平成16年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(野見山 海議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十番野見山 海君。
  〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 最初に、お礼を申し上げたいと思います。南紀スポーツセンターの体育館の床が、紀州材で一月末をもって完成いたしました。利用者の皆さん方、本当に喜んでいただいております。本当にありがとうございました。
 それでは、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 最初に、県庁改革について質問いたします。
 内閣府が先月発表しました二月の月例経済報告によりますと、総論として、景気は設備投資と輸出に支えられ着実に回復していると結論づけており、雇用情勢は依然として厳しいものの個人消費とともに持ち直しの動きが見られるとのことであります。ちょうど一年前、私が一般質問をさしていただいたころ、日本経済は全く先が見えない状況でありましたが、ここに来て、ようやく回復の兆しが見えてまいりました。しかしながら県内におきましては、県民一人一人に景気回復の兆しが伝わっていないのも事実であります。私は、県民が景気の回復を実感できる日が一日も早く来ることを願わずにはおられません。
 さて、平成十六年度当初予算案の関係資料や新聞報道などに目を通しますと、私は、昨年あれほど声高に論議されました三位一体改革に対する失望を感じる一方で、地方自治体にとっていよいよ大変な時代、従来の固定観念にしがみついてこれまでと同じやり方をしていたのでは自治体の運営が到底立ち行かない時代が始まったという強い危機感を持った一人であります。
 小泉内閣の発足以来、構造改革の必要性が議論され、いわゆる骨太の方針第三弾において構造改革の基本理念の一つとして「地方にできることは地方に」という方針のもと、地方の権限と責任を大幅に拡大し、国と地方の明確な役割分担に基づいた自主・自立の地域社会から成る地方分権型社会の構築を目指して三位一体改革の推進がうたわれたところであります。
 木村知事も、志を同じくする他県の知事と共同して「国庫補助負担金の見直しに関する緊急提言」を発表されるなど、地方からの提言を積極的になされてきたところであります。しかしながら、平成十六年度の国の予算における三位一体改革の結果を見ますと、地方分権を推進するという改革の趣旨から見れば、全く不十分な結果と私は言えます。したがいまして、今後とも国に対し本来の趣旨にのっとった三位一体の改革を求めていくことはもちろん非常に重要でありますが、一方でこれに劣らず重要なことは、自己決定・自己責任を基本理念とする今後の地方分権時代を生き抜いていくため、これまでの固定観念にとらわれず、県庁組織みずからを時代に合った姿に変えていくことが必要と思います。そうでなければ、このように厳しい社会経済環境にあって県民の求める行政サービスを的確に提供していくことは不可能であります。
 木村知事は、就任以来、県の組織のスリム化・効率化を図るため事務の整理合理化による定数削減に努めるとともに、農林道と県道、あるいは下水道と農業集落排水や合併処理浄化槽事業が連係して実施できるように組織を再編し、さらに組織目的の明確化により事業効果を上げるため局制を導入するなど、大胆な機構改革に取り組まれているところであります。私も、このような知事の時代の変化に即応した積極姿勢を評価するものであります。しかし、今後の三位一体改革や各地で今取り組まれております市町村合併、あるいは多様化している県民ニーズに的確に対応していくためには、振興局組織の改革や民間に任せるものは民間に任せ、民間の活力を活用しつつ行政の非効率的な部分を整理していくなど、機構改革をさらに断行していくことが必要であると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、防災対策について。地域防災拠点の整備についてお伺いいたします。
 昨年、国会で東南海・南海地震防災対策特別措置法が成立し、これに基づき、昨年十二月には政府の中央防災会議が和歌山県内五十市町村すべてを防災対策推進地域に指定しました。こうした動きに合わせ各地で防災シンポジウムが開催され、三十年後には四〇%の確率で起こるであろうと言われている巨大地震への県民の関心が一気に高まったと思います。
 さらに、昨年十二月十二日に放映されたNHKの「東南海・南海地震にどう備えるか」という特別番組に木村知事みずから生出演され、本県での防災への取り組みや基本的な考えを述べられました。これもまた、県民の防災意識を大いに高めたものと考えております。あの番組には愛知県の神田知事も出演されましたが、防災強化地域として早くから防災対策に取り組んできた愛知県と、ようやく防災推進地域に指定されたばかりの本県とでは国の支援体制や歴史的な違いもあり、やはり愛知県の方がより具体的な取り組みが進んでいると感じたところでありますが、本県もこれから速いペースで対策が講じられることを期待するものであります。
 言うまでもなく、県民の命を守るということは県政の最大の課題であり、最も重要な柱でありますが、県民と行政が一体となって取り組まない限り被害を最小限に食いとめることはできないと思います。
 さて、東南海・南海地震が阪神・淡路大震災と違う点について幾つか指摘されておりますが、広域災害が起きるということであります。阪神・淡路大震災のときは全国二十八の都道府県から三日以内に二千三百人の消防隊員が駆けつけたと言われておりますが、今後の巨大地震は西日本の多くの府県が被災地になります。したがって、数日間は自力で何とか耐えて復旧に備えなければなりません。そのためにも、食料や仮設住宅地の確保はもちろん、復旧資材やブルドーザーなどの復旧機械の確保は不可欠であり、そのための用地として広域防災拠点用地の確保は欠かせません。さらに、救援ヘリポート基地や救援隊受け入れの拠点としても活用することができます。
 幸い、平成十六年度当初予算でコスモパーク加太の土地を借り上げ、大規模災害時における防災対策用地とするとともに県民の広場として整備する事業が進められていることは大変意義あることだと高く評価するものであります。しかしながら、本県の海岸線は和歌山─新宮間六百四十四キロと長く、災害地域が広範囲に広がっていくものと思います。広域災害に対処するためには県内一カ所の防災拠点の整備だけでは、到底間に合うものではありません。
 そこで、私は以前に申し上げましたように、この際、ぜひ田辺市周辺にも防災拠点の整備が必要だと考えます。一昨年の八月、知事にも田辺市の南紀スポーツセンター周辺を視察していただきましたが、近い将来高速道路も開通する予定であり、また内陸地の町村とのアクセスも便利であるため、この付近は防災拠点としても最適地でなかろうかと考えますが、ぜひ紀南の防災拠点の一つとしてさらなるご検討をお願いし、知事の考えをお聞きいたします。
 次に、津波避難対策についてお伺いいたします。
 東南海・南海地震が阪神・淡路大震災と比べて大きく違う点は、津波による被害が大きいことだと言われております。もし次の巨大な大地震が起こった場合には、串本で五分から十分、田辺市では約二十分後に津波が襲ってくると言われております。
 去る一月十三日の朝日新聞には「迫る巨大地震」の特集を組んでいましたが、この中で、徳島大学の村上教授が高知県内で人口六千人の地区を対象に試算したところ、地震から五分後に避難を始めると津波にのまれる人は五人、ところが十五分だと犠牲者が二百八十八人に膨れ上がるというデータを公表しておりました。津波による人的被害を少なくする方法は、いかに逃れるかという点にかかっています。このためにも、海岸部の避難路の確保や自主防災組織の確立が不可欠であります。既に田辺市文里地区や串本町などは危機感を持った住民の間から自主防災組織が生まれ、住民の手で避難路の建設が進められていると聞き、大変心強く思っているところであります。
 県では、本年度、来年度にハザードマップを作成し、アクションプログラムをまとめるとされていますが、こうした避難路建設をどう考えているのか。行政が進めるべきものと考えているのか、住民に任せ、それを支援していくべきだと考えているのか、お伺いしたいと思います。
 また、本県の市町村は国の東南海・南海地震特別措置法に基づく防災推進地域に指定されましたが、国からの財政的な支援はないと聞いております。財政面で厳しい事情があろうと思いますが、財政的な支援をどのようにしていくのか、あわせて総務部長にお伺いしたいと思います。
 次に、自主防災組織の確立と防災リーダーの育成についてお伺いいたします。
 避難する場合一番に考えなければならない問題は、寝たきり老人や高齢者・病人という社会的弱者の避難支援であります。広域災害が考えられる中で消防隊や救援隊を待っていては地震・津波の被害から逃れることはできません。どうしても地元の防災組織による避難支援が必要であります。こうした意味からも、自主防災組織の確立は欠かせません。しかし、本県での自主防災組織の組織率は近年上昇しているものの、まだまだ五五%程度で、全国平均の六〇%より低い水準にあると聞いております。
 そこで、県として自主防災組織の育成をどう支援していくのか。もし巨大地震が発生し、多くの人々が家屋の下敷きになった場合、消防署のレスキュー隊が来るまで民間でもレスキュー隊を組織し、被災に対応できるように備える必要があります。和歌山市では既に平成七年、和歌山民間救助隊が組織されているとお聞きしておりますが、まだまだ全県的なものにはなってないようであります。今後、こうした民間団体とも連携しながらこれをどう支援していくのかということも大きな課題であると考えますが、いかがでしょうか。総務部長にお伺いいたします。
 さらに大切な点は、若いリーダーをどう育てるのかという点であります。幸い、小学校・中学校・高等学校なども積極的に防災教育に取り組んでおられるように思いますが、こうした若い世代の防災リーダーの育成が地震の被害から人々を救う大きなかぎとなっているように思います。
 そこで、児童や学生に対する防災教育をどう進めていくのか、教育長にお伺いいたします。
 次に、救助犬の育成についてお伺いいたします。
 阪神・淡路大震災において救助犬が活躍したことは記憶に新しいし、国内外の地震災害時に生存者や遺体の発見に活躍していることは多くの人々に知られています。日本のレスキュー協会では現在約三十頭の救助犬があると言われておりますが、本県では災害時に要請して出動してもらえる救助犬があるのかどうか。広域災害ですぐに外国や県外から救助犬の派遣が受けられないとするならば、災害時に備え、ボランティアの方々の協力も必要だと思いますが、どのように考えているのか、警察本部長にお伺いしたいと思います。
 次に、治安対策について。本県の治安状況についてお伺いいたします。
 昨今の犯罪件数の激増と凶悪・複雑化、そして低年齢化等、国内の治安の悪化はまことに目を覆うほどの状況であり、このまま放置すれば国の存在そのものを揺るがしかねないとの危惧を強くするものであります。テレビ・ラジオは言うに及ばず、毎朝新聞を開くたびに余りの凶悪事犯、悲惨な事件・事故の続出に多くの方々が心を痛め、時にはそのまま新聞を閉じてしまいたいと思うほどの心情を味わっているのではないかと思う一人であります。こうした全国的な傾向は我が和歌山県においても決して例外ではないと思います。また、今、和歌山県が進めている府県間道路の整備、高速道路の南伸等によって流入人口が増加し、広域に犯罪事件が増加することが予想される中、県民の安全・安心な町づくりのため本県の治安対策が重要課題であると考える一人であります。
 そこで、昨年八月二十日付で宮内県警本部長が新しく就任されましたが、就任の記者会見に臨まれた本部長は「犯罪防止と検挙に全力を挙げたい」と決意のほどを述べられ、一県民として私も力強いものを感じたことであります。あれから半年たちます。県下の治安状況についてどのように認識されているのか、また将来危惧される点はどんなことか、本県の感想も含めて警察本部長にお伺いしたいと思います。
 次に、防犯への基本的な考えについてお伺いいたします。
 我が国の安全神話が急速に崩壊する中、日本の防犯対策も大きな転換期を迎えているように思われます。「ガバナンス」という地方自治の総合情報誌がございます。昨年の九月号に「安全・安心への視点」という特集が組まれ、その中で犯罪学専門の立正大学の小宮助教授が欧米での防犯への取り組みを紹介しております。従来、欧米でも犯罪対策は、犯罪が発生してからその原因を追及し、解明してその原因を取り除いていけばいいという原因論からのアプローチによるものであったと言われております。しかし、犯罪者の人格や境遇に原因を求め、それを除去するのは多くの時間が必要で、しかも心理学・教育学・社会学など多くの分野での研究が必要で、現在の科学水準や行政力では限界があります。そこで、欧米では犯罪の機会に着目した予防的なアプローチが考え出され、欧米での犯罪発生率は犯罪率の上昇に歯どめがかかったと言われております。これは、犯罪の原因をなくすことができなくとも犯罪を起こす機会がなければ犯罪は起こらないという発想で、具体的に言えば、見つかりやすい、時間がかかる、実行しにくいなど、犯罪に都合の悪い状況をつくり出せば潜在的犯罪者は犯罪を思いとどまるかもしれないという考えであるそうです。
 ここからソフト・ハードの両面から防犯に強い町づくりが求められておりますが、犯罪急増の折から犯罪機会の減少への取り組みについて県警本部長のお考えをお聞きしたいと思います。
 次に、生活安全条例の制定についてお伺いいたします。
 昨今の厳しい財政事情の中、本年度予算で警察官が増員されたことは大いに評価するところであります。かつて犯罪都市として有名だったニューヨーク市がパトロールを強化し、軽微な犯罪も見逃さず検挙率を高め、重大犯罪の芽をつぶして大きな成果を上げたことは有名な話であります。しかし大切なことは、彼らがまず地下鉄の落書きを消すことから始めたと言われているように、犯罪予防への生活レベルでの取り組みです。この考えの基礎となっているのは割れた窓理論で、割れた窓をほっておくとより深刻な犯罪につながるという犯罪予防理論だったそうですが、安全な町づくりには警察官の増員だけでは限界があります。警察と行政と地域住民の連帯と協力が欠かせません。
 かつて、ひったくり件数で二十七年連続ワーストワンだった大阪府が、平成十四年に都道府県レベルでは初めて大阪安全なまちづくり条例を制定し、オール大阪の府民運動として防犯対策に取り組んでいることはマスコミ等でも報じられたところであります。本県の平成十四年二月議会でも大阪安全なまちづくり条例が取り上げられ、県に対して質問されましたが、そのときの県警本部の答弁では、「市町村レベルでの制定は進んでいるが、県レベルの制定については知事部局等関係機関と十分協議した上、条例の制定の必要も含め、検討してまいりたい」という答弁でありました。
 そこで、大阪安全なまちづくり条例の評価も含め、本県での条例制定への取り組み状況について警察本部長にお伺いいたします。
 最後に、交通安全対策について。電動三輪車の安全確保についてお伺いいたします。
 高齢者・障害者の間で電動三輪車が普及しています。今や高齢者や障害者にとって移動手段としてなくてはならない乗り物ですが、普及に比例し、電動車の事故もまたふえております。事故に遭わなくても、狭い大きな車と出会うたびに電動車の利用者が恐怖感を味わうことはしばしばあります。また、この電動車は道路交通法では最大時速六キロメートルと決められており、このため歩行者並みの右側通行となっております。しかし、これがなかなか一般ドライバーに周知徹底されておらず、道路交通法を守り右側通行している電動車に対し、一般ドライバーから罵声を浴びせられることもしばしばあります。私は安全な歩道を設置することが最も大切な対策であろうと思いますが、現状ではすべての道に歩道というわけにはいきません。
 そこで、一般ドライバーに運転免許証取得時に、更新時に交通弱者としての電動車に対する講習を徹底し、電動車への注意義務を課すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、電動三輪車の右側通行に関する道路交通法の改正を求める声も上がっています。もともとこの法律は大都市の整備された歩道を対象につくられたもので、田舎に行くと歩道を通れない場所がたくさんあります。狭い道路を右側通行で進む電動三輪車に大型車が猛スピードで突っ込んでくると恐怖感さえ味わうと言われております。道路交通法の改正は県独自ではできませんが、地方から上がっている電動三輪車の右側通行の意見に耳を傾け、電動三輪車安全対策を進めていくことも大切だと思いますが、県警本部長のお考えをお聞きします。
 次に、高速道路の安全対策についてお伺いいたします。
 昨年十二月十四日、念願の御坊─南部間の高速道路が開通いたしました。紀南地方から和歌山市への交通の便がよくなったと紀南の方は喜んでいるところであります。しかし、気になることがあります。それは、みなべインターチェンジ近くで去る二月二十一日、十六台の追突事故が発生していることであります。特に正月や連休など車が混雑してまいりますと、南部出口で渋滞することがよくあります。高速道路での渋滞はあっという間に広がり、出口付近で緩やかな下りになっている関係から、少しでもわき見でもすると追突事故をするケースが多いと言われております。
 私は、出口付近の十キロぐらいの間に追突防止の対策を講じていくことが必要ではないかと思いますが、県警本部長のご意見をお伺いいたしまして一回目の質問を終わらしていただきます。
 ご清聴、ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの県庁改革についてのご質問でございますけども、私は就任以来、今非常に行政の質が変わってきているということの中でいろいろな組織改革──局を設けるとかいろんなことをしたり、それからまた例えば県印刷所の廃止であるとか庶務事務のアウトソーシングであるとか、こういうふうなことに手をつけてまいりました。そしてまた、できるだけ機能的な組織づくりというふうなことで職員の意識改革も進めてきたところでございますが、ご案内のように、昨年末行われた三位一体の改革に伴う対応ということで和歌山県も地方交付税が三百億減ると。そしてこれは、来年度にとどまらず再来年も、その次もというふうなことが予測されているところでございます。これは、もう地方の借金が二百兆円を超えるというふうな状況の中での対応ということになってまいりますので、これからもさらに県庁改革ということを進め、そしてまたそこから財源を生み出して新たな県勢発展の方向へ持っていくという姿勢が何より肝要かと思っております。そしてまた行政も、今までのように県の公務員だけが行うというふうな考え方ではなくて、民間の方々、またNPO、こういうところと協働しながらパートナーシップをつくってやっていくというふうな発想が大事であろうというふうに考えております。
 それから次に防災拠点の整備でございますけども、東南海・南海地震の法律ができまして、この防災問題、全国的にも非常にクローズアップされてまいりましたし、またその中で和歌山県というものが大きく取り上げられるようになってきているわけでございます。そのときに、今度コスモパーク加太のところに防災拠点的なものを整備していこうということは一つあるわけでございますけども、ご質問にもありましたように和歌山県は南に非常に長く、次の地震では津波ということが一番大きな眼目になってくるということから考えれば、南の方に大きな防災拠点を設けるということは、これはもう避けられない必要なことだろうというふうに思っております。その中で、一つの候補地として南紀スポーツセンターの近辺というものが候補地になるということも、これは当然考えられることだというふうに考えております。
 いずれにせよ、この問題の重要性については十分認識しておりますので引き続き対応していきたい、このように思っております。
○副議長(吉井和視君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 防災対策についてお答え申し上げます。
 津波避難対策についてでございますが、東南海・南海地震対策を進める上で特に津波から人命を守るという観点から、避難路の整備は議員ご指摘のとおり極めて重要な意義を持つものでありまして、そうした中で紀南地方を中心に地域住民みずからが避難路整備に取り組み始めていただいておりますことは、自主防災の先進的な事例として全国的にも評価されております。しかしながら、行政として避難路整備をすべて住民任せにするということではなく、適切な役割分担が必要であると考えておりまして、その規模や整備手法により整備の主体が変わるものと考えております。
 新年度創設予定の地震防災対策総合補助金では、市町村などで整備される、従来補助対象となっていなかった避難路に対しましても補助対象を広げ、整備を促進したいと考えております。
 次に、自主防災組織の確立と防災リーダーの育成についてのお尋ねでございますが、県では自主防災組織を育成するため、市町村などが自主防災組織に資機材配備をする際の財政支援や自主防災組織のリーダーの参加による地図を使った地震・津波からの避難、地域防災のあり方などの検討を行う研修会を実施しておりまして、また昨年六月には御坊市において自主防災に係るシンポジウムを開催し、多数の住民の参加を得たところでもございます。
 平成十六年度には、さらに県下の自主防災組織間の情報交換・連携を目的とした自主防災組織連絡協議会の設立や市町村の自主防災組織の育成・強化に向けた施策も、先ほどお話を申し上げました地震防災対策総合補助金で支援できる内容にするなどの新たな施策の実施を予定しておりまして、取り組みの強化を図っているところでございます。
 民間のレスキュー隊についてでございますが、県では平成十年度に防災ボランティア登録制度を設けまして毎年登録団体にご案内を行い、ボランティア研修会、防災講演会、防災訓練などに参加いただいております。
 お話のありました和歌山民間救援隊も救援ボランティアチームとして登録いただいた団体で、最近は平常時における防災啓発面での取り組みもされており、県としても今後このような活動についてさらに連携を深めていきたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 防災教育についてお答えいたします。
 県教育委員会では、地震・津波等の災害発生に備えるため、昨年八月に「学校における防災教育指針」を作成しました。その中では、みずからの安全確保はもちろんのこと、地域の防災活動や災害時のボランティア活動などについて実際に体験することの重要性を示すとともに、県内のすべての学校において積極的に実施することとしております。
 昨年九月に下津町で実施された県の総合防災訓練に海南高校・箕島高校・有田中央高校・耐久高校などの生徒が初めて参加したほか、田辺工業高校を初めとして地域の組織と連携して訓練を行うなど、積極的に取り組む学校も出てきております。
 十六年度から全国で初めて高校生防災ボランティア・防災教育推進事業を全県で実施してまいります。
 議員ご指摘のとおり、災害から多くの人々を救うには若い防災リーダーの育成が必要であり、今後とも地域の防災組織で活躍できる人材を育ててまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) まず最初に、救助犬の育成についてお答えいたします。
 災害救助犬につきましては、阪神・淡路大震災を機にその育成に着手し、現在、警察犬六頭を捜索救助犬として嘱託しております。
 今後も、救助犬の育成、ボランティアとの協力につきまして関係機関と連携し、継続して取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、治安対策についてお答えいたします。まず、本県の治安状況等についてであります。
 本県においては刑法犯の認知件数は、平成十三年をピークに二年連続減少しております。その結果、人口当たりの刑法犯認知件数いわゆる犯罪率は、平成十年当時全国でワースト五位であったものが昨年はワースト十八位となり、本県の治安は相対的によくなっていると言えるのではないかと考えております。しかしながら、減少傾向にあるとはいえ、昨年の刑法犯認知件数は十年前の平成五年の約一・三倍となっており、またその内容につきましても、県民の身近で発生する街頭犯罪の多発、不法残留外国人による凶悪事件の発生、深刻化する少年非行や子供の犯罪被害の増加等、いまだ予断を許さない状況にあるものと認識しております。
 次に、防犯への基本的な考えについてであります。
 犯罪を未然に防止するためには、検挙と防犯の双方を強力に推し進めていく必要があります。そのためには、警察による検挙・防犯活動を一層強化することに加えまして、議員ご指摘の犯罪の機会を少なくするために地域住民・企業・自治体等と警察が連携し、犯罪の起こりにくい町づくりを推進していくことが重要であると考えております。
 こうした観点から県警察として、防犯に関する情報の発信、自治会等の自主防犯パトロール等の促進、建物・駐車場等の安全基準の周知徹底、防犯カメラや防犯灯の設置促進等に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、生活安全条例についてであります。
 大阪府では、議員ご指摘の条例に基づき、府を挙げて治安対策に取り組んでいると聞いております。本県におきましては、県内五十市町村のすべてに生活安全条例が制定されまして、この条例に基づき、自治体・地域住民と連携しながら安全で住みよい地域社会づくりに努めているところであります。
 また県レベルでは、昨年、迷惑防止条例を改正していただきまして、全国で初めて深夜における迷惑走行を規制したところであり、相当の成果が見られるところであります。
 今後も、県レベルの条例制定の検討も含め、安全・安心な町づくりに実効性のある対策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、電動三輪車いわゆる電動車いすの安全確保についてお答えいたします。
 高齢化の進展に伴い、電動車いすを利用する方々が増加することが予想されます。警察といたしましては、ドライバー対策として、街頭における指導・取り締まりのほか、運転免許の更新時や自動車学校において電動車いすを含めた歩行者保護についての講習を行っているところであります。また利用者に対する対策として、販売メーカー等と協力し、販売時の安全利用の指導や交通安全講習を行っております。
 なお、電動車いすの通行方法を改正してはどうかとのご意見でありますが、利用者の中には、左側通行とした場合は後方から接近する自動車の様子がわかりづらいとの声も寄せられており、慎重に検討する必要があるものと考えております。
 最後に、高速道路の安全対策についてお答えいたします。
 みなべインター周辺につきましては、供用に当たり必要な速度規制を実施するとともに、道路情報板を設置しまして渋滞情報や交通事故情報を提供するなどの安全対策を講じてきたところであります。また、これまでの追突事故の発生状況を踏まえ、パトロールの一層の強化を図るとともに、道路公団に対して安全施設の整備を申し入れているところでございます。
 今後とも、道路公団と連携いたしまして高速道路における安全対策の強化に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(吉井和視君) 以上で、野見山海君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十二分散会

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