平成15年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(藤井健太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行わせていただきます。先ほどの新島議員の質問と一部重複する点があろうかと思いますが、お許しを願いたいと思います。
 まず、新年度予算編成と三位一体の改革についてお尋ねをいたします。
 国、地方自治体とも、来年度予算の具体的な編成作業に入ってきております。十六年度の政府予算では、十五年度水準以下に抑制することを目標に、歳出全般にわたる徹底した見直しと所管を超えた予算配分の重点化、効率化を実施すると、このように言われております。地方財政計画についても、人員、投資的経費、一般行政経費等の徹底した見直しによる歳出規模の抑制をするとともに、地方団体の自助努力を促し、地方交付税総額を抑制すると、このようにも言われているわけです。国と地方自治体との財源配分をめぐる問題が、国、自治体双方の新年度予算編成をめぐって熾烈な駆け引きといいますか、目が離せない、こういう状況になっていると思うんです。その結果というのが県民生活にも大きく影響してまいります。
 県内の経済状況を見てみましても、卸・小売業とも、法人、個人経営を問わず事業所数が減少して、従業員もこの数年間は正社員、パート、臨時を含めても減少となっています。製造業においても同じ状態だと言えます。雇用情勢は引き続き厳しく、有効求人倍率は全国との格差が開いたままであり、依然として〇・五倍を下回った状況で推移をしております。県民の県政に対する各行政分野でのニーズも高まってきておりまして、知事の県民生活擁護の姿勢とそのための地方財政、特に一般財源の拡充を求める姿勢が大変大事だと思うところです。
 そこで、知事の来年度予算編成方針と国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲、三位一体の改革と言われておりますが、地方財政改革について、具体的にどう対応されていこうとしているのかをお尋ねしたいと思います。以下四点、知事にお尋ねをいたします。
 一つは、知事が新年度予算で一番力を入れていきたいと思っていることは何なのか。県政の最重点課題になっていると思うことと、その解決の方向をどのように考えているのかということです。
 二つ目に、知事の予算編成方針の説明の中で、当面の景気・雇用対策にも適切に対応してまいりたいと言われておりましたが、どう進めるつもりなのか。経済状況、雇用環境は、ご承知のように依然として厳しい状況にございます。十五年度の予算の枠を超えて取り組みをする必要があろうかと思うんですが、どのように対応されていくのか。今、県は、新規事業の創出への取り組みやIT関連の事業、また既存産業の振興策、医療や介護などの福祉施策、環境保全の事業、観光振興事業などを通じて、どのぐらいの新たな雇用に結びつけていくことができるのか、こういった事業を通じて雇用創出に向けた具体的な展望を示すことができるのかどうか、この点もお答えを願いたいと思います。
 三つ目に、三位一体の改革を見据えた予算編成をと言われているわけですが、同時に「選択と集中」という言葉も使われておられます。政府の方針が非常に不透明なもとでありますが、これまた財源が確保できなければ歳出の一層の切り詰めが余儀なくされ、住民への公共サービスの低下や住民負担の増大へとつながらないか、こういう懸念もされます。政府が考える国庫補助負担金の削減額は四兆円と言われております。主な中身として、義務教育費国庫負担金と保育所運営費負担金、また国庫補助負担金のカットに対する税源移譲は八割とも七割とも言われているわけですが、こういう義務的経費に係る税源の確保、これは絶対今必要だと思うわけです。これらに対してどのように対応されようとしているのか。あわせて、具体的には来年度の国庫補助負担金の一兆円削減を小泉総理が打ち出しておりますが、今議論がされておるところでございますけれども、生活保護費や児童扶養手当の国庫補助率を四分の三から三分の二に引き下げるということ、また義務教育費国庫負担金の一部の一般財源化、公立保育所の運営費の削減などが言われたりいたしております。いずれにしても、それに見合う財源補てんがなければ地方財政へのしわ寄せとなることは明らかです。ひいては、県民負担に転嫁をされるのではないか。県政への影響が心配されますが、この点は予算編成の中で具体的にどう対応していこうとされているのか。
 四つ目に、この問題の最後ですが、地方交付税のあり方について、具体的にどう対応されていこうとしているのかをお尋ねいたします。現在の地方交付税には、地方自治体の固有の財源という財源保障的な役割と全国的に標準的な行政サービスを確保するという、こういう自治体間の財政調整機能があると思います。国の財政制度審議会が、来年度予算編成での建議の中で、地方交付税の総額の抑制と財源保障機能の廃止を打ち出しています。県下の五十自治体合計の十四年度決算で見てみますと、国庫支出金が三百九十四億円、地方交付税が千二百六十四億円、実に地方交付税の占める一般財源としての役割は大きく、国庫支出金の四倍にもなるわけです。県財政で見てみても、一般会計においても国庫支出金が九百七十七億円、地方交付税が千八百億円と、国庫支出金の倍になっているわけですね。地方交付税が大きな財源になっているというのが現状でもあります。県は、これまで地方税財源の充実のために、地方交付税については交付税率の引き上げ、そういうことを通じて交付税総額の安定的確保を図っていくと、財政運営プログラムの中でそのように言われているわけですけれども、今後どのように対応されていこうとしているのか。
 次に、県土地開発公社の借入金問題とコスモパーク加太の活用についてお尋ねをいたします。
 追加議案の百六十九号、百七十号のコスモパーク加太対策にかかわる議案を中心にお尋ねをいたします。
 知事は、今般の本会議で、本年七月、開発公社が金融機関相手に和歌山地方裁判所に特定調停の申し入れを行い、以後九回の調停が行われ、県は利害関係人として参加をして、県民の利益を第一に主張を行うとともに、公社再建に対する県の支援の観点から主張を行ってきた、こういうふうに言われております。調停は難航し、調停合意は困難ということで、裁判所が調停に代わる決定を下したということです。今議会に、決定の内容は本県にとって妥当なものであるとして決定に応じるということ、あわせてコスモパーク加太の整備にかかわる予算と今後二十年間についての賃借料の債務負担行為とが提案をされています。
 裁判所の決定の主な内容は、県は公社の新規借入金四百三十八億一千五百三十万円のうち二百六十五億円について県が債務保証を行う。県は、公社所有地の一部を賃借し、構造改革特別区域計画などに基づき整備推進をする。公社は、新規借入金を平成四十五年三月三十一日を期限として弁済する。新規借入金のうち六十五億一千五百三十万円は平成三十六年三月末までに返済をし、根抵当権が設定された百八億円については、平成三十六年以降四十五年までに売却し返済をする。売却金額に余剰がある場合は、県が債務保証した分の二百六十五億円の弁済に充てる。こういうふうになっているわけですね。つまり、今後二十年間は公社が県からの賃借料を原資として六十五億円余を返済し、残り十年間で残りの三百七十三億円を土地を処分して返済する、県はそのうちの二百六十五億円に直接責任を負うということになっているわけです。結局、県として、今後三十年間で賃借料を含めると最高で三百三十億円の負担義務を負うということになってまいります。そこに利息が加わってくるわけです。
 そこで、お尋ねをするわけですが、一つは、今回の地裁決定の評価の問題ですけれども、知事は県民の利益を第一にと言われておりますが、どのような主張を中身としてされてきたのか。金融機関との間でどういう点が論点になって距離があったのか。県当局が主張してきた内容と地裁決定の違いというのはどこにあるのか。つまり、これまで調停をしてきたけれども、双方の意見の食い違いがあって難航してきて、それで地裁が決定をして、その決定が妥当なものだと言われているわけですから、その調停は県民の利益を第一に考えてやってきたということですから、決定そのものが妥当であるならば、県民の利益第一ということが言えなければならないと思うんですね。どの点を評価して地裁決定を受け入れる、どの点が県民の利益第一になっているのかということを知事からお答え願いたいと思います。
 二つ目に、今回の事態となった県の政治的責任とこの経験を今後いかに生かすべき教訓としていくのかということについてなんですが、県と土地開発公社の関係というのは、和歌山県特定出資法人管理要綱において、毎事業年度の予算案についてあらかじめ県と協議をする、県は公社理事会に事業計画、資金計算、予算及び決算について、必要に応じて意見書を提出するということになっています。つまり、県の公社に対する政治的責任は免れないところがあるわけですが、土取り事業での金融機関との詰めの甘さ、また土取り後の跡地の開発構想などで楽観的、希望的な観測で事業を進めてきていたのではないかと思うわけですが、そういった県の指導責任、監督責任、これについてどのように考えておられるのか、また今後の行政にどういう点を教訓として生かすべきかと考えておられるのかを聞きたいと思うんです。これも知事から答弁をお願いしたいと思います。
 三つ目に、地裁の決定内容と今後のコスモパーク加太の活用方針でありますが、何点かお尋ねをしたいと思います。これは企画部長の方から答弁をお願いします。
 今回、県が二百六十五億円の債務保証をするという理由というのは一体何なのか。債務保証額二百六十五億円の根拠、裁判所が二百六十五億円という決定を下したわけですが、その根拠は一体何なのか。公社の借入利率は〇・六%ということで、これは固定金利にはしないということですが、同時に根抵当が百八億円という評価で出発するわけでして、この根抵当権の百八億円の評価については今後見直しをすることがあり得るのか。県が公社に支払う賃借料、これはどのようにして決めたのか。公社が金融機関に返済する金額は六十五億一千五百三十万円、県が公社に支払う賃借料は百二十二億三千百万円、この間に五十七億一千五百七十万円の差額があるわけですが、この差額はどう使うのか。この差額は、コスモパーク加太にかかわる経費に限定してのものなのか。県が公社から借り受ける用地の活用方法、先ほど防災用地、カゴメの誘致等々の話がありましたがその方法、また残りの用地もございますが、残りの公社所有地はどうするのか、お尋ねをいたします。
 この問題の四つ目に、金融機関からの借入金の返済については、公社は二十年で六十五億円を返済するということですが、県の無利子貸し付け分百五億円についてはどのようにするのか。六月議会では、公社の再建の中で考えていくと、先送りをする答弁であったわけですが、現時点でどういう考えなのか、これも企画部長からあわせて答弁をお願いします。
 次に、国民保護法制への県の対応についてお尋ねをいたします。
 この十一月に国民保護法制の要旨が決められ、発表されています。政府は、来年一月または二月に閣議決定をし、通常国会に提出する方針だということです。要旨は、法の目的に、武力攻撃事態や武力攻撃予測事態における国、地方公共団体、指定公共機関の責務や国民の協力に関する事項を定め、国全体として万全の態勢を整備し、国民の保護のための措置を総合的に推進することを掲げ、警報の発令や住民の避難、誘導、被災者救援、武力攻撃災害への対処などの手続について規定しています。また、物資の保管命令や立入検査、交通規制や警戒区域への立ち入り制限などに従わなかった者に対する罰則規定も設けております。基本的人権の尊重や国民に求める協力強制の禁止ということが掲げられていますが、日本国内の戦争被害を想定し、私権制限を含んだ戦時体制立法ともなっております。
 知事は、この法律と政府の示す基本指針に基づき、国民の保護に関する計画を作成、必要な措置を講じることとなりまして、知事の権限の範囲は大きいものがあろうかと思います。私は、六月議会で武力攻撃事態等の有事法制に対する知事の所見と今後想定される地方自治体にかかわる立法措置に対して知事の対応を尋ねました。有事法制は、攻撃が予測される事態やおそれがある場合でも発動されることになっていて、我が国の定義がないことから、既に海外出動している自衛隊の武力行使を可能にする内容を持っていて、海外での軍事力行使のために住民や住民の財産が動員されることがあってはならない、こういう立場から質問をいたしました。県民の生命、財産を守るという地方自治体の使命から見ても、有事法制の一環としてつくられようとする国民保護法制、これにどう対応していくのか、重要な問題であろうかと思います。
 知事は、六月議会で、これはないことだと思うが、他国が攻め込んでくるというときの手続を定めていないのは適切ではないという考えを話されまして、また日本で唯一戦場になった沖縄で県民の権利が守られなかった、そういう事実もあった、国民保護法制の中に和歌山県民が守られるような形の内容になっていくように、私もいろいろな機会を見て発言していきたい、このように答弁をされたわけです。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 一つは、知事は六月議会以降、これまでどこに対して、どのような発言をされてきたのか、また今後どういう対応をされていこうとしているのか。
 二つ目に、政府が考えている国民保護法制、これが自治体と住民生活にどのような影響を与えることになるのか。
 この二点について、知事にお尋ねをしたいと思います。
 最後に、美浜町の煙樹ケ浜への水際地雷敷設訓練場の設置計画について、県の今後の対応についてお尋ねをしたいと思うんです。
 陸上自衛隊和歌山駐屯地の第三〇三施設隊を今年度末をもって第三〇四水際障害中隊に改編をするということです。現在、水際地雷の訓練場は北海道に一カ所あるということでして、新たに自衛隊の中部方面、東部方面の訓練場として計画をすると、関係漁協や地元美浜町と美浜町議会への説明が始まっているということです。
 煙樹ケ浜という非常に和歌山県の有数の海岸美を誇るところでもございまして、海岸線は約五キロ、松林が保安林としてずっと続いているわけですが、県立自然公園にも指定をされている地域です。この訓練海域には、美浜、三尾、御坊の三漁協が共同漁業権を持っている地域でもあります。先ほどお話しされましたように、海岸背後には町営のキャンプ場、中学校、国立病院、町役場、特別養護老人ホームといった住民生活になくてはならない施設がずらっと並んでいるわけであります。釣り人、観光客や地元の住民の皆さんが散策をされるなど、県内有数の景勝地の一つでもございまして、いつ見ても雄大な海岸線に感銘を受けるわけです。この質問に先立って、私も久しぶりに現地を案内してもらいましたが、願わくは軍事訓練の場所であってほしくないなというのが率直な感想でございました。
 そこで、お尋ねをいたします。
 一つ、なぜ和歌山の美浜なのか。北海道に訓練施設があって、美浜にできれば二カ所目になるわけですが、美浜にする理由はどういうことなのか、聞いておられたらお答えを願いたいと思います。また、県民生活にどのような影響があると考えられるのか。県に対して事前に相談があったのでしょうか。県として、今後の対応をどうするのか。地元や利害関係者との調整は大事なことだと思うんですが、県が最終的には許認可権を持っているわけでございまして、地元の頭ごなしに県が判断をするということがあるのかどうか。地元と違う判断をするということもあり得るのかどうか。そういった点について、あわせて知事から答弁を願いたいと思います。
 この問題の二つ目に、訓練場が一つから二つになって部隊そのものが一つふえるわけですから、自衛隊機能の強化につながるということになると思うんですが、今般さまざまな有事関連の法制が議論されておりますけれども、そういった有事関連法制との関係について自治体としてどういう見解を持っているのか、これは総務部長からひとつお答えを願いたいと思います。
 以上、私の第一問を終わります。
○議長(尾崎要二君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、新年度の予算編成の最重点課題はということでございますが、今の社会はデフレ型の社会になってきていると、そういうふうな中で、これに応じた県づくり、県の体制づくりということを進めていきながら、一方であわせて県勢に勢いをつけていくということが大事だろうと思っております。
 今、特に考えておりますのはNPO等との協働関係を大いに強めていくこと、そして緑の雇用のみならず、農業、漁業等における新ふるさとづくり、こういうふうな施策の振興、そして高野・熊野の世界遺産に合わせて観光開発、こういうふうなことを重点的にしていきたいと思います。それからまた、福祉の面なんかについても特に意を用いていきたいと、このように思っています。
 次に、景気・雇用対策への取り組みでございますが、こういうふうな時期でございますので、なかなか新規の就労の場を見出すというのは難しいわけでございますけれども、しかしながら粘り強くIT関係の企業を呼んできたり、そしてまたその他職業訓練でありますとか、若者への職業相談というようなことの充実とか、そういうふうないろいろなことで多方面に景気・雇用対策に取り組んでいきたいと考えております。
 それから、国庫補助負担金カットと県民生活への影響ということでございますけれども、今、国が言っております一兆円の中身、これは例えば生活保護の補助率を下げるとか、それから教員の退職金の地方への補助分をやめてしまうとか、こういうふうな、はっきり言って何も地方にプラスになることのないような中身で数のつじつま合わせが行われているということでございますので、こういうふうな形の補助金の削減ということであれば、むしろ今のままの方がいいというふうなことでありますので、地方の立場というものを鮮明にしていきたい、このように思っております。
 それから地方交付税でございますけれども、一方で、こういうふうな形で一兆円の補助金を削減したんだから、そしてまた税源として、例えばたばこ税のような、これからだんだん減っていくような税金というふうなものも上げることにしたんだから、交付税は減ってもいいでしょうというふうな荒っぽい議論がなされて、そして和歌山県に限らず、地方の県とか財政力の弱い市町村が困るというふうなことになっては、これは三位一体の改革は何のためにしたのかわからないというふうな話になりますので、そういうことについて大いに意見を言っていきたい。大事な時期でございますので、そのように思っております。
 次に、コスモパーク加太の借入金の問題と活用についてでございます。
 まず地裁決定の評価ですが、県土地開発公社の金融機関からの借入金問題につきましては、県は利害関係人として調停に臨み、県の保証については県の全額保証は考えられず、必要最小限の範囲であること、公社借入金に係る将来利息については公社負担軽減のためより低くすること、公社借入金の返済期間について可能な限り長期間を望むことなどについて強く主張を行ってまいりましたが、金融機関もそれぞれの項目について、おのおのの立場、考えに基づき主張を行ったことから主張の隔たりが解消できず、地裁において決定されたところでございます。本決定については、県、公社及び金融機関がそれぞれ調停委員会において主張してきた結果によるものと考えられ、決定内容を吟味した結果、県の債務保証はコスモパーク加太対策検討委員会からもご報告いただいております必要な範囲に限られたものであるとともに、利息についても一定期間の免除を含め減免が盛り込まれていることなど、公社再建が可能となるものであり、受け入れることが妥当であると考えております。
 次に、県の政治的責任と今後に生かすべき教訓についてでございます。
 今回のコスモパーク加太に係る問題は、バブル経済の崩壊という大きな経済変動があったとはいえ、このような事態になったことについて重く受けとめているところでございます。経済情勢の大きな変化があったものの、コスモパーク加太事業への見通しが十分でなかったこと、処理に長きの時間を要したことなどを反省し、これらを教訓として公社を適時適切に指導していくとともに、より県民への説明責任を果たすこととし、透明性を高めてまいりたいと、このように考えております。
 次に、国民保護法制への県の対応についてでございます。
 前回もお答えいたしましたとおり、国民保護法制については、有事の際に住民の生命、財産を守る立場にある地方公共団体がその使命に適切に対処できるような内容のものとなっていなければならないと考えております。このため国に対して、知事会等を通して団体の意見の反映や都道府県の役割、権限等の明確化を訴えてまいりました。具体的な被害想定のもとで、地方公共団体がとるべき措置の明示についても個別に要望を行ってきたところでございます。
 先月二十一日には、国において法制に関する要旨が発表されたところですが、これによりますと、地方公共団体の役割が詳細に記述され、都道府県知事の権限についても強化されております。また、要旨では人権の尊重についても触れられており、避難住民の救援や武力攻撃災害への対処の観点からやむを得ずとられる権利の制限についても救済の手続の迅速化がうたわれるなど一定の配慮が示されております。地方公共団体におきましては、住民の自由と権利を尊重し、権利制限を必要最小限に限定するという武力攻撃に対処する際の基本理念に沿った形での対処に努めてまいらなければならないと考えております。今後も、住民の生命、財産を守る立場から法案作成の過程を注視し、機会をとらえ意見を申し述べてまいりたいと、このように考えております。
 次に自衛隊の水際地雷訓練場の設置についてでございますが、水際地雷訓練場の設置計画につきましては、大阪防衛施設局から関係部局に概要説明があり、その後、地元美浜町及び関係団体に概要説明が行われております。また、同訓練を実施するに当たっては、海域部は岩礁が少ないこと、陸地部は約三ヘクタールの平たん地を有することなどの地理的条件や和歌山駐屯地に隣接していることなどから煙樹ケ浜が最適地であるとの結論に至ったと聞いております。
 県といたしましては、先ほど新島議員にお答えしたとおり、地域住民の生活などへの影響も考えられることから、美浜町や関係者の意見等を踏まえながら、海岸法を初め各種許可手続の中で対応してまいりたいと、このように考えております。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 調停に代わる決定の内容とコスモパーク加太の活用方針についてお答えいたします。
 まず債務保証につきましては、県が過去に公社に代行させた土砂採取事業について、今後県が清算すべき額、方法、時期等は現時点では未定であるものの、本事業の性格、経緯等にかんがみ、県の責任は今回裁判所が決定した債務保証額を下回ることはないものと考えられることから、やむを得ないものと考えているところであり、県の保証範囲は必要最小限に限られるということを調停委員会で強く主張した結果、二百六十五億円の債務保証が裁判所において決定されたものと理解しております。
 次に根抵当の評価見直しということでございますが、将来、経済情勢や地価の動向などを勘案し、評価見直しについて関係者と協議してまいりたいと考えてございます。
 次に県が公社に支払う賃借料につきましては、公社が鑑定評価を行った地価により算定しております。公社の計画によりますと、特区による賃貸事業収入をもって金融機関への元金返済のための財源に充てるとともに、将来の利息に対する財源としても留保し、またその他の公社の所要経費についても一部充当することとしておりますが、公社経営は今後も厳しいものと考えられ、公社自体もより一層の経営改善を図り再建を目指す計画となってございます。
 またコスモパーク加太の活用方針につきましては、県はコスモパーク加太対策検討委員会からのご報告を踏まえ、土地を借り上げ、大規模災害時における応援要員の集結場所や救援物資の集積地、仮設住宅用地など防災対策の用地とする一方で、平常時には県民の皆様への開放も考えてございますが、企業誘致についても並行して取り組んでいくことといたしております。
 コスモパーク加太に係る残りの公社所有地についても、今後本決定を踏まえ土地を利活用していく中で、関係者と協議を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、県の無利子貸し付け分の今後の対応についてでございます。
 貸付金累計は平成十四年度末で約百五億円となってございますが、まずは本決定スキームを円滑に進めることを最優先に考え、金融機関からの借入金を償還することを基本として、県からの貸付金の償還につきましては、今後、公社の再建状況等を踏まえ、その取り扱いを公社と協議してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 自衛隊の改編と有事関連法制との関係についてお答えを申し上げます。
 今回の水際障害中隊の改編につきましては、中期的な見通しのもとに進められている防衛力の整備の一環として、防衛大綱に示された体制に向け計画的に整備を行うものでありまして、有事法制に関連するものではないと聞いているところでございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 軽微なことでございますので、自席でやらせていただきます。
 一つは知事にお尋ねをしたいんですが、新年度予算編成方針の中で、私は一番力を入れたいことは何かということでお尋ねをさせていただきました。NPOとの協働、緑の雇用事業、農業・漁業振興、熊野・高野の世界遺産というお話がありましたが、一番これに力を入れたいというところがちょっとインパクトがなかったといいますか、これだということのお話がなかったように思うわけですけれども、その点をもう一度聞かせていただきたいと思います。
 それと、景気・雇用対策で、今まで県は成果重視ということでベンチマークというのをつくって、それぞれの事業ごとに到達目標を数値化して決めております。聞きますと、雇用対策というのは、十月にいろんな事業分野に雇用に結びつけた経済対策ということでいろいろ話をしたんだということも漏れ聞くわけですが、そのときに新年度予算編成の中で、これできるかできないかわからないんですけれども、やはり雇用という成果に確実に結びつけていくという上で雇用創出をする、新たな雇用をつくるということでも政策目標を数値化して県民に示していくということが成果主義と、予算編成方針の中でも言われておりますが、そういう点から見ても大事なことではないかなと思うわけです。
 私、第一問で、具体的な雇用について展望を示すことができるのかという質問をしましたが、それに対しての明確な答えがなかったようにも思うわけです。この成果主義を追求するということとあわせて、数値目標を決めて、県が取り組むさまざまな事業で新たにどのぐらいの雇用を生み出していけるのか、そういうことを県民に示していくという必要もあるんじゃないかと思うんですが、その点の考え方について知事から再度お答えを願いたいと思います。
 コスモパーク加太についてですが、県民の利益を第一に考えた決定内容になっているのかということでお尋ねをいたしました。
 債務保証を受け入れるということでありますが、決定の内容を見てみますと、今後二十年間は公社が県が賃借をした賃借料を原資として返済をして、二十年以降三十年までの間に土地を売却して残りのお金を弁済すると、こういうふうになっているわけですね。そうしますと、実際に県が債務保証の分を、これ全部売却できなくて、債務保証を履行するとなったら、二十年以降三十年まで土地の売却を完全にした時点か、もしくは平成四十五年の期日までに債務を履行しなくてはいけないとなっておりますので、これは後年度、後世代への債務の先送りということになるんじゃないでしょうか。売却して返済し切れない部分に税金を投入せざるを得ないということが、これ今から二十年後の話ということでどうなるかわからないということもあろうかと思うんですけれども、しかし後年度に負担を残さないということも我々の世代の大事な問題ではないかなという思いもいたしております。そういう事態を招くことになりはしないのか、その点について答弁をいただきたいと思うんです。これも、知事からお願いしたいと思います。
 最後に水際地雷の訓練場の問題ですが、地元の理解を得ることが肝要で、県としては美浜町や関係者の意見を踏まえて対応していくということですよね。やはり、自衛隊がきちっと地元の皆さんに説明をすると。要望があれば説明をするという責任があろうかと思うんですが、自衛隊のそういう説明責任をきちんと果たしてもらうと。地元から要望があれば行って説明をすると。そういうことを県からも自衛隊にきちっと要請をしておいてほしいと思うんですね。その点についてどういうふうに考えておられるのか。地元から要請があれば、自衛隊が小まめに誠実にきちんと疑問についても説明をするということを、県からもぜひ自衛隊の方に要請をしていただきたいと思うんですが、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、来年度の予算編成の一番の重点がわからないということでしたけれども、県の行政も複雑多岐にわたっておりますので、これ一つということを言うと、ほかの分野の人が、私らのことはもうそれでいいんですかと、こういう話になってくるんで、これだけというわけにはいかない中で、この和歌山県をデフレ型の社会の中で非常に厳しい──デフレ型の社会というのは弱肉強食の社会だと思うんですね。そういう中で、やはり弱者にも目を向けながら、できるだけ勢いをつけていくというふうな方向でいろんな施策をしていきたい。産業の振興についてもそうだし、観光についてもいろんなことでそういうふうなことをしていきたい。それから、和歌山県が日本の中で新しいふるさとだと、そういうふうな施策をどんどんやっている県だというふうなことで評価が高まるような形でいろんなことをやっていきたいと、このように思っているということです。
 それから、数値目標ということは非常に大事なことだと思っています。この間のマニフェスト論争でもそういうことが大変重視されたわけですけれども、しかしながらこの雇用創出というのは、県が職員を雇うんだったら何人というのをすぐに言えるんですけれども、その他はやはり民間と協働しながら、例えば企業を呼んでくるとか、いろんな形で伸ばしていくということですので、できるものはできるだけ数値化していきたいと思いますけれども、すべてがそういうふうにいかないということはご理解いただきたいというふうに思うわけです。いずれにせよ、今、来年の予算編成の中で県民にわかりやすいような形になるように工夫をしております。
 それから、コスモパーク加太の借金の問題。債務保証をして、その後、土地がちゃんと思った値段で売れなかったら借金が残るんではないかと。だけれども、今すべて返してしまったり、処理できないというふうなことの中から、今の地域経済の問題を考えながら、どんな方策がいいかということで、これは議会にもお諮りしながら、その一番いい方策を一年以上かけてやってきた。しかも、なかなか合意点を見出せなかったので裁判所の決定が出てきたということですので、これはもう現に起こっていることですから、それをだれがどういう形で負担していこうかということについてこういうやり方になった。そして、二十年後どうなるかということについては、今後の景気の回復であるとか、社会の変化の中で一番適切な対応をしていくとしか今の段階では私は言えないというふうに思っているところでございます。
 それから自衛隊の水際地雷訓練場の問題については、先ほどお答えしましたように、これはこの地域にとって非常に重大な問題であると。私もこの間、自分で行って海岸を歩いてまいりました。しかし、今、防衛施設庁の方でいろいろ地元の方に説明をしているということでございますので、そういうふうなことを見きわめながら県として必要な対応をとっていきたいと、このように考えております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 質問というか、意見と要望ということにとどめたいんですが。
 確かに、今地方財政をめぐる問題、一方では多額の債務、公債費を抱えてこの返却をしていかなくてはいけないと。その中で県民のニーズは高まってきていると。じゃ、その県民のニーズにこたえるための自主財源なり一般財源なりをどう確保していくのか。従来から三割自治と言われておりまして、収入は三割しかなくて仕事は七割分あるという、ここのところをやはり国と地方自治体の配分を変えていかなくてはいけない。これはもう喫緊の情勢だと思うんです。そのことが、知事が言われるように、地方財政を縮小すると、切り刻んでいくという中での税源移譲であれば、これは何にもならないと思うんですね。だから、自主財源の確保、独自にいろんな自主財源をつくるということも地方自治体の責任になってきますけれども、やはり一般財源を国の税源移譲の中でどう確保していくのかということが最大の課題だと思うんです。そういう点でも力を尽くしていただきたいと思うんですが、そういう中で県独自の行政の中身の見直しというのも当然必要になってくるだろうと思うんですね。そういう中で県民生活、今非常に厳しい中で最大限努力をして、経済活性化の問題であるとか、雇用対策の問題であるとか、さまざまな行政課題があるわけですが、県民生活を擁護するという立場でぜひ予算編成に取り組んでいただきたい。また新年度の予算を見て、それでまた判断をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをしておきます。
 終わります。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十分休憩
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