平成16年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十六年二月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
     ─────────────────────
議事日程 第四号
 平成十六年三月五日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに報第三号から報第五号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに報第三号から報第五号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十四人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       木   下   善   之
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       山   下   大   輔
     二十七番       前   川   勝   久
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     四十 番       新   田   和   弘
 〔備考〕
     二十六番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         垣 平   高   男
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本      清
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀 彦
     農林水産部長     阪   口   裕 之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳 男
     教育委員会委員長   駒   井   則 彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西 浦   昭   人
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     議事課長       島 光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       土   井   陽   義
   調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     ─────────────────────
 午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに報第三号から報第五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第一号から議案第二十号まで、議案第三十七号から議案第七十二号まで、議案第七十四号から議案第八十一号まで及び議案第八十三号から議案第八十八号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十四番角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 知事は、これからの行政と民間団体のあり方の一つとして、NPO法人については積極的に支援をしていく旨の表明をされております。実は、私の知人でもあり、また友人でもあります中井宏さんという方が和歌山市内におられます。彼は、二〇〇二年八月の二十七日に認可を受けたNPO鞭打ち症患者支援協会の代表理事を務めて、現在活発に活動をしております。そのきっかけは、ブラッドパッチ療法を受け、むち打ち症が完治したからであります。現在、全国からむち打ちの治療についての問い合わせが彼のもとに殺到しております。中井氏本人も家で転倒したときに首にけがを負い、その症状が発症したのは不幸にもカナダでの留学中でありました。そして、数々の病院で治療を受けてまいりましたが改善せず、長年今日まで苦しみ抜いてきた一人でもあります。したがいまして、彼は、何とかしてそういった症状を持つ相談者の解消のために、現在東奔西走の毎日であります。その彼が言っておられましたが、今までむち打ち症は、ある程度の治療で抑えることはできますが抜本的な治療がなかなか見つからなく、他人から見れば「うつ病では」と言われたこともあったそうであります。
 本日、皆様方の席上にお配りさしていただきました特定非営利活動法人鞭打ち症患者支援協会の「会報」にも掲載されていますように、低髄液圧症候群いわゆる脳脊髄液減少症は、全国には多くの患者がおり、適正な治療を待ち望んでおられます。「会報」にも書かれているように低髄液圧症候群は、主な原因とされるものに、軽微な外傷、例えば交通事故、スポーツ外傷、分娩、くしゃみ等によって硬膜に穴があいてしまい、そこから髄液の量が低下し、さまざまな症状が複合的にあらわれてきています。──この「会報」の一ページ目のQアンドAのAの前段の部分ではございますが──そこから髄液の量が徐々に減少し、そして引き起こされる症状、例えば慢性疲労症候群、思考力低下、記憶力低下、目まい、倦怠感、慢性頭痛、吐き気、うつ症状、睡眠障害などが挙げられます。専門医にかかっても検査結果は原因が不明で、怠け病あるいは精神的なものと判断され、患者の肉体的・精神的苦痛ははかり知れません。
 交通事故等によるむち打ち症患者数は全国で約二十万人以上いるとされ、これまで多くの人々が半ばあきらめた状態で、日々苦しい思いで過ごされてこられました。以前、私の上司もよく言っていたことが思い出されます。「雨が降る前の日は必ず首から頭にかけて重苦しい」と言ったことを。ところが、最近、この病気に対する治療法ブラッドパッチ療法が開発され、その治療効果がテレビ・雑誌にも紹介され、医学的論文も通り、世界頭痛学会でも反響を呼び、大きな注目を浴びるようになりました。現在、全国で二十五カ所の病院でこの治療が行われるようになり、長年苦しんできた患者にとってはこの治療法は大きな光明ともなっております。
 お配りいたしました「会報」の二ページ目、各病院における臨床データを見ますと、検査患者七百八十四名中、陽性患者は六百十九名で、それぞれの発見率また改善率が示されております。また、次のページにはこの病名についての解説や疾患概念の違い、また診断方法、さらには、最後のページにもなるんですが、体験談がございまして、「二度の自殺未遂を乗り越えて 五十年来の苦悩が解決!」といったことも掲載をさしていただいております。
 また、神奈川県にある平塚共済病院脳神経外科部長の篠永正道ドクターが昨年十月、仙台にて脳神経外科学会総会でブラッドパッチ療法の有効性を発表され、さらに本年五月十六日には、最も権威ある第二十四回日本脳神経外科コングレス総会が徳島で開催予定されております。「頭痛のみかたと治療」の課題で、篠永ドクターは低髄液圧症候群について論文を発表する予定と伺っております。また本県では、一昨年十二月二十二日に国立和歌山南病院でも講演されたとお聞きいたしました。しかしながら、この和歌山県においては、この治療を行う病院は一カ所もございません。したがって、患者は大変な苦痛を伴いながら時間と費用をかけ、他県の病院まで行って治療を受けているのが実情であります。
 以上のことから、この病気と患者の置かれている現状の認識について、また医療最先端技術を持つ県立医科大学を初め県内病院においてブラッドパッチ療法が受けられる体制の整備について、知事のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 次に、白血病などの重い血液疾患に対する治療についてお伺いいたします。
 皆様も既にご承知のとおり、臍帯血による移植が有効であるということは、近年、医学の進歩により、骨髄移植のかわりに臍帯血あるいは末梢血から採取した造血肝細胞でも移植が可能であることがわかりました。そんな中、白血病など血液の難病に苦しむ方々が集まり、日本さい帯血支援ボランティアの会が一九九七年七月十九日に第一回全国大会を東京で開催されました。私ども党を挙げてボランティア団体とともに全国で署名活動や国や地方公共団体への陳情を行い、公的臍帯血バンク設立と保険適用を求めてまいりました。結果、多くのご支援を得て、一九九八年四月より移植への保険適用、一九九九年八月より公的バンク設立、二〇〇〇年四月より検査費保険適用など、次々と法整備が図られてきました。一方、現在、日本では年間一千人から千五百人程度の骨髄移植を必要とする患者さんがいると言われております。実際、骨髄バンクを介した移植は年間約七百例で、希望しても移植が受けられない患者さんが多くいるのが現状であります。
 以上のことから、県における臍帯血利用の状況と今後の取り組みについて知事にお伺いいたします。
 次に、防災対策についてお伺いいたします。昨年に引き続いて地震防災対策について質問をさせていただきたいと思います。
 現在、県民の多くの人は、マスコミ報道により、にわかに地震に対する関心度が高まっていることは事実であります。私どもにも講師要請があり、地震に際し、いろいろな想定した質問や要望がございます。そのときに私は必ずその参加者にお伝えすることは、まず自分自身が何をしなくてはいけないのか、またどういった対応が必要なのかといったことを私なりにお話をさしていただいております。和歌山市でも、地域防災について、自治会組織を通じ説明会等を実施されているようであります。そういった情勢のもと、本県の今年度予算編成においても、重要な施策のポイントに、わかやま新時代に向けた取り組みの中に防災対策が挙げられております。
 大規模災害の発生に備えた防災体制の充実強化並びに手狭になっている本庁舎の行政機能の一部移転を図るため、防災センター建設整備の予算と総合防災情報システム整備の予算が計上されております。近い将来、高い確率で発生すると言われている東南海・南海地震に備え、被害想定の見直し、県民の防災意識啓発、防災実態調査を実施するとともに、各市町村防災の充実を支援する予算編成も組まれております。
 先日、私、地震防災行政の先進県と言われております静岡県へ視察に行ってまいりました。静岡県は、本県同様、海洋に面した地域でもあります。そこで、高速で輸送能力にすぐれた、日本では最速のカーフェリー・テクノスーパーライナーを旅客カーフェリーとして大規模災害時の救援救助活動に活用するために緊急防災基盤整備事業債を充当し、二十二億円で購入し、平成九年四月一日より就航しております。平時には災害時のための訓練や調査に使用するとともに、多くの県民を対象とした体験乗船や清水港から下田港を結ぶカーフェリーなどに活用をしております。本県でも防災船を購入していただきたいと思いますが、財政面で困難な要素も多々あろうかと思いますので、今後の課題としておきます。
 しかしながら、海上からの支援については積極的な取り組みが必要であると思います。特に津波対策については最重要課題であることは私が言うまでもなく、既に担当部局の想定では、新宮市や串本町は地震発生から約十分以内で津波が到達し、そして震源から最も遠い和歌山市内でも約一時間と想定されております。また、本県の基幹道路である国道は、海岸線に沿って南北に、そして紀伊半島を一周しております。河川流域についても甚大な被害が予測されると思われる観点から、和歌山下津港に災害用備蓄庫を備え、緊急用の資材も整備すべきであると思います。
 先日二月十二日に三重県では、大規模地震に備え、東海北陸旅客船協会と災害時の輸送協定を結び、今後、両者で人命の安全輸送や物資の輸送などについて具体的に協議を進めるという方向でスタートいたしました。本県も、紀伊半島という海岸線沿いに都市が発達し、今日に至っているところから、地震や津波で南北交通網が寸断された場合の災害時における旅客船の活用等を含めた整備が必要と思われます。
 以上のことから、知事に海上輸送及び備蓄についての体制整備についてお伺いいたします。
 次に関連して、皆様もご承知のとおり、静岡では東海地震を想定し、数々の対策を講じておられます。その一つには、「自主防災」と題した地震災害に備えるためのコミュニケーション紙が広報紙として年三回、県下全戸に配布されております。(資料を示す)これがこういった──これは平成十五年三月の分と、これが八月の分。こういう広報紙ですね。その内容は、私も読ませていただきましたが、実にわかりやすく、なおかつ事細かく情報を発信し、意識啓発を促しております。この広報紙の中身を見ますと、昨年の三月号、住民の方から「耐震性のある建物かどうかわからないときはどうすればいいの」というふうな問いがございました。そして、この中に書かれておりますが、答えは「耐震診断調査票を市町村に提出すると、診断結果によって専門家の無料診断が受けられます」と、こういった啓発記事が載っております。実際に担当の方にお聞きをしますと、「こういう啓発の広報紙を出しておるんですけれども、遅々として進まないのが現状であります」と。お話を聞けば聞くほどご苦労を重ねているようでもありました。しかし、県民に対し日常的に啓発意識を持つことがいかに重要であるかということが伝わってきました。結果、私なりに結論を申し上げますと、行政の役割は、災害が発生するまでどういった危機管理体制づくりをするか、そして一たび発生した後は情報収集等ある程度の時間が必要で、実質的にはそれからでないと機能しないのではないかと思うわけであります。したがいまして、転ばぬ先のつえではありませんが、今後の県民に対する啓発活動がいかに重要であり、かつ必要不可欠であるかと思います。
 また、罹災要因の大きな原因として、さきの阪神・淡路大震災にも見られますように、地震発生後、家屋の倒壊や火災が挙げられます。二〇〇三年末、消防庁のまとめでは、人的被害は死者・負傷者を合わせて四万三千七百九十二名、また建物倒壊数は五十一万二千八百八十二棟に及び、特にとうとい人命を亡くされた方の約四分の三が家屋の倒壊した下敷きが原因での圧死であったと報告されておりました。そういった状況をかんがみ、今後、本県においても木造住宅の耐震補強についての備えも十分に考えておかなければならないと思います。
 以上のことから、新年度予算での取り組みについてお伺いいたします。
 第一点目は、県民への啓発活動の徹底についてどのような対応をなされるのか、総務部長にお伺いいたします。
 第二点目は、今年度に耐震診断の実施また木造住宅耐震補強に係る予算を計上されております。大変重要かつ必要であると思う観点から、その施策の利用促進についての方策を県土整備部長にお伺いいたします。
 最後に、少子化対策についてお伺いしたいと思います。
 戦後、第二次ベビーブームの一九七三年以降、出生率は減少し続け、厚生労働省の人口動態統計によりますと、合計特殊出生率は二〇〇二年では一・三二という大変低い水準であると示されております。主なる原因には幾つかあると思われますが、晩婚化を反映し、初産の高齢化や晩産化が挙げられます。また、独身男女のパラサイトシングル説があり、結婚そのものに対する意識が変化してきているとも言われております。そういった少子化社会において、行政面での支援策の一つとして乳幼児医療の拡大と充実が求められております。
 現在、県では、入院については就学前まで、また通院の乳幼児については三歳児未満までを対象として医療費助成を行っています。さらに、各市町村ではそれぞれの実情に応じて通院の対象を就学前や四歳児未満まで拡大し、補助を行っているところもございます。
 私も、和歌山市会議員当時、和歌山市も三歳児までが対象で、加えて償還払い制度というものを実施しておりました。医療機関に支払った領収書を役所の窓口まで行き、医療費の振り込み手続を行って──その当時大変不便をし、多くの保護者から陳情を受け、現物給付制度を陳情し、そして実現になりました。また後年、一歳引き上げられ、現在四歳児未満までに至っております。県下五十市町村の中、県制度に単独に厚みをつけた制度を実施しているのは十七市町村ございます。理由として幾つかあるのですが、財政面が大きな点であると思われます。子供は国の宝であり、将来の夢でもあると思うのは、私一人ではないと思います。現在の社会的構造不況の現下をかんがみれば、子育て支援を強化すべきことが行政の最大の責務であると思う観点から、少子化対策として、また子育て支援の重要な一つとして乳幼児医療費助成制度の充実について福祉保健部長にお伺いいたし、第一問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの角田秀樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) むち打ち症など低髄液圧症候群についてお答えいたします。
 むち打ち症やスポーツ外傷等により脳脊髄液が減少し、慢性的な頭痛、目まい、倦怠、集中力低下等、さまざまな症状がある低髄液圧症候群につきましては、現在のところその病態はまだ十分解明されておらず、この治療方法の一つとされるブラッドパッチ療法につきましても各方面でこの療法による治療が試みられておりますが、その有効性等について医学会の評価が定まっていない状況にあると認識をしているところでございます。しかしながら、マスコミ等でもブラッドパッチ療法の効果が紹介され、全国的に注目をされるとともに、この治療法の確立を推進してほしいという要望も出てきているところでございます。
 むち打ち症等でこれらの症状に悩む患者さんにとってはより多くの治療法の確立とその情報の提供が待たれるところであり、県としても、当面この研究の進展状況や国の動向等の情報収集等に努めてまいりたい、このように考えております。
 次に、県における臍帯血利用の状況等についてお答えを申し上げます。
 臍帯血移植につきましては、平成十年、国において臍帯血移植検討会が設置され、翌年、臍帯血バンク事業運営ガイドラインが出されたのとあわせ、日本赤十字社を事務局とした日本さい帯血バンクネットワークが設立されたところでございます。このネットワークには、県内では和歌山県立医科大学附属病院と日本赤十字社和歌山医療センターが移植登録医療機関として登録をされているところでございます。
 なお、この二医療機関で平成十三年一月から平成十五年十二月──去年の十二月までですけれども──までに三件の移植が行われているところでございます。
 白血病や再生不良性貧血等の治療方法としては骨髄移植や化学療法もあり、それぞれ成果を上げているところでございますけれども、この臍帯血移植についても注目され、普及の必要性が高まっているところでございます。
 こうした状況に対応するためには、臍帯血治療の安全性・技術力・有効性等とあわせ、その採取や保管等の方法等について医療関係者や骨髄移植推進団体等の意見を聞き、ともに連携を図りながら普及啓発に取り組んでまいりたい、このように考えております。
 次に災害時の海上からの支援あるいは備蓄問題については、ご指摘のように、積極的な取り組みが必要であると私も感じているところでございます。本県においても、昨年十一月に漁港・漁船等を利用した緊急物資輸送の試みを実施したところでございますが、こういった取り組みを今後も続けていきたい、このように考えております。
 港湾への備蓄については、津波による被害の可能性もありますけれども、今後、災害備蓄のあり方や耐震岸壁を活用した防災拠点の整備を考える中で県内港湾の受け持つべき機能も整備していきたいと、このように考えております。
 また、船舶協会等海上輸送にかかわる事業者との協力体制については、現行地域防災計画では近畿運輸局に対し借り上げあっせんを要請すると規定をしておりますけれども、ご指摘のように三重県では独自に協定を締結している事例もあり、こういった形での体制強化についても積極的に検討してまいりたい、このように考えております。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 防災の啓発活動についてお答えを申し上げます。
 これまでも、阪神・淡路大震災や過去の東南海・南海地震の教訓などを踏まえまして、「自分の命は自分で守る。地域は地域で守る」ということを基本に据えて積極的な啓発活動を展開してまいりました。しかしながら、さきの宮城沖地震や十勝沖地震でも、地震発生により短時間で津波が来襲する可能性があったにもかかわらずすぐ避難した人が少数にとどまるなど、改めて啓発の重要性を認識させられたところでございます。
 このため、平成十六年度には、地震・津波の怖さを実感できる防災啓発ビデオの作成、地震防災シンポジウムなどの開催、津波浸水域を周知させるための津波シミュレーションの実施、「出張!県政おはなし講座」などの取り組みによりまして県民啓発を行ってまいりたいと考えております。
 また、特別措置法の対策計画を作成すべき事業者等に対し説明会を実施することとしておりますが、これを機会に企業防災に関するパンフレットを作成・配布し、企業への啓発も行ってまいりたいと考えております。
 また県民への啓発につきましては、市町村の役割も非常に大きいところでありますので、このたび市町村の地震防災対策を支援するため地震防災対策総合補助金を設けることといたしましたが、各市町村がこれを活用され、地域に合った啓発事業を考え、実施していただきたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 木造住宅の耐震診断及び耐震補強につきましては、その住宅のみならず、地域全体の防災安全性の向上のためにも非常に重要であると考えております。
 現在、県内には昭和五十六年六月以前の旧耐震基準に基づいて建設された木造住宅が約十七万戸ございますが、平成十六年度から、まずは当面五カ年で耐震診断二万戸、耐震補強三千戸を目標として、その経費の一部を補助する制度を新たに始めることとしております。
 なお、耐震診断につきましては、木造住宅耐震診断士という資格を持った専門家が診断を実施し、その結果、耐震補強を実施する住宅について補助を行うことになります。この制度は、あくまでも木造住宅の所有者にご活用いただいてこそ意味があるものなので、ご指摘のとおり、そのPRが何よりも重要であると認識しております。
 昨年十二月に県、市町村、建築設計事務所の六十七カ所に無料相談窓口を設置しており、既に百件近い相談がございました。今後もホームページ、広報誌、県政おはなし講座等を通じてPRを行い、市町村とともに自治会や防犯・自主防災組織等の地域活動とも連携して積極的に利用促進に努めてまいります。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 乳幼児の医療費助成制度についてお答えいたします。
 少子高齢化が進行する中、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、一昨年八月から、入院につきましては就学前児童まで助成対象を拡大したところでございます。通院につきましては、各都道府県の助成状況を見ますと、本県と同様に三歳未満児を対象にしているところが二十三道府県あり、現時点では全国的な水準にあると考えてございます。しかしながら、本制度は子育ての重要な経済的支援策であるため、厳しい財政状況にありますが、他府県の動向を踏まえながら対象年齢の拡大の実現に向け、検討してまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十四番角田秀樹君。
○角田秀樹君 ただいま知事並びに関係部長にご答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 初めに、きょう「会報」をお配りをさせていただきましたこのブラッドパッチ療法というのは、全国で二十五カ所でしか治療がされておりません。したがいまして、第一問でも申し上げましたとおり、自分の病気を抱えながら現在神奈川県で治療を行っておられるという方もおいでになりますし、せっかくと言ったらおかしいんですが、県立医科大学を持つ本県においても、一日も早くこういった患者の方々に対し治療を施していただける、そういう体制を強く要望しておきたいと思います。
 また、あわせて臍帯血につきましては、国で保険の適用等、かなり整備もされ、現在に至っております。私も産婦人科の町医者──開業医ですね──のところでお話を聞かせていただきますが、こういうふうに保険治療ということで認知されたこの臍帯血について、いわゆる出産のときに伴う要するにへその緒、これを廃棄処分をしておるのは非常にもったいないと。こういう善意の方の行為を無にするというのは、そのドクターいわく、「やはり県でそういう輸送とか保管とか、そういったものを横出しでも結構ですから体制を整えていただいて、この臍帯血の利用を促進すべきである」と、こういう強いご意見をちょうだいいたしました。
 きょうは本会議で質問をさしていただきましたけれども、今後こういう受け入れ体制、一日も早くできれば予算化をしていただいて、そして確立をしていただきたいということを強く要望しておきます。
 また防災につきましては、これからいよいよ本格的な取り組みを行うというふうに私自身は理解しました。
 ここに、静岡県でいただきましたが、これは二〇〇二年のときのパンフレットで、いわゆる耐震対策、地震対策の住宅におけるチェックなんですね。(資料を示す)こういった啓発のものとか、「プロジェクト津波ゼロ」というふうに、こういうふうなものも二〇〇二年、同じように静岡県の方で全戸配布して、そして啓発に取り組んでおるという、こういう状況であります。
 こういったことも抱えながら、いざといったときに本当に抜かりがなかったなというふうな体制づくりを、やはり手を尽くすべきことは尽くしていかなければならんのじゃないかな、これが我々の責務であると、こういうふうに考えます。
 あと、海上活用ということは──今現在、和歌山港から徳島港への南海フェリーのこういう就航がございます。これは、僕は思うんですが、いわゆる重要なポイントになるんじゃないかなと。今現在、インターネットで調べたんですが三隻、二千五百トンそして三千トン級の船を用意しております。ここに載っているんですけども、人数で言えば大体四百七十人、そしてまた乗用車で申し上げれば大体百二十台積めるという、こういうことなんですね。人だけであれば約三千人まで緊急の場合は輸送することができますよと。ただし、ここで大きな問題点が実はございまして、各地域、いわゆる近畿方面とか、また中部方面とか、また北陸方面とか、それぞれの各方面ごとにいわゆる着岸のパーツが違う。で、船が救援で来ても着岸できないという、こういう実は難点があるので、もし知事に全国知事会とか、またそういった何かの機会があれば、それを統一できるようなそういう体制を組んでいきたいということを声を発していただきたいという、こういうお話がございましたので、つけ加えて要望をしておきたいと思います。
 最後に乳幼児医療費の助成制度の拡大につきましては、できる限り早い時期にこの医療費の助成を拡大また充実をしていただきたいということをば──これは現場の声でございますので、私どもも和歌山県下それぞれいろんな調査を行った上で、いよいよ少子化に本格的にやはりもっともっと取り組んでいかなければならないんじゃないかなと、こういう思いでございます。
 以上すべて要望といたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴、まことにありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で角田秀樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十七番前川勝久君。
  〔前川勝久君、登壇〕(拍手)
○前川勝久君 議長のお許しを得ましたので、一般質問をさせていただきます。
 私にとりましては、もとより今回が初登壇でございます。どうぞ皆さん、よろしくお願いをいたします。
 今回の質問につきましては、私なりにどのような切り口、それからスタイルで質問をしようかなということをいろいろ考えたわけでありますけども、去年四月の選挙で、特に私の場合は「地域の声をダイレクトに県政へ」ということをスローガンに掲げさせていただき、またそのことを強く訴えて信任を得てまいりましたので、今回の質問は特にその原点に立ち戻って、地域発ということに限定して質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 さて、去年の選挙を通じましていろんな地域、いろんな人と接する中で、よきにつけあしきにつけ、確実に地域が変わっているなとの思いを新たにいたしました。今まさに市町村合併の議論が佳境を迎えようとしております。円滑な合併推進を願う者の一人でございますが、そのことの当否は別にして、地方自治体の仕事ほど私たちの日常生活に密着したものはございません。生まれたときの出生届に始まり亡くなったときの死亡届に至るまで、俗に「揺りかごから墓場まで」、自治体の仕事のお世話にならない日はございません。それだけに、特に住民は今日に来てこれまで以上に、自分たちの意思が身近な行政にどのように反映されているのか、また尊重されているのかという自治体の仕事の中身を大切に思い、そのことに大きな関心を寄せてございます。そして、自分たちの足元で起こっている地域環境の変化──この変化には少子化もございます。高齢化もございます。過疎化もございます。こういう変化を敏感に感じ取り、地域の将来に向けてさまざまな提言・意見を発信しております。この中には、なるほど奇抜な、また斬新な、独創的ないろいろなものがございます。こうした地域発の生の声を私なりに承った中で、まさに「株のことは市場に聞け」ということわざのとおり、なるほどやっぱり「地域のことは地域に聞け」だと思った幾つかについて提言をいたします。これについて当局の忌憚のないご見解、感触をお聞かせをいただきたいと思います。
 まず、毎日地域を回っておりますと、いろんな事柄に当面をいたします。地方政治、地方行政にかかわる者として本当に勉強させられ、考えさせられました具体的な事例について三つほど、まず報告をさせていただきます。
 まず第一に、昨年九月一日、二学期の始業式の日に五十年目で独立校舎──開校以来の悲願として、地元住民はもとより約四百名に上る卒業生に喜ばれ、話題になった県立南紀高校周参見分校の事例についてご報告をいたします。
 この周参見分校というのは、定時制の分校でございます。同校は、昭和二十九年、田辺高校周参見分校──このときは、教室は周参見小学校に併設をされておりました──として開校し、三十一年に周参見中学校に併設。三十八年からは定時制南紀高校の分校となり、本年創立五十周年を迎えることになってございます。この間、県立高校では唯一独立・独自の教室がなく、併設された小中学校の教室を間借りして授業を行い、向学心に燃える地域の若者四百余名を世に送り出してまいりました。この間、地元住民は県教委に対し独立校舎を要望し続けてまいりましたが、今日まで実現に至りませんでした。しかし三年前、周参見中学校が新築移転。その際、昭和五十二年に建設された鉄筋コンクリート二階建ての特別教室棟──これは、木工室とか音楽室、調理室の特別棟でございますけれども──これが取り壊されずにすさみ町の生涯学習センターとして残されたわけでありますが、この生涯学習センターとしての活用はほとんどなく、地元住民はこの特別教室棟をぜひ南紀高校周参見分校の校舎として有効活用を図りたいと県教委に要望してきたところでありますが、今日まで実現に至らなかったわけでございます。その理由として、私の聞き及んでいる限りでは、本来、周参見中学校が新築移転するに伴い旧施設はすべて撤去をするというのが原則でありますが、町の生涯学習センターとしての再活用の名目のもとに残されたものでありますので、当初の目的外に使用する場合は三千万円余の補助金を国に返還しなければならない、さりとて町にそんな余力はないというようなお話でございました。
 最初にこの話を聞かされたときには、今どきこんなストーリー、理屈が本当に通用するんだろうかということをまず疑問に思いました。なるほど、表面的・外面的には目的外使用には間違いございませんが、その実質は決して後ろ向きなものではございませんし、反社会的なものでもございません。むしろ、より前向きな、積極的な活用であり、これをもって補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、いわゆる適化法に違反するとは到底言えないのではないか。いわんや、その新たな活用主体が県立高校となれば、なおさらではないか。この点に関し、今回、文部科学省との折衝に当たられた県教委の担当の方々には大変なご苦労があったと推察いたしますが、おかげで所期の結果が達成されました。その決断、勇気に深く敬意を表するところでございます。
 構造改革特区との考え方とも通じ合いますが、国・地方を問わず財政が非常に厳しい中で、特に行政は、住民が望んでいるところのものは何か、何が、どうすることが住民の利益になるかという視点を中心に据えることがますます求められていると考えます。「専用教室で学べる環境が整い、生徒たちは、「自分たちだけの教室ができて中学生に気を使う必要がなくなった。遠慮せず安心して勉強ができるのでうれしい」と張り切っている」と地元紙は報じております。
 南紀高校周参見分校の事例を報告させていただきましたが、世の中の仕組み、社会環境が目まぐるしく変化している現代社会においては、こうした局面は私たちの日々の仕事の中で多くの分野で生じ得ると思います。時と場合によっては、法上の一字一句の解釈に拘泥することなく、むしろ法上にまさる前向きな、積極的な決断、取り組みを切に要望するゆえんであります。
 なお、先月二十七日、政府の地域再生本部が正式決定しました地域再生推進プログラムでも、補助金で建設した公共施設の転用促進、例えば廃校になった校舎を地元が有効活用することを認める、そしてその際、補助金等は返還しなくてもよいとする方針が盛り込まれております。まさに県教委の周参見分校の事例が先鞭をつけたような形になってございます。
 第二に日置川町での事例でございますが、当該の民家は国道四十二号に面し、田辺方面から直線してきてほぼ左に直角にカーブする内側に位置しており、今日まで六回、前を通る車が生け垣を乗り越えて前庭に飛び込んでくるという経験をしてございます。最後の六回目は、車が家の雨戸の戸袋にぶち当たってとまったそうでございます。たまりかねたこの家の当主が所管の国道事務所に、何とかガードレールを設置してほしいとの話を何回か行ったが、スペースがないとかカーブの内側で本来車が飛び込むのはおかしい等々の理由で設置してもらえなかったとの状況でございました。
 私も現場を確認いたしましたが、なるほど、直角の左カーブを曲がり切れずに直進方向に車が飛び込むというのならわかりますが、左カーブの内側に飛び込むことは普通には考えられにくいことでございます。しかし、現実に六回もこの内側に飛び込んでいるということは、恐らくかなりのスピードで直進してきて、左カーブに慌ててハンドルを左いっぱいに切ったためにこのようなことが起こったものと思われます。いずれにしても、普通には、また理論的には考えにくい事故ではあっても、現実に六回も起こっている、民家に被害を与えているということになれば、何らかの対策を講じなければと思い、所長に直訴させていただきました。幸いにも、この所長がむしろ「情報をよく提供してくれた」ということですぐに行動していただき、二本のガードレールが設置されたわけでございます。
 組織において、第一線を担当する現場の人と上司との意思の疎通、情報交換が現実の行政の中でいかに大切であるかということを考えさせられた事例でございます。
 三つ目に、宅地や建物いわゆる不動産の取引を業とする者は、宅地建物取引業法第三条第一項の規定により宅地建物取引業者の免許──これは知事免許でございます──受けなければなりません。この免許の交付について、本県では同じ称号または名称であっても法的には問題がないという立場で取り扱っている結果、昨年御坊市の業者が──これは仮称でありますけども、「紀南不動産」という名前で報告しますが──免許を取得いたしました。ところが、この紀南不動産という称号の業者が既に十七年も前から田辺市に存在し、しかも田辺・西牟婁から日高・御坊市に及ぶ地域を営業エリアとしてございます。この結果、同じ営業エリア内に紀南不動産という業者が二つ存在することになったわけであります。田辺の業者は、当然のことながら、長年にわたって御坊・日高をエリアとする地元紙に「紀南不動産」の名の広告を出し続けてきたわけでございます。そこへ突如として今回同じ名前の業者が御坊市にあらわれましたので、びっくり仰天して県に問い合わせたら、「法的には何ら問題はない。現に、県下にはほかにも同じ称号・名前の業者がある」との答えであり、また一方、相手の業者に名前を変えてほしいと要請したら、「県がええと言うて免許を出したんだから、毛頭変えるつもりはないよ」という返事であるとのことでございます。この田辺の業者は、この件があって以後、御坊市から、顧客から三件売ってほしいとの依頼を受けたが、御坊市の地元紙に広告を出したら相手の宣伝をやるようなものだということで困惑しているという状況でございます。
 この件については、過日、業界団体である社団法人全日本不動産協会和歌山県本部から県に対し「以後このようなことのないよう配慮願いたい」との要請をしたと聞き及んでいますので、その対応を注視していきたいと思いますが、田辺の業者いわく、「新規に免許申請が出てきたときに、「同じ営業エリアで、既に同じ称号の業者がありますよ。お互いに紛らわしい。時と場合によってはお互いに迷惑がかかりますよ。そういうおそれも考えられますよ。この際、称号変更を考えたらどうでしょうか」というぐらいのことを何で指導ができなかったのか」という疑問でございます。まことに本質を鋭くえぐられるような指摘であると思います。サービスを提供する行政の側のちょっとした配慮、何げない気配りがサービスを享受する住民・県民にとってはより大きな満足をもたらす、これもまた真でございます。
 以上、三つの事例報告をまず報告をさせていただきました。
 次に、通告に従って質問に移らせていただきます。
 まず第一に、観光振興についてでございます。
 現在、我が国においては、海外旅行者数が千六百五十二万人であるのに対して訪日外国人旅行者数が五百二十四万人と三倍の格差があり、その是正が大きな課題となっており、二〇一〇年までに訪日外国人旅行者数を倍増するという目標を掲げ、官民挙げて積極的に取り組んでおります。特にアジア地域は、世界観光機関(WTO)の予測でも、世界的に見て観光交流が今後最も拡大する地域とされております。今後、我が和歌山県においても、国内旅行者はもとより、訪日外国人旅行者の増加のための取り組みを一層強力に推進していかなければなりません。
 観光和歌山、とりわけ紀南地方にとっては観光振興、観光産業振興は地域活性化の中核であり、それゆえにこの壇上においても過去幾多の先輩議員がそのことを論じ、行政も今日まで長年にわたりさまざまな切り口からありとあらゆる施策を展開してまいりました。しかしながら、ライフスタイルがますます多様化し、人々の嗜好がどんどん変化し、社会環境が急激に変化する現代社会にあってなお人々を引きつけるためには、既存のものに絶えず新しい魅力を加えていかなければなりません。一口に観光と言っても、その難しさ、奥深さはまさにこの点にあると言っても過言ではございません。
 そこで、泉都白浜において、新しい魅力の一つとして地元旅館組合の強い呼びかけで、白浜町も参画し、白浜町公共交通体系改善協議会──これは、会長は町長でございます──を組織し、白浜周遊ワンコインバス、すなわち南紀白浜空港、白浜駅、主要な名所旧跡、主なホテル・旅館を結び、十五分から二十分間隔で、しかもワンコインすなわち百円玉一枚で乗れるという構想の検討を始めております。
 そもそもの発想は、せっかく空港がありながら十分に活用されていない原因の一つに、東京から空港におり立ってホテル・旅館に行くにはタクシーかバスに乗る。そこからまたどこかを見学に行こうとすると、またタクシーか路線バスに乗る。すなわち、この二次交通の不整備があるということでございます。なるほど、自分が旅行者の立場だとすると、まことにもっともな話でございます。旅館組合等の話によれば、これまで何回もこの構想を発信をしてきたが、既存のタクシー・バス会社との調整、採算性等の壁にぶつかり発信倒れになってきたとのことでございます。そこで、次善の策として旅館組合独自でシャトルバス──これは無料のバスでございますが──を運行しておりますが、平成十四年三月から十五年十二月まで、少ない月で二千六百七十人、多い月で五千四百九十八人が利用してございます。
 今、白浜では、観光関連産業すべてがかつて経験のしたことのない厳しい試練に直面しております。そうした状況の中で、何としてもこの構想を実現して国内外旅行者を吸引し、活路を切り開きたいとの地元の取り組みに賛同するものであります。
 そこで、どうでしょうか、観光関連産業振興の側面からでもいいですし、より総合的に地域経済活性化の立場からでも結構ですが、県としてこの構想の実現に支援を願いたいと考えますが、いかがでしょうか。
 なお、その際、どのような手法による支援であるにせよ、だらだらいつまでもというわけではなく、いわゆる創業あるいは立ち上げを支援するという意味で、とりあえず三年間、官民挙げてやってみてはどうでしょうか。地元では既に、環境に配慮して電気自動車などのエコバスを走らせてはとか、レトロ調のレトロバスがいいんじゃないか、あるいは円月島・三段壁をライトアップして夜間周遊の目玉にできないかなど、いろんな意見が飛び出しております。
 高野・熊野の世界遺産登録を目前にして、口角泡を飛ばして議論ばかりしていては何の展望も開けません。差し当たり、前記協議会に県も参画していただき、みんなで知恵を出し合っていいものを実現し、南紀白浜発として全国に発信したいと考えますが、いかがでしょうか。
 なお、昨年、一周四キロ・無料・十五分間隔の丸の内周遊バスが運行され、大好評であると報じられてございます。すべての面で比較対象にはなりませんが、お客様、利用者の利便性を第一に考えるという原点は同じ発想でございます。
 ちなみに、春夏秋のシーズンには一日何回かを中辺路の熊野古道へ、清流の日置川峡へ、黒潮洗う枯木灘へと回遊させれば来訪者に歴史と自然を満喫していただけると思いますし、そうすることによって泉都白浜がボリュームのあるリゾート地として輝きを増してくるものと考えます。商工労働部長にお願いをいたします。
 第二に、構造改革特区についてでございます。
 我が国経済の活性化のためには規制改革を行うことによって民間活力を最大限に引き出し、民業を拡大することが重要であるとの目的で構造改革特区が導入され、二〇〇三年四月に第一号が誕生して以来、これまでに二百三十六の特区が認定されております。私たちの周りには、「何でこんなことまで」と思う規制がたくさんございます。特区の数がますます増加し、それぞれの特区内での成功がやがて全国的な規制改革へとつながっていくことを期待してやみません。この点については、政府においても、構造改革特区に限って認めた規制緩和について、担当省庁が弊害があると立証できない限り原則として全国に広げる方針で、先月二十四日の閣議で構造改革基本方針の改正を正式決定したと報じられてございます。
 さて、この特区制度に関連して、西牟婁郡内のある青年からこんな提案を持ち込まれました。その中身は、「両親にはいつまでも健康で長生きをしてもらいたい。しかし、たとえ自分や身内の親であっても、健康なうちはともかく、何らかの介護を要するときが来たときに果たして家庭で面倒が見れるのか。周りからは、老人を家庭で介護するのは大変なことやとか、家族生活のリズムが破綻するといった話をよく耳にします。いっそのこと、我が町全体をシルバー特区あるいは生き生き特区に認定してもらって、この特区内に老人福祉施設や介護施設を設置しようとする者には今のような複雑な規制をなくして、みずからの責任と裁量において設置ができるようにする。そうすることによってそこに施設が集積し、必然的に若者の雇用が生まれますし、何よりも施設に入りたくても順番待ちで長いことかかるといったことがなくなる」という内容のものでございます。
 私ごとで恐縮ではございますが、私は中学校一年のときに父親を、母親を十数年前七十三歳で亡くしましたので、いわゆる老いた親の介護を経験しておりません。しかし、この青年の話を身につまされる思いで聞きました。というのも、昨年四月の選挙で選挙区内をくまなく歩き回りましたが、老人とりわけおばあさんのひとり暮らしが多いのに驚きました。このおばあさんたちは、いつまでも元気で一人で暮らしができるわけではございません。ごく近い将来、施設に世話になるか、子供に世話になるかの選択をしなければなりません。そのときに、先ほどの青年の不安が現実のものとなります。
 一方で、施設設置希望者からは、「施設設置を申請しても、当該地域は国のベッド数を満たしている、あるいは充足率が高い、また先順番がある等の理由でなかなか認可されない」との話をよく聞かされるわけでございます。地域の実態と余りにもかけ離れた議論のような気がしてならないのでございます。
 施設設置・維持等に係る補助金等の予算上の制約はあるとしても、まさにこの国の基準なるものの改革を行うことこそが特区制度の最大の特色であり、その基本理念にも、「国があらかじめモデルを示すのではなく、自立した地方がお互いに競争していく中で経済社会活力を引き出していけるような制度へ、発想を転換する」、「「規制は全国一律でなければならない」という考え方から、地域特性に応じた規制を認める考え方に転換する」とうたわれてございます。
 第一次・第二次で認定された特区の中に、福祉特区というのがございます。これは、特別養護老人ホームについて公設民営方式またはPFI方式により株式会社が施設運営を行うことを認めるというものであり、施設の設置認可そのものに対する規制改革ではございません。急速に進む少子高齢化社会の最先端を行く紀南地方の地域特性に応じた規制改革として、施設設置の自由化を前面に打ち出したシルバー特区、生き生き特区を提案しますが、いかがでしょうか。
 例えば、これが認められますと、一例を挙げますと、既にご承知のとおり、すさみ町にあるいこいの村わかやまは現在雇用能力開発機構が施設を所有し、運営は当該機構から県に委託され、さらに県から財団法人和歌山県勤労福祉協会に再委託をしておりますが、本年四月からすさみ町が施設を買い取り、民間事業者に運営を委託する予定と伺っております。この施設についても、従来どおりの宿泊施設だけの運営だけでは経営に明るい展望が望めないんじゃないかと危惧されますし、逆に民間委託となれば、現在十二、三名いる職員の合理化にもつながりかねません。
 そこで、宿泊施設に何か付加価値を与えられないかということを考えたときに、敷地は広大であり、枯木灘を見おろすロケーションも最高であり、ここに老人福祉施設を併設したらどうなるだろうかという思いをめぐらすわけでございます。そして、施設入所者については、県外在住者を優先するというようなことにしたら、施設を訪れた家族の方の宿泊施設利用を期待できるんじゃないか、また東京方面からでも南紀白浜空港を利用するとアクセスもよいし、何よりも若者の雇用創出につながる等、さまざまな分野の多くの人が斬新なアイデアを構想できるんじゃないかと考えるわけでございます。福祉保健部長にお願いをいたします。
 三つ目に水産業とりわけ養殖業についてでございますが、昨年十月ごろ、串本町大島の須江養殖漁場において発生した魚病──いわゆる魚の病気でありますけれども──十一月初めにマダイ成魚及び中間魚が大量死、その被害状況は五社で約六十八万匹、被害額二億三千二百万円、一社当たり二千万から五千万の被害となっていると十二月十四日付各紙が一斉に報じているところでございます。この件に関し、県は地元での聞き取り調査、病理検査、環境調査を実施し、一月十五日にその調査結果を関係漁協へ報告いたしました。その概要でありますが、「病名は白点病。この疾病は養殖漁場では普通に見られ、白点虫と呼ばれる繊毛虫が魚のえらや体表に寄生して引き起こされるものでありますが、通常、漁場の潮が流れていれば白点虫の仔虫──いわゆる子虫でありますが──が分散し、白点病は発生しにくいと考えられている。しかし、当時の海洋構造を検討した結果、夏季から秋季に四カ月以上も黒潮が接近しており、養殖漁場での海水交換が阻害され、結果として沿岸水が滞留し、白点病の大規模発生につながったと考えられる。ただ、このような現象は周辺海域でも生じていたと考えられることから、須江漁場での被害が特に大きくなった原因については特定できなかった」と結んでいます。一方で、「水質・底質調査を行った結果、須江漁場は県内でも有数の清浄な環境を備えた健全な漁場と判断された」としております。
 私も以前から須江の漁港はよく知っておりますが、この被害が発生した後、改めて現地に行ってまいりました。まず最初に思ったのは、太平洋に面し、こんな水のきれいな漁場で養殖魚が壊滅するのであれば、およそ日本全国どこを探しても養殖する場所がなくなるんではないかというようなことでございました。皆さんも串本へ行ったら、ぜひ一度この須江の漁港に立ち寄っていただきたいと思います。
 このように、大島の須江においてすらこのような事態に遭遇するということは、とりもなおさず養殖業という産業が常に自然相手の危険と隣り合わせているという宿命を負っていることを如実に物語っているところでございます。
 近年、日本の沿岸漁業を取り巻く環境がますます厳しくなり、「とる漁業からつくる漁業、育てる漁業へ」と言われて久しくなります。とりわけ、大島を中心とする串本地域においては養殖漁業は最大の地場産業であり、雇用及び生産面において地域経済に重要な役割を果たしているところでございます。本県においても、過去も現在も、恐らく将来も、第一次産業すなわち農林水産業が最大の地場産業であり、この分野の健全な発展が何よりも重要であることに異論はございません。しかるに、その一翼を担う水産業とりわけ養殖漁業に対する行政の支援は極めて貧弱であると断ぜざるを得ない状況にあると危惧する一人でございます。
 すなわち、今回の養殖魚大量へい死においても、養殖事業者は大きな損害、打撃を受け、経営に支障が生じており、今後の事業継続に言いようのない不安を抱いております。このような状況のもとで養殖業者が切実に訴えているのは、当面の資金繰りを行うための運転資金の確保であり、融資などの救済措置でございます。これに対し県の答えは、「台風や津波などの災害により養殖中の水産動植物がこうむった損害に対して共済金を支払って翌年の事業資金を確保できるようにする漁業災害補償法に基づく養殖共済制度があり、疾病による死亡も対象になる。県では従来よりこの養殖共済への加入を前提にしており、今回の白点病による被害の補てんを融資対象とする制度資金はございません。当面の資金繰りを行うための運転資金についても、制度資金としてはありません。信漁連や市中銀行の一般資金を活用願います」というものであります。しかし現実には、串本大島地区の養殖業者でこの養殖共済に加入しているのは串本の二業者のみであり、今回被害が大きい大島須江地区の業者は、養殖共済に加入していないか、または加入していても疾病を不てん補としています。さらに、信漁連を活用せよと言っても、信漁連が扱う漁業近代化資金はその使途を一年以上育成する種苗購入に限定をしています。
 そこでまず養殖共済についてでありますが、地元で養殖漁業者が異口同音に訴えるのは、掛金が高過ぎてとても加入できないという現実でございます。加入しておいたら安心だし、できれば加入したい、しかし高額掛金がネックとなってとても加入できない。このジレンマにあえいでいる業者に「共済制度があるから加入せよ。不慮の災害が起こったら共済に加入していないから仕方がない」では、いかにも行政として配慮に欠けるのではございませんか。
 次に、信漁連が扱う唯一の資金である漁業近代化資金は一年以上育成する種苗購入に限定されており、当面の資金繰りのための運転資金には使えません。この点、中小企業者に対する幅広い各種支援と比べても雲泥の差がございます。
 ちなみに、中小企業者に対しては、ここにございます県が出している「金融のしおり」がございます。この中にはありとあらゆる制度があるんですけれども、すべて「漁業は対象になりません」ということで漁業が除かれております。こういう現実でありますんで、漁業者に対するこういう制度が一切ございません。
 大島は、念願の架橋が実現し、利便性が高まったことにより養殖業に従事する若い人もふえ、後継者も、今では二代目、三代目の時代に入ってございます。話をしていても、養殖業にかける意気込みがひしひしと伝わってきます。それだけに今回の事件は、彼らに自然と生き物を相手とする養殖事業そのものに対する言い知れぬ不安を惹起したのも事実でございます。
 第一次産業の振興、農林水産業の活性化が本県の最重要課題であることにかんがみても、その一翼を担う養殖事業者に対して、その本来内蔵する危険に対応する手だてを考えるべきと考えます。農林水産部長にお願いをいたします。
 次に、最後でございます、防災対策に関連して。
 平成十四年七月に東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が制定され、十五年七月から施行されました。その間、十五年三月十七日、中央防災会議の東南海・南海地震等に関する専門調査会において、これらの地震が発生したときの各種被害想定が発表されました。南海地震が起こったときの和歌山県の被害についても、死者約五千二百人、全壊家屋七万七千五百棟などとなってございます。県においても、特別措置法制定以来、シンポジウムの開催やいろんな機会での啓発普及活動を展開されております。おかげで、住民の防災意識が従来にも増して高まっていることを肌身で感じております。いつ起こるかわからない地震への備えであるだけにご苦労も大変なものと推察いたしますが、今後とも格段の取り組みを要望いたします。
 さて、地震災害の中でも住民がまず心配するのは、道路と電気だろうと思います。この二つは文明を支えるライフラインであり、これがストップすれば被害が多方面に波及すると同時に、被害状況の把握が極めて困難になります。加えて、地震による災害は広域で同時に発生する災害であるため、その復旧には相当の日時を要することを覚悟しなければなりません。そして、何よりも住民の心理的不安を一層増幅することが考えられます。特に地方にとっては、道路の損壊は致命的でございます。陸の孤島化する地域・集落が多数発生するものと想定されます。本県は地形的に川沿いに開ける集落が多く、したがって必然的にそれらを国道・県道でつないだ町村が多くなっており、これらの町村ではいわゆる川沿いの縦の線一本が生活道路であり、住民の命と財産を守る道でございます。地震等で一カ所が寸断されれば一瞬にして陸の孤島になります。
 私自身もかねてから、緊急時に隣町へ抜ける道として、また国道四十二号の補完道として、内陸部に横の線がぜひ必要だと痛感しておりましたが、今回、地元で地震対策についていろいろ議論をする中で、具体的にすさみ町旧佐本村小河内というところから県道上富田すさみ線、日置川大塔線、白浜久木線を経由して白浜町庄川で国道四十二号に通ずるルートが非常に重要であり、地域住民の長年にわたる悲願であることがクローズアップされてまいりました。差し当たり、白浜町庄川─日置川町久木間において普通自動車が通行可能になれば、とにもかくにもこのルートが確保されることになります。白浜町・日置川町・すさみ町の合併の行方も、現時点では定かでありませんが、この地域の緊急時対応として、また中山間地域振興対策として提案いたします。県土整備部長のご所見をお聞かせをいただきたいと思います。
 以上で、終わります。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの前川勝久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 観光振興の白浜周遊ワンコインバスの取り組み支援についてお答え申し上げます。
 議員ご指摘のとおり、観光は社会環境の変化や旅行者のニーズを的確にとらまえ、常に新しい魅力を加えていかなければ地域間競争に生き残ることは厳しい時代となってございます。本年は世界遺産登録を契機として十月から大型観光キャンペーンの展開を予定しておりますが、地元の受け入れ体制や観光客の利便性の向上は重要な課題と考えております。
 ご質問の白浜町内の二次交通の充実につきましては、現在、白浜町公共交通体系改善協議会においてさまざまな角度から検討されていると聞いておりますが、この構想が実れば魅力ある観光地づくりが大いに期待できるものと考えております。
 現状のバス路線との調整や採算性等、課題は多いと思いますが、同協議会で協議が進められていく中で県といたしましてもその状況を踏まえ、ともに考えてまいりたいと存じてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 構造改革特区についてお答えいたします。
 特別養護老人ホーム等の施設サービスにつきましては、各圏域ごとに市町村の利用者見込み数を積み上げ、必要ベッド数を算定し、それをもとに各市町村の介護保険料を算定しております。こうしたことから、地域の住民を優先的に考え、特別養護老人ホーム等の施設整備を計画的に行っております。しかし、施設サービスに対する県民のニーズが高く、入所申込者も多い状況にあります。こうした現状では、県民の皆さんのための施設整備を優先的に図っていくべきと考えております。
 また、県としては、施設サービスとあわせ、高齢者が地域で身近に利用できる居宅サービスの充実を図るなど、バランスのとれた介護サービスの提供を推進してまいりたいと考えております。しかしながら、議員ご指摘のように、県勢の活性化施策として他府県からの人口流入を促し雇用を創造していくことも極めて重要であることから、観光資源と健康・医療・福祉とが連係した地域づくりの支援のため健康村再生構想を策定し、地域の再生を図り、雇用の創出を行ってまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 養殖漁業者への支援についてでございますが、昨年十一月、串本町須江の養殖漁場で発生した白点病被害につきましては、調査結果を踏まえ、漁場改善計画の遵守や寄生虫性疾病対策として有効とされる養殖いかだ移動のための避難漁場確保などの対策について、関係する漁協に対して適正な指導を行ってまいりたいと思っております。
 議員ご提案の運転資金につきましては、現状では対応が困難でありますが、既存の制度資金の活用が一部可能なものがございますので、経営再開のための種苗購入、経営再建のための負債整理等につきましては、漁業近代化資金、漁業経営維持安定資金、農林漁業金融公庫の資金などの利用をお願いいたしたいと思います。
 なお、今後とも融資制度の充実に努めてまいりたいと考えております。
 また、自然を生産の基盤とする漁業におきましては、漁業災害対策の一環として漁業共済制度が設けられ、国及び県が積極的に支援や推進を行ってきたところでありますので、今回の被害を契機に漁業共済制度への理解と加入を一層推進してまいります。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 県道白浜久木線についてでございますが、紀伊半島沿岸部においては、東南海・南海地震等の災害時における国道四十二号の代替路として近畿自動車道紀勢線が最も重要であると考え、その整備促進に取り組んでおります。
 県道白浜久木線については、この近畿自動車道紀勢線の整備計画を踏まえ、議員ご指摘のように防災、地域連携、観光振興等の観点から当地域の道路ネットワークを考える中で、その必要性や整備のあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、前川勝久君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十一分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 まず第一は、教育の問題であります。
 来年度予算が提案されました。懸案の少人数学級の問題、小学校一年生、二年生及び中学校一年生に拡大されたことは大歓迎であります。このたびの改善は、予算的には、県独自措置でなく文部科学省の施策だということです。全国で広がった国民的世論と和歌山県を含む全国の多くの自治体で、「文部科学省を待っていられない」と少人数学級に踏み切ったことが文部科学省を動かしたと言えると思います。
 このたびの措置は、中学校一年生は三十五人学級ですが、小学校一、二年生ではそうなっておりません。昨年はせっかく一歩前に出て文部科学省をリードしたわけですから、せめて小学校一、二年生についても三十五人学級を実施するぐらいのことはできなかったのか。そうしてこそ、知事がおっしゃった「教育が何よりも大事だ」という言葉も生きると考えるわけです。今後、この分野で、予算的にも文部科学省の一歩前を行く気持ちがおありなのかどうか、教育長の見解をお伺いいたします。
 教育予算に係る第二番目の問題は、高校普通学級へのエアコンの導入であります。
 高校に限らず小中学校も含めて、「暑い教室を何とかして」という声は大変切実です。和歌山県教職員組合は、一九九八年から何度か県下すべての学校の温度調査をしたことがあります。三十三度というのはざらというような報告が出され、これをもとに市町村にも要求してきました。エアコンまではいかずに、扇風機をつける市町村が今広がりつつあります。
 今回の高校教室へのエアコン導入は英断として評価いたしますが、電気代など上限五千円の授業料への上乗せと聞いてびっくりいたしました。今でも、経済的理由で高校を中途退学する生徒は少なくないのです。既にエアコンを導入している鳥取県でも京都府でも、保護者負担はしておりません。せっかくの英断に傷つける電気代等の保護者負担はやめにしていただきたいと思うわけでございます。
 また、中小業者が不況であえいでいる中でございます。エアコンの設置に当たって、大手に一括注文するのでなくて地元業者に分離発注してもらいたい。
 さらに、小中学校でも暑いのは同じです。小中学校でのエアコン導入に向けて県としてどういう支援をするのか、国及び市町村にどういう働きかけをされるのか、教育長の答弁を求めたいと思います。
 大きな第二の問題は、不況のもとで中小企業を守る連鎖倒産防止の問題であります。
 下津町で老人ホーム橘寮という施設が十二月二十日にオープンいたしました。この施設の建設を直接請け負ったのは、大阪に本社を持つ大臣認可の企業であります。大部分の仕事を県内の知事認可企業である島本建設に下請させました。この島本建設が、工事完成直後に倒産してしまった。第二次下請の企業が十数社あります。私どものところに相談に来た五社から聞き取りをしてみますと、島本建設から工賃はほとんどは未払いか、あるいは不渡り手形になっている。このままでは連鎖倒産でございます。
 建設業法という法律があり、元請企業が第二次以下の下請への支払い立てかえをすることができる。また大阪の建設会社には、第二次下請を救済する道義的・社会的責任があります。また、この企業がほぼ丸投げの形で島本建設に仕事をさせていること、そのことを隠すために第二次下請に書類をつくらせていることなども明らかになってきました。さらに、建物の引き渡しが終わるか終わらないかという時期に、まだ県からの補助金もおりていないのに、三億円もの工事代金が元請から島本建設に現金で支払われている。ところが、第二次下請にはほとんど現金が支払われていない。こういうことも極めて不自然であります。私たちは、こういう問題を、第二次下請の業者の皆さんや施主である橘寮の理事長さんにもお会いをして状況をつかんだわけでございます。
 そこで、業者の皆さんも参加して一月二十二日、日本共産党近畿国会議員団事務局の援助も得て、大阪にある建設会社本社との直接交渉を行いました。また、国土交通省近畿整備局にも指導を要請いたしました。また県土整備部に対しても要請をし、大阪の建設会社にも今働きかけをしていただきました。まだ未解決ですが、大阪の建設会社も、私たちには「何度も会ってお話はします」と答えてはいます。
 こんなぐあいに私どもは道理を尽くして取り組んでいるわけですが、中には特別な第三者に頼んで取り立てをしようとした大阪の第二次下請の業者もありました。老人ホーム橘寮へやってきたそうです。「金を払ってほしい。でないと、鉄骨を外して持って帰るぞ」、こういうふうに言ったそうであります。橘寮の理事長さんは偉かった。「鉄骨を持っていくのはいいが、そのほかのものをさわってはならん」、こういうふうに言い返したそうです。私は、「シェイクスピアの「ヴェニスの商人」ですね」と言って笑ったんですけれども。しかし、そう笑ってもおられない。この業者にしても被害者であります。どこにも言っていくところがないから、怖い第三者を使って橘寮に来たわけであります。
 こういうことを経験したわけですが、以上の経過を踏まえて質問いたします。
 その一つは、県行政として、県内建設業者が困っているとき、建設業法はもちろんのこと、状況調査をし、大企業の社会的・道義的責任を果たすことも含めて、困っている企業を守り抜くという行政を進められるのかどうか、県土整備部長の答弁をいただきたいと思います。
 次に、連鎖倒産防止のために金融支援の問題であります。
 一定の支援はありますが、零細建設会社というのは、こうした連鎖倒産の余波を受けなくても、不況のもとで青息吐息というのが実態です。ほかの融資を先に返さないと新規の融資を受けられないという問題にもぶつかりました。返済能力が問われるためです。しかし、連鎖倒産というのは突然襲いかかってきて、多くの建設会社に広がる問題であります。全力で金融支援をする必要があるのではないかという立場で、商工労働部長の見解をお伺いいたします。
 大きな第三の問題は、市町村合併の問題です。
 十二月の議会で我が党の松坂議員が、市町村合併について、「市町村の自主性の尊重という立場で、県当局は合併推進一辺倒でなく、合併する市町村も合併しない市町村も支援する立場に立つべきだ」、こういう主張をいたしました。木村知事の答弁は、ご自身が合併はやむを得ない立場にお立ちであること、また合併市町村のみを支援する基金についての反省がないことなど、私たちにとっては不満ではありましたが、県として市町村の自主性を尊重するという立場は表明されましたから、松坂議員は一応追及の矛をおさめたわけでございます。
 ところが、年末から年始に入って那賀地方で、那賀振興局を含めて市町村の自主性を侵すような市町村合併協議が行われていることが明らかになりました。私も那賀振興局との話し合いに、市町村の議員の皆さんと一緒に参加をしたわけでございます。私たちの手に入った関係市町村でのやりとりから、何があったのか、そのなぞ解きをしてみたいと思います。
 ご承知のように、那賀地方の市町村合併はさまざまな変転がありました。県が示したモデルは六町合併ですが、岩出町は単独市政を目指します。残り五町合併ですが、打田町の態度が変わりました。その結果、五町合併は消えたと思われたのですが、打田町議会の意向もあって打田町から五町合併の申し入れが行われ、そして五町の協議が始まったわけであります。そして、年末から年始にかけて、そのスタートに当たって確認文書を交わそうという話があって、幾つかのファクスが飛び交ったわけです。そういう話が出てきたこともわからないわけではありません。けれども、法定合併協議会というのは、合併するかしないかを含めて協議するというものです。また、最終的に合併するかどうかを決める権限は市町村議会にあります。「住民の意思を確認する住民投票を」という声も強いわけです。ところが、初めから「心変わりしない」とか「合併協議会で合意したことについて責任を持つ」というようなことを確認をして協議に入るとなると、問題が生じます。こうしたとき、援助に入っている振興局の職員はどうせねばならないのか。振興局の職員というのは、行政の専門家であります。町長さんから確認文書を交わそうという声があったとしても、「それは市町村の自主性、議会の権限などの関係で問題あるんではないですか」、こういう助言をしなければならない立場に振興局の職員がおられると思うんです。ところが、そうはしなかった。そういう助言をするのではなくて、確認事項の原案を起草することを引き受けたわけです。その原案が振るっている。「決定した場合は協議項目の決定に従うこととし、決定後は異議を唱えたり協議会を離脱しない」というふうな確認文書になっています。それから、「決定事項について責任を持ってその町民または関係機関の合意に努める」と。だれが主人公なのか。町民が主人公でないですか。こういうことを書いている。そしてその原案を見て、確認事項の起草を頼んだ町長さん方から、「これはいかにもひど過ぎるんじゃないか」という意見が出た。当然のことであります。そして、最後には折衷案でまとまりました。ここではっきりした問題は、市町村の自主性を侵すような確認事項というようなものは行政の専門家の立場からブレーキをかけるべき振興局職員が市町村長から少し行き過ぎではないかと言われるような原案を起草したという事実であります。こうしたことについて総務部長はどう考えられるのか、答弁を求めたいと思います。
 そして、こうした問題が起こってくる背景として、市町村課長が地域を回って「合併は必要だ」と説明をしているわけですが、これが少し行き過ぎではないかと思われる説得をしている。市町村課のメモというのは、メモと言っても三十何ページある分厚いものですが、そこには「道路事業の採択は合併しない場合減少」と書いています。「国と県の補助事業の採択基準(箇所づけ)として合併支援道路事業を優先。合併しない場合、採点が低くなる」とも書いています。
 知事は一年前の議会で、「合併しないところは冷遇するというようなことは考えておりませんと」と、はっきり答弁されています。また、この知事の答弁と今回市町村課が県内の首長などに話していること、資料として配付していることに大きな乖離があります。もちろん、道路事業初め公共事業は、その必要性だけに応じて事業化されるわけです。市町村課の資料が書くように、合併するところだけ優先するというようなことが許されるはずもありません。公正・公平が求められる県行政として、市町村の合併を誘導せんがために行政の根本をゆがめるようなことがあってはならないと考えますが、知事の見解を求めたいと思います。
 第四番目の問題は、道路の問題であります。
 まず、国道三百七十号阪井バイパス。前にもお聞きしましたが、いよいよ大詰めになってきています。地元では説明会が進められていますが、この建設について、今の時点でどのような見通しを持っておられるのか。また、国道三百七十号線が国道四百二十四号に接続した後、野上・美里方面への道路の改善はどうされる構想をお持ちなのか。さらに、国道四百二十四号の木津バイパスの見通しはどうなのか。お聞きしたいと思います。
 さらに、県道海南金屋線も大きな課題であります。特に海南市重根─別所間で大変狭いところがある。バイパス計画など、どう進められているのか。
 以上、県土整備部長にお伺いしたいと思います。
 第五番目は、産業廃棄物の問題であります。
 海南市東畑の産業廃棄物問題を九月県議会で取り上げまして、県廃棄物対策課が迅速な対応をなされたことについて評価し、お礼を申し上げました。運び込んだ廃棄物を運び出させる課題が残っているわけですが、私は、建設廃材や古畳を崩したものだからそう急がなくてもいいだろうと甘く見ていたわけであります。しかし、このたび地元の方から連絡を受けて行ってみて、びっくりしました。廃棄物が埋められたすぐ下に小さい池がありますが、それが真っ黄色に脂ぎったにおいがするわけであります。直ちに県廃棄物対策課に連絡したところでありますが、池を黄色くした流出物は何なのか、埋められた廃棄物との関係はどうなのか、今後の対策について環境生活部長にお聞きをしたいと思います。
 第六、最後の問題は和歌浦の観光の問題でございます。
 和歌の浦は、万葉の昔から風光明媚の地です。また江戸時代には、俳人松尾芭蕉は「行く春を 和歌の浦にて 追いつきたり」と歌ったのでありました。また、明治の文豪夏目漱石が「現代日本の開化」と題した有名な講演を行ったのはこの和歌山市でありまして、漱石はそのときの和歌山市訪問を数年後に書いた小説「行人」に生かし、そこには和歌の浦、片男波などが登場するのであります。
 この和歌の浦は、中国文化との交流の地としても大変重要です。「不老橋」という橋の名前そのものが不老長寿、中国の仙人思想とのかかわりがあることはすぐにわかりますし、周辺の橋も含めて中国文化の影響が大変強い。中国の杭州に、西湖という大変景色のいい土地がある。和歌浦の風景が西湖と大変よく似ているわけです。西湖の風景写真を持って妹背山に登って和歌浦を眺めてみると、よくわかります。紀州徳川家に仕えた儒学者がこのことに注目をして、養翠園、妹背山への三断橋など、中国に似せて設計したわけです。
 この和歌の浦で、和歌山の偉人である南方熊楠と、そして中国の国父と言われる孫文がロンドンで、熊楠は留学、孫文は亡命でありますが、留学・亡命時代の旧交を温めたのでありました。今は公園になり、芭蕉の句碑が立っているところですが、その奥にあしべ旅館という料理旅館があったそうです。ここが南方熊楠と孫文の再会の場でありました。
 私は、観光紀州をアピールする上で、高野・熊野の世界遺産はもちろんでありますが、例えば和歌浦という観光資源を、万葉時代、松尾芭蕉、夏目漱石、中国との交流など、多角的に掘り起こすことが必要だと考えます。特に、今後の日本の経済の発展、貿易の方向は、アジア特に広大な中国市場に目を向けなくてはなりません。こうしたとき、市民の中から「熊楠・孫文の再会の場の記念碑を」という声もあるわですが。まあ、記念碑をつくるという問題は、地元の皆さんや観光協会の皆さんとよく協議してやったらいいと思うんですが、とりあえず歴史的にこういう事実があったという標示物のようなものをつくったらどうでしょうか。
 中国との関係を見据えた和歌浦観光について商工労働部長の見解をお聞かせいただくとともに、知事のご意見もあわせてお聞かせいただければ大変ありがたいと思います。
 以上で、私の第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 市町村合併についてお答えをいたします。
 国及び県の合併支援本部が策定した合併支援プランにおいては、合併市町村の一体化に資する道路・街路事業について優先採択、重点投資を行うこととされております。
 旧市町村を結ぶ道路事業等は合併市町村の一体化のために特に必要な事業であり、このような市町村から要望の強い事業に対して必要性を勘案し、国や県が支援を行うことは必要であるというふうに考えているところでございますけれども、こういうふうな国・地方とも大変厳しい財政状況の中、公共事業の減少が続いているわけで、このような合併支援道路の優先採択や有利な財源措置といった制度を考慮すると、一般的には整備のペース等に格差が生じるということになってくることだろうと思っております。
 しかしながら、これは当然のことながら、合併しない市町村を差別するとか冷遇するとかいうふうな性格のものではございませんので、この点についてはご理解をいただきたいというふうに思っております。
 次に和歌浦についてのご質問でございますが、和歌浦は和歌山市の主要な観光地であり、和歌祭の復活など、たくさんの人々に訪れていただけるような取り組みもなされてきたところでございます。
 また、お話しのように、万葉の昔から景勝地であるのみならず、芭蕉の句、夏目漱石の来訪、そして南方熊楠と孫文の再会の場という歴史的・文化的な場面が多くあるところでございます。このような貴重な資源を埋もれさせずにPRしていくことが和歌山の観光振興にとって非常に重要なものであるというふうに考えております。
 また、これとあわせて、観海閣でありますとか東照宮など、数多く点在する歴史文化資源を線でつなぐにはどのようにすればよいか、さらには和歌浦にふさわしい新たな観光の魅力づくりを地域の方々が連携し、また行政とも連携して取り組んでいくことが何よりも肝要であると考えております。さらに、中国からの観光客についても、こうした歴史的な背景というものをアピールすることが誘客につながる、このように考えているところでございます。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、連鎖倒産防止についてお答えいたします。
 下請業者への救済制度といたしましては、建設業法第四十一条第三項に、元請業者に対する立てかえ払いの勧告がございます。この勧告を行う場合は、許可行政庁のみ可能となっており、今回の元請業者は国土交通大臣許可業者であるため、知事から当該勧告を行うことはできません。しかしながら、県内の下請業者救済の観点から、過日、当該元請業者から事情聴取を行うとともに、社会的・道義的責任から適切な解決策を考えるよう求めたところでございます。
 今後とも、法的な制約はあるとしても、可能な範囲で対応してまいりたいと考えております。
 次に、道路問題四点についてお答えいたします。
 一点目、国道三百七十号阪井バイパスにつきましては、現道の幅員が狭小で交通量も多く、日常的に交通渋滞が発生しており、早期整備が必要と考えております。このため、昨年十二月より都市計画決定に向け海南市とともに地元説明会を開催しているところであり、今後、地元のご理解、ご協力を得て手続を進め、早期計画決定に努めてまいります。
 二点目、国道四百二十四号木津バイパスにつきましては、交通処理上、阪井バイパスと密接な関連がありますので、同時に都市計画決定すべく地元説明を行っております。
 さらに、野上・美里方面への道路整備でございますが、今後とも旧野上電鉄の跡地を利用した県道奥佐々阪井線及び国道三百七十号美里バイパスの事業を促進し、当面、海南市野上中地内及び野上町小川橋から美里町新白龍橋間の早期部分供用に努めてまいります。
 四点目、県道海南金屋線重根─別所間拡幅につきましては、半島振興道路整備事業により一・三キロの区間を平成九年度から事業中であり、現在、重根地区の現道拡幅区間〇・三キロを整備しており、平成十七年度末供用を予定しております。続く別所地区までのバイパス区間一キロにつきましては、公図が混乱しておりましたが、海南市において地籍調査を実施し、本年二月にはほぼ完了しております。
 今後、重根地区の現道拡幅区間の進捗状況を見て別所地区のバイパス区間の用地買収に着手することとしております。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 連鎖倒産防止の金融支援についてお答え申し上げます。
 県は、取引先企業の倒産等により事業活動に深刻な影響を受けている中小企業者が必要な事業資金を調達できるように、連鎖倒産防止資金を制度化しているところでございます。また、金融機関等に対し、融資の実行に当たっては中小企業者の実情に合った弾力的な対応を要請するなど、制度の運用面においても配慮しながら対応しているところです。
 長引く不況の中で中小企業者は借入金の返済負担が過重となり、新規融資を受けることが厳しくなっている状況を踏まえ、昨年十月に借りかえ資金を創設するなど種々工夫しながら対応しているところであり、県内中小企業者の資金繰りの改善や追加運転資金の調達のために有効に活用されているものと考えております。
 今後とも、関係機関との連携を密にしながら、県制度融資の適切かつ迅速な対応を図り、中小企業金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、和歌浦と中国文化とのかかわり、国際観光についてでありますが、近年、中国経済の発展に伴い、我が国への中国からの観光客は増加の傾向にあります。そのため、本県としましては、一昨年より中国での観光展への出展や観光説明会の開催を実施してきたところです。また、中国のメディアや旅行会社を招請し、和歌浦・紀三井寺を初め県内の観光資源を広く紹介するとともに、観光関連事業者との商談会等も開催いたしました。
 議員ご指摘のとおり、孫文ゆかりの和歌浦を初めとする貴重な歴史文化を含めた観光資源を有効に活用し、市町村との連携を図りながら海外からの観光客の誘致活動を進めてまいります。
 また、標示物につきましては、関係部局や和歌山市と協議してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併についてお答えをいたします。
 ご指摘の五町合併に関する覚書につきましては、五町の枠組みで再度合併に取り組んでいくに当たって町長・議長が合意した内容を文書化したもので、各町からの依頼を受けてその作成作業を振興局が事務的に引き受けたものであると聞いております。その作成過程では、これまで町長会議などで議論された内容をもとにして、各町との意見調整を経て最終的に各町が合意した内容で文書化されたものと聞いております。
 個々の協議項目につきましては、合併協議会で議論されるほか、各市町村において議会や住民を含めた議論が十分行われることになりますが、今回の覚書ではそういった議論までも拘束する内容とはなっていないと考えられます。また合併の是非につきましては、最終的には合併協議会での議論を経て各市町村議会において議決されることになります。
 那賀郡五町につきましては、各町とも大局に立ち、地域全体の発展を考えて合併協議会を設置したものであり、県としては各町の意向を踏まえつつ、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 海南市東畑の産業廃棄物問題についてお答えいたします。
 この問題につきましては、昨年六月に海南保健所による不法投棄のパトロール中において疑わしい事業地を発見し、その後、立入検査を行ったところ不適正処理を確認したため、廃棄物の搬入中止と持ち込まれたものを全量撤去し、適正処理するよう行為者等に強く指導し、一部撤去させております。
 しかし、本年二月、現場を調査したところ、議員ご指摘のとおり、事業地内の小さなため池や廃棄物撤去のために掘られた縦穴の中に黄色の浮遊物が認められました。また、油特有の臭気が付近に漂っていたため、早速二月二十五日に海南市及び海南保健所が合同で場内縦穴の油をドラム缶に回収するとともに、小さな池の黄色の浮遊物を取るため、吸着マットによる回収を行ったところでございます。これによって油特有の臭気はほとんどなくなりました。今後も行為者に対し、油分の成分や発生の原因を厳しく追及するとともに、廃棄物を全量撤去し適正処理するよう強く指導し、地域の環境保全に努めてまいります。
○副議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 平成十五年度から小学校第一学年において少人数学級を実施し、その教育効果について検証してまいりました。平成十六年度は小学校第一学年、さらに第二学年及び中学校の第一学年に拡大し、より行き届いたきめ細かな指導のもとに児童生徒の基礎学力の向上を図ってまいりたいと考えております。
 次に高等学校普通教室への空調機器の導入は、普通教室の冷房化はまだ全国的に見ても例が少ないものの、学習環境を大幅に改善するものであること、またPTA団体からも受益者負担も考慮に入れて空調設備を早期に整備してほしいとの強い要望があったこと等に基づいて踏み切ることとしたものであります。
 省エネ型機器の導入や温度管理の徹底等により、必要最小限の負担で済むよう取り組んでまいります。
 また、経済的に困難な生徒に対しては、授業料同様、減免することとしております。
 空調設備工事の発注につきましては、高等学校ごとにこれを行うよう考えております。
 公立の小中学校につきましては、平成十四年度から国において校舎等の新築や大規模改造等を実施する際に補助対象とされており、その旨、市町村に対し周知しているところです。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 答弁、ありがとうございました。
 再質問と幾つかの要望・意見を申し上げたいと思います。
 まず、質問を含むものから先に申し上げますと、産業廃棄物の問題であります。
 この問題について少し説明をしますと、海南市東畑の産業廃棄物問題、九月県会で取り上げたときは、今話がありましたように県の出先でも問題を察知しておられて、私の質問が取り組みの後押しをしたわけですが、今回池が油で真っ黄色になっているという問題では私が行政への第一通報者になったわけでありまして、県の担当課も海南市もびっくりして飛んでいってくれたわけであります。
 担当課が業者を呼んで指導してくれていますが、業者による撤去作業はなかなか進みません。そこで、海南市がドラム缶を引き回してきて、部課長の皆さんも作業服に着がえて県の職員と一緒に油くみの作業をやってくれたそうです。県市一体の対応に、この場で感謝申し上げたいと思います。
 本来業者が撤去すべきものですが、業者にその能力がない場合もあります。その場合、県の財政的措置が必要な場合もあるかもしれません。その場合はよろしくお願いしたいと思います。
 さて、質問したいのは、池を黄色くしていた油状のものは何なのか、人体に危険はないのか。検査結果をお聞かせいただきたいと思います。
 以下、要望・意見であります。
 この産業廃棄物にかかわってもう少し申し上げますと、この問題では、住民の通報、住民と県の距離を縮めることが大変重要です。住民から言うと、こういう問題をどこへ通報していいのかわからない。実は私自身も、議員になるまでは、産業廃棄物の問題を担当する職員が海南保健所の中にいることを知らなかったわけでございます。「現地へ行って、こんな問題、はよ言わなあかなな」、こういう話が地元の方から出ました。「いや、県は、言うたらすぐにやってくれるよ」と申し上げました。「前にも言うたよ」「どこへ言うた」、「消防へ言うた」という人もいましたね。実は消防団というのは、地域では火事に限らずどんな問題でも対応して苦労してくれていますから、消防団で頑張っている皆さん、消防というのは地域を守る一番身近な組織であります。そこへ言うたらすぐに県に通じるだろうと思ってそういうふうに言うてくれた人もいるわけです。ですから、消防団であろうと水利組合であろうとどこからでも情報が、こういう問題では担当課に届くようにしなければいけないと思います。
 こうした住民と県の距離を縮めるという問題で、最近感じたもう一つの問題は、金融支援の問題であります。
 私は商売や融資の問題については余り詳しくありませんから、困っている業者の方から相談を受けると、業者団体の事務局の方と一緒に県の担当課の方に相談に乗っていただきます。すると県は、金融支援のためのさまざまなメニューを持っている。「連鎖倒産防止という名目でお金を借りたい」という話を持っていきますと、「そのケースは連鎖倒産防止には当てはまりませんが、しかしその業者の方にだったら利用していただけるこんなケースもあるんです。こんなケースもあるんです」というふうに親切に説明をしてくれます。この道のプロである業者の事務局の方でも、その助言をいただいて大変喜ぶわけでございます。
 しかし、市役所と違いまして県庁というところは一般県民には大変入っていきにくい仕組みになっている。一般県民を受け入れる窓口がなかなかないわけです。昨日も鳥インフルエンザの窓口をという話もありました。産業廃棄物でも、金融支援でも、もっと県民が入ってきやすい相談の窓口が開けないものかと思います。こんなことは県庁の大改革になりますから、一遍に私が質問してもなかなか答えは出てこないと思うんで、きょうはこの場で提言だけをして、ひとつ知事にも皆さんにも考えておいていただいて、いつかまた質問もしたいと思うわけですが、感想を申し上げたわけです。
 続いて、市町村合併の問題であります。
 総務部長の答弁では「事務的にまとめたんだ」というふうに言われるわけですが、しかし「決定事項については責任を持ってその町民または関係機関の合意に努める」など、これはだれが主人公なのかわからない。こういうことは、「事務的にまとめた」では済まされない問題だと思います。
 また、市町村課長のメモ、知事の答弁の前段でも、例えば道路・街路事業などの優先採択の問題、そういう問題は合併支援プランで「道路事業について優先採択」というふうに書いているわけでしょう。ある町が合併から抜けた場合、例えば合併の協議を一生懸命やってきた上富田町が合併から抜けた場合、そこの道路が後回しになるわけじゃないわけでしょう。そういうことですから、そういう点が余り行き過ぎた説明にならないように十分注意をしていただきたいと思います。
 そして知事は、「合併しないところは冷遇するというようなことは考えておりません」という、一年前の答弁を繰り返されましたから、ひとつその立場でやっていただきたい。今後、それに食い違うようなことがあったらいろいろ議論していきたいというふうに思っています。
 さらに、少人数学級の問題であります。
 これは私は、文部科学省の一歩先を進むようなというふうにお聞きしたつもりなんですが、余り私の質問に答えていただいていないような気もするわけですが。まあ私も文教委員会へ入っておりますから、またいろいろ議論をする機会もありますので、きょうはこの問題はおさめておきたいと思います。
 ただ問題は、エアコンの受益者負担の問題であります。この問題は、予算的に言いますと、この四月からではなくて来年の四月から始まる問題ですから、県としてももう一回予算提案をする機会はあるわけで。ですから、今は「集める」と言っているけども、もう一回思い直すチャンスは残されているわけであります。せっかくの英断が傷つかないようにというふうに申し上げたんですが。
 特にことしの文部科学省の予算を見ると、高校授業料を引き上げる基準がまた引き上げられている。まさかこの二つのことを一遍に引き上げることは絶対にないと思うんですが、とりあえずそのことも引き上げないようにも要望し、そして現在は「電気代等を集める。授業料に上乗せする」というふうに言われておりますけども、ひとつ一年間冷静に再検討されて、胸を張れるような答えを出していただきたいということを要望しておきます。
 連鎖倒産防止の大阪の企業への指導であります。
 確かに大臣認可企業でありまして、なかなか県土整備部としても指導はしにくいという問題ももちろんわかりますが、しかし県の工事も請け負う指定業者でありますから、あらゆる手を使って指導していただきたい。私も、今、その業者とは話し合いの最中ですから、倒産した企業の名前は言ったけれども、しかし今追及している企業の名前はあえて伏せておるわけです。ひとつ十分そういう配慮もした上で、今この場で追及しているけども、その業者に伝えていただいて、県内の業者を守れるような結果をぜひともこれから粘り強い交渉で出したいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、和歌浦の観光の問題です。
 商工労働部長からも知事からも、前向きの回答をいただきました。きのうも「紀伊民報」にも、熊楠と孫文の記念写真も含めて報道されたわけであります。この和歌浦を万葉、芭蕉、中国文化、夏目漱石、孫文・熊楠と重ねてアピールするという私の提起、知事からも大変深いご理解をいただいたと思います。
 この問題をいろいろな方にお話ししてみると、例えば孫文と熊楠が和歌浦で会ったという話は、まずほとんど知らない。私も最近知ったばかりであります。
 この夏目漱石、これはまあ国民的な作家だと思いますが、夏目漱石が「行人」で和歌浦を舞台にしているということも、知ってそうな人でも知らない人が案外いる。そういうことに最近気がつきました。漱石を観光の資源にしているところといったら、せいぜい松山の「坊っちゃん」ぐらいでしょう。漱石というのは江戸っ子ですから、余り江戸以外のところで小説を書いてない。幾つか、「草枕」や「虞美人草」などありますけども。しかし、そういう和歌浦・紀三井寺の石段というような具体的な場所が出てくるというのはなかなかないわけでして、そういうものを含めていろいろ掘り起こせばいろんなものがたくさん和歌山には観光資源があるんだろうなと思います。
 ひとつ、和歌山の観光の活性化のために世界遺産登録という観光紀州、観光和歌山を売り出すチャンスでございますから、あらゆる知恵を絞って、中国の人たちも和歌山へ来れるように、たくさん来てくれるようにぜひともしていきたいと思っています。
 そういうことで、ぜひとも、県としてご尽力いただきたいことをお願いしまして、二回目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 海南市東畑の産廃問題に関しまして、黄色の油状のものの人体への影響でございますけれども、サンプル検査の結果、機械油でありまして、油特有の臭気はございますが有毒なものではなく、生活環境に著しい影響はないものと考えられますが、早期の撤去を強く指導してまいります。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(吉井和視君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は三月八日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。                              本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十三分散会

このページの先頭へ