平成15年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十五年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
 平成十五年十二月五日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第百七十一号から議案第百七十九号まで(当局説明)
  第二 議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに報第八号(質疑)
  第三 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百七十一号から議案第百七十九号まで(当局説明)
   二 議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに報第八号(質疑)
   三 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十八 番       山   下   大   輔
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       木   下   善   之
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       浦   口   高   典
     二十六番       藤   山   将   材
     二十七番       原       日 出 夫
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       野 見 山       海
     三十 番       冨   安   民   浩
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       阪   部   菊   雄
     三十三番       花   田   健   吉
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       前   川   勝   久
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       中   村   裕   一
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     十七 番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         垣   平   高   男
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から、監査の結果報告がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次に、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百七十一号から議案第百七十九号まで】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、ただいま報告の議案第百七十一号から議案第百七十九号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案についてご説明を申し上げます。
 今回追加提出いたしました議案第百七十一号から第百七十九号は、去る十月八日の県人事委員会からの職員の給与等に関する報告及び勧告に基づく給与改定の実施に伴う給与関係経費等について所要の措置を講ずるものであり、一般会計で四十億四千三百万円余の減額、特別会計で五億三千四百万円余の減額の補正予算を計上いたしております。
 なお、議案第百七十一号は、広川町柳瀬における硫酸ピッチ不法投棄事案の代執行に要する経費九百万円余をあわせて計上いたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(尾崎要二君) 以上で、当局の説明が終わりました。
  【日程第二 議案第百四十九号及び議案第百五十七号から議案第百七十九号まで、並びに報第八号】
  【日程第三 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第二、議案第百四十九号、議案第百五十七号から議案第百七十号まで、並びに知事専決処分報告報第八号、及び追加提出議案議案第百七十一号から議案第百七十九号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 三番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 皆さん、おはようございます。
 今回、質問者のトップを切りましてこの壇上に上げていただきましたことを、先輩・同僚の皆さん方に心から感謝申し上げます。そして今、議長から質問のお許しをいただきました。
 質問に入る前に、先日イラクにおいて二人の日本人外交官が襲撃をされ、とうとい命を亡くしました。悲しみや怒りとともに、心からご冥福をお祈りいたすものであります。この事件により、日本の国際貢献が腰砕けにならないよう思いをめぐらせながら、イラクの一日も早い復興と平和で安全な国づくりを願ってやみません。
 もう一点、私は少し怒りを持ってお話をさせていただきたいと思います。さきの九月議会において、私たちは教育基本法の改正を求める意見書を採択いたしました。すると同時に、自由民主党県議団あてに意見書採択に反対する抗議のメール、ファクス、手紙などが殺到いたしました。翌日には電報も届きました。これらは、すべて同じ団体の県内の支部からであります。また、次の日からは議員の自宅あてに抗議の手紙やファクスが届いたのであります。私たちは、以前より教育の重要性を訴え、子供たちは日本の宝であるという観点から議論をしてきました。これからも、よりよい教育を目指し、知恵を出して汗をかいていくのです。県民に選ばれた議員として、勇気を持って議論をし、決断をしたことに対し、何をもって抗議をするのか。この行動に対し抗議をしたいのはこちらの方ではないでしょうか。怒っているのは私だけでしょうか。そう思いませんか。少し気分を落ちつかせて質問に入ります。
 まず初めに、平成十六年度の当初予算編成と三位一体改革を踏まえた今後の財政運営についてお尋ねをいたします。
 ことしも残すところ一カ月を切りました。平成十五年も、和歌山県を取り巻く経済環境は非常に厳しいものがあったと思っております。国は、さきの月例経済報告の中で、景気は持ち直しているとの基調判断を示しましたが、知事も言っているように、海外経済の動向など注意すべき点も含んでおり、地域や業種によってばらつきも見られる中、地方経済や中小企業の状況を見る限りデフレ不況を抜け出せなく、景気が持ち直しているという実感を感じるにはまだまだ遠いように感じるのが実情ではないでしょうか。
 知事は、平成十五年度予算において、人件費や公債費などの義務的経費を削り、道路事業などの社会資本整備を初めとする政策的経費の確保に努め、緑の雇用やIT関連企業の誘致、観光振興、また科学技術開発など県勢活性化に向けて積極的に取り組んでおられますが、県財政の厳しい中にあっても、県民は県勢の活性化を期待し、今後ともこれにこたえていくことが県政の責務であると考えます。
 このような中において知事は、平成十六年度の当初予算において、本県が豊かで持続的な発展を遂げていくため、県政の喫緊の課題や新たな行政需要に対応した施策の選択と集中による重点化を図る一方、県民との協働を進めながら、地方分権の時代にふさわしい自主・自立の和歌山新時代に向けた予算編成に取り組むと述べられています。
 ここで改めて、十六年度予算編成に当たっての知事の基本的な考えを伺っておきたいと思います。
 さらに、県勢の持続的発展を図っていく上で不可欠の要因となるのは、将来にわたっての県財政の健全性の確保です。県政に関する諸問題に加え、特に十六年度の国の予算編成作業の中で具体的な動きを始めている三位一体改革は、国からの依存財政に多くを頼ってきた本県財政にとって非常に大きなインパクトを与えるものだと考えます。地方財政を取り巻く大きなうねりの中、本県の財政を考えたとき、知事は今後どのようにそのかじ取りを進めていくおつもりか、基本姿勢についてあわせてお尋ねいたします。
 次に、コスモパーク加太にかかわることについてお尋ねをいたします。
 コスモパーク加太にかかわる県土地開発公社の借入金の問題につきましては、県議会においても対策検討委員会を設置し、県政の最重要課題と位置づけ、県民を代表する立場から取り組んでまいりました。私も委員の一人として参加する中、本問題は過去の清算ではあるものの、未来の和歌山を築く上で避けては通れない重要課題であり、私なりによい方策はないかと考えていました。県土地開発公社においては、去る七月二十三日、金融機関を相手方として和歌山地方裁判所に特定調停を申し立て、県も利害関係人として参加する中、八月五日から十一月十八日までの間、九回にわたる調停が行われ、十一月二十五日に和歌山地方裁判所において調停に代わる決定がなされたところであります。そこで、今回の決定について知事の所見を伺いたいと思います。
 裁判所の決定内容を見てみると、借入金四百三十八億円は、県が債務保証する部分、公社みずからが賃貸事業による収入から返済する部分、そして公社と金融機関との間で公社所有の土地に根抵当権を設定する部分となっており、返済期限は三十年間、金利については四年間の免除を設け、五年目に〇・六%という現行金利よりも減免された内容になっております。これは、さきの検討委員会における、公社、県、金融機関の三者がそれぞれ応分の負担を分かち合い、協調することで解決すべきとの報告をかんがみたとき、本決定の中で金融機関にも公社再建に一定の負担を求めた結果と思います。一方、県については、検討委員会においてのコスモパーク加太に係る事業に関して、県は主導的な役割を果たしてきており、公社に対して県にも責任があると議論があったことに対し、二百六十五億円の債務保証をすることとされておりますが、この債務保証についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 また、本決定により公社の金融機関からの借入金問題については一定の解決が図られたものの、県が公社から借り受けるコスモパーク加太の土地をどのように整備し、どのような利活用を図っていくかが今後の県政にとって極めて重要な命題であると考えます。今後の土地の利活用についてお答えをいただきたいと思います。
 以上、三点を知事に伺います。
 次に、関連してカゴメ株式会社の誘致についてであります。
 今まで、コスモパーク加太の土地活用については、幾つかの企業誘致の話もありました。今まさに具体化しようとしているのがトマト栽培のカゴメの誘致であると考えます。この誘致が実現すると約三百人の雇用が見込まれ、厳しい雇用状況が続く中、一つの光として非常に期待できるものであると考えますし、トマト生産工場立地に伴う地域活性化への効果も考えられることから、ぜひとも実現を望むものであります。しかし、実現に向けて協議を進める中で、課題の一つに水の問題があると聞いております。二十ヘクタールの温室で使用するトマトの養液栽培用の水をいかに確保するか。
 そこで、企画部長にお尋ねいたします。
 カゴメの立地による雇用の発生、地元での資材調達など考えられますが、和歌山県の経済に与える波及効果をどの程度見込んでいるのか、またトマト生産に必要不可欠である水確保の課題をどのように解決されるおつもりか、さらに工場の操業開始はいつごろを目指しているのか、ご答弁をいただきたいと思います。
 第三問といたしまして、今後の高速道路整備についてお尋ねをいたします。
 十二月十四日、念願の御坊─南部間が開通されます。これを弾みにさらに南伸をし、紀伊半島を一周する近畿自動車道紀勢線は、県勢浮揚のための最重要課題であります。しかし一方で、道路公団民営化の議論が、来年の通常国会への民営化法案提出に向け大詰めを迎えようとしております。その結果次第では、今後の県内における高速道路整備に大きく影響するものと思われます。先週末に道路関係四公団民営化に関する政府・与党協議会が開催され、民営化の具体的な枠組み案と、高速道路の整備計画のうち残区間について必要性の評価結果が公表されました。基本的な枠組み案の中には、昨年末に出された今後の高速道路建設を著しく抑制した民営化推進委員会意見書の案に加え、今後の建設の可能性を残す二案が提示をされました。また、十二月中に開催される国土開発幹線自動車道建設会議で新直轄方式を導入する区間が決定されると聞いています。
 こうした状況を踏まえ、本県の高速道路のあり方や今後の取り組みについて知事の考えをお尋ねいたします。
 県土整備部長には、新直轄方式の説明を求めるとともに、民営化の基本的な枠組み案と高速道路の評価結果に対する認識、今後の民営化の見通しをお聞きいたします。
 関連して、六月議会において私が質問をいたしました和歌山北インターについて、県と和歌山市の政策課題を調整する県・市政策連携会議がございますが、そんなものなどに取り上げていただき、取り組んでいただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。お答えください。
 次に、イラク特措法などで揺れる自衛隊に関する質問であります。
 皆さんも新聞等の報道によりご承知のことと思いますが、美浜町における自衛隊の訓練について質問をいたします。
 美浜町にある陸上自衛隊和歌山駐屯地の第三〇三施設隊は、昭和二十八年の水害を契機として、日高川流域を中心に災害復旧の拠点として、昭和三十七年に和歌山分屯地として駐留を始めたと聞いています。この第三〇三施設隊が平成十五年度末をもって第三〇四水際障害中隊に改編され、それにあわせて同第三〇四水際障害中隊及び東部方面隊の水際障害中隊が対舟艇用水際地雷の施設訓練等を煙樹ケ浜で実施しようと計画しているものであります。計画では、実際の火薬は使用しないとのことですが、年間八十日程度、煙樹ケ浜海岸を排他的に占用することになりますので、漁業関係者や地元住民の生活に大きな影響を及ぼすと考えられます。
 そこで、この問題について知事はどのように考えているのか、お尋ねいたします。
 また、当自衛隊は、今回の改編に伴い、所期の目的である災害復旧などの機能が失われるのではないかと危惧いたしております。その点について、総務部長の見解をお聞きいたします。
 最後の質問であります。去る十一月二十六日、本県教育委員会が全国で初めて県下一斉に約六万三千人の児童生徒を対象に学力診断テストを実施いたしました。私は、この施策を評価するとともに、今後よりよい方向に進めるべく質問をしたいと思います。
 昨今、子供たちの学力について、一部大学教授やマスコミにおいて学力低下が叫ばれております。世界的な成績の数値においても、数字にあらわれているところも多く見られるようであります。国際化や情報化、バブル崩壊後の経済的な停滞の中、子供たちは将来の夢や明確な目的を持つことができず、学ぶことの目的意識も見失い、みずから学ぼうとする意欲が低下しているような深刻な状況にあると考えます。戦後、私たちは驚異的な経済成長を遂げてまいりました。それをなし遂げたのには、教育に負うところが大いにあると考えます。しかし、新聞やマスコミをにぎわせている子供たちを取り巻く事件・事故は、今まででは考えられない悲惨なことばかりであります。今回の統一テストは、原点に戻る一つの方法として、学校も家庭も、そして子供たち自身も現状を再認識し、実態を把握するための方策としては、私は評価されるべきものと考えています。まず、原点に戻ることから始め、そこからさまざまな施策を行うことは、県民の信頼にこたえるものとして重要なことであると考えます。ただ、注意すべき点は、得点至上主義であってはならないということであり、どんな子供でも限りない可能性を秘めていることを忘れないでいただきたいと思っています。
 そこで、教育長に質問いたします。
 今回実施された学力診断テストの全般的な意義についてお答えください。
 次に、今回の結果は学校ごとに公表されると聞いています。その意図するところをご説明願います。
 最後に、学力診断テストの結果を、和歌山県の教育のために今後どう活用されるのかお尋ねし、私の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず初めに十六年度予算編成に当たっての考え方についてでございますが、本県経済は構造的要因もあって、なお厳しいものがあると認識しており、ご指摘のように、県民の皆さん方からも県政に対する期待は非常に大きなものがあると、このように受けとめております。
 その中で十六年度予算をどうしていくのかということでございますが、県財政の限られた、しかも脆弱な歳入構造の中で、いかに県政緊要の課題にこたえていくかということで、まず第一といたしましては、予算配分の重点化を図っていこうということでございます。歳出全体にわたる徹底した見直しを行う中で、当面の景気・雇用情勢を踏まえながら、緑の雇用など山村、農漁村の活性化対策、東南海・南海地震に備えた防災対策、世界遺産登録を契機とする観光振興、社会活力を導き出し、将来の発展につながる分野へのてこ入れなど、直面する課題や新たな行政需要に対して徹底した選択と集中を図ってまいりたいと考えております。
 また、限られた財政資金を有効活用していくためには、巷間言われている行政の高コスト体質、これを変えていく必要があると、このように考えております。高コストをもたらしている要因を分析し、これを改善するとともに、地域独自の創意と工夫により最少の経費で最大の効果、地域にふさわしい形での成果の発現を目指してまいりたいと考えております。
 加えて、これまでのように、すべてを行政の範囲だけで考えて実施するのではなくて、行政の守備範囲を見直していく中で、NPOなど地域づくりに活躍している県民グループとの協働や、民間活力の導入などを積極的に進めていくことがこれからの自治体経営にとって極めて重要であると考えております。
 来年度予算の編成に当たっては、このような基本的な考えのもとに取り組んでまいりたいと考えておりますけれども、何にも増して重要なのは、企業感覚を持って事に当たるということであり、形より実と質、実質を追求し、成果主義に基づいた通年予算の考え方を一層徹底してまいる所存でございます。
 次に、三位一体の改革など財政環境が激動している中で本県財政をどういうふうに運営していくかということでございますけれども、この三位一体の改革は、戦後続いてきた地方財政の枠組みを根底から見直すものであり、その帰趨いかんによっては地方自治の姿そのものを変えていくというものであると認識をいたしております。目下いろいろと議論されているところでございますが、現時点ではこれが本県財政にどのように影響するかということについてはなかなか見通しがききにくいというふうな状況であるわけでございますけれども、いずれにせよ大変大きなインパクトを持つものであるという観点から、注意深く真剣にこの問題に対応していくということでございます。
 この三位一体の改革、本質論としては、自主・自立の地方主権というものを確立し、負担と行政サービス水準を県民自身が決定するという財政運営本来の姿を実現しようとするものであり、日本社会のあり方としてこの方向に行くべきものであるというふうに私自身は考えているところでございます。したがって、本県の行財政運営についても、このような認識のもとに、新たな時代を勝ち抜ける強靱な体質の県政づくりを進めていかなければならないというふうに思っております。このためには、行政の内部努力による合理化、効率化はもとより、国、県、合併後を視野に入れた市町村との行政各レベルにおける責任領域の見直し、右肩上がりの経済成長下に膨張してきた行政依存体質からの脱却、創意工夫による地域の実情に合った事業展開、さらには価値観やニーズの多様化にきめ細かく効率的にこたえていくためのNPO等民間部門との協働のシステムを構築していく必要がございます。私は、こういうふうな認識のもとに、県民各位にも意識の変革を求め、中長期的視野に立った行財政運営のかじ取りをしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
 次に、コスモパーク加太についてのご質問でございます。
 まず調停に代わる決定についてでございますが、県土地開発公社の金融機関からの借入金問題に係る特定調停につきましては、県は利害関係人として参加をし、県民の利益を第一に主張を行うとともに、公社再建に対する支援の観点から主張を行ってきたところでございます。
 調停では、金融機関もそれぞれの立場や考えに基づいて主張し、県と金融機関の主張の隔たりのため、これは非常に難航いたしました。そして、当事者間における合意が困難な状態になっていたということでございますけれども、しかしながら、県、そして公社、金融機関ともこの問題の解決については強い意向を持っているということで、この共通の意向を持っているということを裁判所に伝えていたところ、和歌山地方裁判所において、調停に代わる決定がなされたところでございます。決定の内容につきましては、詳細にわたり検討を行いましたが、この内容は、これまで県が調停委員会において主張してきたものが受け入れられたものとなっており、内容的には妥当なものであると考えております。
 次に債務保証についてでございますが、今回の債務保証については、県はコスモパーク加太対策検討委員会からの報告を踏まえ、金融機関からの借入金について県が保証できる範囲は必要最小限度に限られると調停委員会において主張していたところ、裁判所の決定においてもこの主張が理解され、公社の新規の借入金四百三十八億一千五百三十万円のうち二百六十五億円について県が債務保証を行うべきであるというふうにされたものでございます。加太事業については、検討委員会報告において指摘されたとおり、国家プロジェクトである関西国際空港の埋め立て用土砂の搬出を伴う地域整備事業であり、県政の重要課題として、県が土砂採取事業を誘致するなど主導的な役割を果たしてきた事業でございます。県が公社に代行させた土砂採取事業費は未清算であり、今後県が清算すべき額、方法、時期等は現時点では確定していないものの、本事業の性格、過去の経緯等にかんがみて、県の責任は少なくとも今回裁判所が決定した債務保証額である二百六十五億円を下回ることはないものと考えられますので、今回の決定における債務保証についてはやむを得ないものと考えております。
 次に今後の土地の利活用でございますが、コスモパーク加太の土地については、今後とも県にとって重要であるという認識のもとに、検討委員会からの報告も踏まえ、土地の利活用を図ってまいりたいと考えております。具体的には、喫緊の課題となっております東南海・南海地震などの大規模災害時における応援要員の集結場所であるとか、救援物資の集積地、仮設住宅用地など防災対策の用地とする一方で、平時には広場として開放し、県民の皆様に活用していただけるように整備し、利用を図るとともに、並行して本県活性化の起爆剤となるべく企業誘致にも全力を傾注して取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 次に高速道路の整備についてでございますけれども、高速道路の整備については、議員各位もご存じのように今大きく動いておりまして、九千三百四十二キロ、これを全部どういう形でやっていくのか、それとも一部はもうやめてしまうのか、まあ先送りにするのかというふうなことで今かんかんがくがく国の方でいろいろ検討がなされているところでございます。和歌山県にとりましては、高速道路の南伸、そして紀伊半島をめぐるということは、これは交通量のいかんにかかわらず、地域の発展にとっては欠くことができないものであるというふうな認識を持っておりまして、今度新たに新直轄方式という税金でやっていく、地方の負担も入れてやっていく方式と、それからもう一つは公団にかわる新しい会社がどれぐらいやれるのかということが問題になっているわけでございます。
 いずれにしても、和歌山県の整備計画区間についてはこれを何とか実現するように、これは県議会と一緒になっていろんな形で働きかけていきたい。今月中にも、また私も県議会と一緒になってそういうふうな要望活動をしていきたいと思いますが、非常に今大事な時期になっておりますので、これは頑張っていきたいと、このように考えているところでございます。
 次に、自衛隊の水際地雷敷設訓練についての質問でございます。
 私といたしましては、国防の政策は、外交、通商政策などと並んで国の担当する──私は、国の仕事と地方の仕事をきっちり分けて、地方のことは地方に任せなさい、国のことはもっと真剣に国がやりましょうという考え方に立っているんですけれども、その中で国の担当する一番基本的な業務の一つであるという認識を持っており、地方公共団体としてもこれに対して一定の協力をしていくということは必要であるというふうな基本的な認識に立っているところでございます。
 しかしながら、今回の自衛隊の改編及び訓練につきましては、この地域の漁業への影響が考えられます。それからまた、当該地域の周辺には松林の裏に人家、そして松林の中に病院、学校等も存在しており、さらにはこの地域は県内でも有数の景勝地となっており、たくさんの観光客が訪れる場所でもありますので、住民生活、そして観光等への影響、これを国が十分に考慮して地元の理解を得ることがまず肝要であると、このように考えております。
 現在、大阪防衛施設局から概要説明がなされているところですが、県としては美浜町や関係者の意見等も踏まえながら、海岸法を初め各種許可手続の中で対応してまいりたいと、このように考えております。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) カゴメ株式会社の誘致に関連してのご質問にお答えいたします。
 まずトマト生産工場の実現による経済波及効果でございますが、財団法人和歌山社会経済研究所の推計では、温室の建設、企業運営に伴う資材調達などの製造関係費、雇用者の所得などで約二十年間で約五百八十三億円に上るとの報告を受けており、地域の活性化に大きく寄与するものと考えてございます。
 次に養液栽培に使用する水の確保についてでございますが、カゴメ株式会社との間で種々方法を協議する中で、二十ヘクタールの温室を利用して雨水を貯水し、それを再利用するとともに、コスモパーク加太の湧出水、上水を合わせて使用し、必要水量を確保することとしてございます。
 次に操業開始の時期についてでございますが、県としましては一日も早い時期を目指し、カゴメ株式会社と協議する中で、会社は温室を三期に分けて決定し、早ければ平成十七年八月からこの温室でのトマト生産を開始する計画と聞いてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 道路公団民営化の基本的な枠組み案と高速道路の評価結果についての認識、今後の民営化の見通しについてでありますが、先週公表されました基本的な枠組み案の中には、昨年末に出された民営化推進委員会意見書に沿った高速道路建設を著しく抑制する案に加え、既存ネットワークからの料金収入を活用して今後の建設の可能性を残す二案が提示されております。また、高速道路の残区間に係る必要性の評価結果については、本県の近畿自動車道紀勢線の南部─白浜の区間がAからDランクのうちのBランク、白浜─すさみの区間がBランク、ケースによってはCランクという評価が示されております。
 なお、新直轄方式につきましては、先ほど知事の答弁にもありましたように、交通量が少ないなど有料制度がなじみにくい区間などで必要な整備を行うため、一部地方負担を伴い、新たな国の直轄道路事業として今年度から導入される整備手法であります。今後、国は、今回示された評価を踏まえ、各県知事等の意見を聞いた上で、十二月中に開催される予定の国幹会議(国土開発幹線自動車道建設会議)の議を経て、新直轄方式を導入する区間を一部選定することになると聞いております。今後決定される民営化の枠組みいかんによっては、今回示された評価がたとえAランクであっても整備されるとは限らない状況であり、今後の政府・与党協議会などの国の動きを注視し、適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に和歌山北インターについてでありますが、新たにインターチェンジを設置するには町づくりに資することがその要件となっているため、和歌山市が取り組む町づくりを前提に、和歌山市内の広域的な交通体系の中での必要性、可能性などについて検討する必要があると考えます。このため、議員ご提案の趣旨を踏まえ、今後和歌山市と十分調整を図りながら検討を進めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 自衛隊の改編と災害対応との関係についてお答えを申し上げます。
 防衛施設局からは、第三〇三施設隊が第三〇四水際障害中隊に改編されても部隊規模は現在と同程度であり、人命救助システム、ブルドーザー、油圧ショベル等の機材も有しているので災害派遣に対応できる能力を引き続き保有することに加えまして、大規模災害時には和歌山駐屯地だけではなく中部方面隊として対処することとしており、災害時の対応能力が低下することはないようにするというふうに聞いているところでございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 先ごろ、県内のすべての国公立小中学校を対象にして実施しました学力診断テストについてお答えいたします。
 まず実施の意義としましては、小中学生の学力の定着状況がどのようなものであるか、原点に立ち返ってできるだけ正確にこれを把握し、指導上の課題に対して具体的にその手だてを講じることにより、児童生徒の学力水準を一層向上させることを目指す点に置いております。
 テストの結果は、問題ごとの正答率を原則として地方別、市町村別、学校別に公表することとしております。そのねらいは、各学校が近隣あるいは県内の学校の結果を参考にして、今までの成果と課題をより具体的に分析することにより、今後の取り組みに有効に生かすことができるようにするものであります。また、このことにより、保護者や地域の方々にとって身近で関心の高い教育情報が得られることとなり、学校と連携を深め、開かれた学校づくりを推進する意味から有意義なものとなることを期待しております。
 教育委員会といたしましては、本年度中に指導方法改善の事例を報告書にまとめ、各学校に配付するとともに、教職員の研修や配置を含めた今後の総合的な教育施策に反映させてまいる考えであります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行わせていただきます。先ほどの新島議員の質問と一部重複する点があろうかと思いますが、お許しを願いたいと思います。
 まず、新年度予算編成と三位一体の改革についてお尋ねをいたします。
 国、地方自治体とも、来年度予算の具体的な編成作業に入ってきております。十六年度の政府予算では、十五年度水準以下に抑制することを目標に、歳出全般にわたる徹底した見直しと所管を超えた予算配分の重点化、効率化を実施すると、このように言われております。地方財政計画についても、人員、投資的経費、一般行政経費等の徹底した見直しによる歳出規模の抑制をするとともに、地方団体の自助努力を促し、地方交付税総額を抑制すると、このようにも言われているわけです。国と地方自治体との財源配分をめぐる問題が、国、自治体双方の新年度予算編成をめぐって熾烈な駆け引きといいますか、目が離せない、こういう状況になっていると思うんです。その結果というのが県民生活にも大きく影響してまいります。
 県内の経済状況を見てみましても、卸・小売業とも、法人、個人経営を問わず事業所数が減少して、従業員もこの数年間は正社員、パート、臨時を含めても減少となっています。製造業においても同じ状態だと言えます。雇用情勢は引き続き厳しく、有効求人倍率は全国との格差が開いたままであり、依然として〇・五倍を下回った状況で推移をしております。県民の県政に対する各行政分野でのニーズも高まってきておりまして、知事の県民生活擁護の姿勢とそのための地方財政、特に一般財源の拡充を求める姿勢が大変大事だと思うところです。
 そこで、知事の来年度予算編成方針と国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲、三位一体の改革と言われておりますが、地方財政改革について、具体的にどう対応されていこうとしているのかをお尋ねしたいと思います。以下四点、知事にお尋ねをいたします。
 一つは、知事が新年度予算で一番力を入れていきたいと思っていることは何なのか。県政の最重点課題になっていると思うことと、その解決の方向をどのように考えているのかということです。
 二つ目に、知事の予算編成方針の説明の中で、当面の景気・雇用対策にも適切に対応してまいりたいと言われておりましたが、どう進めるつもりなのか。経済状況、雇用環境は、ご承知のように依然として厳しい状況にございます。十五年度の予算の枠を超えて取り組みをする必要があろうかと思うんですが、どのように対応されていくのか。今、県は、新規事業の創出への取り組みやIT関連の事業、また既存産業の振興策、医療や介護などの福祉施策、環境保全の事業、観光振興事業などを通じて、どのぐらいの新たな雇用に結びつけていくことができるのか、こういった事業を通じて雇用創出に向けた具体的な展望を示すことができるのかどうか、この点もお答えを願いたいと思います。
 三つ目に、三位一体の改革を見据えた予算編成をと言われているわけですが、同時に「選択と集中」という言葉も使われておられます。政府の方針が非常に不透明なもとでありますが、これまた財源が確保できなければ歳出の一層の切り詰めが余儀なくされ、住民への公共サービスの低下や住民負担の増大へとつながらないか、こういう懸念もされます。政府が考える国庫補助負担金の削減額は四兆円と言われております。主な中身として、義務教育費国庫負担金と保育所運営費負担金、また国庫補助負担金のカットに対する税源移譲は八割とも七割とも言われているわけですが、こういう義務的経費に係る税源の確保、これは絶対今必要だと思うわけです。これらに対してどのように対応されようとしているのか。あわせて、具体的には来年度の国庫補助負担金の一兆円削減を小泉総理が打ち出しておりますが、今議論がされておるところでございますけれども、生活保護費や児童扶養手当の国庫補助率を四分の三から三分の二に引き下げるということ、また義務教育費国庫負担金の一部の一般財源化、公立保育所の運営費の削減などが言われたりいたしております。いずれにしても、それに見合う財源補てんがなければ地方財政へのしわ寄せとなることは明らかです。ひいては、県民負担に転嫁をされるのではないか。県政への影響が心配されますが、この点は予算編成の中で具体的にどう対応していこうとされているのか。
 四つ目に、この問題の最後ですが、地方交付税のあり方について、具体的にどう対応されていこうとしているのかをお尋ねいたします。現在の地方交付税には、地方自治体の固有の財源という財源保障的な役割と全国的に標準的な行政サービスを確保するという、こういう自治体間の財政調整機能があると思います。国の財政制度審議会が、来年度予算編成での建議の中で、地方交付税の総額の抑制と財源保障機能の廃止を打ち出しています。県下の五十自治体合計の十四年度決算で見てみますと、国庫支出金が三百九十四億円、地方交付税が千二百六十四億円、実に地方交付税の占める一般財源としての役割は大きく、国庫支出金の四倍にもなるわけです。県財政で見てみても、一般会計においても国庫支出金が九百七十七億円、地方交付税が千八百億円と、国庫支出金の倍になっているわけですね。地方交付税が大きな財源になっているというのが現状でもあります。県は、これまで地方税財源の充実のために、地方交付税については交付税率の引き上げ、そういうことを通じて交付税総額の安定的確保を図っていくと、財政運営プログラムの中でそのように言われているわけですけれども、今後どのように対応されていこうとしているのか。
 次に、県土地開発公社の借入金問題とコスモパーク加太の活用についてお尋ねをいたします。
 追加議案の百六十九号、百七十号のコスモパーク加太対策にかかわる議案を中心にお尋ねをいたします。
 知事は、今般の本会議で、本年七月、開発公社が金融機関相手に和歌山地方裁判所に特定調停の申し入れを行い、以後九回の調停が行われ、県は利害関係人として参加をして、県民の利益を第一に主張を行うとともに、公社再建に対する県の支援の観点から主張を行ってきた、こういうふうに言われております。調停は難航し、調停合意は困難ということで、裁判所が調停に代わる決定を下したということです。今議会に、決定の内容は本県にとって妥当なものであるとして決定に応じるということ、あわせてコスモパーク加太の整備にかかわる予算と今後二十年間についての賃借料の債務負担行為とが提案をされています。
 裁判所の決定の主な内容は、県は公社の新規借入金四百三十八億一千五百三十万円のうち二百六十五億円について県が債務保証を行う。県は、公社所有地の一部を賃借し、構造改革特別区域計画などに基づき整備推進をする。公社は、新規借入金を平成四十五年三月三十一日を期限として弁済する。新規借入金のうち六十五億一千五百三十万円は平成三十六年三月末までに返済をし、根抵当権が設定された百八億円については、平成三十六年以降四十五年までに売却し返済をする。売却金額に余剰がある場合は、県が債務保証した分の二百六十五億円の弁済に充てる。こういうふうになっているわけですね。つまり、今後二十年間は公社が県からの賃借料を原資として六十五億円余を返済し、残り十年間で残りの三百七十三億円を土地を処分して返済する、県はそのうちの二百六十五億円に直接責任を負うということになっているわけです。結局、県として、今後三十年間で賃借料を含めると最高で三百三十億円の負担義務を負うということになってまいります。そこに利息が加わってくるわけです。
 そこで、お尋ねをするわけですが、一つは、今回の地裁決定の評価の問題ですけれども、知事は県民の利益を第一にと言われておりますが、どのような主張を中身としてされてきたのか。金融機関との間でどういう点が論点になって距離があったのか。県当局が主張してきた内容と地裁決定の違いというのはどこにあるのか。つまり、これまで調停をしてきたけれども、双方の意見の食い違いがあって難航してきて、それで地裁が決定をして、その決定が妥当なものだと言われているわけですから、その調停は県民の利益を第一に考えてやってきたということですから、決定そのものが妥当であるならば、県民の利益第一ということが言えなければならないと思うんですね。どの点を評価して地裁決定を受け入れる、どの点が県民の利益第一になっているのかということを知事からお答え願いたいと思います。
 二つ目に、今回の事態となった県の政治的責任とこの経験を今後いかに生かすべき教訓としていくのかということについてなんですが、県と土地開発公社の関係というのは、和歌山県特定出資法人管理要綱において、毎事業年度の予算案についてあらかじめ県と協議をする、県は公社理事会に事業計画、資金計算、予算及び決算について、必要に応じて意見書を提出するということになっています。つまり、県の公社に対する政治的責任は免れないところがあるわけですが、土取り事業での金融機関との詰めの甘さ、また土取り後の跡地の開発構想などで楽観的、希望的な観測で事業を進めてきていたのではないかと思うわけですが、そういった県の指導責任、監督責任、これについてどのように考えておられるのか、また今後の行政にどういう点を教訓として生かすべきかと考えておられるのかを聞きたいと思うんです。これも知事から答弁をお願いしたいと思います。
 三つ目に、地裁の決定内容と今後のコスモパーク加太の活用方針でありますが、何点かお尋ねをしたいと思います。これは企画部長の方から答弁をお願いします。
 今回、県が二百六十五億円の債務保証をするという理由というのは一体何なのか。債務保証額二百六十五億円の根拠、裁判所が二百六十五億円という決定を下したわけですが、その根拠は一体何なのか。公社の借入利率は〇・六%ということで、これは固定金利にはしないということですが、同時に根抵当が百八億円という評価で出発するわけでして、この根抵当権の百八億円の評価については今後見直しをすることがあり得るのか。県が公社に支払う賃借料、これはどのようにして決めたのか。公社が金融機関に返済する金額は六十五億一千五百三十万円、県が公社に支払う賃借料は百二十二億三千百万円、この間に五十七億一千五百七十万円の差額があるわけですが、この差額はどう使うのか。この差額は、コスモパーク加太にかかわる経費に限定してのものなのか。県が公社から借り受ける用地の活用方法、先ほど防災用地、カゴメの誘致等々の話がありましたがその方法、また残りの用地もございますが、残りの公社所有地はどうするのか、お尋ねをいたします。
 この問題の四つ目に、金融機関からの借入金の返済については、公社は二十年で六十五億円を返済するということですが、県の無利子貸し付け分百五億円についてはどのようにするのか。六月議会では、公社の再建の中で考えていくと、先送りをする答弁であったわけですが、現時点でどういう考えなのか、これも企画部長からあわせて答弁をお願いします。
 次に、国民保護法制への県の対応についてお尋ねをいたします。
 この十一月に国民保護法制の要旨が決められ、発表されています。政府は、来年一月または二月に閣議決定をし、通常国会に提出する方針だということです。要旨は、法の目的に、武力攻撃事態や武力攻撃予測事態における国、地方公共団体、指定公共機関の責務や国民の協力に関する事項を定め、国全体として万全の態勢を整備し、国民の保護のための措置を総合的に推進することを掲げ、警報の発令や住民の避難、誘導、被災者救援、武力攻撃災害への対処などの手続について規定しています。また、物資の保管命令や立入検査、交通規制や警戒区域への立ち入り制限などに従わなかった者に対する罰則規定も設けております。基本的人権の尊重や国民に求める協力強制の禁止ということが掲げられていますが、日本国内の戦争被害を想定し、私権制限を含んだ戦時体制立法ともなっております。
 知事は、この法律と政府の示す基本指針に基づき、国民の保護に関する計画を作成、必要な措置を講じることとなりまして、知事の権限の範囲は大きいものがあろうかと思います。私は、六月議会で武力攻撃事態等の有事法制に対する知事の所見と今後想定される地方自治体にかかわる立法措置に対して知事の対応を尋ねました。有事法制は、攻撃が予測される事態やおそれがある場合でも発動されることになっていて、我が国の定義がないことから、既に海外出動している自衛隊の武力行使を可能にする内容を持っていて、海外での軍事力行使のために住民や住民の財産が動員されることがあってはならない、こういう立場から質問をいたしました。県民の生命、財産を守るという地方自治体の使命から見ても、有事法制の一環としてつくられようとする国民保護法制、これにどう対応していくのか、重要な問題であろうかと思います。
 知事は、六月議会で、これはないことだと思うが、他国が攻め込んでくるというときの手続を定めていないのは適切ではないという考えを話されまして、また日本で唯一戦場になった沖縄で県民の権利が守られなかった、そういう事実もあった、国民保護法制の中に和歌山県民が守られるような形の内容になっていくように、私もいろいろな機会を見て発言していきたい、このように答弁をされたわけです。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 一つは、知事は六月議会以降、これまでどこに対して、どのような発言をされてきたのか、また今後どういう対応をされていこうとしているのか。
 二つ目に、政府が考えている国民保護法制、これが自治体と住民生活にどのような影響を与えることになるのか。
 この二点について、知事にお尋ねをしたいと思います。
 最後に、美浜町の煙樹ケ浜への水際地雷敷設訓練場の設置計画について、県の今後の対応についてお尋ねをしたいと思うんです。
 陸上自衛隊和歌山駐屯地の第三〇三施設隊を今年度末をもって第三〇四水際障害中隊に改編をするということです。現在、水際地雷の訓練場は北海道に一カ所あるということでして、新たに自衛隊の中部方面、東部方面の訓練場として計画をすると、関係漁協や地元美浜町と美浜町議会への説明が始まっているということです。
 煙樹ケ浜という非常に和歌山県の有数の海岸美を誇るところでもございまして、海岸線は約五キロ、松林が保安林としてずっと続いているわけですが、県立自然公園にも指定をされている地域です。この訓練海域には、美浜、三尾、御坊の三漁協が共同漁業権を持っている地域でもあります。先ほどお話しされましたように、海岸背後には町営のキャンプ場、中学校、国立病院、町役場、特別養護老人ホームといった住民生活になくてはならない施設がずらっと並んでいるわけであります。釣り人、観光客や地元の住民の皆さんが散策をされるなど、県内有数の景勝地の一つでもございまして、いつ見ても雄大な海岸線に感銘を受けるわけです。この質問に先立って、私も久しぶりに現地を案内してもらいましたが、願わくは軍事訓練の場所であってほしくないなというのが率直な感想でございました。
 そこで、お尋ねをいたします。
 一つ、なぜ和歌山の美浜なのか。北海道に訓練施設があって、美浜にできれば二カ所目になるわけですが、美浜にする理由はどういうことなのか、聞いておられたらお答えを願いたいと思います。また、県民生活にどのような影響があると考えられるのか。県に対して事前に相談があったのでしょうか。県として、今後の対応をどうするのか。地元や利害関係者との調整は大事なことだと思うんですが、県が最終的には許認可権を持っているわけでございまして、地元の頭ごなしに県が判断をするということがあるのかどうか。地元と違う判断をするということもあり得るのかどうか。そういった点について、あわせて知事から答弁を願いたいと思います。
 この問題の二つ目に、訓練場が一つから二つになって部隊そのものが一つふえるわけですから、自衛隊機能の強化につながるということになると思うんですが、今般さまざまな有事関連の法制が議論されておりますけれども、そういった有事関連法制との関係について自治体としてどういう見解を持っているのか、これは総務部長からひとつお答えを願いたいと思います。
 以上、私の第一問を終わります。
○議長(尾崎要二君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、新年度の予算編成の最重点課題はということでございますが、今の社会はデフレ型の社会になってきていると、そういうふうな中で、これに応じた県づくり、県の体制づくりということを進めていきながら、一方であわせて県勢に勢いをつけていくということが大事だろうと思っております。
 今、特に考えておりますのはNPO等との協働関係を大いに強めていくこと、そして緑の雇用のみならず、農業、漁業等における新ふるさとづくり、こういうふうな施策の振興、そして高野・熊野の世界遺産に合わせて観光開発、こういうふうなことを重点的にしていきたいと思います。それからまた、福祉の面なんかについても特に意を用いていきたいと、このように思っています。
 次に、景気・雇用対策への取り組みでございますが、こういうふうな時期でございますので、なかなか新規の就労の場を見出すというのは難しいわけでございますけれども、しかしながら粘り強くIT関係の企業を呼んできたり、そしてまたその他職業訓練でありますとか、若者への職業相談というようなことの充実とか、そういうふうないろいろなことで多方面に景気・雇用対策に取り組んでいきたいと考えております。
 それから、国庫補助負担金カットと県民生活への影響ということでございますけれども、今、国が言っております一兆円の中身、これは例えば生活保護の補助率を下げるとか、それから教員の退職金の地方への補助分をやめてしまうとか、こういうふうな、はっきり言って何も地方にプラスになることのないような中身で数のつじつま合わせが行われているということでございますので、こういうふうな形の補助金の削減ということであれば、むしろ今のままの方がいいというふうなことでありますので、地方の立場というものを鮮明にしていきたい、このように思っております。
 それから地方交付税でございますけれども、一方で、こういうふうな形で一兆円の補助金を削減したんだから、そしてまた税源として、例えばたばこ税のような、これからだんだん減っていくような税金というふうなものも上げることにしたんだから、交付税は減ってもいいでしょうというふうな荒っぽい議論がなされて、そして和歌山県に限らず、地方の県とか財政力の弱い市町村が困るというふうなことになっては、これは三位一体の改革は何のためにしたのかわからないというふうな話になりますので、そういうことについて大いに意見を言っていきたい。大事な時期でございますので、そのように思っております。
 次に、コスモパーク加太の借入金の問題と活用についてでございます。
 まず地裁決定の評価ですが、県土地開発公社の金融機関からの借入金問題につきましては、県は利害関係人として調停に臨み、県の保証については県の全額保証は考えられず、必要最小限の範囲であること、公社借入金に係る将来利息については公社負担軽減のためより低くすること、公社借入金の返済期間について可能な限り長期間を望むことなどについて強く主張を行ってまいりましたが、金融機関もそれぞれの項目について、おのおのの立場、考えに基づき主張を行ったことから主張の隔たりが解消できず、地裁において決定されたところでございます。本決定については、県、公社及び金融機関がそれぞれ調停委員会において主張してきた結果によるものと考えられ、決定内容を吟味した結果、県の債務保証はコスモパーク加太対策検討委員会からもご報告いただいております必要な範囲に限られたものであるとともに、利息についても一定期間の免除を含め減免が盛り込まれていることなど、公社再建が可能となるものであり、受け入れることが妥当であると考えております。
 次に、県の政治的責任と今後に生かすべき教訓についてでございます。
 今回のコスモパーク加太に係る問題は、バブル経済の崩壊という大きな経済変動があったとはいえ、このような事態になったことについて重く受けとめているところでございます。経済情勢の大きな変化があったものの、コスモパーク加太事業への見通しが十分でなかったこと、処理に長きの時間を要したことなどを反省し、これらを教訓として公社を適時適切に指導していくとともに、より県民への説明責任を果たすこととし、透明性を高めてまいりたいと、このように考えております。
 次に、国民保護法制への県の対応についてでございます。
 前回もお答えいたしましたとおり、国民保護法制については、有事の際に住民の生命、財産を守る立場にある地方公共団体がその使命に適切に対処できるような内容のものとなっていなければならないと考えております。このため国に対して、知事会等を通して団体の意見の反映や都道府県の役割、権限等の明確化を訴えてまいりました。具体的な被害想定のもとで、地方公共団体がとるべき措置の明示についても個別に要望を行ってきたところでございます。
 先月二十一日には、国において法制に関する要旨が発表されたところですが、これによりますと、地方公共団体の役割が詳細に記述され、都道府県知事の権限についても強化されております。また、要旨では人権の尊重についても触れられており、避難住民の救援や武力攻撃災害への対処の観点からやむを得ずとられる権利の制限についても救済の手続の迅速化がうたわれるなど一定の配慮が示されております。地方公共団体におきましては、住民の自由と権利を尊重し、権利制限を必要最小限に限定するという武力攻撃に対処する際の基本理念に沿った形での対処に努めてまいらなければならないと考えております。今後も、住民の生命、財産を守る立場から法案作成の過程を注視し、機会をとらえ意見を申し述べてまいりたいと、このように考えております。
 次に自衛隊の水際地雷訓練場の設置についてでございますが、水際地雷訓練場の設置計画につきましては、大阪防衛施設局から関係部局に概要説明があり、その後、地元美浜町及び関係団体に概要説明が行われております。また、同訓練を実施するに当たっては、海域部は岩礁が少ないこと、陸地部は約三ヘクタールの平たん地を有することなどの地理的条件や和歌山駐屯地に隣接していることなどから煙樹ケ浜が最適地であるとの結論に至ったと聞いております。
 県といたしましては、先ほど新島議員にお答えしたとおり、地域住民の生活などへの影響も考えられることから、美浜町や関係者の意見等を踏まえながら、海岸法を初め各種許可手続の中で対応してまいりたいと、このように考えております。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 調停に代わる決定の内容とコスモパーク加太の活用方針についてお答えいたします。
 まず債務保証につきましては、県が過去に公社に代行させた土砂採取事業について、今後県が清算すべき額、方法、時期等は現時点では未定であるものの、本事業の性格、経緯等にかんがみ、県の責任は今回裁判所が決定した債務保証額を下回ることはないものと考えられることから、やむを得ないものと考えているところであり、県の保証範囲は必要最小限に限られるということを調停委員会で強く主張した結果、二百六十五億円の債務保証が裁判所において決定されたものと理解しております。
 次に根抵当の評価見直しということでございますが、将来、経済情勢や地価の動向などを勘案し、評価見直しについて関係者と協議してまいりたいと考えてございます。
 次に県が公社に支払う賃借料につきましては、公社が鑑定評価を行った地価により算定しております。公社の計画によりますと、特区による賃貸事業収入をもって金融機関への元金返済のための財源に充てるとともに、将来の利息に対する財源としても留保し、またその他の公社の所要経費についても一部充当することとしておりますが、公社経営は今後も厳しいものと考えられ、公社自体もより一層の経営改善を図り再建を目指す計画となってございます。
 またコスモパーク加太の活用方針につきましては、県はコスモパーク加太対策検討委員会からのご報告を踏まえ、土地を借り上げ、大規模災害時における応援要員の集結場所や救援物資の集積地、仮設住宅用地など防災対策の用地とする一方で、平常時には県民の皆様への開放も考えてございますが、企業誘致についても並行して取り組んでいくことといたしております。
 コスモパーク加太に係る残りの公社所有地についても、今後本決定を踏まえ土地を利活用していく中で、関係者と協議を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、県の無利子貸し付け分の今後の対応についてでございます。
 貸付金累計は平成十四年度末で約百五億円となってございますが、まずは本決定スキームを円滑に進めることを最優先に考え、金融機関からの借入金を償還することを基本として、県からの貸付金の償還につきましては、今後、公社の再建状況等を踏まえ、その取り扱いを公社と協議してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 自衛隊の改編と有事関連法制との関係についてお答えを申し上げます。
 今回の水際障害中隊の改編につきましては、中期的な見通しのもとに進められている防衛力の整備の一環として、防衛大綱に示された体制に向け計画的に整備を行うものでありまして、有事法制に関連するものではないと聞いているところでございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 軽微なことでございますので、自席でやらせていただきます。
 一つは知事にお尋ねをしたいんですが、新年度予算編成方針の中で、私は一番力を入れたいことは何かということでお尋ねをさせていただきました。NPOとの協働、緑の雇用事業、農業・漁業振興、熊野・高野の世界遺産というお話がありましたが、一番これに力を入れたいというところがちょっとインパクトがなかったといいますか、これだということのお話がなかったように思うわけですけれども、その点をもう一度聞かせていただきたいと思います。
 それと、景気・雇用対策で、今まで県は成果重視ということでベンチマークというのをつくって、それぞれの事業ごとに到達目標を数値化して決めております。聞きますと、雇用対策というのは、十月にいろんな事業分野に雇用に結びつけた経済対策ということでいろいろ話をしたんだということも漏れ聞くわけですが、そのときに新年度予算編成の中で、これできるかできないかわからないんですけれども、やはり雇用という成果に確実に結びつけていくという上で雇用創出をする、新たな雇用をつくるということでも政策目標を数値化して県民に示していくということが成果主義と、予算編成方針の中でも言われておりますが、そういう点から見ても大事なことではないかなと思うわけです。
 私、第一問で、具体的な雇用について展望を示すことができるのかという質問をしましたが、それに対しての明確な答えがなかったようにも思うわけです。この成果主義を追求するということとあわせて、数値目標を決めて、県が取り組むさまざまな事業で新たにどのぐらいの雇用を生み出していけるのか、そういうことを県民に示していくという必要もあるんじゃないかと思うんですが、その点の考え方について知事から再度お答えを願いたいと思います。
 コスモパーク加太についてですが、県民の利益を第一に考えた決定内容になっているのかということでお尋ねをいたしました。
 債務保証を受け入れるということでありますが、決定の内容を見てみますと、今後二十年間は公社が県が賃借をした賃借料を原資として返済をして、二十年以降三十年までの間に土地を売却して残りのお金を弁済すると、こういうふうになっているわけですね。そうしますと、実際に県が債務保証の分を、これ全部売却できなくて、債務保証を履行するとなったら、二十年以降三十年まで土地の売却を完全にした時点か、もしくは平成四十五年の期日までに債務を履行しなくてはいけないとなっておりますので、これは後年度、後世代への債務の先送りということになるんじゃないでしょうか。売却して返済し切れない部分に税金を投入せざるを得ないということが、これ今から二十年後の話ということでどうなるかわからないということもあろうかと思うんですけれども、しかし後年度に負担を残さないということも我々の世代の大事な問題ではないかなという思いもいたしております。そういう事態を招くことになりはしないのか、その点について答弁をいただきたいと思うんです。これも、知事からお願いしたいと思います。
 最後に水際地雷の訓練場の問題ですが、地元の理解を得ることが肝要で、県としては美浜町や関係者の意見を踏まえて対応していくということですよね。やはり、自衛隊がきちっと地元の皆さんに説明をすると。要望があれば説明をするという責任があろうかと思うんですが、自衛隊のそういう説明責任をきちんと果たしてもらうと。地元から要望があれば行って説明をすると。そういうことを県からも自衛隊にきちっと要請をしておいてほしいと思うんですね。その点についてどういうふうに考えておられるのか。地元から要請があれば、自衛隊が小まめに誠実にきちんと疑問についても説明をするということを、県からもぜひ自衛隊の方に要請をしていただきたいと思うんですが、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、来年度の予算編成の一番の重点がわからないということでしたけれども、県の行政も複雑多岐にわたっておりますので、これ一つということを言うと、ほかの分野の人が、私らのことはもうそれでいいんですかと、こういう話になってくるんで、これだけというわけにはいかない中で、この和歌山県をデフレ型の社会の中で非常に厳しい──デフレ型の社会というのは弱肉強食の社会だと思うんですね。そういう中で、やはり弱者にも目を向けながら、できるだけ勢いをつけていくというふうな方向でいろんな施策をしていきたい。産業の振興についてもそうだし、観光についてもいろんなことでそういうふうなことをしていきたい。それから、和歌山県が日本の中で新しいふるさとだと、そういうふうな施策をどんどんやっている県だというふうなことで評価が高まるような形でいろんなことをやっていきたいと、このように思っているということです。
 それから、数値目標ということは非常に大事なことだと思っています。この間のマニフェスト論争でもそういうことが大変重視されたわけですけれども、しかしながらこの雇用創出というのは、県が職員を雇うんだったら何人というのをすぐに言えるんですけれども、その他はやはり民間と協働しながら、例えば企業を呼んでくるとか、いろんな形で伸ばしていくということですので、できるものはできるだけ数値化していきたいと思いますけれども、すべてがそういうふうにいかないということはご理解いただきたいというふうに思うわけです。いずれにせよ、今、来年の予算編成の中で県民にわかりやすいような形になるように工夫をしております。
 それから、コスモパーク加太の借金の問題。債務保証をして、その後、土地がちゃんと思った値段で売れなかったら借金が残るんではないかと。だけれども、今すべて返してしまったり、処理できないというふうなことの中から、今の地域経済の問題を考えながら、どんな方策がいいかということで、これは議会にもお諮りしながら、その一番いい方策を一年以上かけてやってきた。しかも、なかなか合意点を見出せなかったので裁判所の決定が出てきたということですので、これはもう現に起こっていることですから、それをだれがどういう形で負担していこうかということについてこういうやり方になった。そして、二十年後どうなるかということについては、今後の景気の回復であるとか、社会の変化の中で一番適切な対応をしていくとしか今の段階では私は言えないというふうに思っているところでございます。
 それから自衛隊の水際地雷訓練場の問題については、先ほどお答えしましたように、これはこの地域にとって非常に重大な問題であると。私もこの間、自分で行って海岸を歩いてまいりました。しかし、今、防衛施設庁の方でいろいろ地元の方に説明をしているということでございますので、そういうふうなことを見きわめながら県として必要な対応をとっていきたいと、このように考えております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 質問というか、意見と要望ということにとどめたいんですが。
 確かに、今地方財政をめぐる問題、一方では多額の債務、公債費を抱えてこの返却をしていかなくてはいけないと。その中で県民のニーズは高まってきていると。じゃ、その県民のニーズにこたえるための自主財源なり一般財源なりをどう確保していくのか。従来から三割自治と言われておりまして、収入は三割しかなくて仕事は七割分あるという、ここのところをやはり国と地方自治体の配分を変えていかなくてはいけない。これはもう喫緊の情勢だと思うんです。そのことが、知事が言われるように、地方財政を縮小すると、切り刻んでいくという中での税源移譲であれば、これは何にもならないと思うんですね。だから、自主財源の確保、独自にいろんな自主財源をつくるということも地方自治体の責任になってきますけれども、やはり一般財源を国の税源移譲の中でどう確保していくのかということが最大の課題だと思うんです。そういう点でも力を尽くしていただきたいと思うんですが、そういう中で県独自の行政の中身の見直しというのも当然必要になってくるだろうと思うんですね。そういう中で県民生活、今非常に厳しい中で最大限努力をして、経済活性化の問題であるとか、雇用対策の問題であるとか、さまざまな行政課題があるわけですが、県民生活を擁護するという立場でぜひ予算編成に取り組んでいただきたい。また新年度の予算を見て、それでまた判断をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをしておきます。
 終わります。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二番尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕(拍手)
○尾崎太郎君 県議会での初めての登壇でございます。この機会をお与えくださいました後援会の皆様並びにご支援賜りました皆様方に、この場をおかりいたしまして心から厚く御礼を申し上げます。
 それでは、議長の許可を得ましたので一般質問をいたします。
 先日、栃木県の足利銀行が、預金保険法百二条に基づき一時国有化されるとの報道がありました。本県におきましても、平成八年、阪和銀行に業務停止命令が出されております。私も地方議員として活動する中で、いまだに中小企業を経営する方々から、メーンバンクが破綻したときの苦しみ、ご苦労を耳にするわけであります。地銀の破綻は脆弱な地方経済に壊滅的な打撃を与えかねません。突如業務停止命令を大蔵省から受けた阪和銀行のケースよりは、確かに今回の措置の方がまだましではあることは認めるにしても、少なからず栃木県経済に影響が出ることは必定であります。とりわけ私が懸念しますのは、このような措置をとることとなる基準がいまひとつすっきりとしないということであります。
 銀行というものは、もともと預かったお金の何倍ものお金を貸し出しているわけで、どのように健全な銀行といえども、もし一斉に預金を引き出されれば、それに対応することはできません。銀行業というものは、そういう意味では、そもそもある種のフィクションに基づいたものなんです。信用こそが銀行の命ではありますが、信用は必ずしもデジタルなものの集合ではなく、少なからずイメージなのです。ですから、繰り延べ税金資産の取り扱いについても、極論すれば、国民がそれを資産だと認識あるいは暗黙のうちにでも了解しているのであれば、それはそれでうまく回っていくたぐいのものだと思います。そんな会計基準では世界では通用しないという声もあるでしょうが、世界で商いをしている都銀ではないわけですし、大体自己資本比率四%なる基準にもどれほどの合理的な根拠があるのかもわかりません。
 そもそも合理的だと思われていたアメリカの会計基準も、エンロンの破綻等により大して当てにできるものでもないことが明らかになってきたわけです。もちろん、物事には限度というものがあります。果たして足利銀行はその限度を超えたのか、その限度は本当に一監査法人が的確に判断できるたぐいのものなのか。恐らくその限度なるものは、それぞれの国の固有の歴史や風土、慣習、社会や産業の構造、国民の意識などとも密接にかかわり合った、非常にデリケートなものであると思います。個人的な意見としましては、特に地銀については地方の実情に合った指導、監督、措置を金融庁にお願いしたいところであります。
 さて、「地方の実情」というフレーズを使いましたが、これは先日ご案内をいただきました「地方の実情にあった道路整備の推進と財源確保を求める決起大会」からとったものであります。私も出席をいたしましたが、まことに意義深い大会でありました。道路公団を初め各種の特殊法人とそのファミリー企業がいかに我が国の宿痾となっているかは、道路公団民営化推進委員の猪瀬直樹氏の指摘どおりだと思います。我が国の病巣が実は霞ケ関よりもむしろ虎ノ門にこそあると喝破した猪瀬氏の業績はたたえられてしかるべきではありますし、その改革に乗り出した小泉内閣を当然支持いたしておりますが、採算に合わないから高速道路はつくらないという乱暴な議論にくみするわけにはいきません。そもそも採算に合わないからこそ公共でやるわけですし、必要か否か、優先順位はどうかといった議論は当然必要でしょうが、本県の高速道路はまさに必要不可欠なものであることは論をまたないわけであります。本大会を開催いただきました知事及び関係当局のご尽力に感謝申し上げ、我々もまた積極的に国に働きかけてまいりたいと存じます。
 小泉改革が進む中、道路問題に限らず、地方の実情をいかにして国の政策決定をしているところに伝えていくのか、また地方発の政策をいかにして提言していくのか、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、環境生活部長に何点かお尋ねをいたします。
 今議会の知事説明に、橋本市の高濃度ダイオキシン類汚染土壌の溶融無害化処理が十月二十一日に完了したとの報告がございました。千ピコから三千ピコの低濃度ダイオキシンの処理も引き続いて行われるようでありますが、ひとまず身体に重大な影響が出る危険は回避され、県民がようやく安心して暮らせるようになったことは喜ばしいことではあります。
 このダイオキシン汚染土壌の処理には、県の代執行分を含め、どのくらいの費用がかかったのかをお答えください。
 また、事件を引き起こした業者に対する県の指導には反省すべき点はなかったのか、今後同様の事件を起こさないためにはいかなる対策を講じるべきなのか、この事件をどのように総括しておられるのかをお答えください。
 さて、いわゆる廃棄物処理法は、私の頭が余りよくはないということもあるのでしょうが、読めば読むほどわからなくなる法律であります。しかし、そのような複雑な法体系は、悪知恵が働く者にすればつけ入るすきが見つけやすいものでもあります。
 そこで、今回は積みかえ保管についてただしたいと思います。
 積みかえ保管は、そもそも収集運搬業の附帯業務として許可されているものであります。ですから、素直に考えれば、当該業者が収集してきた産廃を一たんその保管場所におろし、中間処理には当たらない手分別で有用物を分けるなどした後にまとめて中間処理業者に運搬するためのものであって、その保管場所に産廃をおろすことができるのは許可を受けた業者だけであるというのが原則であると思います。他社が産廃を積みかえ保管場へ持ち込むことは、ともすれば保管場があたかも産廃の集積場と化してしまいかねません。そうなってしまえば産廃ごとの特定をすることは極めて難しくなるので、事実上マニフェストは無意味になってしまいます。また、いわゆる持ち込み産廃の受け入れもよほど注意しなければ、マニフェストが切られていない産廃がうずたかく積み上げられてしまうということにもなりかねません。行き場のない産廃は、いずれ不法投棄を誘発することとなるのです。不法投棄された産廃の撤去は莫大な費用がかかり、環境への悪影響もはかり知れないことは、橋本ダイオキシン問題が何よりも雄弁に物語っているでしょう。先ほど申しましたように、廃棄物処理法そのものの複雑さが時に恣意的な解釈を許し、悪徳な産業廃棄物処理業者のへ理屈を助けているという側面も否定できません。
 そこで、お尋ねをいたします。
 現在、本県には幾つの積みかえ保管場がありますか。また、例えば和歌山市では積みかえ保管の許可に当たっては用途地域を準工業地域以上とし、建て屋を義務づける等の指導を行っているようでありますが、本県においてはどうなのでしょうか。また、将来的には積みかえ保管の許可に際して新たな基準を設けるおつもりはあるのでしょうか。特に自社産業廃棄物の保管を行う場合、保管用地については例えば届け出制にして、保管する場所、保管する産業廃棄物の種類、保管方法等を明確にしていくべきであると考えますが、当局の積みかえ保管に対する考え方及び指導方針をお答えください。
 次に、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 雑賀崎沖の埋め立て問題でもめていたころ、ある漁師の方に「海から眺める雑賀崎のすばらしさを知っているか」と問われ、はっとなったことがあります。若山牧水が和歌山を海路で旅したときに那智の滝が迫ってくる様子に感動してつづった紀行文がございますが、早速船に乗せてもらい、海から雑賀崎を眺めてみました。まさに絶景、南紀にも負けないであろう我がふるさとの観光資源を再認識いたしました。
 高野・熊野の世界遺産登録が実現されれば本県にも大勢の観光客が訪れるものと期待をいたしておりますが、我がふるさと和歌山市にもぜひともお立ち寄りをいただきたい。そのためにもこの観光資源を生かさない手はないわけであります。しかし、残念ながら現在の和歌浦は、廃業した旅館が朽ち果てた姿をさらし、眼下に広がるすばらしい景観とは裏腹に、何とも言えぬ物悲しい雰囲気の町になってしまっているのが現状であります。やはり観光地はもっと明るい雰囲気にしなければならない。何とかこの観光資源を生かす道はないものなのか。先輩・同僚議員もさまざまな提案をしておりますが、私は思い切って風致規制を見直すことを提案したいと思います。
 もとより風致地区は自然美を守るために設けられた規制ではありますが、この規制があるためになかなか新規の投資が行われないわけであり、私も常々「風致さえ外れてくれればなあ」という企業家の声を耳にします。一例を挙げれば、ある大手のブライダル事業者がかなりの規模の投資を検討しておりましたが、風致規制で結局断念したようであります。
 和歌浦地区の活性化策といっても、もはや税金で廃屋を買い取り整備するような時代ではないのですから、民間の投資を呼び込むような規制緩和をすべきだと思います。景観を守るための規制が景観を整備する足かせになってしまっていては本末転倒でしょう。新しく建つ建築物については、形状や色彩を条例で適切に規制すれば、むしろ周辺の景観を少なくとも現状よりは引き立てるものになるのではないでしょうか。
 また、和歌山市の他の風致地区についても、昭和十六年の制定から約六十年も経過しており、社会の変遷に伴い、合理的な規制とは言えないところもあるやに思います。これらも実情に応じた見直しをしていくべきでしょう。まずは和歌山市との協議からだけでも始めていただきたいと考えますが、県土整備部長の答弁を求めます。
 次に、和歌山市新雑賀町周辺の個室つき浴場いわゆるソープランドの客引き問題についてであります。
 この問題には市議会議員時代から取り組んでまいったわけでありますが、和歌山市では庁内組織として新雑賀町中心街環境改善連絡会議をつくり、周辺の自治会と協議を重ねながら客引きの根絶を目指してまいりました。たび重なる自治会からの申し入れや市当局の指導にもかかわらず、残念ながら客引き行為の根絶には至っておりません。町の美観を損ない、通行人に著しい不快感を与え、車両の通行の妨げになるこうした客引き行為は、そもそも風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第二十八条に定める禁止行為であります。
 治安の悪化が深刻な社会問題となったニューヨークでは、ブロークン・ウインドーズ理論に基づき、軽犯罪を徹底的に取り締まることにより治安を回復したそうであります。完全な車を何日か放置しておいてはそうそう壊されるものではないが、窓ガラスを壊してみると、その日のうちに車の部品はあっという間になくなってしまう。つまり、壊れた窓ガラスを修理せずに放置すれば、それは犯罪への誘い水になってしまうわけであります。
 新雑賀町周辺は、大勢の客引き行為をする者たちのために一種異様な雰囲気の町になってしまっており、市民はその通りの通行をためらうようなありさまです。客引き行為については、大阪で実際に現行犯逮捕した事例もあるわけですから、壊れた窓ガラスである客引き行為を早急に根絶するように強く警察本部長に求めます。
 また、さきの議会で成立した迷惑防止条例は、近年特に悪化した和歌山駅前の治安を回復するものと期待を寄せるものでありますが、やはり条例に違反した行為については積極的に検挙していかなければ実効は少ないと考えます。警察本部長の見解をお伺いいたします。
 また、最近本県では、消火器点検を巧妙な手口で承諾させ、消火器を持ち去った後、点検料等の名目で高額の費用を請求する詐欺まがい商法が横行しているようであります。
 二、三トラブルに遭った施設の方々の話をお聞きいたしました。業者の威嚇的な物腰に実際に法外とも言える費用を支払ってしまっているケースもあり、とても県民感情としては通常の商取引と言えるものではなかったようであります。中には身体に危害を加えられるのではないかと一一〇番通報した方もいらっしゃり、暴力に対する恐怖が不当な契約の根底にあるであろうことは否定できません。消費者もまた、商取引に関する基本的な法律の知識を身につけるべきではありますが、警察権力が商取引に関与することは避けなければならないとはいえ、警察が身体の安全を守ってくれるとの安心感なしには当事者が毅然とした態度でこういった手合いと交渉に臨むということはなかなか難しいでしょう。警察本部長のご意見をお聞かせください。
 また、担当部局はこうした事案を把握していただいているのでしょうか。もしそうだとするならば、どのような対策を講じておられるのか。特に犯罪性の高いものについては積極的に警察本部とも連携をとるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 以上、お尋ねして質問といたします。
○議長(尾崎要二君) ただいまの尾崎太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの、国への地方の実情の発信についてのご質問でございますけれども、ご質問にありましたように、今は右肩上がりの時代が続いたときと違って、右肩下がりの時代になってきている。そういう時代にはそういう時代に合ったいろいろな社会の運営方法に変えていかなければ破綻していくということだと思います。
 公共事業についても、いろいろ悪く言われますけれども、和歌山ではこれが地場産業というふうな感じで。ただ、今までと同じようなやり方をやっていては県の方ももう借金が重くなるし、なかなかやっていけない。どういうふうな形でやるかというふうなときに、やはりもう今までみたいに北海道から沖縄まで画一的な基準でやっていくということは非常にむだも多いし、地域の住民のためにも十分にはならない面があるというふうなことから、地域に合ったような形のものにしていって、そして必要なものはつくっていくというのが僕は地方からの発信だと思っているんです。
 金融の問題についても、不良債権の区分で相当画一的なことがなされて、我々もこれはちょっとおかしいなと思うようなことがあります。やはりそういうふうな、これからの時代というのは本当に地域の実情に合わせて適宜適切な措置を必要な金額でやっていくというふうなことが大事な時代だと思いますので、これからも各議員とご相談しながら和歌山のあり方として全国にいろんなことを発信していきたいと、このように思っています。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 橋本ダイオキシン類問題での県の支出総額についてでございますが、廃棄物処理法に基づく代執行経費といたしまして約十一億一千万円、ダイオキシン類土壌汚染対策として約十六億三千万円、調査費や土地購入費を合わせると約三十億円になります。このうち、国から約十二億円の補助をいただいております。
 なお、代執行に要した費用につきましては、事業が終了し、費用が確定次第、業者に厳しく求償してまいります。
 次に本問題の総括についてでございますが、当時の廃棄物処理法は三千平米未満の安定型処分場や一日の焼却量が五トン未満の焼却施設は許可不要でありまして、許可に際しても市町村長の意見が義務づけられておらず、廃棄物の保管量に関する規定もない状況でした。
 この事件は、こうした法の未整備と、今まで経験したことのない阪神大震災の大量の廃棄物が短期間で持ち込まれたことや産業廃棄物に対する体制のおくれなどにより大きな問題となってしまったと考えております。
 県といたしましては、できる限り早くこの問題を解決するため、廃棄物処理法に基づく代執行とダイオキシン類土壌汚染対策に取り組み、現在では住民と行政が一体となって情報公開を基本に対策を行い、全国初の現地処理を実施するなど、和歌山方式と言われるモデルケースをつくり上げ、早期解決を図ってきたところであります。ご協力をいただいております地元の方々に深甚なる感謝を申し上げる次第でございます。
 また、この事件を契機に産業廃棄物処理業者等の不適正処理に対しては、法の改正強化に伴い許可の取り消し等厳正に対処するとともに、各振興局に専任の環境指導員を設置し監視パトロールを強化し、また県警察のエコポリスや市町村とも連携を密にして、二度とこのような事件が起こらないよう全力で取り組んでおります。
 この事件から導き出されました教訓として、情報開示と住民との対話の中で問題を解決していくいわゆるリスクコミュニケーションを基本に、今後も行政を推し進めてまいりたいと考えております。
 次に、産業廃棄物積みかえ保管に関する県の考え方、指導方針についてお答えいたします。
 現在、県所管の産業廃棄物収集運搬業者のうち、積みかえ保管を含む許可を有している者は三十七事業者であります。積みかえ保管を含む収集運搬業の許可に当たっては、県独自の事前調査事務取扱要領に基づき、事前に事業者から計画内容を明らかにした書類の提出を義務づけており、現地調査を実施いたしますとともに、廃棄物処理法に基づく保管基準の遵守、土地利用など、他法令による規制の有無並びに関係市町村からの意見等をお聞きし、適正な許可に努めております。
 自社産廃と称した疑わしき積みかえ保管につきましては、現在、市町村等とも連携し、ごみの山とならないよう、早期の立入調査、適正処理の指導で対応しております。
 なお、自社産廃の保管には法に基づく許可は不要ではありますが、法の保管基準に従わなければならないとされておりますので、事業者に周知徹底を図るための講習会を本年から実施いたしております。
 自社産廃の保管と称するなど、法の網の目をくぐった違法行為に対しましては、県としてもさまざまな方策を講じているところでございますが、議員ご提案の届け出制をとっている府県もございます。その府県における実情、効果等を検証し、県としてより有効な対策を講じてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 和歌山市における風致地区の見直しについてでございます。
 風致地区は都市のすぐれた自然環境や緑豊かな景観を保全する地区で、和歌山市内では昭和十六年に指定され、県条例において建物や土地の造成等に関して必要な事項を定め、風致の維持に努めてまいりました。その結果、すぐれた景観が残されてきていることも事実であります。
 なお、議員ご指摘の点につきましては、風致地区の趣旨を踏まえつつ、新しい時代に即した風致地区のあり方について、その見直しの必要性の有無を含め、今後和歌山市と協議してまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 消火器の不適正取引の現状の把握と対策についてお答えを申し上げます。
 消火器の不適正取引につきましては、消防関係機関を通じて把握に努めているところでございまして、十五年度においては事業所や学校、公共施設等での被害が十二月一日現在二十三件、市町村の消防本部から報告されておりまして、報告の都度、関係団体等に通知をいたしますとともに、その対策として、八月に県内各市町村や消防機関に対し文書によりその手口や対策を通知するとともに、事業所等への周知をお願いしたところでございます。
 また、県民向けには県のホームページなどで注意を喚起し、「県民の友」十月号により「被害多発!消火器訪問点検」というタイトルの掲載の中で、悪質なケースは消防署、警察署に通報・相談するよう呼びかけております。
 今後も、関係機関と連携を図り、その対策に努めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 新雑賀町の客引き行為等の問題等についてお答えいたします。
 新雑賀町の個室つき浴場につきましては、随時立入検査を行い、客引き行為等について指導・警告を行っておりますほか、悪質違法な行為については、昭和六十年の法施行以後十九件を検挙し、営業停止等の処分を行っているところでございます。
 今後も、議員ご指摘の客引き行為や悪質な違法行為に対する指導取り締まりを強化し、地域の風俗環境の浄化に努めてまいる所存でございます。
 次に迷惑防止条例の関係ですが、去る十二月二日には、九月議会で改正された迷惑防止条例を適用し、ピンクビラの貼付違反で二人を逮捕したところであります。今後とも、地域の安全や平穏を乱す行為や悪質な違法行為に対して厳正に対処していく所存でございます。
 最後に、詐欺まがい商法への対策についてお答えいたします。
 警察では、議員お尋ねのような詐欺まがい商法についての相談を本年三十件余り受理しております。警察としましては、個々の事案について事実関係を調査の上、刑罰法令に触れる行為が認められれば法と証拠に基づき厳正に対処しているところでございます。また、法令に抵触しない場合であっても、当事者から相談等があれば必要な指導・助言を行っているところでございます。
 今後とも、この種案件に対し、関係機関と連携し適切な対応をしてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二番尾崎太郎君。
○尾崎太郎君 それぞれご答弁をちょうだいいたしました。何点か要望をさせていただき、再質問とさせていただきたいと思います。
 まず橋本の産廃問題ですけれども、三十億円という巨額のお金──まあ国庫負担もありますけれども、しかし三十億円というと本当にすごいお金でありますけれども、出して処理をせなあかんようになってしまった。もちろん、業者に対しては求償をしていかなければなりませんけれども、現実問題としてそのお金を取れるということはほとんど考えにくいわけでありますから。もう支出してしまったことは「しょうがない」と言うには余り大き過ぎますけれども、これを教訓として──まあ今、担当部局も和歌山モデルというのを構築して処理していただいていると。しかし、私が見るところ、ここまで大きくなってしまったのには、やっぱり行政当局も反省すべき点はあったと思うんです。まあ、そういうことを十分今後とも産業廃棄物処理行政に対して生かしていっていただきたいと思います。
 また、質問でも申し上げましたけれども、廃掃法そのものは非常に複雑で、またこれにリサイクル法というのが入ってまいりまして、その解釈というのが非常に実務上難しくなってきておりますけれども、これらも、それこそ実情に応じて機動的な行政指導を行っていただきますように要望をしておきたいと思います。
 それから風致地区の見直しについてでありますけれども、憲法でも、六十年ほどたってようやく、もう改正して実情に応じた憲法をつくろうやないかというのが国会でも議論が起こりそうですけれども、この風致規制というのは昭和十六年、もうこれも六十年ほどたつんですけれども、六十年たったらもう社会というのは本当に変わってしまっている。人間でも還暦ですから、随分と激変しているわけだと思うんです。当然、その規制というのは見直していかなければいけないし、そういった一たんできた規制というのが将来でもずうっとわたって改正されずに来ているというところに、今の日本のこの硬直した現状もあると思うんです。やっぱり実情に合わせて機動的に見直せる、そういう県庁組織であってほしいと思いますので、これをきっかけに、まずは話し合いから進めていただきたいと思います。
 最後にソープランドの客引き問題でありますけれども、これにつきましては、もう長年にわたって地元の自治会とか有志の方がそれぞれ会合を開いて、そして市役所とも連携をとりながら何とかなくしていこうやないかということでご尽力を賜ってまいったところであります。
 まあ、先ほどアメリカのブロークン・ウインドーズ理論というのをご紹介申し上げましたけれども、これによってニューヨークの特に地下鉄は劇的に治安がよくなっている。そういう、人間が犯罪を犯していくときの心理からとった理論でありますけれども。どうも人間というのは、ちょっと犯罪を起こしやすい雰囲気になったときに重大な犯罪を犯していくというようなところがあるみたいでありまして、その犯罪を誘発する軽犯罪というのをそのまま見過ごしていてはいけないわけであります。ちょうどあの新雑賀町周辺というのは、私の知人の娘さんも、あの辺を歩いておりましてちょっと暴漢に襲われたようなこともございます。やっぱり、そういうすさんだ雰囲気というのを残しておっては治安というものの維持というのは困難であろうかと思いますので、警察本部長さんの今後のご努力に強く期待をいたしまして、要望申し上げまして質問を終わりたいと思います。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 許可をいただきまして、早速一般質問に入らせていただきます。
 本日、知事の方からも補正予算案が追加提案をされましたが、広川町における硫酸ピッチの不法投棄問題についてお尋ねをいたします。
 十月の二十二日から二十三日にかけて、この夜間に、広川町柳瀬地内のミカン畑の間にある池のほとりに、ドラム缶で四十本もの硫酸ピッチという劇物が不法投棄をされました。議場内の皆さんには資料として配付をさせていただいておりますが、現場の写真を紹介させていただきます。(写真を示す)
 こちらになりますが、近年、全国的にこの硫酸ピッチの不法投棄が問題になりまして、放置をされていたドラム缶から液体が流出をして人体や環境に大変な被害が起きている、こういう問題があちこちで報告をされていますが、今回の事件は、不法投棄をされたこのドラム缶、四十本ですが、そのうち奥の方で立っていたものが十本、そしてごらんのように横倒しや逆さにして投げ出されていたものが三十本、路上にぶちまけられ、そしてこのフェンスの向こうが池なんですが、このため池にまで流れ込んでいたという、とんでもない不法投棄の事件であったわけです。
 この硫酸ピッチという廃棄物は、脱税を目的とした軽油の密造の過程で排出をされる物質です。悪徳な業者が重油や灯油から軽油を精製し、そして税金のかかっていない安い燃料としてやみルートで流通し、暴力団が実質的に関与しているとも言われています。
 もともと重油の成分は軽油の成分と極めて似たものであって、重油の黒い色は軽油と見分けるためにわざと着色料を添加したための色なんだそうです。ですから、この重油の識別用の着色料を分離するために硫酸を混入し、そして色を抜いてしまえば軽油もどきの燃料ができ上がるわけです。そして、残りかすとして硫酸と着色剤がコールタールのような状態になって、泥状になって残ったものが硫酸ピッチと言われる物質です。ですから、この硫酸ピッチの成分は約三割から四割が濃硫酸というもので、大変危険な劇物なんです。
 私、担当課に、「議場で皆さんにお示しをしたいので資料としてガラス瓶で提供してくれないか」、こんなふうに頼んだんですが、「絶対にだめです」と言って怒られました。硫酸ピッチは皮膚に触れればただれ、水がまじると亜硫酸ガスを発生し、衣服につけば穴があき、目に入れば失明の危険性があります。「議場でひっくり返したらえらいことになります」というのがだめの理由だったんですね。皆さん、それぐらいの劇物を大量に道路や池にぶちまけるということがどれだけ悪質で犯罪的であるかということは明白だと思うんですね。軽油の密造で不正な金をもうけ、その上、廃棄物をよそに不法投棄して、後は知らんぷり。後始末は県民、国民が血税を使ってやらなければならない。こんなばかな話はありません。私は、この暴挙を絶対に許すことはできない、このことを強く申し上げるものでございます。
 今回の不法投棄事件が農家によって早朝に発見された後、警察、湯浅町、広川町、そして県の担当者が本当に素早く対応と処置に当たっていただきました。この場をおかりして、感謝と敬意を表したいと思います。
 悪臭が立ち込める現場で、当日の午後には除去作業が町や県の職員によって始められました。亜硫酸ガスを吸い込むために吐き気を催す職員が続出し、慌てて防毒マスクを買いに走ったそうであります。ところが、この防毒マスクがない。ホームセンターにあったのはちりやほこりを防ぐためのマスクであって、毒物用のものじゃなかった。薬局で買ったり、農協の薬剤散布用のものを慌てて購入して装着をしたそうです。しかし、それでもえずきながら作業をされたそうです。翌日には、ため池にオイルフェンスを張り、その後、吸着マットも投入し、油の膜が広がるのを防止されました。この池の水は、日ごろは農業用水として消毒などに利用されている。そして、それだけでなくて、この下流の河川である広川には湯浅町の上水道の取水口があるんですね。地元広川町及び湯浅町の住民の方々は、上水道や農業用水への影響を随分心配をされたそうです。また、農作物への風評被害が起こらないかなど、心配をされたようであります。幸いにして、こういった奮闘のおかげもあり、池の水の水質検査でも安全性が確認されたと聞いております。地元関係自治体の願いにこたえて代執行の手続や補正予算の提案など、迅速な対応にお礼を申し上げます。
 地元の人の話を聞いて回りますと、前日の夜の八時ごろから水色のシートをかけた不審なトラックがあちこちをうろうろしていたというのが目撃をされています。大勢の皆さんから、何ということをしてくれたんなという怒りでいっぱいだという声をお聞きしました。私は、全国で多発しているこの硫酸ピッチの不法投棄で和歌山県がねらわれ、実際に不法投棄されたということを大変重大に受けとめています。
 全国的には、昨年末までに七千本の不法投棄が見つかったと報道をされています。この問題の根っこには、軽油密造がやみの世界の資金源になっているという問題があります。軽油の不正な密造ルートの解明や工場の摘発、脱税問題など、もろもろの問題もかかわってくるでしょう。府県間の連携をとった対応や監視体制の強化も一層重要になると考えます。
 本日、京都府議会では、全国で初めて県独自の硫酸ピッチの規制条例案が提案されたというふうにもお聞きをいたしました。私は、こういう不法投棄を絶対に許さないためにも、以下三点にわたってお尋ねをさせていただきます。
 まず第一点目に、この事件の捜査状況の説明と徹底した追及を求めたいと思いますが、県警本部長の回答をお願いいたします。
 次に、不法投棄をされた硫酸ピッチへの対応経過と安全対策、そして今後の処理対策について環境生活部長よりお答えを願います。
 そして第三点目に、今後このような硫酸ピッチの不法投棄を許さない抜本的対策について知事よりご答弁を願います。
 さて、次に二つ目の柱であるミカン対策について質問をさせていただきます。
 今、有田地方はミカンの収穫と出荷の最盛期を迎え、どこの農家も大忙しです。ところが、ミカンの価格がここに来て暴落し、農家の顔も本当に真っ青になっています。
 私は、さきの六月議会でもミカンの価格問題を取り上げましたが、この十年間を見ると、収穫量の多い表年はいつもべた安、流通量の少ない裏年でも年々価格は下降の一途をたどってまいりました。特にこの三年間は表年も裏年も安値続きで、農家の悲鳴が聞こえてきます。夏の天候不順で心配をし、秋の好天続きで品質の回復を喜んだのもつかの間、この十一月の雨続きと暖冬で悩まされるなど、まさに天候に一喜一憂しながら必死で歯を食いしばってきた農家の努力が、苦労が本当に報われない、そういう思いでいっぱいであります。
 まだまだ年末にかけてこれからという時期ではありますが、一点目の質問として、本年度産ミカンの作柄と販売状況について現状を農林水産部長にお尋ねをいたします。
 二点目に、ミカンの首都圏での販売戦略強化についてお尋ねをいたします。
 和歌山県産のミカンは、これまで大阪という大消費地に隣接をしていたこういう地理的条件から、京阪神市場ではミカンの本場として確固たる地位を築いてまいりました。しかし反面、東京を中心とした関東地区では、このシェアは決して高くはありませんでした。
 十月に県議会農林水産委員会の視察で委員の皆さんとご一緒に、カキやミカンなど秋冬果実の販売状況について東京の大田市場に調査に伺いました。私自身は初めて伺ったのですが、この大田市場は首都東京の台所と言うだけあってとてつもなく大きく、まさに首都東京の心臓部を見る思いがしました。
 競りの行われる市場をご案内いただいた後、東京の主要な青果市場の方々と懇談をさせていただきました。その中で私が一番びっくりしたのは、この大田市場で和歌山県産のミカンがほとんど扱われていないという実態だったんです。大田市場では年間約五万トン、値段にして百五十億円のミカンが商いをされている中、和歌山県からは、金屋町にあるJAの総合共選、そしてまた各地の個人の農家の分、合わせて数百トン、割合にしてわずか一%ほどしか商いされてないということだったんですね。関東特に東京では、ミカンと言えば愛媛ということになっているのもこれは無理はない、愛媛、熊本、佐賀などのミカンがこの市場を完全に押さえている、そんな感じがしました。関東全体では和歌山ミカンのシェアは約一〇%というふうに聞きましたが、この大田市場では全く勝負の土俵に乗っていない、そういう思いをしました。市場の関係者の皆さんが言うには、「九州の産地は、いずれも熱心だ。熊本など、知事さん先頭に、県が一つになって何度も市場に来られます。関東のこの周辺部には和歌山のミカンが来ているけれども、東京の最も中心であるこの市場で勝負をしてほしいと思う。田口早生やゆら早生を食べさせてもらったが、本当においしい。何でこれが来ないんだというふうに思いますよ」と、率直な意見も出されました。
 このことは、実際に市場の競りの現場でも、私、実感しました。十月の委員会視察のときは極わせの時期でしたが、「豊福」なんて大きく字の躍る九州産のミカンのポスターや、愛媛、熊本、佐賀などののぼりや横断幕、これが競り台いっぱいに掲げられていました。和歌山の和の字もなかったんですね。
 私は、十一月の十八日に、もう一度大田市場を調査に伺ったんですが、このときにはリンゴやイチゴなど色とりどりののぼりがふえていましたけども、またもや和歌山の字を見ることはできませんでした。案内していただいた県農の職員の方が、「場所の取り合いで、もうすぐどっかに持ってかれるんですよ」と言って、奥の方から和歌山ののぼりをこうやって出してきていただいて、ガムテープで一生懸命とめていただいた。これをまあ、痛々しく拝見したわけです。
 この日、「和歌山のミカンと他産地のミカンを実際に比べたいんだ」というふうに申し出ますと、市場の中をずうっと回らせていただいて、全国各地のミカンを、あっちの箱、こっちの箱をこうあけて実際に食べ比べをさせていただいたんです。愛媛の真穴、熊本の草枕、長崎の伊木力、福岡の一三〇など、たくさんの種類を和歌山の有田ミカンと食べ比べたわけなんですが、実際、これはひいき目なしで和歌山のが一番おいしかったです。私は何よりもこれがうれしかったんですが、どれもこれも、いただいた箱は光センサーによって十一度の糖度保証などというふうに書かれているんですが、全く味が違うんですね。他産地のぼんやりしたような味ではなくて、しっかりとコクのある、うまみというんでしょうか、これがミカンの味やと自信を持てたんです。実際、市場関係者からも、ことしの和歌山県産のミカンの内容はとてもいいというふうに評価をされていました。
 さて皆さん、和歌山のミカンの未来を考えるとき、おいしいミカンをつくるという生産面としっかり売り込んでいくという販売面、いずれにおいても力を合わせて取り組んでいかねばなりません。農家は、これまで自分がつくった農産物を自分で値段がつけられない、市場や仲買人任せで泣かされてきたという長い歴史を持っています。私は、大規模流通や量販店が支配をする今の市場流通だけが農業の未来を保証してくれるものではないと考えています。生産者と消費者の距離がもっと近づいていく、そんな顔の見える関係を目指す産直組織や、宅配などで個々の消費者とつながっていくそういう農家、また生産者が直接農産物を販売するどんどん広場のような形態など、さまざまなチャンネルがこれから発展していくだろうし、そのこと抜きに日本農業の未来は見えてこないと考えています。しかし、消費者に安定的に食料を供給し、需要と供給のバランスをとってきた市場の果たしてきた役割、これは大変大きく、重要で、今後もその役割を果たしていくと私は考えます。
 私は、そういうことも踏まえながら、和歌山ミカンのブランド力の向上、販売力でも他産地に負けない力を発揮するための市場対策としては、まず第一に、これまで長いおつき合いをいただき、確固たる地位を築いてきた京阪神市場を守ることが大事だと思います。ここには、安値による運送コストの関係で首都圏に行かないミカン、他産地が今食い込んできている。せっかくの基盤をとられてきているという実態がある。ですから、まずここを守るというのが一番だと考えます。そして、この守りとあわせて首都圏での戦いに挑む。特に大田市場など、東京の中心部の市場での評価と実績をつくることなくして、ミカンと言えば和歌山、やっぱり和歌山のミカンはおいしいという全国区で通用するブランドにはならないというふうに考えます。JAを初め生産者団体などとも十分な議論をしながら、出荷・販売戦略をしっかり準備もして仕掛けるべきだというふうに思っています。田口早生やゆら早生など優良品種に商標をとって、例えば味一だとかデコポンだとか、そんないい名前を、商標をつけようと準備もされているようです。これもしっかりと応援をしてほしいというふうに思います。
 いろいろ要望もあわせて申し上げたわけですが、首都圏での販売力強化に向けての農林水産部長の考えをお示しいただきたいと思います。
 続きまして、三つ目の柱である市町村合併の問題についてお尋ねをいたします。
 先月、国の第二十七次地方制度調査会が最終答申を出し、特例法の期限後は人口一万人未満の町村を対象に都道府県知事が合併構想をつくり、勧告やあっせんを進める構想を打ち出しました。この答申の発表に対し、全国の知事からさまざまな角度で批判的な意見が出されています。
 紹介いたしますと、「県がああしろ、こうしろと言うのは失礼な話だ。合併は市町村が自主判断していくべきだ」、こう批判したのは青森県の三村知事です。人口一万人の町の町長を務めていたことがあるこの知事は、この答申が人口規模一万人未満を目安というふうにしたことに不快感を示し、「合併は市町村が自主的に判断をしていくべきもの」、こういうふうに述べています。また、旧自治省出身の知事からも批判の声が出ています。「多様な自治体が存在する制度にすべきだ。県が上位団体のようにして市町村に半強制的に合併を進めるのは間違っている」、鳥取県の片山知事はこう述べ、「答申に動揺しないでほしい」と市町村に呼びかけました。ほかにも、秋田、福島、山梨、新潟、栃木、兵庫、岡山、香川など、批判や懸念を表明する知事のコメントが各種報道されています。「合併についてあんまり国がこうすべきだというのではなく、地域の実情に応じて地域が判断し、自己責任のもとにやっていくのが地方分権」と香川県知事。「強制合併ととられかねない。県と市町村は対等で、上下関係はない。分権の趣旨に反する」と岡山県知事。「自治体が自主的に判断して、合併せずに自立して歩んでいけるならば、それはそれでいい」と山梨県知事。紹介し切れませんが、こういった知事の中には合併推進の立場の知事もいらっしゃるわけですが、人口で線引きをして強制的に合併を進めることには共通して厳しいコメントを出されています。
 また、マスコミからも批判の声が上がっています。「人口だけを理由に合併圧力をかけるのは危険だ。都道府県による合併勧告も強制的な色彩が強い」と日経新聞。毎日新聞も、「ひたすら規模を拡大する市町村合併では地域社会の再生は不可能だ」と批判をしています。
 昨年十一月の調査会会長西尾私案では、「市町村なくして市に再編」とうたわれ、合併特例法が切れた以降は合併によって消滅するべき自治体の人口を法律で明示をして自治体の権限の縮小を取り上げて他の自治体に編入するなどという、とんでもない強制措置というか脅しまで提案されたものでした。
 私たち和歌山県を振り返りますと、一万人未満の自治体には、現在、五十自治体のうち六割の三十町村が該当します。これらの小規模自治体には、県民人口から見れば一・五割の人しか住んでいません。けれども、県土全体の七割を占めるんです。国レベルで見れば、一万人未満の自治体は自治体数の約五割です。人口レベルで見れば、わずか七%しか住んでいません。しかし国土の五割、この日本の国土を守ってきたのがこの地域に住む住民の皆さんです。この地域からおいしくて安全な食料、水、空気が大都市に供給をされています。強制合併は、ここでの生活を困難にするだけでなく、都市の安全性をも脅かすものだと思うんです。
 昨年の西尾私案や調査会の中間答申に対し、全国町村会、全国町村議会議長会など、地方自治の根幹を揺るがすものと立ち上がりました。県内でも、四十三町村のうち三十三議会で西尾私案を批判する意見書が採択されたと聞いております。
 この九月に開かれ、全国百五十自治体から六百人の自治体首長さん、議会、自治体関係者が一堂に会した小さくても輝く自治体フォーラム、この会に私も出席してまいりましたが、ここでは、自立の道を模索し、輝く町づくりを進めるこの町村長さんたちの格調高い、そして極めて現実的な町づくりの方向が報告をされていました。今回の最終答申を見ますと、注目をされた合併促進の対象を一万人未満を目安としましたが、地理的条件や経済事情なども考慮することが必要と幅を持たせました。また、合併しない町村の権限取り上げや近隣自治体への編入などの強制措置は引き続き検討とするにとどまり、強制策には踏み込めませんでした。合併協議会の解散が相次ぐなど、押しつけ合併が矛盾にぶつかる中、地方自治体と住民の世論と運動が今回の最終答申にも影響したと考えています。またその一方で、財界がねらう道州制については検討する必要があると中間報告よりも踏み込み、具体化に向けて新たな動きを示したという点も指摘をしなければなりません。
 私は、市町村合併については、市町村という一番身近な基礎的自治体のサイズを決め、町の未来図を考えるという大変大事な住民の仕事であり、合併するも合併しないも、またどんな合併を目指すのも住民の徹底した論議による、住民の手による自主的な判断が大事だと考えます。今回の最終答申は、一定の国民的世論を反映したものではあるものの、自治体に合併を一層強制する性格のものであると私は厳しく批判をするものでありますが、この第二十七次地方制度調査会最終答申についての知事の所見を伺います。
 あわせて、自立の道を選択する市町村にも支援策を求めて質問をさせていただきます。
 県内では、この間だけでも、古座川町、そして上富田町が法定協議会からの離脱をいたしました。打田町の町長が議会の特別委員会で合併協議会への不参加の考えを示しました。有田地方の協議会も、合併後の財政見通しや庁舎の位置などで随分問題点も出てきているようです。
 私は、これらの動きは、これまで県が進めてきた合併構想が具体的な市町村間の協議や住民の中での議論が進む中でその矛盾があらわれてきたものだと考えています。個々の状況はさておいて、合併せずに単独の道を選択する町や、合併を目指すものの法期限にとらわれずに望ましい将来の合併に備える、こういう道を選ぶ町村が出てきたことが、私はこの間の特徴だというふうに思います。
 これらの自治体を含め、県が今後どういう姿勢で臨むのかが問われています。私は、合併を選択する市町村にも、合併を選択しない市町村にも、それぞれに支援策を講じていくのが県行政の姿だと考えます。
 長野県では、合併を選択する市町村を応援する合併支援室と、そして合併を選択せずに自立の道を選ぶ、そういう町を応援する支援室、この両方を設けています。合併せずに自立を目指す自治体のためにも長野県市町村「自律」支援プランを策定しています。その中では、市町村の機能補完のための人的支援や、事務受託で専門職や実務の援助をする、また財政的支援として集落創生交付金をつくる、また情報提供や行財政運営に関する研究支援など、いろんなメニューをきめ細かく打ち出しております。
 こんなような県と比べ和歌山県は、和歌山市以外のすべての市町村を合併重点支援地域に指定し、近畿の府県の中でも合併推進の予算を一けた多く予算計上してきました。昨年度末には、合併する市町村に交付金を出すんだといって二十億円もの基金を二月の補正予算で積んでいます。これだけ大変厳しい財政状況のもと、口を開けば県にはお金がないからと、あっちこっちの補助金や予算を細かく細かく削りながら、市町村へのお金も削りながら、すごい大金だなとびっくりしたものです。いかがなものかと、さきの決算委員会でも指摘をさせていただいたわけですが、市町村からの希望に基づいて制度をつくったと、そっけない説明でありました。
 私は、市町村の希望に基づいてと言うのであれは、この市町村合併の問題、今後の合併議論の中では、先ほど紹介いたしましたように、単独を選択する町、今回の期限にはとらわれないという選択をする町、こういう町の希望や悩みにもこたえるのが当然ではないでしょうか。
 和歌山県の県土の均衡ある発展と、そして住民自身が自分たちの町の町づくりを考え、個性的で多様な自治体が共存をし、和歌山のすばらしい自然と風土、文化を守り発展させるために、合併を選ぶ町にも選ばない町にもどちらにもしっかりと援助の手を差し伸べるとともに一緒になって行財政運営の知恵を絞っていく、こんな県政が望まれると考えます。単独を選択する市町村への支援策について、総務部長の答弁を求めるものです。
 以上、三つの柱にわたってお尋ねをいたしまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 広川町の硫酸ピッチの不法投棄の問題でございますが、これは、量はともかくとして、全国的に極めて悪質な事件として県も重点的に対処をしているところでございます。
 この問題は、先ほどもお話にありましたように、脱税の問題もありますし、犯罪の問題もありますし、非常に根の深い問題です。それがここへ来てまた大きく取り上げられているので、この際、本当に抜本的な対策がとられるような方法を考えていかないといかんと思いますし、京都のような対応も一つの方法だろうと思います。さらにはまた、定点監視や重点パトロールなどを積極的に実施して、こういうふうな大変な違法行為を行った者をちゃんと逮捕していくというふうな措置を考えていかないといかん、このように私は思っております。
 それから次に市町村合併についての問題なんですけれども、市町村合併、これはまあ都道府県も市町村も含めて、今の自治体皆そうなんですけれども、このままいけるならばこれほどいいことは、簡単に言えばないわけです。だけども、基本的には地方交付税でありますとか補助金でありますとか、そういうふうなものでほとんど自立という形なしに運営されているというのが今の状況と。そういうふうな中で和歌山県下でも各関係の市長さん、町村長さんは、本当に僕は苦渋の選択の中で、苦労をしながらやっぱり合併を進めていると思うんです。そしてそれは、住民の方々も僕は一緒だろうと思います。県としてはそういうふうなものを、上からああしなさいとか、こうしなさいとか偉そうに言うような立場じゃなくて、一緒になって悩みながら、しかしながらやはりあるべき市町村の規模ということはこれから僕はあるというふうに思っておりますので、そういうふうな方向へ向かっていく努力を支援していきたいというふうに思っております。
 それからまあ二十七次の地制調の答申、一万人ということを基準にして、県の勧告であるとかあっせんであるとかいう制度が入りました。そして各県の知事の多くは、これはけしからんという方向で出てきました。私自身も、県がそういうふうなことを強制するという立場にないということはそのとおりだと思いますけれども、だからといって、わかったようなことを言うだけで物事が解決するならこれほど簡単なことはないし、こんな合併なんていう問題もそもそも起こってこなかったわけだから、だからやはりそういうふうなところ、お互いの、まあ言ってみれば接点みたいなものをやっぱりこれから僕は真剣に考えていくべきであろうと思うんです。
 地方自治が大事だ、市町村は自分のとこのことを何でも決めていけばいい──それはもうそのとおりだと思いますけれども、それでうまくいかなくなっている中でどういうふうにしていくかということをこれから考えて。これは大変苦しい道ですけれども、先ほど初めに、前の質問でも言いましたように、日本の国がもうデフレ型の右肩下がりの社会になってきている中でどういうふうなあり方がいいのかということをやはり考えていかないといかんという時期に私はもうなっていると、こういうふうに思っていますし、県もそういうふうな真剣な立場で考えていきたい。評論家的なことはだれでも言えると、こういうことだろうと思います。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 広川町における硫酸ピッチ不法投棄事件につきまして、対応経過と安全対策、今後の処置対策についてお答え申し上げます。
 不法投棄が発見された当日の朝からすぐに、地元広川町、土地改良区、振興局等が迅速に措置を講じ、周辺地面に投棄された硫酸ピッチを土や消石灰等で中和してすくい取り、もとのドラム缶等を立て直した上、回収して一カ所に整理し、その上にシートをかけて保全してございます。
 折杭池に流れ込みました硫酸ピッチにつきましては、すぐにオイルフェンスを設置し、吸着マット等を駆使して池の表面の油の回収、河川への流出防止の対応をとっております。なお、水質検査を行ったところ環境基準を満足しており、生活環境保全上の支障はございません。
 その時点では行為者が特定されていなかったため、去る十一月十四日に措置命令を公告で出し、着手期限である同月二十一日を過ぎても何ら措置がなされなかったので代執行の準備を進めているところでございます。その代執行に要する経費として、今議会におきまして追加の補正予算をお願いしております。
 なお、十一月二十七日、県警察の捜査により行為者が逮捕されたことに伴い、接見の上、措置命令に従う意思がないと確認しておりますので県が代執行を実施し、今後の県警察の捜査の状況を見守って行為者等に対し代執行に要した経費を求償してまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) ミカン対策についてお答えいたします。
 まず、二〇〇三年度産ミカンの作柄と販売状況についてでございますが、本年は表年に当たったことから、摘果の徹底による需給調整対策とマルチ栽培の拡大などの高品質な果実生産に積極的に取り組んでまいりました。その結果、まずまずの品質に仕上がり、出荷当初の極わせミカンは順調な販売でございました。しかし、出荷最盛期を迎えた十一月以降の高温多雨により浮き皮や腐敗果が発生し、品質が低下したことと消費の伸び悩みなどから価格が低迷し、十二月一日現在の出荷数量は前年対比九一%、単価は昨年と同様に厳しい状況となってございます。こうしたことから、現在産地では、商品価値の低い果実の出荷抑制に加え、さらに厳しい選果選別を行い、高品質果実の厳選出荷に取り組んでいるところでございます。
 次にミカンの首都圏での販売戦略強化についてでありますが、これまで本県は地理的な条件から京阪神経済圏への農産物の安定供給基地として大きな役割を担ってきたところでございますが、近年、流通事情は大きく変化し、首都圏を中心に物流や情報の一極化が進む中で、県といたしましては従来の京阪神市場に加え、首都圏での販売強化を図ることとしてございます。そのため、昨年に引き続き、大手量販店におけるアンテナショップでの販売促進とともに、和歌山で生まれた高品質ミカンのゆら早生の一元販売を初め、まるどりみかんのブランド化や消費者の安全、安心指向の高まりに対応したトレーサビリティシステムの構築など、新たな取り組みに努めているところでございます。
 また、本年産ミカンにつきましては、現状の厳しい販売状況を踏まえ、JA等生産者団体では、十一月二十九日から集中的な販売促進活動に加え、独自に首都圏の量販店における各JAによる対面販売などに努めてございます。
 今後とも関係部局と連携を図るとともに、生産者と関係機関が一体となって本県産ミカンの販売促進に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併についてお答えをいたします。
 市町村につきましては、厳しい社会経済情勢の中で進展しております分権型社会を担う主体としての責務が増加してくるということは確実でございます。こうした観点からは、やはり市町村合併によるスケールメリットを生かして行財政能力を高めるということが非常に有意義と考えております。
 こうした観点から県といたしましては、昨年十一月に策定をした和歌山県市町村合併支援プラン等に基づいて、引き続き合併協議や合併後の町づくりに対する支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、合併しなかった市町村につきましては、従来と同様に国の制度や地方財政措置に沿いながら適切に支援を行ってまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 議員お尋ねの広川町硫酸ピッチ不法投棄事件につきましては、事件認知後、直ちに所要の捜査を行いまして、本年十一月二十七日、大阪府在住の被疑者一名を逮捕し、現在、事案の全容解明のための捜査を鋭意推進しているところでございます。
 詳細につきましては、捜査中であり答弁を差し控えさせていただきますが、本件のように悪質な環境犯罪に対しましては今後とも徹底した取り締まりを行ってまいる所存でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 ご答弁をいただきました。
 硫酸ピッチの不法投棄の問題では、積極的なご答弁と、それから実際もう仕事もどんどん進めていただいているわけでありまして、府県間の協力や国に対しても要望していくということも含めて、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思うんです。
 きょうあたりから池の水を抜いておりまして、底にまで流れ込んでいたピッチの除去作業に入っていただくというふうに聞いているわけですが、地元からは、池の端に保管をしてあるドラム缶も含め一日も早く撤去してほしいという声が出ていますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 この池の底のピッチを取る作業をしてから池にもとどおり水を張って農業用水に使っていくし、また上水道の取水口である広川にも水が流れていくと、こういうふうになっていくわけなんですが、私、聞いてみると、今後、水質検査をする予定はないというふうに聞いているんですね。でもこの撤去作業、いろんな作業が終わって水を張って、さあもとどおりといったときに、やっぱり水質検査、もう一度安全だという検査も必要になってこようかというふうに思うんですね。今後、地元の要望を聞きながら水質検査の実施も検討していただくよう要望をしておくものでございます。
 それからミカン対策でありますが、ミカン対策では、価格の問題など昨年並みに苦労しているというふうな答弁でありましたが、昨年並みどころか、大変なことになっているというふうに思うんですね。先週ぐらいでは、表年と言われたけれども、出荷量は昨年よりも一割減だと。でも値段の方は、去年同時期で一キロ百四十円、百五十円してたのが、もう百十円とか百二十円とか、そのぐらいで、二割安も当たり前だという話でした。もう今週へ入ったら、キロ五十円とか八十円とかというところも出てきているということですから、本当に大変な事態だというふうに私は思うんですね。
 今、農家のところを、「ミカン対策で、私、議会でも取り上げたいんですが、何を望みますか」と言って回らせていただくと、どこへ行っても、「ミカンの安いこの値段対策、何とかしてほしい。ほんまにお手上げなんだ」という声をお聞きするわけなんです。やっぱり農家にとれば、「キロ二百五十円で売れれば農業で食べていける。せめて二百円は欲しい。でも、本当にこの三年も連続で安かったら、わしら、ほんまにお手上げや」という声があります。有田地方でも、農家のミカンの手取りが少ないと、商売人も勤め人も含めて、地域経済全体に深刻な影響を及ぼしています。ぜひ県の懸命な姿勢を見せていく必要があろうかと思うんですね。
 この先、農林水産委員会で、大阪の市場にも視察を予定いただいております。知事も上京する機会が多いと思うんで、ぜひ一層力を入れていただくように要望をしておきたいというふうに思います。
 それから最後に市町村合併の問題ですが、これについては、私ももうひとつ強く要望しておきたいというふうに思うんですね。
 知事の方からも、「このままでいけるなら」と言いながら「苦渋の選択を迫られている問題だ」と。「上から、ああしなさい、こうしなさいという立場でないし、強制する立場ではない」という答弁もありました。「しかし、評論家的なことを言ってられる状況でもないんだ」というお話もありましたけれども、その地域が、市町村が、小さな町がこのままではうまくいかなくなってきているという。その原因はどこにあるんかと、なぜそうなってきているのかという議論なしに国は「小さな町を切り捨てますよ」と。「その強制合併の矢面に県知事さん、立ってくださいよ」ということを言ってきているようなものでありますから。
 午前中からも、三位一体の改革や税源移譲の問題、議論されました。地方の立場でこれまで以上に意思表示をしていく場面が出てこようかと思います。市町村の自主性を尊重する立場に立つべきだということをもう一度強く申し上げておきたいというふうに思います。
 それから、合併しない町にも支援をということでお願いをしたわけなんですが、「これまで同様に適切に支援をしていく」と、こういう答弁にとどまったというふうに思うんですね。具体的な議論にはいかなかったわけですが、また今後の予算議会などでも私は議論していきたいと思うんですが。
 例えば、先ほど私申し上げました、合併をした町への基金をつけるというその基金ですけれども、その基金の使い方として、合併した後のコミュニティーの確保を図るためにコミュニティーセンターをつくったり、コミュニティーバスを走らせるための費用としてこの合併の基金を使ってほしいんだというふうな説明があったわけなんですね。ところが、私考えるんですが、その福祉バスとかコミュニティーバスとかというのは、例えば私ども金屋町や清水町など山間部の地域住民にとっては、合併しようとも合併しなくてもぜひ必要になってきているし、今後ますます必要になってきている課題だというふうに思うんですね。そういう意味では、すべての自治体を対象にしたそういう県の支援施策、このコミュニティーバスや福祉バスの問題でも要ってくるんではないかというふうに私は思うんです。来年度予算に向けて一層議論を深めていっていただきたい。このことを強く要望して、要望とさせていただきます。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は十二月八日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十一分散会

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