平成15年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(江上柳助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十六番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。
 ただいま、議長のお許しをいただきました。通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
 最初に、コスモパーク加太用地の利活用についてお尋ねいたします。
 コスモパーク加太にかかわる県土地開発公社の金融機関からの借り入れ問題について、十一月二十五日、和歌山地方裁判所から調停に代わる決定が出されました。これを受けて県当局は、検討の結果、妥当なものと考え、本定例会に二百六十五億円の債務保証や公社保有地の借り上げなどの関連する議案を提案されております。議案には、防災用地やカゴメの工場用地に使うためのコスモパーク加太の土地整備費も含まれております。この議案が成立いたしますと、コスモパーク加太用地の利活用が現実のものとなるわけであります。
 県議会のコスモパーク加太対策検討委員会の報告では、「県は、現下の厳しい経済情勢を踏まえ、長期的視点に立って、コスモパーク加太を構造改革特別区域計画に基づく安全・安心な食の起業拠点及び緑地等の都市との交流拠点など、秩序ある整備を行うべきである。 整備にあたっては、コスモパーク加太の未利用の現状に鑑み、相当思い切ったインセンティブを導入するとともに、県主導のもと公民連携して、今後の事業を推進すべきであると考える」とし、具体策として、「公社保有土地を貸し付ける場合、県が関与することにより、民間企業ヘは無償も視野に入れて貸付け」としております。
 コスモパーク加太は、約二百六十ヘクタールという広大な土地であります。コスモパーク加太用地については、今のところ防災用地とトマト工場用地になる予定であります。そこで、コスモパーク加太の土地利用計画を見直すとともに、今後とも用地の利活用を積極的に進めていかなければならないと考えます。
 一方、本県地域経済の安定、発展につながる企業誘致については、一定期間、用地の無償提供も視野に入れた取り組みを行う必要があると考えます。知事のご見解を承りたいと思います。
 次に、本年二月二十一日、木村知事、大橋和歌山市長あてに、雇用の確保と地域振興のため、カゴメが計画しておりますトマト生産工場の誘致を求める一万一千百十一名の署名を提出し、陳情させていただきました。コスモパーク加太にカゴメが進出を予定しておりますトマト生産工場については、新ふるさと創り特区として国の認定を受けております。地元地域住民からは、雇用の確保や地域の活性化のため、ぜひカゴメのトマト生産工場を誘致していただきたい、進捗状況はどのようになっているのかとの問い合わせが私のところに多く寄せられております。
 そこで、カゴメのトマト工場進出協定締結の時期と内容についてお尋ねいたします。
 あわせて、カゴメのトマト工場進出は、県内トマト生産農家を圧迫するのではないかとの一部の声がありますが、本県トマト生産農家との共生をどのように図るお考えか、お聞かせください。
 次に、本定例会の提出議案にはカゴメの工場用地に使うためのコスモパーク加太の土地整備費が含まれております。また、上下水道などのインフラ整備も進めていかなければなりません。これらの費用対効果を考えるとき、その効果として雇用の確保を初めとする地域の振興や県経済の発展につながるものでなければならないと思うわけであります。コスモパーク加太へのカゴメのトマト工場進出は、雇用の確保を初めとする地域振興、県経済の発展にどのように寄与するのか、ご所見をお伺いいたします。
 次に、緑の雇用事業と遊休農地の活用についてお尋ねいたします。
 まず、緑の雇用事業の全国展開への取り組みについてお尋ねいたします。
 県では、知事が提唱されました緑の雇用事業を積極的に推進しておられます。十一月二十日、デンマークから環境保護親善大使が木村知事を訪問し、和歌山で進めている緑の雇用事業の取り組みが日本全国でも進むよう頑張ってほしいと要請されたそうであります。これからの緑の雇用事業の本格的な全国での取り組みに大きな期待が寄せられているところでございます。
 十一月九日、第四十三回衆議院議員選挙が行われました。今回の選挙は、政権を争う選挙でもございました。選挙の結果、私ども公明党は、政治の安定と改革を進めるため、引き続き自民党とともに政権の一翼を担うことになりました。また、今回の選挙はマニフェスト選挙とも言われ、年金改革や経済対策などが各政党のマニフェストに盛り込まれておりました。私ども公明党のマニフェストの中で、都市と農山村漁村の交流という項目で、「整備の遅れている森林の解消を早急に進めるとともに、複層林化、針・広混林化等を推進します。また、緑の雇用を四年間で三万人増員します」と、具体的に数値目標を明示いたしました。知事は、この点、高く評価をしていただいております。県では、平成十六年度予算で緑の雇用担い手育成対策の創設を国へ要望されております。
 そこで、緑の雇用事業の現状と全国展開へ向けての今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 次に、遊休農地の活用についてお尋ねいたします。
 県では、遊休農地を解消し、再生産を始めた者に奨励金を交付する遊休農地リフレッシュ再活用促進事業を平成十五年度から始めております。
 遊休農地とは、農用地の所有者が耕作する意思がなく、事業実施から過去一年以上、農作物が栽培されておらず、雑草木の繁茂や障害物等のため、周辺農地の生産活動に著しく支障を及ぼすおそれのある状態の農地に、一反当たり一年目十万円、二年目五万円、三年目二万円の補助金を交付するものであります。大変好評でございまして、農業振興地域農用地、区域内農用地と限定されているわけですけれども、実は新宮の方から、この農振地域の枠を外してもらえないだろうかという相談もいただいております。
 今、緑の雇用事業というものは、知事の提唱と関係者のご尽力によりまして国家的なプロジェクトになりつつあります。緑の雇用でIターン者の定住を考えたとき、遊休農地をより活用しやすい方策を検討すべきであると考えます。ご所見を伺いたいと思います。
 次に、県職員のノーマイカーデー運動と南海貴志川線問題についてお尋ねいたします。
 本日、十二月十日水曜日はノーマイカーデーでありました。私も、南海加太線で東松江駅から和歌山市駅まで電車で、市駅から歩いて県庁まで出てまいりました。所要時間は約四十五分でありました。日ごろ車に頼りがちの生活から、歩いて公共交通機関を利用することは、健康的で爽快でありました。
 県では、将来にわたって公共交通機関を維持し、道路における渋滞の緩和及び地球規模での温暖化防止を図るため、県職員が率先して自動車等による通勤を見直し、ノーマイカーデー運動に取り組むことにしております。そして、効果の検証を行い、自動車から公共交通機関への利用転換に資する方策を探るとともに、教育委員会や警察及び民間企業等への参加を呼びかけることになっております。
 本日実施されました県職員のノーマイカーデーの実施結果と今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 あわせて、ノーマイカーデーを比較的交通が緩和されている水曜日ではなく──きょうも大変車はすいておりました。水曜日というのは、どちらかというと車がすいている曜日でもございます。交通が渋滞する日と申しますと、月曜日とか五日、十日、いわゆる五・十日と言われるところでありますけれども、そういった日にノーマイカーデーを実施されますと大変喜ばれるのではないかと思うんですけれども、いかがでございましょう。
 次に、低公害車の導入についてお尋ねいたします。
 このテーマについては、九月定例会の予算委員会でも質問いたしました。少し角度を変えてお尋ねいたします。
 京都議定書の発効を控えて、温暖化ガスの削減が各方面で進んでおります。全体の二〇%を超える交通の分野では、燃費効率の改善やハイブリッド車の普及など、車の排ガスを減らす努力は目覚ましいものがあります。本県においても、「環境にやさしい自動車」導入要綱を策定し、平成十三年四月一日から施行されております。さらに、平成十五年度和歌山県グリーン購入推進方針を策定して、ハイブリッド自動車、電気自動車、天然ガス自動車及びメタノール車などの低公害車の購入を推進しているわけであります。
 和歌山市では、公用車約六百台のうち、百一台が天然ガス車、四台がハイブリッド車となっております。この天然ガス車の導入台数は、近畿の自治体では、大阪市が三百七十八台、大阪府が百十七台、次いで和歌山市は百一台の第三位であります。本県は、観光県でもあります。観光客を招致するためには、環境に配慮した県土づくりを施策の柱に据えなければならないと思うわけであります。本県における低公害車の導入実績と民間への啓発も含めた今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 あわせて、公共交通機関の衰退により、高齢者や子供の移動手段が失われつつある現状にかんがみ、将来にわたって公共交通機関を維持していく必要があります。一方で、排気ガスによる大気汚染、地球温暖化防止にも努めていかなければならないと思うわけであります。
 そこで、公共交通機関であります路線バスに低公害車の天然ガス車(CNG)、これは都市ガスを燃料にするわけでありますけれども、現在和歌山市内に一カ所給油所がありますが、間もなく太田の方にも一カ所、二カ所になる予定になっておりますけれども、この天然ガスバスの導入を推進したらどうかと考えます。ご所見を承りたいと思います。
 ちなみに、大阪市交通局の公共交通機関の路線バスに天然ガス車が百三十五台導入されております。それで、平成十五年度からはこういった天然ガスのバスに対しまして補助金を交付することになってございます。具体的には、普通のディーゼルバスを一〇〇〇といたしますと、天然ガスのバスは改造費に八〇〇かかりますので、一八〇〇になります。この改造費用の八〇〇の半分、四〇〇を国土交通省からの補助で、残りの半分四〇〇を県、市町村、バス協会などで補助することになりまして、バス事業者の負担なしでディーゼル車バスと同じ一〇〇〇で購入できることになるわけであります。
 次に、南海貴志川線問題についてお尋ねいたします。
 この問題につきましては、きのうも山田議員の方からも質問がございましたが、少し角度を変えてお尋ねしたいと思います。
 南海電気鉄道株式会社から、南海貴志川線及び南海和歌山港線の経営について、近年利用者の減少が続き非常に厳しい状況にあるとの報告を受けまして、地元自治体として具体的対応策を検討、実施する南海貴志川線対策協議会を和歌山市、貴志川町、和歌山県で十二月六日に設立されました。
 私は十一月二十九日土曜日、ちょうど三十六年ぶりに貴志川線に乗ってみました。片道三百六十円の切符を買いまして、午後三時四十五分和歌山発の貴志行きの貴志川線に乗って運行状況を見てまいりました。貴志川までの所要時間は約三十分であります。途中、日前宮、伊太祁曽駅で列車がすれ違いました。乗客は、和歌山駅から約四十名、途中、一人、二人、三人、四人、五人とおりていかれました。乗ってくる客はほとんどございませんでした。若い女性二人の会話が聞こえてまいりまして、「貴志川線が廃線になったらどうしようかしら」というようなことで、「私、お父さんに送ってもらう」というような声が聞こえてきまして、送ってもらえる人はいいけれども、送ってもらえない人は大変だなあと思ったんですが。乗務員は一人のワンマンカー。運賃箱が二両編成の最前列に置かれております。駅はほとんどが無人駅。従業員は、ほとんど契約社員と言われております。経営の合理化も進められております。それにもかかわらず、近年、十億、八億、七億、六億と毎年度赤字が累積しておりまして、この十年間で累積赤字が七十億円となっております。昨年度が五億円というふうに出されております。終着駅の貴志駅には三十分後の午後四時十五分に着いたわけでありますが、おりる人は私を含めて十四名。貴志駅で一日の乗降客数を駅員さんに聞いたんですが、一日二千人ということでした。往復になりますと千人の方が利用しているということになると思うんですが。今度は、貴志駅から和歌山駅へ向かってまいりました。何と、貴志駅での乗客は私一人でございました。途中の各駅で一人、二人、三人、四人、五人と乗客が乗ってまいりまして、おりる客はほとんどないんです。和歌山駅に着いたのが三十分後の四時五十分でありましたが、二十八名の乗客がおりました。私は、そこでまた駅員から説明をお聞きしたんですが、和歌山駅での乗降客は一日平均五千七百六十一人、五千七百人の方が和歌山駅で利用されている、車両は二両編成で六台あるとのことでありました。駅員からも、貴志川線が廃線になったら大変だから、ならないようにしてほしいというような要望を受けたわけでございます。南海電鉄は、貴志川線について廃線も含めて検討しているそうであります。
 貴志川線は、老若男女、学生・生徒を問わず利用されており、生活に大変密着した、住民にとって重要な公共交通機関であります。廃線となれば、交通弱者と言われる高齢者や子供の交通手段が奪われるだけではなくて、通勤や通学に大きな影響を及ぼします。存続させていくためには、県で実施されておりますノーマイカーデーを民間にも積極的に推進するとともに、和歌山市、貴志川町の地元として貴志川線の利用促進を図るべきであると考えます。特に、民間に利用を呼びかける以上、県・市・町職員、教職員が率先して貴志川線を利用すべきであると考えます。ご見解を承りたいと思います。
 もし廃線になった場合、通学者への影響は甚大であります。通勤者や通学者の利用状況はどのように把握されておられるのか、貴志川線を存続させるために、県教育委員会としてどのように対応していくお考えか、教育長にお尋ねいたします。
 次に、東南海・南海地震対策についてお尋ねいたします。
 最初に、地震、津波対策についてお尋ねいたします。
 政府の地震調査委員会は、平成十三年九月、今後三十年以内の発生確率は、東南海地震が五〇%、南海地震が四〇%との予測を発表いたしました。本県においては、マグニチュード八の南海道地震から五十七年目を迎えようとしております。前回の南海道地震は、昭和二十一年十二月二十一日に発生し、マグニチュード八の規模で西日本各地に津波の被害をもたらし、千三百三十名のとうとい命が奪われました。本県での死者、行方不明者は二百六十九名でございました。東大地震研究所の島崎邦彦教授は、一九四六年の南海地震は規模が小さかったため、次は二〇一〇年から二〇二〇年ごろと早く、大規模と予測しております。また紀の川沿いには、世界的にも大規模な活断層、中央構造線が走っております。いつ起こるかわからない地震や災害、これらの対策を初めとする危機管理に終わりはなく、さらなる対策の充実強化に努めていかなければなりません。地震や災害の危機管理については、計画をつくり、体制を整備して何回も何回も訓練してなれ親しんでおくことが重要であることは申すまでもありません。
 ことし七月、東南海・南海地震対策特別措置法が施行されました。これを受け、政府の中央防災会議の専門調査会は、九月十七日、東海以西の太平洋沖を震源とする東南海・南海地震への備えを重点的に進めるべき防災対策推進地域として、二十一都府県の四百九十七市町村を指定する案を発表いたしました。今月中にも対象となります東南海・南海地震対策推進地域が決定され、避難地、避難路等の整備や津波にかかわる防災対策が実施されることになっております。
 本県においては、五十市町村のうち四十八市町村を指定する案が発表されました。なぜ、高野町、花園村が防災対策推進地域の指定の案から外されているのか、追加指定についてどのような意見を述べ、要望されているのか、お尋ねいたします。
 政府の地震調査委員会が平成十三年九月に発表した、国土交通省は海岸のある全国の自治体に津波避難実施訓練の状況を聞いたところ、二六%の自治体しか避難訓練を実施していないことがわかりました。本県においては実施率一〇〇%、昨年十一月、県の呼びかけで沿岸二十一市町が津波訓練を実施いたしております。東南海・南海地震では、津波被害が広範囲にわたると予想されております。そこで、いつ起きるかわからない地震・津波に備えて、夜間訓練も含む避難訓練を何回も何回も行うべきだと考えます。
 また、今年の十一月二十六日、東京で行われた東南海・南海地震に備える沿岸四県高速道路整備促進大会で、田辺市新庄公民館長の柏木多美男さんは、昭和二十一年に起きた南海地震でのみずからの体験を通して意見発表されました。その中で、避難するときには夜道は光だけが頼りだった、避難路に太陽光発電のソーラー式街路灯の必要性を訴えておられました。私もそうだなあと思ったわけでございますが、ぜひ避難路にソーラー式街路灯の設置を図るべきだと考えます。ご所見を承りたいと思います。
 次に、小・中・高等学校、幼稚園などの耐震診断の実施状況についてお尋ねいたします。
 文部科学省が定めた学校施設耐震化推進指針の学校施設の耐震化の必要性によりますと、学校施設は多くの児童生徒等が一日の大半を過ごす学習、生活等の場であることから、もし地震災害が起きたときには一日も早く教育活動を開始しなければいけない、一方では、地域住民の避難場所、最も身近な公共施設であるということでございます。そういった意味で、学校施設の整備というか、耐震性を持たすということは大変重要であると考えるものでございます。
 学校施設耐震化推進指針の、既存学校施設の耐震化推進にかかわる基本方針では、地方公共団体の設置者は、昭和五十六年以前に建築された学校施設について、耐震化優先度調査、耐震診断、改築、耐震補強、その他の耐震化にかかわる施策を順次推進していく必要がある、このためには、耐震化に関する個別事業の緊急度や年次計画等を内容とした耐震化推進計画を早急に策定するなど、計画的に学校施設の耐震化を推進していくことが重要であるとしております。おおむね、この三年間で耐震診断を終了することとしております。本県における小・中・高等学校、幼稚園における耐震診断の実施状況と今後の取り組みはどのようになるのか、また全国的に見てどうか、お尋ねをいたします。
 次に、学校施設の耐震化推進計画を策定するための検討委員会の設置についてお尋ねいたします。
 本県では、和歌山県地震防災対策アクションプログラムに基づきまして、消防防災課、都市政策課、管財課、公共建築課、教育委員会によるワーキンググループを編成し、耐震化への検討を行い、耐震化計画策定の準備を進められております。私は、学校施設の耐震化の重要性にかんがみ、県は、市町村において学校施設の耐震化推進計画を策定するための学校施設の耐震化について、幅広く各部局が審議をして、推進していくための検討委員会の設置を各市町村に指導すべきであると考えるわけでございます。ご見解を承りたいと思います。
 最後でございますが、捜索救助犬の訓練施設について要望させていただきます。
 先月、朝日新聞に、「わかやま探検隊 災害時の活躍に期待 捜索救助犬」の記事がありました。捜索救助犬とは、大地震や災害などで生き埋めになったり、山で遭難したりする人を捜し出す警察犬の一種であります。八年前の阪神・淡路大震災では、この捜索救助犬が被災者の救助に活躍をいたしました。本県で認定されております捜索救助犬は、現在三頭であります。県警の初代の捜索救助犬を育てた人は、和歌山西署に勤務されております宮本行夫鑑識係長であります。捜索救助犬は、ボランティアの指導手らが訓練した嘱託犬で、災害時に県警の依頼を受けまして現場に派遣されることになっております。
 現在、警視庁と北海道警察本部、こちらは直轄で捜索救助犬を訓練、育成しております。そして、富山県と和歌山県が嘱託犬ということになっております。そういうわけで、捜索救助犬の訓練には広大な土地、また大規模な施設が必要であるようでございます。倒壊現場というものを想定した古家とかコンクリートブロックとか、そういうのも必要だというふうにお聞きしております。大地震や大規模災害に備えて、捜索救助犬の訓練施設を確保するとともに、コスモパーク加太の防災用地の一部を捜索救助犬の訓練施設として整備し、ここで近畿一円──近畿で和歌山だけですから、また全国の捜索救助犬を初めとする犯人捜査のための警察犬の訓練拠点として活用したらどうかと私は考えるものでございます。この点は要望とさせていただきまして、私の第一回目の質問とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず最初、コスモパーク加太の土地利用計画の見直しについてのご質問でございますけれども、私は、今のような経済情勢、これからも続いていくと思いますけれども、その中では、用地の利用ということも損して得とれというふうな感覚が必要だと思います。昔この土地は幾らしたから、その値段で売らなかったらと言ったら絶対買い手がないので、そういう意味では、値段とか賃借とかいろんな形でやっていく方法もありますし、それからまたその土地利用の計画についても柔軟に、その時々の一番の需要に合わせて見直していくということが必要だろうと思います。
 そういう中でカゴメのものにつきましては、江上議員の方からも一万人を超える方々からの要望書というものを出していただいて、今鋭意対応しているわけでございますけれども、それだけでなくて、いろんな形で前向きに考えていきたいと思います。
 今、最後に要望にありました捜索救助犬なんかについても、こういうふうな公的な犬もありますし、それから私的な犬を遊ばせたりするところが日本じゅうなくて、ホテルつきでやったらお金持ちが幾らでも来るだろうというようなお話も実はあるんです。だから、いろんなことに柔軟にアンテナを高くして対応していけば、こういう土地の活用ということも図られると思いますので、またいろいろいいご意見があったらお寄せいただきたいと、このように思っております。
 次に、緑の雇用の全国展開についてのご質問でございます。
 おかげさまで、議員各位の大変なご理解があってこの施策、いつの間にか全国的な施策になりまして、ある出版社の本では、「日本の論点」という一つの項目にまで取り上げられるところに来ております。きのうも、国会の方でも、国会議員の会で決議をして、来年度の当初予算でも大きな額を確保できるようにという活動をしていただいているわけですし、何よりも先般の総選挙で公明党のマニフェスト、この中に「緑の雇用」というはっきりした言葉で三万人を確保するということで入れていただいているというふうなこともありまして、こういうふうなことが全国展開にとって大変大きな力になっていると私は思っております。
 ただ、この緑の雇用も、ただ単に都市でリストラされた人なんかを中心に中山間へ入ってもらうというだけではなくて、もっと幅広く、山だけじゃなくて、農業もそうです、それから海もそうです。こういうものすべてにこういうふうなことを広げていくという発想、それからまた雇用ということだけでなくて環境保全とか大きな面で、例えば企業の森なんていうのもやっておりますけれども、こういうふうな形で広がりの大きいものにしていけば一つの大きな国民運動にもなってくるものだと思っておりますので、皆さん方のご理解とご協力をいただけらありがたいと思っております。
 それから三番目に、東南海・南海地震の対策推進地域に五十のうち、高野町と花園村だけが落ちているというふうな案が来まして、今、私どももこの二つとも入れてくれということで申し入れを行っているところでございます。これは、震度六弱以上が予想されるということで、高野町と花園村については震度五だったというようなことで機械的に入っていないということのようでございますけれども、当然のことながら、防災対策というのは一体的にやっていくわけです。今後の推移はわかりませんけれども、今、市町村合併なんかでもいろいろ一緒に活動しようというふうな機運も出てきているわけでございますし、いろんなことを考えて、ここの二つだけが抜けているというのは適切ではない。特にまた高野山なんていったら、国宝とかいろんなものがあるわけですから、より以上に大事にしていかないといかんという面もありますので、この点については、今申し入れているわけですけれども、強く働きかけていきたいと、このように思っています。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 初めに、トマト生産工場進出協定締結の時期と内容についてでございます。
 現在、県、和歌山市、カゴメ株式会社の間で立地に伴う具体的な詰めの協議を行っているところでございまして、今後、地元雇用、建設計画等々を盛り込んだ進出協定が年度内に締結できるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、トマト生産農家との共生についてでございます。
 先日も、カゴメ株式会社との間で、農林水産部等を交え、コスモパーク加太へのトマト生産工場の進出とトマト生産農家との連携に向けた話し合いの場を持ち、他県でのカゴメ株式会社とトマト生産農家及び生産者団体等との連携実績、需要拡大への取り組み、流通方法等々について意見交換を行ったところでございまして、カゴメ株式会社自身も本県トマト生産農家との連携を希望していることから、引き続き生産者団体等関係者と連携方策についての協議を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、トマト工場進出と地域振興についてでございます。
 カゴメ株式会社の進出は、コスモパーク加太の利活用に大きな弾みとなるとともに、大変厳しい雇用情勢の中にあって約三百人の雇用が予定され、施設の建設、企業運営に伴う地元の資材調達などの製造関係費等で約二十年間で約五百八十三億円に上る経済波及効果が見込まれますので、地域の振興や経済の発展に大きく寄与するものと考えてございます。
 次に、ノーマイカーデーの実施結果と今後の取り組みでございます。
 本日のノーマイカーデー運動の実施結果についてでございますが、九時三十分時点での集計で、通常、自動車や単車で通勤する職員のうち、約六五%が電車やバス等で通勤したとの結果が出ております。前回の参加率と全く同じ結果となっております。
 また、今後の取り組みにつきましては、一人でも多くの方に自動車等から公共交通機関へ利用転換してもらえるよう、民間企業等へも運動の場を広げていきたいと考えております。
 なお、実施日につきましては、今回のノーマイカーデー運動は、まず県職員からやってみようということで、職員が最も参加しやすいノー残業デーとあわせて実施することにより、運動の効果を高めることをねらったものでございます。今後、運動の輪を広げるに当たっては、本運動に参加しやすくするとともに、自動車通勤を分散することによる渋滞解消の効果を上げるために、各団体が実施日を自由に設定できるようにするなど、さまざまな知恵を出して取り組んでいきたいと考えております。
 次に、低公害車の導入と今後の取り組みについてでございます。
 路線バスへの天然ガス車の導入でございますが、現在、バス事業者が新規にバスを購入する際には、交通バリアフリー法により低床バス等のいわゆる人に優しいバスの導入が義務づけられておりますが、本県におきましても、国とともに事業者に対して支援を行い、順次、車両のバリアフリー化が進んでおります。
 一方、環境に優しいバスとしての天然ガス車等の低公害バスの導入につきましては、自動車NOX ・PM法の対策地域である三大都市圏を中心に進められておりますが、本県におきましては導入に至っておりません。議員ご指摘のとおり、今年度から路線バス事業者等の低公害車導入に係る国庫補助制度の適用地域が全国に展開されておりますが、利用者の落ち込みにより厳しい経営状況にある県内のバス事業者にあっては、低公害車としての維持経費、天然ガスの供給体制など、導入に向けて解決すべき多くの課題がございます。しかしながら、低公害バスは、環境問題の先導的な取り組みの中でも極めて効果的な対策と考えておりまして、バス事業者を初め庁内関係部局と連携しながら、導入について検討してまいりたいと考えております。
 次に、南海貴志川線の利用促進についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、同線を維持するためには、年々減少する貴志川線利用者に歯どめをかけ、増客を図ることが第一の方策と考えてございます。
 先日設置されました南海貴志川線対策協議会におきましても、同線の利用促進が大きな柱になってございますが、具体的には、貴志川線沿線住民の通勤手段や、沿線に点在する高校等への通学手段を鉄道利用に転換するための方策やノーマイカーデー等の実施、貴志川線とバス路線との連携、さらには沿線以外からの同線利用者確保のため、集客イベント等の各種事業の実施が考えられるところです。
 なお、議員のご質問にもありましたように、県職員等のノーマイカーデーの取り組みを民間事業所に拡大することも一つの方策と考えますし、この中で同線の沿線に居住する県・市・町・教職員等が地域の住民の一人として積極的に同線を利用すべく取り組むことは大変重要だと考えます。今後、地域住民を中心とした熱意と行動が貴志川線を維持するための大きな力になるものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 遊休農地の活用についてお答えいたします。
 現在県では、遊休状態を解消し、農地の再活用を図るため、遊休農地リフレッシュ再活用促進事業を実施しております。この事業では、事業効果を確実なものとする観点から、奨励金交付が終了した後も、再び遊休化させず、営農を継続していただくために、県や市町村の補助金を受けた農地が宅地等への転用によって安易に農地性を失うことのない地域として、農業振興地域内の農用地区域に限定して実施してございます。
 なお、現在は事業対象となっていない農地についても、市町村との協議を経て農用地区域に編入すれば事業実施は可能でございますので、地域の実情に応じた事業運用を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に緑の雇用等のIターン者に対する遊休農地の活用状況でございますが、本年度の遊休農地リフレッシュ再活用促進事業では、奨励金の交付対象者三十七名のうち四名のIターン者の方にご活用いただいております。また、本事業は県単独事業として実施しており、国の支援を要請しているところでございますが、今後とも各種関連事業を効率的に活用し、Iターン者などの意向を踏まえつつ、より一層遊休農地の活用が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 低公害車の導入と今後の取り組みについてでございますが、県のグリーン購入推進方針により、できるだけ環境に負荷の少ない公用車の購入に努めているところでございます。
 平成十四年度実績につきましては、公用車七十七台を購入しましたが、うち二台がハイブリッド自動車、六十九台が低燃費かつ低排出ガス認定車で、導入率九二%となっております。また、すべての公用車千七百十五台中、低公害車はハイブリッド自動車十台を含めて合計百九十一台となっております。
 県といたしましては、低公害車の導入は、地球温暖化防止、大気汚染防止の観点から大変重要な施策と考えており、今後ともハイブリッド車、天然ガス車等、より効率のよい低公害車の導入の拡大に向け取り組んでまいります。
 なお、天然ガス車につきましては、本年度中の導入に向け、鋭意努力しているところでございます。また、民間事業者や県民への啓発につきましても、県が実施する環境に関するフォーラムやシンポジウムなど、あらゆる機会を通じ広く働きかけるとともに、「県民の友」を初めマスメディアを活用して積極的に進めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 地震防災対策についてお答えを申し上げます。
 まず津波避難訓練につきましては、県の呼びかけによりまして、昨年の十一月から県下沿岸二十一市町で一斉に行われております。ことしも、九月二十八日の和歌山県防災総合訓練と同日に実施しておりまして、県下で一万人を超える参加者を数え、各市町独自の訓練メニューによりまして積極的な取り組みが図られているところでございます。
 訓練は、議員のご指摘のように何度も繰り返すことが必要でありまして、またあらゆる事態に対応できるよう、さまざまな状況設定のもと行っていく必要があると考えております。このため、来年度以降実施する津波避難訓練につきまして、議員ご提案の夜間訓練も有力な実施メニューの一つと考えられますので、今後関係市町との訓練準備会議などを通じて導入を呼びかけてまいりたいと考えております。
 次に避難路へのソーラー式街路灯設置の件でございますが、ことしの一月に県が作成し関係市町に示した津波避難計画策定指針におきましても、避難路への夜間照明設置についてその設置が望ましい旨を記載しております。照明設置につきましては、基本的には関係市町の役割でございまして、今後地域ごとの津波避難計画策定を推進していく中で、ソーラー式も含め照明装置の設置についてその必要性を周知してまいりたいと考えております。
 次に本県の私立の小・中・高等学校及び幼稚園における耐震診断の実施状況についてでございますが、昭和五十六年以前に建築された対象となる校舎など、六十棟中六棟が耐震診断を実施しておりまして、実施率は現在一〇%でございます。昨年十二月の調査における八・三%に比べ、徐々にではありますが耐震診断が進んでおりますが、昨年の全国の実施率二一・七%を下回っております。
 なお、昭和五十七年以降に建築された校舎等はすべて耐震性があるものとした推定耐震化率におきましては、全棟数百十五棟中七十七棟が耐震性があると推計されまして、耐震化率は六七・〇%となりまして、昨年の全国の六七・八%と同程度となっております。
 県といたしましては、児童生徒等の安全確保の観点から、私立学校の設置者である学校法人に対して、積極的に耐震診断及び必要な措置を講じるよう引き続き要請してまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) まず、南海貴志川線問題についてお答えいたします。
 現在、沿線及び和歌山市内の学校等への通学に利用している学生・生徒は、一日当たり約八百人と推定されます。これが廃線ということになりますと、通学はもちろんのこと、幅広い学校選択や特色ある学校づくりの推進などに大きな影響が生じるものと危惧しております。こうしたことから、関係の深い学校に対して、十二月八日付で、教職員やPTAが率先して利用するとともに、存続に向け地域等と連携して取り組むよう呼びかけを行ったところでございます。今後、教育委員会として、関係部局や南海貴志川線対策協議会と協力しながら、積極的な働きかけを行ってまいります。
 次に学校施設の耐震診断の実施状況についてでありますが、県立学校の実施率は現在八〇・六%となっており、近畿では最も高く、全国的にも十位前後の上位を占めております。一方、最新のデータによる公立小中学校は二二・九%、公立幼稚園は一二・一%の実施率となっており、全国平均よりは下回っている状況にございます。
 今後の取り組みといたしましては、県立学校については、早期に耐震診断を完了するとともに、耐震補強工事を着実に進めてまいります。小中学校については、市町村において平成十五年度から三カ年でほぼすべての学校施設の耐震診断を実施する計画を策定し、現在取り組んでいる最中でございます。こうした中で、例えば串本町、すさみ町、和歌山市など全部で十五の市町村が計画を上回る進捗状況を示しております。また、本年七月に文部科学省が策定した学校施設耐震化推進指針を各市町村に対して周知し、耐震化事業の円滑な実施をお願いしたところでございます。今後、この指針の趣旨を踏まえ、市町村に対して実施計画の着実な推進や検討組織の設置等について指導するとともに、公立幼稚園の耐震診断についても働きかけを行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十二分休憩
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