平成16年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(前芝雅嗣議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに報第三号から報第五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、本日のトップバッターとして一般質問させていただきます。
 雄大な太平洋を望む本州最南端の町・串本町から和歌山市まで三時間余りをかけて本議場に登壇させていただくことは、紀南地方の活性化のために取り組む政治家の一人として身の引き締まる思いであります。
 それでは、通告に従いまして質問させていただきます。
 紀南屈指の漁港を持つ漁業の町、数多くの景勝地を持つ観光の町として発展してきた串本町に、先輩議員や関係者の皆様方のご尽力により県水産試験研究所が建設される運びとなりました。激しい誘致合戦が行われたこの施設は十年来の地元の大きな熱意によって実現されることとなり、厚く感謝の念を抱いているところであります。
 この水産試験研究所は、串本町に現在ある水産試験場と田辺市にある増養殖研究所を統合して二十一世紀にふさわしいこれからの水産業の振興や海の環境保全の研究、都市と漁村との交流を深める拠点として整備されることとなりました。この研究所は、約三十億円の事業費をかけて、本館や魚の病気を研究する魚病研究棟、学習棟や紀州材をふんだんに使った生物棟などを整備して、魚介類や水産物の飼育技術の向上やえさの再発研究などに取り組むもので、平成十七年度末の完成を目指して建設されます。
 また、施設の活用については、オープンラボやレンタルラボといった水産版のSOHOビレッジ方式の採用や、地域の大学の試験研究と役割を分担しながら、新時代にマッチした研究所づくりに取り組んでいると聞いております。また、隣接地には、串本町が水産についての体験や学習、それに食が楽しめる施設として串本町が友好提携しているトルコ共和国のトルコ料理を提供するレストランなど、これまで串本地方にはなかった施設を備える方向で、串本町都市交流海洋施設設立協議会を設置して検討が進められています。
 木村知事は、本会議冒頭の知事説明で、これらの産業を支える地域科学技術の振興については、国の支援のもと、ナノテクノロジーやバイオテクノロジー分野の研究を駆使して県独自の戦略的研究開発プランに基づき研究開発を進めるとともに、産官学が一体となった共同研究も進めたいと述べられています。また、見る、触れる、学ぶ、食べるを基本理念に都市との交流や地域の活性化に寄与できる開かれた研究施設を設備するとも述べています。
 そこで、開かれた研究施設についてのソフト面での取り組みを考えてみますと、都市との交流や紀南の水産物などをどのように発信したりブランド化を図るかであります。研究所や町の施設が水産研究所や食の研究などの面で日本一の発信基地になるためには、県や町、地元が一体となった取り組みはもちろんのこと、国の大きな支援も必要であります。世界遺産の登録を迎える中、ハード・ソフト面での国への働きかけなど、県の取り組みも必要と考えています。私も地元の議員として町の役場などの関係者らとこの二つの施設の運営方法などについて数多くの議論を連日重ねていますが、地元との連携をどう図られるのか、農林水産部長にお伺いいたします。
 和歌山大学が文部科学省の支援を受け、半島を生かした健康・医療・福祉プロジェクトといった事業を串本の観光協会の関係者やダイビング業者らと連携して取り組んでいます。このプロジェクトは、引きこもりや不登校の中高生ら若者を対象に、スキューバダイビングやシーカヤック体験、マリンキャンプなどを楽しんでもらい、自然と触れ合う中で心をいやしてもらうもので、新年度には障害者とその家族を対象にした事業も計画されています。イベントに参加した若者は、「シーカヤックをこぎながら奇岩が立ち並ぶ橋杭岩の周辺を水上散策するのは、これまでにない感動を覚えました。また、船体が透明なクリアカヤックを使ってテーブルサンゴが生息するきれいな海の景色を楽しむのもすばらしいです」と話してくれました。
 紀南地方のマリンスポーツ関係者らは、手軽に楽しめるシーカヤックを小中学生や中高年齢者にも楽しんでもらうようマリンエコスポーツの輪を広げる方向で事業展開を図っています。このような体験型観光への取り組みは、本県では「ほんまもん体験」と銘打って、県内各地で延べ二百五十九の体験プログラムが紹介されています。このうち田辺・西牟婁地方では県内で最も多く六十九の体験プログラムが展開され、串本周辺ではトビウオのすくい取り体験やホエールウオッチング、スキューバダイビング、ホンマグロの養殖体験、それにいそ観察などが人気を呼んでいます。
 このいそ体験でありますが、すさみ町の江住中学校が海の環境や生物、歴史などの研究に取り組んでいる学校として日本海事広報協会が主催する第三回ジュニアマリン賞の中学生部門で優秀賞として全国で三校の中に選ばれ、今月二十九日に東京で表彰されることになりました。生徒らは、いそ場の藻が枯れるいそ焼けについて藻の分布や被害状況を熱心に研究するなどの努力の成果が認められました。
 このように、小中学生や高校生らに海の生き物や自然環境に関心を持ってもらい、楽しみながら学んでもらうためにも、研究所などこれらの新しい施設が中心となって体験型観光や水産体験のイベント展開を積極的に推進すべきだと思います。また、これらの体験型観光を修学旅行に取り入れて大阪や愛知の高校や中学校の生徒たちが紀南地方に訪れるケースがふえていると聞いておりますが、串本町にできる新しい研究施設をこれらの修学旅行や研修旅行にも積極的に取り入れていただくよう働きかけてはいかがでしょうか。観光行政という面から商工労働部長に、学校教育という面から教育長にお伺いいたします。
 次に、紀南の水産物のブランド化の推進と販路の拡大についての取り組みについて質問を続けます。
 先月、東京の有楽町のビルの地下街の一角に和歌山県の地場産品の売り込みや観光客の誘致を図るアンテナショップがオープンし、産地直送や手づくり商品が人気を呼び、好評を博しているとのことです。このアンテナショップから都会の消費者の本音などのニーズがきめ細かく生産地に伝わり、和歌山のイメージのよさが全国に情報発信されます。
 また、県ではイトーヨーカ堂などと提携して去年の春からリレー物産展ソフトアンテナショップをオープンさせて、梅干しやミカンなど二百品目の県産品の販路拡大に当たり、この売上額は二億円余りにも上っているということであります。このほか、北山村特産のジャバラが花粉症などのアレルギーに効果があるとインターネットショップで紹介されたところ、全国的に爆発的な人気を集めています。このようなアンテナショップの積極展開やインターネットなどITを活用した本県の水産物のブランド化の推進について、水産行政としての取り組みを農林水産部長にお伺いいたします。
 また、水産試験研究所や町の施設は仮称であります。これらの施設のすばらしさを和歌山県はもちろんのこと全国に発信するためにも、ネーミング面や運営面でも県としての独自性や独創性を出していただきたいと思うものであります。
 続きまして、紀南地方の漁村の後継者の育成についてお伺いいたします。
 国は、緑の雇用事業の新規事業として立ち上げ、緑の雇用担い手育成事業として七十億円、農林水産業への新規就業を支援するふるさと担い手育成対策として二百億円の地方財政措置を講じることを新たに決めました。県では、水産業の振興策として青の振興和歌山モデルを立ち上げ、諸施策の展開を図る中、後継者の問題も施策の一つとして取り上げていますが、県内の漁村の高齢化率を見てみますと、平成十三年末では六十歳以上の水産業での男子の従事者は全体の従事者五千二百人に対し三千二百九十人で、およそ六割の人が六十歳以上となっています。また、平成四年末に比べて全体の従事者も千六十人減少しているほか、このときの高齢者の占める率は四三%で高齢者率は約一七%も上昇しており、本県の後継者問題には深刻なものがあります。
 このため、県では平成十四年度から漁業への就業者をふやそうと情報提供を行う県漁業就業者確保育成センターを設立し、活動に当たっています。また、一月には西牟婁振興局の中に若者の就業支援センター・ジョブカフェわかやまをオープンさせ、出前相談に当たっていますが、先月の地元新聞には相談者は一カ月でわずか三人と低調でPR不足が原因と紹介されていました。これら二つのセンターのPR不足を解消するためにも、農林水産部と商工労働部が連携を図り、漁業だけでなく海に関連する雇用も含めた後継者問題の解決に取り組んでいただきたいものであります。
 私は、この問題の一因には、漁村での嫁不足が大きなかぎを握っていると思います。嫁が来なければ漁業従事者は減少する一方で、漁村の過疎化の進行に拍車がかかります。そこで、国のふるさと担い手事業や県の青の振興和歌山モデルをフルに活用して、特に女性の雇用を重点課題として取り上げ、事業展開を図られてはいかがでしょうか。
 また、男女均等雇用が大きく叫ばれる中、新しい職種として、さきに述べたトルコ料理の料理人やシーカヤックやスキューバダイビングのインストラクター、観光客や修学旅行生らへの水産版の語り部ガイドの創設に、また豊かな川や海づくりのために広葉樹の植樹に取り組む水源づくりの推進策としてこの事業をPRする語り部ガイドの女性を育成、登用されてはいかがなものでしょうか。
 さらに、紀南の観光地には現在使われなくなっている企業の保養所や休業したホテルなどが数多くあり、これらを活用して女性専用の滞在施設を設備するなどして女性の雇用を創出することで漁業に従事する若者との交流の大きな広がりも十二分に図られます。
 我が自由民主党の小泉総理総裁は、サービス業の拡大を柱とした五百三十万人雇用創出計画を打ち出し、またその後、緊急地域雇用創出特別交付金制度を設け、景気の回復や将来を見据えた国づくりに取り組んでいます。この雇用制度を報じた新聞記事には一万人以上の雇用目標を立てている十九の都道府県が紹介されていますが、そこには和歌山県の名前がなく、残念に思いました。県当局におかれましては、過疎対策も踏まえた上で、これからの青の振興策の今後の展開について、農林水産部長に答弁をお願いいたします。
 次に、防災対策についてお伺いいたします。
 東南海・南海地震が発生した場合、死者の数は最悪で二万八千人が想定される中、政府の中央防災会議はことしに入り、防災計画の指針となる地震対策大綱を決定しました。その中で、重点課題としては十メートルを超える津波対策や全国的な救援ネットワークの整備、それに時間差発生時の被害拡大の防止が挙げられています。また、自治体を初め鉄道、電気、ガス、通信会社などは大綱に沿って早期に防災計画を見直し、作成するよう要請されています。この決定に伴って、防災対策推進地域に二十一都道府県が指定され、そのうち本県では五十市町村すべてが推進地域に指定されています。
 私の生まれ育った串本町では、自主防災が常に叫ばれています。消防庁などが行っている第八回防災まちづくり大賞の最優秀賞に当たる総務大臣賞に串本町の大水崎自主防災組織が選ばれ、ことし一月、東京で表彰されました。この防災まちづくり大賞は地域の防災力を高める行動を行った組織や団体に贈られるもので、大水崎自主防災組織は地震で大津波が発生した際、この地区から指定されている高台の避難場所に向かう場合、この高台はJRの線路をまたいだ反対側にあるなど大変遠回りをしての避難を強いられることから、組織のメンバーを中心に休日に山の斜面の下草を刈ったり、線路際に長さ三十二メートルの木製の橋をつくったり、高台へ通じる階段を整備するなど、資金調達を各方面に呼びかけるなどをして一年三カ月がかりで避難誘導路を整備し、住民が避難する時間を大幅に短縮させた取り組みが認められたものです。
 地震対策大綱をつくった中央防災会議の大学教授らは、「地震発生時にはまず津波による大きな被害が想定される。この被害の軽減には的確な避難誘導が重要である」と指摘しており、「住民が高い意識を持てば死者の数は半減できる」とも話しています。
 串本町は本州の最南端に位置し、大地震が発生すると役場のある地区には揺れから十分ぐらいで津波が押し寄せると指摘されています。このため、串本町の二色区では昨年十月に自主防災会を発足させ、自主防災マニュアルをつくるとともに、町が指定する三カ所の避難場所だけでは逃げられない住民も多くあることから、二色区独自の避難場所を十一カ所に増設したり避難誘導のための看板を設置するなどして津波対策に取り組んでいます。また、先月には大学教授らが講師を務めた自主防災リーダー研修会にも役員ら多くの住民が参加し、さまざまな対策を学んでいます。また町役場も避難場所の確保に取り組み、役場周辺にある三階建て以上の民間ビルを災害時に住民が避難できるようビル所有者と覚書を交わすなど、我が町串本では官民一体となって防災の町づくりに取り組んでいます。
 去る一月二十九日、東南海・南海地震で予想される津波被害をどう防ぐかについて東大地震研究所の教授や内閣府の参事官らがヘリコプターを使って県内の海岸線を空から津波対策を中心に実例を調査しました。視察後、教授らは、「紀南地方は山が海岸線に迫り、国道四十二号しか交通手段がないことが実感できた。四十二号にかわる代替道路が必要である。また、山が多く、四十二号が不通になった場合、孤立するおそれのある地域も見られることもわかった」と新聞にコメントしています。
 県は、災害発生時に地上回線を使ったファクスや電話、それに無線通信が途絶えても国や市町村などと通信衛星を使って被災地の情報がやりとりできる防災システムの導入を決め、三年後の秋に完成する防災センターでの運用を始めますが、新聞報道では全国的には四十三の都道府県が昨年末までに既に導入しており、神奈川県とともに最も導入の遅い県と紹介されていました。しかし、そこに導入される設備は、これまで沖縄県にしかない最新のデジタル通信網を備えた施設が整備されるということであります。
 そこで、県民が求めているのは、これらの最新の設備のフル活用であります。気象庁がことしから稼働させているシステムを紹介しますと、これは大地震発生の際、最初の弱い揺れを検知し、本格的な揺れが起きる三十秒以上のうちに予想震度などが速報されるもので、ナウキャスト地震情報システムと名づけられています。このシステムは列車の運行制御などに活用されるほか、津波の予報を発令するまでの時間も大幅に短縮できる大きな効果が期待されています。このほか、JRでは紀勢線の和歌山と新宮駅間の全線で運行中の列車に衛星無線で連絡できる中継所を整備し、災害発生時に指令室から列車を安全な場所に即時停車させたり、乗客の避難誘導を速やかに指令できるようこのシステムを導入整備するということです。
 そこで、県の防災センターが気象庁や鉄道、電気、ガスなどのライフライン関連事業所と連携・連動がうまく図られるかについて、県の取り組みを知事にお伺いいたします。
 また、県では地震や津波被害に強い町づくりを支援するために新年度から市町村のあらゆる防災施設に対して補助をすることを決め、当初予算に地震防災対策総合補助金として五千万円を計上しています。この制度は研修会開催などの情報収集や避難対策、それにヘリポートの整備や救急・消防活動などを支援するもので、五百万円を限度に県が費用の半分を負担するものとなっており、これまであった防災面だけの補助制度を見直したもので、県では県内全体の防災力アップの相乗効果を期待したいとマスコミにコメントしています。しかし、現実を見てみますと、財源不足に悩む市町村にとっては、数多くの防災対策の事業を計画しても事業費の捻出などは大変なものがあります。
 そこで、県におかれましては、この制度をどのように活用していかれるのかについて、総務部長にお伺いいたします。
 また、国は各地域の自主防災に重点を置いての取り組みを指導していますが、さきのヘリでの視察にもあったように、地方の防災対策のハード面での現状はお粗末なものがあります。そこで、国や県のハード面での取り組みを大きく望むものであります。
 例えば、国道四十二号線を走っているドライバーが道路わきで起きた小規模ながけ崩れを発見した場合、どこへ通報してよいものかわかっている人はほとんどありません。ほとんどが警察か消防、または役場に通報しているのが昨今であります。携帯電話がこれだけ普及している中、道路管理者の国土交通省へ通報する看板もほとんど見られないのが現実であります。道路の異常に気づいたときは「道路一一〇番」の看板設置や、大きな地震や津波発生時には赤色灯やサイレンの鳴る非常警報装置の導入や山間部への避難誘導を呼びかけるハイテク情報案内板を整備し、海岸線を走る国道の拠点に設置したり、それにカーラジオやカーテレビ、加えてカーナビゲーションにも従来以上の災害情報を提供できるシステムを整備導入するなど、国と県、それに市町村などが一体となって人の命を守ることが第一の行政課題として、一日も早く安心できる町づくり、観光地づくりに取り組まれてはいかがでしょうか。県土整備部長の見解をお伺いします。
 先月、県ではコンビニエンスストアを全国展開している株式会社ローソンと防災面での協力提携を行いました。これは、災害時の物資調達など、地域ぐるみでの防災を推進する上で非常に明るい話題であります。また、災害時の物資の調達についてでありますが、昨年十一月に県や海上保安部、それに串本漁協や古座漁協などが一体となって大規模地震を想定した緊急物資の輸送訓練を繰り広げました。漁船が参加しての訓練は県内では初めてとのことで、漁業無線を使った災害時の通信体制の確保についての取り組みも展開されたと聞いております。この種の訓練は地震で陸路が寸断されたことを想定したもので、阪神・淡路大地震のときも海上輸送が重要な役割を果たしたことから、今日、緊急物資や医薬品を積んだ県の漁業取締船とヘリコプターなどが見事な連携のもと、本番さながらに訓練が繰り広げられたということであります。
 そこで、今後地域ぐるみでの防災や震災後の物資輸送体制について県としてどのように取り組まれるのかについて、総務部長にお伺いします。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 県防災センターの取り組みとライフラインとの連携について、お答えをいたします。
 気象台や鉄道、電力、電気通信等、ライフライン事業者との防災面での連携については、これまでも防災会議や防災訓練等の機会を通じてその充実強化を図ってまいったところでございます。
 現在進めております防災センターの心臓部とも言うべき総合防災情報システムにおいては、災害発生時に県、市町村、防災関係機関等が同一の情報を共有し、一体となって総合的な応急・復旧対策が実施できるようなシステム開発を予定しており、ご指摘のナウキャスト地震情報を含めた各種防災情報の迅速な伝達やライフライン事業者との情報の共有化については、現在実施している総合防災情報システムの基本設計業務と並行して関係機関と協議を進めているところでございます。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 水産試験場の運営と青の振興についてお答えいたします。
 まず、試験場の運営と取り組みについてでございますが、新しく統合整備される水産試験研究機関は、平成十八年四月に開所すべく作業を進めているところです。新施設は、研究員の効率的配置、地域に密着した基礎的・先導的な試験研究の効率的な推進及び成果の普及、多様化・高度化する漁業者、消費者のニーズへの対応、研究成果等を活用した地域全体の振興に寄与できる機能・体制の整備を行うことにより、開かれた研究施設として運営してまいります。
 開かれた研究施設としての取り組みの内容につきましては、研究施設を活用した広報、普及、研修、教育に係る取り組みの充実や付設予定の自由に利用できる研究室を活用した国や民間研究機関等との研究交流及び一般県民やNPOを参画させた新しい調査研究スタイルの維持などによって、漁業者のみならず県内外から可能な限り多くの来訪者を確保し、地元町等が計画する地域振興施設などと連携のとれる人の流れをつくっていきたいと考えております。
 議員ご提案の修学旅行、研修旅行における活用につきましても、水産試験研究機関の研修・教育に関する業務の一つとして関係部局等と連携をとりながら対応してまいります。
 次いで三点目、水産物の販路拡大とブランド化についてでございますが、紀州おさかな応援団による橋本市周辺や大阪方面へのPR活動を引き続き来年度も行い、直販ルートなどの販路拡大に努めるとともに、ブランド推進局とも連携してソフトアンテナショップやインターネット販売のふるさと和歌山わいわい市場等を活用し、一層の販路拡大に努めてまいります。また、ブランド化についても現在、カツオやアジ、サバのほか、地域の特産品としてヒジキやヒロメのブランド化に向けての取り組みが行われており、関係部局と連携をとりながら推進してまいりたいと存じます。
 四点目、青の振興の取り組みにつきましては、国民の共有財産である海の恵みの永続的な利用を図るため、一つ、漁業環境の維持・改善、二つ目、水産資源を活用した観光的な取り組みによる都市との交流促進、三つ目、水産物の販路開拓や漁家の収益拡大を図るという三本柱で海の総合的な振興策を実施してまいります。
 具体的には、海を取り巻く関係者である漁業者、遊漁者、マリンレジャー関係者、NPO、学校関係、企業等が連携しながら、アマモ場の造成など漁場環境の維持・保全に取り組む海の恵みネットワーク事業を新たに推進する一方、海遊体験、紀州おさかな応援団、ヒロメの産品化促進、漁民の森づくり活動など、ソフトによる総合的な振興策を事業展開することにより漁業資源の維持増大を図り、漁業への就業機会が拡大できるよう水産業のすそ野の拡大を図ってまいりたいと存じます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 体験型観光の積極的推進についてお答えを申し上げます。
 現在、はえ縄漁、ホンマグロの養殖体験などの漁業体験やいそ観察などの自然観察体験等、本県の自然や農林漁業を活用しながらありのままに楽しんでいただくプログラムを整備し、PR活動を行っております。
 体験型観光の推進につきましては、交流人口の拡大や地域への経済効果、活性化につながり、リピーターの増加にもつながるものであると考えております。体験を取り入れた修学旅行や教育旅行につきましては、紀南地方を訪れる学校が増加しつつあり、今後も積極的なPRや誘致活動を行うとともに、議員ご提案の新しい水産研究施設につきましても、地域並びに関係部局と連携をとりながら積極的な活用を推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 防災対策についてお答えを申し上げます。
 地震防災対策総合補助金につきましては、ご紹介いただきましたように、地震防災に関する地域の実情に応じた課題に対応し、市町村等における防災対策の強化を図るため早急に実施する必要がある事業に対し総合的に補助する制度として、当初予算に計上しております。
 本制度では、従来の市町村防災事業促進事業では補助対象とならなかった小規模な事業も対象とし、補助率を三分の一から二分の一へ引き上げるとともに、補助限度額も増額することとしております。今後、市町村に対しまして制度の趣旨を積極的に伝達し、有効な活用を図っていただく中で県全体の防災力向上につなげていきたいと考えております。
 次に、コンビニエンスストアとの提携についてでございますが、広域に配置された店舗網、認知のしやすさ、本部や地域拠点への情報集中体制、二十四時間営業といった点で、コンビニエンスストアに防災活動にご協力いただけるというのはありがたく、心強いことだと思っております。ローソンとは昨年から協議を進めてまいりましたが、この二月に防災関係の協働事業に関する協定を締結いたしました。協定には、物資調達、帰宅困難者支援などの災害発生時の支援に限らず、平常時の防災情報の提供や防災啓発などの支援も盛り込んだところでございます。
 なお、現在、他のコンビニエンスストアとも協定締結に向け協議を進めているところでございます。企業に対しいわば一方的に地域貢献を求める点でなかなか難しい面もございますが、さらに取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 続いて、物資輸送体制についてでございます。東南海・南海地震発生時には県南部は基幹道路が寸断され、陸上からの物資輸送が困難になるとの想定がなされており、代替手段としての海上輸送体制の強化が大切であります。昨年十一月の漁船に協力をいただいて実施した物資輸送の実験は県土整備部が中心となって行った初めての試みでございます。
 阪神・淡路大震災のときは、漁協の協力を得て本県から神戸に漁船による物資輸送を行った経験もありますので、今後こういった取り組みを進めるなど、物資輸送にかかわる関係部局が一体となって物資輸送体制の強化を図ってまいります。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 国道四十二号での防災対策についてでありますが、議員ご指摘のように、一般の方からいただく通報は道路管理上あるいは危機管理上極めて重要でございます。現在、通報につきましては道路管理者のほか道の相談室でも対応しておりますが、今回ご提案の通報先の明確化につきましては、国へ強く働きかけてまいります。
 また、この道の相談室ですが、いわゆる「道路一一〇番」と呼ばれているもので、高速道路、国道、県道、市町村道など道路に関することなら何でも受け付ける窓口で、平成十三年に設置されたものであります。電話番号は、フリーダイヤルで〇一二〇─一〇六─四九七、「道路よくなれ」でありますが、現在余り知られておりませんので、改めてその周知につきまして、県のホームページへの掲載を初め、国と連携しながら効果的な広報に努めてまいります。
 次に、災害情報を提供できるシステムについてでございますが、紀南地域では現在、国、県、市町村による紀南地方道路災害情報連絡会において導入された紀南地方災害対策支援システムが稼働しており、道路情報提供の迅速化及び共有化の体制が整ったところでございます。今後、津波危険地区・区間の表示や避難誘導施設の設置などを国に働きかけるとともに、国、県、市町村が一体となって危機管理体制の充実に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 児童生徒が和歌山の海や山の自然に直接触れたり、水産試験場、自然博物館、大学の研究施設などを活用して学習を深めることは、豊かな心や探究心、創造力を高める上で極めて大切なことであります。
 本県においては、遠足や研修旅行を通してこうした体験に取り組んでいる学校が少なくありません。また、他府県の学校に対して本県での体験学習の場を提供する「あさもよし紀の国スクール事業」を実施し、好評を得ているところであります。
 今後、こうした活動がより一層幅広く展開できるよう、県内外に積極的に情報を発信してまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。

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