平成15年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。ただいまから一般質問を行います。
 私は、今議会は、来年の六月予定の高野・熊野の世界遺産登録を前にやり遂げなければならない課題や問題点について提言をし、知事及び関係部長の考えをお聞きしたいと、このこと一つに絞って取り組みを進めてきましたが、IT総合センター建設における地盤沈下問題という事態が起こり、今議会で同僚の議員の皆さん方がその責任や原因について質問されています。私は一日も早い完成を願って期待していました一人でしたが、私どもの地元では、県民に事実経過を明らかにしてもらわなければ、せっかくの世界遺産登録ということにも水を差すことになる、そういう周辺住民の皆さんの声があります。また、知事も記者会見で「小さな金額ではないので、私自身もがっかりした。四億円も五億円も使うわけだから説明が必要だということでやっていく」と述べているとおり、議会や県民に対して十分な説明責任が必要との認識を示されています。そこで、二日間の議会論議、また私が現地調査をしてきたことを踏まえ、疑問点、問題点のみに絞って県当局の見解を求めたいと思います。
 私は、複数の専門家や学者、地元の事情を知っている関係者に会い、調査をしてきました。そして、今日までの当局の答弁を聞いた上で、私なりの三つの理由により、今回の地盤沈下の責任については県及び設計会社の認識の甘さにあったのではないか、そう考え、ただいまからその理由を申し上げたいと思います。
 まず、皆さんに配付をしています資料を見てください。
 その理由の一つは、ナンバーで一、二、三と打っておりますけれども、一、二、三にありますように、スレーキングだけでなく、ここの地質は地盤沈下が起こり得る地質ではないかということで、そういう地質に建設する場合は、例えば、基本的な通常言われている木造住宅の方法とか、さらには県の総合教育センターの基本設計の指摘なども含めて、当然地盤沈下が起こり得る地質ではないかと。そういう地質に建設する場合は、こういった今指摘をしたような方法で行うのが常識である。この資料に沿って説明をさせてもらったら、そういうことが指摘をされている。そのことがなされていなかったことが、つまり私流に言えば冒険をしたんではないか、そういうことが一つであります。
 二つ目の理由は、裏のページで四にあります。IT総合センター地質調査報告書に、実はきちんと地盤沈下及びその対策が警告をされております。地盤沈下が起こった事故後、つまり平成十五年五月十五日に、急遽、県が業者を呼んでヒアリングをしております。そのヒアリング結果からも明らかであると思います。今回採用された連続布基礎である直接基礎を採用するのであれば、不同沈下の発生を抑制し得る対策の実施が前提との記載があるわけです。そもそも、この不同沈下に対する認識の甘さが沈下の最大の要因ではなかったのか。ここで不測の事態を想定するのであれば、くい基礎をするのが当然だったのではないかと、私はそのように思います。
 そして、三つ目であります。五番目の地質概要という写真を見てください。答弁でスレーキング現象の予測はできなかったと言われておりますけれども、IT総合センターの建設予定地は、この資料の写真にあります黄色の部分であります。ちょっと見にくいかもわかりませんけれども、黄色の部分。ここに総合センターの建設予定地もございます。「紀伊半島の地質と温泉」という中の黄色の部分であり、スレーキング現象によって強度低下しやすい岩盤特性を持っていると定説化をされているところであります。これも調査をいたしましたが、そうであります。したがって、最初からこの地域はスレーキングが起こりやすい地質であるということはわかっていたはずであります。
 以上、三点の理由によって、だれにも責任がない、予想し得なかったと言うのでは県民への説明責任が果たされていないのではないでしょうか。したがって、今回の地盤沈下についての責任は、県及び設計会社の認識の甘さにあったと私は考えますが、県土整備部長に答弁を求めたいと思います。
 続きまして、来年六月に予想されます我が県の高野・熊野の世界遺産登録にまつわる話題や登録までのスケジュールは順調に進んでいますが、肝心の我が和歌山県の内情は遅々として進んでいません。今日、登録を前に私たちはやり遂げなければならない課題や、知事が大なたを振るわなければならない幾つかの問題を取り上げ、当局の見解を求めたいと思います。
 なぜかと申しますと、先般、小泉総理が、日本に外国の旅行者を今の五百万人から一千万人にしたいと打ち出しました。日本人が外国に一千六百万人も行きながら、なぜ外国人が日本を訪ねようとしていないのか、どこに問題があるのか、探ってみました。
 ちょうど世界遺産登録のうれしいニュースが間近に迫っているときだけに、一層関心が深まり、私は、我が県の登録されようとしている地域の人たちが、この登録をどういう態度で受けとめるのか、そして今、その地域に欠けているものは何なのかをこの夏、高野山と熊野古道の二地域を回り、私なりに調査をしてみました。
 そこで、二つの地域に共通しているものが見えてきました。その一つは、世界遺産というものに対する理解と、指定されることによって何がどういうふうに変わるのか、指定されるという意味は何なのか、そしてその地域は世界に対してどのような権利と義務を背負わなければならないのかであります。つまり、一言で言うと、いまだに「世界遺産登録って何」、人によっては、こんな煩わしい身動きのできない状態になるならばという、本来あってはいけない感情がくすぶっていることを多く見かけました。世界遺産登録に関しての県民の皆さんの理解について、教育長にお答えをいただきたいと思います。
 ある地域では、一年間に多くの観光客を見込んでいながら、自動車による排ガスがさらにひどくなり、環境を浄化して外国人を迎えられるような状態とは全くかけ離れた日常が続いていることです。世界遺産に対する地元住民の意識を高めていくには、私は環境との関連性が大変大事であると思います。自分たちは、世界の人々がこの高野・熊野に来やすい形をつくることによって自分たちの生活も向上する。それをしないで自分たちの生活はよくはならないと思います。世界の人々に何らかの貢献をすることによって、自分たちの生活向上につながる。つまり、自分たちの生活向上は、今まで以上に厳しく対処しなければならない環境対策が前提にあって初めてなし得ることだと思います。世界遺産に登録されることは、きれいに保全をするとともに、それを見に来る観光客にさらなる環境政策を推し進めることです。わかりやすく言えば、地元の人々の義務であると思います。どうも、高野・熊野を回ると、自分たちの生活がどうなるのかということに気をとられて、もっと広い視野で登録されるという地球人的な発想に欠けています。本来そうではなくて、環境に神経質になるぐらいまでに徹底をし、それを理解することが自分たちの生活の向上につながるのです。そういう啓発を県が中心になってやるべきではないでしょうか。県がいろいろパブリシティーをしてもはっきりしないと、上っ面だけのお祭り騒ぎで終わってしまうのではないでしょうか。
 そこで、知事の立場において、まず世界遺産というパブリシティーを一般に行ってもらいたいと私は思います。それは、今まで和歌山が環境立県として緑の雇用政策を進められてきたその集大成が世界遺産登録ということで結実しようとしているのではないでしょうか。
 ユネスコの世界遺産の定義のくだりを申し上げます。「この地球上には、人類にとってかけがえのない自然や文化が数多くあります。これらの顕著で普遍的な価値を持つ貴重な自然や文化の遺産は、人類共通の財産として保護・保全し、次世代へ継承されていくべきものであり、それは私たち人類に課せられた責務でもあります。世界遺産とは、この責務を遂行する上に必要な全地球的な約束(世界遺産条約)に基づいて登録された世界的な価値を有する、地球と人類のかけがえのない宝物なのです」。そういうふうにうたわれています。
 パブリシティーの方法は「県民の友」や県政報告のテレビなど、知事がさまざまな会議や催しに出席した折に触れていただきたいと思います。それを頻繁に引き起こすことで県民の意識が芽生え、そして登録時にふさわしい盛り上がりが期待されるのであると思います。
 また、自動車による公害ですが、これは高野山という聖地に入るのですから、全く自動車による文明社会とは手を切り、極端に言えば最寄りの交通機関はできる限り聖山からストップをしたらどうか。聖山を目指す歩く過程に、さまざまな心の変容、葛藤が生じてくるという宗教性を高く掲げることです。
 熊野古道の場合は、むしろ車社会を追い出してしまうと、遺産の保全にかかわる人たちの生活がだめになります。その場合は、同じ車の規制でも環境に優しい、地球温暖化防止にも役立つディーゼル車規制、電気自動車の利用など、登録されてから準備をするのではなくて、今からでも検討を始めてほしいと思います。
 「よいものはよい環境の中で守られる」と言われます。人間は、よいものを見たいという欲望があります。つまり、自然の価値は大切に守り、美しい姿に接することが人間の至上の喜びです。その喜びに感化され、地元の人たちは目覚めていくのです。だから、守りながら見せる、見せながら守る、これが二十一世紀の人間の素朴な中のこの上ない幸せな状況ではないかと私は思います。そういう和歌山県独特の世界遺産の姿をつくり上げるということを我が県の特徴の一つとしてやり上げたらいかがでしょうか。そんなことを強く感じたのですが、知事いかがでしょうか。
 さて、高野・熊野の現地調査をした後、三十五も世界遺産を持っており、世界から観光客をたくさん誘致をしていますイタリアについて、その実態を探るべく、この夏、私自身が現地調査に飛びました。そこで見たものは、イタリアの日本に当たる県ですが、その県がすべてのことを主体的にやっているということです。つまり、知事の斬新なアイデアとか、積極的な観光政策によっていろいろな旅行の商品がつくり上げられています。国は、その県がつくり出したプランを海外に売り込むためのセレモニーとかイベントを開催して県の要望にこたえるよう努めています。イタリア情報がだれでもとってわかるような政府観光局を、日本はもちろん海外にも置くと同時に、一年のうちに何回もPRのためのイベントを開催しています。しかも、報道機関、各国観光の担当者にわかるような活動をつくり上げています。日本に相当する県は、企画だけではなくて、予算の面でも国に依存するのではなく、反対に財政支出もしているのが現状であります。つまり、県の鼻息が荒いというのは、観光がいかに財政の柱になるかということを物語っている証拠であります。日本の場合、国からの財政援助は実際難しい状況であります。県としては、行く行くはお金のなる木に育つために、まず市町村の世界遺産の要望にこたえるべく支援をしてほしいのであります。
 その一つは、交通アクセス条件の向上であります。
 荷物の送迎や自家用車の配送サービスの拡充など、世界遺産特区のような形で条件緩和の方向を、どこの駅でおりれば目的の熊野古道へ行けるのかわかりにくいため、はっきりした明示を、高野山、熊野古道とのバスの相互乗り入れの実現、ラジオ、携帯電話によるナビゲーションの実現、高野山におけるヘリポートの活用の検討、南紀白浜空港の活用などが必要であります。
 その二つは、熊野古道、道しるべの統一であります。
 熊野古道の姉妹道であるスペインのサンティアゴ巡礼道は、黄色の矢印とホタテガイ印で統一された道しるべが非常に明確に、石畳の道は石畳の中へ、平野部では石柱にホタテガイ印を彫り込んだり、市街地では歩道の石畳の壁に埋め込まれたり、どこにも非常に明確に表示をされ、安心して歩くことができましたと、先般スペインに行かれた中辺路町関係者の方々の声であります。このような、だれでも安心して目的地に行ける統一した道しるべを早急につくる必要があると思います。
 その三つは、歴史文化的景観を保全する全体計画づくりと、熊野古道保全パトロール隊の育成であります。
 熊野古道とともに、歴史文化的景観である棚田、ふるさと風景等の保全や熊野古道を保全するためのパトロール隊の育成、また財政面からの基金制度の創設など、ハードの部分とソフトの部分を含めた総合的な県の全体計画づくりを進める必要があると思います。
 その四つは、こうした要望をまとめ、全体計画を推進するための県の体制づくりを早急につくることであります。
 関係部長の答弁を求めたいと思います。
 さて、話はイタリアの現地取材に戻りますが、日本の場合には、イタリアのように三十五の世界遺産の目玉があるわけではないので、同じような観光収入を期待することはできにくいかもしれませんが、それにしても日本の観光事業推進に投入する費用は少ないのであります。現地の日本人で旅行会社の関係者に聞きますと、韓国で百十九億円、オーストラリアで百億円、カナダで百三十四億円、それに比べ日本では三十四億円程度であるということでした。その関係者は、「こうしたお金が補助として投入をされて、観光のPRを目的とした国際観光振興フェアがことし二月に行われたが、日本は韓国や台湾より国力がはるかに上なのに、そのコーナーは二国に比べてはるかに小さい。日本の政府は、観光にはほとんど目を向けていない。振り向いて反省をしないでいるということが続いています」と言われました。私は、今までの低レベルの日本の観光政策と現実のギャップを強く感じさせられました。しかし、これからの日本は、観光立国を目指すというのだから、やはり初期の段階では政府の事業として観光充実のための財政投入は必要であります。
 そこで提案をいたしますが、世界の中で世界遺産の指定地を持っている和歌山、三重を入れた十三の知事が世界遺産登録サミットのような形で集まり、国に対してパブリシティーのために観光事業推進の財政投入をしてほしいという要望をしたらどうでしょうか。それをすることによって外国の旅行会社も、日本もようやく本格的に動き出したという見方をするだろうと思います。それが、観光客の旅行熱に火をつけるだろうという結果が行われるのではないでしょうか、お伺いをしたいと思います。
 話を次に進めますが、今、私が持っているこのパンフレットです。このパンフレットは三県が共同でつくったものでありますけれども、イタリアの旅行関係者及びイタリア政府観光局の方に、これを持っていって見ていただきました。その途端、大変魅力のあるパンフレットだと褒めていただきました。こんなすばらしいところであれば行きたいと、反応が大変よかったのであります。また、私たちも大いにPRをしていくと約束してくれました。しかしこのとき、私たちがやらなければならないことを指摘されました。それは、こういう資料をローマにある大使館の人も日本の旅行会社も知らなかった。イタリアで仕事をされ、いろいろな情報を集めているガイドさんも、こんなすばらしいところがあるのですかと褒めてはくれましたが、これまた初めてだということでした。このパンフレットそのものは、外国の旅行者、マスコミに見せるためにつくったパンフレットではありませんが、単なる絵はがきにすぎないとイタリア政府観光局の関係者がずばり指摘した話を紹介したいと思います。
 「この図案では、我がイタリア人も日本に行きたいとは思いません。私でしたら、この写真がどこにあるのか、最寄りの空港に行く道、宿泊する場所が何カ所あるのか、料金は幾らであるのか、旅行者にとってぜひ行ってみたいということが欠けている」と指摘を受けました。「これでは、旅行代金を貯蓄するドイツ人、合理的な旅行を楽しむフランス人、そして借金をしてでも旅行を楽しむイタリア人の足がそちらの方に向かわないでしょう」。この観光局の関係者の指摘を真剣に受けとめ、旅行者サイドの情報を織り込むことを県当局に要請いたしたいと思います。
 そして、さらに言われたことは、「このパンフレットを七カ国語別の言葉のパンフレットにして、イタリアの拠点であるイタリア政府観光局に送ってください。そこから州や県や市町村に流れるルートがあるから載せてもらいます。また、マスコミはテレビ、ラジオ、三大新聞紙に送れば必ず載るでしょう。さらに要望として、CDやビデオ等をつくればテレビでこれを紹介してくれるはずだ。イタリアの三つの民放局に送れば必ずPRしてくれる。しかも、長いものは三十分物、十分物、短いもので五分物、一分物等さまざまな長さにして送れば、イタリア全土に広がって効果が出る」。大変心強い支援を約束してくれました。イタリアに絞ってあの手この手を申し上げましたが、こうしたことをヨーロッパ全土に、またアジアやアメリカ等に手を打てばもっと広がると考えます。
 また、ローマに駐在している日本の旅行会社の方と会い、その方は「東洋思想だとか精神修行みたいなものにこれからのヨーロッパ人は傾斜していくだろうし、伸びる要素が大きいと思う。それなのに、日本の姿を伝えるチャンスがなかった。彼らは、行きたくても不安がある。その不安を消すことが必要になってくる。それは、いつも日本をPRすることが大事である。私なら、人気のある航空会社のカレンダーに高野・熊野の写真を入れてもらう。そのことによって何げなく日本をPRする。つまり、何げなく日本をPRすることを怠っていた。日本には行きたいが、不安の方が強い。私の方に今度できるパンフレットを送ってくれれば宣伝をしたい」、と言ってくれたのであります。ここでも、世界遺産の資料が届いていない現状があるのです。
 さらに、未来と古代のユニバーサルジャパンと高野・熊野を組み合わせた商品についての感想を聞くと、「魅力ある商品だ。アプローチできる。高野・熊野は絶対よい商品だ。山の景色が違うヨーロッパ人は大変好む。ヨーロッパ人の旅行の終着駅は日本だ。先行投資すべきだ」と、言葉に熱を帯び、訴えられました。
 いろんなとき、いろんなところで宣伝をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、全世界にPRする方法があるのであります。それは、全世界に和歌山をパブリシティーする一つの方法として国際観光振興会というものがありますが、そのフェアに和歌山県が情報を持って参加すれば、組織があり利用させてくれるということであります。さらに、私たち和歌山県が人事交流、世界平和のためにつくった姉妹都市をつくっています。県内の県も含めた市町村で二十五都市との姉妹提携をやっています。これを今こそ活用すべきだと、旅行関係者や大使館の関係者からの指摘がありました。そのよい例として、大使館員から前橋市とオルビエート、鹿児島県とナポリなどが紹介されました。日本に来てもらいたいというPRと、日本人がそこに行きたいというPRの情報をお互いに持つことによって、そのことが達成されるのであります。つまり、人事交流から姉妹都市を使った観光情報交流であります。
 さて、日本の魅力を知ってもらう重要性とPR方法を提案してきましたが、もう一つ大きな課題は、日本に対する不安、不信感をなくさせることであります。その一つの壁は、幾らPRをしても、最後に旅行会社からそっぽを向かれるのはイタリアから日本への旅行代金が高いということであります。ちなみに私は、今回参加しましたツアー代金は十七万円余りでありました。そこで、政府、県、市町村が一体となって、できる限りコストダウンを求めて努力しなくてはならないと思います。例えば、イタリアの四人家族の一家が一年に一回、バカンスという滞在期間の長い旅行に出かけるのですが、旅行費用は約二十日間で四十万円までと言われました。なぜ、イタリアは人気があるのか。それは、県が観光客に対して、旅費をなるべく安く、きめ細かな配慮がされているのです。観光を主とする産業は税の優遇措置をしており、それは旅行者の旅費の安さにつながっています。また、旅を一回すればスタンプが押され、それがたまれば県からプラスアルファのお土産が出るのであります。このくらい細かな配慮がされて観光客が来るのだと私は感じました。ここでも、観光産業というのはイタリアの国策から外すわけにはいかないということがわかるような気がします。高野・熊野の世界遺産登録を機に、和歌山からこうした改革を全国に発信してはと考えますが、いかがでしょうか。
 もう一つ壁になっているのが言葉であります。「ヨーロッパ人が日本に行ったら、特に言葉で不自由するだろうと初めから頭にある。まず、言葉のことで行きにくい国だと思っている。また、それがハンディの一つになっている。その考えを根底から崩していくことが必要だ」と言われました。日本でも全国レベルでのガイド資格制度はありますが、これでは来年までには到底おぼつきません。もっと地方限定の、和歌山県レベル限定のガイド制を早急につくる必要があると思います。「イタリアにもローカルガイド制というのがありますが、少なくとも英語、スペイン語、フランス語、イタリア語、中国語、韓国語等が必要です」と指摘をされました。このことによって、新しい雇用が意外なところから生まれてくると思います。まず和歌山県からその体制をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 さらにもう一つ、看板の表示であります。例えば、「日本に行ったら親切な案内の表示がありません。最低、日本語と同じ大きさで英語、韓国語、中国語等の表示が欲しい」とも言われました。こうしたインフラ整備についてはいかがでしょうか。
 以上の点について、関係部長の具体的な見解を求めたいと思います。
 現地に行き、強く関心を持てたのは、世界遺産の活用の仕方、演出であります。歴史の建造物や遺産はそのままに置いておくだけで単なる人の目を楽しませてくれるのではなくて、肌で感じながら、現代の空気を吸いながら、古代をほうふつさせるつながりを持ったものをつくり上げていることでした。例えばベローナでは、二〇〇〇年前の建造物の中でオペラを開く演出をすることによって、世界から多くの若者からお年寄りまで来ているという、こうしたエンターテインメントをこの高野・熊野で考えていかなければならないと私は感じました。
 続いて、世界遺産登録に向けての祝賀会やイベントについてであります。
 イタリアの政府観光局の関係者は、「世界遺産になるということは、国家の紋章ということ、つまり国を動かせるということです。世界遺産のイベントをするためにEUからの予算をもらいました」と聞かされました。和歌山の高野・熊野が登録されれば、関西の各府県がこれを祝福し、観光を初めいろんな県づくりに利用することにつながってくるのであります。世界遺産とは、関西や日本全体にこれだけの影響力があるのだと私は思います。知事が中心になって動けば、関西や日本全体が協力してくれるというのがEUの考え方の一つであります。イタリアのマテラというひなびた地域が世界遺産登録されたことを、祝賀会など県がイベントをすることによって大きなブームになったそうであります。すばらしい自然の農業地帯に保養所として企業の研修所が建ち、高野山のように修行所ができ、人づくり、町づくりに活気を帯びているそうです。来年の発信に向けて、和歌山県の土地柄と宗教性を盛り込んだ意義のある祝賀会を準備しておく必要があると思います。そのときに、一番影響力のある人をお呼びしたらどうでしょうか。例えば、世界遺産のバチカン宮殿。同じ宗教者としてバチカンの人が祝賀会に参加してくれれば、この遺産が世界に広まるきっかけになるだろうと現地で強く感じました。イタリアに日本紹介のパンフレットを送る。そうすると、バチカンにも報道陣があります。法王の耳にも入る。あるいは、和歌山県から親書を届ける。異教徒であろうと、積極的に世界平和を唱えながら、みずから会おうという姿勢を打ち出しています。そこで、もしかすると、日本人の精神基盤を築き上げたこの高野山にも使者なりメッセージが届くという事態もなきにしもあらずです。そうしたら、世界のカトリック二十億人に対する偉大なPRにも匹敵するのであります。大きな頼みの綱になると思います。まさに、ユネスコが高野山の存在を認知されてPRする中で、こういう思いもかけない後押しをしてくれる意外な効果もあるでしょう。それは、観光客招致に大きな影響をもたらしてくれると思います。知事、いかがでしょうか。
 最後になりましたが、高野・熊野に行って心を正常にしたいという願いをかなえてもらうというのは、人間に与えられた特権であります。忘れかけたその原点を思い出すのが今度の世界遺産登録の県民への最大のプレゼントだと思います。それほど大きな喜びを復活できるという喜びがあります。確かに、人間はふんぞり返り、横暴で万物の霊長で、そのトップにあるという、このことが人間中心の文明社会が地球をつぶすことになってきたのであります。その人間が、地球上に生存する動物の一つとしての意義がはっきりしたときに、初めて人間が人間らしい行動をとる値打ちと、とらなければならない奥の深い人間観を持ち得るのだろうと思います。そんな意味で、世界遺産登録を考えてみたいのであります。初めて、人間が帰依する。つまり、もう少し考える人間に戻って出直してこいということであります。その結論は、ユネスコが考えている以上の奥の深い世界遺産というものを私たち和歌山県民はつくり出していくことだと思いますが、知事の所見を賜り、一般質問を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 世界遺産の登録に関する本当に精緻をきわめたいろいろなご質問、参考にさせていただきたいと思います。
 まず一つ、世界遺産の登録ということについて、玉置議員が地元を回られると関心が十分高まっていないというふうなご質問でした。
 これは、今は世の中本当にいろんなことがあるので、和歌山県民が全員年がら年じゅう世界遺産のことばかり考えているわけにはいかない。皆さん、生活があるわけですから。それは、僕はやむを得ない面が一つあると思います。それからもう一つの問題は、まだ登録されてないんで、ほぼ確実に登録されるであろうとはいうものの、登録前に大騒ぎするわけにはいかないというような現実的な制約もあって、実は、近く議長に最終的にユネスコの局長なんかに会っていただいて、だめ押しみたいな形ですることを今お願いしているんですけれども、いずれにせよ、そういうふうな微妙な最終的な時期にあるというふうなことだろうと思っています。
 しかしながら、この世界遺産登録ということが、観光立県ということを標榜している和歌山県にとっては千載一遇のチャンスであるということについても、これはまた間違いのないことでございますので、ありとあらゆる機会を通じて、これから県民への理解ということを求めていきたい。また、わかりやすい形にしていかないと、何となく世界遺産、世界遺産と言っても、私自身も十二分に理解していると言いがたいようなところもあるので、これは皆同じようなことだろうと思います。こういうふうなことなんだということを県民にわかりやすく説明するようなやり方というふうなものも、もうそんなに時間がありませんけれども、早急に検討していかなければならないということだろうと思っています。
 そしてまた、あわせて今回の世界遺産の登録というのが紀伊半島全体を世界遺産にしていくというふうなことでもありまして、その中で、今この紀伊半島の持つ自然と環境というものの重要性ということに対する関心が非常に高まっているときでもありますので、そこに住んでいる人の生活とあわせ、この世界遺産の登録とあわせて、この環境面のすばらしさということをアピールしていく方法を考えていかないといかんと思っています。
 これは、どこでもまだ高まっていないというわけではなくて、例えば高野山なんかでは、高野山の交通を考える協議会というふうなものを立ち上げて、やはり町の中を大きな観光バスが排気ガスを出しながら走り回るというふうなことがいいのかどうか、ヨーロッパでは普通の古い町はそういう形になっていませんから、何かもっといい方法があるんじゃないかということを地元の人なんかが中心になって考えてくれている。なかなか一朝一夕にいくことではありませんけれども、こういうふうな大所高所からの検討というふうなことが必要なんじゃないかと思っているところでございます。
 それからイベントなんですけれども、指定というのはスタートであって終着駅ではないわけだから、正直言ってイベントだけでどうこうしようという気持ちはないんですけれども、しかし、また登録に合わせていろんなイベントを打って関心を巻き起こすということは大事なことは間違いありません。先般、三重県で三県の知事会議が開かれたときもこのことが大きな話題となりまして、とりあえずそこで合意されたのは、一つは大阪で世界遺産を売り出す国際的なシンポジウムを開いていこう、それから東京とか大阪とか名古屋で美術展を開こうと、それから地域内でいろいろな記念イベントを考えていこうと、三県協力してやっていこうというふうなことが合意をされました。
 いずれにせよ、今のところはこういうことですけれども、こういうふうなことについても、役所だけが主導してやるということでは、先ほどの関心が盛り上がらないということにもなってきますので、NPOでありますとか、地域住民の人でありますとか、観光団体でありますとか、もちろん地元の市町村、こういうところと十分連携をとりながら、一番みんなの関心が盛り上がると。そしてまた自分たちだけで大騒ぎしていても仕方がありませんので、外へどういうふうな情報発信ができるかというふうな仕組みを考えていきたいと、このように思っています。
 それから登録に当たっての所感ということですけれども、これは今度の高野・熊野、非常に広い地域を指定します。例えば、法隆寺を世界遺産にということであれば非常にわかりやすいわけです。だけれども、この高野・熊野と参詣道ということで、吉野も入っています。参詣道というふうなことで非常に大きな範囲が指定されるわけで、わかりにくい面があるんですけれども、一方で奥の深さを感じさせる、そしてまた新しい二十一世紀型の世界遺産になり得る大きな可能性も秘めているというふうに思っているわけです。
 そうであってみれば、より一層新しい形の世界遺産としての保存の仕方であるとか、外へのアピールの仕方であるとか、住民参加の仕方であるとか、そういうふうなことについて、今までと一味違ったものを打ち出していく必要がありますし、またそのことが観光立県ということを標榜している和歌山県にとって当然重要なことだろうというふうに思っているわけです。
 イタリアでのお話がありましたけれども、海外に向かっての発信もそういうことですし、それからもう一つ大事なことだと思うのは、日本にも大分、世界遺産に登録されている地域を持つ県がふえてきているので、こういうふうなところが連携をして、これ世界遺産なんで和歌山県遺産ではないわけですから、国としてそういうふうなものについてどういうふうなことを考えていくのかということに対する対応ということを求めていくというようなことも新しい視点として非常に大事ではないかと、このように考えております。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 今回の地盤沈下の責任は、県及び設計会社の認識の甘さにあったのではないかとのご指摘でございます。
 今回の建設予定地が、まさに綿密かつ十分な調査検討が必要な高盛り土の土地であったからこそ、建物の設計に先立って行われました平成十三年八月の地質調査では、細心の注意を払い、通常より多い十カ所のボーリング調査等を実施いたしました。
 この地質調査結果においては、これまでも申し上げているとおり、残念ながら今回の原因と判明いたしました盛り土本体のスレーキング現象による沈下は予測しなかったものの、建築直後に生じる不同沈下、これは予測しておりまして、建物の基礎構造について連続布基礎構造にするか、くい基礎構造にするかの二案が提案されておりました。
 建物の設計においては、この地質調査結果から判明した地盤条件や建物の形態による荷重から、両案について安全性や経済性等の観点から比較検討した結果、連続布基礎構造を選定しており、当初の地質調査結果を踏まえれば、適切な設計であったと判断しております。しかしながら、盛り土材料のスレーキングが沈下の原因であったことが今回判明いたしましたので、今回、必要な工事費の増額をお願い申し上げているところでございます。何とぞ、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) 市町村の世界遺産関連事業への支援についての四項目のご質問に一括してお答えいたします。
 まず、交通アクセス条件の向上についてでございます。
 高野・熊野地域は、そのほとんどが山間部に位置するため、公共交通によるアクセス条件が厳しい現状にあります。世界遺産登録によって各地から多くの来訪者が予想されるため、安心して快適に移動できる交通システムなどへの対応が必要と認識しております。そのため、例えば、中辺路、本宮地域及び高野地域それぞれにおきまして、関係自治体や交通事業者等で構成する協議会により、既存のバス路線の整備充実によるアクセス向上や環境に配慮した交通システムなど、地域にふさわしい交通体系について検討を進めているところでございます。議員ご提案の内容を踏まえながら、来訪者がスムーズに世界遺産を訪れることができるよう、関係市町村とも連携しながら必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
 次に、熊野古道道しるべの統一についてでございます。
 議員ご指摘のように、古道を目的地まで安全に歩くためには、道しるべの整備が大変重要なことと認識いたしております。現在、関係課室において市町村等と連携して道しるべの整備状況の点検を行い、必要な整備を行うべく作業が進められている状況にあります。統一した道しるべの整備につきましては、先般、三重県において開催されました世界遺産登録推進三県協議会において合意がなされたところでございます。
 次に、歴史文化的景観保全とパトロール隊の育成についてでございます。
 世界遺産を守っていくためには、単に神社や仏閣など文化財として指定されているものだけを保存すればよいというものではなく、これを取り巻くいわゆる文化的景観を保全していくことが重要と認識いたしております。ただし、このことに関しては、地域住民の暮らしにかかわる問題を無視して進めるわけにはいかないこともあり、自然公園法や景観条例等による法的保護以外にどのような対応ができるかなどについて、関係部局及び関係市町村などと検討を深めるとともに、その必要性を県民の皆様の理解が得られるような努力も一面では必要と考えております。また、パトロール隊の育成など、古道の保全に当たっては、議員ご提案のことについて十分研究を行ってまいります。
 次に、県の体制づくりについてでございます。
 議員ご指摘のように、世界遺産登録にあわせ対応しなければならない課題は多方面にまたがります。そのため、和歌山版世界遺産アクションプログラムを早期に策定することとしており、このため副知事を本部長とする現行の和歌山県世界遺産登録推進本部を改組し、世界遺産登録後の保全・活用に向けた関係部局との連携体制の整備を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 世界遺産を活用した海外からの観光客の誘致につきましては、海外での説明会の開催など積極的な誘致活動を実施し、東アジアを中心に徐々にその成果があらわれてきております。
 ご指摘のとおり、高野・熊野の地域は、欧米の人々にとっても非常に魅力のある観光スポットであると考えてございます。そのため、昨年から国際観光振興会等とのタイアップにより、アジア以外にもイタリア、フランスの雑誌社による取材、イギリス、オーストラリア等の旅行会社による現地視察を誘致したところであり、また今月の下旬から来月にかけて欧米の旅行会社二十四社が本県を視察することとなっております。このほか、英語、中国語、韓国語によるホームページ及び観光パンフレットの作成、旅行エージェントへの情報発信等の積極的な海外PRを実施しておりますが、議員ご提案の趣旨を踏まえ、イタリアも含めた欧米地域へのPRや通訳ガイド等への研修についても今後取り組んでまいります。また、県内の案内看板等の外国語表示につきましても現在進めているところであります。一方、国に対しては、世界遺産の保全と活用に向けての関連予算の確保と新たな支援策等の要望をしております。
 今後も、引き続き国への要望や世界遺産登録府県との連携を密にした取り組み、姉妹都市の活用も含め、さまざまな機会をとらえ、より積極的、効果的な海外からの観光客の誘致事業を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 世界遺産に関する県民意識の浸透ということに関連してお答えいたします。
 教育委員会では、平成十二年に世界遺産登録推進室を開設して以来、推薦資産のコアとなる史跡の指定や推薦書の作成といった当然必要とされる作業を行うとともに、ユネスコの世界遺産登録の目的と推薦資産の具体的内容について、県民の方々の理解を得るための取り組みを行ってまいりました。
 例えば、平成十三年にユネスコ、国とともに開催したアジア・太平洋地域における信仰の山の文化的景観に関する専門家会議の記念フォーラムを登録資産を抱える地元の高野山と熊野で開催したのを初め、翌十四年には、奈良県、三重県と協力して三県リレーフォーラムを開催してきている例もございます。さらに、こうした特定の企画にとどまらず、各種パンフレットやポスター、ガイドブックを作成配布するなど、普及にも努力をしているところでございます。
 世界遺産登録を目前にして、議員ご指摘の点を十分に踏まえまして、今後も例えば高野地域推進協議会、熊野地域推進協議会に加わっている市町村等と連携をしながら、住民の方々へのご理解を深めるために、学校教育や生涯学習などあらゆる機会をとらえて、人類共通の財産である世界遺産についての理解を深めることになお一層努めてまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁ありがとうございました。
 世界遺産については、具体的な答弁をいただきました。有名な方が、「世界の人々が動くということは平和なんだ。人類が世界を移動するということは平和のあかしなんだ」と言われておりますけれども、まさにこの世界遺産登録を契機に、観光立国和歌山を目指して、世界の人々に訪れてもらうことは和歌山が平和の発信県にもなるんだと思います。先ほど、知事も千載一遇のチャンスだと言われました。いろんな角度からきょうの答弁をより具体化していただけますことをお願い申し上げたいと思います。
 それと、時間ございませんから、IT総合センターの件でありますけれども、私の質問の答弁になっていないと思っております。
 質問いたします。先ほど私は、三点の理由を申しました。地質調査報告書には、きちんと警告をされておるということを申し上げました。もう一度言います。連続布基礎を採用するのであれば、不同沈下の発生を抑制し得る対策の実施が前提との記載があります。そもそも、この不同沈下に対する認識の甘さが沈下の最大要因ではないかと私は言っておるんです。ここで不測の事態を想定するのであれば、くい基礎とするのが当然ではなかったと、こう私は思うんです。それとともに、この資料の中にも、事故が発生をしてから県が業者を呼んでヒアリングをしております。そこで県から、建物配置がほとんど盛り土部分にあるが布基礎は一般的と考えるのかと質問しているところで、業者の方が当然くい基礎形式をとる必要がありますと、そういったことを指摘をしているわけです。この調査もされておりますから、もう一度、設計協議が正しかったのかどうか、お教えを願いたいと思います。
 それと、スレーキングは予測し得なかったと言いますけれども、これまた私は、この写真を見せて、この黄色の部分について、もともとスレーキングは起こりやすい岩盤特性を持つ地域だということはわかり切っている話だと、定説であるということを申しました。さらに、調べましたら、南紀白浜空港における高盛り土の沈下対策として、株式会社の日本工営というところが論文を書いているんですけれども、「盛り土完成後大きな沈下が発生した事例が数多く報告されており、この沈下の主たる原因が締め固め不足と、それに伴うコラプス現象やスレーキング現象にあることは今日ほぼ定説化している」と、この南紀白浜空港もこの黄色の部分にあるわけですけれども、さらにこの地質調査の報告書でもスレーキングしやすい岩盤特性ということも指摘されておりますから、やはり私は納得いかないわけでございますが、お答え願いたいと思います。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 繰り返しになりますが、不同沈下の指摘もございますので、設計に当たりましては、直接基礎とくい基礎について、安全性それから経済性の観点から比較検討しております。その結果、その地質調査の結果を踏まえますと今回のアウトプットになっている。これについては、そういう地質調査結果を見れば適切であったと思っております。
 それから今の二点目の、この周辺地域あるいは過去のいろいろな事例があったのではないかというご指摘でございますが、まさにだからこそボーリング調査をして、具体的にその本数も多くして、直接その材質等を確認した。それに基づいての判断でございました。しかしながら、その盛り土材料そのもののスレーキングによる沈下というものは、この地質調査のときには予測しなかった、できなかったということでございます。よろしくお願いします。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 私は、先ほどからも申し上げましたとおり、こういったIT総合センターをやはり地元のために早くつくってほしいと願う一人でございます。だからこそ、知事も記者会見で言われておりますとおり、やっぱり税金を使っていくんだから、これはきちっと説明責任を県民に果たしていかなくちゃならん。私は、いまだに疑問があります。だから、この問題については、もう二分でありますからあえて申し上げませんけれども、これから建設委員会、総務委員会、さらに知事の方にもご要望をお願いしたいんですけれども、このことについては県民の一定の理解、議員に対しての理解をぜひとも努力をしていただきたいということを申し添えて、終わりたいと思います。
 以上です。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十分休憩
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