平成15年12月 和歌山県議会定例会会議録 第1号(全文)


県議会の活動

平成十五年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第一号
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議事日程 第一号
 平成十五年十一月二十七日(木曜日)午前十時開会・開議
  第一 議席変更の件
  第二 会議録署名議員の指名
  第三 会期決定の件
  第四 議会運営委員辞任の件
  第五 議会運営委員定数変更の件
  第六 議案第百四十九号から議案第百六十八号まで、並びに報第八号(当局説明)
  第七 議案第百五十号から議案第百五十六号まで(質疑)
  第八 議案の付託
会議に付した事件
   一 議席変更の件
   二 会議録署名議員の指名
   三 会期決定の件
   四 議会運営委員辞任の件
   五 議会運営委員定数変更の件
   六 議案第百四十九号から議案第百六十八号まで、並びに報第八号(当局説明)
   七 議案第百六十九号及び議案第百七十号(当局説明)
   八 議案第百五十号から議案第百五十六号まで(質疑)
   九 議案の付託
   十 休会決定の件
出席議員(四十四人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       東       幸   司
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十八 番       山   下   大   輔
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       木   下   善   之
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       浦   口   高   典
     二十六番       藤   山   将   材
     二十七番       原       日 出 夫
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       野 見 山       海
     三十 番       冨   安   民   浩
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       阪   部   菊   雄
     三十三番       花   田   健   吉
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       前   川   勝   久
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       中   村   裕   一
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
欠席議員(一人)
     四十六番       和   田   正   人
 〔備考〕
     十七 番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         垣   平   高   男
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員長   駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
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  午前十時三分開会・開議
○議長(尾崎要二君) ただいまから、平成十五年十二月定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議席変更の件】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議席変更の件を議題といたします。
 議席の一部を次のように変更いたしたいと思います。
 その議席番号及び氏名を職員に朗読させます。
  〔職員朗読〕
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   三番谷 洋一君を二十二番に
   四番新島 雄君を三番に
   十七番東 幸司君を九番に
   二十二番山下直也君を四番に
      それぞれ変更し、十七番は欠員といたします
     ─────────────────────
○議長(尾崎要二君) お諮りいたします。ただいま朗読したとおり議席を変更することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、ただいま朗読したとおり議席を変更することに決定いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十時四分休憩
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  午後一時二分再開
○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
  【日程第二 会議録署名議員の指名】
○議長(尾崎要二君) 日程第二、会議録署名議員の指名を行います。
 今期定例会の会議録署名議員は、十番浅井修一郎君、二十六番藤山将材君、四十二番雑賀光夫君の三君を指名いたします。
  【日程第三 会期決定の件】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第三、会期決定の件を議題といたします。
 お諮りいたします。今期定例会の会期は、本日から十二月十六日までの二十日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は本日から十二月十六日までの二十日間と決定いたしました。
  【日程第四 議会運営委員辞任の件】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第四、議会運営委員辞任の件を議題といたします。
 山下直也君及び浅井修一郎君から議会運営委員辞任の申し出があります。
 まず、山下直也君の議会運営委員の辞任についてお諮りいたします。山下直也君の議会運営委員の辞任を許可することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、山下直也君の議会運営委員の辞任を許可することに決定いたしました。
 次に、浅井修一郎君の議会運営委員の辞任についてお諮りいたします。浅井修一郎君の議会運営委員の辞任を許可することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、浅井修一郎君の議会運営委員の辞任を許可することに決定いたしました。
  【日程第五 議会運営委員定数変更の件】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第五、議会運営委員定数変更の件を議題といたします。
 お諮りいたします。議会運営委員の定数につきましては、現行の十四人から十二人に変更いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 この際、ご報告申し上げます。
 議員大原康男君には、去る十月十九日、逝去されました。まことに痛惜のきわみでございます。
 故大原康男議員に対し弔意をあらわすため、浅井修一郎君から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
 十番浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○浅井修一郎君 議長のお許しと議員各位のご同意のもと、故大原康男議員に謹んで哀悼の言葉をささげさせていただきます。
 今、私は、万感胸に迫る思いであります。春の統一地方選挙でこの和歌山県議会において堂々と議席を確保されて以来、短い期間ではありましたが、同僚議員として、また同じ会派を組ませていただき、議会人として、だれよりも身近に大原議員の人柄に接した者として、今、あなたの議席があるじを失い、寂しく空席となっている様子を見て、ただただ愕然とするばかりであります。
 去る十月十九日、大原さんは、ご家族を初めとする手厚い看護のかいもなく、忽然としてこの世を去られました。生前、あなたは体躯堂々、土とともに生きる人として極めて健康でありましたのに、五十六歳という余りにも早い旅立ちは、まことに痛恨のきわみであります。
 大原さんは、昭和四十一年に県立那賀高校を卒業後、すぐに運送業を起こされ、その後、経済人として、商工会青年部活動を通じて昭和六十年に貴志川町に観光いちご狩り協会を発足させ、十数名の仲間とともに農家から田んぼを借りるなどの多くの苦難を乗り越えながら、熱意と工夫を凝らして観光いちご園づくりに取り組まれました。今では、イチゴの町貴志川には県内を初め関西各地から年間一万五千人ものイチゴ狩り客が訪れ、観光農園ブームの先駆けをつくり上げました。
 このほか、貴志川に清流をよみがえらせ、観光屋形船によるホタル観賞など、数多くの観光イベントを手がけられ、貴志川の観光協会にはなくてはならない人として町づくり事業に邁進されました。
 本当に行動力の固まりといった人で、議会活動はもちろんのこと、多くの従業員を抱える運送会社の経営のほか、県トラック協会の紀北支部長やPTA活動、それに消防団や土地改良区の役員としても活躍され、日々新たにパワー全開の人だったとお聞きしました。特に土とともに生きるのが信条で、好きな農作業をする一方で、那賀郡内で一番の平池の整備を図って防災体制を確立させたり、貴志川堤防の草刈り作業にはみずから所有する耕運機等農機具を持ち出すなど、常にボランティア活動の先頭に立たれました。
 このように、地域のため、人のために尽くされ、その功績は枚挙にいとまがありません。
 また、議会人としては、昭和六十二年に我が県議会の大先輩、故中西雄幸先生らの支援のもと、貴志川町議に初当選以来、その後二回のトップ当選を果たすなど、地元の期待にこたえられてきました。四期連続十六年間にわたって議員活動を続けられ、「貴志川町議会に大原あり」と各方面から高い評価を受けられたものでありました。その間、平成九年五月から二年間にわたって議長職を務められるなど、これらの輝かしい功績に対して全国町村議長会からは自治功労表彰を二回にわたって授与されています。
 私も、市議会議員時代から大原さんから何かとご指導をいただき、意志が強く、志の高い人であるとの印象を強く持っていたものであります。必ずやりかけたことはなし遂げる、政治家のよきお手本として尊敬申し上げていた中で、この県議会に同じく当選させていただいてからは真っ先に会派の相談も申し上げ、結果、同じ会派に参画させていただいた次第であります。
 県議会当選後、木村良樹知事の改革路線を高く評価し、みずからの公約実現のために懸命の努力を重ねてこられました。入院中のベッドでも、付き添っていた奥さんやご家族には仕事の話ばかりをしていたそうであります。とにかく根っからの仕事人間で、医師から注意を受けながらも、ほとんど毎日外出許可をとり、六月定例議会へ出席し、委員会視察にも参加されました。また、中村慎司町長らとともに、貴志川や桃山で開かれた石田真敏代議士の国政報告会に応援弁士として登壇するなど、病状が悪化する中、文字どおり粉骨砕身政治活動に取り組まれました。
 とにかく実行主義がモットーで、町内や郡内の交通網の整備、ごみ処理場や公共下水道の整備、それに中高一貫教育や私立校の誘致推進などに情熱を傾けられました。特に交通問題では、県道泉佐野岩出線の整備に熱心に取り組まれ、船戸橋の拡幅や岩出から貴志川にかけてトンネルを貫通させ、時間短縮や渋滞の解消策を打ち出されたほか、和歌山市への通勤マイカー路線となっている県道南港山東線の岡崎地区の交差点改良や西山東地区から鳴神あるいは神前地区にかけての地下トンネルを含めたトンネル構想も唱えられていました。
 また先日、南海電鉄が廃止の方向性を示した貴志川線については、地域住民の利便性を向上させるには船戸駅や和泉砂川駅などに路線を延伸させ、利用客の増加策を提唱したり、さらには貴志川線をJR阪和線などとスムーズに連係させるためにも貴志川線をJR化し、和歌山市駅と和歌山駅間を走るJR紀勢線の一部と南海貴志川線の路線ごと交換させるといった大胆な提言も口にされるなど、那賀郡や和歌山市、泉州地方などが一体となっての浮上論や関西国際空港のより一層の利用促進策を唱えられていました。
 また大原さんは、政治家として「新しい時代は新しい人間で」を強く訴えられ、みずからも時代の新しい流れを酌み取ろうと努力を続ける一方で、若い人たちの政治参画やアイデア登用を各方面に呼びかけました。その中で、地元の若い町議会議員とは常にコミュニケーションがとれるよう配慮したり、また県議会においても同じ会派だった若手の山下大輔議員や東幸司議員にも常に声をかけられ、これからの和歌山県政について熱っぽく語っておられたその姿が目に浮かびます。
 情熱家の大原さんは、亡くなる前に、病室で奥さんや子供さんらにこれまでの人生について語り合ったということであります。「人と人のつき合いは常に心を開いてつき合え。みんなの力のおかげだ。人と人の和の中に僕がいただけだ」などと語りかけていたということです。
 最期をみとった奥さんが、「今までありがとう、お父ちゃん。これまでを振り返って何か文字にあらわして」と求めたところ、大原さんは痛みのため自由がきかない体を押して、渾身の力を込めて震える手で「心は愛なり やすお」とメモ用紙に書き込まれたそうです。そうして、しばらくして息を引き取られました。
 私たちはもうあなたのだれをも引きつける笑顔を見ることはできず、また情熱あふれる熱弁を二度と聞くこともできない現実に、言葉にならない深い悲しみを感じるものであります。まことに心から残念に思いますが、あなたの愛してやまなかったふるさと貴志川、また和歌山県の発展のためにも、私たちはより一層の精進と努力を重ねてまいる所存でございます。
 名残は尽きませんが、心からのご冥福をお祈り申し上げます。そして、天上から、奥様を初めご家族並びに和歌山県の前途を見守っていただくことを念じまして、哀悼の言葉といたします。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) 次に、諸般の報告をいたします。
 知事から地方自治法第百八十条の規定による専決処分の報告が、監査委員から監査の結果報告及び現金出納検査の結果報告がありました。いずれもお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 なお、人事委員会から、去る十月八日、職員の給与等に関する報告及び勧告がありましたが、この写しは既に各議員に送付されておりますので、申し添えます。
 次に、今期定例会に提出された議案等は、お手元に配付のとおり、議案第百四十九号から議案第百六十八号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第八号及び追加提出された議案第百六十九号、議案第百七十号の計二十三件であります。
 なお、議案第百五十一号から百五十六号まで及び議案第百五十八号は職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
○議長(尾崎要二君) 日程第六、ただいま報告の議案第百四十九号から議案第百六十八号まで、並びに知事専決処分報告報第八号を一括して議題といたします。
 なお、この際、追加提出された議案第百六十九号及び議案第百七十号を本日の日程に追加し、あわせ一括して議題といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
  【日程第六 議案第百四十九号から議案第百六十八号まで、並びに報第八号】
  【追加日程 議案第百六十九号及び議案第百七十号】
○議長(尾崎要二君) 日程第六、議案第百四十九号から議案第百六十八号まで、並びに知事専決処分報告報第八号、及び追加提出議案第百六十九号、議案第百七十号をあわせ一括して議題といたします。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 平成十五年十二月定例会にご参集いただき、厚く御礼を申し上げます。
 まず、去る十月十九日逝去されました大原康男議員のご霊前に、謹んで哀悼の意を表します。
 大原議員は、昭和六十二年以来四期十六年の間、貴志川町議会議員として、また本年四月から和歌山県議会議員として地域の振興と本県発展に尽力されてまいりました。これからのご活躍が期待されていただけに、このたびのご逝去は痛恨のきわみでございます。ここに、生前のご遺徳をしのび、謹んでご冥福をお祈りいたします。
 さて、ただいま上程されました諸議案について提案理由をご説明するに先立ち、県政をめぐる最近の主な動きについてご報告申し上げます。
 去る十一月九日に行われました衆議院議員総選挙では、政権公約いわゆるマニフェストが大きな注目を浴び、中でも三位一体改革を初めとする地方分権の推進は各政党のマニフェストに盛り込まれ、経済・雇用、年金改革等と並び、我が国の重要な政策課題として国民に認識されたものと考えております。
 国は、骨太の方針第三弾において国庫補助負担金四兆円の廃止・縮減等の方針を示しているところであり、十一月十八日に開催されました経済財政諮問会議において小泉首相は、平成十六年度に補助金を一兆円廃止・縮減し、あわせて地方への税源移譲に着手するよう指示をされました。しかしながら、肝心の税源移譲については不確実な要素が強く残るなど、改革の具体的な内容は国の来年度の予算編成過程の中に押し込まれてしまい、地方の意見が届かないところで中身が決められてしまうのではないかと危惧されております。
 そこで、私もメンバーである新しい日本をつくる国民会議(二十一世紀臨調)の知事・市長連合会議が今月の十八日に県並びに市町村を合わせたトータル地方として、おおむね九兆六千億円の廃止を求める国庫補助負担金の具体的なリストやその税源移譲の税目、移譲額を明らかにするなど、地方の声を反映させるべく見直しの提言を行ったところでございます。また同日、全国知事会でも約九兆円の国庫補助負担金の廃止と所要の税源移譲等を求める提言を公表したところでございます。これらの提言を国がしっかりと受けとめ、地方の意向に沿った分権改革につなげていくかどうか、国の予算編成作業を見守りながら、時宜に即し地方自治体としての立場から意見を主張してまいりたいと考えております。
 一方、地方分権が進めば、地方は自己決定、自己責任のもと、自治体経営に今まで以上の主体性が求められることになりますので、県といたしましても、徹底的なコスト縮減の実施や施策の重点化、またさまざまな分野でのNPOとの協働などによる行政の守備範囲の見直しとともに、創意と工夫を凝らした地域独自の発想に基づく県政運営に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、平成十六年度の予算編成に当たっての基本的な考え方について申し上げます。
 我が国経済は、総体としては景気が持ち直してきてはいるものの、その足取りは業種や地域によってばらつきが見られる状況にあり、また今後の海外経済の動向や株価、為替レートなどの動向にも十分に留意していく必要があります。
 本県財政では、県税収入は依然として予断を許さず、地方交付税につきましても総額抑制の動きがあるなど歳入面での脆弱さに加え、歳出につきましても、介護保険等の福祉関係経費の伸びが見込まれるほか、県債残高の増嵩など、来年度以降もより厳しい財政運営を強いられるものと考えております。
 このような状況の中で本県が豊かで持続的な発展を遂げていくため、地域経済活性化や東南海・南海地震に備えた防災対策、世界遺産登録を見据えた観光振興など、県政の喫緊の課題や新たな行政需要に対応した選択と集中による施策の重点化を図る一方で、県民との協働を進めながら分権時代の幕あけにふさわしい自主・自立のわかやま新時代に向けた予算編成に取り組んでまいります。
 また、現下の厳しい経済・雇用情勢を踏まえ、当面の景気・雇用対策にも適切に対応してまいりたいと考えております。
 さらに、この予算編成を通じ、歳出全般にわたり一層のスリム化、効率化を図るため、すべての事務事業についてこれまで以上に役割分担や費用対効果等の視点から総点検を行い、質実重視の予算を編成してまいる所存でございます。
 次に、高速道路整備の促進についてでございます。
 いよいよ来月十四日に待望の近畿自動車道紀勢線御坊─南部間が開通することとなり、議員の皆様とともに早期開通を働きかけてきた成果と、大変喜んでいるところでございます。
 現在、国においては、国土開発幹線自動車道建設会議の開催や民営化関係法案の国会提出に向けて、今後の高速道路整備の枠組みを決定する大変重要な時期となっております。このため、昨日も東京で東南海・南海地震に備えた沿岸四県高速道路整備促進大会と地方の実情に合った道路整備の推進と財源確保を求める決起大会を開催し、本県における道路整備の必要性を訴えてまいりました。今後も引き続き、近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道を初めとした本県の道路整備の必要性を国、関係機関に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、企業誘致についてでございます。
 景気低迷が長引く中、地域間競争も激化し、厳しい状況が続いておりますが、IHS構想を展開しております田辺・白浜地域におきましては、今秋、株式会社キャパ等の情報通信関連企業三社の企業誘致が決定したところでございます。この地域への企業進出が合計六社となり、今後、加速度的に情報通信拠点として形成されるのではないかと大いに期待しているところでございます。
 このほか、製造業では、打田町に東急車輛製造株式会社、印南町に恵和株式会社などが相次いで操業を開始しており、今後とも企業誘致を積極果敢に進めることにより新たな雇用創出などの地域活性化に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、観光の振興についてでございます。
 高野・熊野の世界遺産登録を見据え、本県の歴史や自然といった魅力を国内外にさまざまな方法により積極的に発信しております。その一つとして、去る十一月五日から七日にかけて、来年秋に実施予定の大型観光キャンペーンに向けての宣伝販売促進会議を白浜町で開催し、全国から旅行関係者約三百人の出席をいただきました。また、全国主要都市において本県の観光PR並びに本県への旅行商品の造成を促進する観光プロモーション事業を継続して実施しております。
 一方で、韓国・香港・台湾・中国を初めとしたアジアや欧米からの観光客の誘致にも取り組んでおります。さらに、首都圏での観光及び物産の情報発信力強化のため、検討しておりました東京観光センターの移転開設につきましては、場所を有楽町の東京交通会館に定め、来年二月のオープンに向けて準備を進めております。
 今後とも本県の豊かな自然や農林水産業等の魅力あるふるさと資源を活用し、多くの人が和歌山を第二のふるさとと感じられるような観光地づくりを推進してまいります。
 次に、高野龍神スカイラインの無料開放後の状況についてでございます。
 去る十月一日の無料開放以降、交通量及びごまさんスカイタワーを初めとした沿線の観光施設等の利用者は、ともに約二倍から三倍と大幅に増加しております。
 今後は、この無料開放が地域振興の千載一遇の好機となる世界遺産登録の弾みとなるように、沿線町村と連携しながら観光振興等に努めてまいる所存でございます。
 次に、関西国際空港エアポートプロモーションについてでございます。
 昨年に引き続き、関西国際空港の需要喚起を図るため、県議会からもご参加いただき、副知事を団長とした関西国際空港エアポートプロモーションを十一月十九日から二十二日の期間で、中国山東省及び北京市で行いました。山東省済南市では山東航空の新規就航を働きかけるとともに、北京市では日本・中国航空当局間協議の中国側の代表者である王栄華氏にもお会いすることができ、今後の効果が期待されているところでございます。
 次に、県産品の販路開拓についてでございます。
 株式会社イトーヨーカ堂とのタイアップ事業であるソフトアンテナショップ和歌山まるごとフェアを六月以降、首都圏で七店舗、さらに和歌山フェアを四十二店舗、和歌山梅まつりを百三十二店舗で、それぞれ開催したところでございます。また、県産品のフェアを昨年に引き続き銀座三越で開催するとともに、今回初めての試みとして紀ノ国屋国立店でも開催をいたしました。
 さらに、インターネット上で展開しておりますふるさと和歌山わいわい市場につきましては、現在のところ売り上げが昨年の二倍近い大幅な伸びを示しております。
 このような各種フェアの開催などにより、多くの皆様に県産品をお買い上げいただいた結果、そのよさを十二分にアピールできたものと考えております。引き続き県産品の販路開拓を進めるとともに、和歌山ブランドの定着、県のイメージアップを図ってまいります。
 次に、地域結集型共同研究事業についてでございます。
 本年十月に独立行政法人科学技術振興機構の平成十五年度地域結集型共同研究事業実施地域として本県が採択されました。この事業は、産学官が結集して世界水準の共同研究事業を行い、新技術・新産業の創出を目指すもので、和歌山大学システム工学部、近畿大学生物理工学部、和歌山県農林水産総合技術センターを中心に産学官二十七機関で、本県の農業資源を対象にバイオテクノロジーと情報技術が融合した研究開発を来年一月から五年間、総額十二億五千万円で進めることといたしております。
 今回の地域結集型共同研究事業を初め、去る六月に採択された文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業、さらには県単独事業である戦略的研究開発プランなど、科学技術開発のための起爆剤となり得る事業がスタートすることから、今年度を科学技術元年と位置づけ、今後さらにその振興に取り組んでまいります。
 次に、県立医科大学保健看護学部の設置についてでございます。
 県立医科大学看護短期大学部を四年制化し、県立医科大学の保健看護学部とすることにつきましては、本日、文部科学省から認可され、県立医科大学は来年四月から医学部と保健看護学部の二学部制となります。
 県立医科大学看護短期大学部は、平成八年度に開学以来、三百七十七名の卒業生を送り出し、県下の保健医療の発展・向上に寄与してきたところでございますが、保健・医療・福祉に対するニーズの高度化、多様化に対応できる人材を育成するため、四年制教育課程の導入を図ることといたしました。
 今後は医学部と密接な連携を図り、保健看護教育・研究における地域の中核機関として保健・医療・福祉に総合的に対応できる、より資質の高い保健看護職の育成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、東南海・南海地震対策についてでございます。
 県として取り組むべき施策を体系化した行動計画地震防災アクションプログラムにつきましては、十月末に中間報告を行いました。今後、さまざまなご意見をいただき、来年三月に発表する最終報告書に反映し、今すぐ実施すべきものは実施するとともに、中長期的な視点からも着実に対策を積み重ねてまいりたいと考えております。
 また、現在、国では東南海・南海地震防災対策推進地域の指定に向けた検討を行っているところでありますが、本県といたしましては、国から示されている県内四十八市町村の指定に同意するとともに、防災体制の一体性を図るという観点から、高野町、花園村の追加指定についても意見を申し述べているところでございます。
 次に、橋本市の産業廃棄物問題についてでございます。
 平成十四年十一月八日にジオメルト通電式を行って以来、高濃度ダイオキシン類汚染土壌の溶融無害化処理を計十九回に分けて行い、去る十月二十一日に無事完了いたしました。これにより、橋本市の現地には三千ピコ以上の高濃度ダイオキシン類に汚染された土壌はなくなりました。
 今後も、低濃度汚染対策及び整地緑化工事について、情報公開を基本に地元の皆様と十分協議しながら進めてまいる所存でございます。
 次に、コスモパーク加太についてでございます。
 コスモパーク加太に係る県土地開発公社の金融機関からの借入金の問題につきましては、七月二十三日に公社が金融機関を相手に和歌山地方裁判所に特定調停の申し立てを行い、合計九回の調停が行われた中で、県は利害関係人として参加をし、県民の利益を第一に主張を行うとともに、公社再建に対する県の支援の観点から主張を行ってまいりました。
 これまでの調停において、県及び金融機関はそれぞれの立場や考えに基づき主張し、それぞれの主張の隔たりから調停は難航し、当事者間における調停合意は困難な状況となっておりましたが、本問題解決に向けての県、公社、金融機関共通の強い意向を裁判所に伝えていたところ、十一月二十五日に和歌山地方裁判所において調停に代わる決定がなされました。その後、決定された内容につきまして個々詳細にわたり検討を行いました結果、私といたしましては、この内容は本県にとって妥当なものであると考えられることから、関係する議案について追加で提案をさせていただいたところでございます。
 この問題に関しましては、県議会におかれましてもコスモパーク加太対策検討委員会の設置を初め多大なご尽力をいただき、まことに感謝しているところでございますが、今回の提案についても何とぞご理解のほどお願いを申し上げます。
 次に、補正予算案についてでございます。
 今回の補正予算案は、九月補正予算編成後における状況の変化等により予算措置が必要となった事業について所要の措置を講ずるものであり、補正予算総額は一般会計で、議案第百四十九号と追加議案第百六十九号を合わせて四億三千六百万円余となっております。
 以下、その主なものについてご説明を申し上げます。
 まず、平成十六年度に救急救命士が気管挿管を実施できるように制度改正がなされる予定であるため、このための講習を本年度から行うことといたしております。
 次に、水質基準に関する省令の改正に伴い、平成十六年四月より水道水質の検査項目及び検査方法が変更されるため、環境衛生研究センターに所要の検査機器を整備することとしております。
 また、本年八月十日の台風十号等により発生した公共土木施設災害のうち、国庫補助対象とならない小規模箇所について、迅速な復旧を図ってまいります。
 さらに、平成十八年四月を目途に現水産研究機関を串本町に再編統合するため、今年度内に基本・実施設計に着手すべく債務負担行為をお願いいたしております。
 これらのほか、県土地開発公社の特定調停に係る調停に代わる決定に基づく債務負担行為、及びコスモパーク加太の土地利活用のための整備事業の債務負担行為と土地賃借料等所要の経費の補正予算を追加議案として提出させていただいております。
 続きまして、条例案件等について、その主なものをご説明申し上げます。
 まず、議案第百五十号から第百五十六号までは、去る十月八日の県人事委員会からの職員の給与等に関する報告及び勧告に基づく給与改定等を実施するため、給与関係条例の改正をお願いするものでございます。
 議案第百五十八号は、国家公務員退職手当法の改正に準じて長期勤続後の退職者の退職手当の算定に用いる調整率を段階的に引き下げるほか、規定の整備を行うものでございます。
 議案第百五十九号は、電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律の施行に伴い、電子証明書の発行等に係る手数料に関し、必要な事項を定めるものでございます。
 議案第百六十号は、県内の山村・過疎地域へのIターン者等の定住を促進するため、緑の雇用担い手住宅を設置するに当たり、その管理等について必要な事項を定めるものであり、議案第百六十四号は、地方自治法第二百五十二条の十四第一項の規定に基づき、当該住宅の管理を町村に規約を定めて委託することについて議決をお願いするものでございます。
 議案第百六十一号は、県立医科大学に保健看護学部を設置することに伴う規定の整備を行うとともに、地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部改正に伴い、貸金業者の登録審査手数料等の額を改定し、あわせて規定の整備を行うものでございます。
 議案第百六十三号は、県営住宅に係る滞納家賃の請求訴訟等を提起するものでございます。
 議案第百六十五号から第百六十八号までは、工事請負契約及び工事請負変更契約の締結について、それぞれ議決をお願いするものでございます。
 追加議案第百七十号は、県土地開発公社が申し立て、県が利害関係人として参加した債務弁済協定に係る特定調停事件に関して、和歌山地方裁判所がした調停に代わる決定に対し、県が異議の申し立てをしないことについて議決をお願いするものでございます。
 次に報第八号は、衆議院の解散に伴う衆議院議員総選挙の執行に要する経費について、急を要したため、地方自治法第百七十九条第一項の規定による専決処分を行い、その承認をお願いするものでございます。
 諸報第十九号は、地方自治法第百八十条第一項の規定による委任専決処分報告でございます。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(尾崎要二君) 以上で、当局の説明が終わりました。
  【日程第七 議案第百五十号から議案第百五十六号まで】
○議長(尾崎要二君) 日程第七、ただいま説明のあった議案のうち、給与改正条例議案、議案第百五十号から議案第百五十六号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行います。
 本案について質疑はありませんか。──質疑なしと認めます。
  【日程第八 議案の付託】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第八、議案の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
○議長(尾崎要二君) この際、新任者をご紹介申し上げます。
 まず、九月三十日、教育委員会の委員に任命同意され、十月四日、委員に就任、同十六日、委員長に就任されました駒井則彦君をご紹介申し上げます。
 教育委員会委員長駒井則彦君。
  〔駒井則彦君、登壇〕(拍手)
○教育委員会委員長(駒井則彦君) 去る十月十六日付をもちまして教育委員会委員長を拝命いたしました駒井則彦でございます。
 もとより微力ではございますが、本県の教育の振興と徳育の推進のために全霊を尽くして邁進したいと覚悟しております。
 今後とも一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが、就任のごあいさつといたします。
○議長(尾崎要二君) 次に、九月三十日、公安委員会の委員に任命同意され、十月十三日就任されました島正博君をご紹介申し上げます。
 公安委員島 正博君。
  〔島 正博君、登壇〕(拍手)
○公安委員(島 正博君) 去る十月十三日付で和歌山県公安委員会委員に再任されました島正博でございます。
 治安情勢が厳しさを増す中、微力ではございますが、決意を新たににして公安委員としての職責を果たしてまいる所存でございます。県議会の皆様には従来にも増して公安委員会に対するご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 簡単ではございますが、再任に当たってのあいさつとさせていただきます。
○議長(尾崎要二君) これで、本日の会議を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、給与改正条例議案、議案第百五十号から議案第百五十六号までを日程といたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十五分散会

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