平成16年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 まず第一は、教育の問題であります。
 来年度予算が提案されました。懸案の少人数学級の問題、小学校一年生、二年生及び中学校一年生に拡大されたことは大歓迎であります。このたびの改善は、予算的には、県独自措置でなく文部科学省の施策だということです。全国で広がった国民的世論と和歌山県を含む全国の多くの自治体で、「文部科学省を待っていられない」と少人数学級に踏み切ったことが文部科学省を動かしたと言えると思います。
 このたびの措置は、中学校一年生は三十五人学級ですが、小学校一、二年生ではそうなっておりません。昨年はせっかく一歩前に出て文部科学省をリードしたわけですから、せめて小学校一、二年生についても三十五人学級を実施するぐらいのことはできなかったのか。そうしてこそ、知事がおっしゃった「教育が何よりも大事だ」という言葉も生きると考えるわけです。今後、この分野で、予算的にも文部科学省の一歩前を行く気持ちがおありなのかどうか、教育長の見解をお伺いいたします。
 教育予算に係る第二番目の問題は、高校普通学級へのエアコンの導入であります。
 高校に限らず小中学校も含めて、「暑い教室を何とかして」という声は大変切実です。和歌山県教職員組合は、一九九八年から何度か県下すべての学校の温度調査をしたことがあります。三十三度というのはざらというような報告が出され、これをもとに市町村にも要求してきました。エアコンまではいかずに、扇風機をつける市町村が今広がりつつあります。
 今回の高校教室へのエアコン導入は英断として評価いたしますが、電気代など上限五千円の授業料への上乗せと聞いてびっくりいたしました。今でも、経済的理由で高校を中途退学する生徒は少なくないのです。既にエアコンを導入している鳥取県でも京都府でも、保護者負担はしておりません。せっかくの英断に傷つける電気代等の保護者負担はやめにしていただきたいと思うわけでございます。
 また、中小業者が不況であえいでいる中でございます。エアコンの設置に当たって、大手に一括注文するのでなくて地元業者に分離発注してもらいたい。
 さらに、小中学校でも暑いのは同じです。小中学校でのエアコン導入に向けて県としてどういう支援をするのか、国及び市町村にどういう働きかけをされるのか、教育長の答弁を求めたいと思います。
 大きな第二の問題は、不況のもとで中小企業を守る連鎖倒産防止の問題であります。
 下津町で老人ホーム橘寮という施設が十二月二十日にオープンいたしました。この施設の建設を直接請け負ったのは、大阪に本社を持つ大臣認可の企業であります。大部分の仕事を県内の知事認可企業である島本建設に下請させました。この島本建設が、工事完成直後に倒産してしまった。第二次下請の企業が十数社あります。私どものところに相談に来た五社から聞き取りをしてみますと、島本建設から工賃はほとんどは未払いか、あるいは不渡り手形になっている。このままでは連鎖倒産でございます。
 建設業法という法律があり、元請企業が第二次以下の下請への支払い立てかえをすることができる。また大阪の建設会社には、第二次下請を救済する道義的・社会的責任があります。また、この企業がほぼ丸投げの形で島本建設に仕事をさせていること、そのことを隠すために第二次下請に書類をつくらせていることなども明らかになってきました。さらに、建物の引き渡しが終わるか終わらないかという時期に、まだ県からの補助金もおりていないのに、三億円もの工事代金が元請から島本建設に現金で支払われている。ところが、第二次下請にはほとんど現金が支払われていない。こういうことも極めて不自然であります。私たちは、こういう問題を、第二次下請の業者の皆さんや施主である橘寮の理事長さんにもお会いをして状況をつかんだわけでございます。
 そこで、業者の皆さんも参加して一月二十二日、日本共産党近畿国会議員団事務局の援助も得て、大阪にある建設会社本社との直接交渉を行いました。また、国土交通省近畿整備局にも指導を要請いたしました。また県土整備部に対しても要請をし、大阪の建設会社にも今働きかけをしていただきました。まだ未解決ですが、大阪の建設会社も、私たちには「何度も会ってお話はします」と答えてはいます。
 こんなぐあいに私どもは道理を尽くして取り組んでいるわけですが、中には特別な第三者に頼んで取り立てをしようとした大阪の第二次下請の業者もありました。老人ホーム橘寮へやってきたそうです。「金を払ってほしい。でないと、鉄骨を外して持って帰るぞ」、こういうふうに言ったそうであります。橘寮の理事長さんは偉かった。「鉄骨を持っていくのはいいが、そのほかのものをさわってはならん」、こういうふうに言い返したそうです。私は、「シェイクスピアの「ヴェニスの商人」ですね」と言って笑ったんですけれども。しかし、そう笑ってもおられない。この業者にしても被害者であります。どこにも言っていくところがないから、怖い第三者を使って橘寮に来たわけであります。
 こういうことを経験したわけですが、以上の経過を踏まえて質問いたします。
 その一つは、県行政として、県内建設業者が困っているとき、建設業法はもちろんのこと、状況調査をし、大企業の社会的・道義的責任を果たすことも含めて、困っている企業を守り抜くという行政を進められるのかどうか、県土整備部長の答弁をいただきたいと思います。
 次に、連鎖倒産防止のために金融支援の問題であります。
 一定の支援はありますが、零細建設会社というのは、こうした連鎖倒産の余波を受けなくても、不況のもとで青息吐息というのが実態です。ほかの融資を先に返さないと新規の融資を受けられないという問題にもぶつかりました。返済能力が問われるためです。しかし、連鎖倒産というのは突然襲いかかってきて、多くの建設会社に広がる問題であります。全力で金融支援をする必要があるのではないかという立場で、商工労働部長の見解をお伺いいたします。
 大きな第三の問題は、市町村合併の問題です。
 十二月の議会で我が党の松坂議員が、市町村合併について、「市町村の自主性の尊重という立場で、県当局は合併推進一辺倒でなく、合併する市町村も合併しない市町村も支援する立場に立つべきだ」、こういう主張をいたしました。木村知事の答弁は、ご自身が合併はやむを得ない立場にお立ちであること、また合併市町村のみを支援する基金についての反省がないことなど、私たちにとっては不満ではありましたが、県として市町村の自主性を尊重するという立場は表明されましたから、松坂議員は一応追及の矛をおさめたわけでございます。
 ところが、年末から年始に入って那賀地方で、那賀振興局を含めて市町村の自主性を侵すような市町村合併協議が行われていることが明らかになりました。私も那賀振興局との話し合いに、市町村の議員の皆さんと一緒に参加をしたわけでございます。私たちの手に入った関係市町村でのやりとりから、何があったのか、そのなぞ解きをしてみたいと思います。
 ご承知のように、那賀地方の市町村合併はさまざまな変転がありました。県が示したモデルは六町合併ですが、岩出町は単独市政を目指します。残り五町合併ですが、打田町の態度が変わりました。その結果、五町合併は消えたと思われたのですが、打田町議会の意向もあって打田町から五町合併の申し入れが行われ、そして五町の協議が始まったわけであります。そして、年末から年始にかけて、そのスタートに当たって確認文書を交わそうという話があって、幾つかのファクスが飛び交ったわけです。そういう話が出てきたこともわからないわけではありません。けれども、法定合併協議会というのは、合併するかしないかを含めて協議するというものです。また、最終的に合併するかどうかを決める権限は市町村議会にあります。「住民の意思を確認する住民投票を」という声も強いわけです。ところが、初めから「心変わりしない」とか「合併協議会で合意したことについて責任を持つ」というようなことを確認をして協議に入るとなると、問題が生じます。こうしたとき、援助に入っている振興局の職員はどうせねばならないのか。振興局の職員というのは、行政の専門家であります。町長さんから確認文書を交わそうという声があったとしても、「それは市町村の自主性、議会の権限などの関係で問題あるんではないですか」、こういう助言をしなければならない立場に振興局の職員がおられると思うんです。ところが、そうはしなかった。そういう助言をするのではなくて、確認事項の原案を起草することを引き受けたわけです。その原案が振るっている。「決定した場合は協議項目の決定に従うこととし、決定後は異議を唱えたり協議会を離脱しない」というふうな確認文書になっています。それから、「決定事項について責任を持ってその町民または関係機関の合意に努める」と。だれが主人公なのか。町民が主人公でないですか。こういうことを書いている。そしてその原案を見て、確認事項の起草を頼んだ町長さん方から、「これはいかにもひど過ぎるんじゃないか」という意見が出た。当然のことであります。そして、最後には折衷案でまとまりました。ここではっきりした問題は、市町村の自主性を侵すような確認事項というようなものは行政の専門家の立場からブレーキをかけるべき振興局職員が市町村長から少し行き過ぎではないかと言われるような原案を起草したという事実であります。こうしたことについて総務部長はどう考えられるのか、答弁を求めたいと思います。
 そして、こうした問題が起こってくる背景として、市町村課長が地域を回って「合併は必要だ」と説明をしているわけですが、これが少し行き過ぎではないかと思われる説得をしている。市町村課のメモというのは、メモと言っても三十何ページある分厚いものですが、そこには「道路事業の採択は合併しない場合減少」と書いています。「国と県の補助事業の採択基準(箇所づけ)として合併支援道路事業を優先。合併しない場合、採点が低くなる」とも書いています。
 知事は一年前の議会で、「合併しないところは冷遇するというようなことは考えておりませんと」と、はっきり答弁されています。また、この知事の答弁と今回市町村課が県内の首長などに話していること、資料として配付していることに大きな乖離があります。もちろん、道路事業初め公共事業は、その必要性だけに応じて事業化されるわけです。市町村課の資料が書くように、合併するところだけ優先するというようなことが許されるはずもありません。公正・公平が求められる県行政として、市町村の合併を誘導せんがために行政の根本をゆがめるようなことがあってはならないと考えますが、知事の見解を求めたいと思います。
 第四番目の問題は、道路の問題であります。
 まず、国道三百七十号阪井バイパス。前にもお聞きしましたが、いよいよ大詰めになってきています。地元では説明会が進められていますが、この建設について、今の時点でどのような見通しを持っておられるのか。また、国道三百七十号線が国道四百二十四号に接続した後、野上・美里方面への道路の改善はどうされる構想をお持ちなのか。さらに、国道四百二十四号の木津バイパスの見通しはどうなのか。お聞きしたいと思います。
 さらに、県道海南金屋線も大きな課題であります。特に海南市重根─別所間で大変狭いところがある。バイパス計画など、どう進められているのか。
 以上、県土整備部長にお伺いしたいと思います。
 第五番目は、産業廃棄物の問題であります。
 海南市東畑の産業廃棄物問題を九月県議会で取り上げまして、県廃棄物対策課が迅速な対応をなされたことについて評価し、お礼を申し上げました。運び込んだ廃棄物を運び出させる課題が残っているわけですが、私は、建設廃材や古畳を崩したものだからそう急がなくてもいいだろうと甘く見ていたわけであります。しかし、このたび地元の方から連絡を受けて行ってみて、びっくりしました。廃棄物が埋められたすぐ下に小さい池がありますが、それが真っ黄色に脂ぎったにおいがするわけであります。直ちに県廃棄物対策課に連絡したところでありますが、池を黄色くした流出物は何なのか、埋められた廃棄物との関係はどうなのか、今後の対策について環境生活部長にお聞きをしたいと思います。
 第六、最後の問題は和歌浦の観光の問題でございます。
 和歌の浦は、万葉の昔から風光明媚の地です。また江戸時代には、俳人松尾芭蕉は「行く春を 和歌の浦にて 追いつきたり」と歌ったのでありました。また、明治の文豪夏目漱石が「現代日本の開化」と題した有名な講演を行ったのはこの和歌山市でありまして、漱石はそのときの和歌山市訪問を数年後に書いた小説「行人」に生かし、そこには和歌の浦、片男波などが登場するのであります。
 この和歌の浦は、中国文化との交流の地としても大変重要です。「不老橋」という橋の名前そのものが不老長寿、中国の仙人思想とのかかわりがあることはすぐにわかりますし、周辺の橋も含めて中国文化の影響が大変強い。中国の杭州に、西湖という大変景色のいい土地がある。和歌浦の風景が西湖と大変よく似ているわけです。西湖の風景写真を持って妹背山に登って和歌浦を眺めてみると、よくわかります。紀州徳川家に仕えた儒学者がこのことに注目をして、養翠園、妹背山への三断橋など、中国に似せて設計したわけです。
 この和歌の浦で、和歌山の偉人である南方熊楠と、そして中国の国父と言われる孫文がロンドンで、熊楠は留学、孫文は亡命でありますが、留学・亡命時代の旧交を温めたのでありました。今は公園になり、芭蕉の句碑が立っているところですが、その奥にあしべ旅館という料理旅館があったそうです。ここが南方熊楠と孫文の再会の場でありました。
 私は、観光紀州をアピールする上で、高野・熊野の世界遺産はもちろんでありますが、例えば和歌浦という観光資源を、万葉時代、松尾芭蕉、夏目漱石、中国との交流など、多角的に掘り起こすことが必要だと考えます。特に、今後の日本の経済の発展、貿易の方向は、アジア特に広大な中国市場に目を向けなくてはなりません。こうしたとき、市民の中から「熊楠・孫文の再会の場の記念碑を」という声もあるわですが。まあ、記念碑をつくるという問題は、地元の皆さんや観光協会の皆さんとよく協議してやったらいいと思うんですが、とりあえず歴史的にこういう事実があったという標示物のようなものをつくったらどうでしょうか。
 中国との関係を見据えた和歌浦観光について商工労働部長の見解をお聞かせいただくとともに、知事のご意見もあわせてお聞かせいただければ大変ありがたいと思います。
 以上で、私の第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 市町村合併についてお答えをいたします。
 国及び県の合併支援本部が策定した合併支援プランにおいては、合併市町村の一体化に資する道路・街路事業について優先採択、重点投資を行うこととされております。
 旧市町村を結ぶ道路事業等は合併市町村の一体化のために特に必要な事業であり、このような市町村から要望の強い事業に対して必要性を勘案し、国や県が支援を行うことは必要であるというふうに考えているところでございますけれども、こういうふうな国・地方とも大変厳しい財政状況の中、公共事業の減少が続いているわけで、このような合併支援道路の優先採択や有利な財源措置といった制度を考慮すると、一般的には整備のペース等に格差が生じるということになってくることだろうと思っております。
 しかしながら、これは当然のことながら、合併しない市町村を差別するとか冷遇するとかいうふうな性格のものではございませんので、この点についてはご理解をいただきたいというふうに思っております。
 次に和歌浦についてのご質問でございますが、和歌浦は和歌山市の主要な観光地であり、和歌祭の復活など、たくさんの人々に訪れていただけるような取り組みもなされてきたところでございます。
 また、お話しのように、万葉の昔から景勝地であるのみならず、芭蕉の句、夏目漱石の来訪、そして南方熊楠と孫文の再会の場という歴史的・文化的な場面が多くあるところでございます。このような貴重な資源を埋もれさせずにPRしていくことが和歌山の観光振興にとって非常に重要なものであるというふうに考えております。
 また、これとあわせて、観海閣でありますとか東照宮など、数多く点在する歴史文化資源を線でつなぐにはどのようにすればよいか、さらには和歌浦にふさわしい新たな観光の魅力づくりを地域の方々が連携し、また行政とも連携して取り組んでいくことが何よりも肝要であると考えております。さらに、中国からの観光客についても、こうした歴史的な背景というものをアピールすることが誘客につながる、このように考えているところでございます。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、連鎖倒産防止についてお答えいたします。
 下請業者への救済制度といたしましては、建設業法第四十一条第三項に、元請業者に対する立てかえ払いの勧告がございます。この勧告を行う場合は、許可行政庁のみ可能となっており、今回の元請業者は国土交通大臣許可業者であるため、知事から当該勧告を行うことはできません。しかしながら、県内の下請業者救済の観点から、過日、当該元請業者から事情聴取を行うとともに、社会的・道義的責任から適切な解決策を考えるよう求めたところでございます。
 今後とも、法的な制約はあるとしても、可能な範囲で対応してまいりたいと考えております。
 次に、道路問題四点についてお答えいたします。
 一点目、国道三百七十号阪井バイパスにつきましては、現道の幅員が狭小で交通量も多く、日常的に交通渋滞が発生しており、早期整備が必要と考えております。このため、昨年十二月より都市計画決定に向け海南市とともに地元説明会を開催しているところであり、今後、地元のご理解、ご協力を得て手続を進め、早期計画決定に努めてまいります。
 二点目、国道四百二十四号木津バイパスにつきましては、交通処理上、阪井バイパスと密接な関連がありますので、同時に都市計画決定すべく地元説明を行っております。
 さらに、野上・美里方面への道路整備でございますが、今後とも旧野上電鉄の跡地を利用した県道奥佐々阪井線及び国道三百七十号美里バイパスの事業を促進し、当面、海南市野上中地内及び野上町小川橋から美里町新白龍橋間の早期部分供用に努めてまいります。
 四点目、県道海南金屋線重根─別所間拡幅につきましては、半島振興道路整備事業により一・三キロの区間を平成九年度から事業中であり、現在、重根地区の現道拡幅区間〇・三キロを整備しており、平成十七年度末供用を予定しております。続く別所地区までのバイパス区間一キロにつきましては、公図が混乱しておりましたが、海南市において地籍調査を実施し、本年二月にはほぼ完了しております。
 今後、重根地区の現道拡幅区間の進捗状況を見て別所地区のバイパス区間の用地買収に着手することとしております。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 連鎖倒産防止の金融支援についてお答え申し上げます。
 県は、取引先企業の倒産等により事業活動に深刻な影響を受けている中小企業者が必要な事業資金を調達できるように、連鎖倒産防止資金を制度化しているところでございます。また、金融機関等に対し、融資の実行に当たっては中小企業者の実情に合った弾力的な対応を要請するなど、制度の運用面においても配慮しながら対応しているところです。
 長引く不況の中で中小企業者は借入金の返済負担が過重となり、新規融資を受けることが厳しくなっている状況を踏まえ、昨年十月に借りかえ資金を創設するなど種々工夫しながら対応しているところであり、県内中小企業者の資金繰りの改善や追加運転資金の調達のために有効に活用されているものと考えております。
 今後とも、関係機関との連携を密にしながら、県制度融資の適切かつ迅速な対応を図り、中小企業金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、和歌浦と中国文化とのかかわり、国際観光についてでありますが、近年、中国経済の発展に伴い、我が国への中国からの観光客は増加の傾向にあります。そのため、本県としましては、一昨年より中国での観光展への出展や観光説明会の開催を実施してきたところです。また、中国のメディアや旅行会社を招請し、和歌浦・紀三井寺を初め県内の観光資源を広く紹介するとともに、観光関連事業者との商談会等も開催いたしました。
 議員ご指摘のとおり、孫文ゆかりの和歌浦を初めとする貴重な歴史文化を含めた観光資源を有効に活用し、市町村との連携を図りながら海外からの観光客の誘致活動を進めてまいります。
 また、標示物につきましては、関係部局や和歌山市と協議してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併についてお答えをいたします。
 ご指摘の五町合併に関する覚書につきましては、五町の枠組みで再度合併に取り組んでいくに当たって町長・議長が合意した内容を文書化したもので、各町からの依頼を受けてその作成作業を振興局が事務的に引き受けたものであると聞いております。その作成過程では、これまで町長会議などで議論された内容をもとにして、各町との意見調整を経て最終的に各町が合意した内容で文書化されたものと聞いております。
 個々の協議項目につきましては、合併協議会で議論されるほか、各市町村において議会や住民を含めた議論が十分行われることになりますが、今回の覚書ではそういった議論までも拘束する内容とはなっていないと考えられます。また合併の是非につきましては、最終的には合併協議会での議論を経て各市町村議会において議決されることになります。
 那賀郡五町につきましては、各町とも大局に立ち、地域全体の発展を考えて合併協議会を設置したものであり、県としては各町の意向を踏まえつつ、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 海南市東畑の産業廃棄物問題についてお答えいたします。
 この問題につきましては、昨年六月に海南保健所による不法投棄のパトロール中において疑わしい事業地を発見し、その後、立入検査を行ったところ不適正処理を確認したため、廃棄物の搬入中止と持ち込まれたものを全量撤去し、適正処理するよう行為者等に強く指導し、一部撤去させております。
 しかし、本年二月、現場を調査したところ、議員ご指摘のとおり、事業地内の小さなため池や廃棄物撤去のために掘られた縦穴の中に黄色の浮遊物が認められました。また、油特有の臭気が付近に漂っていたため、早速二月二十五日に海南市及び海南保健所が合同で場内縦穴の油をドラム缶に回収するとともに、小さな池の黄色の浮遊物を取るため、吸着マットによる回収を行ったところでございます。これによって油特有の臭気はほとんどなくなりました。今後も行為者に対し、油分の成分や発生の原因を厳しく追及するとともに、廃棄物を全量撤去し適正処理するよう強く指導し、地域の環境保全に努めてまいります。
○副議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 平成十五年度から小学校第一学年において少人数学級を実施し、その教育効果について検証してまいりました。平成十六年度は小学校第一学年、さらに第二学年及び中学校の第一学年に拡大し、より行き届いたきめ細かな指導のもとに児童生徒の基礎学力の向上を図ってまいりたいと考えております。
 次に高等学校普通教室への空調機器の導入は、普通教室の冷房化はまだ全国的に見ても例が少ないものの、学習環境を大幅に改善するものであること、またPTA団体からも受益者負担も考慮に入れて空調設備を早期に整備してほしいとの強い要望があったこと等に基づいて踏み切ることとしたものであります。
 省エネ型機器の導入や温度管理の徹底等により、必要最小限の負担で済むよう取り組んでまいります。
 また、経済的に困難な生徒に対しては、授業料同様、減免することとしております。
 空調設備工事の発注につきましては、高等学校ごとにこれを行うよう考えております。
 公立の小中学校につきましては、平成十四年度から国において校舎等の新築や大規模改造等を実施する際に補助対象とされており、その旨、市町村に対し周知しているところです。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 答弁、ありがとうございました。
 再質問と幾つかの要望・意見を申し上げたいと思います。
 まず、質問を含むものから先に申し上げますと、産業廃棄物の問題であります。
 この問題について少し説明をしますと、海南市東畑の産業廃棄物問題、九月県会で取り上げたときは、今話がありましたように県の出先でも問題を察知しておられて、私の質問が取り組みの後押しをしたわけですが、今回池が油で真っ黄色になっているという問題では私が行政への第一通報者になったわけでありまして、県の担当課も海南市もびっくりして飛んでいってくれたわけであります。
 担当課が業者を呼んで指導してくれていますが、業者による撤去作業はなかなか進みません。そこで、海南市がドラム缶を引き回してきて、部課長の皆さんも作業服に着がえて県の職員と一緒に油くみの作業をやってくれたそうです。県市一体の対応に、この場で感謝申し上げたいと思います。
 本来業者が撤去すべきものですが、業者にその能力がない場合もあります。その場合、県の財政的措置が必要な場合もあるかもしれません。その場合はよろしくお願いしたいと思います。
 さて、質問したいのは、池を黄色くしていた油状のものは何なのか、人体に危険はないのか。検査結果をお聞かせいただきたいと思います。
 以下、要望・意見であります。
 この産業廃棄物にかかわってもう少し申し上げますと、この問題では、住民の通報、住民と県の距離を縮めることが大変重要です。住民から言うと、こういう問題をどこへ通報していいのかわからない。実は私自身も、議員になるまでは、産業廃棄物の問題を担当する職員が海南保健所の中にいることを知らなかったわけでございます。「現地へ行って、こんな問題、はよ言わなあかなな」、こういう話が地元の方から出ました。「いや、県は、言うたらすぐにやってくれるよ」と申し上げました。「前にも言うたよ」「どこへ言うた」、「消防へ言うた」という人もいましたね。実は消防団というのは、地域では火事に限らずどんな問題でも対応して苦労してくれていますから、消防団で頑張っている皆さん、消防というのは地域を守る一番身近な組織であります。そこへ言うたらすぐに県に通じるだろうと思ってそういうふうに言うてくれた人もいるわけです。ですから、消防団であろうと水利組合であろうとどこからでも情報が、こういう問題では担当課に届くようにしなければいけないと思います。
 こうした住民と県の距離を縮めるという問題で、最近感じたもう一つの問題は、金融支援の問題であります。
 私は商売や融資の問題については余り詳しくありませんから、困っている業者の方から相談を受けると、業者団体の事務局の方と一緒に県の担当課の方に相談に乗っていただきます。すると県は、金融支援のためのさまざまなメニューを持っている。「連鎖倒産防止という名目でお金を借りたい」という話を持っていきますと、「そのケースは連鎖倒産防止には当てはまりませんが、しかしその業者の方にだったら利用していただけるこんなケースもあるんです。こんなケースもあるんです」というふうに親切に説明をしてくれます。この道のプロである業者の事務局の方でも、その助言をいただいて大変喜ぶわけでございます。
 しかし、市役所と違いまして県庁というところは一般県民には大変入っていきにくい仕組みになっている。一般県民を受け入れる窓口がなかなかないわけです。昨日も鳥インフルエンザの窓口をという話もありました。産業廃棄物でも、金融支援でも、もっと県民が入ってきやすい相談の窓口が開けないものかと思います。こんなことは県庁の大改革になりますから、一遍に私が質問してもなかなか答えは出てこないと思うんで、きょうはこの場で提言だけをして、ひとつ知事にも皆さんにも考えておいていただいて、いつかまた質問もしたいと思うわけですが、感想を申し上げたわけです。
 続いて、市町村合併の問題であります。
 総務部長の答弁では「事務的にまとめたんだ」というふうに言われるわけですが、しかし「決定事項については責任を持ってその町民または関係機関の合意に努める」など、これはだれが主人公なのかわからない。こういうことは、「事務的にまとめた」では済まされない問題だと思います。
 また、市町村課長のメモ、知事の答弁の前段でも、例えば道路・街路事業などの優先採択の問題、そういう問題は合併支援プランで「道路事業について優先採択」というふうに書いているわけでしょう。ある町が合併から抜けた場合、例えば合併の協議を一生懸命やってきた上富田町が合併から抜けた場合、そこの道路が後回しになるわけじゃないわけでしょう。そういうことですから、そういう点が余り行き過ぎた説明にならないように十分注意をしていただきたいと思います。
 そして知事は、「合併しないところは冷遇するというようなことは考えておりません」という、一年前の答弁を繰り返されましたから、ひとつその立場でやっていただきたい。今後、それに食い違うようなことがあったらいろいろ議論していきたいというふうに思っています。
 さらに、少人数学級の問題であります。
 これは私は、文部科学省の一歩先を進むようなというふうにお聞きしたつもりなんですが、余り私の質問に答えていただいていないような気もするわけですが。まあ私も文教委員会へ入っておりますから、またいろいろ議論をする機会もありますので、きょうはこの問題はおさめておきたいと思います。
 ただ問題は、エアコンの受益者負担の問題であります。この問題は、予算的に言いますと、この四月からではなくて来年の四月から始まる問題ですから、県としてももう一回予算提案をする機会はあるわけで。ですから、今は「集める」と言っているけども、もう一回思い直すチャンスは残されているわけであります。せっかくの英断が傷つかないようにというふうに申し上げたんですが。
 特にことしの文部科学省の予算を見ると、高校授業料を引き上げる基準がまた引き上げられている。まさかこの二つのことを一遍に引き上げることは絶対にないと思うんですが、とりあえずそのことも引き上げないようにも要望し、そして現在は「電気代等を集める。授業料に上乗せする」というふうに言われておりますけども、ひとつ一年間冷静に再検討されて、胸を張れるような答えを出していただきたいということを要望しておきます。
 連鎖倒産防止の大阪の企業への指導であります。
 確かに大臣認可企業でありまして、なかなか県土整備部としても指導はしにくいという問題ももちろんわかりますが、しかし県の工事も請け負う指定業者でありますから、あらゆる手を使って指導していただきたい。私も、今、その業者とは話し合いの最中ですから、倒産した企業の名前は言ったけれども、しかし今追及している企業の名前はあえて伏せておるわけです。ひとつ十分そういう配慮もした上で、今この場で追及しているけども、その業者に伝えていただいて、県内の業者を守れるような結果をぜひともこれから粘り強い交渉で出したいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、和歌浦の観光の問題です。
 商工労働部長からも知事からも、前向きの回答をいただきました。きのうも「紀伊民報」にも、熊楠と孫文の記念写真も含めて報道されたわけであります。この和歌浦を万葉、芭蕉、中国文化、夏目漱石、孫文・熊楠と重ねてアピールするという私の提起、知事からも大変深いご理解をいただいたと思います。
 この問題をいろいろな方にお話ししてみると、例えば孫文と熊楠が和歌浦で会ったという話は、まずほとんど知らない。私も最近知ったばかりであります。
 この夏目漱石、これはまあ国民的な作家だと思いますが、夏目漱石が「行人」で和歌浦を舞台にしているということも、知ってそうな人でも知らない人が案外いる。そういうことに最近気がつきました。漱石を観光の資源にしているところといったら、せいぜい松山の「坊っちゃん」ぐらいでしょう。漱石というのは江戸っ子ですから、余り江戸以外のところで小説を書いてない。幾つか、「草枕」や「虞美人草」などありますけども。しかし、そういう和歌浦・紀三井寺の石段というような具体的な場所が出てくるというのはなかなかないわけでして、そういうものを含めていろいろ掘り起こせばいろんなものがたくさん和歌山には観光資源があるんだろうなと思います。
 ひとつ、和歌山の観光の活性化のために世界遺産登録という観光紀州、観光和歌山を売り出すチャンスでございますから、あらゆる知恵を絞って、中国の人たちも和歌山へ来れるように、たくさん来てくれるようにぜひともしていきたいと思っています。
 そういうことで、ぜひとも、県としてご尽力いただきたいことをお願いしまして、二回目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 海南市東畑の産廃問題に関しまして、黄色の油状のものの人体への影響でございますけれども、サンプル検査の結果、機械油でありまして、油特有の臭気はございますが有毒なものではなく、生活環境に著しい影響はないものと考えられますが、早期の撤去を強く指導してまいります。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(吉井和視君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は三月八日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十三分散会

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