平成16年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 では、議長のお許しを得ましたので質問に入らせていただきます。
 私は、なかなか大上段には構えた質問になりません。具体的に自分が四年間、地域、市民の皆さんと活動した中での県行政への要望といいますか、私自身がまとめた提案という形にほとんどなると思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 平成十六年度予算について、若干感想を述べて知事の所見をお聞きします。
 十六年度予算は、国のわけのわからない三位一体改革により地方交付税、臨時財政対策債が二百八十六億円も減額され大変厳しい状況であっても、私にとってはよく持ちこたえた十六年度予算というふうに位置づけたいというふうに思います。十二年度から進めた財政運営プログラム、行革検討委員会等の成果を踏まえ、十六年度は人件費及び公債費で九十三億円の縮減を図られたほか、アウトソーシングを初めとするコスト縮減や事業見直し等により四十五億円を削減するなどの努力で収支差が九十七億円にとどまったことは職員と県民の理解であり、県行政の努力の結果として評価するものであります。
 さて、知事の所信要旨に示された自主・自立の基本理念についてですが、日本の国の政治経済は一つの社会政治哲学としての指針が明確にされてない中で、これは今回の三位一体の地方交付税削減一つ見ても、全国の自治体の十六年度の予算が既に決められている段階での出来事であったことから、国は一体何を考えているのか、そのときそのときで事態が変わる、こういう状況の中で地方自治体や市民はどうすればよいのかというふうな状況であります。
 国際的には、アメリカ中心の政治経済のグローバル化によって、個々の国の文化や主権が変化してきています。こういった国際的グローバル化に私たち地方自治体、地域社会は、その波に乗ったりそれに押しつぶされたりしない地方自治と地域社会の構築が必要です。みずからの力で地方を再生する道は、まさに知事の言う自主・自立であり、今までの古きあしきものから脱却する真に地方の再生、地方の文化に根差した構造改革が求められていると思います。
 今、人、動物への新たなウイルス発生はグローバル化による、むしろ社会ウイルスとしての警告であるかもしれません。私はそういった基本理念として、これらの行政、地方自治のあり方は、行政と市民の協力・協働で、お互いに主体性を重んじ支援し合うことだと思います。例えば、地域で高齢者、障害者、子供たちを地域市民が主体で支える。地域から犯罪をなくす地域の互助精神と行動。地域で自分たちの生命と財産を守る市民による自主防災。地域で自然と環境を守る市民運動。地域の町づくり、村おこしを地域の人たちで考え、参加し、つくり出す。こういった市民参加、市民主体に県、市町村行政は具体的にどう支援するのか。また、それら地域の事業課題の積み上げを行政が事業予算として支援していくことで、そこには少ない投資で大きな投資効果が生み出せるでしょうし、事業評価そのものも市民に支援されたものになると考えます。予算編成そのものが市民にわかりやすいものであることにつながると思いますが、こういった基本的な私の所見に対して、知事のもしお考えがあればお伺いしたいと思います。
 次に、具体的に入ります。
 四点ばかりですが、私はこれも提起ばかりですが、一つはNPOサポートセンター運営を民間に委託することを提案します。
 県はNPOサポートセンターをビッグ愛に設置し、職員六名体制で官主導の運営がなされている。知事の言うNPO元年にふさわしい市民主導のNPO活動に早急に移行すべきであると考えます。民間は、和歌山県内のNPOの自主的参加で構成されたわかやまNPOセンターを組織し、専従事務局長一名、十五名のスタッフで運営されています。ここに委託することで市民と行政との真の協働が生まれると考えます。少なくとも県からはNPO活動に専任できる人材を民間NPOセンターに派遣するなどして民間による体制の確立を求めますが、いかがでしょうか。
 二つ目は、建設産業の構造改革、新分野の進出支援に関して知事は、県内に六千三百事業所もある建設業界はこれからの公共事業との関係ではとても困難な状況として位置づけています。少なくとも地方では土木・建設業は地域の地場産業であり、雇用確保の中心でもあります。そのため、県行政として専門家による業界の構造改革に向けてのアドバイスや新分野への市場調査、他業種への転換指導と新事業への資金支援体制、業界で働く人たちの他業種転換への技術研修支援等、県として具体的な支援策を示す必要が来ていると思いますが、県としての考え方を知事にお伺いいたします。
 三点目でありますが、県立学校の空調設備と環境問題についてお聞きします。
 学校建設の構造そのものは画一的なハーモニカ型と呼ばれる箱型の校舎になっていて、断熱材を使っていない。窓ガラスは大きな一枚のもので、日よけ、ひさしもない。夏はとても暑く、冬は冷え込みが激しく、空調施設がなければとても子供たちが教育を受ける環境ではありません。しかし、エアコンをつけても、現状の学校施設では効率が悪いし、それにあわせてエアコンから排気量は増加し、環境への負荷が高くなります。
 そこで、私は第一点として、校舎への空調施設と同時にエコ改修、例えば外壁の断熱化、屋上・壁面の緑化、窓ガラスの複層化、室内の木質化、校庭の緑化の工夫等をセットで行う必要があると思いますが、意見があれば、私はそれを求めます。お伺いしたいと思います。
 第二点は、新設する校舎をハーモニカ型建築から転換し、エコ型校舎の環境配慮建築に改めていくことを県教委としては考えていくべきではないかと思いますが、教育長に所見をお聞きします。
 最後になりますが、ミニ公募債についてお聞きします。十五年度に学校施設の建設目的のため発行したミニ公募債の成果に立って、引き続き十六年度以降発行する考えはないのか。私は、防災のため、和歌山を守るきらら債といったような公募債を発行してみてはどうかということについて総務部長の見解をお伺いします。
 次に県農業の方向について、少し私なりに、言葉でなかなかうまく表現し切れないことで、ちょっと表をお手元にお配りさしていただきました。
 まず、今必要な農業施策について県当局に、別表のとおり示しておりますが、地域の皆さんと協力して進めてくださることを期待し、見解をお聞きしたいと思うんであります。
 今、グローバル化の中での日本の農業は、WTO農業交渉、FTA交渉に見られるように、厳しい状況にあります。私は非常に参考だと思って「地域再生の経済学」という東大の神野先生の本を読ましていだたく中で、いみじくもその言葉が自分でつくる文よりも非常に参考になった文章があります。「地域社会には人間の暮らしがあり、伝統的文化がある。それぞれの地域社会には食の文化があり、食の文化に基づく食生活は地域社会の食の生産と結びついている。地域社会に根差した食文化を失えば自給率は急速に落ち込む」というふうな言葉でしています。
 こういったことを考えると、実際にWTO並びにFTA交渉の中で、本当に地域が今こういう状況の中で、特に我が県は中山間地域でさらに厳しいものになります。しかし、私は今回はそういう守りの農業でなくて、私たちが地域から地味ではあっても着実な攻めの農業を進める必要があるという意味でのこの図表に示した私の見解であります。
 そこで、私は一つは、ここに書かしてもらっているんですが、輸入農産物の農薬問題や牛のBSE、鳥インフルエンザ等は国民の食の安全・安心を求める中でむしろ国内農産物指向にあるという条件があります。とりわけ安全・安心と、もう一つは、そういった意味で国内農産物指向の中で本当に日本の食糧供給への、あるんかということの不安も今高まっています。食糧自給率は、少なくとも一九六五年、穀物が六二%、カロリーベースが七三%という日本の国が、二〇〇二年には穀物が二八%、カロリーベースは四〇%と激変している状況であります。こういう中で私たち消費者、国民が不安視するのは、当然であります。
 したがって、私たちは、県農業に、これらの背景の中でこの状況を攻めの農業、国内農畜産物指向へのチャンスとして消費者の期待にこたえる必要があります。具体的には、和歌山県果樹王国日本一を堅持しつつ、県域での多種多様な農産物生産にも積極的に取り組むことを提示したいと思います。そのためには、遊休農地の活用と農産物の生産と販路と消費システムを確立することです。まず地域で農産物の地産地消を進めるための具体的行動であります。
 その一つは、食育活動の推進です。学校教育、社会教育、飲食関係、スーパー・量販店と協力し合った推進活動を地域で積極的に進めるための支援が必要であります。
 第二は、安定生産と安定供給の確立と安定収入です。例えば、今全国でも地産地消を進める一つの方法策として、学校給食に必要な年間の農産物を出して次年度の必要月別種類を農家の方に示して、一年間の安定した生産づくり、それから安定した価格保証、そういったことの中で地域が生き生きとしてそのつくったものがすべて売れて収入になるという形態が今全国でも生まれてきております。私たち和歌山県においても、そういった意味で安定生産、安定供給、安定収入の方向をこういった事例の中でも幾つか模索していく必要があると思いますし、一つはその地域ではとりわけ高齢者の生きがい対策としても大きな効果を発揮しているということであります。
 第三は、量販店、百貨店との提携であります。例えば、大阪では阪急百貨店と生産農家とのコマツナとホウレンソウの栽培と供給契約がせんだって行われました。私も具体的に地域で農事組合法人と今二つの量販店とのいわゆる契約栽培に取りかかっているんですが、このことが非常に参考になりました。そのためには、新規就労者をどう開拓するか。I・Uターン、高校生、また退職された人たちへの農業体験のチャンスをつくる、地域での農業の受け入れ態勢を実践しながら、農業を知る、継続させることを目的としていく必要があります。
 これからの農業での農家の安定収入、今必要な、また着実な実践をこのような例等を挙げながら提起さしていただきました。これは県が主導ではなく、各地域がこれらに積極的に取り組む主体性の中で県が支援していくという関係でないと継続していくものではないと思います。農林水産部長のご見解をお聞きします。
 次に、これは全く身近で私たち農業をしながら感じている二つの提案についてであります。中山間地域で農作業をする上での環境整備であります。
 第一点は、農園地にバイオトイレの設置の支援を検討してほしい。農家は、夫婦、家族での農作業の中で、トイレ設置が課題となっています。一定区域の園地にトイレを設置することは、男女共同参画ではとりわけ農家ではむしろ協力し合って進めています。私は電気も水も要らない農業地にふさわしいバイオトイレ設置の地域の高まりの中で、県当局として支援の検討をお願いしたいということを提示したいと思います。
 二つ目は、小規模な園地改良の支援です。私たちの地域では急斜面の園地が多く、高齢化が進む中で放置された園、行き届いた栽培作業ができないところがふえています。少し改良すればフラット化できるところもありますので、大規模なパイロットでない小規模改良に指導と支援を要望するものであります。
 第三点は、水の確保のためのため池、貯水タンク設置の指導と支援。この三つについて、具体的ですが、見解をお聞きしたいと思います。
 次に、梅の生理生態特性と梅生育不良の発生研究発表と今後の取り組みについてであります。
 せんだって二月に、梅の生理生態系と生育不良の発生ということで、こういうレポートが集約化して中間発表がなされました。これについて私の見解を述べさせていただきます。
 農水省指定による五年間の研究発表が先日行われた。私は直接説明を受けていませんが、発表されたレポートと農家の感想から、このレポートは平成十二年三月に県うめ対策研究会の発表した結論のつじつま合わせの結果でしかありません。結論的に言えば、大気や関西電力の火電のばいじんとは無関係であることを実証するための研究でしかなかったのではないかということです。
 きょうは詳細にわたって反論しませんが、立ち枯れは、ここの結論で出しているのは、水分ストレスからくることを証明するため、あれこれの資料と比較して結論づけているし、その比較資料は何の根拠で対比したのかでなく、ある資料をいろいろと組み合わせたものにすぎません。
 もう一つは、立ち枯れは実をならせ過ぎということもあれこれと示された資料でもって比較して結論づけている。関西電力の火電の燃料消費量との関係も、当時の現実を直視しない。現実と現場、梅の木、つまり植物の生理生態との関係を見ていない。こっけいなのは、南部町は雨が多く過湿で、いわゆる水分が多くて水分ストレスで枯れる。田辺地方は乾燥の水分ストレスで枯れるときては、私はもう愕然というか唖然としました。この発表に関しては、理論的にも生産農家の現場の立ち枯れの歴史から見て近く討論する機会を私は設けたいと思いますので、県はこれにどう対応してくれるか、お聞きしたいと思います。
 そして、この発表に対し私たちは、なぜ木が弱るのか、枯れるのかを実証する柱の研究テーマがこのレポートにはありません。そこで、引き続き四年間研究すると聞いていますので、今後の研究の取り組みへの提案を私からしたいと思います。
 まず、この結果が発表された研究結果を再現実証することが、この研究結果を改めて相関関係がはっきりする。第一点は、水分ストレス、いわゆる過湿、水が多い、水分が多くて枯れた。そして、乾燥の面で枯れた。その実証を実際にその園をつくって状況調査をする、実証試験をする、このことをやっていただきたい。
 二つ目は、ならせ過ぎとの実証。これは簡単です。実際に木に今までの強剪定をできるだけ剪定を少なくすれば多くなります。その実証をやる。
 三つ目は、今まで私たちが言い続けていた火電のばいじんによる直接暴露試験の実証であります。
 この三つを総合的に再現実証することによって、今回の研究結果に対して評価されるものであります。いかがなものでしょうか。
 次に、鳥インフルエンザの防疫体制について、和歌山県の体制と取り組みをお尋ねします。
 山口県、大分県と、よそごとと思っていたものが、近畿の京都府から兵庫県と波及してきています。きょうの新聞では既に島根でしたか、卵からひながかえるとそれも発見されたというふうに載っていますが、これは和歌山県にとっても非常事態と言っても過言ではありません。県としての早期発見、蔓延防止のための検査体制をどうするのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、森林・林業関係でご質問させていただきます。
 まず第一点は、和歌山県の森林整備方針についてですが、地球環境の悪化に対応して森林整備が国際的にも極めて重要な課題となっています。こうした中、平成十四年十二月には国において地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策が策定されました。重点事項は、一つは健全な森林の整備、二つ目は保安林等の適切な管理保全、三つ目は木材及び木質バイオマスの利用、四つ目は国民参加の森づくり、五つ目はCO2吸収の報告・検証体制の五項目が掲げられています。これらを県としてどのように位置づけ実施していくのか、その方向づけについてお尋ねしたいと思います。
 次に、林業、木材産業、住宅産業等、一体的な木材供給、利用体制の整備についてですが、地球温暖化防止等の森林の機能を発揮させるためにも森林整備や雇用創出とあわせて木材の利用推進が欠かせません。木材の利用に当たっては、住宅を初めさまざまな分野へ並材、高級材、集成材、家具など製品や使用部分で多様な製品が要求されています。木材加工分野への官民を通じた研究開発体制の整備と支援が必要であります。本県の木材加工は他府県に比べて弱く、その研究体制を今確立することを求めたいと思います。
 そうした中で、特に県林業試験場の強化、とりわけ技術員の京都大学、筑波大学等への派遣の復活と技術力を持った人材の確保、しかも適正な配置を求めたいと思いますが、ご意見をお聞きしたいと思います。
 また、公共施設の木造化、内装木質化を推進する体制についてお尋ねします。
 まずその前に、紀州材利活用が県当局の尽力で一歩一歩着実に前進していることについて意を強くしております。知事がローソンとの話し合いで建設されたローソン御坊名田町店は、全国初の紀州材木造店舗としてマスコミを初め各界に大きなPRとインパクトを与えました。これは、全国紙の「日刊木材新聞」に二月十八日付でも大きく取り上げられています。(資料を渡す)
 私は、以前にも提言した量販店、百貨店、駅構内、待合所等、人の集まるところへ紀州材のPRをと言いましたが、高野・熊野世界遺産登録に向けて田辺駅でも観光協会とともに今、紀州材をつくる検討がなされているとも聞いていますし、最近では県の林務担当者が白浜空港出発ロビーに紀州材を活用した待合室をNPOと協力して設置を準備するなど、頑張ってくださっています。これはNPOの関係者の設計士がつくられたパースです。(資料を渡す)三月末までに実現しようということで頑張っていただいております。
 そこで私は、公共に紀州材活用を徹底するための提起として、県は農林水産部の予算づけで一括して他部局への補助金枠として助成しています。これでは、事業主体が異なる中では漏れなく一〇〇%が推進される形にならないんではないか。むしろ公共施設の事業主体となる部局において予算化することが望ましいのではないかというふうに感じました。
 例えば、教育施設改築計画の中に紀州材活用木の薫る学校推進事業とか、それから県土整備部の県営住宅建設・改修に木造化と内装木質化と位置づけた予算、福祉施設、医療施設においてもそれぞれの部局の予算として位置づけることをしなければなかなか推進できないのではないかと考えますが、農林水産部長の見解をお聞きしたいと思います。
 最後になりますが、大滝ダム建設に関する基本計画変更に伴う県の負担金増額について質問します。
 今議会に提案された議案第七十九号に、平成十五年から二十一年の七年間で二百七十億円の増額が提案されています。私は、これについてはいささか異議があります。この事業は既に過去四回の基本計画の変更がなされています。当初事業予算が二百三十億円でやるということだったのが、第五回の変更、今回提示されている第七十九号は三千四百八十億円、当初より十五倍という莫大な額に膨れ上がっているわけであります。
 国においては、前年平成十四年十一月に出された第四回の変更が、これが最後であるとのことで負担を求めてきた経緯があると聞いております。五回目の変更に安易に同意することは、私は納得できるものではありません。工事の設計管理を初め、工事費の積算基準を含め、すべて国土交通省が一元的に握り、情報公開なしに事業を計画・実施していることに全国的にも問題を指摘されています。しかも、事業は変更変更で長期化し、予測できなかったとの理由で事業費も膨れ上がり、例えば群馬県の八ツ場ダムに至っては事業費が倍増されています。
 そこで、知事に伺います。
 第一点は、五回にわたる変更、とりわけ今回は予測ミスの責任において国の責任を求める必要があるのではないか。
 第二点は、特定多目的ダム法そのものについても国の一方的な権利であり、地方は工事計画に口を出すな、金を出せ、出さないのなら利水権を取り消すぞ、協力しなければ他の事業に影響するという地方の時代にふさわしくない法律と考えるが、異議ありと声を上げないのか、お聞きしたい。
 第三点は、安易に妥協しないで、県当局と議会が協力して国に対して意見を述べ、また和歌山市、橋本市とも協力して運動すべきと考えますが、どうでしょうか。
 また、知事は改革知事として同じ立場にある知事とも協力して、国に対し意見を述べる活動をしてはどうか。例えば、八ツ場ダムでの茨城県、埼玉県、千葉県を初め、特定多目的ダムに関係ある人たちと協力してはどうか。
 第四点は、そういう三点の立場で私は今議会の議案第七十九号は取り下げて、議会を初め関係するところとも十分議論し、国に対し意見を述べる運動をして方向を見出すべきだと考えます。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 地域の自主・自立に向けた行政の役割ということでございますが、人々のライフスタイルが多様化し、豊かさについてのとらえ方がさまざまになっていく成熟社会の中にあっては、これまでのように公的サービスのすべてを行政が担っていくということはおのずから限界があろうというふうに考えております。将来にわたってすべての県民が満足し、住んでよかったと言える和歌山県であるためには、それぞれのサービスに最もふさわしい形を再構築する必要があると考えております。
 まず、行政の各主体間においては、国、県、市町村それぞれの役割分担を見直し、住民生活に身近なことは身近なところで行うということを基本に、基礎的自治体である市町村の主体性を重視し、それぞれの地域の実情に応じたきめ細かな対応をしていくことが肝要であると考えております。県はそうした市町村の活動をバックアップするとともに、広域的見地からの施策を展開し、その役割を果たしていくべきものと認識をしております。
 また、地域社会は行政だけでなくそれぞれの地域に住んでおられる住民との協働の中で担っていくものであるとの新たな公共理念が重要になってくるものと考えており、地域の実情を最も理解し、また行政に不足する専門的知識や経験、ネットワークを生かしていただくことによって、これまでにない効率的できめ細かな行政サービスが提供でき、そのことが豊かな地域づくりにつながるものというふうに考えております。
 十六年度予算においても、例えばNPO活動を新たな公共空間の創造主体と位置づけ、重点施策の一つとしてNPOとのパートナーシップに積極的に取り組んだところでございますが、この流れを一歩進め、ご指摘の福祉や環境、防災の分野はもとより、例えば身近な事柄について住民参加による公共事業というようなこともあってもよいのではないかと、このように考えております。
 今後とも、このような地域住民の主体的な地域活性化や地域福祉向上に向けた活動の芽を育て、積極的に活用するとともに、その自発的意思を尊重しながら連携と協働による自立した豊かな和歌山を築いていけるように取り組んでまいります。
 次に、我が国の長期にわたる景気の低迷や国並びに地方の財政状況の悪化による公共投資の削減など、これまで地域経済を支えてきた建設業を取り巻く経営環境には大変厳しいものがあると考えております。このため、県内建設業者の技術者の育成や経営基盤の強化、公募型指名競争入札の導入、分離分割発注など受注機会の拡大・確保に取り組み、その健全な育成、発展を図っております。
 しかしながら、当面景気の急激な回復や公共投資の大幅な増加が見込めない中、意欲のある建設業者が介護などの福祉分野や地域の高齢化に対応したサービス業を初めとするコミュニティービジネスなどの新分野へ展開していくことが考えられることから、地方分権研究会において他府県知事とも連携し、建設業の他業種への転換、参入のあり方、支援施策の検討を始めることというふうにいたしております。
 いずれにいたしましても、時代の潮流を背景とする建設産業の円滑な事業転換を図ることは県経済、地域の雇用の安定を図る上で非常に重要であるというふうに考えておりまして、今後とも力を入れていきたいというふうに考えております。
 次に、大滝ダム建設に関する基本計画変更に伴う負担金の増額についてのご質問でございますが、そもそも直轄事業は国が行うべきものであり、地方の主体性が確保できない場合が多いということでございますので、私は将来的には地方分権の中では廃止されるべきものであると、このように考えており、かねてから主張をしているところでございます。
 しかしながら、今回の大滝ダムに関する問題につきましては、ダム本体がもう既に完成しており、試験湛水を開始した段階で初めて発生した地すべりであり、国土交通省が設置した検討委員会でも結論づけられておりますとおり、これを予見することは困難であったと認識をしております。このため、国の予測ミスとして国に責任を求めることは困難ではないかというふうに考えております。
 また、今回の問題でございますが、過去四回と事情が異なり、特定多目的ダム法という法制度のもと基本計画の変更が行われようとしている他のダムと若干事情が異なっていて、これと同列に論ずることのできない特殊なもので、これは大滝ダム独自の問題として対応すべきであるのでないかというふうに認識しているところでございます。
 大滝ダムにつきましては、ダムの運用による治水・利水の効果には大きなものがあり、住民の生命・財産に係る問題でもあることから、ダムの効果を早期に発現させる必要があるというふうに考えております。そして、和歌山市におきましても現在開会中の議会において大滝ダム基本計画の変更について説明を行っている状況と聞いており、また、橋本市においても基本計画の変更について議会の基本的な了承が得られたことから、来る六月議会に利水負担金について予算計上する予定であるというふうに聞いております。
 本県といたしましては、このような諸状況を勘案し、慎重に検討した結果、今回の基本計画の改定には基本的には同意するものの、事業費の縮減と効果の早期発現に対する最大限の努力、並びに適時適切な情報提供を求める意見を付すこととした上で議案第七十九号を提出しているものでございます。
 こういうことでございますので、何とぞ、ご理解、ご賛同を賜りますようよろしくお願いをいたします。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) NPOサポートセンター運営の民間委託についてお答えいたします。
 当センターにつきましては、平成十四年七月の開設以来、法人設立相談、支援情報、会議スペース、活動拠点機能の提供及び交流事業の実施など、さまざまな支援事業を実施しており、利用者数も本年二月末の累計で六千九百四十九名に達しております。
 運営につきましては、現在、県直営で実施しているところでございますが、NPOの自主的・自立的な発展を推進する上でもNPOによる自主運営が望ましいと考えております。昨年四月から中間支援組織の、議員ご紹介ございました、わかやまNPOセンターを含めたNPO関係者で構成するNPOサポートセンター運営会議において、新たに運営主体となるNPOの体制整備や具体的業務など、移管に向けた課題について意見を交換しているところでございます。
 今後も運営移管するための種々の課題を整理し、NPOによるNPOサポートセンター運営の実現に向け取り組んでまいります。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) ミニ市場公募債についてお答えを申し上げます。
 ミニ市場公募債につきましては、平成十五年度におきまして「紀の国きらら債」の愛称で県立学校整備を対象として本県で初めて十億円を発行したところ、ご好評をいただき完売したところでございます。十六年度以降も引き続き発行していく考えを持っておりますが、具体的には起債充当可能事業と一定の発行規模が必要となってまいりますので、そうした制度条件と県民の皆様に関心を持っていただけるような事業への資金調達という両面から検討してまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 県農業の方向についてのまず一点目、今必要な農業施策についてでございますが、現在の消費者ニーズを見ると、残留農薬の問題などから食に対する安全・安心を求め、国産農畜産物への指向が高まっています。こうした中、県では農業施策の展開に当たっては環境と調和した収益性の高い農業を目指し、安全・安心で多彩な農産物の提供や人を育て地域をつくる農の実現を推進してまいりたいと考えてございます。
 特に、食の安全・安心対策、消費拡大対策につきましては、県産農畜産物のブランドの確立を図るとともに、土づくりを基本としたエコ農業を推進してまいりたいと考えてございます。また、将来の担い手の育成や地域の食文化を理解してもらうために食育は大変重要なテーマと考えますので、教育機関等との連携を図りながら、ミカンやカキなど地元の農産物の学校への提供や出前授業の実施など、地域主導の先進的な取り組みを今後とも支援してまいりたいと考えてございます。
 さらに、地産地消の推進や遊休農地の活用などを視野に入れながら多様な担い手の育成を図ることとして、農家子弟に対しての支援はもちろんのこと、I・Uターン者、高齢者など幅広い担い手の育成を行う就農支援センターを四月にオープンするとともに、就農希望者を受け入れるモデル的な地域に対して、地域と協議しながら要望に合ったきめ細かな支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、二点目の中山間地域での環境整備についてでございますが、中山間地域では小規模で急峻な農地が多いため、本県の実情に応じた小規模な整備が可能となるよう国に制度改正を要望してきたところであり、小規模な園地が一定規模まとまれば事業が可能となっておりますので、地元の意向を聞きながら補助制度を活用した基盤整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 なお、国庫補助の対象とはならない小規模な基盤整備につきましては、県単独小規模土地改良事業により対応してまいりたいと考えてございます。
 また、園地へのバイオトイレの設置につきましては、地域の農作業環境の改善のためどのような支援ができるか、今後地域の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えてございます。
 三点目、梅の生理生態特性と生育不良の発生についてでございますが、当研究につきましては農林水産省の指定試験事業として、国から派遣された主任研究官が中心となり、平成十一年度から本年度までの五年間、研究を進めてきたものであり、その集大成として去る二月二十三日と二十七日に西牟婁地方と日高地方で農家等関係者を対象に報告会を開催し、その場におきまして多くの議論がなされたところでございます。
 県といたしましては、本指定試験事業の継続につきまして、今回の研究結果の実証やより掘り下げた研究を進める観点から継続を強く国に要望していたところ、現在国において好感触を得ているところでありますので、今後とも農家の皆様方の協力を得ながら積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。さらに、本年四月に開所しますうめ研究所において環境制御温室などを活用した生理生態特性の解明やこれまでの研究成果を生かした試験研究に取り組み、生育不良の早期解明と安定生産技術等の研究を一層推進してまいりたいと考えてございます。
 四点目、鳥インフルエンザの防疫体制についてでございますが、本県では平成十一年度よりモニタリング検査を実施しておりまして、本年度は既に約七百検体について異常のないことを確認してございます。本年一月に国内で発生が確認された直後から、家畜保健衛生所による養鶏農家への立入検査を強化してございます。また、庁内担当者会議を開催し市町村との連携を図るとともに、学校飼育動物や愛玩動物についても指導と監視を強化してございます。なお、三月二日には和歌山県高病原性鳥インフルエンザ対策庁内連絡会議を設置し、全庁体制で総合的に取り組んでおります。
 続いて三項目め、森林・林業施策についてでございますが、一括してお答え申し上げます。
 三十四万ヘクタールの貴重な森林を生かし守るという基本認識に立ち、現在、森林の整備に積極的に取り組んでいるところでございます。具体的には、まず緊急の課題である間伐を五カ年対策に基づき計画的に進めるとともに、緑の雇用により環境保全に主眼を置いた森林の整備を進めてございます。また、森を生かすための紀州材の需要拡大については、資源の循環利用に向け住宅や公共施設等への利用を推進してございます。需要拡大の一翼を担う木質バイオマスについても、本年度実施した有効利用調査に基づき環境に優しい新エネルギーとしての利用を普及してまいりたいと考えてございます。今後とも国の地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策の動向にも十分留意しつつ、温暖化防止に重要な役割を果たす本県の森林整備を積極的に進めてまいります。
 次に、森林と林業、木材産業とのつながりを考えますと、地域の木材が地域で利用されてこそ継続的な森林整備が保てていくものでございます。特に川上から川下に至る関係者が一体となった取り組みが大切であり、中でも木材の加工流通に関する取り組み体制の整備が大変重要な課題となってございます。木材については高次加工などニーズに対応した技術、知識を求められる傾向にあるところから、職員を民間等へ派遣し技術向上を図っているところであり、今後ともこうした人材の育成確保に努めてまいりたいと存じます。
 また、公共施設につきましては、副知事を座長とします木の国プロジェクトによる各部局の横断的な連携のもと、木材利用を推進しているところでございます。
 今後とも、土木を初め教育関係等の各分野、また市町村とも十分な連携を図りながら、なお一層積極的な紀州材の利用を働きかけてまいりたいと存じます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高等学校普通教室への空調機器の導入は、夏季の学習環境を改善し、生徒の学習意欲と学力の向上を目指すとともに、夏季休業中の多様な取り組みを推進するためのものであります。
 設備につきましては、深夜電力を活用したものや二酸化炭素の排出量が少ないものなど、環境に配慮した機器を予定しております。また、その運用につきましても温度管理を徹底するなど、環境への負担を低減するよう努めてまいります。
 学校の施設と環境についてでありますが、環境保全という観点から整備していく必要があると認識しております。現在、環境を考慮した校舎の建設を県内でモデル的に実施しており、今後、議員ご提案の趣旨も踏まえ、環境に優しい学校施設の整備についてさらに検討してまいりたいと考えています。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 質問ではありませんが、要望を出すだけでお願いします。
 第一点は、知事からも丁寧な答弁いただいたんですが、建設業に関する他業種への転換とか構造改革をしながら、公共事業が現在非常に縮減する中でできるだけの対応をしていくということで提案ありましたが、私から、できるだけ他業種へ転換するための和歌山県における市場調査というんか、どういう分野が着目できるかという、そういうところへやっぱり専門的に指導できる体制、そこへ行ったらそういう指導はしていただけると、そういう分野をぜひつくっていただきたいなと思います。
 また、もう一個は、私自身もかかわったんですが、ある建設土木業が倒産するときに、そこで二十人の従業員がどうするかという部分でも、今知事の答弁の中にもありましたように、タクシーの運転者に講習へ行ってなるとか、ヘルパーの講習に行ってヘルパーになるんだとか、いろんな方がおられましたけども、そういう意味で、自分自身は物すごく努力しているけれども、どこへ相談に行ったらどういう支援をしていただけるのか。お金の問題じゃなくて、そういう窓口が欲しいなとか、そういう部分は感じましたので、ぜひ市町村とも協力しながら何とか体制をとっていただけたらなと思います。
 それから二つ目ですが、学校施設の関係では、十六年度も大規模な建設、改築、改造計画があります。一〇〇%と言いませんけれども、やはりモデルとしてここには内装が木質化するとか緑地化するとか、いろんな意味でエコ環境のための校舎がひとつ、少なくとも部分部分でも成功させていただけたらありがたいと、こう思っております。
 鳥インフルエンザの関係で、おとついですか、会議をしたということを聞きましたが、私は総務部長にひとつお願いしたいんですね。実際に担当している畜産課を中心に横断的な体制をとったと言いますが、実際に急激にそういう問題が、当事者でなくても周辺からもおかしいぞとかいうた場合に、さっと緊急連絡──きょうの新聞見たら、和歌山県もまだ相談窓口ができてないなということでバツ印になっていました。そういう意味では相談窓口が、どこへ電話したらきちっとどこが受けてくれるかという体制はできたらとってほしい。
 もう一つは検疫体制ですが、僕はざっと職員名簿だけしか見てませんけど、臨時的にも検疫体制の人的配置とか、今回この間の補正予算のときの委員会でも聞きましたが、緊急予算として必要なお金はやっぱり裏づけていくということで、十六年度予算では組まれていませんので、そういう意味でお願いしたいと思います。
 以上、要望です。
 そして、最後になりますけど、私ちょっと、知事にまことに失礼なことでお許しをいただきたいと思うんですが、私は年も知事より上ですし、一応、地方行政にかかわって大方二十一年目になるんで、そういう立場から知事に、まことに失礼な言い方ですけど、私の要望なり考え方を述べてみたいと思います。
 知事は、今の社会経済情勢の中で地域再生、いわゆる地方自治体の主体性の確立を国や県民に働きかけたそのことについて、いわゆる改革知事として非常に少なくとも評価されています。そういう意味で、わかる人はわかるんですが、内容がわからないし、実際に触れ合い対話したこともないからわかりにくいという部分があります。
 私は、県民と直接対話を進める機会にもう少し重点を置いてほしいと。よく聞かれます、そのことについては。言ってることはいいことやけど、一体そのことと県民とどうかかわってあるんかとか、そういうことがよく、地域活動をしている人たちはほとんど質問されます。「まあ忙しいんでしょう」という形でついあしらってますけど、そういうことがあって、例えば地域で先ほども言いました地域づくりをしたり地域おこしをしたり、福祉や医療で一生懸命、知事の言うNPO活動を通じて協働・協力体制でやってる人たちや、そしていろいろ問題あるミカンや梅、カキとか、実際に生産農家──JAの幹部じゃなくて──で苦しんでいる。例えば梅だったら、行ったらまた何ぞ関電のことで言われるぞというんじゃなくて、実際に来て、生産農家の意見や感じにやっぱり触れて、そこでかかわってほしいなというのが最近特に感じているところであります。
 したがって、地域の意見が一〇〇%正しいとか、地域の一〇〇%の要求を受け入れるとか、そういう問題ではない。その中で知事の考えている今の改革をしていく、地方自治体の自主・自立で生きていく道の施策を、やっぱり真正面から和歌山県の財政の難しさを説いて、我々県民が一体となって将来の県政はどうあるべきかということをやっぱり論議してほしいと、このことを最近痛感しております。そういう意味で、大いにそういう重心を移して頑張っていただきたいと思います。
 終わります。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十二分散会

このページの先頭へ