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、国道四百八十号道路改築についてお答え申し上げます。
 本年三月十七日に設計業者である国土工営コンサルタンツに対して契約解除通知を送付し、請負代金の返還請求を行い、さらに四月二十日に督促状を送付いたしましたが、現在まで納付されておりません。一方、四月十六日付で業者側から和歌山簡易裁判所に債務不存在確認調停が提起されておりますが、本議会におきまして代金返還等の訴訟案件を御承認いただいた後、代金返還及び損害賠償の訴訟提起を行い、司法の場で解決を図っていく考えであります。
 今回の設計ミスによる工事のおくれを最小限とするため、橋梁上下部の修正設計を四月に発注しており、設計が完了次第、ことしの十月には現在工事を中断しております橋台並びに上部工工事を再開するとともに、既にできている橋脚、橋台の手直し工事に着手してまいりたいと考えております。
 なお、今回の設計ミスにより現時点で一年のおくれがあると考えており、供用開始は平成十八年度になりますが、一日でも早く供用開始ができるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、熊野川河口大橋に関する事業推進に当たっての今後の進め方についてでございますが、本年度に三重県と共同して熊野川下流域における幹線道路のあり方を検討する国の補助調査予算が認められたところでございます。この調査の中で、近畿自動車道紀勢線や国道四十二号紀宝バイパス、県道あけぼの広角線等の周辺道路網の整備の進展を踏まえ、交通現況把握等を行い、来年度もさらに調査を進められるよう三重県と連携しながら国へも強く要望してまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 紀南地域廃棄物処理促進協議会の取り組み状況及び今後の見通しについてですが、当協議会では学識委員と公募委員で構成される検討委員会から、本年三月二十二日に「紀南地域の廃棄物に係る適正処理方針」と題する答申を受けたところでございます。
 現在、答申で提言されました発生抑制や分別品目の統一など、ソフト施策と中間処理施設の活用、確保については、日高、西牟婁、東牟婁の三つのブロック単位で検討を進めているところでございます。
 また、資源化、減量化を徹底してもなおかつ発生する残渣を処分する最終処分場の確保については、候補地群の選定と事業主体の組織や事業規模などについて本年度中に結論を出す方向で本協議会において検討してまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、下川俊樹君の質問が終了いたしました。

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