平成16年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに報第三号から報第五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十八番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、以下、順次質問させていただきます。
 まず、安全で安心な港湾づくりについてであります。
 SOLAS条約について。
 二〇〇一年九月のアメリカ同時多発テロ事件の発生以後、アメリカでは二〇〇二年十一月に海事保安法を成立させ、それを受けて二〇〇二年十二月にIMO(国際海事機関)において海上人命安全条約(SOLAS条例)が改正され、国際航海に従事する貨物船等及び国際港湾施設の保安対策を強化することが義務づけられました。この条約のルーツは、一九一二年のタイタニック号の海難事故にさかのぼると言われております。
 この改正SOLAS条約により、二〇〇四年七月一日の条約発効までに、国際航海に従事する貨物船(五百総トン以上)や旅客船が使用する港湾施設においては保安対策を強化することが約束されました。国土交通省は重要港湾以上のすべてに監視カメラを備えたコンテナターミナルの整備等を進めるとして予算計上いたしておりますが、港湾施設管理者には港湾施設保安計画を作成し、それに基づくハード及びソフト両面の保安対策を講ずるよう求められております。保安対策が不十分であると判断されますと、外国船の入港が拒否されたり、船会社に定期航路から外されることにもなりかねません。
 和歌山県の二月補正においても、港湾施設保安対策として二億六千九百万円が提案されております。国においては条約改正に伴う国内法の整備も急がれますし、保安計画のガイドラインや組織体制も早く示されるべきであります。
 そこで質問ですが、以下、県土整備部長にお伺いいたします。
 一つ目、和歌山県としては港湾施設管理者として具体的にどのような保安対策を講じられますか。
 二番目、海上保安庁、警察、そして民間の事業者とのかかわり、連携はどのようなものになるのでしょうか。
 三番目、そもそも今回の改正SOLAS条約は国際テロ対策を目的としたものであり、国の安全保障の一環でありましょう。国と港湾管理者である県とは応分の負担は避けられないのでしょうが、港湾使用料等に転嫁されるなど、影響はないのでしょうか。
 二番目に、災害に強い港湾づくりについてであります。
 昨年九月二十六日早朝、北海道十勝沖にてマグニチュード八の地震が発生しました。四メートルもの津波、釧路港では比較的新しいはずの埠頭の液状化現象、苫小牧港では出光興産北海道製油所のナフサタンクでの大火災が発生しました。人的被害としては、合計、行方不明者二名、負傷者八百四十七名の大被害をもたらしております。また、お隣韓国では昨年九月十三日、釜山港を台風十四号が襲撃し、秒速四十メートル以上の強風に耐え切れず、ガントリークレーンが六台も倒壊し、千個余りのコンテナがコンテナヤードで転がり、大変な人的・経済的ダメージを受けております。
 東南海・南海地震といった大規模地震を想定して、和歌山下津港においても各種防災対策が検討されていることと思います。平成十一年にも雑賀崎の工業団地で高波に対する対策を講じていただいたことがありましたが、阪神・淡路大震災時の神戸港における防波堤の沈下、崩壊等、生々しい記憶がよみがえってくるわけですが、和歌山下津港の岸壁の耐震強化についてはどのようになっておりますか、県土整備部長にお伺いいたします。
 また、屋外タンク貯蔵所の耐震補強等はどうですか、総務部長にお伺いいたします。
 二つ目に、和歌山県の医療のさらなる充実についてであります。
 昨年一月一日より導入いただいたドクターヘリですが、当初一年間に約二百回の出動と想定されていたのが、ことし二月二十九日現在の出動件数が二百七十二回、一日最高三回、約四日に三回は出動してとうとい命を救っている状況を見て、喜ばしい限りであります。それも、紀南地方のみならず、和歌山市を初め紀北地方への出動件数が少なくないのがうれしい驚きであります。
 救急車が昼夜を問わず出動するように、ヘリコプターも二十四時間の運用体制を組めればますます救命率はアップされます。アメリカの場合、夜間飛行はもとより、雨や霧で視界不良のとき、すなわち計器気象条件の場合でもGPSを使用した計器飛行によって出動しているところがあると聞きます。山間部等、昼間でも見通しのよくない地域では、ドクターカーとの連携も考えていただいて、離着陸場の夜間照明施設の整備等、支援方法の検討のもと安全対策を第一義として講じていただいた上で二十四時間のドクターヘリの運航をぜひとも実現していただきたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。
 次に、平成十五年十二月二十二日、県立医科大のあり方懇談会が「和歌山県立医科大学のあるべき姿のために」という提言を出されました。ここに述べられているように、当大学は附属病院の経営を通じて充実した医療サービスを提供すると同時に、すぐれた教育研究によりよき医療人を育成・輩出して県民ニーズにこたえていくことが基本となります。県民の要請にこたえるために、医大の機能を最大限に発揮いただくために、大学みずからの権限と責任において主体的に運営いただくよう、独立法人化が一県民としても望まれます。
 医大の中には、医師の本分を存分に認識されたやる気のある先生方がたくさんいらっしゃいます。一カ月半も手術待ちの患者さんをできるだけ早く治してあげたい、そのためにもっと手術数もふやせる、ひいては病院経営に貢献できると考えておられます。各診療科の横の連携をさらにとっていただいて、売り上げに対する評価制度も採用すべきでしょうし、公務員という枠から離れてよりよい医療を追求していく体制が、ひいては学生に、県民に、地域に、もっと貢献していけるのではないかと思われます。また、独立行政法人化して企業会計原則を導入し、業績主義のもと売り上げを上げる努力をしていけば、再生医療のさらに突っ込んだ研究や内視鏡手術ロボット等、先進のメカニックを取り入れるなど、今以上の高度な医療も県民に提供できます。
 そこで質問ですが、今後独立行政法人化についての具体的な進め方、スケジュールを知事にお尋ねいたします。
 次に、せっかく県立医科大学で六年間学んだのに、卒業後も和歌山県にとどまってくれる学生は約四割と聞いております。それに、平成十六年四月から卒後臨床研修の必修化に伴い、卒業生みずからの研修病院選択制度が開始され、医大卒業生の全国的な獲得競争もスタートいたします。今後の独立行政法人化に向けて費用対効果も考えていく必要があります。
 実際、県当局のご尽力もあって県内の医師数は全国的にも少なくはない状況にはなっておりますが、県の保健医療計画の中でうたわれていますように医師数の地域間格差の問題はありますが、医科大学は医科大学として、和歌山県民のための大学として、学生にできるだけ卒業後県内にとどまってもらって和歌山県の地域医療に貢献いただけるように、卒業後も和歌山県立医科大学に魅力を感じてもらえるように、教育機関として、また医師を養成する機関としてどのように考えておられますか、医大学長にお伺いいたします。
 次に、昨年十二月二十五日、和歌山県立医科大学生涯学習センターにおいて「産学官の連携を求めて」と題して和歌山バイオサイエンス講演会が開催されました。知事も平成十五年度は科学技術元年として積極的に取り組まれた成果が幾つか県の予算採択となってあらわれましたが、この日の講演会では、医大の先生方のES細胞、再生医療、それに遺伝子研究の先進的な取り組みを聞かせていただき、非常に頼もしい期待感を抱きましたし、県外からたくさんの有力な製薬会社も来られておりました。企業、専門家への参画の呼びかけ等、できる限りのマッチング作業は自分としても一県民として続けていきたいと思っておりますが、科学技術二年目としてさらに突っ込んだ展開ができるよう、県当局としても先述のような医療分野を初めとした産学の共同研究につながる取り組みに対し一層のご支援、ご協力をお願いいたしたいと思いますが、いかがですか。企画部長にお伺いいたします。
 五番目。また、医科大学におかれましては、独立行政法人化に向けてこのような取り組みを産学官の共同研究をさらなる地域医療への貢献、そして和歌山県の活性化のために、和歌山県立医科大学の持つノウハウにますます磨きをかけていただいて研究開発の成果を全国へ発信するぐらいに、ぜひ引き続き県の協力のもと積極的に行っていただきたいと思いますが、学長、いかがですか。
 三番目に、高野・熊野世界遺産登録についてであります。
 県を挙げて取り組んでこられた高野・熊野の世界遺産登録がいよいよ本年六月に迫ってまいりました。一たび登録されれば、世界遺産として一過性ではない永遠に引き継がれるものであり、県勢浮揚にまたとない絶好の機会であります。たくさんの雇用も創出できる可能性があります。また、国内外から高野・熊野地域にたくさんの方が訪れるわけで、県当局も各部局横断的に全力を挙げていろんな施策を打ち出されております。
 我が和歌山県としては、せっかく世界遺産に登録されても、高野・熊野周辺だけの盛り上がりで終わってはいけない、県全体の盛り上がりでなければいけないはずであります。県都和歌山市にとっても起死回生の集客のチャンスであります。和歌山市内には、和歌山城、それに紀三井寺を初めとした歴史と文化に彩られた神社・仏閣、そして風光明媚な海岸線を持つ和歌浦、雑賀崎等、名所旧跡がいっぱいあります。市内の観光エリアにおいてもこの機会をとらえるべく、旅行エージェントとの提携によるモデルコースづくり等、さまざまな仕掛けをそれぞれ検討されておられるようです。
 和歌浦の方では、高野山との連携をもっと図って紀北の紀の川筋の方々と一緒に信仰・宗教の旅、歴史の旅として売り出せないものかと考えておられる方もいらっしゃいます。高野山から紀の川筋を下って、空海に由縁のある、また金剛峯寺の鎮守として祭られた丹生都比売神社、平安時代、観音霊場として高野山や熊野もうでとあわせてよく参詣された西国三十三所第三番札所である粉河寺、高野真言宗から分かれた根来寺、それに西国三十三所第二番札所である紀三井寺へ、その間、全国的にも有名な特産であるカキ、キウイ、ミカン、ハッサク、桃、イチゴといった種々さまざまなフルーツ等があり、行き着いた和歌浦で底びき網漁船で漁業体験を楽しんだり地元の新鮮な魚を食べてゆっくり海の景色を見ながら宿泊いただくような旅を、四季折々の食材を、そして食の文化を味わい楽しみながらできるといった点も絶好のセールスポイントになるに相違ありません。
 まず地元の観光地が一体となって集客に対する情熱、努力、そしてみずからの実践、盛り上げが必要であることは言うをまたないことではありますが、県当局も県を挙げてのお取り組みの中、民間の取り組みも参考にしていただいた上で、せっかく紀伊山地の霊場と参詣道を訪ねていただいた国内外のお客様をさらに和歌山市を初め県内各地へいざなって満足を持って帰っていただけるために、またリピーターとして何度も和歌山県にお越しいただけるために、観光ルート等も含めてどのように考えておられますか、知事にお伺いいたします。
 二番目に、また、観光客が各地から遠く高野・熊野地方にお見えになる際、鉄道や飛行機といった車やバス以外の交通手段で来られた方に対し、高野山と熊野さらにその周辺をめぐる周遊バスの運行、あるいは南紀白浜空港からのバスの運行、奈良県や三重県エリアとのアクセス、JRや南海高野線の増便や利便性のさらなる向上等、さまざまな配慮が必要になってくると思われますが、国内外、県内外から来られた観光客をスムーズに受け入れるべくデスティネーションキャンペーン等、地元市町村や関係交通機関、旅行会社等の方々とともにいかがご検討されておりますか。交通面は企画部長、観光の側面からは商工労働部長にご答弁願います。
 以上、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず最初のドクターヘリの話ですが、ご質問にもありましたように、二百二十二人の患者さんで十六人の方が命を取りとめ、さらには二十八人の方が後遺症が残らないという形で済んだということで、非常に感謝をされている制度だというふうに思っております。
 私も当初から、夜病気にならないというふうなことは難しいことなので、やはり夜の方が患者の人も不安は募るし、夜こそドクターヘリに飛んでいってもらいたいという気持ちは実はあって、そういうふうな指示ももうずっとしてるんですが、これにつきましては、照明設備の問題でありますとか、それから操縦士の人の確保の問題、それから医師の人、看護師の人の体制の問題、なかなか難しい問題はあります。ただ、議員のご質問にもありましたように、GPSとか新しい仕組みもあるので、これ本当に喜ばれている制度ですから、もっと充実できるような形の研究、これをどんどん進めていきたい、このように思っております。
 それから、次に県立医大の独立行政法人化の話ですが、これについては四月から国立大学が独立行政法人になるということがあって、全国に八つある公立医大、これもやはり大きな時代の流れの中で独立行政法人化を図り、経営の効率化と運営の効率化と図っていくことは、これは僕は必要なことだろうと思っています。そして、先般もそういう線で懇談会の提言が出ておりまして、今この提言を受けて内部に医大改革推進会議というのを設けてさらに検討を進めているところでございます。結論が出ましたら、議会とも相談しながら可及的速やかに対応ができるように図っていきたいと、このように思っております。
 それから、高野・熊野の世界遺産の効果を和歌山市、そしてまた紀北筋にもということでございます。これは本当にそのとおりでございまして、なかなか高野・熊野というとどうしても南の方と高野山だけを局地的にというような感じが強いんですけども、実は和歌山市というのは一回行ってみたいけど一度も行ったことがないという人が非常に多いところなので、この高野・熊野の世界遺産というものを契機にして、これと高野山なんかを連携させるような形で和歌山市等も売り込んでいくという観点は非常に大事だと思います。
 ことしのデスティネーションキャンペーン、JR六社と一緒にやるあれですけども、これでもオープニングは和歌山城で行いますし、それから空海と高野山展、これは大きな展覧会になると思います。これも県立博物館で大々的に行うと、こういうふうなことも契機にし、さらには和歌山市、それから紀北、これを緑の歴史回廊ということで進めておりますけども、これを組み込んだ形での旅行プランというふうなものもいろんな形で提起していくという形の努力をしていきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、SOLAS条約改正に伴う保安対策でございますが、和歌山県内においては、和歌山下津港、日高港及び新宮港で保安対策を行うこととしております。
 具体的な取り組み内容としては、大きくは三点ございます。一つは、国際埠頭施設の保安確保のために必要な事項を記載した保安規程の策定、二つ目は、国際埠頭施設に係る保安の確保に関する業務を管理させるための埠頭保安管理者の選任、三つ目は、不正侵入防止のためのフェンス、ゲート、監視カメラ、照明設備等の埠頭保安施設の整備であります。これらの三点に関しまして、条約が発効する本年七月までに必要とされる対応を実施する予定でございます。
 次に、海上保安庁、警察、民間事業者とのかかわり、連携でございますが、保安対策の実効性を確保するためには、関係者間の連携・協力体制を構築することが重要であり、海上保安庁、警察等、国や県の関係機関並びに港湾利用者等から成る保安対策協議会を設置することとしております。既に、和歌山下津港においては関係機関等を一堂に会した準備会合を二月二十五日に開催いたしました。また、日高港、新宮港においても同様の保安対策協議会を設置していく予定でございます。
 なお、この港湾保安施設整備に際し、その費用を港湾使用料等に転嫁させることは今のところ考えておりません。
 次に、和歌山下津港の岸壁の耐震強化でございますが、阪神・淡路大震災で実証されたように、大規模地震等の災害時には海上輸送が大きな役割を果たすと認識しております。大規模地震時においても使用可能な施設が必要であり、現在県が整備している港湾におきましては耐震性を強化した岸壁を整備しているところであり、お尋ねの和歌山下津港では既に西浜地区に水深十二メートル、延長二百四十メートルの岸壁を設けております。今後とも防災性の高い港湾づくりに努めてまいります。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 和歌山下津港の屋外タンク貯蔵所の耐震補強についてお答えを申し上げます。
 和歌山下津港内には、消防法において新たに設けられた耐震基準に適合すべきとされている五百キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所が百四十七基設置されておりまして、そのうち基準に適合するものが十九基となっております。この新たに設けられた基準に適合しない屋外タンク貯蔵所につきましては改修について猶予期間が設けられておりまして、事業者はこの期間内に改修を完了する計画書を管轄する消防本部に提出し、それに基づき改修を行っているところであります。
 このような中で、消防庁の諮問機関であります消防審議会から、十勝沖地震による石油精製所の火災事故を受け、屋外タンク貯蔵所の改修時期の前倒しを図るべきとの答申がなされたところでもあります。県といたしましては、消防庁が検討しております屋外タンク貯蔵所に係る基準の改正の動向を注意深く見守りながら、許認可権者である消防本部とより連携を深め、安全の確保を図ってまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 医療分野を初めとする産学の共同研究につながる取り組みについてでございます。
 県では地域の活性化を図るためには、バイオ技術の活用が重要であると考えております。現在、戦略的研究開発プラン事業を初め、地域結集型共同研究事業でも和歌山大学や近畿大学生物理工学部などと共同で農林水産資源を対象とした新しい技術や産業化を目指した研究開発に取り組んでおります。
 バイオ分野につきましては、国も重点施策に位置づけておりまして、今後の展開としましては機能性食品や健康関連製品など、健康・医療関連産業の進展が期待されております。和歌山県立医科大学におきましても再生医療などの研究も進められていると聞いておりますので、大学とも十分に連携をとり、バイオ技術の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、高野・熊野地方への観光客をスムーズに受け入れるための交通を初めとした体制づくりについてお答えいたします。
 県では昨年六月に地元市町、近畿運輸局及び鉄道・バス事業者等で構成する高野山の交通を考える協議会を設立し、世界遺産にふさわしい高野山の交通のあり方について検討を行い、本年二月に公共交通機関利用促進のための広報・啓発やJRと南海電鉄の乗り継ぎ時間の短縮を図るための検討、山内乗り合いバスの増便やダイヤの見直し等といった、行政や鉄道・バス事業者が取り組むべき具体的方策を取りまとめたところでございます。今後は、各実施主体の取り組み状況についてフォローアップを行ってまいりたいと考えております。
 また、熊野地域、特に中辺路・本宮地域につきましては、県の大型観光キャンペーン期間中には従来の路線バスに加えて臨時バスの運行が予定されております。交通を担当する部局といたしましては、キャンペーン期間中におけるバスの利用状況等を参考にしながら、地域再生構想として本県が国に対して提案し認められましたコミュニティーバスの観光面への活用なども含め、キャンペーン期間後の交通アクセス確保につきまして地元市町村や関係事業者等と検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 世界遺産登録の観光面での受け入れ態勢についてでございますが、大型観光キャンペーンの実施に向け、各種イベントの開催や観光メニューの充実等、市町村と協議をしてきたところでございます。また、熊野古道を歩く観光客のため、中辺路ルートについて地元バス業者の協力を得ながら、キャンペーン期間中の土曜、日曜、祝日に臨時バスを運行する予定となってございます。一方、旅行エージェントも和歌山を目的にしたいろいろなメニューを計画していただくことになっております。
 今後も、観光客をスムーズに受け入れるために、ホスピタリティー向上のための観光関連従事者等を対象にした観光セミナーなど、研修を開催をするところでございます。今後、地元の歓迎ムードを盛り上げていくような取り組みを市町村に呼びかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 医科大学学長山本博之君。
  〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 和歌山県の保健医療に貢献する人材の育成は本学の大きな使命の一つであり、重要な課題でございます。
 人口十万人当たりの医師数が全国平均以上でありましても、地域間における医師の偏在、診療科の間における医師の偏在などがあり、これらによる医師不足は全国的な問題でございまして、その解決策が検討されているところでございます。本県におきましても同様でございまして、本学では学内に地域医療支援委員会を設置し、地域の要望にできるだけおこたえできるように努めてございます。
 また、県内生を対象とする推薦入試の導入、教育カリキュラムに地域医療に関する授業科目の新設などをいたしまして、このための取り組みをしているところでございます。
 卒業生は、医師免許取得後、二年間の卒後臨床研修を終えた後に、大学や医療機関で教育や研修または就職するということになります。卒業直後の研修医の動向は、研修プログラム、研修後の将来展望などに影響され、本学では卒後臨床研修システムの充実を図るとともに、研修後の医師の受け皿づくりに努めているところでございます。
 また、本学が事務局となり県内の自治体病院でまんだらげ病院連絡協議会を発足させ、和歌山県の保健医療充実のために情報交換をしていますが、中でも研修医の確保は重要な課題となってございます。和歌山県全体としての研修医の確保という観点に立って、県当局や関係医療機関と連携し、研修医の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、産官学共同研究による社会貢献についてであります。
 本学は、よりよい医療人育成の拠点として、地域の中核医療機関として、また医学医療の研究開発の拠点として期待されており、これらを通して地域医療への貢献に努めているところでございます。さらに、本学の研究開発活動の成果が地域の発展に活用されることも本学の重要な社会貢献と考えてございます。
 本学の研究活動において産官学連携は重要でございまして、これまでもわかやま地域産業総合支援機構へ参加し、梅の効用に対する医学的評価やアトピー抑制肌着の開発などに成果を上げてございます。本学といたしましては、今後とも県当局と協力しながら、こうした取り組みをなお一層推進してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十八番長坂隆司君。
○長坂隆司君 ご答弁いただきまして、ありがとうございました。
 SOLAS条約についてですが、大港湾よりむしろ和歌山下津港のような地方港こそテロの標的になりやすいのではないかと憂慮をしております。国から地方へさらなる負担を強いられた格好ではありますが、きめの細かいわきの締まった保安対策を要望するとともに、国の安全保障の一環なのですから、国に対してさらなる財政措置をしていただくよう強く国に問いかけていただきたいと思います。
 それと、災害に強い港湾づくりですが、やはり怖いのは津波です。各ポートで津波対策に万全を期していただきたいし、港湾関係者を初めとして避難訓練等にも早いうちからかかっていただきたいと思います。
 バイオサイエンス関係ですが、今までも二年前より、再生医療・ゲノムと企業、高分子素材を用いての再生医療、ハイレベルの生物工学を使った地域活性化等々、日本の第一線の研究者による講演会が県下で開催され、今後も医療・食品分野それぞれの分野でビジネスマッチングをねらったフォーラム、講演会がやはり県下で予定されております。ぜひ県当局、医大におかれましてもご理解をいただきまして、新しい産業を生み出せるよう、そして新たな雇用を生み出せるように引き続きご支援、ご協力のほどお願いいたします。
 次に、高野・熊野世界遺産登録の効果を紀北、和歌山市へということについてですが、和歌山市とも十分協議をいただきまして、和歌山の玄関口でありますJR和歌山駅前、南海市駅前、それに県庁周辺で高野・熊野の世界遺産登録ということで、高野山あるいは熊野地方の写真をあしらった和歌山市へお客様をいざなってくれるような、町を明るくしてくれるような大きな看板ボードをぜひとも設置いただきたいなと、その準備に取りかかっていただくように要望いたします。それが周辺の商店街の、この機をとらえたみずからの活性化にも呼び水として作用してくれることを望むものであります。
 以上、要望申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。

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