平成15年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
 まず、私はきょうは四つの項目についてお尋ねをしてまいりたいと思います。どうか、心ある答弁をお願いしたいというふうに思います。
 それではまず最初に、県営住宅ニューかわなが団地問題についてでございます。
 ニューかわなが団地は、川永団地の建てかえによって、新たにニューかわなが団地として平成六年から入居が始まりました。一号棟から五号棟が建設をされているところです。しかし、三号棟だけは特定優良賃貸住宅でありまして、月収十七万八千一円以上六十万一千円までの世帯の方が入居できる住宅になっております。エレベーターは全号棟にあります。部屋の段差解消や手すりなどのバリアフリー化が施されています。そして、今度はふろがまも設置されておるところですが、給湯器だけは入居者が設置することになっています。建物の色が茶褐色のせいか、大変落ちついた温かみを感じさせる、そしてちょっとした高級感も感じさせる住宅でもございます。一方、隣に並ぶ古い川永団地との格差も、いや応なしに感じるものであります。大切なことは、何よりも安心して住み続けられることが肝要だと思います。
 十一月の中ごろでした。入居者の方から、とにかく一度部屋を見に来てほしいよと連絡がありましたので、早速訪ねてみました。説明を聞きながら、こんなことあるんやろかと各部屋を見て回りました。この方は三DKに一人で住む身体障害者でありまして、入居してから七年になるそうです。こんなこととは、どういったことなんでしょうか。その一つには、和室を除くすべての部屋の床のフローリングが浮いて波打っています。部分的には一度修繕をされたと聞いておりますが、しかしこのとき、床にボールを置きましたところ、とまりませんでした。それだけに波打っているということであります。二つ目には、和室の押し入れのかもいが垂れて、天袋と押し入れが開閉できなくなりました。三つ目、畳と敷居の間に六ミリから十一ミリぐらいの段差がありました。四つ目には、四号棟の駐車場に階段がありまして、車いすの方が駐車場に直接行けない、随分と遠回りしなければならないという実態でもありましたし、一号棟の駐車場に行くスロープも、これまたあるものの傾斜がきつくて使用しにくいということでありました。もう一つは、ふろ場のドアのねじがもともとからなかったという問題で、大変安定をしないというような訴えがございました。このような問題をこの入居者の方から指摘をされて修繕を求められたところであります。
 私は、かもいが垂れるとか床のフローリングが浮いているという問題は、かつて三号棟でも入居者から訴えられて、これを県当局にもお願いをしたところでありますが、通常では考えられないことではないのかというふうに私は思うんです。資材の一括発注による低コスト化や、また工事工法には問題はなかったのか。たとえささいなことでも、足の不自由な方や高齢者、車いす利用者などにとっては大変なことです。急いで調査の上、修繕をお願いしたいと思います。
 なぜこんな問題が発生するのでしょうか、不思議でなりません。安心、安全、快適、良質な公営住宅を提供するために、今後の住宅対策についても県土整備部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、このニューかわながの三号棟の空き家対策について伺いたいと思います。
 先ほども申し上げましたが、三号棟の十九戸は収入の比較的高い方が入居する住宅でもあります。わずかに築九年です。賃貸料は、最も安いところで、三LDK、一カ月七万四千三百円、四LDKで八万八千百円、最高は、三LDKで、部屋の面積にもよりますけれども八万二千円、そして八万五千円、八万八千円、四LDKで九万七千円です。これに加えて共益費や合併浄化槽の保守点検費、くみ取り料金等で、私は決して安いとは思いません。
 この三号棟の入居戸数、現在は六戸です。平成八年から平成十一年三月までは、多いときは十七戸、入居がありました。その後減り続けて平成十四年、昨年の十一月には七戸に減っています。そして今や六戸の、これは全体の三分の一、三一%の入居率になっています。賃貸料も平成十三年四月から一〇%引き下げたものの、空き家は埋まっておりません。国の補助金を受けて約三億三千万円余で建設した住宅でもあります。家賃収入が修繕や設備費に運用されることを考えますと、いつまでもこの状態を続けるなら大変な事態になるんではないでしょうか。
 県土整備部長にお尋ねをいたします。
 公募するように条例でなっております。どのような方法で行われてきたのでしょうか。
 三号棟の前には、ちっちゃな看板が立っております。これは目立ちません。PR不足で、もっと積極的な募集があってもいいのではないかというふうに思います。利用されない住宅建設は、むだな公共事業と言わざるを得ません。これまで県営住宅に入りたいと四回も五回も申し込んでも入居できない方々がたくさんいらっしゃいます。このことを思えば、どうだったのでしょうか。今後の方策についてもお聞かせ願いたいと思います。
 次に、新宮白見の滝近くの不法投棄についてお尋ねをいたします。
 高野・熊野の世界遺産登録認証の日が近づいてまいりました。今議会においても、数人の皆さん方から討論がされたところでございます。
 十一月三十日から一週間にわたってNHKで、「世界遺産の旅 スペイン」という番組がハイビジョンで生中継されました。私は毎日見ることはできませんでしたが、大きな感動を覚えたものです。二千年の歴史と伝統に刻まれ、見事なまでに築き上げられたイスラム・キリスト教を象徴する大聖堂や、そして城、生活を支え住民の命を守るために建設された巨大な水道橋や城壁、中世期そのままの町並み、独創的なすぐれた建築家たちの建造物、レオンという町の大聖堂のステンドグラスは圧巻させられました。千年以上も続く巡礼の道サンティアゴ、職人わざの粋を集めた建物にスペインの歴史を見ることができた思いでしたし、機会あるなら訪れてみたいと思っています。
 さて皆さん、本論に入ってまいります。
 白見の滝近くの不法投棄の問題でありますが、これは、これまで我が党の議員でありました金田眞氏が毎議会、世界遺産登録を控え、熊野川の清流を取り戻したい思いから、ダムによる濁水対策や熊野川河川敷の不法投棄対策の解決を求めて質問と要望を繰り返してきた経過があります。不法投棄した行為者も判明している中にあって、この間、県も積極的にその解決のために努力を続けていただいているところですが、いまだに解決には至っていない状況にあります。
 この不法投棄は、昭和六十三年四月から始まっています。早くも十五年が経過していることになります。この不法投棄は、自然公園法、廃掃法、河川法に違反している行為に対して種々指導を重ねながらも自主的原状回復を求めて解決を目指した、ところが状況が全く改善されないためにこの三月二十八日、改めて河川法違反に対し原状回復範囲を平面図に指示し、平成十五年七月二十五日の期限を定めて最後の監督処分をいたしましたが、その期日まで完全な原状回復には達していないという状況にあります。その後も、今後の作業の見通しについて県は報告を求めるとともに除去実施計画書の提出に対しても、この原因者は一貫してこたえていません。指導にも命令にも従わない。これは一体どういうことでしょうか。法を犯していることに何の反省もない、極めて悪質業者と言わざるを得ません。到底現状を追認することもできないのは当然です。こうした業者の姿勢に行政の毅然とした姿勢が問われることも当然です。
 私も、一日も早く解決を願うものです。そして、世界遺産にふさわしい姿で世界遺産の登録の日を迎えたいと思い、私も現地に行ってまいりました。私の見たままをお話ししたいと思います。
 十五年も経過していますから、かなり表面はかたく締まっております。コンクリートの構造物の破砕物やビニール、鉄パイプ、ブリキ缶、タイヤ、ワイヤロープ、針金など、そして何カ所かコンクリートをそのまま流した形跡も見られました。埋め立てられた山は、目視で、延長にして五十メートルから六十メートル、高さは水面から十三メートルから十五メートルはあるのではないかと思いました。そして、あちこちに雑草が生い茂っている、そういう状況もありました。搬出用の大型のショベルカーが一台隅っこに置いてあり、しかし稼働しているようには見えませんでした。一緒に見ていた私の友人は、「有害物質が含まれていないやろか。心配だ」と言います。友人は、十年以上生コンの職場で働いてきた経験から感じ取ったようです。
 県は、平成十二年九月七日に業者に対し、廃棄物の種類、量、面積などの報告を求めましたが、今日に至るもその報告がありません。県土整備部長、いかがでしょう。有害物質などの有無を含めたボーリング調査、そして埋立地を掘り返して何が放棄されているのかを調査していただきたいと思うものですが、いかがでしょう。そして、今後の対策にもこれは生かせるのではないのでしょうか。これまでもさまざまな方法で解決策を進めてこられたところですが、今後どのようなことが考えられるのでしょうか。あわせてお考えをお聞かせください。
 次に、熊野川の問題に関して、ダムによる濁水対策についてでございます。
 北山川と熊野川の合流地点から下流に向かって、濁水のひどさは一目瞭然です。昨年八月だったと思いますが、総務委員会の県内調査で防災ヘリに乗せていただき、上空からその実態を見ることができました。これはひどいと実感をしましたし、金田眞氏の質問に大いに納得をしたものですし、このまま世界遺産登録があるのだろうかと、そのときは本当に心配になりました。
 ことし二月議会において金田議員は、ダムの撤去以外清流は取り戻せないと主張し、現行をおおむね三十年とした水利権の短縮の検討を提案したところです。そのときの知事の答弁は、「水利権の短縮については、県として熊野川を世界遺産にふさわしい姿に近づけていくため、環境面に配慮し、変化の激しい時代に沿った議論ができるよう、許可期間の短縮について許可権者である国に申し入れを行ってまいります」とお答えになりました。いつ、どのような形で申し入れをされてきたのでしょうか。そして、国の考えは。これは、実務を担当される県土整備部長の答弁をお願いしたいと思います。
 三つ目の質問に入ります。国立病院の賃金職員の雇いどめ問題についてであります。
 来年四月から、全国百五十四ある国立病院が独立行政法人に移行をいたします。したがって、南和歌山病院と療養所、和歌山病院も移行することになります。全国の百五十四病院には、国家公務員の定員を定めた総定員法の枠内では患者さんや国民の医療要求にこたえることができないため、定員外の職員が勤務をしています。これが賃金職員と言われる方々です。看護師を初め調理師や種々の職種の方が全国で六千五百五十五名ほど、和歌山の両病院には五十名の方がフルタイムで、残業や夜勤も正職員と同じように働いておられます。
 去る十一月二十一日、厚生労働省は、すべての賃金職員を来年三月末で雇いどめにする、夜勤のできる看護師以外は週三十時間以内の非常勤職員か、業務を委託するところに行くか、こういう一方的な発表を行いました。両病院の保育所はビジョンという企業に業務委託をする、看護助手、調理師など十五名の賃金職員の新たな雇用契約は一年以内、更新は長くて三回まで。十二名の保育士は、業務委託の採用を受けるか退職するかの選択を迫られることになっています。私は、国の総定員法と職場の人手が足りない矛盾の中でつくり出された賃金職員という身分の労働者に厚生労働省がその雇用の責任を果たすことは、ごく自然の姿だと考えます。移行しても病院が今まで以上に地域に貢献することが運営上も求められると思うのです。
 賃金職員が退職に追い込まれることがあれば、たちまち医療の継続に支障を来すことになるのは明白です。また院内保育所は、看護師や病院で働く職員が働き続ける保障としてなくてはならないばかりか、地域住民の保育所としても重要な役割を担ってまいりました。厚生労働省が営利本位の民間にこの保育所を譲り渡せば、保育料の負担や保育内容の問題など、利用者の意見が届かなくなることもあります。保育士の配置なども不十分なものになる心配もあります。
 あらゆる面でサービス低下につながりかねません。県にとっても、新たな失業者を国みずから創出することを、雇用関係がないからとただ黙って見過ごすことはできないと私は考えるものです。そして、地域住民との関係も信頼性を高めながら、その病院の専門的医療を、あるいは小児救急や巡回診療にこれからもその役割をより一層果たしてもらう必要があると考えるものです。それには、今でも賃金職員含めて患者の治療、サービスがぎりぎり維持されていると聞きますが、賃金職員の雇用継続は最小必要条件ではないでしょうか。
 県がこれまで策定した地域保健医療計画の中には、災害、小児救急、そして救急病院としても重要な位置づけがしてあります。両病院の比重は大きいと思うわけです。全国衛生部長会においても、国立病院の再編に関し、本年五月、十四項目の要望が提出されています。中でも、関係地方自治体とも協議することを求めています。地元である美浜町などには、何の説明もいまだにありません。住民の要請にも何らこたえようとしない姿勢をとり続けています。田辺市議会や美浜町議会で地域医療を守る立場から請願が採択されております。それが意見書として国へも届けられているところです。病院の説明がない中、地域では、病院が一体どうなるのか、保育所がどうなるのか、不安が広がっているようです。説明する責任があるはずです。
 国民、県民、地域住民の医療と雇用を守る立場から、また地域住民の健康と命を守る立場からも、ぜひ国と病院に賃金職員の雇用を継続されるよう、知事の言葉で要請をしていただきたいと願うものです。いかがでしょうか。意のあるところをお聞かせ願います。
 かつて、国立白浜病院と国立田辺病院の統廃合問題のとき、当時の知事が国や病院に対し、地域医療の充実を求めて要請や陳情をしていただきました。そして、大きく盛り上がった地域住民の運動とも相まって、統廃合されたものの診療科も大幅にふえてまいりましたし、救急や巡回診療への参加という住民サービスが大きく前進していることを申し添えたいと思います。
 最後に、年金問題についてお尋ねをいたします。
 今、年金問題は、国民の将来不安の大きな原因になっているところです。来年度からの年金改革を前にして、知事には県民の利益を守る立場で国へ年金改革への意見を上げていく姿勢を求めたいという立場で質問を申し上げたいと思います。
 年金は本来、すべての国民が健康で文化的な生活をしていくための保障となるべきものです。国民年金法第一条には、制度の目的として「日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」、このように定めているところです。しかし今、その目的、理念に逆行する事態が進行しています。政府が進める年金改革では、この方向がますますひどくなることに私は大きな危惧を持っています。
 お年寄りは三年前から、わずかな年金の中から介護保険料を支払わなければならないようになりました。ことしからは、物価の下落に伴って〇・九%の給付カットが強行されたところです。こうした中で、国民年金にしか頼れない方々は本当に暮らしを切り詰めています。和歌山県内の二〇〇一年度の老齢基礎年金の平均年金額は六十四万一千円にすぎないのです。
 私の知り合いのあるご夫妻、高齢者ですが、二人で一カ月七万円足らずの年金を受けていらっしゃいます。二間の部屋でおふろのないアパート、家賃は一万七千円だそうです。買い物はできるだけ安売りの時間に行くとか、銭湯に行こうにも料金が高いし遠くまで歩いていかなければならず、とても毎日というわけにもいかない、こういう心の痛むお話であります。
 年金改革については、受給している人だけでなく、今保険料を納めている人たちにも視点を当てなければなりません。全国の国民年金保険料の納付率を年齢別に見てみますと、若い人ほど低い実態があります。二〇〇一年度の納付率は、五十五歳から五十九歳までの人は八五・五%でありますが、年齢が低くなるにつれて下がり、二十歳から二十四歳まででは五四%にすぎません。若年層が、就職できない、アルバイトで暮らしていかなければならず、払いたくても払えないという実態があります。同時に、所得の多い少ないの問題だけでなく、将来老後に不安のない年金を受け取ることができるのかという、制度への信頼性の薄さを納付率はあらわしているんではないでしょうか。
 当面の焦点としては、基礎年金の国庫負担を法律どおり二分の一、いつ引き上げるのか、そしてその財源はどうするのかという問題があります。日本共産党は、むだな公共事業や軍事費の削減などで対応すべきだと考えています。消費税を充てるべきだという声が出ていることは重大です。社会保障の財源確保のため庶民に増税を強いるというのは本末転倒で、やってはならないことだと私は考えます。歳出の改革と同時に、巨額の積立金を活用することや、大企業や高額所得者に応分の負担を求めることなど、歳入の改革も行い、年金の最低保障制度を創設していくことが必要だと考えます。
 以上、年金受給者の暮らしの問題や年金改革の方向についての考え方を述べてまいりましたが、こうした問題に対する知事のご所見をお伺いしたいと思います。
 一つは、国民年金受給者の暮らしの実態をどのように知事は認識していらっしゃるのでしょうか。二つ目は、消費税の増税をしないで年金財政の確立を図っていく、こういう方向の改革を目指すことを知事からもぜひ国へ意見として上げていただきたいと思いますが、いかがなものでしょうか。知事のご答弁をお願いいたします。
 以上で、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 国立病院の賃金職員の雇いどめ問題についてでございますが、来年四月から実施されます国立病院の独立行政法人化においては、賃金職員の対応や保育所のあり方も検討されております。賃金職員の雇用問題については、これまでの労使関係や地元雇用の確保と配慮をされることを望むとともに、保育所についても質の高い医療の提供に配慮されるものと期待をいたしております。
 いずれにいたしましても、この二病院は地域医療に重要な位置を占めていることから、国立病院の独立行政法人化に当たっては地域の医療水準の向上に十分配慮いただくよう従来からも要望してきたところですが、今後とも引き続き要望等行ってまいりたいと考えております。
 次に、年金問題についてのご質問でございます。
 公的年金制度は、国民の老後生活に欠くことのできない重要な柱でございます。しかし、これから高齢者になる人や働き盛りを迎える人など、将来の年金に対する不安と不信感を持っている人も多く、また供給と負担の関係で制度の持続の可能性も問題となってきているところでございます。このため、国において、基礎年金の国庫負担のあり方等をまとめるための検討が現在なされているところでございます。
 私は、年金制度の改革に当たっては、年金の枠だけで行うのではなく、税や財政とあわせ、介護や医療などの社会保障、雇用制度等と一体的に考えるべきで、恒久的に持続可能な制度にするためには安定財源の確保や負担に対する合理性も必要であると考えております。
 議員ご指摘のとおり、年金は生活と密接につながっていることは認識しているところであり、制度改正に当たっては、勤労者、企業の活力低下や新規雇用への影響のみならず、低所得の高齢者等への配慮もなされ、給付水準についても高齢期の生活の基本的な部分を支えるものとする必要があると考えております。
 また、消費税の増税をしないで年金財政の確立を図っていくべき方向の改革を目指すよう国へ意見を上げていってはどうかとのご質問でございますが、先ほども申し上げましたように、今はまさにこの問題については国において議論がなされておりますが、私としては少子高齢化の進行等にも対応でき、現役世代の年金制度に対する不安感、不信感が解消され、だれもが将来を安心できる制度の構築となるよう議論の内容を注視するとともに、その実現を期待するものでございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず、ニューかわなが団地問題についてでございます。
 初めに的確な施設修繕をについてでございますが、ニューかわなが団地は、平成六年から平成九年にかけて合計百七十八戸を建設したものであります。これまでの間、入居者の方から修繕の申し出があったものにつきましては、現場の状況を確認の上、必要な修繕を行っております。
 議員ご指摘の住戸につきましては、過日、現場の確認を行い、入居者の方と協議中であり、その原因に応じた適切な対応を行ってまいります。またバリアフリー化については、入居者の障害の程度に応じた段差解消などの必要な対策を行ってまいります。
 次に今後の住宅対策についてでございますが、今後とも生活者の視点に立って、だれもが安心して暮らすことのできる良好な住環境の整備や居住水準の向上に取り組んでまいります。
 次に特定優良賃貸住宅三号棟の空き家対策についてですが、この三号棟は、中堅所得者等を対象に特定優良賃貸住宅として平成七年九月に十九戸が完成し、入居戸数については、平成九年をピークに現在は六戸となっております。この原因としては、厳しい経済情勢の長期化で所得が伸び悩む中、一定期間、毎年家賃が上昇していくというこの特定優良賃貸住宅特有の家賃制度であること、それから平成十三年四月に家賃を約一〇%引き下げたものの民間住宅と競合していることなどによるものと考えられます。
 また、これまでの公募の方法としては、県広報紙への掲載や県営住宅への入居を希望されている方で所得が基準を超過している方に対して募集案内などを行ってきたところであります。今後は、さまざまな手段を用いて入居者募集のPR強化を図る一方、民間住宅の需給状況などの住宅ニーズを把握するとともに、現行制度の問題点を洗い出し、市場性、公平性を踏まえ、住宅ニーズに沿った対応をして検討してまいります。
 次に新宮市白見の滝近くの不法投棄対策問題ですが、熊野川を適正に管理し、環境保全を図ることは、紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録を推進する上でも大変重要であると認識しております。
 熊野川沿いの白見の滝付近での不法投棄につきましては、本年三月二十八日に原因者に対し、河川区域へ投棄した土石等を除去し原状に回復するよう、河川法第七十五条の規定により監督処分を命じたところであります。これを受け、現在、原因者による原状回復作業が行われているところであり、早急に完了するようさらに厳しく指導してまいります。
 また、当該区域における不法投棄物の内容調査につきましては、原因者による原状回復の作業途中に土石以外のものも確認されたことから、河川への影響等を検討するため投棄物の調査を実施することとしており、その結果を踏まえ、さらなる対応強化の必要性について検討してまいります。
 ダムの濁水対策に水利権短縮の件でございますが、熊野川における発電、水利権の短縮につきましては、近隣府県における状況調査を行うとともに、国、県の水利権担当者の参画した会議の場で議論を重ねるなど、申し入れに向けた検討を進めてきたところですが、引き続き議論を深めてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 ご答弁いただきましたので、再質問をしたいというふうに思います。
 知事、国立南和歌山病院と和歌山病院の位置づけというのは、和歌山県の中では、田辺とそれから御坊地域においては中核病院であるというのをこれできちんと位置づけていますよね。そういうことの中で、やはり県も今まででも、医療水準を引き下げないように、医療内容を充実してほしいという、そういう申し入れとかそういうのはされてきたというふうに思うんですけれども、事ここ、独立医療法人になるということがもう目の前に迫ってきているわけですけれども、これまで法律ができて方向が決まった以後、病院と厚生労働省というのは、労働者の皆さんや地域の皆さんたちと一体どうなるのかという点についてもほとんど話し合いを持たないという姿勢ですね。そこに今、大きな混乱が起こっているんだというふうに思うんです。
 それで、住民の皆さんたちは再三病院にも要請行動をされたり、そして地域の皆さんに呼びかけて、一緒に、病院の存続の中で労働者が解雇されないという──雇いどめというのは結局は解雇ということになってしまうわけですから、失業者をまたふやすということになると思うんです。和歌山県下において五十名もの人たちが採用されないままいくというような状況が起こったならば、やっぱり地域の医療に対してサービスが十分行われないということになりかねないと思うんですね。それで、美浜町の町議会とか田辺市の市議会も、存続と同時に、職員をちゃんと雇用してくださいということで採択をされているんですね。これも厚生労働省にも届いていますし、病院長の方にもそれは届いているというような状況なんですが、しかしいまだに話し合いが、説明がないというような状況が続いているんです。
 それで、十一月の二十一日になって突如として、雇いどめの方向と同時に夜勤のできる看護師さん以外は──これはもういわゆる非常勤職員ですね。賃金職員の場合には、フルタイムで職員の人たちと一緒に働いてその役割を果たしてきたんですけれども、しかし今度は非常勤職員ということになりますと、週三十時間以内の労働になるんですね。そうすると、今までフルタイムで働いていましたから、賃金もそれなりに一定の保障がありました。しかし今度は、週三十時間という労働時間から見れば、これはもう賃金が半減するというのははっきりするわけですね。そういう点で見ても、必要な人たちだと私は思うんですよね。幾ら総定員法で枠外ということであったとしても、必要だからこれだけの人たちを雇わないと病院運営ができない、地域の患者さんたちに医療をまともに提供できないという、そういう中でつくられた賃金職員だと思うんですよ。そういう点から見たら、今度は独立法人になるから、そして経費を削減せなあかんというようなことが優先されて、それで今の事態に至っているわけですから、これはもう必要な人員としてぜひとも採用してもらえるというような状況を今つくるために多くの人たちが協力をしていただいているというような状況だそうです。
 それで、ぜひその地域の──大きな病院というのはもう知れていますよね。御坊なんかだったら病院と言えるのは四つしかないわけですよね、国立病院含めて。救急とかそういったものにもう全部つながって貢献をされているわけですよね。そういう立場からもぜひとも必要な人員ということで賃金職員を新たに職員として雇うてもらえるような、そういう条件をぜひ県としても──ここに書いてあるものを達成しようと思えば、それはどうしても必要だと私は思うんです。ぜひ知事、再考をお願いして、そして病院当局と厚生労働省の方に声を上げていただきたいというふうに思うんです。そういう点で、きょうは病院の職員の看護師さんたちも見えていらっしゃいますので、知事、もう一度心あるものをぜひともご答弁いただけたらありがたいというふうに思います。
 それから年金問題については、消費税というのは所得の低い人ほど負担が重いというのはもうだれでもわかっていることですので、そういう基礎年金の部分でそこに財源を充てるというような話が出てきているわけですけれども、これはやっぱり低所得者の皆さんたちにとっては耐えられない問題だというふうに思うんです。
 知事も言われたように、年金制度の枠の中で論じると、保険料を上げるか給付を下げるかということになると思うんですよね。そうではなくて、もっと広い範囲の問題で論議をしていくということと、雇用の創出の問題も含めて、これはしっかりと検討していただくと。
 だから、今言わなければ、知事、言えないんですよね。国会で論議をしている最中ですから、その推移を見守りたいという気持ちはわかりますけれども、でも実際には、今言わなければ、時期を逃したら伝わらないということになると思うんです。そういう点でも、これは答弁を求めませんけれども、ぜひそういう立場を考えていただきたいというふうに思います。
 それからニューかわなが団地の問題ですが、これはやっぱり普通じゃないと私は思ったんです。というのは、多分この三号棟が建設された直後だったと思うんですけれども、入居者の方からやっぱり同じような問題が訴えられたんですね。だから、これがどういう原因でこういう事態が起こっているのかというのをそのときにきっちりとやれば、今の事態は解決されていたと思うんですよね。やっても完全に直らないわけでしょう、今の事態でもね。だから、そういう点で見れば、同じ問題が起こったということは、最初に起こった時点で原因を究明するという立場をちゃんととらなかったんじゃないかというふうに私は疑問を持つんです。
 こういうことがあって、恐らく今訴えられた方だけではないと思うんです。まだ恐らく、ニューかわながの住宅、五つの棟ですけれども、同じようなことが起こっているんではないかというふうに思いますので、ぜひこの際、全体的に調査をしていただけないだろうかと。そして、こういう不安な気持ちで住み続けるというのはもってのほかだと思いますので、県土整備部長、もう一回、ちょっとそこらを答弁してください。
 それから白見の滝ですけれども、これは捨てた人は本当に姿勢が悪いというふうに私は思うんですね。行政も一生懸命どうしたらいいだろうかといっぱい苦労しながら、時間かけてやっと対応しているにもかかわらず、それにこたえないという。だから私は、ボーリング調査とかそういったものというのはもっと早くやるべきだったんだろうと思うんですわ。今はもう遅きに失したというような感じがしてるわけですけどね。もっともっとこういう点では早い対応が必要だと思うんです。川が汚されてしまうような状況もあったならば大変な問題だと思いますし、ああいうところに変なものを捨てるというのは、これは許せないことだと思いますからね。そういう点では、苦労しているけれども、きっちりと来年の七月ぐらいまでは、本当にやろうと思えばできる問題だと思うんです。業者への厳しい指導とあわせて県の厳しい姿勢というものをさらに強めていただきたいというふうに思います。これは、答弁は求めません。
 以上です。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 国立病院の賃金職員の方の問題、本当に私は大変な問題だというふうに思っておりますけれども、一方で、この国立病院の運営とそれから独立行政法人化の問題についてはもうずっと長く検討されてきたことで、その中で国立病院がもう今のままでは成り立ち行かないということの中から、もう全国的に、これは和歌山だけの問題じゃなくて検討されてきた問題であるわけです。私といたしましては、その過程で今一定の方向が出てきて、その方向に向かって病院の方は努力してるんだろうというふうに思っておりますけれども、ただその中で、過度に独立行政法人化を図る中で地域の医療が損なわれるというふうなことになると、これは健康と安全を守るということから大いに問題でございますので、そのことについてそういうことにならないように物を申していくという必要はもちろんあります。
 それからもう一つは、賃金職員の方の雇用。これは形態を変えてということを今言っているわけでございまして、ある程度はそういうふうないろんなことを変えていかないといかんという面はありますけれども、そのことが地域の雇用に大きに悪影響を及ぼすということになれば、これもあわせてその観点からそういうことにならないようにということの申し入れを行う必要が私はあるというふうに思っております。
 いずれにせよ、これはまあはっきり言って非常に難しい問題ですし、簡単に解決する話では実はないということも私はもう、こういう担当の課長もしてたことがありますのでよく知っているんですけども、実情を調べて対応したいというふうに思います。
 それからもう一つ、年金の問題につきましては、これはもう大変難しい問題です。そして、先ほどご質問の中にありましたように大変苦しいお年寄りがおられるのも、これは僕は事実だろうと思いますけども、一方では、地方の方へ行くと、年金の収入がたくさん入っていて、入ってるお金のうちの一割程度しかお年寄りが使われてないというふうな実態もあるということも聞いているわけです。やっぱりこういうふうなことについてはきめ細かに対応していかないと、オール・オア・ナッシングで今の状況を全部守っていくとかというふうな形のことはなかなか難しいんじゃないかと。そういう過程の中で、今、本当にみんなが知恵を絞って将来設計を考えているということなんで、そういうことでこの行く末を見ていきたいというふうなことを言っておりますので。必ずしも関心がなくて見てないということじゃなくて、いろんなことを考えていく上で、大変な状況の中で見守っているということですので、ご理解いただきたいと思います。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 過去の問題につきましても、少し調べてみた上で対応を考えてみたいと思います。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 知事から少し積極的なご意見をいただきましたので。本当に国立病院の問題というのは大変な問題だというふうに思いますと同時に、職員の皆さんたちがこれまで働いてきた、そこにやっぱりこたえてほしいということなんですよね。必要な人だからこそ採用されてきたと。それをむざむざと三月末で、もうよろしいと、週三十時間ということであればよろしいよというような、そんな冷たいことってないと思うんですよ。厚生労働省みずからが、よそには雇用拡大て言いながら自分ところの職員についてはいとも簡単に首を切ると、こういうことがあってはならんというふうに思います。知事、ぜひご意見を十分検討していただいて、職場の人たちを励ます意味からも、地域の人たちを励ます意味からも、安心を与える上からも、ぜひお力をかしていただきたいというふうに思います。
 県土整備部長、しっかりやってください。
 以上。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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