平成16年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

平成十六年二月 和歌山県議会定例会会議録 第六号
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議事日程 第六号
 平成十六年三月九日(火曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに報第三号から報第五号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに報第三号から報第五号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十四人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       木   下   善   之
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       山   下   大   輔
     二十七番       前   川   勝   久
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     四十 番       新   田   和   弘
 〔備考〕
     二十六番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         垣   平   高   男
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員  森   本   明   雄
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
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  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに報第三号から報第五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十五番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 おはようございます。
 先日、星林高校の卒業式に、山下直也議員とご一緒させていただいて行ってまいりました。最初は期待していなかったって、言葉が適当じゃないかもわかりませんけども、まあ普通の卒業式なんだろうなと思いながら出席さしていただいたんですけれども、淡々と式は進み最後のところ、在校生が卒業生を送る送辞、これ、実は感動するような言葉を卒業生に対して送られていて、卒業生もその送辞に答えてどんな答辞を読むんかなというようなことを考えて──これは送辞がすばらしかったなと思っていたんですけれども、実はその答辞も送る言葉に負けないぐらいすばらしいもので、答辞作成委員会というのを高校の各クラスに一人ずつ委員を設けて、みんなでつくったそうです。それを聞かせてもらって、言葉ではなかなか表現が難しいんですけれども、感動しました。
 よく「今の若い人は」って言いますけども、そのとき思ったんですが、若い人には本当に可能性があって、やる気を出してやれば本当に大きな成果もしっかりと得られるような子供たちが今多いと。ただ、「今の若い人は」と言われるときの一番大きな問題というのは、我々大人に問題あるん違うかと。子供とか若い人というのは、これもよく言われる言葉ですけれども、「真っ白いキャンバスや」と。そのキャバスにどういう絵をかくんかというようなことは、大人がいい見本になれれば、いい手本になれればいい絵をしっかり描いてくれると。実は、その若い人とか子供のことを問題にするときに、それは我々大人の問題じゃないかなということをそのとき改めて強く感じました。
 最近、私は司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」という本を読み直しています。学生時代に読んだときとは受けとめる感覚もかなり違っていて、改めて読むと、さまざまに考えさせられるところがあります。もともと資源のない国でありながら、先人の努力により世界にも誇れる豊かな国を実現した日本。しかし今は、その豊かさゆえに、自分たちの身勝手、今さえよければ、自分さえよければといった無責任な行動が目立つものとなってしまっています。こんなことでは、これまで来た道を後戻りしてしまうことも心配されます。近代国家日本をつくった多くの先人、その姿を思うとき、今我々も、もう一度新たな国づくり、地域づくりに取り組む気概といったものを持たなくてはいけないのだと強く感じます。この和歌山県議会においても次の世代への責任をしっかりと受けとめ、小さなことにこだわらず、大局を見て、和歌山の未来を見詰めて真剣な取り組みを進めていかなくてはならないときだと思います。行政当局の皆さん、先輩・同僚議員とともに力を合わせて一丸となってこのふるさと和歌山を何としても立て直していきたいと心から願い、今回も一般質問をさせていただきます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず初めに、和歌山の新たな価値を創造していく取り組みとして、IT総合センターの開設を機にIHS構想のさらなる飛躍について。
 これまでIHS構想に関連する政策の推進には、IT総合センターの建設に七十億近くもの巨費が投入され、また来年度の予算でも全国マルチメディア祭の開催費が計上されるなど、多くの税金が投入されています。この厳しい財政状況のもとでこれだけの投資を行っているわけですから、今、県民の目も厳しく、その最大の効果の上がる方策について和歌山県、議会それぞれに皆で真剣に知恵を絞ることが求められます。
 このIHS構想については、説明資料で、「田辺・白浜の地域特性を生かして情報通信関連産業の集積を促進し、技術革新や創造的活動が温泉のように湧き上がり、日本へ、世界へと広がる知的創造空間を創り出す」と示されています。当初県では、IHS構想、IT総合センター建設などの一連の政策について、一般にイメージしやすい説明として「シリコンバレーのように情報通信産業を集積させる。また、ビル・ゲイツのような人材を育て、世界へ羽ばたく企業を生み出す」といった趣旨の説明を行ってきています。しかし、IT総合センターを含めたIHS構想の現状において、懸命の努力がされていることは理解しつつも、残念ながらひいき目に見ても、この地域がシリコンバレーとなってビル・ゲイツを生み出すといった話はまだまだ夢物語の域を出ないものだと率直に感じるところです。今、もう一歩踏み込んだ取り組みが必要とされています。
 昨年の十二月十二日、京都で米国のスタンフォード大学の日本センターが異業種交流会スタンフォード・ラウンド・テーブルを開催しました。その中で、スタンフォード大学、アジア・米国技術経営研究センターのリチャード・ダッシャー所長が講演されています。私の友人も参加していたのですが、ダッシャー所長はその講演で、「シリコンバレーが成功したのは産業の発展によるが、その新産業を創出するためのプログラムは一九九〇年代にスタンフォード大学から始められた」と胸を張っていたそうです。かつては一面の果樹園地帯であったシリコンバレーが産業地域へと発展した歴史は、十九世紀末、一八九一年のスタンフォード大学設立から始まっています。シリコンバレーは、言うまでもなく知恵の集積、人の集積、情報の集積、そして富の集積が生み出したものです。中でも、知識・情報・知恵の集積はなくてはならない要件だと分析されています。
 私の同級生に、現在、門真にある松下電工の本社に勤務する上野哲生さんという幼なじみの友人がいます。彼は松下電工の駐在員としてシリコンバレーの中心都市であるサンノゼに十数年勤務し、一昨年、日本に帰ってきました。先日、彼にシリコンバレーでの経験について話を伺ったのですが、やはり人・情報・知識・知恵、そしてそれらのベースとなる大学・研究機関の重要性を強く指摘していました。彼自身も駐在員としてシリコンバレーにいる間に仕事と学業を両立させ、サンノゼ州立大学で経営学修士MBAを取得するという経歴を持っていて、大学と産業界との結びつきを身をもって経験している一人です。彼は、「あくまで現在のアメリカの隆盛は大学・研究機関に負うところが非常に大きく、今の時代は知恵・知識の集積なしに産業の発展は見込めない」と言い切ります。
 シリコンバレーでは、スタンフォード大学を初めとしてUCバークレー、UCサンフランシスコ、UCサンタクルーズ、UCデービス、サンノゼ州立大学を含め、多くの大学と多くの研究機関が集まり、恒常的に研究業績と人材を輩出している状況があります。そういった頭脳が集積することにより大きな成果を上げるものとなっているのです。これは決してシリコンバレーにおける特殊な地域発展のモデルではなく、世界的に見ても幾つも同じような事例が報告されています。
 最近の例で言うと、アメリカ・テキサス州のオースティンが地域再建の成功例として世界じゅうで高い注目を集めています。ここも、片田舎の地方都市でありながら、大学が核となり先端産業の集積する都市を築き上げた成功モデルであり、現在、この地方都市に全米各地や日本を含めて世界じゅうの大学、行政関係者らが視察に訪れ、高い評価を得ています。オースティンでもシリコンバレーでも、知恵・知識・情報の集積から産業の発展、地域の発展につなげています。そこでは大学・研究機関が核となり、これらが不可欠な要素となって機能しており、これこそが現在我が県で進めているIHS構想にとって決定的に不足している要素です。
 大学・研究機関を核として人・物・金・情報の流れを加速させる、大学・研究機関を媒体として企業間、人材、研究者のネットワークを高度に発達させることが重要で、今こそ質の高い研究を行っているすぐれた大学との連携、共同事業などへの積極的な働きかけが必要とされています。ただ、あくまで今回の質問では、この厳しい財政状況下で大学自体の設置を提案しているわけではありません。将来に大学側から望んで和歌山に立地したいということであれば当然歓迎すべきことではありますが、当面はまず大学・研究機関が持つ機能をどのように地域に取り込むか、その方策を考えることが重要だと考えます。サテライトキャンパスの誘致や共同セミナーなどの事業実施、各分野の学会誘致など、その連携にはさまざまなレベル、形があるものであり、それこそ知恵を絞り、できるだけ出費を抑えて効果の上がる事業について検討を加えていくことが求められます。
 このような思いを持ち、昨年から私自身、幾つもの大学、研究者に会っていろいろと相談をかけてきました。その中の一つに、今回の質問で具体的に提案しようとする早稲田大学との連携の話が出てきました。私自身、この話が現時点で最も連携の実現性が高いものと感じています。この話の窓口となっていただいているのは、私が尊敬し、信頼する研究者である早稲田大学大学院の森康晃教授です。
 もともと森氏は通産官僚であったのですが、欧州駐在の外交官や内閣府の課長などを歴任し、最近は産総研──産業技術総合研究所──において産学連携、ベンチャー振興に尽力し、現在は早稲田大学大学院国際情報通信研究科の教授となられておられます。森氏は、現在四十九歳。そもそも大学の学者ではなく、広く社会、海外を見てこられ、幅広い見識と得がたい人脈を築かれています。また、大学のより積極的な社会貢献の必要性も訴えられ、行政機関などとの連携にも強い興味を持たれています。その森氏からこれまでにさまざまなアドバイスをいただき、和歌山県との連携の姿を模索してくる中で、具体的に協力し合える可能性のある事業として次に挙げるものをご提示いただきました。
 これは資料としてお手元に配付させていただいております。お手元の配付資料をご確認いただきたいのですが、ここでは項目だけを挙げさせてもらいます。この中身についても、森教授を含め、何度もその内容について精査をしてきておるのですが、その内容をこの質問で説明しているとちょっと時間が足らないと思いますので、簡単に項目だけを挙げさせてもらいます。一つ目として、和歌山県(IHSプロジェクト、IT総合センター)と早稲田大学のGITS(国際情報通信研究科)で協定を締結し、共同研究・共同事業を行っていく。これが一つ目の提案です。二つ目として、知的財産技術関連における共同研究プロジェクトの推進。三つ目といたしまして、IT総合センターに日本のEランゲージセンター(多言語研究センター)を開設する。四つ目としまして、多言語人材の育成計画の推進を早稲田と一緒に行っていく。五つ目としまして、東アジアからの人材を受け入れるプログラムを和歌山県と共同研究して開発していく、ということを具体的なプログラムとして提案していただいています。これらの可能性について、公式な場を設けて具体的な話を詰めていくことに森教授からもご賛同をいただいています。森氏からは、まず和歌山県とどういった共同作業が可能なのか、その中身を検討するワーキンググループを立ち上げることをご提案いただいており、メンバーとしては、早稲田大学から森教授と早稲田大学IT戦略研究所所長である商学部教授の根来龍之教授、電子政府研究所所長である小尾敏夫教授、理工学部を代表して笠原博徳教授、山名早人助教授がご参加いただける意思を表明していただいています。
 今後は、和歌山県の姿勢にかかっています。これを現実のものとしていけるかどうかは、今後の和歌山県の取り組み次第です。簡単な話ではないとは思いますけれども、この早稲田との連携の意義をぜひともご理解いただき、何としてもこの話を実りあるものにしていただきたいと思います。早急にワーキンググループをつくり、具体的な話を進めてもらいたいと思いますが、知事はどのようにお考えになられるでしょうか。ご見解をお聞かせください。
 あわせて、改めての確認として、IT総合センターの設置を含めたIHS構想を推進するに当たり、大学・研究機関との連携の重要性についてどのような認識を持たれているのか、お聞かせ願いたいと思います。またあわせて、今回の早稲田の件だけでなく、ぜひ広く大学との連携、共同事業の提案、研究機関の誘致などを模索してもらいたいと思います。これは、決して待っていて活路が開けるものではありません。積極的に窓口となる交渉チームをつくり、具体的な取り組みを進めてもらいたいと思いますが、これも知事のご見解を賜りたいと思います。
 次に、私自身、実際に幾つかの大学・研究機関を回るために誘致の材料となる資料をまとめてみたのですが、そこで何点か問題のあることに気づきました。例えば、和歌山への進出を検討してもらうのに重要な資料として助成・優遇制度などの説明資料があります。その助成・優遇制度の中身を確認してみると、これは企業誘致を前提に考えられていますので、大学・研究機関といったものには適応しない部分があることに気づきました。具体的には、IT関連というくくりで、これまでは理工系の研究については助成されていた、理工系の研究を対象として制度利用の範囲を限定してきていますが、しかし今の時代は研究領域もそれぞれクロスオーバーする時代で、理工系の取り組みを補完する文科系の研究も数多く出てきています。今回提案をしている多言語研究、知的財産にかかわる研究などもそうで、従来のすみ分けでは対応できないようになっています。これら文科系の研究領域、産業分類で分けるところの人文・社会科学研究などにも対応できるよう早急に制度要綱を見直すことを提案いたしますが、これは担当部長からご見解をお聞かせいただきたいと思います。
 また、和歌山の場合は、地域の観光資源などもフル活用して大学・研究機関、研究者を引きつけることが有効な手段となります。そこでは、従来の観光客向けの漠然としたパンフレットでは、よい環境、よい研究空間、よい生活空間を手に入れられるといったイメージを持たせることは難しく、誘致の対象とする、特にそこで働く研究者の視点を持ったより具体的なPR資料が必要かと思われます。
 またあわせて、観光の視点で、例えば白浜の温泉などを研究者に自由に使ってもらえるなどといった優遇措置も効果のある取り組みだと、相談をかけた研究者の方から指摘されました。和歌山県として研究者に対して提供できるサービスのメリットリストのようなものを整備することも意外に評価されるポイントとなるかもしれません。大学・研究機関、そこで働く研究者の取り込みに当たっては、助成・優遇制度といった直接的な金銭の問題だけでなく、地域として使えるものは何でも交渉カードとして使っていくといったことも重要な視点だと考えます。これは、部署を超えて観光課などとの連携により早急にメニューづくりの検討に加えてもらいたいと思いますが、これもあわせて担当部長からご見解を賜りたいと思います。
 続きまして第二問目として、和歌山県経済の立て直しに向けた取り組みとして、新規創業者、第二創業を支援する融資制度について。
 今議会で当局から提案されている政策で、特に中小事業者を取り巻く金融環境の改善に向けての取り組みは、他の自治体で行われている政策の焼き直しではない知恵のある取り組みで、高く評価されるものと思います。今、地域の活性化を図る、特に中小事業者の活力を取り戻すためには、昨年十二月議会で質問させていただいた「何かええ話はないか」の答えとなるコンサルティングの問題と、もう一つは今回取り上げる金融の問題、この二つが大きな課題となっているものと思います。中でも金融は、経済の実態としてデフレが進み、担保価値が落ち、お金の流れが悪くなっている状況においては、従来の融資制度、民間の金融機関が持っている融資のスタイルでは十分に対応できなくなっています。特に新規創業者を数多く生み出さなくてはいけないこの時代には、金融環境の改善、新しい融資制度などが強く求められます。
 そんな中、当初私は、今議会で新ベンチャーファンドといった政策を提案する準備を進めてきていました。これは市議会議員当時から研究していたもので、あくまで従来からあるファンド、株式の公開益を還元させるといったものではなく、事業により生み出される経常的な収益から直接資金を還流させるといった仕組みを持つ、これまでにはない新たなモデルの提案を考えていました。
 この一月にも、その研究のために福岡県にお邪魔し、ファンドへの取り組みとあわせて地域の金融政策全般にわたって意見交換をさせていただいてきました。麻生渡福岡県知事は特に経済政策には強い思い入れを持たれていて、東京都の銀行構想などには真っ向から問題点を指摘しつつ独自の政策を打ち出し、全国的にも注目されている状況にあります。福岡県には福岡ベンチャーファンドという高い評価を受けている取り組みがあり、それらを勉強したくて福岡まで行ってきたのですが、しかし、今回和歌山県が提案している金融関連の政策、その中でもビジネス評価支援資金の事業などについては、福岡を含め、他の自治体にはない非常に知恵のある、地域の規模に合ったすぐれた制度だと思います。今回の和歌山県の制度は、あくまで直接的に金融環境を改善する効果だけでなく、波及する効果も大きいものです。
 これまで、都市銀行を初めとして地方銀行でも、担保に頼らず事業内容にお金を貸し出そうとする「プロジェクトファイナンス」といった言葉がもてはやされる状況にありましたが、しかし残念ながら、実態としてはそのような貸し出しができるノウハウもなく、特に地方においては言葉だけのむなしいものになっていました。しかし、今回の県の融資制度は将来的に民間の融資事業にも影響を与える副次的な効果も期待されるもので、この政策の説明をしてくれた県の担当者の方の、「この事業をよい経験として銀行にも勉強してもらいたい。今後の銀行の貸し出し業務でもそのノウハウを生かしてもらいたい」と自信を持って話される姿には感心するものでした。今後は、制度の運用面でしっかりと詳細を詰めてよりよい政策として充実させ、ぜひとも和歌山の地域経済の活性化につなげていってもらいたいと思います。
 そこで質問ですが、この制度の枠組みとして、あくまでよく考えられたものだとは思いますが、幾つか運用の部分で検討を要するところもあるように思います。そのことについて質問並びに提案をさせていただきたいと思います。
 まず、この制度は、保証協会を組み入れるに当たって、残念ながら第三者保証人を立てるということになっているようです。しかし、新規創業者を支援する融資制度では、ここが大きなネックとなります。せっかく高い評価を受けられる制度なのに、これがある限り、この制度を活用できる人間が結局は限られてしまい、結果的には従来の融資制度と大きく違わないものとなりかねません。事業内容にお金を貸し出すというこの制度の本来の意義、その根本目的に立ち返ると、ここは再検討する余地があるのだと思います。
 この点について、福岡県で議論をしたとき、同じように保証人の問題が課題として出てきました。福岡県では保証人を必要としない融資制度、元気フクオカ資金──これがそのチラシなんですけれども(資料を示す)、元気フクオカ資金というものを実際に運用しています。福岡県のシステムは、金利の調整とあわせて、貸し倒れリスクを金融機関、県、保証協会がそれぞれに分担する仕組みをつくり、現実に無担保、第三者保証人の要らない制度を運用させています。これには金融機関からの反発もあるかもしれませんが、そもそも地域経済の立て直しが地域の金融機関にとっても大きな使命であり、リレーションバンキングというお題目だけではなく、実態として地域への貢献の重要性を理解してもらう中でぜひ協力を得てもらいたいと思います。
 保証人の部分に関して再検討することを提案いたしますが、このことについてご見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、お金を融資したその後の問題について。
 従来の制度融資でも問題とされてきたように、貸しっ放しではだめなのだと思います。特に今回の場合は新規創業、有望なベンチャーを生み出すための制度でありますので、お金を貸し出した後のフォローが非常に大切で、融資後の経営指導についてもきっちりと行っていけるような体制づくりをお願いしたいと思います。これには、前回質問をさせていただいた中小企業振興公社などがバックアップするイメージを私自身持つものですが、貸し出し後の対応について、現状でお考えになられているところをお聞かせください。またあわせて、中小企業振興公社の役割について、その具体的なかかわり、その見通しについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、この制度の審査回数について。
 現在は、この制度で審査回数を年四回と考えられているようです。この回数ではいかにも少な過ぎるのではないでしょうか。事業を評価するための準備もありますので随時といったわけにはいかないでしょうが、三カ月に一回のペースではとても時代の流れにはついていけません。ある通信関連の事業をされている経営者の方とお話をしたのですが、制度自体は評価されつつも、年四回の審査ということをお話しすると言葉を失われていました。今は事業成功の重要な要素としてスピードが要求される時代です。新しい仕事を始めるにも、これだけ変化の大きい時代では、三カ月も待っていては大きく状況が変わってしまいます。一月のずれで商売の成否が決まることもあるのです。すべての事業がそうだとは言いませんが、業種によっては、現在提案されている制度の持つ時間感覚ではその価値を半減させてしまう可能性があります。
 今の時代には、行政も新たなスピード感が要求されます。あくまで応募がなければ審査会を開かなければよいのですから、もっと柔軟な対応を考えていただきたいと思います。基本の枠組みとしては、最低一カ月に一度ぐらいは審査をしていくといった仕組みを考えるべきだと思いますが、どうでしょうか。ご見解をお聞かせ願いたいと思います。
 また、この制度は県外でも胸を張ってPRできる制度だと考えます。制度の対象となる事業者も県内に絞っていないようですので、県外に対しても思い切ったPRを行っていくべきだと考えます。徹底して門戸を県外に開いていくことで和歌山への企業立地を促進することにもつながる可能性があります。せっかくよい制度をつくっても皆にわかってもらえなければ宝の持ちぐされです。そこで、今後の広報計画とあわせて、県外広報に対する認識をお聞かせ願いたいと思います。
 さて最後、三問目の質問は、予防医療を核とした観光医療産業の振興に係る取り組みについて。
 国は、先月二十五日、総合保養地域整備法いわゆるリゾート法の基本方針を十七年ぶりに変更すると発表し、全国四十二のリゾート基本構想について、廃止を含めて抜本的に見直すように各都道府県に求めています。リゾート法は、余暇の充実と地域振興を目的として一九八七年に施行されたものですが、施設整備の進捗率は全国で二三・八%と低い水準にとどまる中で基本方針を変更し、実現性の乏しい構想を廃止するほか、地域整備の工程表を改めてつくり直し、また利用者数や雇用者数などの目標も明示することになっています。和歌山県もリゾート法に基づく燦黒潮リゾート構想を策定していますが、抜本的な見直しが求められています。
 今回の国の基本方針の変更は、和歌山県にとって、過去から積み残してきた課題を清算させるよい機会となるものと思います。タイミングとしても高野・熊野の世界遺産登録もあり、ここを新たな出発点と位置づけて、これまでの観光のあり方をもう一度基本から見直すことが必要だと思います。従来の物見遊山型の観光から脱却することをはっきりと打ち出し、より以上に付加価値の高い、新しい和歌山観光といったものを新たに創造していくことが期待されます。
 そこで、今回の質問では、私自身、昨年の六月議会で提案をさせていただいた健康サービス産業、医療産業、特に予防医療の分野などと観光を組み合わせ、より価値の高いものへと生まれ変わらせる観光医療産業の振興について改めて質問・提案をさせていただきたいと思います。
 昨年の議会質問以降も、観光事業者、医療関係者、ディベロッパーなど、各方面の多くの人々と観光医療の可能性について議論をさせていただいてきましたが、これには大きな可能性があるものと改めて確信しているところです。
 お話をさせていただいた中の一つに、ギャラクシーブライトという東京に本部のある団体があります。ご存じの方も多いかもしれませんが、これはアメリカのスターライト財団の日本版であり、世界につながるNPOの団体です。このギャラクシーブライトは、国立小児病院名誉院長・東京大学名誉教授の小林登氏が代表を務め、子供の育つ環境をよくしていくといったことをただ一つの目的として設立された団体であり、国内で約二十万人を超える難病の子供たちを含め、すべての子供たちの生活の質を高めるための取り組みを進めておられます。またそこでは、小児科医を中心とした高度な医療技術を持つ多くの専門家がかかわり、子供たちのみならず親や家族の人たちにも生きる喜びを届けたいと活動を展開しています。その団体が和歌山、和歌浦の海にイルカを泳がせてイルカセラピーの可能性を調査してみたいといった提案をしてくれています。この話は、ギャラクシーブライトの理事をしている私の友人が昨年の六月議会の質問内容を幹部に伝えてくれたところから始まった話です。
 ギャラクシーブライトの中心メンバーである国立成育医療センター神経科医長の二瓶健次先生は、毎年自閉症の子供たちを沖縄まで飛行機で連れていき、治療の一環としてイルカセラピーを受けさせています。二瓶教授のチームでは、発達障害、行動障害、コミュニケーション障害、運動障害などを持つ子供たちを対象としてイルカ介在療法を始めています。これは、レジャーとしてのイルカ遊びではなく、またイルカ信仰的な治療としてのスタンスでもありません。基本的には、発達神経学的、発達心理学的評価を十分に行って、イルカ療法の専門医師、イルカトレーナーたちが一週間くらいの期間でそれぞれの子供に合ったプログラムを作成し、治療に当たられています。しかし、現実問題として東京から沖縄までは余りにも距離が遠く、患者にかける負担も非常に重く、それがネックとなっていたそうです。もし関西空港からほど近い和歌山の環境でイルカセラピーが実現すれば、全国、アジア圏からでも治療に訪れる患者が数多く見込めるだろうと指摘されています。
 二瓶健次先生は、この和歌山、和歌浦で生活されていたことがあり、和歌山の自然条件、立地・気候条件などを実体験として把握された上で、予防医療と観光を組み合わせた産業を興すにはほかにない非常に適した地域であると、この和歌山を高く評価されています。ギャラクシーブライトとしては、他地域に先駆けた本格的なイルカセラピー事業の実現を初めとして、自然環境と予防医療、リハビリを組み合わせた新たな治療モデルの研究について、和歌山県との協働によりぜひ取り組みを進めたいと話してくれています。このギャラクシーブライトからいただいている提言を含めて、ほかからもさまざまな可能性を示唆していただいており、それらの取り組みいかんによっては大きく地域を変えていける可能性があると感じています。ただそのためには、ここで一度観光医療産業といったくくりで、さまざまに提案される事業について、どのようにして可能性を広げ、また実現性を高めていくことができるのか、整理して考えてみる必要があるのだと思います。
 今回のリゾート法の方針変更などもよい機会として、観光医療産業の効果的・効率的な和歌山県としての推進のあり方、それを地域ブランドに育てていくための戦略についてもしっかりと検討することが求められます。
 さきの議会の質問で、観光医療産業については知事からも前向きなご答弁をいただき、その後は県庁内でも研究会を立ち上げ、また実際に予防医療と観光を結びつける取り組みを本宮町などでかなり積極的に進めていただけているようです。しかし現状では、手の届く範囲だけの取り組みにとどまっている状況があります。あくまでこの新産業への取り組みは個別・一過性のものではなく、和歌山県全体をとらえて調査研究し、地域ブランドとして確立させていくことを期待するものです。
 そこで、この観光医療産業といったものについて改めて知事のご見解を賜りたいのですが、地域の将来を占う上で、今、和歌山も重要な時期に差しかかっているのだと思います。地域の戦略をしっかりと持たなくてはいけないこの時期に、観光医療産業の和歌山における意義、位置づけといったものをもう一度確認の意味を込めて知事のご見解を賜りたいと思います。
 また、今回のリゾート法の方針変更により国が各府県に対してこれまでの計画を抜本的に見直すよう求める中で、現状において県はどういった姿勢で臨まれようとしているのか、その基本的な考えをお示しいただきたいと思います。また、その中で観光医療といったものをどのように位置づけられようとしているのか。これは担当部長からご答弁を願いたいと思います。
 次に、今回の質問で具体的に取り上げさせていただいたギャラクシーブライトは、和歌山県と力を合わせて真剣な取り組みを行っていきたいと申し出てくれています。観光医療にかかわる事業ではあくまでも民間が主体となるものだと私自身考えていますが、しかしそこでは県としても強力にバックアップしていくことが必要だと思います。その基本的な考え方についてご見解を賜りたいと思います。
 最後に、現在の和歌山県の観光医療にかかわる取り組みでは、さきにお話ししているように本宮町などの例がありますが、しかし県下全域を対象としてみると、観光医療といった視点で取り組める可能性のある素材はまだまだたくさんあります。それらを幅広く調査し分析し、商品化を進めていき、そしてそれを全国に売り出し、できるだけ早い段階で地域のブランドとして確立させていくことが期待されます。
 今、全国でも多くの地域で健康・観光・医療といった切り口でさまざまな取り組みが進められようとする中では、スピードが非常に重要な要素となってきます。早急に和歌山県における資源の洗い出し、発掘を行い、効果的に活用できる方法を検討しなくてはなりません。そして、和歌山県の観光事業者の方がすぐにでも活用できるメニュー、プログラムなどパッケージの商品をつくり、また外部からの投資の呼び水となる具体的な優遇制度・助成制度などの制度設計も急ぎ整備することが必要です。
 このように幾つもの作業を同時並行的に進めていかなくてはならない状況においては、行政が多くを抱え込んでいて最大の効果を上げられるものでは決してありません。そこではぜひ情報・人脈・企業とのネットワークなどを持った専門の調査機関を有効に利用し、観光医療産業への取り組みを加速させていただきたいと思います。手放しで民間に委託することには当然私も反対ですが、しかし、民間の力をかりるところはかりる、有効に専門機関の力を活用しながら和歌山の観光医療産業振興の具体的な道筋をつけていっていただきたいと思いますが、このことについて担当部長からご見解をお聞かせ願いたいと思います。
 以上で、質問を終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 今のIT総合センターの開設を機に田辺・白浜地域を和歌山のシリコンバレーにというふうな話でございますが、ご質問のように、今の状況は非常に気持ちを持っては進めておりますけども、その状況にはほど遠い状況であると思います。
 ただ、ご質問にありましたように、多額の県費を投入してこういう箱物をつくっているわけでございまして、箱物が箱物としての役割しか果たさないのではもう今の時代にはマッチしないということで、いろんなことを考えているんですけども、ご質問の中にありました早稲田大学との連携でありますとか、それからその他のいろんな研究機関、こういうものをソフトとして呼んでくるという考え方というのはこれからの和歌山県の進むべき方向として非常に大事なものであるという考えでありますので、早速庁内に研究機関というか、一緒に協議していく機関をつくって前向きに対処をしていきたいと、このように考えております。
 それから、次に観光医療産業でございます。
 これも同じく、和歌山県がこれから発展していくためには和歌山県の持っているポテンシャル──いいところを発揮するという形でなければこの二十一世紀に和歌山県の発展はないという考え方でございます。そういう中で観光と医療を結びつけるというのはこれから非常に大きな観点になってまいりますので、私どもとしましては、今、本宮町を中心に高野・熊野の世界遺産とあわせてあの地域にそういうふうな観光医療という観点からたくさんの人を呼び込むようなシステムということ、これはもう現実に検討を開始しているわけでございますけども、これだけにとどまらず、先ほど和歌浦という話がありましたけども、県内全体の構想としてこういう方面を伸ばしていくということを考えていきたい、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) IHS構想のさらなる飛躍に関しての、立地促進に係る制度の改正と観光資源などを活用した誘致に向けた条件の整理の二点についてお答え申し上げます。
 現行の優遇措置につきましては、地域経済の活性化や雇用の創出のための企業誘致を促進することを目的としております。
 人文・社会科学研究所の立地への対応につきましては、自然科学系の研究との相互補完関係が緊密になっていることから多様な視点での検討も必要であり、今後関係部局とも十分協議をしてまいりたいと考えております。
 また、大学・研究機関の誘致に限らず、交渉相手の視点に立ったPR資料の必要性は十分に感じているところであり、今後、恵まれた自然・観光資源など、和歌山の地域特性を取り込んだ効果的な情報提供を検討してまいります。
 次に、新規創業者、第二創業を支援する融資制度についての四点についてお答え申し上げます。
 まず無保証人制度の検討ですが、ベンチャー企業や第二創業に取り組む中小企業など新たな分野へと挑戦する企業においては、資金調達が大きな課題となっております。このため、県としましては、ベンチャー企業等の技術、ビジネスプランなど、革新性・将来性などを評価するビジネス評価委員会を設置し、高い評価を受けた企業等を対象とするビジネス評価支援資金を創設し、創業資金などの調達を支援していく新たな金融システムを構築してまいりたいと考えております。
 この資金制度を保証人不要とすることは債権保全などの面で課題がございますが、金融機関においても担保・保証に過度に依存した融資審査からの転換に向けての取り組みが始まっていること等を踏まえ、今後、金融機関等とも協議をしながら検討してまいりたいと考えております。
 次に融資後の経営サポートについてでありますが、ご質問にありましたように、ベンチャー企業等を育成していくためには、資金調達の事前相談から融資を受けた後の経営支援まで、きめ細かい対応が重要であると認識をしております。このため、県としましては、新たな分野へと挑戦する有望な企業を掘り起こし、その成長支援を戦略とするわかやま産業イノベーション構想を策定し、中小企業者のニーズ、利便性の向上を視点に置き、支援体制の再編整備を基本戦略の一つとして位置づけてございます。
 具体的には、県行政の中小企業支援部門を統合した産業支援部門と中小企業振興公社が相互に補完・連携していくワンストップサービスの拠点を和歌山県経済センター内に設置し、経営・販路開拓、技術、金融など、総合的な支援を融資実行後におきましても適時効果的に実施してまいりたいと考えてございます。
 次に評価委員会の審査回数についてでありますが、ビジネス評価委員会の審査申し込みは、金融機関からの審査依頼を中心に、商工会・商工会議所から掘り起こされた企業などを想定し、年四回程度の開催を計画しておりますが、経済環境の変革が加速し、迅速な対応が要求される産業分野もあることから、審査申し込みがあった業種・業態やニーズを見きわめつつ、可能な限り機動的な開催に努めてまいりたいと考えております。
 最後に広報計画についてでありますが、この制度の利用対象は県内の中小企業や創業者が中心となるものと考えておりますが、県外からのUターン・Iターン者なども対象とすることにより県経済の活性化、構造転換を加速化してまいりたいと考えております。
 広報計画は、今後、関係機関等と検討してまいりますが、幅広い活用を促すために、県内はもとより、県外に向けても制度内容を発信し、広報してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 初めに、総合保養地域整備法基本方針の変更に伴う地域整備の方針と観光医療の位置づけについてでございます。
 燦黒潮リゾート構想は、「黒潮と遊ぶリゾート空間」を統一テーマとして平成二年十二月に基本構想が承認され、おおむね十年間で民間事業者の活用に重点を置いたリゾート施設の整備を目標としてまいりました。その後の社会経済情勢の変化などにより当初の目標どおり進捗していない施設もございますが、マリーナシティなど地域のリゾート施設の中核的役割を果たす施設の整備も進んでおり、雇用の確保等、地域の振興に一定の貢献を行ってきたと考えております。
 本年二月に総合保養地域整備法に規定する基本方針が変更され、その中で都道府県における基本構想の今日的な状況に沿った見直しと着実な進行管理が求められたところです。
 最近のリゾート需要では心身のゆとりと安らぎが求められるなど、それぞれの地域を訪れる人々の目的が多様化しており、それに対応できる利用しやすい良質な施設の整備やソフト面の充実などを図っていく必要があると考えてございます。
 今後、燦黒潮リゾート構想の見直しに当たっては、本県の持つ海洋・森林・温泉などの多様な地域資源の活用という観点から、議員ご提案の観光と医療を組み合わせた余暇など、本県らしさをアピールすることを含め、今後の新たな国民の余暇活動のニーズなども十分踏まえながら関係市町村と連携し、地域の状況に応じた検討を進めてまいります。
 次に、イルカセラピー療法などの確立に向けた協力についてでございます。
 本県においては、温泉・森林・海洋等のすばらしい地域資源を活用し、健康サービス産業と観光産業を組み合わせた新たな産業を創出し、地域経済の活性化を図っていくことが重要なことであると考えております。
 議員のご質問にございました和歌浦湾におけるイルカセラピーの可能性調査も含めて、福祉・医療・観光・地域資源等を有機的に連携させた新たな産業の創出につながる取り組みにつきましては、関係市町村、事業者の意向を十分に踏まえながら、地域の状況に応じた研究を進めてまいります。
 次に、民間との協働による観光医療のプログラム開発についてでございます。
 本県の地域資源を活用し、健康サービス産業と観光産業を組み合わせた新たな産業の創出を効果的に行っていくためには、それぞれの地域におけるプラットホームをつくって、市町村や医療機関、健康サービス事業者、観光業者等の各種組織間で具体的な連携を図っていかなければならないと考えております。こういった観点から、現在、世界遺産の登録が予定されています熊野古道を健康資源として活用することを一つのモデルとしまして、本宮町、医療機関等と協働しながら健康プログラムづくりの具体的な検討を行っているところでございます。
 こういった取り組みを県下全域に広げていく過程において、個々の地域の状況に応じて、関係市町村、民間事業者、有識者、県民の方々などからご意見をいただきながら健康プログラムづくりに有効な地域資源の発掘、事業者への支援策などについて研究を行ってまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番山下大輔君。
○山下大輔君 ご答弁いただきましたので、再質問させていただきます。
 もう時間もございませんので、もう一点だけそれぞれに──本来はちょっと要望ということも言いたかったんですけれども。
 広報計画の部分についてですけれども、これ、きのう、日経新聞の方へ掲載された沖縄の広告です。(資料を示す)「沖縄は、日本を変える。」──こういう形で、こう書かれています。「沖縄は、日本を変える。」、物すごく大きなタイトルですけれども、実は私自身も県会へ来さしていただいて何カ月か、和歌山県が今取り組まれている事業というのも自分なりには一生懸命勉強してきているつもりで、それを他府県と比べても実は物すごく和歌山県が今頑張っているというのが、これは率直な私自身の感想です。ただ、それをどうやって県外に向けてしっかりとわかってもらうか、県民に向けてもPRするかという部分では、ちょっとその努力が足りないんじゃないかというようなことを私自身感じています。
 和歌山県と言ったら、何かこう、外で話しても緑の雇用ばっかり言われるんですけれども、それもあんまり言われてると、それだけかというような感じもしますので、ぜひその他の政策についても──実は和歌山とかというの、どういうイメージを持ってこれから外部にしっかりと認識してもらうかということが和歌山の将来にも大きく左右することやと思いますんで、しっかりと広報計画を含めた和歌山の地域のブランド化というのに取り組んでいただきたいということを最後要望して、再質問を終わらしていただきます。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十七番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 ただいま議長のお許しを賜りましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきたいと思います。
 まず質問に先立ち、先般、国際貢献のもとイラク復興支援に派遣され、ご活躍されております自衛隊員の皆様に深甚なる敬意と感謝を申し上げたいと思います。また、それぞれの家庭にあって隊員の無事帰還を日々祈っておられるご家族の皆様に対しても、心中お察し申し上げますとともに、心から感謝を申し上げたいと思います。
 またもう一点、この二月八日──二月の第二日曜日になるんですが、私の地元の煙樹ケ浜の本ノ脇地区において、県当局のご配慮により約千本の松の苗を植えていただきました。昨年要望したんですが、県当局の迅速な対応に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。また、その際ボランティア活動に参加された──当然、美浜町の自衛隊の皆さんもボランティアにご参加いただいたんですが、そのボランティアの皆様にも、この場をおかりしまして心から感謝と敬意を申し上げたいと思います。
 それでは、早速一般質問に移らせていただきます。
 私は、去る二月の十二、十三日、県土整備部道路保全課の方と古久保龍神村長さんのご配慮により龍神村後藤観光課長、山本勝一副議長、古久保博文村議のご同行をいただき、鳥取県米子市に米子大山線無散水融雪装置の視察に行ってまいりました。これは、かねてから申し上げております高野龍神スカイラインの冬季凍結についての問題について、先進県であります鳥取県に学びたいと考えたからであります。
 鳥取県当局のご配慮により、西部総合事務所長を初め県土整備局維持管理課の皆様に温かくお出迎えをいただき、融雪に対するさまざまな施策を懇切丁寧に、また詳細にわたりご説明を賜り、さらに現地視察等、積極的にご指導・ご協力をいただきました。まず、鳥取県当局のご厚情に、この場をおかりして心から感謝を申し上げる次第であります。
 さて、米子大山線は、大山隠岐国立公園第一種特別地域内の主要な観光道路であります。周辺にはスキー場があり、冬季には多くのスキー客に利用されるとお聞きいたしました。雄大な冬の大山は、しばし見とれてしまうほど荘厳で、かつ優雅であり、その雄姿はまさにその名にふさわしく見る者を圧倒し、心をとらえて離さない魅力的な景観でありました。また、改めて冬季の高野龍神スカイラインの観光道路としての重要性と観光資源としての可能性に思いをはせた瞬間でもありました。その地域を取り巻く道路やその他の県営施設に対する取り組みも景観を重視し、その魅力を思う存分引き出すように工夫されているようにも感じました。しかし、融雪対策の先進県の鳥取県ではありますが、米子大山線の冬季においては何カ所か凍結・積雪し、大変危険な区間があり、このたび視察させていただいた区間もその一つだとお伺いいたしました。
 そこで、鳥取県はこの区間の冬期交通安全確保のための除雪対策として、機械除雪を基本としながらも、急勾配・急カーブ等で機械除雪だけの対応だけでは困難な区間などでは消雪・融雪施設を設置して冬期交通安全確保に努力されておられました。消雪・融雪施設には、最も経済的な施設は水を流す消雪パイプの設置だそうですが、地下水、河川水などの水源がない、また一月の日最低気温の平均がマイナス一度以下になる、カーブ部など局部的な融雪が必要等の条件下においては消雪パイプの設置は効果が少なく、このたび無散水融雪装置を設置したとお伺いいたしました。
 無散水融雪装置とは、地下百メートルまで垂直ボーリングし、パイプを敷設し、地熱を吸収したパイプ内の不凍液が路面に埋設した放熱管を熱交換機により循環させ、道路を温め融雪する設備のことであります。しかし、まだこの融雪装置は開発されて間もないために全国的にも普及されておらず、消雪パイプ設置による融雪がメートル当たり約十五万円なのに対しメートル単価が百万円と極めて高く、雪寒地域に指定され、雪寒事業により国から補助をいただいている鳥取県だからこそできる事業であり、雪寒地域に指定されていない和歌山県の高野龍神スカイラインには高ねの花だなあと認識を新たにいたしました。将来的には、どうしても通行困難な箇所には有効な施設であることは間違いありませんが、今後どうしても対応を迫られたときの施設の一つとしての評価に今回はとめておくのが妥当だと感じました。
 だからといって、私は冬の高野龍神地域が我が県にとって貴重な冬の観光資源であることについての認識が薄れたわけではありませんし、高野龍神スカイラインの冬季通行可能なスカイラインの整備促進をあきらめたわけでもありませんので、当局においては「もう花田もとうとうあきらめたか」と誤解なさらないように引き続きご検討いただくよう、重ねてお願いを申し上げます。むしろ、本会議冒頭、知事の説明の中で知事自身が世界遺産登録と観光振興の中で述べられているとおり、国内外にも積極的にPRし、大型観光キャンペーンや国の事業であるビジット・ジャパン・キャンペーンと連携しながら誘客を図るとの力強い表明を出されております。そうなりますと、フルシーズンお客様がお越しになるのではと期待に胸がときめきますが、ますます冬季高野龍神スカイラインの利用客も激増し、交通事故や積雪・凍結により立ち往生する車が続出するのではないかと心配も増してきます。
 ご同行いただいた龍神村の観光課長からお聞きしたのですが、「ことしの冬は何回かスカイライン内で立ち往生している車の方から救助の連絡があり、もし携帯電話のつながらないところであれば凍死するのでは」と、大変心配をされておられました。何といっても最低気温がマイナス六度まで下がる地域でありますが、観光客の方はほとんど認識されていないようで、「万が一にもそのような不幸な出来事が起こらないことを現時点では祈るのみだ」と申されておられたことを思い起こすとき、私もますます無関心でいることはできません。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 将来の見通しで結構ですので、今後の高野龍神スカイラインの観光道路としての位置づけと高野山・熊野三山を結ぶ重要路線としてのご認識と、それに伴いフルシーズン利用できる路線としての今後の可能性についてお考えをお伺いいたしたいと思います。
 次に、中国山東省との姉妹都市についてお伺いいたします。
 我が和歌山県と中国山東省との友好提携は、昭和五十九年四月十八日に締結いたしました。以来、教育・文化・産業・観光等、さまざまな分野において交流を重ねてまいりました。昨年十一月には中山副知事を団長として山東省を訪問いたしましたことは昨年の十二月議会において同行先輩森正樹議員から報告されておられますが、その際、山東省の方から「いよいよ来年は和歌山県との姉妹都市を締結して二十周年になりますね。山東省は山口県とも一年早く姉妹都市を締結しており、ことしが二十周年の年でした。そこで記念行事として山口県の交流使節団の皆さんがたくさん山東省にお見えいただき、盛大に開催されました」とお伺いいたしました。
 そこで、我が和歌山県としては、山東省との二十周年記念事業についてどのような対策をお考えなのか。十二月議会で森議員よりご質問がありましたが、いよいよことし二十周年の年になりますので、より詳細に、かつ具体的にお答えをいただきたいと思います。
 昨年の訪問は関西空港のプロモーション活動で参りましたが、先ほどの世界遺産登録とも相まってお互いの交流をより一層活発化させることも考えなくてはならないと思いますし、期待もいたしております。何といっても山東省は人口九千二百万人も有し、また経済も順調に発展しており、そしてそれに伴い生活水準も伸びていると聞き及んでおります。また我が国の安全保障が、先般の日米中韓露朝の六カ国協議の推移を見ましても決して安泰ではないということが再認識されたところであります。国の外交政策も大変重要であることは言うまでもありませんが、それに頼るばかりではなく、我が県も積極的に姉妹都市提携等を活用し、日ごろからいろいろな地域と交流を深め、積極的に友好関係を構築しておくことは我が国の安全保障上最も大切なことであり、その効果ははかり知れないものがあると考えます。特に、観光等を通じてお互いの国や地域の文化や歴史・習慣等を理解し合うことこそ真の平和につながると思いますが、いかがですか。山東省との姉妹都市提携二十周年を契機に国際交流の果たす役割についてどうお考えなのか、知事にお伺いをいたします。
 この際、中国山東省の方に紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録をPRする絶好の機会と考えますし、またさらに二つの大イベントを組み合わせることによりその効果が倍増するように思います。そこで、それに伴う記念事業等の計画が予定されていることと思いますが、どのようなスケジュールで、どのような規模で計画しているのか、公室長にお伺いをいたします。
 近い将来、中国は我が県において、観光のみならずあらゆる産業に大変大きな影響力を及ぼすことが予想されます。県内企業で中国、特に山東省に進出している企業があるとお聞きいたしておりますが、その現状と、今後も進出したいと希望する企業があるのではないかと考えますが、あるとすれば県当局においてどのような支援措置があるのか。商工労働部長にお答えをいただきたいと思います。
 教育関係については、県立南部高校が山東省の済南第一中学校及び済南農業中学校と姉妹校を結び、隔年に相互訪問されているとお聞きいたしております。県内にはほかにも姉妹校として交流を深めておられる学校もあるとお聞きし、青少年時代に他国と交流する機会を与えることは教育上大変有意義だと考えますが、本県の高等学校がどのような交流をしているのか、その状況について教育長にお答えいただきたいと思います。
 山東省との交流について、観光や経済・教育についてお伺いしたのですが、さらに関西空港に山東航空の直行便が就航されるとなれば、あらゆる意味において大変な効果が期待されるところであります。
 私は、昨年のプロモーションの際に中国側の前向きな姿勢を感じたところであり、本年夏ごろに開催されるであろう日本・中国航空当局間協議において山東航空が関西空港へ乗り入れすることができるよう国及び中国民用航空総局に対し当局がさらに強く働きかけることを希望いたしますが、これについては今回要望ということで、今後の当局のご尽力に期待をいたしたいと思います。
 次に、漁業後継者の現状と対策についてお尋ねいたします。昨日の前芝議員と少し重複する部分もありますが、当局の前向きなご答弁をお願いいたします。
 平成十三年、全国に占める和歌山県の海面における漁業経営体数は三千五百三十七経営体で、全国の二・五%であり、漁業就業者数は五千五百二十人で、全国の二・二%を占めていると統計が出ております。海面及び内水面の生産量は、平成十二年に比べ約六千六百二トン、一一・七%減少して四万九千八百三十三トンになり、全国二十九位であります。また、海面漁業・養殖業の生産額は五十四億六千九百万円減少して二百八十億四千九百万円になり、それは全国で二十位に位置しております。残念ながら平成十三年の資料しか手元にありませんでしたので、平成四年から十年間の間で五百八十経営体が減少しているということであります。減少した主な漁業種類は、敷網百三十一、釣り百二十八、刺し網百九、採貝五十六、マグロはえ縄二十八経営体であります。階層別では、動力漁船三トン未満が三百九十六、三トンから五トン階層が百十九経営体が減少した一方で、五トンから十トン階層が六十経営体増加しているということです。前年対比では百六経営体が減少し、動力三トン未満の層では全体の四七%を占めております。漁業就業者数も、平成四年との対比では千三百三十人減少し五千五百二十人になり、そのうち男子は千六十人減少して五千二百人になっております。また、六十歳以上の男子就業者数は六百人ふえて三千二百九十人になり、男子漁業就業者数に占める六十歳以上の構成比率も四三%から六三・三%と増加しており、漁業者の高齢化が顕著に示されております。さらにその後継者となると、十五歳から二十四歳までの男子に限ると百十人だそうです。単純計算しますと、十五歳から二十四歳まで十年間で百十人ということなので、毎年十人少しぐらいの新規就業者しか従事していない産業なのだと認識を新たにしたところであります。
 そもそも私がこのたびの一般質問に取り上げようと考えたのは、ことしの一月元旦早朝のNHKテレビの報道番組だったと思いますが、現在の漁業就業者の数が全国で二十三万人であり、後継者数はわずか千三百人しかいないとの内容を知ったからです。その数字が本当の数字なのか、もしかしたら私の聞き間違えではないのかと、にわかに信じることができませんでした。私の感覚では、漁業に携わっておられる方がもっといらっしゃるのではと思っていたからであります。前記の統計が平成十五年ではなく十三年のものなので、もっと進んでいると考えられます。一体、日本の漁業はどうなってしまうのか。農林水産業の中で比較的活力があった漁業と思っていたのは私の認識不足であったことを痛感いたしております。
 知事は、緑の雇用事業を初め、昨年から農業をも組み合わせた事業に大変積極的にお取り組みをいただいております。私も中山間地域出身ですので、日ごろ知事の政策に大変心強く感じておりますが、もしかすると水産業の方が事態は深刻化しているのではないか、また今後深刻化するのではないかと考えます。もちろん、その大きな原因の一つに我が国の沿岸漁業の漁獲高が年々減少していることはご承知のとおりでありますが、我が県は海洋県でもあり、有力な一次産業として漁業をその柱に位置づけ、振興を図ってまいりました。しかし、漁業就業者の減少は、漁獲高とか効率化とか労働条件とかの問題だけなのか、このまま統計どおり減少が進めばどのような事態になるのか。まさしくあすの漁業に対して一刻も早く対策を講じるときに来ていると考えます。
 知事は、平成十六年度当初予算を組むに当たり、青の振興和歌山モデル事業を提唱されております。その事業目的は、「ソフトによる海の総合振興策として水産物の販路開拓や漁家の収益拡大、都市との交流や観光、漁場環境の維持・保全に取り組み、漁業の就業機会の拡大を目指す」とあります。事業内容は、「和歌山県独自の海の総合的なソフト振興策を展開するとともに全国に発信していく」とあり、「紀州おさかな応援団に二百十八万七千円、ヒロメの産品化促進に百六十七万円、海遊モデルに九百三十万九千円、海の恵みネットワークに二百八十六万三千円、漁民の森づくり活動に八十万円を計上し、これらの事業を有機的に連携させ、ソフトによる海の総合振興策により漁業の就業の拡大を目指す」と述べられておられます。
 青の振興モデル事業の趣旨には私も大いに賛成ですけれども、十年後、漁業を取り巻く環境はさらに高齢化が進み、就業者の激減に伴い我が県の漁業はより一層深刻な状況になると予想されます。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 緑の雇用事業のようにもっと直接的な施策を早急に展開しなくては、近い将来、漁業就業者の確保に大きな課題を残すのではないかと思うのですが、いかがですか。
 漁業就業者の高齢化問題と就業希望者の減少に歯どめがかからない問題に知事初め当局の積極的なお取り組みをお願い申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
 私は、昨年九月議会においては東南海・南海地震において和歌山県の海岸の整備について、また十二月議会においては家屋の耐震強化について一般質問をさせていただきましたが、このたびは和歌山県が管理する道路における構造物に対して、耐震性及び耐震強化について当局の見解を承りたいと考えます。
 昨年、国土交通省は、地震が起こった際、その耐震性について全国の主要幹線国道の調査を行ったと伺いました。その結果、各路線において幾つかの問題箇所も新たに指摘され、順次改良していくとの見解が発表されておりました。国交省は和歌山県においても国道二十四号線、国道二十六号線及び国道四十二号線の橋梁等についての耐震調査を行ったと記憶しておりますが、当局においても県が管理する国道・県道等主要幹線道路の調査を行っていることと思います。大震災が発生した場合一番大切なことは、避難経路の確保は言うまでもありません。しかし、その直後の対策として緊急車両の進入路、救援物資等の輸送路の確保が最重要課題となることは、さきの阪神大震災の例をとるまでもなく、当然のことであります。いざというときに私たちの生命線とも言える幹線道路が各地で分断され、通行不能の状態に陥り、それぞれの地域が陸の孤島となり、緊急車両や救援物資が届かないのではないかと大変心配をいたしております。特に私たちの地域のように海溝型の南海地震を想定した場合、阪神・淡路地震のように被災地が局地的な地域の場合と異なり被災地が広い範囲に及ぶため、救援活動も困難をきわめるのではないかと懸念されております。空路や海路からも救援を行うことになると思いますが、それぞれの拠点からは陸路に頼らねばならず、当然、陸路の安全確保に努めなければならないと思います。
 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
 当局は、県内のどの路線を緊急輸送路として位置づけているのか、またどの橋梁等の耐震対策をするのか、さらにそれを補強するに当たりどのような補強が必要なのか、そして、その改修期間はいつから始まり、いつまでの予定なのか。以上についてお答えをください。
 次に、農薬取締法の改正と農薬登録の現状についてお尋ねをいたします。
 農薬とは、農作物等の病虫害等防除に使用される薬剤や天敵とあり、農作物等の生理機能の増進と調整に使用される薬剤であります。平成十四年七月三十日、山形県の業者が無登録農薬を販売したことから端を発し、その後、全国四十四都道府県約二百七十営業所で販売、約四千戸の農家に使用が確認されました。事態を重く見た政府は無登録農薬の問題を速やかに解決するため、また国民の食に対する不安感を増大させないため、農薬の流通・使用に伴う規制強化の必要性が緊急の課題となり、法改正が行われることになったと承知いたしております。
 昨今、我が国のみならず、米国においても狂牛病や中国・東南アジアから現在大変問題になっております鳥インフルエンザ──その感染した鳥の肉や卵が市場が出回るなど、問題はさらに深刻化し、我々国民の食に対する安全性に疑問を投げかけられることにしばしば直面をいたします。日本の食糧の海外依存率がますます高くなり、海外からの輸入農産物の残留農薬の問題も取りざたされる中、農家の方は日本の農産物の安全性を確保し、少し値段が高くても消費者の皆さんに安心してもらえるように日々ご努力いただいているわけですが、国際競争の波に押され、ますます厳しい状況に置かれながらも頑張っておられます。消費者の皆さんも、食の安心・安全の観点から言えば、もっと国内産の農産物を評価する時期に来ているのではないかと考えております。しかし現在、農業を取り巻く環境は極めて厳しく、このたび農薬取締法の改正が取りざたされたとき、農家では当初かなり混乱が起きました。今日に至っても農薬の使用品目及び使用方法が細分化され、適用作物以外では使用禁止となり、大変戸惑っておられます。
 例えばトマトとミニトマトや、サヤエンドウと実エンドウ、またシシトウとピーマンなど、農薬を使用するに当たり細かく使用方法が分かれ、生産品の大きさとかその食し方、形状によって異なる農薬の指定が行われております。食の安全性から言えば当然のことではありますが、反面大変複雑で、戸惑いの声が農家から上がっていることも現実です。また、現在使用している農薬に関しては二年間の経過措置を認められており、大きな混乱にはなっておりませんが、平成十七年以降から一体どうなるのか、農家にとっては大きな問題となっております。なぜならば、当地方においては大きな産地ではあっても全国的視野に立つとミニ生産地となり、農薬会社では製造コストの面から当地方の農産物に使用する農薬の申請をしてくれない場合もあると聞き及んでいるからであります。今まで使用できた農薬が登録経費がかかり過ぎるからという理由で見送られれば、使用できない農薬も今後出てくるのではないかと大変心配をいたしております。和歌山の産地にとってなくてはならない農薬についての登録はどうなるのか、当局の対応をお伺いいたします。
 また、もし知らずに無登録農薬を使用してしまった場合、農家が罰せられることは当然でありますが、その産地が受ける打撃ははかり知れないものとなります。隣の人が使用した農薬反応が使用していない近隣の田畑にも影響を及ぼすことも考えなくてはなりません。さらに、隣の田畑で違った作物をつくるとき、農薬を使用できないのではないかとの問題も場合によっては出てくるのではないかと予想され、農家にとっては経済的にも精神的にもかなり負担がかかってくるのではないでしょうか。こういう不安を一刻も早く整理し、農家の方が安心して農業を営めるよう県当局の一層のご尽力をお願いいたします。
 そこで、農林水産部長にお伺いいたします。
 この農薬取締法の改正に当たり、当局はどのような対策をしてこられたのか、またこれからどのように対処していかれるのか、さらに農家に対してどのように啓発していかれるのかをお答えいただきたいと思います。
 最後に、私の友人の一人に、有機農法ではなく農薬そのものをできるだけ使用しない農法に大変研究熱心で実践しておられる方がいらっしゃいます。彼の考え方は、植物が本来持っている生命力を引き出すことで防虫防疫に対処していくという方法であります。十六栄養素というのがあるらしいんですが、それをバランスよく地中に配合することにより、化学肥料や農薬だけに頼る肥料ではなく、地中に細かい毛根を張りめぐらし、植物本来の生命力を引き出す農薬に頼らない農業にも挑戦され、一定の効果を上げ、見事な農作物を生産していると聞いております。
 二十一世紀に新しい農法にチャレンジしている方もおられることをご紹介申し上げ、このような農法に対しても認識を深めていただき、さらなる農政の充実に期待を申し上げ、私の一回目の質問を終わります。
 ご清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの花田健吉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 高野龍神スカイラインの年間通しての利用ということでございますが、私もこれは非常に大事なことだと思っております。
 先日も花園村へ行きましたら、花園村の出している売店が、無料化したために三倍に伸びたという話もあります。そしてまた、龍神村でも大変な人の数が入ってくると。これが世界遺産に登録されましたらますますこの道の持つ意味というものが大きくなってくるんで、そうなってくると、やはり冬季も通して走れるというふうな仕組み、そしてまた安全に走れるというふうな仕組みを考えていくことが当然のことながら必要になってきます。
 ご質問にもありましたように、費用との兼ね合いもありますけれども、今後のそういうふうな動向ということを注意深く見きわめながら前向きに対応する方向で考えていきたいと、このように思っております。
 それから山東省との交流でございますけども、これまあ二十周年ということで、日本の県では和歌山県と山口県が山東省と友好関係を結んでいる。これ、二十年やってきたということは非常に貴重なことです。中国は今、生産の基地であるとともに、これからいろんな日本で生産されるものの消費地、また観光客の輩出地として大きな役割を期待されているところでございまして、この和歌山県、山東省との二十年間の友好ということを前向きに、いろんな面で和歌山県の活性化につながるようにしていく最初の年というふうな形でこの二十周年というものを考えていきたい。そのためにいろんなイベントとか、そういうことを考えていきたいというふうに思っております。
 次に漁業後継者の問題ですが、これはもう統計的に大変厳しい状況であるというのはご質問のとおりだと思います。これは和歌山県においても同じことで、和歌山県の場合、ただそうではあったとしても第一次産業を軽視して県の発展ということは考えられないということで、来年から地域振興策の三部作ということで、青の振興ということで漁業にも目を向けた地域振興を図ろうとしているところでございますが、ただ予算的には非常にまだ厳しいものがありますし、そして中身もそれほど十分に充実したわけではございませんけども、本当に和歌山県の漁業というふうなものが振興していくにはどういう形がいいのかということをこの青の振興策ということを通じて真剣に考えていきたい、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 知事公室長小佐田昌計君。
  〔小佐田昌計君、登壇〕
○知事公室長(小佐田昌計君) 山東省との二十周年記念事業についてでございますが、この二十年という記念すべき節目の年を契機に、さらに交流を発展させるべく事業を実施してまいりたいと考えております。
 具体的に申し上げますと、大規模交流団の相互派遣、職員の相互派遣を予定しております。大規模交流団につきましては、和歌山県と山東省の両県省民がそれぞれに約百名規模で構成し、それぞれの地において記念式典や交流事業を行うこととしております。さらに、世界遺産登録を目前に控えている紀伊山地の霊場と参詣道と山東省の泰山等の世界遺産を相互に訪れ、その歴史と文化にじかに触れることにより、人的交流と山東省からの誘客促進を図ってまいりたいと考えてございます。時期につきましては、派遣は五月、受け入れは秋ごろを計画してございます。また職員の派遣につきましては、両県省の今後の交流を担う人材を育成するため、それぞれ一名を派遣するということで現在調整しております。
 二十周年を契機に、民間の方々と協力しながら山東省とのきずなをさらに深めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 山東省との交流二十周年に関しての、進出企業の現状と進出希望企業への支援措置についてお答え申し上げます。
 まず進出企業の現状ですが、平成十四年に実施した調査では、機械、日用雑貨、衣料縫製など、既に二十六社が中国に進出し、山東省へは縫製と機械関係の二社が進出をしております。
 山東省とは、昭和五十九年に友好提携を結んで以来、協同組合への研修生の受け入れや県内企業と山東省の企業による商談会の開催など、さまざまな経済交流を進めているところです。また十六年度新規事業として、中国など海外向け高付加価値商品の開発や販路開拓に取り組む企業を支援するための予算も計上してございます。
 これまで二十年の交流で培ってきた山東省政府とのきずなを生かし企業間の交流を推し進めるとともに、昨年上海市に配置した中国人ビジネスコーディネーターによる情報の提供や実践的なアドバイスを行うなど、県内企業の中国ビジネスを積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 道路構造物の耐震対策でございますが、緊急輸送道路は災害時に物資等の迅速な輸送を確保するため隣接府県や防災上の拠点となる施設等を連絡する幹線道路で、地域防災計画の中で位置づけられております。
 本県では、県庁や和歌山・橋本・新宮等の各市役所、和歌山下津港や日高港等の重要港湾、南紀白浜空港など防災上の重要拠点を連絡し、県土の根幹的な骨格となる道路網として、高速道路、直轄国道のほか、これらの機能を補完し代替する国道百六十八号、三百十一号、県道和歌山橋本線など、県管理の幹線道路約三百二十七キロを第一次緊急輸送道路として指定しております。また、この第一次緊急輸送道路と各市町村役場や医療拠点等を連絡する第二次緊急輸送道路として、国道百六十九号、県道田辺龍神線など、約四百四十三キロを指定しております。
 次に耐震対策が必要な橋梁でございますが、緊急輸送道路にかかる十五メートル以上の橋梁は四百二十五橋ありますが、そのうち昭和五十五年以前の古い設計基準でつくられた橋で、主に第一次緊急輸送道路にかかる特に対応が必要な百十五橋について、来年度から十年間で重点的に耐震化対策を講じてまいります。
 また、補強方法といたしましては、耐震基準に基づき、橋脚にコンクリートを巻き立てたり、けたが落下しないよう落橋防止装置等を設置する工法を考えております。
 なお、来年度は、国道三百十一号の真砂大橋、日高印南線の野口新橋等、十二橋を予定しております。今後とも、道路構造物の耐震化対策について着実に進めてまいります。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 農薬取締法の改正と農薬登録の現状についてでございますが、議員お話しのとおり、使用基準が厳格に規定され、実エンドウなどでこれまで使用していた農薬が使えなくなったことから、農家、JA、また農薬販売業者段階での研究会等を通じまして改正内容の周知徹底に努めてきたところでございます。
 一方、農薬の登録拡大に向けた取り組みにつきましては、さきの六月議会におきまして補正をお願いし、全国に先駆け、登録のための試験をスタートさせたところでございます。また、国及び各府県との連携を図りながら農薬の登録拡大に努め、生産現場に支障が生じないよう積極的に進めているところでございます。
 さらに、生産農家に対する啓発につきましては、農業改良普及センターやJAによる研修会などを通じてよりきめ細かな情報提供を行うとともに、農薬の専門的知識を有する農薬アドバイザーを認定し、農家が安心して営農に取り組めるよう努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高等学校における国際交流につきましては、これまでも積極的に取り組んできたところであります。
 現在、県立高校十一校が海外に姉妹校を持ち、また六校が海外へ修学旅行や研修旅行に出かけるなどして国際理解教育を推進しております。
 山東省との間では、議員のお話にありました南部高校のほか、那賀高校、星林高校が姉妹提携を結び、相互にホームステイしながら中国舞踊や書道、生け花など伝統文化の交流を行っております。
 友好提携締結二十周年となる本年、これらの学校では相互訪問を予定しており、また山東省側でも、ことし夏に中高生や大学生が本県を訪問する計画があると聞いております。その折には県内の多くの学校で受け入れ、生徒との交流を行うなど、記念の年にふさわしい内容となるよう配慮してまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十四分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
 昨年の六月議会、十二月議会と、私はミカン対策について取り上げてまいりました。二〇〇三年度産のミカンは、最終的なまとめはまだ出ていませんが、キロ単価百四十円台と前年よりもまた落ち込んだ結果となりそうで、農家は泣いたままであります。一方、味の方はと言いますと、昨年は和歌山県産のミカンは大変評判がよかったようです。全国的な天候不順の中、おいしいミカンができたというのは、「やはり和歌山の気候条件の優位性とポテンシャルが発揮されたんだ。そういう面がある」と農協の方がおっしゃっていましたが、なるほどと思いました。
 さて、今議会で来年度予算の審議をするに当たり、昨年度取り上げましたおいしいミカンをつくるという生産面、そしてしっかり売り込んでいくという販売面、また農業施設の整備や農家の経営支援、学校給食に食育としてどうミカンを取り入れていくか、こういうことなど、どう取り組まれようとしているのかをお聞きしたいと思います。農林水産部長より、来年度予算におけるミカン対策の位置づけと重点施策についてご答弁を願います。
 次に、高病原性鳥インフルエンザ問題についてお尋ねをいたします。
 一月から山口県、大分県、京都府、兵庫県と感染を広げた鳥インフルエンザは、京都府丹波町の養鶏業者が鶏の病死を一週間も隠し、感染した鶏一万五千羽を全国各地に出荷する、そして昨日は会長の自殺という最悪の事態が進行しています。感染経路が解明されないまま、さらに広がる可能性を強めています。昨日から養鶏場の全国一斉消毒も始まりました。和歌山県は、養鶏数では近畿において兵庫県に次ぐ第二位の二百七十万羽を誇る生産県であり、影響は重大です。
 私は、この間、養鶏業者の皆さん、養鶏業組合の役員さんともお会いして実情を聞かせていただきました。「わしらも鶏舎やコンテナの消毒をきっちりやるとか、鶏や飼料の運搬業者にも完全に消毒してもらうなど、一生懸命やってる。でも、やれることは限られているんだ。万一出たら、それこそつぶれるしかない」、そんなふうにおっしゃいました。また、食鶏処理場が近所にあるんですが、消費が冷え込んで出荷量が三割から四割減っているという深刻な事態だそうです。
 この鳥インフルエンザへの対応では、この間の経験を通じて、焦点は二つの点に絞られてきたというふうに考えています。その第一は、初動体制です。感染性の強さから言って、発生した初動の対応がいかに機敏に行われるか、これがウイルスを抑え込むために極めて重要です。その点では、県と家畜保健所がいかに緊張感を持ち、発生したときの体制を整えているかが大変重要なかぎを握っていると思います。そして第二は、周辺出荷自粛農家への補償問題です。疑わしい病死した鳥が出た場合に、周りに迷惑をかけたら悪いから隠そうとこういうふうに考えずに、直ちに検査に踏み切るためには、指導の徹底とともに周辺農家への補償問題を抜きにはできないと思います。万一のとき隠そうとするか、封じ込めようとするかが和歌山県の運命の分かれ道です。
 そこで、農林水産部長にお尋ねをします。
 まず、県内養鶏業者に対する発生防止対策の強化について、国内発生時からの立入検査やモニタリング検査の回数はふやされているのか、また病死鶏の検査はなされているのか、鳥用のワクチンの使用についてはどう考えているのかについてお答えください。そして、今申し上げた二つの焦点です。万一鳥インフルエンザと疑われる病死鶏が出たときの初動体制について、防疫マニュアルの確立や県の組織と人的な体制が、刻々と変化するこの状況に対し日々点検・強化がされているか、そして発生地周辺農家への補償確立の問題についてもご答弁を願います。
 三番目に、コスモパーク加太に県がカゴメトマト栽培工場を誘致する計画についてお尋ねをいたします。
 この件については、先日、二十二億円にも上る土地造成が議決され、今月末にも進出協定が結ばれると聞いています。四十ヘクタールの土地に二十ヘクタールものハイテク温室をつくり、県内トマト農家の全生産量六千四百トンに匹敵する年間六千トンの生鮮トマトを生産するというものです。このカゴメ進出による県内農家への影響と和歌山県の農業にとってどういう意味を持つのかを質問させていただきます。
 私は、この間、トマトを栽培している農家の皆さんに直接話を伺ってまいりました。県内最大のトマト生産地である日高地方。農協の方々は、「うちの地方はトマトで飯を食っている。死活問題だ。コスモパークで県は損ばかり出してきた。そのしわ寄せを今度は農家に押しつけようとしている。大企業が農業できるように、好きなように今法律を変えてくる」、そんなふうに怒り、「産地間競争が起こって、どこかがつぶれないと価格を維持できないだろう」と悲壮感を漂わせました。ミニトマトを生産している日高町の農家の方も、また吉備町の農家も、「トマト農家は直撃だ。もろに影響を受ける。どうすればいいのか」と、困惑と怒りをあらわにしていました。
 一方、私ども有田地方、金屋町や清水町の山間部では、涼しい気候が高品質なトマトの生産に向いているということで高原トマト栽培に取り組んでいます。農家の皆さんは、ほとんどの方が「カゴメと言うんだから、ケチャップ用の加工用トマトをつくるんだと思っていた」と、愕然としておられました。計画の全容をお話しすると、こんなふうにおっしゃいます。「去年から北海道のトマトが関西にも出荷されてきて、市場は随分窮屈だった。天候不順で生産量はがた落ちなのに、安値で泣かされた。秋のトマトは、普通四キロ入りの箱で千百円から千二百円でいってたのが、去年は九百円しかいかなかった。これでは後継者はできないと深刻な状態なのに、カゴメが来たらどうなるのか」とおっしゃいました。また別の方は、「わしらは山間地で、猫の額のような農地にしがみついて、この土地の気候条件を生かした農業で頑張っていこう、過疎に打ちかとうと、皆一生懸命で励まし合いながらやってきた。わしらのことを県は一体どう思ってくれているんか」。中山間地で頑張っている農家の実感だと思います。
 また、和歌山市内でハウス栽培をしている農家にも伺いました。農薬を減らす特別栽培に取り組んでいる農家や水耕栽培に取り組んでいる熱心な農家の方でした。ハウスの中で、「ここは市街地区域で宅地並みの評価なので、年間十五万円の固定資産税を私はこのハウスで払っている。なのに、カゴメには二十億円かけて土地の整備までしてあげる。レンタルの土地には税金はかからないと言う。ただでさえ資金力に企業と地元農家は大きな差があるのに、カゴメにはそこまでするのか」と驚いていました。また、以前にJT──日本たばこ産業です──の委託栽培を手がけていたという水耕栽培の農家は、「この小さなハウスでも、夏場は水道代で二カ月で八万円かかる。電気代や重油代も大変だ。企業はそんな大規模な設備投資をして続けていけるのか。JTや北海道のオムロンのように、採算が合わないとすぐに撤退してしまうのではないか」と、不信感をあらわにしていました。
 まさに、トマトの主力産地でも、気候を生かした中山間地でも、都市近郊農家でも、カゴメの進出は脅威だというのが農家の生の声でした。この農家の声に一体県はどうこたえるのかと、私は農林水産委員の一人として声を大にして言いたいのです。
 まず、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 県内農家への影響についてどう考えていますか。影響を調査・予測したのでしょうか。カゴメは、先方からやってくるのではなく、県がこちらから誘致をするんです。責任があります。県内トマト生産農家への影響と対策についてどう考えているのか、ご答弁をお願いいたします。
 次に、知事にお尋ねいたします。
 先ほど紹介した農家の声にこたえていただきたいと思うのです。私は、今回の問題、和歌山に企業が進出して雇用がふえ、地域経済にプラスになるという一般的な企業誘致とはわけが違う、そういうふうに思います。知事、カゴメ側が説明しているように、県内農家への影響は少なく、農家と共存共栄が図られ、トマトと言えば和歌山と言えるようなそんな産地になるでしょうか。国が進めている大企業の農業進出が日本農業と食生活の未来を照らし、和歌山県の農業発展につながるでしょうか。
 農業という営みは、自然と向き合い、天候が順調であれば喜び、不順となれば泣き、自然の前にはいかに人間は無力であるかを感じながら自然に立ち向かい、額に汗して働く仕事だと私は思います。そして、偉大な自然の恵みの中でその一部を分けていただくのが農産物です。だからこそありがたいし、値打ちがあるものだと思います。
 近代的な栽培方法自体を否定する気は毛頭ありません。しかし私は、今回のように大規模な工場のような施設で農産物を大量生産する企業を誘致するということが和歌山県の農業発展につながるとは到底思えないのです。農林水産業の振興は和歌山県政の重要課題です。和歌山県政における農業振興の方向性とカゴメ誘致の関係について、知事の所見を伺います。和歌山県内の農家に直接答えるつもりでお答えをいただくようお願いをします。
 次に、市町村合併の問題に移ります。
 今、政府は、三位一体改革ということで国庫負担・補助金の削減、地方交付税の削減を強行する一方で税源移譲はほとんど行わず、その結果、地方自治体は本当に予算を組めないという事態に追いやられています。しかし、合併をすればそこから逃げられる、市町村の財政の困難が解決するかと言えば、そうじゃありません。ところが、雑賀議員が先日取り上げた県の市町村課が作成したメモには、「財政的に単独は厳しい。大幅な住民サービス低下と負担増の末、再建団体があり得る」と結論づけ、説明会では、「合併しての現状維持か、単独となり、住民サービス・負担が大幅に悪くなった末の再建団体化かが問われている」、こういう趣旨の説明が行われています。
 言うまでもありませんが、合併した場合の地方交付税は、十六年目からは一本算定となります。財政が厳しくなるのは合併した自治体の方ではないでしょうか。人件費も決して単純には減りません。
 例えば、合併先進地のあきる野市。合併前の人件費四十三億円が、合併調整によって給料が上がり、職員数を減らしているにもかかわらず七年後でも五十一億円にと、二割増しになっています。職員数を減らした分をパートで補うことも影響して、物件費も上がっているんです。これも二割増となっています。篠山市でも減っていないんですね。県内を見ましても、この一月にかつらぎ町が行った財政シミュレーションを見せていただくと、高野・九度山・花園と合併した場合、平成三十二年には単年度の赤字が三十億六千二十五万円にもなり、合併しなかった場合はかつらぎ町単独の赤字は三億六百二十三万円であるという分析です。
 このことを見ても、市町村課のメモのように、合併したら現状維持で、合併しなかったら再建団体化というのは正確でないと同時に、そういう単純な図式の結論を押しつけるというのは合併への圧力になると思いますが、総務部長の見解をお聞かせください。
 また、市町村課のメモや説明、合併協議会での県職員の発言の中で、「まず合併に合意をするということが大事で、調整が難しい問題は合併してから決定すればいい」、そういう意味の指導をしているのは私は大きな問題だと思います。役場の位置をどこにするのか、分庁舎にするのか、新庁舎を建てるのか、支所をどうするのか、住民サービスをどのような考えで進めるのか、こうした問題は住民にとって非常に大事な問題であり、合併すべきかどうかを住民が判断する材料として欠かせないものです。市町村課のメモも、「住民のためには何がいいかが判断根拠」と書いています。本当にそう考えるなら、住民が合併問題を判断できる情報を住民に提供するよう県として指導するのが当然であって、課題の先送りを指導するのは間違いだと考えますが、知事の答弁を求めます。
 次の質問に移ります。
 この一月、有田市の有田川河口に県がプレジャーボートの不法係留対策としてマリーナを建設する予定地が環境省の選定する重要湿地であることがわかり、このことがマスコミでも大きく取り上げられました。この付近は、業者により河原に自動車の廃車が数十台も放置されるという不法占拠が問題になるとともに、多数の不法係留もあり、環境が悪化し、住民から対応が望まれていたところです。計画では、係留施設やヘリポートなどもつくって不法占拠を一掃しようと、二月下旬に着工する予定でした。ところが、マリーナ計画を知った研究者の指摘で、予定地の有田川河口一帯が環境省が希少生物生息地として和歌浦干潟などとともに日本の重要湿地五百に選定していたことがわかり、法的制約はないものの計画の再検討に入ったというものです。報道では、計画をした県土整備部は重要湿地選定を「知らなかった」、環境生活部は「伝えていなかった」という問題点をずばり指摘されました。
 実は、この問題が報道される一カ月前に、有田地方で同じような出来事があったんです。私のところへ金屋町の住民の方から、「和歌山県のレッドデータブックに記載されている金屋町伏羊のシリブカガシというカシの林が県による農道整備で削られているけれども、どうなっているんな」、こういう問い合わせがありました。シリブカガシは暖地に生えるブナ科の常緑高木で、近畿が北限とされていて、ドングリの底がへこんでいるのでその名前があると言われています。
 研究者の調査によると、「紀中で見かけられるのはほとんど数本単位で、金屋町伏羊のようにシリブカガシ林と言えるような生育地が見つかったということは特筆に値する」と研究誌でも紹介をされました。そういう貴重な群生地が確認をされ、二〇〇一年、この県のレッドデータブックで紹介されても、この群生地のことを事業課は知りませんでした。そしてまた環境生活部も、この工事が行われていたということを知らなかったわけです。幸いにしまして群生地の半分がもとのまま残っており、地主の方も大事にしたいと協力していただけることになり、この貴重な群生地に説明看板などを立てることが町と県によって協力して進められようとしているのはうれしく思っております。
 私は、この二つの出来事が連続して指摘されたことを恥ずかしく、重く受けとめるべきだと思います。事業を行う部署と環境の部署がばらばらでかみ合っていないんじゃないでしょうか。この自然環境豊かな和歌山県が、緑の雇用や世界遺産登録などもかかわって環境問題に熱心な県であろうとすればこそ、この二つの事例から問題点を明らかにし、教訓を導き出し、こんなことが今後起こらないようにすべきです。県土整備部長、環境生活部長のそれぞれから、この二つの事件から何を教訓とするのか、お答えください。そして知事からは、住民要求の実現と自然環境の保全、この二つを両立させるその今後の県行政の進め方について答弁をお願いいたします。
 次に、国道四百八十号清水町三田バイパスの橋脚設計ミスについてお尋ねをします。
 この橋は、皆さんご存じ、清水町の棚田の風景で有名な蘭島にかかる橋のうちの一本で、橋梁本体工事だけで約十億五千万円、詳細設計は三千二百万円。この設計を請け負ったのが国土工営コンサルタンツ和歌山営業所です。ミスが見つかったきっかけは、昨年四月に橋台を建設していた地元の業者の方が「設計どおりにこのまま工事をすると今の国道が半分削られてしまう」と指摘して、その後、橋の設計そのものに多くのミスが見つかったものです。橋の基礎の寸法不足や、高さが向こうとこっちで十センチ違うとか、橋脚のはりの鉄筋量が不足しているとか、橋脚の鉄筋間隔に問題があるとか、橋が落ちるのを防止する装置の箇所数の数に間違いがあるとか、そんな多数の不手際が見つかり、県が点検を依頼したコンサル会社の指摘では、橋の上部工本体が輸送困難なブロック割りとなっているほか、橋全体の動的解析が不十分など、橋の安全性や橋の完成そのものが疑問視とされる意見までが出されています。しかし、この設計図は県の納入時の検査を通り、橋脚と片一方の橋台も既に完成をして、県の完成検査をそのままパスしてきているんですね。この事件は、県の工事や県政そのものへの信頼性にかかわる問題だと指摘せざるを得ません。
 県土整備部長に三点お聞きします。
 まず、これまでに判明した設計ミスの内容と、なぜそうした設計ミスが起こったのかについて明らかにしていただきたいと思います。
 また、大量の手抜き設計を県が検査をしたのになぜ見抜けなかったのか、この点についても見解をお示しください。
 また、地元の業者からミスが指摘されて、もう一年近くも工事がとまったままになっています。なぜ解決がおくれてきたのか。そして、今後、この問題の解決だけでなく二度と重大な設計ミスを見逃さないための体制・制度づくりが必要だと考えますが、見通しをお聞かせください。
 最後に、生石高原県立自然公園にかかわってお尋ねをさせていただきます。
 今議会には生石高原の家の休止にかかわる議案が上程されています。私は、調査のために何度か生石山に足を運びました。青少年施設としては利用が極端に少なくなった状況も聞かせていただき、施設の雨漏りの様子や傷みぐあいも見せていただきました。「休止はまことに残念ですが、せっかくこの生石高原の自然公園にある施設を何とか別の方法で活用したい」、そういう声が出てきています。地元の生石区も、区として「せっかくの施設だからもったいない。自分たちで補修をして高齢者や子供たちの施設や都市との交流施設なんかができないか」、そういう豊かな構想を今練っているようです。また生石山にかかわるNPO法人が、ビジターセンターとか活動拠点を求めているという話もお伺いしました。さまざまな活用方法が考えられるでしょうし、今ご紹介したような考えも、それぞれに意気込みのある、すばらしい情熱が感じられるものでした。ぜひ今後の利活用については、地元金屋町も交えて、地元区やNPO団体など生石高原を愛する人とともに知恵を寄せ合って、十分に検討して方向性を出していただくようお願いをするものです。
 この生石高原自然公園は、近年小さくなったススキ草原を復活させようと県や知事も力を入れていただいて、ことし二回目の試験的な山焼きが予定されています。この間の何回かのススキ刈りボランティアや昨年から始まった山焼き、また緑の雇用を活用した灌木の除去などが相まってススキ草原が復活し、昔の生石山がよみがえってきたと大変喜ばれています。
 今回、それに加えてうれしいニュースがありました。生石山の山頂のすぐそばに、何と小さなわき水があるんですね。いわれによると、その昔、弘法大師が新しい聖地を求めて生石山に来て、山頂から眺める余りの景色の美しさに感じ入り一筆記そうとしたが、懐の矢立てに一滴の水もなかった。そこで足元の岩を掘ってみるとわき水がにじみ出てきて、この水はどんな日照りでも切れることなく、後に「すずり水」と呼ばれるようになったと言われています。あちこちにある弘法大師伝説の一つでしょうが、山頂近くに水がわいているというのは本当に不思議なもんです。そして、このわき水の周りには、高層湿原にしかない貴重な植物や花が自生しているんです。ところが、ここも灌木が進入してきたり人が踏み荒らすことによって湿原が小さくなっていたのですが、今年度、生石山の大草原保存会の皆さんが県の事業委託を受け、木製の歩道を整備してくれました。その木材は付近の森林を間伐した間伐材を利用しています。木材をみんなでかつぎ上げ、灌木を切り、訪れた人がススキ草原特有の草花とともに高層湿原ならではの草花も楽しむことができるようになったんです。手づくりのきれいな看板もかけられました。ちょうど山焼きのころにはショウジョウバカマがきれいなピンク色の花を咲かせるということで、大変楽しみにしております。
 木村知事も、昨年の山焼きも含め、何度も生石山に登ってきていただいたと聞いています。そして、「山焼きの後はきれいになるなあ」とか、「それにしても道が悪いなあ」とか、いろいろ感想を述べられているようでありますが、ぜひ知事には生石高原自然公園の位置づけや思いとともに、ススキ草原復活のための山焼きについて所見を伺います。そして、環境生活部長より生石高原の家休止後の利活用について答弁をお願いして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、カゴメのトマト栽培施設誘致についての考え方でございますが、これは加太のコスモパークの利用ということで、環境に優しいものの誘致ということの中で出てきたものでございます。そして基本的には、これは和歌山県にできなくても近畿の他の県に誘致されるということになっておりまして、そこで一定量のトマトができてくるということは、これはもう和歌山に来なくても起こり得るというふうなことが一つあるわけでございます。
 ただ、そのことで和歌山県内のトマトを一生懸命生産している人たちが被害をこうむることのないようにすることは、これはまた別の問題で、非常に大事なことだというふうに考えておりますので、この問題、他にこういうふうな工場ができたところでは、カゴメと農家との間で契約栽培をしているというふうなところもございますので、そういうふうな例を引きながら和歌山県が全体としてトマトの産地として栄えるというふうな形を目指していきたい、このように思っております。
 それから次に市町村合併について、まずすべてのことをまとめ上げてから合併すべきじゃないかということでございますけれども、これについては、また新しい法律もできるということがきょうの新聞にも載っておりましたけども、やはりかなり急ぐ施策として進められてきている。そういうふうな中で、すべてのことを全部決まった後でやっていくということではやはり大きなことが進まないということもございますので、合併しようと──これはもうもともと地域の意思でございますけども、地域の意思が大事なんだけど、そういうことに決まったところについては、必ずしもすべての細部までが合致できなくても進んでいくという方向も僕は一つの方向であろうというふうに考えているところでございます。
 それから、自然環境保全と公共事業ということでございます。
 公共事業、今まあいろいろなことが言われるわけですけども、やはり地域では非常に公共事業を望んでいるというふうな面があるわけです。ただ、和歌山県なんかの場合、特に自然環境の保全ということもこれまた県是として非常に大事なことでございますので、こういうことに合ったような公共事業のやり方、例えば県産材を使った土どめ工であるとか、いろんな新しい方策を考えて、環境に優しい公共工事ということもどんどん和歌山県では進めておりますし、それから当然のことながらそういうふうな守るべきもののあるようなところについては十分調査して対応していくということが必要である、このように考えております。
 それから最後に生石高原のススキの山焼きですが、これはまあ私が若草山の山焼きにヒントを得て、こういうふうなことをやっていけば本当に和歌山県の生石高原というのがもっともっと売り出せるんじゃないかということで町長さん方に話したのがきっかけなんですけども、その後、関係者の方々がいろいろ努力されたり、そして県も防火水槽などに補助金を出したり、いろんなことで去年第一回目が行われました。その結果として、去年は面積が非常に少なかったんですけども、そこの部分の次に生えてきたススキは非常にいいものが生えてきたということで、ことしは十倍の面積になってやるということで、私はこれが本当に和歌山県の一つの風物詩になっていって、外からもたくさんの観光客が来るようなものになっていけば地域の振興にも役に立つのではないかと大いに期待しておりますし、私自身もまたことしも行こうというふうに思っております。
○副議長(吉井和視君) 農林水産部長阪口裕之君。
   〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 農業施策についてお答えいたします。
 まず、来年度予算におけるミカン対策の位置づけと重点施策についてでございますが、ミカン対策につきましては果樹振興の重点に位置づけております。マルチ栽培の拡大とゆら早生などの優良品種の早期産地化を積極的に推進するとともに、光センサー選果機の導入や需給調整、経営安定対策、消費拡大対策に強力に取り組むこととしてございます。
 特に平成十六年産からは生産履歴がわかるトレーサビリティシステムを導入し、消費者の安心・安全指向に対応した販売対策を強化するとともに、有田地方で取り組んでございます高級ブランドまるどりみかんの生産拡大を図ってまいりたいと考えてございます。
 さらに、有田地方の貯水タンクの整備につきましては、タンクの現状診断を実施するとともに、必要に応じ改修する予定でございます。
 また、食育の推進につきましては、若年層を中心とした食の乱れを是正し、健全な食生活を構築するために重要な課題と考えてございます。国におきましても、今国会で食育基本法が成立する予定と聞いてございますが、県では既にJA組織の協力を得て、本年一月に県産ミカンを和歌山市内の全小学生等に配布する「みかんで元気!キャンペーン」を実施したところでございます。今後は、このようなキャンペーンとともに、各地域の自主的活動を支援する形で食育をより強力に推進してまいりたいと考えてございます。
 次に高病原性鳥インフルエンザ対策についてでございますが、県内養鶏業者に対する発生防止対策につきましては、本年一月に国内で発生が確認されて以降、モニタリング検査につきましては四百四十検体、病死鶏等の検査につきましては二百検体実施するなど、検査体制の強化を図るとともに、養鶏農家への立入検査や学校飼育動物・愛玩動物についても指導と監視を強化してございます。今週中には養鶏農家の一斉消毒の実施や千羽以上の飼育農家の死亡鶏羽数についての報告を求めるなど、防疫の強化を図ることとしてございます。
 また、鶏用のワクチンにつきましては、国において広域的な発生に備えて備蓄がされておりますが、ウイルスの常在化につながる可能性があることから、現在のところ発生鶏の摘発淘汰による蔓延防止の方針となってございます。
 次に、二点目の、鳥インフルエンザと疑われる病死の鶏が出た際の初動体制の点検・強化を進めるとともに農家への補償確立をについてでございますが、県内の発生時には「高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアル」に沿って対応することとなりますが、全庁的な体制を整備するために、三月二日に和歌山県高病原性鳥インフルエンザ対策庁内連絡会議を設置したところでございます。発生時には直ちに庁内連絡会議を対策本部に切りかえ、初動防疫の徹底による蔓延防止、資材等の確保、風評被害の防止等、全庁体制で総合的に取り組み、機動的に対応してまいりたいと存じます。
 また、発生した場合の農家被害につきましては、発生農家だけでなく、半径三十キロメートルの移動制限区域内で大きな損失が予想され、国に対して新たな補てん措置の確立を要望するとともに、県といたしましても適切な措置がとれるよう努力してまいりたいと存じます。
 次に、カゴメ株式会社のトマト栽培施設誘致による県内トマト生産農家への影響と対策についてでございますが、農林水産部では、昨年十二月にカゴメ株式会社によりコスモパーク加太におけるトマト生産計画について説明を受けるとともに、この計画に対する農家の不安の声に対応し、説明の場づくりを関係団体等に働きかけてきたところでございます。その結果、本年一月二十三日に、県農業者団体が中心となり、各JAの関係者はもとより、オブザーバーとして和歌山市、県養液研究会の関係者の出席のもと、カゴメ株式会社のトマト計画の説明会が開催され、関係者との意見が交わされてございます。
 県といたしましては、今後とも農業団体や各種組織を通じ、生産農家への説明の機会を設ける一方、あわせて農家との連携を密にしながら産地体制の強化を図ってまいりたいと存じます。
○副議長(吉井和視君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併についてお答えをいたします。
 県内の市町村は交付税への依存度が極めて高く、今後も引き続き交付税総額の減少や小規模団体への手厚い措置であります段階補正の減少が見込まれることなどによりまして、より一層厳しい財政状況が予測されます。さらに、人口減少や高齢化が非常に速いペースで進んでいるという事情もございます。
 県といたしましては、本来の趣旨にのっとった三位一体の改革とするよう、今後とも強く国に訴えていきたいと考えておりますが、今後の社会経済情勢や国・地方を通じた厳しい財政状況を踏まえますと、現状のままでは今後住民のサービス・負担や地域の活性化に相当程度の影響が出かねないのではないかと大変危惧しているところでございます。
 市町村合併は、そのことによるスケールメリットを生かして市町村の行財政能力を高めるものでございまして、大幅な経費削減が見込まれるほか、国からの財政支援により行財政基盤を強化して将来的に持続的な行政サービスの提供が可能となるものと考えております。
 ご指摘のメモにつきましては、説明会等で客観的な情報を示した資料の一部として、こうした見通しについての実際の説明を行う際の参考に供したものでありまして、またその際には自主的な合併を尊重する立場で説明をしているところでございます。県の考え方は、そうした説明全体でご理解いただきたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 自然環境保全と公共事業についてでございますが、まず仮称・有田川マリーナの件ですが、有田川河口付近の不法係留船対策は長年にわたる懸案事項であり、地元自治会や有田市からも早急な実施に対する強い要望を受けていたところでございます。このため、治水面への悪影響の排除、河川の利用環境や景観の改善に重点を置く余り、干潟の生物環境への配慮が欠如していたところでございます。
 また、金屋町伏羊の県営農道事業の件につきましては、平成七年度に事業着手し、このうちシリブカガシ群生地付近につきましては平成十二年度から工事を行いましたが、重要な群生地であると気づかず、その一部を伐採してしまったところでございます。
 今般の事態に至ったことを真摯に受けとめ、今後はこのようなことがないよう環境部局との連携を密に、レッドデータブック等を活用しつつ、公共事業の必要性そのものについても十分認識しながら、環境とのバランスのとれた公共事業を進めてまいりたいと考えております。そのためには、担当者の環境に関する意識の向上や知識の習熟も必要であり、研修等を通じて職員の技術力向上に努めてまいります。
 次に国道四百八十号三田バイパスの橋梁設計ミスについてでございますが、まず今回の経過について申し上げますと、この設計業務は平成十一年度に発注した業務でございます。その設計に基づいて橋台の工事を行っていた昨年四月、設計に疑義があり、チェックを行った結果、橋台の橋げたを支える部分の寸法不足、耐震装置の設計不備、橋脚の鉄筋不足等の設計ミスが判明いたしました。原因につきましては、設計請負業者の技術力不足と照査不足であると考えており、このことは業者側も認めているところであります。
 検査は、本来、請負業者が照査を含め誠実に業務を履行することを前提に行うものであり、業者に責任がありますが、結果として設計内容に係るミスを見抜けなかったことは、まことに遺憾であります。
 設計ミスが発生した場合、その設計業者が修正するのが通常であり、本件においても年末までに十数回の協議を重ね、修正をさせてきたところでございます。その後、確認のため外部に照査委託を行ったところ、先月までに依然多くのミスが判明しましたので、設計業者に対し、県指名停止等措置要綱に基づき、昨日六カ月間の指名停止を行ったところでございます。今後、さらに設計及び施工済みの工事の手直し費用の損害賠償請求をしていく考えであります。
 また、今後の再発防止策としまして、設計業者に対し、照査技術者の届け出、照査報告書の提出を義務づけることとしたところでございます。
 また、県においても設計協議及び検査時に設計照査要領によるチェックの充実強化を図るとともに、新年度から新たに職員の技術力向上プログラムを実施していくこととしております。
 いずれにいたしましても、供用開始がおくれることとなりご迷惑をかけましたことに対し、地元並びに県民の皆様におわびを申し上げるとともに、今後、供用開始のおくれが最小限になるよう取り組んでまいりたいと思います。
○副議長(吉井和視君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 有田川河口の重要湿地及びシリブカガシ群生地と公共事業との関係についてでございますが、一定規模以上の事業実施につきましては、環境影響評価法や県条例により、事業による環境への影響を総合的に評価することとなっております。法や条例の対象とならない事業につきましても、平成十二年に「地域整備における環境配慮の手引き」を作成し、関係課室に配付することにより、環境に配慮するよう促してきたところであります。その後、状況の変化もございますので、この手引の改訂の際には、平成十三年に作成いたしました和歌山県レッドデータブックや新たに選定された重要湿地の内容を織り込むとともに、今回議員ご指摘の有田川河口の重要湿地及び金屋町のシリブカガシの教訓を踏まえまして、その活用について周知を図ってまいります。
 なお、有田川河口のマリーナ建設計画における重要湿地の件につきましては、周知不足があったため、環境への配慮が欠けたことを反省いたしまして直ちに関係機関に通知したところでございます。
 今後とも、工事の計画策定に当たっては、環境への配慮を一層働きかけるのはもちろん、環境研修など有効な取り組みにつきましても工事担当部局と連携してまいります。
 次に生石高原の家休止後の利活用についてでございますが、県立生石高原の家につきましては、団体生活を通じて心身ともに健全な青少年の育成を図るために昭和五十三年に設立されました。しかしながら、建設から二十五年余り経過し、社会情勢の変化並びに施設の老朽化等により利用者の減少が続いており、この間、種々利用促進策を講じてきたところでもありますが、施設を取り巻くさまざまな要因から減少傾向に歯どめをかけるに至らず、平成十六年四月から休止いたしたいと考えております。
 議員ご指摘の当該施設の今後につきましては、施設の老朽化など、利活用についての厳しい条件もございますが、地元金屋町を初め、地域住民、NPO団体等の皆様のご意見をお聞かせいただきながら検討してまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 再質問させていただきます。
 生石山や環境問題については大変いいご答弁いただきました。お礼申し上げます。しかし、三点にわたって再質問をさせていただきます。
 一つ目は、トマトの問題です。カゴメの誘致の問題で知事に再質問します。
 知事は、「地元農家とカゴメの誘致ということはうまくやっていけるように思う。やっていくようにしたい」、そういうふうにおっしゃいました。しかし知事、広島ではあのカゴメのハウスが来て、地元の産地でもう生産をやめてしまったというところも出てきている、そういうふうに農家は聞いているようです。また、「今回一月の二十三日にJAがカゴメを呼んで説明会をした」と言うんだけども、県の方は農家に対して説明をまだやってきていないし、調査すらやってきてないと、僕思うんですよ。私は、自分の今回の問題に対する見解も申し上げましたが、私は今回の質問で農家の生の声を取り上げたのが中心なんです。そして、農家に向かってこたえるべきだと問うたわけです。カゴメの計画について農家はどんなふうに受けとめているか、感じていただけましたか。「県は、わしらのトマト農家に対して何の説明もない。影響なしだとでも思っているのか」というふうに考えているわけです。決まってから説明されてもどうしようもない。「カゴメにこれだけ力を入れておいて、これでは県内農家は切り捨て御免じゃないか」と、そんなふうに県に対して厳しい意見が出ているわけです。これはトマト農家に限ったわけではありません。ですから、カゴメ誘致成功というのを最優先課題に今回してきて、農家への影響、この説明が後回しになっているのではないかということを私は指摘したいと思うんです。知事が先頭に立って、県は農家とひざを詰めて対話すべきだということを求めたいと思いますが、知事の答弁をお願いいたします。
 二つ目は合併問題です。
 知事は、「全部決まってからでなくても、すべてでなくてもいい。合意したところから始めてもいいんじゃないか」という答弁だったし、部長は「客観的な説明なんだ」というお話でありましたが、私は、重要問題で次々と先送りが指導されている、この問題を指摘しているわけです。言っていることとやっていることが違うんだということを言いたいんですね。
 例えば吉備・金屋・清水三町の合併協議会では、庁舎問題の小委員会で、結論先送りで、先を急がせる発言を県職員が何度も繰り返しています。市町村課のメモについても、部長は「説明全体でとらえてほしい」というお話でしたけども、二月に有田で行われた県市町村課の説明会では、調整困難な事項についてはこんなに言っています。「新しい町の中で考えたらいい。先送りも積極的に使う。庁舎も、名目上の庁舎を決めて現状維持もある。いろんな方法がある。名目上の庁舎にし、合併後に本当の庁舎を決めていくところもある」と力説しているんです。そして、「名目にこだわって三百億円の特例債をつぶすな。水道料金や福祉バスなど、二、三億円のことで合併を壊すな」と言っているんです。庁舎に名目だの本当だのと言われた日にはあいた口がふさがりませんし、水道や福祉バスをどんな苦労して市町村が運営しているのかと思うと、三百億と、たかが二、三億円と言われれば、本当に聞いているものは札束で顔をはたかれたような気持ちになるものです。
 「先送りも積極的に使う」、こんな説明が行き過ぎではないとおっしゃるんですか。情報提供と客観的な説明とおっしゃるからには、名実ともにそうあるべきです。もう一度知事の方からまとめてご答弁を願います。
 三つ目には、蘭島の清水町の三田バイパスの橋の件です。
 土曜日に現場を調査に行きました。言葉でなく、設計ミスが具体的に見えてきました。橋を乗せる基礎、橋台に四つの穴があいていまして──これは地震なんかのときの落下防止の接続部なんですが──この四つの接続部が二つの穴で固定されるというふうな強度計算がされていた。だから、四つでとめてしまったら、もし揺れたときに基礎自体が壊れてしまって役をなさない、こういう話なんですね。そんな説明を聞くたびに「ええっ」と、こう一々耳を疑いました。なぜそんな手抜き設計がされたのか、そしてなぜ県がそれをわからなかったのか。疑問は深まるばかりなんですね。
 県土整備部長に再質問します。
 再発防止策として技術力向上をお答えになりましたが、それは当然のこととして、第三者の専門家のチェックなど、重大な設計ミスにかかわる部分はそういうチェック機能がこれからは必要ではないでしょうか。そして、「今後必要な予算措置は改めてやる」というふうにおっしゃいましたけども、「供用のおくれが最小限になるように努力」というふうな回答もありました。しかし、一年間これだけおくれてきている、地元への説明がないというのに、この議会に向けて議案が用意されていない。これ、僕、おかしいと思うんです。対応、遅いんじゃないですか。以上、答えられる範囲でお答えをいただきたいというふうに思います。
○副議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) カゴメのトマト工場の件について、地元の農家の方々にいろいろ不安があるということは私も聞いております。そして、先ほど言いましたように、このトマト工場自身は、これはまあ和歌山県にできなくてもほかのところへできると。そして、和歌山県でもたくさんの方々が誘致の陳情というんですか、こういうふうな紙をたくさん持ってきて、ぜひ誘致してほしいというふうな動きも実はあるわけです。だから、これはやっぱり両々相まって考えていかないといかんということで、私はこの農家の方々にどういう状況であるのかということについて十分説明をし、そしてまあ先ほど申し上げましたようにそのカゴメに委託販売──委託して栽培するというような方法とか、いろんなやり方があると思いますので、こういう面についても県がやはり仲介の労をとって説明していかないといかんというふうに思っていますので、これについてはもちろん前向きに対応していきたいというふうに思っております。
 それから合併について、大きな問題を先送りしながらどんどん進めているというお話がありましたけれども、何が大きいかというのはなかなか難しい問題なんだけども、勉強でも何でも、一つのところにひっかかってしまってずうっとそのことを考えていると、後やらないといかんことがたくさんあるのにやれなくなるというふうなこともあるので、そういうふうなことも勘案しながらトータルとしていろんなことを考えていくのがこの合併の問題では僕は大事なことだろうと思いますし、そしてまたそういうふうな過程の中で、初めは越えることができないような大きな隔たりだと思われていたようなものが埋まることもあるというふうなことで、私は、必ずしもすべての事柄にかっちりした答えを出さないとできないというふうなものではないし、そしてまたそれは地域の考え方というふうな中で進めていってもらえばいいというふうなことで進めているということで。何でもどんどん先送りしてやっていけばいいということを言っているわけじゃないことはご理解いただきたいと思います。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、第三者のチェック機能をというご提案でございますが、今後の検討課題として検討したいと思います。
 それから、そもそも対応が遅いということでございますが、先ほどもご説明したとおり、業者とのやりとりに時間を要したということでございまして、この点についてはまことに申しわけないと思います。
 今後のことでございますが、お金の詰めをしまして、業者に求めるべきものは求めていきたいと思いますし、また供用開始のおくれを最小限とするべく今後必要な手続をとらせていただきたいと思っております。
 よろしくお願いいたします。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 カゴメの問題ですが、知事は、「何とか農家の説明するためにこれからも話し合っていきたい」というふうな答弁でありました。農家の方は、「役員さんには話は聞いているけど、農家自体は聞いていないし、本当に私らのことを思ってくれているのか」という信頼関係のところで思っているわけですから、ここはぜひ農家との説明をしていただきたいし、水面下での進出協定、企業とのいろんなやりとりもあるでしょう。でも、それは県民には見えてこないわけで、決まってからこう発表されるということになるわけですから。そうじゃなくて、農家との説明は、それはそれで進めていくという点を要望しておきたいと思います。
 それから合併の方ですが、「何が大きいかが大事だ。大きい問題にもよる」というお話でしたけども、先ほど私が申し上げた吉備・金屋・清水の合併協議会で言うと、庁舎をどんなふうに運用するか、どこに庁舎を置くかというのは、これは重大問題中の重大問題です。新しい町をどんな町づくりするか、町の骨格・背骨をどうするか、どういう絵をかくかということの本当にスタートの問題なんですね。その協議の結果を聞いて、「じゃ、そういう合併なら私は賛成だ」「そういう合併なら私は反対だ」、そういうふうに住民がその合併の方向に対して判断をする。これがやっぱり方向だと思うんですよ。ですから、「決して次々と先送りするわけじゃない」というふうにおっしゃいましたが、本当に名実ともにそういうような県の姿勢になるように改善を求めておきたいというふうに思います。
 最後に三田バイパスの話ですが、地元は、一日も早い完成を多くの人は求めています。再設計を委託するなり、その事業を進めていこうと思えば、実際もう仕事は進めていかなきゃならない。で、議会にも、いや県民にも理解を得て議案も通していかないといけない。これ、並行して進めていかなければならないと思うんですよね。ですから、本当に今までこんなに後手後手におくれてきていたこの反省に立って、一日も早い完成を求めて要望とかえたいと思います。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十番野見山 海君。
  〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 最初に、お礼を申し上げたいと思います。南紀スポーツセンターの体育館の床が、紀州材で一月末をもって完成いたしました。利用者の皆さん方、本当に喜んでいただいております。本当にありがとうございました。
 それでは、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 最初に、県庁改革について質問いたします。
 内閣府が先月発表しました二月の月例経済報告によりますと、総論として、景気は設備投資と輸出に支えられ着実に回復していると結論づけており、雇用情勢は依然として厳しいものの個人消費とともに持ち直しの動きが見られるとのことであります。ちょうど一年前、私が一般質問をさしていただいたころ、日本経済は全く先が見えない状況でありましたが、ここに来て、ようやく回復の兆しが見えてまいりました。しかしながら県内におきましては、県民一人一人に景気回復の兆しが伝わっていないのも事実であります。私は、県民が景気の回復を実感できる日が一日も早く来ることを願わずにはおられません。
 さて、平成十六年度当初予算案の関係資料や新聞報道などに目を通しますと、私は、昨年あれほど声高に論議されました三位一体改革に対する失望を感じる一方で、地方自治体にとっていよいよ大変な時代、従来の固定観念にしがみついてこれまでと同じやり方をしていたのでは自治体の運営が到底立ち行かない時代が始まったという強い危機感を持った一人であります。
 小泉内閣の発足以来、構造改革の必要性が議論され、いわゆる骨太の方針第三弾において構造改革の基本理念の一つとして「地方にできることは地方に」という方針のもと、地方の権限と責任を大幅に拡大し、国と地方の明確な役割分担に基づいた自主・自立の地域社会から成る地方分権型社会の構築を目指して三位一体改革の推進がうたわれたところであります。
 木村知事も、志を同じくする他県の知事と共同して「国庫補助負担金の見直しに関する緊急提言」を発表されるなど、地方からの提言を積極的になされてきたところであります。しかしながら、平成十六年度の国の予算における三位一体改革の結果を見ますと、地方分権を推進するという改革の趣旨から見れば、全く不十分な結果と私は言えます。したがいまして、今後とも国に対し本来の趣旨にのっとった三位一体の改革を求めていくことはもちろん非常に重要でありますが、一方でこれに劣らず重要なことは、自己決定・自己責任を基本理念とする今後の地方分権時代を生き抜いていくため、これまでの固定観念にとらわれず、県庁組織みずからを時代に合った姿に変えていくことが必要と思います。そうでなければ、このように厳しい社会経済環境にあって県民の求める行政サービスを的確に提供していくことは不可能であります。
 木村知事は、就任以来、県の組織のスリム化・効率化を図るため事務の整理合理化による定数削減に努めるとともに、農林道と県道、あるいは下水道と農業集落排水や合併処理浄化槽事業が連係して実施できるように組織を再編し、さらに組織目的の明確化により事業効果を上げるため局制を導入するなど、大胆な機構改革に取り組まれているところであります。私も、このような知事の時代の変化に即応した積極姿勢を評価するものであります。しかし、今後の三位一体改革や各地で今取り組まれております市町村合併、あるいは多様化している県民ニーズに的確に対応していくためには、振興局組織の改革や民間に任せるものは民間に任せ、民間の活力を活用しつつ行政の非効率的な部分を整理していくなど、機構改革をさらに断行していくことが必要であると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、防災対策について。地域防災拠点の整備についてお伺いいたします。
 昨年、国会で東南海・南海地震防災対策特別措置法が成立し、これに基づき、昨年十二月には政府の中央防災会議が和歌山県内五十市町村すべてを防災対策推進地域に指定しました。こうした動きに合わせ各地で防災シンポジウムが開催され、三十年後には四〇%の確率で起こるであろうと言われている巨大地震への県民の関心が一気に高まったと思います。
 さらに、昨年十二月十二日に放映されたNHKの「東南海・南海地震にどう備えるか」という特別番組に木村知事みずから生出演され、本県での防災への取り組みや基本的な考えを述べられました。これもまた、県民の防災意識を大いに高めたものと考えております。あの番組には愛知県の神田知事も出演されましたが、防災強化地域として早くから防災対策に取り組んできた愛知県と、ようやく防災推進地域に指定されたばかりの本県とでは国の支援体制や歴史的な違いもあり、やはり愛知県の方がより具体的な取り組みが進んでいると感じたところでありますが、本県もこれから速いペースで対策が講じられることを期待するものであります。
 言うまでもなく、県民の命を守るということは県政の最大の課題であり、最も重要な柱でありますが、県民と行政が一体となって取り組まない限り被害を最小限に食いとめることはできないと思います。
 さて、東南海・南海地震が阪神・淡路大震災と違う点について幾つか指摘されておりますが、広域災害が起きるということであります。阪神・淡路大震災のときは全国二十八の都道府県から三日以内に二千三百人の消防隊員が駆けつけたと言われておりますが、今後の巨大地震は西日本の多くの府県が被災地になります。したがって、数日間は自力で何とか耐えて復旧に備えなければなりません。そのためにも、食料や仮設住宅地の確保はもちろん、復旧資材やブルドーザーなどの復旧機械の確保は不可欠であり、そのための用地として広域防災拠点用地の確保は欠かせません。さらに、救援ヘリポート基地や救援隊受け入れの拠点としても活用することができます。
 幸い、平成十六年度当初予算でコスモパーク加太の土地を借り上げ、大規模災害時における防災対策用地とするとともに県民の広場として整備する事業が進められていることは大変意義あることだと高く評価するものであります。しかしながら、本県の海岸線は和歌山─新宮間六百四十四キロと長く、災害地域が広範囲に広がっていくものと思います。広域災害に対処するためには県内一カ所の防災拠点の整備だけでは、到底間に合うものではありません。
 そこで、私は以前に申し上げましたように、この際、ぜひ田辺市周辺にも防災拠点の整備が必要だと考えます。一昨年の八月、知事にも田辺市の南紀スポーツセンター周辺を視察していただきましたが、近い将来高速道路も開通する予定であり、また内陸地の町村とのアクセスも便利であるため、この付近は防災拠点としても最適地でなかろうかと考えますが、ぜひ紀南の防災拠点の一つとしてさらなるご検討をお願いし、知事の考えをお聞きいたします。
 次に、津波避難対策についてお伺いいたします。
 東南海・南海地震が阪神・淡路大震災と比べて大きく違う点は、津波による被害が大きいことだと言われております。もし次の巨大な大地震が起こった場合には、串本で五分から十分、田辺市では約二十分後に津波が襲ってくると言われております。
 去る一月十三日の朝日新聞には「迫る巨大地震」の特集を組んでいましたが、この中で、徳島大学の村上教授が高知県内で人口六千人の地区を対象に試算したところ、地震から五分後に避難を始めると津波にのまれる人は五人、ところが十五分だと犠牲者が二百八十八人に膨れ上がるというデータを公表しておりました。津波による人的被害を少なくする方法は、いかに逃れるかという点にかかっています。このためにも、海岸部の避難路の確保や自主防災組織の確立が不可欠であります。既に田辺市文里地区や串本町などは危機感を持った住民の間から自主防災組織が生まれ、住民の手で避難路の建設が進められていると聞き、大変心強く思っているところであります。
 県では、本年度、来年度にハザードマップを作成し、アクションプログラムをまとめるとされていますが、こうした避難路建設をどう考えているのか。行政が進めるべきものと考えているのか、住民に任せ、それを支援していくべきだと考えているのか、お伺いしたいと思います。
 また、本県の市町村は国の東南海・南海地震特別措置法に基づく防災推進地域に指定されましたが、国からの財政的な支援はないと聞いております。財政面で厳しい事情があろうと思いますが、財政的な支援をどのようにしていくのか、あわせて総務部長にお伺いしたいと思います。
 次に、自主防災組織の確立と防災リーダーの育成についてお伺いいたします。
 避難する場合一番に考えなければならない問題は、寝たきり老人や高齢者・病人という社会的弱者の避難支援であります。広域災害が考えられる中で消防隊や救援隊を待っていては地震・津波の被害から逃れることはできません。どうしても地元の防災組織による避難支援が必要であります。こうした意味からも、自主防災組織の確立は欠かせません。しかし、本県での自主防災組織の組織率は近年上昇しているものの、まだまだ五五%程度で、全国平均の六〇%より低い水準にあると聞いております。
 そこで、県として自主防災組織の育成をどう支援していくのか。もし巨大地震が発生し、多くの人々が家屋の下敷きになった場合、消防署のレスキュー隊が来るまで民間でもレスキュー隊を組織し、被災に対応できるように備える必要があります。和歌山市では既に平成七年、和歌山民間救助隊が組織されているとお聞きしておりますが、まだまだ全県的なものにはなってないようであります。今後、こうした民間団体とも連携しながらこれをどう支援していくのかということも大きな課題であると考えますが、いかがでしょうか。総務部長にお伺いいたします。
 さらに大切な点は、若いリーダーをどう育てるのかという点であります。幸い、小学校・中学校・高等学校なども積極的に防災教育に取り組んでおられるように思いますが、こうした若い世代の防災リーダーの育成が地震の被害から人々を救う大きなかぎとなっているように思います。
 そこで、児童や学生に対する防災教育をどう進めていくのか、教育長にお伺いいたします。
 次に、救助犬の育成についてお伺いいたします。
 阪神・淡路大震災において救助犬が活躍したことは記憶に新しいし、国内外の地震災害時に生存者や遺体の発見に活躍していることは多くの人々に知られています。日本のレスキュー協会では現在約三十頭の救助犬があると言われておりますが、本県では災害時に要請して出動してもらえる救助犬があるのかどうか。広域災害ですぐに外国や県外から救助犬の派遣が受けられないとするならば、災害時に備え、ボランティアの方々の協力も必要だと思いますが、どのように考えているのか、警察本部長にお伺いしたいと思います。
 次に、治安対策について。本県の治安状況についてお伺いいたします。
 昨今の犯罪件数の激増と凶悪・複雑化、そして低年齢化等、国内の治安の悪化はまことに目を覆うほどの状況であり、このまま放置すれば国の存在そのものを揺るがしかねないとの危惧を強くするものであります。テレビ・ラジオは言うに及ばず、毎朝新聞を開くたびに余りの凶悪事犯、悲惨な事件・事故の続出に多くの方々が心を痛め、時にはそのまま新聞を閉じてしまいたいと思うほどの心情を味わっているのではないかと思う一人であります。こうした全国的な傾向は我が和歌山県においても決して例外ではないと思います。また、今、和歌山県が進めている府県間道路の整備、高速道路の南伸等によって流入人口が増加し、広域に犯罪事件が増加することが予想される中、県民の安全・安心な町づくりのため本県の治安対策が重要課題であると考える一人であります。
 そこで、昨年八月二十日付で宮内県警本部長が新しく就任されましたが、就任の記者会見に臨まれた本部長は「犯罪防止と検挙に全力を挙げたい」と決意のほどを述べられ、一県民として私も力強いものを感じたことであります。あれから半年たちます。県下の治安状況についてどのように認識されているのか、また将来危惧される点はどんなことか、本県の感想も含めて警察本部長にお伺いしたいと思います。
 次に、防犯への基本的な考えについてお伺いいたします。
 我が国の安全神話が急速に崩壊する中、日本の防犯対策も大きな転換期を迎えているように思われます。「ガバナンス」という地方自治の総合情報誌がございます。昨年の九月号に「安全・安心への視点」という特集が組まれ、その中で犯罪学専門の立正大学の小宮助教授が欧米での防犯への取り組みを紹介しております。従来、欧米でも犯罪対策は、犯罪が発生してからその原因を追及し、解明してその原因を取り除いていけばいいという原因論からのアプローチによるものであったと言われております。しかし、犯罪者の人格や境遇に原因を求め、それを除去するのは多くの時間が必要で、しかも心理学・教育学・社会学など多くの分野での研究が必要で、現在の科学水準や行政力では限界があります。そこで、欧米では犯罪の機会に着目した予防的なアプローチが考え出され、欧米での犯罪発生率は犯罪率の上昇に歯どめがかかったと言われております。これは、犯罪の原因をなくすことができなくとも犯罪を起こす機会がなければ犯罪は起こらないという発想で、具体的に言えば、見つかりやすい、時間がかかる、実行しにくいなど、犯罪に都合の悪い状況をつくり出せば潜在的犯罪者は犯罪を思いとどまるかもしれないという考えであるそうです。
 ここからソフト・ハードの両面から防犯に強い町づくりが求められておりますが、犯罪急増の折から犯罪機会の減少への取り組みについて県警本部長のお考えをお聞きしたいと思います。
 次に、生活安全条例の制定についてお伺いいたします。
 昨今の厳しい財政事情の中、本年度予算で警察官が増員されたことは大いに評価するところであります。かつて犯罪都市として有名だったニューヨーク市がパトロールを強化し、軽微な犯罪も見逃さず検挙率を高め、重大犯罪の芽をつぶして大きな成果を上げたことは有名な話であります。しかし大切なことは、彼らがまず地下鉄の落書きを消すことから始めたと言われているように、犯罪予防への生活レベルでの取り組みです。この考えの基礎となっているのは割れた窓理論で、割れた窓をほっておくとより深刻な犯罪につながるという犯罪予防理論だったそうですが、安全な町づくりには警察官の増員だけでは限界があります。警察と行政と地域住民の連帯と協力が欠かせません。
 かつて、ひったくり件数で二十七年連続ワーストワンだった大阪府が、平成十四年に都道府県レベルでは初めて大阪安全なまちづくり条例を制定し、オール大阪の府民運動として防犯対策に取り組んでいることはマスコミ等でも報じられたところであります。本県の平成十四年二月議会でも大阪安全なまちづくり条例が取り上げられ、県に対して質問されましたが、そのときの県警本部の答弁では、「市町村レベルでの制定は進んでいるが、県レベルの制定については知事部局等関係機関と十分協議した上、条例の制定の必要も含め、検討してまいりたい」という答弁でありました。
 そこで、大阪安全なまちづくり条例の評価も含め、本県での条例制定への取り組み状況について警察本部長にお伺いいたします。
 最後に、交通安全対策について。電動三輪車の安全確保についてお伺いいたします。
 高齢者・障害者の間で電動三輪車が普及しています。今や高齢者や障害者にとって移動手段としてなくてはならない乗り物ですが、普及に比例し、電動車の事故もまたふえております。事故に遭わなくても、狭い大きな車と出会うたびに電動車の利用者が恐怖感を味わうことはしばしばあります。また、この電動車は道路交通法では最大時速六キロメートルと決められており、このため歩行者並みの右側通行となっております。しかし、これがなかなか一般ドライバーに周知徹底されておらず、道路交通法を守り右側通行している電動車に対し、一般ドライバーから罵声を浴びせられることもしばしばあります。私は安全な歩道を設置することが最も大切な対策であろうと思いますが、現状ではすべての道に歩道というわけにはいきません。
 そこで、一般ドライバーに運転免許証取得時に、更新時に交通弱者としての電動車に対する講習を徹底し、電動車への注意義務を課すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、電動三輪車の右側通行に関する道路交通法の改正を求める声も上がっています。もともとこの法律は大都市の整備された歩道を対象につくられたもので、田舎に行くと歩道を通れない場所がたくさんあります。狭い道路を右側通行で進む電動三輪車に大型車が猛スピードで突っ込んでくると恐怖感さえ味わうと言われております。道路交通法の改正は県独自ではできませんが、地方から上がっている電動三輪車の右側通行の意見に耳を傾け、電動三輪車安全対策を進めていくことも大切だと思いますが、県警本部長のお考えをお聞きします。
 次に、高速道路の安全対策についてお伺いいたします。
 昨年十二月十四日、念願の御坊─南部間の高速道路が開通いたしました。紀南地方から和歌山市への交通の便がよくなったと紀南の方は喜んでいるところであります。しかし、気になることがあります。それは、みなべインターチェンジ近くで去る二月二十一日、十六台の追突事故が発生していることであります。特に正月や連休など車が混雑してまいりますと、南部出口で渋滞することがよくあります。高速道路での渋滞はあっという間に広がり、出口付近で緩やかな下りになっている関係から、少しでもわき見でもすると追突事故をするケースが多いと言われております。
 私は、出口付近の十キロぐらいの間に追突防止の対策を講じていくことが必要ではないかと思いますが、県警本部長のご意見をお伺いいたしまして一回目の質問を終わらしていただきます。
 ご清聴、ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの県庁改革についてのご質問でございますけども、私は就任以来、今非常に行政の質が変わってきているということの中でいろいろな組織改革──局を設けるとかいろんなことをしたり、それからまた例えば県印刷所の廃止であるとか庶務事務のアウトソーシングであるとか、こういうふうなことに手をつけてまいりました。そしてまた、できるだけ機能的な組織づくりというふうなことで職員の意識改革も進めてきたところでございますが、ご案内のように、昨年末行われた三位一体の改革に伴う対応ということで和歌山県も地方交付税が三百億減ると。そしてこれは、来年度にとどまらず再来年も、その次もというふうなことが予測されているところでございます。これは、もう地方の借金が二百兆円を超えるというふうな状況の中での対応ということになってまいりますので、これからもさらに県庁改革ということを進め、そしてまたそこから財源を生み出して新たな県勢発展の方向へ持っていくという姿勢が何より肝要かと思っております。そしてまた行政も、今までのように県の公務員だけが行うというふうな考え方ではなくて、民間の方々、またNPO、こういうところと協働しながらパートナーシップをつくってやっていくというふうな発想が大事であろうというふうに考えております。
 それから次に防災拠点の整備でございますけども、東南海・南海地震の法律ができまして、この防災問題、全国的にも非常にクローズアップされてまいりましたし、またその中で和歌山県というものが大きく取り上げられるようになってきているわけでございます。そのときに、今度コスモパーク加太のところに防災拠点的なものを整備していこうということは一つあるわけでございますけども、ご質問にもありましたように和歌山県は南に非常に長く、次の地震では津波ということが一番大きな眼目になってくるということから考えれば、南の方に大きな防災拠点を設けるということは、これはもう避けられない必要なことだろうというふうに思っております。その中で、一つの候補地として南紀スポーツセンターの近辺というものが候補地になるということも、これは当然考えられることだというふうに考えております。
 いずれにせよ、この問題の重要性については十分認識しておりますので引き続き対応していきたい、このように思っております。
○副議長(吉井和視君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 防災対策についてお答え申し上げます。
 津波避難対策についてでございますが、東南海・南海地震対策を進める上で特に津波から人命を守るという観点から、避難路の整備は議員ご指摘のとおり極めて重要な意義を持つものでありまして、そうした中で紀南地方を中心に地域住民みずからが避難路整備に取り組み始めていただいておりますことは、自主防災の先進的な事例として全国的にも評価されております。しかしながら、行政として避難路整備をすべて住民任せにするということではなく、適切な役割分担が必要であると考えておりまして、その規模や整備手法により整備の主体が変わるものと考えております。
 新年度創設予定の地震防災対策総合補助金では、市町村などで整備される、従来補助対象となっていなかった避難路に対しましても補助対象を広げ、整備を促進したいと考えております。
 次に、自主防災組織の確立と防災リーダーの育成についてのお尋ねでございますが、県では自主防災組織を育成するため、市町村などが自主防災組織に資機材配備をする際の財政支援や自主防災組織のリーダーの参加による地図を使った地震・津波からの避難、地域防災のあり方などの検討を行う研修会を実施しておりまして、また昨年六月には御坊市において自主防災に係るシンポジウムを開催し、多数の住民の参加を得たところでもございます。
 平成十六年度には、さらに県下の自主防災組織間の情報交換・連携を目的とした自主防災組織連絡協議会の設立や市町村の自主防災組織の育成・強化に向けた施策も、先ほどお話を申し上げました地震防災対策総合補助金で支援できる内容にするなどの新たな施策の実施を予定しておりまして、取り組みの強化を図っているところでございます。
 民間のレスキュー隊についてでございますが、県では平成十年度に防災ボランティア登録制度を設けまして毎年登録団体にご案内を行い、ボランティア研修会、防災講演会、防災訓練などに参加いただいております。
 お話のありました和歌山民間救援隊も救援ボランティアチームとして登録いただいた団体で、最近は平常時における防災啓発面での取り組みもされており、県としても今後このような活動についてさらに連携を深めていきたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 防災教育についてお答えいたします。
 県教育委員会では、地震・津波等の災害発生に備えるため、昨年八月に「学校における防災教育指針」を作成しました。その中では、みずからの安全確保はもちろんのこと、地域の防災活動や災害時のボランティア活動などについて実際に体験することの重要性を示すとともに、県内のすべての学校において積極的に実施することとしております。
 昨年九月に下津町で実施された県の総合防災訓練に海南高校・箕島高校・有田中央高校・耐久高校などの生徒が初めて参加したほか、田辺工業高校を初めとして地域の組織と連携して訓練を行うなど、積極的に取り組む学校も出てきております。
 十六年度から全国で初めて高校生防災ボランティア・防災教育推進事業を全県で実施してまいります。
 議員ご指摘のとおり、災害から多くの人々を救うには若い防災リーダーの育成が必要であり、今後とも地域の防災組織で活躍できる人材を育ててまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) まず最初に、救助犬の育成についてお答えいたします。
 災害救助犬につきましては、阪神・淡路大震災を機にその育成に着手し、現在、警察犬六頭を捜索救助犬として嘱託しております。
 今後も、救助犬の育成、ボランティアとの協力につきまして関係機関と連携し、継続して取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、治安対策についてお答えいたします。まず、本県の治安状況等についてであります。
 本県においては刑法犯の認知件数は、平成十三年をピークに二年連続減少しております。その結果、人口当たりの刑法犯認知件数いわゆる犯罪率は、平成十年当時全国でワースト五位であったものが昨年はワースト十八位となり、本県の治安は相対的によくなっていると言えるのではないかと考えております。しかしながら、減少傾向にあるとはいえ、昨年の刑法犯認知件数は十年前の平成五年の約一・三倍となっており、またその内容につきましても、県民の身近で発生する街頭犯罪の多発、不法残留外国人による凶悪事件の発生、深刻化する少年非行や子供の犯罪被害の増加等、いまだ予断を許さない状況にあるものと認識しております。
 次に、防犯への基本的な考えについてであります。
 犯罪を未然に防止するためには、検挙と防犯の双方を強力に推し進めていく必要があります。そのためには、警察による検挙・防犯活動を一層強化することに加えまして、議員ご指摘の犯罪の機会を少なくするために地域住民・企業・自治体等と警察が連携し、犯罪の起こりにくい町づくりを推進していくことが重要であると考えております。
 こうした観点から県警察として、防犯に関する情報の発信、自治会等の自主防犯パトロール等の促進、建物・駐車場等の安全基準の周知徹底、防犯カメラや防犯灯の設置促進等に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、生活安全条例についてであります。
 大阪府では、議員ご指摘の条例に基づき、府を挙げて治安対策に取り組んでいると聞いております。本県におきましては、県内五十市町村のすべてに生活安全条例が制定されまして、この条例に基づき、自治体・地域住民と連携しながら安全で住みよい地域社会づくりに努めているところであります。
 また県レベルでは、昨年、迷惑防止条例を改正していただきまして、全国で初めて深夜における迷惑走行を規制したところであり、相当の成果が見られるところであります。
 今後も、県レベルの条例制定の検討も含め、安全・安心な町づくりに実効性のある対策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、電動三輪車いわゆる電動車いすの安全確保についてお答えいたします。
 高齢化の進展に伴い、電動車いすを利用する方々が増加することが予想されます。警察といたしましては、ドライバー対策として、街頭における指導・取り締まりのほか、運転免許の更新時や自動車学校において電動車いすを含めた歩行者保護についての講習を行っているところであります。また利用者に対する対策として、販売メーカー等と協力し、販売時の安全利用の指導や交通安全講習を行っております。
 なお、電動車いすの通行方法を改正してはどうかとのご意見でありますが、利用者の中には、左側通行とした場合は後方から接近する自動車の様子がわかりづらいとの声も寄せられており、慎重に検討する必要があるものと考えております。
 最後に、高速道路の安全対策についてお答えいたします。
 みなべインター周辺につきましては、供用に当たり必要な速度規制を実施するとともに、道路情報板を設置しまして渋滞情報や交通事故情報を提供するなどの安全対策を講じてきたところであります。また、これまでの追突事故の発生状況を踏まえ、パトロールの一層の強化を図るとともに、道路公団に対して安全施設の整備を申し入れているところでございます。
 今後とも、道路公団と連携いたしまして高速道路における安全対策の強化に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(吉井和視君) 以上で、野見山海君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十二分散会

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