平成16年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十二番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 五日間にわたり論戦が行われました一般質問も、私で最終となりました。最終ゆえに重複もございますが、一生懸命質問をしてまいりますので、当局におかれましては誠実かつ簡潔なご答弁をお願い申し上げたいと思います。
 それでは、通告に従いまして順次、質問を行ってまいります。
 まず、雇用対策についてであります。
 厚生労働省が行った直近の発表によりますと、全国の有効求人倍率は〇・七七であり、特に低迷する素材型産業が多い近畿地方は〇・七二。その中でもとりわけ厳しいのが我が県で、〇・五七となっているのであります。また、高校新卒者のうち就職を希望する人の二〇%が就職できないという大変な状況にあります。
 そこで、厚生労働省は紀南地方を雇用機会増大促進地域に指定し、雇用奨励金等の雇用支援を実施していますが、もともと採用予定の企業が支援を受ける高いところへの土盛りといった感じで、新しい雇用の創出にはつながりにくいと思います。やはり対症療法ではなく、産業振興や職業能力開発といった根本的解決を図らなければなりません。すなわち、継続して雇用を生む元気な企業を育て、地域経済を引っ張る機関車の役割をしてくれる産業の創出をすること、有能な人材を育てるということに尽きると思います。県においても、投網を打つような政策から、やる気のある人、企業、業界を個別集中的に支援する産業政策にだんだんと転換してきており、その効果に大きな期待を寄せているところであります。
 そこで、私からは、地元であります中紀地方の雇用情勢と職業訓練のあり方について伺います。
 実は、ハローワーク御坊・湯浅の有効求人倍率は、それぞれ〇・四五、〇・六五と大変厳しいものがあります。しかも、両ハローワークの求人求職状況を分析してみますと、単に厳しいだけではなく、企業からは技術者などの専門職の求人があるものの、求職をしている人の希望職種が漠然と事務職であったり、無資格であるため応募できないといった雇用のミスマッチの実態があることが浮かび上がってまいります。しかしながら、肝心の中紀地方の人材育成を行うポリテクセンター日高分所は、平成十五年三月末日をもって閉鎖し、ポリテクセンター和歌山へ通うか、事業主が従業員を研修させる事業内訓練を行う御坊職業能力開発校があるのみで、今さらながらポリテクセンターのありがたみが身にしみます。
 そこで、今、関係者有志が何とか事業所と失業者を結ぼうと、御坊地域職業訓練センターをポリテクセンター日高分所跡地へ移転させ、総合的な職業能力開発を受け持ってはとの動きがありますが、中紀地方の現下の厳しい雇用情勢をどのように認識され、どういった職業訓練を行うのが適当とお考えでしょうか、知事のご所見を伺います。
 また、紀南地方では観光立県を目指して今後ますます観光産業の振興を図っていかなければなりません。そのためには、交通網の整備や施設の充実はもちろん、何といってもお客様を迎えるというホスピタリティーあふれるサービスが必要で、単なる接客だけにとどまらず、あらゆる種類のサービスが要求されます。例えば、道成寺には有名な絵解き説法がありますが、もし絵解き説法がなければ、物語はあっても観光客が訪れない普通のお寺で終わってしまっているでしょう。ディズニーランドのジャングルクルーズも、ガイドのおもしろい語りがなければ単なるどぶ川めぐりでしかありません。小京都と言われる金沢では、芸妓を観光協会が養成しているとの話を聞きました。また、観光業を起業したりマネジメントするようなすぐれた人材も必要になってくるでしょう。
 このような広く観光関連産業に携わる人材育成が、今、和歌山で、そして全国で求められており、国のビジット・ジャパン・キャンペーンを実現するための根本的条件であると考えます。今後、本県で実業教育を語るとき、観光振興といった視点が欠かせないものとなると思います。とりあえずできるところからという意味で、実業科が曲がり角を迎えている県立高校や高等技能訓練校で観光関連産業の人材育成を行うことが適切であると考えますが、どのようなご見解でしょうか。
 ところで、最近、コールセンター、IT関連企業の誘致に連続して成功いたしました。企業誘致は、投資、雇用に直ちにつながる大変頼もしい政策であります。景気回復が言われる今後は、製造業においても設備投資がふえると予想され、中国へシフトしていた先進技術関連投資も回帰すると言われていますので、今こそ製造業も視野に入れながら企業誘致の体制を爆発的に強化すべきであると考えますが、どのような判断をされているのでしょうか。
 次に、林業政策について伺います。
 従来から、森林の果たす役割は、水源涵養、酸素の生産、緑のダム、林産物の生産など多方面にわたり、経済的価値は年間十八兆円などと言われてきました。しかし、実際には木材などの林産物の生産が唯一の経済的価値で、そのほかはただのものとされてきました。このただと言われてきた公益的価値を経済的価値に置きかえて森林を実態的に評価したのが緑の雇用事業で、平成十三年、木村知事が提唱して以来、厚生労働省の緊急雇用対策、農林水産省の事業を活用して展開されてきました。さらに、企業の森など新たな発想による環境保全の提案など、単なる山村の問題ではなく広く地球環境の問題として広く世間にアピールすることができました。まだ完全なものではありませんが、進むべき方向に間違いはなく、今後の大きな発展を望むものであります。
 しかし、林業経営は予想以上に急速に弱体化しております。近年、紀南地方の有力山林家が破産をいたしました。龍神村にあるその所有林は約千七百ヘクタールで、そのうち現在県が地上権を設定している千七十五ヘクタールは整理回収機構が押さえ、残り六百ヘクタール余も市中銀行が押さえ、管財人のもとで今まさに整理されようとしております。当然、管理物件ゆえ、一番高く買ってくれる人に売り払うというのが管財人の役割でありますが、何といっても千七百ヘクタールは余りにも広大で龍神村村土の約一〇%に及び、日高川下流域に住む六万余の住民の利水や治水、環境への影響を考えると、単なる債権処理として見過ごすことはできないのであります。
 かつて、和歌山の山持ちといえば、金持ち、資産家の代名詞でしたが、長い林業不況で資産を食いつぶし、林業経営に投資した資金が回収できない厳しい状況にあります。今回の破産はその象徴的な出来事であると思いますが、知事は現在の林業経営をどのように分析しておられるのでしょうか。また、民有率九五%の本県では今後どのような影響が出ると予想されますか。
 一方、最近の報道では景気回復が言われ、上場企業を中心に史上最高の利益を出す企業も続出しております。また、企業の社会的貢献が評価される時代になり、環境に配慮する会社を中心に投資する環境ファンドが注目され、外国にまで出かけて植林する企業もあります。おいおい、そんなにお金があるのなら和歌山の山を買ってくださいよ、外国の山よりまず日本の山、和歌山の山からと申し上げたいのです。
 和歌山の山は、長い間、裕福な個人が林業をすることによって環境が守られてきましたが、もはや個人で林業経営することは大変困難で、もし環境に配慮して安定所有してくれるのであれば、この史上最高の利益を上げている企業にぜひとも所有してもらいたいと思います。今、森林の公益性に注目し管理を要請する企業の森構想が着々と進んでおりますが、さらに進めて所有を要請する新・企業の森構想を進めるべきであると考えますが、知事はどのように思われますか。
 さて、緑の雇用事業が成功する大きなかぎは、林産物が売れるかどうかにあると思います。しかし、今日の国際物流状況を見ますと、あらゆる国産品は工業製品、農産物にかかわらず、ブランド化しないと生き残れないというのが実情であります。既にブランド化についての必要性はブランド推進局の設置のとおりの認識であると思いますが、杉やヒノキといった紀州材についても同様にブランド化が必要であります。補助金の関係で紀州材の認定要綱が示されましたが、ここは一歩進めて品質、価格を統一するブランド化についての必要性とその実現方法について伺いたいと思います。
 また、急速に発展する世界の工場・中国には、今や世界じゅうから資金や資源が大量に流入していますが、既に多くの富裕層が出現し、近い将来、マイカーブームや海外旅行ブームが起きると予測がなされています。住環境についても発展は目覚ましく、ニュータウンや高層マンションがどんどん建設されています。文明発祥の地に共通するように森林が大昔に破壊されてしまったためか、中国の住宅は屋根組みに木材を使うほかは土とれんがでできていますが、これからの住宅はいやしや清潔感を求めて木材が使われるようになると考えます。
 最近、高級住宅には、中国では和室を一室設けるのがブームになっているとの報道もあります。先行の宮崎、秋田両県は原木を輸出しているようですが、国産材の価格を考えると原木よりはむしろ和風などといった文化やブランドを売る方がビジネスになりやすいと思います。昨年私が訪問した海南島にある航空会社が経営する中国人向けリゾートホテルは、半分がアラビア風、半分が和風の内装でありました。北欧にも和風のホテルがあるそうです。今後の木材産業振興のための戦略を考えるとき輸出は大きな柱になると思いますが、どのようなご見解でしょうか。
 これまで、国産材、国産材を扱う木材産業、森林組合には力強い支援を続けてまいりましたが、実は県内には外材を扱う製材工場の方が企業数、従業員数、出荷額ともに多く、県経済に果たす役割は大変大きいものがあります。国産材が外材に価格、生産量で負けたという印象が強いわけでありますが、むしろ国産材、外材に関係なく木材全体が鉄やコンクリート、樹脂に負けたのが実態であります。今後、木材産業の振興を図るためには、国産材だけではなく県外に製品を出荷する外材工場にも支援を望むものでありますが、どのようにお考えでしょうか。
 三番目に、競輪場の高度利用についてであります。同趣旨の提言は、昨年二月定例会において県サッカー協会会長の平越孝哉議員が一般質問に関連して要望されましたので、重ねての質問とさせていただきます。
 さて、一昨年の九月、和歌山県ホッケー協会は創立五十周年を迎え、和歌山へホッケーを初めて導入したホッケーの父とも言うべき故・南佐三氏をたたえるとともに、五十年間の県ホッケー協会の輝かしい歴史が披露されました。そして同時に、悲願の公式戦を開催することができるホッケー場の建設を推進することを誓い合ったのであります。和歌山のホッケー競技は、近畿で唯一、公式戦が行えないだけではなく、練習さえできない中、なかなか試合に勝てないという大変厳しい環境にあります。
 しかし、かつて華々しく行われた長野オリンピックやサッカーワールドカップのスタジアムの多くが今は多くの赤字を抱えた迷惑施設になっていることを考えますと、とても新設をなどとは言い出せない状況にあります。そこで、今あるものを有効に使おうと考え、いろいろ研究した結果、今回、ホッケー、サッカー両県協会が共同提案申し上げております、競輪場のバンクの中へ人工芝を敷いて公式ホッケー場、フットサルコート、市民運動場とする案に至ったのであります。この案を思いついたとき、なるほどいいプランとうなったものでありますが、実は既に高知県ではさきの国体で競輪場を新設したときにこのプランが導入されています。
 また、今回の一件で競輪場を訪問して、最初にこれは大変な宝物であるということに気がつきました。まず、南海和歌山市駅からはすぐのところにあり、JR和歌山駅からも近く、七百台収容の駐車場が完備され、百名余の宿泊施設も併設されております。そして、何と面積は五万四百四十六平米と広大で、市街地にこれだけまとまった土地はそれほどありません。また、建設をするための財源も、競輪場を市民に開放するための施設改良であれば日本自転車振興会より最高三億円まで、事業費の六分の五の補助が出る仕組みまであるのです。もちろん本来の競輪事業開催が優先され、プロ・アマの練習日程と調整することやバンクを傷つけない方法など課題もありますが、今回の競輪場の高度利用の案をどのように評価していただけるのでしょうか、知事のご所見を伺います。
 四番目は、学校事務職の定数についてであります。
 昨年、御坊市の市会議員や市立名田中学・小学校のPTAの皆さんから、平成十六年度から中学校に養護学級が一クラスふえて四クラスとなり、小学校のクラスが六学級であるため五百メーター条項が適用され学校事務職が兼務になるというので、何とか兼務しないで済むようにしてほしいとの要請がありました。クラスの数がふえると、普通事務量がふえるのに兼務になるとは不思議に思い、いろいろ事情を聞いてみました。すると、PTAの皆さんの疑問点は、兼務をすることになれば名田小・中合わせて十クラス、生徒数が二百三十九人になるのに学校事務職が一人であるのに対して、郡内には三クラスで生徒数がわずか二十人前後にもかかわらず、学校事務職が兼務することなくちゃんと一名いる学校が多くあることでした。特に、現在三クラス、生徒数八十七、職員数十三の名田中学校の事務を一人でこなしている事務職員が、六クラス、児童数百五十二人、職員数十一人の名田小学校の事務を兼務することが果たして可能なのかどうか。もし兼務が可能であると認めるのであれば、どうして小規模校に一人ずつ事務職員を配置する必要があるのかという点であります。
 そもそも、学校事務職の仕事内容はどのようなものでしょうか。私も最初は制度欠陥であると思いましたが、昭和四十年代に学校事務職が各校に配置されるようになったとき、規模の大きい学校から順次配置し、どうしても回らないところだけは兼務したのでしょうが、その後、時間が経過し、生徒数、クラス数が変動しても学校事務職の配置はそのままで、いつか既得権になってしまっていったのではないでしょうか。
 現在、日高地方教育事務所管内では、一人の学校事務職員が担当するのは、最高十八クラス、五百四十八人の生徒、三十五人の職員を担当する学校から、最低三クラス、生徒数十七人、職員八人までの小規模校があり、通常の組織では考えられない配置となっているのですが、一人の仕事量に応じた定数の見直しも含めた適正配置ができないものでしょうか。
 また、見直しによって生じた定員を教育現場で今必要とされるカウンセラーやALTなどに振り向けられないものでしょうか。将来の一般財源化へ向けてバランスのとれた人的資源の適正配置を望むものであります。
 以上三点については、教育長の答弁を求めます。
 五番目は、公共事業の地方基準についてであります。
 素朴な疑問、実はこれはすごく大切なことで、日常のささいな疑問が大きな発見や発明につながっていく第一歩であると言われています。県においては一・五車線の道路について高知県とともに取り組み、国土交通省に採用されたすばらしい実績はまだ記憶に新しいところであります。
 さて、以前、私は自宅から県庁までの通行のうち、海南から県庁まで、特に和歌山市内に時間がかかることを指摘しましたが、せっかく努力をしてくれていてもなかなか用地買収が進まない市内の道路に先駆けて、紀の川の河川敷、堤防に道路をつけるべきとの質問が和歌山市選出の同僚議員から提案されました。この際、一・五車線ができるのであれば、水流の変化、堤防の弱体化など技術面での困難はありますが、それらを何とか克服して実現してもらいたいと思います。
 また、私の地元の問題で恐縮ですが、御坊市湯川町「花ご坊」前の変則六差路に取り残されている県道橋も、かけかえをする場合はかさ上げをしなければならず、大変な事業になります。洪水の防止、堤防の弱体化の防止など、河川には多くの制約がありますが、それぞれの地域の地形や利用実態に合った基準で対応するなど、デフレ時代の変化に合わせた柔軟な対応をとっていくべきだと思います。
 そこで、全国一律の画一的な行政を変えるため、他県と連携し、地方の実情に合った公共事業の共同提言を行ってきたと聞いていますが、どのような成果があったのか、そして今後どのように取り組まれるのでしょうか、県土整備部長に伺います。
 最後に、日高港の供用開始に対して心から御礼とお願いを申し上げます。
 中紀地方の物流拠点と産業用地として大きな発展に期待し、昭和四十八年に御坊市が可能性調査のために、当時の御坊市の財政状況から考えれば大変な金額だったと思いますが、今にしてみたらわずかという見方もありますが、百五十万円の調査費を計上したのが日高港整備への始まりであったと聞きます。官民連携して国に積極的に働きかけた結果、昭和五十八年には見事に重要港湾に昇格をいたしました。しかしながら、なかなか着工には至らず、計画策定から十五年を経た平成十年、ようやく関係者の努力が実り、現地着工の運びとなりました。そして、いよいよ本年四月末には、おかげさまで供用を開始することになりました。これまでご尽力いただきました、既に鬼籍に入られた方もいらっしゃいますが、先人の皆様、本当に多くの関係の皆様からご尽力をいただきました。皆様に心からこの場をおかりしてお礼を申し上げる次第であります。
 また、昨年、緊急雇用対策で採用された企業誘致専門員三名は元気にきょうも飛び回ってくれており、まだクリーンヒットはありませんが、今後に大きな期待が持てるところであります。彼らの活躍にこたえて御坊商工会議所は、企業誘致が成功した暁には懸賞金百万円を支出することを決め、十六年度からは自前の企業誘致専門員を置くことになったと聞いております。
 日高港は、経済状況の厳しい中での船出ではありますが、地域の活性化のために果たす役割は非常に大きく、心から発展を期待するものであります。既に産業用地には五社が進出を表明しており、今後さらなる企業の進出と航路を誘致するため、木村知事を先頭に県当局も引き続き積極的にポートセールスに取り組んでくださるよう心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 景気がやや回復してきたというふうなものの、和歌山県の有効求人倍率は今なお非常に厳しい状況にありますし、そしてまた、ご質問の中にありましたように、需要と供給のミスマッチということがいろんな場面で起こっているということを私も十分理解をしております。
 そういう中で、職業能力開発ということは、これは非常に大事なことでございまして、これまでも地域職業訓練センターでありますとか民間の教育訓練施設を活用した委託訓練、認定訓練に対する補助というふうなことを県は行ってきたところでございます。しかしながら、このポリテクセンター日高分所の廃止というふうなことがあるわけでございますけれども、現在、御坊地域職業訓練センターの機能を生かしながら求人ニーズに即した職業能力開発の充実を図れないか、関係市町村と鋭意協議をしているところでございます。
 次に、林業経営についてでございますが、林業経営、緑の雇用とかいろいろやっておりますけども、基本的に大変厳しい状況にあるということは、これはもうそのとおりでございますし、現に山林経営者の人が破産したりするような状況があるということも十分理解をいたしております。
 そういう中で、環境というふうな面に着目して何とかこの隘路を打開しようとしているわけですけども、これもまあ言うはやすく行うはかたしというふうな状況です。その中で、和歌山県が一昨年から努力してきております企業の森、これは労働組合でありますとか会社に和歌山県の山を借りてもらって、そこを手入れするようなことを森林組合が請け負って山を守っていくというふうなことをやってるんですけども、ご質問にもありましたように、ようやく景気も上向いてきておりますし、そして企業によっては本当に創業以来最高益を出しているところも相当あるというふうなことを聞いております。これからは、企業メセナというか、そういうことの一環としても、山はもう非常に安くなっているわけですから、山を持ってくれないかと。それで、もうその維持管理といっても森林組合に頼めばこれもそんなにたくさんのお金がかかるわけじゃないわけだから、こういうふうなことを、今、新・企業の森というご提言がありましたけども、これ本当にそういうふうな新しいネーミングでやっていきたいと思いますので、これは議会とも協力して思い切り前向きに進めていきたい、このように思っております。
 次に、競輪場の高度利用です。
 競輪場については、いろいろ経営の問題がありまして、今和歌山県は鋭意その回復に努力しておりまして、来年度はもうけが出るというふうなところまで戻ってきたわけですけども、しかしながら、この施設をもっと広く県民の人に利用してもらうというふうなことは非常に大事なことで、去年から大分取り組んでおりまして、現在もこの中の多目的ホールでフェンシングとかレスリングとか、それからビームライフル射撃の練習というふうなことに利用しているわけです。しかしながら、今おっしゃっていた、ちょうどセンターのところに大きな土地があるというふうなこと、そしてこれに人工芝を張れば、ホッケーであるとかフットサルであるとか、こういうふうな和歌山に今競技場のないようなものの、正式の競技場にはならないかもしれないけれども練習場にはなるという話であるとか、それからまた、そういうことをしていけば、土曜日とか日曜日とか、開催されてないようなときに地域の住民の人も入ってきて活用できるような仕組みも考えれるというふうなこともありますので、財源の問題等も含めて積極的に対応していきたいと、このように思っています。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 雇用対策の二点についてお答え申し上げます。
 まず観光関連産業の人材育成についてでありますが、県といたしましては、学識経験者や労働者代表等で構成する県職業能力開発審議会や各高等技術専門校が設置しております運営協議会において、県内の既存産業の高度化や新産業等を支える人材育成のため、地域ニーズを踏まえた訓練科目の見直しを図ってきたところでございます。
 新科目の設置につきましては、継続性、スペース、人的配置等、課題が多いのが現状でございますが、議員ご提言の観光関連産業の人材育成も視野に入れながら、科目の再編整備等、効果的な職業能力開発に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、企業誘致に関してのご質問ですが、製造業を取り巻く企業誘致の環境につきましては、組み立て型製造業などが中国を初めとする東南アジア等への海外移転が進展する一方、ご指摘のとおり、国内ではデジタル家電や精密加工など、一部の業種で好調を示す傾向も見受けられます。このような状況下で、県としましては、設備投資効果が大きく安定的雇用に結びつく製造業の立地は渇望しているところであります。今年度も数社の引き合いがあり、思い切った誘致活動やさまざまな手法を駆使しておりますが、成約までには至っていない状況であります。
 今後とも、激化する地域間の誘致競争に対処するため、業種、地域などを絞った集中的な誘致活動、人的ネットワークの積極的な活用などを図るとともに、企業誘致体制の専任化、市町村との緊密な連携などによるさらなる強化に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 林業政策についてお答えいたします。
 まず、紀州材のブランド化についてでございますが、県内の森林から切り出され、県内で加工されたものを紀州材として扱い、県の公共工事等で積極的な利用推進を図り、また民間の紀州材による住宅新築を支援し、紀州材に対する認識と評価を高める努力を現在行っているところでございます。
 近年、強度や規格など高い信頼性が求められることから、販売に際しては規格、性能を表示する取り組みをさらに強化してまいりたいと存じます。特に木材加工については、加工業者それぞれに特色や方針もございますので、今後は品質、価格の統一を図るため、業界の合意づくりや統一ブランド製品の生産・管理体制の整備について連携を強化してまいりたいと思います。
 次に、紀州材の中国への輸出についてでございますが、著しい経済成長を背景に、木材についても巨大市場として需要増加が始まってございます。こうした中、本県は中国との交流を活発化し、昨年からは木材関係についても企業間交流への参加や農林水産ニッポンブランド都道府県協議会にも参加して情報収集に努めるとともに、県内の林業・木材産業関係団体に県も加わって輸出の可能性について協議を重ねているところでございますが、需要の動向、取引のパートナー、価格、ロット、航路など、慎重な調査、検討が必要でございます。特に、中国における木材価格から考えますと丸太輸出は難しい面がありますので、付加価値を高めたトータルの高級品としての輸出や生活空間に木を使う価値観の普及など、ブランド化された製品としての輸出も含めて検討してまいります。
 最後に、外材も含めた木材産業の振興でございますが、本県の外材輸入は減少したとはいえ、なお丸太加工の約三分の二を占めており、地域経済において果たす役割は大きなものがございます。また、国産材の供給が不足ぎみの時期にも安定供給を続け、木材がコンクリートなどに取ってかわられるのを食いとめた面も見逃せません。
 今日、環境面から見ますと地元の材を多く使うことが大きな意義を持ってございますが、建築物はさまざまな木材が適材適所に使われて成り立っていることから、外材も含めてより多くの木材が利用されていくことが重要でございます。昨年からは無利子の林業改善資金が改正され、国産材、外材の区別なく利用できることとなっておりますので、こうした制度も活用しながら、木材加工全体の強化に努めてまいります。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 公共事業の地方基準についてでございます。
 全国一律の考え方で実施されてきました公共事業を地方の実情に合った基準や考え方で効率的、効果的に実施できるよう、平成十四年度より二カ年にわたって幾つかの県と連携して国に提言活動を行ってきたところでありますが、この活動を通じて国と連携して新たな施策をスタートできたほか、私ども県の職員自身の意識改革も進むなど、多くの成果が得られております。
 例えば、先ほどご紹介をいただきましたように、平成十五年度には一・五車線的道路整備が補助事業として採択されたところであり、平成十五年度では六十五カ所、平成十六年度では八十二カ所で取り組むこととしており、特に交通量が少ないところなどでは限られた事業費をより効率的に活用できるようになったところでございます。
 ほかの例といたしましては、踏切部分だけが狭いままになっている道路がございます。これは、従来、国が定めた原則論にとらわれ、道路事業者と鉄道事業者との調整が図られていなかったものでありますが、この提言活動をきっかけに調整が円滑に進められるようになり、平成十六年度には南海本線の二カ所で踏切拡幅事業に着手できることになったほか、他の踏切についても緊急性の高いところから協議・調整を進めたいと考えております。
 さらに、河川敷の道路利用につきましては、基本的に認められていないものでございますが、この活動を通じて個別具体に協議できるということがわかり、現在、治水安全度の検討を含めて実質的な協議が進められるよう準備を進めているところでございます。
 そのほか、地震・津波災害の発生に備え、住宅の耐震改修に対する支援措置の拡充、海岸事業における避難路の設置等、平成十六年度より可能となるなど、大きな成果が得られたところでございます。
 今後とも、既成の概念にとらわれず、新しい時代のニーズやその地域のニーズに即した真に地方の実情に合った効率的、効果的な公共事業に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) まず、雇用対策に係る人材育成についてお答えいたします。
 高等学校の専門学科については、これまでも社会の変化に対応し、多様な学科を新設してまいりました。その際、将来のスペシャリストを育成するという観点から、生徒の個性をより一層伸ばせるようさまざまな特色ある科目を設置してきたところです。例えば、田辺商業高校では商業科を流通ビジネス科などに改編するとともに、観光に関する特色ある科目として観光概論、ビジネスマナーを設けております。また、ことし四月から総合学科に生まれ変わる熊野高校では、選択科目として観光学の開講を予定しております。このほか、職業や自己の適性をより深く理解するため、ホテル、土産物店などで職場体験活動を実施している学校も少なくありません。今後、観光産業の動向や雇用状況等を踏まえ、引き続きこれらの取り組みが一層充実したものとなるよう検討してまいります。
 次に、学校の事務職員につきましては、それぞれ学校長の指導監督のもと、学校運営の全般にかかわる重要な事務処理に携わっております。学校規模等による事務の内容や量についても差異はありますが、決められた基準に基づき配置しているところであり、今後も各市町村教育委員会と協議の上、適正な配置に努めてまいります。
 なお、一般財源化に向けての配置基準の見直しにつきましては、国の動向を見ながら研究をしてまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十二番中村裕一君。
○中村裕一君 懇切丁寧なご答弁をいただきました。ありがとうございます。
 一点、もう一度、知事の意気込みのようなものをお聞かせいただけるようでしたらお願いをしたいんですが、私は今回の質問を行う上で、職業安定所の有効求人倍率を改めて見ました。そうすると、我が御坊公共職業安定所では〇・四五という数字を聞きまして、もう驚いてしまったわけであります。まだ〇・四五のところは、田辺市もそうでありますし、本当に厳しいという思いになったわけで、私もこれからはもう毎月でも企業誘致に訪問したり、場合によってはこれ自分で事業を起こして人を採用しないといけないんではないかというぐらいの実は思いに至っているわけなんです。
 今、質問で申し上げましたように、御坊の方では、御坊と有田で失業者と事業所を結びつけようということでいろんな人が努力をしてくれておりますが、もう全く民間人の人で中心になって、御坊地域職業訓練校の校長なんかが頑張ってくれてるんですが、なかなか難しい。ポリテクセンター日高というのも、難しいから多分、廃止されたんだと思うんです。
 和歌山県で職業訓練をやるときに何が難しいかということを考えてみましたら、かつて高度成長期のときは一人の先生でたくさんの人を教えることができた。同じような人をたくさんつくっていけばどこかへみんな就職できたわけですけども、今はたくさんの仕事がふえたし、和歌山で就職をしようと思ったら、少しずつの人数でいろんなメニューが必要だという、職業訓練をする側の立場からすれば非常にもう難しい。こんな難しい中でやるのは大変難しくて、先ほど頑張っているというご答弁もいただきましたが、何か推進の思いが伝わるような意気込みを述べていただくことが可能であれば一言お願いをしたいと思います。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) この職業訓練の問題については、もう大分前から厚生労働省と県の方でもいろいろな詰めを行ってきて、その結果、非常になかなか難しい問題があるということは現在あるわけです。ただ、正直言いまして、今までと同じような発想でいいかどうかということは今議員のご質問のとおりだというふうに思いますので、もう一度、改めていろんな見地から、どんな形のやり方が本当にいいのかということを検討してみたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
  【日程第三 議案等の付託】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会及び予算特別委員会にこれを付託いたします。
  【日程第四 請願付託の件】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 お諮りいたします。三月十一日、十二日、十五日及び十六日は委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、三月十一日、十二日、十五日及び十六日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、三月十七日定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十二分散会

このページの先頭へ