平成15年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(須川倍行議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 一番須川倍行君。
  〔須川倍行君、登壇〕(拍手)
○須川倍行君 おはようございます。大変盛大なる拍手で送り出していただきまして、恐縮いたしております。新人らしく理想を追求して頑張りたいと思います。
 最初に、観光振興について四点ほど質問させていただきます。
 二十一世紀は、観光・健康・環境のいわゆる三Kの時代であると言われています。その三つを兼ね備えてこそ、初めて飛躍的に外から人を呼べるんだと思います。私は、和歌山は豊富な観光資源はもちろんのこと、数多くの温泉保養地、すばらしい自然環境など、その三つの要素をすべて満たしていると思います。木村知事も常々おっしゃっている観光立県和歌山の政策には私も大いなる期待を抱き、また協力を惜しまないつもりであります。
 観光の振興は、今さら申すまでもなく、商業や交通機関、サービス産業など、さまざまな分野において経済や雇用の波及効果をもたらします。和歌山県の活性化の第一は県外のお金、外貨獲得策をおいてほかないと思います。特に地域の観光振興というテーマは私のライフワークでありますので、きょうは観光を中心に質問を行いたいと思います。
 そこで、私の最初の提案なのですが、観光立県和歌山にふさわしい観光振興条例を制定してはいかがでしょうか。市町村単位では福島県の会津若松市、県レベルでは、私の知るところ、北海道観光のくにづくり条例があります。条例の中は、観光事業者及び観光関係団体の役割と県民の役割とをはっきりと明記して、観光振興に関する基本的な方向を明らかにした計画を策定すべきでしょう。高野・熊野の世界遺産登録を目前にして、和歌山はこれから観光を中心とした産業を充実させていくという気持ちも込めて、全国でも数少ない県条例を和歌山県から発信してはいかがでしょうか。商工労働部長の見解をお尋ねします。
 次に、現在和歌山県においても外向きには発信機能を高めるための紀の国大使の制度がありますが、新たに内向きの制度として、県が認定する観光士の制度を導入することを提案いたします。
 県内にも現在数多くの観光ボランティアの方や紀州語り部の方がいらっしゃると思いますが、それをさらにもう一歩ステップアップさせてこの制度を導入させますと、観光士の肩書があるだけで、案内される側の観光客の安心感が格段に違ってきます。観光でもう一度和歌山に行きたいんだといういわゆるリピーターを生むには、迎える側の心のこもったおもてなしの心が重要であります。県民全体がおもてなしの心を持って観光客を迎えていく、そういう啓発が必要であります。これはすぐにといって効果はありませんが、常に地道な啓発が求められます。一度行ってみたい和歌山県、来てよかった和歌山県、そしてもう一度行ってみたい和歌山県と感じていただけるように、和歌山県民自身がその上にあって、もっと魅力的な和歌山県に出会いたいなと、そういうふうに思えるような県づくりが必要だと思います。
 観光士の育成には、そういうことの推進力として一役買ってくれると思います。当然、県独自の試験を各地域ごとに行い、合格者を観光士として認定し、必要に応じて報酬も定めなければいけませんが、しかし、これは日本全国でほかに類を見ない、話題性十分の観光発信となるものと信じています。商工労働部長の見解をお伺いします。
 次に、来年六月の世界遺産登録に向け、和歌山県が全国あるいは世界に向け発信する大きな節目であり、好機であります。現在、木村知事を先頭に和歌山の知名度を大きくPRしていただいているところで、来年度の和歌山県大型キャンペーンなどにより、県内に大勢の観光客が訪れると考えます。このとき、観光客の足元である陸・海・空のインフラの整備状況は果たして大丈夫でしょうか。
 空の拠点となる白浜空港は県の中央部にあり、紀南、紀北を訪れるにはちょうど距離的に中間点であります。また海の受け入れとしては、県内には紀北の和歌山下津港、紀中の日高港、紀南の新宮港と、観光客の受け入れにはそれなりの港湾機能が備わっていると思われます。私どもの地域の新宮港は、川崎と宮崎を結ぶフェリー・マリンエキスプレス号が、また不定期船として飛鳥やオリエントビーナス、ふじ丸など大型客船が就航し、紀南の旅行を楽しんでおられます。今後、世界遺産登録を契機にこの頻度が高まると思います。
 ここで、陸の機能は大丈夫でしょうか。紀伊半島を周遊する高速道路は、知事を先頭に、防災面でも必要であると国に訴え、整備区間も南伸中であり、大変喜びとするところでありますが、今回の世界遺産登録される地域は、大きく言えば高野と熊野であり、これを結ぶ陸路は、内陸部の中辺路から高野スカイラインを結ぶルートと、環状道路として国道百六十八号で十津川を経由するルートがあります。どちらも急な山間部を通過するわけですので至るところで落石があり、危険な部分が多いわけです。特に国道百六十八号は、大きく言えば紀伊半島縦断道路で、広域を結ぶ連携軸であり、防災面でも幹線軸として重要な部分を占めるものと思われます。現在、県においても百六十八号の五條新宮道路を地域高規格道路として懸命に整備に努められておりますが、陸のインフラとしてはこの部分が一番おくれていると思っております。しかし、大きな事業費が必要であり、県の台所事情もあるわけです。
 そこで提案なんですが、このたび、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が施行されました。これを機に防災に係る重要な道路として位置づけて、引き続き整備を促進していただきたいと思います。世界遺産登録を契機とした観光客の快適な道路として提供するために、県土整備部長のご見解をいただきたいと思います。
 続きまして、このたび新宮市の新宮城跡と歴代城主水野家の墓所が国の史跡に指定されました。新宮城跡は、城内の建物はすべて明治八年に取り壊されましたが、江戸と大阪とを結ぶ海路の拠点としての軍港跡と多くの炭を当時江戸に送り出していたとされる炭納屋跡があり、軍港と経済施設を兼ね備える日本で唯一の城であり、また大阪城をつくった石工宮大工がこの新宮城の石垣を築いたとされる立派な石垣は現在もそのままの姿を残しております。県にとりましても非常に価値の高い文化遺産であります。
 私は、新宮市議会議員在任中、新宮城跡整備検討委員会の委員長として二年間携わってまいりました。新宮市に対する最終答申では、基本理念に基づき城郭全体の復元を目指すこととし、天守閣については有力な資料等の収集に努めながら市民合意を得る中、その取り組みを具体化するものとするとして答申書を提出しました。
 私は、町にシンボルのないところは基本的に衰退すると思っています。皆さんの住んでいる町のシンボルは何ですかと聞かれて、皆さんは即答できるでしょうか。和歌山市はいいですよね。和歌山城があります。威風堂々と県、市のシンボルとして、また住民の心のよりどころとして存在しています。
 観光客が観光に出かける要因は、一に温泉、二に城であることがデータでもはっきりとあります。紀伊半島の海岸線には豊富な温泉や景勝地はありますが、ないのは城であります。今後の熊野の世界遺産登録に伴い紀南での滞在時間を延ばすには、新宮城の復活は地域のアイテムとして必要で不可欠であることはもちろんのこと、熊野の人々が新たなる世紀を、人が人としてとうとばれ、夢と希望にあふれる熊野をつくる、そういった決意を全国に発信するための地域の新たなシンボルとして、また屈指の高い評価を得る文化的価値を将来にわたって損なうことなく地域住民の憩いと地域経済の活性のため新宮市が再建の方向に動くならば、国はもちろん、県としても協力・支援をしていただきたいと思います。教育長はどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
 そして、あわせて歴代新宮城主水野家の墓所ですが、約百段の石段を上った小高い山の上に水野家代々の大きなお墓が十六基並んでいます。一カ所にこれだけ見事に並んでいる歴代城主のお墓は全国的にも珍しく、そのロケーションは日本一で、まさに国史跡にふさわしく、今後の整備次第では絶えず線香の香りする新たな観光スポットとして脚光を浴びるやもしれません。こちらも県のお立場で応援していただきたいと思いますが、教育長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 続きまして、二番目の新宮地域の文化・歴史等を生かした地域振興策について二点お尋ねいたします。
 最初に、「不老長寿の丘」徐福ランド構想についてです。
 新宮市の徐福公園には、今から二千二百年前、中国は秦の始皇帝の命を受け、不老長寿の霊薬を求めて三千人の大船団を組んで当地に流れ着いた徐福の墓があります。徐福渡来伝説は、その場所は全国にも多々ありますが、墓があるのは新宮だけであります。そのため、毎年、中国、台湾から多くの観光客が訪れます。
 儒教の国の方々は先人を敬う気持ちが非常に強く、今後も未来永劫、当地に観光に訪れる傾向にあると思います。関西空港あるいは時には白浜空港から、県全体を観光ルートとして訪れます。せっかくの中国、台湾という海外の巨大市場の観光客の方々に、もっと滞在していただける時間をふやしたい。しかしながら、徐福公園の墓の整備には物理的に限界があります。そこで、二次事業として不老長寿の丘構想が有志によって描かれ、この整備が必要なのではと議論されているところであります。その候補地として、新宮市内国道四十二号線沿いの高森という場所に、今では使われていない新宮市のごみの焼却場跡地があります。この場所のすぐ隣接した海岸側には、世界遺産の参詣道としての熊野古道高野坂があるのです。私は、あの跡地を利用してはどうかと提案させていただいてきております。もとはごみ焼き場があったところだからこそ、そのイメージを払拭する整備を行うべきだと思います。そして、まさにその場所こそ不老長寿の丘に最適だと思います。
 「不老長寿の丘」徐福ランドとして、例えばチャイナ風のトイレや休憩所、そして海を眺める大きな徐福像、徐福関連グッズや地元特産品を販売する売店などの設置が実現すれば、現在、三重県から勝浦温泉へただ通過していくだけであった観光バスはもちろんのこと、今、徐福公園にバスで観光に来ていただいているお客様をそっくりこちらへ持ってこれるのではないでしょうか。
 用地の問題は、新宮市も必ず協力すると思います。この提案、ぜひご検討いただきたいのですが、知事の答弁を求めたいと思います。
 次に、薬草の里づくりについてです。
 新宮市では、徐福と天台烏薬は切っても切れない宝物として天台烏薬を位置づけして、その対策に取り組んでいます。約二十年前から苗木の育成から始め、そのおかげで今では十万本以上が育っています。日本一だと思います。また、昭和五十年代、中国の趙紫陽首席やトウ小平副首相が来日されたとき、当時の新宮市長が天台烏薬の苗木を献上し、和歌山県と中国が友好関係へと至った経緯があります。
 新宮市では、数年前から天台烏薬を素材に地域活性化を図ろうと医学的な効能調査に取り組んでいます。岡山大学の森名誉教授は活性酸素の消去作用効果、岐阜大学医学部の藤原教授は狭心症等の心臓病、肺がんなどへの効果について、それぞれ学会で発表しています。また商品開発についても、現在まで烏薬を素材にしたティーパック茶、徐福ワイン、入浴剤等を製品化し、去る本年五月には高野口町の飲料メーカーと協力してペットボトルと缶入りの「徐福の精」を健康茶として売り出したところであります。このように、新宮市では天台烏薬という薬草を中心にした長年の取り組みがあります。
 高田という全体的なイメージを少し説明しますと、那智勝浦町に接する境界線には烏帽子山や雲取山、熊野川町との境界線には白見国有林に囲まれ、幾つかの谷合いには段状の耕地が広がり、朝はカジカの声が聞こえ、秋には少し紅葉も楽しめる、いかにも山里らしい雰囲気を感じさせる中山間地域であります。
 新宮市では、今、口高田地域に天台烏薬の広い森づくりに取りかかっていますが、それに連動して私は、この高田地域に薬草の里づくりを提案するものです。
 具体的な内容として少し申し上げると、昭和四十年代に植林された元水田の杉林の中に各種の薬草を植えつけしていくものです。園内には、水田に利用する四キロ以上の用水路が流れています。その水路沿いに高齢者の方でも楽しんで歩いていける園内路を設置して、天台烏薬や紀南地域に自生する数百種の薬草のブロック別配植、また途中には小さな自然の池もありますから、水辺に生息する薬草や岩肌に自生する植物の保護育成、それだけでも自然の薬草園ができると思います。そして、一年を通じて水が流れているということは、ヤゴの生息を可能にしトンボの里として、またその水路にカワニナが育つということはホタルの里づくりも可能であります。そして、園路の途中には東洋医学でよく使われている薬草を植えつけして、小中学生も学習できるように薬効や栽培法なども表示します。要所には自然公園をイメージした休憩所、ベンチやトイレなどを設け、そして将来は、その一角に例えば大学の薬草試験場や薬草の加工場の建設などが実現されれば言うことはございません。
 以上、私が考えているその一端を申し述べましたが、三年計画ぐらいで、しかも余り大きな予算をかけずに、県内はもとより全国的にも例の少ない薬草の里が完成できると思います。
 平成十六年の世界遺産登録を目前に、全国から紀南地方を訪れる人はこれからふえていくわけですが、県としてもこうした和歌山県を代表する薬草の拠点を設置し、いやしの地として世界遺産を見据えた熊野の位置づけに取り組むべきだと思いますが、知事の見解を求めたいと思います。
 最後に、和歌山県の将来展望について。えらい大上段に振りかぶってしまった通告で恐縮しておりますが、都道府県合併と道州制についてお尋ねいたします。
 市町村合併が加速づいて進む中、既に今も議論が始まっている次の合併は、都道府県の合併による道州制であります。恐らく、建前的には県自体の自主性に任せるということになるでしょうが、本質は国が主導となると私なりに思っております。国の言う道州制は、基本的には大きな都市のある都道府県とくっつきなさいという部分があります。
 ここで、あくまでも仮定でありますが、近畿州というような大きな枠組みで話が進めばともかくとして、小さな枠で議論が進んだ場合、和歌山は大阪、兵庫とで関西州として一つ、奈良は京都、滋賀で一つ、三重は近畿地方でありながら東海ブロックということで愛知、岐阜で一つというふうに細分化される可能性があります。そういった国の主導による道州制を阻止するためには、道州制の前に先に都道府県合併をしておいて、後から大阪府あたりと道州制に持っていくべきだと、私はそのように考えるわけです。なぜならば、和歌山を端っこにしない中心的役割を持つ位置関係にあってこそ初めて道路網しかり、地域の発展があると考えるからであります。特に県内でも、新宮市にとってみれば、熊野川で県境を引かれてしまって対岸の紀宝町、鵜殿村とは生活文化圏を同じくしながら合併が難しい状況、あるいは橋本市にしても五條市との交流は深いでしょう。これが県境から州境ということになれば、ますますこの課題は複雑になるばかりであります。
 現在、和歌山県は三県サミットや三県知事会議などを通じて、紀伊半島は一つである、そのような取り組みも繰り返してきて奈良県、三重県との結びつきは深く、幹線道路網、生活習慣、同じ文化など、対等合併するにふさわしく、和歌山県の将来の発展のためには決して大きなところに吸収されるというような形でなく進むべきであると思います。
 十年先、二十年先の話となるかもしれませんが、今からまず道州制ありきでなく、奈良、三重との三県合併の議論を起こすべきだと思いますが、知事はどのようなお考えをお持ちなのか、お尋ねします。
 以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの須川倍行君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの観光に関する質問、私に対する質問じゃなかったんですけれども、条例をつくろうとか観光士をつくろうとかいうのは、僕は非常におもしろいアイデアだと思います。これはすぐにできるかどうかわかりませんけれども、これまた後で答えがあると思いますけれども、積極的に考えていきたいと思います。
 それからまた、外からのお金を和歌山県へ持ってきて落としてもらわないと和歌山県が発展しないという考え方にも、私は本当に大賛成です。そのとおりだと思います。そういうふうな形で観光振興ということを僕は図っていくべきだろうと思っています。
 そして、新宮に関して言いますと、外の人から見ると、熊野と新宮というのは本当に不即不離の関係にあるわけです。和歌山ではほかの地域もたくさん熊野と結びつけて考えられますけれども、例えば東京の方の人から見ると、熊野というものと新宮というものの関係というのは非常に深いわけです。そしてまた新宮の中には、例えば佐藤春夫さんの東京から持ってきた家でありますとか、それからお燈まつりでありますとか、おいしい食べ物屋さん、老舗もあります。お菓子屋さんなんかも非常にいいものがあります。速玉大社もあるし、いろんないいものがあるにもかかわらず、ちょっと何か新宮と言うと観光的なインパンクが弱いというふうな感じ、何が中心なのかわからないというふうな感じがあるのもこれまた否めないところなんで、これは何とか今度の世界遺産登録にあわせて新宮というものの観光面での魅力というふうなものを引き出していくということは、僕は非常に大事なことだろうと思っています。
 お話にありました徐福ランド、こういうふうなのは県がつくるもんじゃないと思うんですけれども、これも非常に夢のある構想ですし、それからそれとあわせて天台烏薬との関係なんかで薬草園をつくってというような考え方も僕は非常に夢のある考え方だと思います。これはまあだれがやるのか、こういうことはなかなか難しいんですけれども、いずれにせよ、それぐらい思い切った発想の中で観光振興ということを考えていく時期に来ていると思うんで、私もそういうことをどんどん参考にして考えていきたいと、このように思います。
 それから、道州制について。
 確かに道州制は、もうこれは僕はなると思います。なると思うし、そんな何十年も先というような話じゃないと思いますが、今ご質問にあった、和歌山県が端にならないように紀伊半島で一緒になっておいて、それでもっと大きな道州になったときにその固まりごと入って大きな顔をしようというふうな、なかなかこれは今までの着想にない新しい着想で、これも僕は非常に参考になりました。そのとおりなるかどうかわかりませんけれども、やっぱりいろんな形での物の考え方をしていかないといかんというふうに思います。
 道州制につきましては、実は今、市町村合併というのが進んでいて、僕はもう住民の生活にかかわるようなことはできるだけ県も──きのうは国が県に対しておせっかいしているという話をしましたけれども、県も市町村に対しておせっかいをしているわけです。そういうふうな市町村ができるような仕事はもう全部市町村にやってもらう。そのかわり、国がやっている、もう本当に自治体でできるような仕事、そして地方の支分部局がやっているような仕事は全部大きな道州、州というふうなもので受けていくような体制にしていかないと、日本の国の仕事を国も県も市町村もみんな同じような国内のことにかかわってくるというような仕組みはもう二十一世紀にはもたないというふうな考え方なので、そんな方向へなっていくと思いますけれども、いずれにせよ、ご質問にありました中身も十分検討しながら対応していきたい、和歌山県が何でも後ろになっていかないように対応していきたいと、このように思っています。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 観光振興についての観光振興条例の制定、それから観光士の制度の導入についてでございます。
 まず、本県は自然・歴史・文化など豊富な観光資源に恵まれ、また高野・熊野地域の世界遺産登録を控え、観光振興のさまざまな施策に取り組んでいるところです。
 観光立県和歌山の推進に当たっては、地域資源の保全と活用を基本として、時代のニーズに合わせた柔軟な取り組みを地域の方々と行政が協働して推進することが必要と認識をしております。
 議員ご指摘のように、高野・熊野の世界遺産登録を契機に、新しい和歌山観光が全国に認知されるような県の基本方針や県民、観光事業者や関係団体等の役割などを条例化に向けて検討してまいります。
 次に、本県の歴史・文化・風土のすばらしさを来訪者に認識してもらうことを目的に、現在、県観光連盟では市町村や観光協会の推薦により百六名の紀州語り部を登録しているところであります。また、県内九市町村においても、語り部や観光ボランティアガイドの会が組織されております。これらの方々は、地元の人たちとの触れ合いや知的要求を満たしたい観光ニーズからも重要な役割を果たしていただいております。
 県としては、地域の取り組みを支援するとともに、語り部マニュアルの作成や研修会の実施、また地元へのホスピタリティー向上への働きかけなどを行っておりますが、議員ご提言の観光士制度につきましては、こうした方々の活動をより高めていくものであると考え、実現に向け、育成、認定方法について研究をしてまいりたいと考えています。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 国道百六十八号五條新宮道路についてでございますが、これは紀伊半島縦貫道路として重要な道路であり、地域高規格道路として事業を実施しているところでございます。
 現在、和歌山県におきましては越路道路、熊野川・本宮道路及び本宮道路の三カ所で、また奈良県におきましても十津川道路など三カ所で事業中でございます。
 越路道路につきましては、本年度、越路橋の上部工に着手する予定であり、熊野川・本宮道路につきましては、本年度、熊野川二号トンネルに着手すべく、今議会において工事請負契約の締結についてお願いをしているところでございます。また本宮道路につきましては、土河屋トンネルを平成十七年春に奈良県の十津川道路の七色工区とあわせ供用する予定でございます。
 国道百六十八号は、東南海・南海地震時においても重要な緊急輸送道路となるため、引き続き重点投資を実施してまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 新宮城跡と水野家の墓所についてでございますが、平成六年度からの城内の発掘調査で多数の炭納屋群の遺構が確認され、近世大名の経済的基盤を研究する上でも重要な城郭跡と評価されております。また、水野家の墓所は、初代から十代まで歴代城主の墓碑が同一場所に建立され現存しており、歴史的価値の高いものであります。こうしたことから、去る八月二十七日、新たに国の史跡に指定されたところです。
 新宮市教育委員会では、史跡の恒久的な保存と町づくりや観光資源としての活用を図るため、来年度から保存管理計画の策定と整備事業に着手する予定であります。
 今後、本丸、水の手くるわの石垣の修理や墓所の整備について、県教育委員会として学術的、技術的な指導・援助を行うとともに、国に対し事業の採択を強く働きかけてまいります。
 また、天守閣等の復元につきましては、新宮市の計画を確認した上で、国の史跡の上に立つ建造物となることから、国との調整を図りつつ、必要な古図面等の資料収集・調査に協力をしてまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 一番須川倍行君。
○須川倍行君 まず観光振興条例と観光士につきましては、非常に前向きな答弁をいただきました。その上で一言申し上げておきたいんですが、これは観光の担当部局以外、他の部局に対しても言えることなんですけれども、今後の条例制定とか事業計画、観光振興計画なり長期計画を立てていく上では決してコンサル任せにしないで、職員自身の手による、汗をかいた、手づくりで、達成後に感動できるような、そういった取り組みを行っていただきたい。これを要望しておきます。
 次に新宮城跡についてですが、今後必要な古図面等の資料収集・調査に協力してまいりますという答弁をいただきました。その中で特に申し上げておきたいんですけれども、私どもも市の委員会等で今日まで、国立国会図書館とか防衛庁とか宮内庁とか、あるいは全国城郭協会とか、ありとあらゆるところを当たってきてみたんですけれども、なかなか写真とか設計図、そういった有力な資料が出てこないんです。ですから、今後、県としましても、各都道府県間とのネットワークを最大限に生かしていただいて資料の収集にお知恵をかしていただきたい。この点も強く要望しておきます。
 最後に、都道府県合併と道州制について知事のご答弁をお聞きしまして、ますます今から、合併ありきなしにかかわらず、この調査研究、議論を重ねていかなければいけない、そのように思いました。今後、議会としても都道府県合併と道州制を考える議員連盟とか委員会を立ち上げていく必要性があるんじゃないかなと、そのようにも思いました。あわせて、当局におかれましても、今からやっぱり協議会なり庁内検討チームなどを立ち上げていく必要性があるんじゃないかなと、そのように思うわけですが、この点についての知事のお考えはどうなのか、ご質問いたします。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 道州制について検討を進めてはどうかということなんですけれども、今現在、これは東京の方で、私もメンバーになって、六つぐらいかな県の知事と榊原先生と慶応大学でご一緒に会をつくっているんですけれども、そこで県の職員も入ってそういうふうな道州制──道州制という名前じゃないですけれども、これからの日本の国の地方自治のユニットというもののあり方についての研究を進めているところでございます。そういうふうな中で、県の職員はそういうことに物すごく深く関与しておりますので、どんどんそういうふうなことに関する知見は和歌山県では集まってきているということで、和歌山県は今、こういうふうな問題については全国の先進県の一つになっていると思います。そういうふうな公式的な審議会をつくるとか、そういうふうな段階にはまだ全国的にもなっておりませんし、それは僕は時期尚早だと思いますけれども、いずれにせよ、そういうふうな形で、県としてもこの問題は重要な問題として考えているということをお答えしておきます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、須川倍行君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十九分休憩
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