平成15年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時三分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から、監査の結果報告がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次に、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百七十一号から議案第百七十九号まで】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、ただいま報告の議案第百七十一号から議案第百七十九号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案についてご説明を申し上げます。
 今回追加提出いたしました議案第百七十一号から第百七十九号は、去る十月八日の県人事委員会からの職員の給与等に関する報告及び勧告に基づく給与改定の実施に伴う給与関係経費等について所要の措置を講ずるものであり、一般会計で四十億四千三百万円余の減額、特別会計で五億三千四百万円余の減額の補正予算を計上いたしております。
 なお、議案第百七十一号は、広川町柳瀬における硫酸ピッチ不法投棄事案の代執行に要する経費九百万円余をあわせて計上いたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(尾崎要二君) 以上で、当局の説明が終わりました。
  【日程第二 議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに報第八号】
  【日程第三 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第二、議案第百四十九号、議案第百五十七号から議案第百七十号まで、並びに知事専決処分報告報第八号、及び追加提出議案議案第百七十一号から議案第百七十九号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 三番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 皆さん、おはようございます。
 今回、質問者のトップを切りましてこの壇上に上げていただきましたことを、先輩・同僚の皆さん方に心から感謝申し上げます。そして今、議長から質問のお許しをいただきました。
 質問に入る前に、先日イラクにおいて二人の日本人外交官が襲撃をされ、とうとい命を亡くしました。悲しみや怒りとともに、心からご冥福をお祈りいたすものであります。この事件により、日本の国際貢献が腰砕けにならないよう思いをめぐらせながら、イラクの一日も早い復興と平和で安全な国づくりを願ってやみません。
 もう一点、私は少し怒りを持ってお話をさせていただきたいと思います。さきの九月議会において、私たちは教育基本法の改正を求める意見書を採択いたしました。すると同時に、自由民主党県議団あてに意見書採択に反対する抗議のメール、ファクス、手紙などが殺到いたしました。翌日には電報も届きました。これらは、すべて同じ団体の県内の支部からであります。また、次の日からは議員の自宅あてに抗議の手紙やファクスが届いたのであります。私たちは、以前より教育の重要性を訴え、子供たちは日本の宝であるという観点から議論をしてきました。これからも、よりよい教育を目指し、知恵を出して汗をかいていくのです。県民に選ばれた議員として、勇気を持って議論をし、決断をしたことに対し、何をもって抗議をするのか。この行動に対し抗議をしたいのはこちらの方ではないでしょうか。怒っているのは私だけでしょうか。そう思いませんか。少し気分を落ちつかせて質問に入ります。
 まず初めに、平成十六年度の当初予算編成と三位一体改革を踏まえた今後の財政運営についてお尋ねをいたします。
 ことしも残すところ一カ月を切りました。平成十五年も、和歌山県を取り巻く経済環境は非常に厳しいものがあったと思っております。国は、さきの月例経済報告の中で、景気は持ち直しているとの基調判断を示しましたが、知事も言っているように、海外経済の動向など注意すべき点も含んでおり、地域や業種によってばらつきも見られる中、地方経済や中小企業の状況を見る限りデフレ不況を抜け出せなく、景気が持ち直しているという実感を感じるにはまだまだ遠いように感じるのが実情ではないでしょうか。
 知事は、平成十五年度予算において、人件費や公債費などの義務的経費を削り、道路事業などの社会資本整備を初めとする政策的経費の確保に努め、緑の雇用やIT関連企業の誘致、観光振興、また科学技術開発など県勢活性化に向けて積極的に取り組んでおられますが、県財政の厳しい中にあっても、県民は県勢の活性化を期待し、今後ともこれにこたえていくことが県政の責務であると考えます。
 このような中において知事は、平成十六年度の当初予算において、本県が豊かで持続的な発展を遂げていくため、県政の喫緊の課題や新たな行政需要に対応した施策の選択と集中による重点化を図る一方、県民との協働を進めながら、地方分権の時代にふさわしい自主・自立の和歌山新時代に向けた予算編成に取り組むと述べられています。
 ここで改めて、十六年度予算編成に当たっての知事の基本的な考えを伺っておきたいと思います。
 さらに、県勢の持続的発展を図っていく上で不可欠の要因となるのは、将来にわたっての県財政の健全性の確保です。県政に関する諸問題に加え、特に十六年度の国の予算編成作業の中で具体的な動きを始めている三位一体改革は、国からの依存財政に多くを頼ってきた本県財政にとって非常に大きなインパクトを与えるものだと考えます。地方財政を取り巻く大きなうねりの中、本県の財政を考えたとき、知事は今後どのようにそのかじ取りを進めていくおつもりか、基本姿勢についてあわせてお尋ねいたします。
 次に、コスモパーク加太にかかわることについてお尋ねをいたします。
 コスモパーク加太にかかわる県土地開発公社の借入金の問題につきましては、県議会においても対策検討委員会を設置し、県政の最重要課題と位置づけ、県民を代表する立場から取り組んでまいりました。私も委員の一人として参加する中、本問題は過去の清算ではあるものの、未来の和歌山を築く上で避けては通れない重要課題であり、私なりによい方策はないかと考えていました。県土地開発公社においては、去る七月二十三日、金融機関を相手方として和歌山地方裁判所に特定調停を申し立て、県も利害関係人として参加する中、八月五日から十一月十八日までの間、九回にわたる調停が行われ、十一月二十五日に和歌山地方裁判所において調停に代わる決定がなされたところであります。そこで、今回の決定について知事の所見を伺いたいと思います。
 裁判所の決定内容を見てみると、借入金四百三十八億円は、県が債務保証する部分、公社みずからが賃貸事業による収入から返済する部分、そして公社と金融機関との間で公社所有の土地に根抵当権を設定する部分となっており、返済期限は三十年間、金利については四年間の免除を設け、五年目に〇・六%という現行金利よりも減免された内容になっております。これは、さきの検討委員会における、公社、県、金融機関の三者がそれぞれ応分の負担を分かち合い、協調することで解決すべきとの報告をかんがみたとき、本決定の中で金融機関にも公社再建に一定の負担を求めた結果と思います。一方、県については、検討委員会においてのコスモパーク加太に係る事業に関して、県は主導的な役割を果たしてきており、公社に対して県にも責任があると議論があったことに対し、二百六十五億円の債務保証をすることとされておりますが、この債務保証についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 また、本決定により公社の金融機関からの借入金問題については一定の解決が図られたものの、県が公社から借り受けるコスモパーク加太の土地をどのように整備し、どのような利活用を図っていくかが今後の県政にとって極めて重要な命題であると考えます。今後の土地の利活用についてお答えをいただきたいと思います。
 以上、三点を知事に伺います。
 次に、関連してカゴメ株式会社の誘致についてであります。
 今まで、コスモパーク加太の土地活用については、幾つかの企業誘致の話もありました。今まさに具体化しようとしているのがトマト栽培のカゴメの誘致であると考えます。この誘致が実現すると約三百人の雇用が見込まれ、厳しい雇用状況が続く中、一つの光として非常に期待できるものであると考えますし、トマト生産工場立地に伴う地域活性化への効果も考えられることから、ぜひとも実現を望むものであります。しかし、実現に向けて協議を進める中で、課題の一つに水の問題があると聞いております。二十ヘクタールの温室で使用するトマトの養液栽培用の水をいかに確保するか。
 そこで、企画部長にお尋ねいたします。
 カゴメの立地による雇用の発生、地元での資材調達など考えられますが、和歌山県の経済に与える波及効果をどの程度見込んでいるのか、またトマト生産に必要不可欠である水確保の課題をどのように解決されるおつもりか、さらに工場の操業開始はいつごろを目指しているのか、ご答弁をいただきたいと思います。
 第三問といたしまして、今後の高速道路整備についてお尋ねをいたします。
 十二月十四日、念願の御坊─南部間が開通されます。これを弾みにさらに南伸をし、紀伊半島を一周する近畿自動車道紀勢線は、県勢浮揚のための最重要課題であります。しかし一方で、道路公団民営化の議論が、来年の通常国会への民営化法案提出に向け大詰めを迎えようとしております。その結果次第では、今後の県内における高速道路整備に大きく影響するものと思われます。先週末に道路関係四公団民営化に関する政府・与党協議会が開催され、民営化の具体的な枠組み案と、高速道路の整備計画のうち残区間について必要性の評価結果が公表されました。基本的な枠組み案の中には、昨年末に出された今後の高速道路建設を著しく抑制した民営化推進委員会意見書の案に加え、今後の建設の可能性を残す二案が提示をされました。また、十二月中に開催される国土開発幹線自動車道建設会議で新直轄方式を導入する区間が決定されると聞いています。
 こうした状況を踏まえ、本県の高速道路のあり方や今後の取り組みについて知事の考えをお尋ねいたします。
 県土整備部長には、新直轄方式の説明を求めるとともに、民営化の基本的な枠組み案と高速道路の評価結果に対する認識、今後の民営化の見通しをお聞きいたします。
 関連して、六月議会において私が質問をいたしました和歌山北インターについて、県と和歌山市の政策課題を調整する県・市政策連携会議がございますが、そんなものなどに取り上げていただき、取り組んでいただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。お答えください。
 次に、イラク特措法などで揺れる自衛隊に関する質問であります。
 皆さんも新聞等の報道によりご承知のことと思いますが、美浜町における自衛隊の訓練について質問をいたします。
 美浜町にある陸上自衛隊和歌山駐屯地の第三〇三施設隊は、昭和二十八年の水害を契機として、日高川流域を中心に災害復旧の拠点として、昭和三十七年に和歌山分屯地として駐留を始めたと聞いています。この第三〇三施設隊が平成十五年度末をもって第三〇四水際障害中隊に改編され、それにあわせて同第三〇四水際障害中隊及び東部方面隊の水際障害中隊が対舟艇用水際地雷の施設訓練等を煙樹ケ浜で実施しようと計画しているものであります。計画では、実際の火薬は使用しないとのことですが、年間八十日程度、煙樹ケ浜海岸を排他的に占用することになりますので、漁業関係者や地元住民の生活に大きな影響を及ぼすと考えられます。
 そこで、この問題について知事はどのように考えているのか、お尋ねいたします。
 また、当自衛隊は、今回の改編に伴い、所期の目的である災害復旧などの機能が失われるのではないかと危惧いたしております。その点について、総務部長の見解をお聞きいたします。
 最後の質問であります。去る十一月二十六日、本県教育委員会が全国で初めて県下一斉に約六万三千人の児童生徒を対象に学力診断テストを実施いたしました。私は、この施策を評価するとともに、今後よりよい方向に進めるべく質問をしたいと思います。
 昨今、子供たちの学力について、一部大学教授やマスコミにおいて学力低下が叫ばれております。世界的な成績の数値においても、数字にあらわれているところも多く見られるようであります。国際化や情報化、バブル崩壊後の経済的な停滞の中、子供たちは将来の夢や明確な目的を持つことができず、学ぶことの目的意識も見失い、みずから学ぼうとする意欲が低下しているような深刻な状況にあると考えます。戦後、私たちは驚異的な経済成長を遂げてまいりました。それをなし遂げたのには、教育に負うところが大いにあると考えます。しかし、新聞やマスコミをにぎわせている子供たちを取り巻く事件・事故は、今まででは考えられない悲惨なことばかりであります。今回の統一テストは、原点に戻る一つの方法として、学校も家庭も、そして子供たち自身も現状を再認識し、実態を把握するための方策としては、私は評価されるべきものと考えています。まず、原点に戻ることから始め、そこからさまざまな施策を行うことは、県民の信頼にこたえるものとして重要なことであると考えます。ただ、注意すべき点は、得点至上主義であってはならないということであり、どんな子供でも限りない可能性を秘めていることを忘れないでいただきたいと思っています。
 そこで、教育長に質問いたします。
 今回実施された学力診断テストの全般的な意義についてお答えください。
 次に、今回の結果は学校ごとに公表されると聞いています。その意図するところをご説明願います。
 最後に、学力診断テストの結果を、和歌山県の教育のために今後どう活用されるのかお尋ねし、私の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず初めに十六年度予算編成に当たっての考え方についてでございますが、本県経済は構造的要因もあって、なお厳しいものがあると認識しており、ご指摘のように、県民の皆さん方からも県政に対する期待は非常に大きなものがあると、このように受けとめております。
 その中で十六年度予算をどうしていくのかということでございますが、県財政の限られた、しかも脆弱な歳入構造の中で、いかに県政緊要の課題にこたえていくかということで、まず第一といたしましては、予算配分の重点化を図っていこうということでございます。歳出全体にわたる徹底した見直しを行う中で、当面の景気・雇用情勢を踏まえながら、緑の雇用など山村、農漁村の活性化対策、東南海・南海地震に備えた防災対策、世界遺産登録を契機とする観光振興、社会活力を導き出し、将来の発展につながる分野へのてこ入れなど、直面する課題や新たな行政需要に対して徹底した選択と集中を図ってまいりたいと考えております。
 また、限られた財政資金を有効活用していくためには、巷間言われている行政の高コスト体質、これを変えていく必要があると、このように考えております。高コストをもたらしている要因を分析し、これを改善するとともに、地域独自の創意と工夫により最少の経費で最大の効果、地域にふさわしい形での成果の発現を目指してまいりたいと考えております。
 加えて、これまでのように、すべてを行政の範囲だけで考えて実施するのではなくて、行政の守備範囲を見直していく中で、NPOなど地域づくりに活躍している県民グループとの協働や、民間活力の導入などを積極的に進めていくことがこれからの自治体経営にとって極めて重要であると考えております。
 来年度予算の編成に当たっては、このような基本的な考えのもとに取り組んでまいりたいと考えておりますけれども、何にも増して重要なのは、企業感覚を持って事に当たるということであり、形より実と質、実質を追求し、成果主義に基づいた通年予算の考え方を一層徹底してまいる所存でございます。
 次に、三位一体の改革など財政環境が激動している中で本県財政をどういうふうに運営していくかということでございますけれども、この三位一体の改革は、戦後続いてきた地方財政の枠組みを根底から見直すものであり、その帰趨いかんによっては地方自治の姿そのものを変えていくというものであると認識をいたしております。目下いろいろと議論されているところでございますが、現時点ではこれが本県財政にどのように影響するかということについてはなかなか見通しがききにくいというふうな状況であるわけでございますけれども、いずれにせよ大変大きなインパクトを持つものであるという観点から、注意深く真剣にこの問題に対応していくということでございます。
 この三位一体の改革、本質論としては、自主・自立の地方主権というものを確立し、負担と行政サービス水準を県民自身が決定するという財政運営本来の姿を実現しようとするものであり、日本社会のあり方としてこの方向に行くべきものであるというふうに私自身は考えているところでございます。したがって、本県の行財政運営についても、このような認識のもとに、新たな時代を勝ち抜ける強靱な体質の県政づくりを進めていかなければならないというふうに思っております。このためには、行政の内部努力による合理化、効率化はもとより、国、県、合併後を視野に入れた市町村との行政各レベルにおける責任領域の見直し、右肩上がりの経済成長下に膨張してきた行政依存体質からの脱却、創意工夫による地域の実情に合った事業展開、さらには価値観やニーズの多様化にきめ細かく効率的にこたえていくためのNPO等民間部門との協働のシステムを構築していく必要がございます。私は、こういうふうな認識のもとに、県民各位にも意識の変革を求め、中長期的視野に立った行財政運営のかじ取りをしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
 次に、コスモパーク加太についてのご質問でございます。
 まず調停に代わる決定についてでございますが、県土地開発公社の金融機関からの借入金問題に係る特定調停につきましては、県は利害関係人として参加をし、県民の利益を第一に主張を行うとともに、公社再建に対する支援の観点から主張を行ってきたところでございます。
 調停では、金融機関もそれぞれの立場や考えに基づいて主張し、県と金融機関の主張の隔たりのため、これは非常に難航いたしました。そして、当事者間における合意が困難な状態になっていたということでございますけれども、しかしながら、県、そして公社、金融機関ともこの問題の解決については強い意向を持っているということで、この共通の意向を持っているということを裁判所に伝えていたところ、和歌山地方裁判所において、調停に代わる決定がなされたところでございます。決定の内容につきましては、詳細にわたり検討を行いましたが、この内容は、これまで県が調停委員会において主張してきたものが受け入れられたものとなっており、内容的には妥当なものであると考えております。
 次に債務保証についてでございますが、今回の債務保証については、県はコスモパーク加太対策検討委員会からの報告を踏まえ、金融機関からの借入金について県が保証できる範囲は必要最小限度に限られると調停委員会において主張していたところ、裁判所の決定においてもこの主張が理解され、公社の新規の借入金四百三十八億一千五百三十万円のうち二百六十五億円について県が債務保証を行うべきであるというふうにされたものでございます。加太事業については、検討委員会報告において指摘されたとおり、国家プロジェクトである関西国際空港の埋め立て用土砂の搬出を伴う地域整備事業であり、県政の重要課題として、県が土砂採取事業を誘致するなど主導的な役割を果たしてきた事業でございます。県が公社に代行させた土砂採取事業費は未清算であり、今後県が清算すべき額、方法、時期等は現時点では確定していないものの、本事業の性格、過去の経緯等にかんがみて、県の責任は少なくとも今回裁判所が決定した債務保証額である二百六十五億円を下回ることはないものと考えられますので、今回の決定における債務保証についてはやむを得ないものと考えております。
 次に今後の土地の利活用でございますが、コスモパーク加太の土地については、今後とも県にとって重要であるという認識のもとに、検討委員会からの報告も踏まえ、土地の利活用を図ってまいりたいと考えております。具体的には、喫緊の課題となっております東南海・南海地震などの大規模災害時における応援要員の集結場所であるとか、救援物資の集積地、仮設住宅用地など防災対策の用地とする一方で、平時には広場として開放し、県民の皆様に活用していただけるように整備し、利用を図るとともに、並行して本県活性化の起爆剤となるべく企業誘致にも全力を傾注して取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 次に高速道路の整備についてでございますけれども、高速道路の整備については、議員各位もご存じのように今大きく動いておりまして、九千三百四十二キロ、これを全部どういう形でやっていくのか、それとも一部はもうやめてしまうのか、まあ先送りにするのかというふうなことで今かんかんがくがく国の方でいろいろ検討がなされているところでございます。和歌山県にとりましては、高速道路の南伸、そして紀伊半島をめぐるということは、これは交通量のいかんにかかわらず、地域の発展にとっては欠くことができないものであるというふうな認識を持っておりまして、今度新たに新直轄方式という税金でやっていく、地方の負担も入れてやっていく方式と、それからもう一つは公団にかわる新しい会社がどれぐらいやれるのかということが問題になっているわけでございます。
 いずれにしても、和歌山県の整備計画区間についてはこれを何とか実現するように、これは県議会と一緒になっていろんな形で働きかけていきたい。今月中にも、また私も県議会と一緒になってそういうふうな要望活動をしていきたいと思いますが、非常に今大事な時期になっておりますので、これは頑張っていきたいと、このように考えているところでございます。
 次に、自衛隊の水際地雷敷設訓練についての質問でございます。
 私といたしましては、国防の政策は、外交、通商政策などと並んで国の担当する──私は、国の仕事と地方の仕事をきっちり分けて、地方のことは地方に任せなさい、国のことはもっと真剣に国がやりましょうという考え方に立っているんですけれども、その中で国の担当する一番基本的な業務の一つであるという認識を持っており、地方公共団体としてもこれに対して一定の協力をしていくということは必要であるというふうな基本的な認識に立っているところでございます。
 しかしながら、今回の自衛隊の改編及び訓練につきましては、この地域の漁業への影響が考えられます。それからまた、当該地域の周辺には松林の裏に人家、そして松林の中に病院、学校等も存在しており、さらにはこの地域は県内でも有数の景勝地となっており、たくさんの観光客が訪れる場所でもありますので、住民生活、そして観光等への影響、これを国が十分に考慮して地元の理解を得ることがまず肝要であると、このように考えております。
 現在、大阪防衛施設局から概要説明がなされているところですが、県としては美浜町や関係者の意見等も踏まえながら、海岸法を初め各種許可手続の中で対応してまいりたいと、このように考えております。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) カゴメ株式会社の誘致に関連してのご質問にお答えいたします。
 まずトマト生産工場の実現による経済波及効果でございますが、財団法人和歌山社会経済研究所の推計では、温室の建設、企業運営に伴う資材調達などの製造関係費、雇用者の所得などで約二十年間で約五百八十三億円に上るとの報告を受けており、地域の活性化に大きく寄与するものと考えてございます。
 次に養液栽培に使用する水の確保についてでございますが、カゴメ株式会社との間で種々方法を協議する中で、二十ヘクタールの温室を利用して雨水を貯水し、それを再利用するとともに、コスモパーク加太の湧出水、上水を合わせて使用し、必要水量を確保することとしてございます。
 次に操業開始の時期についてでございますが、県としましては一日も早い時期を目指し、カゴメ株式会社と協議する中で、会社は温室を三期に分けて決定し、早ければ平成十七年八月からこの温室でのトマト生産を開始する計画と聞いてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 道路公団民営化の基本的な枠組み案と高速道路の評価結果についての認識、今後の民営化の見通しについてでありますが、先週公表されました基本的な枠組み案の中には、昨年末に出された民営化推進委員会意見書に沿った高速道路建設を著しく抑制する案に加え、既存ネットワークからの料金収入を活用して今後の建設の可能性を残す二案が提示されております。また、高速道路の残区間に係る必要性の評価結果については、本県の近畿自動車道紀勢線の南部─白浜の区間がAからDランクのうちのBランク、白浜─すさみの区間がBランク、ケースによってはCランクという評価が示されております。
 なお、新直轄方式につきましては、先ほど知事の答弁にもありましたように、交通量が少ないなど有料制度がなじみにくい区間などで必要な整備を行うため、一部地方負担を伴い、新たな国の直轄道路事業として今年度から導入される整備手法であります。今後、国は、今回示された評価を踏まえ、各県知事等の意見を聞いた上で、十二月中に開催される予定の国幹会議(国土開発幹線自動車道建設会議)の議を経て、新直轄方式を導入する区間を一部選定することになると聞いております。今後決定される民営化の枠組みいかんによっては、今回示された評価がたとえAランクであっても整備されるとは限らない状況であり、今後の政府・与党協議会などの国の動きを注視し、適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に和歌山北インターについてでありますが、新たにインターチェンジを設置するには町づくりに資することがその要件となっているため、和歌山市が取り組む町づくりを前提に、和歌山市内の広域的な交通体系の中での必要性、可能性などについて検討する必要があると考えます。このため、議員ご提案の趣旨を踏まえ、今後和歌山市と十分調整を図りながら検討を進めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 自衛隊の改編と災害対応との関係についてお答えを申し上げます。
 防衛施設局からは、第三〇三施設隊が第三〇四水際障害中隊に改編されても部隊規模は現在と同程度であり、人命救助システム、ブルドーザー、油圧ショベル等の機材も有しているので災害派遣に対応できる能力を引き続き保有することに加えまして、大規模災害時には和歌山駐屯地だけではなく中部方面隊として対処することとしており、災害時の対応能力が低下することはないようにするというふうに聞いているところでございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 先ごろ、県内のすべての国公立小中学校を対象にして実施しました学力診断テストについてお答えいたします。
 まず実施の意義としましては、小中学生の学力の定着状況がどのようなものであるか、原点に立ち返ってできるだけ正確にこれを把握し、指導上の課題に対して具体的にその手だてを講じることにより、児童生徒の学力水準を一層向上させることを目指す点に置いております。
 テストの結果は、問題ごとの正答率を原則として地方別、市町村別、学校別に公表することとしております。そのねらいは、各学校が近隣あるいは県内の学校の結果を参考にして、今までの成果と課題をより具体的に分析することにより、今後の取り組みに有効に生かすことができるようにするものであります。また、このことにより、保護者や地域の方々にとって身近で関心の高い教育情報が得られることとなり、学校と連携を深め、開かれた学校づくりを推進する意味から有意義なものとなることを期待しております。
 教育委員会といたしましては、本年度中に指導方法改善の事例を報告書にまとめ、各学校に配付するとともに、教職員の研修や配置を含めた今後の総合的な教育施策に反映させてまいる考えであります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。

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