平成16年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(花田健吉議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十七番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 ただいま議長のお許しを賜りましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきたいと思います。
 まず質問に先立ち、先般、国際貢献のもとイラク復興支援に派遣され、ご活躍されております自衛隊員の皆様に深甚なる敬意と感謝を申し上げたいと思います。また、それぞれの家庭にあって隊員の無事帰還を日々祈っておられるご家族の皆様に対しても、心中お察し申し上げますとともに、心から感謝を申し上げたいと思います。
 またもう一点、この二月八日──二月の第二日曜日になるんですが、私の地元の煙樹ケ浜の本ノ脇地区において、県当局のご配慮により約千本の松の苗を植えていただきました。昨年要望したんですが、県当局の迅速な対応に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。また、その際ボランティア活動に参加された──当然、美浜町の自衛隊の皆さんもボランティアにご参加いただいたんですが、そのボランティアの皆様にも、この場をおかりしまして心から感謝と敬意を申し上げたいと思います。
 それでは、早速一般質問に移らせていただきます。
 私は、去る二月の十二、十三日、県土整備部道路保全課の方と古久保龍神村長さんのご配慮により龍神村後藤観光課長、山本勝一副議長、古久保博文村議のご同行をいただき、鳥取県米子市に米子大山線無散水融雪装置の視察に行ってまいりました。これは、かねてから申し上げております高野龍神スカイラインの冬季凍結についての問題について、先進県であります鳥取県に学びたいと考えたからであります。
 鳥取県当局のご配慮により、西部総合事務所長を初め県土整備局維持管理課の皆様に温かくお出迎えをいただき、融雪に対するさまざまな施策を懇切丁寧に、また詳細にわたりご説明を賜り、さらに現地視察等、積極的にご指導・ご協力をいただきました。まず、鳥取県当局のご厚情に、この場をおかりして心から感謝を申し上げる次第であります。
 さて、米子大山線は、大山隠岐国立公園第一種特別地域内の主要な観光道路であります。周辺にはスキー場があり、冬季には多くのスキー客に利用されるとお聞きいたしました。雄大な冬の大山は、しばし見とれてしまうほど荘厳で、かつ優雅であり、その雄姿はまさにその名にふさわしく見る者を圧倒し、心をとらえて離さない魅力的な景観でありました。また、改めて冬季の高野龍神スカイラインの観光道路としての重要性と観光資源としての可能性に思いをはせた瞬間でもありました。その地域を取り巻く道路やその他の県営施設に対する取り組みも景観を重視し、その魅力を思う存分引き出すように工夫されているようにも感じました。しかし、融雪対策の先進県の鳥取県ではありますが、米子大山線の冬季においては何カ所か凍結・積雪し、大変危険な区間があり、このたび視察させていただいた区間もその一つだとお伺いいたしました。
 そこで、鳥取県はこの区間の冬期交通安全確保のための除雪対策として、機械除雪を基本としながらも、急勾配・急カーブ等で機械除雪だけの対応だけでは困難な区間などでは消雪・融雪施設を設置して冬期交通安全確保に努力されておられました。消雪・融雪施設には、最も経済的な施設は水を流す消雪パイプの設置だそうですが、地下水、河川水などの水源がない、また一月の日最低気温の平均がマイナス一度以下になる、カーブ部など局部的な融雪が必要等の条件下においては消雪パイプの設置は効果が少なく、このたび無散水融雪装置を設置したとお伺いいたしました。
 無散水融雪装置とは、地下百メートルまで垂直ボーリングし、パイプを敷設し、地熱を吸収したパイプ内の不凍液が路面に埋設した放熱管を熱交換機により循環させ、道路を温め融雪する設備のことであります。しかし、まだこの融雪装置は開発されて間もないために全国的にも普及されておらず、消雪パイプ設置による融雪がメートル当たり約十五万円なのに対しメートル単価が百万円と極めて高く、雪寒地域に指定され、雪寒事業により国から補助をいただいている鳥取県だからこそできる事業であり、雪寒地域に指定されていない和歌山県の高野龍神スカイラインには高ねの花だなあと認識を新たにいたしました。将来的には、どうしても通行困難な箇所には有効な施設であることは間違いありませんが、今後どうしても対応を迫られたときの施設の一つとしての評価に今回はとめておくのが妥当だと感じました。
 だからといって、私は冬の高野龍神地域が我が県にとって貴重な冬の観光資源であることについての認識が薄れたわけではありませんし、高野龍神スカイラインの冬季通行可能なスカイラインの整備促進をあきらめたわけでもありませんので、当局においては「もう花田もとうとうあきらめたか」と誤解なさらないように引き続きご検討いただくよう、重ねてお願いを申し上げます。むしろ、本会議冒頭、知事の説明の中で知事自身が世界遺産登録と観光振興の中で述べられているとおり、国内外にも積極的にPRし、大型観光キャンペーンや国の事業であるビジット・ジャパン・キャンペーンと連携しながら誘客を図るとの力強い表明を出されております。そうなりますと、フルシーズンお客様がお越しになるのではと期待に胸がときめきますが、ますます冬季高野龍神スカイラインの利用客も激増し、交通事故や積雪・凍結により立ち往生する車が続出するのではないかと心配も増してきます。
 ご同行いただいた龍神村の観光課長からお聞きしたのですが、「ことしの冬は何回かスカイライン内で立ち往生している車の方から救助の連絡があり、もし携帯電話のつながらないところであれば凍死するのでは」と、大変心配をされておられました。何といっても最低気温がマイナス六度まで下がる地域でありますが、観光客の方はほとんど認識されていないようで、「万が一にもそのような不幸な出来事が起こらないことを現時点では祈るのみだ」と申されておられたことを思い起こすとき、私もますます無関心でいることはできません。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 将来の見通しで結構ですので、今後の高野龍神スカイラインの観光道路としての位置づけと高野山・熊野三山を結ぶ重要路線としてのご認識と、それに伴いフルシーズン利用できる路線としての今後の可能性についてお考えをお伺いいたしたいと思います。
 次に、中国山東省との姉妹都市についてお伺いいたします。
 我が和歌山県と中国山東省との友好提携は、昭和五十九年四月十八日に締結いたしました。以来、教育・文化・産業・観光等、さまざまな分野において交流を重ねてまいりました。昨年十一月には中山副知事を団長として山東省を訪問いたしましたことは昨年の十二月議会において同行先輩森正樹議員から報告されておられますが、その際、山東省の方から「いよいよ来年は和歌山県との姉妹都市を締結して二十周年になりますね。山東省は山口県とも一年早く姉妹都市を締結しており、ことしが二十周年の年でした。そこで記念行事として山口県の交流使節団の皆さんがたくさん山東省にお見えいただき、盛大に開催されました」とお伺いいたしました。
 そこで、我が和歌山県としては、山東省との二十周年記念事業についてどのような対策をお考えなのか。十二月議会で森議員よりご質問がありましたが、いよいよことし二十周年の年になりますので、より詳細に、かつ具体的にお答えをいただきたいと思います。
 昨年の訪問は関西空港のプロモーション活動で参りましたが、先ほどの世界遺産登録とも相まってお互いの交流をより一層活発化させることも考えなくてはならないと思いますし、期待もいたしております。何といっても山東省は人口九千二百万人も有し、また経済も順調に発展しており、そしてそれに伴い生活水準も伸びていると聞き及んでおります。また我が国の安全保障が、先般の日米中韓露朝の六カ国協議の推移を見ましても決して安泰ではないということが再認識されたところであります。国の外交政策も大変重要であることは言うまでもありませんが、それに頼るばかりではなく、我が県も積極的に姉妹都市提携等を活用し、日ごろからいろいろな地域と交流を深め、積極的に友好関係を構築しておくことは我が国の安全保障上最も大切なことであり、その効果ははかり知れないものがあると考えます。特に、観光等を通じてお互いの国や地域の文化や歴史・習慣等を理解し合うことこそ真の平和につながると思いますが、いかがですか。山東省との姉妹都市提携二十周年を契機に国際交流の果たす役割についてどうお考えなのか、知事にお伺いをいたします。
 この際、中国山東省の方に紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録をPRする絶好の機会と考えますし、またさらに二つの大イベントを組み合わせることによりその効果が倍増するように思います。そこで、それに伴う記念事業等の計画が予定されていることと思いますが、どのようなスケジュールで、どのような規模で計画しているのか、公室長にお伺いをいたします。
 近い将来、中国は我が県において、観光のみならずあらゆる産業に大変大きな影響力を及ぼすことが予想されます。県内企業で中国、特に山東省に進出している企業があるとお聞きいたしておりますが、その現状と、今後も進出したいと希望する企業があるのではないかと考えますが、あるとすれば県当局においてどのような支援措置があるのか。商工労働部長にお答えをいただきたいと思います。
 教育関係については、県立南部高校が山東省の済南第一中学校及び済南農業中学校と姉妹校を結び、隔年に相互訪問されているとお聞きいたしております。県内にはほかにも姉妹校として交流を深めておられる学校もあるとお聞きし、青少年時代に他国と交流する機会を与えることは教育上大変有意義だと考えますが、本県の高等学校がどのような交流をしているのか、その状況について教育長にお答えいただきたいと思います。
 山東省との交流について、観光や経済・教育についてお伺いしたのですが、さらに関西空港に山東航空の直行便が就航されるとなれば、あらゆる意味において大変な効果が期待されるところであります。
 私は、昨年のプロモーションの際に中国側の前向きな姿勢を感じたところであり、本年夏ごろに開催されるであろう日本・中国航空当局間協議において山東航空が関西空港へ乗り入れすることができるよう国及び中国民用航空総局に対し当局がさらに強く働きかけることを希望いたしますが、これについては今回要望ということで、今後の当局のご尽力に期待をいたしたいと思います。
 次に、漁業後継者の現状と対策についてお尋ねいたします。昨日の前芝議員と少し重複する部分もありますが、当局の前向きなご答弁をお願いいたします。
 平成十三年、全国に占める和歌山県の海面における漁業経営体数は三千五百三十七経営体で、全国の二・五%であり、漁業就業者数は五千五百二十人で、全国の二・二%を占めていると統計が出ております。海面及び内水面の生産量は、平成十二年に比べ約六千六百二トン、一一・七%減少して四万九千八百三十三トンになり、全国二十九位であります。また、海面漁業・養殖業の生産額は五十四億六千九百万円減少して二百八十億四千九百万円になり、それは全国で二十位に位置しております。残念ながら平成十三年の資料しか手元にありませんでしたので、平成四年から十年間の間で五百八十経営体が減少しているということであります。減少した主な漁業種類は、敷網百三十一、釣り百二十八、刺し網百九、採貝五十六、マグロはえ縄二十八経営体であります。階層別では、動力漁船三トン未満が三百九十六、三トンから五トン階層が百十九経営体が減少した一方で、五トンから十トン階層が六十経営体増加しているということです。前年対比では百六経営体が減少し、動力三トン未満の層では全体の四七%を占めております。漁業就業者数も、平成四年との対比では千三百三十人減少し五千五百二十人になり、そのうち男子は千六十人減少して五千二百人になっております。また、六十歳以上の男子就業者数は六百人ふえて三千二百九十人になり、男子漁業就業者数に占める六十歳以上の構成比率も四三%から六三・三%と増加しており、漁業者の高齢化が顕著に示されております。さらにその後継者となると、十五歳から二十四歳までの男子に限ると百十人だそうです。単純計算しますと、十五歳から二十四歳まで十年間で百十人ということなので、毎年十人少しぐらいの新規就業者しか従事していない産業なのだと認識を新たにしたところであります。
 そもそも私がこのたびの一般質問に取り上げようと考えたのは、ことしの一月元旦早朝のNHKテレビの報道番組だったと思いますが、現在の漁業就業者の数が全国で二十三万人であり、後継者数はわずか千三百人しかいないとの内容を知ったからです。その数字が本当の数字なのか、もしかしたら私の聞き間違えではないのかと、にわかに信じることができませんでした。私の感覚では、漁業に携わっておられる方がもっといらっしゃるのではと思っていたからであります。前記の統計が平成十五年ではなく十三年のものなので、もっと進んでいると考えられます。一体、日本の漁業はどうなってしまうのか。農林水産業の中で比較的活力があった漁業と思っていたのは私の認識不足であったことを痛感いたしております。
 知事は、緑の雇用事業を初め、昨年から農業をも組み合わせた事業に大変積極的にお取り組みをいただいております。私も中山間地域出身ですので、日ごろ知事の政策に大変心強く感じておりますが、もしかすると水産業の方が事態は深刻化しているのではないか、また今後深刻化するのではないかと考えます。もちろん、その大きな原因の一つに我が国の沿岸漁業の漁獲高が年々減少していることはご承知のとおりでありますが、我が県は海洋県でもあり、有力な一次産業として漁業をその柱に位置づけ、振興を図ってまいりました。しかし、漁業就業者の減少は、漁獲高とか効率化とか労働条件とかの問題だけなのか、このまま統計どおり減少が進めばどのような事態になるのか。まさしくあすの漁業に対して一刻も早く対策を講じるときに来ていると考えます。
 知事は、平成十六年度当初予算を組むに当たり、青の振興和歌山モデル事業を提唱されております。その事業目的は、「ソフトによる海の総合振興策として水産物の販路開拓や漁家の収益拡大、都市との交流や観光、漁場環境の維持・保全に取り組み、漁業の就業機会の拡大を目指す」とあります。事業内容は、「和歌山県独自の海の総合的なソフト振興策を展開するとともに全国に発信していく」とあり、「紀州おさかな応援団に二百十八万七千円、ヒロメの産品化促進に百六十七万円、海遊モデルに九百三十万九千円、海の恵みネットワークに二百八十六万三千円、漁民の森づくり活動に八十万円を計上し、これらの事業を有機的に連携させ、ソフトによる海の総合振興策により漁業の就業の拡大を目指す」と述べられておられます。
 青の振興モデル事業の趣旨には私も大いに賛成ですけれども、十年後、漁業を取り巻く環境はさらに高齢化が進み、就業者の激減に伴い我が県の漁業はより一層深刻な状況になると予想されます。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 緑の雇用事業のようにもっと直接的な施策を早急に展開しなくては、近い将来、漁業就業者の確保に大きな課題を残すのではないかと思うのですが、いかがですか。
 漁業就業者の高齢化問題と就業希望者の減少に歯どめがかからない問題に知事初め当局の積極的なお取り組みをお願い申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
 私は、昨年九月議会においては東南海・南海地震において和歌山県の海岸の整備について、また十二月議会においては家屋の耐震強化について一般質問をさせていただきましたが、このたびは和歌山県が管理する道路における構造物に対して、耐震性及び耐震強化について当局の見解を承りたいと考えます。
 昨年、国土交通省は、地震が起こった際、その耐震性について全国の主要幹線国道の調査を行ったと伺いました。その結果、各路線において幾つかの問題箇所も新たに指摘され、順次改良していくとの見解が発表されておりました。国交省は和歌山県においても国道二十四号線、国道二十六号線及び国道四十二号線の橋梁等についての耐震調査を行ったと記憶しておりますが、当局においても県が管理する国道・県道等主要幹線道路の調査を行っていることと思います。大震災が発生した場合一番大切なことは、避難経路の確保は言うまでもありません。しかし、その直後の対策として緊急車両の進入路、救援物資等の輸送路の確保が最重要課題となることは、さきの阪神大震災の例をとるまでもなく、当然のことであります。いざというときに私たちの生命線とも言える幹線道路が各地で分断され、通行不能の状態に陥り、それぞれの地域が陸の孤島となり、緊急車両や救援物資が届かないのではないかと大変心配をいたしております。特に私たちの地域のように海溝型の南海地震を想定した場合、阪神・淡路地震のように被災地が局地的な地域の場合と異なり被災地が広い範囲に及ぶため、救援活動も困難をきわめるのではないかと懸念されております。空路や海路からも救援を行うことになると思いますが、それぞれの拠点からは陸路に頼らねばならず、当然、陸路の安全確保に努めなければならないと思います。
 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
 当局は、県内のどの路線を緊急輸送路として位置づけているのか、またどの橋梁等の耐震対策をするのか、さらにそれを補強するに当たりどのような補強が必要なのか、そして、その改修期間はいつから始まり、いつまでの予定なのか。以上についてお答えをください。
 次に、農薬取締法の改正と農薬登録の現状についてお尋ねをいたします。
 農薬とは、農作物等の病虫害等防除に使用される薬剤や天敵とあり、農作物等の生理機能の増進と調整に使用される薬剤であります。平成十四年七月三十日、山形県の業者が無登録農薬を販売したことから端を発し、その後、全国四十四都道府県約二百七十営業所で販売、約四千戸の農家に使用が確認されました。事態を重く見た政府は無登録農薬の問題を速やかに解決するため、また国民の食に対する不安感を増大させないため、農薬の流通・使用に伴う規制強化の必要性が緊急の課題となり、法改正が行われることになったと承知いたしております。
 昨今、我が国のみならず、米国においても狂牛病や中国・東南アジアから現在大変問題になっております鳥インフルエンザ──その感染した鳥の肉や卵が市場が出回るなど、問題はさらに深刻化し、我々国民の食に対する安全性に疑問を投げかけられることにしばしば直面をいたします。日本の食糧の海外依存率がますます高くなり、海外からの輸入農産物の残留農薬の問題も取りざたされる中、農家の方は日本の農産物の安全性を確保し、少し値段が高くても消費者の皆さんに安心してもらえるように日々ご努力いただいているわけですが、国際競争の波に押され、ますます厳しい状況に置かれながらも頑張っておられます。消費者の皆さんも、食の安心・安全の観点から言えば、もっと国内産の農産物を評価する時期に来ているのではないかと考えております。しかし現在、農業を取り巻く環境は極めて厳しく、このたび農薬取締法の改正が取りざたされたとき、農家では当初かなり混乱が起きました。今日に至っても農薬の使用品目及び使用方法が細分化され、適用作物以外では使用禁止となり、大変戸惑っておられます。
 例えばトマトとミニトマトや、サヤエンドウと実エンドウ、またシシトウとピーマンなど、農薬を使用するに当たり細かく使用方法が分かれ、生産品の大きさとかその食し方、形状によって異なる農薬の指定が行われております。食の安全性から言えば当然のことではありますが、反面大変複雑で、戸惑いの声が農家から上がっていることも現実です。また、現在使用している農薬に関しては二年間の経過措置を認められており、大きな混乱にはなっておりませんが、平成十七年以降から一体どうなるのか、農家にとっては大きな問題となっております。なぜならば、当地方においては大きな産地ではあっても全国的視野に立つとミニ生産地となり、農薬会社では製造コストの面から当地方の農産物に使用する農薬の申請をしてくれない場合もあると聞き及んでいるからであります。今まで使用できた農薬が登録経費がかかり過ぎるからという理由で見送られれば、使用できない農薬も今後出てくるのではないかと大変心配をいたしております。和歌山の産地にとってなくてはならない農薬についての登録はどうなるのか、当局の対応をお伺いいたします。
 また、もし知らずに無登録農薬を使用してしまった場合、農家が罰せられることは当然でありますが、その産地が受ける打撃ははかり知れないものとなります。隣の人が使用した農薬反応が使用していない近隣の田畑にも影響を及ぼすことも考えなくてはなりません。さらに、隣の田畑で違った作物をつくるとき、農薬を使用できないのではないかとの問題も場合によっては出てくるのではないかと予想され、農家にとっては経済的にも精神的にもかなり負担がかかってくるのではないでしょうか。こういう不安を一刻も早く整理し、農家の方が安心して農業を営めるよう県当局の一層のご尽力をお願いいたします。
 そこで、農林水産部長にお伺いいたします。
 この農薬取締法の改正に当たり、当局はどのような対策をしてこられたのか、またこれからどのように対処していかれるのか、さらに農家に対してどのように啓発していかれるのかをお答えいただきたいと思います。
 最後に、私の友人の一人に、有機農法ではなく農薬そのものをできるだけ使用しない農法に大変研究熱心で実践しておられる方がいらっしゃいます。彼の考え方は、植物が本来持っている生命力を引き出すことで防虫防疫に対処していくという方法であります。十六栄養素というのがあるらしいんですが、それをバランスよく地中に配合することにより、化学肥料や農薬だけに頼る肥料ではなく、地中に細かい毛根を張りめぐらし、植物本来の生命力を引き出す農薬に頼らない農業にも挑戦され、一定の効果を上げ、見事な農作物を生産していると聞いております。
 二十一世紀に新しい農法にチャレンジしている方もおられることをご紹介申し上げ、このような農法に対しても認識を深めていただき、さらなる農政の充実に期待を申し上げ、私の一回目の質問を終わります。
 ご清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの花田健吉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 高野龍神スカイラインの年間通しての利用ということでございますが、私もこれは非常に大事なことだと思っております。
 先日も花園村へ行きましたら、花園村の出している売店が、無料化したために三倍に伸びたという話もあります。そしてまた、龍神村でも大変な人の数が入ってくると。これが世界遺産に登録されましたらますますこの道の持つ意味というものが大きくなってくるんで、そうなってくると、やはり冬季も通して走れるというふうな仕組み、そしてまた安全に走れるというふうな仕組みを考えていくことが当然のことながら必要になってきます。
 ご質問にもありましたように、費用との兼ね合いもありますけれども、今後のそういうふうな動向ということを注意深く見きわめながら前向きに対応する方向で考えていきたいと、このように思っております。
 それから山東省との交流でございますけども、これまあ二十周年ということで、日本の県では和歌山県と山口県が山東省と友好関係を結んでいる。これ、二十年やってきたということは非常に貴重なことです。中国は今、生産の基地であるとともに、これからいろんな日本で生産されるものの消費地、また観光客の輩出地として大きな役割を期待されているところでございまして、この和歌山県、山東省との二十年間の友好ということを前向きに、いろんな面で和歌山県の活性化につながるようにしていく最初の年というふうな形でこの二十周年というものを考えていきたい。そのためにいろんなイベントとか、そういうことを考えていきたいというふうに思っております。
 次に漁業後継者の問題ですが、これはもう統計的に大変厳しい状況であるというのはご質問のとおりだと思います。これは和歌山県においても同じことで、和歌山県の場合、ただそうではあったとしても第一次産業を軽視して県の発展ということは考えられないということで、来年から地域振興策の三部作ということで、青の振興ということで漁業にも目を向けた地域振興を図ろうとしているところでございますが、ただ予算的には非常にまだ厳しいものがありますし、そして中身もそれほど十分に充実したわけではございませんけども、本当に和歌山県の漁業というふうなものが振興していくにはどういう形がいいのかということをこの青の振興策ということを通じて真剣に考えていきたい、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 知事公室長小佐田昌計君。
  〔小佐田昌計君、登壇〕
○知事公室長(小佐田昌計君) 山東省との二十周年記念事業についてでございますが、この二十年という記念すべき節目の年を契機に、さらに交流を発展させるべく事業を実施してまいりたいと考えております。
 具体的に申し上げますと、大規模交流団の相互派遣、職員の相互派遣を予定しております。大規模交流団につきましては、和歌山県と山東省の両県省民がそれぞれに約百名規模で構成し、それぞれの地において記念式典や交流事業を行うこととしております。さらに、世界遺産登録を目前に控えている紀伊山地の霊場と参詣道と山東省の泰山等の世界遺産を相互に訪れ、その歴史と文化にじかに触れることにより、人的交流と山東省からの誘客促進を図ってまいりたいと考えてございます。時期につきましては、派遣は五月、受け入れは秋ごろを計画してございます。また職員の派遣につきましては、両県省の今後の交流を担う人材を育成するため、それぞれ一名を派遣するということで現在調整しております。
 二十周年を契機に、民間の方々と協力しながら山東省とのきずなをさらに深めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 山東省との交流二十周年に関しての、進出企業の現状と進出希望企業への支援措置についてお答え申し上げます。
 まず進出企業の現状ですが、平成十四年に実施した調査では、機械、日用雑貨、衣料縫製など、既に二十六社が中国に進出し、山東省へは縫製と機械関係の二社が進出をしております。
 山東省とは、昭和五十九年に友好提携を結んで以来、協同組合への研修生の受け入れや県内企業と山東省の企業による商談会の開催など、さまざまな経済交流を進めているところです。また十六年度新規事業として、中国など海外向け高付加価値商品の開発や販路開拓に取り組む企業を支援するための予算も計上してございます。
 これまで二十年の交流で培ってきた山東省政府とのきずなを生かし企業間の交流を推し進めるとともに、昨年上海市に配置した中国人ビジネスコーディネーターによる情報の提供や実践的なアドバイスを行うなど、県内企業の中国ビジネスを積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 道路構造物の耐震対策でございますが、緊急輸送道路は災害時に物資等の迅速な輸送を確保するため隣接府県や防災上の拠点となる施設等を連絡する幹線道路で、地域防災計画の中で位置づけられております。
 本県では、県庁や和歌山・橋本・新宮等の各市役所、和歌山下津港や日高港等の重要港湾、南紀白浜空港など防災上の重要拠点を連絡し、県土の根幹的な骨格となる道路網として、高速道路、直轄国道のほか、これらの機能を補完し代替する国道百六十八号、三百十一号、県道和歌山橋本線など、県管理の幹線道路約三百二十七キロを第一次緊急輸送道路として指定しております。また、この第一次緊急輸送道路と各市町村役場や医療拠点等を連絡する第二次緊急輸送道路として、国道百六十九号、県道田辺龍神線など、約四百四十三キロを指定しております。
 次に耐震対策が必要な橋梁でございますが、緊急輸送道路にかかる十五メートル以上の橋梁は四百二十五橋ありますが、そのうち昭和五十五年以前の古い設計基準でつくられた橋で、主に第一次緊急輸送道路にかかる特に対応が必要な百十五橋について、来年度から十年間で重点的に耐震化対策を講じてまいります。
 また、補強方法といたしましては、耐震基準に基づき、橋脚にコンクリートを巻き立てたり、けたが落下しないよう落橋防止装置等を設置する工法を考えております。
 なお、来年度は、国道三百十一号の真砂大橋、日高印南線の野口新橋等、十二橋を予定しております。今後とも、道路構造物の耐震化対策について着実に進めてまいります。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 農薬取締法の改正と農薬登録の現状についてでございますが、議員お話しのとおり、使用基準が厳格に規定され、実エンドウなどでこれまで使用していた農薬が使えなくなったことから、農家、JA、また農薬販売業者段階での研究会等を通じまして改正内容の周知徹底に努めてきたところでございます。
 一方、農薬の登録拡大に向けた取り組みにつきましては、さきの六月議会におきまして補正をお願いし、全国に先駆け、登録のための試験をスタートさせたところでございます。また、国及び各府県との連携を図りながら農薬の登録拡大に努め、生産現場に支障が生じないよう積極的に進めているところでございます。
 さらに、生産農家に対する啓発につきましては、農業改良普及センターやJAによる研修会などを通じてよりきめ細かな情報提供を行うとともに、農薬の専門的知識を有する農薬アドバイザーを認定し、農家が安心して営農に取り組めるよう努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高等学校における国際交流につきましては、これまでも積極的に取り組んできたところであります。
 現在、県立高校十一校が海外に姉妹校を持ち、また六校が海外へ修学旅行や研修旅行に出かけるなどして国際理解教育を推進しております。
 山東省との間では、議員のお話にありました南部高校のほか、那賀高校、星林高校が姉妹提携を結び、相互にホームステイしながら中国舞踊や書道、生け花など伝統文化の交流を行っております。
 友好提携締結二十周年となる本年、これらの学校では相互訪問を予定しており、また山東省側でも、ことし夏に中高生や大学生が本県を訪問する計画があると聞いております。その折には県内の多くの学校で受け入れ、生徒との交流を行うなど、記念の年にふさわしい内容となるよう配慮してまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十四分休憩
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