平成16年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(江上柳助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十六番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 皆様、おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 今回も昨年の十二月の定例会に引き続きまして質問させていただく機会をいただきました先輩・同僚議員に対し、心から感謝を申し上げます。そしてまた、今回、質問の準備をさせていただくに当たりまして当局の皆様方に大変にお世話になりました。ありがとうございました。
 それでは、世界遺産登録について質問をさせていただきます。
 皆様ご承知のとおり、ユネスコの世界遺産は、人類が残した文化遺産、そして地球の自然遺産を大切な宝物として未来に受け継いでいこうという一つの試みでございます。国際保護条約によりまして、国家を超えた貴重な財産として今、全世界に七百五十四件の世界遺産があるわけでございます。その内訳は、文化遺産が百四十九件、そして自然遺産が五百八十二件、さらには文化遺産と自然遺産を兼ね備えました複合遺産といたしまして二十三件ございまして、合計で七百五十四件でございます。我が国日本には、この世界遺産が十一件ございます。その内訳は、文化遺産が九件、そして自然遺産が二件となっておるわけでございます。
 今、世界遺産の暫定リストの中には五件ございます。一つは平泉の文化遺産、そして岩見銀山の遺跡、さらには古都鎌倉の寺院、神社など、そして彦根城、そして私どもの紀伊山地の霊場と参詣道となっているわけでございます。
 その中でも特に紀伊山地の霊場と参詣道につきましては、昨年の一月にこの世界遺産委員会の方に日本政府から推薦をされておりますので、一番近い世界遺産になる候補地であると言われているわけでございます。ことしの六月末の中国の蘇州市で行われます世界遺産委員会におきまして、この登録のいわゆる可否が審査をされまして決定を見ることになってございます。決定いたしますれば、日本におきましては第十二番目の世界遺産となりまして、文化遺産としましては第十番目の文化遺産、いわゆるこの高野・熊野世界遺産は文化遺産でございますので、十番目の世界遺産となるわけでございます。
 そういうことで、この世界遺産を私たちは後世に引き継いでいかなければならないと思うわけであります。そのためには、この文化財の保存・修復、さらには周辺環境の整備というものに努めていかなければならないということは申すまでもございません。非常に、この和歌山県、そして奈良県、三重県と三県にまたがります世界遺産でございまして、文化財の面、さらには文化的景観の面、また参詣道につきましても大変価値のある、また貴重な世界遺産となるわけでございます。本県におきましては、十六年度当初予算におきまして世界遺産登録と地域振興ということで数々の施策を実施するための予算を計上されているところでございます。したがいまして、以上のことを踏まえまして、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 まず第一点は、この世界遺産登録を契機といたしまして、本県の地域づくりへの基本的な考え方について知事にお尋ねをいたします。
 第二点目は、いわゆるこの世界遺産登録を進めるに当たりまして、本庁内には中山副知事を本部長といたしまして世界遺産登録推進本部を設置されております。そして、県と市町村によります世界遺産登録推進協議会、さらには和歌山県、奈良県、三重県によります世界遺産登録推進協議会というものが設置されて、さらには関係市町村、振興局によります世界遺産登録推進の高野地域協議会、さらには世界遺産登録推進熊野地域協議会が設置されているわけでございますが、いわゆる登録後の体制、この文化遺産を保全していく、修復していく、そして周辺環境を整備していく、アクセスを整備していくといった、そういうことにつきましての体制をどのようにお考えになるのか。具体的に財団を設立なってこの体制を整えていこうとお考えになるのか、その点もお尋ねします。
 それから、第三点目は、やはりこのすばらしい高野・熊野の世界遺産を全国に発信をしていく、世界に発信をしていくということが非常に大事だと思います。そうした世界遺産と和歌山の売り込みについてどのようにお考えになるのか。
 次に、第四点といたしましては、多くの世界から、また全国からの来訪者がお見えになる、観光客がお見えになるということになりますれば、緊急の場合の救急医療体制はどうなるのか、さらに警察官の配備を含めた安全性の確保という面ではどのようになるのか、福祉保健部長、また県警察本部長にお尋ねいたします。
 第五点目といたしましては、教育長にお尋ねするわけでございますが、世界遺産、高野・熊野ワールドヘリテージレンジャーという事業が新年度予算に計上されておるわけでありますが、その内容と、そして世界遺産を契機とした新しい観光を担う人たちへの、その養成と申しますか、育成と申しますか、もてなしの心をはぐくむ人材の養成についてどのようにお考えになるのか、以上、五点についてお尋ねをいたします。
 次に、文化芸術の振興についてお尋ねいたします。
 国の豊かさが人間の資質で決まるならば、二十一世紀の我が国のあるべき姿の一つが文化大国、文化芸術大国であると考えられます。それは、物の豊かさから心の豊かさへの価値観の転換を促す社会であります。文化芸術に触れることで人は感動を覚え、生きる勇気を与えられます。言いかえれば、文化芸術は人の心を豊かにしてくれます。文化芸術を大事にする国、それは成熟社会のあかしでもあるわけであります。
 日本は、本来、世界に誇れる文化芸術を有する豊かな国であったはずであります。しかしながら、これまでともすれば文化芸術振興は後回しにされてきました。平成十三年十二月、私ども公明党の主導で文化芸術振興基本法が制定されました。この法律の精神にのっとり、二十一世紀の真の大国、豊かな国として我が国が世界に認められるよう、国、地方において文化芸術振興のため各種施策が行われるよう強く望むとともに、文化芸術の力で躍動、感動の日本、和歌山を築いていきたいものであります。
 現在、私たちは文部科学大臣、文化庁長官あての文化芸術の振興を求める要望書の十万人の署名活動を展開いたしております。要望書は、文化芸術の振興のための国の予算の大幅増額と、さらには文化芸術の活動への幅広い支援、そして文化芸術の活動に国民が参加、鑑賞をすることができる環境の整備、文化芸術の活動を資金面で支援するための税制優遇制度を求める内容になっております。
 そこで、文化芸術基本法を踏まえ、県は和歌山の特性に応じた施策を実施するため、文化芸術の振興を促す条例の制定など、本県として文化芸術振興に関する基本的な方向性や施策を明示されるお考えはないか、また文化芸術関係の人材、団体を登録するアーチストバンクの整備をされるお考えはないのか、お伺いいたします。
 次に、企業メセナ(フィランソロピー)について要望をさせていただきます。
 実は、このテーマにつきましては、私ども公明党県議団の森正樹議員から三回にわたって一般質問がなされてございます。平成十二年の十二月定例会の一般質問で森議員は、企業メセナについて、「企業メセナといえば、アメリカ合衆国に言及しなければなりません」と。鉄鋼王カーネギーなど、多くの企業メセナの先駆者がいた。「「メセナ」とは、ローマ時代の大臣の名に由来するフランス語で、芸術文化活動を資金的に支援することを言い、企業メセナとは営利に直接結びつかないNPOの活動や芸術文化活動に対し資金的援助を行うことを指します」と述べ、岩渕潤子さんの「億万長者の贈り物」という一冊の本を通しながら、「カーネギーは富豪たちを相手に、「金持ちが財産を抱えたまま墓場へ行くことほど不名誉なことはない」と、折に触れて説いて回った」という一節を紹介しながら、「奥の深い成熟した社会となるためには、国、地方公共団体と企業、NPO組織、ボランティア、そして住民が一体となって協力し合い、補完し合うことが望まれるのである」として、県内企業の企業メセナの実態を把握しておられるのか、また企業メセナ部門を担当する課もしくは班を設置すべきであると思うがどうかと質問をされております。
 ところが、知事公室長はここで、いろいろと和歌山県内には継続的にメセナ活動をやっている企業が二社ございます、そして数社ほかにも積極的に取り組んでいるところがありますとしながら、今後はその連携を密にしていきたいと、こういうご答弁、さらには、課・班を設置することについてはNPO担当部署の強化を検討しているので、その中で検討してまいりたいという答弁でございました。
 今日の社会・経済情勢の中で難しい点もあろうかと思います。なお芸術文化活動を支援する観点から、企業や団体との連携を密にしていただきまして、さらには企業メセナ担当部・班の設置につきましても引き続きご検討をぜひお願い申し上げたいと思います。これは要望にさせていただきます。
 次に、文化芸術のサービス化についてお尋ねいたします。
 文化芸術のサービス化は、耳なれない言葉であります。ホームページでも文化芸術のサービス化というジャンルがございませんでした。これは私の知り合いの写真家と話しているうちにこういう言葉が出てきたわけですけれども、これは文化芸術をもっと県民にサービスをしていく。文化施設などを県民がもっと親しみ、利用しやすいものにする。例えば、和歌山県立近代美術館や万葉館、また和歌山県立博物館などの利用時間は九時もしくは九時半から五時までとなっております。昼間の時間帯はほとんどのサラリーマンと言われる勤労者は仕事で、県の文化施設に行けないわけであります。土日でないと、また祭日でないと行けないという状況でございますので、そこで、平日の開館時間帯を延長させるとか。延長させることでサラリーマンの皆さんが仕事を終えてこの文化施設を利用できまして、文化芸術に親しむことができるわけです。
 その勤労者の平日の利用、五時以降の利用を可能にすることによって、土日、祝祭日というものが新たにまた、じゃ高野・熊野世界遺産の参詣道に行こうかとか、また白浜に行こうかということになるわけでございまして、新たな経済効果を創出することができるんではないかと思うんです。そういった意味でひとつ、フレックスと言ってはなんですけど、時間帯をずらすとかしながらも工夫して、ひとつ文化施設の平日の開館時間帯の延長を検討されたらどうかと考えます。ご所見を承りたいと思います。
 次に、保健医療体制についてお尋ねいたします。
 最初に、和歌山労災病院の早期建設移転についてお尋ねいたします。
 和歌山市の北部、紀の川右岸地域の人口は和歌山市全体の約四割ございます。しかしながら、この中核となる総合的な診療機能を有する病院は和歌山労災病院のみであります。しかしながら、労災病院へのアクセス道路は非常に狭く、緊急時には救急車の進入に大きな支障を来しております。また、紀の川右岸地域は、地震などの災害時は紀の川で寸断されるおそれがあります。県民、市民がいつでもどこでもひとしく保健や医療のサービスを受けられるよう保健医療供給体制を整備する必要があると思います。労災病院の老朽化が進む中、中核的基幹病院であります和歌山労災病院の早期建設移転に和歌山市民は大きな期待を寄せているところでございます。
 したがいまして、和歌山労災病院の早期建設移転について、財政状況が厳しいという折から課題があるようにもお聞きしております。ですから、県としてひとつ積極的に働きかけをいただきまして、また県としてこの労災病院の充実についてご尽力をいただきますことを重ねてお願いするわけですけれども、県としてどのように対応していくお考えなのか、お聞かせをください。
 次に、不妊治療と女性専門外来についてお尋ねいたします。
 このテーマにつきましては、昨年の九月定例会の予算委員会でも質問させていただきました。
 まず、不妊治療についてお尋ねいたします。
 不妊治療につきましては、先輩議員の中村裕一議員も本会議で質問されております。妊娠を望みながら不妊に悩む夫婦は十組に一組とも言われます。ところが、不妊治療は一部を除いて保険が適用されておらず、体外受精や顕微授精には一回数十万円の治療費を負担しなければならないため、不妊治療を受ける夫婦にとって大きな経済的負担となっています。
 不妊治療に対する助成制度が平成十六年度の政府予算案に盛り込まれ、本県においても新年度予算案に計上されております。この助成制度では一定の所得制限のもと、十万円程度が年一回、二年を限度に支給されるものであります。一方で、治療が即好結果につながるとは限らない中で、治療を受けているが結果が見えない、治療中止の決断時期、周囲からの重圧など、種々の心の悩みを抱えておられるわけでありますけれども、子供ができないのではと心配、また不妊に悩んでいる人は、子供のいない夫婦では約半数を占めています。このような不妊に悩んでいる人を受け入れ、治療情報の提供、主治医以外の医師の意見、精神的ストレス等について気軽に相談できる専門相談窓口も開設されることになっております。子供を安心して産み育てる環境をつくるため、助成制度の創設や不妊相談窓口を開設することは、公的支援を待ち望む多くの家庭にとって大きな朗報であります。
 しかしながら、残念なことに和歌山市が中核市であるため、独自の判断でこれらの施策を平成十六年度当初予算案に計上しておりません。要するに、和歌山市の方は──四月一日から予算をとりますと治療を受けられるんです。助成制度があるわけですが、海南市や岩出、また県下一円、新宮まで、和歌山市以外の方は四月一日から不妊治療に対しての助成制度を受けられる。これは和歌山市以外の方。和歌山市の方は受けられない。これは保健医療体制の県内の一本化、一体化の観点から、県において指導すべきであるというふうに考えます。不妊治療の助成制度と不妊専門相談窓口の概要とあわせ、お尋ねいたします。
 次に、女性専門外来についてお尋ねいたします。
 今まで医療は男性と女性という性差を考慮したものではなく、女性も男性と同じ治療を受けてきました。しかし、女性には女性であるがゆえの病気や悩みがあり、病気のかかりやすさや薬の作用の仕方も男性とは異なります。こうした男女差を考慮し、主に女性の医師が女性を診察する外来を女性専門外来と言うわけでありますが、女性専門外来の大きな特徴は、病院によって多少の違いはありますが、予約制で、初診時において三十分程度の時間をかけてじっくりと女性医師が女性患者の話を聞くというシステムがとられているようでございます。男性医師には悩みを打ち明けにくい、診療にも抵抗があるとか、冷えやむくみなど女性特有の病気の際、何科に行けばいいのかわからないといった場合に女性が気軽に相談できることから、女性専門外来は大変好評を博しております。
 本県においては、昨年五月から和歌山労災病院に女性専門外来が設置され、好評を得ております。さらに、和歌山労災病院においては全国の労災病院の中核となる女性の健康増進のための総合センターの設置も検討されております。女性を一人の人間として総合的に診る女性専門外来の和歌山県立医科大学を初めとする病院での設置についてどのようにお考えになるのか、お尋ねいたします。
 最後に、ジョブカフェについてお尋ねいたします。
 文部科学省の調査では、今春卒業する県内高校生のうち就職を希望する生徒の就職内定率は五七・四%と、全都道府県中四十三位でございます。本県での若者の就職戦線は、深刻で厳しいものがあります。二月定例会での知事の説明要旨の中でも、知事は雇用対策について、厳しい雇用情勢の中でジョブカフェわかやまを中心に産業界、労働団体など地域の関係機関とも連携を図りながら若者の早期就職と職場定着を促進するための支援体制をより一層充実してまいりますと述べられております。
 ジョブカフェは、本県において昨年十一月、非常に全国でも早い段階に設置されました。全国で六番目に開設されたと伺っております。しかしながら、運用形態の面で改善の余地があるように思われますが、どうでしょうか。私は、若者の就職をバックアップするためのジョブカフェをハローワークなどの関係機関との連携強化を図るとともに、利用時間の延長などによって充実すべきだと考えます。ご見解を承り、私の第一問といたします。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず世界遺産についてのご質問でございますが、今度の高野・熊野は十番目の文化遺産ということで、非常に切りのいい番号ということになろうかと思いますけれども、内外の関心が非常に高まってきているところでございます。そういう中で我々といたしましては、この高野・熊野、和歌山の財産でございますので、まず一つは生かし、そしてまたそのすばらしい自然条件を損なわず、そして、生かし、損なわず、しかしながら、経済の波及効果は思い切りねらっていくというふうなことで頑張っていきたい。保全と、そしてまたこれを地域開発の起爆剤にしていきたいと思っております。
 そういうことで、新年度の予算でもいろいろな高野・熊野に関する施設の整備でありますとか、それからたくさんのPR、そして文化活動、こういうふうなものを多彩なものを予定しているわけでございますけれども、やはりこれだけでは足らないということがございまして、せっかく世界的にも全国的にも注目される広い範囲の三県にまたがった世界遺産になるわけでございますから、ご質問にありましたような例えば財団の設置、まあ財団がどんな形になるのかわかりませんけども、そういうふうなことも含めた、もう今までの延長線上でないような新しい地域発展の起爆剤にこの世界遺産の登録をしていかなければなりませんし、そしてまたこれは和歌山にとって私は千載一遇のチャンスである、このように考えているところでございます。
 そういう中で、やはりこれ和歌山県だけじゃなくて、三重県、奈良県合わせて指定されますので、こういうところと連携をとりながら、やはり一本の矢よりは三本が一緒になっていろんな形でPRしていくということが大きな力になると思いますので、そういうふうなことについても積極的に対応していきたいと、このように考えております。
 次に、文化芸術振興条例でございますけども、私自身、和歌山県を文化立県という形にしていきたいと。なかなか具体の施策でこれを実施できるというふうなところまではいってないわけでございますけども、例えば美術館、博物館を無料化したら入場者が非常にふえたとか、こういうふうな小さなことからどんどん進めていきたいと思いますけども、国の方では、ご質問にもありましたように、平成十三年の十二月に文化芸術振興基本法というふうなのができておりますし、それから先進的な県では文化芸術の振興とか、それから文化遺産の保存活用を図る条例の制定も行われているということでございますので、和歌山県、文化立県を標榜している手前、そういうふうなものがないというふうなことではやはり足らないところがあるというふうに思っておりますので、ご提言については積極的に前向きに対応をしていきたい、このように考えております。
 次に、労災病院でございますけども、労災病院につきましては、県の基幹病院でありますし、それから予想される東南海・南海地震でも大きな役割を期待される災害支援病院にもなっているということでございますけども、何分、昭和四十一年に建てられたということで老朽化、それから進入路なんかでいろいろ問題があるというふうに聞いております。
 こういう中で、県はこの移転建てかえについて今までもいろいろな働きかけをしてきたところでございますけども、幸い、十六年度、実施設計の経費が予算化されるということを聞いております。今後とも県といたしましては、この移転建てかえということが速やかに行われるよう、いろんなルートを通じて働きかけをしていきたいと、このように考えております。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) まず最初に、世界遺産登録に関連して医療救急体制につきましてお答えいたします。
 世界遺産登録後は海外からの旅行者等の増加が予想され、これらの旅行者に対応できる医療機関の確保等が課題と考えております。現在も英語等で対応できる病院もございますが、さらに外国人旅行者に対応できる医師や看護師等の確保を医療機関に働きかけるとともに、地域のボランティア等の皆さんのご協力をいただく方法等もあわせ検討してまいりたいと考えております。
 次に、不妊治療制度についてお答えいたします。
 現在の不妊治療は、体外受精などは医療保険の適用はなく、高額の医療費が必要となっております。こうした状況下、不妊に悩んでいる方々の精神的・経済的負担を軽減し、子供を安心して産み育てる環境づくりを推進するため、来年度から不妊治療費に対する助成を行ってまいりたいと考えております。対象は、体外受精及び顕微授精の治療を行う夫婦に対し、年一回十万円を限度に通算二年間の助成を検討しております。
 なお、この制度は国の補助制度を併用するため、議員ご指摘のとおり中核市である和歌山市は別となっておりますが、市も助成の実施に向け検討されていると聞いております。県からも、早期に実施されるよう働きかけてまいりたいと考えております。
 また、不妊で悩んでいる方々が気軽に相談できる不妊専門相談窓口を岩出保健所と田辺保健所に開設し、保健師による電話相談や専門医による面接相談等も実施してまいります。
 続きまして、女性専門外来についてお答えいたします。
 和歌山労災病院に設置されました女性専門外来は、議員ご指摘のとおり、大きな成果を上げております。地域の公的病院や県立医科大学附属病院においてもそれぞれの機能がある中、女性専門外来のあり方や対応について検討されておりますが、女性医師が全体の一四%とまだ少ない状況等もあって、現在のところ開設に至っておりません。しかしながら、新しく医師免許を取得する女性の割合が年々増加していることもあり、環境は整いつつあります。
 今後、女性医師の育成とあわせ女性専門外来が普及できるよう、関係機関や他の病院にも働きかけてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(尾崎要二君) 知事公室長小佐田昌計君。
  〔小佐田昌計君、登壇〕
○知事公室長(小佐田昌計君) アーチストバンクの整備についてでございますが、文化芸術活動は、人々に楽しさや感動、精神的な安らぎをもたらすものでございまして、県では県民文化祭、県美術展覧会、新人演奏会、文化表彰受賞者等の演奏会や作品展を開催するなど、広く県民の皆様に発表や鑑賞の機会を提供しております。本県出身の多くのアーチストの方々が県内外で活躍しておられますが、今後そうした方々の把握に努め、ボランティア的な活動の機会を確保するとともに、県民が文化芸術に親しむ機会の拡充を図ってまいりたいと、かように考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) ジョブカフェの充実の二点について、一括してお答え申し上げます。
 ジョブカフェわかやまにつきましては、若者を取り巻く深刻な雇用失業情勢に対応するため、さまざまな職業に関する相談、情報等を一カ所で提供するワンストップセンターとして昨年十一月末に開設したところでございます。開設以来、二月末までに述べ二百八十七人の来訪者があり、適切な求職活動の進め方や効果的な面接の受け方など、若者の多様な悩みに応じてきめ細やかな対応に努めているところでございます。
 ご指摘のありましたジョブカフェの充実につきましては、来年度以降、雇用・能力開発機構から能力開発支援アドバイザーが配置されるほか、ジョブカフェを応援する国の委託事業として若者の職業意識の醸成に主眼を置いた若年者地域連携事業も予定されております。さらに、開設時間の延長による利便性の向上につきましても、利用者のニーズを踏まえ、柔軟に対応してまいります。
 今後とも、ハローワークを初め地域の関係機関ともより一層の連携を図りながら、ジョブカフェを中心に若者の早期就職と職場定着の促進に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) まず、新規事業の高校生高野・熊野ワールドヘリテージレンジャーについてお答えいたします。
 これは、本県の文化遺産についての理解、認識を深めさせ、そういう現地研修を行うとともに、文化遺産の保全活動やガイド、小・中学生のふるさと学習の際の支援など、幅広いボランティア活動を展開するものであります。
 議員ご指摘のもてなしの心をはぐくむため、小・中・高の各学校においていろいろな人との出会いや交流、インターンシップ等のさまざまな体験を通して、豊かな心やコミュニケーション能力の育成に向けて一層努力するよう指導してまいります。
 次に、観光を担う人材の育成については、これまでビジネス関連分野の特色ある学科や教育課程の編成に努めてきたところですが、今後、世界遺産登録による新たな状況を踏まえながら、地域の実情、生徒、保護者のニーズ等を総合的に勘案し、検討していく必要があると考えております。
 文化芸術のサービス化についてですが、近代美術館と博物館において平成十四年度から高校生以下の入館料無料化を実施し、子供たちだけでなく大人の入館者も増加するなど、成果を上げております。平成十六年度からは、自然博物館と紀伊風土記の丘でも同様の無料化を実施してまいります。また、自然博物館の夜の水族館体験教室や紀伊風土記の丘の埴輪づくりなど、各館において多様な催しを行っております。
 博物館施設の開館時間の延長につきましては、南紀熊野体験博に関連して平成十一年八月に一週間、近代美術館と博物館において時間の延長を行ったところであります。その際、さまざまな催しを行いながら広報にも努めましたが、入館者の増加には至らず、延長に伴う運営管理上の課題もございました。今後、議員ご提言の趣旨を踏まえ、開館時間のあり方について総合的に考えてまいります。
○議長(尾崎要二君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 世界遺産登録においての安全性の確保についてお答えいたします。
 県警察としましても、世界遺産登録に当たり観光客の安全確保が重要であることを認識しております。このため、引き続き街頭犯罪の抑止、重要犯罪の検挙、交通事故の防止等を図っていくとともに、犯罪情勢に応じて効果的に警察力を投入し、観光客並びに県民の皆様の安全の確保に努めてまいる所存でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十六番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま、知事並びに関係部長からご答弁いただき、ありがとうございました。
 実は、高野・熊野の世界遺産の関係ですけれども、いろいろとご答弁いただいたんですけれども、私は、この高野・熊野世界遺産を今後保全し、修復し、また周辺環境を整備していくには、いわゆる広域にわたっておりますし、面として整備しなきゃらない点もあるでしょうし、アクセスの整備もあるでしょう。したがいまして、莫大な費用がかかる。それに対して、いわゆるこういう財政状況の厳しい中でどう対応していくのかということを考えますならば、私は一つは国においてこの世界遺産の登録地を特別に手当てしていくような、そういう特別措置法の設立というものも大事じゃないかと、この点もひとつ国の方に要望していただきたいなということ。
 それから、次に二点目は、もう一つはやはり世界遺産条約の中の第十七条の中に、いわゆる締約国がこの文化遺産やそういう自然遺産を整備していくために基金を設けることについて──日本政府がですよ──要するに和歌山なら和歌山に対して、その基金を設置することを奨励するというふうになっております。設立を考慮し、奨励するとなっておりますから、そういった基金の設置もひとつ念頭に置いていただきたい。これはどういうことかといいますと、やはり税の優遇措置もそれに加味していただきますと、さらにそういった基金を、財団なら財団、先ほどの答弁の中で設立するかもわからないということでありましたから、そういう基金も設置していただきたい。
 三点目は、何といっても観光ということだと思うんです。観光でやはりすばらしい自然に触れていただく、高野・熊野の世界遺産に接していただく、そして観光客をお迎えすることによって県経済の活性化を図っていくと。またその税収上がった分でまた整備をしていくと。
 フランスの言葉に「美しい花はよく売れる」と。いい物をつくっていくと、美しい物、いい物をつくっていけば必ず日本全国のみならず世界各国から観光客が訪れるであろうと思います。その点、要望いたします。
 もう一つは文化芸術振興条例でありますけれども、実はいろいろと調べてみますと、今、全国で五県が条例つくっております。そして、今この二月定例会で議論されておりますのが、福島県と大分県でございます。もう間もなく成立になります。
 実は、この平成十三年の十二月に文化芸術振興基本法ができましたときに、一番先に条例をつくりました県が鳥取県でございます。鳥取県のこともよく調べさせていただきました。実は、その前の年に──鳥取県は昨年の平成十五年の十月の十四日に設立されているわけでありますけれども、その議論に入る前の年に国民文化祭というものを開催したと。その国民文化祭を継続していきたいという思いもあった。また基本法もできた。そして県民の要望があったというふうになっておりますけども、ぜひ一度、和歌山県におきましても国民文化祭などを誘致されたらどうかと思います。この点も要望をさせていただきます。
 それから、ご検討いただくということでありますから、いろいろ学者の意見とか、条例が絶対必要やというような意見とか、いろいろ用意しましたけれども、和歌山にはたくさんの伝統芸能もございますし、文化というものもございます。そして、内閣府の国民生活に関する意識調査でも、今では物の豊かさから心の豊かさを求める人たちが六〇%を超えてきております。したがって、この文化芸術というものとまた産業というものは相反する事柄でありますけれども、この活性化に私はつながっていくと。私もこの渋谷の方で文化村を築きました清水嘉弘さんの「文化を事業する」という本も読ましていただきました。文化と観光というのは相反する事柄だけれども、そこで一つのエネルギーが生じていくんだ、いい物をつくれば必ず売れていく、いわゆる観光客も訪れるということでありますから、しっかりと文化芸術振興に取り組んでいただきたいと思います。この点を要望させていただきます。
 最後に一つだけ。
 実は、先ほどの女性専門外来でございますけれども、なかなか難しいことをおっしゃっておりましたけれども、女性医師が全体の一四%いらっしゃるんです。私はまだ二%とか三%とか五%とかいうんだったらわかりますけど、一割以上いらっしゃるわけですから、労災病院でも開設しているわけでありますので、ひとつ決断というんかな、して医大の方でもしていただきたいなというふうに思います。その点も要望させていただきまして、私の第二問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十七分休憩
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