平成15年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 許可をいただきまして、早速一般質問に入らせていただきます。
 本日、知事の方からも補正予算案が追加提案をされましたが、広川町における硫酸ピッチの不法投棄問題についてお尋ねをいたします。
 十月の二十二日から二十三日にかけて、この夜間に、広川町柳瀬地内のミカン畑の間にある池のほとりに、ドラム缶で四十本もの硫酸ピッチという劇物が不法投棄をされました。議場内の皆さんには資料として配付をさせていただいておりますが、現場の写真を紹介させていただきます。(写真を示す)
 こちらになりますが、近年、全国的にこの硫酸ピッチの不法投棄が問題になりまして、放置をされていたドラム缶から液体が流出をして人体や環境に大変な被害が起きている、こういう問題があちこちで報告をされていますが、今回の事件は、不法投棄をされたこのドラム缶、四十本ですが、そのうち奥の方で立っていたものが十本、そしてごらんのように横倒しや逆さにして投げ出されていたものが三十本、路上にぶちまけられ、そしてこのフェンスの向こうが池なんですが、このため池にまで流れ込んでいたという、とんでもない不法投棄の事件であったわけです。
 この硫酸ピッチという廃棄物は、脱税を目的とした軽油の密造の過程で排出をされる物質です。悪徳な業者が重油や灯油から軽油を精製し、そして税金のかかっていない安い燃料としてやみルートで流通し、暴力団が実質的に関与しているとも言われています。
 もともと重油の成分は軽油の成分と極めて似たものであって、重油の黒い色は軽油と見分けるためにわざと着色料を添加したための色なんだそうです。ですから、この重油の識別用の着色料を分離するために硫酸を混入し、そして色を抜いてしまえば軽油もどきの燃料ができ上がるわけです。そして、残りかすとして硫酸と着色剤がコールタールのような状態になって、泥状になって残ったものが硫酸ピッチと言われる物質です。ですから、この硫酸ピッチの成分は約三割から四割が濃硫酸というもので、大変危険な劇物なんです。
 私、担当課に、「議場で皆さんにお示しをしたいので資料としてガラス瓶で提供してくれないか」、こんなふうに頼んだんですが、「絶対にだめです」と言って怒られました。硫酸ピッチは皮膚に触れればただれ、水がまじると亜硫酸ガスを発生し、衣服につけば穴があき、目に入れば失明の危険性があります。「議場でひっくり返したらえらいことになります」というのがだめの理由だったんですね。皆さん、それぐらいの劇物を大量に道路や池にぶちまけるということがどれだけ悪質で犯罪的であるかということは明白だと思うんですね。軽油の密造で不正な金をもうけ、その上、廃棄物をよそに不法投棄して、後は知らんぷり。後始末は県民、国民が血税を使ってやらなければならない。こんなばかな話はありません。私は、この暴挙を絶対に許すことはできない、このことを強く申し上げるものでございます。
 今回の不法投棄事件が農家によって早朝に発見された後、警察、湯浅町、広川町、そして県の担当者が本当に素早く対応と処置に当たっていただきました。この場をおかりして、感謝と敬意を表したいと思います。
 悪臭が立ち込める現場で、当日の午後には除去作業が町や県の職員によって始められました。亜硫酸ガスを吸い込むために吐き気を催す職員が続出し、慌てて防毒マスクを買いに走ったそうであります。ところが、この防毒マスクがない。ホームセンターにあったのはちりやほこりを防ぐためのマスクであって、毒物用のものじゃなかった。薬局で買ったり、農協の薬剤散布用のものを慌てて購入して装着をしたそうです。しかし、それでもえずきながら作業をされたそうです。翌日には、ため池にオイルフェンスを張り、その後、吸着マットも投入し、油の膜が広がるのを防止されました。この池の水は、日ごろは農業用水として消毒などに利用されている。そして、それだけでなくて、この下流の河川である広川には湯浅町の上水道の取水口があるんですね。地元広川町及び湯浅町の住民の方々は、上水道や農業用水への影響を随分心配をされたそうです。また、農作物への風評被害が起こらないかなど、心配をされたようであります。幸いにして、こういった奮闘のおかげもあり、池の水の水質検査でも安全性が確認されたと聞いております。地元関係自治体の願いにこたえて代執行の手続や補正予算の提案など、迅速な対応にお礼を申し上げます。
 地元の人の話を聞いて回りますと、前日の夜の八時ごろから水色のシートをかけた不審なトラックがあちこちをうろうろしていたというのが目撃をされています。大勢の皆さんから、何ということをしてくれたんなという怒りでいっぱいだという声をお聞きしました。私は、全国で多発しているこの硫酸ピッチの不法投棄で和歌山県がねらわれ、実際に不法投棄されたということを大変重大に受けとめています。
 全国的には、昨年末までに七千本の不法投棄が見つかったと報道をされています。この問題の根っこには、軽油密造がやみの世界の資金源になっているという問題があります。軽油の不正な密造ルートの解明や工場の摘発、脱税問題など、もろもろの問題もかかわってくるでしょう。府県間の連携をとった対応や監視体制の強化も一層重要になると考えます。
 本日、京都府議会では、全国で初めて県独自の硫酸ピッチの規制条例案が提案されたというふうにもお聞きをいたしました。私は、こういう不法投棄を絶対に許さないためにも、以下三点にわたってお尋ねをさせていただきます。
 まず第一点目に、この事件の捜査状況の説明と徹底した追及を求めたいと思いますが、県警本部長の回答をお願いいたします。
 次に、不法投棄をされた硫酸ピッチへの対応経過と安全対策、そして今後の処理対策について環境生活部長よりお答えを願います。
 そして第三点目に、今後このような硫酸ピッチの不法投棄を許さない抜本的対策について知事よりご答弁を願います。
 さて、次に二つ目の柱であるミカン対策について質問をさせていただきます。
 今、有田地方はミカンの収穫と出荷の最盛期を迎え、どこの農家も大忙しです。ところが、ミカンの価格がここに来て暴落し、農家の顔も本当に真っ青になっています。
 私は、さきの六月議会でもミカンの価格問題を取り上げましたが、この十年間を見ると、収穫量の多い表年はいつもべた安、流通量の少ない裏年でも年々価格は下降の一途をたどってまいりました。特にこの三年間は表年も裏年も安値続きで、農家の悲鳴が聞こえてきます。夏の天候不順で心配をし、秋の好天続きで品質の回復を喜んだのもつかの間、この十一月の雨続きと暖冬で悩まされるなど、まさに天候に一喜一憂しながら必死で歯を食いしばってきた農家の努力が、苦労が本当に報われない、そういう思いでいっぱいであります。
 まだまだ年末にかけてこれからという時期ではありますが、一点目の質問として、本年度産ミカンの作柄と販売状況について現状を農林水産部長にお尋ねをいたします。
 二点目に、ミカンの首都圏での販売戦略強化についてお尋ねをいたします。
 和歌山県産のミカンは、これまで大阪という大消費地に隣接をしていたこういう地理的条件から、京阪神市場ではミカンの本場として確固たる地位を築いてまいりました。しかし反面、東京を中心とした関東地区では、このシェアは決して高くはありませんでした。
 十月に県議会農林水産委員会の視察で委員の皆さんとご一緒に、カキやミカンなど秋冬果実の販売状況について東京の大田市場に調査に伺いました。私自身は初めて伺ったのですが、この大田市場は首都東京の台所と言うだけあってとてつもなく大きく、まさに首都東京の心臓部を見る思いがしました。
 競りの行われる市場をご案内いただいた後、東京の主要な青果市場の方々と懇談をさせていただきました。その中で私が一番びっくりしたのは、この大田市場で和歌山県産のミカンがほとんど扱われていないという実態だったんです。大田市場では年間約五万トン、値段にして百五十億円のミカンが商いをされている中、和歌山県からは、金屋町にあるJAの総合共選、そしてまた各地の個人の農家の分、合わせて数百トン、割合にしてわずか一%ほどしか商いされてないということだったんですね。関東特に東京では、ミカンと言えば愛媛ということになっているのもこれは無理はない、愛媛、熊本、佐賀などのミカンがこの市場を完全に押さえている、そんな感じがしました。関東全体では和歌山ミカンのシェアは約一〇%というふうに聞きましたが、この大田市場では全く勝負の土俵に乗っていない、そういう思いをしました。市場の関係者の皆さんが言うには、「九州の産地は、いずれも熱心だ。熊本など、知事さん先頭に、県が一つになって何度も市場に来られます。関東のこの周辺部には和歌山のミカンが来ているけれども、東京の最も中心であるこの市場で勝負をしてほしいと思う。田口早生やゆら早生を食べさせてもらったが、本当においしい。何でこれが来ないんだというふうに思いますよ」と、率直な意見も出されました。
 このことは、実際に市場の競りの現場でも、私、実感しました。十月の委員会視察のときは極わせの時期でしたが、「豊福」なんて大きく字の躍る九州産のミカンのポスターや、愛媛、熊本、佐賀などののぼりや横断幕、これが競り台いっぱいに掲げられていました。和歌山の和の字もなかったんですね。
 私は、十一月の十八日に、もう一度大田市場を調査に伺ったんですが、このときにはリンゴやイチゴなど色とりどりののぼりがふえていましたけども、またもや和歌山の字を見ることはできませんでした。案内していただいた県農の職員の方が、「場所の取り合いで、もうすぐどっかに持ってかれるんですよ」と言って、奥の方から和歌山ののぼりをこうやって出してきていただいて、ガムテープで一生懸命とめていただいた。これをまあ、痛々しく拝見したわけです。
 この日、「和歌山のミカンと他産地のミカンを実際に比べたいんだ」というふうに申し出ますと、市場の中をずうっと回らせていただいて、全国各地のミカンを、あっちの箱、こっちの箱をこうあけて実際に食べ比べをさせていただいたんです。愛媛の真穴、熊本の草枕、長崎の伊木力、福岡の一三〇など、たくさんの種類を和歌山の有田ミカンと食べ比べたわけなんですが、実際、これはひいき目なしで和歌山のが一番おいしかったです。私は何よりもこれがうれしかったんですが、どれもこれも、いただいた箱は光センサーによって十一度の糖度保証などというふうに書かれているんですが、全く味が違うんですね。他産地のぼんやりしたような味ではなくて、しっかりとコクのある、うまみというんでしょうか、これがミカンの味やと自信を持てたんです。実際、市場関係者からも、ことしの和歌山県産のミカンの内容はとてもいいというふうに評価をされていました。
 さて皆さん、和歌山のミカンの未来を考えるとき、おいしいミカンをつくるという生産面としっかり売り込んでいくという販売面、いずれにおいても力を合わせて取り組んでいかねばなりません。農家は、これまで自分がつくった農産物を自分で値段がつけられない、市場や仲買人任せで泣かされてきたという長い歴史を持っています。私は、大規模流通や量販店が支配をする今の市場流通だけが農業の未来を保証してくれるものではないと考えています。生産者と消費者の距離がもっと近づいていく、そんな顔の見える関係を目指す産直組織や、宅配などで個々の消費者とつながっていくそういう農家、また生産者が直接農産物を販売するどんどん広場のような形態など、さまざまなチャンネルがこれから発展していくだろうし、そのこと抜きに日本農業の未来は見えてこないと考えています。しかし、消費者に安定的に食料を供給し、需要と供給のバランスをとってきた市場の果たしてきた役割、これは大変大きく、重要で、今後もその役割を果たしていくと私は考えます。
 私は、そういうことも踏まえながら、和歌山ミカンのブランド力の向上、販売力でも他産地に負けない力を発揮するための市場対策としては、まず第一に、これまで長いおつき合いをいただき、確固たる地位を築いてきた京阪神市場を守ることが大事だと思います。ここには、安値による運送コストの関係で首都圏に行かないミカン、他産地が今食い込んできている。せっかくの基盤をとられてきているという実態がある。ですから、まずここを守るというのが一番だと考えます。そして、この守りとあわせて首都圏での戦いに挑む。特に大田市場など、東京の中心部の市場での評価と実績をつくることなくして、ミカンと言えば和歌山、やっぱり和歌山のミカンはおいしいという全国区で通用するブランドにはならないというふうに考えます。JAを初め生産者団体などとも十分な議論をしながら、出荷・販売戦略をしっかり準備もして仕掛けるべきだというふうに思っています。田口早生やゆら早生など優良品種に商標をとって、例えば味一だとかデコポンだとか、そんないい名前を、商標をつけようと準備もされているようです。これもしっかりと応援をしてほしいというふうに思います。
 いろいろ要望もあわせて申し上げたわけですが、首都圏での販売力強化に向けての農林水産部長の考えをお示しいただきたいと思います。
 続きまして、三つ目の柱である市町村合併の問題についてお尋ねをいたします。
 先月、国の第二十七次地方制度調査会が最終答申を出し、特例法の期限後は人口一万人未満の町村を対象に都道府県知事が合併構想をつくり、勧告やあっせんを進める構想を打ち出しました。この答申の発表に対し、全国の知事からさまざまな角度で批判的な意見が出されています。
 紹介いたしますと、「県がああしろ、こうしろと言うのは失礼な話だ。合併は市町村が自主判断していくべきだ」、こう批判したのは青森県の三村知事です。人口一万人の町の町長を務めていたことがあるこの知事は、この答申が人口規模一万人未満を目安というふうにしたことに不快感を示し、「合併は市町村が自主的に判断をしていくべきもの」、こういうふうに述べています。また、旧自治省出身の知事からも批判の声が出ています。「多様な自治体が存在する制度にすべきだ。県が上位団体のようにして市町村に半強制的に合併を進めるのは間違っている」、鳥取県の片山知事はこう述べ、「答申に動揺しないでほしい」と市町村に呼びかけました。ほかにも、秋田、福島、山梨、新潟、栃木、兵庫、岡山、香川など、批判や懸念を表明する知事のコメントが各種報道されています。「合併についてあんまり国がこうすべきだというのではなく、地域の実情に応じて地域が判断し、自己責任のもとにやっていくのが地方分権」と香川県知事。「強制合併ととられかねない。県と市町村は対等で、上下関係はない。分権の趣旨に反する」と岡山県知事。「自治体が自主的に判断して、合併せずに自立して歩んでいけるならば、それはそれでいい」と山梨県知事。紹介し切れませんが、こういった知事の中には合併推進の立場の知事もいらっしゃるわけですが、人口で線引きをして強制的に合併を進めることには共通して厳しいコメントを出されています。
 また、マスコミからも批判の声が上がっています。「人口だけを理由に合併圧力をかけるのは危険だ。都道府県による合併勧告も強制的な色彩が強い」と日経新聞。毎日新聞も、「ひたすら規模を拡大する市町村合併では地域社会の再生は不可能だ」と批判をしています。
 昨年十一月の調査会会長西尾私案では、「市町村なくして市に再編」とうたわれ、合併特例法が切れた以降は合併によって消滅するべき自治体の人口を法律で明示をして自治体の権限の縮小を取り上げて他の自治体に編入するなどという、とんでもない強制措置というか脅しまで提案されたものでした。
 私たち和歌山県を振り返りますと、一万人未満の自治体には、現在、五十自治体のうち六割の三十町村が該当します。これらの小規模自治体には、県民人口から見れば一・五割の人しか住んでいません。けれども、県土全体の七割を占めるんです。国レベルで見れば、一万人未満の自治体は自治体数の約五割です。人口レベルで見れば、わずか七%しか住んでいません。しかし国土の五割、この日本の国土を守ってきたのがこの地域に住む住民の皆さんです。この地域からおいしくて安全な食料、水、空気が大都市に供給をされています。強制合併は、ここでの生活を困難にするだけでなく、都市の安全性をも脅かすものだと思うんです。
 昨年の西尾私案や調査会の中間答申に対し、全国町村会、全国町村議会議長会など、地方自治の根幹を揺るがすものと立ち上がりました。県内でも、四十三町村のうち三十三議会で西尾私案を批判する意見書が採択されたと聞いております。
 この九月に開かれ、全国百五十自治体から六百人の自治体首長さん、議会、自治体関係者が一堂に会した小さくても輝く自治体フォーラム、この会に私も出席してまいりましたが、ここでは、自立の道を模索し、輝く町づくりを進めるこの町村長さんたちの格調高い、そして極めて現実的な町づくりの方向が報告をされていました。今回の最終答申を見ますと、注目をされた合併促進の対象を一万人未満を目安としましたが、地理的条件や経済事情なども考慮することが必要と幅を持たせました。また、合併しない町村の権限取り上げや近隣自治体への編入などの強制措置は引き続き検討とするにとどまり、強制策には踏み込めませんでした。合併協議会の解散が相次ぐなど、押しつけ合併が矛盾にぶつかる中、地方自治体と住民の世論と運動が今回の最終答申にも影響したと考えています。またその一方で、財界がねらう道州制については検討する必要があると中間報告よりも踏み込み、具体化に向けて新たな動きを示したという点も指摘をしなければなりません。
 私は、市町村合併については、市町村という一番身近な基礎的自治体のサイズを決め、町の未来図を考えるという大変大事な住民の仕事であり、合併するも合併しないも、またどんな合併を目指すのも住民の徹底した論議による、住民の手による自主的な判断が大事だと考えます。今回の最終答申は、一定の国民的世論を反映したものではあるものの、自治体に合併を一層強制する性格のものであると私は厳しく批判をするものでありますが、この第二十七次地方制度調査会最終答申についての知事の所見を伺います。
 あわせて、自立の道を選択する市町村にも支援策を求めて質問をさせていただきます。
 県内では、この間だけでも、古座川町、そして上富田町が法定協議会からの離脱をいたしました。打田町の町長が議会の特別委員会で合併協議会への不参加の考えを示しました。有田地方の協議会も、合併後の財政見通しや庁舎の位置などで随分問題点も出てきているようです。
 私は、これらの動きは、これまで県が進めてきた合併構想が具体的な市町村間の協議や住民の中での議論が進む中でその矛盾があらわれてきたものだと考えています。個々の状況はさておいて、合併せずに単独の道を選択する町や、合併を目指すものの法期限にとらわれずに望ましい将来の合併に備える、こういう道を選ぶ町村が出てきたことが、私はこの間の特徴だというふうに思います。
 これらの自治体を含め、県が今後どういう姿勢で臨むのかが問われています。私は、合併を選択する市町村にも、合併を選択しない市町村にも、それぞれに支援策を講じていくのが県行政の姿だと考えます。
 長野県では、合併を選択する市町村を応援する合併支援室と、そして合併を選択せずに自立の道を選ぶ、そういう町を応援する支援室、この両方を設けています。合併せずに自立を目指す自治体のためにも長野県市町村「自律」支援プランを策定しています。その中では、市町村の機能補完のための人的支援や、事務受託で専門職や実務の援助をする、また財政的支援として集落創生交付金をつくる、また情報提供や行財政運営に関する研究支援など、いろんなメニューをきめ細かく打ち出しております。
 こんなような県と比べ和歌山県は、和歌山市以外のすべての市町村を合併重点支援地域に指定し、近畿の府県の中でも合併推進の予算を一けた多く予算計上してきました。昨年度末には、合併する市町村に交付金を出すんだといって二十億円もの基金を二月の補正予算で積んでいます。これだけ大変厳しい財政状況のもと、口を開けば県にはお金がないからと、あっちこっちの補助金や予算を細かく細かく削りながら、市町村へのお金も削りながら、すごい大金だなとびっくりしたものです。いかがなものかと、さきの決算委員会でも指摘をさせていただいたわけですが、市町村からの希望に基づいて制度をつくったと、そっけない説明でありました。
 私は、市町村の希望に基づいてと言うのであれは、この市町村合併の問題、今後の合併議論の中では、先ほど紹介いたしましたように、単独を選択する町、今回の期限にはとらわれないという選択をする町、こういう町の希望や悩みにもこたえるのが当然ではないでしょうか。
 和歌山県の県土の均衡ある発展と、そして住民自身が自分たちの町の町づくりを考え、個性的で多様な自治体が共存をし、和歌山のすばらしい自然と風土、文化を守り発展させるために、合併を選ぶ町にも選ばない町にもどちらにもしっかりと援助の手を差し伸べるとともに一緒になって行財政運営の知恵を絞っていく、こんな県政が望まれると考えます。単独を選択する市町村への支援策について、総務部長の答弁を求めるものです。
 以上、三つの柱にわたってお尋ねをいたしまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 広川町の硫酸ピッチの不法投棄の問題でございますが、これは、量はともかくとして、全国的に極めて悪質な事件として県も重点的に対処をしているところでございます。
 この問題は、先ほどもお話にありましたように、脱税の問題もありますし、犯罪の問題もありますし、非常に根の深い問題です。それがここへ来てまた大きく取り上げられているので、この際、本当に抜本的な対策がとられるような方法を考えていかないといかんと思いますし、京都のような対応も一つの方法だろうと思います。さらにはまた、定点監視や重点パトロールなどを積極的に実施して、こういうふうな大変な違法行為を行った者をちゃんと逮捕していくというふうな措置を考えていかないといかん、このように私は思っております。
 それから次に市町村合併についての問題なんですけれども、市町村合併、これはまあ都道府県も市町村も含めて、今の自治体皆そうなんですけれども、このままいけるならばこれほどいいことは、簡単に言えばないわけです。だけども、基本的には地方交付税でありますとか補助金でありますとか、そういうふうなものでほとんど自立という形なしに運営されているというのが今の状況と。そういうふうな中で和歌山県下でも各関係の市長さん、町村長さんは、本当に僕は苦渋の選択の中で、苦労をしながらやっぱり合併を進めていると思うんです。そしてそれは、住民の方々も僕は一緒だろうと思います。県としてはそういうふうなものを、上からああしなさいとか、こうしなさいとか偉そうに言うような立場じゃなくて、一緒になって悩みながら、しかしながらやはりあるべき市町村の規模ということはこれから僕はあるというふうに思っておりますので、そういうふうな方向へ向かっていく努力を支援していきたいというふうに思っております。
 それからまあ二十七次の地制調の答申、一万人ということを基準にして、県の勧告であるとかあっせんであるとかいう制度が入りました。そして各県の知事の多くは、これはけしからんという方向で出てきました。私自身も、県がそういうふうなことを強制するという立場にないということはそのとおりだと思いますけれども、だからといって、わかったようなことを言うだけで物事が解決するならこれほど簡単なことはないし、こんな合併なんていう問題もそもそも起こってこなかったわけだから、だからやはりそういうふうなところ、お互いの、まあ言ってみれば接点みたいなものをやっぱりこれから僕は真剣に考えていくべきであろうと思うんです。
 地方自治が大事だ、市町村は自分のとこのことを何でも決めていけばいい──それはもうそのとおりだと思いますけれども、それでうまくいかなくなっている中でどういうふうにしていくかということをこれから考えて。これは大変苦しい道ですけれども、先ほど初めに、前の質問でも言いましたように、日本の国がもうデフレ型の右肩下がりの社会になってきている中でどういうふうなあり方がいいのかということをやはり考えていかないといかんという時期に私はもうなっていると、こういうふうに思っていますし、県もそういうふうな真剣な立場で考えていきたい。評論家的なことはだれでも言えると、こういうことだろうと思います。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 広川町における硫酸ピッチ不法投棄事件につきまして、対応経過と安全対策、今後の処置対策についてお答え申し上げます。
 不法投棄が発見された当日の朝からすぐに、地元広川町、土地改良区、振興局等が迅速に措置を講じ、周辺地面に投棄された硫酸ピッチを土や消石灰等で中和してすくい取り、もとのドラム缶等を立て直した上、回収して一カ所に整理し、その上にシートをかけて保全してございます。
 折杭池に流れ込みました硫酸ピッチにつきましては、すぐにオイルフェンスを設置し、吸着マット等を駆使して池の表面の油の回収、河川への流出防止の対応をとっております。なお、水質検査を行ったところ環境基準を満足しており、生活環境保全上の支障はございません。
 その時点では行為者が特定されていなかったため、去る十一月十四日に措置命令を公告で出し、着手期限である同月二十一日を過ぎても何ら措置がなされなかったので代執行の準備を進めているところでございます。その代執行に要する経費として、今議会におきまして追加の補正予算をお願いしております。
 なお、十一月二十七日、県警察の捜査により行為者が逮捕されたことに伴い、接見の上、措置命令に従う意思がないと確認しておりますので県が代執行を実施し、今後の県警察の捜査の状況を見守って行為者等に対し代執行に要した経費を求償してまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) ミカン対策についてお答えいたします。
 まず、二〇〇三年度産ミカンの作柄と販売状況についてでございますが、本年は表年に当たったことから、摘果の徹底による需給調整対策とマルチ栽培の拡大などの高品質な果実生産に積極的に取り組んでまいりました。その結果、まずまずの品質に仕上がり、出荷当初の極わせミカンは順調な販売でございました。しかし、出荷最盛期を迎えた十一月以降の高温多雨により浮き皮や腐敗果が発生し、品質が低下したことと消費の伸び悩みなどから価格が低迷し、十二月一日現在の出荷数量は前年対比九一%、単価は昨年と同様に厳しい状況となってございます。こうしたことから、現在産地では、商品価値の低い果実の出荷抑制に加え、さらに厳しい選果選別を行い、高品質果実の厳選出荷に取り組んでいるところでございます。
 次にミカンの首都圏での販売戦略強化についてでありますが、これまで本県は地理的な条件から京阪神経済圏への農産物の安定供給基地として大きな役割を担ってきたところでございますが、近年、流通事情は大きく変化し、首都圏を中心に物流や情報の一極化が進む中で、県といたしましては従来の京阪神市場に加え、首都圏での販売強化を図ることとしてございます。そのため、昨年に引き続き、大手量販店におけるアンテナショップでの販売促進とともに、和歌山で生まれた高品質ミカンのゆら早生の一元販売を初め、まるどりみかんのブランド化や消費者の安全、安心指向の高まりに対応したトレーサビリティシステムの構築など、新たな取り組みに努めているところでございます。
 また、本年産ミカンにつきましては、現状の厳しい販売状況を踏まえ、JA等生産者団体では、十一月二十九日から集中的な販売促進活動に加え、独自に首都圏の量販店における各JAによる対面販売などに努めてございます。
 今後とも関係部局と連携を図るとともに、生産者と関係機関が一体となって本県産ミカンの販売促進に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併についてお答えをいたします。
 市町村につきましては、厳しい社会経済情勢の中で進展しております分権型社会を担う主体としての責務が増加してくるということは確実でございます。こうした観点からは、やはり市町村合併によるスケールメリットを生かして行財政能力を高めるということが非常に有意義と考えております。
 こうした観点から県といたしましては、昨年十一月に策定をした和歌山県市町村合併支援プラン等に基づいて、引き続き合併協議や合併後の町づくりに対する支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、合併しなかった市町村につきましては、従来と同様に国の制度や地方財政措置に沿いながら適切に支援を行ってまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 議員お尋ねの広川町硫酸ピッチ不法投棄事件につきましては、事件認知後、直ちに所要の捜査を行いまして、本年十一月二十七日、大阪府在住の被疑者一名を逮捕し、現在、事案の全容解明のための捜査を鋭意推進しているところでございます。
 詳細につきましては、捜査中であり答弁を差し控えさせていただきますが、本件のように悪質な環境犯罪に対しましては今後とも徹底した取り締まりを行ってまいる所存でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 ご答弁をいただきました。
 硫酸ピッチの不法投棄の問題では、積極的なご答弁と、それから実際もう仕事もどんどん進めていただいているわけでありまして、府県間の協力や国に対しても要望していくということも含めて、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思うんです。
 きょうあたりから池の水を抜いておりまして、底にまで流れ込んでいたピッチの除去作業に入っていただくというふうに聞いているわけですが、地元からは、池の端に保管をしてあるドラム缶も含め一日も早く撤去してほしいという声が出ていますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 この池の底のピッチを取る作業をしてから池にもとどおり水を張って農業用水に使っていくし、また上水道の取水口である広川にも水が流れていくと、こういうふうになっていくわけなんですが、私、聞いてみると、今後、水質検査をする予定はないというふうに聞いているんですね。でもこの撤去作業、いろんな作業が終わって水を張って、さあもとどおりといったときに、やっぱり水質検査、もう一度安全だという検査も必要になってこようかというふうに思うんですね。今後、地元の要望を聞きながら水質検査の実施も検討していただくよう要望をしておくものでございます。
 それからミカン対策でありますが、ミカン対策では、価格の問題など昨年並みに苦労しているというふうな答弁でありましたが、昨年並みどころか、大変なことになっているというふうに思うんですね。先週ぐらいでは、表年と言われたけれども、出荷量は昨年よりも一割減だと。でも値段の方は、去年同時期で一キロ百四十円、百五十円してたのが、もう百十円とか百二十円とか、そのぐらいで、二割安も当たり前だという話でした。もう今週へ入ったら、キロ五十円とか八十円とかというところも出てきているということですから、本当に大変な事態だというふうに私は思うんですね。
 今、農家のところを、「ミカン対策で、私、議会でも取り上げたいんですが、何を望みますか」と言って回らせていただくと、どこへ行っても、「ミカンの安いこの値段対策、何とかしてほしい。ほんまにお手上げなんだ」という声をお聞きするわけなんです。やっぱり農家にとれば、「キロ二百五十円で売れれば農業で食べていける。せめて二百円は欲しい。でも、本当にこの三年も連続で安かったら、わしら、ほんまにお手上げや」という声があります。有田地方でも、農家のミカンの手取りが少ないと、商売人も勤め人も含めて、地域経済全体に深刻な影響を及ぼしています。ぜひ県の懸命な姿勢を見せていく必要があろうかと思うんですね。
 この先、農林水産委員会で、大阪の市場にも視察を予定いただいております。知事も上京する機会が多いと思うんで、ぜひ一層力を入れていただくように要望をしておきたいというふうに思います。
 それから最後に市町村合併の問題ですが、これについては、私ももうひとつ強く要望しておきたいというふうに思うんですね。
 知事の方からも、「このままでいけるなら」と言いながら「苦渋の選択を迫られている問題だ」と。「上から、ああしなさい、こうしなさいという立場でないし、強制する立場ではない」という答弁もありました。「しかし、評論家的なことを言ってられる状況でもないんだ」というお話もありましたけれども、その地域が、市町村が、小さな町がこのままではうまくいかなくなってきているという。その原因はどこにあるんかと、なぜそうなってきているのかという議論なしに国は「小さな町を切り捨てますよ」と。「その強制合併の矢面に県知事さん、立ってくださいよ」ということを言ってきているようなものでありますから。
 午前中からも、三位一体の改革や税源移譲の問題、議論されました。地方の立場でこれまで以上に意思表示をしていく場面が出てこようかと思います。市町村の自主性を尊重する立場に立つべきだということをもう一度強く申し上げておきたいというふうに思います。
 それから、合併しない町にも支援をということでお願いをしたわけなんですが、「これまで同様に適切に支援をしていく」と、こういう答弁にとどまったというふうに思うんですね。具体的な議論にはいかなかったわけですが、また今後の予算議会などでも私は議論していきたいと思うんですが。
 例えば、先ほど私申し上げました、合併をした町への基金をつけるというその基金ですけれども、その基金の使い方として、合併した後のコミュニティーの確保を図るためにコミュニティーセンターをつくったり、コミュニティーバスを走らせるための費用としてこの合併の基金を使ってほしいんだというふうな説明があったわけなんですね。ところが、私考えるんですが、その福祉バスとかコミュニティーバスとかというのは、例えば私ども金屋町や清水町など山間部の地域住民にとっては、合併しようとも合併しなくてもぜひ必要になってきているし、今後ますます必要になってきている課題だというふうに思うんですね。そういう意味では、すべての自治体を対象にしたそういう県の支援施策、このコミュニティーバスや福祉バスの問題でも要ってくるんではないかというふうに私は思うんです。来年度予算に向けて一層議論を深めていっていただきたい。このことを強く要望して、要望とさせていただきます。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は十二月八日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十一分散会

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