平成16年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


県議会の活動

平成十六年二月 和歌山県議会定例会会議録 第七号
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議事日程 第七号
 平成十六年三月十日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに報第三号から報第五号まで(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案等の付託
  第四 請願付託の件
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに報第三号から報第五号まで(質疑)
   二 一般質問
   三 議案等の付託
   四 請願付託の件
   五 休会決定の件
出席議員(四十四人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       木   下   善   之
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       山   下   大   輔
     二十七番       前   川   勝   久
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     四十 番       新   田   和   弘
 〔備考〕
     二十六番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         垣   平   高   男
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員    湯   川       力
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員  森   本   明   雄
     医科大学学長     山   本   博   之
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに報第三号から報第五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十八番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、以下、順次質問させていただきます。
 まず、安全で安心な港湾づくりについてであります。
 SOLAS条約について。
 二〇〇一年九月のアメリカ同時多発テロ事件の発生以後、アメリカでは二〇〇二年十一月に海事保安法を成立させ、それを受けて二〇〇二年十二月にIMO(国際海事機関)において海上人命安全条約(SOLAS条例)が改正され、国際航海に従事する貨物船等及び国際港湾施設の保安対策を強化することが義務づけられました。この条約のルーツは、一九一二年のタイタニック号の海難事故にさかのぼると言われております。
 この改正SOLAS条約により、二〇〇四年七月一日の条約発効までに、国際航海に従事する貨物船(五百総トン以上)や旅客船が使用する港湾施設においては保安対策を強化することが約束されました。国土交通省は重要港湾以上のすべてに監視カメラを備えたコンテナターミナルの整備等を進めるとして予算計上いたしておりますが、港湾施設管理者には港湾施設保安計画を作成し、それに基づくハード及びソフト両面の保安対策を講ずるよう求められております。保安対策が不十分であると判断されますと、外国船の入港が拒否されたり、船会社に定期航路から外されることにもなりかねません。
 和歌山県の二月補正においても、港湾施設保安対策として二億六千九百万円が提案されております。国においては条約改正に伴う国内法の整備も急がれますし、保安計画のガイドラインや組織体制も早く示されるべきであります。
 そこで質問ですが、以下、県土整備部長にお伺いいたします。
 一つ目、和歌山県としては港湾施設管理者として具体的にどのような保安対策を講じられますか。
 二番目、海上保安庁、警察、そして民間の事業者とのかかわり、連携はどのようなものになるのでしょうか。
 三番目、そもそも今回の改正SOLAS条約は国際テロ対策を目的としたものであり、国の安全保障の一環でありましょう。国と港湾管理者である県とは応分の負担は避けられないのでしょうが、港湾使用料等に転嫁されるなど、影響はないのでしょうか。
 二番目に、災害に強い港湾づくりについてであります。
 昨年九月二十六日早朝、北海道十勝沖にてマグニチュード八の地震が発生しました。四メートルもの津波、釧路港では比較的新しいはずの埠頭の液状化現象、苫小牧港では出光興産北海道製油所のナフサタンクでの大火災が発生しました。人的被害としては、合計、行方不明者二名、負傷者八百四十七名の大被害をもたらしております。また、お隣韓国では昨年九月十三日、釜山港を台風十四号が襲撃し、秒速四十メートル以上の強風に耐え切れず、ガントリークレーンが六台も倒壊し、千個余りのコンテナがコンテナヤードで転がり、大変な人的・経済的ダメージを受けております。
 東南海・南海地震といった大規模地震を想定して、和歌山下津港においても各種防災対策が検討されていることと思います。平成十一年にも雑賀崎の工業団地で高波に対する対策を講じていただいたことがありましたが、阪神・淡路大震災時の神戸港における防波堤の沈下、崩壊等、生々しい記憶がよみがえってくるわけですが、和歌山下津港の岸壁の耐震強化についてはどのようになっておりますか、県土整備部長にお伺いいたします。
 また、屋外タンク貯蔵所の耐震補強等はどうですか、総務部長にお伺いいたします。
 二つ目に、和歌山県の医療のさらなる充実についてであります。
 昨年一月一日より導入いただいたドクターヘリですが、当初一年間に約二百回の出動と想定されていたのが、ことし二月二十九日現在の出動件数が二百七十二回、一日最高三回、約四日に三回は出動してとうとい命を救っている状況を見て、喜ばしい限りであります。それも、紀南地方のみならず、和歌山市を初め紀北地方への出動件数が少なくないのがうれしい驚きであります。
 救急車が昼夜を問わず出動するように、ヘリコプターも二十四時間の運用体制を組めればますます救命率はアップされます。アメリカの場合、夜間飛行はもとより、雨や霧で視界不良のとき、すなわち計器気象条件の場合でもGPSを使用した計器飛行によって出動しているところがあると聞きます。山間部等、昼間でも見通しのよくない地域では、ドクターカーとの連携も考えていただいて、離着陸場の夜間照明施設の整備等、支援方法の検討のもと安全対策を第一義として講じていただいた上で二十四時間のドクターヘリの運航をぜひとも実現していただきたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。
 次に、平成十五年十二月二十二日、県立医科大のあり方懇談会が「和歌山県立医科大学のあるべき姿のために」という提言を出されました。ここに述べられているように、当大学は附属病院の経営を通じて充実した医療サービスを提供すると同時に、すぐれた教育研究によりよき医療人を育成・輩出して県民ニーズにこたえていくことが基本となります。県民の要請にこたえるために、医大の機能を最大限に発揮いただくために、大学みずからの権限と責任において主体的に運営いただくよう、独立法人化が一県民としても望まれます。
 医大の中には、医師の本分を存分に認識されたやる気のある先生方がたくさんいらっしゃいます。一カ月半も手術待ちの患者さんをできるだけ早く治してあげたい、そのためにもっと手術数もふやせる、ひいては病院経営に貢献できると考えておられます。各診療科の横の連携をさらにとっていただいて、売り上げに対する評価制度も採用すべきでしょうし、公務員という枠から離れてよりよい医療を追求していく体制が、ひいては学生に、県民に、地域に、もっと貢献していけるのではないかと思われます。また、独立行政法人化して企業会計原則を導入し、業績主義のもと売り上げを上げる努力をしていけば、再生医療のさらに突っ込んだ研究や内視鏡手術ロボット等、先進のメカニックを取り入れるなど、今以上の高度な医療も県民に提供できます。
 そこで質問ですが、今後独立行政法人化についての具体的な進め方、スケジュールを知事にお尋ねいたします。
 次に、せっかく県立医科大学で六年間学んだのに、卒業後も和歌山県にとどまってくれる学生は約四割と聞いております。それに、平成十六年四月から卒後臨床研修の必修化に伴い、卒業生みずからの研修病院選択制度が開始され、医大卒業生の全国的な獲得競争もスタートいたします。今後の独立行政法人化に向けて費用対効果も考えていく必要があります。
 実際、県当局のご尽力もあって県内の医師数は全国的にも少なくはない状況にはなっておりますが、県の保健医療計画の中でうたわれていますように医師数の地域間格差の問題はありますが、医科大学は医科大学として、和歌山県民のための大学として、学生にできるだけ卒業後県内にとどまってもらって和歌山県の地域医療に貢献いただけるように、卒業後も和歌山県立医科大学に魅力を感じてもらえるように、教育機関として、また医師を養成する機関としてどのように考えておられますか、医大学長にお伺いいたします。
 次に、昨年十二月二十五日、和歌山県立医科大学生涯学習センターにおいて「産学官の連携を求めて」と題して和歌山バイオサイエンス講演会が開催されました。知事も平成十五年度は科学技術元年として積極的に取り組まれた成果が幾つか県の予算採択となってあらわれましたが、この日の講演会では、医大の先生方のES細胞、再生医療、それに遺伝子研究の先進的な取り組みを聞かせていただき、非常に頼もしい期待感を抱きましたし、県外からたくさんの有力な製薬会社も来られておりました。企業、専門家への参画の呼びかけ等、できる限りのマッチング作業は自分としても一県民として続けていきたいと思っておりますが、科学技術二年目としてさらに突っ込んだ展開ができるよう、県当局としても先述のような医療分野を初めとした産学の共同研究につながる取り組みに対し一層のご支援、ご協力をお願いいたしたいと思いますが、いかがですか。企画部長にお伺いいたします。
 五番目。また、医科大学におかれましては、独立行政法人化に向けてこのような取り組みを産学官の共同研究をさらなる地域医療への貢献、そして和歌山県の活性化のために、和歌山県立医科大学の持つノウハウにますます磨きをかけていただいて研究開発の成果を全国へ発信するぐらいに、ぜひ引き続き県の協力のもと積極的に行っていただきたいと思いますが、学長、いかがですか。
 三番目に、高野・熊野世界遺産登録についてであります。
 県を挙げて取り組んでこられた高野・熊野の世界遺産登録がいよいよ本年六月に迫ってまいりました。一たび登録されれば、世界遺産として一過性ではない永遠に引き継がれるものであり、県勢浮揚にまたとない絶好の機会であります。たくさんの雇用も創出できる可能性があります。また、国内外から高野・熊野地域にたくさんの方が訪れるわけで、県当局も各部局横断的に全力を挙げていろんな施策を打ち出されております。
 我が和歌山県としては、せっかく世界遺産に登録されても、高野・熊野周辺だけの盛り上がりで終わってはいけない、県全体の盛り上がりでなければいけないはずであります。県都和歌山市にとっても起死回生の集客のチャンスであります。和歌山市内には、和歌山城、それに紀三井寺を初めとした歴史と文化に彩られた神社・仏閣、そして風光明媚な海岸線を持つ和歌浦、雑賀崎等、名所旧跡がいっぱいあります。市内の観光エリアにおいてもこの機会をとらえるべく、旅行エージェントとの提携によるモデルコースづくり等、さまざまな仕掛けをそれぞれ検討されておられるようです。
 和歌浦の方では、高野山との連携をもっと図って紀北の紀の川筋の方々と一緒に信仰・宗教の旅、歴史の旅として売り出せないものかと考えておられる方もいらっしゃいます。高野山から紀の川筋を下って、空海に由縁のある、また金剛峯寺の鎮守として祭られた丹生都比売神社、平安時代、観音霊場として高野山や熊野もうでとあわせてよく参詣された西国三十三所第三番札所である粉河寺、高野真言宗から分かれた根来寺、それに西国三十三所第二番札所である紀三井寺へ、その間、全国的にも有名な特産であるカキ、キウイ、ミカン、ハッサク、桃、イチゴといった種々さまざまなフルーツ等があり、行き着いた和歌浦で底びき網漁船で漁業体験を楽しんだり地元の新鮮な魚を食べてゆっくり海の景色を見ながら宿泊いただくような旅を、四季折々の食材を、そして食の文化を味わい楽しみながらできるといった点も絶好のセールスポイントになるに相違ありません。
 まず地元の観光地が一体となって集客に対する情熱、努力、そしてみずからの実践、盛り上げが必要であることは言うをまたないことではありますが、県当局も県を挙げてのお取り組みの中、民間の取り組みも参考にしていただいた上で、せっかく紀伊山地の霊場と参詣道を訪ねていただいた国内外のお客様をさらに和歌山市を初め県内各地へいざなって満足を持って帰っていただけるために、またリピーターとして何度も和歌山県にお越しいただけるために、観光ルート等も含めてどのように考えておられますか、知事にお伺いいたします。
 二番目に、また、観光客が各地から遠く高野・熊野地方にお見えになる際、鉄道や飛行機といった車やバス以外の交通手段で来られた方に対し、高野山と熊野さらにその周辺をめぐる周遊バスの運行、あるいは南紀白浜空港からのバスの運行、奈良県や三重県エリアとのアクセス、JRや南海高野線の増便や利便性のさらなる向上等、さまざまな配慮が必要になってくると思われますが、国内外、県内外から来られた観光客をスムーズに受け入れるべくデスティネーションキャンペーン等、地元市町村や関係交通機関、旅行会社等の方々とともにいかがご検討されておりますか。交通面は企画部長、観光の側面からは商工労働部長にご答弁願います。
 以上、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず最初のドクターヘリの話ですが、ご質問にもありましたように、二百二十二人の患者さんで十六人の方が命を取りとめ、さらには二十八人の方が後遺症が残らないという形で済んだということで、非常に感謝をされている制度だというふうに思っております。
 私も当初から、夜病気にならないというふうなことは難しいことなので、やはり夜の方が患者の人も不安は募るし、夜こそドクターヘリに飛んでいってもらいたいという気持ちは実はあって、そういうふうな指示ももうずっとしてるんですが、これにつきましては、照明設備の問題でありますとか、それから操縦士の人の確保の問題、それから医師の人、看護師の人の体制の問題、なかなか難しい問題はあります。ただ、議員のご質問にもありましたように、GPSとか新しい仕組みもあるので、これ本当に喜ばれている制度ですから、もっと充実できるような形の研究、これをどんどん進めていきたい、このように思っております。
 それから、次に県立医大の独立行政法人化の話ですが、これについては四月から国立大学が独立行政法人になるということがあって、全国に八つある公立医大、これもやはり大きな時代の流れの中で独立行政法人化を図り、経営の効率化と運営の効率化と図っていくことは、これは僕は必要なことだろうと思っています。そして、先般もそういう線で懇談会の提言が出ておりまして、今この提言を受けて内部に医大改革推進会議というのを設けてさらに検討を進めているところでございます。結論が出ましたら、議会とも相談しながら可及的速やかに対応ができるように図っていきたいと、このように思っております。
 それから、高野・熊野の世界遺産の効果を和歌山市、そしてまた紀北筋にもということでございます。これは本当にそのとおりでございまして、なかなか高野・熊野というとどうしても南の方と高野山だけを局地的にというような感じが強いんですけども、実は和歌山市というのは一回行ってみたいけど一度も行ったことがないという人が非常に多いところなので、この高野・熊野の世界遺産というものを契機にして、これと高野山なんかを連携させるような形で和歌山市等も売り込んでいくという観点は非常に大事だと思います。
 ことしのデスティネーションキャンペーン、JR六社と一緒にやるあれですけども、これでもオープニングは和歌山城で行いますし、それから空海と高野山展、これは大きな展覧会になると思います。これも県立博物館で大々的に行うと、こういうふうなことも契機にし、さらには和歌山市、それから紀北、これを緑の歴史回廊ということで進めておりますけども、これを組み込んだ形での旅行プランというふうなものもいろんな形で提起していくという形の努力をしていきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、SOLAS条約改正に伴う保安対策でございますが、和歌山県内においては、和歌山下津港、日高港及び新宮港で保安対策を行うこととしております。
 具体的な取り組み内容としては、大きくは三点ございます。一つは、国際埠頭施設の保安確保のために必要な事項を記載した保安規程の策定、二つ目は、国際埠頭施設に係る保安の確保に関する業務を管理させるための埠頭保安管理者の選任、三つ目は、不正侵入防止のためのフェンス、ゲート、監視カメラ、照明設備等の埠頭保安施設の整備であります。これらの三点に関しまして、条約が発効する本年七月までに必要とされる対応を実施する予定でございます。
 次に、海上保安庁、警察、民間事業者とのかかわり、連携でございますが、保安対策の実効性を確保するためには、関係者間の連携・協力体制を構築することが重要であり、海上保安庁、警察等、国や県の関係機関並びに港湾利用者等から成る保安対策協議会を設置することとしております。既に、和歌山下津港においては関係機関等を一堂に会した準備会合を二月二十五日に開催いたしました。また、日高港、新宮港においても同様の保安対策協議会を設置していく予定でございます。
 なお、この港湾保安施設整備に際し、その費用を港湾使用料等に転嫁させることは今のところ考えておりません。
 次に、和歌山下津港の岸壁の耐震強化でございますが、阪神・淡路大震災で実証されたように、大規模地震等の災害時には海上輸送が大きな役割を果たすと認識しております。大規模地震時においても使用可能な施設が必要であり、現在県が整備している港湾におきましては耐震性を強化した岸壁を整備しているところであり、お尋ねの和歌山下津港では既に西浜地区に水深十二メートル、延長二百四十メートルの岸壁を設けております。今後とも防災性の高い港湾づくりに努めてまいります。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 和歌山下津港の屋外タンク貯蔵所の耐震補強についてお答えを申し上げます。
 和歌山下津港内には、消防法において新たに設けられた耐震基準に適合すべきとされている五百キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所が百四十七基設置されておりまして、そのうち基準に適合するものが十九基となっております。この新たに設けられた基準に適合しない屋外タンク貯蔵所につきましては改修について猶予期間が設けられておりまして、事業者はこの期間内に改修を完了する計画書を管轄する消防本部に提出し、それに基づき改修を行っているところであります。
 このような中で、消防庁の諮問機関であります消防審議会から、十勝沖地震による石油精製所の火災事故を受け、屋外タンク貯蔵所の改修時期の前倒しを図るべきとの答申がなされたところでもあります。県といたしましては、消防庁が検討しております屋外タンク貯蔵所に係る基準の改正の動向を注意深く見守りながら、許認可権者である消防本部とより連携を深め、安全の確保を図ってまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 医療分野を初めとする産学の共同研究につながる取り組みについてでございます。
 県では地域の活性化を図るためには、バイオ技術の活用が重要であると考えております。現在、戦略的研究開発プラン事業を初め、地域結集型共同研究事業でも和歌山大学や近畿大学生物理工学部などと共同で農林水産資源を対象とした新しい技術や産業化を目指した研究開発に取り組んでおります。
 バイオ分野につきましては、国も重点施策に位置づけておりまして、今後の展開としましては機能性食品や健康関連製品など、健康・医療関連産業の進展が期待されております。和歌山県立医科大学におきましても再生医療などの研究も進められていると聞いておりますので、大学とも十分に連携をとり、バイオ技術の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、高野・熊野地方への観光客をスムーズに受け入れるための交通を初めとした体制づくりについてお答えいたします。
 県では昨年六月に地元市町、近畿運輸局及び鉄道・バス事業者等で構成する高野山の交通を考える協議会を設立し、世界遺産にふさわしい高野山の交通のあり方について検討を行い、本年二月に公共交通機関利用促進のための広報・啓発やJRと南海電鉄の乗り継ぎ時間の短縮を図るための検討、山内乗り合いバスの増便やダイヤの見直し等といった、行政や鉄道・バス事業者が取り組むべき具体的方策を取りまとめたところでございます。今後は、各実施主体の取り組み状況についてフォローアップを行ってまいりたいと考えております。
 また、熊野地域、特に中辺路・本宮地域につきましては、県の大型観光キャンペーン期間中には従来の路線バスに加えて臨時バスの運行が予定されております。交通を担当する部局といたしましては、キャンペーン期間中におけるバスの利用状況等を参考にしながら、地域再生構想として本県が国に対して提案し認められましたコミュニティーバスの観光面への活用なども含め、キャンペーン期間後の交通アクセス確保につきまして地元市町村や関係事業者等と検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 世界遺産登録の観光面での受け入れ態勢についてでございますが、大型観光キャンペーンの実施に向け、各種イベントの開催や観光メニューの充実等、市町村と協議をしてきたところでございます。また、熊野古道を歩く観光客のため、中辺路ルートについて地元バス業者の協力を得ながら、キャンペーン期間中の土曜、日曜、祝日に臨時バスを運行する予定となってございます。一方、旅行エージェントも和歌山を目的にしたいろいろなメニューを計画していただくことになっております。
 今後も、観光客をスムーズに受け入れるために、ホスピタリティー向上のための観光関連従事者等を対象にした観光セミナーなど、研修を開催をするところでございます。今後、地元の歓迎ムードを盛り上げていくような取り組みを市町村に呼びかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 医科大学学長山本博之君。
  〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 和歌山県の保健医療に貢献する人材の育成は本学の大きな使命の一つであり、重要な課題でございます。
 人口十万人当たりの医師数が全国平均以上でありましても、地域間における医師の偏在、診療科の間における医師の偏在などがあり、これらによる医師不足は全国的な問題でございまして、その解決策が検討されているところでございます。本県におきましても同様でございまして、本学では学内に地域医療支援委員会を設置し、地域の要望にできるだけおこたえできるように努めてございます。
 また、県内生を対象とする推薦入試の導入、教育カリキュラムに地域医療に関する授業科目の新設などをいたしまして、このための取り組みをしているところでございます。
 卒業生は、医師免許取得後、二年間の卒後臨床研修を終えた後に、大学や医療機関で教育や研修または就職するということになります。卒業直後の研修医の動向は、研修プログラム、研修後の将来展望などに影響され、本学では卒後臨床研修システムの充実を図るとともに、研修後の医師の受け皿づくりに努めているところでございます。
 また、本学が事務局となり県内の自治体病院でまんだらげ病院連絡協議会を発足させ、和歌山県の保健医療充実のために情報交換をしていますが、中でも研修医の確保は重要な課題となってございます。和歌山県全体としての研修医の確保という観点に立って、県当局や関係医療機関と連携し、研修医の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、産官学共同研究による社会貢献についてであります。
 本学は、よりよい医療人育成の拠点として、地域の中核医療機関として、また医学医療の研究開発の拠点として期待されており、これらを通して地域医療への貢献に努めているところでございます。さらに、本学の研究開発活動の成果が地域の発展に活用されることも本学の重要な社会貢献と考えてございます。
 本学の研究活動において産官学連携は重要でございまして、これまでもわかやま地域産業総合支援機構へ参加し、梅の効用に対する医学的評価やアトピー抑制肌着の開発などに成果を上げてございます。本学といたしましては、今後とも県当局と協力しながら、こうした取り組みをなお一層推進してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十八番長坂隆司君。
○長坂隆司君 ご答弁いただきまして、ありがとうございました。
 SOLAS条約についてですが、大港湾よりむしろ和歌山下津港のような地方港こそテロの標的になりやすいのではないかと憂慮をしております。国から地方へさらなる負担を強いられた格好ではありますが、きめの細かいわきの締まった保安対策を要望するとともに、国の安全保障の一環なのですから、国に対してさらなる財政措置をしていただくよう強く国に問いかけていただきたいと思います。
 それと、災害に強い港湾づくりですが、やはり怖いのは津波です。各ポートで津波対策に万全を期していただきたいし、港湾関係者を初めとして避難訓練等にも早いうちからかかっていただきたいと思います。
 バイオサイエンス関係ですが、今までも二年前より、再生医療・ゲノムと企業、高分子素材を用いての再生医療、ハイレベルの生物工学を使った地域活性化等々、日本の第一線の研究者による講演会が県下で開催され、今後も医療・食品分野それぞれの分野でビジネスマッチングをねらったフォーラム、講演会がやはり県下で予定されております。ぜひ県当局、医大におかれましてもご理解をいただきまして、新しい産業を生み出せるよう、そして新たな雇用を生み出せるように引き続きご支援、ご協力のほどお願いいたします。
 次に、高野・熊野世界遺産登録の効果を紀北、和歌山市へということについてですが、和歌山市とも十分協議をいただきまして、和歌山の玄関口でありますJR和歌山駅前、南海市駅前、それに県庁周辺で高野・熊野の世界遺産登録ということで、高野山あるいは熊野地方の写真をあしらった和歌山市へお客様をいざなってくれるような、町を明るくしてくれるような大きな看板ボードをぜひとも設置いただきたいなと、その準備に取りかかっていただくように要望いたします。それが周辺の商店街の、この機をとらえたみずからの活性化にも呼び水として作用してくれることを望むものであります。
 以上、要望申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十六番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 皆様、おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 今回も昨年の十二月の定例会に引き続きまして質問させていただく機会をいただきました先輩・同僚議員に対し、心から感謝を申し上げます。そしてまた、今回、質問の準備をさせていただくに当たりまして当局の皆様方に大変にお世話になりました。ありがとうございました。
 それでは、世界遺産登録について質問をさせていただきます。
 皆様ご承知のとおり、ユネスコの世界遺産は、人類が残した文化遺産、そして地球の自然遺産を大切な宝物として未来に受け継いでいこうという一つの試みでございます。国際保護条約によりまして、国家を超えた貴重な財産として今、全世界に七百五十四件の世界遺産があるわけでございます。その内訳は、文化遺産が百四十九件、そして自然遺産が五百八十二件、さらには文化遺産と自然遺産を兼ね備えました複合遺産といたしまして二十三件ございまして、合計で七百五十四件でございます。我が国日本には、この世界遺産が十一件ございます。その内訳は、文化遺産が九件、そして自然遺産が二件となっておるわけでございます。
 今、世界遺産の暫定リストの中には五件ございます。一つは平泉の文化遺産、そして岩見銀山の遺跡、さらには古都鎌倉の寺院、神社など、そして彦根城、そして私どもの紀伊山地の霊場と参詣道となっているわけでございます。
 その中でも特に紀伊山地の霊場と参詣道につきましては、昨年の一月にこの世界遺産委員会の方に日本政府から推薦をされておりますので、一番近い世界遺産になる候補地であると言われているわけでございます。ことしの六月末の中国の蘇州市で行われます世界遺産委員会におきまして、この登録のいわゆる可否が審査をされまして決定を見ることになってございます。決定いたしますれば、日本におきましては第十二番目の世界遺産となりまして、文化遺産としましては第十番目の文化遺産、いわゆるこの高野・熊野世界遺産は文化遺産でございますので、十番目の世界遺産となるわけでございます。
 そういうことで、この世界遺産を私たちは後世に引き継いでいかなければならないと思うわけであります。そのためには、この文化財の保存・修復、さらには周辺環境の整備というものに努めていかなければならないということは申すまでもございません。非常に、この和歌山県、そして奈良県、三重県と三県にまたがります世界遺産でございまして、文化財の面、さらには文化的景観の面、また参詣道につきましても大変価値のある、また貴重な世界遺産となるわけでございます。本県におきましては、十六年度当初予算におきまして世界遺産登録と地域振興ということで数々の施策を実施するための予算を計上されているところでございます。したがいまして、以上のことを踏まえまして、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 まず第一点は、この世界遺産登録を契機といたしまして、本県の地域づくりへの基本的な考え方について知事にお尋ねをいたします。
 第二点目は、いわゆるこの世界遺産登録を進めるに当たりまして、本庁内には中山副知事を本部長といたしまして世界遺産登録推進本部を設置されております。そして、県と市町村によります世界遺産登録推進協議会、さらには和歌山県、奈良県、三重県によります世界遺産登録推進協議会というものが設置されて、さらには関係市町村、振興局によります世界遺産登録推進の高野地域協議会、さらには世界遺産登録推進熊野地域協議会が設置されているわけでございますが、いわゆる登録後の体制、この文化遺産を保全していく、修復していく、そして周辺環境を整備していく、アクセスを整備していくといった、そういうことにつきましての体制をどのようにお考えになるのか。具体的に財団を設立なってこの体制を整えていこうとお考えになるのか、その点もお尋ねします。
 それから、第三点目は、やはりこのすばらしい高野・熊野の世界遺産を全国に発信をしていく、世界に発信をしていくということが非常に大事だと思います。そうした世界遺産と和歌山の売り込みについてどのようにお考えになるのか。
 次に、第四点といたしましては、多くの世界から、また全国からの来訪者がお見えになる、観光客がお見えになるということになりますれば、緊急の場合の救急医療体制はどうなるのか、さらに警察官の配備を含めた安全性の確保という面ではどのようになるのか、福祉保健部長、また県警察本部長にお尋ねいたします。
 第五点目といたしましては、教育長にお尋ねするわけでございますが、世界遺産、高野・熊野ワールドヘリテージレンジャーという事業が新年度予算に計上されておるわけでありますが、その内容と、そして世界遺産を契機とした新しい観光を担う人たちへの、その養成と申しますか、育成と申しますか、もてなしの心をはぐくむ人材の養成についてどのようにお考えになるのか、以上、五点についてお尋ねをいたします。
 次に、文化芸術の振興についてお尋ねいたします。
 国の豊かさが人間の資質で決まるならば、二十一世紀の我が国のあるべき姿の一つが文化大国、文化芸術大国であると考えられます。それは、物の豊かさから心の豊かさへの価値観の転換を促す社会であります。文化芸術に触れることで人は感動を覚え、生きる勇気を与えられます。言いかえれば、文化芸術は人の心を豊かにしてくれます。文化芸術を大事にする国、それは成熟社会のあかしでもあるわけであります。
 日本は、本来、世界に誇れる文化芸術を有する豊かな国であったはずであります。しかしながら、これまでともすれば文化芸術振興は後回しにされてきました。平成十三年十二月、私ども公明党の主導で文化芸術振興基本法が制定されました。この法律の精神にのっとり、二十一世紀の真の大国、豊かな国として我が国が世界に認められるよう、国、地方において文化芸術振興のため各種施策が行われるよう強く望むとともに、文化芸術の力で躍動、感動の日本、和歌山を築いていきたいものであります。
 現在、私たちは文部科学大臣、文化庁長官あての文化芸術の振興を求める要望書の十万人の署名活動を展開いたしております。要望書は、文化芸術の振興のための国の予算の大幅増額と、さらには文化芸術の活動への幅広い支援、そして文化芸術の活動に国民が参加、鑑賞をすることができる環境の整備、文化芸術の活動を資金面で支援するための税制優遇制度を求める内容になっております。
 そこで、文化芸術基本法を踏まえ、県は和歌山の特性に応じた施策を実施するため、文化芸術の振興を促す条例の制定など、本県として文化芸術振興に関する基本的な方向性や施策を明示されるお考えはないか、また文化芸術関係の人材、団体を登録するアーチストバンクの整備をされるお考えはないのか、お伺いいたします。
 次に、企業メセナ(フィランソロピー)について要望をさせていただきます。
 実は、このテーマにつきましては、私ども公明党県議団の森正樹議員から三回にわたって一般質問がなされてございます。平成十二年の十二月定例会の一般質問で森議員は、企業メセナについて、「企業メセナといえば、アメリカ合衆国に言及しなければなりません」と。鉄鋼王カーネギーなど、多くの企業メセナの先駆者がいた。「「メセナ」とは、ローマ時代の大臣の名に由来するフランス語で、芸術文化活動を資金的に支援することを言い、企業メセナとは営利に直接結びつかないNPOの活動や芸術文化活動に対し資金的援助を行うことを指します」と述べ、岩渕潤子さんの「億万長者の贈り物」という一冊の本を通しながら、「カーネギーは富豪たちを相手に、「金持ちが財産を抱えたまま墓場へ行くことほど不名誉なことはない」と、折に触れて説いて回った」という一節を紹介しながら、「奥の深い成熟した社会となるためには、国、地方公共団体と企業、NPO組織、ボランティア、そして住民が一体となって協力し合い、補完し合うことが望まれるのである」として、県内企業の企業メセナの実態を把握しておられるのか、また企業メセナ部門を担当する課もしくは班を設置すべきであると思うがどうかと質問をされております。
 ところが、知事公室長はここで、いろいろと和歌山県内には継続的にメセナ活動をやっている企業が二社ございます、そして数社ほかにも積極的に取り組んでいるところがありますとしながら、今後はその連携を密にしていきたいと、こういうご答弁、さらには、課・班を設置することについてはNPO担当部署の強化を検討しているので、その中で検討してまいりたいという答弁でございました。
 今日の社会・経済情勢の中で難しい点もあろうかと思います。なお芸術文化活動を支援する観点から、企業や団体との連携を密にしていただきまして、さらには企業メセナ担当部・班の設置につきましても引き続きご検討をぜひお願い申し上げたいと思います。これは要望にさせていただきます。
 次に、文化芸術のサービス化についてお尋ねいたします。
 文化芸術のサービス化は、耳なれない言葉であります。ホームページでも文化芸術のサービス化というジャンルがございませんでした。これは私の知り合いの写真家と話しているうちにこういう言葉が出てきたわけですけれども、これは文化芸術をもっと県民にサービスをしていく。文化施設などを県民がもっと親しみ、利用しやすいものにする。例えば、和歌山県立近代美術館や万葉館、また和歌山県立博物館などの利用時間は九時もしくは九時半から五時までとなっております。昼間の時間帯はほとんどのサラリーマンと言われる勤労者は仕事で、県の文化施設に行けないわけであります。土日でないと、また祭日でないと行けないという状況でございますので、そこで、平日の開館時間帯を延長させるとか。延長させることでサラリーマンの皆さんが仕事を終えてこの文化施設を利用できまして、文化芸術に親しむことができるわけです。
 その勤労者の平日の利用、五時以降の利用を可能にすることによって、土日、祝祭日というものが新たにまた、じゃ高野・熊野世界遺産の参詣道に行こうかとか、また白浜に行こうかということになるわけでございまして、新たな経済効果を創出することができるんではないかと思うんです。そういった意味でひとつ、フレックスと言ってはなんですけど、時間帯をずらすとかしながらも工夫して、ひとつ文化施設の平日の開館時間帯の延長を検討されたらどうかと考えます。ご所見を承りたいと思います。
 次に、保健医療体制についてお尋ねいたします。
 最初に、和歌山労災病院の早期建設移転についてお尋ねいたします。
 和歌山市の北部、紀の川右岸地域の人口は和歌山市全体の約四割ございます。しかしながら、この中核となる総合的な診療機能を有する病院は和歌山労災病院のみであります。しかしながら、労災病院へのアクセス道路は非常に狭く、緊急時には救急車の進入に大きな支障を来しております。また、紀の川右岸地域は、地震などの災害時は紀の川で寸断されるおそれがあります。県民、市民がいつでもどこでもひとしく保健や医療のサービスを受けられるよう保健医療供給体制を整備する必要があると思います。労災病院の老朽化が進む中、中核的基幹病院であります和歌山労災病院の早期建設移転に和歌山市民は大きな期待を寄せているところでございます。
 したがいまして、和歌山労災病院の早期建設移転について、財政状況が厳しいという折から課題があるようにもお聞きしております。ですから、県としてひとつ積極的に働きかけをいただきまして、また県としてこの労災病院の充実についてご尽力をいただきますことを重ねてお願いするわけですけれども、県としてどのように対応していくお考えなのか、お聞かせをください。
 次に、不妊治療と女性専門外来についてお尋ねいたします。
 このテーマにつきましては、昨年の九月定例会の予算委員会でも質問させていただきました。
 まず、不妊治療についてお尋ねいたします。
 不妊治療につきましては、先輩議員の中村裕一議員も本会議で質問されております。妊娠を望みながら不妊に悩む夫婦は十組に一組とも言われます。ところが、不妊治療は一部を除いて保険が適用されておらず、体外受精や顕微授精には一回数十万円の治療費を負担しなければならないため、不妊治療を受ける夫婦にとって大きな経済的負担となっています。
 不妊治療に対する助成制度が平成十六年度の政府予算案に盛り込まれ、本県においても新年度予算案に計上されております。この助成制度では一定の所得制限のもと、十万円程度が年一回、二年を限度に支給されるものであります。一方で、治療が即好結果につながるとは限らない中で、治療を受けているが結果が見えない、治療中止の決断時期、周囲からの重圧など、種々の心の悩みを抱えておられるわけでありますけれども、子供ができないのではと心配、また不妊に悩んでいる人は、子供のいない夫婦では約半数を占めています。このような不妊に悩んでいる人を受け入れ、治療情報の提供、主治医以外の医師の意見、精神的ストレス等について気軽に相談できる専門相談窓口も開設されることになっております。子供を安心して産み育てる環境をつくるため、助成制度の創設や不妊相談窓口を開設することは、公的支援を待ち望む多くの家庭にとって大きな朗報であります。
 しかしながら、残念なことに和歌山市が中核市であるため、独自の判断でこれらの施策を平成十六年度当初予算案に計上しておりません。要するに、和歌山市の方は──四月一日から予算をとりますと治療を受けられるんです。助成制度があるわけですが、海南市や岩出、また県下一円、新宮まで、和歌山市以外の方は四月一日から不妊治療に対しての助成制度を受けられる。これは和歌山市以外の方。和歌山市の方は受けられない。これは保健医療体制の県内の一本化、一体化の観点から、県において指導すべきであるというふうに考えます。不妊治療の助成制度と不妊専門相談窓口の概要とあわせ、お尋ねいたします。
 次に、女性専門外来についてお尋ねいたします。
 今まで医療は男性と女性という性差を考慮したものではなく、女性も男性と同じ治療を受けてきました。しかし、女性には女性であるがゆえの病気や悩みがあり、病気のかかりやすさや薬の作用の仕方も男性とは異なります。こうした男女差を考慮し、主に女性の医師が女性を診察する外来を女性専門外来と言うわけでありますが、女性専門外来の大きな特徴は、病院によって多少の違いはありますが、予約制で、初診時において三十分程度の時間をかけてじっくりと女性医師が女性患者の話を聞くというシステムがとられているようでございます。男性医師には悩みを打ち明けにくい、診療にも抵抗があるとか、冷えやむくみなど女性特有の病気の際、何科に行けばいいのかわからないといった場合に女性が気軽に相談できることから、女性専門外来は大変好評を博しております。
 本県においては、昨年五月から和歌山労災病院に女性専門外来が設置され、好評を得ております。さらに、和歌山労災病院においては全国の労災病院の中核となる女性の健康増進のための総合センターの設置も検討されております。女性を一人の人間として総合的に診る女性専門外来の和歌山県立医科大学を初めとする病院での設置についてどのようにお考えになるのか、お尋ねいたします。
 最後に、ジョブカフェについてお尋ねいたします。
 文部科学省の調査では、今春卒業する県内高校生のうち就職を希望する生徒の就職内定率は五七・四%と、全都道府県中四十三位でございます。本県での若者の就職戦線は、深刻で厳しいものがあります。二月定例会での知事の説明要旨の中でも、知事は雇用対策について、厳しい雇用情勢の中でジョブカフェわかやまを中心に産業界、労働団体など地域の関係機関とも連携を図りながら若者の早期就職と職場定着を促進するための支援体制をより一層充実してまいりますと述べられております。
 ジョブカフェは、本県において昨年十一月、非常に全国でも早い段階に設置されました。全国で六番目に開設されたと伺っております。しかしながら、運用形態の面で改善の余地があるように思われますが、どうでしょうか。私は、若者の就職をバックアップするためのジョブカフェをハローワークなどの関係機関との連携強化を図るとともに、利用時間の延長などによって充実すべきだと考えます。ご見解を承り、私の第一問といたします。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず世界遺産についてのご質問でございますが、今度の高野・熊野は十番目の文化遺産ということで、非常に切りのいい番号ということになろうかと思いますけれども、内外の関心が非常に高まってきているところでございます。そういう中で我々といたしましては、この高野・熊野、和歌山の財産でございますので、まず一つは生かし、そしてまたそのすばらしい自然条件を損なわず、そして、生かし、損なわず、しかしながら、経済の波及効果は思い切りねらっていくというふうなことで頑張っていきたい。保全と、そしてまたこれを地域開発の起爆剤にしていきたいと思っております。
 そういうことで、新年度の予算でもいろいろな高野・熊野に関する施設の整備でありますとか、それからたくさんのPR、そして文化活動、こういうふうなものを多彩なものを予定しているわけでございますけれども、やはりこれだけでは足らないということがございまして、せっかく世界的にも全国的にも注目される広い範囲の三県にまたがった世界遺産になるわけでございますから、ご質問にありましたような例えば財団の設置、まあ財団がどんな形になるのかわかりませんけども、そういうふうなことも含めた、もう今までの延長線上でないような新しい地域発展の起爆剤にこの世界遺産の登録をしていかなければなりませんし、そしてまたこれは和歌山にとって私は千載一遇のチャンスである、このように考えているところでございます。
 そういう中で、やはりこれ和歌山県だけじゃなくて、三重県、奈良県合わせて指定されますので、こういうところと連携をとりながら、やはり一本の矢よりは三本が一緒になっていろんな形でPRしていくということが大きな力になると思いますので、そういうふうなことについても積極的に対応していきたいと、このように考えております。
 次に、文化芸術振興条例でございますけども、私自身、和歌山県を文化立県という形にしていきたいと。なかなか具体の施策でこれを実施できるというふうなところまではいってないわけでございますけども、例えば美術館、博物館を無料化したら入場者が非常にふえたとか、こういうふうな小さなことからどんどん進めていきたいと思いますけども、国の方では、ご質問にもありましたように、平成十三年の十二月に文化芸術振興基本法というふうなのができておりますし、それから先進的な県では文化芸術の振興とか、それから文化遺産の保存活用を図る条例の制定も行われているということでございますので、和歌山県、文化立県を標榜している手前、そういうふうなものがないというふうなことではやはり足らないところがあるというふうに思っておりますので、ご提言については積極的に前向きに対応をしていきたい、このように考えております。
 次に、労災病院でございますけども、労災病院につきましては、県の基幹病院でありますし、それから予想される東南海・南海地震でも大きな役割を期待される災害支援病院にもなっているということでございますけども、何分、昭和四十一年に建てられたということで老朽化、それから進入路なんかでいろいろ問題があるというふうに聞いております。
 こういう中で、県はこの移転建てかえについて今までもいろいろな働きかけをしてきたところでございますけども、幸い、十六年度、実施設計の経費が予算化されるということを聞いております。今後とも県といたしましては、この移転建てかえということが速やかに行われるよう、いろんなルートを通じて働きかけをしていきたいと、このように考えております。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) まず最初に、世界遺産登録に関連して医療救急体制につきましてお答えいたします。
 世界遺産登録後は海外からの旅行者等の増加が予想され、これらの旅行者に対応できる医療機関の確保等が課題と考えております。現在も英語等で対応できる病院もございますが、さらに外国人旅行者に対応できる医師や看護師等の確保を医療機関に働きかけるとともに、地域のボランティア等の皆さんのご協力をいただく方法等もあわせ検討してまいりたいと考えております。
 次に、不妊治療制度についてお答えいたします。
 現在の不妊治療は、体外受精などは医療保険の適用はなく、高額の医療費が必要となっております。こうした状況下、不妊に悩んでいる方々の精神的・経済的負担を軽減し、子供を安心して産み育てる環境づくりを推進するため、来年度から不妊治療費に対する助成を行ってまいりたいと考えております。対象は、体外受精及び顕微授精の治療を行う夫婦に対し、年一回十万円を限度に通算二年間の助成を検討しております。
 なお、この制度は国の補助制度を併用するため、議員ご指摘のとおり中核市である和歌山市は別となっておりますが、市も助成の実施に向け検討されていると聞いております。県からも、早期に実施されるよう働きかけてまいりたいと考えております。
 また、不妊で悩んでいる方々が気軽に相談できる不妊専門相談窓口を岩出保健所と田辺保健所に開設し、保健師による電話相談や専門医による面接相談等も実施してまいります。
 続きまして、女性専門外来についてお答えいたします。
 和歌山労災病院に設置されました女性専門外来は、議員ご指摘のとおり、大きな成果を上げております。地域の公的病院や県立医科大学附属病院においてもそれぞれの機能がある中、女性専門外来のあり方や対応について検討されておりますが、女性医師が全体の一四%とまだ少ない状況等もあって、現在のところ開設に至っておりません。しかしながら、新しく医師免許を取得する女性の割合が年々増加していることもあり、環境は整いつつあります。
 今後、女性医師の育成とあわせ女性専門外来が普及できるよう、関係機関や他の病院にも働きかけてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(尾崎要二君) 知事公室長小佐田昌計君。
  〔小佐田昌計君、登壇〕
○知事公室長(小佐田昌計君) アーチストバンクの整備についてでございますが、文化芸術活動は、人々に楽しさや感動、精神的な安らぎをもたらすものでございまして、県では県民文化祭、県美術展覧会、新人演奏会、文化表彰受賞者等の演奏会や作品展を開催するなど、広く県民の皆様に発表や鑑賞の機会を提供しております。本県出身の多くのアーチストの方々が県内外で活躍しておられますが、今後そうした方々の把握に努め、ボランティア的な活動の機会を確保するとともに、県民が文化芸術に親しむ機会の拡充を図ってまいりたいと、かように考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) ジョブカフェの充実の二点について、一括してお答え申し上げます。
 ジョブカフェわかやまにつきましては、若者を取り巻く深刻な雇用失業情勢に対応するため、さまざまな職業に関する相談、情報等を一カ所で提供するワンストップセンターとして昨年十一月末に開設したところでございます。開設以来、二月末までに述べ二百八十七人の来訪者があり、適切な求職活動の進め方や効果的な面接の受け方など、若者の多様な悩みに応じてきめ細やかな対応に努めているところでございます。
 ご指摘のありましたジョブカフェの充実につきましては、来年度以降、雇用・能力開発機構から能力開発支援アドバイザーが配置されるほか、ジョブカフェを応援する国の委託事業として若者の職業意識の醸成に主眼を置いた若年者地域連携事業も予定されております。さらに、開設時間の延長による利便性の向上につきましても、利用者のニーズを踏まえ、柔軟に対応してまいります。
 今後とも、ハローワークを初め地域の関係機関ともより一層の連携を図りながら、ジョブカフェを中心に若者の早期就職と職場定着の促進に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) まず、新規事業の高校生高野・熊野ワールドヘリテージレンジャーについてお答えいたします。
 これは、本県の文化遺産についての理解、認識を深めさせ、そういう現地研修を行うとともに、文化遺産の保全活動やガイド、小・中学生のふるさと学習の際の支援など、幅広いボランティア活動を展開するものであります。
 議員ご指摘のもてなしの心をはぐくむため、小・中・高の各学校においていろいろな人との出会いや交流、インターンシップ等のさまざまな体験を通して、豊かな心やコミュニケーション能力の育成に向けて一層努力するよう指導してまいります。
 次に、観光を担う人材の育成については、これまでビジネス関連分野の特色ある学科や教育課程の編成に努めてきたところですが、今後、世界遺産登録による新たな状況を踏まえながら、地域の実情、生徒、保護者のニーズ等を総合的に勘案し、検討していく必要があると考えております。
 文化芸術のサービス化についてですが、近代美術館と博物館において平成十四年度から高校生以下の入館料無料化を実施し、子供たちだけでなく大人の入館者も増加するなど、成果を上げております。平成十六年度からは、自然博物館と紀伊風土記の丘でも同様の無料化を実施してまいります。また、自然博物館の夜の水族館体験教室や紀伊風土記の丘の埴輪づくりなど、各館において多様な催しを行っております。
 博物館施設の開館時間の延長につきましては、南紀熊野体験博に関連して平成十一年八月に一週間、近代美術館と博物館において時間の延長を行ったところであります。その際、さまざまな催しを行いながら広報にも努めましたが、入館者の増加には至らず、延長に伴う運営管理上の課題もございました。今後、議員ご提言の趣旨を踏まえ、開館時間のあり方について総合的に考えてまいります。
○議長(尾崎要二君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 世界遺産登録においての安全性の確保についてお答えいたします。
 県警察としましても、世界遺産登録に当たり観光客の安全確保が重要であることを認識しております。このため、引き続き街頭犯罪の抑止、重要犯罪の検挙、交通事故の防止等を図っていくとともに、犯罪情勢に応じて効果的に警察力を投入し、観光客並びに県民の皆様の安全の確保に努めてまいる所存でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十六番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま、知事並びに関係部長からご答弁いただき、ありがとうございました。
 実は、高野・熊野の世界遺産の関係ですけれども、いろいろとご答弁いただいたんですけれども、私は、この高野・熊野世界遺産を今後保全し、修復し、また周辺環境を整備していくには、いわゆる広域にわたっておりますし、面として整備しなきゃらない点もあるでしょうし、アクセスの整備もあるでしょう。したがいまして、莫大な費用がかかる。それに対して、いわゆるこういう財政状況の厳しい中でどう対応していくのかということを考えますならば、私は一つは国においてこの世界遺産の登録地を特別に手当てしていくような、そういう特別措置法の設立というものも大事じゃないかと、この点もひとつ国の方に要望していただきたいなということ。
 それから、次に二点目は、もう一つはやはり世界遺産条約の中の第十七条の中に、いわゆる締約国がこの文化遺産やそういう自然遺産を整備していくために基金を設けることについて──日本政府がですよ──要するに和歌山なら和歌山に対して、その基金を設置することを奨励するというふうになっております。設立を考慮し、奨励するとなっておりますから、そういった基金の設置もひとつ念頭に置いていただきたい。これはどういうことかといいますと、やはり税の優遇措置もそれに加味していただきますと、さらにそういった基金を、財団なら財団、先ほどの答弁の中で設立するかもわからないということでありましたから、そういう基金も設置していただきたい。
 三点目は、何といっても観光ということだと思うんです。観光でやはりすばらしい自然に触れていただく、高野・熊野の世界遺産に接していただく、そして観光客をお迎えすることによって県経済の活性化を図っていくと。またその税収上がった分でまた整備をしていくと。
 フランスの言葉に「美しい花はよく売れる」と。いい物をつくっていくと、美しい物、いい物をつくっていけば必ず日本全国のみならず世界各国から観光客が訪れるであろうと思います。その点、要望いたします。
 もう一つは文化芸術振興条例でありますけれども、実はいろいろと調べてみますと、今、全国で五県が条例つくっております。そして、今この二月定例会で議論されておりますのが、福島県と大分県でございます。もう間もなく成立になります。
 実は、この平成十三年の十二月に文化芸術振興基本法ができましたときに、一番先に条例をつくりました県が鳥取県でございます。鳥取県のこともよく調べさせていただきました。実は、その前の年に──鳥取県は昨年の平成十五年の十月の十四日に設立されているわけでありますけれども、その議論に入る前の年に国民文化祭というものを開催したと。その国民文化祭を継続していきたいという思いもあった。また基本法もできた。そして県民の要望があったというふうになっておりますけども、ぜひ一度、和歌山県におきましても国民文化祭などを誘致されたらどうかと思います。この点も要望をさせていただきます。
 それから、ご検討いただくということでありますから、いろいろ学者の意見とか、条例が絶対必要やというような意見とか、いろいろ用意しましたけれども、和歌山にはたくさんの伝統芸能もございますし、文化というものもございます。そして、内閣府の国民生活に関する意識調査でも、今では物の豊かさから心の豊かさを求める人たちが六〇%を超えてきております。したがって、この文化芸術というものとまた産業というものは相反する事柄でありますけれども、この活性化に私はつながっていくと。私もこの渋谷の方で文化村を築きました清水嘉弘さんの「文化を事業する」という本も読ましていただきました。文化と観光というのは相反する事柄だけれども、そこで一つのエネルギーが生じていくんだ、いい物をつくれば必ず売れていく、いわゆる観光客も訪れるということでありますから、しっかりと文化芸術振興に取り組んでいただきたいと思います。この点を要望させていただきます。
 最後に一つだけ。
 実は、先ほどの女性専門外来でございますけれども、なかなか難しいことをおっしゃっておりましたけれども、女性医師が全体の一四%いらっしゃるんです。私はまだ二%とか三%とか五%とかいうんだったらわかりますけど、一割以上いらっしゃるわけですから、労災病院でも開設しているわけでありますので、ひとつ決断というんかな、して医大の方でもしていただきたいなというふうに思います。その点も要望させていただきまして、私の第二問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十七分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十二番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 五日間にわたり論戦が行われました一般質問も、私で最終となりました。最終ゆえに重複もございますが、一生懸命質問をしてまいりますので、当局におかれましては誠実かつ簡潔なご答弁をお願い申し上げたいと思います。
 それでは、通告に従いまして順次、質問を行ってまいります。
 まず、雇用対策についてであります。
 厚生労働省が行った直近の発表によりますと、全国の有効求人倍率は〇・七七であり、特に低迷する素材型産業が多い近畿地方は〇・七二。その中でもとりわけ厳しいのが我が県で、〇・五七となっているのであります。また、高校新卒者のうち就職を希望する人の二〇%が就職できないという大変な状況にあります。
 そこで、厚生労働省は紀南地方を雇用機会増大促進地域に指定し、雇用奨励金等の雇用支援を実施していますが、もともと採用予定の企業が支援を受ける高いところへの土盛りといった感じで、新しい雇用の創出にはつながりにくいと思います。やはり対症療法ではなく、産業振興や職業能力開発といった根本的解決を図らなければなりません。すなわち、継続して雇用を生む元気な企業を育て、地域経済を引っ張る機関車の役割をしてくれる産業の創出をすること、有能な人材を育てるということに尽きると思います。県においても、投網を打つような政策から、やる気のある人、企業、業界を個別集中的に支援する産業政策にだんだんと転換してきており、その効果に大きな期待を寄せているところであります。
 そこで、私からは、地元であります中紀地方の雇用情勢と職業訓練のあり方について伺います。
 実は、ハローワーク御坊・湯浅の有効求人倍率は、それぞれ〇・四五、〇・六五と大変厳しいものがあります。しかも、両ハローワークの求人求職状況を分析してみますと、単に厳しいだけではなく、企業からは技術者などの専門職の求人があるものの、求職をしている人の希望職種が漠然と事務職であったり、無資格であるため応募できないといった雇用のミスマッチの実態があることが浮かび上がってまいります。しかしながら、肝心の中紀地方の人材育成を行うポリテクセンター日高分所は、平成十五年三月末日をもって閉鎖し、ポリテクセンター和歌山へ通うか、事業主が従業員を研修させる事業内訓練を行う御坊職業能力開発校があるのみで、今さらながらポリテクセンターのありがたみが身にしみます。
 そこで、今、関係者有志が何とか事業所と失業者を結ぼうと、御坊地域職業訓練センターをポリテクセンター日高分所跡地へ移転させ、総合的な職業能力開発を受け持ってはとの動きがありますが、中紀地方の現下の厳しい雇用情勢をどのように認識され、どういった職業訓練を行うのが適当とお考えでしょうか、知事のご所見を伺います。
 また、紀南地方では観光立県を目指して今後ますます観光産業の振興を図っていかなければなりません。そのためには、交通網の整備や施設の充実はもちろん、何といってもお客様を迎えるというホスピタリティーあふれるサービスが必要で、単なる接客だけにとどまらず、あらゆる種類のサービスが要求されます。例えば、道成寺には有名な絵解き説法がありますが、もし絵解き説法がなければ、物語はあっても観光客が訪れない普通のお寺で終わってしまっているでしょう。ディズニーランドのジャングルクルーズも、ガイドのおもしろい語りがなければ単なるどぶ川めぐりでしかありません。小京都と言われる金沢では、芸妓を観光協会が養成しているとの話を聞きました。また、観光業を起業したりマネジメントするようなすぐれた人材も必要になってくるでしょう。
 このような広く観光関連産業に携わる人材育成が、今、和歌山で、そして全国で求められており、国のビジット・ジャパン・キャンペーンを実現するための根本的条件であると考えます。今後、本県で実業教育を語るとき、観光振興といった視点が欠かせないものとなると思います。とりあえずできるところからという意味で、実業科が曲がり角を迎えている県立高校や高等技能訓練校で観光関連産業の人材育成を行うことが適切であると考えますが、どのようなご見解でしょうか。
 ところで、最近、コールセンター、IT関連企業の誘致に連続して成功いたしました。企業誘致は、投資、雇用に直ちにつながる大変頼もしい政策であります。景気回復が言われる今後は、製造業においても設備投資がふえると予想され、中国へシフトしていた先進技術関連投資も回帰すると言われていますので、今こそ製造業も視野に入れながら企業誘致の体制を爆発的に強化すべきであると考えますが、どのような判断をされているのでしょうか。
 次に、林業政策について伺います。
 従来から、森林の果たす役割は、水源涵養、酸素の生産、緑のダム、林産物の生産など多方面にわたり、経済的価値は年間十八兆円などと言われてきました。しかし、実際には木材などの林産物の生産が唯一の経済的価値で、そのほかはただのものとされてきました。このただと言われてきた公益的価値を経済的価値に置きかえて森林を実態的に評価したのが緑の雇用事業で、平成十三年、木村知事が提唱して以来、厚生労働省の緊急雇用対策、農林水産省の事業を活用して展開されてきました。さらに、企業の森など新たな発想による環境保全の提案など、単なる山村の問題ではなく広く地球環境の問題として広く世間にアピールすることができました。まだ完全なものではありませんが、進むべき方向に間違いはなく、今後の大きな発展を望むものであります。
 しかし、林業経営は予想以上に急速に弱体化しております。近年、紀南地方の有力山林家が破産をいたしました。龍神村にあるその所有林は約千七百ヘクタールで、そのうち現在県が地上権を設定している千七十五ヘクタールは整理回収機構が押さえ、残り六百ヘクタール余も市中銀行が押さえ、管財人のもとで今まさに整理されようとしております。当然、管理物件ゆえ、一番高く買ってくれる人に売り払うというのが管財人の役割でありますが、何といっても千七百ヘクタールは余りにも広大で龍神村村土の約一〇%に及び、日高川下流域に住む六万余の住民の利水や治水、環境への影響を考えると、単なる債権処理として見過ごすことはできないのであります。
 かつて、和歌山の山持ちといえば、金持ち、資産家の代名詞でしたが、長い林業不況で資産を食いつぶし、林業経営に投資した資金が回収できない厳しい状況にあります。今回の破産はその象徴的な出来事であると思いますが、知事は現在の林業経営をどのように分析しておられるのでしょうか。また、民有率九五%の本県では今後どのような影響が出ると予想されますか。
 一方、最近の報道では景気回復が言われ、上場企業を中心に史上最高の利益を出す企業も続出しております。また、企業の社会的貢献が評価される時代になり、環境に配慮する会社を中心に投資する環境ファンドが注目され、外国にまで出かけて植林する企業もあります。おいおい、そんなにお金があるのなら和歌山の山を買ってくださいよ、外国の山よりまず日本の山、和歌山の山からと申し上げたいのです。
 和歌山の山は、長い間、裕福な個人が林業をすることによって環境が守られてきましたが、もはや個人で林業経営することは大変困難で、もし環境に配慮して安定所有してくれるのであれば、この史上最高の利益を上げている企業にぜひとも所有してもらいたいと思います。今、森林の公益性に注目し管理を要請する企業の森構想が着々と進んでおりますが、さらに進めて所有を要請する新・企業の森構想を進めるべきであると考えますが、知事はどのように思われますか。
 さて、緑の雇用事業が成功する大きなかぎは、林産物が売れるかどうかにあると思います。しかし、今日の国際物流状況を見ますと、あらゆる国産品は工業製品、農産物にかかわらず、ブランド化しないと生き残れないというのが実情であります。既にブランド化についての必要性はブランド推進局の設置のとおりの認識であると思いますが、杉やヒノキといった紀州材についても同様にブランド化が必要であります。補助金の関係で紀州材の認定要綱が示されましたが、ここは一歩進めて品質、価格を統一するブランド化についての必要性とその実現方法について伺いたいと思います。
 また、急速に発展する世界の工場・中国には、今や世界じゅうから資金や資源が大量に流入していますが、既に多くの富裕層が出現し、近い将来、マイカーブームや海外旅行ブームが起きると予測がなされています。住環境についても発展は目覚ましく、ニュータウンや高層マンションがどんどん建設されています。文明発祥の地に共通するように森林が大昔に破壊されてしまったためか、中国の住宅は屋根組みに木材を使うほかは土とれんがでできていますが、これからの住宅はいやしや清潔感を求めて木材が使われるようになると考えます。
 最近、高級住宅には、中国では和室を一室設けるのがブームになっているとの報道もあります。先行の宮崎、秋田両県は原木を輸出しているようですが、国産材の価格を考えると原木よりはむしろ和風などといった文化やブランドを売る方がビジネスになりやすいと思います。昨年私が訪問した海南島にある航空会社が経営する中国人向けリゾートホテルは、半分がアラビア風、半分が和風の内装でありました。北欧にも和風のホテルがあるそうです。今後の木材産業振興のための戦略を考えるとき輸出は大きな柱になると思いますが、どのようなご見解でしょうか。
 これまで、国産材、国産材を扱う木材産業、森林組合には力強い支援を続けてまいりましたが、実は県内には外材を扱う製材工場の方が企業数、従業員数、出荷額ともに多く、県経済に果たす役割は大変大きいものがあります。国産材が外材に価格、生産量で負けたという印象が強いわけでありますが、むしろ国産材、外材に関係なく木材全体が鉄やコンクリート、樹脂に負けたのが実態であります。今後、木材産業の振興を図るためには、国産材だけではなく県外に製品を出荷する外材工場にも支援を望むものでありますが、どのようにお考えでしょうか。
 三番目に、競輪場の高度利用についてであります。同趣旨の提言は、昨年二月定例会において県サッカー協会会長の平越孝哉議員が一般質問に関連して要望されましたので、重ねての質問とさせていただきます。
 さて、一昨年の九月、和歌山県ホッケー協会は創立五十周年を迎え、和歌山へホッケーを初めて導入したホッケーの父とも言うべき故・南佐三氏をたたえるとともに、五十年間の県ホッケー協会の輝かしい歴史が披露されました。そして同時に、悲願の公式戦を開催することができるホッケー場の建設を推進することを誓い合ったのであります。和歌山のホッケー競技は、近畿で唯一、公式戦が行えないだけではなく、練習さえできない中、なかなか試合に勝てないという大変厳しい環境にあります。
 しかし、かつて華々しく行われた長野オリンピックやサッカーワールドカップのスタジアムの多くが今は多くの赤字を抱えた迷惑施設になっていることを考えますと、とても新設をなどとは言い出せない状況にあります。そこで、今あるものを有効に使おうと考え、いろいろ研究した結果、今回、ホッケー、サッカー両県協会が共同提案申し上げております、競輪場のバンクの中へ人工芝を敷いて公式ホッケー場、フットサルコート、市民運動場とする案に至ったのであります。この案を思いついたとき、なるほどいいプランとうなったものでありますが、実は既に高知県ではさきの国体で競輪場を新設したときにこのプランが導入されています。
 また、今回の一件で競輪場を訪問して、最初にこれは大変な宝物であるということに気がつきました。まず、南海和歌山市駅からはすぐのところにあり、JR和歌山駅からも近く、七百台収容の駐車場が完備され、百名余の宿泊施設も併設されております。そして、何と面積は五万四百四十六平米と広大で、市街地にこれだけまとまった土地はそれほどありません。また、建設をするための財源も、競輪場を市民に開放するための施設改良であれば日本自転車振興会より最高三億円まで、事業費の六分の五の補助が出る仕組みまであるのです。もちろん本来の競輪事業開催が優先され、プロ・アマの練習日程と調整することやバンクを傷つけない方法など課題もありますが、今回の競輪場の高度利用の案をどのように評価していただけるのでしょうか、知事のご所見を伺います。
 四番目は、学校事務職の定数についてであります。
 昨年、御坊市の市会議員や市立名田中学・小学校のPTAの皆さんから、平成十六年度から中学校に養護学級が一クラスふえて四クラスとなり、小学校のクラスが六学級であるため五百メーター条項が適用され学校事務職が兼務になるというので、何とか兼務しないで済むようにしてほしいとの要請がありました。クラスの数がふえると、普通事務量がふえるのに兼務になるとは不思議に思い、いろいろ事情を聞いてみました。すると、PTAの皆さんの疑問点は、兼務をすることになれば名田小・中合わせて十クラス、生徒数が二百三十九人になるのに学校事務職が一人であるのに対して、郡内には三クラスで生徒数がわずか二十人前後にもかかわらず、学校事務職が兼務することなくちゃんと一名いる学校が多くあることでした。特に、現在三クラス、生徒数八十七、職員数十三の名田中学校の事務を一人でこなしている事務職員が、六クラス、児童数百五十二人、職員数十一人の名田小学校の事務を兼務することが果たして可能なのかどうか。もし兼務が可能であると認めるのであれば、どうして小規模校に一人ずつ事務職員を配置する必要があるのかという点であります。
 そもそも、学校事務職の仕事内容はどのようなものでしょうか。私も最初は制度欠陥であると思いましたが、昭和四十年代に学校事務職が各校に配置されるようになったとき、規模の大きい学校から順次配置し、どうしても回らないところだけは兼務したのでしょうが、その後、時間が経過し、生徒数、クラス数が変動しても学校事務職の配置はそのままで、いつか既得権になってしまっていったのではないでしょうか。
 現在、日高地方教育事務所管内では、一人の学校事務職員が担当するのは、最高十八クラス、五百四十八人の生徒、三十五人の職員を担当する学校から、最低三クラス、生徒数十七人、職員八人までの小規模校があり、通常の組織では考えられない配置となっているのですが、一人の仕事量に応じた定数の見直しも含めた適正配置ができないものでしょうか。
 また、見直しによって生じた定員を教育現場で今必要とされるカウンセラーやALTなどに振り向けられないものでしょうか。将来の一般財源化へ向けてバランスのとれた人的資源の適正配置を望むものであります。
 以上三点については、教育長の答弁を求めます。
 五番目は、公共事業の地方基準についてであります。
 素朴な疑問、実はこれはすごく大切なことで、日常のささいな疑問が大きな発見や発明につながっていく第一歩であると言われています。県においては一・五車線の道路について高知県とともに取り組み、国土交通省に採用されたすばらしい実績はまだ記憶に新しいところであります。
 さて、以前、私は自宅から県庁までの通行のうち、海南から県庁まで、特に和歌山市内に時間がかかることを指摘しましたが、せっかく努力をしてくれていてもなかなか用地買収が進まない市内の道路に先駆けて、紀の川の河川敷、堤防に道路をつけるべきとの質問が和歌山市選出の同僚議員から提案されました。この際、一・五車線ができるのであれば、水流の変化、堤防の弱体化など技術面での困難はありますが、それらを何とか克服して実現してもらいたいと思います。
 また、私の地元の問題で恐縮ですが、御坊市湯川町「花ご坊」前の変則六差路に取り残されている県道橋も、かけかえをする場合はかさ上げをしなければならず、大変な事業になります。洪水の防止、堤防の弱体化の防止など、河川には多くの制約がありますが、それぞれの地域の地形や利用実態に合った基準で対応するなど、デフレ時代の変化に合わせた柔軟な対応をとっていくべきだと思います。
 そこで、全国一律の画一的な行政を変えるため、他県と連携し、地方の実情に合った公共事業の共同提言を行ってきたと聞いていますが、どのような成果があったのか、そして今後どのように取り組まれるのでしょうか、県土整備部長に伺います。
 最後に、日高港の供用開始に対して心から御礼とお願いを申し上げます。
 中紀地方の物流拠点と産業用地として大きな発展に期待し、昭和四十八年に御坊市が可能性調査のために、当時の御坊市の財政状況から考えれば大変な金額だったと思いますが、今にしてみたらわずかという見方もありますが、百五十万円の調査費を計上したのが日高港整備への始まりであったと聞きます。官民連携して国に積極的に働きかけた結果、昭和五十八年には見事に重要港湾に昇格をいたしました。しかしながら、なかなか着工には至らず、計画策定から十五年を経た平成十年、ようやく関係者の努力が実り、現地着工の運びとなりました。そして、いよいよ本年四月末には、おかげさまで供用を開始することになりました。これまでご尽力いただきました、既に鬼籍に入られた方もいらっしゃいますが、先人の皆様、本当に多くの関係の皆様からご尽力をいただきました。皆様に心からこの場をおかりしてお礼を申し上げる次第であります。
 また、昨年、緊急雇用対策で採用された企業誘致専門員三名は元気にきょうも飛び回ってくれており、まだクリーンヒットはありませんが、今後に大きな期待が持てるところであります。彼らの活躍にこたえて御坊商工会議所は、企業誘致が成功した暁には懸賞金百万円を支出することを決め、十六年度からは自前の企業誘致専門員を置くことになったと聞いております。
 日高港は、経済状況の厳しい中での船出ではありますが、地域の活性化のために果たす役割は非常に大きく、心から発展を期待するものであります。既に産業用地には五社が進出を表明しており、今後さらなる企業の進出と航路を誘致するため、木村知事を先頭に県当局も引き続き積極的にポートセールスに取り組んでくださるよう心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 景気がやや回復してきたというふうなものの、和歌山県の有効求人倍率は今なお非常に厳しい状況にありますし、そしてまた、ご質問の中にありましたように、需要と供給のミスマッチということがいろんな場面で起こっているということを私も十分理解をしております。
 そういう中で、職業能力開発ということは、これは非常に大事なことでございまして、これまでも地域職業訓練センターでありますとか民間の教育訓練施設を活用した委託訓練、認定訓練に対する補助というふうなことを県は行ってきたところでございます。しかしながら、このポリテクセンター日高分所の廃止というふうなことがあるわけでございますけれども、現在、御坊地域職業訓練センターの機能を生かしながら求人ニーズに即した職業能力開発の充実を図れないか、関係市町村と鋭意協議をしているところでございます。
 次に、林業経営についてでございますが、林業経営、緑の雇用とかいろいろやっておりますけども、基本的に大変厳しい状況にあるということは、これはもうそのとおりでございますし、現に山林経営者の人が破産したりするような状況があるということも十分理解をいたしております。
 そういう中で、環境というふうな面に着目して何とかこの隘路を打開しようとしているわけですけども、これもまあ言うはやすく行うはかたしというふうな状況です。その中で、和歌山県が一昨年から努力してきております企業の森、これは労働組合でありますとか会社に和歌山県の山を借りてもらって、そこを手入れするようなことを森林組合が請け負って山を守っていくというふうなことをやってるんですけども、ご質問にもありましたように、ようやく景気も上向いてきておりますし、そして企業によっては本当に創業以来最高益を出しているところも相当あるというふうなことを聞いております。これからは、企業メセナというか、そういうことの一環としても、山はもう非常に安くなっているわけですから、山を持ってくれないかと。それで、もうその維持管理といっても森林組合に頼めばこれもそんなにたくさんのお金がかかるわけじゃないわけだから、こういうふうなことを、今、新・企業の森というご提言がありましたけども、これ本当にそういうふうな新しいネーミングでやっていきたいと思いますので、これは議会とも協力して思い切り前向きに進めていきたい、このように思っております。
 次に、競輪場の高度利用です。
 競輪場については、いろいろ経営の問題がありまして、今和歌山県は鋭意その回復に努力しておりまして、来年度はもうけが出るというふうなところまで戻ってきたわけですけども、しかしながら、この施設をもっと広く県民の人に利用してもらうというふうなことは非常に大事なことで、去年から大分取り組んでおりまして、現在もこの中の多目的ホールでフェンシングとかレスリングとか、それからビームライフル射撃の練習というふうなことに利用しているわけです。しかしながら、今おっしゃっていた、ちょうどセンターのところに大きな土地があるというふうなこと、そしてこれに人工芝を張れば、ホッケーであるとかフットサルであるとか、こういうふうな和歌山に今競技場のないようなものの、正式の競技場にはならないかもしれないけれども練習場にはなるという話であるとか、それからまた、そういうことをしていけば、土曜日とか日曜日とか、開催されてないようなときに地域の住民の人も入ってきて活用できるような仕組みも考えれるというふうなこともありますので、財源の問題等も含めて積極的に対応していきたいと、このように思っています。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 雇用対策の二点についてお答え申し上げます。
 まず観光関連産業の人材育成についてでありますが、県といたしましては、学識経験者や労働者代表等で構成する県職業能力開発審議会や各高等技術専門校が設置しております運営協議会において、県内の既存産業の高度化や新産業等を支える人材育成のため、地域ニーズを踏まえた訓練科目の見直しを図ってきたところでございます。
 新科目の設置につきましては、継続性、スペース、人的配置等、課題が多いのが現状でございますが、議員ご提言の観光関連産業の人材育成も視野に入れながら、科目の再編整備等、効果的な職業能力開発に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、企業誘致に関してのご質問ですが、製造業を取り巻く企業誘致の環境につきましては、組み立て型製造業などが中国を初めとする東南アジア等への海外移転が進展する一方、ご指摘のとおり、国内ではデジタル家電や精密加工など、一部の業種で好調を示す傾向も見受けられます。このような状況下で、県としましては、設備投資効果が大きく安定的雇用に結びつく製造業の立地は渇望しているところであります。今年度も数社の引き合いがあり、思い切った誘致活動やさまざまな手法を駆使しておりますが、成約までには至っていない状況であります。
 今後とも、激化する地域間の誘致競争に対処するため、業種、地域などを絞った集中的な誘致活動、人的ネットワークの積極的な活用などを図るとともに、企業誘致体制の専任化、市町村との緊密な連携などによるさらなる強化に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 林業政策についてお答えいたします。
 まず、紀州材のブランド化についてでございますが、県内の森林から切り出され、県内で加工されたものを紀州材として扱い、県の公共工事等で積極的な利用推進を図り、また民間の紀州材による住宅新築を支援し、紀州材に対する認識と評価を高める努力を現在行っているところでございます。
 近年、強度や規格など高い信頼性が求められることから、販売に際しては規格、性能を表示する取り組みをさらに強化してまいりたいと存じます。特に木材加工については、加工業者それぞれに特色や方針もございますので、今後は品質、価格の統一を図るため、業界の合意づくりや統一ブランド製品の生産・管理体制の整備について連携を強化してまいりたいと思います。
 次に、紀州材の中国への輸出についてでございますが、著しい経済成長を背景に、木材についても巨大市場として需要増加が始まってございます。こうした中、本県は中国との交流を活発化し、昨年からは木材関係についても企業間交流への参加や農林水産ニッポンブランド都道府県協議会にも参加して情報収集に努めるとともに、県内の林業・木材産業関係団体に県も加わって輸出の可能性について協議を重ねているところでございますが、需要の動向、取引のパートナー、価格、ロット、航路など、慎重な調査、検討が必要でございます。特に、中国における木材価格から考えますと丸太輸出は難しい面がありますので、付加価値を高めたトータルの高級品としての輸出や生活空間に木を使う価値観の普及など、ブランド化された製品としての輸出も含めて検討してまいります。
 最後に、外材も含めた木材産業の振興でございますが、本県の外材輸入は減少したとはいえ、なお丸太加工の約三分の二を占めており、地域経済において果たす役割は大きなものがございます。また、国産材の供給が不足ぎみの時期にも安定供給を続け、木材がコンクリートなどに取ってかわられるのを食いとめた面も見逃せません。
 今日、環境面から見ますと地元の材を多く使うことが大きな意義を持ってございますが、建築物はさまざまな木材が適材適所に使われて成り立っていることから、外材も含めてより多くの木材が利用されていくことが重要でございます。昨年からは無利子の林業改善資金が改正され、国産材、外材の区別なく利用できることとなっておりますので、こうした制度も活用しながら、木材加工全体の強化に努めてまいります。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 公共事業の地方基準についてでございます。
 全国一律の考え方で実施されてきました公共事業を地方の実情に合った基準や考え方で効率的、効果的に実施できるよう、平成十四年度より二カ年にわたって幾つかの県と連携して国に提言活動を行ってきたところでありますが、この活動を通じて国と連携して新たな施策をスタートできたほか、私ども県の職員自身の意識改革も進むなど、多くの成果が得られております。
 例えば、先ほどご紹介をいただきましたように、平成十五年度には一・五車線的道路整備が補助事業として採択されたところであり、平成十五年度では六十五カ所、平成十六年度では八十二カ所で取り組むこととしており、特に交通量が少ないところなどでは限られた事業費をより効率的に活用できるようになったところでございます。
 ほかの例といたしましては、踏切部分だけが狭いままになっている道路がございます。これは、従来、国が定めた原則論にとらわれ、道路事業者と鉄道事業者との調整が図られていなかったものでありますが、この提言活動をきっかけに調整が円滑に進められるようになり、平成十六年度には南海本線の二カ所で踏切拡幅事業に着手できることになったほか、他の踏切についても緊急性の高いところから協議・調整を進めたいと考えております。
 さらに、河川敷の道路利用につきましては、基本的に認められていないものでございますが、この活動を通じて個別具体に協議できるということがわかり、現在、治水安全度の検討を含めて実質的な協議が進められるよう準備を進めているところでございます。
 そのほか、地震・津波災害の発生に備え、住宅の耐震改修に対する支援措置の拡充、海岸事業における避難路の設置等、平成十六年度より可能となるなど、大きな成果が得られたところでございます。
 今後とも、既成の概念にとらわれず、新しい時代のニーズやその地域のニーズに即した真に地方の実情に合った効率的、効果的な公共事業に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) まず、雇用対策に係る人材育成についてお答えいたします。
 高等学校の専門学科については、これまでも社会の変化に対応し、多様な学科を新設してまいりました。その際、将来のスペシャリストを育成するという観点から、生徒の個性をより一層伸ばせるようさまざまな特色ある科目を設置してきたところです。例えば、田辺商業高校では商業科を流通ビジネス科などに改編するとともに、観光に関する特色ある科目として観光概論、ビジネスマナーを設けております。また、ことし四月から総合学科に生まれ変わる熊野高校では、選択科目として観光学の開講を予定しております。このほか、職業や自己の適性をより深く理解するため、ホテル、土産物店などで職場体験活動を実施している学校も少なくありません。今後、観光産業の動向や雇用状況等を踏まえ、引き続きこれらの取り組みが一層充実したものとなるよう検討してまいります。
 次に、学校の事務職員につきましては、それぞれ学校長の指導監督のもと、学校運営の全般にかかわる重要な事務処理に携わっております。学校規模等による事務の内容や量についても差異はありますが、決められた基準に基づき配置しているところであり、今後も各市町村教育委員会と協議の上、適正な配置に努めてまいります。
 なお、一般財源化に向けての配置基準の見直しにつきましては、国の動向を見ながら研究をしてまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十二番中村裕一君。
○中村裕一君 懇切丁寧なご答弁をいただきました。ありがとうございます。
 一点、もう一度、知事の意気込みのようなものをお聞かせいただけるようでしたらお願いをしたいんですが、私は今回の質問を行う上で、職業安定所の有効求人倍率を改めて見ました。そうすると、我が御坊公共職業安定所では〇・四五という数字を聞きまして、もう驚いてしまったわけであります。まだ〇・四五のところは、田辺市もそうでありますし、本当に厳しいという思いになったわけで、私もこれからはもう毎月でも企業誘致に訪問したり、場合によってはこれ自分で事業を起こして人を採用しないといけないんではないかというぐらいの実は思いに至っているわけなんです。
 今、質問で申し上げましたように、御坊の方では、御坊と有田で失業者と事業所を結びつけようということでいろんな人が努力をしてくれておりますが、もう全く民間人の人で中心になって、御坊地域職業訓練校の校長なんかが頑張ってくれてるんですが、なかなか難しい。ポリテクセンター日高というのも、難しいから多分、廃止されたんだと思うんです。
 和歌山県で職業訓練をやるときに何が難しいかということを考えてみましたら、かつて高度成長期のときは一人の先生でたくさんの人を教えることができた。同じような人をたくさんつくっていけばどこかへみんな就職できたわけですけども、今はたくさんの仕事がふえたし、和歌山で就職をしようと思ったら、少しずつの人数でいろんなメニューが必要だという、職業訓練をする側の立場からすれば非常にもう難しい。こんな難しい中でやるのは大変難しくて、先ほど頑張っているというご答弁もいただきましたが、何か推進の思いが伝わるような意気込みを述べていただくことが可能であれば一言お願いをしたいと思います。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) この職業訓練の問題については、もう大分前から厚生労働省と県の方でもいろいろな詰めを行ってきて、その結果、非常になかなか難しい問題があるということは現在あるわけです。ただ、正直言いまして、今までと同じような発想でいいかどうかということは今議員のご質問のとおりだというふうに思いますので、もう一度、改めていろんな見地から、どんな形のやり方が本当にいいのかということを検討してみたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
  【日程第三 議案等の付託】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会及び予算特別委員会にこれを付託いたします。
  【日程第四 請願付託の件】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 お諮りいたします。三月十一日、十二日、十五日及び十六日は委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、三月十一日、十二日、十五日及び十六日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、三月十七日定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十二分散会

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