平成16年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
 昨年の六月議会、十二月議会と、私はミカン対策について取り上げてまいりました。二〇〇三年度産のミカンは、最終的なまとめはまだ出ていませんが、キロ単価百四十円台と前年よりもまた落ち込んだ結果となりそうで、農家は泣いたままであります。一方、味の方はと言いますと、昨年は和歌山県産のミカンは大変評判がよかったようです。全国的な天候不順の中、おいしいミカンができたというのは、「やはり和歌山の気候条件の優位性とポテンシャルが発揮されたんだ。そういう面がある」と農協の方がおっしゃっていましたが、なるほどと思いました。
 さて、今議会で来年度予算の審議をするに当たり、昨年度取り上げましたおいしいミカンをつくるという生産面、そしてしっかり売り込んでいくという販売面、また農業施設の整備や農家の経営支援、学校給食に食育としてどうミカンを取り入れていくか、こういうことなど、どう取り組まれようとしているのかをお聞きしたいと思います。農林水産部長より、来年度予算におけるミカン対策の位置づけと重点施策についてご答弁を願います。
 次に、高病原性鳥インフルエンザ問題についてお尋ねをいたします。
 一月から山口県、大分県、京都府、兵庫県と感染を広げた鳥インフルエンザは、京都府丹波町の養鶏業者が鶏の病死を一週間も隠し、感染した鶏一万五千羽を全国各地に出荷する、そして昨日は会長の自殺という最悪の事態が進行しています。感染経路が解明されないまま、さらに広がる可能性を強めています。昨日から養鶏場の全国一斉消毒も始まりました。和歌山県は、養鶏数では近畿において兵庫県に次ぐ第二位の二百七十万羽を誇る生産県であり、影響は重大です。
 私は、この間、養鶏業者の皆さん、養鶏業組合の役員さんともお会いして実情を聞かせていただきました。「わしらも鶏舎やコンテナの消毒をきっちりやるとか、鶏や飼料の運搬業者にも完全に消毒してもらうなど、一生懸命やってる。でも、やれることは限られているんだ。万一出たら、それこそつぶれるしかない」、そんなふうにおっしゃいました。また、食鶏処理場が近所にあるんですが、消費が冷え込んで出荷量が三割から四割減っているという深刻な事態だそうです。
 この鳥インフルエンザへの対応では、この間の経験を通じて、焦点は二つの点に絞られてきたというふうに考えています。その第一は、初動体制です。感染性の強さから言って、発生した初動の対応がいかに機敏に行われるか、これがウイルスを抑え込むために極めて重要です。その点では、県と家畜保健所がいかに緊張感を持ち、発生したときの体制を整えているかが大変重要なかぎを握っていると思います。そして第二は、周辺出荷自粛農家への補償問題です。疑わしい病死した鳥が出た場合に、周りに迷惑をかけたら悪いから隠そうとこういうふうに考えずに、直ちに検査に踏み切るためには、指導の徹底とともに周辺農家への補償問題を抜きにはできないと思います。万一のとき隠そうとするか、封じ込めようとするかが和歌山県の運命の分かれ道です。
 そこで、農林水産部長にお尋ねをします。
 まず、県内養鶏業者に対する発生防止対策の強化について、国内発生時からの立入検査やモニタリング検査の回数はふやされているのか、また病死鶏の検査はなされているのか、鳥用のワクチンの使用についてはどう考えているのかについてお答えください。そして、今申し上げた二つの焦点です。万一鳥インフルエンザと疑われる病死鶏が出たときの初動体制について、防疫マニュアルの確立や県の組織と人的な体制が、刻々と変化するこの状況に対し日々点検・強化がされているか、そして発生地周辺農家への補償確立の問題についてもご答弁を願います。
 三番目に、コスモパーク加太に県がカゴメトマト栽培工場を誘致する計画についてお尋ねをいたします。
 この件については、先日、二十二億円にも上る土地造成が議決され、今月末にも進出協定が結ばれると聞いています。四十ヘクタールの土地に二十ヘクタールものハイテク温室をつくり、県内トマト農家の全生産量六千四百トンに匹敵する年間六千トンの生鮮トマトを生産するというものです。このカゴメ進出による県内農家への影響と和歌山県の農業にとってどういう意味を持つのかを質問させていただきます。
 私は、この間、トマトを栽培している農家の皆さんに直接話を伺ってまいりました。県内最大のトマト生産地である日高地方。農協の方々は、「うちの地方はトマトで飯を食っている。死活問題だ。コスモパークで県は損ばかり出してきた。そのしわ寄せを今度は農家に押しつけようとしている。大企業が農業できるように、好きなように今法律を変えてくる」、そんなふうに怒り、「産地間競争が起こって、どこかがつぶれないと価格を維持できないだろう」と悲壮感を漂わせました。ミニトマトを生産している日高町の農家の方も、また吉備町の農家も、「トマト農家は直撃だ。もろに影響を受ける。どうすればいいのか」と、困惑と怒りをあらわにしていました。
 一方、私ども有田地方、金屋町や清水町の山間部では、涼しい気候が高品質なトマトの生産に向いているということで高原トマト栽培に取り組んでいます。農家の皆さんは、ほとんどの方が「カゴメと言うんだから、ケチャップ用の加工用トマトをつくるんだと思っていた」と、愕然としておられました。計画の全容をお話しすると、こんなふうにおっしゃいます。「去年から北海道のトマトが関西にも出荷されてきて、市場は随分窮屈だった。天候不順で生産量はがた落ちなのに、安値で泣かされた。秋のトマトは、普通四キロ入りの箱で千百円から千二百円でいってたのが、去年は九百円しかいかなかった。これでは後継者はできないと深刻な状態なのに、カゴメが来たらどうなるのか」とおっしゃいました。また別の方は、「わしらは山間地で、猫の額のような農地にしがみついて、この土地の気候条件を生かした農業で頑張っていこう、過疎に打ちかとうと、皆一生懸命で励まし合いながらやってきた。わしらのことを県は一体どう思ってくれているんか」。中山間地で頑張っている農家の実感だと思います。
 また、和歌山市内でハウス栽培をしている農家にも伺いました。農薬を減らす特別栽培に取り組んでいる農家や水耕栽培に取り組んでいる熱心な農家の方でした。ハウスの中で、「ここは市街地区域で宅地並みの評価なので、年間十五万円の固定資産税を私はこのハウスで払っている。なのに、カゴメには二十億円かけて土地の整備までしてあげる。レンタルの土地には税金はかからないと言う。ただでさえ資金力に企業と地元農家は大きな差があるのに、カゴメにはそこまでするのか」と驚いていました。また、以前にJT──日本たばこ産業です──の委託栽培を手がけていたという水耕栽培の農家は、「この小さなハウスでも、夏場は水道代で二カ月で八万円かかる。電気代や重油代も大変だ。企業はそんな大規模な設備投資をして続けていけるのか。JTや北海道のオムロンのように、採算が合わないとすぐに撤退してしまうのではないか」と、不信感をあらわにしていました。
 まさに、トマトの主力産地でも、気候を生かした中山間地でも、都市近郊農家でも、カゴメの進出は脅威だというのが農家の生の声でした。この農家の声に一体県はどうこたえるのかと、私は農林水産委員の一人として声を大にして言いたいのです。
 まず、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 県内農家への影響についてどう考えていますか。影響を調査・予測したのでしょうか。カゴメは、先方からやってくるのではなく、県がこちらから誘致をするんです。責任があります。県内トマト生産農家への影響と対策についてどう考えているのか、ご答弁をお願いいたします。
 次に、知事にお尋ねいたします。
 先ほど紹介した農家の声にこたえていただきたいと思うのです。私は、今回の問題、和歌山に企業が進出して雇用がふえ、地域経済にプラスになるという一般的な企業誘致とはわけが違う、そういうふうに思います。知事、カゴメ側が説明しているように、県内農家への影響は少なく、農家と共存共栄が図られ、トマトと言えば和歌山と言えるようなそんな産地になるでしょうか。国が進めている大企業の農業進出が日本農業と食生活の未来を照らし、和歌山県の農業発展につながるでしょうか。
 農業という営みは、自然と向き合い、天候が順調であれば喜び、不順となれば泣き、自然の前にはいかに人間は無力であるかを感じながら自然に立ち向かい、額に汗して働く仕事だと私は思います。そして、偉大な自然の恵みの中でその一部を分けていただくのが農産物です。だからこそありがたいし、値打ちがあるものだと思います。
 近代的な栽培方法自体を否定する気は毛頭ありません。しかし私は、今回のように大規模な工場のような施設で農産物を大量生産する企業を誘致するということが和歌山県の農業発展につながるとは到底思えないのです。農林水産業の振興は和歌山県政の重要課題です。和歌山県政における農業振興の方向性とカゴメ誘致の関係について、知事の所見を伺います。和歌山県内の農家に直接答えるつもりでお答えをいただくようお願いをします。
 次に、市町村合併の問題に移ります。
 今、政府は、三位一体改革ということで国庫負担・補助金の削減、地方交付税の削減を強行する一方で税源移譲はほとんど行わず、その結果、地方自治体は本当に予算を組めないという事態に追いやられています。しかし、合併をすればそこから逃げられる、市町村の財政の困難が解決するかと言えば、そうじゃありません。ところが、雑賀議員が先日取り上げた県の市町村課が作成したメモには、「財政的に単独は厳しい。大幅な住民サービス低下と負担増の末、再建団体があり得る」と結論づけ、説明会では、「合併しての現状維持か、単独となり、住民サービス・負担が大幅に悪くなった末の再建団体化かが問われている」、こういう趣旨の説明が行われています。
 言うまでもありませんが、合併した場合の地方交付税は、十六年目からは一本算定となります。財政が厳しくなるのは合併した自治体の方ではないでしょうか。人件費も決して単純には減りません。
 例えば、合併先進地のあきる野市。合併前の人件費四十三億円が、合併調整によって給料が上がり、職員数を減らしているにもかかわらず七年後でも五十一億円にと、二割増しになっています。職員数を減らした分をパートで補うことも影響して、物件費も上がっているんです。これも二割増となっています。篠山市でも減っていないんですね。県内を見ましても、この一月にかつらぎ町が行った財政シミュレーションを見せていただくと、高野・九度山・花園と合併した場合、平成三十二年には単年度の赤字が三十億六千二十五万円にもなり、合併しなかった場合はかつらぎ町単独の赤字は三億六百二十三万円であるという分析です。
 このことを見ても、市町村課のメモのように、合併したら現状維持で、合併しなかったら再建団体化というのは正確でないと同時に、そういう単純な図式の結論を押しつけるというのは合併への圧力になると思いますが、総務部長の見解をお聞かせください。
 また、市町村課のメモや説明、合併協議会での県職員の発言の中で、「まず合併に合意をするということが大事で、調整が難しい問題は合併してから決定すればいい」、そういう意味の指導をしているのは私は大きな問題だと思います。役場の位置をどこにするのか、分庁舎にするのか、新庁舎を建てるのか、支所をどうするのか、住民サービスをどのような考えで進めるのか、こうした問題は住民にとって非常に大事な問題であり、合併すべきかどうかを住民が判断する材料として欠かせないものです。市町村課のメモも、「住民のためには何がいいかが判断根拠」と書いています。本当にそう考えるなら、住民が合併問題を判断できる情報を住民に提供するよう県として指導するのが当然であって、課題の先送りを指導するのは間違いだと考えますが、知事の答弁を求めます。
 次の質問に移ります。
 この一月、有田市の有田川河口に県がプレジャーボートの不法係留対策としてマリーナを建設する予定地が環境省の選定する重要湿地であることがわかり、このことがマスコミでも大きく取り上げられました。この付近は、業者により河原に自動車の廃車が数十台も放置されるという不法占拠が問題になるとともに、多数の不法係留もあり、環境が悪化し、住民から対応が望まれていたところです。計画では、係留施設やヘリポートなどもつくって不法占拠を一掃しようと、二月下旬に着工する予定でした。ところが、マリーナ計画を知った研究者の指摘で、予定地の有田川河口一帯が環境省が希少生物生息地として和歌浦干潟などとともに日本の重要湿地五百に選定していたことがわかり、法的制約はないものの計画の再検討に入ったというものです。報道では、計画をした県土整備部は重要湿地選定を「知らなかった」、環境生活部は「伝えていなかった」という問題点をずばり指摘されました。
 実は、この問題が報道される一カ月前に、有田地方で同じような出来事があったんです。私のところへ金屋町の住民の方から、「和歌山県のレッドデータブックに記載されている金屋町伏羊のシリブカガシというカシの林が県による農道整備で削られているけれども、どうなっているんな」、こういう問い合わせがありました。シリブカガシは暖地に生えるブナ科の常緑高木で、近畿が北限とされていて、ドングリの底がへこんでいるのでその名前があると言われています。
 研究者の調査によると、「紀中で見かけられるのはほとんど数本単位で、金屋町伏羊のようにシリブカガシ林と言えるような生育地が見つかったということは特筆に値する」と研究誌でも紹介をされました。そういう貴重な群生地が確認をされ、二〇〇一年、この県のレッドデータブックで紹介されても、この群生地のことを事業課は知りませんでした。そしてまた環境生活部も、この工事が行われていたということを知らなかったわけです。幸いにしまして群生地の半分がもとのまま残っており、地主の方も大事にしたいと協力していただけることになり、この貴重な群生地に説明看板などを立てることが町と県によって協力して進められようとしているのはうれしく思っております。
 私は、この二つの出来事が連続して指摘されたことを恥ずかしく、重く受けとめるべきだと思います。事業を行う部署と環境の部署がばらばらでかみ合っていないんじゃないでしょうか。この自然環境豊かな和歌山県が、緑の雇用や世界遺産登録などもかかわって環境問題に熱心な県であろうとすればこそ、この二つの事例から問題点を明らかにし、教訓を導き出し、こんなことが今後起こらないようにすべきです。県土整備部長、環境生活部長のそれぞれから、この二つの事件から何を教訓とするのか、お答えください。そして知事からは、住民要求の実現と自然環境の保全、この二つを両立させるその今後の県行政の進め方について答弁をお願いいたします。
 次に、国道四百八十号清水町三田バイパスの橋脚設計ミスについてお尋ねをします。
 この橋は、皆さんご存じ、清水町の棚田の風景で有名な蘭島にかかる橋のうちの一本で、橋梁本体工事だけで約十億五千万円、詳細設計は三千二百万円。この設計を請け負ったのが国土工営コンサルタンツ和歌山営業所です。ミスが見つかったきっかけは、昨年四月に橋台を建設していた地元の業者の方が「設計どおりにこのまま工事をすると今の国道が半分削られてしまう」と指摘して、その後、橋の設計そのものに多くのミスが見つかったものです。橋の基礎の寸法不足や、高さが向こうとこっちで十センチ違うとか、橋脚のはりの鉄筋量が不足しているとか、橋脚の鉄筋間隔に問題があるとか、橋が落ちるのを防止する装置の箇所数の数に間違いがあるとか、そんな多数の不手際が見つかり、県が点検を依頼したコンサル会社の指摘では、橋の上部工本体が輸送困難なブロック割りとなっているほか、橋全体の動的解析が不十分など、橋の安全性や橋の完成そのものが疑問視とされる意見までが出されています。しかし、この設計図は県の納入時の検査を通り、橋脚と片一方の橋台も既に完成をして、県の完成検査をそのままパスしてきているんですね。この事件は、県の工事や県政そのものへの信頼性にかかわる問題だと指摘せざるを得ません。
 県土整備部長に三点お聞きします。
 まず、これまでに判明した設計ミスの内容と、なぜそうした設計ミスが起こったのかについて明らかにしていただきたいと思います。
 また、大量の手抜き設計を県が検査をしたのになぜ見抜けなかったのか、この点についても見解をお示しください。
 また、地元の業者からミスが指摘されて、もう一年近くも工事がとまったままになっています。なぜ解決がおくれてきたのか。そして、今後、この問題の解決だけでなく二度と重大な設計ミスを見逃さないための体制・制度づくりが必要だと考えますが、見通しをお聞かせください。
 最後に、生石高原県立自然公園にかかわってお尋ねをさせていただきます。
 今議会には生石高原の家の休止にかかわる議案が上程されています。私は、調査のために何度か生石山に足を運びました。青少年施設としては利用が極端に少なくなった状況も聞かせていただき、施設の雨漏りの様子や傷みぐあいも見せていただきました。「休止はまことに残念ですが、せっかくこの生石高原の自然公園にある施設を何とか別の方法で活用したい」、そういう声が出てきています。地元の生石区も、区として「せっかくの施設だからもったいない。自分たちで補修をして高齢者や子供たちの施設や都市との交流施設なんかができないか」、そういう豊かな構想を今練っているようです。また生石山にかかわるNPO法人が、ビジターセンターとか活動拠点を求めているという話もお伺いしました。さまざまな活用方法が考えられるでしょうし、今ご紹介したような考えも、それぞれに意気込みのある、すばらしい情熱が感じられるものでした。ぜひ今後の利活用については、地元金屋町も交えて、地元区やNPO団体など生石高原を愛する人とともに知恵を寄せ合って、十分に検討して方向性を出していただくようお願いをするものです。
 この生石高原自然公園は、近年小さくなったススキ草原を復活させようと県や知事も力を入れていただいて、ことし二回目の試験的な山焼きが予定されています。この間の何回かのススキ刈りボランティアや昨年から始まった山焼き、また緑の雇用を活用した灌木の除去などが相まってススキ草原が復活し、昔の生石山がよみがえってきたと大変喜ばれています。
 今回、それに加えてうれしいニュースがありました。生石山の山頂のすぐそばに、何と小さなわき水があるんですね。いわれによると、その昔、弘法大師が新しい聖地を求めて生石山に来て、山頂から眺める余りの景色の美しさに感じ入り一筆記そうとしたが、懐の矢立てに一滴の水もなかった。そこで足元の岩を掘ってみるとわき水がにじみ出てきて、この水はどんな日照りでも切れることなく、後に「すずり水」と呼ばれるようになったと言われています。あちこちにある弘法大師伝説の一つでしょうが、山頂近くに水がわいているというのは本当に不思議なもんです。そして、このわき水の周りには、高層湿原にしかない貴重な植物や花が自生しているんです。ところが、ここも灌木が進入してきたり人が踏み荒らすことによって湿原が小さくなっていたのですが、今年度、生石山の大草原保存会の皆さんが県の事業委託を受け、木製の歩道を整備してくれました。その木材は付近の森林を間伐した間伐材を利用しています。木材をみんなでかつぎ上げ、灌木を切り、訪れた人がススキ草原特有の草花とともに高層湿原ならではの草花も楽しむことができるようになったんです。手づくりのきれいな看板もかけられました。ちょうど山焼きのころにはショウジョウバカマがきれいなピンク色の花を咲かせるということで、大変楽しみにしております。
 木村知事も、昨年の山焼きも含め、何度も生石山に登ってきていただいたと聞いています。そして、「山焼きの後はきれいになるなあ」とか、「それにしても道が悪いなあ」とか、いろいろ感想を述べられているようでありますが、ぜひ知事には生石高原自然公園の位置づけや思いとともに、ススキ草原復活のための山焼きについて所見を伺います。そして、環境生活部長より生石高原の家休止後の利活用について答弁をお願いして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、カゴメのトマト栽培施設誘致についての考え方でございますが、これは加太のコスモパークの利用ということで、環境に優しいものの誘致ということの中で出てきたものでございます。そして基本的には、これは和歌山県にできなくても近畿の他の県に誘致されるということになっておりまして、そこで一定量のトマトができてくるということは、これはもう和歌山に来なくても起こり得るというふうなことが一つあるわけでございます。
 ただ、そのことで和歌山県内のトマトを一生懸命生産している人たちが被害をこうむることのないようにすることは、これはまた別の問題で、非常に大事なことだというふうに考えておりますので、この問題、他にこういうふうな工場ができたところでは、カゴメと農家との間で契約栽培をしているというふうなところもございますので、そういうふうな例を引きながら和歌山県が全体としてトマトの産地として栄えるというふうな形を目指していきたい、このように思っております。
 それから次に市町村合併について、まずすべてのことをまとめ上げてから合併すべきじゃないかということでございますけれども、これについては、また新しい法律もできるということがきょうの新聞にも載っておりましたけども、やはりかなり急ぐ施策として進められてきている。そういうふうな中で、すべてのことを全部決まった後でやっていくということではやはり大きなことが進まないということもございますので、合併しようと──これはもうもともと地域の意思でございますけども、地域の意思が大事なんだけど、そういうことに決まったところについては、必ずしもすべての細部までが合致できなくても進んでいくという方向も僕は一つの方向であろうというふうに考えているところでございます。
 それから、自然環境保全と公共事業ということでございます。
 公共事業、今まあいろいろなことが言われるわけですけども、やはり地域では非常に公共事業を望んでいるというふうな面があるわけです。ただ、和歌山県なんかの場合、特に自然環境の保全ということもこれまた県是として非常に大事なことでございますので、こういうことに合ったような公共事業のやり方、例えば県産材を使った土どめ工であるとか、いろんな新しい方策を考えて、環境に優しい公共工事ということもどんどん和歌山県では進めておりますし、それから当然のことながらそういうふうな守るべきもののあるようなところについては十分調査して対応していくということが必要である、このように考えております。
 それから最後に生石高原のススキの山焼きですが、これはまあ私が若草山の山焼きにヒントを得て、こういうふうなことをやっていけば本当に和歌山県の生石高原というのがもっともっと売り出せるんじゃないかということで町長さん方に話したのがきっかけなんですけども、その後、関係者の方々がいろいろ努力されたり、そして県も防火水槽などに補助金を出したり、いろんなことで去年第一回目が行われました。その結果として、去年は面積が非常に少なかったんですけども、そこの部分の次に生えてきたススキは非常にいいものが生えてきたということで、ことしは十倍の面積になってやるということで、私はこれが本当に和歌山県の一つの風物詩になっていって、外からもたくさんの観光客が来るようなものになっていけば地域の振興にも役に立つのではないかと大いに期待しておりますし、私自身もまたことしも行こうというふうに思っております。
○副議長(吉井和視君) 農林水産部長阪口裕之君。
   〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 農業施策についてお答えいたします。
 まず、来年度予算におけるミカン対策の位置づけと重点施策についてでございますが、ミカン対策につきましては果樹振興の重点に位置づけております。マルチ栽培の拡大とゆら早生などの優良品種の早期産地化を積極的に推進するとともに、光センサー選果機の導入や需給調整、経営安定対策、消費拡大対策に強力に取り組むこととしてございます。
 特に平成十六年産からは生産履歴がわかるトレーサビリティシステムを導入し、消費者の安心・安全指向に対応した販売対策を強化するとともに、有田地方で取り組んでございます高級ブランドまるどりみかんの生産拡大を図ってまいりたいと考えてございます。
 さらに、有田地方の貯水タンクの整備につきましては、タンクの現状診断を実施するとともに、必要に応じ改修する予定でございます。
 また、食育の推進につきましては、若年層を中心とした食の乱れを是正し、健全な食生活を構築するために重要な課題と考えてございます。国におきましても、今国会で食育基本法が成立する予定と聞いてございますが、県では既にJA組織の協力を得て、本年一月に県産ミカンを和歌山市内の全小学生等に配布する「みかんで元気!キャンペーン」を実施したところでございます。今後は、このようなキャンペーンとともに、各地域の自主的活動を支援する形で食育をより強力に推進してまいりたいと考えてございます。
 次に高病原性鳥インフルエンザ対策についてでございますが、県内養鶏業者に対する発生防止対策につきましては、本年一月に国内で発生が確認されて以降、モニタリング検査につきましては四百四十検体、病死鶏等の検査につきましては二百検体実施するなど、検査体制の強化を図るとともに、養鶏農家への立入検査や学校飼育動物・愛玩動物についても指導と監視を強化してございます。今週中には養鶏農家の一斉消毒の実施や千羽以上の飼育農家の死亡鶏羽数についての報告を求めるなど、防疫の強化を図ることとしてございます。
 また、鶏用のワクチンにつきましては、国において広域的な発生に備えて備蓄がされておりますが、ウイルスの常在化につながる可能性があることから、現在のところ発生鶏の摘発淘汰による蔓延防止の方針となってございます。
 次に、二点目の、鳥インフルエンザと疑われる病死の鶏が出た際の初動体制の点検・強化を進めるとともに農家への補償確立をについてでございますが、県内の発生時には「高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアル」に沿って対応することとなりますが、全庁的な体制を整備するために、三月二日に和歌山県高病原性鳥インフルエンザ対策庁内連絡会議を設置したところでございます。発生時には直ちに庁内連絡会議を対策本部に切りかえ、初動防疫の徹底による蔓延防止、資材等の確保、風評被害の防止等、全庁体制で総合的に取り組み、機動的に対応してまいりたいと存じます。
 また、発生した場合の農家被害につきましては、発生農家だけでなく、半径三十キロメートルの移動制限区域内で大きな損失が予想され、国に対して新たな補てん措置の確立を要望するとともに、県といたしましても適切な措置がとれるよう努力してまいりたいと存じます。
 次に、カゴメ株式会社のトマト栽培施設誘致による県内トマト生産農家への影響と対策についてでございますが、農林水産部では、昨年十二月にカゴメ株式会社によりコスモパーク加太におけるトマト生産計画について説明を受けるとともに、この計画に対する農家の不安の声に対応し、説明の場づくりを関係団体等に働きかけてきたところでございます。その結果、本年一月二十三日に、県農業者団体が中心となり、各JAの関係者はもとより、オブザーバーとして和歌山市、県養液研究会の関係者の出席のもと、カゴメ株式会社のトマト計画の説明会が開催され、関係者との意見が交わされてございます。
 県といたしましては、今後とも農業団体や各種組織を通じ、生産農家への説明の機会を設ける一方、あわせて農家との連携を密にしながら産地体制の強化を図ってまいりたいと存じます。
○副議長(吉井和視君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併についてお答えをいたします。
 県内の市町村は交付税への依存度が極めて高く、今後も引き続き交付税総額の減少や小規模団体への手厚い措置であります段階補正の減少が見込まれることなどによりまして、より一層厳しい財政状況が予測されます。さらに、人口減少や高齢化が非常に速いペースで進んでいるという事情もございます。
 県といたしましては、本来の趣旨にのっとった三位一体の改革とするよう、今後とも強く国に訴えていきたいと考えておりますが、今後の社会経済情勢や国・地方を通じた厳しい財政状況を踏まえますと、現状のままでは今後住民のサービス・負担や地域の活性化に相当程度の影響が出かねないのではないかと大変危惧しているところでございます。
 市町村合併は、そのことによるスケールメリットを生かして市町村の行財政能力を高めるものでございまして、大幅な経費削減が見込まれるほか、国からの財政支援により行財政基盤を強化して将来的に持続的な行政サービスの提供が可能となるものと考えております。
 ご指摘のメモにつきましては、説明会等で客観的な情報を示した資料の一部として、こうした見通しについての実際の説明を行う際の参考に供したものでありまして、またその際には自主的な合併を尊重する立場で説明をしているところでございます。県の考え方は、そうした説明全体でご理解いただきたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 自然環境保全と公共事業についてでございますが、まず仮称・有田川マリーナの件ですが、有田川河口付近の不法係留船対策は長年にわたる懸案事項であり、地元自治会や有田市からも早急な実施に対する強い要望を受けていたところでございます。このため、治水面への悪影響の排除、河川の利用環境や景観の改善に重点を置く余り、干潟の生物環境への配慮が欠如していたところでございます。
 また、金屋町伏羊の県営農道事業の件につきましては、平成七年度に事業着手し、このうちシリブカガシ群生地付近につきましては平成十二年度から工事を行いましたが、重要な群生地であると気づかず、その一部を伐採してしまったところでございます。
 今般の事態に至ったことを真摯に受けとめ、今後はこのようなことがないよう環境部局との連携を密に、レッドデータブック等を活用しつつ、公共事業の必要性そのものについても十分認識しながら、環境とのバランスのとれた公共事業を進めてまいりたいと考えております。そのためには、担当者の環境に関する意識の向上や知識の習熟も必要であり、研修等を通じて職員の技術力向上に努めてまいります。
 次に国道四百八十号三田バイパスの橋梁設計ミスについてでございますが、まず今回の経過について申し上げますと、この設計業務は平成十一年度に発注した業務でございます。その設計に基づいて橋台の工事を行っていた昨年四月、設計に疑義があり、チェックを行った結果、橋台の橋げたを支える部分の寸法不足、耐震装置の設計不備、橋脚の鉄筋不足等の設計ミスが判明いたしました。原因につきましては、設計請負業者の技術力不足と照査不足であると考えており、このことは業者側も認めているところであります。
 検査は、本来、請負業者が照査を含め誠実に業務を履行することを前提に行うものであり、業者に責任がありますが、結果として設計内容に係るミスを見抜けなかったことは、まことに遺憾であります。
 設計ミスが発生した場合、その設計業者が修正するのが通常であり、本件においても年末までに十数回の協議を重ね、修正をさせてきたところでございます。その後、確認のため外部に照査委託を行ったところ、先月までに依然多くのミスが判明しましたので、設計業者に対し、県指名停止等措置要綱に基づき、昨日六カ月間の指名停止を行ったところでございます。今後、さらに設計及び施工済みの工事の手直し費用の損害賠償請求をしていく考えであります。
 また、今後の再発防止策としまして、設計業者に対し、照査技術者の届け出、照査報告書の提出を義務づけることとしたところでございます。
 また、県においても設計協議及び検査時に設計照査要領によるチェックの充実強化を図るとともに、新年度から新たに職員の技術力向上プログラムを実施していくこととしております。
 いずれにいたしましても、供用開始がおくれることとなりご迷惑をかけましたことに対し、地元並びに県民の皆様におわびを申し上げるとともに、今後、供用開始のおくれが最小限になるよう取り組んでまいりたいと思います。
○副議長(吉井和視君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 有田川河口の重要湿地及びシリブカガシ群生地と公共事業との関係についてでございますが、一定規模以上の事業実施につきましては、環境影響評価法や県条例により、事業による環境への影響を総合的に評価することとなっております。法や条例の対象とならない事業につきましても、平成十二年に「地域整備における環境配慮の手引き」を作成し、関係課室に配付することにより、環境に配慮するよう促してきたところであります。その後、状況の変化もございますので、この手引の改訂の際には、平成十三年に作成いたしました和歌山県レッドデータブックや新たに選定された重要湿地の内容を織り込むとともに、今回議員ご指摘の有田川河口の重要湿地及び金屋町のシリブカガシの教訓を踏まえまして、その活用について周知を図ってまいります。
 なお、有田川河口のマリーナ建設計画における重要湿地の件につきましては、周知不足があったため、環境への配慮が欠けたことを反省いたしまして直ちに関係機関に通知したところでございます。
 今後とも、工事の計画策定に当たっては、環境への配慮を一層働きかけるのはもちろん、環境研修など有効な取り組みにつきましても工事担当部局と連携してまいります。
 次に生石高原の家休止後の利活用についてでございますが、県立生石高原の家につきましては、団体生活を通じて心身ともに健全な青少年の育成を図るために昭和五十三年に設立されました。しかしながら、建設から二十五年余り経過し、社会情勢の変化並びに施設の老朽化等により利用者の減少が続いており、この間、種々利用促進策を講じてきたところでもありますが、施設を取り巻くさまざまな要因から減少傾向に歯どめをかけるに至らず、平成十六年四月から休止いたしたいと考えております。
 議員ご指摘の当該施設の今後につきましては、施設の老朽化など、利活用についての厳しい条件もございますが、地元金屋町を初め、地域住民、NPO団体等の皆様のご意見をお聞かせいただきながら検討してまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 再質問させていただきます。
 生石山や環境問題については大変いいご答弁いただきました。お礼申し上げます。しかし、三点にわたって再質問をさせていただきます。
 一つ目は、トマトの問題です。カゴメの誘致の問題で知事に再質問します。
 知事は、「地元農家とカゴメの誘致ということはうまくやっていけるように思う。やっていくようにしたい」、そういうふうにおっしゃいました。しかし知事、広島ではあのカゴメのハウスが来て、地元の産地でもう生産をやめてしまったというところも出てきている、そういうふうに農家は聞いているようです。また、「今回一月の二十三日にJAがカゴメを呼んで説明会をした」と言うんだけども、県の方は農家に対して説明をまだやってきていないし、調査すらやってきてないと、僕思うんですよ。私は、自分の今回の問題に対する見解も申し上げましたが、私は今回の質問で農家の生の声を取り上げたのが中心なんです。そして、農家に向かってこたえるべきだと問うたわけです。カゴメの計画について農家はどんなふうに受けとめているか、感じていただけましたか。「県は、わしらのトマト農家に対して何の説明もない。影響なしだとでも思っているのか」というふうに考えているわけです。決まってから説明されてもどうしようもない。「カゴメにこれだけ力を入れておいて、これでは県内農家は切り捨て御免じゃないか」と、そんなふうに県に対して厳しい意見が出ているわけです。これはトマト農家に限ったわけではありません。ですから、カゴメ誘致成功というのを最優先課題に今回してきて、農家への影響、この説明が後回しになっているのではないかということを私は指摘したいと思うんです。知事が先頭に立って、県は農家とひざを詰めて対話すべきだということを求めたいと思いますが、知事の答弁をお願いいたします。
 二つ目は合併問題です。
 知事は、「全部決まってからでなくても、すべてでなくてもいい。合意したところから始めてもいいんじゃないか」という答弁だったし、部長は「客観的な説明なんだ」というお話でありましたが、私は、重要問題で次々と先送りが指導されている、この問題を指摘しているわけです。言っていることとやっていることが違うんだということを言いたいんですね。
 例えば吉備・金屋・清水三町の合併協議会では、庁舎問題の小委員会で、結論先送りで、先を急がせる発言を県職員が何度も繰り返しています。市町村課のメモについても、部長は「説明全体でとらえてほしい」というお話でしたけども、二月に有田で行われた県市町村課の説明会では、調整困難な事項についてはこんなに言っています。「新しい町の中で考えたらいい。先送りも積極的に使う。庁舎も、名目上の庁舎を決めて現状維持もある。いろんな方法がある。名目上の庁舎にし、合併後に本当の庁舎を決めていくところもある」と力説しているんです。そして、「名目にこだわって三百億円の特例債をつぶすな。水道料金や福祉バスなど、二、三億円のことで合併を壊すな」と言っているんです。庁舎に名目だの本当だのと言われた日にはあいた口がふさがりませんし、水道や福祉バスをどんな苦労して市町村が運営しているのかと思うと、三百億と、たかが二、三億円と言われれば、本当に聞いているものは札束で顔をはたかれたような気持ちになるものです。
 「先送りも積極的に使う」、こんな説明が行き過ぎではないとおっしゃるんですか。情報提供と客観的な説明とおっしゃるからには、名実ともにそうあるべきです。もう一度知事の方からまとめてご答弁を願います。
 三つ目には、蘭島の清水町の三田バイパスの橋の件です。
 土曜日に現場を調査に行きました。言葉でなく、設計ミスが具体的に見えてきました。橋を乗せる基礎、橋台に四つの穴があいていまして──これは地震なんかのときの落下防止の接続部なんですが──この四つの接続部が二つの穴で固定されるというふうな強度計算がされていた。だから、四つでとめてしまったら、もし揺れたときに基礎自体が壊れてしまって役をなさない、こういう話なんですね。そんな説明を聞くたびに「ええっ」と、こう一々耳を疑いました。なぜそんな手抜き設計がされたのか、そしてなぜ県がそれをわからなかったのか。疑問は深まるばかりなんですね。
 県土整備部長に再質問します。
 再発防止策として技術力向上をお答えになりましたが、それは当然のこととして、第三者の専門家のチェックなど、重大な設計ミスにかかわる部分はそういうチェック機能がこれからは必要ではないでしょうか。そして、「今後必要な予算措置は改めてやる」というふうにおっしゃいましたけども、「供用のおくれが最小限になるように努力」というふうな回答もありました。しかし、一年間これだけおくれてきている、地元への説明がないというのに、この議会に向けて議案が用意されていない。これ、僕、おかしいと思うんです。対応、遅いんじゃないですか。以上、答えられる範囲でお答えをいただきたいというふうに思います。
○副議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) カゴメのトマト工場の件について、地元の農家の方々にいろいろ不安があるということは私も聞いております。そして、先ほど言いましたように、このトマト工場自身は、これはまあ和歌山県にできなくてもほかのところへできると。そして、和歌山県でもたくさんの方々が誘致の陳情というんですか、こういうふうな紙をたくさん持ってきて、ぜひ誘致してほしいというふうな動きも実はあるわけです。だから、これはやっぱり両々相まって考えていかないといかんということで、私はこの農家の方々にどういう状況であるのかということについて十分説明をし、そしてまあ先ほど申し上げましたようにそのカゴメに委託販売──委託して栽培するというような方法とか、いろんなやり方があると思いますので、こういう面についても県がやはり仲介の労をとって説明していかないといかんというふうに思っていますので、これについてはもちろん前向きに対応していきたいというふうに思っております。
 それから合併について、大きな問題を先送りしながらどんどん進めているというお話がありましたけれども、何が大きいかというのはなかなか難しい問題なんだけども、勉強でも何でも、一つのところにひっかかってしまってずうっとそのことを考えていると、後やらないといかんことがたくさんあるのにやれなくなるというふうなこともあるので、そういうふうなことも勘案しながらトータルとしていろんなことを考えていくのがこの合併の問題では僕は大事なことだろうと思いますし、そしてまたそういうふうな過程の中で、初めは越えることができないような大きな隔たりだと思われていたようなものが埋まることもあるというふうなことで、私は、必ずしもすべての事柄にかっちりした答えを出さないとできないというふうなものではないし、そしてまたそれは地域の考え方というふうな中で進めていってもらえばいいというふうなことで進めているということで。何でもどんどん先送りしてやっていけばいいということを言っているわけじゃないことはご理解いただきたいと思います。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、第三者のチェック機能をというご提案でございますが、今後の検討課題として検討したいと思います。
 それから、そもそも対応が遅いということでございますが、先ほどもご説明したとおり、業者とのやりとりに時間を要したということでございまして、この点についてはまことに申しわけないと思います。
 今後のことでございますが、お金の詰めをしまして、業者に求めるべきものは求めていきたいと思いますし、また供用開始のおくれを最小限とするべく今後必要な手続をとらせていただきたいと思っております。
 よろしくお願いいたします。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 カゴメの問題ですが、知事は、「何とか農家の説明するためにこれからも話し合っていきたい」というふうな答弁でありました。農家の方は、「役員さんには話は聞いているけど、農家自体は聞いていないし、本当に私らのことを思ってくれているのか」という信頼関係のところで思っているわけですから、ここはぜひ農家との説明をしていただきたいし、水面下での進出協定、企業とのいろんなやりとりもあるでしょう。でも、それは県民には見えてこないわけで、決まってからこう発表されるということになるわけですから。そうじゃなくて、農家との説明は、それはそれで進めていくという点を要望しておきたいと思います。
 それから合併の方ですが、「何が大きいかが大事だ。大きい問題にもよる」というお話でしたけども、先ほど私が申し上げた吉備・金屋・清水の合併協議会で言うと、庁舎をどんなふうに運用するか、どこに庁舎を置くかというのは、これは重大問題中の重大問題です。新しい町をどんな町づくりするか、町の骨格・背骨をどうするか、どういう絵をかくかということの本当にスタートの問題なんですね。その協議の結果を聞いて、「じゃ、そういう合併なら私は賛成だ」「そういう合併なら私は反対だ」、そういうふうに住民がその合併の方向に対して判断をする。これがやっぱり方向だと思うんですよ。ですから、「決して次々と先送りするわけじゃない」というふうにおっしゃいましたが、本当に名実ともにそういうような県の姿勢になるように改善を求めておきたいというふうに思います。
 最後に三田バイパスの話ですが、地元は、一日も早い完成を多くの人は求めています。再設計を委託するなり、その事業を進めていこうと思えば、実際もう仕事は進めていかなきゃならない。で、議会にも、いや県民にも理解を得て議案も通していかないといけない。これ、並行して進めていかなければならないと思うんですよね。ですから、本当に今までこんなに後手後手におくれてきていたこの反省に立って、一日も早い完成を求めて要望とかえたいと思います。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。

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